JP2005129290A - イオン交換体の製造方法、イオン交換体、電極膜複合体、および燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】有機原子団の配向が制御されたプロトン伝導膜の製造方法を提供すること、このプロトン伝導膜を使用した燃料電池を提供することである。
【解決手段】
イオン交換性基に変換可能な置換基を有する、メソゲンを含む構造単位を有する化合物、及びイオン交換性基に変換可能な置換基を含む構造単位と、メソゲンを含む構造単位とを有する化合物の少なくとも一種を膜状に形成する工程と、前記膜状に形成する工程の後に、前記イオン交換性基に変換可能な置換基をイオン交換性基に変換する工程と、を有するイオン交換体の製造方法。
【解決手段】
イオン交換性基に変換可能な置換基を有する、メソゲンを含む構造単位を有する化合物、及びイオン交換性基に変換可能な置換基を含む構造単位と、メソゲンを含む構造単位とを有する化合物の少なくとも一種を膜状に形成する工程と、前記膜状に形成する工程の後に、前記イオン交換性基に変換可能な置換基をイオン交換性基に変換する工程と、を有するイオン交換体の製造方法。
Description
本発明は、イオン交換膜の製造方法およびそれを用いた燃料電池に関する。
近年、固体高分子型燃料電池は地球環境にやさしいクリーンな発電装置として、家庭用電源、車載用電源等への実用化が期待されている。これらの固体高分子型燃料電池では、水素と酸素を燃料として使用するものが主流となっている。また、最近では、燃料として水素の替わりにメタノールを用いる直接メタノール型燃料電池(DMFC)が提案され、研究されている。DMFCはプロトン伝導型のイオン交換膜を使用して動作する。
固体高分子型燃料電池用電解質膜(イオン交換膜)の重要な機能は、正極触媒電極に供給される燃料(水素、メタノール水溶液等)と負極に供給される酸化剤ガス(酸素等)を物理的に絶縁すること、正極と負極を電気的に絶縁すること、および電極上で生じるイオン、特にプロトンを反対極に伝達することである。これらの機能を満たすためには、ある程度の機械的強度と高いイオン伝導性が要求される。
固体高分子型燃料電池電解質膜には、一般にナフィオン(登録商標)に代表されるスルホン酸基含有パーフルオロカーボン重合体が用いられている。これらの電解質膜はイオン伝導度に優れ、機械的強度も比較的高いものであるが、以下のような改善すべき点がある。すなわち、これらの電解質膜では膜に含まれる水とスルホン酸基により生成したクラスターチャンネルの中で水を介してプロトンが伝導するため、イオン伝導度が電池使用環境の湿度による膜含水率に大きく依存する。固体高分子型燃料電池は、COによる触媒電極の被毒低減と触媒電極の高活性化の観点から、100〜150℃の温度領域で作動させるのが好ましい。しかし、このような中温度領域では電解質膜の含水率の低下とともにイオン伝導度が低下するため、期待した電池特性が得られない。また、電解質膜の軟化点が120℃付近にあり、この温度域で作動させた場合には電解質膜の機械的強度が乏しい。一方、これらの電解質膜をDMFCに用いた場合には燃料のメタノールに対するバリヤ性が低いため、正極に供給したメタノールが電解質膜を透過し負極に到達してしまう。これが原因となり電池出力が低下する、いわゆるメタノールクロスオーバー現象が起こり、DMFC実用化のための解決すべき重要な課題の一つとなっている。
ナフィオン(登録商標)に代わるプロトン伝導材料を開発する機運が高まり、幾つかの有望な電解質材料が提案されている。例えば、無機材料の特性を活かしながら製膜を容易にするための方策として、一つには高分子材料と複合化したナノコンポジッド材料が提案されている。例えば、スルホン酸基を側鎖に有する高分子化合物と、ケイ素酸化物およびプロトン酸との複合化によりプロトン伝導膜を作製する方法が開示されている(特許文献1〜3)。他には有機ケイ素化合物を前駆体とし、プロトン酸存在下のゾル−ゲル反応により生成する有機−無機ナノハイブリッド型のプロトン伝導材料が提案されている(特許文献4〜5および非特許文献1〜3)。これらの有機−無機コンポジッドおよびハイブリッド型プロトン伝導材料は、ケイ酸とプロトン酸からなりプロトン伝導部位である無機成分と材料に柔軟性を付与する有機成分とにより構成されるが、膜のプロトン伝導度を高めるために無機成分を増やすと膜の機械的強度が低下し、柔軟性を得るために有機成分を増やすとプロトン伝導度が低下するため、2つの特性を満足する材料を得ることが困難である。また、DMFC用途として重要な特性であるメタノール透過性に関しては、十分な記載がない。
本発明の目的は、有機原子団の配向が制御されたメタノール透過量が少なく、燃料電池に用いたときに電圧降下の割合が少ないイオン交換体およびその製造方法を提供すること、このイオン交換体を使用した電極膜複合体、及び燃料電池の提供にある。
本発明者らは、イオン交換性基に変換できる置換基を持つ状態で膜中の原子団の配向を制御し、その後にイオン交換性基に変換できる置換基をイオン交換性基に変換することで、配向を制御したイオン交換膜が作成できることを見出し、本発明に至った。
本発明の目的は下記の構成により達成することができる。
(1)イオン交換性基に変換可能な置換基を有する、メソゲンを含む構造単位を有する化合物、及びイオン交換性基に変換可能な置換基を含む構造単位と、メソゲンを含む構造単位とを有する化合物の少なくとも一種を膜状に形成する工程と、前記膜状に形成する工程の後に、前記イオン交換性基に変換可能な置換基をイオン交換性基に変換する工程と、を有するイオン交換体の製造方法。
(2)前記イオン交換性基がプロトン供与性基である上記(1)に記載の製造方法。
(3)前記膜状に成形する工程の後に、前記メソゲンの配向工程をさらに含む上記(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)前記メソゲンを含む構造単位を有する化合物は、少なくとも一種のケイ素化合物である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)前記イオン交換性基に変換可能な置換基は、酸化数が1以下の硫黄原子を含む基である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)前記メソゲンを含む構造単位は、下記一般式(I)で表される上記(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
(一般式(I)中、A1はメソゲンを含む有機原子団を表し、R11はアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、R12は水素原子、アルキル基、アリール基またはシリル基を表し、Y1は重合により炭素−炭素結合または炭素−酸素結合を形成しうる重合性基を表し、m1は1〜3の整数を表し、n11は1〜8の整数を表し、n12は0〜4の整数を表す。)
前記イオン交換性基に変換可能な置換基を含む構造単位は、下記一般式(II)及び(III)で表されるものの少なくとも一種である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
(一般式(II)および(III)中、B2およびB3はそれぞれ脂肪族基および/または芳香族基を含む連結基を表し、R21およびR31はそれぞれアルキル基またはアリール基を表し、m2およびm3はそれぞれ1〜3の整数を表し、n2およびn3はそれぞれ1〜8の整数を表し、R22およびR32はそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基またはシリル基を表し、m2またはm3が2以上のときR22またはR23はそれぞれ同一でも異なってもよい。)
上記(1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法により得られうるイオン交換体。
上記(8)に記載のイオン交換体を有する電極膜複合体。
上記(9)に記載の電極膜複合体を有する燃料電池。
本発明の製造方法によって製造した膜は、高濃度のメタノール水溶液に対する安定性が高く、特にメタノール濃度が高い場合にメタノール透過性も低い。本発明の製造法によって製造した膜を用いた電極膜複合体を使用した燃料電池では、端子電圧の経時による電圧降下が小さい。これは、特許文献5に記載の方法と比較し、配向処理を施すことで膜中の原子団の配向度が高まることによって、膜の緻密性が高まり膨潤性が抑制されることおよびイオン交換性基が配向することで、膨潤性が低くても比較的高いイオン交換速度(イオン伝導度)を示すためと考えられる。
以下において、本願発明の内容について詳細に説明する。尚、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
(イオン交換体の製造法)
本発明イオン交換体(ここで、イオンとはプロトンも含む。好ましくはプロトン伝導膜)は、イオン交換(プロトン供与)性基に変換可能な置換基とメソゲンとを含む構造単位からなる重合体を膜状に形成し、さらに前記イオン交換(プロトン供与)性基に変換可能な置換基をイオン交換(プロトン供与)性基に変換してイオン交換体(好ましくはプロトン伝導膜)を製造するものである。ここで、イオン交換(プロトン供与)性基に変換可能な置換基とは、例えば、反応によってイオン交換(プロトン供与)性基となる置換基をいう。
