以下に添付図面を参照して、本発明の防塵機能付き光学装置として光電変換素子を有するデジタルカメラシステムを一例に挙げた複数の実施の形態に基づき詳述する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1の防塵機能付き光学装置としてのデジタルカメラシステムの実際的な光学的配置を考慮した要部構成例を示す概念図である。この防塵機能付き光学装置は、まず、撮影レンズ301を主体とする結像光学系としての撮像用光学系302により結像される被写体の光学像を受光して電気信号に変換する光電変換素子としてのCCDユニット303を含む光学手段の一つとしての撮像用光学部304を備えている。
また、防塵機能付き光学装置は、撮像レンズ301を経た後、クイックターンミラー305により選択的に分岐され、ペンタプリズム306及びハーフミラー307を主体とする結像光学系としてのファインダ光学系308により結像される光学像を受光して電気信号に変換する光電変換素子としてのファインダCCDユニット309を含む光学手段の一つとしてのファインダ用光学部310を備えている。
さらに、防塵機能付き光学装置は、撮像レンズ301を経た後、クイックターンミラー305背後のサブミラー311による反射光束を受け、撮像レンズ301の焦点状態を検出するための結像光学系としてのAF検出光学系(焦点検出用光学系)312により結像される光学像を受光して電気信号に変換する光電変換素子としてのAFセンサユニット313を含む光学手段の一つとしてのAF検出用光学部314を備えている。
撮像用光学部304は、CCDユニット303よりも前段の光路上に配設された防塵用の光学素子としての防塵ガラス321と、この防塵ガラス321を振動させるための加振手段としての圧電素子322とを備えている。同様に、ファインダ用光学部310は、ファインダCCDユニット309よりも前段の光路上に配設された防塵用の光学素子としての防塵ガラス323と、この防塵ガラス323を振動させるための加振手段としての圧電素子324とを備えている。さらに、AF検出用光学部314は、AFセンサユニット313、さらにはAF検出光学系312よりも前段の光路上に配設された防塵用の光学素子としての防塵ガラス325と、この防塵ガラス325を振動させるための加振手段としての圧電素子326とを備えている。すなわち、本実施の形態では、加振手段として、電気機械変換素子である圧電セラミックス等を利用した圧電素子322,324,326を用いているが、防塵ガラス321,323,325を適切に振動させ得る手段であればよい。
さらに、本実施の形態1の防塵機能付き光学装置は、当該装置の各種動作制御を受け持つとともに、各光学部304,310,314中に含まれる複数の圧電素子322,324,326を駆動制御する駆動制御手段としての駆動制御部331を備えている。この駆動制御部331は、これらの圧電素子322,324,326を所定の駆動周波数で個別に駆動することで防塵ガラス321,323,325を振動させる複数の駆動手段としての駆動回路332A,332B,332Cを有する防塵ガラス駆動回路332と、この防塵ガラス駆動回路332中の各駆動回路332A,332B,332Cの動作を制御する制御手段としての制御部333とを備えている。
また、本実施の形態1の防塵機能付き光学装置は、当該防塵機能付き光学装置の姿勢を検出する姿勢検出手段としての姿勢検出回路334を備えている。この姿勢検出回路334は、当該防塵機能付き光学装置が上向きであるとか、下向きであるとか、横向きであるとか、といった姿勢を検出し、その検出結果を制御部333に対して出力する。
制御部333は、姿勢検出回路334の検出結果に基づく各防塵ガラス321,323,325の姿勢、すなわち塵付着面の方向に応じて駆動回路332A,332B,332Cを介して各圧電素子322,324,326を駆動制御する。
例えば、防塵ガラス321,323,325の塵付着面方向が水平方向(横向き状態)を標準とし、鉛直上向き方向で塵を落しにくい姿勢の場合には、加振動作を行わせても塵落し効果が得られないので圧電素子322,324,326による加振動作を行わないようにして無駄な消費電力の消費を防止する一方、鉛直下向き方向で塵を落しやすい姿勢の場合には、加振動作の動作時間を標準の動作時間よりも短い時間に制御することで消費電力を抑制するように制御する。
図2は、図1に示した上述のような本実施の形態1の要部構成例に対応する制御系を主体として示す概略ブロック図である。なお、光学部304,310,314の数は3個に限らず、3個より多くてもよく、また、2個であってもよい。さらには、図3に示すように光学部が1個だけの場合であってもよい。図3は、一例として撮像用の光学部304のみの場合の例を示している。
図4は、図1に示した防塵機能付き光学装置が搭載されたデジタルカメラシステムとしての具体的な構成例を示すブロック構成図である。このカメラシステムは、交換レンズとしてのレンズユニット10と、カメラ本体としてのボディユニット100から主に構成されており、ボディユニット100の前面に対して、マウント207を介して所望のレンズユニット10が着脱自在に設定されている。
レンズユニット10の制御はレンズ制御用マイクロコンピュータ(以下“Lucom"と称する)5が行う。ボディユニット100の制御は、前述の制御部333が行う(なお、以下の説明では、制御部333をボディ制御用マイクロコンピュータ(以下“Bucom"と称する)333と表記する)。これらLucom5とBucom333とは、合体時において通信コネクタ6を介して通信可能に電気的接続がなされる。そしてカメラシステムとしてLucom5がBucom333に従属的に協働しながら稼動するようになっている。
レンズユニット10内には撮影レンズ301と絞り3が設けられている。撮影レンズ301はレンズ駆動機構2内にある図示しないDCモータによって駆動される。絞り3は絞り駆動機構4内にある図示しないステッピングモータによって駆動される。Lucom5はBucom333の指令に従ってこれら各モータを制御する。
ボディユニット100内には次の構成部材が図示のように配設されている。例えば、光学系としての一眼レフ方式の構成部材(クイックリターンミラー305、ペンタプリズム306、接眼レンズ13、サブミラー311)と、光軸上のフォーカルプレーン式のシャッタ15と、サブミラー311からの反射光束を受けて自動測距するためのAF検出用光学部314が設けられている。AF検出用光学部314は、コンデンサレンズ160、セパレータレンズ161、セパレータ絞り162及びラインセンサ構成のAFセンサユニット313により構成されている。
また、AF検出用光学部314を駆動制御するAFセンサ駆動回路17と、クイックリターンミラー305を駆動制御するミラー駆動機構18と、シャッタ15の先幕と後幕を駆動するばねをチャージするシャッタチャージ機構19と、それら先幕と後幕の動きを制御するシャッタ制御回路20と、ペンタプリズム306からの光束に基づき測光処理する測光回路21が設けられている。
