JP2006272405A - メタル系フラックス入りワイヤおよび溶接方法 - Google Patents

メタル系フラックス入りワイヤおよび溶接方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 メタル系フラックス入りワイヤにおいて、スラグ材成分を規定し、かつグラファイトを所定の値の範囲内で添加することによりスラグ生成量を低減し良好な塗装性を確保できるメタル系フラックス入りワイヤを提供する。
【解決手段】 スラグ材の規制およびグラファイトの規定によりスラグ生成量を低くし、フラックス入りワイヤの塗装性を確保するために、ワイヤ全体の質量%で、グラファイト以外のC:0.001〜0.20%、グラファイト:0.10〜0.7%、SiO2以外のSi:0.05〜1.2%、Mn:0.2〜3.0%を含有し、P:0.03%以下、S:0.02%以下に制限し、さらに、SiO2、Al23、Na2OおよびK2Oの1種または2種以上を合計で0.05〜0.40%含有し、前記グラファイト、および、前記SiO2、Al23、Na2OおよびK2Oの1種または2種以上は少なくとも前記フラックスとして含有させる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、自動車分野のアーク溶接継手等に用いられているアーク溶接にかかわるもので、特に、メタル系フラックス入りワイヤを用いて溶接するときに発生する溶接ビード表面のスラグ量を低減することにより、ソリッドワイヤの代わりにメタル系フラックス入りワイヤを用いることを可能にしたメタル系フラックス入りワイヤおよび溶接方法に関するものである。
自動車分野のアーク溶接継手は、溶接終了後の塗装工程のために、溶接中に発生するスラグ量が少ないソリッドワイヤを用いて作製されている。これは、溶接部がスラグに覆われている場合、スラグの上から塗装することになり、塗装膜と溶接部の密着性に問題が生じるためである。
一方、環境問題等の認識の高まりから、自動車分野でも燃費向上などの観点から軽量化を推し進めている。このため、より高強度の鋼材を使用し、板厚を低減する傾向にあるが、このときの大きな問題として、溶接部の疲労強度がある。すなわち、高強度鋼材を使用しても、溶接部疲労強度は鋼材強度に比例して高くなるわけではなく、疲労強度で設計する場合は、高強度鋼材を使うメリットがなくなるという問題がある。
このような問題を解決する手段の1つとして、溶接材料の変態温度を低くなるよう成分設計し、溶接部の残留応力を低減することで疲労強度を向上させる方法が提案されている(特許文献1、2参照、以降このような溶接材料を高疲労強度溶接材料と呼ぶ)。この方法は、特に新たな製造工程を準備する必要がなく、従来溶接材料を取り替えるだけで高疲労強度を得る方法で、効率のよい方法であるといえる。
しかし、この方法にも問題が存在する。すなわち、高疲労強度溶接材料は、合金元素を多く含むように成分設計するため、製造コストが増加し、自動車分野におけるアーク溶接全てにこの溶接材料(溶接ワイヤ)を適用することは経済的に不可能である。そのため、高疲労強度溶接材料の適用を疲労が問題となる部位のみに限定し、できるだけワイヤ消費量が少なくなるようにする必要がある。しかし、ソリッドワイヤは、ワイヤ消費量が多い場合は経済性がフラックス入りワイヤより優れているものの、ワイヤ消費量が少なくなると、メタル系フラックス入りワイヤのようにフラックスの設計変更による成分調整ができない、一度ワイヤ作製用素材を準備するとその後の成分設計の変更ができない、などの問題があり、多品種少量使用の場合の経済性はむしろフラックス入りワイヤより劣るようになる。
ソリッドワイヤにおけるワイヤ消費量が少ない場合の問題は、なにも高疲労強度溶接材料に限ったことではない。高強度用溶接材料についても、同様な問題が生じる。
少ないワイヤ消費量で高強度の溶接金属が得られる成分調整が経済的に実現可能なものとしてはフラックス入りワイヤである。しかし、通常のアーク溶接用のフラックス入りワイヤは、鋼製外皮に合金成分を主に含有するとともに、鋼製外皮内には合金成分の他に、溶接作業性およびワイヤ加工性を良好に維持するためにフラックス成分を充填するため、これをを自動車分野に適用してアーク溶接継手を製造する場合には、スラグ発生により塗装性に問題が生じる。この問題は、溶接工程の後にスラグ除去工程を新たに設備投資すれば解決するが、この場合は、設備投資のためのコスト増加が避けられないため好ましくない。
フラックス入りワイヤを用いる溶接でのスラグ量を低減する技術は、これまで種々提案されている。例えば、不活性ガスと炭酸ガスとの混合ガスを使用して溶接するワイヤについて、前記ワイヤ全質量あたり、C:0.08質量%以下、Si:0.7乃至1.5質量%、Mn:1.0乃至3.0質量%を含有し、フラックスの充填率が10乃至30%であり、Alを0.3質量%以下含有し、アーク安定剤をアルカリ金属換算で0.005質量%以下、アルカリ土類金属フッ化物が0.2質量%以下、Tiを0.005質量%以下に規制した溶接ワイヤとし、水平すみ肉溶接をする場合であっても、スラグ発生量を抑えることができ、ビード形状がフラットなビードを得ることができる混合ガスシールドアーク溶接メタル系フラックス入りワイヤが提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、この発明は、通常のフラックス入りワイヤのスラグ量より発生量は少ないが、ソリッドワイヤと比較しうるほどにスラグ量を抑えている技術ではない。
また、フラックス充填率を低く抑え、鋼製外皮の割合を高くする技術もある(例えば、特許文献4、5、6参照)。すなわち、この方法は、フラックス入りワイヤの構造をできるだけソリッドワイヤに近づける技術である。ソリッドワイヤのスラグ発生量が少ないことを考えると、この技術を用いることによりスラグ量を抑えることは可能であろう。しかし、この方法はワイヤ中のフラックス量が少なくなるため、フラックス成分の調整だけでワイヤ全体の成分を設計することが難しくなるという、ソリッドワイヤと同様な問題が発生し、せっかくのフラックス入りワイヤが持つ経済性が犠牲になってしまう。
