JP4025236B2 - アレイアンテナ通信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のアンテナを用いて送受信アンテナ・パターンを制御する通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
空間的に離間させて配置された複数のアンテナで受信された各信号を適切に加算合成することにより、希望波の到来方向にビームを有し、かつ干渉波の到来方向にヌルを有する受信アンテナ・パターンを形成して、希望信号を選択的に受信するアダプティブ・アレイ・アンテナを備えた通信装置が知られている。そして、この通信装置で送信を行う場合には、希望局の方向にビームを有し、かつ干渉局の方向にヌルを有する送信アンテナ・パターンを形成するのが望ましい。希望局の方向にビームを形成することで希望局方向に選択的に送信電力を振り向けることができ、また干渉局方向にヌルを向けることで干渉局にとっては本通信装置からの干渉を受けないようにすることができる。これは本通信装置および希望局の組とは独立して通信を行っている干渉局に影響を与えにくくなる意味で極めて有効である。
【0003】
ここで、図2を参照して、従来のアダプティブ・アレイ・アンテナを備えた通信装置50について説明する。なお、ここでは、一例として、送受周波数は同一で、時分割で送受通信を行い、また4本のアンテナ52を空間的に離間させて配置したアダプティブ・アレイ・アンテナを用いる場合について説明する。
【0004】
まずは、受信時の処理について説明する。アンテナ52で受信された信号は、送信/受信を切り替える送受切替器54(図2では受信時の接続状態を示している)を経由して、低雑音増幅器(LNA)56で増幅された後、ミキサ58に入力され、ここでローカル発信器60からのローカル周波数と掛け合わされることにより中間周波数(IF)に変換される。次に、信号は、IFフィルタ62により受信周波数付近の周波数信号とされた後、IF増幅器64にて増幅され、ミキサ66に入力され、ここでローカル発信器68からのローカル周波数とミキシングされてベースバンド信号に変換される。次に、信号は、ローパスフィルタ70によって必要帯域幅に弁別され、アナログ・デジタル変換器(A/D)72にてデジタル信号に変換される。かかる処理により、4つアンテナ52のそれぞれについて、受信信号からベースバンド信号が取得される。これらの信号は受信側処理部74に入力されて振幅及び位相によって特徴付けられる重み付け(係数:w1〜w4)が行われ、その後加算されて受信信号として処理される。アンテナで受信された段階では、受信信号には、希望局からの信号のみならず干渉局からの信号も含まれるが、アダプティブ・アレイ処理部76において参照信号および受信信号に基づいて適切に重みづけ係数(受信重みづけ値)を決定することで、干渉局信号を除去して希望局信号のみを受信することができる。この処理に関しては非特許文献1に詳しい。
【0005】
次に、送信時の処理について説明する。送信側処理部78は、入力される送信信号を4分割して、それぞれに重み付けを行う。ここで、送信時の重み付け値として受信時の重み付けの値を用いる場合がある。これは、送信信号と受信信号の相反性を利用して、受信アンテナ・パターンと同様のビーム・ヌルを有する送信アンテナ・パターンを形成するという考えに基づくものである。さて、分割され重みづけされた各信号は、デジタル・アナログ変換器(D/A)80、ローパスフィルタ82を経由してミキサ84に入力され、ここでローカル周波数によるミキシングによってIF周波数に変換される。次に、信号は、IFフィルタ86によってフィルタリングされ、IF増幅器88によって増幅された後に、ミキサ90に入力され、ここで、ローカル周波数によるミキシングによってRF周波数に変換される。そして、信号は、送信電力増幅器(PA)92、および送受切替器54を経由してアンテナ52から送信される。
【0006】
さて、上記従来技術では、アンテナ52以降の空間での信号の相反性を利用して、送信時の重み付けパターンと受信時の重み付けパターンとを同じにした。ところが、無線部においては、送信信号の通過する送信部(TX)と受信信号の通過する受信部(RX)とが異なるため、相反性は成立しない。したがって、上記従来技術のように、送信側処理部78で受信側処理部74で用いたのと同一の重み付け値を用いても、受信時と同一の送信指向性を得ることはできなかった。すなわち、TX側を通過する送信信号の位相回転量および振幅変化量は、RX側を通過する受信信号の位相回転量および振幅変化量とは異なるため、送受信で同一の重み付けを行っても、送信信号がTXを通過してアンテナに達したときの信号の振幅および位相は、受信信号が受信される場合の振幅および位相と異なるものとなってしまうのである。このため、送受信で同じ重み付けを行うと、送信アンテナ・パターンは受信アンテナ・パターンと異なるものとなり、受信信号のビーム方向とヌル方向は、送信時のビーム方向とヌル方向とは異なるものとなる。
