JP2018159598A - 調速機、電子制御式機械時計、電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】調速精度の低下を防止できるとともに、小型化が容易で効率の良い調速機、電子制御式機械時計、電子機器の提供。【解決手段】電子調速機70は、輪列を構成する複数の回転部品による回転運動の伝達経路上に備えられる磁気粘性流体40と、磁気粘性流体40に印加される磁場を変更することにより、回転運動の回転周波数を変更する制御回路62とを備える。【選択図】図3

Description

本発明は、磁気粘性流体を用いた調速機、電子制御式機械時計、電子機器に関する。
ゼンマイが解かれるときの機械的エネルギを発電機で電気的エネルギに変換し、その電気的エネルギを用いて回転制御手段を作動させて、指針を正確に駆動し正確に時刻を表示する電子制御式機械時計が知られている。
係る電子制御式機械時計の中でも、前記回転制御手段として、小型化が容易で摩擦損失が低減できる圧電調速機を備えた機構がある(例えば、特許文献1参照)。この圧電調速機を用いた電子制御式機械時計は、ヒゲゼンマイに圧電材料を備え、圧電材料の電極をオン・オフすることでバネ定数を変化させ、ヒゲゼンマイの振動周波数を制御することができる。ゼンマイを動力源として指針を駆動するためにモータが不要であり、しかも電池駆動式の電子時計並の高精度を得られるという特徴がある。
しかしながら、圧電材料のバネ定数を変化させることで、ヒゲゼンマイの振動周波数を調速する調速機を用いているために、以下のような問題がある。
(a)繊細な曲げや加工精度が要求されるヒゲゼンマイを圧電材料で形成するのは困難で、コストも高くなる。
(b)調速制御および発電機として用いられている圧電材料は、一般的に振動回数とともに劣化することが知られており、長期に渡る信頼性が得られない。
(c)ヒゲゼンマイの往復振動を回転運動に変換する必要があり、その場合、別途脱進機構が必要となり、伝達経路自体が複雑になり、小型化が難しい。
(d)圧電材料の振動により発電させ制御回路に電力を供給させるが、圧電材料から得られる発電量は少なく、制御回路を安定して駆動させるために十分な電力量を確保できない。
特開2002−228774号公報
そこで、本発明は、調速精度の低下を防止できるとともに、小型化が容易で効率の良い調速機、電子制御式機械時計、電子機器を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、輪列を構成する複数の回転部品による回転運動の伝達経路上に備えられる磁気粘性流体と、前記磁気粘性流体に印加される磁場を変更することにより、前記回転運動の回転周波数を変更する制御部とを備えることを特徴とする調速機である。
また、本発明の一態様は、上記の調速機において、前記磁気粘性流体は前記伝達経路上の一つの回転部品の一つの軸に備えられており、かつ前記磁気粘性流体の周りに配置された固定子と、前記固定子の端部に当接する磁心と、前記磁心に巻回されたコイルを備え、かつ前記制御部は前記回転周波数を一定に保つように前記コイルの通電状態を変更することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記の調速機において、前記制御部は、電池または電源により駆動されることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記の調速機において、前記制御部は、前記回転周波数が設定信号の周波数よりも低い場合に前記磁気粘性流体の粘度が低くなるように前記磁場を変更し、前記回転周波数が前記設定信号の周波数よりも高い場合に前記磁気粘性流体の粘度が高くなるように前記磁場を変更することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記の調速機において、前記設定信号は、磁気粘性調速機に備えられた基準信号源から出力されることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記の調速機において、前記コイルに通電することにより前記磁気粘性流体の粘度を変更することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、輪列に機械的エネルギを伝達する機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギにより駆動される指針と、上記の調速機を備え、前記磁気粘性流体は、前記機械的エネルギ源と前記指針間に設けられた伝達経路上の回転部品の一つの軸に備えられていることを特徴とする電子制御式機械時計である。
また、本発明の一態様は、上記の電子制御式機械時計において、前記伝達経路上に永久磁石を有する回転子と、前記回転子の回転軸の周りに配置された発電用固定子と、前記発電用固定子の端部に当接する発電用磁心と、前記発電用磁心に巻回された発電用コイルとを備え、かつ前記回転子の軸と対向する前記発電用固定子との間に前記磁気粘性流体を備え、前記制御部は、前記発電用コイルに誘起する電力により駆動されることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、機械的エネルギを供給する機械的エネルギ源と、上記の調速機を備えることを特徴とする電子機器である。
本発明に係る調速機によれば、磁気粘性流体の粘度変化を利用して、低消費電力で長寿命な小型の調速機が実現できる。
本発明の実施形態1に係る電子制御式機械時計の要部の構成を示す概略平面図である。 本発明の実施形態1に係る電子制御式機械時計の要部の構成を示す概略側面図である。 本発明の実施形態1の電子制御式機械時計の構成を示すブロック図である。 図1に示すA-A線に沿った調速機の断面図である。 本発明の実施形態1における調速機の上面図である。 本発明の実施形態1における電磁石の斜視図である。 本発明の調速機における電磁石の変形例を示す斜視図である。 本発明の実施形態2に係る電子制御式機械時計の要部の構成を示す概略平面図である。 本発明の実施形態2に係る電子制御式機械時計の要部の構成を示す概略側面図である。 本発明の実施形態2の電子制御式機械時計の構成を示すブロック図である。 図8に示すB-B線に沿った調速機付近の断面図である。
(実施形態1)
以下、本発明に係る調速機の一実施形態を図1から図6を参照して説明する。
図1には、本発明の電子制御式機械時計100の概略構成が示され、図2にはその断面図、そして図3にはブロック図が示されている。
電子制御式機械時計100は、ゼンマイ、香箱歯車1b、香箱真、及び香箱蓋からなる香箱車1を備えている。香箱歯車1bの回転は、増速輪列となる二番車2、三番車3、四番車4の各番車を介して増速されている。これらの各番車2〜4は、地板および輪列受け等で軸支されている。そして、これらの各番車2〜4によって、機械的エネルギ源であるゼンマイ(香箱歯車1b)からの機械的エネルギを回転運動として伝達する機械的エネルギ伝達手段(輪列)が構成されている。なお、本実施形態では、弾性力を利用したゼンマイを機械的エネルギ源として取り上げているが、モータなどの他の機械的エネルギ源でもよい。
また、電子制御式機械時計100は、通常の機械式時計と同様な、がんぎ車21およびアンクル22を備えた脱進機10と、テンプ23を備えた機械式調速機11とを備えている。
脱進機は、四番車4を介してゼンマイ(香箱歯車1b)から供給される機械的エネルギを機械式調速機11に少しずつ供給して機械式調速機11の振動を維持させるとともに、機械式調速機11の振動周期に従って輪列の回転速度を調速している。
テンプ23は、テン輪24、ヒゲゼンマイ30、振り座等を備えて構成されている。ヒゲゼンマイ30の内周端はテン輪24の中心にあるヒゲ玉に固定され、外周端は地板等に固定されたヒゲ持で支持されている。図4に示すように、テンプ23の軸部分であるテンプ上ほぞ30aとテンプ下ほぞ30bは、穴石31、受け石32、耐震押さえばね33から構成される軸受け機構によって軸支されている。なお、図4では、テンプ上ほぞ30aの軸受け機構のみが表示されているが、実際には、テンプ下ほぞ30bにも同様に軸受け機構が設けられている。
