JP2006263241A - 形態評価と機能評価の最適バランスに基づくインプラント三次元手術計画システム - Google Patents

形態評価と機能評価の最適バランスに基づくインプラント三次元手術計画システム Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、インプラント部品の手術計画を、客観的基準などに基づいて自動的に行うことが可能にし、外科医の負担領域を減少させることおよびこれまで技能に頼ってきた外科医によるインプラント手術のレベルを一定以上に保つことを課題とする。
【解決手段】本発明は、外科手術において所望の結果を得るためのインプラント部品を選択する方法を提供し、この方法は、A)対象となる患者情報を得る工程;B)移植されるべきインプラント部品の情報を得る工程;C)上記患者情報と上記インプラント部品の情報とを用いて評価関数を生成する工程;およびD)上記評価関数に基づいて実際に外科手術に使用すべきインプラント部品を選択する工程を包含する。本発明はまた、システムをも提供する。この方法によって上記課題は解決される。
【選択図】図1

Description

本発明は、インプラント三次元手術計画システムに関する。より詳細には、インプラントを用いた手術を行う際に使用するインプラントの選択を容易にし、精密にするための技術に関する。
従来の手術計画は2次元X線画像上で拡大率を調整し,人工関節部品のテンプレート,型紙を宛がうことで行っているが,これでは奥行きの情報を得られず,3次元的な手術計画を決定することは非常に困難である。
そのため,より最近の研究では、一般化しつつあるマルチスライスCTから3次元骨形状モデルを構築し、その形状データに基づく客観的評価値と形状特徴から3次元的な設置位置や角度を自動立案するシステムを開発がされつつある(非特許文献1=酒井智仁, 人工股関節手術計画システムにおける形状情報に基づくインプラントの自動設置,第12 回日本コンピュータ外科学会論文集,(2003),pp.47-48;非特許文献2=Kagiyama, Y. et al, Automated preoperative 3D planning ofacetabular cup positioning and size selection in total hip arthroplasty usingCT data, Proceedings of CAOS, (2004), pp.312-313.)。
既にカップおよびステム単体での自動手術計画システムが開発されており、カップでは適用症例の8割がステムでは全症例が専門医から採用可能と判断されたことから、その有用性が確認されている。これらは固定された骨盤および大腿骨に対して個別に設置計画を自動立案しているが、人工股関節手術計画としては骨盤側および大腿骨側双方が接合するように一括して設置計画を立てることが必要とされる。そのため、カップとステムの自動設置計画立案システムの統合を行い、人工関節部品同士の調整を行うシステムを開発した。この技術では、ステムとネックが一体となったFreemanステムを対象としているため,ネック単体での調整は含まれていない。
従来のインプラント手術計画システムでは、医用画像から再構成された患者の三次元骨格形状とインプラント三次元形状の空間関係を、グラフィクス計算機により可視化し、可視化された関係に基づき外科医が、患者に最適なインプラントの選択と設置位置・角度の判断を行っていた。2002年に、イタリアのリッツオーリ研究所において、形態適合性を、より定量的に判断するための参考情報として、インプラント表面と患者骨格の表面の距離分布を三次元的に可視化することが提案された(非特許文献3=Testi D, Simeoni M, Zannoni C, Viceconti M. Validation of twoalgorithms to evaluate the interface between bone and orthopaedic implants.Comput Methods Programs Biomed. 2004 May;74(2):143-50)が、外科医の判断に基づくことには変わりはない。さらに最近では、2003年に、大阪大学において、最適なインプラントの選択と、設置位置・角度を計算機に自動決定させる試みが提案された(非特許文献4=NakamotoM, Sato Y, Sugano N, Sasama T, Nishii T, Pak PS, Akazawa K, Tada Y, YoshikawaH, and Tamura S. Automated CT-based 3D surgical planning for total hipreplacement: A pilot study, Computer Assisted Radiology and Surgery: 17thInternational Symposium and Exhibition (Proc. CARS2003), London, 389-394, 2003)。この技術では、歩行機能に関連する脚長の整合性が一部用いられているが、関節可動域および関節周囲軟部組織長などを含む総合的な機能評価は用いていない。また、2000年〜2003年にかけて、大朝大学やカーネギーメロン大学において、関節機能に直接的な影響を及ぼす関節可動範囲の評価が行われている(非特許文献5=JaramazB, Nikou C, Simon DA, DiGioia AM III. Range Of Motion After Total HipArthroplasty: Experimental Verification Of The Analytical Simulator. LectureNotes in Computer Science, 1205 (First Joint Conference of CVRMed II and MRCASIII (Proc. CVRMed-MRCAS'97), Grenoble, France), 573-582, 1997)が、これらも外科医が行う総合判断の参考情報として用いられているのみであり、この結果をさらに計算機により解析を行うことは報告されていない。
特許文献1は、整形外科手術計画を立案するためのソフトウェアを記載する。このソフトウェアはコンピュータの演算処理装置により実行されると、演算処理装置に、患者の骨の3D(三次元)テンプレートモデルを定義する処理と、患者の骨の複数のディジタル化2D(二次元)X線像をコンピュータ記憶装置中に格納する処理と、複数のディジタル化2DX線像のそれぞれから患者の骨の2D基準形状を抽出する処理と、患者の骨の2D基準形状を用いて3Dテンプレートモデルを変形して、患者の骨の輪郭と変形した3Dテンプレートモデルの輪郭との誤差を最小にする処理とを行わせる。更に、演算処理装置は、患者の骨の変形3Dテンプレートモデルに関連付けられたデジタルデータを読み込む処理と、変形3Dモデルに関連付けられたデジタルデータの分析に基づいて患者の骨の手術計画を生成する処理も行う。しかし、これらは、関節可動域および関節周囲軟部組織長などを含む総合的な機能評価は用いておらず、外科医が行う総合判断をさらに計算機により解析を行うことは記載されていない。
特許文献2は、本発明は、膝義足の理想的な理論位置を決定するためのシステムであって、脛骨義足の位置を決定するために、脛骨の基部の形状およびその位置を、足首関節の中心に対して決定する手段と、脛骨プラトーの高位の点を決定する手段と、以下のパラメータ、すなわち義足の中心を通過する断面に対する垂線が、足首関節の中心も通過すること、断面が、固定される義足の高さに等しい前記高位の点からある距離をおいた位置にあること、義足の大きい脚部が、断面内で脛骨横断面の大きい端部の中心にあること、義足の小さい端部の前縁部が、断面内で脛骨横断面の小さい端部から一定距離の位置にあること、を考慮して、足首の位置、方向、および大きさを、脛骨義足および脛骨義足に対応する断面の脛骨に対して計算する手段と、義足の断面で、義足の大きい端部が膝の水平軸に平行になるように方向を決定する手段と、を備えるシステムに関する。しかし、これらは、関節可動域および関節周囲軟部組織長などを含む総合的な機能評価は用いておらず、外科医が行う総合判断をさらに計算機により解析を行うことは記載されていない。
特許文献3は、画像データを転送することなく、医療機関ローカルで画像処理を行うことができるようにするためのアプリケーションソフトウェアのサーポートシステムおよびその方法の提供を記載する。この文献では、複数の処理端末と画像処理センターのホストコンピュータとを通信可能に接続した遠隔画像解析システムであって、処理端末のハードウェア並びにソフトウェア構成に関する情報から、処理端末が希望する画像処理を実行するために必要とされる制御コードを含むアプリケーションソフトウェアをホストコンピュータから提供し、画像処理等をローカルで実行させる、画像データの転送不要な遠隔画像解析システムおよびその方法が記載されている。
酒井智仁,人工股関節手術計画システムにおける形状情報に基づくインプラントの自動設置,第12 回日本コンピュータ外科学会論文集,(2003), pp.47−48 Kagiyama, Y. et al, Automated preoperative 3D planning of acetabular cup positioning and size selection in total hip arthroplasty using CT data, Proceedings of CAOS, (2004), pp.312−313 Testi D, Simeoni M, Zannoni C,Viceconti M. Validationof two algorithms to evaluate the interface between bone and orthopaedicimplants. Comput Methods Programs Biomed. 2004 May;74(2):143-50 NakamotoM, Sato Y, Sugano N, Sasama T, Nishii T, Pak PS, Akazawa K, Tada Y, YoshikawaH, and Tamura S. Automated CT-based 3D surgical planning for total hipreplacement: A pilot study, Computer Assisted Radiology and Surgery: 17thInternational Symposium and Exhibition (Proc. CARS2003), London, 389-394, 2003 Jaramaz B, Nikou C, SimonDA, DiGioia AM III. RangeOf Motion After Total Hip Arthroplasty: Experimental Verification Of TheAnalytical Simulator. Lecture Notes in Computer Science, 1205 (First JointConference of CVRMed II and MRCAS III (Proc. CVRMed-MRCAS'97), Grenoble,France), 573-582, 1997 特表2003−530177号 特表2004−512136号 特開2004−334403号
