JP2017116463A - 生物粒子計数器校正用の標準粒子懸濁液の製造方法、及び、生物粒子計数器の校正方法 - Google Patents

生物粒子計数器校正用の標準粒子懸濁液の製造方法、及び、生物粒子計数器の校正方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生物粒子計数器の校正(精度管理)に適した標準粒子懸濁液の製造方法を提供すること。【解決手段】樹脂製粒子と、生物粒子と同程度の吸収波長及び蛍光波長を有する蛍光色素とを含む液体を用い、少なくとも該蛍光色素を樹脂製粒子中に取り込むことで標準粒子を形成する工程を含むことを特徴とする、生物粒子計数器校正用の標準粒子懸濁液の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、生物粒子計数器校正用の標準粒子懸濁液の製造方法、及び、生物粒子計数器の校正方法に属する。
厚生労働省から「水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針」が出され、浄水処理施設から出るろ過水の濁度を0.1度以下に維持することとなっている。本来、ろ過水濁度0.1度以下を維持する目的はクリプトスポリジウム対策であるが、近年、ゲリラ雷雨等の急激な気候変動により、浄水処理施設の原水である湖沼やダム湖にピコ植物プランクトンが大量発生しやすくなり、このピコ植物プランクトンの大量発生がろ過漏出障害等を引き起こすため、ろ過水濁度0.1度以下を担保することが困難になりつつある。そこで、本来の、クリプトスポリジウム等の生物粒子の個数や濃度を正確に測定できる状態を維持するため、簡便でリアルタイムにピコ植物プランクトン(藻類)などの生物粒子の数を計数できる装置が求められている。
このような装置として、現在、蛍光顕微鏡による目視計数方法が存在するが、この方法では、計数に手間がかかり計数値の再現性も悪いため、前記のような急激な天候変動に対応した生物粒子の個数や濃度変化をリアルタイムで測定するのは困難である。そこで、藻類などの生物粒子の別の検出法として、リアルタイムで生物粒子数を計数できる自家蛍光法が開発されている(特許文献1)。
藻類などの生物粒子を正確に計数するためには、測定装置を測定に適した状態に恒常的に維持しておく必要があり、例えば光学系においては散乱光や蛍光を受光する受光部の感度、光軸などが適正に維持されていなければならない。したがって、測定に先立って測定装置が測定に適正な状態であるかをチェックし、必要であれば、装置を適切な状態に校正しなければならない。
特開2013−148391号公報
藻類などの生物粒子を検出する水質検査装置を校正(精度管理)するためには、標準粒子が用いられる。このような校正に用いられる標準粒子は、標準粒子中に含まれる蛍光色素の量と標準粒子が発する蛍光強度との相関関係が精密に制御されている必要がある。しかしながら、生物粒子が発する自家蛍光と同程度の吸収波長及び蛍光波長を有し、安定した高い蛍光強度を示す標準粒子は存在しなかった。そのため、生物粒子を検出する水質検査装置の校正を簡便に実施できず、経時的に測定精度が低下するなどの問題があったため、浄水処理施設等の所望の水質測定の現場における測定結果の安定性を担保することができなかった。また、水質測定の現場において水質測定装置の検出系にいったん誤差が生じると装置の製造元に校正を依頼するなど、煩雑な手間が必要になるという問題があった。
水質測定の現場における測定誤差を小さくするためには、安定的な蛍光強度を示すことはもちろんのこと、現場では、環境に応じて生物粒子の濃度が低濃度の場合や高濃度の場合などと様々に変化するため、低強度の蛍光を示す標準粒子と高強度の蛍光強度を示す標準粒子とがそれぞれ必要になると考えられる。しかしながら、特に、安定的にクロロフィルなどの生物粒子に近い挙動を示す蛍光色素を高濃度で含有する粒子は存在しなかった。
本発明が解決しようとする課題は、生物粒子計数器の校正(精度管理)に適した標準粒子懸濁液の製造方法を提供することである。
前記課題は、例えば、以下の手段により解決することができる。
なお、本発明において、数値範囲を表す「a〜b」等の表記は、a以上、b以下と同義であり、a及びbをその範囲内に含むものとする。
<1> 樹脂製粒子と、生物粒子と同程度の吸収波長及び蛍光波長を有する蛍光色素とを含む液体を用い、少なくとも該蛍光色素を樹脂製粒子中に取り込むことで標準粒子を形成する工程を含むことを特徴とする、
生物粒子計数器校正用の標準粒子懸濁液の製造方法。
<2> 前記樹脂製粒子が、該粒子の質量100質量%に対し、スチレンに由来する構成単位を80質量%以上含む、<1>に記載の製造方法。
<3> 前記標準粒子1gあたりの蛍光色素の含有量が2.0μmol/g以上である、<1>又は<2>に記載の製造方法。
<4> 前記標準粒子の体積平均粒子径が0.1〜2μmである、<1>〜<3>のいずれかに記載の製造方法。
<5> 前記蛍光色素としてテトラピロール環を有する化合物を含む、<1>〜<4>のいずれかに記載の製造方法。
<6> 前記標準粒子が、生物粒子と同程度の粒径、およびそれに対応した散乱光強度を有する、<1>〜<5>のいずれかに記載の製造方法。
<7> 生物粒子に光を照射することで生じる蛍光に応じて信号(電圧)を生成する回路、及び、前記信号(電圧)に基づき前記生物粒子の数を計数可能な部位を有する生物粒子計数器を用い、<1>〜<6>のいずれかに記載の製造方法で得られる標準粒子懸濁液に光を照射することで生じる蛍光に応じて信号(電圧)を生成する信号生成ステップと、
前記信号生成ステップで用いた標準粒子懸濁液に含まれる標準粒子と同程度の蛍光色素含有量の粒子を用いて予め前記信号生成ステップと同様の方法で測定しておいた基準信号値を特定し、前記信号生成ステップで生成した信号値が該基準信号値になるように、前記回路を調整する調整ステップとを含む、
生物粒子計数器の校正方法。
本発明の製造方法によれば、生物粒子計数器の校正(精度管理)に適した標準粒子懸濁液を提供することができ、特に、生物粒子が発する自家蛍光と同程度の吸収波長及び蛍光波長を有し、安定した蛍光強度を示し、所望の強度(低強度から高強度のうちの任意の強度)の蛍光強度を示し、好ましくは、生物粒子と同程度の粒径、およびそれに対応した散乱光強度を有する標準粒子懸濁液を提供することができる。
また、本発明の製造方法により製造された標準粒子懸濁液を用いることで、蛍光色素含有量の値に対応する蛍光強度と散乱光強度、蛍光色素含有量に対応した測定パラメータ値を一度に得ることができ、生物粒子計数器の状態をより簡便に把握できる。また、たとえ生物粒子計数器の状態が悪いことが判明しても、本発明の粒子懸濁液を用いて測定した結果と、予め測定しておいた基準データとから、該計数器を適切な状態の感度に合わせることなどの校正が容易である。
図1は、本発明の実施の形態に係る、校正装置を有する生物粒子計数器の構成例を示す概略ブロック図である。 図2(A)は、標準粒子の蛍光色素含有量の値と、該蛍光色素含有量の値に対応する第1信号の基準電圧値(ここでは蛍光波高値)との関係の一例を示す図(図1の基準データ31)である。図2(B)は、標準粒子の蛍光色素含有量の値と、該蛍光色素含有量の値に対応する第2信号の基準電圧値(ここでは散乱光波高値)との関係の一例を示す図(図1の基準データ31)である。 図3は、図1に示す校正装置2の動作の一例について説明するフローチャートである。
