JP4025219B2 - アレイアンテナ通信装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のアンテナを用いて送受信アンテナ・パターンを制御する通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
空間的に離間させて配置された複数のアンテナで受信された各信号を適切に加算合成することにより、希望波の到来方向にビームを有し、かつ干渉波の到来方向にヌルを有する受信アンテナ・パターンを形成して、希望信号を選択的に受信するアダプティブ・アレイ・アンテナを備えた通信装置が知られている。そして、この通信装置で送信を行う場合には、希望局の方向にビームを有し、かつ干渉局の方向にヌルを有する送信アンテナ・パターンを形成するのが望ましい。これにより、希望局の方向にビームを形成することで希望局方向に選択的に送信電力を振り向けることができ、また干渉局方向にヌルを向けることで干渉局にとっては本通信装置からの干渉を受けないこととなり、本通信装置と希望局の組と独立して通信を行っている干渉局に影響を与えにくくなる意味で有効である。
【0003】
ここで、図2を参照して、従来のアダプティブ・アレイ・アンテナを備えた通信装置50について説明する。なお、ここでは、一例として、送受周波数は同一で、時分割で送受通信を行い、また4本のアンテナ52を空間的に離間させて配置したアダプティブ・アレイ・アンテナを用いる場合について説明する。
【0004】
まずは、受信時の処理について説明する。アンテナ52で受信された信号は、送信/受信を切り替える送受切り替え器54(図2では受信時の接続状態を示している)を経由して、低雑音増幅器(LNA)56で増幅された後、ミキサ58に入力され、ここでローカル発信器60からのローカル周波数と掛け合わされることにより中間周波数(IF)に変換される。次に、信号は、IFフィルタ62により受信周波数付近の周波数信号とされた後、IF増幅器64にて増幅され、ミキサ66に入力され、ここでローカル発信器68からのローカル周波数とミキシングされてベースバンド信号に変換される。次に、信号は、ローパスフィルタ70によって必要帯域幅に弁別され、アナログ・デジタル変換器(A/D)72にてデジタル信号に変換される。4つのアンテナ52における受信信号はそれぞれこのようにしてベースバンド信号に変換される。これらの信号は受信側処理部74に入力され、ここで振幅及び位相により特徴付けられる重み付け(係数:w1〜w4)が行われた後に加算され、受信信号として処理される。アンテナで受信された信号には、希望局信号のみならず干渉局信号も含まれるが、アダプティブ・アレイ処理部76において参照信号および受信信号に基づいて適切に重みづけ係数(受信重みづけ値)を決定することで、受信信号から干渉局信号を除去して希望局信号のみを受信することができる。この処理に関しては非特許文献1に詳しい。
【0005】
次に、送信時の処理について説明する。送信側処理部78は、入力される送信信号を4分割して、それぞれに重み付けを行う。ここで、送信時の重み付け値として、受信時の重み付けの値を用いる場合がある。これは、送信信号と受信信号の相反性を利用して、受信アンテナ・パターンと同様のビーム、ヌルを有する送信アンテナ・パターンを形成するという考えに基づくものである。さて、分割され重みづけされた各信号は、デジタル・アナログ変換器(D/A)80、ローパスフィルタ82を経由してミキサ84に入力され、ここでローカル周波数によるミキシングによってIF周波数に変換される。次に、信号は、IFフィルタ86によってフィルタリングされ、IF増幅器88によって増幅された後、ミキサ90に入力され、ここで、ローカル周波数によるミキシングによってRF周波数に変換される。そして、信号は、送信電力増幅器(PA)92、および送受切り替え器54を経由してアンテナ52から送信される。
【0006】
さて、上述した従来技術では、送信時の重み付けパターンと受信時の重み付けパターンとを同じにした。これは、アンテナ52以降の空間での信号の相反性に基づくことによりなされるが、無線部では、送信信号の通過する送信部(TX)と受信信号の通過する受信部(RX)とは異なるため、相反性が成立しない。したがって、上記従来技術のように、送信側処理部78で受信側処理部74で用いたのと同一の重み付け値を用いても、受信時と同一の送信指向性を得ることはできなかった。すなわち、TX側を通過する送信信号の位相回転量および振幅変化量は、RX側を通過する受信信号の位相回転量および振幅変化量と異なるため、送受信で同一の重み付けを行っても、送信信号がTXを通過してアンテナに達したときの信号の振幅および位相は、受信信号が受信される場合の振幅および位相と異なるものとなってしまう。つまり、送受信で同じ重み付けを行うと、送信アンテナ・パターンは受信アンテナ・パターンと異なるものとなり、受信信号のビーム方向とヌル方向は、送信時のビーム方向とヌル方向とは異なるものとなる。
