JP2006260833A - 固体電解質、固体電解質の製造方法、電極膜接合体および燃料電池 - Google Patents

固体電解質、固体電解質の製造方法、電極膜接合体および燃料電池 Download PDF

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毅 稲崎
Kimiatsu Nomura
公篤 野村
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Abstract

【課題】高いイオン伝導性能、低いメタノール透過性を有する固体電解質を提供する。
【解決手段】主鎖が炭素原子、水素原子および酸素原子より形成され、側鎖に酸残基、円盤状メソゲンおよび架橋性基を有する固体電解質。
【選択図】 なし

Description

本発明は、エネルギーデバイス、電気化学センサーに用いることができる固体電解質等に関する。特に、特定構造の高分子を含むことにより、高いプロトン伝導度、低いメタノール拡散性、高い強度を持つ固体電解質等に関する。
近年、携帯機器等の電源として利用できるリチウムイオン電池や燃料電池が活発に研究されており、その部材であるリチウムイオン伝導材料、プロトン伝導材料等の固体電解質についても活発な研究が行われている。
携帯機器電源は同一出力であれば小型であることが極めて好ましい。中でもダイレクトメタノール型燃料電池は、改質型燃料電池における改質機、水素燃料の燃料電池における高圧水素タンク等の補機が不要なため、小型化が容易であり、さらに、リチウムイオン電池を上回る小型化の可能性があることから、活発に検討されている。
従来から、プロトン伝導材料として、ナフィオン(登録商標)に代表されるスルホン酸基含有パーフルオロカーボン重合体が用いられている。ナフィオンは、イオン伝導度は高いものの、メタノールのような高極性有機溶媒も透過させるため、ダイレクトメタノール型燃料電池では低出力となってしまう。また、メタノールの透過を抑制するため、燃料として数%程度の低い濃度のメタノール水溶液しか使用することができず、単位重量あるいは単位体積当たりのエネルギー密度が低くなってしまい、小型携帯機器用途に適用できないなどの課題があった。さらに、電極膜接合体の作製についても、容易に作製できるものがない。
これらの問題を解決するために高分子を架橋して低メタノール透過性を狙った固体電解質(特許文献1、2)が提案されており、ナフィオン同等の伝導度で、低メタノール透過性を実現している。しかし、上記文献におけるプロトン伝導度は90℃における値であり、実際の電池としての利用を考えた場合、室温でもその性能を維持できることが好ましい。しかし、室温付近の温度で高いプロトン伝導度と低いメタノール透過性を両立している架橋高分子電解質については報告がない。
また、メソゲンを導入し、親水性部と疎水性部の相分離構造を形成することで、プロトン伝導度の向上を狙った固体電解質(特許文献3)も提案されているが、伝導度はナフィオン以下であり、しかも経時で酸およびメソゲンが膜外へ溶出するといった問題が存在する。
特開2004−26935号公報 特開2004−26936号公報 特開2004−307814号公報
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、高いイオン伝導性能、低いメタノール透過性を有する固体電解質を提供することおよび、このイオン伝導体を使用した膜電極接合体、燃料電池を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、下記手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
(1)主鎖が炭素原子、水素原子および酸素原子より形成され、側鎖に酸残基、円盤状メソゲンおよび架橋性基を有する固体電解質。
(2)前記架橋性基が、炭素−酸素結合および/または炭素−炭素結合を含む、(1)に記載の固体電解質。
(3)前記主鎖がポリエーテル鎖である、(1)または(2)に記載の固体電解質。
(4)前記酸残基が、スルホン酸残基である、(1)〜(3)のいずれかに記載の固体電解質。
(5)下記一般式(1−1)、一般式(1−2)および一般式(1−3)で表される繰り返し単位を含む(1)〜(4)のいずれかに記載の固体電解質。
一般式(1−1)
Figure 2006260833
(一般式(1−1)中、Aは酸残基を含む基を表し、L11は2価の連結基を表し、R11は炭素原子、水素原子および/または酸素原子より形成される4価の基を表し、R111は水素原子または置換基を表し、xは1以上の整数である。)
一般式(1−2)
Figure 2006260833
(一般式(1−2)中、Bは円盤状メソゲンを含む有機原子団を表し、L12は2価の連結基を表し、R12は炭素原子、水素原子および/または酸素原子より形成される4価の基を表し、R121は水素原子または置換基を表し、yは1以上の整数である。)
一般式(1−3)
Figure 2006260833
(一般式(1−3)中、L13は2価の連結基を表し、R13は炭素原子、水素原子および/または酸素原子より形成される4価の基を表し、R131は水素原子または置換基を表し、R14は水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、n11は0、1または2である。zは1以上の整数である。)
(6)一般式(1−4)で表される繰り返し単位を含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の固体電解質。
一般式(1−4)
Figure 2006260833
(一般式(1−4)中、R15は炭素原子、水素原子および/または酸素原子より形成される4価の基を表し、R151は水素原子または置換基を表し、L14は2価の連結基を表し、Bは円盤状メソゲンを含む有機原子団を表し、n12は2〜8の整数、vは1以上の整数である。)
(7)膜状である、(1)〜(6)のいずれかに記載の固体電解質。
(8)膜状に成型した状態で、ポリエーテル架橋反応を進行させてなる、(7)に記載の固体電解質。
(9)下記一般式(2)、一般式(3)および一般式(4)で表される化合物を重合させる工程を含む、(1)〜(8)のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
一般式(2)
Figure 2006260833
(一般式(2)中、R2は水素原子または置換基を表し、n2は0、1または2である。L2は2価の連結基であり、Pは酸残基に誘導できる基を含む基を表す。)
一般式(3)
Figure 2006260833
(一般式(3)中、R3は水素原子または置換基を表し、n3は0、1、または2である。L3は2価の連結基であり、Bは円盤状メソゲンを含む有機原子団を表す。)
一般式(4)
Figure 2006260833
(一般式(4)中、R4は水素原子または置換基を表し、n4は0、1、または2である。L4は2価の連結基であり、Cは重合性基に誘導できる基を表す。)
(10)さらに、下記一般式(5)で表される化合物を重合させる、(9)に記載の固体電解質の製造方法。
一般式(5)
Figure 2006260833
(一般式(5)中、R5は水素原子または置換基を表し、L5は2価の連結基であり、Bは円盤状メソゲンを含む有機原子団を表し、n51は0、1または2であり、n52は2〜8の整数である。)
(11)膜状で架橋反応が進行する、(9)または(10)に記載の固体電解質の製造方法。
(12)一対の電極と、該電極の間に挟まれた(1)〜(8)のいずれかに記載の固体電解質とを有する、電極膜接合体。
(13)(12)に記載の電極膜接合体を含む、燃料電池。
本発明の固体電解質を採用することにより、高いイオン伝導性能、低いメタノール透過性および高い性能指数を満たすことができ、これにより電極膜接合体が容易に作製でき、高い性能をもつ燃料電池の作製が可能になった。特に、一般式(1−1)、一般式(1−2)および一般式(1−3)で表される繰り返し単位を含む固体電解質を採用することにより、より性能の高い固体電解質が得られ、燃料電池作製工程への高い適合性、燃料電池の高い耐久性が期待できる。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本発明でいうメタノール透過係数とは、特に述べない限り、固体電解質を膜状とし、その一方を50重量%のメタノール水溶液に、他方を空気に接触させたときのメタノール透過係数をいう。なお、本発明における各種物性値は、特に述べない限り室温(例えば、25℃)における状態のものを示している。また、本発明における重合には、いわゆる共重合も含む趣旨である。従って、本発明でいう重合体には、共重合体も含む趣旨である。さらに、本願明細書において、アセチル基をAc、エチル基をEt、メチル基をMe、フェニル基またはフェニレン基をPhと示すことがある。 また、本発明では、
Figure 2006260833
は、−CH2−を表す。
また、本発明における「膜」には、板状や平板状のもの等を含む趣旨である。
本発明の固体電解質は、主鎖が炭素原子、水素原子、酸素原子のみより構成されており、側鎖に酸残基、円盤状メソゲンおよび架橋性基を有している。
ここで、主鎖は、好ましくは、ポリエーテル鎖である。
また、本発明の固体電解質は、好ましくは、酸残基、円盤状メソゲンおよび架橋性基が、共有結合である単結合によって、または原子団を介して共有結合により主鎖に結合している固体電解質である。ここで、原子団としては、脂肪族基および/または芳香族基を含む有機原子団が好ましく、脂肪族基を含む有機原子団であることがさらに好ましく、アルキレン基を含む有機原子団であることが特に好ましい。
本発明における酸残基はpKaが5以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。具体的には、パーフルオロスルホン酸残基、スルホン酸残基、ホスホン酸残基、カルボン酸残基が好ましく、ホスホン酸残基、スルホン酸残基がより好ましい。
