JP2006261526A - 希土類焼結磁石の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 原料合金粉を粉砕して粉砕粉を得て、粉砕粉に磁場を印加し、かつ加圧成形することにより成形体を得て、成形体を焼結する希土類焼結磁石の製造方法であって、原料合金粉および/または粉砕粉に、テトラフルオロエチレン系の化合物Aと、一般式R1−COO−R2、R1−OHおよび(R1−COO)nMからなる群のいずれかの一種で示される化合物B(但しR1はCnH2n+1;R2はH、CnH2n+1またはCnH2n-1On-1;Mは金属;nは整数)とを含む潤滑剤を添加する。
【選択図】なし
Description
このとき磁場に対する原料粉の配向性を向上させるため、原料粉に潤滑剤が加えられることがある。
また、上記のように磁場中成形を行うに先立ち、原料合金をジェットミル等で粉砕して原料粉を得る工程で、粉砕性を向上させるために潤滑剤を加えることがある(例えば、特許文献1参照)。
また、化合物BのR1は、CnH2n+1のnが10以上であることが好ましく、例えば炭素数17の炭化水素である。具体例としては、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセリン、ステアリン酸亜鉛およびステアリルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が挙げられる。
さらに、テトラフルオロエチレン系樹脂および化合物Bの粒子径は、それぞれ800μm以下であることが好ましい。
本発明は、例えば、希土類焼結磁石、特にR−T−B系焼結磁石に適用することができる。
このR−T−B系焼結磁石は、希土類元素(R)を25〜37wt%含有する。ここで、本発明におけるRはYを含む概念を有しており、したがってY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの1種又は2種以上から選択される。Rの量が25wt%未満であると、R−T−B系焼結磁石の主相となるR2T14B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが37wt%を超えると主相であるR2T14B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なRリッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は25〜37wt%とする。望ましいRの量は28〜35wt%、さらに望ましいRの量は29〜33wt%である。
このR−T−B系焼結磁石は、Coを2.0wt%以下(0を含まず)、望ましくは0.1〜1.0wt%、さらに望ましくは、0.3〜0.7wt%含有することができる。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相の耐食性向上に効果がある。
さらに、このR−T−B系焼結磁石は、他の元素の含有を許容する。例えば、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることができる。一方で、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが望ましい。特に磁気特性を害する酸素は、その量を5000ppm以下、さらには3000ppmと以下とすることが望ましい。酸素量が多いと非磁性成分である希土類酸化物相が増大して、磁気特性を低下させるからである。
R−Co系焼結磁石は、Rと、Fe、Ni、MnおよびCrから選ばれる1種以上の元素と、Coとを含有する。この場合、望ましくはさらにCuまたは、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVから選ばれる1種以上の元素を含有し、特に望ましくはCuと、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVから選ばれる1種以上の元素とを含有する。これらのうち特に、SmとCoとの金属間化合物、望ましくはSm2Co17金属間化合物を主相とし、粒界にはSmCo5系を主体とする副相が存在する。具体的組成は、製造方法や要求される磁気特性等に応じて適宜選択すればよいが、例えば、R:20〜30wt%、特に22〜28wt%程度、Fe、Ni、MnおよびCrの1種以上:1〜35wt%程度、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVの1種以上:0〜6wt%、特に0.5〜4wt%程度、Cu:0〜10wt%、特に1〜10wt%程度、Co:残部の組成が望ましい。
以上、R−T−B系焼結磁石、R−Co系焼結磁石について言及したが、本発明は他の希土類焼結磁石への適用を妨げるものではない。
原料合金は、真空又は不活性ガス、望ましくはアルゴン雰囲気中でストリップキャスト法、その他公知の溶解法により作製することができる。ストリップキャスト法は、原料金属をアルゴンガス雰囲気などの非酸化性雰囲気中で溶解して得た溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板または薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、結晶粒径が1〜50μmの均質な組織を有している。原料合金は、ストリップキャスト法に限らず、高周波誘導溶解等の溶解法によって得ることができる。なお、溶解後の偏析を防止するため、例えば水冷銅板に傾注して凝固させることができる。また、還元拡散法によって得られた合金を原料合金として用いることもできる。
