JP2006267036A - 妨害波抑圧装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、妨害波抑圧装置における妨害抑圧機能の校正を可能とする。
【解決手段】 主アンテナ1(主CH)と補助アンテナ3(補助CH)のいずれか一方に、等化器7を接続し、サイドローブキャンセラ(SLC)5に供給される一方の信号の振幅または位相の少なくともいずれが調整可能に構成する。
励振器8から複数の校正周波数信号を供給し、校正制御器6は両CH信号間の周波数特性が温度等によって変化し、両CH信号間の振幅差あるいは位相差が変化したとき、それを検出し、それら変化が相殺されて補正されるように等化器7に対するウエイト制御を行う。これにより、SLC5に供給される両信号間の振幅差あるいは位相差が、広帯域にわたり常に一定となり、SLC5における妨害波抑圧性能の安定化が可能である。
【選択図】 図1
【解決手段】 主アンテナ1(主CH)と補助アンテナ3(補助CH)のいずれか一方に、等化器7を接続し、サイドローブキャンセラ(SLC)5に供給される一方の信号の振幅または位相の少なくともいずれが調整可能に構成する。
励振器8から複数の校正周波数信号を供給し、校正制御器6は両CH信号間の周波数特性が温度等によって変化し、両CH信号間の振幅差あるいは位相差が変化したとき、それを検出し、それら変化が相殺されて補正されるように等化器7に対するウエイト制御を行う。これにより、SLC5に供給される両信号間の振幅差あるいは位相差が、広帯域にわたり常に一定となり、SLC5における妨害波抑圧性能の安定化が可能である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、受信妨害波を抑圧して所望信号を受信可能な妨害波抑圧装置の改良に関する。
従来、指向性アンテナパターンを形成し、サイドローブで受信される妨害波を抑圧して目標(所望)信号を捕捉するレーダ装置においては、指向性アンテナパターンを形成する主アンテナとこの主アンテナにおけるアンテナパターンのサイドローブよりもアンテナ利得の大きなパターンを形成する補助アンテナとを併設し、妨害波をサイドローブキャンセラ(SLC;Sidelobe Canceller)で抑圧して出力するように構成されている。(例えば、非特許文献1参照。)。
SLCは、ウエイト(w)制御により、妨害波到来方向の受信感度が結果的にゼロとなるようにパターン形成を行って妨害波を抑圧する。
SLCを組み込んだ従来の妨害波抑圧装置は、図7に示すように、主アンテナ1には主受信器2が、補助アンテナ3には補助受信器4がそれぞれ接続されるとともに、SLC5は主受信器2を介した主チャンネル(CH)信号Ymと、補助受信器4を介した補助チャンネル(CH)信号Yaとを導入し、ウエイト(w)処理による振幅及び位相制御により、妨害波の受信角度方位にいわゆるヌル点を形成して妨害波を抑圧する。
なお、主アンテナ1は、図7に示したように、多数のアンテナ素子1aがそれぞれ空中線接続線路1b、及び受信モジュール1cを介してそれぞれ受信給電回路1dに共通接続されて構成され、受信給電回路1dの出力が主受信器2に供給される。
主アンテナ1の各受信モジュール1cは、図8に示したように、高周波増幅器1caと移相器1cbとの縦属接続で構成され、各移相器1cbに対する不図示の移相器制御手段による制御により、主アンテナ1は指向性を有する主アンテナパターンを形成する。
補助アンテナ3も、多数のアンテナ素子3aがそれぞれ空中線接続線路3b、及び受信モジュール3cをそれぞれ介して受信給電回路3dに共通接続されて構成され、受信給電回路3dの出力が補助受信器4に供給される。また、補助アンテナ3の各受信モジュール3cも、主アンテナ1の受信モジュール1cと同様に、高周波増幅器と移相器との縦属接続で構成され、補助アンテナ3は、各移相器に対する移相量制御により、主アンテナパターンのサイドローブよりもアンテナ利得が高くなるような補助アンテナパターンを形成する。