本発明における円盤状メソゲンは、特に定めるものではないが、例えば、後述する一般式(1−2)で表される繰り返し単位におけるBのところで述べる円盤状メソゲンを好ましく採用できる。
本発明における架橋性基は、炭素−酸素結合および/または炭素−炭素結合を含むことが好ましい。
本発明の固体電解質は酸残基を含むドメインとマトリックスドメインが高次構造を形成しているものがさらに好ましい。高次構造としては、ミクロ相分離構造、ラメラ相、ヘキサゴナル相およびこれらの混合または中間の状態が挙げられる。これらの構造は、光学顕微鏡観察、X線散乱測定等によって確認できる。
本発明の固体電解質は、一般式(1−1)、一般式(1−2)および一般式(1−3)で表される繰り返し単位を含むことが好ましく、一般式(1−1)、一般式(1−2)、一般式(1−3)および一般式(1−4)で表される繰り返し単位を含むことがさらに好ましい。
これらの繰り返し単位は、例えば、一般式(2)で表される化合物と、一般式(3)で表される化合物と、一般式(4)で表される化合物(好ましくは、一般式(5)で表される化合物も併せて)を重合することにより得られる。
以下、上記繰り返し単位およびこれらを形成するための化合物について詳細に説明する。
一般式(1−1)で表される繰り返し単位
一般式(1−1)中、R11は炭素原子、水素原子および/または酸素原子より形成される4価の基を表し、また、該4価の基の総炭素数は2〜18が好ましく、2〜12がさらに好ましく、2〜6が特に好ましい。4級炭素を有する基が特に好ましい。
111は水素原子または置換基を表し、置換基としては、アルキル基、アルキルスルホン酸基、アリール基またはヘテロ環基が好ましい(但し、これらの基は、置換基によってさらに置換されていてもよく、これらの基が有する炭素原子の一部が、−O−、−CO−、−S−および−SO−の1つ以上に置き換わっていてもよい。)。R111はさらに好ましくは、水素原子または、置換若しくは無置換のアルキル基であり、よりさらに好ましくは、水素原子、置換若しくは無置換の、メチル基またはエチル基であり、最も好ましくはエチル基である。
L11は、脂肪族基および/または芳香族基を含む有機原子団であることが好ましく、脂肪族基を含む有機原子団であることがより好ましく、アルキレン基を含む有機原子団であることがさらに好ましい。
脂肪族基および/または芳香族基を含む有機原子団は、アルキレン基(より好ましくは炭素数1〜12のアルキレン基、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基)および/または芳香族基(より好ましくは、フェニレン基、ビフェニレン基)からなるもの、該アルキレン基および該芳香族基のうちの2つ以上の組み合わせ、ならびに、これらと、−O−、−CO−、−S−、−SO−の1つ以上との組み合わせからなるものが好ましい。これらは、さらに、置換基を有していてもよい。また、脂肪族基は飽和でも不飽和でもよい。
アルキレン基、芳香族基またはこれらの2つ以上の組み合わせとしては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、デシレン基、フェニレン(−Ph−)基、−(CH2n11−O−(CH2n12−(n11、n12は、それぞれ、整数であり、好ましくは、1〜6の整数である)、−CH2−Ph−、−CH2CH2OCH2CH2−、−(CH2CH2O)2CH2CH2−、−CH2CH=CH−、−CH2CH2CH=CH−が挙げられる。
Aは酸残基を含む基を表し、酸残基としてはpKaが5以下の酸残基が好ましく、pKaが2以下であるものがさらに好ましい。具体的には、パーフルオロスルホン酸残基、スルホン酸残基、ホスホン酸残基、カルボン酸残基が好ましく、ホスホン酸残基、スルホン酸残基がより好ましい。
xは1以上の整数であり、5〜10000が好ましく、10〜1000がさらに好ましい。
一般式(1−2)で表される繰り返し単位
一般式(1−2)中、R12は、一般式(1−1)中のR11と同義であり、好ましい範囲も同義である。R121は、一般式(1−1)中のR111と同義であり、好ましい範囲も同義である。
12は、一般式(1−1)中のL11と同義であり、好ましい範囲も同義である。
Bは円盤状メソゲンを含む有機原子団を表す。一般に、円盤状メソゲンは、その母核に円盤状の部分構造を有し、側鎖部を除いた母核部分の円盤状構造は、下記(1)〜(4)または下記(1)、(2)、(3)'〜(5)'により得られる長さa、b、cで定義できる。
(1)円盤状メソゲンの円盤状構造について、できる限り平面に近い分子構造を構築する。結合距離および結合角としては、軌道の混成に応じた標準値を用いることが好ましい。標準値については、日本化学会編、化学便覧改定4版基礎編、第II分冊15章(1993年刊 丸善)に記載がある。
(2)上記(1)で得られた構造を初期値として、分子軌道法や分子力場法により構造を最適化する。最適化方法としては、Gaussian92、MOPAC93、CHARMm/QUANTAおよびMM3が適用できる。特に好ましい方法はGaussian92である。
(3)構造が最適化された円盤状構造中の各原子に、ファンデルワールス半径で定義される球を付与し、これによって分子の形状を記述する。
(4)上記(3)で形状が得られた円盤状構造が入り得る最小の直方体の三個の稜をa、b、cとする。
任意性を小さくするためには、上記(3)〜(4)に代えて、下記(3)'〜(5)'を行うことが好ましい。
(3)'構造最適化によって得られた構造の重心を原点に移動させ、座標軸を慣性主軸(慣性テンソル楕円体の主軸)にとる。
(4)'各原子にファンデルワールス半径で定義される球を付与し、これによって分子の形状を記述する。
(5)'ファンデルワールス表面上で各座標軸方向の長さを計測し、それらそれぞれをa、b、cとする。
以上の手順により求められたa、b、cを用いて定義すると、好ましい円盤状構造では、a≧b>cかつa≧b≧a/2の関係を満足する。さらに好ましい円盤状構造は、a≧b>cかつa≧b≧0.7aの関係を満足する。また、b/2>cであることも好ましい。
円盤状メソゲンとしては、既に様々な化合物が提案されている(例えば、C.Destradeらの研究報告、Mol. Cryst. Liq. Cryst. 71巻、111頁(1981年);日本化学会編、季刊化学総説No.22液晶の化学第5章および第10章(1994年刊);B. Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻.70頁(1984年)J.M.Lehnらの研究報告、J. Chem. Soc. Chem. Commun.、1794頁(1985年);J. Zhang、J. S. Mooreらの研究報告、J. Am. Chem. Soc.、116巻、2655頁(1994年)に記載)。
中心部分の円盤状構造は、ベンゼン環、シクロヘキサン環、トリフェニレン環、トルキセン環、コロネン環、フタロシアニン環、ポルフィリン環、アザクラウン環、アセチレンマクロサイクル環およびβ−ジケトン系金属錯体環を有するものが好ましい。円盤状構造の例は、日本化学会編、‘‘化学総説No.15、新しい芳香族の化学’’(1977年 東京大学出版会刊)にも記載がある。また、金属錯体のように、水素結合や配位結合により、複数の分子の集合体を形成して円盤状構造を形成してもよい。
より具体的には、本発明の円盤状メソゲンの円盤状構造は、後述する一般式(3)の例示化合物のところで示したB−1〜B−35および一般式(5)の例示化合物のところで示したD−1〜D−72のいずれかの円盤状構造を有するものが好ましい例として挙げられる。
これらの中でも、円盤状構造は、(トリフェニレン環、フェニルエチニルベンゼン環、トリアジン環)が好ましく、トリフェニレン環がさらに好ましい。
円盤状メソゲンは、中心部分の円盤状構造から放射状に、複数個の互いに同一または異なる側鎖部分が伸びた構造を有する。
側鎖部分の例としては、アルカノイルオキシ基、2−アルコキシカルボニルエチル基、コレステリルオキシカルボニル基、4−アルコキシフェノキシカルボニル基、4−アルコキシベンゾイルオキシ基、4−アルキルベンゾイルオキシ基、4−アルコキシベンゾイル基、4−アルコキシシンナモイルオキシ基、4−アルキルシンナモイルオキシ基、4−アルコキシシンナモイル基が好ましく、2−(4−アルキルフェニル)エチニル基、末端ビニルアルコキシ基、4−アルコキシフェニル基、アルコキシメチル基、アルキルチオメチル基、2−アルキルチオエトキシメチル基、2−アルコキシエトキシメチル基がさらに好ましく、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アルコキシ基が特に好ましい。
アルカノイルオキシ基の例には、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ノナノイルオキシ基、デカノイルオキシ基およびウンデカノイルオキシ基が含まれる。アルキルスルホニル基の例には、ヘキシルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、ノニルスルホニル基、デシルスルホニル基およびウンデシルスルホニル基が含まれる。アルキルチオ基の例には、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、ウンデシルチオ基およびドデシルチオ基が含まれる。アルコキシ基の例には、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基およびウンデシルオキシ基が含まれる。2−(4−アルキルフェニル)エチニル基の例には、2−(4−メチルフェニル)エチニル基、2−(4−エチルフェニル)エチニル基、2−(4−プロピルフェニル)エチニル基、2−(4−ブチルフェニル)エチニル基、2−(4−ペンチルフェニル)エチニル基、2−(4−ヘキシルフェニル)エチニル基、2−(4−ヘプチルフェニル)エチニル基、2−(4−オクチルフェニル)エチニル基および2−(4−ノニルフェニル)エチニル基が含まれる。末端ビニルアルコキシ基の例には、4−ビニルブトキシ基、5−ビニルペンチルオキシ基、6−ビニルヘキシルオキシ基、7−ビニルヘキシルオキシ基、8−ビニルオクチルオキシ基および9−ビニルノニルオキシ基が含まれる。