本発明イオン交換体(ここで、イオンとはプロトンも含む。好ましくはプロトン伝導膜)は、イオン交換(プロトン供与)性基に変換可能な置換基とメソゲンとを含む構造単位からなる重合体を膜状に形成し、さらに前記イオン交換(プロトン供与)性基に変換可能な置換基をイオン交換(プロトン供与)性基に変換してイオン交換体(好ましくはプロトン伝導膜)を製造するものである。ここで、イオン交換(プロトン供与)性基に変換可能な置換基とは、例えば、反応によってイオン交換(プロトン供与)性基となる置換基をいう。
また、本発明で採用する重合体は、例えば、イオン交換性基に変換可能な置換基を含むモノマとメソゲンを含むモノマとを重合した重合体やイオン交換性基に変換可能な置換基とメソゲンとを含むモノマを重合した重合体があげられる。尚、本発明でいう重合体には、1種類のモノマから構成されるものであっても、2種類以上のモノマの共重合体のいずれも含まれる趣旨である。
重合反応としてはラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、縮重合等を用いることができるが、一般にゾル−ゲル法と呼ばれる金属アルコキシドの加水分解-縮重合を用いるものが好ましい。この場合、縮合のために酸触媒を用いる。
このプロトン伝導膜の作製方法は、金属アルコキシドあるいは一般式(I)、一般式(II)および/または(III)で表される化合物を含む任意の溶媒の溶液を調製し、これに酸あるいは酸及び水を添加し、部分的にアルコキシ基の加水分解と縮重合(以後「ゾル−ゲル)反応という)を進行させる。酸および水は同時に加えても良いし、いずれかを先に加えても良い。その際、必要に応じ加熱してもよい。反応混合液(ゾル)の粘度は、徐々に増し、流動性がある段階で、ゾルを所望の容器に流し込むか、塗布した後、溶媒を揮発、乾燥させることにより膜状の固体を得ることができる。また、ゾルの溶媒を留去、乾燥すると固体が得られ、これを任意の溶媒に溶解し、製膜しても良い。得られた膜は処理によって、配向度を高め、生成するポリマーネットワークをより緻密にすることができる。この後、プロトン供与性基に変換できる薬品で処理することにより、プロトン供与性基を含む膜が得られる。
ゾル−ゲル反応に用いる溶媒は、前駆体の有機ケイ素化合物を溶解するものであれば特に制限はないが、好ましくはカーボネート化合物(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、複素環化合物(3−メチル−2−オキサゾリジノン、N−メチルピロリドン等)、環状エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、鎖状エーテル類(ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等)、多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等)、ニトリル化合物(アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、エステル類(カルボン酸エステル、リン酸エステル、ホスホン酸エステル等)、非プロトン極性物質(ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、非極性溶媒(トルエン、キシレン等)、塩素系溶媒(メチレンクロリド、エチレンクロリド等)、水等を用いることができる。中でも、エタノール、イソプロパノール、フッ素置換アルコール等のアルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類等が特に好ましい。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。また乾燥速度を制御する目的で、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジオキサン等の沸点100℃以上の溶媒を上記溶媒に添加しても良い。全溶媒量は、前駆体化合物1gに対し好ましくは0.1〜100gであり、より好ましくは1〜10gである。
ゾル−ゲル反応の進行を速める目的で酸触媒を用いてもよい。酸触媒としては無機または有機のプロトン酸が好ましい。無機プロトン酸としては、塩酸、硫酸、リン酸類(H3PO4、H3PO3、H4P2O7、H5P3O10、メタリン酸、ヘキサフルオロリン酸等)、硼酸、硝酸、過塩素酸、テトラフルオロ硼酸、ヘキサフルオロ砒素酸、臭化水素酸、固体酸(タングストリン酸、タングステンペルオキソ錯体等)等が挙げられる。有機プロトン酸としては、リン酸エステル類(例えば炭素数1〜30のリン酸エステル類であり、リン酸メチルエステル、リン酸プロピルエステル、リン酸ドデシルエステル、リン酸フェニルエステル、リン酸ジメチルエステル、リン酸ジドデシルエステル等)、亜リン酸エステル類(例えば炭素数1〜30の亜リン酸エステル類であり、亜リン酸メチルエステル、亜リン酸ドデシルエステル、亜リン酸ジエチルエステル、亜リン酸ジイソプロピル、亜リン酸ジドデシルエステル等)、スルホン酸類(例えば炭素数1〜15のスルホン酸類であり、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキサフルオロベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸等)、カルボン酸類(例えば炭素数1〜15のカルボン酸類であり、酢酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、置換安息香酸等)、イミド類(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸、トリフルオロメタンスルホニルトリフルオロアセトアミド等)、ホスホン酸類(例えば炭素数1〜30のホスホン酸類であり、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジフェニルホスホン酸、1,5−ナフタレンビスホスホン酸等)等の低分子化合物、またはナフィオン(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、側鎖にリン酸基を有するポリ(メタ)アクリレート(例えば、特開2001−114834号公報に記載のもの)、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(例えば、特開平6−93111号公報に記載のもの)、スルホン化ポリエーテルスルホン(例えば、特開平10−45913号公報に記載のもの)、スルホン化ポリスルホン(例えば、特開平9−245818号公報似記載のもの)等の耐熱芳香族高分子のスルホン化物等のプロトン酸部位を有する高分子化合物が挙げられる。これらを2種以上併用することも可能である。
ゾル−ゲル反応の反応温度は反応速度に関連し、前駆体の反応性と選択した酸の種類および量に応じて選択することができる。好ましくは−20℃〜150℃であり、より好ましくは0℃〜130℃であり、さらに好ましくは20℃〜100℃である。
本発明において、ゾル−ゲル反応混合物を塗布する際の支持体は特に限定されないが、好ましい例としてはガラス基板、金属基板、高分子フイルム、反射板等を挙げることができる。高分子フイルムとしては、TAC(トリアセチルセルロース)等のセルロース系高分子フイルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等のエステル系高分子フイルム、PTFE(ポリトリフルオロエチレン)等のフッ素系高分子フィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。塗布方式は公知の方法でよく、例えばカーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法等を用いることができる。
本発明では、重合体を膜状に形成した後、例えば、塗布−乾燥中に、メソゲンの配向させる。配向を促進させるために、様々な手法を採用することができる。例えば、前述の支持体等に事前に配向処理を施すことができる。配向処理としては種々の一般的な方法を採用できるが、好ましくは各種ポリイミド系配向膜、ポリビニルアルコール系配向膜等の液晶配向層を支持体等の上に設け、ラビング等の配向処理行う方法、支持体上のゾル−ゲル組成物に磁場や電場等を印加する方法、加熱する方法等を用いることができる。
加熱する方法は簡便で好ましく、偏光顕微鏡下で配向状態を観察しながら加熱処理を行うこともできる。加熱温度は30℃〜250℃が好ましく、50℃から150℃がさらに好ましい。また、加熱プロファイルを制御することで配向状態を制御することも可能であり、温度変化速度は毎分±0.1〜100℃が好ましく、毎分±1〜10℃がさらに好ましい。さらに、加熱、冷却した物体に接触させ、急激に加熱、冷却することもできる。
プロトン供与性基に変換できる薬品で処理することで本発明のプロトン伝導膜が得られるが、一般式(II)、一般式(III)の化合物を使用した場合には、酸化剤が好ましい。さらに好ましくは、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、酸化クロム、臭素水、硝酸およびこれらの水溶液が挙げられる。この処理液には有機溶媒等が添加されていても良い。
上記処理は、上記処理液に膜を浸漬、あるいは上記処理液を膜に塗布することで処理液を膜に含浸させることで行うことができる。処理温度は10℃〜100℃が好ましく、20℃から80℃がさらに好ましい。処理時間は数分から数日の間で任意に選ぶことができる。処理後には処理液を洗浄するのがよい。支持体からの剥離は上記処理の前でも良く、後でも良い。上記処理中に自然に剥離することもある。