【0007】
したがって、この種のアダプティブ・アレイ・アンテナを備える通信装置では、4系統のそれぞれについて、送信部(TX)における送信信号の位相回転量が受信部(RX)における受信信号の位相回転量と同一となり、かつ、送信部(TX)における送信信号の振幅変化量が受信部(RX)における受信信号の振幅変化量とアンテナ間で共通の一定倍率となるように、適切な調整を行う必要がある。
【0008】
このような場合、通常、4系統の全ての受信部(RX)について振幅変化量と位相回転量とが相互で一定値となるように調整され(受信側キャリブレーション)、また4系統の全ての送信部(TX)について振幅変化量と位相回転量とが相互で一定値となるように調整される(送信側キャリブレーション)。かかる調整は、受信側処理部74において各系統(各受信部)に対して設けられた振幅・位相補正部94、および送信側処理部78において各系統(各送信部)に対して設けられた振幅・位相補正部96にて行われる。このキャリブレーション(校正)は、具体的には、特許文献1や特許文献2に開示されるように、各系統で受信側または送信側に切り替え、受信信号が受信部(RX)を通過する際の振幅と位相と、送信信号が送信部(TX)を通過する際の振幅と位相とを順次測定して行うものである。
【0009】
【特許文献1】
特許第3332911号公報
【特許文献2】
特表2003−501971号公報
【特許文献3】
特開2001−53663号公報
【非特許文献1】
菊間信良著,「アレーアンテナによる適応信号処理」,初版,株式会社科学技術出版,1998年11月
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1あるいは特許文献2に開示される方法では、複数系統のそれぞれについて順次送信及び受信に切り替えて通過する際の振幅と位相を順次測定するため、キャリブレーションが完了するまでに時間を要するという問題があった。さらに、キャリブレーションの実施中に、新たに振幅変化、位相回転が生じ、精度良くキャリブレーションを行うのが難しいという問題があった。そして、一般的には、キャリブレーション実施中に送信部および受信部を特性変化の無い状況に保つことは極めて難しく、その対策として特許文献3に開示されるような運用時に常時キャリブレーションを並行して継続するという非常に手間を要するキャリブレーションを実施せざるを得ない場合も多かった。
【0011】
加えて、希望局、干渉局からの信号のレベルは希望局、干渉局までの距離などによって大きく変動するため、受信部には一般に自動利得調整機構(AGC)が設けられているが、この自動利得調整機構を設けたことで、受信レベルの変化により受信部相互間で振幅変化量と位相回転量に差が生じることがあり、折角行ったキャリブレーション補正値が実際には有効に利用できない場合も多かった。
【0012】
さらに、受信側の振幅・位相補正部に何らかの異常が生じ、正常な補正を行えない状態となった場合、それによる誤差は受信側処理部の重み付け値に上乗せされる。そして、さらにその誤差の上乗せされた重み付け値が送信側に用いられるから、送信アンテナ・パターンと受信アンテナ・パターンとが大きく異なることになってしまうという問題があった。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるアレイアンテナ通信装置は、複数の単位アンテナを含むアダプティブ・アレイ・アンテナを用いる通信装置であって、前記単位アンテナ毎に設けられ少なくとも送信電力増幅器を含むRF送信系回路と、前記単位アンテナ毎に前記RF送信系回路と並列に設けられるRF受信系回路であって少なくとも低雑音増幅器を含むRF受信系回路と、信号が入出力される第1端子および第2端子を備え、信号の振幅または位相を変化させるための重み付け値を取得し、前記第1端子に入力された信号の振幅または位相を当該取得した重み付け値に基づいて変化させて前記第2端子に出力し、前記第2端子に入力された信号の振幅または位相を当該取得した重み付け値に基づいて変化させて前記第1端子に出力する双方向ベクトル変調器であって、前記第1端子が前記RF送信系回路およびRF受信系回路に単位アンテナの他方側で共通に接続される双方向ベクトル変調器と、複数の双方向ベクトル変調器のそれぞれの前記第2端子に接続される分配・合成部と、前記分配・合成部に接続される送受信部(TRX)と、前記双方向ベクトル変調器に前記重み付け値を出力して複数の単位アンテナをアダプティブ・アレイ・アンテナとして機能させるアダプティブ処理部と、前記RF受信系回路のそれぞれと前記アダプティブ処理部との間に設けられ、前記RF受信系回路から取得した信号を所定の利得で増幅し、前記アダプティブ処理部に出力する受信部(RX)と、を備え、各単位アンテナに対応する前記RF送信系回路およびRF受信系回路について、それらを信号が通過する際の振幅変化量相互の差および位相回転量相互の差を各単位アンテナ間でほぼ等しく設定し、前記アダプティブ処理部は、前記受信部(RX)から入力された個別受信信号と、前記送受信部(TRX)から入力された受信合成信号と、に基づく計算ステップ、を繰り返すアルゴリズムを実行し、当該アルゴリズムによって算出した重み付け値を前記双方向ベクトル変調器に出力し、前記アルゴリズムによって繰り返される計算ステップは、前記受信合成信号と参照信号との差異を示す誤差信号と、前記個別受信信号と、に基づいて、当該誤差信号の複素角と当該個別受信信号の複素角との差異を複素角として有するステップ加算値を算出し、算出した当該ステップ加算値を先の計算ステップで算出された前記重み付け値に加算する処理を含むことを特徴とする。
【0015】
また、上記本発明にかかるアレイアンテナ通信装置では、さらに、各単位アンテナに対応する上記RF送信系回路およびRF受信系回路について、それらを信号が通過する際の遅延時間がほぼ等しいのが好適である。
【0016】
また、上記本発明にかかるアレイアンテナ通信装置では、各単位アンテナに対応する上記RF送信系回路およびRF受信系回路のうち少なくともいずれか一方には、上記振幅変化量、位相回転量、および遅延時間のうち少なくとも一つを調整するための調整部が設けられるのが好適である。
【0017】
また、上記本発明にかかるアレイアンテナ通信装置では、同一の通信相手に対し同一周波数で送受信を行う時分割双方向通信装置であるのが好適である。
【0018】
また、上記本発明にかかるアレイアンテナ通信装置では、前記アルゴリズムの実行に用いる前記個別受信信号と、前記アルゴリズムの実行に用いる前記受信合成信号と、の間の位相差であって前記双方向ベクトル変調器を信号が通過する際の位相回転量を零とした場合における位相差を、90°以下とすることが好適である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について図1を参照して説明する。図1は、本実施形態にかかる通信装置10の要部の一例を示すブロック図である。なお、本実施形態では、4つのアンテナ(単位アンテナ)12によってアダプティブ・アレイ・アンテナが構成される場合の例について説明する。
【0021】
各アンテナ12に入力された信号は、送受切り替え器14,20が受信側に接続されている状態で、バンドパス・フィルタ(BPF)16および低雑音増幅器(LNA)18を通過し、さらに送受切り替え器20を通って、双方向ベクトル変調器22に入力される。ここで、送受切り替え器14と送受切り替え器20との間では、送信系と受信系とでそれぞれ別個独立した回路(すなわちRF送信系回路およびRF受信系回路)を有しており、本実施形態では、この部分を非共用回路部24と称する。そして、双方向ベクトル変調器22においてそれぞれ重み付けされた複数系統の信号が分配・合成部26で加算され、送受信部(TRX)28を通って受信される(受信信号)。この受信信号の一部はアダプティブ処理部(APU)30に入力される。
【0022】
また、低雑音増幅器(LNA)18から出力された信号は、各系統毎に設けられた受信部(RX)32を通ってアダプティブ処理部30に入力される。
【0023】
アダプティブ処理部30は、入力される参照信号およびTRX28からの信号を基にして、干渉波、雑音等から分離して希望波信号を取り出すための重み付け値(各双方向ベクトル変調器22における重み付け値)を取得し、これを各双方向ベクトル変調器22に設定する。これにより、希望局方向にビームを、また干渉局方向にヌルを有する受信アンテナ・パターンを形成することができる。また、希望局からの信号のSN比を改善することもできる。
【0024】