また、アーク安定剤としてグラファイトを必須成分とするフラックスをワイヤ断面積比で5〜25%の範囲内で充填するワイヤが公開されている(例えば、特許文献7参照)。このフラックス入りワイヤのワイヤ全体に対するフラックス(粉粒体)の含有割合は12%程度であり、このフラックス(粉粒体)に対してアーク安定剤としてグラファイトを1%程度含有するものであるから、ワイヤ全体に対するグラファイトの含有量は0.12%程度を含有するものである。また、フラックス(粉粒体)中にグラファイト以外のアーク安定剤または脱酸剤としてはTi、MnなどとFe合金として含有し、金属酸化物は実質的に含有しないことにより、溶接時のスラグ発生量を低減するものである。しかし、高疲労強度または高強度の溶接金属を形成するためにフラックスとして多量の合金元素を含有するメタル系フラックス入りワイヤにおいては、合金元素を造粒、または、ワイヤを伸線するために欠かせない成分であり、酸化物を実質的に添加しない程度まで低減すると、ワイヤ製造上問題が生じる。一般に、フラックス入りワイヤでは、充填するフラックスを粒状にしてその表面に潤滑剤の役目をする雲母(ケイ酸塩)等を付着させワイヤ線引き中の抵抗を低くしており、フラックス中の酸化物を低減するとワイヤを伸線する際に破断が発生しやすくなる。
このような従来技術の問題から、低充填率に頼らず、フラックス成分を工夫することによりスラグ発生量を少なくし、継手の塗装性を確保することができる技術が望まれていた。
特開平11−138290号公報 特開2004−1075号公報 特開2000−197991号公報 特開2001−179488号公報 特開2001−287087号公報 特開2003−94196号公報 特公昭51−1659号公報
これら従来技術の問題点に鑑み、本発明は、スラグ発生量が従来のフラックス入りワイヤより格段に少ないフラックス入りワイヤ及びそのワイヤを用いたガスシールドアーク溶接方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、以上の観点から、フラックス成分とスラグ発生量の関係に着目し、その関係およびスラグ低減方法を鋭意研究してきた。そして、フラックス成分をコントロールすることにより、従来フラックス入りワイヤと比べ格段にスラグ量を低減さることが可能であることを見出したものである。本発明は、このような研究によってなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1) 鋼製外皮内にフラックスを充填してなるガスシールドアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全体の質量%で、グラファイト以外のC:0.001〜0.20%、グラファイト:0.10〜0.7%、SiO以外のSi:0.05〜1.2%、Mn:0.2〜3.0%を含有し、P:0.03%以下、S:0.02%以下に制限し、さらに、SiO、Al、NaOおよびKOの1種または2種以上を合計で0.05〜0.40%含有し、残部が鉄および不可避不純物からなり、かつ前記グラファイト、および、前記SiO、Al、NaOおよびKOの1種または2種以上は少なくとも前記フラックスとして含有することを特徴とするメタル系フラックス入りワイヤ。
(2) 前記メタル系フラックス入りワイヤにおいて、フラックス充填率が10〜20%であることを特徴とする前記(1)記載のメタル系フラックス入りワイヤ。
(3) 前記メタル系フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全体の質量%で、さらに、Ni:0.5〜12.0%、Cr:0.1〜3.0%、Mo:0.1〜3.0%、Cu:0.1〜0.5%の1種または2種以上を合計で0.2〜12.5%含有することを特徴とする、前記(1)または(2)記載のメタル系フラックス入りワイヤ。
(4) 前記メタル系フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全体の質量%で、さらに、B:0.001〜0.03%を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)の何れかに記載のメタル系フラックス入りワイヤ。
(5) 前記メタル系フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全体の質量%で、さらに、Nb、V、Tiの1種または2種以上を合計で0.005〜0.3%含有することを特徴とする前記(1)〜(4)の何れかに記載のメタル系フラックス入りワイヤ。
(6) 前記メタル系フラックス入りワイヤにおいて、酸化物系以外のアーク安定剤を、全体の質量%で、さらに、0.05〜0.5%を前記フラックスとして含有することを特徴とする前記(1)〜(5)の何れかに記載のメタル系フラックス入りワイヤ。
(7) 前記(1)〜(5)の何れかに記載のメタル系フラックス入りワイヤを用いて鋼板を溶接することを特徴とするガスシールドアーク溶接方法。
(8) シールドガスとして、COを3〜25%含有し、残部がArガスおよび不可避不純物からなるシールドガスを用いることを特徴とする前記(7)記載のガスシールドアーク溶接方法。
(9) 前記シールドガス中に、さらに、Oガスを4%以下含有するシールドガスを用いることを特徴とする前記(8)記載のガスシールドアーク溶接方法。
(10) 前記鋼板の板厚が1.0〜5.0mmであり、かつ引張強度が440〜980MPaであることを特徴とする前記(7)〜(9)のいずれかに記載のガスシールドアーク溶接方法。
本発明によれば、メタル系フラックス入りワイヤのスラグ生成量を、ソリッドワイヤ並に低く抑えることが可能となり、スラグ発生量が少ないため、メタル系フラックス入りワイヤを用いて作製された溶接継手の塗装性を格段に向上させることが可能となる。また、ワイヤ消費量が少ない場合のソリッドワイヤにおける経済性の問題を同時に解決することが可能である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
自動車分野におけるアーク溶接継手は、溶接終了後に塗装工程に入るが、その際に問題となるのは、溶接ビード表面に存在するスラグである。塗装膜と継手表面の密着性を確保するためには、スラグを極力減らすことが望ましい。そのため、従来技術ではソリッドワイヤが用いられてきた。
一般に、ソリッドワイヤは、フラックス入りワイヤよりスラグ生成量が極めて少なく、そのため、ソリッドワイヤを使用している限りにおいては、特にスラグ除去工程を考えずに塗装工程に進むことが可能である。しかし、高疲労強度溶接材料のような、適用継手成分が限定されるためにワイヤ消費量に限界がある場合は、ソリッドワイヤは経済的観点からフラックス入りワイヤより劣るという問題が生じる。これら問題を同時に解決するには、スラグ発生量をソリッドワイヤ並に低減したフラックス入りワイヤを発明する必要がある。