有機-無機ハイブリッド型プロトン伝導膜の配向状態は、偏光顕微鏡により光学異方性を観察することにより確認することができる。観察方向は任意でよいが、クロスニコル下でサンプルを回転させ、明暗が切り替わる部分があれば異方性があるといえる。配向状態は異方性を示す状態であれば特に制限はない。液晶相と認識できるテクスチャーが観察される場合は相を特定することができ、リオトロピック液晶相でもサーモトロピック液晶相でもよい。配向状態はリオトロピック液晶相の場合はヘキサゴナル相、キュービック相、ラメラ相、スポンジ相、ミセル相が好ましく、特に室温でラメラ相もしくはスポンジ相を示すことが好ましい。サーモトロピック液晶相ではネマチック相、スメクチック相、クリスタル相、カラムナー相およびコレステリック相が好ましく、特に室温でスメクチック相、クリスタル相を示すことが好ましい。また、これらの相における配向が固体状態で保持されている配向状態も好ましい。ここでいう異方性とは分子の方向ベクトルが等方的ではない状態をいう。
支持体より剥離して得られる有機−無機ハイブリッド型プロトン伝導膜の厚さは、10〜500μmが好ましく、25〜150μmが特に好ましい。
(メソゲン含有モノマ)
本発明では、プロトン供与性基に変換可能な置換基とメソゲンとを含む繰り返し単位からなる重合体を用いる。ここで、当該重合体は、例えば、プロトン供与性基に変換可能な置換基を含むモノマ、メソゲンを含むモノマを重合したもの、あるいは、プロトン供与性基に変換可能な置換基とメソゲンとを含むモノマを重合したものを採用できる。プロトン供与性基に変換可能な置換基を持つモノマとメソゲンとを含むモノマは、例えば、ケイ素化合物、特にアルコキシシラン化合物であることが好ましい。
本発明では、プロトン供与性基に変換可能な置換基とメソゲンとを含む繰り返し単位からなる重合体を用いる。ここで、当該重合体は、例えば、プロトン供与性基に変換可能な置換基を含むモノマ、メソゲンを含むモノマを重合したもの、あるいは、プロトン供与性基に変換可能な置換基とメソゲンとを含むモノマを重合したものを採用できる。プロトン供与性基に変換可能な置換基を持つモノマとメソゲンとを含むモノマは、例えば、ケイ素化合物、特にアルコキシシラン化合物であることが好ましい。
メソゲンを持つモノマがアルコキシシラン化合物である場合、一般式(I)で表される化合物であることが好ましい。一般式(I)ではR11はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R12は水素原子、アルキル基、アリール基またはシリル基を表す。R11、R12で表されるアルキル基の好ましい例としては、直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基(例えば炭素数1〜20のアルキル基であり、具体低には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基等)が挙げられる。R11、R12で表されるアリール基の好ましい例としては、炭素数6〜20の置換または無置換のフェニル基、ナフチル基が挙げられ、R11、R12で表されるヘテロ環基の好ましい例としては、置換または無置換のへテロ6員環(ピリジル、モルホリノ基等)、置換または無置換のヘテロ5員環(フリル、チオフェン基等)等が挙げられる。また、R11、R12で表されるシリル基の好ましい例としては、炭素数1〜10のアルキル基から選ばれた3つのアルキル基で置換されたシリル基(トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基等)、またはポリシロキサン基(−(Me2SiO)nH(n=10〜100)等)が挙げられる。尚、m1、3−m1、n12またはn11が2以上の場合、それぞれの単位内は、同一であっても良いし異なっていても良い。
A1は、メソゲンを含む有機原子団であり、メソゲン基の好ましい例としては、Dietrich Demus および Horst Zaschkeによる 「Flussige Kristalle in Tabellen II」, 1984年, p.7-18に記載されているものが挙げられる。中でも、下記一般式(IV)で表されるものが好ましい。
一般式(IV)中、Q51およびQ52は2価の連結基または単結合を表す。2価の連結基としては、−CH=CH−、−CH=N−、−N=N−、−N(O)=N−、−COO−、−COS−、−CONH−、−COCH2−、−CH2CH2−、−OCH2−、−CH2NH−、−CH2−、−CO−、−O−、−S−、−NH−、−(CH2)1〜3−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−CO−、−(C≡C)1〜3−、これらの組合せ等が好ましく、−CH2−、−CO−、−O−、−CH=CH−、−CH=N−、−N=N−、これらの組合せ等がより好ましい。これらの2価の連結基は水素原子が他の置換基で置換された基であってもよい。Q51およびQ52は、アルキレン基、アルケニレン基、1以上の−O−と1以上の−(CH2)1〜12−の組み合わせまたは単結合であるのが好ましく、−〔−O−(CH2)m6〕m7− (m6は1〜8の整数であり、m7は1〜3の整数である。m7が2以上の場合は、それぞれのカッコ内は異なっていてもよい。)が好ましい。尚、m5が2以上の場合、それぞれのカッコ内は同一であっても良いし、異なっていても良い。
Y5は2価の4〜7員環の置換基、またはそれらから構成される縮合環の置換基を表し、m5は1〜3の整数を表す。Y5は好ましくは6員環の芳香族基、4〜6員環の飽和または不飽和脂肪族基、5または6員環の複素環基、またはそれらの縮合環である。Y5の好ましい具体例としては、以下に示す(Y−1)〜(Y−30)で表される置換基、およびこれらの組合せが挙げられる。これらの置換基の中でより好ましくは(Y−1)、(Y−2)、(Y−18)、(Y−19)、(Y−21)、(Y−22)および(Y−29)であり、さらに好ましくは(Y−1)、(Y−2)、(Y−21)および(Y−29)である。特に、上述の−〔−O−(CH2)m6〕m7− (m6は1〜8の整数であり、m7は1〜3の整数である。m7が2以上の場合は、それぞれのカッコ内は異なっていてもよい。)と(Y−2)との組み合わせが好ましい。
有機ケイ素化合物は、分子の配向性を高めるために、メソゲンとともに炭素数5以上のアルキル基またはアルキレン基を含むのが好ましい。アルキル基またはアルキレン基の炭素数は5〜25が好ましく、6〜18がより好ましい。有機ケイ素化合物に含まれるアルキル基またはアルキレン基は置換基を有していてもよい。好ましい置換基としては以下の基が挙げられる。
1.アルキル基
アルキル基は置換基を有していてもよく、より好ましくは炭素数1〜24、さらに好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、i−プロピル基、i−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、2−ヘキシルデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシルメチル基、オクチルシクロヘキシル基等である。
アルキル基は置換基を有していてもよく、より好ましくは炭素数1〜24、さらに好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、i−プロピル基、i−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、2−ヘキシルデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシルメチル基、オクチルシクロヘキシル基等である。
2.アリール基
アリール基は置換基を有していても縮環していてもよく、より好ましくは炭素数6〜24のアリール基であり、例えばフェニル基、4−メチルフェニル基、3−シアノフェニル基、2−クロロフェニル基、2−ナフチル基等である。
アリール基は置換基を有していても縮環していてもよく、より好ましくは炭素数6〜24のアリール基であり、例えばフェニル基、4−メチルフェニル基、3−シアノフェニル基、2−クロロフェニル基、2−ナフチル基等である。
3.複素環基
複素環基は置換基を有していても縮環していてもよく、含窒素複素環基のときは環中の窒素が4級化していてもよい。より好ましくは炭素数2〜24の複素環基であり、例えば4−ピリジル基、2−ピリジル基、1−オクチルピリジニウム−4−イル基、2−ピリミジル基、2−イミダゾリル基、2−チアゾリル基等である。
複素環基は置換基を有していても縮環していてもよく、含窒素複素環基のときは環中の窒素が4級化していてもよい。より好ましくは炭素数2〜24の複素環基であり、例えば4−ピリジル基、2−ピリジル基、1−オクチルピリジニウム−4−イル基、2−ピリミジル基、2−イミダゾリル基、2−チアゾリル基等である。
4.アルコキシ基
より好ましくは炭素数1〜24のアルコキシ基であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、メトキシエトキシ基、メトキシペンタ(エチルオキシ)基、アクリロイルオキシエトキシ基、ペンタフルオロプロポキシ基等である。
より好ましくは炭素数1〜24のアルコキシ基であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、メトキシエトキシ基、メトキシペンタ(エチルオキシ)基、アクリロイルオキシエトキシ基、ペンタフルオロプロポキシ基等である。
5.アシルオキシ基
より好ましくは炭素数1〜24のアシルオキシ基であり、例えばアセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等である。
