JP2006265610A - 希土類焼結磁石の製造方法 - Google Patents

希土類焼結磁石の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 割れや欠け等の不良が存在する希土類焼結磁石を、焼結磁石の原料として再利用し、高磁気特性のR−T−B系焼結磁石を提供する。
【解決手段】 酸素量が2000ppm以下の焼結磁石を水素粉砕する工程と、水素粉砕された粉末を用いて成形体を作製する工程と、成形体を焼結する工程とを備えるようにした。酸素量が2000ppm以下の低酸素焼結磁石であれば、還元工程を要せず、しかも水素粉砕することができるために高磁気特性の焼結磁石を得ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、割れや欠け等の不良が存在する希土類焼結磁石を、焼結磁石の原料として再利用する方法に関するものである。
希土類焼結磁石の中でもR−T−B系焼結磁石は、磁気特性に優れていること、主成分であるNdが従来のSm−Co系焼結磁石に比べて資源的に豊富で比較的安価であることから、種々の用途に使用されている。
R−T−B系焼結磁石は、主成分であるNdが従来のSm−Co系焼結磁石に比べて資源的に豊富であるとはいえ、資源は有限であり、R−T−B系焼結磁石の現在の使用状況を考慮すると、資源の枯渇が懸念される。このため、近年、R−T−B系焼結磁石の再利用について関心が高まっている。
例えば、特許文献1では、スクラップされたR214B系焼結磁石合金の合金粉末99〜70wt%に対して、上記合金にM(MはAl,Cu,Zn等)を加えた合金粉末を1〜30wt%混合し、この混合合金粉末を磁場中加圧成形し、該成形体を真空または不活性ガス雰囲気中で焼結し、さらに焼結温度以下の温度で時効熱処理することを特徴とする希土類焼結永久磁石の製造方法を提案している。
特開平6−340902号公報
特許文献1では、再利用に供される焼結磁石合金の酸化分を補う合金を添加するというアプローチを提案しているが、本発明は、特許文献1とは異なるアプローチで不良材を再利用し、磁気特性に優れた希土類焼結磁石を提供することを目的とする。
R−T−B系焼結磁石の主相比率を高めて高特性化を図るには、合金中の酸素量を低下させることが必要である。ところが、再利用に供される不良材は、通常、3000〜5000ppm程度の酸素を含有している焼結磁石であり、このような焼結磁石を磁石用原料として再利用しても、酸素量は高いままであり、高い磁気特性を有する焼結磁石を得ることはできない。このような焼結磁石に対し還元処理を施した後、再利用することも考えられるが、それではコスト高となってしまう。
本発明者等は、コスト高を招くことなく不良材を用いても高い磁気特性を示す焼結磁石を得るための検討を行った。その結果、酸素量が2000ppm以下の低酸素焼結磁石であれば、還元工程を要せず、しかも水素粉砕することができるために高磁気特性の焼結磁石を得ることができることを確認した。ここで、水素粉砕とは、合金に水素を吸蔵させることにより合金を膨張させて粉砕する方法であり、粉砕後の粉末中の酸素の増大を防ぐ粉砕方法として有効な方法である。3000〜5000ppm程度の酸素を含有している焼結磁石は、水素雰囲気中に暴露しても、水素を吸蔵せず水素粉砕処理を施すことができない。水素粉砕処理に代えて焼結磁石に対し機械的な粉砕を行うと、粉砕後の粉末中の酸素量が増加してしまい、高磁気特性の希土類焼結磁石を得ることができない。しかしながら、酸素量が2000ppm以下の低酸素焼結磁石であれば、水素粉砕処理を施すことができるので、高磁気特性の焼結磁石を得ることができるのである。
すなわち、本発明は、酸素量が2000ppm以下の焼結磁石を水素粉砕する工程と、水素粉砕された粉末を用いて成形体を作製する工程と、成形体を焼結する工程とを備えることを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法である。