本発明は、インプラント部品の手術計画を、客観的基準などに基づいて自動的に行うことが可能にし、外科医の負担領域を減少させることおよびこれまで技能に頼ってきた外科医によるインプラント手術のレベルを一定以上に保つことを課題とする。
本発明は、形態評価と機能評価の総合評価を行うシステムであり、ここで、形態評価には、患者骨格の三次元的形状とインプラントの三次元形状サイズとの相対的適合性を含み、機能評価には、脚長、関節可動域、関節周囲軟部組織長、応力分布、内壁厚、前壁厚、後壁厚などの骨量評価、骨密度(骨質)評価等が含まれる。
従って、本発明は、形態評価と機能評価の総合評価、ならびに評価項目のバランス調整および学習機能を行うことが特徴の一つである。
このように、本発明は、以下を提供する。
(1)外科手術において所望の結果を得るためのインプラント部品を選択する方法であって、
A)対象となる患者情報を得る工程;
B)移植されるべきインプラント部品の情報を得る工程;
C)上記患者情報と上記インプラント部品の情報とを用いて評価関数を生成する工程;および
D)上記評価関数に基づいて実際に外科手術に使用すべきインプラント部品を選択する工程
を包含する、方法。
(2) 上記評価関数は、内部パラメータおよび上記評価関数の評価項目間の重みパラメータを含む、項目1に記載の方法。
(3) 上記インプラント部品の選択において、上記内部パラメータおよび上記重みパラメータを調整することを包含する、項目2に記載の方法。
(4) 上記内部パラメータおよび上記重みパラメータの調整は、修正結果データベースに基づいて調整することを包含する、項目3に記載の方法。
(5) 上記修正結果データベースは、外科医がマニュアルで計画の修正を行った結果の集積データベースである、項目4に記載の方法。
(6) 上記評価関数は、形態評価および機能評価からなる群より選択される少なくとも1つの評価を行うものである、項目1に記載の方法。
(7) 上記評価関数は、形態評価および機能評価を含む評価を行うものである、項目1に記載の方法。
(8)上記形態評価は、上記インプラント部品のうち単一のパラメータに基づいて決定される、項目7に記載の方法。
(9)上記機能評価は、上記インプラント部品の複数のパラメータに基づいて決定される、項目7に記載の方法。
(10)上記機能評価は、脚長、関節可動域、関節周囲軟部組織長および関節周囲軟部組織長の変化からなる群より選択される1またはそれより多い項目を含む、項目7に記載の方法。
(11)上記形態評価は、患者骨格の三次元形状、インプラント部品の三次元構造、インプラント部品のサイズ、および患者骨格とインプラント部品との相対的適合性からなる群より選択される1またはそれより多い項目を含む、項目7に記載の方法。
(12) 上記評価関数において出力された評価値から、所望の数の候補を選択する工程をさらに包含する、項目1に記載の方法。
(13) 上記患者情報は、CT画像もしくはMR画像を撮影することによって得られるか、または2次元X線画像に基づいて一般的三次元モデルを変形させることによって得られる、項目1に記載の方法。
(14) 上記CT画像、MR画像、または2次元X線画像から三次元形状モデルを作成する工程をさらに包含する、項目13に記載の方法。
(15) 上記三次元形状モデルにおいて、関節を形成する複数の骨格は、別個の三次元形状モデルとして作成することを特徴とする、項目14に記載の方法。
(16)上記形態評価は、上記インプラント部品の三次元形状モデルと、患者情報の三次元形状モデルとをコンピュータに入力し、単一のインプラントモデルと単一の骨モデルとの相対関係に基づく適合評価関数を定義することを包含する、項目7に記載の方法。
(17)上記機能評価は、複数の上記インプラント部品の情報と複数の上記患者情報との相対関係に基づき、それぞれの機能を反映した機能評価関数を定義することを包含する、項目7に記載の方法。
(18)上記評価関数は、形態評価および機能評価を評価することを含み、上記形態評価は、上記インプラント部品の三次元形状モデルと、患者情報の三次元形状モデルとをコンピュータに入力し、単一のインプラントモデルと単一の骨モデルとの相対関係に基づく適合評価関数を定義することを包含し、上記機能評価は、複数の上記インプラント部品の情報と複数の上記患者情報との相対関係に基づき、それぞれの機能を反映した機能評価関数を定義することを包含し、上記適合評価関数および上記機能評価関数に関し、個別の線形和、積またはそれらの組み合わせによって全体評価関数を定義することを特徴とする、項目1に記載の方法。
(19)上記選択は、上記全体評価関数において、最大化または最小化するインプラント部品のサイズ、位置および方向を最適解として選択することを包含する、項目18に記載の方法。
(20)上記選択は、上記全体評価関数において、最大化または最小化するインプラント部品のサイズ、位置および方向を最適解として上位から所望の数を選択することを包含する、項目18に記載の方法。
(21)上記評価関数は、内部パラメータおよび上記評価関数の評価項目間の重みパラメータを含み、上記全体評価関数において、個別の評価関数内の内部パラメータおよび/または線形和、積もしくはその組み合わせの重みパラメータを調整することを特徴とする、項目18に記載の方法。
(22)上記インプラント部品は、人工股関節の部品である、項目1に記載の方法。
(23)上記人工股関節の部品は、骨盤側カップ、大腿骨側ステムおよびステムを含む、項目22に記載の方法。
(24)外科手術において所望の結果を得るためのインプラント部品を選択するシステムであって、上記システムは、
A)対象となる患者情報を得る手段;
B)移植されるべきインプラント部品の情報を得る手段;
C)上記患者情報と上記インプラント部品の情報とを用いて評価関数を生成する手段;および
D)上記評価関数に基づいて実際に外科手術に使用すべきインプラント部品を選択する手段を備える、システム。
(25)外科手術において所望の結果を得るためのインプラント部品を選択する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
上記処理は、
A)対象となる患者情報を得る工程;
B)移植されるべきインプラント部品の情報を得る工程;
C)上記患者情報と上記インプラント部品の情報とを用いて評価関数を生成する工程;および
D)上記評価関数に基づいて実際に外科手術に使用すべきインプラント部品を選択する工程
を包含する、プログラム。
(26)外科手術において所望の結果を得るためのインプラント部品を選択する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを格納した記録媒体であって、
上記処理は、
A)対象となる患者情報を得る工程;
B)移植されるべきインプラント部品の情報を得る工程;
C)上記患者情報と上記インプラント部品の情報とを用いて評価関数を生成する工程;および
D)上記評価関数に基づいて実際に外科手術に使用すべきインプラント部品を選択する工程
を包含する、記録媒体。
(27) 外科手術において所望の結果を得るための、インプラント部品を生成または選択するための方法であって:
A)インプラント部品xについて、患者情報と、適切な移植後の設置情報とから、評価関数
F(x1,x2,…xm)=Πj{wjfj(x1,x2,…xm;pj)}
を生成する工程であって、x〜xは、i番目のインプラント部品の評価パラメータであり、fj(x1,x2,…xm;pj)は、j番目の各項目別評価関数であり、pjは、j番目の評価関数の内部パラメータであり、そして、wjは、各項目間のバランスを調整する重みパラメータである、生成工程と、
B)上記所望の結果のためのpjおよびwjを決定する決定工程と、
C)上記所望の結果のために決定されたpjおよびwjを工程A)において生成されたΠj{wjfj(x1,x2,…xm;pj)}に入力して、F(x1,x2,…xm)の解を得る工程と
D)上記解に基づいて部品を生成または選択する工程と
を包含する、方法。
(28)上記B)決定工程は、外科医によるマニュアルまたは計算機による自動によって、決定される、項目27に記載の方法。
本発明は、上記項目27を実現する、システム、プログラム、記録媒体なども提供する。
以下に、本発明の好ましい実施形態を示すが、当業者は本発明の説明および当該分野における周知慣用技術からその実施形態などを適宜実施することができ、本発明が奏する作用および効果を容易に理解することが認識されるべきである。
本発明により、インプラントを用いた手術がより効率化され、さらに、学習機能を用いることによって、従来技能に頼っていた手術を技術的に再現性よく実施することが可能となった。
以下に本発明の好ましい形態を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など、および他の言語における対応する冠詞、形容詞など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
(定義)
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