撮影レンズ301の光軸上には、撮像用光学系302を通過した被写体像を光電変換するためのCCDユニット303が光電変換素子として設けられ、さらにこのCCDユニット303と撮影レンズ301との間には防塵ガラス321が設けられており、この防塵ガラス321を所定の周波数で振動させる圧電素子322がその防塵ガラス321の周縁部に取り付けられている。この圧電素子322が防塵ガラス駆動回路332中の駆動回路332Aによって防塵ガラス321を振動させて、そのガラス表面に付着していた塵を除去できるように構成されている。ここで、防塵ガラス321は撮影レンズ301と同一の光軸上に位置しており、当該カメラが横向き状態の場合にその塵付着面方向は水平方向(横向き状態)となるように設定されている。
また、ファインダ光軸上には、ファインダ光学系308を通過した被写体像を光電変換するためのファインダCCDユニット309が光電変換素子として設けられている。また、ファインダ光学系308を通過した被写体像の一部を反射してファインダCCDユニット309に導くためのハーフミラー128及びファインダCCDレンズ126が配置されている。
ファインダCCDユニット309で撮像された画像は、カメラボディ背面等に配置された液晶モニタ24に表示される。これにより、ファインダを覗かなくても撮影しようとしている画像を観察することができる。さらに、ファインダCCDユニット309は、ファインダCCDレンズ126との間の光路上に配設された防塵ガラス323によって保護されている。この防塵ガラス323を所定の周波数で振動させる圧電素子324は、防塵ガラス323の周縁部に取り付けられている。この圧電素子324が防塵ガラス駆動回路332中の駆動回路332Bによって防塵ガラス323を振動させて、そのガラス表面に付着していた塵を除去できるように構成されている。ここで、防塵ガラス323は撮影レンズ301・CCDユニット303間の光軸に直交する光軸上に位置しており、当該カメラが横向き状態の場合に、防塵ガラス323の塵付着面方向は鉛直下向き方向となるように設定されている。
AF検出用光学部314は、AFセンサユニット313、さらにはAF検出光学系312よりも前段の光路上にAFセンサユニット313と平行に配設された防塵ガラス325により保護されている。この防塵ガラス325は、AF検出光学系312を密閉構造的に保護している。この防塵ガラス325を所定の周波数で振動させる圧電素子326は、防塵ガラス325の周縁部に取り付けられている。この圧電素子324が防塵ガラス駆動回路332中の駆動回路332Cによって防塵ガラス325を振動させて、そのガラス表面に付着していた塵を除去できるように構成されている。ここで、防塵ガラス325は撮影レンズ301・CCDユニット303間の光軸に直交する光軸上に位置しており、当該カメラが横向き状態の場合に、防塵ガラス325の塵付着面方向は鉛直上向き方向となるように設定されている。
もし、防塵ガラス325が存在しなければ、レンズ着脱時にマウント207から侵入した塵がコンデンサレンズ160の外面に付着し、AF検出時に悪影響を及ぼす。しかし、防塵ガラス325によって侵入する塵から保護し、この防塵ガラス325の外面に付着する塵を圧電素子326による加振振動で除去することによって、AF検出精度の低下をなくすことができる。
このようにして、図4に示すような本実施の形態1のカメラシステムはいわゆる「防塵機能付きカメラ」に属する基本構造をもつ電子カメラである。
なお、CCDユニット303、ファインダCCDユニット309、AFセンサユニット313それぞれの周辺の温度を測定するために、防塵ガラス321,323,325の近傍には、温度測定回路33が設けられている。
また、このカメラシステムには、CCDユニット303に接続したCCDインターフェイス回路23、ファインダCCDユニット309に接続したファインダCCDインターフェイス回路127、液晶モニタ24、記憶領域として設けられたSDRAM25、FlashROM26及び記録メディア27などを利用して画像処理する画像処理コントローラ28が設けられ、電子撮像機能と共に電子記録表示機能を提供できるように構成されている。その他の記憶領域としては、カメラ制御に必要な所定の制御パラメータを記憶する例えばEEPROMからなる不揮発性メモリ29が、Bucom333からアクセス可能に設けられている。
また、Bucom333には、当該カメラシステムの動作状態を表示出力によってユーザへ告知するための動作表示用LCD51と、カメラ操作SW52とが設けられている。カメラ操作SW52は、例えばレリーズSW、モード変更SW及びパワーSWなどの、当該カメラを操作するために必要な操作釦を含むスイッチ群である。さらに、電源としての電池54と、この電源の電圧を、当該カメラシステムを構成する各回路ユニットが必要とする電圧に変換して供給する電源回路53が設けられている。
さらに、このカメラシステムは、姿勢検出回路334を備えている。この姿勢検出回路334は、このカメラシステムの姿勢を検出するための回路であって、例えば第1〜第3の姿勢検出スイッチ341,342,343を含んで構成されている。これらの姿勢検出スイッチ341,342,343の構成、検出原理は、いずれも同一である。図5−1〜図5−3は、一例として、姿勢検出スイッチ341の構成例を示し、図5−1は平面図であり、図5−2は図5−1中のC−C線断面図であり、図5−3は図5−1中のD−D線断面図である。
姿勢検出スイッチ341は、樹脂で成形されたスイッチ本体350を有し、このスイッチ本体350には溝部350aが形成され、蓋体351により閉塞されている。また、姿勢検出スイッチ341は、溝部350a内を転動自在な鋼球352を有する。ここで、溝部350aは、D−D線断面の方向で見ると、図5−3に示すように、鋼球352の直径よりもわずかに広い均一な幅で形成されている。また、溝部350aは、C−C線断面の方向で見ると、図5−2に示すように、第1の斜面350bと第2の斜面350cとを有する略V字形状に形成されている。そのV字の頂点部350dの近傍には、発光ダイオード353用の投光窓350eとフォトトランジスタ354用の受光窓350fとが対向して形成されている。溝部350aのV字部の角度は約90°とされている。
なお、以下の姿勢検出スイッチ341の方向説明のため、スイッチ本体350におけるV字形状の溝部350aの頂点部350dの下方の面を“A面”、側面のうちで第1の斜面350b側の面を“B面”と定義するものとする(図5−2参照)。
次に、姿勢検出スイッチ341の検出動作について図6−1、図6−2を参照して説明する。図6−1は、姿勢検出スイッチ341のB面を下にした状態を示す断面図であり、図6−2は、姿勢検出スイッチ341のA面を下にした状態を示す断面図である。まず、姿勢検出スイッチ341が図6−1に示す状態の場合、鋼球352は重力により溝部350a内を下方向に転動する。このため、投光窓350eと受光窓350fとの間の光路は鋼球352によって遮られることはない。