4−アルコキシフェニル基のアルコキシ部分の例は、上記アルコキシ基の例と同様である。アルコキシメチル基のアルコキシ部分の例は、上記アルコキシ基の例と同様である。アルキルチオメチル基のアルキルチオ部分の例は、上記アルキルチオ基の例と同様である。2−アルキルチオエトキシメチル基のアルキルチオ部分の例は、上記アルキルチオ基の例と同様である。2−アルコキシカルボニルエチル基のアルコキシ部分の例は、上記アルコキシ基の例と同様である。4−アルコキシフェノキシカルボニル基のアルコキシ部分の例は、上記アルコキシ基の例と同様である。4−アルコキシベンゾイルオキシ基のアルコキシ部分の例は、上記アルコキシ基の例と同様である。4−アルキルベンゾイルオキシ基の例には、4−メチルベンゾイルオキシ基、4−エチルベンゾイルオキシ基、4−プロピルベンゾイルオキシ基、4−ブチルベンゾイルオキシ基、4−ペンチルベンゾイルオキシ基、4−ヘキシルベンゾイルオキシ基、4−ヘプチルベンゾイルオキシ基、4−オクチルベンゾイルオキシ基および4−ノニルベンゾイルオキシ基が含まれる。4−アルコキシベンゾイル基のアルコキシ部分の例は、上記アルコキシ基の例と同様である。
4−アルコキシシンナモイルオキシ基のアルコキシ部分の例は、上記アルコキシ基の例と同様である。4−アルキルシンナモイルオキシ基の例には、4−メチルシンナモイルオキシ基、4−エチルシンナモイルオキシ基、4−プロピルシンナモイルオキシ基、4−ブチルシンナモイルオキシ基、4−ペンチルシンナモイルオキシ基、4−ヘキシルシンナモイルオキシ基、4−ヘプチルシンナモイルオキシ基、4−オクチルシンナモイルオキシ基、および4−ノニルシンナモイルオキシ基が含まれる。4−アルコキシシンナモイル基のアルコキシ部分の例は、上記アルコキシ基の例と同様である。側鎖部分は、上記各例のフェニルの部分が、他のアリール基(例えば、ナフチル基、フェナンスリル基、アントラセニル基、ピレニル基)に置き換わっていてもよい。以上の各例は、さらに置換基を有していてもよい。また前述の置換基に加えてさらに置換されていてもよい。また、側鎖部分は、上記各例のフェニルの部分が、芳香族性を有する複素環基(例えば、ピリジル基、ピリミジル基、トリアジニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、チアジアゾリル基、オキサジアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基)に置き換わっていてもよい。
有機金属錯体からなる円盤状メソゲンは、ジイソブチルシランジオールのような有機ケイ素系金属錯体(Eaborn他、J.Chem.Soc.、549頁、1955年)、β−ジケトン系金属錯体(太田他、J.Chem.Soc.Chem.Commun.、1099頁、1984年)、長鎖置換フタロシアニン系金属錯体(Simon他、J.Am.Chem.Soc.、104巻、5244頁、1982年)、ジチオレン系金属錯体(太田他、J.Chem.Soc.Chem.Commun.、883頁、1986年)、ポルフィリン系金属錯体(清水他、Chem.Lett.、1041頁、1986年)、金属(II)カルボキシレート系複核錯体(Giroud他、J.Phys.Lett.、45巻、L−681頁、1984年)、イミン系のPd複核錯体(Simon他、Liq.Cryst.、4巻、707頁、1989年)およびビス(グリオキシマート)金属(II)系錯体(太田他、Mol.Cryst.Liq.Cryst.、203巻、43頁、1991年)が含まれる。
yは1以上の整数であり、3〜5000が好ましく、5〜1000がさらに好ましい。
一般式(1−3)で表される繰り返し単位
一般式(1−3)中、R13は、一般式(1−1)中のR11と同義であり、好ましい範囲も同義である。R131は、一般式(1−1)中のR111と同義であり、好ましい範囲も同義である。
13は一般式(1−1)中のL11と同義であり、好ましい範囲も同義である。
14は、水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、水素原子またはアルキル基が好ましい。アルキル基の好ましい例としては、直鎖、分岐鎖、または環状アルキル基であり、その炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜6である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基等)が挙げられる。
アリール基の好ましい例としては、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のフェニル基およびナフチル基等が挙げられる。
ヘテロ環基の好ましい例としては、例えば置換もしくは無置換のへテロ5員環(例えばフラン基)等が挙げられる。
11は0、1または2を表し、1がより好ましい。
zは1以上の整数を表し、5〜10000が好ましく、10〜1000がさらに好ましい。
一般式(1−4)で表される繰り返し単位
一般式(1−4)中、R15は炭素原子、水素原子および/または酸素原子より形成される4価の基を表し、一般式(1−1)中のR11と同義であり、好ましい範囲も同義である。
151は一般式(1−1)中のR111と同義であり、好ましい範囲も同義である。
14は一般式(1−1)中のL11と同義であり、好ましい範囲も同義である。
Bは円盤状メソゲンを含む有機原子団を表し、一般式(1−3)中のBと同義であり、好ましい範囲も同義である。
12は2〜8の整数であり、2、3、4、5、6が好ましい。
vは1以上の整数であり、1〜1000が好ましく、1〜300がさらに好ましい。
x+y+zは少なくとも50以上が好ましく、200以上がより好ましく、1000以上がさらに好ましい。一般式(1−1)〜(1−3)で表される繰り返し単位から構成される(さらには、一般式(4)で表される繰り返し単位も含む)固体電解質(重合体)の分子量は、特に限定はないが、10000〜200000が好ましく、10000〜100000がより好ましい。
x、yの比は得られる固体電解質のプロトン伝導度と安定性を左右し、xの比率が高くなるとプロトン伝導度がより高くなり好ましく、yの比率が高くなると安定性がより高くなり好ましい。x/yの好ましい範囲は1/100〜1000/1であり、さらに好ましくは1/10〜100/1であり、1/1〜20/1の範囲が最も好ましい。
zの全体に対する含量(z/(x+y+z))は固体電解質の安定性とイオン伝導度を考慮して適宜定められる。z/(x+y+z)の範囲は好ましくは0より大きく0.5以下であり、さらに好ましくは0.01〜0.3であり、最も好ましくは0.02〜0.2である。
一般式(1−4)で表される繰り返し単位を含む場合には、vの全体に対する含量(v/(v+x+y+z))は固体電解質の安定性とイオン伝導度を考慮して適宜定められる。v/(v+x+y+z)の範囲は好ましくは0より大きく0.1以下であり、さらに好ましくは0.0001〜0.05であり、0.001〜0.03の範囲が最も好ましい。
本発明の固体電解質(重合体)は、例えば、以下に述べる、一般式(2)〜(5)で表される化合物を、ランダム重合、ブロック重合、グラフト重合等によって重合させることによって形成できる。
ここで、一般式(1−1)で表される繰り返し単位は、例えば、一般式(2)で表される化合物を開環重合し、一般式(2)中のPを酸残基に変換することによって得られる。また、一般式(1−2)で表される繰り返し単位は、例えば、一般式(3)で表される化合物を開環重合することによって得られ、一般式(1−3)で表される繰り返し単位は、例えば、一般式(4)で表される化合物を開環重合し、一般式(4)中のCを重合性基に変換後、重合性基同士で架橋反応を進行させることで得られる。さらに、一般式(1−4)で表される繰り返し単位は、例えば、一般式(5)で表される化合物を開環重合することによって得られる。このように本発明では一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)および一般式(5)で表される化合物を用いて固体電解質を製造することが好ましい。
以下、これらの化合物について説明する。
一般式(2)で表される化合物
Pは酸残基に誘導できる基を含む基を表し、酸化、加水分解、還元、置換、付加、脱離、塩交換等の反応によって酸残基に誘導できるものが好ましいが、反応による副生成物の除去が容易なものが実用的に好ましく、酸化、加水分解、塩交換反応が好ましい。
酸残基に誘導できる基としては、メルカプト基、アシルメルカプト基、スルホンメルカプト基、ジスルフィド基、スルホン酸塩を含む基、アルコキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アミノスルホニル基、ハロゲノスルホニル基が好ましく、メルカプト基、スルホン酸塩を含む基、アシルメルカプト基、アルコキシスルホニル基、クロロスルホニル基がさらに好ましい。
ホスホノ酸基に誘導できる置換基としては、アルキルホスホノ基、アリールホスホノ基、ジハロゲノホスホノ基が好ましく、アルキルホスホノ基、ジクロロホスホノ基がさらに好ましい。
カルボキシル酸基に誘導できる置換基としては、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲノカルボニル基、カルバモイル基が好ましく、アルキルカルボニル基、クロロカルボニル基がさらに好ましい。
