JP2013148391A - 浄水用生物粒子計数器、浄水用生物粒子計数方法、及び、浄水監視システム - Google Patents

浄水用生物粒子計数器、浄水用生物粒子計数方法、及び、浄水監視システム Download PDF

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Abstract

【課題】浄化処理中又は浄化処理された水についてリアルタイムで水中の生物粒子を検出してその個数を計数することができる技術を提供するものである。
【解決手段】浄化処理中の水、又は、浄化処理が終了した水の少なくとも一方の水を分流する分流手段と、前記分流手段により分流された前記水に向けて所定の波長の光を照射する発光手段と、前記水に含まれる対象物と前記発光手段により照射された光との相互作用により放出される光のうち自家蛍光に基づいて、前記浄水に含まれる前記対象物が生物粒子であるか否かを判定する生物粒子判定手段とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、浄化処理された水中の生物粒子をリアルタイムで検出する浄水用生物粒子計数器、浄水用生物粒子計数方法、及び、浄水用生物粒子計数器を備えた浄水監視システムに関する。
従来、浄水場、水族館、湖沼、庭園等に設けられた浄水池から送水される水は、水中に含まれる生物粒子を排除、殺菌して浄化するために、濾過や消毒等を行い浄水されている。また、この浄水された水に関して、生物粒子の殺菌浄化が効率よくなされているかが、濁度計や微粒子カウンタ等により検査されている。
例えば、濁度計による検査は、粒子(生物粒子や非生物粒子)が含まれる水中に光を照射し、光源から照射された光と受光装置が受光した散乱光とを比較したり、粒子による干渉光を検出したりすることで、濁度を算出し、その濁度から水中の生物粒子が殺菌浄化されているであろう確率が算出されている。また、微粒子カウンタでは、特定の病原虫(例えば、クリプトスポリジウム)を検出対象とし、その検出対象と結合しやすい蛍光標識抗体を浄化された水と混合させ、検出対象から放出される蛍光が検出されるか否かで水中の生物粒子が殺菌浄化されているか否かを確認している。
(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−673号公報
ここで、特許文献1の先行技術によれば、浄水処理された水に対する検査として、蛍光標識抗体といった薬品を使用しているが、これはクリプトスポリジウムとその蛍光標識抗体との抗原抗体反応を利用しており、抗原抗体反応が終了するまで所定の時間(例えば、37℃で20分〜30分、室温で1時間以上)待つ必要があった。また、浄水処理により検出対象は極僅かしか存在していないため、抗原抗体反応を起しやすくするために蛍光標識抗体が多量に必要であった。他にも、孔径3μのフィルターを用いて浄水処理した水を濾過して、フィルター表面上にクリプトスポリジウムを含む大きい微粒子を捕捉、濃縮した後に蛍光標識抗体を使用する等、予め検査のための下準備が必要であった。ここで、クリプトスポリジウム以外の生物粒子の検査(検出)を行う場合は、その生物粒子と抗原抗体反応を起しやすい別の蛍光標識抗体を使用する必要があった。したがって、生物粒子との抗原抗体反応を利用した検査方法では、検査結果が確認されるまで所定の時間を要し、複数種類の蛍光標識抗体を準備し、浄水を濃縮又は多量の蛍光標識抗体を準備するといった問題があった。
そこで本発明は、生物粒子との抗原抗体反応を利用した検査方法ではなく、リアルタイムで検査でき、浄水中の生物粒子を検出してその個数を計数し、異常があった場合報知することができる技術を提供するものである。
上記の課題を解決するため、本発明は以下の解決手段を採用する。
解決手段1:本発明の浄水用生物粒子計数器は、浄化処理中の水、又は、浄化処理が終了した水の少なくとも一方の水を分流する分流手段と、前記分流手段により分流された前記水に向けて所定の波長の光を照射する発光手段と、前記水に含まれる対象物と前記発光手段により照射された光との相互作用により放出される光のうち自家蛍光に基づいて、前記浄水に含まれる前記対象物が生物粒子であるか否かを判定する生物粒子判定手段とを備える浄水用生物粒子計数器である。
本発明の浄水用生物粒子計数器による生物粒子の計数は、例えば、以下の特徴を有しており、所定の手順に沿って進行する。
(1)生物粒子や非生物粒子(例えば、ゴミ、砂、土等)を含んだ水が浄化され(例えば、薬品消毒処理、濾過処理、沈殿処理等)、その浄化処理中の水又は浄化処理された水中に生物粒子が存在するか否かを検査するために、浄化処理中又は浄化処理された後の水の一部を分流する。そして、その分流した水に、特定の波長の光を照射する。例えば、レーザーダイオードから単一波長のレーザー光を照射する。
(2)上記(1)によりレーザー光を照射すると、レーザー光と対象物との相互作用により光が放出されることとなる。なお、具体的に放出される主な光は、生物粒子との反射等によって放出される散乱光、レーザー光が生物粒子に吸収されそのエネルギーを利用して放出される自家蛍光、非生物粒子との反射等によって放出される散乱光である。
(3)上記(2)による生物粒子からの自家蛍光に基づいて、水に含まれる対象物が生物粒子であるか否かが判定される。そして、その判定において生物粒子であると判定された場合、その個数をカウントすることで、生物粒子数が計数されることとなる。
このように、本解決手段によれば、浄化処理中の水又は浄化処理された水に関して、指標とする自家蛍光物質からの自家蛍光を検出することで、生物粒子が存在するか否かをリアルタイムで判定することができる。また、浄化処理を実行している現場においてリアルタイムで水中内に生物粒子が存在していることが確認できるため、生物粒子の存在が確認された場合、その水の浄化処理が十分に行われていないことをリアルタイムで報知することができ、生物粒子を消毒や殺菌するためのさらなる水の浄化を促すことができる。また、生物粒子を計数することもできるため、消毒や殺菌に必要な薬品の量の調整も示唆することができる。
解決手段2:本発明の浄水用生物粒子計数器は、解決手段2において、前記対象物又は前記水と前記発光手段により照射された光との相互作用により放出される光のうち、透過する前記水から放出されるラマン散乱光を低減し、且つ前記対象物から放出される自家蛍光を透過させる自家蛍光選択光学手段をさらに備え、前記生物粒子判定手段は、前記自家蛍光選択光学手段により前記ラマン散乱光が低減された後の光に基づいて、前記水に含まれる前記対象物が生物粒子であるか否かを判定し、前記発光手段は、照射後放出される前記自家蛍光のピーク波長と前記ラマン散乱光のピーク波長とを異ならせる前記所定の波長の光を照射することを特徴とする浄水用生物粒子計数器である。
本解決手段の透析用生物粒子計数器による生物粒子の計数は、例えば、以下の特徴を有しており、所定の手順に沿って進行する。
(4)上記(1)によりレーザー光を照射すると、レーザー光と対象物との相互作用、又は、レーザー光と水との相互作用により光が放出されることとなる。具体的に放出される主な光は、生物粒子との反射等によって放出される散乱光、レーザー光が生物粒子に吸収されそのエネルギーを利用して放出される自家蛍光、非生物粒子との反射等によって放出される散乱光、水(分子)に入射した光の波長が変換されて放出されるラマン散乱光である。なお、自家蛍光のスペクトルのピーク波長が散乱光及びラマン散乱光のピーク波長と異なる波長になるように、照射するレーザー光の波長を設定する。
(5)上記(4)により放出された光の波長はそれぞれ異なっており、例えば、生物粒子や非生物粒子からの散乱光はレーザー光の波長と同程度であるのに対し、ラマン散乱光や自家蛍光といった光の波長はそのレーザー光の波長よりも長くなる。また、ラマン散乱光と自家蛍光の波長については、それぞれの波長分布領域が重なることもあり、例えば、自家蛍光における波長分布のピーク値(ピーク波長)の方がラマン散乱光の波長分布のピーク値(ピーク波長)よりも長い波長となることもある。照射するレーザー光の波長の設定によって自家蛍光とラマン散乱光のピーク波長が異なることを利用して、特定の波長(カットオフ波長)を基準とする光学分離器を用いて、ラマン散乱光の光量を自家蛍光の光量よりも低減することができる。例えば、特定の波長を基準とするロングパスフィルタやバンドパスフィルタを用いて、ラマン散乱光は低減し、自家蛍光はほとんど透過させる。
(6)上記(5)により透過された光、すなわち、生物粒子からの自家蛍光に基づいて、水に含まれる対象物が生物粒子であるか否かが判定される。そして、その判定において生物粒子であると判定された場合、その個数をカウントすることで、生物粒子数が計数されることとなる。
このように、本解決手段によれば、浄化処理中の水又は浄化処理された水に関して、水によるラマン散乱光と自家蛍光のピーク波長を異ならせるような照射光を用いることで、ラマン散乱光を光学的に抑制し、一方生物粒子からの自家蛍光については透過させることができるため、水によるラマン散乱光の影響を低減させて水中の生物粒子の存在の有無を判定することができる。また、水中に生物粒子の存在の有無はリアルタイムで確認することができるため、生物粒子の存在が確認された場合、その水の浄化処理が十分に行われていないことをリアルタイムで報知することができ、生物粒子を消毒や殺菌するためのさらなる水の浄化処理を促すことができる。また、生物粒子を計数することもできるため、消毒や殺菌に必要な薬品の量の調整も示唆することができる。
解決手段3:本発明の浄水用生物粒子計数器は、解決手段2において、前記対象物から放出される散乱光を反射し、前記自家蛍光及び前記ラマン散乱光を含む光を透過する散乱光選択光学手段をさらに備え、前記生物粒子判定手段は、前記散乱光選択光学手段及び前記自家蛍光選択光学手段を経た後の光に基づいて、前記水に含まれる前記対象物が生物粒子であるか否かを判定することを特徴とする浄水用生物粒子計数器である。
本解決手段の浄水用生物粒子計数器による生物粒子の計数は、例えば、以下の特徴を有しており、所定の手順に沿って進行する。
