JP2006261042A - 空気亜鉛電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】放電停止中のガス発生が抑制された空気亜鉛電池を提供する。
【解決手段】負極作用物質としての亜鉛合金及びアルカリ電解液を含む負極9と、前記負極9の集電体を兼ねる負極容器10と、前記負極容器10に絶縁部材12を介して固定された正極容器1とを具備する空気亜鉛電池であって、前記負極容器10は、SnまたはSn合金の内面層と、前記内面層の外側に積層されたCu層とを含む多層構造を有し、前記負極9は、Fe成分がFe質量換算で30μg/Cell以下、Ni成分がNi質量換算で15μg/Cell以下、Cr成分がCr質量換算で10μg/Cell以下、W成分がW質量換算で5μg/Cell以下、As成分がAs質量換算で5μg/Cell以下、Mo成分がMo質量換算で3μg/Cell以下、Sb成分がSb質量換算で0.1μg/Cell以下であることを特徴とする空気亜鉛電池。
【選択図】 図1

Description

本発明は、無汞化亜鉛合金粉末を負極作用物質として用いる空気亜鉛電池に関する。
負極作用物質には、従来、鉛(Pb)を約500ppm添加し、且つ水銀(Hg)数%を含有した亜鉛合金粉末が用いられてきた。しかしながら、PbやHgは環境問題の点から製品から排除することが望まれている有害金属元素と認識されており、より早い段階での排除が期待されていたにもかかわらず、除去することによる亜鉛(Zn)の腐食による多量の水素ガス発生という不具合を抑制することができず、PbおよびHgの除去は達成されていなかった。
特許文献1には、無水銀の亜鉛合金粒子の表面近傍と粒子全体についての鉄成分の平均濃度を規定することにより、亜鉛合金とアルカリ電解液との反応を抑制し、これにより筒形アルカリマンガン電池の異常なガス発生を抑制することが記載されている。
しかしながら、空気亜鉛電池においては、特許文献1のように亜鉛合金中の不純物量を規定しただけでは、ガス発生、特に放電停止中(放電中断時)のガス発生を十分に抑制することができなかった。
特開2004−6223号公報
本発明は、放電停止中のガス発生が抑制された空気亜鉛電池を提供するものである。
本発明に係る空気亜鉛電池は、負極作用物質としての亜鉛合金及びアルカリ電解液を含む負極と、前記負極の集電体を兼ねる負極容器と、前記負極容器に絶縁部材を介して固定された正極容器と、前記正極容器内に収納され、酸素を正極作用物質とする正極とを具備する空気亜鉛電池であって、
前記負極容器は、SnまたはSn合金の内面層と、前記内面層の外側に積層されたCu層とを少なくとも含む多層構造を有し、
前記負極は、Fe成分がFe質量換算で30μg/Cell以下、Ni成分がNi質量換算で15μg/Cell以下、Cr成分がCr質量換算で10μg/Cell以下、W成分がW質量換算で5μg/Cell以下、As成分がAs質量換算で5μg/Cell以下、Mo成分がMo質量換算で3μg/Cell以下、Sb成分がSb質量換算で0.1μg/Cell以下であることを特徴とするものである。
前述した特許文献1に記載の筒形アルカリマンガン電池と異なり、空気亜鉛電池では金属製の負極容器が集電体を兼ねているため、亜鉛合金中に含有されておらず、亜鉛合金成分とは別に不純物が負極中に存在していても放電停止中のガス発生量が多くなる。本発明のように、負極の不純物量を、Fe成分がFe質量換算で30μg/Cell以下、Ni成分がNi質量換算で15μg/Cell以下、Cr成分がCr質量換算で10μg/Cell以下、W成分がW質量換算で5μg/Cell以下、As成分がAs質量換算で5μg/Cell以下、Mo成分がMo質量換算で3μg/Cell以下、かつSb成分がSb質量換算で0.1μg/Cell以下にすることによって、放電停止中に負極容器の内面層のSnがイオン化してCu層が表出するのを抑制することができる。その結果、Cu層とアルカリ電解液との反応による水素ガスの発生が抑えられ、放電停止中の膨れ及び漏液を低減することができる。