本発明の生物粒子計数器校正用の標準粒子懸濁液(以下、「本発明の標準粒子懸濁液」または単に「懸濁液」ともいう。)の製造方法は、樹脂製粒子と、生物粒子と同程度の吸収波長及び蛍光波長を有する蛍光色素とを含む液体を用い、少なくとも該蛍光色素を樹脂製粒子中に取り込むことで標準粒子を形成する工程を含むことを特徴とする。
≪生物粒子計数器用の標準粒子懸濁液≫
本発明の懸濁液は、生物粒子と同程度の吸収波長及び蛍光波長を有する蛍光色素を含み、好ましくは、生物粒子と同程度の粒径、およびそれに対応した散乱光強度を有することを特徴とする。なお、本発明における標準粒子を、単に「標準粒子」ともいい、以下において、単に「粒子」という場合には、蛍光色素を含まない粒子のことをいう。
<標準粒子>
前記標準粒子としては、体積平均粒子径が、好ましくは0.1〜2μm、より好ましくは0.2〜1.5μm、さらに好ましくは0.3〜1.0μmの範囲内にある粒子が挙げられる。標準粒子の粒径が前記範囲にあると、該粒子は、生物粒子と同程度の散乱光強度を示しやすくなるため好ましい。なお、本発明における標準粒子の体積平均粒子径は、レーザー回折散乱光粒度分布測定装置、LS13320型にて測定できる。
本発明の懸濁液における前記標準粒子の粒子径変動係数(CV)は30%以下が好ましく、20%以下がさらに好ましい。なお、本発明における標準粒子の粒子径変動係数は、レーザー回折散乱光粒度分布測定装置、LS13320型にて測定できる。
さらに、水中において生物粒子と近い挙動を示す標準粒子を得ることを目的として、前記標準粒子は、水中における平均比重が0.90〜1.5の粒子が好ましい。
平均比重は、次のようにして測定される。つまり、比重計を用いて測定された各種の比重の水溶液を用意しておき、この水溶液に乾燥させた標準粒子群を浮かべ、該粒子群の沈降状況を観察し、該粒子群が完全に沈まずに水溶液中に浮遊している溶液の比重をもって、平均比重とする。
(樹脂製粒子)
前記標準粒子は、樹脂製粒子を含み、膨潤性の樹脂製粒子を含むことが好ましい。
前記膨潤性の樹脂製粒子としては、樹脂製粒子を溶媒に浸漬させた際に、該粒子が溶媒を吸収して体積が膨張する粒子のことをいい、樹脂製粒子を溶媒に浸漬させた際に、該粒子が溶媒を吸収し、体積が浸漬前に比べ、50〜800%程度膨張する粒子であることが好ましい。
粒子が膨潤性か否かは、例えば、溶媒吸収時の粒子を光学顕微鏡観察することで確認できる。ポリスチレン粒子を例に挙げて膨潤量の測定方法を説明する。
まず、光学顕微鏡観察により膨潤前のポリスチレン粒子の任意の100個の粒子の直径を測定し、得られた直径から体積の平均値を算出する。次に、ポリスチレン粒子を30体積%のテトラヒドロフラン(THF)水溶液に5分間浸漬し、浸漬後の粒子についても同様に光学顕微鏡観察により任意の100個の粒子の直径から体積の平均値を算出する。浸漬前の粒子の体積の平均値を100%として膨潤後の粒子の体積の平均値を算出する。溶媒の選定は粒子の材質に応じ、適宜選択すればよい。
このような樹脂製粒子としては特に制限されないが、重合性不飽和芳香族化合物、重合性不飽和カルボン酸化合物、重合性不飽和スルホン酸化合物もしくはその塩、重合性カルボン酸エステル化合物、不飽和カルボン酸アミド化合物、重合性不飽和ニトリル化合物、ハロゲン化ビニル化合物、及び、共役ジエン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を用いて得られる粒子であることが好ましく、重合性不飽和芳香族化合物、重合性不飽和カルボン酸化合物、重合性不飽和スルホン酸化合物もしくはその塩、及び、重合性カルボン酸エステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を用いて得られる粒子であることがより好ましい。
樹脂製粒子の原料化合物として、具体的には、スチレン、クロルスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルナフタレン、(メタ)アクリル酸α−ナフチル、(メタ)アクリル酸β−ナフチルなどの重合性不飽和芳香族類;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などの重合性不飽和カルボン酸類;スチレンスルホン酸ソーダなどの重合性不飽和スルホン酸類若しくはその塩;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、エチレングリコール−ジ−(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルなどの重合性カルボン酸エステル類;等が挙げられる。
また、樹脂製粒子の原料化合物として、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクロレイン、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ブタジエン、イソプレン、酢酸ビニル、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル;などの重合性不飽和カルボン酸アミド類、重合性不飽和ニトリル類、ハロゲン化ビニル類、共役ジエン類等を挙げることができる。
これらのうち、蛍光色素を容易に取り込むことができ、得られる標準粒子からの蛍光色素の脱落を抑制できる等の点から、重合性不飽和芳香族類由来の構成単位と、重合性不飽和カルボン酸類及び重合性不飽和スルホン酸類若しくはその塩から選ばれる少なくとも1種由来の構成単位とを含む共重合体が好ましく、特にスチレンと、重合性不飽和カルボン酸及び重合性不飽和スルホン酸から選ばれる少なくとも1種との共重合体がより好ましい。
前記樹脂製粒子中の重合性不飽和芳香族類、好ましくはスチレン由来の構成単位の含有量は、該粒子を構成する全構成単位の質量100質量%に対し、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上である。重合性不飽和芳香族類は、特に後述する非水溶性の蛍光色素との親和性が高く、標準粒子からの蛍光色素の脱落を抑制できる観点で好ましい。
重合性不飽和芳香族類と重合性不飽和カルボン酸及び重合性不飽和スルホン酸から選ばれる少なくとも1種との共重合比は、重合性不飽和芳香族類、重合性不飽和カルボン酸及び重合性不飽和スルホン酸の総使用量100質量%に対し、樹脂製粒子の分散性の観点から、重合性不飽和カルボン酸及び重合性不飽和スルホン酸の使用量が、好ましくは0.01〜5質量%であり、より好ましくは0.1〜3質量%であり、特に好ましくは0.3〜1質量%である。
前記樹脂製粒子は、市販品を用いてもよく、従来公知の方法で合成したものを用いてもよい。前記従来公知の方法としては、特に制限されないが、分散重合法、懸濁重合法、乳化重合法が挙げられ、乳化重合法が好ましい。
(蛍光色素)
前記標準粒子は、生物粒子と同程度の吸収波長及び蛍光波長を有する蛍光色素を含む。生物粒子と同程度の吸収波長とは、例えば分光光度計により測定した吸収スペクトルから得られた吸収極大波長が、350〜500nmの範囲内にあることをいう。また、生物粒子と同程度の蛍光波長とは、分光蛍光光度計により測定した蛍光スペクトルから得られた最大蛍光波長が600〜750nmの範囲内にあることをいう。