【0007】
そこで、この種のアダプティブ・アレイ・アンテナを備える通信装置では、4系統のそれぞれについて、送信部(TX)における送信信号の位相回転量が受信部(RX)における受信信号の位相回転量と同一となり、かつ、送信部(TX)における送信信号の振幅変化量が受信部(RX)における受信信号の振幅変化量とアンテナ間で共通の一定倍率となるように、適切な調整を行う必要があった。
【0008】
この場合、通常、4系統の全ての受信部(RX)について振幅変化量と位相回転量とが一定値となるように調整され(受信側キャリブレーション)、また4系統の全ての送信部(TX)について振幅変化量と位相回転量とが一定値となるように調整される(送信側キャリブレーション)。かかる調整は、受信側処理部74内に各系統(各受信部)に対応させて設けられた振幅・位相補正部94、および送信側処理部78内に各系統(各送信部)に対応させて設けられた振幅・位相補正部96にて行われる。このキャリブレーション(校正)は、具体的には、特許文献1や特許文献2に開示されるように、各系統で受信側または送信側に切り替え、受信信号が受信部(RX)を通過する際の振幅および位相と、送信信号が送信部(TX)を通過する際の振幅および位相とを、順次測定して行うものである。
【0009】
【特許文献1】
特許第3332911号公報
【特許文献2】
特表2003−501971号公報
【特許文献3】
特開2001−53663号公報
【非特許文献1】
菊間信良著,「アレーアンテナによる適応信号処理」,初版,株式会社科学技術出版,1998年11月
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1あるいは特許文献2に開示される方法では、各系統について送信/受信を切り替え、送受信のそれぞれについて信号が通過する際の振幅および位相を測定するため、キャリブレーションが完了するまでにかなりの時間を要するという問題があった。さらに、キャリブレーションの実施中に、新たに振幅変化、位相回転が生じ、精度良くキャリブレーションを行うのが難しいという問題があった。一般的に、送信部および受信部をキャリブレーションの実施中に特性変化が全く無い状況に保つことは実際には極めて難しい。このため、その対策として、特許文献3に開示されるような、運用中に常時キャリブレーションを並行して継続するという非常に手間のかかるキャリブレーションを実施せざるを得ない場合も多かった。
【0011】
また、希望局、干渉局からの信号のレベルは各局までの距離等によって大きく変動するため、受信部には一般に自動利得調整機構(AGC)が設けられている。しかしながら、この自動利得調整機構を設けたことで、受信レベルの変化に起因して受信部相互間で振幅変化量および/または位相回転量の差(ばらつき)が生じることがあり、折角行ったキャリブレーション(補正)が実際には有効とならない場合も多かった。
【0012】
さらに、受信側の振幅・位相補正部に何らかの異常が生じ、正常な補正を行えない状態となった場合、それによる誤差は受信側処理部の重み付け値に上乗せされる。そして、その誤差の上乗せされた重み付け値が送信側に用いられるから、送信アンテナ・パターンと受信アンテナ・パターンとが大きく異なることになってしまうという問題があった。
【0013】
次に、複数の通信相手についてそれぞれ異なる通信周波数を使用すれば、相互干渉することなく複数の通信相手と通信を行うことは可能となるが、この場合、周波数を弁別する機能を各送信部(TX)または受信部(RX)に持たせることが必要となるため、狭帯域で複数の周波数で並行して送受信を行うためには、受信側処理部、送信側処理部、アダプティブ・アレイ処理部に加えて、受信部(RX)および送信部(TX)についても、並行して通信する周波数の分だけ並列に準備しなければならないという問題があった。