本明細書において「骨」とは、脊椎動物の支持器官であって、内骨格の個々の構成要素をいう。脊椎動物の骨は、円口類および軟骨魚類を除いて主に骨組織からなる。本明細書では、骨には、軟骨が含まれる。本明細書において、脊椎動物の骨格の大部分を形づくる硬い結合組織を特に区別するときは、硬骨と呼ぶ。なお、本明細書では、骨が例示されているが、骨以外の他の身体の一部であっても同様に処置を設計し、実施することができることが理解される。
本明細書において「患者情報」とは、患者に関する任意の情報をいい、例えば、骨情報、解剖学的特徴、骨格形状などが含まれる。
本明細書において「骨情報」とは、骨に関する任意の情報をいい、特に、三次元的情報を意味する。本明細書において「三次元」表示は、通常直交系表示を用いて行われるが、三次元を表示することができる系であれば任意の系を用いることができる。「骨情報」には、骨の手術に必要な任意の情報(例えば、三次元形状など)などが含まれる。
本明細書において対象とする骨は、通常異常骨であることが多く、代表的には、骨折を経由した骨、骨欠損を伴う骨が挙げられる。骨折には、完全骨折、不完全骨折があり、皮膚の損傷を伴う開放骨折、閉鎖骨折などがあり、それから治癒した異常骨はすべて対象となり得る。骨折後は、通常6週間〜6ヶ月で治癒するが、その間間隙には、新たな骨が形成されるか、または変形して骨が治癒することが多い。
本明細書において骨の「処置」とは、骨に対して物理的に作用を与えることをいい、例えば、回転、切除、切断、移植片(インプラント)の挿入、延長、固定などをいうがそれらに限定されないが、特に、インプラント(部品)の挿入を言うことが多い。
本明細書において「外科手術」とは、通常用いられる意味と同様に用いられ、体の創傷または内臓諸器官の疾病を処置する方法をいい、外科的器械やメスを用いて患部を切開し治療的処置を施すことをいう。例示的に言及される人工股関節全置換術とは,変形性股関節症,大腿骨頸部骨折,大腿骨骨頭壊死症,および関節リウマチの治療法で,変形もしくは外傷を受けた対象部位を人工関節部品に置き換え,股関節機能を回復させるものである。
股関節は,先端がボール状になっている大腿骨の先端部,骨頭とそのボールを受けるソケットとなる骨盤の擂鉢状の部分,臼蓋から成り立っており,ステム,ヘッド,カップと呼ばれる人工関節部品に置き換えられる.人工股関節全置換術では,手術前に予め各患者に適した人工関節部品の種類とサイズを選択し,適切な位置.角度に設置することが重要とされる.これらが不適切であった場合,術後短期間で人工関節部品の緩みや脱落が発生し,再手術が必要となることがあるため,手術前にX線画像やCT画像から再構築された3次元骨形状モデル上で各患者に合わせた手術計画を立てる必要がある。従来の手術計画は2次元X線画像上で拡大率を調整し,人工関節部品のテンプレート,型紙を宛がうことで行っているが,これでは奥行きの情報を得られず,3次元的な手術計画を決定することは非常に困難である.そのため,本研究では一般化しつつあるマルチスライスCTから3次元骨形状モデルを構築し,その形状データに基づく客観的評価値と形状特徴から3次元的な設置位置や角度を自動立案するシステムを開発してきた。既にカップ,ステム単体での自動手術計画システムを開発しており,カップでは適用症例の8割が,ステムでは全症例が専門医から採用可能と判断されたことから,その有用性を確認している.これらは固定された骨盤,大腿骨に対して個別に設置計画を自動立案しているが,人工股関節手術計画としては骨盤側,大腿骨側双方が接合するように一括して設置計画を立てることが必要とされる。
カップ,ステムの自動設置計画を統合するためには、脚長差を考慮する必要がある。脚長差は左右の脚が体軸に揃った状態における差である。一般にCT撮影時には、両脚が揃っていることはないため、人工股関節手術計画システムにおいて基準となる骨盤の体軸と一致させる.そして,脚長差が最小となるよう調整を行う。
前述の通り骨盤が固定されることから,骨盤側のカップ自動計画はそのまま採用することとし,大腿骨側の自動計画を骨盤側に接合させる方法について説明する.まず,ソケットとなる骨盤側のカップに対してボールとなる大腿骨側のヘッドは,そのサイズがカップ側の選択サイズに対応して一意に定まるため自動的に決定される.また,その設置位置はカップの中心座標からカップ天頂方向に対して-3.5mmの位置とする.これによりヘッドと一体となり大腿骨側人工関節を構成しているステムの設置座標についても決定されるが,このままでは大腿骨が基準となる骨盤の体軸と平行にならないため,ステムと大腿骨の位置関係を決定する自動計画を維持した上で,ヘッドと共に回転移動を行う.次はステムのネック長により脚長差を調整する.脚長差の求め方は,手術対象ではない側の大腿骨も骨盤の体軸に揃うよう,骨頭中心を中心とした回転移動を行ったうえで,左右の大腿骨座標系原点の体軸方向のずれを計算することで行う.今回使用しているFreemanステムはネック軸方向に-4mm,0mm,4mmのネック長バリエーションが存在しており,この中から脚長差が最小になるものが自動的に選択される.これにより,人工関節部品が揃った際の最も適切な設置計画を自動的に選ぶことができ,カップとステムの自動設置計画を統合した最終的な自動手術計画が立案される。このような手術計画は、本発明のシステムおよび方法において応用することができる。
本明細書において「移植」とは、体内に物を移入することをいい、特に、インプラントなどの移植片を移入することをいう。
本明細書において「移植片」(インプラントまたはグラフト)とは、身体の特定部位に挿入されるべき同種または異種の組織、細胞群または人工物(例えば、リン酸カルシウム構造体)であって、身体への挿入後その一部となるものをいう。移植片としては、例えば、骨(例えば、天然骨(例えば、自家骨、同種骨、異種骨など)の一部、リン酸カルシウム(例えば、ハイドロキシアパタイト)の構造体などが挙げられるがそれらに限定されない。従って、移植片には、ある部分の欠損部に差し込んで欠損を補うために用いられるものすべてが包含される。移植片は、好ましくは、免疫拒絶反応を起こさないものが使用される。移植片としては、そのドナー(donor)の種類によって、自己(自家)移植片(autograft)、同種移植片(同種異系移植片)(allograft)、異種移植片(例えば、ヒトに対するサンゴなど)、あるいは人工合成物(例えば、セラミックス)が挙げら 本明細書において自己移植片(骨、組織、細胞、臓器など)または自家移植片(骨、組織、細胞、臓器など)とは、ある個体についていうとき、その個体に由来する移植片(骨、組織、細胞、臓器など)をいう。本明細書において自己移植片(骨、組織、細胞、臓器など)というときは、広義には遺伝的に同じ他個体(例えば一卵性双生児)からの移植片(骨、組織、細胞、臓器など)をも含み得る。本明細書では、このような「自己」との表現は、「被験体に由来する」と交換可能に使用される。従って、本明細書では、ある「被験体に由来しない」との表現は、「自己ではない(すなわち、非自己)」と同一の意味を有する。
本明細書において同種移植片(同種異系移植片)(骨、組織、細胞、臓器など)とは、同種であっても遺伝的には異なる他個体から移植される移植片(骨、組織、細胞、臓器など)をいう。遺伝的に異なることから、同種異系移植片(骨、組織、細胞、臓器など)は、移植された個体(レシピエント)において免疫反応を惹起し得る。そのような移植片(骨、組織、細胞、臓器など)の例としては、親由来の移植片(骨、組織、細胞、臓器など)などが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において異種移植片(骨、組織、細胞、臓器など)とは、異種個体から移植される移植片(骨、組織、細胞、臓器など)をいう。従って、例えば、ヒトがレシピエントである場合、ブタからの移植片(骨、組織、細胞、臓器など)、サンゴ成分などは、異種移植片(骨、組織、細胞、臓器など)という。
本明細書において「人工」移植片(骨、組織、細胞、臓器など)とは、天然の生物に由来しない部分(例えば、人工のリン酸カルシウムを含む構造体)を有する移植片をいう。人工移植片が人工骨の場合、リン酸カルシウムを含むことが好ましい。より好ましくはこのリン酸カルシウムはハイドロキシアパタイトを含む。
本明細書において「レシピエント」(受容者)とは、移植片(骨、組織、細胞、臓器など)または移植体(骨、組織、細胞、臓器など)を受け取る個体といい、「宿主」とも呼ばれる。これに対し、移植片(骨、組織、細胞、臓器など)または移植体(骨、組織、細胞、臓器など)を提供する個体は、「ドナー」(供与者)という。
本明細書において「被験体(患者)」とは、本発明の処置が適用される生物をいい、「患者」ともいわれる。患者または被験体は好ましくは、ヒトであり得る。
本発明において使用される移植片は、同系由来(自己(自家)由来)でも、同種異系由来(他個体(他家)由来)でも、異種由来でもよい。拒絶反応が考えられることから、自己由来の細胞が好ましいが、拒絶反応が問題でない場合同種異系由来であってもよい。また、拒絶反応を起こすものも必要に応じて拒絶反応を解消する処置を行うことにより利用することができる。拒絶反応を回避する手順は当該分野において公知であり、例えば、新外科学体系、第12巻、臓器移植(心臓移植・肺移植 技術的,倫理的整備から実施に向けて)(改訂第3版)、中山書店に記載されている。そのような方法としては、例えば、免疫抑制剤、ステロイド剤の使用などの方法が挙げられる。拒絶反応を予防する免疫抑制剤は、現在、「シクロスポリン」(サンディミュン/ネオーラル)、「タクロリムス」(プログラフ)、「アザチオプリン」(イムラン)、「ステロイドホルモン」(プレドニン、メチルプレドニン)、「T細胞抗体」(OKT3、ATGなど)があり、予防的免疫抑制療法として世界の多くの施設で行われている方法は、「シクロスポリン、アザチオプリン、ステロイドホルモン」の3剤併用である。免疫抑制剤は、本発明の移植片と同時期に投与されることが望ましいが、必ずしも必要ではない。従って、免疫抑制効果が達成される限り免疫抑制剤は本発明の方法の前または後にも投与され得る。
本明細書において「インプラント部品」の情報は、対象物の三次元情報に基づいて得ることができる。ここでは、患者情報と同じ手段を用いても良い。
本明細書において、「使用すべきインプラント部品」とは、本発明のシステムまたは方法によって選択された、目的の手術に適切なインプラント部品をいう。