主及び補助の各受信器2,4は、対応する各CH信号に対し、それぞれ周波数変換及びA/D変換を行ってSLC5に供給する。
主及び補助の各受信器2,4は、対応する各CH信号に対し、それぞれ周波数変換及びA/D変換を行ってSLC5に供給する。
SLC5は、図7に示したように、減算回路51、2つの加算回路52,53、それに遅延回路54a組み込んだ狭帯域フィルタ54で構成され、狭帯域フィルタ54と減算回路51とのフィードバック回路に対するウエイト処理により、妨害波受信方向の受信感度がゼロとなるように制御される。
このようにSLC5は、ウエイト処理により、妨害波周波数における振幅及び位相を制御しで妨害波を抑圧するので、広帯域にわたり良好な妨害波抑圧作用を得られるように、SLC5に供給される主受信CH信号と補助受信CH信号との間の振幅差及び位相差が広帯域にわたりほぼ一定となるように予め設計製造されている。
図7に示した妨害波抑圧装置では、主アンテナ1と補助アンテナ3とを備え、SLC5が各受信CH信号Ym,Yaを導入し、妨害波到来方向での受信感度がゼロとなるように制御して出力するように構成されているが、主アンテナ及び補助アンテナと区別することなく、単にアレー状にアンテナを配置して妨害波を抑圧するアダプティブアレーアンテナも知られている。(例えば、非特許文献2参照。)
図9は、アレー状に配置したK(複数)個のアンテナ(#1〜#K)の出力(#1(t)〜#K(t))を、それぞれタップ付遅延線路(TDL;Tapped Delay Line)(W1〜Wk)を介して合成(+)し、妨害波が抑圧された出力信号(y(t))を導出するアダプティブアレーアンテナの構成を示したものである。
図9は、アレー状に配置したK(複数)個のアンテナ(#1〜#K)の出力(#1(t)〜#K(t))を、それぞれタップ付遅延線路(TDL;Tapped Delay Line)(W1〜Wk)を介して合成(+)し、妨害波が抑圧された出力信号(y(t))を導出するアダプティブアレーアンテナの構成を示したものである。
図9に示したアダプティブアレーアンテナでは、図示のように、アダプティブプロセッサApが、各アンテナ出力(#1(t)〜#K(t))とフィードバック信号である合成出力信号(y(t))とを導入し、妨害波を抑圧するのに必要なウエイト係数を演算により求めて各TDL(W1〜Wk)を制御し、妨害波の抑圧された信号を出力する。
吉田 孝 監修「改訂 レーダ技術」社団法人 電子情報通信学会、平成8年10月1日発行、p.296 菊間信良著「アレーアンテナによる適応信号処理」科学技術出版、1999発行、p.17−21
吉田 孝 監修「改訂 レーダ技術」社団法人 電子情報通信学会、平成8年10月1日発行、p.296 菊間信良著「アレーアンテナによる適応信号処理」科学技術出版、1999発行、p.17−21
上記説明のように、主アンテナ1と補助アンテナ3とを併設した妨害波抑圧装置では、サイドローブキャンセラ(SLC)5における振幅及び位相制御により、主アンテナ1のサイドローブで受信される妨害波を抑圧し、メインローブで受信された目標(所望)信号を出力して検出する。
また、SLC5の妨害波抑圧が広帯域にわたり良好に行われるように、主及び補助の各CHにおける受信伝送路は、SLC等に供給される主及び補助の両チャンネル(CH)信号間の振幅差及び位相差が、周波数変化に左右されることなくほぼ一定となるように、予め設計され調整されている。