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるアレイアンテナ通信装置は、複数の単位アンテナ毎に設けられ少なくとも送信電力増幅器を含むRF送信系回路と、上記単位アンテナ毎に上記RF送信系回路と並列に設けられ少なくとも低雑音増幅器を含むRF受信系回路であって、各単位アンテナに対応する上記RF送信系回路および該RF受信系回路について、それらを信号が通過する際の振幅変化量相互の差および位相回転量相互の差がほぼ等しく設定されるRF受信系回路と、上記RF送信系回路およびRF受信系回路に単位アンテナの他方側で接続される双方向ベクトル変調器と、複数の上記双方向ベクトル変調器に接続される分配・合成部と、上記分配・合成部に接続される送受信部(TRX)と、上記双方向ベクトル変調器を制御して複数の単位アンテナをアダプティブ・アレイ・アンテナとして機能させるアダプティブ処理部と、を備え、上記双方向ベクトル変調器、上記分配・合成部、上記送受信部(TRX)および上記アダプティブ処理部を含んでなる複数の送受信ブランチが並列に設けられ、上記送受信ブランチが、RF送信系回路、RF受信系回路および複数の単位アンテナを共用して、それぞれ送受信用のビームを形成する。
【0015】
上記本発明にかかるアレイアンテナ通信装置では、複数の上記送受信ブランチは、ビーム相互間の角度が所定角度以上となるようにビームを形成するのが好適である。
【0016】
また上記本発明にかかるアレイアンテナ通信装置では、複数の上記送受信ブランチは、ビーム相互間の角度が所定角度以内となるようにビームを形成し、かつ相互に干渉しない通信周波数帯で送信または受信を行うのが好適である。
【0017】
また上記本発明にかかるアレイアンテナ通信装置では、複数の前記送受信ブランチは、ビーム相互間の角度が所定角度以内となるようにビームを形成し、かつ相異なるタイムスロットで送信または受信を行うのが好適である。
【0018】
また上記本発明にかかるアレイアンテナ通信装置では、互いに並列に設けられる上記RF送信系回路および上記RF受信系回路について、それらを信号が通過する際の遅延時間がほぼ等しく設定されるのが好適である。
【0019】
また上記本発明にかかるアレイアンテナ通信装置では、各単位アンテナに対応する上記RF送信系回路およびRF受信系回路のうち少なくともいずれか一方には、上記振幅変化量、位相回転量、および遅延時間のうち少なくとも一つを調整するための調整部が設けられているのが好適である。
【0020】
また上記本発明にかかるアレイアンテナ通信装置では、同一の通信相手に対して同一周波数で送受信を行う時分割双方向通信装置であるのが好適である。
【0021】
また上記本発明にかかるアレイアンテナ通信装置では、さらに、上記RF受信系回路のそれぞれと上記アダプティブ処理部との間に受信部(RX)を備えるのが好適である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について図1を参照して説明する。図1は、本実施形態にかかる通信装置10の要部の一例を示すブロック図である。なお、本実施形態では、4つのアンテナ(単位アンテナ)12によってアダプティブ・アレイ・アンテナが構成される場合の例について説明する。
【0023】
各アンテナ12に入力された信号は、送受切替器14,20が受信側に接続されている状態で、バンドパス・フィルタ(BPF)16および低雑音増幅器(LNA)18を通過し、さらに送受切替器20、分配・合成部21を通って、双方向ベクトル変調器22,23に入力される。ここで、送受切替器14と送受切替器20との間には、送信系と受信系とでそれぞれ別個独立した回路(すなわちRF送信系回路およびRF受信系回路)が設けられており、本実施形態では、この部分を非共用回路部24と称する。
【0024】
また本実施形態では、受信について分配・合成部21の後段(送信について分配・合成部21の前段)となる回路構成部分は複数並列に設けられており、本実施形態ではこの部分を送受信ブランチ40(系統#1),41(系統#2)と称する。送受信ブランチ40,41は、各々、双方向ベクトル変調器22,23、分配・合成部26,27、送受信部(TRX)28,29およびアダプティブ処理部30,31を含み、送受信に関する処理およびアダプティブ制御をそれぞれ独立して実行することができる。
【0025】
さて、受信に際して双方向ベクトル変調器22,23においてそれぞれ重み付けされた複数系統の信号は、分配・合成部26,27で加算され、送受信部(TRX)28,29を通ってそれぞれ受信される(受信信号)。この受信信号の一部はアダプティブ処理部(APU)30,31に入力される。
【0026】