本発明は、低酸素焼結磁石のみを用いて新たに希土類焼結磁石を作製する形態の他、再利用に供される低酸素焼結磁石と新規の鋳造合金材料(以下、新規材ということがある)とを併用して希土類焼結磁石を作製する形態も包含する。この場合は、酸素量が1000ppm以下である新規材を水素粉砕して得られたA粉末と、酸素量が2000ppm以下の焼結磁石(以下、再利用材ということがある)を水素粉砕して得られたB粉末とを用いて成形体を作製すればよい。A粉末とB粉末との比率は、99wt%:1wt%〜70wt%:30wt%とすることが好ましい。
水素粉砕に供される焼結磁石として、平均結晶粒径が1〜30μm、結晶粒の配向度が88%以上のものを用いることができる。
[製造方法]
はじめに、図1を参照して本発明によるR−T−B系焼結磁石の製造方法の概要を説明する。本発明では、鋳造合金からなるA材(新規材)と焼結磁石からなるB材(再利用材)とを磁石用原料として使用し、R−T−B系焼結磁石を製造する。
A材は、原料金属を真空または不活性ガス、好ましくはAr雰囲気中でストリップキャスティングすることにより得られる。なお、ストリップキャスト法に限らず、他の鋳造方法を用いてもよい。
原料金属としては、希土類金属あるいは希土類合金、純鉄、フェロボロン、さらにはこれらの合金等を使用することができる。得られた原料合金は、凝固偏析がある場合は必要に応じて溶体化処理を行なう。その条件は真空又はAr雰囲気下、700〜1300℃の領域で1時間以上保持すれば良い。
再利用材であるB材は、焼結磁石である。この焼結磁石は、A材と同様にストリップキャスティングにより得られた原料合金を水素粉砕する粗粉砕工程、粗粉砕工程で得られた粗粉末をさらに微粉砕する微粉砕工程、微粉砕工程で得られた微粉末を所定形状に成形する成形工程、成形工程で得られた成形体を焼結する焼結工程を経ることにより、得られたものである。例えば、寸法精度の問題、割れ、欠け等の問題によって、製品として出荷されなかった焼結磁石が対象となる。なお、粗粉砕工程、微粉砕工程、成形工程、焼結工程の詳細は後述する。
本発明ではB材として、酸素量が2000ppm以下の低酸素焼結磁石を使用する。酸素量が2000ppmを超えると、水素粉砕による粗粉砕化が困難となる。十分に粗粉砕されなかった粉末を微粉砕工程に供すると、微粉砕が困難になるか、または微粉砕時間が長くなりコスト高につながる。
粗粉砕は、水素粉砕に限らず、機械的な手段、例えばスタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミルを用いて行うこともできる。しかしながら、機械的な手段による粗粉砕では、粉砕後の粉末中の酸素量が増加するため、最終的に酸素量が少なく高磁気特性の焼結磁石を得ることが困難となるので好ましくない。本発明において、低酸素焼結磁石の望ましい酸素量は1500ppm以下、さらに望ましくは1000ppm以下である。
B材の結晶粒径は、平均結晶粒径で1〜30μmである。1μm未満の結晶粒が存在すると、主相を構成するR214B相とは異なる相が多く存在する傾向があり、磁気特性低下の原因となる。一方、50μmを超える結晶粒が存在すると、水素粉砕による粗粉砕化が困難となる。よって、本発明では平均結晶粒径が1〜30μmである低酸素焼結磁石を用いる。低酸素焼結磁石の好ましい平均結晶粒径は1〜20μm、より好ましい平均結晶粒径は2〜15μmである。 なお、本発明における平均結晶粒径は数平均粒径であり、その測定方法は以下のとおりとした。SEM(走査型電子顕微鏡)写真を撮影し、個々の結晶粒を認識した後、画像解析により個々の結晶粒の重心を通る最大径を求め、それを結晶粒径とした。そして、平均結晶粒径は1つの磁石あたり100個程度の結晶粒について計測を行い、全測定粒子の結晶粒径の平均値を平均結晶粒径とした。
B材は、結晶配向度が88%以上である。通常、焼結磁石用原料合金として用いられる。なお、鋳造合金の結晶配向度は約60%、ストリップキャスト合金の結晶配向度は約70%である。本発明で用いるB材は、高い場合には90%以上の結晶配向度を備えている。なお、結晶配向度は、例えばB−Hトレーサを用いて配向方向の残留磁化と配向方向と直交する方向の残留磁化とを測定し、両者の比を求めることにより算出することができる。