前記蛍光色素は、テトラピロール環を有する化合物を含むことが好ましく、非水溶性の蛍光色素が好ましい。非水溶性であるとは、25℃の水100gに対する蛍光色素の溶解量が3g以下であることをいい、好ましくは2g以下、より好ましくは1g以下である。溶解度が前記範囲内であると、蛍光色素の樹脂製粒子に対する着色性に優れ、水中に標準粒子を分散させても蛍光色素の脱落が少なく、安定した蛍光強度を示す懸濁液を得ることができる。
テトラピロール環を有する化合物としては、ポルフィリン又はポルフィリン誘導体が挙げられる。ポルフィリンとは、4つのピロール環を構成する4つの窒素原子、及び、種々の金属原子で容易に置換できる2つの置換可能水素原子を有する化合物のことをいう。ポルフィリン誘導体としては、ポルフィリン環骨格中にさらに該骨格を形成する環以外の他の環を含むポルフィリン(例:フタロシアニン);ポルフィリン環骨格の1つ以上の炭素原子をヘテロ原子で置換した構造を有するポルフィリン(骨格炭素の置換体);ポルフィリン環骨格の1つ以上の窒素原子を炭素原子又は窒素原子以外のヘテロ原子で置換した構造を有する誘導体(骨格窒素の置換体);ポルフィリンの末端(メソ−、β−)部分又はコア原子(ピロール環の窒素原子に結合、配位する)部分に、水素以外の置換基又は原子を有する誘導体;ポルフィリン環骨格の1つ以上の不飽和結合が飽和結合に変換された構造を有する誘導体(ヒドロポルフィリン、例えば、クロリン、バクテリオクロリン、イソバクテリオクロリン、デカヒドロポルフィリン、コルフィン、ピロコルフィン);1つ以上のポルフィリン原子に対し、1つ以上の金属原子が配位した構造を有する誘導体(メタロポルフィリン);ポルフィリン環骨格にピロール単位やピロメテニル単位が導入された、つまり、5つ以上のピロール環等の環を含む骨格を有する誘導体(環拡張ポルフィリン);ポルフィリン環骨格のうち、1つ以上の基(例:メゾ位)が少ない誘導体(省略ポルフィリン、例えば、コリン、コロール);及び、前記誘導体の組み合わせを含む。
前記ポルフィリン環骨格の1つ以上の不飽和結合が飽和結合に変換された構造を有する誘導体の具体例としては、クロロフィルa、b、d又はfが挙げられる。
バクテリオクロリンは、2つの部分的に飽和された非隣接(すなわち、トランス)ピロール環を有し、イソバクテリオクロリンは、2つの部分的に飽和された隣接(すなわち、シス)ピロール環を有する。
本発明では、テトラピロール環を有する化合物の中でも、下記式(1)で表される化合物又はその金属錯体が特に好ましい。
Figure 2017116463
式(1)において、
Rは独立に、水素原子、ハロゲン原子(好ましくは臭素原子)、ニトロ基、シアノ基又はアルコキシル基(例えばメトキシ基、エトキシ基)を表し、
Gは独立に、ハロゲン原子、水酸基、スルホン酸基、カルボキシ基、アルコキシ基又はアミノ基を表し、
a、b、c及びdはそれぞれ独立に、0〜5の整数を表し、Gの各フェニル基における置換位置も同じであっても異なっていてもよく、
A、B、C及びDはそれぞれ独立に、メゾ位の炭素原子とともに、ポルフィリン、クロリン、バクテリオクロリン又はイソバクテリオクロリン骨格を形成する5員環の窒素含有環を表す。
式(1)で表されるテトラフェニルポルフィリン又はその誘導体の金属錯体における金属としては、マグネシウム、亜鉛、銅、鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、チタン、アルミニウム等が挙げられ、好ましくはマグネシウムが挙げられる。前記蛍光色素としては、前記課題を解決し易い化合物が好ましく、式(1)で表される、金属錯体ではないテトラフェニルポルフィリン骨格を有する化合物が好ましい。
前記蛍光色素としては、後述する浸潤法において十分な量の蛍光色素を粒子中に留めることができる蛍光色素が好ましく、非水溶性の色素であることが好ましく、浸潤法に使用する有機溶媒(例:THF)に対する溶解度が高い色素であることが好ましく、用いる樹脂製粒子との相溶性が高い色素であることが好ましく、得られた標準粒子を水系媒体中に分散させても該標準粒子中から色素漏出し難い色素であることが好ましい。樹脂製粒子を構成するポリマーとの相溶性が高い、非水溶性の蛍光色素を用いた場合、得られる標準粒子を水系媒体中に分散させても、色素の漏出が生じ難く、蛍光色素の濃度が所定濃度である標準粒子が得られるため、このような標準粒子を用いることで、安定した検量線を引くことができ、校正の精度が向上する。
前記標準粒子における蛍光色素の含有量は、標準粒子1gあたりに換算して2μmol/g以上であることが好ましく、5〜80μmol/gであることがより好ましく、6〜40μmol/gがさらに好ましい。
蛍光色素の含有量が前記範囲内であると、十分な蛍光強度を示しつつ、消光が生じ難い標準粒子が得られるため好ましい。
本発明において、蛍光色素の含有量(粒子内に取り込まれた蛍光色素、もしくは粒子表面に結合した蛍光色素のことをいう。)は、以下のようにして求められる値である。
すなわち、標準粒子を、該粒子を溶解可能な有機溶媒(例:N−メチルピロリドン)にて溶解し、得られた溶解液の吸収スペクトルを測定する。得られた吸光度を用い、別途測定した目的色素のみの濃度検量線から溶解液中の色素の濃度を算出することで、標準粒子中の色素含有量が求められる。
標準粒子を溶解させることで、懸濁液中の濁度の影響を排除することができ、懸濁液中に含まれる目的色素の量を測定することができる。
<標準粒子の製造方法>
標準粒子の製造方法としては、(手法1)化学結合により粒子表面に蛍光色素を固定化する方法、(手法2)蛍光色素の存在下で造粒し、粒子化する過程で蛍光色素を該粒子に取り込ませる方法、(手法3)樹脂製粒子と、生物粒子と同程度の吸収波長及び蛍光波長を有する蛍光色素とを含む液体を用い、少なくとも該蛍光色素を樹脂製粒子中に取り込む工程を含む浸潤法、より好ましくは、膨潤性の樹脂製粒子を蛍光色素を含む有機溶媒中で膨潤させ、少なくとも該蛍光色素を該粒子中に取り込む浸潤法などが考えられるが、本発明では、(手法3)を用いる。
前記(手法1)では、化学結合により蛍光色素が粒子表面に結合しているため、色素の脱落が少なく安定した蛍光強度が得られる一方で、蛍光色素の導入量を多くすることができず、特に、高濃度の検量線を作成するための測定点数が十分に得られないため、結果として、得られた標準粒子を用いた場合、校正精度が落ちる傾向にある。(手法2)では、十分な高蛍光強度の標準粒子の製造が困難である傾向にあり、特に、高濃度の検量線を作成するための測定点数が十分に得られず誤差の低減が困難となる傾向にある。また、造粒過程において、所定量の蛍光色素を粒子に取り込ませることが困難となる傾向にあるため、結果として、得られた標準粒子を用いた場合、校正精度が落ちる場合がある。
一方で、前記(手法3)によれば、得られる標準粒子中の蛍光色素量を所望量に容易に制御することができ、所望の発光強度を有する標準粒子、特に高蛍光強度の標準粒子を容易に製造することができる。
以下、前記標準粒子を製造する方法の好ましい一例を挙げる。
まず、乳化重合などにより、例えば、スチレン−メタクリル酸共重合体からなる樹脂製粒子を製造する。好ましい組成、粒子径等は前記の通りである。