一方、姿勢検出スイッチ341が図6−2に示す状態の場合、鋼球352は重力により溝部350a内を下方向、すなわち頂点部350dの方向に転動する。このため、投光窓350eと受光窓350fとの間の光路は鋼球352によって遮られる。一般に、溝部350aのうち、頂点部350dが最も低い位置にある場合、鋼球352が頂点部350dの近傍に転動し、投光窓350eと受光窓350fとの間の光路を遮る。
以後、本実施の形態1では、図6−2のように、鋼球352が頂点部350dの近傍に存在し、発光ダイオード353とフォトトランジスタ354との間の光路を遮っている状態を“H”と表現し、図6−1のように、鋼球352が頂点部350dの近傍に存在せず、発光ダイオード353とフォトトランジスタ354との間の光路を遮っていない状態を“L”と表現する。
次に、第1〜第3の姿勢検出スイッチ341,342,343のカメラ本体1に対する配置例について図7−1,図7−2を参照して説明する。図7−1は、カメラ本体1を正面から見た場合の第1〜第3の姿勢検出スイッチ341,342,343の配置例を示す正面図であり、図7−2は、カメラ本体1を右側から見た場合の第1〜第3の姿勢検出スイッチ341,342,343の配置例を示す側面図である。
第1の姿勢検出スイッチ341は、A面をカメラ本体1の正面から見て向かって上側に、B面をカメラ本体1の左側に向けて配置されている。第2の姿勢検出スイッチ342も同様に、A面をカメラ本体1の正面から見て向かって上側に、B面をカメラ本体1の左側に向けて配置されている。一方、第3の姿勢検出スイッチ343は、A面をカメラ本体1の正面から見て向かって下側に、B面をカメラ本体1の右側に向けて配置されている。第1,第2の姿勢検出スイッチ341,342と第3の姿勢検出スイッチ343とは、a−a線を中心に対称的に配置されている。
さらに、図7−2に示すように、第1〜第3の姿勢検出スイッチ341,342,343は、カメラ本体1の右面から見て、線b−bに対してそれぞれ角度θをもって配置されている。第1の姿勢検出スイッチ341と第2の姿勢検出スイッチ342とは、b−b線を中心に対称的に配置されている。
上述した如くに構成されたカメラシステムでは、各部が次のように稼動する。画像処理コントローラ28は、Bucom333の指令に従ってCCDインターフェイス回路23又はファインダCCDインターフェイス回路127を制御してCCDユニット303又はファインダCCDユニット309から画像データを取り込む。この画像データは画像処理コントローラ28でビデオ信号に変換され、液晶モニタ24にて出力表示される。ユーザはこの液晶モニタ24の表示画像から、撮影した画像イメージを確認できる。
SDRAM25は画像データの一時的保管用メモリであり、画像データが変換される際のワークエリアなどに使用される。またこの画像データはJPEGデータに変換された後には記録メディア27に保管されるように設定されている。
CCDユニット303は、前述のように、透明な防塵ガラス321によって保護されている。この防塵ガラス321の周縁部にはそのガラス面を加振するための圧電素子322が配置されており、この圧電素子322は、後で詳しく説明するように駆動回路332Aによって駆動される。CCDユニット303及び圧電素子322は、防塵ガラス321を一面とし、かつ、破線で示すような枠体によって囲まれたケース内に一体的に収納されることが、防塵のためにはより好ましい。
また、通常、温度はガラス製の物材の弾性係数に影響し、その固有振動数を変化させる要因の一つであるため、運用時にその温度を計測してその固有振動数の変化を考慮しなければならない。稼動中に温度上昇が激しいCCDユニット303の前面を保護するため設けられた防塵ガラス321の温度変化を測定してその時の固有振動数を予想するほうがよい。したがって、本実施の形態1の場合、温度測定回路33に接続されたセンサ(不図示)が、CCDユニット303の周辺温度を測定するため設けられている。なお、そのセンサの温度測定ポイントは、防塵ガラス321の振動面のごく近傍に設定されるのが好ましい。
ファインダCCDユニット309は、CCDユニット303と同様に、透明な防塵ガラス323によって保護されている。この防塵ガラス323の周縁部には、そのガラス面を加振するための圧電素子324が配置されており、この圧電素子324は駆動回路332Bによって駆動される。ファインダCCDユニット309及び圧電素子324は、防塵ガラス323を一面とし、かつ、破線で示すような枠体によって囲まれたケース内に一体的に収納されることが、防塵のためにはより好ましい。
さらに、防塵ガラス323の温度変化を測定し、その時の固有振動数を予想するため、温度測定回路33に接続されたセンサ(不図示)が、ファインダCCDユニット309の周辺温度を測定するため設けられている。なお、そのセンサの温度測定ポイントは、防塵ガラス323の振動面のごく近傍に設定されるのが好ましい。
ミラー駆動機構18は、クイックリターンミラー305をアップ位置とダウン位置へ駆動するための機構であり、このクイックリターンミラー305がダウン位置にある時、撮影レンズ301からの光束はAF検出用光学部314側とペンタプリズム306側へと分割されて導かれる。AF検出用光学部314内のAFセンサユニット313からの出力は、AFセンサ駆動回路17を介してBucom333へ送信されて周知の測距処理が行われる。
また、ペンタプリズム306に隣接する接眼レンズ13からはユーザが被写体を目視できる一方、このペンタプリズム306を通過した光束の一部は測光回路21内のフォトセンサ(不図示)へ導かれ、ここで検知された光量に基づき周知の測光処理が行われる。
次に、図8及び図9を参照して、本実施の形態1における防塵ガラス321,323,325の駆動及びその動作制御について説明する。図8は、圧電素子322に対する駆動回路332Aの構成の一例を示す回路図であり、図9は、動作制御例を示すタイムチャートである。ここに例示した駆動回路332Aは、図8に示すような回路構成を有し、その各部において、図9のタイムチャートで表わす波形信号(Sig1〜Sig4)が生成され、それらの信号に基づいて次のように制御される。圧電素子324に対する駆動回路332B、圧電素子326に対する駆動回路332Cの場合も同様である。
すなわち、駆動回路332Aは、図8に例示するように、N進カウンタ41、1/2分周回路42、インバータ43、複数のMOSトランジスタ(Q00,Q01,Q02)44a,44b,44c、トランス45及び抵抗(R00)46から構成されている。
トランス45の1次側に接続されたトランジスタ(Q01)44b及びトランジスタ(Q02)44cのオン/オフ切替え動作によって、そのトランス45の2次側に所定周期の信号(Sig4)が発生するように構成されており、この所定周期の信号に基づき圧電素子322を駆動させ、防塵ガラス321を共振させるようになっている(詳細は後述する)。