ところで、主アンテナ1及び補助アンテナ3からSLC5までの間のチャンネル(CH)伝送路に接続された受信器2,4や受信モジュール1c,3cは、それぞれ固有の周波数特性を有している。従って、各CHにおける周波数特性は、要求された妨害波抑圧の周波数範囲において、予め、両CH間における振幅差及び位相差がSLC5の入力端においてほぼ一定となるように設計調整されてはいるものの、温度変化あるいは経年変化等により構成部品の特性の変化により、両CH間の信号伝送特性のバランスが崩れ、妨害波周波数によってSLC5の入力端における振幅差及び位相差が変化し、妨害波の抑圧が適正に行われず、消え残りが生じてしまうと言う問題が発生する。
温度変化等により各CH間の周波数特性が個々に変化したとしても、例えばアダプティブアレーアンテナにおけるように、各CH、すなわち主アンテナ及び補助アンテナのCHそれぞれタップ付遅延線路(TDL)を挿入接続し、SLC5出力からのフィードバック信号に基づく演算処理により、TDLを、常時、ウエイト(w)制御する構成を採用すれば、SLC5は、妨害波周波数の変化に適正に対応して妨害波抑圧が可能である。
しかしながら、図9に示したアダプティブアレーアンテナの構成からも分かるように、全ての受信CHにTDLを挿入し、合成(+)出力y(t)からのフィードバック信号に基づく演算を行いウエイト制御を行う構成を更に付加したのでは、構成の複雑さは避けられず改善が要望されていた。
そこで本発明は、温度変化や経年変化により能動回路の周波数特性が個々に変化したとしても、簡単な構成により、広帯域にわたり常に良好な妨害抑圧性能を得ることが可能な妨害波抑圧装置を提供することを目的とする。
本発明は、高周波信号を受信する複数のアンテナと、これら複数のアンテナにそれぞれ対応して受信チャンネルを構成するように接続された複数の受信器と、これら複数の受信器に共通に接続され前記複数のアンテナで受信された妨害波を抑圧する妨害波抑圧手段とを有する妨害波抑圧装置において、前記複数の受信器のうち、少なくともいずれか1の選択された受信器と前記妨害波抑圧手段との間に接続され、高周波信号の振幅及び位相の少なくともいずれかを調整制御して前記妨害波抑圧手段に供給可能な等化器と、この等化器とともに前記1の選択された受信器を含む複数の受信器に接続され、その複数の受信器から出力された周波数を異にした複数の校正周波数信号の前記複数の受信器出力間の振幅差及び位相差の少なくともいずれかを検出し、その検出された振幅差または位相差の周波数特性の変化に対応した制御信号を前記等化器に供給する校正制御器と、前記周波数を異にした複数の校正周波数信号を順次生成して、前記選択された1の受信器を含む複数の受信器に供給可能な校正信号発生器とを具備することを特徴とする。
上記のように、本発明に係る妨害波抑圧装置は、いずれか1の選択された受信器と妨害波抑圧手段との間に等化器を接続するとともに、校正制御器は、校正信号発生器で生成され、各受信器を介して供給された周波数の異なる複数の校正周波数信号に基づき、等化器における振幅特性や位相特性の設定を更新できるように構成されている。
従って、たとえ各受信CHにおける周波数特性が温度等によって変化し、各CH間の周波数における振幅差や位相差が個別に変化したとしても、校正制御器は、妨害波抑圧手段の入力端において、各受信チャンネル(CH)間の振幅差や位相差が周波数軸上でほぼ一定となるように等化器を更新制御できるので、簡単な構成で、広帯域にわたり妨害波抑圧を良好に得ることができる。
以下、本発明による妨害波抑圧装置の第1の実施例を図1ないし図6を参照して説明する。なお、本発明の妨害波抑圧装置は、校正(キャリブレーシヨン)により、所定の妨害波抑圧性能を継続的に維持可能な機構を新たに付加したことを特徴としたものであり、図7及び図8に示した従来の構成と同一構成には同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
図1は、本発明の第1の実施例に係る妨害波抑圧装置を示した構成図で、従来と同様に、主アンテナ1に主受信器2が接続され、主受信器2からの主チャンネル(CH)信号Ymはサイドローブキャンセラ(SLC)5とともに校正制御器6に供給される。