フラックス入りワイヤには、通常タイプのワイヤと金属粉を多く含有させたメタル系フラックス入りワイヤの2種類がある。通常タイプのフラックス入りワイヤは、ビード形状を良好にし、かつ全姿勢溶接できるようにフラックス成分を所定の量確保するようにしている。それに対し、メタル系フラックス入りワイヤは、金属粉が多い分フラックス成分が少なく全姿勢溶接が難しくなるものの、スラグ生成を抑えることが可能となる。しかしながら、いずれのタイプのフラックス入りワイヤでも、従来技術の範囲では、スラグ生成量は、ソリッドワイヤに比べるとはるかに多い。ソリッドワイヤは、フラックス成分がないため、溶接姿勢は限定される。しかし、塗装性を考えると、従来技術の範囲ではソリッドワイヤの選択は避けられず、溶接姿勢の問題は、被溶接鋼板の位置を調整することで解決されてきた。
フラックス入りワイヤに生じるスラグ成分を実際に分析すると、ほとんどが、SiO、MnO、Al、Feのような酸化物である。そして、この傾向は、フラックス中にNi、Cr、Mo等の合金元素を添加した場合でも変わらない。そのため、フラックス入りワイヤのスラグ発生量をソリッドワイヤ並まで低減するためには、酸化物の発生をできるだけ抑える必要がある。本発明が扱うワイヤが、フラックス入りワイヤの中でも特にメタル成分が多いフラックスを充填するメタル系フラックス入りワイヤに限定されているのは、このような理由による。
では、従来のメタル系フラックス入りワイヤでは、なぜ、ソリッドワイヤ並にスラグ生成量を抑えることができないのであろうか。従来の技術ではフラックスに雲母を添加するが、これは、雲母によりワイヤ線引き時のフラックスの抵抗を抑えるためである。すなわち、雲母は潤滑材の働きをする。しかし、雲母の成分であるSiOやAlなどの酸化物はスラグ生成源であり、スラグ低減の観点からは好ましくはない。そのため、雲母にとって代わる、潤滑材の役目をする成分を見出す必要がある。一方、スラグ成分から推定できるように、溶接ワイヤ中の酸素量を下げるとスラグ生成量が低減することが期待できるが、フラックス入りワイヤを前提とする限り、これら酸化物の添加量を0にすることは困難である。そこで、溶接ワイヤ中の酸素をスラグという形態以外の形で溶接ビードの外に放出する必要がある。特許文献3、4、5および6で開示されている従来技術では、スラグ生成源のうち、最も影響が大きいSiO、KO、Na2O、Alなどのスラグ材を低減するまでに至っておらず、また、スラグ低減を従来技術内で実施すれば、今度は潤滑剤不足によるワイヤ製造上の効率劣化の問題が解決されない。そのため、従来技術の範囲内では、スラグ発生量を抑えるためには、フラックス充填率を低く抑える技術に頼らざるを得なかった。
本発明者らは、以上の背景から、種々のメタル系フラックスの成分に検討を加えていき、ついに、フラックスにC源としてグラファイトを添加する方法を見出した。
一般に、レールのような高C鋼材を溶接する場合を除き、溶接ワイヤにCを意識的に添加することはしない。それは、溶接金属のC量が高くなると、溶接割れの問題、硬化性の問題、靭性の問題など、継手特性としてはデメリットが大きくなるためである。そのため、溶接金属中のC量は0.2%、場合によっては0.1%に達しないように設計されるのが通常である。しかし、Cは酸素と結合し、COまたはCOを形成する元素でもある。COまたはCOは、たとえ形成されても溶接ビードの外へ放出され、スラグという形で残ることはない。そのため、Cで酸素を低減することはスラグ低減という観点からも望ましい。Cを添加する方法は、グラファイト添加以外にも、鋼製外皮のC量を増加させる方法もある。しかし、グラファイトには、それを添加することにより、ワイヤ線引き時のフラックスの抵抗を低減する働きがあることも見出した。そのため、雲母の代わりに用いることができ、雲母を低減することによるスラグ低減効果も期待できる。本発明において、C量の範囲について、グラファイト量とグラファイト以外のC量に分けて規定しているのは、このような背景による。
図1は、本発明の技術思想を示す概念図で、横軸にワイヤ中のグラファイト量をプロットし、縦軸にワイヤ中の酸化物量および溶接後に生じたスラグ量をプロットした図である。
図1では、グラファイト量と酸化物量の関係は破線で、グラファイト量とスラグ量の関係は実線で示している。破線の上側の領域は、ワイヤ製造効率が落ちない領域で、図1の破線からわかるように、グラファイトを増加させるとワイヤ製造効率を落とさずに酸化物を低減することができる。酸化物低減は、スラグ発生を抑える点からは好ましいことで、グラファイト添加の効用がわかる。
図1の実線は、グラファイト量と溶接後生じたスラグ量の関係である。図1の実線が示すところは次のようなものである。すなわち、あるグラファイト量を添加すると(図1のA)、破線からワイヤ製造効率を落とさない最小の酸化物量(図1のB)が決定される。そして、このグラファイト量と酸化物量を含有するワイヤで溶接したときのスラグ発生量(図1のC)が実線で示される。したがって、グラファイトを図1のAで示される分だけ添加しても、酸化物量を低減しなければ(例えば図1のDで示されるグラファイト量と酸化物量)、実線で示されるスラグ量にはならず、それ以上のスラグ量が発生する。グラファイト添加の効用は、それによりスラグ生成の原因となる酸化物量を(図1の実線が示す量まで)ワイヤ製造効率を落とさずに低減できる点にある。
しかし、図1は、グラファイト添加にはそれ以上の効用があることを示している。グラファイト添加量が少ない領域では、図1で実線と破線はほぼ一致しているが、グラファイト添加が多くなると実線のほうが下に位置するようになる。すなわち、酸化物低減以上の効果があることを意味する。この現象が生じるのは、グラファイトであるCは酸素と結合し、COまたはCOになり、酸素そのものを低減するため、結果的にスラグである酸化物の生成が抑えられるためである。
従来技術としてアーク安定剤としてフラックス中にグラファイトを含有するフラックス入りワイヤが提案されている(例えば、特許文献7参照)。しかし、このフラックス入りワイヤに含有するグラファイトは、アーク安定剤として特定ワイヤ断面積比の範囲内で含有し、そのグラファイト含有量は、ワイヤ全体に対する割合で0.12%程度と少なく、かつ溶接時のスラグ発生量を低減するためにフラックスとして金属酸化物は実質的に含有しないため、図1に示されるようなワイヤ製造効率を良好に維持しつつ溶接時のスラグ発生量を低減する効果が得られるものではない。
以上のように、グラファイトにはいくつかの利点があるが、これまで用いられてこなかった理由は、次のように考えられる。つまり、一般に、ワイヤ中に含有する元素含有量(質量%)と溶着金属中の元素含有量(質量%)に大きな差は生じないと考えられており、例えば、ワイヤ中のC量を0.4%に設計すれば、溶着金属中のC量も0.4%に近い値になる、という常識があった。そのため、これまでワイヤ中にCを多く添加することは溶接金属中のC含有量の増加による溶接継手特性の低下を招くため、できるだけ避ける傾向があった。
