JP4149950B2 - 化合物、並びにこれを用いた、固体電解質、プロトン伝導体、電極膜接合体および燃料電池 - Google Patents
化合物、並びにこれを用いた、固体電解質、プロトン伝導体、電極膜接合体および燃料電池 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4149950B2 JP4149950B2 JP2004086053A JP2004086053A JP4149950B2 JP 4149950 B2 JP4149950 B2 JP 4149950B2 JP 2004086053 A JP2004086053 A JP 2004086053A JP 2004086053 A JP2004086053 A JP 2004086053A JP 4149950 B2 JP4149950 B2 JP 4149950B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- compound
- general formula
- proton conductor
- represent
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/30—Hydrogen technology
- Y02E60/50—Fuel cells
Landscapes
- Silicon Polymers (AREA)
- Conductive Materials (AREA)
- Fuel Cell (AREA)
Description
(1)下記一般式(I)で表される化合物と、下記一般式(II)および(III)で表される化合物の少なくとも1種とをゾル−ゲル反応してなる化合物。
(2)前記ゾルゲル反応において、下記一般式(IV)および(V)で表される化合物の少なくとも1種をさらに添加することにより得られうる(1)に記載の化合物。
一般式(VI)
(3)(1)または(2)に記載の化合物を含有する固体電解質。
(4)(1)または(2)に記載の化合物を含有するプロトン伝導体。
(5)少なくとも2つの電極からなり、該2つの電極の間に(4)に記載のプロトン伝導体が含まれている電極膜接合体。
(6)(5)に記載の電極膜接合体を有する燃料電池。
本発明のプロトン伝導体は、環状アセタール部分から由来する2つ以上の水酸基、プロトン供与性基、特にスルホ基およびメソゲン基を含む有機分子鎖がケイ素酸素3次元架橋マトリックスに共有結合した構造を有しており、一般式(I)で表される環状アセタール部分を含む有機ケイ素化合物、一般式(II)または(III)で表される化合物を酸化処理して得られるスルホン酸ゾルと一般式(IV)または(V)で表される有機分子鎖の配向を促すメソゲン基を有する有機ケイ素化合物を前駆体としたゾル−ゲル反応により形成することができる。以下これらを形成するための前駆体について詳しく説明する。
一般式(I)において、CR31R32およびCR33R34で表される基の炭素原子(R31〜R34が有する炭素原子を除く)は、それぞれ、環状アセタールの一部を形成する。すなわち、(n11+n12+4)員環の環状アセタールが形成される。
一般式(I)で表される有機ケイ素化合物において、R 4、R5およびR6で表されるアルキル基の好ましい例としては、直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基(例えば炭素数1〜20のアルキル基、好ましくはメチル基やエチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基等)が挙げられ、R1、R2 、R 4 、R5およびR6で表されるアリール基の好ましい例としては、炭素数6〜20の置換または無置換のフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、R1、R2 、R 5で表されるヘテロ環基の好ましい例としては、置換または無置換のへテロ6員環(ピリジル、モルホリノ基、テトラヒドロピラニル等)、置換または無置換のヘテロ5員環(フリル、チオフェン基、1,3−ジオキソラン−2−イル基等)等が挙げられる。
R1とR2は互いに連結して環を形成してもよい。連結して形成される環は3〜8員環が好ましく、5〜6員環がさらに好ましい。
一般式(I)で表される化合物は、対応するアセタール環を含有するオレフィン化合物のヒドロシリル化反応によって容易に得ることができる。ヒドロシリル化反応は、例えば、「第4版 実験化学講座」(日本化学会編、丸善株式会社)、24巻、125ページに記載されている方法を用いることができる。
化合物(A)26.4g(東京化成工業(株)製)およびテトラブチルアンモニウムブロミド1gを50重量%水酸化ナトリウム水溶液50gと混合、撹拌した。反応液を氷冷し、臭化アリル48.4gを滴下した。このとき、液温が10℃以下になるように滴下速度を調整した。2日後、水100mlを加え、塩化メチレンで抽出した。有機相を100mlの水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。有機相の溶媒を留去後、残渣を蒸留し、化合物(B)27.4gを得た。沸点86〜87℃/20mmHgであった。