また、補助アンテナ3には補助受信器4が接続され、補助受信器4の出力は、等化器7を介してSLC5に供給されるとともに、主受信器2側と同様に、校正制御器6にも供給される。
校正制御器6はメモリやCPU等を内蔵して演算機能を有して構成されている。
また、主アンテナ1の各空中線接続線路1b及び補助アンテナ3の各空中線接続線路3bには、それぞれカップラ1e,3eが取り付けられ、結合(カップリング)により、後述する校正周波数信号を取り込むことができるように構成されている。
これら各カップラ1e,3eの他端部には、校正信号発生器である励振器8が接続され、励振器8は、校正制御器6からの制御により、予め設定された周波数の異なる複数の校正周波数信号を順次生成して各カップラ1e,3eに供給する。
従って、励振器8で生成され、カップラ1e,3eに供給された校正周波数信号は、主アンテナ1のCHにおいては、受信モジュール1c、受信給電回路1d、主受信器2を介してディジタル化された後、校正制御器6及びSLC5に供給され、また補助アンテナ3のCHにおいては、受信モジュール3c、受信給電回路3d、補助受信器4を介して同じくディジタル化され、校正制御器6及びフィルタ機能を有する等化器7に供給される。
等化器7は、図2に示したように、遅延回路71と乗算器72と加算器73とで構成され、遅延回路71は、遅延時間長τi(i=1〜(M(複数)−1))が異なる遅延線路の縦続接続からなり、乗算器72は、遅延線路の各タップ端子に接続されたM個の乗算回路W(i)(i=0〜(M−1))で構成され、各乗算回路W(i)の出力が加算器73で合成されて出力される。
等化器7は、このようにタップ付遅延線路(TDL)を組み込んだフィルタであり、良く知られているように、遅延回路71のタップ端子位置制御による位相調整と、乗算器72の乗算回路W(i)に対する重み付け制御による振幅調整とにより、高周波信号の位相及び振幅の双方を、広帯域にわたり調整制御が可能である。
そこで、温度変化等により、主受信器2及び補助受信器4が有する固有の周波数特性は個々に変化したとき、異なる周波数間では、主受信器2及び補助受信器4出力での両CH信号間の振幅差及び位相差の双方の変動が考えられるが、図1ないし図3を参照し、振幅差が変化し、等化器7はその振幅差の変化に対応して調整制御されるものとして以下説明する。
すなわち、図2に示した等化器7は、校正制御器6による各乗算回路W(i)に対するウエイト(w)制御により、広帯域にわたり振幅を調整制御可能であり、主受信器2からSLC5に供給される主CH信号と、等化器7を経てSLC5に供給される補助CH信号のとの間の振幅差が広帯域にわたり一定となるように調整制御を行うように構成されている。
図3は、校正制御器6の等化器7に対する制御動作説明図で、受信周波数領域(横軸)に対する主及び補助CH間の振幅差特性及び等化器7の補正値を示したものである。
そこで、第1の実施例に係る妨害波抑圧装置の動作を、図1ないし図3を参照して以下説明する。
まず、校正制御器6は、妨害波抑圧装置が機能する広い受信周波数範囲に対し、その領域を図3に示したように、周波数軸上で等間隔に区分し、順次番号n=0から番号n=(N−1)までの各区分周波数値を校正周波数ポイントとする校正信号を設定し、励振器8に指令する。
校正制御器6からの校正信号の指令を受けた励振器8は、図3に示した、番号n=0から番号n=(N−1)までの各校正ポイントに対応した校正周波数信号を順次生成して、主アンテナ1のカップラ1e、補助アンテナ3のカップラ3eを介して主CH及び補助CHに供給する。
当該妨害波抑圧装置は、図3に1点鎖線Aに示したように、広帯域にわたる妨害波抑圧が適正かつ良好に行われるように、すなわちSLC5に供給される両CH間の振幅差が広帯域にわたり一定となるように、予め調整設定されて運用されている。
