JP2006264367A - 緩衝器の制御装置 - Google Patents

緩衝器の制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2006264367A
JP2006264367A JP2005081336A JP2005081336A JP2006264367A JP 2006264367 A JP2006264367 A JP 2006264367A JP 2005081336 A JP2005081336 A JP 2005081336A JP 2005081336 A JP2005081336 A JP 2005081336A JP 2006264367 A JP2006264367 A JP 2006264367A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
force
shock absorber
damping force
sprung
variable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005081336A
Other languages
English (en)
Inventor
Tatsuya Masamura
辰也 政村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KYB Corp
Original Assignee
Kayaba Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kayaba Industry Co Ltd filed Critical Kayaba Industry Co Ltd
Priority to JP2005081336A priority Critical patent/JP2006264367A/ja
Publication of JP2006264367A publication Critical patent/JP2006264367A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Vehicle Body Suspensions (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)

Abstract

【課題】 高精度に相対速度を推定することができスカイフック制御に最適な緩衝器の制御装置を提供することであり、また他の目的は、非線形性が強い緩衝器に最適な緩衝器の制御装置を提供することである。
【解決手段】 緩衝器Dnの発生可能な最低減衰力に可変減衰力Unを付加する減衰力可変機構3と、バネ上部材Bnに作用する車両Vに対して上下方向の慣性力FmnとスタビライザS(S)のバネ上部材Bnへの作用力Fsf(Fsr)と可変減衰力Uとバネ上部材Bnに作用する車両に対して上下方向のバネ上加速度ddXと最低減衰力発生時における緩衝器Dnの減衰係数Cf(Cr)とに基づいてバネ上部材Bnのバネ下部材Wnに対する相対速度dYを推定する推定手段とを備え、バネ上速度dXと前記相対速度dYに基づいて可変減衰力Uを制御する。
【選択図】 図7

Description

本発明は、特にスカイフック制御に最適な緩衝器の制御装置の改良に関する。
この種、緩衝器の制御装置にあっては、緩衝器の減衰力をスカイフック制御則に則って制御するものがある。
そして、このスカイフック制御にあたり、制御装置は、バネ上速度dX(dX=dX/dt)とバネ上部材とバネ下部材との上下方向の相対速度dY(dY=dY/dt)の符号とバネ上速度dXの値に基づき、緩衝器の減衰力を変化させる制御を行っている。
ここで、従来の制御装置にあっては、車両の四輪全部のバネ上速度dXおよび相対速度dYをセンサで検出するとセンサ数が多くなり車両への搭載性が悪化することから、四輪のバネ上加速度ddX(ddX=dX/dt)のみをセンサで検出するとして、四輪の各相対速度dYについてはそれぞれ一輪毎に推定するようにしている。
各相対速度dYの推定は、バネ上部材の運動方程式をラプラス変換して得られる式(1)を用いて行われている。
Figure 2006264367
ここで、dYは推定された相対速度、Mはバネ上部材とバネ下部材との間に介装された1つの懸架バネで支持するバネ上質量(以下、単に「バネ上質量」という)、Kは懸架バネ定数である。
具体的には、減衰力については流路面積を可変にするアクチュエータへの指示信号に応じた減衰特性マップ、すなわち、相対速度dYと緩衝器の減衰力との関係を示すマップを利用し、減衰力については流路面積を可変にするアクチュエータへの指示信号によって1つの減衰特性を選択するとともに、前回の制御手順の実行により推定された前回の相対速度dYと、同前回の相対速度dYに対する減衰力を特定し、マップ中の原点と座標(前回相対速度dY,減衰力)を結んだ直線の傾きを推定減衰係数とし、この推定された減衰係数で上記バネ上加速度ddXを除し適当なゲインを乗算した値と、バネ上加速度ddXに適当なゲインを乗算した値とを加算することによって相対速度dYを推定するようにしている。
特許第3104434号公報(実施例欄)
上記した制御装置では、バネ上加速度のみを検知すればスカイフック制御を行うことができるが、以下の問題がある。
すなわち、従来の制御装置にあっては、車体に作用する横加速度や前後加速度によるバネ上部材の上下方向の慣性力の考慮がなされておらず、また、実際の車両にあっては左右輪、すなわち左右のバネ下部材に亙ってスタビライザが横架されており、この左右のバネ下部材の変位差に応じてバネ上部材に作用するスタビライザのバネ上部材への作用力の考慮がなされていないので、一輪のみのモデルで相対速度dYを推定する従来の制御装置では、相対速度推定値dYの精度が十分ではなく、結果として十分にスカイフック制御を行うことができない。
また、従来の制御装置にあっては、開口面積を変化させて減衰力を可変にするタイプの緩衝器を制御する場合には、緩衝器が減衰力を変化させても必ず原点を通り傾きが変化する減衰特性(減衰力と相対速度dYとの関係)を備えているので問題はないが、非線形性が強い減衰特性を備えた緩衝器を制御する場合には、減衰係数を精度よく推定することができず、この点でも、相対速度推定値dYの精度が十分ではなく、結果として十分にスカイフック制御を行うことができない。
そこで、本発明は、上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、高精度に相対速度を推定することができスカイフック制御に最適な緩衝器の制御装置を提供することであり、また他の目的は、非線形性が強い緩衝器に最適な緩衝器の制御装置を提供することである。