次に、この樹脂製粒子群を水系媒体中に分散させ、水系分散液を調製する。該水系分散液中の樹脂製粒子の濃度としては、0.5〜10質量%の範囲が好ましく、1〜5質量%がより好ましく、2〜3質量%がさらに好ましい。
樹脂製粒子を分散する水系媒体としては、水を50質量%以上含むものが好ましく、80質量%以上含むものがより好ましく、90質量%以上含むものがさらに好ましい。
前記水系分散液は、界面活性剤などの添加剤を含有していてもよい。
界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤が挙げられ、中でも粒子分散安定性を高めることから高分子系界面活性剤が好ましく、Pluronic F−127、Kolliphor P407(BASF社製、シグマアルドリッチ社製)がより好ましい。界面活性剤濃度は、蛍光色素吸収時に0.1〜1質量%の範囲内で含まれることが好ましい。
得られた樹脂製粒子の水系分散液に、蛍光色素を有機溶媒に溶解した色素溶液を加えて撹拌しながら染色する。樹脂製粒子の水系分散液に色素溶液を加えると、樹脂製粒子が膨潤し、溶媒中に存在する色素が徐々に樹脂製粒子内に吸収されてゆく。
蛍光色素を溶解する溶媒としては、例えば、エチルエーテル、イソプロピルエーテルなどのエーテル類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;塩化メチレン;二塩化エチレン;クロロホルム;四塩化炭素;酢酸エチル;酢酸メチル;メチルエチルケトン;シクロヘキサン;シクロペンタン;THF;トルエン;ヘキサン;ヘプタンなどが挙げられ、用いる蛍光色素の種類等に応じて1種類又は2種類以上が用いられる。本発明においては、水に溶解し、且つ、蛍光色素の溶解度が高いことから、THFが好ましい。
色素溶液における蛍光色素の濃度は0.1〜5mmol/Lの範囲内が好ましく、0.2〜2mmol/Lがより好ましく、0.5〜1.5mmol/Lがさらに好ましい。
樹脂製粒子の水系分散液と色素溶液との使用割合は、樹脂製粒子と蛍光色素との比率が、樹脂製粒子100gに対して、蛍光色素が0.1〜6gの範囲内となるように使用することが好ましく、0.2〜3gがより好ましく、0.6〜2gがさらに好ましい。
なお、蛍光色素の使用量が多くなれば、得られる標準粒子の蛍光強度が増加する傾向にあるが、蛍光色素の使用量があまりに多くなると、消光現象によって、得られる標準粒子の蛍光強度が飽和状態に達する場合がある。このため、蛍光強度の点やコストの点などを考慮すると、蛍光色素の使用量は前記範囲にあることが好ましい。
蛍光色素吸収時における有機溶媒濃度は、樹脂製粒子の組成、粒子径などにより決定されるが、15〜50体積%が好ましく、20〜45体積%がより好ましく、25〜40体積%がさらに好ましい。この範囲内であると、樹脂製粒子の膨潤が十分となり、蛍光色素を取り込みやすい。また、得られる標準粒子からの蛍光色素の浸出が低減され、樹脂製粒子の状態変化による凝集や形状の変化を抑制できる。
蛍光色素を樹脂製粒子に吸収させる温度は、20〜30℃の範囲で樹脂製粒子を重合する際の反応温度を超えない範囲に設定することが好ましい。
また、蛍光色素を樹脂製粒子に吸収させる時間(樹脂製粒子の水系分散液と色素溶液とを、撹拌する時間)は、用いる蛍光色素の種類、樹脂製粒子の組成、粒子径などにより決定されるが、通常、2〜30分が好ましい。
蛍光色素を樹脂製粒子に吸収させる工程は、前記色素溶液で用いた有機溶媒を除去することにより終了する。
前記有機溶媒を除去する方法としては、遠心分離処理又は透析処理が挙げられる。さらに、蛍光色素濃度が飽和溶解度以上になって標準粒子から浸出することを防ぐために、界面活性剤による洗浄工程を設けておくことが好ましい。このように処理された標準粒子は、水(溶液)中で蛍光色素が浸出し難いため好ましい。
前記のように、所定時間蛍光色素を吸収させ、遠心分離処理などにより色素溶液と標準粒子とを分離した後、水などの溶媒に標準粒子を分散させて本発明の懸濁液を得ることができる。
<標準粒子懸濁液>
本発明の懸濁液は、前記標準粒子と、分散媒、好ましくは水系媒体とを少なくとも含み、必要に応じて凝集防止剤、屈折率調節剤、防腐剤などの公知の添加剤を含んでいてもよい。
本発明の懸濁液中の標準粒子の濃度は、所望の用途に応じ適宜調整すればよい。
前記水系媒体としては、本発明の懸濁液中の液体成分100質量%に対し、水を80質量%以上含むものが好ましく、90質量%以上含むものが好ましく、95質量%以上含むものがさらに好ましい。
≪生物粒子計数器の校正方法≫
本発明において、生物粒子計数器の校正方法は、例えば
生物粒子に光を照射することで生じる蛍光に応じて信号(電圧)を生成する回路、及び、前記信号(電圧)に基づき前記生物粒子の数を計数可能な部位を有する生物粒子計数器を用い、前記本発明の懸濁液に光を照射することで生じる蛍光に応じて信号(電圧)を生成する信号生成ステップと、
前記信号生成ステップで用いた標準粒子懸濁液に含まれる標準粒子と同程度の蛍光色素含有量の粒子を用いて予め前記信号生成ステップと同様の方法で測定しておいた基準信号値を特定し、前記信号生成ステップで生成した信号値が該基準信号値になるように、前記回路を調整する調整ステップとを含む、
ことを特徴とする。
図1は、本発明の実施の形態に係る、校正装置を有する生物粒子計数器の構成例を示す概略ブロック図である。図1に示す生物粒子計数器1の校正が、本発明に係る生物粒子計数器の校正方法に従って、校正装置2によって実行される。
生物粒子計数器1は、例えば、特開2013−117466号公報に記載の装置のように、生物粒子又は標準粒子を含む試料液体が流動するフローセル(図示せず)と、フローセル内の所定の計測域に対してレーザー光などの光を照射する光源及び光学系(図示せず)と、その照射光に基づいて、計測域内の粒子(生物粒子又は校正用粒子)が発する蛍光と散乱光とを分離する光学系(図示せず)とを備える。
さらに、生物粒子計数器1は、生物粒子又は標準粒子に光を照射することで生じる蛍光に応じて第1信号(電圧)を生成する第1回路11と、その光の照射の際に生じる生物粒子又は標準粒子からの散乱光に応じて第2信号(電圧)を生成する第2回路12と、その第1信号及び第2信号に基づき生物粒子又は標準粒子の数を計数する計数処理部13などとを備える。
第1回路11は、例えば、フォトダイオードなどの蛍光受光部11aと、増幅器11bと、A/D変換器11cとを備える。例えば、蛍光受光部11aは、前述の生物粒子又は標準粒子からの蛍光を受光し、受光した蛍光の強度に応じた電圧の電気信号を出力し、増幅器11bは、その電気信号の電圧を所定の増幅率で増幅し、A/D変換器11cは、増幅後の電気信号をデジタル信号へ変換する。
第2回路12は、例えば、フォトダイオードなどの散乱光受光部12aと、増幅器12bと、A/D変換器12cとを備える。例えば、散乱光受光部12aは、前述の生物粒子又は標準粒子からの散乱光を受光し、受光した散乱光の強度に応じた電圧の電気信号を出力し、増幅器12bは、その電気信号の電圧を所定の増幅率で増幅し、A/D変換器12cは、増幅後の電気信号をデジタル信号へ変換する。
計数処理部13は、例えば、第1回路11から出力されるデジタル信号及び第2回路12から出力されるデジタル信号に基づいて、計測域を通過する生物粒子又は標準粒子を粒径区分ごとに計数するデジタル処理回路である。なお、粒径区分の閾値は、粒子(蛍光色素の含有量がゼロの粒子、具体的には、蛍光色素を含まない以外は前記標準粒子と同じ粒子)の粒径に対応する散乱光強度に基づき設定されている。