そこでいま、温度変化により、主CH及び補助CHの受信器2,4における周波数特性が変化し、両受信器2,4を経た両CH間の振幅差が周波数軸上で変化し、図3に実線Bのように変化したとする。
校正制御器6は、主受信器2及び補助受信器4を介して、番号n=0からn=(N−1)までに対応した校正周波数信号を順次受信し、各校正周波数信号における両CH間の振幅差を検出する。
そこで、周囲の温度変化や経年変化等による両CH伝送路間における構成部品の特性変化に基づき周波数−振幅特性にずれが生じ、主受信器2及び補助受信器4から供給される校正周波数信号により、校正制御器6は、両CH間の振幅差が図3に示した実線Bに変化したことを検出できる。
校正制御器6は、その検出した各CH間の振幅差(実線B)から、実線Bとは逆特性の2点鎖線Cに示した振幅補正値を演算により求め、その補正値に対応したウエイト制御を等化器7に行う。
このように、この第1の実施例の妨害波抑圧装置によれば、校正制御器6による校正(キャリブレーション)により、各受信CH間で伝送周波数特性変化に差が生じたとしても、等化器7に対する補正制御により、SLC5に供給される両CH信号間の振幅差は、広帯域にわたって一定となるように調整制御可能である。
その結果、主受信器2及び等化器7の各出力周波数信号間の振幅差は、1点鎖線Aで示したように、広帯域にわたりほぼ一定の振幅差を有するように振幅補正されるので、SLC5は、広帯域妨害波抑圧を消え残りが少なく適正に行うことができる。
なお、上記説明では、校正制御器6による等化器7に対するウエイト制御において、通過する周波数信号の振幅のみを調整制御する旨説明したが、前述のように、校正制御器6は、両CH信号間の位相差検出に基づく、遅延線路のタップ取り出し位置に対するウエイト制御を合わせ行うことにより、振幅差に加えて位相差をも一定となるように調整設定することで、たとえ温度変化等による周波数特性に変動が生じたとしても、校正制御により、SLC5における広帯域にわたる良好な妨害波抑圧が可能である。
上記のように、この実施例の妨害波抑圧装置は、校正制御器6の等化器7に対する制御により、SLC5における妨害波抑圧が広帯域にわたり良好に行い得るものであるが、一連の校正操作は、校正制御器6によるプログラム制御で可能であり、その動作手順を図4に示したフローチャートを参照してさらに説明する。
まず、開始に先立ち、校正制御器6は励振器8に対して校正指令を出力し、励振器8は校正制御器6からの指令に基づき、順次その指令された校正周波数ポイントに対応した校正周波数信号を生成して主CH及び補助CHの各カップラ1e,3eに送信するものとする。
そこで、校正制御器6は、まず主受信器2で受信された校正周波数数信号を取り込み、主CHにおける各校正周波数ポイントにおける校正周波数信号の振幅及び位相を検出しメモリに記憶する(ステップ4A)。
次に、校正制御器6は、補助CHに関しても、同様に、補助受信器4を介して受信される校正周波数ポイントに対応した校正周波数信号を順次取り込み、補助CHにおける校正ポイント周波数信号の振幅及び位相を検出し、メモリに記憶する(ステップ4B)。
次に、ステップ4Cにおいて、ステップ4A及びステップ4Bにおいて、主CH及び補助CHの校正周波数信号の振幅検出及び位相検出が、全校正周波数ポイントにおいて実行されたか否か判定し、全校正ポイントにおける振幅及び位相のデータ検出が終了したとき(YES)、次のステップ4Dに移行し、全校正ポイントにおける振幅及び位相検出が終了していないとき(NO)は、ステップ4Aに戻り、全校正ポイントでの振幅及び位相検出が終了するまで繰り返される。
ステップ4Cにおいて、全校正ポイントにおける振幅及び位相検出が終了したとき(YES)、校正制御器6は、メモリに記憶された各CHの各校正ポイントにおける振幅及び位相の各データを読み出し、両CH間の各校正ポイントにおける振幅差及び位相差を算出する(ステップ4D)。