(7)上記(5)によれば、上記(4)により放出された光の波長については、生物粒子や非生物粒子からの散乱光はレーザー光の波長と同程度であるのに対し、ラマン散乱光や自家蛍光といった光の波長はそのレーザー光の波長よりも長いということであった。したがって、生物粒子や非生物粒子からの散乱光の波長は、ラマン散乱光や自家蛍光よりも短いこととなる。この波長の関係を利用して、特定の波長を基準とする光学分離器を用いて、生物粒子や非生物粒子からの散乱光を選択することができる。例えば、特定の波長(カットオフ波長)を基準とするショートパスフィルタを用いて、生物粒子や非生物粒子からの散乱光だけを透過させることができる。他にも、カットオフ波長を基準として分離するダイクロイックミラーを用いて、この分離する波長より短い波長の生物粒子や非生物粒子からの散乱光は反射させ、この分離する波長より長い波長の光(ラマン散乱光や自家蛍光)は透過させることができる。
(8)上記(5)により分離された光(自家蛍光)と、上記(7)により分離された光(生物粒子や非生物粒子からの散乱光)との相関関係に基づいて、浄化処理中の水又は浄化処理された水に含まれる対象物が生物粒子であるか否かが判定される。そして、その判定において生物粒子であると判定された場合、その個数をカウントすることで、生物粒子数が計数されることとなり、非生物粒子であると判定された場合、その個数もカウントしてもよい。
(9)ここで、上記(5)のロングパスフィルタを上記(7)のダイクロイックミラーの下流の透過側に設置してもよく。上記(5)、(7)による光の分離について、まず、上記(7)による分離を行い、その分離後の光に対して上記(5)による分離を行ってもよい。具体的には、まず、上記(7)による分離によりカットオフ波長よりも短い生物粒子や非生物粒子からの散乱光が反射され、カットオフ波長よりも長いラマン散乱光や自家蛍光を含んだ光が透過され、次に、上記(5)による分離が先ほど透過したラマン散乱光や自家蛍光を含んだ光に対して行われ、カットオフ波長よりも長い自家蛍光を含んだ光が透過される。
(10)上記(9)により最終的に分離(透過)された光(自家蛍光)と、途中の段階で分離(反射)された光(生物粒子や非生物粒子からの散乱光)との相関関係に基づいて、浄化処理中の水又は浄化処理された水に含まれる対象物が生物粒子であるか否かが判定される。そして、その判定において生物粒子であると判定された場合、その個数をカウントすることで、生物粒子数が計数されることとなり、非生物粒子であると判定された場合、その個数もカウントしてもよい。
このように、本解決手段によれば、ラマン散乱光の透過を抑制し、一方生物粒子からの自家蛍光については透過させているため、対象物からの散乱光との相関関係により、浄化処理中の水又は浄化処理された水に含まれる対象物が生物粒子であるか否かが判定することができる。例えば、散乱光と透過光がある場合は対象物が生物粒子であると判定し、散乱光だけがある場合は対象物が生物粒子ではない非生物粒子であると判定し、透過光がある場合は水によるラマン散乱光であると判定することができる。これにより、生物粒子に対する計数精度をさらに向上させることができる。また、設置環境(条件)に対応させて、ダイクロイックミラー、ロングパスフィルタ、バンドパスフィルタ、ショートパスフィルタ等の光学分離器の使用を選択することができる。
解決手段4:本発明の浄水用生物粒子計数器は、解決手段3において、前記自家蛍光選択光学手段を経た後の光を受光し、前記受光した際の光の光量に応じる大きさの第1信号を出力する自家蛍光受光手段と、前記散乱光選択光学手段を経た後の光を受光し、前記受光した際の光の光量に応じる大きさの第2信号を出力する散乱光受光手段と、前記散乱光受光手段により出力された前記第2信号の大きさが所定の閾値以上である場合、前記水に含まれる対象物から放出された散乱光を検出したとして検出信号を出力する散乱光検出信号出力手段と、前記散乱光選択光学手段から前記自家蛍光選択光学手段を経て前記自家蛍光受光手段までの光路に、前記光路以外から入射する光が入り込むことを防ぐ遮光壁とをさらに備え、前記生物粒子判定手段は、前記散乱光検出信号出力手段により前記検出信号が出力された場合であって、前記散乱光受光手段により前記水に含まれる前記対象物から放出された前記散乱光が受光された時点と同時期に前記自家蛍光受光手段により光が受光され、前記時点と同時期に前記自家蛍光受光手段により前記受光された光に対応する前記第1信号の大きさが所定の閾値以上である場合、前記散乱光検出信号出力手段により出力された前記検出信号に対応する前記水に含まれる前記対象物を生物粒子であると判定することを特徴とする浄水用生物粒子計数器である。
本解決手段の浄水用生物粒子計数器による生物粒子の計数は、例えば、以下の特徴を有しており、所定の手順に沿って進行する。
(11)上記(5)で透過された光(自家蛍光)を受光し、受光した光量に応じた大きさの第1信号を出力する。例えば、フォトマルチチューブやフォトダイオード等の光検出装置により、受光した光量に応じた第1信号が出力される。
(12)上記(7)で反射された光(対象物の散乱光)、又は、上記(9)で反射された光(対象物の散乱光)を受光し、受光した光量に応じた大きさの第2信号を出力する。例えば、フォトダイオード等の光検出装置により、受光した光量に応じた第2信号が出力される。
(13)上記(12)で出力された第2信号の大きさが所定の閾値以上であるか否かが判定され、判定の結果、閾値以上であると判定された場合を対象物からの散乱光が検出されたとする検出信号(例えば、検出フラグ)が出力される。
(14)上記(13)で検出信号が出力された場合であって、その検出信号に対応する時間、すなわち、上記(12)で受光した時点と同時期に、上記(5)で分離された、又は上記(10)で透過された光が受光されて第1信号が出力されていた場合、上記(6)における判定で、対象物が生物粒子であると判定する。なお、検出信号が出力されており、第1信号が出力されていない場合、対象物が非生物粒子であると判定してもよい。そして、その判定において生物粒子であると判定された場合、その個数をカウントすることで、生物粒子数が計数されることとなり、非生物粒子であると判定された場合、その個数もカウントしてもよい。また、第2信号の大きさに基づき、生物粒子(や非生物粒子)の大きさについても判定してもよい。
このように、本解決手段によれば、対象物との散乱光について所定の閾値を設けたことで、閾値より大きい信号を対象物の散乱光であると判定することができる。
解決手段5:本発明の浄水用生物粒子計数器は、解決手段2から解決手段4のいずれかにおいて、前記発光手段により照射される光の前記所定の波長は、375nm〜450nmであり、前記自家蛍光選択光学手段により光を透過する基準となるカットオフ波長は、450nm〜600nmであることを特徴とする浄水用生物粒子計数器である。
本解決手段の浄水用生物粒子計数器による生物粒子の計数は、例えば、以下の特徴を有しており、所定の手順に沿って進行する。
(15)上記(1)による照射するレーザー光の波長を375nm〜450nmに設定し、上記(5)又は上記(10)による水によるラマン散乱光を低減し自家蛍光を透過するカットオフ波長を450nm〜600nmの間の所定の波長に設定する。
このように、本解決手段によれば、例えば、405nmのレーザー光を照射し、水中の生物粒子の細胞内のリボフラビンからの自家蛍光を指標にすることで、リボフラビンやクロロフィルのエネルギー状態を励起させやすくすることができ、さらに、その自家蛍光のピーク波長が約520nmであるのに対し水のラマン散乱光のピーク波長が約465nmとなるので、自家蛍光選択光学手段(ロングパスフィルタ)の基準とするカットオフ波長を490〜600nmとすれば効率よく分離することができるため、生物粒子に対する計数精度をさらに向上させることができる。
解決手段6:本発明の浄水監視システムは、解決手段1から解決手段5のいずれかに記載の前記浄水用生物粒子計数器を備えた浄水監視システムであって、複数箇所の浄化池において前記対象物を含む水を複数種類の浄化処理により浄化する浄化処理手段と、前記浄化処理手段による前記複数種類の浄化処理が終了した水を少なくとも1箇所の配水池に送水する送水手段と、前記浄水用生物粒子計数器による判定結果を報知する報知手段とを備え、前記浄水用生物粒子計数器は、最初の前記浄化処理が行われる前記浄化池から前記配水池の間の少なくとも1箇所に備えられることを特徴とする浄水監視システムである。
本発明の浄水監視システムによる浄化処理中の水又は浄化処理された水の検査は、例えば、以下の特徴を有しており、所定の手順に沿って進行する。
(16)例えば、河川等の水源から取水した原水は、複数箇所の浄化池(沈砂池、着水池、混和池、沈殿池、濾過池)において消毒、沈殿、濾過等の複数種類の浄化方法により浄化され、最終的に浄水が製造される。製造された浄水は一旦浄水池に貯留される。また、浄水池からは送水ポンプにより(送水管を通して)複数箇所(各地域)の配水池に送水される。
(17)上記(1)〜(13)の特徴を有する生物粒子の計数が可能な浄水用生物粒子計数器は、上記(16)の浄水池や、浄水池と浄水池(配水池)とを繋ぐ配水管や、配水池に備えられる。
(18)上記(18)に備えられた浄水用生物粒子計数器による判定の結果が外部に報知される。
このように、本解決手段によれば、例えば、複数の浄水用生物粒子計数器77を備えることにより、浄水処理中の水や浄水処理が終了し製造された浄水(例えば、浄水池に貯留された浄水)の検査だけではなく、複数箇所の配水池の水についての検査もリアルタイムで行うことができる。また、これらの検査結果に基づいて、浄水処理の監視を行うことができる。
解決手段7:本発明の浄水監視システムは、解決手段6において、前記浄化処理手段による浄化処理に使用される薬品を供給する薬品供給手段と、前記薬品供給手段により供給される前記薬品を注入する薬品注入手段と、前記薬品注入手段により注入される前記薬品の注入量を制御する薬品注入量制御手段と、前記薬品注入量制御手段による制御の指示、及び、前記浄化処理の送水制御を行う中央監視制御手段とをさらに備え、前記中央監視制御手段は、前記複数の浄水用生物粒子計数器の判定結果に基づいて前記薬品注入量制御手段による制御の指示を行うことを特徴とする浄水監視システムである。
本発明の浄水監視システムによる浄化処理中の水又は浄化処理された水の検査は、例えば、以下の特徴を有しており、所定の手順に沿って進行する。