一方、ベースバンド送信信号は送受信部(TRX)28を通過し、分配・合成部26にて各系統に分配される。分配された信号は、それぞれ双方向ベクトル変調器22に入力され、送受切り替え器20、調整器(主として位相調整器として機能するが振幅調整器としての機能を含めてもよい)34を通過し、送信電力増幅器(PA)36にて電力増幅された後、送受切り替え器14を通ってアンテナ12から出力される。なお、送信時は、送受切り替え器14,20はいずれも送信側に接続されている。
【0025】
さて、かかる構成においてRF段で送信/受信で信号の経路が異なるのは、送受切り替え器14と送受切り替え器20との間の回路構成部分、すなわち非共用回路部24である。ところが、本実施形態では、非共用回路部24には、調整器34が設けられており、各系統について、送信経路(RF送信系回路)と受信経路(RF受信系回路)とで、振幅変化量相互の差および位相回転量相互の差がそれぞれ各アンテナ(単位アンテナ)12間でほぼ同じ値となるように構成し(または調整し)ている。また、本実施形態では、各系統に対する重み付け値は、送信/受信で共用される双方向ベクトル変調器22に対するものである。すなわち、本実施形態にかかる通信装置10によれば、調整器34を用いて各系統で送信経路/受信経路における信号の特性変化を定数倍とすることで、各系統に対し送信/受信で共通の重み付け値を用いて、送信アンテナ・パターンと受信アンテナ・パターンとを、同じパターン(すなわち同じビーム、ヌルを有するもの)として形成することができる。
【0026】
なお、本実施形態では、非共用回路部24については、さらに、送信系と受信系とで通過遅延時間が等しくなるように構成する(あるいは調整可能な構成要素を備える)のが好適である。これは、遅延時間(より詳しくは群遅延時間)の等しい回路間では、通過位相の周波数傾斜が等しいという群遅延時間の定義に基づく。すなわち、ある特定の周波数で送信系と受信系との位相差を一定としても、別の周波数においては一定値からの位相差が生じてしまうことを防ぐためである。すなわち、かかる構成は、より広い周波数帯域について送信経路と受信経路との間の位相差をほぼ同一とすることができるから、複数の周波数を利用するような通信装置について特に有効となる。
【0027】
さらに、本実施形態にかかる通信装置10では、受信系において、双方向ベクトル変調器22、分配・合成部26、TRX28を通ってアダプティブ処理部30に入力される信号と、双方向ベクトル変調器22の前段(アンテナ12側)から分配され、各系統の受信部(RX)32を通ってアダプティブ処理部に入力される信号と、の間の振幅差および位相差を検出し、かつそれを補正する手段(本実施形態ではアダプティブ処理部30がこの手段に相当する)を設けるのが好適である。通信自体には関与しないがアダプティブ制御の収束性を向上するために設けた受信部(RX)32のアダプティブ処理部30への出力に対して、この手段により、アダプティブ制御の収束性の更なる向上、ひいてはSN比の更なる改善を図ることができる。なお、この手段は、受信時に重み付け合成する前の信号を各系統についてそれぞれ独立に取得し、また、重み付け合成後の信号(すなわちTRX28から出力された信号)から希望信号を選択的に取得して、重み付け制御の収束性を向上しようとするものであるが、かかる制御を実行するには、双方向ベクトル変調器22において重み付け移相量を零とした場合におけるTRX28の出力信号と、RX32を通過した信号の位相差を、少なくとも0°±90°以下とする必要がある。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、送信/受信で信号の経路をできるだけ共用化することで、送受信で同一のパラメータによるアダプティブ動作が可能となり、より容易にかつより精度良く送信/受信間でのアンテナ・パターンの差を小さくすることができるという効果が得られる。
【0029】
ここで、本方式のアダプティブ・アレイ動作の一例として、LMSアルゴリズムを用いた場合を例にとり説明しておく。なお、LMSアルゴリズムに関しては上記非特許文献1に詳しく説明されているので、ここでは省略する。まず、図3を参照して従来装置について説明する。図2のアダプティブ・アレイ処理部76が図3の点線枠内(76)に相当する。受信合成信号をA、受信信号に挿入される既知信号である参照信号をD、受信合成信号Aから参照信号Dを引いた誤差信号をεとすると(すなわちε=A−D)、LMSアルゴリズムにしたがうアダプティブ・アレイ処理部76は、受信合成信号Aが参照信号Dに近づくように、すなわち、εが零となるように、受信合成信号を決定する重み付け値Wiを調整する。この重み付け値Wiは式(1)により示された漸化式で表される。