より好ましくは炭素数1〜24のアシルオキシ基であり、例えばアセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等である。
6.アルコキシカルボニル基
より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニル基であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等である。
より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニル基であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等である。
7.シアノ基
8.フルオロ基
9.アルコキシカルボニル基
8.フルオロ基
9.アルコキシカルボニル基
Y1は、炭素−炭素または炭素−酸素結合を形成し重合体を生成しうる重合性基であり、例えばアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、エチニル基、アルキレンオキシド基(エチレンオキシド基、トリメチレンオキシド基等)等が挙げられる。中でもアクリロイル基、メタクリロイル基、エチレンオキシド基、トリメチレンオキシド基等が好ましい。
一般式(I)中、シリル基(−Si(OR12)m1(R11)3-m1)は、有機原子団A1を構成するメソゲン基、アルキレン基またはアルケニレン基に単結合するか、連結基を介して結合する。連結基は炭素数1〜15のアルキレン基であるか、それらのアルキレン基とメソゲンの連結基Q51、Q52との組合せであるのが好ましい。シリル基はアルキレン基に結合しているのが好ましい。
m1は3であるのが好ましく、n11は1〜3であるのが好ましい。以下に有機ケイ素化合物の具体例を挙げるがこれらに限定されるものではない。
(反応によってプロトン供与性基となる置換基を含むモノマ)
本発明のプロトン伝導膜では、好ましくは酸化数が1以下の硫黄原子を含むモノマが用いられ、さらに好ましくは、さらにケイ素を含むモノマが用いられる。この場合、アルコキシシラン化合物が好ましい。特に、一般式(II)または一般式(III)で表される化合物が好ましく用いられる。
本発明のプロトン伝導膜では、好ましくは酸化数が1以下の硫黄原子を含むモノマが用いられ、さらに好ましくは、さらにケイ素を含むモノマが用いられる。この場合、アルコキシシラン化合物が好ましい。特に、一般式(II)または一般式(III)で表される化合物が好ましく用いられる。
式(II)および式(III)中、連結基B2およびB3は、脂肪族基および/または芳香族基を含む有機原子団で構成され、それらの例としては炭素数1から20の(好ましくは、炭素数2〜12)のアルキレン基、フェニレン基等、これらを組み合わせた基等が挙げられ、これらの連結基の間に−O−、−S−、−CO−、−NR'−(R'は水素原子またはアルキル基を表す。)、−SO2−、−CH2O−、−COO−などの2価の連結基を含んでいてもよく、さらに置換基を有していてもよい。一般式(VI)および(VII)のB2およびB3として特に好ましい連結基は、炭素数1〜10の(さらに好ましくは炭素数3〜6のアルキレン基)(例えば、プロピレン基、メチレン基)およびフェニレン基である。また、R22およびR32は、少なくとも一つのR22および少なくとも一つのR32が炭素数6以下であるのが好ましく、炭素数6以下のアルキル基がより好ましい。さらに、全てのR22及びR32が炭素数6以下のアルキル基であるのが好ましい。m2およびm3はそれぞれ2または3が好ましく、n2およびn3はそれぞれ1が好ましい。尚、m2、3−m2、n2、m3、3−m3、n3が2以上の場合、それぞれのカッコ内は、同一であっても良いし、異なっていても良い。さらに、一般式(II)のうち、以下に、一般式(II)および(III)で表される好ましい化合物を例示するが、これらに限定されない。
(重合性基Y1による重合)
重合性基Y1が、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、エチニル基等の炭素−炭素不飽和結合である場合、大津隆行・木下雅悦共著,「高分子合成の実験法」,化学同人や大津隆行著,「講座重合反応論1ラジカル重合(I)」,化学同人に記載された一般的な高分子合成法であるラジカル重合法を用いることができる。ラジカル重合法として、熱重合開始剤を用いる熱重合法と光重合開始剤を用いる光重合法を使用することができる。熱重合開始剤の好ましい例としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキシド等の過酸化物系開始剤等が挙げられ、光重合開始剤の好ましい例としては、α−カルボニル化合物(例えば、米国特許2367661号公報および同2367670号公報に記載のもの)、アシロインエーテル(例えば、米国特許244828号公報に記載のもの)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(例えば、米国特許2722512号公報に記載のもの)、多核キノン化合物(例えば、米国特許3046127号公報および同2951758号公報に記載のもの)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(例えば、米国特許35493676号公報に記載のもの)、アクリジンおよびフェナジン化合物(例えば、特開昭60−105667号公報および米国特許4239850号公報に記載のもの)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号公報に記載のもの)が挙げられる。
重合性基Y1が、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、エチニル基等の炭素−炭素不飽和結合である場合、大津隆行・木下雅悦共著,「高分子合成の実験法」,化学同人や大津隆行著,「講座重合反応論1ラジカル重合(I)」,化学同人に記載された一般的な高分子合成法であるラジカル重合法を用いることができる。ラジカル重合法として、熱重合開始剤を用いる熱重合法と光重合開始剤を用いる光重合法を使用することができる。熱重合開始剤の好ましい例としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキシド等の過酸化物系開始剤等が挙げられ、光重合開始剤の好ましい例としては、α−カルボニル化合物(例えば、米国特許2367661号公報および同2367670号公報に記載のもの)、アシロインエーテル(例えば、米国特許244828号公報に記載のもの)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(例えば、米国特許2722512号公報に記載のもの)、多核キノン化合物(例えば、米国特許3046127号公報および同2951758号公報に記載のもの)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(例えば、米国特許35493676号公報に記載のもの)、アクリジンおよびフェナジン化合物(例えば、特開昭60−105667号公報および米国特許4239850号公報に記載のもの)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号公報に記載のもの)が挙げられる。
重合開始剤は、上記ゾル−ゲル反応前に反応液に添加しても、ゾル−ゲル反応後であって反応液を塗布する直前に添加しても良い。重合開始剤の添加量はモノマ総量に対し好ましくは0.01〜20質量%であり、より好ましくは0.1〜10質量%である。
Y1で表される重合性基がエチレンオキシド基、トリメチレンオキシド基等のアルキレンオキシド基の場合、重合触媒としてはプロトン酸(上記で挙げたプロトン酸)やルイス酸(好ましくは三フッ化ホウ素(エーテル錯体を含む)、塩化亜鉛、塩化アルミニウム等)を好ましく用いることができる。プロトン酸としてゾル−ゲル反応のプロトン酸を用いる場合には、重合性基Y1の重合用に特に添加する必要はない。重合触媒を添加する場合には、塗布する直前に反応液に添加するのが好ましい。通常、重合は塗布後に加熱または光照射により膜中で進行させる。これにより分子の配向状態が固定され、また膜の強度も向上する。
(複数のモノマの併用)
材料の膜特性(引っぱり強度、圧縮強度、脆性、耐熱性、耐溶剤性、耐酸化性)を向上させるため、必要に応じて、上記に記載した2種以上のモノマを混合して用いてもよい。例えば、一般式(I)で表されるモノマにおけるm1が3と2の化合物を混合するか、一般式(II)または一般式(III)で表される前駆体におけるm2、m3が3と2の化合物を混合するか、あるいはこれらを組み合わせることよってより柔軟な膜を形成することができる。これらの前駆体に、さらに、他のケイ素化合物を添加してもよい。他のケイ素化合物の例としては、下記一般式(V)で表される有機ケイ素化合物またはそれらをモノマとするポリマーが挙げられる。
材料の膜特性(引っぱり強度、圧縮強度、脆性、耐熱性、耐溶剤性、耐酸化性)を向上させるため、必要に応じて、上記に記載した2種以上のモノマを混合して用いてもよい。例えば、一般式(I)で表されるモノマにおけるm1が3と2の化合物を混合するか、一般式(II)または一般式(III)で表される前駆体におけるm2、m3が3と2の化合物を混合するか、あるいはこれらを組み合わせることよってより柔軟な膜を形成することができる。これらの前駆体に、さらに、他のケイ素化合物を添加してもよい。他のケイ素化合物の例としては、下記一般式(V)で表される有機ケイ素化合物またはそれらをモノマとするポリマーが挙げられる。