(19)上記(16)の浄化において、消毒による消毒浄化のために使用する薬品(例えば、次亜塩素酸ナトリウム)が予め貯蔵タンクに貯蔵される。貯蔵された薬品は消毒浄化が行われる浄化池(例えば、混和池等)に供給される。薬品が流通する配水管には調整バルブが備えられており、消毒浄化で使用する薬品の量を調整することが可能となっている。
(20)上記(19)の消毒浄化を含んだ上記(16)の各浄化池における浄化は、全て中央監視制御装置により制御されており、上記(19)の薬品の量の調整も制御されている。
(21)上記(17)の浄水用生物粒子計数器は、上記(19)において薬品による消毒浄化が行われた浄化池(例えば、着水池、混和池等)の水についても検査が行われる。
(22)上記(21)の検査の結果、水中に生物粒子が存在すると判定された場合、中央監視制御装置にその判定結果及び生物粒子の計数値が送られる。中央監視制御装置は送られてきた情報に基づき、上記(19)の消毒浄化に使用する薬品の量の調整のための制御を行うこととなる。また、中央監視制御装置は上記(16)の配水管に流す水の送水制御も行う。
このように、本解決手段によれば、例えば、複数の浄水用生物粒子計数器を備えることにより、塩素消毒後の水(例えば、着水井、混和地に貯留された水)についての検査もリアルタイムで行うことができる。また、これらの検査結果に基づいて、中央監視制御装置により塩素消毒における塩素の注入量を決定することができる。これにより、気候変動などによる藻類や微生物等の増減を複数の浄水用生物粒子計数器の検査により確認することができ、その検査結果に対応して塩素の注入量を調整することができる。また、塩素を必要以上に大量に注入しすぎるといったことを抑制することができるため、配水管の損傷や、人体に影響する塩素消毒により生成される塩素処理副生成物(トリハロメタン等)を抑制することができる。
本発明の浄水用生物粒子計数器、浄水用生物粒子計数方法、及び、浄水監視システムによれば、浄化された水の一部に光を照射し、自家蛍光物質からの自家蛍光の検出を指標として判定することで、その水中に生物粒子が存在するか否かをリアルタイムで確認することができる。
浄水場における浄水の生物粒子検査に関するシステムについて説明する図である。 浄水用生物粒子計数器の一実施形態を示す概略構成図である。 自家蛍光物質の一例であるリボフラビンとNAD(P)Hの励起吸収スペクトルとその物質からの自家蛍光スペクトルの一例を示す図である。 波長が405nmの光を照射した際の水によるラマン散乱光スペクトルの一例を示す図である。 光学フィルター入射前の水によるラマン散乱光の時間変化強度分布の一例を示す図である。 光学フィルター透過後の水によるラマン散乱光の時間変化強度分布の一例を示す図である。 光学フィルター入射前の全ての光の時間変化強度分布の一例を示す図である。 光学フィルター透過後の全ての光の時間変化強度分布の一例を示す図である。 自家蛍光計数処理の手順例を示すフローチャートである。 データ収集処理の手順例を示すフローチャートである。 データ解析処理の手順例を示すフローチャートである。 解析処理の手順例を示すフローチャートである。 蛍光用受光装置及び散乱用受光装置からの出力信号の一例を示す図である。 解析結果出力処理の手順例を示すフローチャートである。 報知処理の手順例を示すフローチャートである。 生物粒子の計数結果の報知の一例を示す図である。 浄水用生物粒子計数器を用いた浄水検査システムを説明する図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、浄水場における浄水の生物粒子検査に関するシステムについて説明する図である。
図1に示すように、浄水場の浄水システム800により浄化処理を行われた浄水は、浄水用生物粒子計数器77により生物粒子が存在するか否かの検査(判定)が行われることになる。また、その生物粒子数の個数の計数が実行される。浄水システム800及び浄水用生物粒子計数器77について具体的に説明する。
〔浄水システム〕
浄水システム800は、浄化処理を行う複数の浄化池(浄化処理手段)、製造した浄水を浄水場内で貯留する浄水池818、製造した浄水を送水する送水装置820、薬品供給装置860、薬品混入制御装置870、中央監視制御装置880から構成されている。また複数の浄化池(浄化処理手段)は、例えば、沈砂池804、着水井806、第1混和池808、沈殿池810、第2混和池812、濾過池814、第3混和池816等により構成されている。浄水システム800は、これらの構成要素により水源802から取水した原水を浄化処理して浄水を製造している。以下、各構成要素について具体的に説明する。
〔中央監視制御装置(中央監視制御手段)〕
中央監視制御装置880は、複数のコンピュータから構成され、浄水システム800の浄化処理を全体的に監視及び制御する装置である。具体的には、中央監視制御装置880は、浄水システム800における各浄化池804〜816等での浄化処理、各浄化池804〜816等における水量の調整及び水質の監視、浄化処理が終了した水を次の浄化池へ送水する等、原水を浄化してきれいな浄水を製造するための制御を行っている。なお、製造した浄水は一旦浄水池818において貯留され、送水装置820により各地域の各配水池へ送水されることとなる。また、中央監視装置880は、水源802から取水した原水を浄化して浄水を製造するために、第1混和池808、第2混和池812、第3混和池816において水を消毒するための薬品の注入量を調整する薬品混入制御装置870の制御も行っている。以下、構成要素における具体的な浄化処理について説明する。
〔沈砂池〕
沈砂池804では、水源802から取水した原水が溜められる。例えば、水源802が河川である場合、取水した原水には大きなゴミ、砂、土等が含まれている。そこで、沈砂池804において原水を溜めている間に、大きなゴミが取り除かれ、砂や土が沈砂池804の底に沈められ、ある程度の浄化が行われる。大きなゴミ、砂、土が排除された水は、取水ポンプ等により次に着水井806に送水される。
〔着水井〕
着水井806では、沈砂池804から送水された水が溜められる。ここで、複数の水源802から原水が取水される場合、各水源に対応した複数の沈砂池804に溜められた水が、この着水井806により統合されることとなる。そして、この着水井806により、くみ上げられた水の水位や水量に基づいて、第1混和池808に送水する水の流量が調整される。
〔第1混和池〕
第1混和池808では、主に着水井806から送水された水と凝集剤とが混合される。なお、消毒に用いられる次亜塩素酸ナトリウム等(以下、塩素とする)等が注入されることもある。凝集剤は、例えば、ポリ塩化アルミニウム等である。凝集剤との混合に撹拌装置を使用することで、細かい砂や土等を凝集剤と混合しやすくしている。また、撹拌速度を調整することで、小さな汚れや濁り等といった種類別に凝集させている(固まらせている)。凝集剤が混合された水は次に沈殿池810に送水される。
〔沈殿池〕
沈殿池810では、第1混和池808において混合された凝集剤により、水中に含まれる小さな汚れや濁り成分が凝集され(固まりになり)沈殿する。この小さな汚れには、ゴミ、泥、有機物、プランクトン等が含まれる。固まりとなった沈殿物が除去された水、又は、沈殿地810に溜まっている水のうわ水は次に第2混和池812に送水される。
〔第2混和池〕
第2混和池812では、沈殿池810から送水された水に、薬品供給装置860から薬品混入制御装置870を経て、例えば、塩素が供給される。したがって、第2混和池812に溜められる水に含まれる生物粒子は減少することとなる。塩素消毒された水は次に濾過池814に送水される。
〔濾過池〕
濾過池814では、第2混和地812から送水された水が砂や砂利の中を通され、さらに細かいゴミや濁り成分等が濾過される。濾過された水は次に第3混和池816に送水される。
〔第3混和池〕
第3混和池816では、濾過池814から送水された水に、再度薬品供給装置860から薬品混入制御装置870を経て供給される塩素が注入され、塩素消毒が行われる。したがって、第3混和池816に溜められる水に含まれる生物粒子はさらに減少することとなる。なお、送水される末端(例えば、家庭の蛇口)までの浄水の安全性を保つため、この塩素消毒は重要な浄化処理となり、人体に影響を及ぼす可能性のある生物粒子(例えば、クリプトスポリジウム等)を殺菌するのに十分な量の塩素が注入されることとなる。最終的に塩素消毒された浄水は次に浄水池818に送水される。
〔浄水池〕
浄水池818では、第3混和池816から送水された浄水が溜められる。ここで、これまでの浄化処理により製造された浄水の水質が調査される。本実施形態においては、浄水池818に溜められた浄水に関し、その浄水中に生物粒子が存在するか否かについて浄水用生物粒子計数器77により判定され、同時に生物粒子数について計数される。浄水用生物粒子計数器77については具体的に別の図面を用いて説明する。
〔送水装置(送水手段)〕
送水装置822は、例えば、加圧式の送水ポンプであり、浄水池に溜められる浄化された浄水を各地域の配水地に配水管を通して送水する装置である。
以上のように、浄水システム800により、水源802から取水された原水は、複数の浄化池804〜816において複数の浄化処理によって浄化され、浄化されて製造された浄水は、浄水池818から送水装置822により送水される。ここで、浄水システム800による浄化の中の塩素消毒について具体的に説明する。
〔薬品供給装置(薬品供給手段)〕
薬品供給装置860は、例えば、貯蔵タンクであり、塩素消毒の際に使用される次亜塩素酸ナトリウム(塩素)を貯蔵している。図示の例では、1つの貯蔵タンク860から第1混和池808、第2混和池812、第3混和池816へ分流し消毒等を行っているが、さらに凝集剤等を供給できる装置としてもよいし、各浄化池808、812、816に1つづつ貯蔵タンク860を備えてもよい。貯蔵タンク860から供給される塩素等は各浄化池808、812、816に配水管を通して供給されることとなるが、その配水管の途中に備えられる薬品混入制御装置870により注入される流量が調整される。
〔薬品混入制御装置(薬品注入量制御手段、薬品注入手段)〕
薬品混入制御装置870には、貯蔵タンク860から各配水管を通して供給される塩素等の流量を調整する調整バルブが備えられている。
