JP2006265680A - 超弾性材料とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い耐座屈性やトルク伝達性を発揮できようにするため、高い見かけの弾性率および低い応力ヒステリシスを示す超弾性材料とその製造方法を提供する。
【解決手段】Ti−Ni系などの超弾性合金からなり、結晶組織における結晶粒の平均粒径が80nm以下であり、約5%の擬弾性変形歪みを有すると共に、見かけの弾性率(図2中のS−C間を結ぶ斜め線の傾き:応力σ/歪みε)が18GPa以上で且つ応力ヒステリシスhが150MPa以下である、超弾性材料。
【選択図】 図2

Description

本発明は、結晶粒径が数10nmレベルで且つ所要の弾性回復歪を有し、高い見かけの弾性率および低い応力ヒステリシスを示す超弾性材料とその製造方法に関する。
例えば、カテーテル用ガイドワイヤ、ブラジャー用ワイヤ、眼鏡フレーム、あるいは、携帯電話のアンテナ芯線などには、Ti−Ni系の超弾性合金を伸線加工または圧延加工した線材や圧延材が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
これら線材や圧延材は、上記Ti−Ni系の超弾性合金の素材に対し、予め、600〜1000℃の溶体化処理を施し、次いで、加工率が30〜50%の最終冷間加工を施して所望の形状に成形した後、400〜500℃程度の温度帯で熱処理する、という各工程を経ることにより、製造されている。
特開2001−49410号公報(第1〜15頁、図1〜9)
しかしながら、前記超弾性合金の線材などは、応力を受けた際、約1%の歪みを伴う弾性変形した後、約500MPa程度の一定の応力値で歪みだけが増大する広い応力プラトー領域を有する。係る応力プラトー領域を有するため、見かけの弾性率が低くなると共に、上記応力を除去した後における当該応力と歪み回復時の応力との差である応力ヒステリシスが、約200MPa以上に大きくなる。
このため、例えば、カテーテル用ガイドワイヤのような医療用ガイドワイヤなどに求められる耐座屈性やトルク伝達性が低いため、これらの用途における使用(手術など)には、不向きであった。
本発明は、背景技術において説明した前記問題点を解決し、高い耐座屈性やトルク伝達性を発揮できようにするため、高い見かけの弾性率および低い応力ヒステリシスを示す超弾性材料とその製造方法を提供する、ことを課題とする。
課題を解決するための手段および発明の効果
本発明は、前記課題を解決するため、発明者らの鋭意研究の結果、高い加工率の冷間加工および比較的低い温度域の熱処理により粒径が数10nmレベルの結晶粒とすることにより、高い見かけの弾性率および低い応力ヒステリシスを示す超弾性材料を見出した、ことに基づくものである。
側ち、本発明の超弾性材料(請求項1)は、超弾性合金からなり、結晶組織における結晶粒の平均粒径が80nm以下であり、見かけの弾性率が18GPa以上で且つ応力ヒステリシスが150MPa以下である、ことを特徴とする。
これによれば、結晶粒の平均粒径が80nm以下である結晶組織を有することにより、所要の擬弾性変形歪みを奏すると共に、見かけの弾性率が18GPa以上と高く、且つ応力ヒステリシスが150MPa以下と小さな超弾性材料となる。この結果、高い耐座屈性やトルク伝達性を有するため、例えば手術時などに所要のトルク伝達特性および強靱性が求められるカテーテル用ガイドワイヤや、衝撃を受けても変形しにくく所定の強度が求められるバンパなどの車両構成部材、あるいは眼鏡フレームや機械などの強度部材などに好適に適用することができる。
尚、結晶組織における結晶粒の前記平均粒径が80nmを越えると、前記見かけの弾性率が18GPa未満と過少となり、耐座屈特性が低下するか、あるいは応力ヒステリシスが150MPaを越えた過大なものとなり、トルク伝達性が低下する。これらを防ぐため、上記の範囲を除外したものである。結晶粒の望ましい平均粒径は70nm以下、より望ましくは50nm以下である。
尚また、前記超弾性材料が備えるべき擬弾性変形歪みは、3%以上、望ましくは4%以上、より望ましくは5%以上である。
また、本発明には、前記超弾性合金は、前記結晶組織と共に、非晶質相を併有する、超弾性材料(請求項2)も含まれる。
これによれば、結晶組織における結晶粒の前記平均粒径が80nm以下、例えば約60nm、あるいは50nm以下に容易になるため、前記高い見かけの弾性率や低い応力ヒステリシスを確実に得ることが可能となる。
尚、前記超弾性材料の合金組織全体における非晶質相の面積(体積)割合は、50%以下(例えば10〜20%)が望ましい。非晶質相の面積割合が50%を越えると、合金組織全体の脆性が高くなり、前記見かけの弾性率が得られにくくなるためである。
更に、本発明には、前記超弾性合金は、Ti−Ni系、Cu系、Fe系、またはTi系合金の何れかである、超弾性材料(請求項3)も含まれる。
これによれば、平均粒径が80nm以下の結晶粒を有する前記結晶組織、あるいは係る結晶組織と非晶質相との混合組織を有し、且つ前記見かけの弾性率や低い応力ヒステリシスを発揮する超弾性材料を、使用すべき用途に応じて、広範な合金群から容易に選択することが可能となる。
尚、上記Ti−Ni系には、Ti−Ni−Cu系、Ti−Ni−Co系、Ti−Ni−Fe系などが、上記Cu系合金には、Cu−Zn−Al系、Cu−Zn−Ni系、Cu−Mn−Al系などが、上記Fe系合金には、Fe−Mn−Si系、Fe−Ni系、Fe−Pt系、Fe−Pd系などが、上記Ti系合金には、Ti−Nb−Sn系、Ti−Nb−Ta系、Ti−Mo−Al系などが含まれる。
一方、本発明による超弾性材料の製造方法(請求項4)は、超弾性合金の素材に対し、加工率が30〜70%の冷間加工を施す工程と、係る冷間加工された加工材を、300〜400℃×0.25〜1時間で加熱および保持する熱処理工程と、を含み、結晶組織における結晶粒の平均粒径が80nm以下であり、見かけの弾性率が18GPa以上で且つ応力ヒステリシスが150MPa以下の超弾性材料を得る、ことを特徴とする。
これによれば、比較的高い加工率の冷間加工により、結晶組織の平均粒径を約10nm程度に微細化し、且つ比較的低温度域の熱処理(時効処理)を施すことで、平均粒径が80nm以下の結晶粒と高密度の転位群とを有する上記結晶組織、あるいは、係る結晶組織と非晶質相との混合組織となる。このため、応力負荷に応じて内部応力が高くなり、マルテンサイト相の生成と成長に必要な負荷応力が増加するので、前記高い見かけの弾性率や低い応力ヒステリシスを有する超弾性材料を、確実に製造することができる。
尚、前記加工率は、断面積の減少率(圧延の場合は、圧下率)を指し、これが30%未満では、結晶粒の平均粒径が80nm以下になりにくく、一方、70%を越えると、合金組織に破断やクラックが生じ易くなるため、前記30〜70%の範囲とした。望ましい加工率は、30〜60%、より望ましくは40〜60%の範囲である。また、上記加工率で行う前記冷間加工には、冷間圧延や冷間での伸線加工などが含まれる。
また、前記熱処理の温度範囲を300〜400℃の範囲としたのは、300℃未満では、超弾性が顕著に現出しにくく、一方、400℃を越えると、結晶粒の平均粒径が80nmを越え易くなるため、これらを除いた上記温度範囲としたものである。
更に、前記熱処理の保持時間を0.25〜1時間の範囲としたのも、0.25時間未満では、超弾性が顕著に現出しにくく、一方、1時間を超えると、結晶粒の平均粒径が80nmを越え易くなるため、これらを除いた上記温度範囲としたものである。