生物粒子又は標準粒子は、前述の計測域を通過する際に、照射されるレーザー光などの光に対応する蛍光及び散乱光を発する。なお、蛍光特性を有さない非生物粒子が計測域を通過する際には、散乱光は発せられるが、蛍光は発せられない。このため、計数処理部13は、前述の計測域を通過する生物粒子又は標準粒子の1つずつに対応して、パルス状の第1信号及び第2信号を検出し、このパルス状の第1信号及び第2信号の数に基づいて、生物粒子又は標準粒子の数を計測する。その際、パルス状の第1信号及び第2信号の波高値がそれぞれ所定の閾値を超えた場合、生物粒子又は標準粒子の数がカウントされる。
つまり、計数処理部13は、同一のタイミングでパルス状の第1信号及び第2信号が観測された場合に、生物粒子又は標準粒子が観測されたものとしてカウントし、第2信号が観測されたタイミングで第1信号が観測されない場合、非生物粒子が観測されたものとして、生物粒子又は標準粒子としてカウントしない。また、第2信号の波高値に基づいて生物粒子又は標準粒子の粒径が計測され、第1信号の波高値に基づいて生物粒子又は標準粒子の蛍光強度が計測される。したがって、生物粒子計数器1は、生物粒子又は標準粒子の数だけではなく、粒径及び蛍光強度(の分布)を観測することができる。
さらに、生物粒子計数器1は、例えば、インターフェイス14と制御部15とを備える。インターフェイス14は、校正装置2などの外部の装置に有線又は無線で接続しデータ通信を行う。例えば、生物粒子計数器1からの計測結果の出力、生物粒子計数器1への各種指令の入力などがインターフェイス14を介して行われる。
制御部15は、生物粒子計数器1の内部装置(第1回路11、第2回路12、計数処理部13、インターフェイス14など)を制御し、計測開始、計測終了、計測結果の出力、第1回路11及び第2回路12の調整などの生物粒子計数器1の動作を制御する。
他方、校正装置2は、例えば、インターフェイス21と、計測値取得部22と、回路調整部23と、記憶装置24と、入力装置25と、表示装置26と、制御部27とを備える。
インターフェイス21は、生物粒子計数器1のインターフェイス14と有線又は無線でデータ通信を行う通信装置である。生物粒子計数器1からの計測結果の取得、生物粒子計数器1への校正指令の提供などがインターフェイス21を介して実行される。
計測値取得部22は、例えば、生物粒子計数器1から、標準粒子についての第1信号の電圧値(例:蛍光波高値)及び第2信号の電圧値(例:散乱光波高値)を取得する。
なお、計測値取得部22は、事前に生物粒子計数器1によって計測され、保存されている、標準粒子懸濁液についての第1信号の電圧値及び第2信号の電圧値を生物粒子計数器1から取得してもよいし、生物粒子計数器1に計測を実行させ、計測された標準粒子懸濁液についての第1信号の電圧値及び第2信号の電圧値を生物粒子計数器1から取得してもよい。
生物粒子計数器1の校正時には、前記本発明の懸濁液を、生物粒子計数器1のフローセル内に流入させ、第1信号及び第2信号の計測が行われる(信号生成ステップ)。
回路調整部23は、記憶装置24から基準データ31を読み出して、基準データ31に基づいて、計測値取得部22により取得された標準粒子懸濁液についての第1信号の電圧値及び第2信号の電圧値がそれぞれの基準データ(基準電圧値)になるように、生物粒子計数器1の第1回路11及び第2回路12をそれぞれ調整する。
具体的には、回路調整部23は、(a)基準データ31を使用して、今回の校正に使用された標準粒子懸濁液(つまり、計測値取得部22によって第1信号の電圧値が取得された標準粒子を含む液体)に含まれる標準粒子と同程度の蛍光色素含有量の粒子を用いて、予め前記信号生成ステップと同様の方法で測定しておいた第1信号の基準電圧値を特定し、(b)校正時に生物粒子計数器1で測定した標準粒子懸濁液の第1信号の電圧値(校正時測定電圧値)が、基準データ31に基づいて特定した基準電圧値になるように、第1回路11を調整する。また、回路調整部23は、(c)基準データ31を使用して、今回の校正に使用された標準粒子懸濁液(つまり、計測値取得部22によって第2信号の電圧値が取得された標準粒子を含む液体)に含まれる標準粒子と同程度の蛍光色素含有量の粒子を用いて、予め前記信号生成ステップと同様の方法で測定しておいた第2信号の基準電圧値を特定し、(d)校正時に生物粒子計数器1で測定した標準粒子懸濁液の第2信号の電圧値(校正時測定電圧値)が、基準データ31に基づいて特定した基準電圧値になるように、第2回路12を調整する。
この実施の形態では、蛍光強度の校正において、回路調整部23は、標準粒子についての第1信号の電圧値(校正時測定電圧値)を基準電圧値に合わせるために増幅器11bの増幅率の補正係数を導出し、導出した補正係数を、インターフェイス21を介して生物粒子計数器1に出力し、生物粒子計数器1の第1回路11を調整している。つまり、インターフェイス14,21を介して前記補正係数が受信され、増幅器11bの増幅率がその補正係数に基づいて、生物粒子計数器1の制御部15により設定される。具体的には、その補正係数と現在の増幅率との積に増幅率が設定される。
例えば、標準粒子懸濁液を用いて取得された第1信号の電圧値(校正時測定電圧値、例えば波高値)がV1であり、該懸濁液に含まれる標準粒子と同程度の蛍光色素含有量の粒子を用いて予め測定しておいた第1信号の基準電圧値がV1rである場合、補正係数C1は、V1r/V1とされる。変更前の増幅器11bの増幅率がA1である場合、変更後の増幅率は、C1×A1とされる。
また、散乱光強度の校正において、回路調整部23は、標準粒子についての第2信号の電圧値(校正時測定電圧値)を基準電圧値に合わせるために増幅器12bの増幅率の補正係数を導出し、導出した補正係数を、インターフェイス21を介して生物粒子計数器1に出力し、生物粒子計数器1の第2回路12を調整している。つまり、インターフェイス14,21を介して前記補正係数が受信され、増幅器12bの増幅率がその補正係数に基づいて、生物粒子計数器1の制御部15により設定される。具体的には、その補正係数と現在の増幅率との積に増幅率が設定される。
例えば、標準粒子懸濁液を用いて取得された第2信号の電圧値(校正時測定電圧値、例えば波高値)がV2であり、該懸濁液に含まれる標準粒子と同程度の粒径及び蛍光色素含有量の粒子を用いて予め測定しておいた第2信号の基準電圧値がV2rである場合、補正係数C2は、V2r/V2とされる。変更前の増幅器12bの増幅率がA2である場合、変更後の増幅率は、C2×A2とされる。
さらに、この実施の形態では、基準データ31は、複数の粒径のそれぞれについて、蛍光色素含有量の値と、該蛍光色素含有量の値に対応する第1信号の基準電圧値及び第2信号の基準電圧値などの個別基準データを含んでおり、回路調整部23は、基準データ31から、校正に使用された標準粒子の蛍光色素含有量及び/又は粒径に対応する基準データを選択し使用する。
記憶装置24は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置であって、基準データ31を記憶している。なお、通常、基準データ31は、近似式、テーブルなどで表現されている。したがって、回路調整部23は、近似式を計算したりテーブルを参照したりして、前述の基準電圧値を特定する。