しかし、本発明者からの検討の結果、図2に示すようにフラックス中にグラファイトを添加する場合は、溶着金属中のC含有量は必ずしも高くならないことが明らかになった。
図2は、メタル系フラックス入りワイヤにおけるフラックスに添加したグラファイト含有量(ワイヤ全体に対する質量%)と溶着金属中のC含有量(質量%)との関係を示す図である。なお、図2は、溶接ワイヤとして、鋼製外皮中のC含有量がワイヤ全質量に対して0.05%であるメタル系フラックス入りワイヤを用いた場合である。また、横軸にプロットされているグラファイト量は、すべてフラックスに含有されているグラファイト量を示している。図2からわかるように、例えグラファイトを0.4%添加したとしても、溶着金属中のC含有量は0.2%未満に維持でき、この程度のC含有量では、溶接継手の機械的特性の低下は実用上問題のない程度である。仮に、同じ量のCをワイヤの鋼製外皮中に添加すると、Cがそのまま溶着金属に残留するため、溶着金属の機械的特性が劣化すると考えられる。フラックス中にグラファイトを添加する場合に、溶接金属中のC含有量が増加しない理由は明らかではないが、溶接時に溶接金属中に添加されたグラファイトは、大気中の酸素及び溶接金属中の酸化物から供給される酸素によりCOまたはCOとして溶接ビード外に放出されるため、添加されたグラファイト量に比べ、溶接金属中のC含有量は低減するのではないかと考える。
一方、グラファイト添加量が0.7%を上回ると、溶着金属成分としてのC量は0.40%以上、場合によっては0.5%を超えるようになり、機械的特性への影響が懸念される。そのため、本発明では、メタル系フラックス入りワイヤにおいて、少なくともフラックスとして含有するグラファイト添加量の上限を0.7%とする必要がある。この理由は、グラファイト添加量を0.7%未満とすることでワイヤ製造効率を良好に維持しつつワイヤ中の酸化物を低減し、その結果、溶接時のスラグ発生量を十分低減させるとともに、溶接金属中のC含有量が急激に増加することを抑制するためである。
なお、図2において、グラファイト添加量が0でも溶着金属のC量が0にならないのは、鋼製外皮にCが含まれているためである。
本発明は、上記知見および技術思想をもとになされたものであり、メタル系フラックス入りワイヤにおいて、フラックスとしてグラファイトを所定量含有させることにより、従来のフラックスの造粒剤およびワイヤ伸線用潤滑材として添加していた酸化物を低減でき、かつグラファイトによる脱酸(CO、CO化)作用の結果、溶接時のスラグ発生量の低減を達成することができる。また、本発明によれば、従来のソリッドワイヤを用いて溶接する場合と同程度にスラグ生成量を低減でき、高疲労強度および高強度が要求される溶接金属を構成外皮の成分を変えずに、フラックス中に含有する合金元素含有量の調整によって達成できるため、ソリッドワイヤに比べて経済性の点で優れるものである。
次に、本発明における数値限定理由について述べる。
初めに、メタル系フラックス入りワイヤにおける各成分元素についての数値限定理由について述べる。
グラファイト以外のCについては、ワイヤ全体に対するC量を質量%として、0.001%をその下限とした。これに達しないC量では、鋼製外皮の強度を確保することが難しくなり、ワイヤ製造時の断線の問題を引き起こすため、下限値をこの値とした。また、グラファイト以外のCの上限を0.20%としたのは、これを上回るC量では、本発明のメタル系フラックス入りワイヤでは、フラックスにグラファイトを別途添加するため、溶接金属のC量が過大になるためその上限を0.20%とした。
本発明においてグラファイトを添加する理由は、フラックスの潤滑材の役目をさせる、酸素と反応させCOまたはCOを形成させることにより酸素を外に逃がす、がある。これらの理由は、スラグ量を低減させることを狙ったものであるが、さらには、高疲労強度溶接材料としての役割を持たせるため、溶接金属のCを適正に保ち、変態開始温度を低く抑える役目もある。本発明の目的の一つに塗装性の確保があるが、それは、本発明の利用分野として自動車分野が挙げられることにある。この分野で用いられる鋼板のC量は比較的低い場合が多く、0.05%以下、場合によっては0.01%以下となる場合がある。この場合、母材希釈も考慮した時の溶接金属中のC量を適正に保つことは難しくなる。このC量は、鋼製外皮からも導入させることができるが、グラファイトとしてワイヤ中に含有させることによりスラグ低減と潤滑材の働き両方を持たすことができるので、本発明では鋼製外皮のC量の上限は低く抑えている。その分、グラファイトは最低限添加する必要がある。本発明のグラファイトの下限は、溶接金属中のC量を最低限確保する、かつスラグ低減と潤滑材の効果を確保する、という2つの理由から0.10%とした。上限の0.7%は、これを上回るグラファイト量では、溶接金属中のC量が増加し、溶接金属が硬くなりすぎるなど継手特性上問題が生じるためこの値を設定した。なお、グラファイトの潤滑剤としての働きを確実にするためには、好ましくはグラファイトの下限を0.15%と設定することが望ましい。
ワイヤ中のSiは、酸化物であるSiOのものとそうでないものとに分けられ、酸化物のSiOは主としてフラックスに含有される。鋼製外皮に含有されるSiは、鋼中に固溶しているSiがほとんどであり、本発明では、鋼中のSiOは不可避不純物である。フラックスに含まれるSiOなどの酸化物は、雲母以外にもワイヤに充填すべきフラックスを造粒するときに用いられるバインダーにも含有されており、メタル系といえどもフラックス入りワイヤを前提とする限り、バインダーを無添加にすることはできない。そのため、後述するように、本発明では酸化物の総量を規定している。但し、SiO以外のSiは、酸素成分を含んでいないため、スラグ生成という観点からはあまり規制する必要はない。しかし、最低限の脱酸をする必要があるため、下限を0.05%とした。一方、過度のSi添加は、溶接金属を硬化させ継手特性上の観点から好ましくないので上限を1.2%とした。
Mnは、強度確保に必要な元素である。Mnの下限0.2%は、これを下回る場合は溶接金属強度の確保が難しくなるのでこの値を設定した。一方、その添加量が過度に多くなると、溶接金属の靱性劣化を引き起こすためその上限を3.0%とした。
PおよびSは、不可避的不純物元素であり、本発明では、これら元素が溶接金属に多く存在するとその靭性が劣化するため、PおよびSの含有量の上限をそれぞれ0.03%、0.02%とした。