一方、低雑音増幅器(LNA)18から出力された信号は、各ブランチ毎に設けられた受信部(RX)32,33を通って、アダプティブ処理部30,31にそれぞれ入力される。
【0027】
各アダプティブ処理部30,31は、入力される参照信号およびTRX28,29からの信号に基づいて、干渉波や雑音等と分離された希望波信号を取り出すための重み付け値(各双方向ベクトル変調器22,23における重み付け値)を取得し、これを各双方向ベクトル変調器22,23に設定する。これにより、希望局方向にビームを、また干渉局方向にヌルを有する受信アンテナ・パターンを形成することができる。また、希望局からの信号のSN比を改善することもできる。
【0028】
本実施形態で分配・合成器21以降の送受信ブランチ40,41を複数系統(図1の例では2系統)設けているのは、それら各々が独立して複数のビームを形成するためである。これにより、いわゆるSDMA(Space Division Mutiple Access:空間分割多元接続)が実現される。例えば、複数系統について同じ時間帯に同一の周波数を用いる場合には、系統#1の希望局方向(ビーム)を系統#2の干渉局方向(ヌル)とし、また系統#2の希望局方向(ビーム)を系統#1の干渉局方向(ヌル)とすればよい。また、異なる通信周波数を用いる場合には、基本的にはビーム同士の干渉が無いから、他系統のビームおよびヌル(の方向)に関係無く、系統#1,#2がそれぞれ希望局方向にビーム、また干渉局方向にヌルを形成すればよい。
【0029】
このとき、ある一つの系統での希望局方向、干渉局方向あるいはビームを示す情報を他の系統でのビーム形成に反映し、系統間での干渉を抑制したり、各系統での送受信精度の向上を図ることができる。例えば、TDMA−TDD方式で通信を行う場合において、通信相手局の移動等により、同じタイムスロットで複数の系統が互いに干渉するビームを形成することとなったとき(あるいは局の移動履歴等から近い将来干渉することが予想されるとき)には、それらビームの通信周波数あるいはタイムスロットが別になるように(すなわち干渉が生じないように)、割り当てを決定する(変更する)ことができる。
【0030】
一方、ベースバンド送信信号#1,#2は送受信部(TRX)28,29を通過し、分配・合成部26,27にて各系統に分配される。分配された信号は、それぞれ双方向ベクトル変調器22,23に入力され、分配・合成器21により系統#1,#2が加算合成され、送受切替器20、調整器(主として位相調整器として機能するが振幅調整器としての機能を含めてもよい)34を通過し、送信電力増幅器(PA)36にて電力増幅された後、送受切替器14を通ってアンテナ12から出力される。なお、送信時は、送受切替器14,20はいずれも送信側に接続されている。
【0031】
さて、かかる構成において、RF段で送信/受信の信号の経路が異なるのは、送受切替器14と送受切替器20との間の回路構成部分、すなわち非共用回路部24である。ところが、本実施形態では、非共用回路部24には、調整器34が設けられており、同じアンテナ(単位アンテナ)12に接続される送信経路(RF送信系回路)と受信経路(RF受信系回路)とで、振幅変化量相互の差および位相回転量相互の差の各々が、ほぼ同じとなるように構成している(または調整している)。また、本実施形態では、各系統に対する重み付け値は、送信/受信で共用される双方向ベクトル変調器22に対するものである。すなわち、本実施形態にかかる通信装置10によれば、調整器34を用いて各系統で送信経路/受信経路における信号の特性変化を定数倍とすることで、各系統に対し送信/受信で共通の重み付け値を用いて、送信アンテナ・パターンと受信アンテナ・パターンとを、同じパターン(すなわち同じビーム、ヌルを有するもの)として形成することができる。
【0032】
なお、本実施形態では、非共用回路部24については、さらに、送信系と受信系とで通過遅延時間が等しくなるように構成する(あるいは調整可能な構成要素を備える)のが好適である。これは、遅延時間(より詳しくは群遅延時間)の等しい回路間では、通過位相の周波数傾斜が等しいという群遅延時間の定義に基づく。すなわち、ある特定の周波数で送信系と受信系との位相差を一定としても、別の周波数においては一定値からの位相差が生じてしまうことを防ぐためである。すなわち、かかる構成は、より広い周波数帯域について送信経路と受信経路との間の位相差をほぼ同一とすることができるから、複数の周波数を利用するような通信装置について特に有効となる。
【0033】