上記した目的を達成するため、本発明の緩衝器の制御装置は、車両におけるバネ上部材とバネ下部材との間に介装される減衰力可変な緩衝器の制御装置において、緩衝器の発生可能な最低減衰力に可変減衰力を付加する減衰力可変機構と、バネ上部材に作用する車両に対して上下方向の慣性力とスタビライザのバネ上部材への作用力と可変減衰力とバネ上部材に作用する車両に対して上下方向のバネ上加速度と最低減衰力発生時における緩衝器の減衰係数とに基づいてバネ上部材のバネ下部材に対する相対速度を推定する推定手段とを備え、バネ上部材のバネ上速度と前記相対速度に基づいて可変減衰力を制御するようにした。
また、本発明の他の緩衝器の制御装置は、車両におけるバネ上部材とバネ下部材との間の4箇所にそれぞれ介装される減衰力可変な緩衝器の制御装置において、各緩衝器の発生可能な最低減衰力に可変減衰力を付加する減衰力可変機構と、少なくとも車体の前後または左右方向の同一直線上にない任意の3箇所に設けた車体の上下方向の加速度を検出する加速度検出手段と、加速度検出手段がそれぞれ検出する上下方向の加速度に基づいて各バネ上部材に作用するバネ上加速度を演算するバネ上加速度演算手段と、バネ上部材に作用する車両に対して上下方向の慣性力とスタビライザのバネ上部材への作用力と可変減衰力と上記演算されるバネ上加速度と最低減衰力発生時における緩衝器の減衰係数とに基づいてバネ上部材のバネ下部材に対する相対速度を推定する推定手段とを備え、バネ上部材のバネ上速度と前記相対速度に基づいて可変減衰力を制御するようにした。
本発明の緩衝器の制御装置によれば、スカイフック制御にあたり左右輪がスタビライザで結合されている場合であっても、左右輪の相対変位差に比例したスタビライザの作用力を考慮することにより、精度よく相対速度を推定することができる。
また、この緩衝器の制御装置にあっては、バネ上加速度およびスタビライザの作用力のみならず、車体のローリング、スクワット、ノーズダイブによってバネ上部材に作用する慣性力をも考慮することができるので、相対速度の推定精度を飛躍的に向上でき、これにより、従来制御装置に比較して車両における乗り心地が向上されることになる。
さらに、緩衝器の最低減衰力を線形な減衰特性とし、直接的な制御対象を可変減衰力としたので、ハイパスフィルタとゲインを乗じる簡単な計算で精度よく相対速度を推定することができる。
また、緩衝器の最低減衰力を線形な減衰特性とし、直接的な制御対象を可変減衰力としたので、非線形性が強い減衰特性を備えた緩衝器を制御する場合にあっても、精度よく相対速度を推定でき、結果としてより高精度なスカイフック制御を行うことができる。
そして、請求項2の緩衝器の制御装置にあっては、上記に加え、バネ上加速度を得るのに加速度センサを車両の四箇所各輪のバネ上部材に設ける必要はなく、3つのバネ上加速度を検出する加速度センサで足りるので、該緩衝器の制御装置のコストを低く抑えることができるとともに、その設置箇所も任意であり緩衝器の近傍に限定されないので、車両への搭載性も向上する。
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。図1は、本発明の一実施の形態における緩衝器の制御装置を概念的に示した図である。図2は、加速度センサが設けられる位置を示した図である。図3は、緩衝器の減衰特性を示す図である。図4は、緩衝器における減衰力可変機構部分の縦断面図である。図5は、緩衝器の概略断面図である。図6は、他の緩衝器の概略断面図である。図7は、一実施の形態における緩衝器の制御装置の制御ブロック図である。図8は、緩衝器が実際に発生する最低減衰力の減衰特性を示す図である。図9は、一実施の形態における緩衝器の制御装置の制御処理手順を示すフローチャートである。
図1に示すように、一実施の形態における緩衝器の制御装置1は、車両Vの車体の任意の個所に設置される制御部2と、加速度検出手段たる3つの速度センサG1,G2,G3と、緩衝器の発生可能な最低減衰力に可変減衰力を付加する減衰力可変機構3とを備えて構成されている。
また、緩衝器D1は、車両Vの車体の一部であるバネ上部材B1とバネ下部材W1との間に懸架バネE1と並列に介装され、他の緩衝器D2,D3,D4も、それぞれ同様にバネ上部材B2,B3,B4とバネ下部材W2,W3,W4との間に懸架バネE2,E3,E4と並列に介装されている。
なお、本明細書では、懸架バネE1で分担支持する車体の一部をバネ上部材B1とし、懸架バネE1が分担する車体の一部の質量をバネ上質量Mとし、他の懸架バネE2,E3,E4に対応してバネ上部材B2,B3,B4としてある。したがって、各バネ上質量M,M,M,Mの総合計は、車体の質量と同じになる。
また、車両Vの前側の左右に配置されるバネ下部材W1,W2は、バネ上部材B1とバネ下部材W1の相対変位とバネ上部材B2とバネ下部材W2の相対変位の差に応じて該差を減じる方向に力を発生するスタビライザSfが横架されるとともに、車両Vの後側の左右に配置されるバネ下部材W3,W4にも、スタビライザSrが横架されている。
さらに、加速度センサG1,G2,G3は、車体Bの上下方向の加速度を検出するものであって、図2に示すように、車体Bの前後または左右方向の同一直線上にない任意の3箇所に設置されている。
そして、この加速度センサG1,G2,G3は、検知した加速度g,g,gに応じた電圧信号を緩衝器の制御装置1の制御部2に出力し、制御部2は、上記加速度センサG1,G2,G3の信号を処理して、バネ上部材B1,B2,B3,B4の上下方向の加速度(バネ上加速度)を演算できるようになっている。
具体的には、バネ上部材Bnのバネ上加速度ddXは、ddXn=An1・g+An2・g+An3・gで計算される。ここで、n=1,2,3,4であり、nの値はどのバネ上部材についてのものであるかを特定するものであり、この場合、nが1のときはバネ上部材B1についてのバネ上加速度ddX1が計算されることを示している(以下、特にnについての指定がない場合、nは1,2,3,4のいずれかの値をとる)。そして、An1,An2,An3は、各加速度センサG1,G2,G3の設置位置、車体Bの重心位置、車体Bの重心位置と各バネ上部材B1,B2,B3,B4間での各距離、車両Vのホールベース、車両Vのトレッド等から決定される定数である。
すなわち、車体Bを剛体と見なして、車体Bの前後または左右方向の同一直線上にない任意の3箇所の上下方向の加速度g,g,gを得れば、各バネ上部材B1,B2,B3,B4のバネ上加速度ddX,ddX,ddX,ddXは一義的に決まるのであり、バネ上加速度ddX,ddX,ddX,ddXを演算することができるのである。
さらに、この車両Vには、図2に示すように、車体Bの車速を検出する車速センサ50と、操舵角を検出する操舵角センサ60とを搭載している。
そして、この車速センサ50および操舵角センサ60が出力する電圧信号は、緩衝器の制御装置1の制御部2に入力され、制御部2は、上記車速vおよび操舵角θを処理して、バネ上部材B1,B2,B3,B4の各々に作用する各慣性力Fm1,Fm2,Fm3,Fm4を演算できるようになっている。