SiO、Al、NaO、KOはスラグ材と呼ばれているものである。これらを添加する理由は、メタル系フラックス入りワイヤ製造前に、フラックス成分を造粒する際のバインダーの役目を果たす、鋼製鉄皮内に充填してから所定のワイヤ径になるまで線引きする工程において、フラックスの抵抗を少なくする潤滑材の働きをすること、などである。フラックスの造粒工程は、ワイヤ中のフラックス含有量が均一になることから、良質のメタル系フラックス入りワイヤ製造には欠かせない工程である。一方、潤滑材の働きは、本発明ではグラファイトにその働きを持たせているので、これら酸化物を添加する理由は主としてフラックスの造粒のためである。但し、これらは全て酸化物であり、スラグ生成量を少なくするという観点からは、無添加のほうが好ましい。しかし、これら成分がないとフラックス造粒ができないため、最低限の量は添加しなければならない。下限の0.05%は、これを下回ると上記効果が得られなくなり、ワイヤ品質と製造効率上問題が発生するためにこの値を設定した。上限の0.40%は、これを上回る添加量である場合は、溶接後のスラグ発生量が多くなり、塗装性の問題が生じてくるためこの値を設定した。
本発明において、Ni、Cr、Mo、Cuは、主として溶接継手の引張り強度または疲労強度を向上させることを目的として添加する元素である。これらは、溶接材料の使用目的によってその添加量を選択すればよい。これら元素は、添加することによって、強度増加をもたらし、かつ、溶接金属の変態開始温度を低くすることによる疲労強度増加ももたらされる。しかし、これら元素に働きは同じであるものの、1%あたりの効果は必ずしも同じではないため、各元素に対して範囲を定めた。
Niは、変態開始温度を低くし、強度や靭性などの継手特性を向上させる元素である。Niの下限0.5%は、添加することにより強度や靭性の向上が得られる最低限の値として定めた。上限の12.0%は、これを上回る添加量では、溶接金属が変態せずオーステナイトのままで冷却が終了する可能性があり、疲労強度向上が期待できなくなるため上限をこの値にした。
CrおよびMoは、本発明では、溶接金属の強度および焼入性を上げるために添加する元素である。溶接継手の疲労強度を向上させるためには、マルテンサイトなどの変態温度が低い組織にする必要があるが、そのためには、焼入性確保が欠かせない。CrとMoは、添加することにより、強度向上および焼入性確保がしやすくなる元素である。そのため、これら元素の下限0.1%は、強度向上と焼入性確保の効果が得られる最低限の値として設定した。一方、CrとMoは、Ni同様それを添加することにより変態開始温度を低くすることができるが、Niと異なり、溶接金属の靭性向上の点では、Ni添加ほど好ましくはない。そのため、これら元素の上限は、Niより低く設定する必要がある。これら元素の上限3.0%は、これを上回る添加では、継手の特性上問題が生じるためこの値を設定した。
Cuも、CrとMo同様に、変態開始温度の低減、強度向上および焼入性確保の効果がある元素である。しかし、添加しすぎると溶接金属にCu割れを発生させる危険がるため、CrやMoより上限値は低く設定する必要がある。上限の0.5%は、Cu割れの危険を無くすために設定した。一方、Cuは、主にワイヤにめっきをして通電性を確保するために用いることも可能である。Cuの下限0.1%は、強度向上と焼入性向上の効果および通電性確保の点で必要最低限の値として設定した。
本発明では、これら4つの元素、Ni、Cr、Mo、Cuの合計値に対しても制限を設けた。これら元素は、変態開始温度の低減、強度向上と焼入性確保の効果があり、働きとしては同等である。しかし、これら元素を添加しすぎると、溶接金属組織がオーステナイト組織になる、すなわち溶接後の冷却過程で変態しなくなるため、疲労強度向上の効果がなくなる。また、添加量が少ない場合は、引張り強度向上の効果も期待できなくなる。そのため、これら元素の合計も制限する必要がある。下限の0.2%は、これを下回る添加量では強度増加の効果が期待できなくなるためこの値を設定した。上限の12.5%は、これを上回る添加量では、溶接金属がオーステナイトを主体とした組織になり、溶接中の冷却過程における変態膨張が不十分となり疲労強度向上が期待できなくなるためこの値を設定した。なお、これら元素を添加する目的が引張り強度の向上のみの場合は、添加量の上限を4.0%と設定し、後述するNbやVの添加を併用するほうが経済的に好ましい。また、溶接継手の疲労強度向上を目的とする場合は、これら4つの元素、Ni、Cr、Mo、Cuの合計添加量の下限を2.0%と設定することが望ましい。これは、添加量がこれを下回る場合は、溶接金属の変態開始温度が低くならず、疲労強度を向上させることが難しくなるためである。より確実に疲労強度を向上させるためには、この下限値を3.0%と設定することが望ましい。
Bは焼入性元素である。B添加は、鋼板の焼入性を確保するためには質量%で0.001%程度添加すれば充分であるが、溶接金属の場合は酸素が鋼板より高く、Bは酸素と結合しその効果を奪われてしまうため、鋼板の場合より多く添加する必要がある。焼入性を確保する理由は、溶接金属のミクロ組織をより高強度の組織にする、高温で変態開始する組織の出現を抑えより低い温度で変態するミクロ組織にする、などがある。これらの効果は、引張り強度確保、疲労強度確保、両面からも好ましいので、本発明では積極的に利用すべきであると考えた。Bの添加量の下限は溶接金属の焼入性を向上できる最低限の値として0.001%と設定した。B添加量の上限は、これを上回る量を添加してもB添加で得られる効果が増加しないことから0.03%と定めた。
Nb、V、Tiは、いずれも炭化物を形成し強度を増加させる働きをもつ元素で、比較的少ない添加量で強度増加が期待できる。すなわち、本発明においては、これら3元素とも同等の効果を期待している元素である。そのため、本発明では、これら元素の合計を限定する。下限の0.005%は、これを下回る添加量では強度増加をあまり期待できないためにこの値を設定した。一方、0.3%を上回る添加量では、溶接金属の強度が過大になり、継手特性上問題が生じるため、上限を0.3%とした。なお、Tiに関しては、強度増加以外にも溶接アークを安定させる働きがあるため、好ましくはTi含有量の下限を0.003%と設定することが望ましい。
アーク安定剤とは、それを添加することにより、溶接アークが安定になる元素であり、本発明の請求項1に記載されているNaOやKOなどもアークを安定させる働きがあるため、これらもアーク安定剤と呼んでさしつかえない。そのため、本発明においては、アーク安定剤をこれ以上添加する必要は必ずしもなく、また、これらアーク安定剤を添加すると、本発明の第1の目的である、スラグ量の低減が達成できなくなる危険性すらある。しかし、Na、Al、Fの化合物であればアークを安定させる働きがあり、NaOやKOなどと異なり、氷晶石(NaAlF)などのような酸化物系以外のものも存在する。酸化物以外であれば、溶接ワイヤに添加しても酸素供給源にならないため、酸化物で形成されるスラグを生成することにはならず、これらアーク安定剤を添加し、よりアークを安定させたいという要望に応えることが可能となる。そのため、本発明者らは、本発明における酸化物系以外のアーク安定剤の適用可能範囲を設けることは、産業上意義のあることと判断した。酸化物系以外のアーク安定剤の下限0.05%は、添加することによりアーク安定効果が得られる最低限の値として設定した。一方、上限の0.5%は、既に酸化物系のスラグ材をバインダーとして添加しており、これら元素もアーク安定剤の働きがあるため、これを上回る添加しても効果が変わらないため上限を0.5%とした。
