JP2006272227A - 活性汚泥監視方法および活性汚泥監視装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 均一に撹拌された活性汚泥スラリーに光を照射し、この光が該活性汚泥スラリーに含まれる活性汚泥粒子への衝突によって発生する散乱光または反射光あるいは上記光が該活性汚泥スラリーに含まれる上記活性汚泥粒子間を透過した透過光の少なくとも一つをセンサにより検出してその受光レベルを求めるに際し、前記センサにて検出された受光レベルの所定時間内における該受光レベルが増加から減少に変化する変曲点の数が活性汚泥処理装置のSRTよりも長い期間連続して減少したとき、活性汚泥スラリーにおける糸状性バルキングが進行したと判定する。
【選択図】 図8
Description
(a)センサが出力した検出信号のレベルを所定の時間間隔で平均した平均時間を求める手段、
(b)上記検出信号の最大値と最小値との差によって示される振幅データを求める手段、
(c)上記検出信号の振幅の最小尖頭値を求める手段、
(d)上記最小尖頭値の時間変化に伴うデータの最大値と最小値との差によって示される信号の振幅データを求める手段の少なくとも一つのデータを求める演算手段と、
(e)この演算手段で求められたデータから上記被計測水の活性汚泥の状態を判定する判定部と
を備えて構成されている。
より具体的には、この活性汚泥監視装置を用いて曝気槽からサンプリングした汚泥を計測すると検出信号は、汚泥の性状によって例えば図1や図2に示すような波形になる。ちなみに図1は、正常汚泥を計測したときの検出信号の経時変化を示すグラフであり、図2は、糸状性バルキングが発生した汚泥を計測したときの検出信号の経時変化を示すグラフである。これらのグラフを見るとわかるように正常汚泥は、時間の経過に伴って検出信号のレベルが激しく変化しているのに対して、糸状性バルキングが発生した汚泥は、検出波形のレベル変化が顕著ではない。しかし糸状性バルキングが発生した汚泥にあっては、図2中に記載した破線およびこの変化をわかりやすくモデル化した図3のグラフに示されるように短時間で変化する検出信号の振幅中に、やや時間周期の長い大きな振幅成分が含まれているという特徴がある。
(1)バルキングレベル1;糸状性細菌がない状態の汚泥
(2)バルキングレベル2;微生物全体の30%未満が糸状性細菌で占められている状態
(3)バルキングレベル3;微生物全体の30%以上、60%未満が糸状性細菌で占められている状態
(4)バルキングレベル4;微生物全体の60%以上、80%未満が糸状性細菌で占められている状態
(5)バルキングレベル5;微生物全体(80%以上)が糸状性細菌で占められている状態
このように糸状性細菌によるバルキング発生の程度をレベル分けし、前述した差分Δnとバルキングレベルとの相関図を作成すると、図5に示す結果が得られた。この図に示されるように従来の活性汚泥監視装置にあっては、バルキングレベルが4以上になると差分Δnの値が大きくなる傾向がある一方、バルキングレベルが4を下回ると差分Δnの値が小さくなりバルキングレベルによって差異が見られないとい結果が得られる。このため従来の活性汚泥監視装置は、バルキングレベルの低い状態ではバルキングの検出が困難になるという問題があった。またこの図が示すように差分Δnとバルキングレベルとは相関がないと判断できる。つまり上述した活性汚泥監視装置は、ある程度糸状性バルキングが進行した状態にならないと検出することができず、それ故、バルキングへの処置対応が遅くなり、それ故、沈殿槽等で固液分離障害が発生するという問題があった。
また、上述したセンサは、汚泥濃度がMLSSで3000mg/Lを超えると検出信号が飽和し、正しい汚泥濃度を検出することができないという問題があった。このため汚泥濃度が高い場合、糸状性バルキングの発生を検出することが困難であるという問題もあった。
好ましくは前記バルキング判定部は、前記光学センサが視野する測定エリア径を汚泥フロックの移動速度で除した値として求められるサンプリング周期より短い周期でサンプリングするものとして構成することが望ましい。