Bucom333は、制御ポートとして設けられた2つのIOポートP_PwCont及びIOポートD_NCntと、この制御部333内部に存在するクロックジェネレータ55を介して駆動回路332Aを次のように制御する。クロックジェネレータ55は、圧電素子322へ印加する信号周波数より充分に早い周波数でパルス信号(基本クロック信号)をN進カウンタ41へ出力する。この出力信号が図9中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig1である。そして、この基本クロック信号はN進カウンタ41へ入力される。
N進カウンタ41は、このパルス信号をカウントし、所定の値“N”に達する毎にカウント終了パルス信号を出力する。すなわち、基本クロック信号を1/Nに分周することになる。この出力信号が図9中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig2である。この分周されたパルス信号はHighとLowのデューティ比が1:1ではない。そこで、1/2分周回路42を通してデューティ比を1:1へ変換する。なお、この変換されたパルス信号は図9中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig3に対応する。
この変換されたパルス信号のHigh状態において、この信号が入力されたMOSトランジスタ(Q01)44bがオンする。一方、トランジスタ(Q02)44cへはインバータ43を経由してこのパルス信号が印加される。したがって、パルス信号のLow状態において、この信号が入力されたトランジスタ(Q02)44cがオンする。トランス45の1次側に接続されたトランジスタ(Q01)44bとトランジスタ(Q02)44cが交互にオンすると、2次側には図9中の信号Sig4の如き周期の信号が発生する。
トランス45の巻線比は、電源回路53の出力電圧と圧電素子322の駆動に必要な電圧から決定される。なお、抵抗(R00)46はトランス45に過大な電流が流れることを制限するために設けられている。
圧電素子322を駆動するに際しては、トランジスタ(Q00)44aがオン状態にあり、電源回路53のユニットからトランス45のセンタータップに電圧が印加されていなければならない。図中、トランジスタ(Q00)44aのオン/オフ制御はIOポートのP_PwContを介して行われる。N進カウンタ41の設定値“N”はIOポートD_NCntから設定できる。よって、Bucom333は、設定値“N”を適宜に制御することで、圧電素子322(圧電素子324,326についても同様)の駆動周波数を任意に変更可能である。
このとき、周波数は、次の(1)式によって算出可能である。
fdrv = fpls/2N …………(1)
ここで、N:カウンタへの設定値、
fpls:クロックジェネレータの出力パルスの周波数、
fdrv:圧電素子へ印加される信号の周波数、
なお、この(1)式に基づいた演算は、Bucom333のCPUで行われる。
次に、上述の制御部であるカメラボディ制御用マイクロコンピュータ(Bucom)333が行う制御について具体的に説明する。図10にBucom333で稼動する制御プログラムのメインルーチンを例示する。まず、カメラの電源SW(不図示)がオンされると、Bucom333は稼動を開始し、ステップS000では、カメラシステムを起動するための処理が実行される。電源回路53を制御してこのカメラシステムを構成する各回路ユニットへ電力を供給する。また、各回路の初期設定を行う。
次いで、ステップS001では、カメラ本体1の姿勢検出を実行する。この姿勢検出は、姿勢検出回路334中に含まれる第1〜第3の姿勢検出スイッチ341,342,343のそれぞれの検出出力に基づき、後述の表(図12)を参照して、本体カメラ1の姿勢を判別することにより実行される。検出結果は、フラグ形式(図示せず)で記憶される。
図11及び図12を参照してカメラ本体1の各姿勢に対応する第1〜第3の姿勢検出スイッチ341,342,343の状態について説明する。図11−1に示すように、カメラ本体1が横姿勢(ペンタプリズム306が上)にある場合、第1の姿勢検出スイッチ341は“L”の状態,第2の姿勢検出スイッチ342は“L”の状態,第3の姿勢検出スイッチ343は“H”の状態となる。
図11−2に示すように、カメラ本体1が横姿勢(ペンタプリズム306が下)にある場合、第1の姿勢検出スイッチ341は“H”の状態,第2の姿勢検出スイッチ342は“H”の状態,第3の姿勢検出スイッチ343は“L”の状態となる。図11−3に示すように、カメラ本体1が縦姿勢にある場合、第1〜第3の姿勢検出スイッチ341,342,343はいずれも“L”の状態となる。
図11−4に示すように、撮影レンズ301が上向き姿勢にある場合、第1の姿勢検出スイッチ341は“L”の状態,第2の姿勢検出スイッチ342は“H”の状態,第3の姿勢検出スイッチ343は“H”の状態となる。図11−5に示すように、撮影レンズ301が下向き姿勢にある場合、第1の姿勢検出スイッチ341は“H”の状態,第2の姿勢検出スイッチ342は“L”の状態,第3の姿勢検出スイッチ343は“L”の状態となる。
図12は、これらの第1〜第3の姿勢検出スイッチ341,342,343のH,Lレベルの出力とカメラ本体1の姿勢との関係をまとめた表であり、第1〜第3の姿勢検出スイッチ341,342,343のH,Lレベルの出力を検出することで、カメラ本体1の姿勢を判別することができる。カメラ本体1の姿勢が判別できれば、それぞれの防塵ガラス321,323,325の姿勢(塵付着面の方向)も同時に判別することができる。
ステップS002では、温度測定回路33より各部の現在の温度データを取り込む。この温度データは続くステップS003の動作ルーチンにおいて必要な情報である。ステップS003では、サブルーチン「塵除去動作」がコールされ実行される。このサブルーチン中で防塵ガラス321,323,325を振動させることにより塵払いの動作が実行される。電源起動時にこの動作を実行することで、このカメラを撮影に使用しない期間に、意図せずにガラスに付着した塵を除去できる。サブルーチンの詳細動作は後述する。
ステップS004は、周期的に実行されるステップであり、Lucom5と通信動作を行うことでレンズユニット10の状態を検出するための動作ステップである。ステップS005にて、レンズユニット10がボディユニット100に装着されたことを検出すると、ステップS008へ移行する。一方、レンズユニット10がボディユニット100から外されたことを検出したときは、ステップS006からステップS007へ移行する。そして、制御フラグのF_Lensをリセットし、ステップS012に移行する。
ステップS008では、制御フラグのF_Lensをセットする。この制御フラグは、カメラのボディユニット100にレンズユニット10が装着されている期間は“1”を示し、レンズユニット10が外されている期間は“0”を示す。ステップS009では、ステップS001の場合と同様にカメラ本体1の姿勢検出を実行する。ステップS010にて、温度測定の動作が行われ、その直後のステップS011にて、防塵ガラス321,323,325の塵を除去するためのサブルーチン「塵除去動作」がコールされ実行される。そして、ステップS012に移行する。