【数1】
Figure 0004025219
ここに、
【数2】
Figure 0004025219
、n:(単位)アンテナの数、μ:正の実数、Δt:処理の時間ステップ、*:複素共役を意味する。式(1)においてSiが用いられるのは、誤差εの二乗を評価関数として、Wi(i=1,2,・・・,n)の関数としたとき、この評価関数のWi方向の傾斜がSiに比例することによる。即ち、式(1)の右辺第2項は、誤差εが生じた場合、Wiを評価関数の低減できる方向へ傾斜Siに比例して移動させることを意味する。
【0030】
ここで重要な点は、Siはあくまで評価関数のWi方向の傾斜を表すために用いられこの傾斜に誤りがあっても重み付け値Wiが収束しないわけではない点である
【0031】
次に、図4を参照して本発明について説明する。図中点線枠内(30)は、図1のアダプティブ処理部30に対応する。図3と比較して異なる点は、受信合成信号に共通送受信部(TRX)の利得(複素値、Roと表す)が新たに掛かる点と、Siに個別受信部(RX)の利得Riが掛かる点である。この点を考慮して、次の式(2)、式(3)、式(4)が導出される。
【数3】
Figure 0004025219
ここに、
【数4】
Figure 0004025219
Ro:共通TRXの利得(複素値)、Ri(i=1,2,・・・,n):個別RXの利得(複素値)、Δt:処理時間のステップ、*:複素共役を意味する。ここで、式(2)から、AにRoが掛けられても参照信号Dとの差を誤差εとしているため、Wiはそれぞれ1/Roされた値に収束し、A・RoがDとなるよう、誤差εが零とするように動作し、アダプティブ・アレイ動作に支障はない。一方、評価関数のWi方向の傾斜はSiからSi’に変化する。ここで、この傾斜が真値でなくともεを零とする漸化式は動作し、アダプティブ・アレイ動作は行われるのであるが、このSi’=Ri・Siの位相が、双方向ベクトル変調器22において重み付け移相量を零とした場合におけるTRX28の出力信号の位相に対して、90°以上ずれた場合、評価関数の真の傾斜に対して逆方向の補正がかかるため、漸化式は収束せず、アダプティブ・アレイとして動作しない。一例として、Riの値がRoと比較して±3db、位相差として±30°以内であれば良い。ここでは、LMSについて述べたが、RLSアルゴリズム他のアダプティブ処理においても合成結果と参照信号との間の誤差を最小にする意味で同様に動作する。
【0032】
一方、比較のために述べれば、従来技術(図2)の場合は、各受信経路、送信経路に誤差を含めばこの誤差は送受信アンテナ・パターンの差となり直接送信時の特性劣化につながる。従来例においては送信、受信キャリブレーションをそれぞれ±0.3db、位相差±3°程度に合わせなければ、干渉局方向に充分な深さのヌルを形成できない。
【0033】
そこで、図1に示す本実施形態に係る通信装置10では、非共用回路部24に、調整器34を設け、各系統について、送信経路(RF送信系回路)と受信経路(RF受信系回路)とで、振幅変化量相互の差および位相回転量相互の差がそれぞれ各アンテナ(単位アンテナ)12間でほぼ同じ値となるように構成し(または調整し)ている。また、本実施形態では、各系統に対する重み付け値は、送信/受信で共用される双方向ベクトル変調器22に対するものである。すなわち、本実施形態にかかる通信装置10によれば、調整器34を用いて各系統で送信経路/受信経路における信号の特性変化を定数倍とすることで、各系統に対し送信/受信で共通の重み付け値を用いて、送信アンテナ・パターンと受信アンテナ・パターンとを、同じパターン(すなわち同じビーム、ヌルを有するもの)として形成することができる。
【0034】
また、各受信部(RX)の振幅・位相特性(振幅変化量および位相回転量)も同一とする必要が無い。すなわち、振幅・位相特性の同じ受信部(RX)を揃える必要がなく、より容易に通信装置を構成することができる。
【0035】
また、送受信部(TRX)の受信部利得は、受信部(RX)の利得と連動させればよい。かかる構成により、例えば、一つの送受信部(TRX)内の受信回路4系統の受信部の振幅差は、固定値±3dB程度、また位相差は±30°程度の精度で十分なものとなる。同性能の従来装置では、振幅差:固定値±0.3dB、位相差±3°が必要であったことからすると、極めて簡素に構成可能であるのが理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態にかかる通信装置の回路構成の一例を示す図である。