なお、上記各慣性力Fm1,Fm2,Fm3,Fm4を演算にあたっては、一旦車速vと操舵角θを処理して車体Bに作用する車両Vに対する前後方向の前後加速度および車体Bに作用する車両Vに対する左右方向の横加速度を演算し、演算された上記前後加速度および横加速度から各慣性力Fm1,Fm2,Fm3,Fm4を演算する。
したがって、上記した車速センサ50および操舵角センサ60に代えて前後加速度を検知する加速度センサと横加速度センサとを車両に搭載し、これらセンサの電圧信号を制御部2に入力するようにしてもよい。
また、この緩衝器の制御装置1が搭載される車両VがCAN(Controller Area Network)を搭載し、車速vおよび操舵角θを該CANを介して得られるようであれば、緩衝器の制御装置1を該CANに接続し、該CANを介して上記車速vおよび操舵角θの情報を得るようにしてもよい。
転じて、緩衝器D1,D2,D3,D4は、発生可能な最低減衰力に可変減衰力を付加する減衰力可変機構3を備えており、この緩衝器D1,D2,D3,D4の場合、減衰力可変機構3は減衰バルブのクラッキング圧(開弁圧)を変更するクラッキング圧変更手段を備えて構成されている。
したがって、この緩衝器D1,D2,D3,D4が発生する減衰力の特性、すなわち、減衰特性は、図3に示すように、最低減衰力発生時の減衰特性Lから最高減衰力発生時の減衰特性Hまでの可変幅で減衰特性を変化させることができる。
つまり、この緩衝器D1,D2,D3,D4にあっては、上記減衰力可変機構3によって最低減衰力に上記可変幅の範囲内で可変減衰力を付加することができる。
そして、この各緩衝器D1,D2,D3,D4は、いずれも同様の構成とされ、具体的にはたとえば、図4に示すように、シリンダ100と、シリンダ100内に中空円筒状のピストン101を介して移動自在に挿入されたピストンロッド102と、ピストンロッド102の先端に穿設されたピストンロッド102内外を連通するポート103と、ピストンロッド102内に挿入され上記ポート103に対向する孔104を設けたスリーブ105と、互いが絞り106を介して連通する第1室107と第1室107より大径の第2室108を両端に軸方向に沿って開設するとともにスリーブ105内に第1室107側をピストンロッド102内方に向けて摺動自在に挿入されたスプール109と、第2室108とスプール109外方とを連通しかつスプール109の上記ポート103と対向する位置に設けた連通孔110と、上記第1室107の開口部を附勢バネ111で常時閉じるように附勢されたソレノイド112のアーマチュアを兼ねるポペット型弁体113と、上記第2室108の開口側のスプール109端部が着座する弁座114を備えたディスク115と、ピストン101内に設けた減衰力発生要素たるリーフバルブ116と、励磁時に附勢バネ111のバネ力に抗してポペット型弁体113に第1室107の開口部を開口する方向の力を作用させるソレノイド112とで構成され、ピストン101の外周にはピストンリング117が嵌装されており、この場合、減衰特性可変機構3は、ソレノイド112と、ディスク115と、スプール109とで構成され、減衰バルブは、上記したポペット型弁体113と、第1室107の開口部と、第2室108の開口側のスプール109端部と、弁座114とで構成される。
なお、図5に示すように、この緩衝器D1,D2,D3,D4では、シリンダ100内をピストン101でロッド側室R1とピストン側室R2とに区画しており、シリンダ100内は作動油等の液体が封入され、作動油等の液体の流路は、ピストンロッド102内およびピストン101内およびポート103となる。
また、この緩衝器D1,D2,D3,D4にあっては、図中下方に設けたフリーピストン120でシリンダ100内にガス室121が区画され、このガス室121内には高圧ガス等が封入され、このフリーピストン120が緩衝器の伸縮時にシリンダ100に対して移動することでピストンロッド102のシリンダ100内への侵入およびシリンダ100外へ退出する体積分の容積変化を補償する。
つまり、この緩衝器D1,D2,D3,D4は、いわゆる単筒型に形成されるが、複筒型に形成されるとしてもよい。
そして、この緩衝器D1,D2,D3,D4は、ソレノイド112の推力を変化させることによって減衰バルブのクラッキング圧を変化させることができ、これにより図3に示したように減衰力を変化させることができる。
以下、少々この緩衝器D1,D2,D3,D4について説明すると、緩衝器D1,D2,D3,D4が伸長する、すなわち、図4中ピストン101が上方に移動する場合に、クラッキング圧をPcr(伸側)とすると、スプール109の釣合いから、Pcr(伸側)=4・F・(φ4−φ2+φ1)/(π・φ1・φ3)となる。ここで、Fはポペット型弁体113を附勢する附勢バネ111のバネ力、φ1は第1室107の内径、φ2はスプール109の上端部外径、φ3はディスク115の弁座114がスプール109をシートしているシート部径、φ4は、スプール109のランド部118の外径である。
そして、上記クラッキング圧Pcr(伸側)に達すると、スプール109は、弁座114から離座するとともに、ポペット型弁体113が第1室107の開口端から離れて隙間を生じ、液体がロッド側室R1からピストン側室R2へ流れる。
反対に、緩衝器D1,D2,D3,D4が圧縮する、すなわち、図4中ピストン101が下方に移動する場合に、クラッキング圧をPcr(圧側)とすると、スプール109の釣合いから、Pcr(圧側)=4・F/{π・(φ4−φ3−φ2)}となる。ここで、上記の場合と同様にFはポペット型弁体113を附勢する附勢バネ111のバネ力、φ2はスプール109の上端部外径、φ3はディスク115の弁座114がスプール109をシートしているシート部径、φ4は、スプール109のランド部118の外径である。
そして、上記クラッキング圧Pcr(圧側)に達すると、スプール109は、弁座114から離座して隙間を生じ、液体がピストン側室R2からロッド側室R1へ流れる。
上記のようにクラッキング圧Pcr(伸側),Pcr(圧側)は、いずれも、バネ力Fによって決せられるが、該バネ力Fは、ソレノイド112の吸引力で変化させることができる。つまり、この場合、ソレノイド112を励磁すると附勢バネ111のバネ力を減少させることができる。したがって、ソレノイド112への印加電流(電圧)を制御してやることで、上記クラッキング圧Pcr(伸側),Pcr(圧側)を変化させることができ、この緩衝器D1,D2,D3,D4は、上記した減衰力可変機構3によって図3に示す減衰特性を実現できるのである。