より好ましくは上述した活性汚泥監視装置は、前記活性汚泥スラリーを収容する汚泥水槽と、希釈水を収容する希釈水槽と、この希釈水層に収容された希釈水と前記汚泥水槽に収容された前記活性汚泥スラリーとを混合して所定の濃度に希釈する混合槽と、前記汚泥水槽内の液位を前記混合槽内の液位よりも高く設定し、前記汚泥水槽から延伸された汚泥液ラインと前記希釈水槽から延伸された希釈水ラインとを接続し、両者の接続部から混合ラインを前記混合槽まで延伸すると共に、前記混合液ライン、前記希釈水ラインおよび前記混合ラインにそれぞれ設けられて各ラインに流れる媒体の流量制御をする第1、第2および第3バルブと、前記汚泥液ラインの空気を前記希釈水で置換した後、前記第1バルブを閉止し、前記第3バルブを開いて希釈水を前記混合水層に先に投入し、該混合層内の希釈水の水位が前記混合ラインの出口位置よりも高くなった後に前記第1バルブを開いて活性汚泥スラリーを混合層に投入する弁駆動制御手段と、前記混合槽内の活性汚泥スラリーの懸濁物濃度を適当な濃度に希釈する希釈手段と
を備えることが望ましい。
また前記バルキング判定部は、前記光学センサの検波信号のレベルがサンプリング周期毎に所定回数連続して増加した後、所定回数連続して減少したとき、該検出信号にピークがあると判定するものとして構成される。
特に請求項3に記載の活性汚泥監視装置によれば、バルキング判定部が前記光学センサの視野する測定エリア径を汚泥フロックの移動速度で除した値として求められるサンプリング周期より短い周期でサンプリングしているのでセンサの測定視野内に存在する粒子径の異なった汚泥を確実に検出できる。
特に本発明の請求項5に記載の活性汚泥監視装置は、前記光学センサの検波信号のレベルがサンプリング周期毎に所定回数連続して増加した後、所定回数連続して減少したとき、該検出信号にピークがあると判定しているので、検出信号に含まれるノイズ等の外乱を排除し、活性汚泥スラリーにバルキングが発生していないという誤検出を防止することができる。
このような特徴ある本発明の一実施形態に係る活性汚泥監視装置についてさらに詳細に説明する。
しかしながら検波器26が出力する検出信号には、計測データとは無関係な単発的なノイズが重畳されることがある。このため、ピーク検出部31は、検出信号に含まれるピークを誤検出することが否めない。ちなみに単発的なノイズは、極めて短い時間に急峻な波形として検出されることが多く、たとえば連続するサンプリング周期に亘ったノイズは極めて少ない。このためピーク検出部31は、最大値MAに到達する二つ前のサンプリングデータが連続して増加、すなわちこの図の区間Aに示したように検出信号のレベルが[8]から[9]に増加して最大値(変曲点)MA[10]に到達した後、連続する2つの検出信号のレベルが変曲点の値[10]から[9]になり[8]に減少したとき、検出信号に変曲点(ピーク)があると判定する。
つまりSRTよりも長い期間、前記ピーク数が連続して減少するということは、活性汚泥処理装置の系内汚泥が性状の異なる汚泥に入れ替わることを意味しており、すなわち、バルキング汚泥となることを示している。逆にバルキング状態の汚泥から正常汚泥への回復は、このSRTよりも長い期間、前記ピーク数が連続して増加することが認められるときとなる。
ちなみに、曝気槽1内の被計測水Sは、混合槽3内の液位が低位(Lowレベル)よりも高く設定されて、両者間には図示のようにΔHのヘッド差が設けられている。
このような混合槽3を備えた本発明の別の実施形態に係る活性汚泥監視装置にあっては汚泥の性状検出、すなわち混合槽3内において糸状性バルキングが発生していないかを検出するのに適した濃度被計測水Sの濃度をMLSSとして1000〜3000mg/L程度になるよう調整することができる。つまり、被計測水Sの濃度が高い場合、検出部20から出力される検出信号の時間変化は、得られない。本発明の別の実施形態においては、混合槽3にて計測に適した濃度に調整しているので、誤検出を防止することが可能となる。そして濃度調整の後、上述した実施形態の手順に従い活性汚泥にバルキングが発生していないかどうかを判定すればよい。