本願発明において、前記亜鉛合金は、無水銀かつ鉛無添加で、Bi含有量が50〜1000ppmで、In含有量が100〜1000ppmで、かつAl及び/またはCa含有量が10〜100ppmであり、前記負極は酸化インジウム、水酸化インジウム及び酸化ビスマスよりなる群から選択される少なくとも1種類の化合物を金属元素換算で前記亜鉛合金の質量に対して100〜1000ppm含有していることが望ましい。
本願発明において、前記負極容器は、前記Cu層の外側に積層されたFeまたはFe合金層と、前記FeまたはFe合金層の外側に積層されたNi層とをさらに具備することが望ましい。
本願発明において、前記SnまたはSn合金の内面層は、電解めっき、無電解置換めっき、または表面活性化接合法によるクラッドにより形成されていることが好ましい。
負極容器がリバース構造を有する場合に、上記無電解めっきにより形成する前処理として、Ni/FeまたはFe合金/Cuの積層構造を有する板材から形成された負極容器のリバース構造のうち少なくとも絶縁部材と対面するCu面の一部を機械的に研磨する方法が挙げられる。
本願発明において、前記亜鉛合金は、不活性雰囲気中で180〜250℃の温度で1〜3時間加熱処理が施されたものであることが望ましい。
本願発明において、前記負極の容積率は85%以下であることが好ましい。
本願発明において、前記負極容器は開口端が外側に折り返されたリバース部を有し、前記リバース部のうち前記絶縁部材と接する面の少なくとも一部に前記Cu層が表出していることが望ましい。
前記Cu層を表出させる処理として、前記リバース部のうち前記絶縁部材と接する面の少なくとも一部を機械的に研磨することにより、SnまたはSn合金層を除去する方法が挙げられる。
前記Cu層を表出させる別な処理として、前記リバース部のうち前記絶縁部材と接する面の少なくとも一部を円周状に化学的に研磨することにより、SnまたはSn合金層を除去する方法が挙げられる。
本発明によれば、放電停止中のガス発生が抑制された空気亜鉛電池を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る空気亜鉛電池の負極及び負極容器について説明する。
負極には、亜鉛合金及びアルカリ電解液を含むゲル状負極を使用することができる。この負極は、例えば、亜鉛合金粉末と、アルカリ電解液と、増粘剤(ゲル化剤)とインヒビターとを混合することにより形成される。
亜鉛合金粉末は、無水銀且つ鉛無添加であり、Bi含有量が50〜1000ppmで、In含有量が100〜1000ppmで、かつAl及び/またはCaの含有量が10〜100ppmであることが望ましい。Znは両性金属であるために強アルカリ性の電解液中でZnがZnイオンとなり溶解して電子を放出し、放出された電子が電解液中の水素イオンと結合して水素ガス(H2)が発生する。上記元素を含有する亜鉛合金粉末を使用することにより、亜鉛合金粉末の電解液中での自己溶解による水素ガス発生を抑制することができる。無水銀且つ鉛無添加の亜鉛合金粉末において、Bi含有量のさらに好ましい範囲は100〜500ppmで、In含有量の更に好ましい範囲は300〜700ppmで、Al及び/またはCaの含有量の更に好ましい範囲は20〜50ppmである。
また、Bi含有量が50〜1000ppmで、In含有量が100〜1000ppmで、Al及び/またはCaの含有量が10〜100ppmの無水銀且つ鉛無添加の亜鉛合金粉末を不活性雰囲気中で180〜250℃の温度で1〜4時間加熱処理することにより、水素ガスの発生をより抑制することができる。
インヒビターとしては、例えば、酸化インジウム、水酸化インジウム、酸化ビスマス等から選択される1種または2種以上の化合物を挙げることができる。インヒビターの添加量は金属元素換算で亜鉛合金粉末の質量に対して100〜1000ppmにすることが望ましい。これにより、放電休止状態での水素ガス発生をより抑えることができる。