なお、上記した緩衝器D1,D2,D3,D4の具体的構成は、一例であって、減衰力可変機構3を他の構成として、減衰バルブのクラッキング圧を変化させるようにしてもよく、たとえば、より簡単な構成としては、減衰バルブを流路中に設けた弁座と、該弁座に着座するポペット弁の弁体とで構成し、減衰力可変機構を、弁体に弁座から離座する方向に推進力を与えるソレノイドと、弁体に弁座に着座させる方向に推進力を与えるバネとで構成し、ソレノイドによる推進力で弁体に作用するバネ力を増減させて弁体が弁座から離座するクラッキング圧を変更可能としておくとしてもよい。
また、この緩衝器D1,D2,D3,D4では、減衰力可変機構3を上記したように減衰バルブのクラッキング圧を変更するものとしているが、図6に示すような作動液体に電気粘性流体や磁気粘性流体を使用するタイプの緩衝器の場合には、ロッド側室R3とピストン側室R4とを連通する通路200に電気粘性流体の場合には電界を、磁気粘性流体の場合には磁界を発生させる装置201を設けておき、この装置201を減衰力可変機構としてもよい。なお、通路200は、この場合ピストン202とシリンダ203との間の隙間とされているが、通路220設置箇所は、これに限られない。また、装置201は、具体的にたとえば、電気粘性流体を使用する緩衝器の場合には、ピストン202の外周に設けた電極と電極に通電する通電手段で構成され、磁気粘性流体の場合には、ピストン202に設けられるコイルとコイルに通電する通電手段とで構成される。なお、この場合にも、図3に示すような減衰特性を得られる。
つづいて、制御部2について説明すると、制御部2は、上記した加速度センサG1,G2,G3、車速センサ50および操舵角センサ60が出力する信号を処理して、各緩衝器D1,D2,D3,D4に発生すべき可変部分の減衰力を演算し、さらに、その演算結果に基づいて各緩衝器D1,D2,D3,D4における減衰力可変機構3のソレノイド112に与える指令を電流あるいは電圧として出力することができるようになっている。
この制御部2は、具体的に図示はしないが、たとえば、加速度センサG1,G2,G3が出力する信号を増幅するためのアンプと、アナログ信号をデジタル信号に変換する変換器と、CPU(Central Prossesing Unit)、ROM(Read Only Memory)等の記憶装置、RAM(Random Access Memory)、水晶発振子及びこれらを連絡するバスラインからなるコンピュータシステムとを備えた周知なシステムとして構成されればよく、各信号を処理し可変減衰力を演算し、この演算結果に基づいて各減衰力可変機構3におけるソレノイド112を制御するための制御処理手順は、プログラムとしてROMや他の記憶装置に予め格納されている。
なお、この緩衝器の制御装置1における制御では、各バネ上部材Bnと各バネ下部材Wnとの各相対速度dYを推定し、この推定された4輪毎の各相対速度dYと各バネ上部材Bnのバネ上速度dXとに基づいて可変減衰力を演算してスカイフック制御が行われる。
また、上記制御部2は、ハードウェアとしては、周知のコンピュータシステムであるので、この緩衝器の制御装置1が搭載される車両VがECU(Electronic Control Unit)を備えている場合には、わざわざ制御部2を別途設けずにECUに制御部2を統合するようにしてもよい。
ここで、この緩衝器の制御装置1に制御にあたっての相対速度dYの推定の仕方について若干説明をする。
図1の車両Vの前輪左側のバネ上部材B1の運動方程式は、以下の(2)式で示され、前輪右側のバネ上部材B2の運動方程式は、以下の(3)式で示される。
Figure 2006264367
Figure 2006264367
上記(2)、(3)式中、Mは懸架バネE1が支持するバネ上部材B1の質量(バネ上質量)を、Mは懸架バネE2が支持するバネ上部材B2の質量(バネ上質量)を示し、Cは緩衝器D1,D2の最低減衰力発生時の減衰特性を線形近似した速度に対する減衰力の変化の割合である減衰係数を示し、ddX,ddXは各バネ上部材B1,B2のバネ上加速度を示し、dY,dYはそれぞれバネ上部材B1とバネ下部材W1との相対速度およびバネ上部材B2とバネ下部材W2との相対速度を示し、Kはそれぞれ懸架バネE1,E2のバネ定数を示し、Y,Yはそれぞれバネ上部材B1とバネ下部材W1との相対変位およびバネ上部材B2とバネ下部材W2との相対変位を示し、Fm1,Fm2はそれぞれバネ上部材B1,B2に作用する慣性力を示し、U1,U2はそれぞれ各緩衝器D1,D2の可変減衰力を示し、Fsfはそれぞれ前輪側のスタビライザSfのバネ上部材B1,B2への作用力を示している。なお、減衰係数を示すCやバネ定数K等の添え字fは、車両Vの前輪側を意味しており、後輪側の減衰係数についてはC、バネ定数についてKはなる。
また、車両Vの後輪側については、上記(2)、(3)式中の各パラメータを後輪側のものに変換すればよい。
そして、上記式(2)、(3)をラプラス変換し変形すると、下記(4)、(5)式が得られる。
Figure 2006264367
Figure 2006264367
ただし、τ=C/Kであり、Sはラプラス演算子を示している。そして、上記(4)、(5)式中、S・Y(S)およびS・Y(S)はそれぞれdY、dYを、S・ddX(S)およびS・ddX(S)はそれぞれddX、ddXを意味している。
すなわち、バネ上部材Bnに作用するバネ上加速度ddXを時定数τのハイパスフィルタを通してゲインM/Cを乗じたものに、バネ上部材Bnに作用する慣性力Fmn、可変減衰力UおよびスタビライザSfのバネ上部材Bnへの作用力Fsfの総和を時定数τのハイパスフィルタを通してゲイン1/Cを乗じたものを加え、符号を反転させることにより相対速度dYを演算できるのであり、このことは、バネ上加速度ddX、バネ上部材Bnに作用する慣性力Fmn、可変減衰力UおよびスタビライザSfのバネ上部材Bnへの作用力Fsnに基づいて相対速度dYを推定できることを示している。なお、この場合、車両Vの前輪側のバネ上部材B1,B2の運動方程式であるので、n=1,2となる。
また、後輪側の相対速度dY,dYについても、上記(4)、(5)式のパラメータを後輪側のものに置き換える、すなわち、CをCに、τをτ=C/Kに、FsfをFsrに、それぞれ置き換えることによって同様に計算することができる。
さらに、この緩衝器の制御装置1にあっては、上記推定された相対速度と、バネ上加速度を積分処理して得られるバネ上速度との積の符号判定を行い、該積が正の値を採る時には、スカイフック減衰係数Csf(Csr)とバネ上速度を乗じて得られる可変減衰力と最低減衰力との総和である減衰力を緩衝器Dnに発生させ、他方、上記積が負の値を採る場合には、可変減衰力を0として、緩衝器Dnに最低減衰力を発生させるように制御する。
したがって、この緩衝器の制御装置1にあっては、スカイフック制御が行われることになり、また、このスカイフック制御にあたり該緩衝器の制御装置1は、左右輪がスタビライザで結合されている場合であっても、左右輪の相対変位差に比例したスタビライザの作用力Fsf(Fsr)を考慮することにより、精度よく相対速度を推定することができる。