いわゆる新規材であるA材と、再利用材であるB材は別々に又は一緒に粉砕される。ここでは、図1にしたがって粉砕工程を説明する。
粉砕工程には、粗粉砕工程と微粉砕工程とがある。まず、A材およびB材を、それぞれ粒径数百μm程度になるまで粗粉砕する。粗粉砕は、水素を吸蔵させることにより合金を粉砕するいわゆる水素粉砕にて行う。水素吸蔵を行った後は、脱水素することが望ましい。R−T−B系焼結磁石にとって、水素は不純物だからである。
なお、A材については機械的な粉砕を行ってもよい。機械的な粉砕によれば、粉砕後に得られた粉末の酸素量が増加するが、新規材であるA材の酸素含有量は50〜500ppm程度とB材よりも少なく、酸素量の増加はB材ほど問題にならないからである。
粗粉砕工程後、A材の粗粉末とB材の粗粉末を非酸化性ガス雰囲気中で混合する。A材とB材の混合比率は、99wt%:1wt%〜70wt%:30wt%とすることが望ましい。B材の混合比率が1wt%未満では、不良材の再利用率が低く、不良材を混合することによる低コスト化が図れない。一方、B材の混合比率が30wt%を超えると、新規材のみから得られた希土類焼結磁石と同等の特性を得ることが困難となる。また、新規材であるA材と再利用材であるB材とでは焼結時の縮率が異なり、一旦焼結がなされているB材の方が縮率が小さい。このため、B材の混合比率が30wt%を超えると、同じ金型を使用したとしてもA材のみを用いて得られた磁石と同じ寸法の希土類焼結磁石を得るのが困難となる。
B材の好ましい混合比率は、3〜20wt%、より好ましくは3〜15wt%である。
但し、本発明ではB材の混合比率を30wt%を超えるものとすることを排除するものではない。希土類焼結磁石の用途によっては、特性よりもコスト面を重視したい場合もあるからである。B材を30wt%を超えて混合する形態、さらにはB材のみから希土類焼結磁石を作製する形態も、本願発明は包含する。
続く微粉砕は、主にジェットミルが用いられ、粒径数百μm程度の粗粉砕粉末が、平均粒径3〜5μmになるまで粉砕される。ジェットミルは、高圧の非酸化性ガス(例えば窒素ガス)を狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により粗粉砕粉末を加速し、粗粉砕粉末同士の衝突やターゲットあるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。微粉砕時に、ステアリン酸亜鉛等の添加剤を0.01〜0.3wt%程度添加することにより、成形時の配向性が高い微粉を得ることができる。
次いで、A材粉末及びB材粉末からなる混合粉末を、磁場印加によってその結晶軸を配向させた状態で加圧成形する。この磁場中成形は、940〜1400kA/mの磁場中で、70〜150MPaの圧力で行なえばよい。
磁場中成形後、その成形体を真空又は不活性ガス雰囲気中で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、粒度と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、1000〜1100℃で1〜5時間程度焼結すればよい。
焼結後、得られた焼結磁石に時効処理を施すことができる。時効処理は、保磁力を制御する上で重要である。時効処理を2段に分けて行なう場合には、800℃近傍、500℃近傍での所定時間保持することが有効である。800℃近傍での熱処理を焼結後に行なうと、保磁力が増大するため、混合法においては特に有効である。また、500℃近傍の熱処理で保磁力が大きく増加するため、時効処理を1段で行なう場合には、500℃近傍の時効処理を施すとよい。
酸素量が2000ppm以下の低酸素焼結磁石を磁石原料として使用することを要旨とする本発明によれば、コスト高を招くことなく、不良材の再利用を図ることができ、材料の歩留まり向上にも寄与する。また、後述する実施例で示すように、本発明によれば、1400mT以上の残留磁束密度(Br)および1200kA/m以上の保磁力(HcJ)を兼備した希土類焼結磁石を得ることができる。