そして、本実施形態では、図4および図5に示すように、テンプ上ほぞ30aと穴石31の間の遊びの空間に磁気粘性流体40が配設されている。磁気粘性流体40は、軸受け機構に備えられた保油装置によって当該位置に保持されている。なお、別途磁石を配置し、その磁石の磁力によって磁気粘性流体40を保持してもよい。
このように、磁気粘性流体40はテンプ上ほぞ30aの周りを囲むように保持されるため、ヒゲゼンマイ30の振動周波数は、脱進機により与えられる機械的エネルギや輪列の負荷などの影響に加え、磁気粘性流体40の粘度によっても影響されることになる。すなわち、磁気粘性流体40の粘度を変更することで脱進機10を介した輪列の回転周波数を変更できる。
また、本実施形態では、磁気粘性流体40はテンプ上ほぞ30aと穴石31の間、およびテンプ上ほぞ30aと受け石32の間の潤滑の役割も担っている。そのため、磁気粘性流体40は、テンプ上ほぞ30a、穴石31や受け石32を摩耗させず、かつ十分な潤滑性を持つように、サブミクロンの平均粒子径を持つことが好ましい。なお、テンプ下ほぞ30bには、一般的な時計用潤滑剤が配設されている。
さらに、磁気粘性流体40周辺には、磁気粘性流体40に磁場を印加するため、コイル51、固定子52、磁心53で構成される電磁石50が備えられている。固定子52および磁心53は、磁気粘性流体40に十分な磁場を与えるために、透磁率の高い軟磁性材料で構成されており、例えば、電磁鋼板、パーマロイなどの金属で構成されている。なお、後述する変形例で述べるように、固定子52および磁心53は適度な保磁力をもった磁石を含んでもよい。
また、コイル51の巻数を少なくし、電子制御式機械時計100を小型化するために、図6のように、固定子52の磁気粘性流体40側に相対する端部は先鋭化させるなどするのが好ましい。このような形状とすることで、コイル51に電流を流し生じた磁力線は磁気粘性流体40に集中し、少ない巻数および小さな電流で磁気粘性流体40の粘度を変更することができる。
このコイル51(電磁石50)は、図3に示すように、制御回路62に接続されており、制御回路62からの出力信号によって磁気粘性流体40の粘度を調節できる。具体的には、制御回路62は、ヒゲゼンマイ30の振動周波数もしくは輪列中のある回転部品の回転周波数を検出し、水晶振動子(実際には基準信号源として水晶振動子を含む水晶発振回路)64からの信号をもとに分周された設定信号と比較し、電磁石50に流れる電流を後述するように調整するように構成されている。
そして、これらの磁気粘性流体40、電磁石50、制御回路(制御部)62、水晶振動子(水晶発振回路)64によって電子調速機70が構成されている。
制御回路62は、磁気粘性流体40に印加される磁場を変更して、輪列の回転周波数が設定信号の周波数よりも低い場合に磁気粘性流体40の粘度を低くし、設定信号の周波数よりも高い場合に磁気粘性流体40の粘度を高くして回転部品の回転周波数を変更する。このような制御を行うことで、伝達経路の回転周波数が設定周波数よりも低い場合には粘性が低くなるため、振動が早くなる。一方で、伝達経路の回転周波数が設定周波数よりも高い場合には粘度が高くなるため、振動が遅くなる。このため、伝達経路の回転周波数を設定信号と同じ周波数に収束させることができ、回転周波数を簡単に調速することができる。本実施形態では、コイル51に流す電流を変更することで磁気粘性流体40の粘度を変化させて調整するが、このとき、コイル51への通電状態について、電流は直流、交流問わず、また、アナログ的に電流を変更してもよいし、一定の電圧および電流をチョッピングさせることで変更してもよい。
以上により、制御回路62で比較する設定信号を適切に設定しておくことで、伝達経路の回転周波数は水晶振動子64からの信号を基準とした設定周波数に維持され、通常の機械時計に比べて電子制御式機械時計100の精度が向上する。