また、この緩衝器の制御装置1にあっては、バネ上加速度ddXおよびスタビライザの作用力Fsf(Fsr)のみならず、車体Bのローリング、スクワット、ノーズダイブによってバネ上部材Bnに作用する慣性力Fmnをも考慮することができるので、相対速度dYの推定精度を飛躍的に向上でき、これにより、従来制御装置に比較して車両における乗り心地が向上されることになる。
さらに、緩衝器の最低減衰力を線形な減衰特性とし、直接的な制御対象を可変減衰力としたので、ハイパスフィルタとゲインを乗じる簡単な計算で精度よく相対速度dYを推定することができる。
また、緩衝器の最低減衰力を線形な減衰特性とし、直接的な制御対象を可変減衰力としたので、非線形性が強い減衰特性を備えた緩衝器を制御する場合にあっても、精度よく相対速度dYを推定でき、結果としてより高精度なスカイフック制御を行うことができる。
そして、本緩衝器の制御装置1にあっては、バネ上加速度を得るのに加速度センサを車両Vの四箇所各輪のバネ上部材に設ける必要はなく、3つのバネ上加速度を検出する加速度センサで足りるので、該緩衝器の制御装置1のコストを低く抑えることができるとともに、その設置箇所も任意であり緩衝器の近傍に限定されないので、車両Vへの搭載性も向上する。
より具体的な緩衝器の制御装置1は、上記の考え方をもとに相対速度dYを推定しスカイフック制御を行うにあたり、図7に示すように、加速度検出手段たる加速度センサG1,G2,G3がそれぞれ検出する上下方向の加速度g,g,gに基づいて各バネ上部材Bnに作用するバネ上加速度ddXを演算するバネ上加速度演算手段11と、バネ上部材Bnに作用する車両Vに対して上下方向の慣性力Fmnとスタビライザの作用力Fsf(Fsr)と可変減衰力と上記演算されるバネ上加速度ddXと最低減衰力発生時における緩衝器の減衰係数C(C)とに基づいてバネ上部材Bnのバネ下部材Wnに対する相対速度dYを推定する推定手段12とを備えている。
なお、この緩衝器の制御装置1にあっては、上記バネ上加速度演算手段11と推定手段12は、制御部2におけるハードウェアと制御部2の記憶装置に格納された演算処理プログラムにより具現化されている。
また、推定手段12は、バネ上加速度ddXおよび慣性力Fmnとスタビライザの作用力Fsf(Fsr)と可変減衰力Uの総和を処理する最低減衰力発生時における緩衝器の減衰係数C(C)を懸架バネ定数K(K)で除した値を時定数τ(τ)としたハイパスフィルタ手段13,14と、上記ハイパスフィルタ手段13によって処理されたバネ上加速度ddXにバネ上質量Mを最低減衰力発生時における緩衝器の減衰係数C(C)で除した値のゲインを乗ずる第1乗算手段15と、上記ハイパスフィルタ手段14によって処理された慣性力Fmnとスタビライザの作用力Fsf(Fsr)と可変減衰力Uの総和に最低減衰力発生時における緩衝器の減衰係数C(C)の逆数の値のゲインを乗ずる第2乗算手段16と、第1乗算手段15の演算結果と第2乗算手段16の演算結果から相対速度dYを演算する演算手段17とを備えている。
なお、推定手段12は、車両Vの四箇所におけるバネ上部材B1,B2,B3,B4とバネ下部材W1,W2,W3,W4との相対速度dY,dY,dY,dYを推定するようになっている。
また、推定手段12は、実際の最低減衰力の値から初期設定もしくは前回制御時に推定された相対速度dYに最低減衰力発生時における緩衝器Dnの減衰係数C(C)を乗じた値を減算して補正力Fhnを演算する補正力演算手段18と、車体Bの前後および左右の加速度に基づいてバネ上部材Bnの慣性力Fmnを演算する慣性力演算手段19と、車両Vに対して左右の初期設定もしくは前回推定された相対速度の差dY−dYn+1(n=1,3)を任意の時定数Tのローパスフィルタ30でローパスフィルタ処理して近似積分を行ったのちゲイン乗算器40で該ローパスフィルタ30の時定数Tと同じ値のゲインを乗じて左右のバネ上部材Bn,Bn+1とバネ下部材Wn,Wn+1との相対変位差Y−Yn+1(n=1,3)を得、該相対変位差Y−Yn+1(n=1,3)に基づいてスタビライザの作用力Fsf(Fsr)を演算するスタビライザ作用力演算手段20とをも備えている。
補正力演算手段18は、緩衝器Dnが発生する最低減衰力が相対速度dYに減衰係数C(C)で比例しないか、比例しない領域をもつ非線形な減衰特性である場合に、最低減衰力の減衰特性が相対速度dYに減衰係数C(C)で比例する線形な特性示すと見なしたときに実際には非線形な特性ゆえに過不足となる減衰力を可変減衰力の一部で補正して、上記(4)、(5)式で推定される相対速度dYの精度を向上させる役割をもつ。
そして、具体的には、補正演算手段18は、図8に示したように、緩衝器Dnが実際に発生可能な最低減衰力と相対速度dYとの関係を示すマップをあらかじめ制御部2の記憶装置に格納しておき、この図8に示すマップを参照して、初期設定もしくは前回制御時に推定された相対速度dYから実際に緩衝器Dnが発生している最低減衰力を演算し、この最低減衰力の値から初期設定もしくは前回制御時に推定された相対速度dYに最低減衰力発生時における緩衝器Dnの減衰係数C(C)を乗じた値を減算して、補正力Fhnを演算する。
なお、補正力演算手段18については、緩衝器Dnが発生する最低減衰力が相対速度dYに減衰係数C(C)に比例した線形な減衰特性である場合には、省略するとしても差し支えない。
また、上記スタビライザ作用力演算手段20は、具体的には、初期設定もしくは前回推定された相対速度の差dY−dYn+1(n=1,3)を演算する演算手段43と、ローパスフィルタ30と、ゲイン乗算器40と、該相対変位差Y−Yn+1(n=1,3)にスタビライザの剛性に相当する定数Ksf(Ksr)を乗じる定数乗算器44とを備えて構成されており、上記相対変位差Y−Yn+1(n=1,3)に定数Ksf(Ksr)を乗じることで、スタビライザの作用力Fsf(Fsr)を得る。
さらに、制御部2は、バネ上部材Bnのバネ上速度dXと推定された相対速度dYに基づいて可変減衰力Uを演算するスカイフック制御力演算手段21を備えている。
このように構成された制御部2にあっては、加速度センサG1,G2,G3で検知する加速度センサG1,G2,G3がそれぞれ設置された箇所における上下方向の加速度g,g,gからバネ上加速度ddXをバネ上加速度演算手段11によって演算し、また、車速vと操舵角θを慣性力演算手段19によって処理して、一端、車体Bに作用する車両Vに対する前後方向の前後加速度および車体Bに作用する車両Vに対する左右方向の横加速度を演算し、さらに、演算された上記前後加速度および横加速度から各慣性力Fmnを演算する。