窒素気流下、化合物(B)15.5gおよびトリエトキシシラン11.8gをトルエン10mlに溶解した。反応液を80℃に加熱後、塩化白金酸6水和物の0.05Mベンゾニトリル溶液10μlを添加した。その後、さらに2時間加熱撹拌を続けた。反応終了後、減圧蒸留により(I−1)19gを得た。143℃/3mmHgであった。
本発明の化合物には、プロトン伝導性を付与するためにプロトン供与性の化合物が添加される。
一般式(II)および(III)におけるR8およびR10は、一般式(I)のR6と同義であり、好ましい範囲も同義である。
一般式(II)および(III)におけるA1およびA2は、脂肪族基および/または芳香族基を含む有機原子団で構成され、それらの例としては炭素数1〜12のアルキレン基、アリーレン基等、これらを組み合わせた基等が挙げられ、これらの基の間に一般式(I)中のL1で挙げた連結基を含んでいてもよい。さらに置換基を有していてもよい。特に好ましい連結基は、プロピレン基、メチレン基およびフェニレン基である。また、少なくとも一つのR8および少なくとも一つのR10が炭素数2以上であるのが好ましい。
m2およびm3はそれぞれ2または3が好ましく、m2またはm3が2以上のとき、それぞれの単位内は同一であっても良いし、異なっていてもよい。以下に、一般式(II)および(III)で表される好ましい化合物を例示するが、これらに限定されない。この中でも好ましくは、II-1〜II-9および、III-1〜III-4である。
一般式(II)で表される化合物は、市販品(東京化成工業(株)、信越化学工業(株)、アルドリッチ社(米国)、ゲレスト社(米国)など)として入手可能であったり、例えば、J.Org.Chem.,33巻、2918頁(1968年)、J.Org.Chem.,43巻、1687頁(1978年)に記載された方法で合成できる。
一般式(III)で表される化合物は、例えば、Chem.Lett.,454頁(2002年)、Dokl.Chem.(Engl.Trans.),339巻205頁(1994年)に記載された方法で合成できる。
さらに、上記ケイ素3次元架橋マトリックスには、メソゲン基を含む有機分子鎖が共有結合していることが好ましい。メソゲン基を含む有機分子鎖は、例えば、一般式(IV)または(V)で表される有機ケイ素化合物を前駆体としたゾル−ゲル反応により形成することができる。以下前駆体について詳しく説明する。
1.アルキル基
アルキル基はさらに、置換基を有していてもよく、より好ましくは炭素数1〜24、さらに好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、i−プロピル基、i−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、2−ヘキシルデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシルメチル基、オクチルシクロヘキシル基等である。
アリール基は置換基を有していても縮環していてもよく、より好ましくは炭素数6〜24のアリール基であり、例えばフェニル基、4−メチルフェニル基、3−シアノフェニル基、2−クロロフェニル基、2−ナフチル基等である。
ヘテロ環基は置換基を有していても縮環していてもよく、含窒素ヘテロ環基のときは環中の窒素が4級化していてもよい。より好ましくは炭素数2〜24のヘテロ環基であり、例えば4−ピリジル基、2−ピリジル基、1−オクチルピリジニウム−4−イル基、2−ピリミジル基、2−イミダゾリル基、2−チアゾリル基等である。
より好ましくは炭素数1〜24のアルコキシ基であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、メトキシエトキシ基、メトキシペンタ(エチルオキシ)基、アクリロイルオキシエトキシ基、ペンタフルオロプロポキシ基等である。
より好ましくは炭素数1〜24のアシルオキシ基であり、例えばアセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等である。
より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニル基であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等である。
例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基等である。
例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基、
アミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N-メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、
アシルアミノ基(例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基)等である。