2は、水素原子または置換基を表し、置換基としては、アルキル基、アルキルスルホン酸基、アリール基またはヘテロ環基が好ましい(但し、これらの基は、置換基によってさらに置換されていてもよく、これらの基が有する炭素原子の一部が、−O−、−CO−、−S−および−SO−、−AcS(CH2)n13、−Ph(CH2)n14O−(n13、n14は、それぞれ、n11、n12と同義であり、好ましい範囲も同義である。)の1つ以上に置き換わっていてもよい。)。R2はより好ましくは、水素原子または、置換若しくは無置換のアルキル基であり、さらに好ましくは水素原子、置換若しくは無置換の、メチル基またはエチル基であり、よりさらに好ましくはエチル基である。
2は、2価の連結基を表し、一般式(1−1)におけるL11と同義であり、好ましい範囲も同義である。
2は0、1、2であり、1が特に好ましい。
一般式(2)で表される化合物の総炭素数は、2〜60が好ましく、3〜50がさらに好ましく、4〜40がさらに好ましい。
以下に、一般式(2)で表される化合物を例示するが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006260833
一般式(3)で表される化合物
Bはメソゲンを含む有機原子団を表し、一般式(1−2)におけるBと同義であり、好ましい範囲も同義である。
3は、水素原子または置換基を表し、置換基としては、アルキル基、アルキルスルホン酸基、アリール基またはヘテロ環基が好ましい(但し、これらの基は、置換基によってさらに置換されていてもよく、これらの基が有する炭素原子の一部が、−O−、−CO−、−S−および−SO−、−Ph−O−(CH2)n15(n15はn11およびn12と同義であり、好ましい範囲も同義である。)の1つ以上に置き換わっていてもよい。)。R3はより好ましくは、水素原子または置換若しくは無置換のアルキル基であり、さらに好ましくは、水素原子、置換若しくは無置換の、メチル基またはエチル基であり、よりさらに好ましくはエチル基である。
3は、一般式(1−2)におけるL12と同義であり、好ましい範囲も同義である。
3は0、1、または2であり、好ましくは1である。
一般式(3)で表される化合物の総炭素数は、10〜200が好ましく、20〜100がより好ましい。
以下に、一般式(3)で表される好ましい化合物を例示するが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006260833
Figure 2006260833
Figure 2006260833
Figure 2006260833
一般式(4)で表される化合物
Cは重合性基に誘導できる基であり、重合性基への誘導方法は、酸化、加水分解、還元、置換、付加、脱離等の反応を用いるのが好ましいが、反応による副生成物の除去が容易なものが実用的に好ましく、酸化、加水分解反応が好ましい。特に加水分解できるものは好ましい。加水分解後は水酸基に変換されるものが好ましく、水酸基の数は2〜3が好ましい。したがって、加水分解される置換基Cの構造にはエーテル性酸素原子を複数持つ炭素原子が含まれるものが好ましい。
具体的には、はケタールまたはアセタールを含む環状構造を持つものがより好ましく、2,2−ジメチル−5−エチル−1,3−ジオキサニル基、2−メチル−5−エチル−1,3−ジオキサニル基、5−エチル−1,3−ジオキサニル基、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル基、2,2−ジメチル−5−メチル−1,3−ジオキサニル基、2−フェニル−5−メチル−1,3−ジオキサニル基、2−エトキシ−5−エチル−1,3−ジオキサニル基、2−オキソ−5−エチル−1,3−ジオキサニル基、1−メチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタニル基が好ましく、2,2−ジメチル−5−エチル−1,3−ジオキサニル基、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル基、2,2−ジメチル−5−メチル−1,3−ジオキサニル基がさらに好ましく1,3−ジオキサン、1,3−ジオキソランが特に好ましい。これらは置換基を有していてもよい。
4は、水素原子または置換基を表し、置換基としては、アルキル基、アルキルスルホン酸基、アリール基またはヘテロ環基が好ましい(但し、これらの基は、置換基によってさらに置換されていてもよく、これらの基が有する炭素原子の一部が、−O−、−CO−、−S−および−SO−、−Ph−O−(CH2)n16−、(CH2)n17−O−(CH2)n18(n16、n17、n18は、それぞれ、n11およびn12と同義であり、好ましい範囲も同義である。)の1つ以上に置き換わっていてもよい。)。R4はより好ましくは、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基であり、さらに好ましくは、水素原子、置換若しくは無置換の、メチル基またはエチル基であり、よりさらに好ましくはエチル基である。
4は、2価の連結基を表し、一般式(1−3)におけるL13と同義であり、好ましい範囲も同義である。
4は0、1、または2であり、好ましくは1である。
一般式(4)で表される化合物の総炭素数は、10〜50が好ましく、20〜40がより好ましい。
以下に、一般式(4)で表される好ましい化合物を例示するが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006260833
Figure 2006260833
一般式(5)で表される化合物
Bはメソゲンを含む有機原子団を表し、一般式(1−2)におけるBと同義であり、好ましい範囲も同義である。
5は、水素原子または置換基を表し、置換基としては、アルキル基、アルキルスルホン酸基、アリール基またはヘテロ環基が好ましい(但し、これらの基は、置換基によってさらに置換されていてもよく、これらの基が有する炭素原子の一部が、−O−、−CO−、−S−および−SO−の1つ以上に置き換わっていてもよい。)。R5はより好ましくは、水素原子または、置換若しくは無置換のアルキル基であり、さらに好ましくは、水素原子、置換若しくは無置換の、メチル基またはエチル基であり、よりさらに好ましくはエチル基である。
5は、2価の連結基を表し、一般式(1−2)におけるL12と同義であり、好ましい範囲も同義である。
51は0、1、または2であり、好ましくは1である。
52は2〜8の整数であり、2、4、6、8が好ましい。
一般式(5)で表される化合物の総炭素数は特に限定はないが、10〜250が好ましく、50〜200がより好ましい。
以下に、一般式(5)で表される好ましい化合物を例示するが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006260833
Figure 2006260833
Figure 2006260833
Figure 2006260833
Figure 2006260833
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固体電解質の他の成分
本発明の固体電解質には、膜特性を向上させるため、必要に応じて、酸化防止剤、繊維、微粒子、吸水剤、可塑剤、相溶剤等を添加してもよい。これら添加剤の含有量は固体電解質の全体量に対し1〜30質量%の範囲が好ましい。
酸化防止剤としては、(ヒンダード)フェノール系、一価ないし二価のイオウ系、三価および五価のリン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、シアノアクリレート系、サリチレート系、オキザリックアシッドアニリド系の各化合物が好ましい例として挙げられる。具体的には特開平8−53614号公報、特開平10−101873号公報、特開平11−114430号公報、特開2003−151346号公報に記載の化合物が挙げられる。
繊維としては、パーフルオロカーボン繊維、セルロース繊維、ガラス繊維、ポリエチレン繊維等が好ましい例として挙げられ、具体的には特開平10−312815号公報、特開2000−231928号公報、特開2001−307545号公報、特開2003−317748号公報、特開2004−63430号公報、特開2004−107461号公報に記載の繊維が挙げられる。
微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム等からなる微粒子が好ましい例として挙げられ、具体的には特開平6−111834号公報、特開2003−178777号公報、特開2004−217921号公報に記載の微粒子が挙げられる。
吸水剤(親水性物質)としては、架橋ポリアクリル酸塩、デンプン−アクリル酸塩、ポバール、ポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリグリコールジアルキルエーテル、ポリグリコールジアルキルエステル、シリカゲル、合成ゼオライト、アルミナゲル、チタニアゲル、ジルコニアゲル、イットリアゲルが好ましい例として挙げられ、具体的には特開平7−135003号公報、特開平8−20716号公報、特開平9−251857号公報に記載の吸水剤が挙げられる。
可塑剤としては、リン酸エステル系化合物、フタル酸エステル系化合物、脂肪族一塩基酸エステル系化合物、脂肪族二塩基酸エステル系化合物、二価アルコールエステル系化合物、オキシ酸エステル系化合物、塩素化パラフィン、アルキルナフタレン系化合物、スルホンアルキルアミド系化合物、オリゴエーテル類、カーボネート類、芳香族ニトリル類が好ましい例として挙げられ、具体的には特開2003−197030号公報、特開2003−288916号公報、特開2003−317539号公報に記載の可塑剤が挙げられる。
さらに本発明の固体電解質には、(1)膜の機械的強度を高める目的、および(2)膜中の酸濃度を高める目的で種々の高分子化合物を含有させてもよい。