アルカリ電解液としては、例えば、水酸化カリウムと酸化亜鉛を含むアルカリ水溶液等を挙げることができる。
増粘剤としては、アルカリ電解液の粘性を増加させてゲル化させる機能を有するものを使用することができる。このような増粘剤としては、例えば、ポリアクリル酸のような吸水性高分子を挙げることができる。
負極中の不純物元素量を、Fe成分がFe質量換算で30μg/Cell以下、Ni成分がNi質量換算で15μg/Cell以下、Cr成分がCr質量換算で10μg/Cell以下、W成分がW質量換算で5μg/Cell以下、As成分がAs質量換算で5μg/Cell以下、Mo成分がMo質量換算で3μg/Cell以下、かつSb成分がSb質量換算で0.1μg/Cell以下にするのは、これらの元素のうち1種類でも許容上限値よりも多く含有されていると、負極容器の内面に金属が多く析出し、内面層のSnと金属との局部電池反応が進行し、Cu面が表出するからである。
不純物元素は、単体金属として存在することも、他の元素と合金を形成していることも、酸化物などの化合物として存在している場合もある。いずれの場合にせよ、質量換算での元素量が上述した範囲以下であれば、本願発明の効果を得ることができる。
負極容器は、SnまたはSn合金の内面層と、内面層の外側に積層されたCu層とを含む多層構造を有する。
このSn合金層では、Sn含有量を80質量%以上にし、かつZn,Bi及びInよりなる群から選択される少なくとも1種類からなる添加金属元素の含有量を0.1質量%以上、20質量%以下にすることが望ましい。これは以下に説明する理由によるものである。添加金属元素の含有量を0.1質量%以上にすることによって、放電中断時または過放電時の水素ガス発生をさらに抑制する効果を期待することができる。一方、Sn含有量を80質量%未満にするか、添加金属元素の含有量が20質量%を超えると、Sn合金層と負極作用物質のZn成分との反応性が高くなって水素ガス発生量が多くなる恐れがある。
さらに好ましい範囲は、Sn含有量が85質量%以上で、かつ添加金属元素の含有量が5質量%以上、15質量%以下である。
SnまたはSn合金層を形成する方法としては電解めっき、無電解めっき、クラッド法、電解または無電解めっき後の熱処理による拡散層形成、表面活性化接合法によるクラッド等を挙げることができる。
ここで、表面活性化接合法の概要を説明すると、真空雰囲気の中で所定の厚さの各種板材の接合面となる面をイオンエッチングにより表面の酸化皮膜を除去した清浄で活性な状態に処理して、室温下で各々の処理面を低圧下で接合する方法である。このようにして、加工硬化を取り除くために焼鈍処理のような加熱をすることなく、融点の大きく異なる金属でもクラッド材とすることができる。なお、基材の構成はNi/SUS/Cu,NiメッキSUS/Cu,NiメッキSUS等、電気的特性、強度や電池としての外観等に問題がなければ、その使用目的に応じて特に限定されるものではない。
負極容器は機械的強度を確保するために、Cu層の外側にFeまたはFe合金層/NiまたはNi合金層をこの順番に積層することが望ましい。
集電体も兼ねる負極容器の開口端部がリバース構造を有する場合、折り返されて外側に表出した面は、当然のことながら、負極容器の内面と同じ組成になる。
Snを無電解めっきにより形成する場合には、前処理として負極容器のリバース部のうち絶縁部材と接するCu面の少なくとも一部を機械的に研磨することによって、表面粗さを小さくして平滑化することができる。無電解めっきでは基本的にめっき層の厚さを部分的に変えることが難しいため、元々一番荒れている箇所を無電解めっき前に平滑にすることによって、漏液経路の確率を下げることが可能である。
また、SnまたはSn合金層を形成後、負極容器のリバース部のうち絶縁部材と接する面の少なくとも一部を機械的に研磨または円周状に化学的に研磨して除去することにより、Cu面を表出させることができる。これにより、リバース部のうち絶縁部材と接する面の少なくとも一部にアルカリ電解液との濡れ性が低い箇所を形成することができ、負極容器の内面を伝って移動してきた電解液をこの部分で阻止することができる。その結果、ガス発生による電解液の這い上がり現象を抑制することができるため、漏液をさらに低減することができる。