望ましい熱処理のパターンは、300℃×1時間、320℃×0.5時間、および、350℃×0.25時間が挙げられる。
以下において、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、一般的なTi−Ni系合金の超弾性材料の応力−歪み曲線図、図2は、本発明によるTi−Ni系合金の超弾性材料の応力−歪み曲線図を模式的に示し、両者は、同じTi−Ni系の合金で且つ同じ形状を有する。
図1に示すように、一般的な超弾性材料は、応力(σ)を受けると、始点SからA点を経てB点まで、応力(σ)の増加に比例して歪み(ε)が増加する弾性変形を示す。B点における比較的低い応力(σ)のレベルに達すると、応力(σ)を増加しなくても歪み(ε)だけが著しく増加してB点からC点に至る領域(いわゆる応力プラトー領域)pに移行する。係るC点で応力(σ)を除くと、応力(σ)の低下に連れて歪み(ε)がD点まで減少し、係るD点からA点に至るまで、一定の応力で且つ歪み(ε)だけが減少した後、A点を経て始点Sに戻る。
本発明の超弾性材料は、予め、最終の冷間加工が30〜70%の加工率で施され、その後で300〜400℃×0.25〜1時間の熱処理を施されている。
図2に示すように、本発明の超弾性材料は、応力(σ)を受けると、始点SからA点およびB点まで、小さい歪み(ε)で且つ比較的高い応力(σ)を受ける弾性変形を示す。更に、応力(σ)を増大させると、歪み(ε)も増加しつつB点を超えてC点に至る。係るC点で応力(σ)を除くと、応力(σ)の低下に連れて歪み(ε)がD点を経て始点Sまでほぼ連続して減少する。
図1中において、C点で示す一般的なTi−Ni系合金の超弾性材料の最大歪みは、約6〜8%である。また、図1中で、B−C線とA−D線との間隔は、応力ヒステリシスhを示し、約200MPa程度である。更に、図1中における始点SとC点とを結ぶ斜め線の傾き(応力σ/歪みε)が、一般的な超弾性材料における見かけの弾性率であり、約5〜10GPa程度である。
一方、図2中において、C点で示す本発明によるTi−Ni系の超弾性材料の最大歪みは、例えば、約4〜6%である。また、図2中で、B−C線とC−D線との間隔は、応力ヒステリシスhを示し、約100〜150MPaである。更に、図2中における始点SとC点とを結ぶ斜め線の傾き(応力σ/歪みε)が、本発明の超弾性材料における見かけの弾性率であり、18GPa以上である。
尚、図2に示すように、応力−歪み曲線図で、応力プラトー領域pが現れない場合、応力ヒステリシスhの大きさは、歪み量(ε)によって異なるため、擬弾性変形歪みにおける最大値εxの0.8倍の歪みでの応力(εx×0.8)を、ヒステリシスhとして定義した。
以上のように、本発明によるTi−Ni系合金の超弾性材料は、一般的なTi−Ni系合金の超弾性材料に比べ、後者のような応力を増加しなくても歪みだけが著しく増加する領域(応力プラトー領域)pがないため、約4〜6%の擬弾性変形歪みを呈すると共に、18GPa以上の高い見かけの弾性率と、150MPa以下の低い応力ヒステリシスhとを示す。
これは、本発明の超弾性材料は、前記冷間加工と熱処理とを施され、平均粒径が80nm以下の結晶粒と高密度の転位群とを有する結晶組織、あるいは係る結晶組織と非晶質相との混合組織となっているため、応力負荷に応じて内部応力が高くなり、マルテンサイト相の生成と成長とに必要な負荷応力が増加する。この結果、前記図2に示すように、所要の擬弾性変形歪みを呈すると同時に、高い見かけの弾性率および低い応力ヒステリシスを示す。
従って、本発明の超弾性材料によれば、高い耐座屈性やトルク伝達性を有するため、例えば手術時などに所要のトルク伝達特性および強靱性が求められるカテーテル用ガイドワイヤなどに好適に使用することができる。