また、入力装置25は、校正装置2に対するユーザー操作を検出するハードキー、タッチパネルなどであり、表示装置26は、ユーザーに対して各種情報を表示する液晶ディスプレイ、インジケータなどである。
制御部27は、入力装置25に対して行われたユーザー操作などに基づいて、校正装置2の内部装置(計測値取得部22、回路調整部23、表示装置26など)を制御して、生物粒子計数器1の校正などを実行する部分である。
例えば、入力装置25に、使用する標準粒子懸濁液中の標準粒子の粒径の値、蛍光色素含有量の値などが入力されると、制御部27は、計測値取得部22に、該懸濁液を用いて前述の第1信号及び第2信号の電圧値を取得させ、また、入力された粒径及び蛍光色素含有量の値を回路調整部23に提供し、今回測定した電圧値と基準電圧値との関係に基づいて、回路調整部23に、生物粒子計数器1の第1回路11及び第2回路12の調整を実行させる。
なお、前述の基準電圧値は、予め、所定の計測環境にて、標準粒子懸濁液を使用して正確に計測された電圧値であり、基準データ31であり、記憶装置24に格納される。
また、計測値取得部22及び回路調整部23は、コンピュータでプログラムを実行してソフトウェア的に実現してもよいし、専用回路でハードウェア的に実現してもよい。
なお、この実施の形態では、標準粒子についての前述の第1信号及び第2信号の電圧値(校正時測定電圧値及び基準電圧値、ここでは波高値)は、それぞれ、複数個の標準粒子についての電圧値の平均値とされる。生物粒子計数器1が、この平均値を計算するか、校正装置2の計測値取得部22が、第1信号及び第2信号のそれぞれについて、複数個の標準粒子についての電圧値を取得し、取得した電圧値の平均値を計算する。
次に、前記校正装置2の動作の一例について説明する。図3は、図1に示す校正装置2の動作の一例について説明するフローチャートである。
校正装置2では、入力装置25により所定のユーザー操作が検出されると、制御部27は、この校正装置2に接続されている生物粒子計数器1の自動校正を開始する。まず、制御部27は、表示装置26を介して、ユーザーに対して、標準粒子の粒径及び蛍光色素含有量の値の入力を促す。
ユーザーが、入力装置25に対して、今回の校正に使用する標準粒子の粒径及び蛍光色素含有量の値を入力する(ステップS1)と、制御部27は、入力された粒径及び蛍光色素含有量の値を回路調整部23に出力する。
回路調整部23は、基準データ31のうち、入力された粒径及び/又は蛍光色素含有量に対応する基準データを選択して読み出し(ステップS2)、該基準データに基づいて、第1信号の基準電圧値V1rと第2信号の基準電圧値V2rとを特定する。
また、制御部27は、インターフェイス21を介して、モード切り替え指示を生物粒子計数器1に出力し、生物粒子計数器1の動作モードを校正モードに切り替える。校正モードでは、第1回路11の増幅器11b及び第2回路12の増幅器12bの増幅率が変更可能となる。その後、計測値取得部22は、ユーザーが入力した粒径及び蛍光色素含有量と同様の標準粒子を用いて、生物粒子計数器1で第1信号及び第2信号を測定し、該第1信号の電圧値V1及び第2信号の電圧値V2(校正時測定電圧値、ここでは波高値)を生物粒子計数器1から取得する(ステップS3)。なお、その校正時測定電圧値についての計測は、ステップS2の前に行われてもよいし、動作モードが校正モードに切り替えられた後に実行されてもよい。
計測値取得部22によって、前述の第1信号の電圧値V1及び第2信号の電圧値V2が取得されると、回路調整部23は、その第1信号の電圧値V1及び第2信号の電圧値V2に基づいて、補正係数C1,C2を計算する(ステップS4)。
そして、回路調整部23は、インターフェイス14,21を介して、その補正係数C1,C2を生物粒子計数器1の制御部15に提供し、制御部15に、その補正係数C1,C2に基づいて増幅器11b,12bの増幅率を変更させる(ステップS5)。
生物粒子計数器1の制御部15は、増幅率の変更後、自動的に、動作モードを校正モードから計測モードに戻す。
以上のように、前記実施の形態によれば、計測値取得部22は、生物粒子に光を照射することで生じる蛍光に応じて第1信号(電圧)を生成する第1回路11、及び生物粒子に光を照射することで生じる散乱光に応じて第2信号(電圧)を生成する第2回路12を有し、第1信号及び/又は第2信号に基づき生物粒子を計数する生物粒子計数器1から、標準粒子懸濁液に光を照射することで生じる蛍光に応じて生成する第1信号の電圧値V1(校正時測定電圧値)及び第2信号の電圧値V2(校正時測定電圧値)を取得する。回路調整部23は、前記校正時測定電圧値を測定する際に用いた標準粒子と同様の粒径及び蛍光色素含有量の粒子を用いて、予め測定しておいた基準信号値(前記第1信号に対応する基準電圧値V1r及び前記第2信号に対応する基準電圧値V2r)を、基準データ31から特定し、前記電圧値V1が、基準電圧値V1rになるように第1回路11を調整し、また、電圧値V2が、基準電圧値V2rになるように第2回路12を調整する。
これにより、自動的に蛍光及び散乱光の検出回路である第1回路11及び第2回路12が正確に校正される。つまり、生物粒子計数器1の蛍光及び散乱光の感度を基準値に合わせることができるため、生物粒子計数器の蛍光及び散乱光の感度のバラツキが低減される。特に、標準粒子として、湿潤法で粒子内部に蛍光色素を取りこませた粒子を用いる場合、蛍光特性のバラツキが少なく、蛍光色素含有量の値と蛍光の検出信号である第1信号の基準電圧値との対応関係を予め正確に特定しておくことができる。そのため、その対応関係を基準データ31として用意しておくことで、計数対象となる生物粒子が変化し、計数対象となる生物粒子に対応して生物粒子計数器1を改めて校正する際に、変更後の計数対象となる生物粒子に対応した標準粒子の蛍光色素含有量の値を入力することで、計数対象となる生物粒子に合わせて生物粒子計数器を正確に校正することができる。
また、1回の計測及び校正によって、蛍光の検出回路である第1回路11及び散乱光の検出回路である第2回路12の両方が並行して校正できるので、校正に要する時間や手間が少なくて済む。
なお、前述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
例えば、前記実施の形態において、校正装置2は、前述の校正の後に、所定数の校正用粒子を含む所定個数濃度液体内の校正用粒子か、所定数の校正用粒子と所定数の標準粒子であるポリスチレン粒子とを含む所定個数濃度液体内の校正用粒子とポリスチレン粒子とを生物粒子計数器1に計数させ、その計数結果に基づいて生物粒子計数器1の計数効率を特定し評価するようにしてもよい。
また、前記の実施の形態では、補正係数C1,C2に基づいて、増幅器11b,12bの増幅率を調整しているが、その代わりに、補正係数C1,C2に基づいて、受光部11a,12aの感度を調整したり、A/D変換器11c,12cの出力を調整するようにしてもよい。
以下、本発明を具体例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されない。
[実施例1]