一般式(V)中、R51は置換または無置換のアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R52は水素原子、アルキル基、アリール基またはシリル基を表し、m8は0〜4の整数を表し、m8または4−m8が2以上のとき、R51またはR52はそれぞれ同一でも異なってもよい。また、R51またはR52の置換基により互いに連結し、多量体を形成してもよい。
一般式(V)のm8は0または1が好ましく、R52はアルキル基が好ましい。さらにm8が0のときの好ましい化合物の例としては、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)等が挙げられる。一般式(V)の好ましい化合物の例としては以下の化合物が挙げられる。
一般式(V)で表される化合物を併用する場合、前駆体の有機ケイ素化合物に対して1〜50モル%の範囲で用いるのが好ましく、1〜20モル%の範囲で用いるのがより好ましい。
(可塑剤化合物)
本発明のプロトン伝導膜では、一般式(VI)で表される、ゾル−ゲル反応において変化しない化合物を可塑剤として添加することにより、膜に柔軟性を付与することができる。添加量は、一般式(I)で表される化合物のモル数に対し、1モル%から50モル%であり、5モル%から20モル%が好ましい。一般式(V)で表される化合物と一般式(VI)で表される化合物を併用する場合、一般式(I)の化合物、一般式(V)で表される化合物、一般式(VI)で表される化合物を併用する割合は、モル%比で、100:1:1〜100:50:50の範囲が好ましく、100:1:5〜100:20:20の範囲がさらに好ましく、100:1:5〜100:10:10の範囲が最も好ましい。
本発明のプロトン伝導膜では、一般式(VI)で表される、ゾル−ゲル反応において変化しない化合物を可塑剤として添加することにより、膜に柔軟性を付与することができる。添加量は、一般式(I)で表される化合物のモル数に対し、1モル%から50モル%であり、5モル%から20モル%が好ましい。一般式(V)で表される化合物と一般式(VI)で表される化合物を併用する場合、一般式(I)の化合物、一般式(V)で表される化合物、一般式(VI)で表される化合物を併用する割合は、モル%比で、100:1:1〜100:50:50の範囲が好ましく、100:1:5〜100:20:20の範囲がさらに好ましく、100:1:5〜100:10:10の範囲が最も好ましい。
一般式(VI)中、A6はメソゲンを含む有機原子団であり、一般式(I)で表されるメソゲン含有有機ケイ素化合物中のA1とそれぞれ同義であり、そこに含まれるメソゲンは、本発明のプロトン伝導膜作成時に用いるメソゲン含有有機ケイ素化合物中のメゾゲンと同一のものが特に好ましい。Z6はゾル−ゲル反応において変化しない置換基または水素原子を表し、好ましい置換基の例としては、前述一般式(I)の化合物の説明における1.アルキル基、2.アリール基、3.複素環基、4.アルコキシ基、5.アシルオキシ基、6.アルコキシカルボニル基、7.シアノ基、8.フルオロ基、9.アルコキシカルボニル基の他に、水酸基、およびカルボキシル基、スルホ基、スルフィノ基、ホスホノ基などの酸残基、ビニル基などが挙げられ、これらの中で特に水素原子、水酸基、酸残基、ビニル基が好ましい。n61はそれぞれ1〜6の整数を表し、1または2が特に好ましい。n62は0〜4の整数を表し、1または2が特に好ましい。Y6は重合により炭素−炭素結合または炭素い−酸素結合を形成しうる重合性基を表し、一般式(I)で表される有機ケイ素化合物中のY1と同義であり、特に、本発明のプロトン伝導膜作成時に用いるメソゲン含有有機ケイ素化合物のY1と同一のものが好ましい。n61またはn62が2以上の時、Y6またはZ6は同一でも異なってもよい。
以下に、一般式(VI)で表される化合物の具体例を挙げるがこれらに限定されるものではない。
(高分子化合物の添加)
本発明のプロトン伝導膜には、(1)膜の機械的強度を高める目的、および(2)膜中の酸濃度を高める目的で種々の高分子化合物を含有させてもよい。(1)機械的強度を高める目的には、分子量10,000〜1,000,000程度で本発明のプロトン伝導材料と相溶性のよい高分子化合物が適する。例えば、パーフッ素化ポリマー、ポリスチレン、ポリエチレングリコール、ポリオキセタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリなど、およびこれらの共重合体が好ましく、含有量としては1〜30質量%の範囲が好ましい。(2)酸濃度を高める目的には、ナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、側鎖にリン酸基を有するポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリベンズイミダゾールなどの耐熱芳香族高分子のスルホン化物などのプトロン酸部位を有する高分子化合物などが好ましく、含有量としては1〜30質量%の範囲が好ましい。
本発明のプロトン伝導膜には、(1)膜の機械的強度を高める目的、および(2)膜中の酸濃度を高める目的で種々の高分子化合物を含有させてもよい。(1)機械的強度を高める目的には、分子量10,000〜1,000,000程度で本発明のプロトン伝導材料と相溶性のよい高分子化合物が適する。例えば、パーフッ素化ポリマー、ポリスチレン、ポリエチレングリコール、ポリオキセタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリなど、およびこれらの共重合体が好ましく、含有量としては1〜30質量%の範囲が好ましい。(2)酸濃度を高める目的には、ナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、側鎖にリン酸基を有するポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリベンズイミダゾールなどの耐熱芳香族高分子のスルホン化物などのプトロン酸部位を有する高分子化合物などが好ましく、含有量としては1〜30質量%の範囲が好ましい。
(細孔膜への充填)
本発明のプロトン伝導材料を、多孔質基材の細孔に含浸させて膜を形成することが可能である。細孔を有する基材上に本発明のゾル−ゲル反応液を塗布して含浸させるか、基材をゾル−ゲル反応液に浸漬し、細孔内にプロトン伝導材料を満たして膜を形成してもよい。細孔を有する基材の好ましい例としては、多孔性ポリプロピレン、多孔性ポリテトラフルオロエチレン、多孔性架橋型耐熱性ポリエチレン、多孔性ポリイミドなどが挙げられる。
本発明のプロトン伝導材料を、多孔質基材の細孔に含浸させて膜を形成することが可能である。細孔を有する基材上に本発明のゾル−ゲル反応液を塗布して含浸させるか、基材をゾル−ゲル反応液に浸漬し、細孔内にプロトン伝導材料を満たして膜を形成してもよい。細孔を有する基材の好ましい例としては、多孔性ポリプロピレン、多孔性ポリテトラフルオロエチレン、多孔性架橋型耐熱性ポリエチレン、多孔性ポリイミドなどが挙げられる。
(プロトン伝導膜への触媒金属の添加)
本発明のプロトン伝導膜には、アノード燃料とカソード燃料の酸化還元反応を促進させる活性金属触媒を添加してもよい。これにより、プロトン伝導膜中に浸透した燃料が他方極に到達すること無くプロトン伝導膜中で消費され、クロスオーバーを防ぐことができる。用いられる活性金属種は、電極触媒として機能するものであれば制限は無いが、白金または白金を基にした合金が適している。
本発明のプロトン伝導膜には、アノード燃料とカソード燃料の酸化還元反応を促進させる活性金属触媒を添加してもよい。これにより、プロトン伝導膜中に浸透した燃料が他方極に到達すること無くプロトン伝導膜中で消費され、クロスオーバーを防ぐことができる。用いられる活性金属種は、電極触媒として機能するものであれば制限は無いが、白金または白金を基にした合金が適している。
(燃料電池)
本発明の有機−無機ハイブリッド型プロトン伝導膜を用いた燃料電池について説明する。図1は燃料電池電極膜複合体(以下「MEA」という)10の構成を示す。MEA10は、プロトン伝導膜11と、それを挟んで対向するアノード電極12およびカソード電極13を備える。
本発明の有機−無機ハイブリッド型プロトン伝導膜を用いた燃料電池について説明する。図1は燃料電池電極膜複合体(以下「MEA」という)10の構成を示す。MEA10は、プロトン伝導膜11と、それを挟んで対向するアノード電極12およびカソード電極13を備える。
アノード電極12とカソード電極13は、多孔質導電シート(例えばカーボンペーパー)12a、13aと触媒層12b、13bからなる。触媒層12b、13bは、白金粒子等の触媒金属を担持したカーボン粒子(例えばケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ等)をプロトン伝導材料(例えばナフィオン等)に分散させた分散物からなる。触媒層12b、13bをプロトン伝導膜11に密着させるために、多孔質導電シート12a、13aに触媒層12b、13bを塗設したものを、プロトン伝導膜11にホットプレス法(好ましくは120〜130℃、2〜100kg/cm2)で圧着するか、適当な支持体に触媒層12b、13bを塗設したものを、プロトン伝導膜11に転写しながら圧着した後、多孔質導電シート12a、13aで挟み込む方法を一般に用いる。