例えば、調整バルブ872は貯蔵タンク860から第1混和池808の間の配水管に接続され、調整バルブ874は貯蔵タンク860から第2混和池812の間の配水管に接続され、調整バルブ876は貯蔵タンク860から第3混和地の間の配水管に接続される。各調整バルブ872、874、876は、各配水管を流れる塩素等の流量を調整する。なお、各調整バルブ872、874、876による調整は、中央監視制御装置880からの指示に基づきそれぞれ行われる。
以上のようにして、各浄化池808、812、816に塩素が注入され塩素消毒が行われることになる。また、塩素消毒が行われた水は、浄水池818に送水され、浄水用生物粒子計数器77により生物粒子が浄水中に存在するか否かの判定が行われる。
〔浄水用生物粒子計数器〕
浄水用生物粒子計数器77は、対象物に光を照射し、対象物からの散乱光や自家蛍光を検出する光検出システム1と、光検出システム1から出力された信号に基づいて自家蛍光数をカウントする自家蛍光計数システム2、操作部72、74、報知ディスプレイ76とから構成されている。操作部72、74は、例えば、複数種類のボタン72、コントローラー74から構成されており、浄水管理者等により浄水用生物粒子計数器77の操作を受け付けることができる。また、報知ディスプレイ76は、例えば、入力情報、操作情報、計数結果等を表示することができる。浄水用生物粒子計数器77は、浄水池818に備えられ、浄水池818に貯留されている浄水の一部を分流し(分流手段、分流工程)、分流した浄水について生物粒子が存在するか否かの判定、及び、存在している場合はその生物粒子数の計数を行う。
〔分流装置(分流手段)〕
分流装置78は、例えば、浄水池818から浄水を分流し浄水用粒子計数器77に導く配水管、必要に応じて、吸引ポンプ(不図示)、配水管内の流量を調整する流量調整バルブ等(不図示)により構成されている。そして、浄水用生物粒子計数器77により検査された浄水は排水する配水管から排水される。なお、吸引ポンプ、流量調整バルブを必要とする場合は、それらを浄水用粒子計数器77の排水する側の配水管に設けるとよい。例えば、浄水用粒子計数器77に安定して浄水を導けない場合など、容易にその調整が可能となる。
以下、浄水用生物粒子計数器77の構成要素及び浄水内の生物粒子の有無の判定、生物粒子の計数等について具体的に説明する。
図2は、浄水用生物粒子計数器の一実施形態を示す概略構成図である。
図2に示すように、浄水用生物粒子計数器77は、対象物に光を照射し、対象物からの散乱光や自家蛍光を検出する光検出システム1と、光検出システム1から出力された信号に基づいて自家蛍光数をカウントする自家蛍光計数システム2とから構成されている。これらのシステムにより、水中の対象物のうち生物粒子(例えば、微生物等)を検出及び計数することができる。なお、本実施形態における検出(計数)可能な生物粒子は、例えば、0.1μm〜数100μmの大きさの生物粒子であり、具体的には、細菌、酵母、カビ、植物プランクトン等である。また、生物粒子に照射する光は紫外線領域のレーザー光であり、生物粒子の体内(細胞内)に存在する代謝に必要となる物質(リボフラビン、NAD(P)H(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(リン酸))、クロロフィル等)から発せられる自家蛍光を指標として検出する。
〔光検出システム〕
光検出システム1は、例えば、発光装置10、照射光学レンズ系20、対象流動装置30、第1集光光学レンズ系40、遮光装置50、散乱光選択光学装置60、遮光壁65、自家蛍光選択光学装置70、第2集光光学レンズ系80、蛍光用受光装置90、第3集光光学レンズ系100、散乱用受光装置110から構成されている。これらの構成要素により、対象物に光を照射し、対象物からの散乱光や自家蛍光を検出することができる。以下、各構成要素について具体的に説明する。
〔発光装置(発光手段、発光工程)〕
発光装置10は、例えば、半導体レーザーダイオード(半導体LED素子を含む。以下、レーザーダイオードとする)から構成されている。レーザーダイオード10によりレーザー光が発振され、生物粒子を含む水に照射される。レーザーダイオード10が発振するレーザー光の波長は、生物粒子の細胞内に存在する自家蛍光を発することができる物質(以下、自家蛍光物質とする)に対応して決定される。ここで、自家蛍光物質は、照射される光のエネルギーを吸収して励起状態に励起しやすい励起波長を有している。その励起波長はその物質によって異なっており、さらに、励起状態から基底状態に戻る際に放出する自家蛍光の波長も自家蛍光物質によって異なっている。自家蛍光物質の励起波長及び自家蛍光波長について具体例を挙げて説明する。
〔励起波長及び自家蛍光波長〕
図3は、自家蛍光物質の一例であるリボフラビンとNAD(P)Hの励起吸収スペクトルとその物質からの自家蛍光スペクトルの一例を示す図である。
図3に示すように、各分布は、NAD(P)Hの励起波長スペクトル、リボフラビンの励起波長スペクトル、NAD(P)Hからの自家蛍光スペクトル、リボフラビンからの自家蛍光スペクトルを示している。例えば、NAD(P)Hの励起波長スペクトルは、約340nmの波長をピークにした分布をしている。また、リボフラビンの励起波長スペクトルは、約375nmの波長をピークにした分布をしており、リボフラビンを励起させやすくするために375nm〜420nmの波長のレーザー光を照射することが適していることを表している。なお、クロロフィルの励起波長スペクトルは約430nmの波長をピークにした分布をしており、レーザー光の波長は400nm〜450nmが適している。
したがって、多くの自家蛍光を生物粒子から放出させるために、レーザーダイオード10から発振されるレーザー光の波長は、生物粒子の細胞内に存在するNAD(P)Hやリボフラビンの励起波長に対応して決定される。本実施形態では405nmの波長を有するレーザー光がレーザーダイオード10から発振されることと想定する。この405nmの波長を有するレーザー光を照射することにより、リボフラビンによる自家蛍光が生物粒子から放出されることになる。
〔照射光学レンズ系〕
照射光学レンズ系20は、例えば、複数種類の光学レンズから構成されている。例えば、コリメーターレンズ、両凸レンズ、シリンドリカルレンズから構成されており、レーザーダイオード10から発振されたレーザー光を平行光線に調整し、対象物に照射している。
〔対象流動装置〕
対象流動装置30(フローセル30)は、例えば、合成石英やサファイア等で作成された中空の四角柱の筒部32から構成されており、対象物(生物粒子35又は非生物粒子37)を含んだ水33が上から下に流動する構造をしている。レーザーダイオード10から発振されたレーザー光31は、筒部32の水が流動する中空領域に照射されて検出領域が形成される。
この検出領域において、レーザー光31がフローセル30内を流動する水33(水分子)や対象物(生物粒子35又は非生物粒子37)と相互作用を起すこととなる。
生物粒子35に入射するレーザー光31の波長が405nmであるので、生物粒子35からの散乱光も405nmの波長で放出されることとなる。また、図3に示すように、レーザー光31が生物粒子35の細胞内のリボフラビンに吸収された場合、約520nmをピークとした分布の波長となる。ここで、生物粒子35から放出される散乱光又は自家蛍光は、周囲に放出されることとなる。
また、非生物粒子37に入射したレーザー光31による散乱光は、生物粒子35から放出される散乱光と同様である。
上記のように、生物粒子35や非生物粒子37とレーザー光31とが相互作用することにより、生物粒子35や非生物粒子37からの散乱光、又は生物粒子35からの自家蛍光が放出される。そして、それらの光は複数の集光レンズ系や波長選択光学装置を経て受光装置により検出されることになる。なお、散乱光の強度、すなわち、散乱光の光量は生物粒子35や非生物粒子37の大きさに依存し、大きいほど光量も多くなる。ここで、生物粒子35からの自家蛍光は生物粒子35の細胞内のリボフラビンの量に依存する。また、レーザー光31の光量(強度)にも依存し、レーザー出力を高めて、フローセル30に多くのレーザー光31を照射すれば、生物粒子35や非生物粒子37からの散乱光、生物粒子35からの自家蛍光も増加することとなる。しかし、生物粒子35や非生物粒子37からの散乱光、生物粒子35からの自家蛍光以外の光も増加し、具体的には、レーザー光31と水33との相互作用(ラマン散乱)による光(ラマン散乱光)も増加することとなる。次に水によるラマン散乱光について、具体的に説明する。
〔水によるラマン散乱〕
図4は、波長が405nmの光を照射した際の水によるラマン散乱光スペクトルの一例を示す図である。図4に示すように、水に波長405nmのレーザー光31を照射すると、水とレーザー光31との相互作用により、約465nmの波長をピークとした波長分布を有するラマン散乱光が放出される。
〔遮光装置〕
遮光装置50は、例えば、レーザートラップから構成されている。このレーザートラップ50は、レーザーダイオード10から発振され、フローセル30内で相互作用を起さずに通過したレーザー光31を遮光する。遮光することで、その通過したレーザー光31が様々な場所で反射などを起して、生物粒子35による散乱光や自家蛍光の検出のノイズとなることを抑制する。
〔第1集光光学レンズ系〕
第1集光光学レンズ系40は、例えば、複数の光学レンズから構成されている。この第1集光光学レンズ系40は、レーザー光31の進行方向(光軸)に対して約90度の角度の位置に設置される。この第1集光光学レンズ系40により、フローセル30内における生物粒子35や非生物粒子37からの散乱光及び生物粒子35からの自家蛍光が集光される。なお、これら生物粒子35からの側方散乱光及び自家蛍光をなるべく多く集光するために、レンズ口径は大きい方が好ましく、生物粒子35からの散乱光や自家蛍光を検出する検出装置が備えられる位置(距離)に対応して決定される。
〔散乱光選択光学装置(散乱光選択光学手段、散乱光選択光学工程)〕