(1)機械的強度を高める目的には、分子量10,000〜1,000,000程度で本発明の固体電解質と相溶性のよい高分子化合物が適する。例えば、パーフッ素化ポリマー、ポリスチレン、ポリエチレングリコール、ポリオキセタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、およびこれらの2以上の重合体が好ましく、含有量としては全体に対し1〜30質量%の範囲が好ましい。
相溶剤としては、沸点または昇華点が250℃以上のものが好ましく、300℃以上のものがさらに好ましい。具体的には、後述する固体電解質の製造方法の第一の反応工程の溶媒で説明するものを好ましく用いることができる。
(2)酸濃度を高める目的には、ナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、側鎖にリン酸基を有するポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリベンズイミダゾールなどの耐熱芳香族高分子のスルホン化物などのプトロン酸部位を有する高分子化合物などが好ましく、含有量としては全体に対し1〜30質量%の範囲が好ましい。
さらに、本発明の固体電解質を燃料電池に用いる場合、アノード燃料とカソード燃料の酸化還元反応を促進させる活性金属触媒を添加してもよい。これにより、固体電解質中に浸透した燃料が他方極に到達すること無く固体電解質中で消費され、クロスオーバーを防ぐことができる。用いられる活性金属種は、電極触媒として機能するものであれば制限は無いが、白金または白金を基にした合金が適している。
固体電解質の製造方法
以下に本発明の固体電解質の製造方法を述べる。本発明の固体電解質の製造方法は、例えば、第一の反応工程、第二の反応工程および製膜工程により製造できる。
(第一の反応工程)
第一の反応工程では、例えば、一般式(2)〜(5)で表される化合物を重合反応によって高分子化する。
第一の反応工程で行なわれる重合反応としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合等が好ましい例として挙げられる。これらの重合法の詳細は一般的な方法に従うことができ、例えば、「新実験科学講座」(19−1巻、p.34−95、(1978)丸善株式会社)に記載の方法により行うことができる。
第一の反応工程における重合開始剤は重合様式によって適宜選択できる。ラジカル重合の場合、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキシド等の過酸化物系開始剤等が挙げられる。
光重合開始剤としては、α−カルボニル化合物、アシロインエーテル、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物、多核キノン化合物、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ、アクリジン、フェナジン化合物およびオキサジアゾール化合物が挙げられる。
カチオン重合の場合、プロトン酸やルイス酸(好ましくは三フッ化ホウ素(エーテル錯体を含む)、塩化亜鉛、塩化アルミニウム等)を用いることができる。プロトン酸の好ましい例は下記で述べる第二の反応工程で使用できる酸性化合物と同様である。アニオン重合では、アルキルリチウム、ナトリウムナフタレン、グリニャール試薬、アルカリ金属アルコキシド等の有機金属化合物が好ましい。
第一の反応工程における溶媒としては重合を禁止するものでなければ特に制限はないが、好ましくはカーボネート化合物(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、複素環化合物(3−メチル−2−オキサゾリジノン、N−メチルピロリドン等)、環状エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、鎖状エーテル類(ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルおよびこれらのハロゲン置換アルコール等)、多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等)、ニトリル化合物(アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、エステル類(カルボン酸エステル、リン酸エステル、ホスホン酸エステル等)、非プロトン極性物質(ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、非極性溶媒(トルエン、キシレン等)、塩素系溶媒(メチレンクロリド、エチレンクロリド等)、水等を用いることができる。中でも、アルコール類、塩素系溶媒、ニトリル化合物、環状エーテル類、非極性溶媒等が特に好ましい。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
第一の反応工程の反応温度は重合反応に応じて適切な温度を選択することができる。ラジカル重合であれば、好ましくは20℃〜200℃であり、より好ましくは40℃〜150℃であり、さらに好ましくは50℃〜100℃である。カチオン重合およびアニオン重合であれば、好ましくは−200℃〜150℃であり、より好ましくは−150℃〜100℃であり、さらに好ましくは−100℃〜50℃である。配位重合であれば、好ましくは−50℃〜200℃であり、より好ましくは0℃〜120℃であり、さらに好ましくは20℃〜80℃である。
第一の反応工程の後に生成した高分子を取り出してもよく、さらに精製工程を追加してもよい。高分子の取り出しおよび精製工程としては、再沈殿によって行うのが好ましい。
(第ニの反応工程)
第二の反応工程では、例えば、一般式(2)に由来する酸残基に誘導できる基Pの酸残基への変換および、一般式(4)に由来する重合性基に誘導できる基Cの重合性基への変換を行う。反応は酸残基に誘導できる基Pの構造に応じて適宜選択することができ、酸化反応であっても、置換反応であっても、加水分解反応であってもよい。
酸化反応を適用する場合、酸化剤としては、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、酸化クロム、臭素水、硝酸およびこれらの水溶液が挙げられる。特に過酸化水素は酸化後の分解物が水であるため、膜特性に悪影響を及ぼさず好ましい。この処理液には有機溶媒等が添加されていても良い。
第二の反応工程では、さらに重合性基に誘導できる基Cの重合性基への変換を行う。これは上記で生成した酸残基の触媒能によって進行してもよいし、別途酸性化合物を添加してもよい。
酸性化合物としては無機または有機のプロトン酸が好ましい。無機プロトン酸としては、塩酸、硫酸、リン酸類(H3PO4、H3PO3、H427、H5310、メタリン酸、ヘキサフルオロリン酸等)、硼酸、硝酸、過塩素酸、テトラフルオロ硼酸、ヘキサフルオロ砒素酸、臭化水素酸、固体酸(タングストリン酸、タングステンペルオキソ錯体等)等が挙げられる。有機プロトン酸としては、リン酸エステル類(例えば炭素数1〜30のリン酸エステル類であり、リン酸メチルエステル、リン酸プロピルエステル、リン酸ドデシルエステル、リン酸フェニルエステル、リン酸ジメチルエステル、リン酸ジドデシルエステル等)、亜リン酸エステル類(例えば炭素数1〜30の亜リン酸エステル類であり、亜リン酸メチルエステル、亜リン酸ドデシルエステル、亜リン酸ジエチルエステル、亜リン酸ジイソプロピル、亜リン酸ジドデシルエステル等)、スルホン酸類(例えば炭素数1〜15のスルホン酸類であり、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキサフルオロベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸等)、カルボン酸類(例えば炭素数1〜15のカルボン酸類であり、酢酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、置換安息香酸等)、イミド類(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸、トリフルオロメタンスルホニルトリフルオロアセトアミド等)、ホスホン酸類(例えば炭素数1〜30のホスホン酸類であり、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジフェニルホスホン酸、1,5−ナフタレンビスホスホン酸等)等の低分子化合物、またはナフィオン(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、側鎖にリン酸基を有するポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン等の耐熱芳香族高分子のスルホン化物などの、プロトン酸部位を有する高分子化合物が挙げられる。これらを2種以上併用することも可能である。
第二の反応工程の溶媒は第一の反応工程で生じた高分子が溶解するものであればよく、第一の反応工程に用いる溶媒として例示したものから選択することができるが、第二の反応工程の結果生じた高分子を溶解するものが好ましいため、アルコール類、多価アルコール類、非極性溶媒等を含むことが特に好ましい。
第一の反応工程における溶媒と第二の反応工程における溶媒は同じでも異なっていてもよい。
第二の反応工程の反応温度は反応速度に関連し、前駆体の反応性と選択した酸の種類および量に応じて選択することができる。好ましくは−20℃〜150℃であり、より好ましくは20℃〜120℃であり、さらに好ましくは50℃〜100℃である。
第一の反応工程と第二の反応工程は順序を逆に行うこともできる。
(製膜工程)
製膜工程では、これ以前の工程で得られた反応液を流延または塗布し、溶媒除去に伴う基質の濃縮で架橋反応が進行し製膜する。ここで、これ以前の工程で得られた反応液に一般式(5)で表される化合物を添加してもよく、それによって、より強固な架橋構造を得ることができる。なお、製膜工程は、製膜後の膜の洗浄、乾燥する操作も含んでいてもよい。