以上が、本発明におけるメタル系フラックス入りワイヤの成分を限定した理由である。
次に、フラックスの充填率を限定した理由について述べる。
本発明では、溶接後のスラグ生成量をワイヤに充填するフラックスの成分を限定することで低減させているため、通常のメタル系フラックス入りワイヤにおける充填率の範囲内であればその効果が得られ、特許文献4、5、6のように、意識的に充填率を低くする必要はない。また、フラックス充填率が低い場合でも、本発明の範囲内にワイヤ成分を限定すればその効果は十分発揮できる。そのため、本発明において、フラックス充填率の範囲を限定するのは、高疲労強度溶接材料のように合金元素の添加量が多い場合である。例えば、フラックス充填率を5%と限定したワイヤで、Ni添加量をワイヤ全体に対し10%にしようとした場合、フラックス中に添加するNiだけでは不十分であり、Niが添加されたそれ専用の鋼製外皮を用いなければならない。この場合は、通常の鋼製外皮を用いることができなくなり、経済的問題が発生する。充填率が十分高ければこのような問題は発生しない。フラックス充填率の下限を10%としたのは、ワイヤ成分設計の自由度を十分確保し、かつ高強度溶接材料、高疲労強度溶接材料が達成可能である範囲として設定した。上限の20%は、これを上回る充填率の場合、ワイヤに占める鋼製外皮の割合が低くなり、ワイヤ製造中に断線の危険性がでてくるため、この値を設定した。
次に、シールドガスを限定した理由について述べる。
ガスシールド溶接において、一般に、シールドガスは、100%COまたはArガス中にCOガスが含有されているものが用いられる。本発明の目的は、スラグ発生量の少ないメタル系フラックス入り溶接ワイヤの提供であり、スラグのほとんどがSiOやMnOなどの酸化物系であることを考えると、シールドガスにおいても酸素含有量の少ないものを選択することが望ましい。そのため、本発明における溶接方法では、シールドガスとしてAr+3〜25%COガスを採用することとした。なお、COガスを0%にするのは溶接アークの安定性上好ましくないため、Arガス中には3%以上のCO2を含有するとした。25%を上回るCO2を含有したArガスでは、スラグ生成上100%CO2ガスの場合とほぼ同じになるので上限を25%とした。
シールドガス中のOガスは、本発明においては不純物である。しかし、Arガス中にOガスが存在している場合で、Oガスを取り除く場合、COガスを除去する以上に製造上の負荷がかかるため、一般には、Oガスがないシールドガスのほうが、Oガスを含有しているシールドガスよりも高価である。そのため、本発明者らは、本発明におけるOガスの許容含有量の範囲を明確にすることは産業上意義のあることと考え、その許容範囲を定めることとした。Oガスが4%を上回る場合は、スラグ生成量増加が避けられず、そのため、Oガスの上限を4%に設定した。
次に、鋼板の板厚および鋼板強度を限定した理由について述べる。
初めに板厚を限定した理由について述べる。
本発明は、スラグ生成量を少なくし、ソリッドワイヤ並みの塗装性を確保することを目的とするものであるため、鋼板の板厚を特に限定しなくても、本発明の範囲内にあるメタル系フラックス入りワイヤを用いればその効果を得ることが可能である。しかし、メタル系フラックス入りワイヤを用いるのはワイヤ消費量が少ない場合だけで、ワイヤ消費量が充分多い場合は、ソリッドワイヤのほうが経済性に優れており、特に本発明に頼る必要はない。本発明のメタル系フラックス入りワイヤのほうが経済性に優れる場合は、疲労強度を向上させるために合金元素添加量が高い場合、すなわち高疲労強度溶接材料として用いる場合などである。そのため、本発明では、疲労強度向上が期待できる鋼板の組み合わせを提示することは産業上意義のあることと判断した。板厚が1mmを下回る場合は、本発明の範囲内にあるメタル系フラックス入りワイヤを用いて継手を作製しても、板厚に対する溶け込み深さが大きくなり、溶接金属が変態膨張してもその膨張を鋼板が充分拘束できないため、残留応力を充分低減することができなくなる。そのため、疲労強度向上は期待できない。このような場合は、向上が期待できる継手特性としては、塗装性を除くと引張り強度のみである。そのため、高疲労強度継手という観点から板厚の下限を1.0mmと設定した。一方、溶接継手の塗装性が問題となる産業は自動車分野であり、造船分野などでは、溶接ビードにスラグが存在しても特に大きな問題が発生していない。一般に、自動車分野では板厚が5mmを上回るような場合はほとんどなく、このような板厚を必要としている産業は造船分野である。そのため、鋼板板厚が5.0mmを上回る場合は、産業上のメリットが少ないと判断し板厚の上限を5.0mmと設定した。
次に、鋼板強度を限定した理由について述べる。
本発明で、鋼板強度を限定しなければならない場合も、溶接継手の疲労強度を向上させる場合であり、塗装性のみを問題とする場合は特に限定する必要はない。
本発明が提供するメタル系フラックス入りワイヤを用いて溶接継手の疲労強度を向上させる場合、その実現手段は、溶接金属の変態膨張を利用した溶接部の残留応力を制御するという方法である。すなわち、変態膨張する溶接金属を鋼板が拘束し、溶接金属および鋼板両方に反力を発生させる方法である。鋼板強度が低い場合、この反力が充分高くならず結果的に残留応力が低減されない。溶接金属に関しては、合金元素添加が既に充分されているため、低強度の問題は発生しない。そのため、鋼板強度の下限値を設定する必要がある。鋼板強度の下限値、440MPaは、充分な反力を得る最低限の値として設定した。一方、鋼板強度の上限値、980MPaは、本発明の範囲内の溶接金属成分内では、溶接金属の強度そのものの上限が980MPa程度になってしまい、それ以上の強度を持つ鋼板を使用しても、継手の強度が溶接金属で規定されてしまうため、産業上意味がないと判断しこの値を設定した。
以下に、本発明の実施例について説明する。