尚、本発明の超弾性材料には、前記Ti−Ni系合金に限らず、Ti−Ni−Cu系、Ti−Ni−Co系、Ti−Ni−Fe系、Cu−Zn−Al系、Cu−Zn−Ni系、Cu−Mn−Al系Fe−Mn−Si系、Fe−Ni系、Fe−Pt系、Fe−Pd系、Ti−Nb−Sn系、Ti−Nb−Ta系、Ti−Mo−Al系などの合金を適用しても良い。
以下において、本発明の具体的な実施例について説明する。
Ti−50.9at%Niの合金からなる溶製材を熱間鍛造し、熱間圧延と焼鈍とを複数回繰り返して行い、厚さ1mmの4枚の板材(素材)を得た。
上記4枚の板材のうち、1枚に対しては、従来と同様に、アルゴンガス雰囲気中で900℃×0.5時間の熱処理後に直ちに急冷し、次に、加工率50%の最終冷間圧延を施して、厚さ0.5mmの板材とし、更に、450℃×0.5時間の加熱・保持した後、水焼き入れする熱(時効)処理を施して、従来例の超弾性板材(材料)とした。
上記4枚の板材のうち、残りの3枚には、アルゴンガス雰囲気中で900℃×0.5時間の熱処理後に直ちに急冷し、次に、圧下(加工)率25%、40%、50%の最終冷間圧延を個別に施した後、アルゴンガスの雰囲気下で300℃×1時間の熱(時効)処理をそれぞれ施して、比較例の超弾性板材(材料)と、実施例1,2の超弾性板材(材料)とした。
比較例および実施例1,2の超弾性板材について、それぞれTEM観察(使用機器:日立製作所(株)製:H−800、加速電圧:200kV)を行った。それらの模式的な合金組織を、図3〜図5に示す。尚、図3〜図5中の左下に示す太い横線の長さは、真下の数値(長さ)を示す縮尺(指標)である。
前記圧下率が25%の比較例では、図3中の上下2つの曲線間の領域内に示すように、結晶粒(黒い斑点)の粒径が、約100〜200nmであった。これは、前記圧下率が25%と低くかったため、結晶粒が十分に微細化されなかったことを示す。
一方、前記圧下率が40%の実施例1では、図4中の○印領域内に示すのように、結晶粒(黒い斑点)の粒径が、約20〜50nmであった。これは、前記圧下率が適正であったため、結晶粒が全て80nm以下に微細化されたことを示す。
更に、前記圧下率が50%の実施例2では、図5中の○印領域内に示すのように、結晶粒(黒い斑点)の粒径が、数nm〜約20nmであった。これは、前記圧下率が適正であったため、結晶粒が20nm以下に微細化されたことを示す。
尚、図4,図5では、不明であるが、多数の結晶粒の間には、高密度の転位群が含まれている。また、図5中において、上辺の右端付近から下辺の中央付近に至る斜めの帯状を呈する灰色部分は、非晶質相Amであり、前記50%の強圧下の冷間圧延を行ったため、結晶組織の一部が非晶質組織に変化したものである。係る非晶質相Amは、実施例2の合金組織全体における面積率で、約10〜20%であった。
次いで、従来例の超弾性板材と、比較例および実施例1,2の超弾性板材とについて、それぞれ引張試験を行った。係る引張試験には、(株)島津製作所製のオートグラフ:AGS−Jおよび島津ビデオ式非接触式伸び計:DVE101を用い、室温中で且つ歪み速度:0.14%/秒の条件下で、歪み(ε)1%ごとに応力負荷−応力除荷を行うサイクル試験を行った。
比較例と実施例1,2との超弾性板材の応力−歪み曲線を、図6〜図8に個別に示すと共に、各図中に破線で従来例の超弾性板材の応力−歪み曲線を、併せてプロットした。尚、図6〜図8中で示す実線は、複数回繰り返して行った引張試験のうち、各例ごとで応力と歪みとが最も大きくなった際の曲線である。
図6に示すように、比較例の超弾性板材では、擬弾性変形歪み(ε)が約5%と低いが、最大応力(σ)値は約0.75GPaであった。このため、見かけの弾性率(最大応力/最大歪み)は、約15GPaと低くなった。また、図6中における上下の実線間の距離である応力ヒステリシスhは、約100MPaと小さかった。