また、負極側内容積に対する負極の容積率は、85%以下にすることが望ましい。これにより、放電容量を確保しつつ、過放電時、使用上問題のない電池膨れにまで抑制することができる。過放電状態に陥ることによりCu層が表出すると、残留亜鉛合金粉末とCu面とが局部電池を形成し、あるいは、溶解したCuイオンがイオン化傾向に従って亜鉛合金粉末上に再析出して局部電池を形成し、水素ガスが発生してしまう。また、金属亜鉛が放電により最終的に酸化亜鉛に変化すると、体積は約1.6倍に上昇すると考えられ、それに局部電池形成による水素ガス発生が加わることにより電池内部の圧力がよりいっそう上昇してしまい、外観上の膨れにつながる恐れがある。負極側内容積に対する負極の容積率を85%以下にすることによって、放電容量を確保しつつ、過放電時の電池膨れを電池総高がJISに定められた規格値以下に収まる程度に抑制することができる。
ここで、負極側内容積は、負極容器と絶縁ガスケットとセパレータで囲まれた負極収容空間の容積を意味する。負極側内容積は、例えば、空気亜鉛電池を電池厚さ方向に沿って切断した際に得られる断面写真から算出することが可能である。
以下、本発明の空気亜鉛電池の一実施形態であるボタン形空気亜鉛電池を図1及び図2を参照して説明する。
図1に示すように、有底円筒形をなす正極容器1は、その開口部の上端2がかしめ加工により内方に折り曲げられている。正極容器1は、底部に空気孔3を有する。この正極容器1は、例えばステンレス鋼などの金属から形成されており、正極端子を兼ねているものである。この正極容器1内には、酸素を正極作用物質とする正極が収納されている。この正極は、正極触媒層4を備えるものである。正極触媒層4に含まれる正極触媒としては、例えば、活性炭及び二酸化マンガンのようなマンガン酸化物の混合物を使用することができる。正極触媒層4は、例えば、活性炭と、マンガン酸化物と、導電性材料として膨張化黒鉛と、結着剤としてポリテトラフルオロエチレン粉末とを混合し、シート状に成型することにより得られる。
正極触媒層4に空気を均一に拡散させるための拡散紙5は、正極容器1の底部内面に配置されている。拡散紙5には、例えば、クラフト紙を使用することができる。拡散紙5の厚さは50〜100μmの範囲にすることが望ましい。酸素透過性を有する撥水膜6は、拡散紙5と正極触媒層4の間に介装されている。この撥水膜6は、アルカリ電解液が正極容器1の空気孔3から外部に漏れ出すのを防止するためのものである。撥水膜6は、例えば、ポリテトラフルオロエチレンフィルムのようなフッ素樹脂フィルムから形成することができる。なお、撥水膜6は、1枚に限らず、2枚以上重ねて使用することも可能である。
正極集電体7は、正極触媒層4上に配置され、その周縁部が正極容器1の内面と接している。これにより、正極と正極容器1との導通が確保される。正極集電体7は、例えば、金属ネットのような導電性の多孔質板から形成することができる。
正極集電体7には、セパレータ8及びゲル状の負極9がこの順番に積層されている。セパレータ8は、例えば、ポリプロピレンのようなポリオレフィン製の微多孔膜と不織布とから形成されている。微多孔膜の方を負極9と対向させ、不織布を正極集電体7と対向させる。微多孔膜は、酸化亜鉛の析出による内部短絡を防止するためのものである。アルカリ電解液の保持に寄与しているのは、主に不織布である。
ゲル状負極9は、前述したように、亜鉛合金及びアルカリ電解液を含むものである。
負極容器10は、負極集電体を兼ねるもので、有底円筒形をなし、その開口端が外側に折り返されたリバース部11を有する。負極容器10は、その内面が負極9と接すると共にリバース部11が正極容器1の折り曲げられた開口端で囲まれるように正極容器1の開口部に挿入されている。絶縁部材としてのリング状の絶縁ガスケット12は、その内面に段差12aを有し、段差12aが負極容器1のリバース部11の底部から外表面にかけて嵌合している。負極容器10は、正極容器1に絶縁ガスケット12を介してかしめ固定されている。