本明細書において「評価関数」とは、インプラント部品が外科手術において適しているかどうかを評価するための関数を言う。そのような評価関数としては、例えば、人工関節の固定強度;既存生体構造への適合性;十分な関節機能確保などを観点として評価する関数を挙げることができるがそれらに限定されない。本明細書において使用される評価関数としては、大きく分けると形態評価項目の評価関数および機能評価項目の評価関数が挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において使用される場合、評価関数は、内部パラメータ(例えば、インプラント部品そのもののパラメータであって、例えば、サイズ、位置、角度などを挙げることができる)、および評価項目間の重みパラメータ(例えば、各項目間のバランスを調整する重みパラメータ)を含むことができる。
形態評価項目の評価関数は、fj(xi;pj)の形で表すことができ、単一のインプラント部品パラメータxiのみ関与する。
機能評価項目の評価関数は、fj(x1,x2,…xm;pj)の形で表すことができ、すべて(複数)のインプラント部品x1,x2,…xmが関与する。機能評価では、前後方向、左右方向、脚回りのそれぞれの可動範囲が、ある角度以上の幅をもつこと;左右の脚長差がある範囲以内であること;手術前後の筋肉長差がある範囲以内であること;関節動作時の筋肉長の変化がある範囲内であることなどを評価することができる。
本明細書において「バランス調整」とは、インプラント手術計画の評価に関与するあらゆる評価項目を表現する制約条件式および評価関数における内部パラメータ値の調整および、これら評価項目の重みパラメータ値の調整であって、評価項目間の重みパラメータwi,評価関数の内部パラメータpiを調整することにより、バランスを調整する。
本明細書において、「学習機能」または「自動バランス調整」とは、ある目的のインプラント選択法(例えば、優れた外科医の選択法)について学習する機能またはその調整をいい、自動計画後に、外科医がマニュアルで計画の修正を行った結果を蓄積していき、自動計画の結果が、外科医の修正結果に近づくように、wi,piのパラメータ値を自動調整することをいう。
本明細書において「全体評価関数」または「総合評価関数」とは、F(x1,x2,…xm)=Pj{wj fj(x1,x2,…xm;pj)}の形で一般的に記述する。
本明細書において「パラメータ」とは、対象となる物体(骨、インプラント部品など)の形状などに関するパラメータをいう。パラメータとしては、サイズ、位置、角度などを挙げることができる。
本明細書において「内部パラメータ」とは、評価関数自体のパラメータであって、以下に掲げるような評価項目を評価関数または制約条件式として表した場合に、その関数に含まれるパラメータをいう。内部パラメータに使用される評価項目としては、例えば、被覆率、臼蓋リム径、CE角、内盤厚、前壁厚、後壁厚、ステム適合度、前捻角、左右脚長差、可動範囲、筋肉長、靭帯長、および応力分泌などを挙げることができる。
本明細書において「重みパラメータ」とは、統計の加重法・度数分布において各項のもつ加重値であり、本明細書では、各評価項目に対応する評価関数・制約条件式全体にかけ算する「重み」の値をいい、各項目間のバランスを調整するために使用される。例えば、2数a、bに対して(ka+lb)/(k+l)は、ウェートk、lを付加した平均値などを挙げることができる。
本明細書において骨を「処置すべき方法」とは、骨の処置において、目的骨モデルへと導くために、骨モデルを有する対象となる骨に施すべき方法およびそれに必要な補助部材(例えば、インプラント)の形状をいう。
本明細書において、骨に関する三次元方向の「パラメータ」とは、使用する三次元表示において、各次元を表示する要素をいい、例えば、正規直交系で空間を表現したときに、x、yおよびz軸に関する各々の要素(例えば、ベクトルなど)をいう。x、yおよびz軸で表現される空間は、代替的に、回転軸、回転角度および距離で表すことができる。
本明細書において「補強」とは、意図される生体の部分の機能を改善させることをいう。
本明細書において、骨の「固定」とは、ある骨の処置を行った後に、その処置の状態を実質的に保持させる行為をいう。骨の固定は、一般的に対象となる骨のみで行われ得る。
本明細書において「近位」とは、骨などにおいて2箇所の部分を比較する場合、心臓に近い方をいう。
本明細書において「遠位」とは、骨などにおいて2箇所の部分を比較する場合、心臓から遠い方をいう。
本明細書において「標準」とは、ある集団において、正常となる範囲内に入る存在をいう。代表的には、標準は、ある集団を統計学的処理した場合に平均から±1偏差以内に収まる範囲をいう。本発明では、標準としては、代替的に、対となる骨がある場合、処置されるべき骨の相手方の骨を採用することができる。
本明細書において「キット」とは、ある目的のために使用されるべき部材、装置などの組をいう。そのようなキットは、例えば、各種補助部材(例えば、インプラントのセットなど)を備える。キットには、部材をどのように使用するかを記載した指示書が備えられていてもよい。
本明細書において「指示書」は、本発明の装置、部材、キットなどを使用する方法または手術方法などを、医師、医療従事者、患者など使用する人(患者本人であり得る)が理解できるように記載したものである。この指示書は、本発明の装置、インプラントのセット、キット、手術方法などを指示する文言が記載されている。この指示書は、本発明が実施される国の監督官庁(例えば、日本であれば厚生労働省、米国であれば食品医薬品局(FDA)など)が規定した様式に従って作成され、その監督官庁により承認を受けた旨が明記される。指示書は、いわゆる添付文書(package insert)であり、通常は紙媒体で提供されるが、それに限定されず、例えば、電子媒体(例えば、インターネットで提供されるホームページ(ウェブサイト)、PDF形態の電子書類、電子メール)のような形態でも提供され得る。
本明細書において「補助部材」および「インプラント」または「インプラント部品」とは、手術において必要とされる補助部材全般を指し、どのような材質によっても作製することができ、例えば、金属(例えば、ステンレス、銅など)、プラスチック、生体適合性高分子、生分解性高分子などを用いることができる。
本明細書において「生体適合性」とは、毒性および免疫学的拒絶能がないために生体内で障害なく存在することができる性質をいう。
本明細書において「生体適合性高分子」とは、生体適合性のよい高分子をいい、具体的には、生体内に残存しても毒性を生じないことをいう。ある高分子がそのような生体適合性を有しているかどうかを判定する方法は、本明細書においては、ラット、ウサギ、イヌ等の実験動物皮下への埋植試験等の試験法を使用する。この試験法では、皮下埋植試験の結果、比較的急性の免疫反応やアレルギー反応等が起き、腫れたり、発赤もしくは発熱したりする場合には肉眼的に生体適合性が低いことが解る。さらに生体適合性ポリマーを動物の血管に移植した場合など、特定の患部に移植した場合には、数日から数ヶ月後に、移植箇所を観察し、組織の生着の有無、移植した生体適合性ポリマー周辺の炎症、癒着、血液凝固による血栓形成などの程度を観察して、生体適合性の判定を行う。この他、移植部位の組織切片を作成してヘマトキシリン・エオシン染色その他の染色法にて細胞を染色・観察し、生体適合性の低さの指標としては免疫系を担当する顆粒性の細胞が多く侵入しているかどうか、もしくは従来組織と移植した生体適合性ポリマーとの間に両者を隔てる瘢痕組織の形成が認められるか否かを判定する。
本明細書において「生分解性」とは、物質について言及するとき、生体内で,あるいは微生物の作用により分解される性質をいう。生分解性の高分子は、例えば、加水分解により,水,二酸化炭素、メタンなどに分解され得る。本明細書では、生分解性であるかどうかを判定する方法は、生分解性の一部である生体吸収性に関しては、ラット、ウサギ、イヌなど実験動物への数日間から数年間にわたる埋植試験、微生物による分解の試験に関しては、シート状の高分子の土壌中での数日間から数年間にわたる埋入・崩壊試験などの方法を使用する。
本明細書において「情報を取得する手段」は、対象物の三次元などに関する情報を得ることができる限りどのような手段を用いてもよく、例えば、CCDカメラ、光学カメラ、レントゲン撮影、CT、MRI(磁気共鳴像)などの手段を用いることができるがそれらに限定されない。本発明では特に、患者情報は、CT画像もしくはMR画像を撮影することによって得られるか、または2次元X線画像に基づいて一般的三次元モデルを変形させることによって得られることが多い。このような三次元モデルへの変形は、2次元X線画像からの3次元モデル作成に関する以下の文献:Jianhua Yao and Russell Taylor, Ninth IEEE International Conference on Computer Vision Volume 2 October 13 − 16, 2003 Nice, France p. 1329 Assessing Accuracy Factors in Deformable 2D/3D Medical Image Registration Using a Statistical Pelvis Modelを参酌することができる。MR画像からの3次元モデル作成は、CT画像からの3次元モデル作成と類似の処理で可能である。
本明細書において「患者情報を取得する手段」は、対象物の三次元形状モデルを取得することができる限りどのような手段を用いてもよく、例えば、CCDカメラ、光学カメラ、レントゲン撮影、CT、MRI(磁気共鳴像)などの手段を用いて得た情報に基づき、コンピュータグラフィクスなどのソフトウェアを用いることができるがそれに限定されない。
本明細書において「三次元形状モデル」とは、骨の形状をコンピュータ情報として記述したものをいう。このような三次元形状モデルは、例えば、CCDカメラ、光学カメラ、レントゲン撮影、CT、MRI(磁気共鳴像)などの手段を用いて得た情報に基づき、コンピュータグラフィクスなどのソフトウェアを用いて作成することができる。三次元形状モデルにおいて、関節を形成する複数の骨格を、別個の三次元形状モデルとして作成してもよく、同一のモデルとして作成してもよい。
(好ましい実施形態の説明)
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。