散乱光選択光学装置60は、例えば、ダイクロイックミラーから構成されている。本実施形態のダイクロイックミラー60は、410nmよりも長い波長の光を透過させ、410nmよりも短い波長の光を反射させる。このように光の波長で分離する基準となる特定の波長をカットオフ波長と称する。しがたって、フローセル30内で405nmのレーザー光31により散乱された生物粒子35や非生物粒子37からの散乱光の波長は主に405nmであるため、ダイクロイックミラー60により生物粒子35や非生物粒子37からの散乱光を反射することができる。そして、反射された生物粒子35や非生物粒子37からの散乱光は、次に第3集光光学レンズ系100に集光され、散乱用受光装置110に結像されることとなる。
一方、フローセル30内を流動する生物粒子35から放出される自家蛍光については、図3に示すように、約520nmをピークにした波長分布をしているため、ダイクロイックミラー60に反射されることなくほぼ全てが透過することとなる。また同様に、水によるラマン散乱光も、図4に示すように、約465nmをピークにした波長分布をしており、カットオフ波長410nmよりも長い波長が大部分を占めているため、一部を除いた大部分がダイクロイックミラー60を透過することとなる。そして、透過する自家蛍光及び水によるラマン散乱光は、次に自家蛍光選択光学装置へ進むこととなる。
なお、ダイクロイックミラー60の基準となるカットオフ波長は410nmに限定されることなく、レーザー光31により散乱された生物粒子35又は非生物粒子37からの散乱光が反射され、生物粒子35から自家蛍光が透過される波長であればよい。
〔自家蛍光選択光学装置(自家蛍光選択光学手段、自家蛍光選択光学工程)〕
自家蛍光選択光学装置70は、例えば、光学フィルターから構成されている。本実施形態においては、490nmの波長(カットオフ波長)よりも長い波長の光を透過させるロングパスフィルタ70が備えられている。
一方、水によるラマン散乱光は、図4に示すように、一部を除いた大部分がカットオフ波長490nmよりも短い波長であり、約90%を低減できる。
〔ロングパスフィルタによる水のラマン散乱光の強度分布変化〕
図5は、ロングパスフィルタ入射前の水によるラマン散乱光の時間変化強度分布の一例を示す図であり、図6は、ロングパスフィルタ透過後の水によるラマン散乱光の時間変化強度分布の一例を示す図である。図5及び図6において、水によるラマン散乱光33sの強度分布がロングパスフィルタにより変化することを表している。
〔ロングパスフィルタ入射前の水によるラマン散乱光の強度分布〕
図5に示すように、横軸を時間、縦軸を光の任意単位で表した強度として、水によるラマン散乱光33sはランダムな増減を繰り返す分布をしている。例えば、水によるラマン散乱光33sの強度が0.5をピークにした分布もあれば、0.3をピークにした分布もあり、水によるラマン散乱光33sが多量に入射することもあれば、少量で入射することもあり、時間に関係なくランダムに入射している。
〔ロングパスフィルタ透過後の水のラマン散乱光分布〕
また、図6に示すように、横軸を時間、縦軸を光の任意単位で表した強度として、ロングパスフィルタ70を透過した後の水によるラマン散乱光33sは、図5に示した水によるラマン散乱光33sの時間変化分布に対して大きさが約1/10に変化していることを表している。
次に、水によるラマン散乱光33sだけではなく、ダイクロイックミラーを透過する光Lt、すなわち、水によるラマン散乱光33sと生物粒子35から放出される自家蛍光35eとをトータルした光Ltについて説明する。
〔ロングパスフィルタによる光の強度分布変化〕
図7は、光学フィルター入射前の全ての光の時間変化分布の一例を示す図であり、図8は、光学フィルター透過後の全ての光の時間変化分布の一例を示す図である。図7及び図8において、ダイクロイックミラー60を透過してきた全ての光Ltの強度分布がロングパスフィルタ70により分離されることが表されている。
〔ロングパスフィルタ入射前の光の強度分布〕
図7に示すように、横軸を時間、縦軸を光の相対的な強度として、ロングパスフィルタ70に入射する光の分布は、水によるラマン散乱光33sの分布と自家蛍光35eの分布とを合成(合計)した光Ltによる分布からなる。例えば、ある時刻から時間Δtの間において、相対的な強度が0.5をピークとした分布の光量の水によるラマン散乱光33sと、相対的な強度が0.2をピークとした分布の光量の自家蛍光35eと、が入射すると想定すると、その時間Δtの間には、それら光量を合成した量の光Ltが入射することとなり、その光Ltによる相対的な強度分布は0.7をピークとした分布となる。
〔ロングパスフィルタ透過後の光の強度分布〕
また、図8に示すように、透過する全ての光Ltの時間変化分布は、入射時の約10%となった水のラマン散乱光33sの光量の時間変化強度分布と、入射時とはほとんど変化していない自家蛍光35eの光量の時間変化強度分布とを合成した分布であることを表している。例えば、ある時刻から時間Δtの間において、相対的な強度が0.05をピークとした分布の光量の水によるラマン散乱光33sと、相対的な強度が0.2をピークとした分布の光量の自家蛍光35eと、が透過すると想定すると、その時間Δtの間には、それら光量を合成した量の光Ltが透過することとなり、その光Ltによる相対的強度分布は0.25をピークとした分布となる。
なお、自家蛍光選択光学装置70で分離する光の波長の基準は、水によるラマン散乱光33sを生物粒子35から放出される自家蛍光35eよりも小さくする波長が選択される。具体的には、カットオフ波長は490nmに限定されることなく、450nm〜520nm、好ましくは450nm〜490nmのいずれかの値の波長としてもよい。また、490nmよりも長い波長を透過するといったロングパスフィルタに限定されることなく、490nm〜600nmの波長域の光を透過するといったバンドパスフィルタを備えてもよい。
ここで、自家蛍光選択光学装置70として、生物粒子35の細胞内のリボフラビンからの自家蛍光35eを指標とするために、上記のカットオフ波長(例えば、490nm)を基準としたロングパスフィルタを備えたが、生物粒子35の細胞内のNAD(P)Hを指標とする場合、410nm〜470nmのいずれかの波長(例えば、450nm)をカットオフ波長としそれよりも長い波長の光を透過するといったロングパスフィルタや、カットオフ波長として450nm〜600nmの波長域の光を透過するといったバンドパスフィルタを備えてもよい。これは、約350nmのレーザー光31を照射した場合、水によるラマン散乱光33sが400nmをピークとした分布をし、450nmを基準としたロングパスフィルタにより、リボフラビンからの自家蛍光35eの検出を指標とした場合と同様に大部分の水のラマン散乱光33sを遮光できるからである。なお、クロロフィルを指標とする場合は、その自家蛍光スペクトルは約650nmをピークとして分布しており、これらの波長の光を透過させるために、ロングパスフィルタなどのカットオフ波長は約600nmである。
〔第2集光光学レンズ系:図2参照〕
第2集光光学レンズ系80は、例えば、複数の光学レンズから構成されている。
この第2集光光学レンズ系80は、ロングパスフィルタ70を透過してきた光の進行方向(光軸)上に設置される。この第2集光光学レンズ系80により、ロングパスフィルタ70を透過してきた自家蛍光35e及び水によるラマン散乱光33sが集光され、蛍光用受光装置90の入射面に結像されることとなる。
〔蛍光用受光装置(自家蛍光受光手段、自家蛍光受光工程)〕
蛍光用受光装置90は、例えば、半導体受光素子(フォトダイオードPhoto Diode:PD)又はフォトダイオードよりも感度のよい光電子増倍管(フォトマルチプライヤーチューブPhoto Multiplier Tube:PMT)から構成されている。これらフォトダイオードやフォトマルチプライヤーチューブ(以下、フォトマルとする)は受光した光を電流にし、受光した光量に応じた電流を出力する。なお、受光した光の光量によって出力する電流の大きさが変化し、受光した光の光量が多ければ多いほど、電流の大きさが大きくなる。なお、フォトマル90から出力される電気信号は、次に自家蛍光計数システム2に入力される。
〔遮光壁〕
遮光壁65は、ダイクロイックミラー60の透過側からフォトマル90までの光路を囲う筒状の構造物から構成されている。この遮光壁65により、ダイクロイックミラー60を透過してきた光(自家蛍光35e)以外の光がフォトマル90に入射することを防ぐことができる。例えば、ラマン散乱光33sや対象物からの散乱光35s、37sが光検出システム1内で反射して、この光路に回り込まないように遮蔽することができる。図示していないが、ダイクロイックミラー60の反射側から散乱用受光装置110までの光路などにも同様に遮光壁を設けてもよい。
〔第3集光光学レンズ系〕
第3集光光学レンズ系100は、例えば、複数の光学レンズから構成されている。この第3集光光学レンズ系100は、ダイクロイックミラー60によって反射された光の進行方向(光軸)上に設置される。
〔散乱用受光装置(散乱光受光手段、散乱光受光工程)〕
散乱用受光装置110は、例えば、フォトダイオード又はフォトマルから構成される。ここで、散乱用受光装置110に入射する光は、ダイクロイックミラー60により反射された410nmより短い波長の光であって、具体的には、フローセル30内を流動する生物粒子35や非生物粒子37により散乱された散乱光である。これら生物粒子35や非生物粒子37による散乱光は、生物粒子35から放出される自家蛍光35eよりも光量が多いため、フォトマルではなく安価なフォトダイオードでも十分に検出することができる。本実施形態においては、このフォトダイオード110が備えられ、ダイクロイックミラー60により反射された生物粒子35や非生物粒子37による散乱光を受光する。フォトダイオード110が受光した光は、その光量に応じた電気信号に変換され、その電気信号がフォトダイオード110から出力されることとなる。フォトダイオード110からの出力信号は、次に自家蛍光計数システム2に入力される。
〔自家蛍光計数システム(生物粒子判定手段、生物粒子判定工程):図2参照〕
自家蛍光計数システム2は、例えば、検出信号処理部200、データ処理部300、報知部400から構成されている。また、図9は、自家蛍光計数処理の手順例を示すフローチャートである。
検出信号処理部200は、例えば、光検出システム1からの出力信号、すなわち、蛍光用受光装置(フォトマル)90からの出力信号と散乱用受光装置フォトダイオード)110からの出力信号をそれぞれ受信し、受信した信号を増幅し、アナログ信号からデジタル信号にAD変換する処理等を行う(図9中のデータ収集処理ステップS200)。