以上に説明した実施の形態により次のような効果を得ることができる。
(1)テンプ上ほぞ30aに保持した磁気粘性流体40の粘度を変化させることで輪列を調速でき、輪列の他の部分の設計変更を伴わないため、元の設計を維持したまま電子制御式機械時計を実現できる。
(2)ヒゲゼンマイ30やテンプ23に、異種材料の導入や電極の追加などが不要なため、可動部分の軽量化ができ、摩擦損失を低減できて持続時間等を延長できる。
(3)ヒゲゼンマイ30に複雑な機構や構造を導入する必要がないため、耐久性に優れる。
(4)磁気粘性流体は、圧電材料や電気粘性流体などと比較して、特性の変化が大きいことが知られている。したがって、調速できる振動周波数の許容幅が広くなり、確実な振動周波数の調速を行うことができる。
(5)機械式時計と同様に、テンプ23の振動によって調速しているため、外乱等によって大きなトルクが加わっても、振幅が大きくなるだけであり、トルク変動に対する時刻精度を向上することができる。
(6)さらに、トルクが小さくなるなどで制御回路62が停止した場合、本実施形態では、振動によって調速しているので、大きな指示ずれは生じず、使用上問題とならない状態での持続時間をより延長することができる。
(7)針合わせのために、制御回路62が停止した場合でも正確に動くので、針合わせ時の誤差修正用の複雑な機構を組み込む必要が無く、その分コストを低減でき、かつ時計100を小型化することもできる。
(8)基本的には機械式時計のヒゲゼンマイに磁気粘性流体40を備え、電子調速機70を構成する制御回路62や電磁石50などを追加するだけでよく、他のテン輪24、アンクル22、がんぎ車21、輪列、ゼンマイ等は、普通の機械式時計と同様の部品を流用できる。このため、コストの増加を抑えることができるとともに、高精度の時計100を製造できる。
(9)クオーツ時計のようなステップ運針ではなく、機械時計と同様なハイビートの連続運針を実現でき、速度ムラも抑えることができる。
以上に述べたように、本発明の調速機および電子機器によれば、外部磁界の影響を無くすことができ、かつ調速精度の低下を防止できるとともに、小型化が容易で摩擦損失も低減できるという効果がある。
(変形例)
図7は、実施形態1に係る電子調速機70の変形例を示す。
固定子52もしくは磁心53は、電磁鋼板やパーマロイのような軟磁性材料の代わりに、適切な保磁力を持った磁性体でもよい。もしくは、固定子52および磁心53に加えて、磁気回路上に同じく適切な保磁力を持った磁性体54を配設してもよい。
このように構成したことによって、固定子52もしくは磁心53自体、もしくは磁性体54をコイル51により着磁もしくは減磁させる手法をとることで、磁気粘性流体40に与えられる磁場はヒステリシスを持つようになる。これによって、輪列の回転周波数が変わらない限りは、コイル51に電流を流す必要がなく、消費電力を大幅に低減することができる。
また、この特徴を利用して、輪列の回転周波数の蓄積誤差がある程度大きくなってから、増速もしくは減速することで、さらに低消費電力とすることができる。調速動作を行うとき以外は制御回路62の電力消費だけで済み、他の一般的な調速機のように常にチョッピング動作をさせる必要がない。
(実施形態2)
図8から図10は、実施形態2に係る電子制御式機械時計200を示す。
実施形態1と同じ構成要素には同じ符号を付すことにし、説明を簡略化・省略する。
図8に示すように、電子制御式機械時計200は、がんぎ車21およびアンクル22を備えた脱進機10と、テンプ23を備えた機械式調速機11を廃した形態としている。代わりに、電子制御式機械時計200は、伝達経路上に回転子84を備え、かつ発電用コイル81、発電用固定子82、発電用磁心83から構成される発電機80を備えている。回転子84は、回転子磁石84d、回転子かな84cから構成される。