通常、カメラ本体にレンズユニット10が装着されていない期間において、レンズや防塵ガラス321,323,325等に塵が付着する可能性が高い。したがって、レンズユニット10の装着を検出したタイミングで塵を払う動作を実行することが望ましい。よって、周期的にステップS009〜S011の動作を実行することも考えられるが、これでは、塵が付着していない状態で防塵ガラス321,323,325を振動させることが多くなり、無駄な電力を消費する可能性が高いので、ここでは、レンズ装着操作の有無で実行することにしている。
ステップS012では、カメラ操作SW52の状態を検出する。そして、カメラ操作SW52の一つであるモード変更SW(不図示)の状態変化がステップS013で検出されると、ステップS014へ移行する。ステップS014では、そのSWの操作に連動してカメラの動作モードが変更され、ステップS015では、その動作モードに応じた情報が動作表示用LCD51へ表示出力される。そして、ステップS004へ再び移行する。
ステップS016では、カメラ操作SWの一つである1st.レリーズSW(不図示)が操作されたか否かを判定する。もし、1st.レリーズSWがオンしているならばステップS017へ移行し、オフならばステップS004へ再び移行する。ステップS017では、測光回路21から被写体の輝度情報を入手する。そして、この情報からCCDユニット303の露光時間(Tv値)と撮影レンズ1の絞り設定値(Av値)を算出する。
ステップS018では、AFセンサ駆動回路17を経由してAFセンサユニット313の検知データを入手する。このデータに基づきピントのズレ量を算出する。ここで、ステップS019にて、F_Lensの状態を判定する。“0”ならばレンズユニット10が存在しないことを意味するので、ステップS020以降の撮影動作は実行できない。そこで、この場合はステップS004へ再び移行する。ステップS020では、Lucom5に対してピントのズレ量を送信して、このズレ量に基づく撮影レンズ1の駆動を指令する。
ステップS021では、カメラ操作SW52の一つである2nd.レリーズSW(不図示)が操作されたか否かを判定する。この2nd.レリーズSWがオンしているときはステップS022へ移行して所定の撮影動作を行うが、オフのときは再びステップS004へ移行する。
ステップS022からは、まずLucom5へAv値を送信し、絞り3の駆動を指令し、ステップS023にてクイックリターンミラー305をアップ位置へ移動する。ステップS024にてシャッタ15の先幕走行を開始させ、ステップS025にて画像処理コントローラ28に対して撮像動作の実行を指令する。Tv値で示される時間、CCDユニット303への露光が終了すると、ステップS026において、シャッタ15の後幕走行を開始させ、ステップS027にてクイックリターンミラー305をダウン位置へ駆動する。
また、これと並行してシャッタ15のチャージ動作を行う。そして、ステップS028では、Lucom5に対して絞り3を開放位置へ復帰させるように指令し、ステップS029では、画像処理コントローラ28に対して、撮影した画像データを記録メディア27へ記録するように指令する。その画像データの記録が終了すると、再びステップS004へ移行する。
ここで、防塵ガラス321,323,325の支持構造と振動形態について説明しておく。なお、防塵ガラス321,323,325は、いずれも同様な構成となっているため、ここでは防塵ガラス321についてのみ説明するものとする。
本発明に係るカメラシステムにおいては、防塵ガラス321の形状を仮に円盤とする。また、その防塵ガラス30のガラス板の円周に沿って加振用の圧電素子322を配置すると、このガラス板は円周で支持されることになる。このとき、このガラス板は複数の振動モード(振動形態)で加振する。本発明では、この振動モードの中から2つのモードを選択して使い分けることとする。図13−1,図13−2、図14−1及び図14−2に選択した振動モードにおけるガラス板の振動の状態を示す。
本実施の形態1に係る防塵ガラス321は、図13−1,図13−2にそれぞれ図示したような振動形態を示す。すなわち、加振手段として機能する圧電素子322によって振動を加えると、そのガラス板の周囲には振動しない「節」が発生するが、概ねガラス全面が同じ位相にて、太矢印で示された如く図13−1と図13−2との状態を交互に繰り返して振動する。このような振動形態を以下「振動モード1」と称する。
同様に、本実施の形態1の防塵ガラス321は、加える振動の周波数によっては、図14−1,図14−2にそれぞれ図示したような形態でも振動することができる。すなわち、図14−1,図14−2に例示した防塵ガラス321の振動形態は、ガラス板の内側と外側が180度ずれた位相で振動するものである。詳しくは、図示する振動形態ではガラス板の周囲と内部に節がそれぞれ発生するモードであり、図示の如く、内側の節に囲まれた領域の振動と内部の節の外側領域(ドーナツ状の領域)の振動は位相が180度ずれている。以下これを「振動モード2」と称する。
次に、図15に示すサブルーチン「塵除去動作サブ」においては、これら振動モード1と振動モード2の2つのモードで防塵ガラス321,323,325が共振されるように圧電素子322,324,326を駆動するように設定されている。一般的に、塵の特性(例えば重さ、形状、素材など)によって、塵を除去しやすい周波数や振幅が異なる。そこで、確実に塵を除くためにはこれら2つの振動モードでそのガラス板を共振させるとよい。もちろん、さらに複数の振動モードで共振させてもよい。但し、除去動作にかかる時間もまたその分余計にかかることがあるので、除去効果の程度と所要時間とを充分鑑みて適当な数に設定するべきである。
図15のフローチャート及び図16〜図19に基づき、「塵除去動作」のサブルーチン中に含まれる「塵除去動作サブ」について説明する。ここでは、圧電素子322,324,326による加振動作は、基本的に、並行して行うものとする。まず、ステップS099では、後述する設定フラグに応じて、加振動作なしか否かを判別する。圧電素子322,324,326の全てについて加振動作なしの場合には(ステップS099:Yes)、リターンする。
次の、ステップS100では、EEPROM29から4つの制御パラメータ(Startoffset,Stopoffset,OSCtime1,OSCtime2)を読み出す。これらの4つの制御パラメータは、図16にメモリマップで示されたEEPROM29内部に記憶された「振動モード1対応温度補正テーブル」から読み出せる。
図17−1は、この振動モード1対応温度補正テーブルの詳細を示している。この温度補正テーブルから対応する制御パラメータを読み出すためには温度情報(t)が必要である。温度情報(t)はこのサブルーチンの実行前に、温度測定回路33の温度センサ(不図示)によって検出され取得されている(図10のステップS002又はステップS010参照)。