本発明において、第二の反応工程終了後の反応液を塗布する際の支持体は特に限定されないが、好ましい例としてはガラス基板、金属基板、高分子フィルム、反射板等を挙げることができる。高分子フィルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系高分子フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のエステル系高分子フィルム、ポリトリフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系高分子フィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられ、好ましくは、ポリイミドフィルムである。
塗布方式は公知の方法でよく、例えばカーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法等を用いることができる。
本発明において、塗布した反応溶液から溶媒が蒸発後、例えば、加熱処理を行うことで、エーテル結合生成による架橋反応が急速に進行する。すなわち、本発明では、膜状に成型した状態において容易に架橋反応を行うことができる。
本発明では、塗布-乾燥中に、メソゲンの配向が起こる。配向を促進させるために、様々な手法を採用することができる。例えば、前述の支持体等に事前に配向処理を施すことができる。配向処理としては種々の一般的な方法を採用できるが、好ましくは各種ポリイミド系配向膜、ポリビニルアルコール系配向膜等の液晶配向層を支持体等の上に設け、ラビング等の配向処理を行う方法、支持体上の組成物に磁場や電場等を印加する方法、加熱する方法等を用いることができる。
本発明の材料の配向状態は、偏光顕微鏡により光学異方性を観察することにより確認することができる。観察方向は任意でよいが、クロスニコル下でサンプルを回転させ、明暗が切り替わる部分があれば異方性があるといえる。配向状態は異方性を示す状態であれば特に制限はない。液晶相と認識できるテクスチャーが観察される場合は相を特定することができ、リオトロピック液晶相でもサーモトロピック液晶相でもよい。配向状態はリオトロピック液晶相の場合はヘキサゴナル相、キュービック相、ラメラ相、スポンジ相、ミセル相が好ましく、特に室温でラメラ相もしくはヘキサゴナル相を示すことが好ましい。サーモトロピック液晶相ではネマチック相、スメクチック相、クリスタル相、カラムナー相およびコレステリック相が好ましく、特に室温でカラムナー相を示すことが好ましい。また、これらの相における配向が固体状態で保持されている配向状態も好ましい。ここでいう異方性とは分子の方向ベクトルが等方的ではない状態をいう。
得られる固体電解質の形状は、膜状が好ましく、厚さは10〜500μmが好ましく、25〜150μmが特に好ましい。成形した時点で膜状であっても良いし、バルク体に成形した後に、切断して膜状に加工することもできる。
本発明の固体電解質を、多孔質基材の細孔に含浸させて膜を形成することが可能である。細孔を有する基材上に本発明の第二工程終了後の反応液を塗布含浸させるか、基材を反応液に浸漬し、細孔内に固体電解質を満たして膜を形成してもよい。細孔を有する基材の好ましい例としては、多孔性ポリプロピレン、多孔性ポリテトラフルオロエチレン、多孔性架橋型耐熱性ポリエチレン、多孔性ポリイミドなどが挙げられる。
洗浄は、再沈殿によって行うことが好ましい。
燃料電池
本発明の固体電解質は、電極膜接合体(Membrane and Electrode Assembly)(以下「MEA」という)および、該電極膜接合体を用いた燃料電池に用いることができる。
図1は本発明の電極膜接合体の断面概略図の一例を示したものである。MEA10は、膜状の固体電解質11と、それを挟んで対向するアノード電極12及カソード電極13を備える。
アノード電極12とカソード電極13は、多孔質導電シート(例えばカーボンペーパー)12a、13aと触媒層12b、13bからなる。触媒層12b、13bは、白金粒子等の触媒金属を担持したカーボン粒子(例えばケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ等)をプロトン伝導材料(例えばナフィオン等)に分散させた分散物からなる。触媒層12b、13bを固体電解質11に密着させるために、多孔質導電シート12a、13aに触媒層12b、13bを塗設したものを、固体電解質11にホットプレス法(好ましくは120〜130℃、2〜100 kg/cm2)で圧着するか、適当な支持体に触媒層12b、13bを塗設したものを、固体電解質11に転写しながら圧着した後、多孔質導電シート12a、13aで挟み込む方法を一般に用いる。
図2は燃料電池構造の一例を示す。燃料電池はMEA10と、MEA10を挟持する一対のセパレータ21、22と、セパレータ21、22に取り付けられたステンレスネットからなる集電体17およびパッキン14とを有する。アノード極側のセパレータ21にはアノード極側開口部15が設けられ、カソード極側のセパレータ22にはカソード極側開口16設けられている。アノード極側開口部15からは、水素、アルコール類(メタノール等)等のガス燃料またはアルコール水溶液等の液体燃料が供給され、カソード極側開口部16からは、酸素ガス、空気等の酸化剤ガスが供給される。
アノード電極およびカソード電極には、カーボン材料に白金などの活性金属粒子を担持した触媒が用いられる。通常用いられる活性金属の粒子サイズは、2〜10nmの範囲であり、粒子サイズが小さい程単位質量当りの表面積が大きくなるので活性が高まり有利であるが、小さすぎると凝集させずに分散させることが難しくなり、2nm程度が限度と言われている。
水素−酸素系燃料電池における活性分極はアノード極(水素極)に比べ、カソード極(空気極)が大きい。これは、アノード極に比べ、カソード極の反応(酸素の還元)が遅いためである。酸素極の活性向上を目的として、Pt−Cr、Pt−Ni、Pt−Co、Pt−Cu、Pt−Feなどのさまざまな白金基二元金属を用いることができる。アノード燃料にメタノール水溶液を用いる直接メタノール燃料電池においては、メタノールの酸化過程で生じるCOによる触媒被毒を抑制することが重要である。この目的のために、Pt−Ru、Pt−Fe、Pt−Ni、Pt−Co、Pt−Moなどの白金基二元金属、Pt−Ru−Mo、Pt−Ru−W、Pt−Ru−Co、Pt−Ru−Fe、Pt−Ru−Ni、Pt−Ru−Cu、Pt−Ru−Sn、Pt−Ru−Auなどの白金基三元金属を用いることができる。
活性金属を担持させるカーボン材料としては、アセチレンブラック、Vulcan XC−72、ケチェンブラック、カーボンナノホーン(CNH)、カーボンナノチューブ(CNT)が好ましく用いられる。
触媒層の機能は、(1)燃料を活性金属に輸送すること、(2)燃料の酸化(アノード極)、還元(カソード極)反応の場を提供すること、(3)酸化還元により生じた電子を集電体に伝達すること、(4)反応により生じたプロトンを固体電解質に輸送すること、である。(1)のために触媒層は、液体および気体燃料が奥まで透過できる多孔質性であることが必要である。(2)は上記で述べた活性金属触媒が、(3)は同じく上記で述べたカーボン材料が担う。(4)の機能を果たすために、触媒層にプロトン伝導材料を混在させる。
触媒層のプロトン伝導材料としては、プロトン供与基を持った固体であれば制限はないが、固体電解質に用いられる酸残基を有する高分子化合物(例えばナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸、側鎖リン酸基ポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリベンズイミダゾールなどの耐熱性芳香族高分子のスルホン化物など)が好ましく用いられる。本発明の固体電解質を触媒層に用いると、固体電解質と同種の材料となるため、固体電解質と触媒層との電気化学的密着性が高まりより有利である。
活性金属の使用量は、0.03〜10mg/cm2の範囲が電池出力と経済性の観点から適している。活性金属を担持するカーボン材料の量は、活性金属の質量に対して、1〜10倍が適している。プロトン伝導材料の量は、活性金属担持カーボンの質量に対して、0.1〜0.7倍が適している。
電極基材、透過層、あるいは裏打ち材とも呼ばれ、集電機能および水がたまりガスの透過が悪化するのを防ぐ役割を担う。通常は、カーボンペーパーやカーボン布を使用し、撥水化のためにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)処理を施したものを使用することもできる。
MEAの作製には、次の4つの方法が好ましい。
(1)プロトン伝導材料塗布法:活性金属担持カーボン、プロトン伝導材料、溶媒を基本要素とする触媒ペースト(インク)を固体電解質の両側に直接塗布し、多孔質導電シートを(熱)圧着して5層構成のMEAを作製する。
(2)多孔質導電シート塗布法:触媒ペーストを多孔質導電シート表面に塗布し、触媒層を形成させた後、固体電解質と圧着し、5層構成のMEAを作製する。
(3)Decal法:触媒ペーストをPTFE上に塗布し、触媒層を形成させた後、固体電解質に触媒層のみを転写させ3層のMEAを形成させ、多孔質導電シートを圧着し、5層構成のMEAを作製する。
(4)触媒後担持法:白金未担持カーボン材料をプロトン伝導材料とともに混合したインクを固体電解質、多孔質導電シートあるいはPTFE上に塗布・製膜した後、白金イオンを当該固体電解質に含浸させ、白金粒子を膜中で還元析出させて触媒層を形成させる。触媒層を形成させた後は、上記(1)〜(3)の方法にてMEAを作製する。