1つの局面において、本発明は、外科手術において所望の結果を得るためのインプラント部品を選択する方法であって、A)対象となる患者情報を得る工程;B)移植されるべきインプラント部品の情報を得る工程;C)該患者情報と該インプラント部品の情報とを用いて評価関数を生成する工程;およびD)該評価関数に基づいて実際に外科手術に使用すべきインプラント部品を選択する工程を包含する、方法を提供する。
別の側面では、本発明は、外科手術において所望の結果を得るためのインプラント部品を選択するシステムであって、該システムは、A)対象となる患者情報を得る手段;B)移植されるべきインプラント部品の情報を得る手段;C)該患者情報と該インプラント部品の情報とを用いて評価関数を生成する手段;およびD)該評価関数に基づいて実際に外科手術に使用すべきインプラント部品を選択する手段を備える、システムを提供する。
インプラント部品の選択は、従来は経験および勘に頼っており、担当する外科医によるばらつきも多かった。しかも、外科医に技能に依存することから、その技能が他の医師には伝わらないことから、技術の発展上問題があった。本発明は、優れた技能を有する外科医の能力を保存し、しかも他の外科医に対しても技能を伝達することができることから、優れた技術の発展が期待できる。この処理の模式図を図1に示す。ここでは、患者情報として、骨格形状も出る(解剖学的座標系)および解剖学的特徴に関する情報が例示されている。これらと、インプラントの形状モデルをインプラントデータベースから抽出して、本発明の手術計画システムまたは方法において実際に外科手術に使用すべきインプラント部品を選択することができる。
上記方法において、A)対象となる患者情報を得る工程は、すでに存在する患者情報を利用するか、または新たに骨に関する三次元情報を入手することによって、実施することができる。そのような新たな三次元情報の入手は、CT画像もしくはMR画像を撮影することによって、または2次元X線画像に基づいて一般的三次元モデルを変形させることによって実行することができる。
本発明の方法において、B)移植されるべきインプラント部品の情報を得る工程もまた、すでに存在するインプラント部品の情報を利用するか、または新たにインプラント部品に関する三次元情報を入手することによって、実施することができる。そのような新たな三次元情報の入手は、CT画像もしくはMR画像を撮影することによって、または2次元X線画像に基づいて一般的三次元モデルを変形させることによって、あるいはインプラント部品の設計図または型などからモデルを作成することによって実行することができる。
本発明の方法において、C)該患者情報と該インプラント部品の情報とを用いて評価関数を生成する工程は、所定の評価関数に、患者情報およびインプラント部品の情報を対応させ、入力することによっておこなうことができる。ここで、種々のパラメータを設定することが可能である。
本発明の方法において、D)該評価関数に基づいて実際に外科手術に使用すべきインプラント部品を選択する工程は、評価関数について、所定の処理をして、外科種々に使用すべきインプラントを選択することによって実施することができる。
好ましくは、評価関数は、内部パラメータおよび評価関数の評価項目間の重みパラメータを含む。
本発明の方法において、評価関数は、形態評価および機能評価からなる群より選択される少なくとも1つの評価を行うことを包含する。好ましくは、評価関数は、形態評価および機能評価を含む評価を行う。
項目別評価関数の形式としては、例えば、形態評価項目の評価関数および機能評価項目の評価関数を挙げることができる。このような形態評価項目としては、例えば、fj(xi;pj)の形が挙げられ、単一のインプラント部品パラメータxiのみ関与する。形態評価は、例えば、インプラント部品のうち単一のパラメータに基づいて決定され得る。形態評価の項目としては、例えば、患者骨格の三次元形状、インプラント部品の三次元構造、インプラント部品のサイズ、および患者骨格とインプラント部品との相対的適合性からなる群より選択される1またはそれより多い項目を含んでいてもよい。
機能評価項目の評価関数は、例えば、fj(x1,x2,…xm;pj)の形で表すことができ、すべて(複数)のインプラント部品x1,x2,…xmが関与する。機能評価は、例えば、インプラント部品の複数のパラメータに基づいて決定され得る。そのような評価項目としては、例えば、脚長、関節可動域、関節周囲軟部組織長および関節周囲軟部組織長の変化からなる群より選択される1またはそれより多い項目を含んでいてもよい。
本発明の方法において、インプラント部品の選択は、これらの内部パラメータおよび重みパラメータを調整することによって行うことができる。
1つの好ましい実施形態では、内部パラメータおよび重みパラメータの調整は、修正結果データベースに基づいて調整することを包含し得る。ここで、修正結果データベースとは、目標となる手術結果を考慮して、得られたデータベースを修正したものをいう。例えば、そのような修正結果データベースとしては、例えば、外科医がマニュアルで計画の修正を行った結果の集積データベース、外科医の技能のデータ記録から自動的に修正を加えたデータベース等を挙げることができるが、それらに限定されない。
本発明の方法において、評価関数において出力された評価値から、所望の数の候補を選択する工程をさらに含ませることができる。最良の候補が一つに決まる場合もあるが、必ずしもそうではないからである。従って、そのような所望の数としては、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、または任意の6以上の整数等を挙げることができるがそれらに限定されない。あるいは、この候補数は1つであってもよい。最良の候補が決定できる場合には、1つのみを選択することが可能であるからである。
1つの実施形態では、患者情報は、CT画像もしくはMR画像を撮影することによって得られるか、または2次元X線画像に基づいて一般的三次元モデルを変形させることによって得られる。このような情報は、予め得られた情報であってもよく、あるいは、手術時にCT画像、MR画像、または2次元X線画像から三次元形状モデルを作成してもよい。
1つの実施形態において、三次元形状モデルにおいて、関節を形成する複数の骨格を、別個の三次元形状モデルとして作成してもよい。あるいは、このような関節を形成する複数の骨格は、同一の三次元形状モデルとして作成してもよい。
1つの特定の実施形態では、形態評価は、インプラント部品の三次元形状モデルと、患者情報の三次元形状モデルとをコンピュータに入力し、単一のインプラントモデルと単一の骨モデルとの相対関係に基づく適合評価関数を定義することによって行うことができる。相対関係は、例えば、人工股関節部品のステム形状と大腿骨の髄腔形状の適合度を評価することで関連づけることができ、そのようなことを実現させるソフトウェアとしては、例えば、例えば、非特許文献1、非特許文献2 で示されたソフトウェアを挙げることができるがそれらに限定されない。
1つの特定の実施形態では、機能評価は、複数の前記インプラント部品の情報と複数の前記患者情報との相対関係に基づき、それぞれの機能を反映した機能評価関数を定義することによって実施することができる。相対関係は、例えば、関節可動域を評価することで関連づけることができ、そのようなことを実現させるソフトウェアは、本明細書の記載に基づいて、当業者は適切なものを選択または作成することができる。
別の好ましい特定の実施形態では、評価関数は、形態評価および機能評価を評価することを含み、該形態評価は、前記インプラント部品の三次元形状モデルと、患者情報の三次元形状モデルとをコンピュータに入力し、単一のインプラントモデルと単一の骨モデルとの相対関係に基づく適合評価関数を定義することを包含し、該機能評価は、複数の前記インプラント部品の情報と複数の前記患者情報との相対関係に基づき、それぞれの機能を反映した機能評価関数を定義することを包含し、該適合評価関数および該機能評価関数に関し、個別の線形和、積またはそれらの組み合わせによって全体評価関数を定義することによって実施することができる。ここでもまた、相対関係は、例えば、カップ被覆率、ステム適合度、関節可動域、左右脚長差などを総合的に評価することで関連づけることができ、そのようなことを実現させるソフトウェアは、当業者が本明細書の記載に基づいて、適切なものを作成または選択することができる。1つの実施形態では、上記選択は、全体評価関数において、最大化または最小化するインプラント部品のサイズ、位置および方向を最適解として選択することを包含する。あるいは、選択は、全体評価関数において、最大化または最小化するインプラント部品のサイズ、位置および方向を最適解として上位から所望の数を選択することによって達成することができる。
全体評価関数または総合評価関数F(x,x,…x)の形式としては、F(x,x,…x)=P{w(x,x,…x;p)}の形で一般的に記述されるものを挙げることができる。
は、i番目のインプラント部品のサイズ、位置、角度など求めたいパラメータ。F(x,x,…x)を最大にするx1,x2,…xmを求めることができる。f(x,x,…x;p)は、j番目の各項目別評価関数であり、pは、j番目の評価関数の内部パラメータである。wは、各項目間のバランスを調整する重みパラメータである。
,x,…xの説明は、図3に記載される。図3に示されているように、部品1、2,3...mには、それぞれのパラメータx、x、x…xが割り当てられる。
1つの実施形態では、本発明で用いられる評価関数は、内部パラメータおよび該評価関数の評価項目間の重みパラメータを含み、本発明において用いられる全体評価関数において、個別の評価関数内の内部パラメータおよび/または線形和、積もしくはその組み合わせの重みパラメータを調整することを特徴とすることができる。
本発明の方法では、インプラント部品は、人工股関節の部品(例えば、骨盤側カップ、大腿骨側ステムおよびステムなど)、人工膝関節の部品、脊椎スクリュー、骨折治療における髄内釘やプレート、大腿骨頚部骨折治療における人工骨頭等を挙げることができるがそれらに限定されない。
バランス調整および学習機能w,pの調整は例えば、以下のようにして行うことができる。ここで、バランス調整では、評価項目間の重みパラメータw,評価関数の内部パラメータpを調整することにより、バランスを調整することができる。学習機能(自動バランス調整)では、自動計画後に、外科医がマニュアルで計画の修正を行った結果を蓄積していき、自動計画の結果が、外科医の修正結果に近づくように、w,pのパラメータ値を自動調整することができる。