さらに、本実施形態にかかる通信装置10では、受信系において、双方向ベクトル変調器22,23、分配・合成部26,27、TRX28,29を通ってアダプティブ処理部30,31に入力される信号と、双方向ベクトル変調器22,23の前段(アンテナ12側)から分配され、各系統の受信部(RX)32,33を通ってアダプティブ処理部30,31に入力される信号と、の間の振幅差および位相差を検出し、かつそれを補正する手段(本実施形態ではアダプティブ処理部30,31がこの手段に相当する)を設けるのが好適である。通信自体には関与しないがアダプティブ制御の収束性を向上するために設けた受信部(RX)32,33のアダプティブ処理部30,31への出力に対して、この手段により、アダプティブ制御の収束性の更なる向上、ひいてはSN比の更なる改善を図ることができる。なお、この手段は、受信時に重み付け合成する前の信号を各系統についてそれぞれ独立に取得し、また、重み付け合成後の信号(すなわちTRX28,29から出力された信号)から希望信号を選択的に取得して、重み付け制御の収束性を向上しようとするものであるが、かかる制御を実行するには、双方向ベクトル変調器22において重み付け移相量を零とした場合におけるTRX28,29の出力信号の位相差に対し、RX32を通過した信号の位相差を、少なくとも0°±90°以下とする必要がある。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数の通信相手に対して送信/受信する際の信号の経路をできるだけ共用化することで、送受信で同一のパラメータによるアダプティブ動作が可能となる。特に、複数の通信相手と、異なる通信周波数で同時に通信を行う場合、周波数を弁別する機能が各送信部(TX)もしくは受信部(RX)に存在するため、通信する相手に対応する送受信部の系統は必要とするものの、送受信で同一のパラメータによるアダプティブ・アレイ動作を別個独立して実現できる。また複数の送受信ブランチについて通信周波数が共通となる場合には相互に干渉関係となる場合もあるが、その場合には、複数のアダプティブ処理部30,31間で連携を取ることでビームの相互干渉を抑制する操作が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態にかかるアレイアンテナ通信装置の要部の概略構成を示すブロック図である。
【図2】 従来のアレイアンテナ通信装置の構成図である。
【符号の説明】
10 アレイアンテナ通信装置、12 アンテナ、14,20 送受切替器、21 分配・合成器、22,23 双方向ベクトル変調器、24 非共用回路部、26,27 分配・合成部、30,31 アダプティブ処理部、34 調整器、40,41 送受信ブランチ。
Claims (2)
- 複数の単位アンテナ毎に設けられ少なくとも送信電力増幅器を含むRF送信系回路と、
前記単位アンテナ毎に前記RF送信系回路と並列に設けられ少なくとも低雑音増幅器を含むRF受信系回路であって、各単位アンテナに対応する前記RF送信系回路および該RF受信系回路について、それらを信号が通過する際の振幅変化量相互の差および位相回転量相互の差がほぼ等しく設定されるRF受信系回路と、
前記RF送信系回路およびRF受信系回路に単位アンテナの他方側で接続される双方向ベクトル変調器と、
複数の前記双方向ベクトル変調器に接続される分配・合成部と、
前記分配・合成部に接続される送受信部(TRX)と、
前記双方向ベクトル変調器を制御して複数の単位アンテナをアダプティブ・アレイ・アンテナとして機能させるアダプティブ処理部と、
を備え、
互いに並列に設けられる前記RF送信系回路および前記RF受信系回路について、それらを信号が通過する際の遅延時間がほぼ等しく設定され、
前記双方向ベクトル変調器、前記分配・合成部、前記送受信部(TRX)および前記アダプティブ処理部を含んでなる複数の送受信ブランチが並列に設けられ、
前記送受信ブランチが、RF送信系回路、RF受信系回路および複数の単位アンテナを共用して、それぞれ送受信用のビームを形成することを特徴とするアレイアンテナ通信装置。 - 各単位アンテナに対応する前記RF送信系回路およびRF受信系回路のうち少なくともいずれか一方には、前記遅延時間を調整するための調整部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のアレイアンテナ通信装置。
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