なお、図1では、A材およびB材をそれぞれ粗粉砕し、A材の粗粉末とB材の粗粉末とを混合する形態を示したが、他の形態を採用することもできる。例えば図2に示すように、A材およびB材を一緒に粗粉砕、ならびに微粉砕するようにしてもよい。この場合には、図1に示した混合処理は不要となる。または、図3に示すように、A材およびB材をそれぞれ粗粉砕および微粉砕した後、両者を混合するようにしてもよい。
また、例えば、A材については粗粉砕、微粉砕を行う一方、B材については粗粉砕のみを行い、微粉砕は省略する。そしてA材の微粉末とB材の粗粉末とを混合して成形体を作製するようにしてもよい。微粉末に粗粉末を介在させた状態で成形を行うようにすれば、金型への充填性が向上し、最終的に高密度の成形体を得ることができる。そして、高密度の成形体を焼結することにより、残留磁束密度(Br)の高い焼結磁石を得ることができる。但し、B材について微粉砕を省略する場合には、粗粉砕後のB材の平均粒径が1〜30μmとなっていることを条件とする。B材は一旦、磁場中成形および焼結を経たものであり、A材とともに新たに焼結されたときに粒成長しにくいため、平均粒径が30μmを超えるほど大きいB材粉末を成形および焼結に供すると、最終的に焼結磁石体の高密度化を図ることができず、残留磁束密度(Br)が低くなり、また、保磁力(HcJ)が高いR−T−B系焼結磁石を得ることが困難となるからである。
[化学組成]
次に、化学組成について説明する。
まず、最終的に得られるR−T−B系焼結磁石の組成について言及する。
本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石の組成は、目的に応じ適宜設定すればよいが、磁気特性に優れた磁石を得るためには、焼結後の磁石組成においてR:20〜40wt%、B:0.5〜4.5wt%、T:残部、となるような配合組成とすることが望ましい。ここで、本発明におけるRはYを含む概念を有しており、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu及びYの1種又は2種以上から選択される。Rの量が20wt%未満であると、R−TM−B系焼結磁石の主相となるR2Fe14B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが40wt%を超えると主相であるR2Fe14B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なR−リッチ相が減少し、保磁力の低下を招くため、Rの量は20〜40wt%とする。Ndは資源的に豊富で比較的安価であることから、希土類元素Rとしての主成分をNdとすることが好ましい。
また、ホウ素Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。ただし、ホウ素Bが4.5wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、上限を4.5wt%とする。望ましいホウ素Bの量は0.5〜1.5wt%である。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、Coを2.0wt%以下(0を含まず)、望ましくは0.1〜1.0wt%、さらに望ましくは、0.3〜0.7wt%含有することができる。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相の耐食性向上に効果がある。
また、本発明のR−T−B系焼結磁石は、Al及びCuの1種又は2種を0.02〜0.5wt%の範囲で含有することができる。この範囲でAl及びCuの1種又は2種を含有させることにより、得られる焼結磁石の高保磁力化、高耐食性化、温度特性の改善が可能となる。Alを添加する場合において、望ましいAlの量は0.03〜0.3wt%、さらに望ましいAlの量は、0.05〜0.25wt%である。また、Cuを添加する場合において、望ましいCuの量は0.15wt%以下(0を含まず)、さらに望ましいCuの量は0.03〜0.12wt%である。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、他の元素の含有を許容する。例えば、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることができる。一方で、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが望ましい。特に磁気特性を害する酸素は、その量を2000ppm以下、さらには1500ppm以下、より好ましくは1000ppm以下とすることが望ましい。酸素量が多いと非磁性成分である希土類酸化物相が増大して、磁気特性を低下させるからである。