温度情報(t)が仮に20℃の場合、このときの制御パラメータを図17−1の振動モード1対応温度テーブル中の*0で示す部分から読み取ると、読出し開始位置(Startoffset)は“3”、読出し終了位置(Stopoffset)は“9”、そして、時間間隔(OscTime1)は“10”、時間間隔(OscTime2)は“1”がそれぞれ対応して得られる。そして、“Startoffset”の値と“Stopoffset”の値によって、EEPROM29の振動モード1対応周波数補正テーブルの領域を定義する。
また、この領域から読み出された時間間隔(OscTime1,この場合は、10msec.)でN進カウンタ41へ順次設定される。すなわち、その周波数にて継続して駆動する動作時間を示している。この時の塵除去動作(振動モード1)にかかる時間は、この場合について計算すると、
10ms×{(9−3)+1}(回)=70ms
となる。また、振動モード2については、
10ms×{(13−5)+1}(回)=90ms
となる。したがって、カメラとして、塵除去動作にかかる時間は、70+90=160msとなる。
図17−1,図17−2中に示す時間間隔(OscTime2)は、後述する消費電力低減用に動作時間を短時間にさせる時の駆動時間を示している。必要に応じて、この時間間隔(OscTime2)を採用することで、動作時間が短くなるように制御する。
図18−1,図18−2はこれら振動モードに対応する周波数補正テーブルを示し、図18−1は振動モード1対応周波数補正テーブル、図18−2は振動モード2対応周波数補正テーブルである。振動モード1対応周波数補正テーブルはクロックジェネレータ55が周波数40(MHz)のパルス信号を出力するものとして算出されている。
既に説明した(1)式を適用すれば駆動周波数は算出できる。上述した温度補正テーブルから読み取った値に基づき、振動モード1対応周波数補正テーブルの*1〜*2の領域の7つのプリセット値がN進カウンタ41へ順次設定される。このときの駆動周波数f1,f2,…,f7と、ガラス板の振動の振幅との関係をグラフとしてプロットすると、図19中の*3のような曲線となる。
この図19には、駆動周波数fnとガラス板の振動の振幅との関係を特性グラフ曲線で表わしており、プロットされた*3のグラフ曲線を中心として、共振周波数の補正範囲(fc´<fc<fc´´)が示されている。*3のグラフ曲線においては、fcが共振周波数である。そして、このfcはたまたまf4に等しい。例えば、*4のような特性をもつガラス板の場合はfc´が共振周波数であって、fc´はf3と等しい。例えば、*5のような特性のガラス板の場合はfc´´が共振周波数であって、fc´´はf5と等しい。
よって、共振周波数がΔfcの範囲でバラツクことを考慮して、当該周波数補正テーブルの読出し開始位置(Startoffset)と読出し終了位置(Stopoffset)を設定すれば、必ず共振周波数でガラス板を加振する状況を実現することができる。また、温度によって、Δfcが変動しても、図17−1に示す振動モード1対応温度補正テーブルを適正に設定することで、必ず共振周波数で駆動できることが明らかである。
ところで、防塵ガラス321,323,325は、必要とされる光学的サイズや許容スペースが異なるため、それぞれ異なる寸法となる。例えば、ファインダCCDユニット309はファインダとしての機能上、一般的には、CCDユニット303ほどの大型な撮像素子は必要とされず、やや小型の撮像素子が使用される。また、AFセンサユニット313は、近年ではマルチAFの採用等によって大型化しているものの、CCDユニット303やファインダCCDユニット309よりは受光部の光学的寸法は小さい。
このように、それぞれに必要な光学的寸法が異なるため、また、ファインダ系、AF系は、撮像系よりもスペース的により小型化が要求されるので、防塵ガラス321,323,325の寸法は異なるものとならざるを得ない。
防塵ガラス321,323,325の寸法が異なるため、それぞれの共振周波数も基本的には異なるものとなる。図20−1は、防塵ガラスの面積と共振周波数との関係を示すグラフであり、図20−2は、防塵ガラスの厚さと共振周波数との関係を示すグラフである。防塵ガラスの共振周波数は、一般に、面積にほぼ反比例し、厚さにほぼ比例する特性を有する。
そこで、本実施の形態1では、このような特性を利用し、防塵駆動制御及び駆動回路を簡略化するために、これらの防塵ガラス321,323,325の面積と厚さを操作して同一の共振周波数に設定している。
具体的には、防塵ガラス321の面積をS、厚さをtとした場合に、防塵ガラス323の面積がS/2であるとするとその厚さを2tとし、また、防塵ガラス325の面積がS/3であるとするとその厚さを3tとする。これにより、
S×t=S/2×2t=S/3×3t
なる関係が成立し、防塵ガラス321,323,325の共振周波数を同一とすることができる。
ここで、図15のフローチャートの説明に戻る。OSCtimeの値を大きくすれば、共振状態における加振時間を任意に設定できる。但し、無効な加振動作(共振周波数以外での駆動)の時間も大きくなるので注意が必要である。そこで、ステップS101では、EEPROM29の読み出し開始アドレスとしてAddressM1+Startoffsetを設定する。AddressM1は振動モード1対応周波数補正テーブルの先頭アドレスを示している。したがって、AddressM1+Startoffsetは図12−1中の*1に対応していることになる。ここで、防塵ガラス321,323,325の共振周波数は、全て共通であり、fc321=fc323=fc325=f4に設定されている。
ステップS102では、圧電素子322,324,326を駆動するための準備動作が行われる。IOポートのP_PwContを制御してトランジスタ(Q00)44aをオン状態にする。さらに、クロックジェネレータ55からパルス信号の出力を開始する。この状態でN進カウンタ41にテーブルから取り出したデータを設定すれば、所望の周波数で圧電素子322,324,326を駆動できる。
ステップS103においては、設定されたアドレスからプリセット値(N)を読み出す。そして、IOポートのD_NCntからN進カウンタ41に読み出したプリセット値を設定する。ステップS104では、設定フラグに基づき時間間隔としてOSCtime1,2のいずれかを選択する。また、加振動作なしの場合には、圧電素子322,324,326の動作は行わない。そして、ステップS105では、タイマカウンタへ選択されたOSCtime1又は2を設定しタイマのカウント動作を開始する。
そして、ステップS106にて、タイマカウンタの動作が終了するまで待機する。ステップS107では、EEPROM29のアドレスが“AddressM1+Stopoffset”に等しいか否かが判定される。もし、等しい場合は図18−1の*2までテーブルデータを読み出したことを意味する。すなわち、予定した複数の周波数での加振動作が終了したことになる。よってこの場合は、ステップS109にて駆動動作を停止する処理が行われる。トランジスタ(Q00)44aをオフし、クロックジェネレータ55の動作を止める。