容器に、ポリスチレン粒子(スチレン由来の構成単位が99質量%であり、マレイン酸由来の構成単位が1質量%である共重合体、粒子の重量平均分子量:33万(分子量の測定は、東ソー株式会社製HLC−8220GPC型装置、東ソー株式会社製TSKgelカラム(G2000Hxl,G3000Hxl,G4000Hxl)、溶媒THF、流量1.0mL/minの条件にて行った。)、体積平均粒子径:0.673μm、粒子径変動係数(CV):18.7%(体積平均粒子径および粒子径変動係数(CV)の測定は、Beckman社製、レーザー回折散乱光粒度分布測定装置、LS13320型にて行った。))10質量%スラリー(分散媒:水)を1mL、水を2mL、界面活性剤(Pluronic F−127、BASF社製)2質量%水溶液を1mL添加し、ポリスチレン粒子分散液を得た。
次に、TPP(テトラフェニルポルフィリン、東京化成工業株式会社製)のTHF(テトラヒドロフラン、和光純薬工業株式会社製)色素溶液(TPP濃度:0.5mmol/L)を調製した。
前記で得られたポリスチレン粒子分散液4mLに対して、色素溶液2mLを速やかに加え、25℃で20分間撹拌した。ポリスチレン粒子1gに対する色素の仕込み量は10μmol/gに相当する。この色素吸収時(25℃で20分間撹拌時)のTHF濃度は33体積%であった。色素吸収終了後(25℃で20分間撹拌後)、得られた蛍光粒子を透析膜(Spectrum社製Spectra/Por7、MWCO 50kD)を用いて回収し、得られた蛍光粒子溶液の300倍量の水を外液として6時間(3時間×2回)透析を行い、THFの除去を行った。その後、遠心洗浄を繰り返し、界面活性剤の除去を行った。以上の浸潤法により蛍光粒子を得た。
得られた蛍光粒子の、蛍光粒子1gあたりの色素含有量は、10.2μmol/gであった。蛍光粒子中の色素含有量は、蛍光粒子の乾燥重量0.5〜1.0mgを、N−メチルピロリドン1.0mLにて溶解し、得られた溶解液の420nmの吸光度を測定し、別途測定したTPPの濃度検量線から溶解液中の色素の濃度を算出することで測定した。
[実施例2〜6]
TPP色素溶液の色素溶液濃度を表1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして蛍光粒子を作製した。結果を表1に示す。
[実施例7]
容器に、実施例1で用いたスラリーと同じポリスチレン粒子10質量%スラリー(分散媒:水)を1mL、水を3.4mL、界面活性剤(Pluronic F−127、BASF社製)2質量%水溶液を1mL添加し、ポリスチレン粒子分散液を得た。そこに、実施例1と同様にして作成したTPP色素溶液(TPP濃度:1.67mmol/L)0.6mLを速やかに加え、25℃で20分間撹拌した。ポリスチレン粒子1gに対する色素の仕込み量は10μmol/gに相当する。この色素吸収時(25℃で20分間撹拌時)のTHF濃度は10体積%であった。以降、実施例1と同様にして蛍光粒子を作製した。得られた蛍光粒子の、蛍光粒子1gあたりの色素含有量は、2.2μmol/gであった。
[実施例8]
容器に、実施例1で用いたスラリーと同じポリスチレン粒子10質量%スラリー(分散媒:水)を1mL、水を2.8mL、界面活性剤(Pluronic F−127、BASF社製)2質量%水溶液を1mL添加し、ポリスチレン粒子分散液を得た。そこに、実施例1と同様にして作成したTPP色素溶液(TPP濃度:0.83mmol/L)1.2mLを速やかに加え、25℃で20分間撹拌した。ポリスチレン粒子1gに対する色素の仕込み量は10μmol/gに相当する。この色素吸収時(25℃で20分間撹拌時)のTHF濃度は20体積%であった。以降、実施例1と同様にして蛍光粒子を作製した。得られた蛍光粒子の、蛍光粒子1gあたりの色素含有量は、8.4μmol/gであった。
[実施例9]
容器に、実施例1で用いたスラリーと同じポリスチレン粒子10質量%スラリー(分散媒:水)を1mL、水を1.6mL、界面活性剤(Pluronic F−127、BASF社製)2質量%水溶液を1mL添加し、ポリスチレン粒子分散液を得た。そこに、実施例1と同様にして作成したTPP色素溶液(TPP濃度:0.42mmol/L)2.4mLを速やかに加え、25℃で20分間撹拌した。ポリスチレン粒子1gに対する色素の仕込み量は10μmol/gに相当する。この色素吸収時(25℃で20分間撹拌時)のTHF濃度は40体積%であった。以降、実施例1と同様にして蛍光粒子を作製した。得られた蛍光粒子の、蛍光粒子1gあたりの色素含有量は、10.3μmol/gであった。
[実施例10]
容器に、実施例1で用いたスラリーと同じポリスチレン粒子10質量%スラリー(分散媒:水)を1mL、水を1mL、界面活性剤(Pluronic F−127、BASF社製)2質量%水溶液を1mL添加し、ポリスチレン粒子分散液を得た。そこに、実施例1と同様にして作成したTPP色素溶液(TPP濃度:0.33mmol/L)3mLを速やかに加え、25℃で20分間撹拌した。ポリスチレン粒子1gに対する色素の仕込み量は10μmol/gに相当する。この色素吸収時(25℃で20分間撹拌時)のTHF濃度は50体積%であった。以降、実施例1と同様にして蛍光粒子を作製した。得られた蛍光粒子の、蛍光粒子1gあたりの色素含有量は、8.6μmol/gであった。
[実施例11]
容器に、実施例1で用いたスラリーと同じポリスチレン粒子10質量%スラリー(分散媒:水)を1mL、水を0.4mL、界面活性剤(Pluronic F−127、BASF社製)2質量%水溶液を1mL添加し、ポリスチレン粒子分散液を得た。そこに、実施例1と同様にして作成したTPP色素溶液(TPP濃度:0.28mmol/L)3.6mLを速やかに加え、25℃で20分間撹拌した。ポリスチレン粒子1gに対する色素の仕込み量は10μmol/gに相当する。この色素吸収時(25℃で20分間撹拌時)のTHF濃度は60体積%であった。以降、実施例1と同様にして蛍光粒子を作製した。得られた蛍光粒子の、蛍光粒子1gあたりの色素含有量は、5.5μmol/gであった。
[実施例12]
容器に、実施例1で用いたスラリーと同じポリスチレン粒子10質量%スラリー(分散媒:水)を1mL、界面活性剤(Pluronic F−127、BASF社製)2質量%水溶液を1mL添加し、ポリスチレン粒子分散液を得た。そこに、実施例1と同様にして作成したTPP色素溶液(TPP濃度:0.25mmol/L)4mLを速やかに加え、25℃で20分間撹拌した。ポリスチレン粒子1gに対する色素の仕込み量は10μmol/gに相当する。この色素吸収時(25℃で20分間撹拌時)のTHF濃度は67体積%であった。以降、実施例1と同様にして蛍光粒子を作製した。得られた蛍光粒子の、蛍光粒子1gあたりの色素含有量は、3.0μmol/gであった。
[実施例13]
TPP色素溶液の代わりに、クロロフィルa(有限会社クロロフィル研究所製)のTHF(和光純薬工業株式会社製)色素溶液(クロロフィルa濃度:0.1mmol/L)を用いた以外は、実施例1と同様にして蛍光粒子を作製した。結果を表1に示した。
[実施例14〜20]
クロロフィルa色素溶液の色素溶液濃度を表1に記載の通りに変更した以外は、実施例13と同様にして蛍光粒子を作製した。結果を表1に示した。
[比較例1]
<ポリスチレン粒子の官能基をカルボキシ基からアミノ基に変換>