各項目の具体例が図4に例示されている:形態評価f(x;p)。この評価例では、ステム(インプラント部品)の形態適合性が評価される。ステムと皮質骨が充分に固着され、皮質骨の掘削は最小限にすることが目標とされる。
ここで、評価は、
として表現することができる。評価関数は、g(d;a,b,c)である。
機能評価の各項目の具体例としては、例えば、前後方向、左右方向、脚回りのそれぞれの可動範囲が、ある角度以上の幅をもつこと;左右の脚長差がある範囲以内であること;手術前後の筋肉長差がある範囲以内であること;関節動作時の筋肉長の変化がある範囲内であることなどを行うことができる。
外転方向可動域に関する評価関数の例を図5に示す。
[数2]
fj(x1,x2,…xm;pj)
外転方向可動域に関する評価関数は、例えば、以下のようにして実行することができる。
(x,x,…x,qmax)=1 if 外転方向可動域 >qmax
0 それ以外
例えば、qmax=40度のように設定される。この場合、内部パラメータは1つである。また、外転方向可動域は、q(x,x,…x)のように、すべての人工関節部品のサイズ、位置、角度パラメータx,x,…xの関数として表すことができる。
次に、手術前後の筋肉長差に関する評価関数の例を図6に示す。
[数3]
fj(x1,x2,…xm;pj)
この例では、手術前後の筋肉長差に関する評価関数の例
(x,x,…x,d)=1 if Lpre−Lpost(x,x,…x)|<d
0 それ以外
と表現することができ、ここで、術前筋肉長Lpre,術後筋肉長Lpost(x,x,…x)であり、dは、術前後の許容差である。
(システム構築例)
次に、本発明は、ホストコンピュータであるアプリケーション提供サーバを中心として構成させることができ、症例画像を記録した記録媒体チェンジャーと、磁気共鳴断層撮影装置やコンピュータ断層撮影装置といった医用画像生成装置と、さらに各専門医等の操作端末であるところのPC端末と通信回線によって結合しており、LANを形成している。
一方、このアプリケーション提供サーバは、構外の端末ともインターネット等の公衆通信回線等によって結合しており、病院といった機関の垣根を超えてアプリケーションを提供できる。アプリケーション提供サーバの構成については、保管サーバユニットとデータコントロールユニットの2つのユニットから構成される。
保管サーバユニットは、収集医用画像データ、症例別画像データ、目的別ソフトウェア、参照用3次元および4次元画像データ、登録ユーザデータ、バグレポート管理データの6つのデータ群から構成されている。なお、医用画像診断装置で撮影された画像データ等は保管サーバユニットに送信され、関係のデータ群をリアルタイムで更新し保管される。
一方、データコントロールユニットは、必要とされるコマンド群を選択して送信するためのユニットで、画像処理・解析対象選択機能、ヘルプ・ガイダンス機能、新規・登録ユーザ認証機能、目的別ソフトウェアダウンロード機能、コマンドベース画像処理・解析機能、対象症例データベース参照機能の6つの機能を備えている。
アプリケーション提供サーバにリクエストがあった場合、例えば、画像解析および解析支援メニューのメッセージ画面が、リクエストのあった端末に対して出力される。
この事例では、まず、画像処理の対象となる患部領域を特定し、その患部領域において提供可能なメニューとそのガイダンスが表示される。プルダウン型の表示が望ましい。そして、アクセスのあった端末のソフトウェア構成を入手し、そのメニューの実行に際して更にインストールの必要なアプリケーションソフト等が検出される。
そして、その該当項目のガイダンスに従って所望のメニュー項目をクリックするだけで、処理の実行に必要とされる制御コードやアプリケーション送付とがインストールされ、画像処理や解析処理が実行できる環境が整う。
好ましくは、本発明のシステムでは、既に用意されている処理・解析メニューでは、手術計画設計等に不十分である場合には、対象症例データベースを参照して、補完する機能を備えている。対象症例データベースに検索可能に記録された各データ項目の中からアクセス者が必要とするデータ項目について、検索し、そのデータを統計処理して必要とするデータを入手することができ、このカスタマイズされたデータを用いて、処理・解析が実行できるように構成されている。
実際に使用可能なシステム構成具体例を以下に示す。まず、本システムに加入する端末は、DICOM(Digital Imaging and Communicationin Medicine)と称される医用画像通信の標準規格に準拠しており、各機関の端末およびホストコンピュータは、QR機能(Query and Retrieveの略)という画像の送受信機能を標準装備している。本実施例のシステムでは、以下のようなコマンド群およびアプリケーションが用意されており、各種サービスの提供が可能となっている。
(DICOM Print)
DICOMプリントは、DICOM規格によるPrint(フィルミング)機能の統一規格である。
(データ保存(静止画;jpeg,bmp,xpm)(動画;avi))
DICOM規格画像をJpegやWindows(登録商標)用のBitmapおよびxpmフォーマットに変換して保存が可能であり、動画に対してはAVIファイル出力機能も装備している。
(VIEWER機能(モダリティ別画像比較、マルチ表示ディスプレイ、シネ表示、複数患者連続表示および解析))
画像表示法については、画面を複数分割して連続画像表示したり、過去画像を並べる表示したり、または別サンプルもしくは別患者との比較画像表示など、読影の効率を上げるさまざまな表示法が用意されている。
(RESLICE機能、スタックリコン機能、画像ページング)
一度作った画像から別の画像をその位置情報から推定して再表示する機能や画像を束ねて少なくして表示する方法または、自動的に画像が切り替わり順次表示する機能が用意されている。
(計測(ROI、面積、体積、プロファイル、ヒストグラム、タイムデンシティ))
ROIとは、Region of Interest(関心領域)の略で、画像のある特定の部分だけの画像上のピクセル(画素:画像を構成する最小単位)の数字の分布を測定できるほか、面積、体積などを測定することができる機能が用意されている。
(カーブドMPR、任意断面クリップ)
MPRとは、Multi Planer Reformat(多断面断層表示)の略で、CTは一般的に体の輪切りの画像を表示するが、MPR処理をすれば、体の冠状断面や矢状断面なども表示することができる機能が用意されている。
(スラブMIP,VR MPR,RAY sum)
MIP とは、Maximum Intensity Projectionの略で最大値投影法のことであり、コンピュータグラフィックスの一手法の「レイトレーシング」という方法における、「レイ」の方向の最大値を表示する方法で、造影剤を使った血管の表示などに使用可能である。またVRは、ボリュームレンダリング、さらにRAY−SUMは、MIPと異な り、最大値ではなく、「レイ」の加算平均値を表示する方法で、この処理によってX線写真のような画像が作成できる。本実施例には、これらの機能が用意されている。
(リアルタイムボリュームレンダリング3D)
リアルタイムボリュームレンダリング(VR)とは、VRに関して非常に演算効率を高めた処理コードによって、ストレス無く3Dを表示する方法のことで、本実施例では、このリアルタイムVR機能も用意されている。
(マルチボリューム表示(FUSION)、MPR重ね機能付)
異なる医用画像モダリティ(例えばPETとCT、PETとMRIなど)のスライス像を重ねあわせる処理や、スライスのような2D上だけでなく、3次元画像同士を合成表示したりする機能が用意されている。
(画像作成テンプレート機能(2D,3D))
3D画像表示には、骨、軟骨など、目的にあった表示法が必要となるが、それらについてあらかじめ目的の臓器を表示するようなデフォルトのセッティングをするテンプレート機能が用意されている。
(3D ROI抽出、3D連結部位抽出)
3D上で必要なところだけを抽出する処理や、同じような色や濃度の臓器だけを抽出する機能が用意されている。
(オブリーク、無限オブリーク)
オブリークはMPR法について、通常は、横断面、冠状断面、矢状断面がそれぞれ直交するような垂直表示が基本であるが、斜め方向に任意に、再スライスするオブリーク機能が用意されている。
(CT骨自動抽出機能)
骨特有の特徴を生かして、骨のみを抽出する画像処理法が用意されている。軟骨など他の臓器を利用する場合は、骨に代えてその臓器を利用することができる。
本発明にかかる画像処理に必要とされるハードウェアスペックは次のとおりである。256MB以上の物理メモリ(512MB以上が望ましい。)。なお、必要メモリ量は処理したいスライス数に依存する。1,280x1,024以上の解像度で24ビットカラー以上の表示が可能なビデオボードとディスプレイ(ビデオボードとディスプレイドライバがWindows(登録商標)の標準に従っていること。)。80GB程度の任意のハードディスク、ホイール付マウスおよびキーボード、イーサネット(登録商標)インターフェース、Windows(登録商標)XPProfessional、Windows(登録商標)XP Home Edition、Windows(登録商標)2000(いずれも日本語版)、OS付属のTCP/IPプロトコルソフトウェア。但し、特にこれに制限されるものではない。
ハードウェア構成例としては、DELLプレシジョンワークステーション530(ミドルタワー型)相当、CPU/XEON 2GHz(Dual)、memory/2.0GB、HDD/80GB、OS/Windows(登録商標)2000・XP、CD−RW付を使用することができる。
以下、本発明の一実施形態を、図面を必要に応じて参照して説明する。以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。
(実施例1:外科医によるマニュアルバランス調整)
まず、本発明を用いて外科医によるマニュアルバランス調整の手法を説明する。図7に示すように、患者の情報、例えば、骨格形状モデル(解剖学的座標系)および解剖学的特徴(例えば、臼蓋縁)を入手する。
次に、提供可能なインプラントの形状モデルを入手する。これは、バーチャルデータベースから入手してもよく、実物を測定したデータベースを使用してもよい。これらから、実際の手術に使用するインプラントを選択する。ここで、本発明の手術計画モデルを用いる。このモデルは、以下の実施例で実際のGUIと共に説明する。