図2は燃料電池単セルの一例を示す。燃料電池はMEA10と、MEA10を挟持する一対のセパレータ21、22と、セパレータ21、22に取り付けられたステンレスネットからなる集電体17およびパッキン14とを有する。アノード極側のセパレータ21にはアノード極側開口部15が設けられ、カソード極側のセパレータ22にはカソード極側開口部16が設けられている。アノード極側開口部15からは、水素、アルコール類(メタノール等)等のガス燃料またはアルコール水溶液等の液体燃料が供給され、カソード極側開口部16からは、酸素ガス、空気等の酸化剤ガスが供給される。
(触媒材料)
アノード電極およびカソード電極には、カーボン材料に白金などの活性金属粒子を担持した触媒が用いられる。通常用いられる活性金属の粒子サイズは、2〜10nmの範囲であり、粒子サイズが小さい程単位質量当りの表面積が大きくなるので活性が高まり有利であるが、小さすぎると凝集させずに分散させることが難しくなり、2nm程度が限度といわれている。
アノード電極およびカソード電極には、カーボン材料に白金などの活性金属粒子を担持した触媒が用いられる。通常用いられる活性金属の粒子サイズは、2〜10nmの範囲であり、粒子サイズが小さい程単位質量当りの表面積が大きくなるので活性が高まり有利であるが、小さすぎると凝集させずに分散させることが難しくなり、2nm程度が限度といわれている。
水素−酸素系燃料電池における活性分極はアノード極(水素極)に比べ、カソード極(空気極)が大きい。これは、アノード極に比べ、カソード極の反応(酸素の還元)が遅いためである。酸素極の活性向上を目的として、Pt−Cr、Pt−Ni、Pt−Co、Pt−Cu、Pt−Feなどのさまざまな白金基二元金属を用いることができる。アノード燃料にメタノール水溶液を用いる直接メタノール燃料電池においては、メタノールの酸化過程で生じるCOによる触媒被毒を抑制することが重要である。この目的のために、Pt−Ru、Pt−Fe、Pt−Ni、Pt−Co、Pt−Moなどの白金基二元金属、Pt−Ru−Mo、Pt−Ru−W、Pt−Ru−Co、Pt−Ru−Fe、Pt−Ru−Ni、Pt−Ru−Cu、Pt−Ru−Sn、Pt−Ru−Auなどの白金基三元金属を用いることができる。
活性金属を担持させるカーボン材料としては、アセチレンブラック、Vulcan XC−72、ケチェンブラック、カーボンナノホーン(CNH)、カーボンナノチューブ(CNT)が好ましく用いられる。
(触媒層の構成と材料)
触媒層の機能は、(1)燃料を活性金属に輸送すること(2)燃料の酸化(アノード極)、還元(カソード極)反応の場を提供すること、(3)酸化還元により生じた電子を集電体に伝達すること、(4)反応により生じたプロトンをプロトン伝導膜に輸送すること、である。(1)のために触媒層は、液体および気体燃料が奥まで透過できる多孔質性であることが必要である。(2)は前述の活性金属触媒が、(3)は前述のカーボン材料が担う。(4)の機能を果たすために、触媒層にプロトン伝導材料を混在させる。
触媒層の機能は、(1)燃料を活性金属に輸送すること(2)燃料の酸化(アノード極)、還元(カソード極)反応の場を提供すること、(3)酸化還元により生じた電子を集電体に伝達すること、(4)反応により生じたプロトンをプロトン伝導膜に輸送すること、である。(1)のために触媒層は、液体および気体燃料が奥まで透過できる多孔質性であることが必要である。(2)は前述の活性金属触媒が、(3)は前述のカーボン材料が担う。(4)の機能を果たすために、触媒層にプロトン伝導材料を混在させる。
触媒層のプロトン伝導材料としては、プロトン供与基を持った固体であれば制限はないが、プロトン伝導膜に用いられる酸残基を有する高分子化合物(例えばナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸、側鎖リン酸基ポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリベンズイミダゾールなどの耐熱性芳香族高分子のスルホン化物など)、酸が固定された有機−無機ハイブリッド型プロトン伝導材料(例えば、前述特許文献1〜6、非特許文献1〜2に記載のプロトン伝導材料)などが好ましく用いられる。本発明のプロトン伝導膜に用いる前駆体をゾル−ゲル反応して得られるプロトン伝導材料を触媒層に用いることも可能である。この場合、プロトン伝導膜と同種の材料であるため、プロトン伝導膜と触媒層との密着性が高まり有利である。
活性金属の使用量は、0.03〜10mg/cm2の範囲が電池出力と経済性の観点から適している。活性金属を担持するカーボン材料の量は、活性金属の質量に対して、1〜10倍が適している。プロトン伝導材料の量は、活性金属担持カーボンの質量に対して、0.1〜0.7倍が適している。
(多孔質導電シート(電極基材))
電極基材、拡散層、あるいは裏打ち材とも呼ばれ、集電機能および水がたまりガスの拡散が悪化するのを防ぐ役割を担う。通常は、カーボンペーパーやカーボン布を使用し、撥水化のためにPTFE処理を施したものを使用することもできる。
電極基材、拡散層、あるいは裏打ち材とも呼ばれ、集電機能および水がたまりガスの拡散が悪化するのを防ぐ役割を担う。通常は、カーボンペーパーやカーボン布を使用し、撥水化のためにPTFE処理を施したものを使用することもできる。
(MEA(電極膜複合体)の作成)
MEAの作製には、次の4つの方法が好ましい。
(1)プロトン伝導膜塗布法:活性金属担持カーボン、プトロン伝導材料、溶媒を基本要素とする触媒ペースト(インク)をプロトン伝導膜の両側に直接塗布し、多孔質導電シートを(熱)圧着して5層構成のMEAを作製する。
(2)多孔質導電シート塗布法:触媒ペーストを多孔質導電シート表面に塗布し、触媒層を形成させた後、プロトン伝導膜と圧着し、5層構成のMEAを作製する。
(3)Decal法:触媒ペーストをPTFE上に塗布し、触媒層を形成させた後、プロトン伝導膜に触媒層のみを転写させ3層のMEAを形成させ、多孔質導電シートを圧着し、5層構成のMEAを作製する。
(4)触媒後担持法:白金未担持カーボン材料をプロトン伝導材料とともに混合したインクをプロトン伝導膜、多孔質導電シートあるいはPTFE上に塗布・製膜した後、白金イオンを当該膜に含浸させ、白金粒子を膜中で還元析出させて触媒層を形成させる。触媒層を形成させた後は、上記(1)〜(3)の方法にてMEAを作製する。
MEAの作製には、次の4つの方法が好ましい。
(1)プロトン伝導膜塗布法:活性金属担持カーボン、プトロン伝導材料、溶媒を基本要素とする触媒ペースト(インク)をプロトン伝導膜の両側に直接塗布し、多孔質導電シートを(熱)圧着して5層構成のMEAを作製する。
(2)多孔質導電シート塗布法:触媒ペーストを多孔質導電シート表面に塗布し、触媒層を形成させた後、プロトン伝導膜と圧着し、5層構成のMEAを作製する。
(3)Decal法:触媒ペーストをPTFE上に塗布し、触媒層を形成させた後、プロトン伝導膜に触媒層のみを転写させ3層のMEAを形成させ、多孔質導電シートを圧着し、5層構成のMEAを作製する。
(4)触媒後担持法:白金未担持カーボン材料をプロトン伝導材料とともに混合したインクをプロトン伝導膜、多孔質導電シートあるいはPTFE上に塗布・製膜した後、白金イオンを当該膜に含浸させ、白金粒子を膜中で還元析出させて触媒層を形成させる。触媒層を形成させた後は、上記(1)〜(3)の方法にてMEAを作製する。
(燃料および供給方法)
固体高分子膜を用いる燃料電池の燃料として用いることのできるのは、アノード燃料としては、水素、アルコール類(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジメトキシメタン、トリメトキシメタンなど)、ギ酸、水素化ホウ素錯体、アスコルビン酸などが挙げられる。カソード燃料としては、酸素(大気中の酸素も含む)、過酸化水素などが挙げられる。
固体高分子膜を用いる燃料電池の燃料として用いることのできるのは、アノード燃料としては、水素、アルコール類(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジメトキシメタン、トリメトキシメタンなど)、ギ酸、水素化ホウ素錯体、アスコルビン酸などが挙げられる。カソード燃料としては、酸素(大気中の酸素も含む)、過酸化水素などが挙げられる。
直接メタノール型燃料電池では、アノード燃料として、メタノール濃度3〜64質量%のメタノール水溶液が使用される。アノード反応式(CH3OH+H2O→CO2+6H++6e)により、1モルのメタノールに対し、1モルの水が必要であり、この時のメタノール濃度は64質量%に相当する。メタノール濃度が高い程、同エネルギー容量での燃料タンクを含めた電池の質量および体積が小さくできる利点がある。しかしながら、メタノール濃度が高い程、メタノールがプロトン伝導膜を透過しカソード側で酸素と反応し電圧を低下させる、いわゆるクロスオーバー現象、が顕著となり、出力が低下するため、用いるプロトン伝導膜のメタノール透過性により、最適濃度が決められる。直接メタノール型燃料電池のカソード反応式は、(3/2O2+6H++6e→H2O)であり、燃料として酸素(通常は空気中の酸素)が用いられる。
上記、アノード燃料およびカソード燃料を、それぞれの触媒層に供給する方法には、(1)ポンプ等の補機を用いて強制循環させる方法(アクティブ型)と、(2)補機を用いない方法(例えば、液体の場合には毛管現象や自然落下により、気体の場合には大気に触媒層を晒し供給するパッシブ型)の2通りがあり、アノードおよびカソードに対し、これらを組み合わせることも可能である。前者は、カソードで生成する水を循環させることにより燃料として高濃度のメタノールが使用可能、空気供給による高出力化が可能であるなどの利点がある反面、燃料供給系を備える事により小型化がし難い欠点がある。後者は、小型化が可能な利点がある反面、燃料供給が律速となり易く高い出力が出にくい欠点がある。