但し、高磁気特性を得るためにR−T−B系焼結磁石中の酸素量を低下させると、焼結工程において異常粒成長が起こりやすく、角形比が低下する。合金中の酸素が形成している酸化物が結晶粒の成長を抑制しているためである。このような焼結過程における粒成長を抑制するために、本発明のR−T−B系焼結磁石は、Zr、NbおよびTaのうち、少なくとも1種を含有することが望ましい。焼結磁石の磁気特性向上を図るために酸素含有量を低減する際に、Zr、NbおよびTaはいずれも焼結過程での結晶粒の異常成長を抑制する効果を発揮し、焼結磁石の組織を均一かつ微細にする。
R−T−B系焼結磁石におけるZrの含有量は0.05〜0.3wt%、Nbの含有量は0.05〜0.3wt%、Taの含有量は0.1〜2.0wt%であることが好ましい。より好ましいZrの含有量は0.1〜0.25wt%、さらに好ましいZrの含有量は0.1〜0.2wt%である。より好ましいNbの含有量は0.1〜0.25wt%、さらに好ましいNbの含有量は0.1〜0.2wt%である。より好ましいTaの含有量は0.2〜1.7wt%、さらに好ましいTaの含有量は0.3〜1.5wt%である。
A材の組成は、最終的に得たいR−T−B系焼結磁石の組成およびB材の組成に応じて決定すればよい。
具体的には、最終的に得たいR−T−B系焼結磁石の組成と同等の組成を有するB材を使用する場合には、A材の組成もR−T−B系焼結磁石の組成と同等のものとする。
一方、最終的に得たいR−T−B系焼結磁石の組成とは異なる組成を有するB材を使用する場合には、A材とB材との割合、所望するR−T−B系焼結磁石の組成および使用予定のB材の組成を考慮して、A材の組成を決定すればよい。
B材の組成は、最終的に得たいR−T−B系焼結磁石の組成と同等であることが好ましいが、必ずしもそのようなB材を準備できるとは限らない。よって、最終的に得たいR−T−B系焼結磁石の組成とは異なる組成を有するB材を使用する場合には、上述したようにA材の組成ならびにA材とB材との割合を調整すればよい。
また、A材およびB材よりも希土類元素量が多い高R合金をさらに準備し、これら3種を組み合わせて焼結磁石を得るようにしてもよい。高R合金の使用は、B材の酸素量が2000ppm以下の範囲内ではあるが比較的酸素量が多いときに有効である。B材の酸素量が比較的多い場合には、粒界相のなかのRリッチ相が酸化により不足して磁気特性が劣化することが想定されるが、粒界相の酸化分を補う希土類元素を補充してあげることにより、磁気特性の劣化を抑制することができる。
高R合金の添加量はA材およびB材の合計量に対して0.5〜10wt%とすることができる。この範囲で高R合金を添加することにより、保磁力(HcJ)および/または残留磁束密度(Br)を向上させることができる。但し、添加量が10wt%を超えると、焼結磁石全体に占める希土類元素量が増えるため、残留磁束密度(Br)が低下してしまう。
次に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
本実施例では、図1に示す製造工程にしたがって、希土類焼結磁石を作製した。なお、高磁気特性を得るために、本実験では最終的に得られる希土類焼結磁石の酸素量を2000ppm以下に抑えるために、水素処理(粉砕処理後の回収)から焼結(焼結炉に投入する)までの各工程の雰囲気を、300ppm未満の酸素濃度に抑えた。