外科医は、調整項目として、例えば、被覆率、臼蓋リム径、CE角、内盤厚保、ステム適合度、前捻角、左右脚長差、可動範囲、筋肉、靭帯長などを調整する。ここで、外科医は、wi,piなどの調整項目を調整して、本発明の手術計画システムにフィードバックすることができる。
本実施例において、マニュアルバランス調整に関しては、調整項目の各パラメータを外科医が、GUI(Graphic User Interface)を使って、調整することが好ましい。また、外科医が考慮不要と考える調整項目の重みを0にするなどを、GUIで行なうことも可能である。これに関しては、バランス調整というより、「重みおよびパラメータ調整」といえる。これは、例えば、http://www004.upp.so-net.ne.jp/take-dr/biomechanics/biomechanics.htm
に示されている股関節の正常可動域を参照して、これらの適切な値を、外科医に応じて変更させる。これらの値は、外科医が自分でGUIを用いて調整し、評価関数内のパラメータに反映されるようにすればよいことになる。
(実施例2:学習機能(自動バランス調整))
次に、学習機能を利用して、自動バランス調整を達成させる。
図8に学習機能による例が示されている。このシステムでは、多数の患者情報が骨格形状モデルの情報として格納されており、同様にインプラントの形状モデルに関する情報が蓄積されている。所定のパラメータを与えることによって、計算機により手術計画を変更した後、執刀する外科医が修正を加え新たな手術計画を作成する。この修正手術計画を本発明の手術計画システムにフィードバックし、調整項目に関するパラメータを格納する。格納されたパラメータは、次に自動調整するときに反映される。
このように、自動バランス調整(学習機能)に関しては、「重みおよびパラメータ調整」と考えられる。ここでは、外科医がマニュアルで作成、あるいは、修正した手術計画結果から、各調整項目の値を算出して、これらの値の統計値(平均や分散など)から、評価関数内のパラメータ値を調整する。評価項目によっては、外科医自身が、適切なパラメータの範囲について、明確な方針をもっておらず、人工関節と患者骨格の関係をグラフィックスで可視化し、これを直観的に観察して、適切性を判断する場合もあることから、そのような場合、外科医が直観的に適切と考える配置を、計算機により分析し、パラメータ値の範囲を調整する「自動パラメータ調整」が有効になると考えられる。また、これにより、外科医の好みを反映することが、ある程度可能になる。
(実施例3:マニュアル調整の例)
マニュアル調整のGUIを図9に示す。この例では、股関節の必要な可動域(Range of Motion)として、屈曲(Flection)・伸展(Extension)、外転(Abduction)・内展(Adduction)の各角度の範囲を設定するGUIが示されている。この操作方法を以下に説明する。
外科医が、屈曲方向、伸展方向に関して、最低限必要と考える可動範囲をGUIのスライダーを調整することにより指定する。同様に、外転方向、内転方向に関しても、指定する。これにより、これらの情報がシステムに入力され、それぞれの可動範囲に対応する評価関数の内部パラメータが設定される。
(実施例4:自動調整(学習)の応用例)
次に、本実施例では、ステム形態適合性の評価関数の内部パラメータ学習(自動調整)の例を提供する。その具体例は図10に示す。
ステムは、大腿骨の髄腔(皮質骨に囲まれた部分)に挿入するインプラントである。ステムが、髄腔の形に最適にフィットするよう、ステムのサイズ、位置、方向を選ぶ必要がある。形状が適合しない部分では、ステムと髄腔の間に隙間ができたり、あるいは、逆に、ステムが髄腔をはみ出し、挿入するために髄腔の皮質骨の一部を削る必要がある。当然ながら、各患者の髄腔形状と(既製品の)ステム形状は完全に一致しないので、隙間、あるいは、はみ出しは避けられない。ステム形態適合性の評価関数は、できるだけ隙間とはみ出しの両方が許容範囲内に収まる場合に、高い評価値を持つように設定する必要がある。しかし、そのバランスポイントは、外科医により好みがあるので、評価関数を決定する内部パラメータの調整を、外科医がマニュアルで計画したステム設置計画により決定する。考え方としては、外科医の設置例を多数用意して、外科医が設置した位置・角度・サイズのときに、それらの設置例における評価関数の総和が極大値となるように、内部パラメータを決定する。最大値となるようにすべきであるが、問題の非線形性により、最大値を求めることは困難であるので、極大値を求める。実用上、内部パラメータの値として、そこそこ良い値があれば、それを初期値として、繰り返し法で、極大値探索をすることで、初期値のパラメータよりも外科医の好みに近いパラメータを得ることが可能になる。以降に、本実施例において使用する具体例を示す。
図10には、ステム形態適合性の評価関数および内部パラメータ学習(自動調整)が示されている。
図10では、ステム形態適合性の評価関数g(x,y,z,a,b,g;s ; i,a,b,c)が用いられる。入力データは、専門医によるステム設置計画例(多数)であり、出力データは、評価関数内部パラメータa,b,cの最適値である。他の変数x,y,z,a,b,g,sは、外科医が設置したステムの位置(x,y,z)・角度(a,b,g)・サイズ(s)からの変位を示す。Uiは患者iの髄腔形状である。
図10の左図は、ステム形態適合性評価関数と内部パラメータ例が示されている。ここで、x軸はステムと骨との間の距離であり、左に行けば行くほどはみだしが生じ、右に行けば行くほど隙間が生じることになる。y軸は、評価関数の値である。
図10の中央の図は、はみだしおよび隙間の生じる代表例を示している。ここでは、皮膚骨および海綿骨にステムをはめ込んだ例を示す。右は、専門医による設置計画例である。
図11には、ステム形態適合性の評価関数の内部パラメータ学習(自動調整)が示されている。計算機によるステム設置計画を行った後、外科医による修正設置計画を行う。これを繰り返して、外科医がマニュアルで修正したステム設置計画結果を入力として、ステム形態適合性評価関数の内部パラメータa, b, c の最適値を推定する。
このようにして、本発明は、外科医による修正を反映させることができる。
(実施例5:学習(自動調整)の具体的定式化)
本実施例では、学習(自動調整)の具体的定式化の例を提供する。ステム形態適合性の評価関数をg(x,y,z,a,b,g;s ; Ui,a,b,c)とする。各変数の説明は以下のとおりである。
x,y,z,a,b,g,s:外科医が設置したステムの位置・角度・サイズからの変位
Ui:患者iの髄腔形状
a,b,c:自動調整(学習)すべき評価関数の内部パラメータ

外科医が設置した全患者の評価関数の総和 G を以下のように定義する。
G(x,y,z,a,b,g;s;a,b,c)=Sig(x,y,z,a,b,g;s;Ui,a,b,c)

∇G,∇G,∇G,∇を以下のように定義する。
∇G:Gをx,y,z,a,b,g;sの関数とみたときの7次元グラディエントベクトル
∇G:(x,y,z,a,b,g;s)=0における7次元グラディエントベクトルの値

上記のように定義された数式において、外科医が設置した位置・角度・サイズ、すなわち、(x,y,z,a,b,g;s)=0で、Gが極大値をとるように評価関数の内部パラメータa,b,cを設定することが必要である。極大値をとる条件は、|∇G|=0である。よって、|∇G|=0となるように、評価関数の内部パラメータa,b,cを決定することが必要である。ここで、∇Gは、a,b,cの関数である。すなわち、∇G(a,b,c)とかける。

(実施例6:学習(自動調整)の具体的定式化)
本実施例では、学習(自動調整)の具体的定式化の例を提供する。ここでは、a,b,cの現在の値をa,b,cとし、外科医の好みを考慮して、これを修正することを考える。
|∇G(a,b,c)|=0
が必要条件であり、これを満たし、現在の値a,b,cに最も近いa,b,cの値に修正する。この問題は、以下の制約条件付き最適化問題に帰着できる。
制約条件|∇G(a,b,c)|=0を満足するという条件の下で評価関数F(a,b,c)=(a−a)2+(b−b)2+(c−c)2を最小にするa,b,cを求める。

制約条件付き最適化問題の解法は、例えば、応用数値計算ライブラリ 非線形計画法 ISBN:4254114893朝倉書店 (1999−06−10出版)・矢部 博・八巻 直一著に述べられている方法を用いることができる。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明により、インプラントを用いた手術がより効率化され、さらに、学習機能を用いることによって、従来技能に頼っていた手術を技術的に再現性よく実施することが可能となった。従って、医療品などの製造業、ソフトウェア開発などにおいて本発明は産業状の利用可能性を有する。