(セルのスタッキング)
燃料電池の単セル電圧は一般的に1V以下であるので、負荷の必要電圧に合わせて、単セルを直列スタッキングして用いる。スタッキングの方法としては、単セルを平面上に並べる「平面スタッキング」および、単セルを、両側に燃料流路の形成されたセパレーターを介して積み重ねる「バイポーラースタッキング」が用いられる。前者は、カソード極(空気極)が表面に出るため、空気を取り入れ易く、薄型にできることから小型燃料電池に適している。この他にも、MEMS技術を応用し、シリコンウェハー上に微細加工を施し、スタッキングする方法も提案されている。
燃料電池の単セル電圧は一般的に1V以下であるので、負荷の必要電圧に合わせて、単セルを直列スタッキングして用いる。スタッキングの方法としては、単セルを平面上に並べる「平面スタッキング」および、単セルを、両側に燃料流路の形成されたセパレーターを介して積み重ねる「バイポーラースタッキング」が用いられる。前者は、カソード極(空気極)が表面に出るため、空気を取り入れ易く、薄型にできることから小型燃料電池に適している。この他にも、MEMS技術を応用し、シリコンウェハー上に微細加工を施し、スタッキングする方法も提案されている。
(燃料電池のアプリケーション)
燃料電池は、自動車用、家庭用、携帯機器用など様々な利用が考えられているが、特に、直接メタノール型燃料電池は、小型、軽量化が可能である、充電が不要である利点を活かし、様々な携帯機器やポータブル機器用エネルギー源としての利用が期待されている。例えば、好ましく適用できる携帯機器としては、携帯電話、モバイルノートパソコン、電子スチルカメラ、PDA、ビデオカメラ、携帯ゲーム機、モバイルサーバー、ウエラブルパソコン、モバイルディスプレイなどが挙げられる。好ましく適用できるポータブル機器としては、ポータブル発電機、野外照明機器、懐中電灯、電動(アシスト)自転車などが挙げられる。また、産業用や家庭用などのロボットあるいはその他の玩具の電源としても好ましく用いることができる。さらには、これらの機器に搭載された2次電池の充電用電源としても有用である。
燃料電池は、自動車用、家庭用、携帯機器用など様々な利用が考えられているが、特に、直接メタノール型燃料電池は、小型、軽量化が可能である、充電が不要である利点を活かし、様々な携帯機器やポータブル機器用エネルギー源としての利用が期待されている。例えば、好ましく適用できる携帯機器としては、携帯電話、モバイルノートパソコン、電子スチルカメラ、PDA、ビデオカメラ、携帯ゲーム機、モバイルサーバー、ウエラブルパソコン、モバイルディスプレイなどが挙げられる。好ましく適用できるポータブル機器としては、ポータブル発電機、野外照明機器、懐中電灯、電動(アシスト)自転車などが挙げられる。また、産業用や家庭用などのロボットあるいはその他の玩具の電源としても好ましく用いることができる。さらには、これらの機器に搭載された2次電池の充電用電源としても有用である。
1.膜の作成
(1)プロトン伝導膜(E−1)の作製
T−4(0.108g)とS−13(0.185g)と蓚酸(0.028g)をエタノール(2.0ml)に溶解し、4時間加熱環流した。得られたゾル液を濃縮し、白色固体を得た。これをクロロホルム0.7mlに溶解し、ポリイミド膜(ユーピレックス#75S:宇部興産製)上に180μm厚のテフロンテープ(テフロン:登録商標)で作製した3cm×3cmの正方形の枠内に流し込んだ。乾燥後、150℃に加熱し、毎分10℃の速度で冷却し、100℃で1時間保持した。得られた膜を30%過酸化水素水(2ml)中に1昼夜保持した。膜を水洗、乾燥ののちポリイミド膜から剥離し、厚さ76μmの半透明なプロトン伝導膜を得た。
(1)プロトン伝導膜(E−1)の作製
T−4(0.108g)とS−13(0.185g)と蓚酸(0.028g)をエタノール(2.0ml)に溶解し、4時間加熱環流した。得られたゾル液を濃縮し、白色固体を得た。これをクロロホルム0.7mlに溶解し、ポリイミド膜(ユーピレックス#75S:宇部興産製)上に180μm厚のテフロンテープ(テフロン:登録商標)で作製した3cm×3cmの正方形の枠内に流し込んだ。乾燥後、150℃に加熱し、毎分10℃の速度で冷却し、100℃で1時間保持した。得られた膜を30%過酸化水素水(2ml)中に1昼夜保持した。膜を水洗、乾燥ののちポリイミド膜から剥離し、厚さ76μmの半透明なプロトン伝導膜を得た。
(2)プロトン伝導膜(E−2)の作製
上記、E−1作製時のS−13(0.185g)をS−26(0.202g)に置き換えた他は同様の方法にて、厚さ82μmの半透明なプロトン伝導膜を得た。
上記、E−1作製時のS−13(0.185g)をS−26(0.202g)に置き換えた他は同様の方法にて、厚さ82μmの半透明なプロトン伝導膜を得た。
(3)プロトン伝導膜(E−3)の作製
上記、E−1作製時のS−13(0.185g)をS−28(0.196g)に置き換えた他は同様の方法にて、厚さ93μmの半透明なプロトン伝導膜を得た。
上記、E−1作製時のS−13(0.185g)をS−28(0.196g)に置き換えた他は同様の方法にて、厚さ93μmの半透明なプロトン伝導膜を得た。
(4)プロトン伝導膜(E−4)の作製
上記、E−2作製時のT−4(0.108g)をT−2(0.088g)に置き換えた他は同様の方法にて、厚さ79μmの半透明なプロトン伝導膜を得た。
上記、E−2作製時のT−4(0.108g)をT−2(0.088g)に置き換えた他は同様の方法にて、厚さ79μmの半透明なプロトン伝導膜を得た。
(5)プロトン伝導膜(R−1)の作製
T−4(1.94g)をメタノール(6.2g)に溶解し、30%過酸化水素水(1.8g)を添加した。混合物を室温で12時間攪拌した。このようにして調製したゾルは無色透明であった。S−13(0.4g)を溶解した2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(1.2ml)の溶液に、上記ゾル(1.1g)およびキシレン(0.2 ml)を添加し、50℃で3時間加熱攪拌した。当該混合物をポリイミド膜(ユーピレックス−75S、宇部興産(株)製)上に流延し、室温で24時間乾燥した後、固化した塗布物をポリイミド膜より剥離し、厚さ105μmの白色の膜を得た。
T−4(1.94g)をメタノール(6.2g)に溶解し、30%過酸化水素水(1.8g)を添加した。混合物を室温で12時間攪拌した。このようにして調製したゾルは無色透明であった。S−13(0.4g)を溶解した2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(1.2ml)の溶液に、上記ゾル(1.1g)およびキシレン(0.2 ml)を添加し、50℃で3時間加熱攪拌した。当該混合物をポリイミド膜(ユーピレックス−75S、宇部興産(株)製)上に流延し、室温で24時間乾燥した後、固化した塗布物をポリイミド膜より剥離し、厚さ105μmの白色の膜を得た。
(5)プロトン伝導膜(R−2)
T−4(0.097g)とS−13(0.185g)をキシレン(0.3ml)/イソプロパノール(1.0ml)に溶解し、30%過酸化水素水(0.204ml)を添加した。55℃で5時間加熱攪拌した後、反応液850μLを、ポリイミド膜(ユーピレックス#75S:宇部興産製)上に180μm厚のテプロンテープで作製した3cm×3cmの正方形の枠内に流し込んだ。溶媒が室温下で、8時間かけて蒸発するように隙間を調整した蓋を施し、20時間放置した。さらに、60℃で3時間処理した後、ポリイミド膜から膜状に固化した塗布物を剥離し、水洗乾燥して、厚さ115μmのプロトン伝導膜を得た。
T−4(0.097g)とS−13(0.185g)をキシレン(0.3ml)/イソプロパノール(1.0ml)に溶解し、30%過酸化水素水(0.204ml)を添加した。55℃で5時間加熱攪拌した後、反応液850μLを、ポリイミド膜(ユーピレックス#75S:宇部興産製)上に180μm厚のテプロンテープで作製した3cm×3cmの正方形の枠内に流し込んだ。溶媒が室温下で、8時間かけて蒸発するように隙間を調整した蓋を施し、20時間放置した。さらに、60℃で3時間処理した後、ポリイミド膜から膜状に固化した塗布物を剥離し、水洗乾燥して、厚さ115μmのプロトン伝導膜を得た。
2.メタノール水溶液に対する耐性
得られたプロトン伝導膜(E−1〜4)、および比較用のプロトン伝導膜(R−1およびナフィオン117)を直径13mmの円形に打ち抜き、それぞれ15質量%メタノール水溶液5mlに、48時間浸漬した。本発明のプロトン伝導膜(E−1〜4)およびプロトン伝導膜(R−1,R−2)は、ほとんど膨潤が見られず、浸漬前と形状および強度の変化が見られなかった。それに対して、ナフィオン117では、約50質量%の膨潤が見られ、著しい膜の形状変化も観察された。次に、本発明のプロトン伝導膜(E−1〜4)を60質量%メタノール水溶液に48時間浸漬したところ、R−1,R−2は脆くなり、ひび割れが生じたが、本発明のプロトン伝導膜(E−1〜4)ではほとんど形状変化が見られず十分な耐性を示した。ナフィオン117では、約70質量%の膨潤と、著しい形状変化が見られた。
得られたプロトン伝導膜(E−1〜4)、および比較用のプロトン伝導膜(R−1およびナフィオン117)を直径13mmの円形に打ち抜き、それぞれ15質量%メタノール水溶液5mlに、48時間浸漬した。本発明のプロトン伝導膜(E−1〜4)およびプロトン伝導膜(R−1,R−2)は、ほとんど膨潤が見られず、浸漬前と形状および強度の変化が見られなかった。それに対して、ナフィオン117では、約50質量%の膨潤が見られ、著しい膜の形状変化も観察された。次に、本発明のプロトン伝導膜(E−1〜4)を60質量%メタノール水溶液に48時間浸漬したところ、R−1,R−2は脆くなり、ひび割れが生じたが、本発明のプロトン伝導膜(E−1〜4)ではほとんど形状変化が見られず十分な耐性を示した。ナフィオン117では、約70質量%の膨潤と、著しい形状変化が見られた。