図2に示すように、負極容器11は、例えば、SnまたはSn合金からなる内面層13と、Cu層14と、FeまたはFe合金層15と、NiまたはNi合金からなる表面層16とから構成された多層構造を有する導電性材料から形成されている。この図2では、負極容器11の内面(負極9と接している面)とリバース部11の絶縁ガスケット12と接する表面がSnまたはSn合金から形成されている例を示しているが、リバース部11の絶縁ガスケット12と接する表面は、Cu層14で形成されていることが望ましい。これにより、漏液をより低減することができる。
ところで、正極容器1の空気孔2は、未使用時の無駄な放電を防ぐため、正極容器1の底面に貼られたシールテープ17で一時的に塞がれている。
[実施例]
以下、本発明の実施例を前述した図面を参照して詳細に説明する。
まず、電池1個の負極に対してどの程度の不純物の混入が許されるかの、不純物許容量調査を行うため、サンプルNo.1〜36の空気亜鉛電池を作製した。
(サンプルNo.1)
電解液の増粘作用を持つゲル化剤としてのポリアクリル酸の微粉末9.0重量部にインヒビターとしての酸化インジウム(In23)1.0重量部を均一になるまで混合・攪拌した。次いで、Biを292ppm、Inを495ppm、Alを28ppm含有する平均粒径215μmで粒径75μm〜300μmの粒子が95重量%以上を占める粒度分布の無水銀且つ鉛無添加の亜鉛合金粉末200重量部を、KOH30%とZnO1%からなるアルカリ電解液54重量部と、ポリアクリル酸と酸化インジウムの混合物1.0重量部と共に混合・攪拌して、ゲル状の亜鉛負極を調製した。得られた負極中の酸化インジウム量はIn元素換算で亜鉛合金粉末の質量に対して500ppmであった。
また、Ni/SUS/Cuから成る厚さ150μmの3層クラッド材を成形加工して作製したPR44形空気亜鉛電池の負極容器に厚さ約0.2μmの無電解置換Snめっきを施した。負極容器と絶縁ガスケットをその間にシール剤を塗布して一体化した。
こうして得られた負極容器内に上記ゲル状亜鉛負極を負極側内容積に対して85%の容積率になるように充填後、空気極が収められた正極容器に絶縁ガスケットを介してかしめ固定し、前述した図1に示すようなPR44形空気亜鉛電池を作製した。
(サンプルNo.2〜6)
鉄イオンを含有した溶液として原子吸光分析用鉄標準液を用意し、負極中のFe元素含有量が下記表1に示す値となるようにゲル状負極に添加すること以外は、前述した図1に示すようなPR44形空気亜鉛電池を作製した。
(サンプルNo.7〜11)
ニッケルイオンを含有した溶液として原子吸光分析用ニッケル標準原液を用意し、負極中のNi元素含有量が下記表1に示す値となるようにゲル状負極に添加すること以外は、前述した図1に示すようなPR44形空気亜鉛電池を作製した。
(サンプルNo.12〜16)
クロムイオンを含有した溶液として原子吸光分析用クロム標準液を用意し、負極中のCr元素含有量が下記表1に示す値となるようにゲル状負極に添加すること以外は、前述した図1に示すようなPR44形空気亜鉛電池を作製した。
(サンプルNo.17〜21)
Wイオンを含有した溶液として原子吸光分析用タングステン標準原液を用意し、負極中のW元素含有量が下記表1に示す値となるようにゲル状負極に添加すること以外は、前述した図1に示すようなPR44形空気亜鉛電池を作製した。
(サンプルNo.22〜26)
Asイオンを含有した溶液として原子吸光分析用砒素標準液を用意し、負極中のAs元素含有量が下記表1に示す値となるようにゲル状負極に添加すること以外は、前述した図1に示すようなPR44形空気亜鉛電池を作製した。
(サンプルNo.27〜31)