ステップS107からステップS108へ移行したときは、EEPROM29のアドレスをインクリメント(+1)する。次の周波数で圧電素子322,324,326を駆動するため、再びステップS103へ移行する。
振動モード1に対応する駆動動作が終了すると、振動モード2に対応する駆動動作のためにステップS200〜S208の動作が実行される。振動モード2でガラス板を加振するために必要な制御パラメータStartoffset,Stopoffset,OSCtime1,OSCtime2は、図17−2に示されEEPROM29中の振動モード2対応温度補正テーブルから読み出せばよい。そして、プリセット値(N)は、EEPROM29の振動モード2対応周波数補正テーブルから読み出せばよい。同様に、振動モード2対応周波数補正テーブルの詳細は図18−2に示されている。
続くステップS200〜S209の動作は、基本的に前述したステップS100〜S109の動作と同じである。異なるところは、制御に必要なテーブルを読み出すEEPROM29のアドレスが異なる点のみである。よってその説明は省略する。
このように、振動モード1、振動モード2の2種類の振動モードによる防塵ガラス321,323,325への加振動作が終了すると、後述の図21に示す塵除去動作ルーチンへリターンする。
なお、カメラシステムの設計段階では、ガラス板の共振周波数のバラツキを予測することは非常に困難である。したがって、このカメラシステムが完成した後に、圧電素子322,324,326の駆動周波数を決定する制御パラメータを設定できるようにすべきである。そこで、必要なパラメータは、上述した如く本発明では全てEEPROM29に選択可能に格納されている。
ここで、カメラ本体1の姿勢に対応する各防塵ガラス321,323,325の塵付着面の方向により塵除去動作の有効性が異なる点と、その方向により塵除去動作を変更する点について説明する。すなわち、防塵ガラスの塵付着面の方向が鉛直下向き方向や水平方向の場合には、付着した塵は重力の作用によって、より落ちやすく除去しやすいが、鉛直上向き方向の場合には塵は落ちにくく除去しにくい。また、防塵ガラスの塵付着面の方向が鉛直下向き方向の場合には、水平方向の場合に比較して、より一層塵を除去しやすい。
このようにカメラ本体1の姿勢に対応する各防塵ガラス321,323,325の塵付着面の方向により塵除去動作の有効性が異なる点を考慮し、本実施の形態1では、以下のように塵除去動作の内容を変更するように各駆動回路332A,332B,332Cの動作をBucom333によって制御する。
まず、対象となる防塵ガラスが横向き(塵付着面方向が水平方向)の場合には、通常の塵除去動作を行わせる。また、対象となる防塵ガラスが下向き(塵付着面方向が鉛直下向き方向)の場合には、塵除去しやすい姿勢であるので、加振動作の動作時間を通常よりも短く制御して塵除去動作を行わせる。一方、対象となる防塵ガラスが上向き(塵付着面方向が鉛直上向き方向)の場合には、塵除去しにくい姿勢であり、塵除去効果が得られないので、無駄な消費電力を消費しないよう、塵除去用の加振動作を行わないように制御する。
ここで、本実施の形態1のカメラ本体1中に含まれる防塵ガラス321,323,325は、図1、図4等の構成からも判るように、同一姿勢のカメラ本体1においてもそれぞれの塵付着面方向が互いに直交、或いは正反対で異なるため、それぞれの塵除去動作の内容は個々に異なるものとなる。図12中では、通常動作は“○”印で示し、塵除去しやすく動作時間を短時間とする場合は“◎”印で示し、塵除去しにくく塵除去動作を行わない場合は“×”印で示す。
メインルーチン中のステップS003及びステップS011に関して、このような点を考慮した塵除去動作ルーチンの処理内容を図21に示すフローチャートを参照して説明する。ステップS001やステップS009により既に実行されているカメラ本体1の姿勢検出結果のフラグを参照することで、カメラ本体1の姿勢を判別する。ステップS301では、この姿勢判別として、縦姿勢であるか否かを判別する。カメラ本体1が縦姿勢であれば(ステップS301:Yes)、いずれの防塵ガラス321,323,325も塵付着面方向が水平方向であるため、ステップS302により、通常動作を行う旨のフラグを設定する。
ステップS303では、カメラ本体1の姿勢が横姿勢(ペンタプリズム306上向き)であるか否かを判別する。カメラ本体1が横姿勢(ペンタプリズム306上向き)であれば(ステップS303:Yes)、防塵ガラス321の塵付着面方向が水平方向、防塵ガラス323の塵付着面方向が鉛直下向き方向、防塵ガラス325の塵付着面方向が鉛直上向き方向であるため、ステップS304により、防塵ガラス321に対しては通常動作、防塵ガラス323に対しては短時間動作、防塵ガラス325に対しては塵除去動作を行わない旨のフラグを設定する。
ステップS305は、カメラ本体1の姿勢が横姿勢(ペンタプリズム306下向き)であるか否かを判別する。カメラ本体1が横姿勢(ペンタプリズム306下向き)であれば(ステップS305:Yes)、防塵ガラス321の塵付着面方向が水平方向、防塵ガラス325の塵付着面方向が鉛直下向き方向、防塵ガラス323の塵付着面方向が鉛直上向き方向であるため、ステップS306により、防塵ガラス321に対しては通常動作、防塵ガラス325に対しては短時間動作、防塵ガラス323に対しては塵除去動作を行わない旨のフラグを設定する。
ステップS307では、カメラ本体1の姿勢がレンズ上向き姿勢であるか否かを判別する。カメラ本体1がレンズ上向き姿勢であれば(ステップS307:Yes)、防塵ガラス321の塵付着面方向が鉛直上向き方向、防塵ガラス323,325の塵付着面方向が水平方向であるため、ステップS308により、防塵ガラス323,325に対しては通常動作、防塵ガラス321に対しては塵除去動作を行わない旨のフラグを設定する。
ステップS309では、カメラ本体1の姿勢がレンズ下向き姿勢であるか否かを判別する。カメラ本体1がレンズ下向き姿勢であれば(ステップS309:Yes)、防塵ガラス321の塵付着面方向が鉛直下向き方向、防塵ガラス323,325の塵付着面方向が水平方向であるため、ステップS310により、防塵ガラス321に対しては短時間動作、防塵ガラス323,325に対しては通常動作を行う旨のフラグを設定する。これらのいずれの姿勢でもない場合には(ステップS309:No)、ステップS311により、いずれの防塵ガラス321,323,325に対しても通常動作を行う旨のフラグを設定する。
このような姿勢に応じた塵除去動作の内容のフラグを各防塵ガラス321,323,325毎に設定した後、ステップS312に“塵除去動作サブ”として示す図15で説明した塵除去動作を実行し、設定されたフラグに基づいて各防塵ガラス321,323,325に対する塵除去動作を圧電素子322,324,326に対する駆動回路332A,332B,332C毎に制御することで実行する。
図22は、塵除去動作のタイムチャートと消費電力の様子とを示す説明図である。なお、図示例は、温度20℃、カメラ姿勢が横姿勢(ペンタ上)であるとする。図中、(a)は従来方式、(b)は本実施の形態1方式を示し、網掛け部分が消費電力に相当するものとする。