まず、A材(合金)として、ストリップキャスト法により、29.6wt%Nd−1.0wt%Dy−0.5wt%Co−0.05wt%Cu−0.1wt%Zr−0.2wt%Al−1.1wt%B−bal.Feの組成を有する合金を作製した。A材中の酸素量は320ppmであった。B材(再利用材)として、29.4wt%Nd−1.0wt%Dy−0.5wt%Co−0.05wt%Cu−0.1wt%Zr−0.2wt%Al−1.1wt%B−bal.Fe(wt%)の組成を有する焼結磁石を準備した。B材中の酸素量は950ppmであった。また、B材の平均結晶粒径を上記した方法にて求めたところ、4.1μmであった。
続いて、室温にてA材及びB材に水素を吸蔵させた後、Ar雰囲気中で600℃×1時間の脱水素を行なう水素粉砕処理を行なった。この水素粉砕処理は、A材、B材ごとに行った。
得られたA材の粗粉末及びB材の粗粉末をVミキサを用いて表1に示す割合で混合し、その後、ジェットミルを用いてA材粉末及びB材粉末がそれぞれ平均粒径4.0μm程度になるまで微粉砕を行なった。得られた微粉末を1200kA/mの磁場中で120MPaの圧力で成形し、成形体を得た。微粉砕、A材及びB材の混合ならびに成形も、低酸素プロセスで行っている。
この成形体を真空中において1050℃で4時間焼結した後、急冷した。次いで得られた焼結磁石に800℃×1時間と540℃×1時間(ともにAr雰囲気中)の2段時効処理を施した。
得られたR−T−B系焼結磁石について、残留磁束密度(Br)および保磁力(HcJ)をB−Hトレーサにより測定した。その結果を表1および図4、5に併せて示す。
Figure 2006265610
表1に示すように、再利用材であるB合金を5〜20wt%添加しても、1400mT以上の残留磁束密度(Br)および1250kA/m以上の保磁力(HcJ)を得ることができた。
但し、図4および図5に示すように、再利用材であるB合金の添加量が増えるにつれて、保磁力(HcJ)および残留磁束密度(Br)が徐々に低下するため、再利用材を添加しない場合(試料No.1)と同等の特性を得るには、再利用材の添加量を1〜30wt%とすることが望ましい。
<比較例>
B材(再利用材)として、上記実施例と同様の組成を有するが、酸素量が3500ppmであるものを準備した。このB材に対して、実施例と同様に水素吸蔵、脱水素処理を施したが、B材を水素粉砕することはできなかった。
本実施形態における希土類焼結磁石の製造工程を示すフローチャートである。 本実施形態における希土類焼結磁石の他の製造工程を示すフローチャートである。 本実施形態における希土類焼結磁石の他の製造工程を示すフローチャートである。 実施例における再利用材添加量と、残留磁束密度(Br)との関係を示すグラフである。 実施例における再利用材添加量と、保磁力(HcJ)との関係を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 酸素量が2000ppm以下の焼結磁石を水素粉砕する工程と、
    水素粉砕された粉末を用いて成形体を作製する工程と、
    前記成形体を焼結する工程と、
    を備えることを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法。
  2. 酸素量が1000ppm以下の鋳造合金を水素粉砕して得られたA粉末と、酸素量が2000ppm以下の前記焼結磁石を水素粉砕して得られたB粉末とを用いて前記成形体を作製することを特徴とする請求項1に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  3. 前記A粉末と前記B粉末との比率が、99wt%:1wt%〜70wt%:30wt%であることを特徴とする請求項2に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  4. 水素粉砕に供される前記焼結磁石は、平均結晶粒径が1〜30μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  5. 水素粉砕に供される前記焼結磁石は、結晶粒の配向度が88%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法。
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