Moイオンを含有した溶液として原子吸光分析用モリブデン標準原液を用意し、負極中のMo元素含有量が下記表1に示す値となるようにゲル状負極に添加すること以外は、前述した図1に示すようなPR44形空気亜鉛電池を作製した。
(サンプルNo.32〜36)
Sbイオンを含有した溶液として原子吸光分析用アンチモン標準液を用意し、負極中のSb元素含有量が下記表1に示す値となるようにゲル状負極に添加すること以外は、前述した図1に示すようなPR44形空気亜鉛電池を作製した。
サンプルNo.1〜36の空気亜鉛電池のシールテープを外した状態で流動パラフィン内に沈め、60℃雰囲気中で内部からのガス洩れ量を測定し、電池6個についての平均値を算出し、6週間後のガス洩れ量が不純物無添加でのガス洩れ量(0.25mL/Cell)を基準とした場合の1.5倍以下、すなわち0.375mL/Cell以下であるものを良好と判定した。
添加元素の種類、添加量(μg/Cell)及び60℃で6週間放置後のガス洩れ量(mL/Cell)のn=6の平均値を下記表1に示す。
なお、負極中の各元素の含有量は、空気亜鉛電池を分解し、負極中の元素含有量を測定すると共に、負極容器の内面(リバース部を有しているため、リバース部の表面も含む)とセパレータ表面を洗浄する際に使用した洗浄液(比抵抗値18.2MΩ・cm(25℃)以上の純水)中の元素含有量を測定し、これらの合計量とする。
Figure 2006261042
表1から明らかなように、Fe元素については、30μg/Cell以下であるNo.4〜6のサンプルで、ガス漏れ量が基準値以下となった。
Ni元素については、15μg/Cell以下であるNo.8〜11のサンプルで、ガス漏れ量が基準値以下となった。
Cr元素については、10μg/Cell以下であるNo.14〜16のサンプルで、ガス漏れ量が基準値以下となった。
W元素については、5μg/Cell以下であるNo.19〜21のサンプルで、ガス漏れ量が基準値以下となった。
As元素については、5μg/Cell以下であるNo.23〜26のサンプルで、ガス漏れ量が基準値以下となった。
Mo元素については、3μg/Cell以下であるNo.29〜31のサンプルで、ガス漏れ量が基準値以下となった。
Sb元素については、0.1μg/Cell以下であるNo.34〜36のサンプルで、ガス漏れ量が基準値以下となった。
以上の結果から、各元素の許容上限値(μg/Cell)は、Fe=30,Ni=15,Cr=10,W=5,As=5,Mo=3,Sb=0.1となることがわかった。
以下、サンプルNo.1の電池と、以下に説明するサンプルNo.37〜44の電池について、以下に説明する特性評価を行った。
(サンプルNo.37)
負極容器が、厚さ90μmのNiめっき・SUS304と厚さ30μmのCuと厚さ30μmのSnを表面活性化接合法によりクラッドした板材を成形加工したものであること以外、サンプルNo.1と同様にPR44形空気亜鉛電池を作製した。
(サンプルNo.38)
Biを121ppm、Inを500ppm、Alを31ppm含有する平均粒径209μmで粒径75μm〜300μmの粒子が95重量%以上を占める粒度分布の無水銀且つ鉛無添加の亜鉛合金粉末を、不活性雰囲気中で200℃で2時間加熱処理したこと以外、サンプルNo.1と同様にPR44形空気亜鉛電池を作製した。
(サンプルNo.39)
負極容器が、厚さ150μmのNi/SUS304/Cuの3層クラッド材に厚さ0.2μmの無電解置換Snめっきを施した後、不活性雰囲気中・200℃でめっきしたSnが全て拡散するまで加熱処理を行った板材を成形加工したものであること以外、サンプルNo.1と同様にPR44形空気亜鉛電池を作製した。
(サンプルNo.40)
負極容器が、厚さ150μmのNi/SUS304/Cuの3層クラッド材を成形加工したものを、バレル研磨でリバース部のCu面を平滑化した後、厚さ0.2μmの無電解置換Snめっきを施したものであること以外、サンプルNo.1と同様にPR44形空気亜鉛電池を作製した。
(サンプルNo.41)