さらに、バネ上加速度ddXをハイパスフィルタ手段13でハイパスフィルタ処理し、ハイパスフィルタ処理されたバネ上加速度ddXに第1乗算手段15でゲインM/C(C)を乗じて式(4)、(5)における右辺の第一項を得る。
他方、補正力演算手段18で演算される補正力Fhnと、前回制御時にスカイフック制御力演算手段21のよって演算された可変減衰力Uと、スタビライザ作用力演算手段20によって演算されたスタビライザの作用力Fsf(Fsr)とを演算手段22によって加算し、この演算手段22の出力する値と慣性力演算手段19が演算した慣性力Fmnとを演算手段23によって加算し、演算手段23の出力する値をハイパスフィルタ手段14でハイパスフィルタ処理し、ハイパスフィルタ処理された演算手段23が出力する値に第2乗算手段16でゲイン1/Cf(C)を乗じて式(4)、(5)における右辺の第二項を得る。このように、上記右辺の第1項および第2項を算出する際にハイパスフィルタを用いることで、推定される相対速度dYの演算が非常に簡単になる。
そして、演算手段17で上記第1乗算手段15の出力する値と第2乗算手段16の値の符号をそれぞれ反転して加算することで、相対速度dYが演算される。
さらに、推定手段12における相対速度dYの上記演算とは別に、この制御部2では、バネ上加速度ddXを任意の時定数Tのローパスフィルタ31でローパスフィルタ処理して近似積分を行ったのちゲイン乗算器41で該ローパスフィルタ31の時定数Tと同じ値のゲインを乗じて左右のバネ上部材Bnのバネ上速度dXを得るバネ上速度演算手段25を備えており、スカイフック制御力演算手段21は、上記バネ上速度演算手段25で演算されたバネ上速度dXと相対速度dYとの積dX・dYが0以上である場合、すなわち、正の符号を持つ場合は、スカイフック減衰係数Csf(Csr)とバネ上速度との積を可変減衰力Uとして算出し、逆に上記積dX・dYが0より小さい場合、すなわち、負の符号を持つ場合、可変減衰力Uを0にする。
なお、バネ上速度dXや相対変位Yを得るのに、ローパスフィルタを採用しているので、演算が非常に容易となり、また、誤差が蓄積してしまうといった積分演算特有の不具合もない。
そして、減衰力可変機構3への電流指示値Iを演算する指令演算手段26にて、上記演算された可変減衰力Uを緩衝器Dnが発生するのに必要となる電流量を電流指示値Iとして電流値と可変減衰力との関係を示すマップから演算、あるいは、電流指示値Iを電流値と可変減衰力が比例関係にある場合には適切な係数αを可変減衰力Uに乗算することにより演算する。
最後に、上記指令演算手段26によって得られた電流指令値Iに従って制御部2は、減衰力可変機構3のソレノイド112の駆動回路に電流を供給し、これによって、緩衝器Dnは最低減衰力と演算された可変減衰力Uの総和である減衰力を発生し、スカイフック制御が行われる。
このスカイフック制御は、該緩衝器の制御装置1によって車両Vの四箇所に配置される緩衝器全てについて行われ、これによりスタビライザの作用力や車体Bのローリング、スクワット、ノーズダイブをも考慮がなされた制御が行われることになり、従来制御装置に比較して車両における乗り心地が向上されることになる。
さらに、具体的な緩衝器の制御装置1では、緩衝器の最低減衰力を線形な減衰特性とし、直接的な制御対象を可変減衰力としたので、ハイパスフィルタおよびゲインを乗じる簡単な計算で精度よく相対速度dYを推定することができる。
また、スタビライザの作用力の演算において相対変位をローパスフィルタ処理することとしているので、積分演算のように誤差の蓄積がなく、この点でも、相対速度を精度よく推定することができる。
また、この具体的な緩衝器の制御装置にあっては、緩衝器の最低減衰力を線形な減衰特性を示さない場合にあっても、補正力演算手段によって精度よく相対速度dYを推定でき、結果としてより高精度なスカイフック制御を行うことができる。
つづいて、上記した一連の作動について、図9に示す、制御フローチャートに即して説明すると、以下のようになる。
まず、ステップ201では、各状態量の初期設定を行う。つづいて、ステップ202に移行して制御部2は、車速センサ50および舵角センサ60の出力である信号から車速vおよび舵角θを読み込む。
さらに、ステップ203に移行して、制御部2は、上記ステップ202で読み込んだ車速vおよび舵角θに基づいて車体Bに作用する横加速度を演算し、車速vの変化量から車体Bに作用する前後加速度を演算し、これら横加速度および前後加速度に基づいて各バネ上部材Bnに作用する各慣性力Fmnを演算する。
つぎに、ステップ204に移行し、制御部2は、加速度センサG1,G2,G3の出力である信号から車体Bの各加速度センサG1,G2,G3が設置された箇所における上下方向の各加速度g,g,gを読み込んで、ステップ205に移行する。
ステップ205では、制御部2は、上記各加速度g,g,gから上述した演算式によって各バネ上部材Bnのバネ上加速度ddXを演算する。
ステップ206に移行し、ステップ206では、制御部2は、演算された各バネ上部材Bnのバネ上加速度ddXを近似積分として、時定数Tのローパスフィルタでローパスフィルタ処理を行い、さらに、フィルタ処理後のバネ上加速度ddXにゲインTを乗じてバネ上速度dXを演算する。なお、時定数Tは、バネ上加速度ddXの位相特性を考慮し適当な値に設定すればよい。
つづいて、ステップ207に移行し、制御部2は、バネ上加速度ddXを時定数τ(τ)のハイパスフィルタでハイパスフィルタ処理し、この処理されたバネ上加速度ddXにゲインM/C(C)を乗じて{M/C(C)}・{τ(τ)・S/(1+τ(τ)・S)}・S・ddX(S)を得る。
さらに、ステップ208に移行して、制御部2は、初期設定値もしくは前回演算された各可変減衰力Uを読み込む。なお、初期設定値は0としてある。
また、ステップ209に移行し、制御部2は、初期設定値もしくは前回推定された各相対速度dYを読み込んで、車両Vの前輪側左右のバネ上部材B1,B2とバネ下部材W1,W2の相対速度差dY−dYおよび車両Vの前輪側左右のバネ上部材B3,B4とバネ下部材W3,W4の相対速度差dY−dYを計算する。そして、上記各相対速度差dY−dY,dY−dYを近似積分として、時定数Tのローパスフィルタでローパスフィルタ処理を行い、さらに、ゲインTを乗じて各相対変位差Y−Y,Y−Yを求め、この各相対変位差Y−Y,Y−Yにそれぞれ対応するスタビライザの剛性に相当する定数Ksf,Ksrを乗じて車両前後における各スタビライザの作用力Fsf,Fsrを算出する。
ステップ210では、上記補正力演算手段18によって、上記マップを参照し、初期設定もしくは前回制御時に推定された相対速度dYから実際に緩衝器Dnが発生している最低減衰力を演算し、この最低減衰力の値から初期設定値もしくは前回制御時に推定された相対速度dYに最低減衰力発生時における緩衝器Dnの減衰係数C(C)を乗じた値を減算して各補正力Fhnを演算する。