尚、前記図2と同じく、比較例や後述する実施例1,2のように、応力プラトー領域pが現れない場合、擬弾性変形歪み(ε)における最大値の0.8倍の歪み(ε)での応力(σ)をヒステリシスhとした。
また、図6中の破線で示す従来例の超弾性板材は、擬弾性変形歪み(ε)が最大でも約8%と高い反面、最大応力(σ)値は約0.25GPaと低いため、見かけの弾性率は、約3.1GPaと著しく低く、且つ応力ヒステリシスhは、約200MPaとかなり大きかった。
一方、図7に示すように、実施例1の超弾性板材では、擬弾性変形歪み(ε)が約6%と高くなり、最大応力(σ)値は約1.3GPaと高くなった。このため、見かけの弾性率は、約21.7GPaとなった。また、図7のほぼ中央に示すで擬弾性変形領域における応力ヒステリシスhは、約120MPaとかなり小さくなった。
更に、図8に示すように、実施例2の超弾性板材では、擬弾性変形歪み(ε)が約4.8%になり、最大応力(σ)値は約0.96GPaと高くなった。このため、見かけの弾性率は、20GPaとなった。また、図8のほぼ中央に示すで擬弾性変形領域における応力ヒステリシスhは、約90MPaと一層小さくなった。
以上のように、実施例1,2は、図7,8中の破線で示す比較例に比べ、見かけの弾性率が高く、且つ応力ヒステリシスhが低くなった。
これは、実施例1,2は、前記のように、40%,50%の高い圧下率の冷間圧延により、結晶粒径を数10nmレベルに微細化し且つ高密度の転位を含む合金組織にした後、300℃×1時間の比較的低温度での熱処理を施したため、応力負荷に応じて内部応力が高くなり、マルテンサイト相の生成と成長に必要な負荷応力が増加したものと推定される。係る結果により、所要の擬弾性変形歪み(ε)を呈し、高い見かけの弾性率と低い応力ヒステリシスhとを示したものである。
以上の実施例1,2により、本発明の作用および効果が容易に理解される。
一般的なTi−Ni系の超弾性材料の模式的な応力−歪み曲線図。 本発明によるTi−Ni系の超弾性材料の模式的な応力−歪み曲線図。 比較例の超弾性材料の合金組織を示す模式的図面。 実施例1の超弾性材料の合金組織を示す模式的図面。 実施例2の超弾性材料の合金組織を示す模式的図面。 比較例の超弾性材料の応力−歪み曲線図。 実施例1の超弾性材料の応力−歪み曲線図。 実施例2の超弾性材料の応力−歪み曲線図。
符号の説明
h……応力ヒステリシス
Am…非晶質相

Claims (4)

  1. 超弾性合金からなり、結晶組織における結晶粒の平均粒径が80nm以下であり、見かけの弾性率が18GPa以上で且つ応力ヒステリシスが150MPa以下である、
    ことを特徴とする超弾性材料。
  2. 前記超弾性合金は、前記結晶組織と共に、非晶質相を併有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の超弾性材料。
  3. 前記超弾性合金は、Ti−Ni系、Cu系、Fe系、またはTi系合金の何れかである、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の超弾性材料。
  4. 超弾性合金の素材に対し、加工率が30〜70%の冷間加工を施す工程と、
    上記冷間加工された加工材を、300〜400℃×0.25〜1時間で加熱および保持する熱処理工程と、を含み、
    結晶組織における結晶粒の平均粒径が80nm以下であり、見かけの弾性率が18GPa以上で且つ応力ヒステリシスが150MPa以下の超弾性材料を得る、
    ことを特徴とする超弾性材料の製造方法。
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