表1および表2に、メタル系フラックス入りワイヤの成分値を示した。表1には、ワイヤに添加した成分の質量%、充填率が示されている。各成分は、ワイヤ全質量に対する質量%である。表2は、ワイヤに添加した成分のうち、鋼製外皮中に含まれている成分のみを示したものである。表2の各成分もワイヤ全質量に対する質量%で示した。すなわち、鋼製外皮から添加される成分は表2に示されている量だけであり、残りはワイヤ中に充填されているフラックスから添加されている。ワイヤ記号W01、16、17、19は比較例であり、W01は、グラファイト以外はW11と同じであるが、グラファイトが本発明の範囲外のものであり、W16、W17はスラグ材が本発明の範囲を超えているものである。W19は、ワイヤ成分としては、スラグ材を除くと、W14と同じものであり、W14と同じC量にするため鋼製外皮にCを含有させた場合のものである。また、表1におけるアーク安定剤は、Na、Al、Fの化合物である氷晶石(NaAlF)である。
初めに、ワイヤ製造効率について調査した。
表1におけるワイヤを製造すると、W01以外のワイヤは、製造上特に断線をすることなく製造することができた。しかし、比較例の1つであるW01は、グラファイト以外はW11と同じであるものの、グラファイトが添加されていないため途中で断線を起こし、ワイヤ製造ができなかった。比較例であるW16、W17については、グラファイトが添加されていない例であるが、スラグ材の量が従来ワイヤ並に添加されているため、製造上は特に問題はなかった。
次に、機械的特性として、Cを添加したときに問題視されるシャルピー吸収エネルギーを調査した。
シャルピー吸収エネルギーは、板厚3.2mmの470MPa級鋼材を用意し、I開先溶接を実施し、そこから板厚2.5mmの2Vノッチシャルピー試験片を採取した。板厚を2.5mmに設定したのは、本発明の主目的が自動車分野への適用を念頭に置いているためである。ノッチ位置は、溶接材料の特性を調査する目的から、溶接金属中央部分になるようにした。シャルピー試験は、0℃で実施した。
表1には、その結果も示している。W01ワイヤについては、ワイヤ製造中に断線したため試験を実施していない。ワイヤW11〜W18、W20については、吸収エネルギーが20Jを上回っており、十分な継手特性を有していることがわかる。しかし、比較例であるW19については、鋼製外皮からCを導入しているため、溶接金属のCが高くなり、シャルピー値は11Jと、他のワイヤより低い。W19ワイヤは、ワイヤ中の全C量は0.58%であり、本発明におけるW14ワイヤと同じC量であることがわかる。しかし、W14ワイヤでのシャルピー値は20Jを上回っており、同じC量でも、グラファイトで添加した場合と、鋼製外皮から添加した場合とで機械的特性が大きく異なることがわかった。




















Figure 2006272405
Figure 2006272405
次に、スラグ発生量の調査をした。
表1にあるワイヤのうち、ワイヤ製造中に断線したW01を除き、W11からW18を用いて、重ねすみ肉溶接を行った。ビード表面に発生したスラグの重さの測定方法は、まず、溶接終了後、スラグが表面に存在する状態で試験片全体の重さを測定し、その後、スラグを除去し、再び試験片全体の重さを測定し、両者の差を求めることによりスラグの重さを決定した。試験は、常に溶接ビード長さが250mmと一定になるように実施し、ビード長さの影響が出ないようにした。表3にスラグ量の測定結果を示した。表3の結果から、スラグ材が本発明の範囲内にあるW11、W12、W13、W14、W15、W18、W20はスラグ量がすべて0.1gを下回っているが、比較例のW16、W17を用いた場合は、スラグ量は0.3gを上回っていることがわかる。表1の実施例とは別に、同じスラグ量測定を、ソリッドワイヤで100%COシールドガスの場合とAr+20%COシールドガスの場合で実施したところ、スラグ発生量はそれぞれ0.09g、0.05gであり、本発明例のワイヤがソリッドワイヤ並みのスラグ生成量に抑えられていることがわかった。
以上のことにより、スラグ材を抑えた本発明の範囲内であるW11、W12、W13、W14、W15、W18、W20は、ワイヤ製造効率上も問題なく、シャルピー吸収エネルギーも十分な値を示し、継手の機械的特性も十分であり、かつスラグ発生量はソリッドワイヤ並でありスラグ量は十分低減されていることがわかった。
表3には、疲労試験結果も示している。このときには、鋼板として、引張り強度270MPa、470MPa、570MPa、780MPaクラスの4種類を用意した。表3には、ワイヤと鋼板の組み合わせを示した。
試験片形状は、図3に示す重ねすみ肉溶接継手と呼ばれるものである。まず、鋼板1の上に鋼板2を重ねる形で継手を作製し、すみ肉溶接を実施した。その後、機械加工した。鋼板1および2の板厚3,4とは図3に示すとおりである。図3のハッチング部分が溶接金属部分である。
疲労試験は、図3に示す矢印の方向に応力を負荷することで実施した。この場合、疲労亀裂は、すみ肉溶接止端部に発生し、その後、鋼板1へ伝播して最終的には鋼板1が破断する形で終了する。すなわち、この継手においては、疲労亀裂が発生する鋼板とは、鋼板1のことをさす。なお、本実施例では、鋼板1および鋼板2は必ずしも同じ材料ではなく、異なる鋼板を用いた継手でも試験を実施している。また、疲労亀裂が鋼板1に発生するため、応力は溶接止端部、すなわち鋼板1の溶接ビード近傍に歪ゲージを貼り付けることにより測定した。また、疲労限は200万回繰り返し荷重を負荷しても破断しない最大応力として決定した。
番号1は使用したワイヤが表1のW11であり、ワイヤ成分としては本発明例の範囲内にあるもので、スラグ量が少ないワイヤである。しかし、鋼板1の強度が本発明の範囲外であることから疲労限は220MPaと特に高疲労強度にはならなかった。一方、番号2は、疲労亀裂が発生する鋼板1の強度が470MPaであり200万回疲労限は360MPaと高疲労強度が実現できた。
一方、番号3、4は、鋼板の板厚が1mmに満たない場合であり、200万回疲労限が250、260MPaと高疲労強度ではなかった。この場合は、溶接ビードの溶け込み深さが板厚に対して相対的の大きくなり、溶接金属の変態膨張を充分拘束できず、残留応力が低減できなかったためと考えられる。それに対し、番号5は、板が1mm以上の厚みがあり、200万回疲労限が380MPaと高疲労強度であった。
番号6は、ワイヤ成分が本発明例の範囲内であり、スラグ量は充分低減されているものであり、かつ、疲労亀裂が発生する鋼板の強度が高いため、200万回疲労限が360MPaと高疲労強度が達成できているものである。番号12も同様である。