データ処理部300は、例えば、検出信号処理部200でAD変換処理された自家蛍光信号(信号A)及び散乱光信号(信号B)を受信し保存し(図9中のデータ解析処理ステップS300)、保存した信号A及び信号Bから水中に生物粒子35に由来する信号、すなわち、自家蛍光35eによる信号が含まれているか否かを判定し、その判定結果を出力する(図9中のステップ解析結果出力処理S400)等を行う。
報知部400は、例えば、データ処理部300により判定された結果を外部に報知したり、外部に報知信号を出力したりする(図9中の報知処理ステップS500)。
以下、各構成要素及びその処理について具体的に説明する。
〔検出信号処理部〕
検出信号処理部200は、例えば、蛍光用出力信号処理装置210と、散乱用出力信号処理装置220から構成されている。さらに、蛍光用出力信号処理装置210は、例えば、第1増幅器212、第1アナログ/デジタル変換器214から構成され、散乱用出力信号処理装置220は、例えば、第2増幅器222、第2アナログ/デジタル変換器224から構成されている。
〔データ収集処理〕
図10は、データ収集処理の手順例を示すフローチャートである。
まず、蛍光用出力信号処理装置210は、蛍光用受光装置(フォトマル)90からの出力信号を受信すると(出力信号受信処理ステップS210)、第1増幅器212がフォトマル90から出力された出力信号を増幅する(出力信号増幅処理ステップS220)。そして、第1アナログ/デジタル変換器214が第1増幅器212により増幅されたアナログ信号をデジタル信号(信号A)に変換する(出力信号A/D変換処理ステップS230)。
同様に、散乱用出力信号処理装置220は、散乱用受光装置(フォトダイオード)110からの出力信号を受信すると(出力信号受信処理ステップS210)、第2増幅器222がフォトダイオード110から出力された出力信号を増幅する(出力信号増幅処理ステップS220)。そして、第2アナログ/デジタル変換器224が第2増幅器222により増幅されたアナログ信号をデジタル信号(信号B)に変換する(出力信号A/D変換処理ステップS230)。
その後、デジタル信号に変換された信号A及び信号Bは蛍光用出力信号処理装置210及び散乱用出力信号処理装置220から出力される(変換信号出力処理ステップS240)。出力された信号A及び信号Bは、次にデータ処理部300に入力される。
〔データ処理部〕
データ処理部300は、例えば、データ収集装置310、データ解析装置320、解析結果出力装置330から構成されている。また、データ収集装置310は、例えば、データを記憶するメモリ(RAM)310から構成されている。
〔データ解析処理〕
図11は、データ解析処理の手順例を示すフローチャートである。
まず、データ処理部300は、蛍光用出力信号処理装置210及び散乱用出力信号処理装置220から出力される信号A及び信号Bを受信する(変換信号受信処理ステップS310)。受信された信号A及び信号Bは、そのままメモリ310の記憶領域に記憶される。
メモリ310への信号A及び信号Bの記憶が終了すると、つぎに、これらの信号A及び信号Bを用いて解析処理(解析処理ステップS340)が行われる。
〔データ解析装置(生物粒子判定手段、散乱光検出信号出力手段)〕
データ解析装置320は、例えば、メモリ310に記憶されたデータ(信号A及び信号B)を解析する計算回路(例えば、CPU322)及び計算処理内容(プログラム、閾値データ)等を予め記憶(保存)したメモリ324(ROM)から構成されている。
〔解析処理(生物粒子判定工程、散乱光検出信号出力工程)〕
図12は、解析処理の手順例を示すフローチャートである。
まず、メモリ310に記憶された信号Bに関して、CPU322により予めメモリ324に記憶された閾値データ(電圧値)と比較される。具体的には、記憶された信号Bの電圧値が閾値B(VthB)以上か否かが判定される(ステップS342)。この判定の結果、信号Bの電圧値が閾値B以上であると判定された場合(ステップS342:Yes)、散乱用受光装置フォトダイオード110に生物粒子35又は非生物粒子37からの散乱光が入射し検出されたことを表している。ここで、生物粒子35又は非生物粒子37からの散乱光が検出されたことを示す散乱光検出フラグをONにする処理が行われてもよい。
次に、メモリ310に記憶された信号Aに関して、CPU322により予めメモリ324に記憶された閾値データ(電圧値)と比較される。具体的には、記憶された信号Aの電圧値が閾値A(VthA)以上か否かが判定される(ステップS344)。この判定の結果、信号Aの電圧値が閾値A以上であると判定された場合(ステップS344:Yes)、蛍光用受光装置フォトマル90に生物粒子35から放出された自家蛍光35eが入射し検出されたことを表している。そして、その自家蛍光35eが検出されたことを示す検出フラグをONにする処理が行われる(ステップS346)。なお、この検出フラグ(ON)は、次に解析結果出力処理装置330にフラグ信号として送信される。
一方、これらの判定の結果、信号Bの電圧値が閾値B以上ではないと判定された場合(ステップS342:No)、又は、信号Aの電圧値が閾値A以上ではないと判定された場合(ステップS344:No)、検出フラグをOFFにする処理が行われ(ステップS348)、自家蛍光35eが検出されなかったことを表している。ここで、上記散乱光検出フラグがONであり、かつ、検出フラグがOFFであった場合、生物粒子35ではない非生物粒子37が検出されたことを示す非生物検出フラグをONにする処理が行われてもよい。なお、この検出フラグ(OFF)は、次に解析結果出力処理装置330にフラグ信号として送信される。また、非生物検出フラグも送信してもよい。
上記解析処理について、各受光装置から出力された出力信号に対応する信号A及び信号Bの図を用いて具体的に説明する。
〔蛍光用受光装置及び散乱用受光装置からの出力信号の一例〕
図13は、蛍光用受光装置及び散乱用受光装置からの出力信号の一例を示す図である。
図13中の上段の信号は蛍光用受光装置のフォトマル90から出力された検出信号に対応する信号Aの時間変化分布、図13中の下段の信号は散乱用受光装置のフォトダイオード110から出力された検出信号に対応する信号Bの時間変化分布を示している。ここで、図13中の上下段に示されている信号A及び信号Bの分布はタイミング調整された分布であると想定する。また、横軸の時間については、時刻t1、t2、t3、…といった順に時間が経過していることを示している。
例えば、時刻t1では、閾値B(VthB(図ではVthB1))よりも大きな信号Bの電圧値がデータ処理部300に入力されたとすると、CPU322は、信号Bの電圧値が閾値B以上であると判定する(ステップS342:Yes)。すなわち、時刻t1に、散乱用受光装置フォトダイオード110に生物粒子35又は非生物粒子37からの散乱光が入射し検出されたことを表している。
そして、CPU322により予めメモリ324に記憶された閾値A(VthA)と、信号Aの電圧値とが比較される(ステップS344)。時刻t1における信号Aについては、閾値Aよりも大きな信号ではないため(ステップS344:No)、時刻t1における信号Bは非生物粒子37からの散乱光となり、検出フラグはOFFにセットされる(ステップS348)。
次に、時刻t2では、CPU322は信号Bの電圧値が閾値B以上であると判定する(ステップS342:Yes)。
そして、CPU322により閾値A(VthA)と信号Aの電圧値とが比較され(ステップS344)、その結果、CPU322は信号Aの電圧値が閾値A以上であると判定する(ステップS344:Yes)。したがって、時刻t2における信号A及び信号Bは生物粒子35からの自家蛍光35e及び散乱光であることを表し、検出フラグがONにセットされる(ステップS346)。
上記のようにして、リアルタイムで生物粒子35の存在の有無の結果が得られることとなる。ここで、信号Aや信号Bの大きさについては、蛍光用受光装置フォトマル90や散乱用受光装置フォトダイオード110に入射する光量に応じ、さらに、散乱光の大きさは生物粒子35又は非生物粒子37の大きさに応じたものとなる。したがって、生物粒子35の存在の有無だけではなく、信号Aや信号Bの大きさに基づいて、生物粒子35又は非生物粒子37の大きさについても測定することができる。
ここで、予めメモリ324に生物粒子35の大きさ(0.1μm〜0.3μm、0.3μm〜0.5μm、0.5μm〜1.0μm、…)に対応する閾値Bが複数個(VthB1、VthB2、VthB3、VthB4、…)記憶してあると想定する。例えば、時刻t2の信号Bについては、VthB1よりも大きくVthB2よりも小さいことから、生物粒子35の大きさは0.1μm〜0.3μmであると測定することができる。なお、生物粒子35の大きさ(0.1μm以上、0.2μm以上、…)に対応する閾値Bが複数個記憶してあるとしてもよく、これらの閾値Bは所望により決めればよい。
本実施例では信号記憶処理ステップS310で保存したデータに対して解析処理S340を行っているが、保存せずに閾値B,Aと逐次比較することにより生物粒子35又は非生物粒子37を検出し、リアルタイムに信号Bのピークを検出し、粒径区分を求めてもよい。また、自家蛍光35eの光量に応じた信号Aの大きさは、生物粒子の種類や活性状態にも対応していることから、信号Aのピークを検出することでそれらの情報についても求めてもよい。
上記のように、信号A及び信号Bにより、リアルタイムで生物粒子35の存在の有無を検出することができ、さらに、生物粒子35の大きさも測定することができる。生物粒子35の存在の有無の検出により検出フラグがONにセットされると、次に解析結果出力処理ステップS400により生物粒子35の計数処理が行われる。
〔解析結果出力装置(生物粒子計数手段)〕
解析結果出力装置330は、データ解析装置320により解析された生物粒子35の個数を計数し、その計数値を報知部400に送信する装置である。
〔解析結果出力処理(生物粒子計数工程)〕
図14は、解析結果出力処理の手順例を示すフローチャートである。