続いて校正制御器6は、等化器7に対するウエイト制御により、等化器7を通過してSLC5に供給される周波数信号と、主CHのSLC5に供給される周波数信号との間で、両CH間の各校正ポイントにおける振幅差及び位相差が略一定となるように調整制御すべく、等化器7に対するウエイト係数値を、逆フーリエ変換を用いて演算する(ステップ4E)。
いま、Wf(m) ; 主CHと補助CHの周波数特性比
W(m) ; 等化器7のウエイト係数
Am(n) ; 主CHの振幅特性
φm(n) ; 主CHの位相特性
Aa(n) ; 補助CHの振幅特性
φa(n) ; 補助CHの位相特性
n ; 周波数軸の番号(n=0〜(N−1))
m ; 等化器7を構成するTDLの各タップの番号
(m=1〜M)
としたとき、主CHと補助CHの周波数特性比Wf(n)及び等化器7のウエイト係数W(m)は、それぞれ次式で示される。(例えば、谷萩著「ディジタルフィルタと信号処理」p.94-97参照)。
W(m) ; 等化器7のウエイト係数
Am(n) ; 主CHの振幅特性
φm(n) ; 主CHの位相特性
Aa(n) ; 補助CHの振幅特性
φa(n) ; 補助CHの位相特性
n ; 周波数軸の番号(n=0〜(N−1))
m ; 等化器7を構成するTDLの各タップの番号
(m=1〜M)
としたとき、主CHと補助CHの周波数特性比Wf(n)及び等化器7のウエイト係数W(m)は、それぞれ次式で示される。(例えば、谷萩著「ディジタルフィルタと信号処理」p.94-97参照)。
すなわち、上記ステップ4Dでは演算により周波数特性比Wf(n)が算出され、上記ステップ4Eでは演算により等化器7のウエイト係数W(m)が算出される。
従って、校正制御器6は、両CH間で周波数信号間の振幅差及び位相差が略一定となるウエイト係数W(m)を等化器7に制御設定して(ステップ4F)、終了する。
SLC5は、両CH間で周波数信号間の振幅差及び位相差が略一定の、主受信器2からの主チャンネル(CH)信号Ym、及び等化器7を介して補助受信器4供給される補助チャンネル(CH)信号Yaとを導入し、妨害波到来角度位置の受信感度パターン上に、ヌル点を適正かつ良好に形成して、広帯域に妨害波を抑圧出力できる。
なお、校正制御器6は、校正周波数の設定、各CHの受信器2,4を介して取り込んだ各校正周波数信号間の振幅差の検出、及びその振幅差がSLC5の入力側において、全校正周波数ポイントにわたり略一定となるように等化器7を制御するものであるが、いずれにしても、校正(キャリブレーション)による等化器7に対する調整制御は必要に応じて迅速かつ短時間に実行できる。
従って、たとえば図5に示したように、周期Tの間隔で、校正時間ΔTの校正時間を設け、レーダ装置等の運用上支障がないタイミングで間歇的に行い、常時、消え残りが少なく、適正かつ良好な妨害波抑圧機能を継続的に維持して運用することができる。
なお、上記第1の実施例では、校正周波数信号の供給点をカップラ1e,3eを介して主アンテナ1及び補助アンテナ3の空中線接続線路1b,3bから供給したが、主CHと補助CHの周波数特性の変化が大きい箇所、例えば受信器2,4の中間周波数段等に入力するようにしても良い。
また、上記第1の実施例におけるレーダ装置は、校正周波数信号の給電にカップラを設け、そのカップラを励振器8からの主CH及び補助CHに対する校正周波数信号を供給するように構成したが、校正周波数信号を空間給電により各CHに供給することもできる。
図6は、校正周波数信号を空間給電により主アンテナ1及び補助アンテナ3に供給するように構成した本発明による妨害波抑圧装置の第2の実施例を示した構成図である。
図1に示した第1の実施例とは、別途、校正用送信アンテナ8aを設け、その校正用送信アンテナ8aを介して励振器8からの校正周波数信号を送信し、主アンテナ1及び補助アンテナ3に供給する点が相違するのみで、他の構成及び作用は、上記第1の実施例と同様であるので詳細説明は省略する。