例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基等である。
例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ基等である。
例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p-クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基等である。
例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基等である。
例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基等である。
例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基等である。
例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基等である。
例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基等である。
例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−クロロアセチル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル基、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)等である。
例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基等である。
炭素数3〜30のシリル基が好ましく、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジメトキシメチルシリル、ジエトキシメチルシリル、トリアセトキシシリル等である。
21.フルオロ基
22.メルカプト基
23.水酸基
[2−1] ゾル−ゲル法
本発明では、一般にゾル−ゲル法と呼ばれる金属アルコキシドの加水分解、縮合、乾燥、(場合によっては焼成)等によって固体を得る方法を用いる。例としては、特許文献1〜2、非特許文献1または2に記載されている方法を用いることができる。一般には、縮合のために酸触媒を用いるが、本発明では、[1−2]で述べた前駆体自身が酸触媒となるため、別途酸を添加しなくてもよい。
重合性基Y1が、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、エチニル基である場合、大津隆行・木下雅悦共著,「高分子合成の実験法」,化学同人や大津隆行著,「講座重合反応論1ラジカル重合(I)」,化学同人に記載された一般的な高分子合成法であるラジカル重合法を用いることができる。
材料の膜特性を向上させるため、必要に応じて、上記[1−1]〜[1−3]に記載した2種以上の前駆体を混合して用いてもよい。これらの前駆体にさらに他のケイ素化合物を添加してもよい。他のケイ素化合物の例としては、下記一般式(VII)で表される有機ケイ素化合物またはそれらをモノマーとするポリマーが挙げられる。
本発明のプロトン伝導体には、(1)膜の機械的強度を高める目的、および(2)膜中の酸濃度を高める目的で種々の高分子化合物を含有させてもよい。(1)機械的強度を高める目的には、分子量10,000〜1,000,000程度で本発明のプロトン伝導材料と相溶性のよい高分子化合物が適する。例えば、パーフッ素化ポリマー、ポリスチレン、ポリエチレングリコール、ポリオキセタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリなど、およびこれらの共重合体が好ましく、含有量としては1〜30質量%の範囲が好ましい。(2)酸濃度を高める目的には、ナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、側鎖にリン酸基を有するポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリベンズイミダゾールなどの耐熱芳香族高分子のスルホン化物などのプトロン酸部位を有する高分子化合物などが好ましく、含有量としては1〜30質量%の範囲が好ましい。
本発明において、ゾル−ゲル反応混合物を塗布する際の支持体は特に限定されないが、好ましい例としてはガラス基板、金属基板、高分子フィルム、反射板等を挙げることができる。高分子フィルムとしては、TAC(トリアセチルセルロース)等のセルロース系高分子フィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等のエステル系高分子フィルム、PTFE(ポリトリフルオロエチレン)等のフッ素系高分子フィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。塗布方式は公知の方法でよく、例えばカーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法等を用いることができる。