まず、解析結果出力装置330は、データ解析装置320よりフラグ信号(検出フラグ)を受信する。そして、検出フラグがONにセットされているか否かを判定する(ステップS410)。その結果、検出フラグがONであった場合(ステップS410:Yes)、生物粒子35を検出したとして、カウント数を1増加し計数値を算出する(ステップS420)。そして、計数値(カウント数)を報知部400に送信する(ステップS430)。ここで、図示していないが、リセットボタン(図示せず)が押下された場合や、スタートボタン(図示せず)が押下された場合、カウント数をリセットする処理をステップS410の前に実行してもよい。また、受信したフラグ信号(大きさフラグ)に基づいて、生物粒子35の大きさ別に生物粒子35の個数を計数してもよい。
〔報知部(報知手段)〕
報知部400は、例えば、表示装置410、スピーカー420から構成されている。
〔報知処理〕
図15は、報知処理の手順例を示すフローチャートである。
まず、報知部400は、データ処理部300の解析結果出力装置330が送信してきた計数値を受信する(ステップS510)。次に、表示装置410に受信した計数値に更新し検出した生物粒子35の個数を表示する(ステップS520)。また、スピーカーから報知音を出力する(ステップS530)。ここで、表示装置410に生物粒子35の大きさ別に検出した生物粒子35の個数を表示してもよい。また、リアルタイムでカウントを1づつ増加するといった表示形態でもよく、所定の時間(例えば、5秒間隔)後にその更新した計数値を表示する形態でもよい。
報知音については計数値の増加頻度に対応して出力態様(報知音の出力回数、報知音の高低)を変化させてもよい。また、生物粒子35の大きさに応じて報知音の出力態様も変化させてもよい。例えば、単位時間における1.0μm以上の生物粒子35の計数値が1〜9個である場合は「ピ!」といった単音を1回出力し、その計数値が10〜99個である場合は「ピ!ピ!」といった単音を2回出力し、その計数値が100個以上である場合は「ピ!ピ!ピ!」といった単音を3回出力するといった出力態様でもよい。
図16は、生物粒子35の計数結果を報知する表示装置及びスピーカーの一例を示す図である。表示装置として生物粒子35の大きさ別に計数結果を報知する表示パネル410と、生物粒子35が検出されたことを音で報知するスピーカー420が備えられている。例えば、表示パネル410は、生物粒子35の大きさの基準を示す「Size(μm)」の表示部と、各大きさに対応する検出した生物粒子35の個数(計数値)を示す「Count」の表示部からなる。生物粒子35の大きさの基準を示す「Size(μm)」の表示部には、例えば、3つの値「0.2」「1.0」「5.0」予め表示されている。それぞれの値に関して、「0.2」については、0.2μm以上の生物粒子35の大きさ、「1.0」については1.0μm以上の生物粒子35の大きさ、「5.0」については5.0μm以上の生物粒子35の大きさにそれぞれ対応する。又は、「0.2」については0.2μm〜1.0μmの生物粒子35の大きさ、「1.0」については1.0μm〜5.0μmの生物粒子35の大きさ、「5.0」については5.0μm〜の生物粒子35の大きさにそれぞれ対応するように表示してもよく、表示は所望により決めればよい。
ここでは0.2μm以上の大きさの生物粒子35が321個、1.0μm以上の大きさの生物粒子35が7個、5.0μm以上の大きさの生物粒子35が0個とそれぞれ計数されたことを表している。
上記のように、報知部400は、表示装置410からリアルタイムで生物粒子35の計数値を報知し、スピーカー420から生物粒子35を検出した際に報知音を出力することができる。なお、他にも、報知部400は外部出力端子を備えてもよく、端子を通して別の装置にデータを出力してもよい。
なお、光検出システム1の自家蛍光選択光学装置については、ロングパスフィルタ70に限定されることなく、ダイクロイックミラーから構成されてもよい。例えば、カットオフ波長490nmよりも長い波長の光を透過させ、カットオフ波長490nmよりも短い波長の光を反射させるダイクロイックミラーを備えることで410nmよりも短い波長の光(主に生物粒子35や非生物粒子37からの散乱光)は散乱用受光装置フォトダイオード110に受光され、490nmよりも長い波長の光(主に生物粒子35からの自家蛍光35e)は蛍光用受光装置フォトマルチチューブ90に受光されることとなる。
他にも、光検出システム1の散乱光選択光学装置及び自家蛍光選択光学装置について、散乱光選択光学装置の後方に自家蛍光選択光学装置を設置せず、散乱光と自家蛍光の光路が別系統になるように散乱光選択光学装置と自家蛍光選択光学装置を並列して設置してもよい。その場合、散乱光選択光学装置としてカットオフ波長410nmよりも短い波長の光だけを透過するといったショートパスフィルタを使用する。そして、それぞれの光学装置の前後にフローセルからの散乱光や自家蛍光35eを集光する集光レンズ光学系と、散乱用受光装置フォトダイオード110及び蛍光用受光装置90と、をそれぞれの光学装置に対して設置する。これにより、例えば、レーザー光31の光軸から90度の位置(水平面)に設置された410nmを基準にした散乱光選択光学装置(ショートパスフィルタ)により主に生物粒子35や非生物粒子37からの散乱光を散乱用受光装置フォトダイオード110で検出することができ、レーザー光31の光軸から90度の位置(垂直面)に設置された490nmをカットオフ波長にした自家蛍光選択光学装置(ロングパスフィルタ)により主に生物粒子35からの自家蛍光35eを蛍光用受光装置フォトマル90で検出することができる。
また、自家蛍光物質に対応した波長のレーザー光31を照射し、対象物による散乱光を反射するためのダイクロイックミラーと、水などによるラマン散乱光33sを低減し、生物粒子35からの自家蛍光35eを透過するロングパスフィルタとを備えることで、生物粒子35に対する計数精度を向上させることができる。
このように、本実施形態によれば、浄水用生物粒子計数器77を用いることで、浄水池818に貯留された浄水に関して検出(計測)対象とする生物粒子35の細胞内のリボフラビンやNAD(P)H又はクロロフィルといった生体内で行っている生命活動の代謝に必要となる自家蛍光物質からの自家蛍光35eの検出を指標として、生物粒子35が存在するか否かをリアルタイムで判定することができる。したがって、浄水用生物粒子計数器77による計数の結果、計数された浄水内に規定数以上の生物粒子35が存在していることが確認された場合、報知手段として浄水用生物粒子計数器77に備えられたスピーカーから報知音を出力したり、中央監視制御装置880に知らせる報知信号を出力したりすることができる。中央監視制御装置880は、浄水の報知信号に基づき、リアルタイムで塩素の供給量を決定することができ、その決定内容に基づいて薬品混入制御装置における調整バルブの制御を行うことができる。したがって、浄水内に規定数以上の生物粒子35が存在していた場合、リアルタイムで塩素の供給量を調整することができる。
次に、この浄水用生物粒子計数器77を備えた浄水監視システムについて説明する。
〔浄水用生物粒子計数器を備えた浄水監視システム〕
図17は、浄水用生物粒子計数器を用いた浄水監視システムを説明する図である。
図17に示すように、浄水監視システムは、浄水池818に貯留されている浄水についての検査を行うために浄水用生物粒子計数器77zを備えるだけではなく、塩素消毒が行われた後の水についても浄水用生物粒子計数器による検査が行われる。具体的には、第1混和池808において塩素消毒が行われた後の水についての検査を行うために、第1混和池808と沈殿池810の間に浄水用生物粒子計数器77xが備えられる。また、同様に、第2混和池812において塩素消毒が行われた後の水についての検査を行うために、第2混和池812と第3混和池816の間に浄水用生物粒子計数器77yが備えられる。なお、浄水用生物粒子計数器77xや浄水用生物粒子計数器77yについても同様に、上記で説明した分流装置(分流手段)により、第1混和池808や第2混和池812から送水される水を分流し(分流工程)、分流した水について生物粒子が存在するか否かの判定、及び、存在している場合はその生物粒子数の計数を行う。
さらに、浄水監視システムでは、浄水システム800により塩素消毒が行われた後の水だけではなく、製造された浄水が貯留されている浄水池から送水ポンプ820により送水され、配水管825を通り一旦貯留される配水池においても、浄水中に生物粒子が存在するか否かの判定が行われるとして説明する。
〔配水池〕
配水池では、浄水システム800からの浄水を配水する量を調整するために、一時的に浄水が貯留されている。なお、図17に示すように、配水管825を通じ、複数箇所の配水池が備えられている。例えば、配水池A830a、配水池B830b、配水池C830c等が備えられている。そして、浄水監視システムでは、配水池A830aに浄水用生物粒子計数器77a、配水池B830bに浄水用生物粒子計数器77b、配水池C830cに浄水用生物粒子計数器77cをそれぞれ設置し、各浄水用生物粒子計数器77a、77b、77cの分流装置(分流手段)により各配水池830a、830b、830cに貯留されている浄水を分流し(分流工程)、分流した浄水について生物粒子が存在するか否かの判定、及び、存在している場合はその生物粒子数の計数を行う。
〔ネットワーク〕
ネットワーク840は、中央監視制御装置880と、各浄水用生物粒子計数器77x、77y、77z、77a、77b、77cを接続している。このネットワーク840により、各浄水用生物粒子計数器からの生物粒子の存在の有無の判定結果や、その生物粒子の計数値が中央監視制御装置880に送信されることとなる。なお、中央監視制御装置880から各浄水用生物粒子計数器に制御信号を送信し、具体的には、それが備えられている場所の水の検査を開始する制御信号や終了を指示する制御信号を送信してもよく、各浄水用生物粒子計数器を遠隔操作し、リアルタイムで水の検査を行ってもよい。このようにネットワーク840を通じ、各浄水用生物粒子計数器が備えられた場所の水の監視をリアルタイムで行うことで、塩素消毒のための塩素の量をリアルタイムで調整することができる。なお、この塩素消毒のための塩素量の調整を制御する制御信号も、ネットワーク840を通じ、中央監視制御装置880から薬品混入制御装置870に送信され、各調整バルブ872、874、876の調整が行われることになる。ここで、浄水池818以降の浄水に問題があった場合は、浄水池818から送水ポンプ820の間に備えられた予備の塩素消毒用の配水管に塩素を注入するために、ネットワーク840を通じ、調整バルブ878を制御してもよい。