以上から、本発明のプロトン伝導膜は、同じ出発物質を使用しているのにも関わらず(E−1とR−1、及びR−2との比較において)直接メタノール型燃料電池に使用する燃料のメタノール水溶液に対して、十分な耐性を有することがわかった。
3.メタノール透過性の測定
得られたプロトン伝導膜(E−1〜4)、および比較用のプロトン伝導膜(R−1,2およびナフィオン117)を直径13mmの円形に打ち抜き、それらを、円形の穴(直径5mm)が空いたテプロンテープで補強した。当該補強膜を図3で示すステンレス製のセルに備え付け、上部にメタノール水溶液を注入し、下部ガス導入口より一定流速で水素ガスを流し、膜を透過するメタノール量を、下部検出口をガスクロマトグラフ装置(島津製作所(株)製GC−14B)の検出部に接続し測定した。結果を表1に示す。なお、表1中のメタノール濃度は、ナフィオン117の検出量を1とした時の相対値を表す。
得られたプロトン伝導膜(E−1〜4)、および比較用のプロトン伝導膜(R−1,2およびナフィオン117)を直径13mmの円形に打ち抜き、それらを、円形の穴(直径5mm)が空いたテプロンテープで補強した。当該補強膜を図3で示すステンレス製のセルに備え付け、上部にメタノール水溶液を注入し、下部ガス導入口より一定流速で水素ガスを流し、膜を透過するメタノール量を、下部検出口をガスクロマトグラフ装置(島津製作所(株)製GC−14B)の検出部に接続し測定した。結果を表1に示す。なお、表1中のメタノール濃度は、ナフィオン117の検出量を1とした時の相対値を表す。
(結果)
表2より、本発明のプロトン伝導膜のメタノール透過性は、ナフィオン117に対し十分に小さいこと、また比較例に対してもメタノール透過性が小さいことが分かる。
表2より、本発明のプロトン伝導膜のメタノール透過性は、ナフィオン117に対し十分に小さいこと、また比較例に対してもメタノール透過性が小さいことが分かる。
4.イオン伝導度の測定
1で得られた本発明のプロトン伝導膜(E−1)〜(E−4)と比較サンプル(R−1,2)およびナフィオン117を直径13mmの円形に打ち抜き、2枚のステンレス板に挟み、交流インピーダンス法により、25℃、相対湿度95%におけるイオン伝導度を測定した。結果を表2に示す。
1で得られた本発明のプロトン伝導膜(E−1)〜(E−4)と比較サンプル(R−1,2)およびナフィオン117を直径13mmの円形に打ち抜き、2枚のステンレス板に挟み、交流インピーダンス法により、25℃、相対湿度95%におけるイオン伝導度を測定した。結果を表2に示す。
(結果)
本発明のプロトン伝導膜のイオン伝導度は、ナフィオン117には及ばないものの、R−1、R−2と同等以上の比較的高いイオン伝導度を示すことが分かる。
本発明のプロトン伝導膜のイオン伝導度は、ナフィオン117には及ばないものの、R−1、R−2と同等以上の比較的高いイオン伝導度を示すことが分かる。
5.燃料電池試験
(1) 触媒膜の作製
白金担持カーボン(VulcanXC72に白金50質量%が担持)2.5gとナフィオン溶液(5%アルコール水溶液)15gを混合し、超音波分散器で30分間分散させた。分散物の平均粒子サイズは約500nmであった。得られた分散物をカーボンペーパー(厚さ200μm)上に塗設し、乾燥した後、直径9mmの円形に打ち抜いた。
(1) 触媒膜の作製
白金担持カーボン(VulcanXC72に白金50質量%が担持)2.5gとナフィオン溶液(5%アルコール水溶液)15gを混合し、超音波分散器で30分間分散させた。分散物の平均粒子サイズは約500nmであった。得られた分散物をカーボンペーパー(厚さ200μm)上に塗設し、乾燥した後、直径9mmの円形に打ち抜いた。
(2)MEAの作製
実施例1で作製したプロトン伝導膜(E−1、E−4、R−1)およびナフィオン117の両面に、上記で得た触媒膜を、塗布面がプロトン伝導膜に接するように張り合わせ、80℃、2Mpa、1分間で熱圧着し、MEA−1〜4を作製した。
実施例1で作製したプロトン伝導膜(E−1、E−4、R−1)およびナフィオン117の両面に、上記で得た触媒膜を、塗布面がプロトン伝導膜に接するように張り合わせ、80℃、2Mpa、1分間で熱圧着し、MEA−1〜4を作製した。
(3)燃料電池特性
(2)で得たMEAを図2に示す燃料電池にセットし、カソード側開口部15に50質量%のメタノール水溶液を注入した。この時カソード側は開口部16は大気に開放されている。アノード電極12とカソード電極13の間に、ガルバノスタットで5mA/cm2の定電流を通電し、この時のセル電圧を測定した。結果を表3に示す。
(2)で得たMEAを図2に示す燃料電池にセットし、カソード側開口部15に50質量%のメタノール水溶液を注入した。この時カソード側は開口部16は大気に開放されている。アノード電極12とカソード電極13の間に、ガルバノスタットで5mA/cm2の定電流を通電し、この時のセル電圧を測定した。結果を表3に示す。
経時安定性を確認するため、1日経時後再び上記と同様な実験を行ったところ、C−3以外は出力が再現したが、C−3は出力が得られなかった。電池を分解したところ、C−3では膜のに亀裂が入っており、燃料の短絡が起こっていた。
(結果)
以上より、本発明のプロトン伝導膜を用いた電池C−1,2では、電圧が安定して高いことがわかる。
以上より、本発明のプロトン伝導膜を用いた電池C−1,2では、電圧が安定して高いことがわかる。
10・・・燃料電池電極膜複合体(MEA)
11・・・プロトン交換膜
12・・・アノード電極
12a・・・アノード極多孔質導電シート
12b・・・アノード極触媒層
13・・・カソード電極
13a・・・カソード極多孔質導電シート
13b・・・カソード極触媒層
14・・・パッキン
15・・・アノード極側開口部
16・・・アノード極側開口部
17・・・集電体
21,22・・・セパレータ
31 ・ ・ ・ プロトン伝導膜
32 ・ ・ ・ テフロンテープ補強材
33 ・ ・ ・ メタノール水溶液注入部分
34 ・ ・ ・ キャリアガス導入口
35 ・ ・ ・ 検出口(ガスクロマトグラフィーに接続)
36 ・ ・ ・ ゴムパッキン
11・・・プロトン交換膜
12・・・アノード電極
12a・・・アノード極多孔質導電シート
12b・・・アノード極触媒層
13・・・カソード電極
13a・・・カソード極多孔質導電シート
13b・・・カソード極触媒層
14・・・パッキン
15・・・アノード極側開口部
16・・・アノード極側開口部
17・・・集電体
21,22・・・セパレータ
31 ・ ・ ・ プロトン伝導膜
32 ・ ・ ・ テフロンテープ補強材
33 ・ ・ ・ メタノール水溶液注入部分
34 ・ ・ ・ キャリアガス導入口
35 ・ ・ ・ 検出口(ガスクロマトグラフィーに接続)
36 ・ ・ ・ ゴムパッキン
Claims (10)
- イオン交換性基に変換可能な置換基を有する、メソゲンを含む構造単位を有する化合物、及びイオン交換性基に変換可能な置換基を含む構造単位と、メソゲンを含む構造単位とを有する化合物の少なくとも一種を膜状に形成する工程と、前記膜状に形成する工程の後に、前記イオン交換性基に変換可能な置換基をイオン交換性基に変換する工程と、を有するイオン交換体の製造方法。
- 前記イオン交換性基がプロトン供与性基である請求項1に記載の製造方法。
- 前記膜状に成形する工程の後に、前記メソゲンの配向工程をさらに含む請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記メソゲンを含む構造単位を有する化合物は、少なくとも一種のケイ素化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記イオン交換性基に変換可能な置換基は、酸化数が1以下の硫黄原子を含む基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記メソゲンを含む構造単位は、下記一般式(I)で表される請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記イオン交換性基に変換可能な置換基を含む構造単位は、下記一般式(II)及び(III)で表されるものの少なくとも一種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法により得られうるイオン交換体。
- 請求項8に記載のイオン交換体を有する電極膜複合体。
- 請求項9に記載の電極膜複合体を有する燃料電池。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006032135A (ja) * | 2004-07-16 | 2006-02-02 | Toyota Motor Corp | 固体高分子電解質膜の製造方法、固体高分子電解質膜、およびこれを備える燃料電池 |
JP2007038638A (ja) * | 2005-07-07 | 2007-02-15 | Fujifilm Holdings Corp | 固体電解質フィルム及びその製造方法、製造設備並びに燃料電池用電極膜複合体、及び燃料電池 |
-
2003
- 2003-10-22 JP JP2003361879A patent/JP2005129290A/ja active Pending
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