Ni/SUS/Cuから成る厚さ150μmの3層クラッド材を成形加工して作製したPR44形空気亜鉛電池の負極容器に厚さ約0.2μmの無電解置換Snめっきを施した後、バレル研磨でリバース部のSnめっきを除去したものであること以外、サンプルNo.1と同様にPR44形空気亜鉛電池を作製した。
(サンプルNo.42)
Ni/SUS/Cuから成る厚さ150μmの3層クラッド材を成形加工して作製したPR44形空気亜鉛電池の負極容器に厚さ約0.2μmの無電解置換Snめっきを施した後、該負極容器のリバース部底部を20%の希塩酸溶液にスタンプ方式で押し当て、Snめっきを溶解して洗浄したものであること以外、サンプルNo.1と同様にPR44形空気亜鉛電池を作製した。
(サンプルNo.43)
ゲル状亜鉛負極を負極側内容積に対して90%の容積率になるように充填したこと以外、サンプルNo.1と同様にPR44形空気亜鉛電池を作製した。
(サンプルNo.44)
Biを121ppm、Inを500ppm、Alを31ppm含有する平均粒径209μmで粒径75μm〜300μmの粒子が95重量%以上を占める粒度分布の無水銀且つ鉛無添加の亜鉛合金粉末を用いたこと以外、サンプルNo.1と同様にPR44形空気亜鉛電池を作製した。
サンプルNo.1と、37〜44の各PR44形空気亜鉛電池について、放電特性(250Ω定抵抗放電・1.0Vまでの放電容量、n=20の平均値)、放電終了後に120時間過放電を行った直後の電池総高変化(n=20の平均値)、放電深度40%で室温放置2週間後の電池総高変化(n=20の平均値)、および45℃で93%RHに60日貯蔵後の漏液数の調査(n=50)を行った。その結果を下記表2に示す。
Figure 2006261042
表2から明らかなように、負極中の各元素の含有量が許容値以下であるサンプルNo.1,37〜44の電池によると、放電深度40%で放置した際の電池総高変化が0.03mm以下に収まっている。
負極の容積率については、容積率を85%以下としたサンプルNo.1,37〜42,44の電池が、容積率が85%を超えているサンプルNo.43に比して過放電時の電池総高変化が小さく、特にサンプルNo.37〜42の電池では変化後の電池総高さがJIS規格内におさまっている。
熱処理の効果を確認するため、No.38とNo.44を比較する。熱処理を施した亜鉛合金を使用したサンプルNo.38の電池では、熱処理を施していない亜鉛合金を使用したサンプルNo.44に比して過放電時の電池総高変化が小さく、高温多湿雰囲気に貯蔵時の漏液数が少なくなり、熱処理を行う効果が確認された。
また、負極容器のリバース部のうち絶縁ガスケットと接する面の少なくとも一部にCu層を表出させたサンプルNo.39〜42の電池では、リバース部の表面もSn層で形成されているサンプルNo.1,37,38,43,44に比して、高温多湿貯蔵時の漏液数が少なくできる。
尚、本実施例には記載していないが、無水銀且つ鉛無添加の亜鉛合金組成に関しては、Biが50ppm、Inが100ppm、Al及び/またはCaが10ppm未満の添加量では各元素添加の効果が少なく、Biを1000ppm、Inを1000ppm、Al及び/またはCaを100ppmより多く添加しても効果に変化が無いばかりかコスト的にも不利であり、場合によっては水素ガス発生量が早くなってしまうため、Bi含有量が50〜1000ppmで、In含有量が100〜1000ppmで、かつAl及び/またはCaの含有量が10〜100ppmであることが望ましい。
無機系インヒビターの添加も同様の理由により、100〜1000ppmの範囲内にすることが望ましく、また、本実施例には記載していないが、水酸化インジウム、酸化ビスマスでも同様の効果が得られることを確認している。
また、亜鉛合金粉末の熱処理温度は180℃未満では速やかな結晶粒の成長が進まず処理時間がかかってしまい、250℃よりも高い温度では逆に一気に結晶成長してしまい安定した品質に制御するのが困難になってしまうため、180〜250℃の温度範囲が望ましい。