実施例1で用いたスラリーと同じポリスチレン粒子10質量%スラリーを3mL採取し、0.5mol/Lホウ酸緩衝液(pH10)2.4mLと混合した。そこに、アミン化合物(ポリアリルアミン塩酸塩、ニットーボーメディカル株式会社製)5質量%溶液0.3mL、及び、縮合剤(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、株式会社同仁化学研究所製)10質量%溶液0.3mLを添加し、50℃で6時間撹拌した。その後、遠心洗浄を繰り返し、余剰アミン化合物の除去を行った。さらに超音波分散機にて単一分散の状態とした。以上より、表面にアミノ基を有するアミノ化粒子10質量%スラリーを得た。
<色素溶液の調整>
TPPの代わりにTCPP(テトラキス(4−カルボキシフェニル)ポルフィリン、東京化成工業株式会社製)を使用し、100mmol/LNaOH色素溶液(TCPP濃度:2質量%)を調製した。
<アミノ化粒子にTCPPを結合>
前記アミノ化粒子10質量%スラリーを2mL採取し、0.5mol/LMES(2-Morpholinoethanesulfonic acid, monohydrate)緩衝液(pH6)5mLと混合した。次いで、別容器に調製した縮合剤2種(1質量%1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩及び1質量%N−ヒドロキシこはく酸イミド、和光純薬工業株式会社製)混合溶液2mLを添加し、さらに、2質量%色素溶液1mLを添加し、25℃で14〜16時間撹拌した。その後、遠心洗浄を繰り返し、余剰色素の除去を行った。以上の化学結合法により蛍光粒子を得た。
得られた蛍光粒子の色素含有量を測定したところ、14.5μmol/gであった。蛍光粒子中の色素含有量は、色素種を変更した以外は実施例1と同様の方法にて測定した。実施例6よりも高濃度な色素溶液を使用して染色を試みたが、化学結合法で作成した蛍光粒子は、浸潤法で作製した蛍光粒子より色素含有量が少なく、さらに容器(特にガラス)への吸着が確認され、吸着による装置の測定流路を汚染することが確認された。
[比較例2]
<ポリスチレン粒子の官能基をカルボキシ基からアミノ基に変換>
得られる蛍光粒子の容器(特にガラス)への吸着回避を目的として、比較例1とは異なるアミン化合物の使用を検討した。
実施例1で用いたスラリーと同じポリスチレン粒子10質量%スラリーを3mL採取し、そこに、エチレンジアミン(和光純薬工業株式会社製)6mg、及び4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリドn水和物(和光純薬工業株式会社製)3mgを添加し、25℃で14〜16時間撹拌した。その後、遠心洗浄を繰り返し、余剰アミン化合物の除去を行った。さらに超音波分散機にて単一分散の状態とした。以上より、表面にアミノ基を有するアミノ化粒子10質量%スラリーを得た。
得られたアミノ化粒子10質量%スラリーを用いた以外は比較例1と同様にして、蛍光粒子を作製した。実施例6よりも高濃度な色素溶液を使用して染色を試みたが、得られた蛍光粒子の色素含有量を測定したところ、色素含有量はわずか5.1μmol/gであった。
[比較例3]
色素溶液の使用量を4mLに変更した以外は、比較例2と同様にして蛍光粒子を作製した。
実施例6よりも約6倍高濃度な色素溶液を使用して染色を試みたが、得られた蛍光粒子の色素含有量を測定したところ、わずか3.1μmol/gであった。
化学結合法では、色素含有量、蛍光強度ともに浸潤法で作製した蛍光粒子を超える粒子は作製できなかった。
[参考例]
参考例として、前記ポリスチレン粒子(母粒子)の蛍光強度を測定した。
Figure 2017116463
図2(A)は、体積平均粒子径:0.673μmの標準粒子の蛍光色素含有量の値と、該蛍光色素含有量の値に対応する第1信号の基準電圧値(ここでは、蛍光強度となる第1信号の波高値)との関係の一例を示す図(図1の基準データ31)である。図2(A)に示すように、第1信号の基準電圧値は、蛍光色素含有量の値に対して単調増加している。第1信号の校正では、第1信号の基準電圧値V1rが、使用する校正用粒子の蛍光強度に対応するので、蛍光剤パラメータの値に基づいて、第1信号の基準電圧値V1rを一意に特定することができる。
また、図2(B)は、粒径0.7μmの標準粒子の蛍光色素含有量の値と、該蛍光色素含有量の値に対応する第2信号の基準電圧値(ここでは、散乱光強度となる第2信号の波高値)との関係の一例を示す図(図1の基準データ31)である。図2(B)に示すように、第2信号の基準電圧値は、蛍光色素含有量の値に対して単調減少している。このように、実施例1、3、4では、何れも同じポリスチレン粒子を用いているにもかかわらず、蛍光色素の含有量により散乱光強度が変化している。第2信号の校正では、第2信号の基準電圧値V2rが、使用する校正用粒子の散乱光強度に対応するので、蛍光剤パラメータの値に基づいて、第2信号の基準電圧値V2rを一意に特定することができる。
本発明は、例えば、生物粒子計数器の校正に適用可能である。
1: 生物粒子計数器
2: 校正装置
11: 第1回路
12: 第2回路
13: 計数処理部
14: インターフェイス
15: 制御部
21: インターフェイス
22: 計測値取得部
23: 回路調整部
24: 記憶装置
25: 入力装置
26: 表示装置
27: 制御部
31: 基準データ

Claims (7)

  1. 樹脂製粒子と、生物粒子と同程度の吸収波長及び蛍光波長を有する蛍光色素とを含む液体を用い、少なくとも該蛍光色素を樹脂製粒子中に取り込むことで標準粒子を形成する工程を含むことを特徴とする、
    生物粒子計数器校正用の標準粒子懸濁液の製造方法。
  2. 前記樹脂製粒子が、該粒子の質量100質量%に対し、スチレンに由来する構成単位を80質量%以上含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記標準粒子1gあたりの蛍光色素の含有量が2.0μmol/g以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記標準粒子の体積平均粒子径が0.1〜2μmである、請求項1〜3のいずれか1つに記載の製造方法。
  5. 前記蛍光色素としてテトラピロール環を有する化合物を含む、請求項1〜4のいずれか1つに記載の製造方法。
  6. 前記標準粒子が、生物粒子と同程度の粒径、およびそれに対応した散乱光強度を有する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の製造方法。
  7. 生物粒子に光を照射することで生じる蛍光に応じて信号(電圧)を生成する回路、及び、前記信号(電圧)に基づき前記生物粒子の数を計数可能な部位を有する生物粒子計数器を用い、請求項1〜6のいずれか1つに記載の製造方法で得られる標準粒子懸濁液に光を照射することで生じる蛍光に応じて信号(電圧)を生成する信号生成ステップと、
    前記信号生成ステップで用いた標準粒子懸濁液に含まれる標準粒子と同程度の蛍光色素含有量の粒子を用いて予め前記信号生成ステップと同様の方法で測定しておいた基準信号値を特定し、前記信号生成ステップで生成した信号値が該基準信号値になるように、前記回路を調整する調整ステップとを含む、
    生物粒子計数器の校正方法。
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