つづいて、ステップ211では、制御部2は、各バネ上部材Bnに作用する力の総和Fallnを演算する。具体的には、Fall1=Fm1+U−Fsf+Fh1,Fall2=Fm2+U+Fsf+Fh2,Fall3=Fm3+U−Fsr+Fh3,Fall3=Fm3+U+Fsr+Fh3で演算される。
そして、ステップ212に移行して、制御部2は、各力の総和Fallnを時定数τ(τ)のハイパスフィルタでハイパスフィルタ処理し、この処理された各力の総和Fallnにゲイン1/C(C)を乗じて(1/C(C))・{τ(τ)・S/(1+τ(τ)・S)}・Fallnを得る。
そして、上記ステップ213では、制御部2は、ステップ207で得られた{M/C(C)}・{τ(τ)・S/(1+τ(τ)・S)}・S・ddX(S)に、ステップ212で得られた(1/C(C))・{τ(τ)・S/(1+τ(τ)・S)}・Fallnを加算し符号を反転させて推定値となる相対速度dYを演算する。
つぎに、ステップ214に移行して、ステップ214では、制御部2は、スカイフック制御に必要な可変減衰力Uを演算する。具体的には、ステップ213で推定された相対速度dYとバネ上速度dXの符号が同じ時は、スカイフック減衰係数Csf(Csr)とバネ上速度dXを積算して可変減衰力Uとし、ステップ213で推定された相対速度dYとバネ上速度dXの符号が異なるときは、可変減衰力Uを0とする。
ステップ215に移行して、制御部2は、ステップ214で演算された可変減衰力Uを緩衝器Dnが発生するのに必要となる電流量を電流指示値Iとして電流値と可変減衰力との関係を示すマップから演算、あるいは、電流指示値Iを電流値と可変減衰力Uが比例関係にある場合には適切な係数αを可変減衰力Uに乗算することにより演算する。
最後に、ステップ216に移行し、制御部2は、上記ステップ215で得られた電流指令値Iをソレノイド112の駆動回路へ出力し、緩衝器Dnに最低減衰力と上記可変減衰力Uの総和である減衰力を発生させる。
なお、緩衝器Dnが図6に示すような液体に電気粘性流体や磁気粘性流体を使用するものとされる場合にも、ステップ215で電流指令値を演算する際に、緩衝器Dnが発生するのに必要となる電流量を電流指示値Iとして電流値と可変減衰力との関係を示すマップから演算、あるいは、電流指示値Iを電流値と可変減衰力Uが比例関係にある場合には適切な係数αを可変減衰力Uに乗算することにより演算するようにしておけばよい。
そして、制御部2は、以上のステップ202から216までを繰り返し処理し、相対速度dYと可変減衰力Uを常に計算し、緩衝器Dnの可変減衰力を制御する。
したがって、上述した演算処理を実行することにより、この緩衝器の制御装置1にあっては、左右輪がスタビライザで結合されている場合であっても、左右輪の相対変位差に比例したスタビライザの作用力を考慮することにより、さらに精度よく相対速度を推定することができる。
また、緩衝器の制御装置1にあっては、上記演算処理中に複雑な演算が含まれず、簡単な演算処理により相対速度dYの推定精度を向上できるとともに、より精密なスカイフック制御を行うことができ、従来制御装置に比較して車両における乗り心地が向上されることになる。
なお、本実施の形態において、減衰力可変機構3を減衰バルブのクラッキング圧を変更するもの、あるいは、電気粘性流体や磁気粘性流体の粘度を変更するものとしているが、緩衝器Dnの減衰バルブを可変絞りとして該減衰バルブの開口面積を変更するものとしても、上記制御は成立するのは言うまでもない。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
本発明の一実施の形態における緩衝器の制御装置を概念的に示した図である。 加速度センサが設けられる位置を示した図である。 緩衝器の減衰特性を示す図である。 緩衝器における減衰力可変機構部分の縦断面図である。 緩衝器の概略断面図である。 他の緩衝器の概略断面図である。 一実施の形態における緩衝器の制御装置の制御ブロック図である。 緩衝器が実際に発生する最低減衰力の減衰特性を示す図である。 一実施の形態における緩衝器の制御装置の制御処理手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1 緩衝器の制御装置
2 制御部
3 減衰力可変機構
11 バネ上加速度演算手段
12 推定手段
13,14 ハイパスフィルタ手段
15 第1乗算手段
16 第2乗算手段
18 補正力演算手段
19 慣性力演算手段
20 スタビライザ作用力演算手段
21 スカイフック制御力演算手段
17,22,23,24 演算手段
25 バネ上速度演算手段
26 指令演算手段
B1,B2,B3,B4 バネ上部材
D1,D2,D3,D4 緩衝器
E1,E2,E3,E4 懸架バネ
G1,G2,G3 加速度センサ
W1,W2,W3,W4 バネ下部材

Claims (9)

  1. 車両におけるバネ上部材とバネ下部材との間に介装される減衰力可変な緩衝器の制御装置において、緩衝器の発生可能な最低減衰力に可変減衰力を付加する減衰力可変機構と、バネ上部材に作用する車両に対して上下方向の慣性力とスタビライザのバネ上部材への作用力と可変減衰力とバネ上部材に作用する車両に対して上下方向のバネ上加速度と最低減衰力発生時における緩衝器の減衰係数とに基づいてバネ上部材のバネ下部材に対する相対速度を推定する推定手段とを備え、バネ上部材のバネ上速度と前記相対速度に基づいて可変減衰力を制御することを特徴とする緩衝器の制御装置。
  2. 車両におけるバネ上部材とバネ下部材との間の4箇所にそれぞれ介装される減衰力可変な緩衝器の制御装置において、各緩衝器の発生可能な最低減衰力に可変減衰力を付加する減衰力可変機構と、少なくとも車体の前後または左右方向の同一直線上にない任意の3箇所に設けた車体の上下方向の加速度を検出する加速度検出手段と、加速度検出手段がそれぞれ検出する上下方向の加速度に基づいて各バネ上部材に作用するバネ上加速度を演算するバネ上加速度演算手段と、バネ上部材に作用する車両に対して上下方向の慣性力とスタビライザのバネ上部材への作用力と可変減衰力と上記演算されるバネ上加速度と最低減衰力発生時における緩衝器の減衰係数とに基づいてバネ上部材のバネ下部材に対する相対速度を推定する推定手段とを備え、バネ上部材のバネ上速度と前記相対速度に基づいて可変減衰力を制御することを特徴とする緩衝器の制御装置。
  3. 推定手段は、バネ上加速度および慣性力とスタビライザのバネ上部材への作用力と可変減衰力の総和を処理する最低減衰力発生時における緩衝器の減衰係数を懸架バネ定数で除した値を時定数としたハイパスフィルタ手段と、上記ハイパスフィルタ手段によって処理されたバネ上加速度にバネ上質量を最低減衰力発生時における緩衝器の減衰係数で除した値のゲインを乗ずる第1乗算手段と、上記ハイパスフィルタ手段によって処理された慣性力とスタビライザのバネ上部材への作用力と可変減衰力の総和に最低減衰力発生時における緩衝器の減衰係数の逆数の値のゲインを乗ずる第2乗算手段と、第1乗算手段の演算結果と第2乗算手段の演算結果から相対速度を演算する演算手段とを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の緩衝器の制御装置。