図6において、校正制御器6は、校正周波数信号を生成して校正用送信アンテナ8aから送信するように励振器8を制御するので、たとえ温度変化等に起因した、主CHと補助CHとの間の振幅や位相の周波数特性が変化し、SLC5の入力端における両CH間の振幅差や位相差が変化したとしても、それを補正するように等化器7を制御し、SLC5における妨害波抑圧を広帯域にわたり適正かつ良好に行うことができる。
なお、図1に示した第1の実施例においても同様であるが、特に第2の実施例の構成では、主アンテナ1及び補助アンテナ2は、校正時であると否とに拘わらず、到来電波を受信できる状態にあるので、妨害波等の不要な電波が受信されないときに校正操作を行うのが望ましい。
また、上記各実施例における妨害波抑圧装置では、補助CH系に等化器7を挿入接続したものとして説明したが、主CHと補助CHとの間の周波数特性上の差異を相対補正されれば良いので、等化器7を主CH系に、あるいは各CH双方に挿入接続して校正しても良い。
また、上記各実施例において、補助アンテナ3は1個であるとして説明したが、補助アンテナ3を複数設置し、その複数の補助アンテナ3からの信号と主アンテナ1とからの信号とをSLC5に供給するように構成することもできる。その場合、いずれか1を除くアンテナ系に等化器を挿入接続し、各アンテナ系間の振幅または位相、あるいは振幅及び位相を相対的に調整することができる。
また、上記各実施例では、主アンテナ1の受信モジュール1c及び補助アンテナ3の受信モジュール3cにおいて、アナログ高周波信号をディジタル高周波信号に変更する旨説明したが、主受信器2及び補助受信器4においてA/D変換により受信ディジタル信号に変換して、SLC5に供給しても良い。
また、上記各実施例では、主アンテナ1及び補助アンテナ3を有し、SLCにより妨害波を抑圧するものとして説明したが、いわゆるアンテナ構成をフェーズドアレーアンテナとし、SLCに代えて、妨害波等の環境に対応可能な、ディジタルビーム形成回路(DBF;Digital Beam・Forming)を採用しても良い。
また、妨害波抑圧手段では、必要に応じて種々の抑圧方法を採用することができる。
例えば、最大SN法(MSN;Maximum Signal to Noise Ratio)(例えば、菊間信良著、”アレーアンテナによる適応信号処理”、科学技術出版(1999)pp.67-86参照)や直接解演算方式(SMI;Sampled Matrix Inversion)(例えば、菊間信良著、“アレーアンテナによる適応信号処理“、科学技術出版(1999)pp.35-37、pp.98-99参照)、あるいはグラムシュミット方式(例えば、特許第1816548号「アダプティブアンテナ装置」参照)等を採用することができる。
また、上記各実施例の説明では、妨害波抑圧装置は受信系をパッシブに構成するものとして説明したが、受信モジュールを送受信モジュールに代え、アレーアンテナとの組み合わせ構成により、アクティブアレーレーダを構成しても良い。
以上要するに、上記各実施例による妨害波抑圧装置によれば、サイドローブキャンセラ等の妨害波抑圧手段出力信号からのフィードバックによることなく、簡単な構成で、主アンテナ及び補助アンテナの各チャンネル間の周波数信号における振幅差または位相差の少なくともいずれかが略一定となるように調整することができるので、広帯域にわたる良好な妨害波抑圧を常に安定して行うことができる。
1 主アンテナ
1a アンテナ素子
1b 空中線接続線路
1c 受信モジュール
1e カップラ
2 主受信器
3 補助アンテナ
3a アンテナ素子
3b 空中線接続線路
3c 受信モジュール
3e カップラ
4 補助受信器
5 サイドローブキャンセラ(SLC)(妨害波抑圧手段)
6 校正制御器
7 等化器(TDL)