本発明のプロトン伝導材料を、多孔質基材の細孔に含浸させて膜を形成することが可能である。細孔を有する基材上に本発明のゾル−ゲル反応液を塗布含浸させるか、基材をゾル−ゲル反応液に浸漬し、細孔内にプロトン伝導材料を満たして膜を形成してもよい。細孔を有する基材の好ましい例としては、多孔性ポリプロピレン、多孔性ポリテトラフルオロエチレン、多孔性架橋型耐熱性ポリエチレン、多孔性ポリイミドなどが挙げられる。
本発明のプロトン伝導体には、アノード燃料とカソード燃料の酸化還元反応を促進させる活性金属触媒を添加してもよい。これにより、プロトン伝導体中に浸透した燃料が他方極に到達すること無くプロトン伝導体中で消費され、クロスオーバーを防ぐことができる。用いられる活性金属種は、電極触媒として機能するものであれば制限は無いが、白金または白金を基にした合金が適している。
[3−1]電池の構成
本発明の有機−無機ハイブリッド型プロトン伝導体を用いた燃料電池について説明する。図1は燃料電池電極膜複合体(以下「MEA」;Membrane and Electrode Assemblyという)10の構成を示す。MEA10は、プロトン伝導体11と、それを挟んで対向するアノード電極12及カソード電極13を備える。
アノード電極およびカソード電極には、カーボン材料に白金などの活性金属粒子を担持した触媒が用いられる。通常用いられる活性金属の粒子サイズは、2〜10nmの範囲であり、粒子サイズが小さい程単位質量当りの表面積が大きくなるので活性が高まり有利であるが、小さすぎると凝集させずに分散させることが難しくなり、2nm程度が限度といわれている。
触媒層の機能は、(1)燃料を活性金属に輸送すること(2)燃料の酸化(アノード極)、還元(カソード極)反応の場を提供すること、(3)酸化還元により生じた電子を集電体に伝達すること、(4)反応により生じたプロトンをプロトン伝導体に輸送すること、である。(1)のために触媒層は、液体および気体燃料が奥まで透過できる多孔質性であることが必要である。(2)は[3−2]で述べた活性金属触媒が、(3)は同じく[3−2]で述べたカーボン材料が担う。(4)の機能を果たすために、触媒層にプロトン伝導材料を混在させる。
電極基材、拡散層、あるいは裏打ち材とも呼ばれ、集電機能および水がたまりガスの拡散が悪化するのを防ぐ役割を担う。通常は、カーボンペーパーやカーボン布を使用し、撥水化のためにPTFE処理を施したものを使用することもできる。
MEAの作製には、次の4つの方法が好ましい。
プロトン伝導体塗布法:活性金属担持カーボン、プトロン伝導材料、溶媒を基本要素とする触媒ペースト(インク)をプロトン伝導体の両側に直接塗布し、多孔質導電シートを(熱)圧着して5層構成のMEAを作製する。
多孔質導電シート塗布法:触媒ペーストを多孔質導電シート表面に塗布し、触媒層を形成させた後、プロトン伝導体と圧着し、5層構成のMEAを作製する。
Decal法:触媒ペーストをPTFE上に塗布し、触媒層を形成させた後、プロトン伝導体に触媒層のみを転写させ3層のMEAを形成させ、多孔質導電シートを圧着し、5層構成のMEAを作製する。
触媒後担持法:白金未担持カーボン材料をプロトン伝導材料とともに混合したインクをプロトン伝導体、多孔質導電シートあるいはPTFE上に塗布・製膜した後、白金イオンを当該膜に含浸させ、白金粒子を膜中で還元析出させて触媒層を形成させる。触媒層を形成させた後は、プロトン伝導体に触媒層のみを転写させ3層のMEAを形成させ、多孔質導電シートを圧着し、5層構成のMEAを作製する。
固体高分子膜を用いる燃料電池の燃料として用いることのできるのは、アノード燃料としては、水素、アルコール類(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジメトキシメタン、トリメトキシメタンなど)、ギ酸、水素化ホウ素錯体、アスコルビン酸などが挙げられる。カソード燃料としては、酸素(大気中の酸素も含む)、過酸化水素などが挙げられる。
燃料電池の単セル電圧は一般的に1V以下であるので、負荷の必要電圧に合わせて、単セルを直列スタッキングして用いる。スタッキングの方法としては、単セルを平面上に並べる「平面スタッキング」および、単セルを、両側に燃料流路の形成されたセパレータを介して積み重ねる「バイポーラースタッキング」が用いられる。前者は、カソード極(空気極)が表面に出るため、空気を取り入れ易く、薄型にできることから小型燃料電池に適している。この他にも、MEMS技術を応用し、シリコンウェハー上に微細加工を施し、スタッキングする方法も提案されている。
燃料電池は、自動車用、家庭用、携帯機器用など様々な利用が考えられているが、特に、直接メタノール型燃料電池は、小型、軽量化が可能である、充電が不要である利点を活かし、様々な携帯機器やポータブル機器用エネルギー源としての利用が期待されている。例えば、好ましく適用できる携帯機器としては、携帯電話、モバイルノートパソコン、電子スチルカメラ、PDA、ビデオカメラ、携帯ゲーム機、モバイルサーバー、ウエラブルパソコン、モバイルディスプレイなどが挙げられる。好ましく適用できるポータブル機器としては、ポータブル発電機、野外照明機器、懐中電灯、電動(アシスト)自転車などが挙げられる。また、産業用や家庭用などのロボットあるいはその他の玩具の電源としても好ましく用いることができる。さらには、これらの機器に搭載された2次電池の充電用電源としても有用である。