本発明の手術計画システムの模式的処理スキームを示す。患者情報(骨格形状モデル、解剖学的特徴など)と、インプラントの形状モデルとを本発明の手術計画システムにて処理して、各患者に適切なインプラントの選択および設置を計画することができる。 本発明を人工股関節の場合において実現した例を示す。形態評価(ステップ1)において、人工関節の固定強度および既存生体構造への適合性を判断する。ステップ1Aにおいて、非副率、臼蓋リム径、CE角、内盤厚などによりカップサイズおよび設置位置の決定を行う。ステップ1Bにおいて、ステム適合度および前捻角などにより、ステムサイズ、位置および角度の決定を行う。次に、機能評価(ステップ2)を行い、十分な関節機能の確保を担保する。ステップ2では、左右脚長差、可動範囲および筋肉長および靭帯長などにより、ヘッドオフセット、ステムネック長の決定を行い、手術計画を完成させることができる。 本発明のパラメータ指定におけるx,x,…xの説明を示す。 本発明において使用される各項目の具体例:形態評価f(x;p)の評価関数(真ん中)を示す。左は、骨のグラフィックモデル、および右は、評価したときの評価モデルを示す。 本発明を実施した1実施形態の機能評価関数の具体例(外転方向可動域)を示す。左パネルは、下方向に伸ばしたとき、右パネルは上昇させたときを示す。 本発明を実施した1実施形態の機能評価関数の具体例(手術前後の筋肉長差)を示す。左は手術前および右は手術後を示す。 本発明に従う外科医によるマニュアルバランス調整のスキーム例を示す。患者情報(骨格形状モデル、解剖学的特徴など)と、インプラントの形状モデルとを本発明の手術計画システムにて処理して、各患者に適切なインプラントの選択および設置を計画することができる。ここでは、外科医によるw,pの調整を行い、手術計画システムの改善を行い、バランス調製をマニュアルで行うことができる。調整項目は、上記のほかにも応力分布、前壁厚、後壁厚、骨密度など、種々挙げられる。 本発明に従う学習機能(自動バランス調整)のスキーム例を示す。患者情報(骨格形状モデル、解剖学的特徴など)と、インプラントの形状モデルとを本発明の手術計画システムにて処理して、各患者に適切なインプラントの選択および設置を計画することができる。この場合は、外科医による修正計画は、計算機によって自動的に行われ、フィードバックされる。 本発明を実施したGUIの例を示す。外科医により、評価関数の内部パラメータ調整を行なう具体例を示す。ここでは、屈曲方向、伸展方向、外転方向、内転方向の最低限必要な可動範囲を指定する。 本発明に従って、ステム形態適合性の評価関数の内部パラメータ学習(自動調整)を行った例を示す。左には、ステム形態適合性評価関数および内部パラメータ例が近位および遠位において示されている。中の模式図は、骨とインプラントとの間の相互関係を示し、皮質骨、海綿骨、とステムとの間の係合が示される。これらのデータをもとに、専門医による修正が行われる(右)。 本発明に従って、ステム形態適合性の評価関数の内部パラメータ学習(自動調整)を行った例を示す。本発明の手術計画システムから計算機によるステム設置計画を設置し、外科医による修正設置計画を立て、計算機によるステム形態適合性評価関数における内部パラメータの調整を行い、本発明の手術計画システムにフィードバックする。ここでは、外科医がマニュアルで、修正したステム設置計画結果を入力として、ステム形態適合性評価関数の内部パラメータの最適値を推定する。

Claims (28)

  1. 外科手術において所望の結果を得るためのインプラント部品を選択する方法であって、
    A)対象となる患者情報を得る工程;
    B)移植されるべきインプラント部品の情報を得る工程;
    C)該患者情報と該インプラント部品の情報とを用いて評価関数を生成する工程;および
    D)該評価関数に基づいて実際に外科手術に使用すべきインプラント部品を選択する工程
    を包含する、方法。
  2. 前記評価関数は、内部パラメータおよび該評価関数の評価項目間の重みパラメータを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記インプラント部品の選択において、前記内部パラメータおよび前記重みパラメータを調整することを包含する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記内部パラメータおよび前記重みパラメータの調整は、修正結果データベースに基づいて調整することを包含する、請求項3に記載の方法。
  5. 前記修正結果データベースは、外科医がマニュアルで計画の修正を行った結果の集積データベースである、請求項4に記載の方法。
  6. 前記評価関数は、形態評価および機能評価からなる群より選択される少なくとも1つの評価を行うものである、請求項1に記載の方法。
  7. 前記評価関数は、形態評価および機能評価を含む評価を行うものである、請求項1に記載の方法。
  8. 前記形態評価は、前記インプラント部品のうち単一のパラメータに基づいて決定される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記機能評価は、前記インプラント部品の複数のパラメータに基づいて決定される、請求項7に記載の方法。
  10. 前記機能評価は、脚長、関節可動域、関節周囲軟部組織長および関節周囲軟部組織長の変化からなる群より選択される1またはそれより多い項目を含む、請求項7に記載の方法。
  11. 前記形態評価は、患者骨格の三次元形状、インプラント部品の三次元構造、インプラント部品のサイズ、および患者骨格とインプラント部品との相対的適合性からなる群より選択される1またはそれより多い項目を含む、請求項7に記載の方法。
  12. 前記評価関数において出力された評価値から、所望の数の候補を選択する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  13. 前記患者情報は、CT画像もしくはMR画像を撮影することによって得られるか、または2次元X線画像に基づいて一般的三次元モデルを変形させることによって得られる、請求項1に記載の方法。
  14. 前記CT画像、MR画像、または2次元X線画像から三次元形状モデルを作成する工程をさらに包含する、請求項13に記載の方法。
  15. 前記三次元形状モデルにおいて、関節を形成する複数の骨格を、別個の三次元形状モデルとして作成することを特徴とする、請求項14に記載の方法。
  16. 前記形態評価は、前記インプラント部品の三次元形状モデルと、患者情報の三次元形状モデルとをコンピュータに入力し、単一のインプラントモデルと単一の骨モデルとの相対関係に基づく適合評価関数を定義することを包含する、請求項7に記載の方法。
  17. 前記機能評価は、複数の前記インプラント部品の情報と複数の前記患者情報との相対関係に基づき、それぞれの機能を反映した機能評価関数を定義することを包含する、請求項7に記載の方法。
  18. 前記評価関数は、形態評価および機能評価を評価することを含み、該形態評価は、前記インプラント部品の三次元形状モデルと、患者情報の三次元形状モデルとをコンピュータに入力し、単一のインプラントモデルと単一の骨モデルとの相対関係に基づく適合評価関数を定義することを包含し、該機能評価は、複数の前記インプラント部品の情報と複数の前記患者情報との相対関係に基づき、それぞれの機能を反映した機能評価関数を定義することを包含し、該適合評価関数および該機能評価関数に関し、個別の線形和、積またはそれらの組み合わせによって全体評価関数を定義することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  19. 前記選択は、前記全体評価関数において、最大化または最小化するインプラント部品のサイズ、位置および方向を最適解として選択することを包含する、請求項18に記載の方法。
  20. 前記選択は、前記全体評価関数において、最大化または最小化するインプラント部品のサイズ、位置および方向を最適解として上位から所望の数を選択することを包含する、請求項18に記載の方法。
  21. 前記評価関数は、内部パラメータおよび該評価関数の評価項目間の重みパラメータを含み、前記全体評価関数において、個別の評価関数内の内部パラメータおよび/または線形和、積もしくはその組み合わせの重みパラメータを調整することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
  22. 前記インプラント部品は、人工股関節の部品である、請求項1に記載の方法。
  23. 前記人工股関節の部品は、骨盤側カップ、大腿骨側ステムおよびステムを含む、請求項22に記載の方法。
  24. 外科手術において所望の結果を得るためのインプラント部品を選択するシステムであって、該システムは、
    A)対象となる患者情報を得る手段;
    B)移植されるべきインプラント部品の情報を得る手段;
    C)該患者情報と該インプラント部品の情報とを用いて評価関数を生成する手段;および
    D)該評価関数に基づいて実際に外科手術に使用すべきインプラント部品を選択する手段を備える、システム。
  25. 外科手術において所望の結果を得るためのインプラント部品を選択する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
    該処理は、
    A)対象となる患者情報を得る工程;
    B)移植されるべきインプラント部品の情報を得る工程;
    C)該患者情報と該インプラント部品の情報とを用いて評価関数を生成する工程;および
    D)該評価関数に基づいて実際に外科手術に使用すべきインプラント部品を選択する工程
    を包含する、プログラム。
  26. 外科手術において所望の結果を得るためのインプラント部品を選択する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを格納した記録媒体であって、
    該処理は、
    A)対象となる患者情報を得る工程;
    B)移植されるべきインプラント部品の情報を得る工程;
    C)該患者情報と該インプラント部品の情報とを用いて評価関数を生成する工程;および
    D)該評価関数に基づいて実際に外科手術に使用すべきインプラント部品を選択する工程
    を包含する、記録媒体。
  27. 外科手術において所望の結果を得るための、インプラント部品を生成または選択するための方法であって:
    A)インプラント部品xについて、患者情報と、適切な移植後の設置情報とから、評価関数
    F(x1,x2,… xm) = Πj{wj fj(x1, x2,…xm; pj) }
    を生成する工程であって、x〜xは、i番目のインプラント部品の評価パラメータであり、fj (x1,x2,… xm; pj)は、j 番目の各項目別評価関数であり、 pjは、 j 番目の評価関数の内部パラメータであり、そして、wjは、各項目間のバランスを調整する重みパラメータである、生成工程と、
    B)該所望の結果のためのpjおよびwjを決定する決定工程と、
    C)該所望の結果のために決定されたpjおよびwjを工程A)において生成されたΠj {wj fj(x1,x2,… xm; pj) }に入力して、F(x1,x2,… xm)の解を得る工程と
    D)該解に基づいて部品を生成または選択する工程と
    を包含する、方法。
  28. 前記B)決定工程は、外科医によるマニュアルまたは計算機による自動によって、決定される、請求項27に記載の方法。
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