(a)の従来方式にあっては、カメラ姿勢に関係なく、いずれの防塵ガラス321,323,325についても一律に通常動作を実行している。これに対して、本実施の形態1の場合、当該姿勢の場合、防塵ガラス325については塵除去動作を行わないように制御するので、その省電力は“0”である。また、防塵ガラス323についてはOSCtime2を採用する短時間動作とするので、防塵ガラス323用の塵除去動作に要する振動モード1,2の動作時間は、
1ms×{(9−3)+1}(回)=7ms
1ms×{(13−5)+1}(回)=9ms
となる。これは、通常動作時の半分以下の消費電力となる。
このように、本実施の形態1によれば、防塵ガラス321,323,325について、その塵付着面方向が水平方向の場合には通常の塵除去動作を行い、鉛直下向き方向の場合には通常よりも短時間の塵除去動作を行い、鉛直上向き方向の場合には塵除去動作を行わないように制御するので、無駄な消費電力の発生を防止できるという圧電素子322,324,326の適正な駆動制御が可能となる。
なお、上述の説明では、防塵ガラス321,323,325の塵付着面方向が水平方向、鉛直下向き方向、鉛直上向き方向のいずれであるかによって塵除去動作の内容を可変制御するようにしたが、姿勢検出回路334によってカメラ本体1の姿勢、したがって防塵ガラス321,323,325の塵付着面方向を、より多段階に詳細に検出し、塵付着面方向が水平方向から鉛直下向き方向或いは鉛直上向き方向に近づくに従って塵除去動作の内容を段階的に可変制御するようにしてもよい。
また、本実施の形態1では、適正な駆動制御として省電力化を最優先させるようにしたが、防塵ガラス321,323,325の塵付着面方向が鉛直上向き方向で塵を落としにくい場合には、通常時よりも動作時間が長くなるように動作時間を制御することで、塵を落としにくい姿勢であってもその塵除去効果を高めることで適正な駆動制御となるようにしてもよい。
また、本実施の形態1では、塵除去動作の内容変更として動作時間を可変制御するようにしたが、各駆動回路332A,332B,332C中に圧電素子322,324,326に対する印加電圧を可変させるための印加電圧可変回路を備え、防塵ガラス321,323,325の塵付着面の方向に従って圧電素子322,324,326に印加する印加電圧を低くしたり高くしたり可変制御するようにしてもよい。一般に、圧電素子による塵除去性能はその振動振幅によって異なり、印加電圧に比例して圧電素子の振動振幅が大きくなる特性を有する。したがって、塵付着面方向が下向きで塵を落しやすい状況では、印加電圧を通常時よりも低く制御することで、消費電力を抑制することができる。また、塵付着面方向が上向きで塵を落としにくい状況では、印加電圧を通常時よりも高く制御することで、その塵除去効果を高めることができる。或いは、塵付着面方向が上向きで塵を落としにくい状況では、前述の場合と同様、塵除去動作を行わず、省電力化を優先させるようにしてもよい。
また、本実施の形態1では、塵付着面方向が下向きで塵を落しやすい状況での塵除去動作の内容変更として動作時間を通常時よりも短い時間に制御するようにしたが、周波数走査範囲の幅を通常時よりも狭くするように可変制御してもよい。例えば、通常時にはf1〜f7なる周波数走査範囲を走査させるが、塵を落しやすい場合には、例えばf3〜f5なる周波数走査範囲を走査させるようにしてもよい。これによれば、加振動作のための動作時間を短縮させることができ、結果として、省電力化を図ることができる。塵付着面方向が上向きで塵を落としにくい状況では、前述の場合と同様、塵除去動作を行わないようにすればよい。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について図23を参照して説明する。前述の実施の形態1では、圧電素子322,324,326毎に個別に駆動回路332A,332B,332Cを備える防塵ガラス駆動回路332を用いた構成例としたが、本実施の形態2は、各圧電素子322,324,326を所定の駆動周波数で駆動する単一の駆動回路構成の防塵ガラス駆動回路400を用いた構成例を示す。
この防塵ガラス駆動回路400は、各駆動回路332A,332B,332Cとほぼ同じ構成とされているが、トランス45の2次側出力と各圧電素子322,324,326との間にこれらを選択的に駆動するためのスイッチング手段としてのMOSFET等によるスイッチ401,402,403を備えている。これらのスイッチ401,42,403はBucom333からの選択信号SEL1〜SEL3によりオン/オフ制御される。例えば、選択信号SEL1がHレベルの時には対応するスイッチ401がオンしてトランス45の2次側と圧電素子322とが接続状態(駆動可能状態)となり、選択信号SEL1がLレベルの時には対応するスイッチ401がオフとなりトランス45の2次側と圧電素子322とは分離状態(駆動不可状態)となる。選択信号SEL2,SEL3とスイッチ402,403との関係についても同様である。
本実施の形態2の構成においても、姿勢検出回路334により検出されるカメラ本体1の姿勢に応じた各防塵ガラス321,323,325の塵付着面の方向に応じて、Bucom333が選択信号SEL1〜SEL3のH/Lレベルの制御を行うことで、前述の実施の形態1の場合と同様な動作制御が可能となる。
例えば、防塵ガラス321の塵付着面方向が水平方向の場合には、Bucom333は、選択信号SEL1をHレベルとしスイッチ401をオンすることで、対応する圧電素子322を通常動作させるように制御する。また、防塵ガラス321の塵付着面方向が鉛直下向き方向で塵を落しやすい場合には、Bucom333は、選択信号SEL1をHレベルとするがスイッチ401がオンする時間を短くすることで、対応する圧電素子322を通常時よりも短時間動作させるように制御する。さらに、防塵ガラス321の塵付着面方向が鉛直上向き方向で塵を落としにくい場合には、Bucom333は、選択信号SEL1をLレベルとしスイッチ401をオフのままとすることで、対応する圧電素子322を動作させないように制御する。他の防塵ガラス323,325についても同様である。
さらに、選択信号SEL1〜SEL3によるスイッチ401〜403それぞれのオンタイミングの制御により、駆動周波数の走査範囲の幅を可変制御することも可能である。さらには、防塵ガラス駆動回路400中に圧電素子322,324,326に対する印加電圧を可変させるための印加電圧可変回路を備え、印加電圧の可変制御と選択信号SEL1〜SEL3によるスイッチ401〜403それぞれのオンタイミング制御との組合せによる時分割駆動により、防塵ガラス321,323,325の塵付着面の方向に従って圧電素子322,324,326に印加する印加電圧を低くしたり高くしたり可変制御するようにしてもよい。
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変形が可能である。