そして、本実施形態では、図11に示すように回転子上ほぞ84aと穴石31の間の遊びの空間に、磁気粘性流体40が配設されている。実施形態1と同様に、磁気粘性流体40は潤滑と調速の両方の役割を担う。また、磁気粘性流体40に磁場を印加するために、コイル51と固定子52と磁心53とで構成される電磁石が備えられている。回転子84の軸部分である回転子上ほぞ84aと回転子下ほぞ84bは、穴石31、受け石32、耐震押さえばね33から構成される軸受け機構によって軸支されている。なお、図9では、回転子上ほぞ84aの軸受け機構のみが表示されているが、実際には、回転子下ほぞ84bにも同様に軸受け機構が設けられている。
なお、ここでは磁気粘性流体40の配設場所を回転子上ほぞ84aとしているが、別途回転子84にフライホイールを備えるなどし、フライホイールに接するように磁気粘性流体40を配設してもよい。このように、電子調速機90は輪列のいずれかの可動部分に磁気粘性流体が接していればよく、設計の自由度を大きく向上できる。
図10に示すように、発電機80は電子調速機90の制御回路62に電力を供給すると共に、発電機80からの電圧もしくは電流の変動から輪列の回転周波数を知るために利用できる。制御回路62は、発電機80からの信号と設定信号を比較することで、コイル51に制御信号を送り、輪列の調速を行う。
以上に説明した実施の形態により次のような効果を得ることができる。
(1)発電機80で発電した電力で制御回路62を駆動しているので、別途電池を設ける必要がなく、電気切れなどによって使用できないという問題が発生することがなく、電子制御式機械時計200をいつでも使うことができる。
また、電池が不要なため、電池の廃却による環境破壊の発生を防止することができる。
(2)本実施形態によって調速される輪列は、常に一定の周波数で動作するため、発電機80により安定した電力を得ることができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は、本発明に含まれるものである。
本発明の電子調速機90は、電子制御式機械時計100および電子制御式機械時計200に適用する場合に限らず、機械的エネルギを供給する機械的エネルギ源を備えて調速(運動)が必要な各種玩具、オルゴール、メトロノーム、各種機械等の電子機器に広く適用できる。
以上述べたように、上記実施形態に係る調速機は、輪列を構成する複数の回転部品による回転運動の伝達経路上に備えられる磁気粘性流体と、前記磁気粘性流体に印加される磁場を変更することにより、前記回転運動の回転周波数を変更する制御部とを備えることを特徴とする。
磁気粘性流体は、加えられる磁場の強度に従い、その粘性が変化する機能性流体である。このため、機械的エネルギの伝達経路上に磁気粘性流体を備えることによって、前記伝達経路を調速することができる。
上記実施形態によれば、運動状態に応じて粘度を変更することで細かな調速制御が可能になり、精度の高い調速を行うことができる。その上、伝達経路上に磁気粘性流体を接触させるのみで実現できるため、必ずしも脱進機構を追加する必要がなく、伝達経路の設計変更を低減できる。
また、上記実施形態に係る調速機は、上記の調速機において、前記磁気粘性流体は前記伝達経路上の一つの回転部品の一つの軸に備えられており、かつ前記磁気粘性流体の周りに配置された固定子と、前記固定子の端部に当接する磁心と、前記磁心に巻回されたコイルを備え、かつ前記制御部は前記回転周波数を一定に保つように前記コイルの通電状態を変更することを特徴とする。
上記実施形態によれば、調速機に備えられたコイルに流す電流を変更して、複雑な機構を用いることなく簡単に調速を行うことができる。また、前記磁気粘性流体の粘度は電流に依存して変化するため、アナログ的に粘度を変更することができ、精度よく伝達経路の回転周波数を変更することができる。そのため、望む周波数よりも増速されている伝達経路や、周波数が変動する機械的エネルギ源から、一定の運動周波数を簡単に得ることができる。これにより、時計やメトロノーム等の等速で駆動させる必要のある機器に適用することができる。