以上のように、浄水監視システムは複数の浄水用生物粒子計数器77を備えることにより、浄水システム800により製造された浄水(浄水池818)の検査だけではなく、塩素消毒後(第1混和地808、第2混和地812)の水についての検査、そして、複数箇所の配水池の水についての検査もリアルタイムで行うことができる。また、これらの検査結果に基づいて、中央監視制御装置880により塩素消毒における塩素の注入量が決定され、決定された注入量に基づいて薬品混入制御装置870の調整バルブを制御することができる。したがって、気候変動などによる藻類や微生物等の増減を、複数の浄水用生物粒子計数器77の検査により確認することができ、その検査結果に対応して塩素の注入量を調整することができる。また、塩素を必要以上に大量に注入しすぎるといったことを抑制することができるため、配水管の損傷や、人体に影響する塩素消毒により生成される塩素処理副生成物(トリハロメタン等)を抑制することができる。
1 光検出システム
2 自家蛍光計数システム
10 発光装置
20 照射光学レンズ系
30 対象流動装置
40 第1集光光学レンズ系
50 遮光装置
60 散乱光選択光学装置
65 遮光壁
70 自家蛍光選択光学装置
77 浄水用生物粒子計数器
80 第2集光光学レンズ系
90 蛍光用受光装置
100 第3集光光学レンズ系
110 散乱用受光装置
200 検出信号処理部
300 データ処理部
400 報知部
800 浄水システム
860 薬品供給装置
870 薬品混入制御装置
880 中央監視制御装置

Claims (12)

  1. 浄化処理中の水、又は、浄化処理が終了した水の少なくとも一方の水を分流する分流手段と、
    前記分流手段により分流された前記水に向けて所定の波長の光を照射する発光手段と、
    前記水に含まれる対象物と前記発光手段により照射された光との相互作用により放出される光のうち自家蛍光に基づいて、前記浄水に含まれる前記対象物が生物粒子であるか否かを判定する生物粒子判定手段と
    を備える浄水用生物粒子計数器。
  2. 請求項1に記載の浄水用生物粒子計数器において
    前記対象物又は前記水と前記発光手段により照射された光との相互作用により放出される光のうち、透過する前記水から放出されるラマン散乱光を低減し、且つ前記対象物から放出される自家蛍光を透過させる自家蛍光選択光学手段をさらに備え、
    前記生物粒子判定手段は、前記自家蛍光選択光学手段により前記ラマン散乱光が低減された後の光に基づいて、前記水に含まれる前記対象物が生物粒子であるか否かを判定し、
    前記発光手段は、照射後放出される前記自家蛍光のピーク波長と前記ラマン散乱光のピーク波長とを異ならせる前記所定の波長の光を照射することを特徴とする浄水用生物粒子計数器。
  3. 請求項2に記載の浄水用生物粒子計数器において、
    前記対象物から放出される散乱光を反射し、前記自家蛍光及び前記ラマン散乱光を含む光を透過する散乱光選択光学手段をさらに備え、
    前記生物粒子判定手段は、
    前記散乱光選択光学手段及び前記自家蛍光選択光学手段を経た後の光に基づいて、前記水に含まれる前記対象物が生物粒子であるか否かを判定することを特徴とする浄水用生物粒子計数器。
  4. 請求項3に記載の浄水用生物粒子計数器において、
    前記自家蛍光選択光学手段を経た後の光を受光し、前記受光した際の光の光量に応じる大きさの第1信号を出力する自家蛍光受光手段と、
    前記散乱光選択光学手段を経た後の光を受光し、前記受光した際の光の光量に応じる大きさの第2信号を出力する散乱光受光手段と、
    前記散乱光受光手段により出力された前記第2信号の大きさが所定の閾値以上である場合、前記水に含まれる対象物から放出された散乱光を検出したとして検出信号を出力する散乱光検出信号出力手段と、
    前記散乱光選択光学手段から前記自家蛍光選択光学手段を経て前記自家蛍光受光手段までの光路に、前記光路以外から入射する光が入り込むことを防ぐ遮光壁とをさらに備え、
    前記生物粒子判定手段は、
    前記散乱光検出信号出力手段により前記検出信号が出力された場合であって、前記散乱光受光手段により前記水に含まれる前記対象物から放出された前記散乱光が受光された時点と同時期に前記自家蛍光受光手段により光が受光され、前記時点と同時期に前記自家蛍光受光手段により前記受光された光に対応する前記第1信号の大きさが所定の閾値以上である場合、前記散乱光検出信号出力手段により出力された前記検出信号に対応する前記水に含まれる前記対象物を生物粒子であると判定することを特徴とする浄水用生物粒子計数器。
  5. 請求項2から請求項4のいずれかに記載の浄水用生物粒子計数器において、
    前記発光手段により照射される光の前記所定の波長は、375nm〜450nmであり、
    前記自家蛍光選択光学手段により光を透過する基準となるカットオフ波長は、450nm〜600nmであることを特徴とする浄水用生物粒子計数器。
  6. 浄化処理中の水、又は、浄化処理が終了した水の少なくとも一方の水を分流する分流工程と、
    前記分流工程により分流された前記水に向けて所定の波長の光を照射する発光工程と、
    前記水に含まれる対象物と前記発光工程により照射された光との相互作用により放出される光のうち自家蛍光に基づいて、前記浄水に含まれる前記対象物が生物粒子であるか否かを判定する生物粒子判定工程と
    を含む浄水用生物粒子計数方法。
  7. 請求項6に記載の浄水用私物粒子計数方法において、
    前記対象物又は前記水と前記発光工程により照射された光との相互作用により放出される光のうち、透過する前記水から放出されるラマン散乱光を低減し、且つ前記対象物から放出される自家蛍光を透過させる自家蛍光選択光学工程をさらに含み、
    前記生物粒子判定工程は、前記自家蛍光選択光学工程により前記ラマン散乱光が低減された後の光に基づいて、前記水に含まれる前記対象物が生物粒子であるか否かを判定し、
    前記発光工程は、照射後放出される前記自家蛍光のピーク波長と前記ラマン散乱光のピーク波長とを異ならせる前記所定の波長の光を照射することを特徴とする浄水用生物粒子計数方法。
  8. 請求項7に記載の浄水用生物粒子計数方法において、
    前記対象物から放出される散乱光を反射し、前記自家蛍光及び前記ラマン散乱光を含む光を透過する散乱光選択光学工程をさらに含み、
    前記生物粒子判定工程は、
    前記散乱光選択光学工程及び前記自家蛍光選択光学工程を経た後の光に基づいて、前記水に含まれる前記対象物が生物粒子であるか否かを判定することを特徴とする浄水用生物粒子計数方法。
  9. 請求項8に記載の浄水用生物粒子計数方法において、
    前記自家蛍光選択光学工程を経た後の光を受光し、前記受光した際の光の光量に応じる大きさの第1信号を出力する自家蛍光受光工程と、
    前記散乱光選択光学工程を経た後の光を受光し、前記受光した際の光の光量に応じる大きさの第2信号を出力する散乱光受光工程と、
    前記散乱光受光工程により出力された前記第2信号の大きさが所定の閾値以上である場合、前記水に含まれる対象物から放出された散乱光を検出したとして検出信号を出力する散乱光検出信号出力工程と、
    前記散乱光選択光学工程から前記自家蛍光選択光学工程を経て前記自家蛍光受光工程までの光路に、前記光路以外から入射する光が入り込むことを防ぐ遮光工程とをさらに含み、
    前記生物粒子判定工程は、
    前記散乱光検出信号出力工程により前記検出信号が出力された場合であって、前記散乱光受光工程により前記水に含まれる前記対象物から放出された前記散乱光が受光された時点と同時期に前記自家蛍光受光工程により光が受光され、前記時点と同時期に前記自家蛍光受光工程により前記受光された光に対応する前記第1信号の大きさが所定の閾値以上である場合、前記散乱光検出信号出力工程により出力された前記検出信号に対応する前記水に含まれる前記対象物を生物粒子であると判定することを特徴とする浄水用生物粒子計数方法。
  10. 請求項7から請求項9のいずれかに記載の浄水用生物粒子計数方法において、
    前記発光方法により照射される光の前記所定の波長は、375nm〜450nmであり、
    前記自家蛍光選択光学方法により光を透過する基準となるカットオフ波長は、450nm〜600nmであることを特徴とする浄水用生物粒子計数方法。
  11. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の前記浄水用生物粒子計数器を備えた浄水監視システムであって、
    複数箇所の浄化池において前記対象物を含む水を複数種類の浄化処理により浄化する浄化処理手段と、
    前記浄化処理手段による前記複数種類の浄化処理が終了した水を少なくとも1箇所の配水池に送水する送水手段と、
    前記浄水用生物粒子計数器による判定結果を報知する報知手段と
    を備え、
    前記浄水用生物粒子計数器は、最初に前記浄化処理が行われる前記浄化池から前記配水池の間の少なくとも1箇所に備えられることを特徴とする浄水監視システム。
  12. 請求項11に記載の浄化監視システムにおいて
    前記浄化処理手段による浄化処理に使用される薬品を供給する薬品供給手段と、
    前記薬品供給手段により供給される前記薬品を注入する薬品注入手段と、
    前記薬品注入手段により注入される前記薬品の注入量を制御する薬品注入量制御手段と、
    前記薬品注入量制御手段による制御の指示、及び、前記浄化処理の送水制御を行う中央監視制御手段と
    をさらに備え、
    前記中央監視制御手段は、
    前記浄水用生物粒子計数器の判定結果に基づいて前記薬品注入量制御手段による制御の指示を行うことを特徴とする浄水監視システム。
JP2012007338A 2011-12-05 2012-01-17 浄水用生物粒子計数器、浄水用生物粒子計数方法、及び、浄水監視システム Pending JP2013148391A (ja)

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