以上の結果から、負極において、Fe成分がFe質量換算で30μg/Cell以下、Ni成分がNi質量換算で15μg/Cell以下、Cr成分がCr質量換算で10μg/Cell以下、W成分がW質量換算で5μg/Cell以下、As成分がAs質量換算で5μg/Cell以下、Mo成分がMo質量換算で3μg/Cell以下、Sb成分がSb質量換算で0.1μg/Cell以下にすることによって、電池内部での水素ガス発生を長期間にわたり抑制し、電池膨れや漏液などの問題の無い、安全で環境にやさしい高性能な無水銀且つ鉛無添加の空気亜鉛電池を提供することができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明に係る空気亜鉛電池の一実施形態を示す模式的な断面図。 図1の空気亜鉛電池の要部の拡大断面図。
符号の説明
1…正極容器、2…開口部の上端、3…空気孔、4…正極触媒層、5…空気拡散紙、6…撥水膜、7…正極集電体、8…セパレータ、9…ゲル状亜鉛負極、10…負極容器、11…フランジ部、12…絶縁性封口ガスケット、12a…段差、13…Sn金属層もしくはSn合金層、14…Cu層、15…FeもしくはFe合金層、16…Ni層、17…シールテープ。

Claims (7)

  1. 負極作用物質としての亜鉛合金及びアルカリ電解液を含む負極と、前記負極の集電体を兼ねる負極容器と、前記負極容器に絶縁部材を介して固定された正極容器と、前記正極容器内に収納され、酸素を正極作用物質とする正極とを具備する空気亜鉛電池であって、
    前記負極容器は、SnまたはSn合金の内面層と、前記内面層の外側に積層されたCu層とを少なくとも含む多層構造を有し、
    前記負極は、Fe成分がFe質量換算で30μg/Cell以下、Ni成分がNi質量換算で15μg/Cell以下、Cr成分がCr質量換算で10μg/Cell以下、W成分がW質量換算で5μg/Cell以下、As成分がAs質量換算で5μg/Cell以下、Mo成分がMo質量換算で3μg/Cell以下、Sb成分がSb質量換算で0.1μg/Cell以下であることを特徴とする空気亜鉛電池。
  2. 前記亜鉛合金は、無水銀かつ鉛無添加で、Bi含有量が50〜1000ppmで、In含有量が100〜1000ppmで、かつAl及び/またはCa含有量が10〜100ppmであり、前記負極は酸化インジウム、水酸化インジウム及び酸化ビスマスよりなる群から選択される少なくとも1種類の化合物を金属元素換算で前記亜鉛合金の質量に対して100〜1000ppm含有していることを特徴とする請求項1記載の空気亜鉛電池。
  3. 前記負極容器は、前記Cu層の外側に積層されたFeまたはFe合金層と、前記FeまたはFe合金層の外側に積層されたNi層とをさらに具備することを特徴とする請求項1または2記載の空気亜鉛電池。
  4. 前記SnまたはSn合金の内面層は、電解めっき、無電解置換めっき、または表面活性化接合法によるクラッドにより形成されていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の空気亜鉛電池。
  5. 前記亜鉛合金は、不活性雰囲気中で180〜250℃の温度で1〜3時間加熱処理が施されたものであることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の空気亜鉛電池。
  6. 前記負極の容積率は85%以下であることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の空気亜鉛電池。
  7. 前記負極容器は開口端が外側に折り返されたリバース部を有し、前記リバース部のうち前記絶縁部材と接する面の少なくとも一部に前記Cu層が表出していることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の空気亜鉛電池。
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