番号7、9、10、13は、鋼板板厚が1mm以上で、強度も470MPa以上、かつ、ワイヤ成分すべて本発明の範囲内のもので、これら継手の200万回疲労限はすべて340MPa以上であった。特に、W13のワイヤを使用した番号9に比べ、Ni、Cr、Mo、Cuの合計量が多いワイヤを用いた番号7、13は、200万回疲労限が400MPaを上回っており、疲労強度向上効果は番号9より大きい。そのため、より確実に疲労強度向上を目指す場合は、合金元素添加量を多くすることが望ましいことがわかる。一方、番号10は、ワイヤ成分としては、番号9とほぼ同じ成分であるが、Bを添加したワイヤW14を用いたものである。この場合は、溶接金属の焼入性が向上し、低温度で変態するミクロ組織を番号9の場合より多くすることができるため、疲労強度向上効果は番号9の場合より大きくなった例である。このように、高疲労強度をより確実に実現するためには、Bを添加する、Ni、Cr、Mo、Cuの合計量を多めに設定するなどの対策をすることが望ましい。
それに対して、番号8および11は、ワイヤ成分が本発明の範囲外である場合で、200万回疲労限は280MPa、260MPaと300MPaに達していない。
番号14から21までは、鋼板1の強度が780MPaと比較的高強度の場合の実施例である。番号14、16、17、18、20は、板厚が1mmを上回り、かつ、ワイヤ成分すべてが本発明の範囲内の場合であり、スラグ量が0.1gを下回り、かつ疲労強度はすべて300MPaを上回り高疲労強度を実現しているものである。それに対し、番号15、19は、スラグ量が低減できていない例であり、かつ疲労強度も高くなっていない例である。番号21は、表1のW18ワイヤを用いているため本発明例であり、スラグ量は充分低減できている例であるが、疲労強度を向上させるという観点からは、表2にあるようにCu、Ni、Cr、Moの合計が1.3%とW11、W12、W13、W14、W15ワイヤより低く、疲労強度は高くはならなかった例である。同様に、番号23は、鋼板1および2の組み合わせとしては、番号5と同じ場合で、用いたワイヤがW20の場合のものである。番号23も、鋼板強度およびワイヤ成分ともに本発明の範囲内であり、したがってスラグ発生量の少ない場合であるが、番号21と同じように、Cu、Ni、Cr、Moが添加されていない場合であるため疲労強度が高くはならなかった例である。そのため、スラグ量を低減しつつかつ疲労強度を向上させるためには、Cu、Ni、Cr、Moの合計を2%以上に設計することが望ましいことがわかる。番号22は、比較ワイヤであるW19を用いた場合の結果である。この場合は、溶接金属中のC量が高くなるため、変態温度が低くなり疲労強度は十分満足できる結果となっている。しかし、既に述べたように、スラグ生成およびシャルピー吸収エネルギーについては、本発明の範囲内のワイヤより劣っていることがわかる。
Figure 2006272405
以上のように、本発明に従えば、メタル系フラックス入りワイヤのスラグ生成量を、ソリッドワイヤ並に抑えることが可能となり、メタル系フラックス入りワイヤを用いて作製された溶接継手の塗装性を格段に向上させることが可能となる。
図1は、メタル系フラックス入りワイヤ中のグラファイト量と酸化物量、およびそのワイヤを用いて溶接した得に生じるスラグ量の関係を説明する概念図である。 図2は、メタル系フラックス入りワイヤ中のグラファイト量と、そのワイヤを用いて溶着金属試験を行ったときの溶着金属中C量との関係を示した図である。 図3は、溶接継手の疲労試験片の形状を示した図で、(a)は平面図、(b)は立面図である。
符号の説明
1 鋼板
2 鋼板
3 板厚
4 板厚

Claims (10)

  1. 鋼製外皮内にフラックスを充填してなるガスシールドアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全体の質量%で、グラファイト以外のC:0.001〜0.20%、グラファイト:0.10〜0.7%、SiO2以外のSi:0.05〜1.2%、Mn:0.2〜3.0%を含有し、P:0.03%以下、S:0.02%以下に制限し、さらに、SiO2、Al23、Na2OおよびK2Oの1種または2種以上を合計で0.05〜0.40%含有し、残部が鉄および不可避不純物からなり、かつ前記グラファイト、および、前記SiO2、Al23、Na2OおよびK2Oの1種または2種以上は少なくとも前記フラックスとして含有することを特徴とするメタル系フラックス入りワイヤ。
  2. 前記メタル系フラックス入りワイヤにおいて、フラックス充填率が10〜20%であることを特徴とする請求項1記載のメタル系フラックス入りワイヤ。
  3. 前記メタル系フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全体の質量%で、さらに、Ni:0.5〜12.0%、Cr:0.1〜3.0%、Mo:0.1〜3.0%、Cu:0.1〜0.5%の1種または2種以上を合計で0.2〜12.5%含有することを特徴とする、請求項1または2記載のメタル系フラックス入りワイヤ。
  4. 前記メタル系フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全体の質量%で、さらに、B:0.001〜0.03%を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のメタル系フラックス入りワイヤ。
  5. 前記メタル系フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全体の質量%で、さらに、Nb、V、Tiの1種または2種以上を合計で0.005〜0.3%含有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のメタル系フラックス入りワイヤ。
  6. 前記メタル系フラックス入りワイヤにおいて、酸化物系以外のアーク安定剤を、全体の質量%で、さらに、0.05〜0.5%を前記フラックスとして含有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のメタル系フラックス入りワイヤ。
  7. 請求項1〜5の何れかに記載のメタル系フラックス入りワイヤを用いて鋼板を溶接することを特徴とするガスシールドアーク溶接方法。
  8. シールドガスとして、CO2を3〜25%含有し、残部がArガスおよび不可避不純物からなるシールドガスを用いることを特徴とする請求項7記載のガスシールドアーク溶接方法。
  9. 前記シールドガス中に、さらに、O2ガスを4%以下含有するシールドガスを用いることを特徴とする請求項8記載のガスシールドアーク溶接方法。
  10. 前記鋼板の板厚が1.0〜5.0mmであり、かつ引張強度が440〜980MPaであることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のガスシールドアーク溶接方法。
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