(1)プロトン伝導体(E−1−1)の作製
II−4(0.48g)をメタノール(1.5g)に溶解し、30%過酸化水素水(1.4g)を添加した。混合物を室温で24時間攪拌した後、NMRによりII−4の−SH基の消失と−SO3H基の生成を確認した。このようにして調製したゾル(SOL−1)は無色透明であり、冷暗所(5℃)で5日間安定であった。
I−1(0.11g)、II−4(0.48g)およびVII−13(0.32g)をイソプロパノール(2ml)/キシレン(0.8ml)の混合溶媒に溶解し、30%過酸化水素水(1.5 g)を添加した。混合物を65℃5時間加熱した。当該混合物をポリイミド膜(ユーピレックス−75S、宇部興産(株)製)上に流延し、室温で69時間放置した後、固化した塗布物をポリイミド膜より剥離し、水洗、乾燥後に厚さ125μmの膜を得た。
I−1(0.11g)をI−9(0.08g)に代えた以外、(2)と同様の方法により厚さ130μmの膜を得た。
I−1を除いた以外、(2)と同様の方法により厚さ128μmの膜を得た。
上記実施例1で得られたプロトン伝導体(E−1−1〜E−1−3)およびナフィオン117(デュポン社製)を、ぞれぞれ、直径13mmの円形に打ち抜いてサンプルとした。これらのサンプルを、それぞれ10質量%メタノール水溶液5mlに、48時間浸漬した。本発明のプロトン伝導体(E−1−1〜E−1−3)は、ほとんど膨潤が見られず、浸漬前と形状および強度の変化が見られなかった。それに対してナフィオン117では、約70質量%の膨潤が見られ、膜の形状変化も観察された。
以上から本発明のプロトン伝導体は、直接メタノール型燃料電池に使用する燃料のメタノール水溶液に対して、十分な耐性を有することがわかった。
得られたプロトン伝導体(E−1−1〜E−1−3)、およびナフィオン117(デュポン社製)を、 図3に示すように、直径13mmの円形に打ち抜いたサンプル(プロトン伝導体31)を、円形の穴(直径5mm)が空いたテフロンテープで補強した(32)。当該補強膜を図3で示すステンレス製のセルに備え付け、上部にメタノール水溶液を注入し(33)、下部ガス導入口より一定流速で水素ガスを流し(34)、膜を透過するメタノール量を下部検出口(35)に接続したガスクロマトグラフィーにより測定した。その結果を表1に示す。ここで、メタノール濃度の各数値は、ナフィオン117の検出量を1としたときの相対値を示す。尚、図3において、36は、ゴムパッキンを示す。
ここで、メタノール濃度の各数値は、ナフィオン117の検出量を1としたときの相対値を示す。
1で得られた本発明のプロトン伝導体(E−1−1〜E−1−3)、および比較用のプロトン伝導体(R−1−1)、およびナフィオン117(デュポン社製)を直径13mmの円形に打ち抜き、さらに、これを2枚のステンレス板に挟み、交流インピーダンス法により、25℃、相対湿度95%におけるイオン伝導度を測定した。結果を表2に示す。
(1)触媒層の作製
(1−1) 触媒層Aの作製
白金担持カーボン(VulcanXC72に白金50質量%が担持)2gとナフィオン溶液(5%アルコール水溶液)15gを混合し、超音波分散器で30分間分散させた。分散物の平均粒子サイズは約500nmであった。得られた分散物をカーボンペーパー(厚さ350μm)上に塗設し、乾燥した後、直径9mmの円形に打ち抜き、触媒層Aを作製した。
水0.3mlで湿らせた白金/ルテニウム担持カーボン(ケッチェンブラックに白金20質量%、ルテニウム20質量%が担持)300mgに、実施例1の(1)で調製したSOL−1(0.8ml)を添加した後、超音波分散器で10分間分散させた。得られたペーストをカーボンペーパー(厚さ350μm)上に塗設し、乾燥した後、直径9mmの円形に打ち抜き触媒層Bを作製した。
上記(1−2)の白金/ルテニウム担持カーボンを(1−1)で用いた白金担持カーボンに変えた他は同様にして触媒層Cを作製した。
実施例1で作製したプロトン伝導体(E−1−1〜E−1−3)およびナフィオン117の両面に上記で得られた触媒層Aを塗布面がプロトン伝導体に接するように張り合わせ、80℃、3MPa、2分間で熱圧着し、順に、MEA−1−1〜MEA−1−3、MEA−R1を作製した。
(2)で得られたMEAを図2に示す燃料電池にセットし、アノード側開口部15に50質量%のメタノール水溶液を注入した。この時カソード側開口部16は大気と接するようにした。アノード電極12とカソード電極13間に、ガルバノスタットで5mA/cm2の定電流を通電し、この時のセル電圧を測定した。結果を表3に示す。