  4. 実際の最低減衰力の値から初期設定もしくは前回推定された相対速度に最低減衰力発生時における緩衝器の減衰係数を乗じた値を減算して補正力を演算する補正力演算手段を備え、推定手段は、バネ上部材に作用する慣性力とスタビライザのバネ上部材への作用力と可変減衰力とバネ上部材に作用する車両に対して上下方向のバネ上加速度と最低減衰力発生時における緩衝器の減衰係数と演算された補正力とに基づいてバネ上部材のバネ下部材に対する相対速度を推定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の緩衝器の制御装置。
  5. 補正力演算手段は、相対速度と実際の緩衝器における最低減衰力との関係と初期設定もしくは前回推定された相対速度から実際の最低減衰力をマップ演算することを特徴とする請求項4に記載の緩衝器の制御装置。
  6. 車体の前後および左右の加速度に基づいてバネ上部材の慣性力を演算する慣性力演算手段を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の緩衝器の制御装置。
  7. 車両に対して左右の初期設定もしくは前回推定された相対速度の差をローパスフィルタ処理しローパスフィルタの時定数と同じ値のゲインを乗じて左右のバネ上部材とバネ下部材との相対変位差を得、該相対変位差に基づいてスタビライザのバネ上部材への作用力を演算するスタビライザ作用力演算手段を備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の緩衝器の制御装置。
  8. 減衰力可変機構は、緩衝器の減衰バルブのクラッキング圧を変更するクラッキング圧変更手段を備えていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の緩衝器の制御装置。
  9. 減衰力可変機構は、緩衝器内の電気粘性流体もしくは磁気粘性流体の粘度を変更する粘度変更手段を備えていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の緩衝器の制御装置。
JP2005081336A 2005-03-22 2005-03-22 緩衝器の制御装置 Pending JP2006264367A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005081336A JP2006264367A (ja) 2005-03-22 2005-03-22 緩衝器の制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005081336A JP2006264367A (ja) 2005-03-22 2005-03-22 緩衝器の制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006264367A true JP2006264367A (ja) 2006-10-05

Family

ID=37200795

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005081336A Pending JP2006264367A (ja) 2005-03-22 2005-03-22 緩衝器の制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006264367A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014192065A1 (ja) * 2013-05-27 2014-12-04 トヨタ自動車株式会社 車両用アブソーバシステム
JP2018159598A (ja) * 2017-03-22 2018-10-11 セイコーインスツル株式会社 調速機、電子制御式機械時計、電子機器

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014192065A1 (ja) * 2013-05-27 2014-12-04 トヨタ自動車株式会社 車両用アブソーバシステム
JP2018159598A (ja) * 2017-03-22 2018-10-11 セイコーインスツル株式会社 調速機、電子制御式機械時計、電子機器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4828325B2 (ja) 緩衝器の制御装置
KR101938422B1 (ko) 서스펜션 장치
US9375990B2 (en) Suspension control device
JP6052405B2 (ja) 車両用サスペンションシステム
JP2008012960A (ja) 緩衝器の制御装置
JP2009241813A (ja) 車両の振動状態検出方法並びにこれを用いたサスペンション制御方法及び装置
JP2010126044A (ja) サスペンション制御装置、及びサスペンション制御方法
US11052718B2 (en) Active suspension control unit and method
JP4648055B2 (ja) 車両における可変減衰力ダンパーの制御装置
JP2010023602A (ja) サスペンション装置
JP2006264367A (ja) 緩衝器の制御装置
JP5038955B2 (ja) 可変減衰力ダンパの制御装置
JP6822338B2 (ja) サスペンション制御システム
JP5702200B2 (ja) 緩衝器の制御装置
JP2016002778A (ja) 車両用サスペンションシステム
JP2010095211A (ja) 車両のサスペンション装置
WO2018003828A1 (ja) サスペンション制御装置
JP2013049394A (ja) サスペンション制御装置
JP6132859B2 (ja) サスペンション装置
JP5699588B2 (ja) サスペンション制御装置
JP2009078757A (ja) 車両用路面変位推定装置
JP2001287528A (ja) 車両のばね上速度推定装置
US11891145B2 (en) Estimation device, vehicle, and estimation method
JP6349308B2 (ja) ダンパ制御装置
JPH03246112A (ja) 減衰力可変式サスペンション制御装置