また、上記実施形態に係る調速機は、上記の調速機において、前記制御部は、電池または電源により駆動されることを特徴とする。
上記実施形態によれば、各種の一次電池、二次電池や、発電機、コンセントなどから供給される商用電源によって制御装置を駆動するようにすれば、制御機構を非常に簡単にできる。
また、上記実施形態に係る調速機は、上記の調速機において、前記制御部は、前記回転周波数が設定信号の周波数よりも低い場合に前記磁気粘性流体の粘度が低くなるように前記磁場を変更し、前記回転周波数が前記設定信号の周波数よりも高い場合に前記磁気粘性流体の粘度が高くなるように前記磁場を変更することを特徴とする。
上記実施形態によれば、伝達経路の回転周波数が設定周波数よりも低い場合には粘性が低くなるため、振動が早くなる。一方で、伝達経路の回転周波数が設定周波数よりも高い場合には粘度が高くなるため、振動が遅くなる。このため、伝達経路の回転周波数を設定信号と同じ周波数に収束させることができ、回転運動を簡単に調速することができる。その上、比較的単純なフィードバック制御でよいため、制御装置を簡単な回路で構成でき、コストを低減できる。
さらに、設定信号を切り替え可能にすれば、運動(振動)の速度が異なる各種機器に対しても、設定信号を切り替えた調速機を組み込んで利用することができる。
また、上記実施形態に係る調速機は、上記の調速機において、前記設定信号は、前記制御部に備えられた基準信号源から出力されることを特徴とする。
この設定信号としては、具体的には、水晶振動子を用いた水晶発振回路が好ましく、他の発振回路でもよい。
上記実施形態によれば、前記制御部に備えられた水晶発振回路等の基準信号源からの信号を設定信号として用いれば、常時確実に信号を入力することができ、調速を確実に行うことができる。
また、上記実施形態に係る調速機は、上記の調速機において、前記コイルに通電することにより前記磁気粘性流体の粘度を変更することを特徴とする。
上記実施形態によれば、一度磁心を着磁または減磁することで、コイルに電流を流さなくとも常に前記磁気粘性流体の粘度を維持することができる。そのため、外乱等により伝達経路の運動状態が変わったときに必要に応じて、粘度を変化させるときにのみ適切な電流を流せばよく、制御装置が消費する電力を大幅に低減することができる。さらには、電流制御ができなくとも粘度が維持されるため、制御回路のICが動かないような低い電圧でも大きな時刻狂いが発生しないようにすることができ、時刻指示精度を高めることができる。
また、着磁または減磁させる対象の磁性体は固定子や磁心に限らず、別途、調速機に備えた磁性体の磁化を操作してもよいし、磁気回路を構成してその一部または全部の磁化を操作してもよい。
また、上記実施形態に係る電子制御式機械時計は、輪列に機械的エネルギを伝達する機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギにより駆動される指針と、上記の調速機を備え、前記磁気粘性流体は、前記機械的エネルギ源と前記指針間に設けられた伝達経路上の回転部品の一つの軸に備えられていることを特徴とする。
上記実施形態によれば、前記調速機が従来のヒゲゼンマイやテンプからなる脱進調速機の代わりに組み込まれ、この調速機の備える磁気粘性流体の粘度変化によって指針の動きを精度よく運針させることができる。これにより、ゼンマイからなる機械的エネルギ源を用いて、正確に指針を駆動する電子制御式機械時計を提供できる。
また、上記実施形態に係る電子制御式機械時計は、上記の電子制御式機械時計において、前記伝達経路上に永久磁石を有する回転子と、前記回転子の回転軸の周りに配置された発電用固定子と、前記発電用固定子の端部に当接する発電用磁心と、前記発電用磁心に巻回された発電用コイルとを備え、かつ前記回転子の軸と対向する前記発電用固定子との間に前記磁気粘性流体を備え、前記制御部は、前記発電用コイルに誘起する電力により駆動されることを特徴とする。