本発明の固体電解質を用いる燃料電池の燃料として用いることのできるのは、アノード燃料としては、水素、アルコール類(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジメトキシメタン、トリメトキシメタンなど)、ギ酸、水素化ホウ素錯体、アスコルビン酸などが挙げられる。カソード燃料としては、酸素(大気中の酸素も含む)、過酸化水素などが挙げられる。
直接メタノール型燃料電池では、アノード燃料として、メタノール濃度3〜64質量%のメタノール水溶液が使用される。アノード反応式(CH3OH+H2O→CO2+6H++6e)により、1モルのメタノールに対し、1モルの水が必要であり、この時のメタノール濃度は64質量%に相当する。メタノール濃度が高い程、同エネルギー容量での燃料タンクを含めた電池の質量および体積が小さくできる利点がある。しかしながら、メタノール濃度が高い程、メタノールが固体電解質を透過しカソード側で酸素と反応し電圧を低下させる、いわゆるクロスオーバー現象が顕著となり、出力が低下する傾向にある。そこで、用いる固体電解質のメタノール拡散性により、最適濃度が決められる。直接メタノール型燃料電池のカソード反応式は、(3/2O2+6H++6e→H2O)であり、燃料として酸素(通常は空気中の酸素)が用いられる。
上記アノード燃料およびカソード燃料を、それぞれの触媒層に供給する方法には、(1)ポンプ等の補機を用いて強制循環させる方法(アクティブ型)と、(2)補機を用いない方法(例えば、液体の場合には毛管現象や自然落下により、気体の場合には大気に触媒層を晒し供給するパッシブ型)の2通りがあり、これらを組み合わせることも可能である。前者は、カソード側で生成する水を循環させることにより燃料として高濃度のメタノールが使用することができ、空気供給による高出力化ができる等の利点がある反面、燃料供給系を備える事により小型化がし難い欠点がある。後者は、小型化が可能な利点がある反面、燃料供給が律速となり易く高い出力が出にくい欠点がある。
燃料電池の単セル電圧は一般的に1V以下であるので、負荷の必要電圧に合わせて、単セルを直列スタッキングして用いる。スタッキングの方法としては、単セルを平面上に並べる「平面スタッキング」および、単セルを、両側に燃料流路の形成されたセパレーターを介して積み重ねる「バイポーラースタッキング」が用いられる。前者は、カソード極(空気極)が表面に出るため、空気を取り入れ易く、薄型にできることから小型燃料電池に適している。この他にも、MEMS技術を応用し、シリコンウェハー上に微細加工を施し、スタッキングする方法も提案されている。
燃料電池は、自動車用、家庭用、携帯機器用など様々な利用が考えられているが、特に、直接メタノール型燃料電池は、小型、軽量化が可能であり充電が不要である利点を活かし、様々な携帯機器やポータブル機器用エネルギー源としての利用が期待されている。例えば、好ましく適用できる携帯機器としては、携帯電話、モバイルノートパソコン、電子スチルカメラ、PDA、ビデオカメラ、携帯ゲーム機、モバイルサーバー、ウエラブルパソコン、モバイルディスプレイなどが挙げられる。好ましく適用できるポータブル機器としては、ポータブル発電機、野外照明機器、懐中電灯、電動(アシスト)自転車などが挙げられる。また、産業用や家庭用などのロボットあるいはその他の玩具の電源としても好ましく用いることができる。さらには、これらの機器に搭載された2次電池の充電用電源としても有用である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例1 モノマーの合成
〔A−1の合成〕
水酸化ナトリウム100gを水200mlに溶解し、ヘキサン680ml、テトラブチルアンモニウムブロミド9.4gを加え、30分間攪拌した。これに2−エチル−2−ヒドロキシメチルオキセタン58.1g、1,6−ジブロモヘキサン305gを加えスチームバス上で7時間加熱攪拌した。室温に冷却後、水相を除去し、油相を硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを溶媒にシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、2−エチルー2−(6−ブロモヘキシルオキシ)メチルオキセタン90gを得た。
チオ酢酸カリウム10.2gをN,N−ジメチルホルムアミド270mlに分散し、2−エチル−2−(6−ブロモヘキシルオキシ)メチルオキセタン25.0gを加えた。これをスチームバス上で2時間加熱攪拌した後、反応液を水に注ぎ、水相を除去し、油相を硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを溶媒にしてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、A−1を27g得た。
〔B−1の合成〕
2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレン10gをN,N−ジメチルホルムアミド50mlに溶解し、炭酸カリウム51gとn−アミルブロミド53gを加え、90℃で5時間攪拌した。室温に冷却後、水と酢酸エチルで抽出し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。イソプロパノールで再結晶して2,3,6,7,10,11−ヘキサアミルオキシトリフェニレン21gを得た。
2,3,6,7,10,11−ヘキサアミルオキシトリフェニレン9.4gを60mlのジクロロメタンに溶解し、0℃で攪拌した。これに20mlのジクロロメタンに溶解したβ−ブロモカテコールボラン3gを滴下し、室温に戻して2日間攪拌した後、反応液に水を注ぎ、水と酢酸エチルで抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣のうち、4.4gをN,N−ジメチルホルムアミド30mlに溶解し、炭酸カリウム1.4gと2−エチル−2−(6−ブロモヘキシルオキシ)メチルオキセタン1.8gを加えて90℃で8時間攪拌した。その後、反応液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを溶媒にしてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、B−1を1.2g得た。
〔C−1の合成〕
ヘキサンジオール23.6gをN,N−ジメチルホルムアミド200mlに溶解し、水素化ナトリウム8.0gを添加すると発泡した。室温で30分攪拌後、2−エチル2−メシチルオキシメチルオキセタン19.4gを加え、100℃で9時間攪拌した。反応液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを溶媒にシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、2−エチル−2(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)メチルオキセタン14.8gを得た。
2−エチル−2(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)メチルオキセタン14.2gをテトラヒドロフラン120mlに溶解し、水素化ナトリウム3.9gを添加すると発泡した。室温で30分攪拌後、N,N−ジメチルホルムアミド50mlを加え、20mlのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解した2,2−ジメチル−5−エチル−5−メシチルオキシメチル―1,3−ジオキソラン17.2gを滴下し、100℃で8時間攪拌した。反応液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを溶媒にしてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、4.7gのC−1を得た。
〔D−1の合成〕
2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレン1.2gをN,N−ジメチルホルムアミド30mlに溶解し、炭酸カリウム8.7gと2−エチル2−(6−ブロモヘキシルオキシ)メチルオキセタン11.8gを加え、80℃で8時間攪拌した。室温に冷却後、水と酢酸エチルで抽出し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを溶媒にしてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、6.2gのD−1を得た。
実施例2 固体電解質の作成
[固体電解質 E−1の作成]
400mg(1.46mmol)のA−1、200mg(0.23mmol)のB−1、86mg(0.23mmol)のC−1を0℃で攪拌後、BF3・Et2O錯体7.4μlを滴下し、0℃で8時間攪拌した。反応液に大量のイソプロパノールを加えて攪拌し、上澄みを除去して沈殿をメタノールで洗浄後、減圧乾燥し、ポリマー中間体600mgを得た。GPC(ゲル浸透クロマトグラフ)によれば数平均分子量は20,000であった。
このポリマー250mgをo−キシレン1.0mlとイソプロパノール2.0mlに加熱溶解し、30%過酸化水素水溶液0.42mlを加え、65℃で6時間加熱攪拌した。得られた溶液をミクロフィルター(FLSP20 1.3CMD:富士写真フイルム(株)製)にて濾過し、その800μlを、ポリイミド膜(ユーピレックス#75S:宇部興産(株)製)上に、180μm厚のテプロンテープで作製した3cm×3cmの正方形の枠内に流し込んだ。室温下で約12時間溶媒を蒸発させ、さらに100℃で3時間乾燥させた。ポリイミド膜から膜状に固化した塗布物を剥離し、イオン交換水にて洗浄、乾燥して、透明、微褐色で厚さ100μmの固体電解質を得た。
[固体電解質 E−2の作成]
上記固体電解質E−1の作成法にて、ポリイミド膜上に塗布後、70℃で2時間溶媒を蒸発させ、さらに120℃で2時間乾燥させた他は同様にして、透明、微褐色で厚さ95μmの固体電解質を得た。
[固体電解質 E−3の作成]
上記固体電解質E−2の作成法にて、重合するモノマーの組成を(A−1):(B−1):(C−1)=6.3:1:2にした以外は同様にして、透明、微褐色で厚さ100μmの固体電解質を得た。
[固体電解質 E−4の作成]
上記固体電解質E−2の作成法にて、重合するモノマーの組成を(A−1):(B−1):(C−1):(D−1)=6.3:1:1:0.03にした以外は同様にして、透明、微褐色で厚さ105μmの固体電解質を得た。
[固体電解質 E−5の作成]
上記固体電解質E−2の作成法にて、ポリイミド膜上に塗布する直前に、(D−1)を(B−1)に対して3mol%に相当する量を添加した以外は同様にして、透明、微褐色で厚さ105μmの固体電解質を得た。
実施例3 試験
上記実施例2で得られた固体電解質について、下記の値を測定しその結果を表1に示した。
[プロトン伝導度]
上記で得られた本発明の固体電解質(E−1)〜(E−5)、およびナフィオン117(デュポン社製)を、直径5mmの円形に打ち抜き、2枚のステンレス板に挟み、交流インピーダンス法により、25℃、相対湿度95%におけるプロトン伝導度を測定した。
[メタノール透過性]
30%メタノール水溶液で満たしたチャンバーと密閉したチャンバーで固体電解質を挟み、密閉したチャンバーに透過したメタノールをガスクロマトグラフィーにて定量した。この定量値をもとに、メタノール透過係数を計算した。
[性能指数]
イオン抵抗はサンプル厚に比例し、イオン伝導度に反比例する。メタノール透過量はメタノール透過係数に比例し、サンプル厚に反比例する。従ってサンプル厚を小さくすると、比例してイオン抵抗は小さくなるが、メタノール透過量も大きくなる。従ってサンプル間の差は同じメタノール透過量を示すサンプル厚でのイオン伝導度を比較することで初めて可能になるが、これを簡単に行うためには、下記式に従い、基準となる物質に対するイオン伝導度、メタノール透過係数の比を比較すればよい。基準となる物質はイオン伝導度および、メタノール透過係数が測定できる物であればよく、以下の表ではナフィオン117を基準物質とする。
(性能指数)=[(イオン伝導度)/(基準物質のイオン伝導度)]/[(メタノール透過係数)/(基準物質のメタノール透過係数)]
性能指数が2であればメタノール透過性能が同じ場合、2倍のイオン伝導性能を示すことになる。この値は大きいほど高い性能を示す。
Figure 2006260833
実施例4
上記実施例2で作製した固体電解質について、それぞれ薄膜切片を作製し、偏光顕微鏡で観察したところ、いずれの膜も、光学異方性のある微細なドメインが確認された。これによりメソゲン部が一定方向に集積した集合体の集まりにより膜が構成されていることが分かった。
実施例5 燃料電池の作製
白金担持カーボン(VulcanXC72に白金50wt%が担持)2gとナフィオン溶液(5%アルコール水溶液)15gを混合し、超音波分散器で30分間分散させた。分散物の平均粒子径は約500nmであった。得られた分散物をカーボンペーパー(厚さ350μm)上に塗設し、乾燥した後、直径9mmの円形に打ち抜き、触媒膜を作製した。
実施例2で作製した固体電解質およびナフィオン117の両面に上記で得られた触媒膜を塗布面が固体電解質に接するように張り合わせ、100℃、2MPa、1分間で熱圧着しMEAを作製した。
上記で得られたMEAを図2に示す燃料電池にセットし、アノード側開口部15に50質量%のメタノール水溶液を注入した。この時カソード側開口部16は大気開放とした。アノード電極12とカソード電極13間に、ガルバノスタットで5mA/cm2の定電流を通電し、この時のセル電圧を測定した。結果を表2に示した。
Figure 2006260833
(結果)
ナフィオン117を用いた電池の初期電圧は高いものの、経時的に電圧が低下した。この経時的な電圧低下は、アノード電極側に供給された燃料のメタノールが、ナフィオン膜を通過してカソード電極側に漏れる、いわゆるメタノールクロスオーバー現象による。それに対して、本発明の固体電解質を用いた電池は電圧が安定しており、より高い電圧を維持できることがわかった。
本発明の固体電解質を用いた電極膜接合体の構成を示す概略断面図である。 本発明の燃料電池の構造の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
10・・・電極膜接合体(MEA)
11・・・固体電解質
12・・・アノード電極
12a・・・アノード極多孔質導電シート
12b・・・アノード極触媒層
13・・・カソード電極
13a・・・カソード極多孔質導電シート
13b・・・カソード極触媒層
14・・・パッキン
15・・・アノード極側開口部
16・・・カソード極側開口部
17・・・集電体
21・・・アノード極側のセパレータ
22・・・カソード極側のセパレータ

Claims (13)

  1. 主鎖が炭素原子、水素原子および酸素原子より形成され、側鎖に酸残基、円盤状メソゲンおよび架橋性基を有する固体電解質。
  2. 前記架橋性基が、炭素−酸素結合および/または炭素−炭素結合を含む、請求項1に記載の固体電解質。
  3. 前記主鎖がポリエーテル鎖である、請求項1または2に記載の固体電解質。
  4. 前記酸残基が、スルホン酸残基である、請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解質。
  5. 下記一般式(1−1)、一般式(1−2)および一般式(1−3)で表される繰り返し単位を含む請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解質。
    一般式(1−1)
    Figure 2006260833
    (一般式(1−1)中、Aは酸残基を含む基を表し、L11は2価の連結基を表し、R11は炭素原子、水素原子および/または酸素原子より形成される4価の基を表し、R111は水素原子または置換基を表し、xは1以上の整数である。)
    一般式(1−2)
    Figure 2006260833
    (一般式(1−2)中、Bは円盤状メソゲンを含む有機原子団を表し、L12は2価の連結基を表し、R12は炭素原子、水素原子および/または酸素原子より形成される4価の基を表し、R121は水素原子または置換基を表し、yは1以上の整数である。)
    一般式(1−3)
    Figure 2006260833
    (一般式(1−3)中、L13は2価の連結基を表し、R13は炭素原子、水素原子および/または酸素原子より形成される4価の基を表し、R131は水素原子または置換基を表し、R14は水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、n11は0、1または2である。zは1以上の整数である。)
  6. 一般式(1−4)で表される繰り返し単位を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の固体電解質。
    一般式(1−4)
    Figure 2006260833
    (一般式(1−4)中、R15は炭素原子、水素原子および/または酸素原子より形成される4価の基を表し、R151は水素原子または置換基を表し、L14は2価の連結基を表し、Bは円盤状メソゲンを含む有機原子団を表し、n12は2〜8の整数、vは1以上の整数である。)
  7. 膜状である、請求項1〜6のいずれかに記載の固体電解質。
  8. 膜状に成型した状態で、ポリエーテル架橋反応を進行させてなる、請求項7に記載の固体電解質。
  9. 下記一般式(2)、一般式(3)および一般式(4)で表される化合物を重合させる工程を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
    一般式(2)
    Figure 2006260833
    (一般式(2)中、R2は水素原子または置換基を表し、n2は0、1または2である。L2は2価の連結基であり、Pは酸残基に誘導できる基を含む基を表す。)
    一般式(3)
    Figure 2006260833
    (一般式(3)中、R3は水素原子または置換基を表し、n3は0、1、または2である。L3は2価の連結基であり、Bは円盤状メソゲンを含む有機原子団を表す。)
    一般式(4)
    Figure 2006260833
    (一般式(4)中、R4は水素原子または置換基を表し、n4は0、1、または2である。L4は2価の連結基であり、Cは重合性基に誘導できる基を表す。)
  10. さらに、下記一般式(5)で表される化合物を重合させる、請求項9に記載の固体電解質の製造方法。
    一般式(5)
    Figure 2006260833
    (一般式(5)中、R5は水素原子または置換基を表し、L5は2価の連結基であり、Bは円盤状メソゲンを含む有機原子団を表し、n51は0、1または2であり、n52は2〜8の整数である。)
  11. 膜状で架橋反応が進行する、請求項9または10に記載の固体電解質の製造方法。
  12. 一対の電極と、該電極の間に挟まれた請求項1〜8のいずれかに記載の固体電解質とを有する、電極膜接合体。
  13. 請求項12に記載の電極膜接合体を含む、燃料電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008210696A (ja) * 2007-02-27 2008-09-11 Univ Of Tokyo 電解質組成物及びその製造方法並びに電解質組成物を用いた電気化学素子
JP2008280401A (ja) * 2007-05-09 2008-11-20 Nec Corp ポリラジカル化合物、電極活物質および電池

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