【図2】 従来の通信装置の回路構成を示す図である。
【図3】 従来の通信装置のアダプティブアレイ処理部にかかる回路構成を示す図である。
【図4】 本発明の実施形態にかかる通信装置のアダプティブ処理部(APU)にかかる回路構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
10 通信装置、12 アンテナ(単位アンテナ)、14,20 送受切り替え器、16 バンドパス・フィルタ(BPF)、18 低雑音増幅器、22 双方向ベクトル変調器、24 非共用回路部、26 分配・合成部、28 送受信部(TRX)、30 アダプティブ処理部(APU)、32 受信部(RX)、34 調整器、36 送信電力増幅器(PA)。

Claims (5)

  1. 複数の単位アンテナを含むアダプティブ・アレイ・アンテナを用いる通信装置であって、
    前記単位アンテナ毎に設けられ少なくとも送信電力増幅器を含むRF送信系回路と、
    前記単位アンテナ毎に前記RF送信系回路と並列に設けられるRF受信系回路であって少なくとも低雑音増幅器を含むRF受信系回路と、
    信号が入出力される第1端子および第2端子を備え、信号の振幅または位相を変化させるための重み付け値を取得し、前記第1端子に入力された信号の振幅または位相を当該取得した重み付け値に基づいて変化させて前記第2端子に出力し、前記第2端子に入力された信号の振幅または位相を当該取得した重み付け値に基づいて変化させて前記第1端子に出力する双方向ベクトル変調器であって、前記第1端子が前記RF送信系回路およびRF受信系回路に単位アンテナの他方側で共通に接続される双方向ベクトル変調器と、
    複数の双方向ベクトル変調器のそれぞれの前記第2端子に接続される分配・合成部と、
    前記分配・合成部に接続される送受信部(TRX)と、
    前記双方向ベクトル変調器に前記重み付け値を出力して複数の単位アンテナをアダプティブ・アレイ・アンテナとして機能させるアダプティブ処理部と、
    前記RF受信系回路のそれぞれと前記アダプティブ処理部との間に設けられ、前記RF受信系回路から取得した信号を所定の利得で増幅し、前記アダプティブ処理部に出力する受信部(RX)と、
    を備え、
    各単位アンテナに対応する前記RF送信系回路およびRF受信系回路について、それらを信号が通過する際の振幅変化量相互の差および位相回転量相互の差を各単位アンテナ間でほぼ等しく設定し、
    前記アダプティブ処理部は
    記受信部(RX)から入力された個別受信信号と、前記送受信部(TRX)から入力された受信合成信号と、に基づく計算ステップ、を繰り返すアルゴリズムを実行し、当該アルゴリズムによって算出した重み付け値を前記双方向ベクトル変調器に出力し、
    前記アルゴリズムによって繰り返される計算ステップは、
    前記受信合成信号と参照信号との差異を示す誤差信号と、前記個別受信信号と、に基づいて、当該誤差信号の複素角と当該個別受信信号の複素角との差異を複素角として有するステップ加算値を算出し、算出した当該ステップ加算値を先の計算ステップで算出された前記重み付け値に加算する処理を含むことを特徴とするアレイアンテナ通信装置。
  2. さらに、各単位アンテナに対応する前記RF送信系回路およびRF受信系回路について、それらを信号が通過する際の遅延時間がほぼ等しいことを特徴とする請求項1に記載のアレイアンテナ通信装置。
  3. 各単位アンテナに対応する前記RF送信系回路およびRF受信系回路のうち少なくともいずれか一方には、前記振幅変化量、位相回転量、および遅延時間のうち少なくとも一つを調整するための調整部が設けられることを特徴とする請求項1または2のうちいずれか一つに記載のアレイアンテナ通信装置。
  4. 同一の通信相手に対し同一周波数で送受信を行う時分割双方向通信装置であることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載のアレイアンテナ通信装置。
  5. 前記アルゴリズムの実行に用いる前記個別受信信号と、前記アルゴリズムの実行に用いる前記受信合成信号と、の間の位相差であって前記双方向ベクトル変調器を信号が通過する際の位相回転量を零とした場合における位相差を、90°以下としたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載のアレイアンテナ通信装置。
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