上記実施形態によれば、調速対象を前記回転子とすることで、制御機構への給電のみならず調速機構の一部としても利用でき、別途、電池等が不要になり、調速機を小型化できるとともに、安価に提供できる。
さらに、電池が不要なので、電池切れで使用できないということがなく、いつでも利用することができる。その上、電池の廃却による環境破壊を防止することもできる。
また、上記実施形態に係る電子機器は、機械的エネルギを供給する機械的エネルギ源と、上記の調速機を備えることを特徴とする。
上記実施形態によれば、伝達経路の設計変更を最小限に抑えることができ、高精度の調速制御が可能になり、かつ小型、軽量化を実現できてコストも低減できる。
100 電子制御式機械時計
1 香箱車
1b 香箱歯車
2 二番車
3 三番車
4 四番車
10 脱進機
11 機械式調速機
21 がんぎ車
22 アンクル
23 テンプ
24 テン輪
30 ヒゲゼンマイ
30a テンプ上ほぞ
30b テンプ下ほぞ
31 穴石
32 受け石
33 耐震押さえばね
40 磁気粘性流体
50 電磁石
51 コイル
52 固定子
53 磁心
54 磁性体
61 発振回路
62 制御回路
63 電源
64 水晶振動子
70 電子調速機
200 電子制御式機械時計
80 発電機
81 発電用コイル
82 発電用固定子
83 発電用磁心
84 回転子
84a 回転子上ほぞ
84b 回転子下ほぞ
84c 回転子磁石
84d 回転子かな
90 電子調速機

Claims (9)

  1. 輪列を構成する複数の回転部品による回転運動の伝達経路上に備えられる磁気粘性流体と、前記磁気粘性流体に印加される磁場を変更することにより、前記回転運動の回転周波数を変更する制御部とを備えることを特徴とする調速機。
  2. 前記磁気粘性流体は前記伝達経路上の一つの回転部品の一つの軸に備えられており、かつ前記磁気粘性流体の周りに配置された固定子と、前記固定子の端部に当接する磁心と、前記磁心に巻回されたコイルを備え、かつ前記制御部は前記回転周波数を一定に保つように前記コイルの通電状態を変更することを特徴とする請求項1に記載の調速機。
  3. 前記制御部は、電池または電源により駆動されることを特徴とする請求項1または2に記載の調速機。
  4. 前記制御部は、前記回転周波数が設定信号の周波数よりも低い場合に前記磁気粘性流体の粘度が低くなるように前記磁場を変更し、前記回転周波数が前記設定信号の周波数よりも高い場合に前記磁気粘性流体の粘度が高くなるように前記磁場を変更することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の調速機。
  5. 前記設定信号は、前記制御部に備えられた基準信号源から出力されることを特徴とする請求項4に記載の調速機。
  6. 前記コイルに通電することにより前記磁気粘性流体の粘度を変更することを特徴とする請求項2に記載の調速機。
  7. 輪列に機械的エネルギを伝達する機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギにより駆動される指針と、請求項1〜6のいずれかに記載の調速機を備え、
    前記磁気粘性流体は、前記機械的エネルギ源と前記指針間に設けられた伝達経路上の回転部品の一つの軸に備えられていることを特徴とする電子制御式機械時計。
  8. 前記伝達経路上に永久磁石を有する回転子と、前記回転子の回転軸の周りに配置された発電用固定子と、前記発電用固定子の端部に当接する発電用磁心と、前記発電用磁心に巻回された発電用コイルとを備え、かつ前記回転子の軸と対向する前記発電用固定子との間に前記磁気粘性流体を備え、
    前記制御部は、前記発電用コイルに誘起する電力により駆動されることを特徴とする請求項7に記載の電子制御式機械時計。
  9. 機械的エネルギを供給する機械的エネルギ源と、請求項1〜6のいずれかに記載の調速機を備えることを特徴とする電子機器。
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