R−T−B系焼結磁石を得る場合、R2T14B結晶粒を主体とする合金(低R合金)と、低R合金よりRを多く含む合金(高R合金)とを用いる所謂混合法を本発明に適用することもできる。
まず、粗粉砕工程では、原料合金を、粒径数百μm程度になるまで粗粉砕し、粗粉砕粉末(原料合金粉)を得る。粗粉砕は、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用い、不活性ガス雰囲気中にて行うことが望ましい。粗粉砕に先立って、原料合金に水素を吸蔵させた後に放出させることにより粉砕を行うことが効果的である。水素放出処理は、希土類焼結磁石として不純物となる水素を減少させることを目的として行われる。
テトラフルオロエチレン系の化合物Aとしては、例えばテトラフルオロエチレンが重合したポリテトラフルオロエチレン((CF2−CF2)n)が好ましいが、ポリテトラフルオロエチレンに他の化合物が共重合しているものであってもよい。
潤滑剤の粒径は、好ましくは1000μm以下、後述する成形体の強度を高め、焼結磁石の磁気特性を高くするためにさらに好ましくは800μm以下、特に好ましくはほぼ500μm以下である。なお潤滑剤を上記粒径とするには、潤滑剤を粉砕し、篩等で分級するのが好ましい。潤滑剤を粉砕するには、潤滑剤を、例えば液体窒素を用いて冷凍し、その状態のまま、粉砕ミル等で粉砕するのが好ましい。
磁場中成形における成形圧力は0.3〜3ton/cm2(30〜300MPa)の範囲とすればよい。成形圧力は成形開始から終了まで一定であってもよく、漸増または漸減してもよく、あるいは不規則変化してもよい。成形圧力が低いほど配向性は良好となるが、成形圧力が低すぎると成形体の強度が不足してハンドリングに問題が生じるので、この点を考慮して上記範囲から成形圧力を選択する。磁場中成形で得られる成形体の最終的な相対密度は、通常、50〜60%である。
また、印加する磁場は、12〜20kOe(960〜1600kA/m)程度とすればよい。また、印加する磁場は静磁場に限定されず、パルス状の磁場とすることもできる。また、静磁場とパルス状磁場を併用することもできる。
先ず、評価対象となる成形体及びこれを焼結した希土類焼結磁石を作製した。原料合金の組成は、Nd24.5wt%、Pr6.0wt%、Dy1.8wt%、Co0.5wt%、Al0.2wt%、Cu0.07wt%、B1.0wt%、残部Feとした。原料となる金属又は合金を前記組成となるように配合し、ストリップキャスト法により原料合金薄板を溶解、鋳造した。
実施例および比較例の結果を表1に示す。
これに対し、表1に示すポリテトラフルオロエチレンと化合物Bを複合添加した場合、Brは13.2kGを上回り、成形体強度も1.1MPaを上回り、高い成形体強度と高い磁気特性を兼ね備えることができることが確認された。しかも、得られる磁気特性は、比較例における磁気特性と同等であることがわかり、ポリテトラフルオロエチレンを添加することで、磁気特性を大幅に低下させることなく、成形体強度を高めることができるのが確認された。
このように、微粉砕工程において原料合金に潤滑剤を添加することで、粉砕工程における原料合金の粉砕性や磁場中成形工程における粉砕粉の配向性を確保しつつ、成形体の強度が高く、さらに最終的に得られる焼結磁石の磁気特性が高いものを得ることができた。
Claims (5)
- 原料合金粉を粉砕して粉砕粉を得る工程と、
テトラフルオロエチレン系の化合物Aと、一般式R1−COO−R2、R1−OHおよび(R1−COO)nMからなる群のいずれかの一種で示される化合物B(但しR1はCnH2n+1;R2はH、CnH2n+1またはCnH2n-1On-1;Mは金属;nは整数)とを添加した前記粉砕粉に磁場を印加し、かつ加圧成形することにより成形体を得る工程と、
前記成形体を焼結する工程とを備えることを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法。 - 前記化合物Aは、ポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする請求項1に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- 前記化合物Bの前記R1は、CnH2n+1のnが10以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- 前記化合物Bは、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセリン、ステアリン酸亜鉛およびステアリルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物であることを特徴とする請求項3に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- 前記化合物Aおよび前記化合物Bの粒子径が800μm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法。
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