ここで本発明に係る活性汚泥監視方法を適用した活性汚泥監視装置の有用性を検証すべく前述した二カ所の下水処理プラント(プラントA(図6)およびプラントB(図7))から断続的に採取した汚泥について前述した糸状性細菌のバルキングレベル(5段階評価)と活性汚泥可視装置の検出部20から出力される検出信号に含まれる波形のピーク数との相関図を描いた。その結果、二カ所の汚泥プラントにおいてそれぞれの相関図は、図18(プラントA)および図19(プラントB)に示すようになった。それぞれの図に示されるようにバルキングレベルが大きくなるにつれて検出部20が出力する検出信号のピーク数が比例して減少していることがわかる。
尚、本発明の活性汚泥監視方法および活性汚泥監視装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
11,21 光ファイバ
12 レーザ光照射部
17 レーザダイオード
18 レーザダイオード駆動回路
19 振幅変調器
20 検出部
21 光ファイバ
22 レーザ光受光部
23 光電変換器
24 帯域通過フィルタ
25 増幅器
26 検波器
30 信号処理部
31 ピーク検出部
32 計数部
33 計時部
34 判定部
M 計測槽
S 被計測水
Claims (5)
- 活性汚泥処理装置の均一に撹拌された活性汚泥スラリーに光を照射し、この光が該活性汚泥スラリーに含まれる活性汚泥粒子への衝突によって発生する散乱光または反射光あるいは上記光が該活性汚泥スラリーに含まれる上記活性汚泥粒子間を透過した透過光の少なくとも一つをセンサにより検出してその受光レベルを求めるに際し、
前記センサにて検出された受光レベルの所定時間内における該受光レベルが増加から減少に変化する変曲点の数が上記活性汚泥処理装置の汚泥滞留時間よりも長い期間連続して減少したとき、前記活性汚泥スラリーにおける糸状性バルキングが進行したと判定することを特徴とする活性汚泥監視方法。 - 前記活性汚泥処理装置の均一に撹拌された活性汚泥スラリーに光を照射し、この光が該活性汚泥スラリーに含まれる活性汚泥粒子への衝突によって発生する散乱光または反射光あるいは上記光が該活性汚泥スラリーに含まれる上記活性汚泥粒子間を透過した透過光をそれぞれ受光してその受光レベルに応じた検出信号をそれぞれ出力する散乱光センサまたは反射光センサあるいは透過光センサの少なくとも一つを有する光学センサと、
これらの光学センサが所定時間内にそれぞれ出力した検出信号のレベルが増加から減少に変化する変曲点の数が上記活性汚泥処理装置の汚泥滞留時間よりも長い期間連続して減少したとき前記活性汚泥スラリーにおける糸状性バルキングが進行したと判定するバルキング判定部と
を備えることを特徴とする活性汚泥監視装置。 - 前記バルキング判定部は、前記光学センサが視野する測定エリア径を汚泥フロックの移動速度で除した値として求められるサンプリング周期より短い周期でサンプリングするものである請求項2に記載の活性汚泥監視装置。
- 請求項2または3に記載の活性汚泥監視装置であって、
前記活性汚泥スラリーを収容する汚泥水槽と、
希釈水を収容する希釈水槽と、
この希釈水槽に収容された上記希釈水と前記汚泥水槽に収容された上記活性汚泥スラリーとを混合して所定の濃度に希釈する混合槽と、
前記汚泥水槽内の液位を前記混合槽内の液位よりも高く設定し、前記汚泥水槽から延伸された汚泥液ラインと前記希釈水槽から延伸された希釈水ラインとを接続し、両者の接続部から混合ラインを前記混合槽まで延伸すると共に、前記混合液ライン、前記希釈水ラインおよび前記混合ラインにそれぞれ設けられて各ラインに流れる媒体の流量制御をする第1、第2および第3バルブと、
前記汚泥液ラインの空気を前記希釈水で置換した後、前記第1バルブを閉止し、前記第3バルブを開いて希釈水を前記混合水層に先に投入し、該混合層内の希釈水の水位が前記混合ラインの出口位置よりも高くなった後に前記第1バルブを開いて活性汚泥スラリーを混合層に投入する弁駆動制御手段と、
前記混合槽内の活性汚泥スラリーの懸濁物濃度を適当な濃度に希釈する希釈手段と
を備えることを特徴とする活性汚泥監視装置。 - 前記バルキング判定部は、前記光学センサが出力する検出信号のレベルがサンプリング周期毎に所定回数連続して増加して前記変曲点に到達した後、所定回数連続して減少したとき、該検出信号にピークがあると判定するものである請求項2または3に記載の活性汚泥監視装置。
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