ナフィオン膜を用いたMEA−R1により作製した電池C−R1の初期電圧は高いものの、経時的に電圧が低下した。この経時的な電圧低下は、アノード電極側に供給された燃料のメタノールが、ナフィオン膜を通過してカソード電極側に漏れる、いわゆるメタノールクロスオーバー現象による。それに対して、本発明のプロトン伝導体を用いたMEA−1−1〜MEA−1−3により作製した電池C−1−1〜C−1−3は電圧が安定しており、より高い電圧を維持できることがわかった。
11・・・プロトン伝導体
12・・・アノード電極
12a・・・アノード極多孔質導電シート
12b・・・アノード極触媒層
13・・・カソード電極
13a・・・カソード極多孔質導電シート
13b・・・カソード極触媒層
14・・・パッキン
15・・・アノード極側開口部
16・・・カソード極側開口部
17・・・集電体
21,22・・・セパレータ
31 ・ ・ ・ プロトン伝導体
32 ・ ・ ・ テフロンテープ補強材
33 ・ ・ ・ メタノール水溶液注入部分
34 ・ ・ ・ キャリアガス導入口
35 ・ ・ ・ 検出口(ガスクロマトグラフィーに接続)
36 ・ ・ ・ ゴムパッキン
Claims (6)
- 下記一般式(I)で表される化合物と、下記一般式(II)および(III)で表される化合物の少なくとも1種とをゾル−ゲル反応してなる化合物。
- 前記ゾルゲル反応において、下記一般式(IV)および(V)で表される化合物の少なくとも1種をさらに添加することにより得られうる請求項1に記載の化合物。
一般式(VI)
- 請求項1または2に記載の化合物を含有する固体電解質。
- 請求項1または2に記載の化合物を含有するプロトン伝導体。
- 少なくとも2つの電極からなり、該2つの電極の間に請求項4に記載のプロトン伝導体が含まれている電極膜接合体。
- 請求項5に記載の電極膜接合体を有する燃料電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004086053A JP4149950B2 (ja) | 2004-03-24 | 2004-03-24 | 化合物、並びにこれを用いた、固体電解質、プロトン伝導体、電極膜接合体および燃料電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004086053A JP4149950B2 (ja) | 2004-03-24 | 2004-03-24 | 化合物、並びにこれを用いた、固体電解質、プロトン伝導体、電極膜接合体および燃料電池 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005272556A JP2005272556A (ja) | 2005-10-06 |
JP4149950B2 true JP4149950B2 (ja) | 2008-09-17 |
Family
ID=35172576
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004086053A Expired - Fee Related JP4149950B2 (ja) | 2004-03-24 | 2004-03-24 | 化合物、並びにこれを用いた、固体電解質、プロトン伝導体、電極膜接合体および燃料電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4149950B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4597835B2 (ja) * | 2005-10-18 | 2010-12-15 | 三星エスディアイ株式会社 | 燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜及びその製造方法並びに燃料電池 |
CN113501838A (zh) * | 2021-07-09 | 2021-10-15 | 大连海关技术中心 | 一种有机硅磺酸及其盐类的制备方法 |
-
2004
- 2004-03-24 JP JP2004086053A patent/JP4149950B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2005272556A (ja) | 2005-10-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4317005B2 (ja) | シリカゲル組成物、プロトン交換膜電極膜複合体、及び燃料電池 | |
US10411283B2 (en) | Polymer electrolyte membrane | |
JP2006236837A (ja) | 固体電解質およびその製造方法、電極膜接合体、ならびに、燃料電池 | |
US20060178500A1 (en) | Solid electrolyte, method for producing solid electrolyte, membrane and electrode assembly, and fuel cell | |
JP2004288582A (ja) | 有機−無機ハイブリッド型プロトン伝導膜及び燃料電池 | |
JP2006310159A (ja) | 固体電解質、電極膜接合体、燃料電池、および固体電解質の製造方法。 | |