71 遅延回路
72 乗算器
73 加算器
8 励振器(校正信号発生器)
8a 校正用送信アンテナ
1a アンテナ素子
1b 空中線接続線路
1c 受信モジュール
1e カップラ
2 主受信器
3 補助アンテナ
3a アンテナ素子
3b 空中線接続線路
3c 受信モジュール
3e カップラ
4 補助受信器
5 サイドローブキャンセラ(SLC)(妨害波抑圧手段)
6 校正制御器
7 等化器(TDL)
71 遅延回路
72 乗算器
73 加算器
8 励振器(校正信号発生器)
8a 校正用送信アンテナ
Claims (6)
- 高周波信号を受信する複数のアンテナと、これら複数のアンテナにそれぞれ対応して受信チャンネルを構成するように接続された複数の受信器と、これら複数の受信器に共通に接続され前記複数のアンテナで受信された妨害波を抑圧する妨害波抑圧手段とを有する妨害波抑圧装置において、
前記複数の受信器のうち、少なくともいずれか1の選択された受信器と前記妨害波抑圧手段との間に接続され、高周波信号の振幅及び位相の少なくともいずれかを調整制御して前記妨害波抑圧手段に供給可能な等化器と、
この等化器とともに前記1の選択された受信器を含む複数の受信器に接続され、その複数の受信器から出力された周波数を異にした複数の校正周波数信号の前記複数の受信器出力間の振幅差及び位相差の少なくともいずれかを検出し、その検出された振幅差または位相差の周波数特性の変化に対応した制御信号を前記等化器に供給する校正制御器と、
前記周波数を異にした複数の校正周波数信号を順次生成して、前記選択された1の受信器を含む複数の受信器に供給可能な校正信号発生器と
を具備することを特徴とする妨害波抑圧装置。 - 前記複数のアンテナは、指向性パターンを形成する主アンテナとこの主アンテナにおけるアンテナパターンのサイドローブよりもアンテナ利得の大きなパターンを形成する補助アンテナとからなり、
前記妨害波抑圧手段は、前記サイドローブで受信された妨害波を抑圧して出力するサイドローブキャンセラで構成された
ことを特徴とする妨害波抑圧装置。 - 前記等化器は、ウエイト係数の制御により、伝送される高周波信号の振幅及び位相の少なくともいずれかを調整制御可能なタップ付遅延線路で構成され、
前記校正制御器は、前記タップ付遅延線路におけるウエイト係数を制御するように構成された
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の妨害波抑圧装置。 - 前記校正制御器は、前記等化器を介して前記妨害波抑圧手段に供給される校正周波数信号と、他の受信器から直接妨害波抑圧手段に供給される校正周波数信号との間の振幅差または位相差の少なくともいずれか一方が、ほぼ一定となるように前記等化器を制御することを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載の妨害波抑圧装置。
- 前記校正信号発生器は、前記アンテナと前記受信器との間にそれぞれ付設されたカップラを介して、前記校正周波数信号を供給するように構成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載の妨害波抑圧装置。
- 前記校正信号発生器は、前記複数のアンテナに向けて電波を送信可能な校正用アンテナを介して、前記校正周波数信号を供給するように構成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載の妨害波抑圧装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2005-03-25 JP JP2005089199A patent/JP2006267036A/ja active Pending
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