JP2007220370A (ja) | 触媒材料、燃料電池用触媒膜、電極膜接合体および燃料電池 | |
JP2006244994A (ja) | 固体電解質、固体電解質の製造方法、電極膜接合体および燃料電池 | |
JP4149950B2 (ja) | 化合物、並びにこれを用いた、固体電解質、プロトン伝導体、電極膜接合体および燃料電池 | |
Inoue et al. | Performance of H2/O2 fuel cell using membrane electrolyte of phosphotungstic acid-modified 3-glycidoxypropyl-trimethoxysilanes | |
JP4316973B2 (ja) | 有機−無機ハイブリッド型プロトン伝導材料及び燃料電池 | |
EP3228613B1 (en) | Halogenated compound, polymer comprising same, and polymer electrolyte membrane comprising same | |
US20060008691A1 (en) | Compound, and solid electrolyte, proton conductor, membrane electrode assembly and fuel cell comprising the compound | |
JP2005146264A (ja) | 化合物、イオン交換体、プロトン伝導体および燃料電池 | |
JP2006199827A (ja) | プロトン伝導体、プロトン伝導体の製造方法、電極膜接合体および燃料電池 | |
JP2006216261A (ja) | 固体電解質、固体電解質の製造方法、電極膜接合体および燃料電池 | |
JP4094924B2 (ja) | 有機−無機ハイブリッド型プロトン伝導材料及び燃料電池 | |
JP2005248152A (ja) | 化合物、ならびにこれを用いた固体電解質、電極膜接合体および燃料電池 | |
Atiqur Rahman et al. | High Proton Conductivity of 3D Graphene Oxide Intercalated with Aromatic Sulfonic Acids | |
JP4043919B2 (ja) | プロトン伝導材料及び燃料電池 | |
JP2006310158A (ja) | 固体電解質、電極膜接合体、燃料電池および固体電解質の製造方法。 | |
JP2005272780A (ja) | 高分子電解質およびそれを用いた電極膜接合体、燃料電池、並びに高分子電解質の製造方法 | |
Itoh et al. | Synthesis and characteristics of hyperbranched polymer with phosphonic acid groups for high-temperature fuel cells | |
JP2005129290A (ja) | イオン交換体の製造方法、イオン交換体、電極膜複合体、および燃料電池 | |
JP2006104232A (ja) | 固体電解質、固体電解質の製造方法および電極膜接合体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060419 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20061213 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20071112 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20071120 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20071228 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080624 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080626 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110704 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110704 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120704 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120704 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130704 Year of fee payment: 5 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |