JP2006257949A - 燃料噴射システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 エンジンの始動性は、燃料噴射時期が進角側にあるほど良いことが一般的に知られている。
しかし、従来の燃料噴射システムおいてエンジンの停止処理が行われると、燃料噴射時期を決定するタイマピストンは、該停止処理が行われたときの位置に留まることとなる。
そのため、次回のエンジン始動時において、該タイマピストンが進角側にない場合が多く、始動性が悪い場合があった。
【解決手段】 ECM21は、タイマピストン52を進角側へ移動させ、実位相差Cが停止時目標位相差Zに達したときに、燃料噴射ポンプ40の燃料噴射を停止させることによって、エンジン20を停止させる。
【選択図】図4

Description

本発明は、エンジンのシリンダに対する燃料噴射時期を制御する制御手段を具備する燃料噴射システムに関するものである。
従来のディーゼルエンジンにおいては、燃料噴射ポンプにおける燃料噴射の駆動源であって燃料噴射時期を決定するカム軸の位相と、エンジンのクランク軸の位相とは、ある位相差をもって運転されている。
この位相差をエンジンの状態に合わせて進角側又は遅角側となるように変化させることによって、効率良くエンジンを運転することが可能となる。
この燃料噴射ポンプのカム軸の位相を変化させる装置としては、油圧式タイマユニットが知られており、例えば下記特許文献1に示すようなものがある。
該油圧式タイマユニットには、燃料噴射ポンプのカム軸に固設されるカム軸カップリングと、クランク軸の回転が伝達されるポンプ駆動歯車との間に、両軸の位相角を変化するためのタイマピストン(「シャトルピストン」とも称される場合がある)が設けられている。
これらは、カム軸カップリングの外周面にストレートでスプライン嵌合するようにタイマピストンが設けられ、更に該タイマピストンの外周面にヘリカルでスプライン嵌合するようにポンプ駆動歯車が設けられている。
この構成により、タイマピストンをカム軸カップリングのスプライン方向に摺動させることで、カム軸カップリングとポンプ駆動歯車との位相差を変化させることが可能となる。
また、このタイマピストンの摺動は油圧で行われており、該油圧の制御はエンジンを制御するECMが行っている。
したがって、ECMが、エンジンの状況に応じてタイマピストンを進角側又は遅角側に制御することによって、燃料の噴射時期を適切にすることができる。
特開2004−218636号公報
ところで、上述のような燃料噴射システムにおいて、エンジンを停止させる処理は、例えば、操作者によってキースイッチ等の操作部が停止操作なされることにより、ECMがエンジンに対する燃料噴射を停止することによってエンジンを停止させる。
従来、この停止処理において、タイマピストンは、操作者によって停止操作がなされたときの位置、或いは、燃料噴射が停止するときの位置で停止することになる。
即ち、タイマピストンはエンジンを通常運転している時の位置に留まることとなる。
また、タイマピストンは一般的に油圧制御されるため、エンジン始動時にはタイマピストンを制御することができない。
そのため、エンジン始動時においても、タイマピストンは上述の停止処理が行われた位置(即ち、上述のエンジンを通常運転している時の位置)にあることになる。
しかしながら、エンジンを始動させる場合には、燃料噴射時期を進角側で始動させた方が始動特性が良いことが一般的に知られている。
そのため、従来の燃料噴射システムは、エンジンを始動させる場合の始動性が必ずしも良くないため、セルモータの動作時間が長くなり、バッテリの負荷が大きくなる問題があった。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エンジンの始動性を向上させる燃料噴射システムを提供することである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
請求項1においては、エンジンのシリンダに対する燃料噴射時期を制御する制御手段を具備する燃料噴射システムにおいて、前記制御手段は、エンジンの停止処理要求があった場合に、燃料噴射時期を進角させて前記停止処理を行うものである。
請求項2においては、燃料噴射時期をタイマピストンで変化させるものである。
請求項3においては、燃料噴射時期を進角させる場合に、制御手段はエンジンのクランク軸に対する燃料噴射時期の位相差を所定の位相差以上となるように制御するものである。
請求項4においては、エンジンを緊急停止させる場合には、前記制御手段は燃料噴射時期を進角側に変化する処理を行わずに前記停止処理を行うものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1の構成により、エンジンの停止時に、燃料噴射時期をエンジンの始動性が良い進角側で停止させることとなり、次回エンジンを始動させる際の始動性が良くなるので、従来よりもセルモータの始動時間を短くすることが可能となって、バッテリの負荷を軽減することが可能となる。
請求項2の構成により、従来から用いられるタイマピストンを利用することができるので、低コスト化を図ることが可能となる。
請求項3の構成により、エンジンの始動性が良いとされる位相差を制御手段に具体的に設定することが可能となる。
請求項4の構成により、エンジン等に異常が発生して緊急停止させる必要がある場合に、燃料噴射時期を進角側にする処理を行わないので、エンジンを緊急停止させることが可能となる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の本発明を実施するための最良の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
図1は燃料噴射システムの概略構成を示したブロック図、図2は燃料噴射ポンプとそれに関連する装置等の概略構成図、図3はクランク軸パルス、カム軸パルス、及び燃料噴射時期の関係を示した図、図4はエンジンを停止させる際に行う一連の処理の一例を示したフローチャート、図5はキースイッチの状態、実位相差、燃料噴射の状態、及びエンジン回転数の関係を示した図、である。
<概略構成>
先ず、図1を用いて本発明の燃料噴射システム1の概略構成について説明する。
尚、ここで説明する燃料噴射システム1は、例えば船舶が具備するエンジンの燃料噴射ポンプの制御システムとして採用する場合について説明するが、本システムを利用することで同様の効果が得られるものであれば如何なるものに採用しても良い。
燃料噴射システム1は、図1に示すように、操作部10とエンジン20とに大別される。
操作部10は、船舶の運転室に設けられるものであって、例えば表示部11、主スロットル12、副スロットル13等が設けられるものである。
表示部11は、本システムを採用する船舶の状態や警告等を表示するものであり、スピーカ等を内臓することによって音声による警告を発することも可能なものである。
主スロットル12は、例えばエンジン20のスロットルバルブ29を操作するものであって船舶が正常運転状態である場合に操作されるものであり、例えばレバー式のものである。
また、エンジン20を起動するためのキースイッチ12aが、主スロットル12と一体的に又は別途操作部10に設けられる。
副スロットル13は、主スロットル12と同様にスロットルバルブ29を操作するものであるが、船舶が正常運転状態でない場合に操作されるものである点で主スロットル12とは使用態様が異なる。また、この副スロットル13の形状は、例えばつまみ式(ボリューム式)のスイッチである。
また、表示部11及び主スロットル12は各々独自の制御部を具備しており、エンジン20側の制御部であるECM21(Engine Control Module)と通信することによって、操作部10とエンジン20との全体制御を行っている。
尚、操作部10とエンジン20とでプロトコル等の通信方式が異なる場合には、図1に示すように通信方式の整合を図るための通信中継器15を設ける。
また、副スロットル13は、エンジン20側のECM21に直接接続される構成となっており、通信方式はエンジン20側と同じである。
エンジン20は、例えばディーゼルエンジンであり、ECM21、クランク軸回転数センサ22、カム軸回転数センサ23、遅角用電磁弁24、進角用電磁弁25、ラック28等が設けられるものである。
ECM21は、エンジン20に関するセンサや上述した操作部10等の操作系の状態に基づいて、エンジン20に関するアクチュエータ等を制御するものである。
クランク軸回転数センサ22は、エンジン20のクランク軸の回転数を検出するものであって、その検出結果をクランク軸パルスとしてECM21に出力している。
即ち、エンジン20の回転数は、クランク軸回転数センサ22を用いて検出することは可能である。
カム軸回転数センサ23は、エンジン20のカム軸の回転数を検出するものであって、その検出結果をカム軸パルスとしてECM21に出力している。
また、クランク軸回転数センサ22及びカム軸回転数センサ23は光学センサで構成することが可能であり、例えばクランク軸やカム軸の軸自体又はギヤ等に予め製造時に所定間隔で所定数のマークを記しておくことで、このマークを上記光学センサ検出することによって、ECM21はクランク軸とカム軸41の回転数を算出することができる。
遅角用電磁弁24及び進角用電磁弁25は、図2に示すような燃料噴射ポンプ40のカム軸の位相を変化させるための油圧式タイマユニットのタイマピストンを、進角側又は遅角側に摺動させる油圧を制御するための油圧制御弁である。
ラック28は、燃料噴射ポンプ40から噴射する燃料の量を調節するものである。
<燃料噴射ポンプ>
次に、図2を用いて燃料噴射ポンプ40とそれに関連する装置等の概略構成について説明する。
尚、この図2における油圧式タイマユニット50に関しては断面を示している。
特に、タイマピストン52に関しては便宜的に一点鎖線で上下に2分割した状態で示しており、遅角側位置に移動した状態をタイマピストン52aで示し、他方、進角側位置に移動した状態をタイマピストン52bで示している。
勿論、実際のタイマピストン52は、上述のように一点鎖線で2分割されるものではなく一体的に形成されるものであって、図2においてはあくまでもタイマピストン52の移動状態を説明するために一点鎖線で2分割しているのである。
燃料噴射ポンプ40は、燃料タンクに貯蔵される燃料をエンジン20のシリンダに設けた噴射ノズルへ圧送するためのものであり、カム軸41により駆動され、該カム軸41の先端部分にはカム軸カップリング51をカム軸41に固定するためのカップリング固定部材42が固設されている。
また、燃料噴射ポンプ40には、エンジン20のシリンダへ燃料を供給するための供給口43が気筒分設けられており、図2に示す例においては6気筒ある場合を示している。
更に、燃料噴射ポンプ40には、ガバナ30及び油圧式タイマユニット50が一体的に設けられている。
ガバナ30は、上記ラック28を具備し、該ラック28はECM21によって駆動制御される比例ソレノイドによって駆動される構造となっている。
油圧式タイマユニット50は、カム軸カップリング51の外周面にストレートでスプライン嵌合するタイマピストン52が設けられており、更に該タイマピストン52の外周面にヘリカルでスプライン嵌合するポンプ駆動歯車53が設けられている。
このポンプ駆動歯車53は、エンジン20のクランク軸からの回転力を受ける受歯車55とボルト56によって固設されている。
このように構成されているので、クランク軸の回転によってカム軸41を回転させることが可能となると共に、タイマピストン52をカム軸カップリング51のスプライン方向(図2に向って左右方向)に摺動させることによって、カム軸カップリング51とポンプ駆動歯車53との位相差を変化させることが可能となる。
尚、ここでは既に上述したとおり、タイマピストン52を52a側へ摺動させることでカム軸は遅角し、52b側へ摺動させることで進角するようにスプライン嵌合のヘリカル形状を構成している。
また、ポンプ駆動歯車53と嵌合するタイマピストン52の外周側にできる空間を遅角室57a、他方、カム軸カップリング51と嵌合するタイマピストン52の内周側の空間を進角室57bと各々称する。
この場合に、遅角室57aに圧油を圧送することでタイマピストン52を遅角側(52a側)へ摺動させることができ、他方、進角室57bに圧油を圧送することでタイマピストン52を進角側(52b側)へ摺動させることができる。
また、遅角室57aへ通じる遅角用圧油経路58aと、進角室57bへ通じる進角用圧油経路58bにはそれぞれ上述した遅角用電磁弁24及び進角用電磁弁25が配設されて、該遅角用電磁弁24と進角用電磁弁25をECM21で制御して作動し、圧油を送油してタイマピストン52を摺動させるのである。
このように構成されているので、ECM21は、エンジン20の状況に応じてタイマピストン52を油圧で制御する制御手段として機能し、エンジン20のクランク軸とカム軸41との位相差を自在に遅角又は進角させることが可能となる。
<実位相差>
既に上述したように、クランク軸及びカム軸41の軸自体又はギヤ等には予めマークが記されており、このマークをクランク軸回転数センサ22及びカム軸回転数センサ23で検出し、その検出結果であるクランク軸パルス及びカム軸パルスに基づいてECM21はクランク軸及びカム軸41の回転数を算出している。
したがって、ECM21は、クランク軸パルス及びカム軸パルスの検出時間の差に基づいて、クランク軸とカム軸との位相差を算出することもできる。
そこで、図3を用いて、クランク軸パルス、カム軸パルス、及び実際の燃料噴射時期の関係について図3を用いて説明する。
この図3は、クランク軸パルスJ1・J2・J3と、ある一つの供給口43から噴射される実際の燃料噴射時期(以下、「FIC」と表記する)と、そのFICに対応するカム軸パルスT2との関係を示したものである。
尚、図3(a)はカム軸41がクランク軸に対して進角している状態におけるパルスの検出時間の関係(位相差)を示しており、図3(b)はカム軸41がクランク軸に対して遅角している状態におけるパルスの検出時間の関係(位相差)を示している。
図3に示すように、例えばクランク軸パルスJ1・J2・J3は、角度にして30[deg]毎に検出されるようにクランク軸に予め記されるマークに対応している。
また、カム軸パルスT2の位相に関しては、該カム軸パルスT2に対応するクランク軸パルスJ2からの位相差である角度Bを算出することで求まるものである。
ところで、カム軸パルスT2の位相で燃料噴射が実際に行われれば、この角度Bが燃料噴射時期とクランク軸との位相差となるが、図3に示す例は、油圧式タイマユニット50や燃料噴射ポンプ40等の設計上の都合で、カム軸パルスT2とFICとは一致せず、FICはカム軸パルスT2よりも角度にして10[deg]ずれている。
つまり、実際の燃料噴射時期の位相は、カム軸パルスT2の検出時期よりも角度にして10[deg]相当分早い時期に行われることになる。
そこで、ECM21は、上記10[deg]分のずれも考慮して、FICとクランク軸パルスJ2との位相差を「実位相差C」として最終的に算出している。
即ち、この実位相差Cが、カム軸41によって定まる燃料噴射時期とクランク軸との位相差である。
<実位相差C算出>
次に、クランク軸パルスJ2に対する実位相差Cの算出方法について説明する。
先ず、ECM21は、クランク軸パルスJ2の一つ前のクランク軸パルスJ1を検出した時点からカム軸パルスT2を検出するまでの時間を計測し、その計測時間に相当する位相差を角度Aとして算出する。
そして、ECM21は、予め定められるクランク軸パルスJ1とクランク軸パルスJ2との位相差である角度30[deg]から上記角度Aの差を角度Bとして算出する。
即ち、(30−A)=Bの演算を行う。
この角度Bは、クランク軸パルスJ2に対するカム軸パルスT2の位相差であるから、ECM21は、この角度Bに予め定められるカム軸パルスT2とFICとの位相差(上述した10[deg])を足すことで、実位相差Cを算出する。
即ち、B+10の演算を行う。
このようにパルスの検出及び演算処理を行うことで、実位相差Cを算出することができる。
尚、ECM21は、クランク軸パルスJ2と他のクランク軸パルスJ1との識別は以下のようにして可能となる。
例えば、クランク軸パルスJ2のみに近接し、30[deg]以下の間隔でリセットパルスJXを検出できるように予めマークを記しておく。
このようにリセットパルスJXに対応するマークを記しておくことで、ECM21はクランク軸パルスの間隔である30[deg]よりも短い間隔で2つのパルスを検出したときに、1つめのパルスをクランク軸パルスJ2と認識することが可能となる。
以上のようにして算出される実位相差Cを、ECM21が、エンジン20の状態に応じて変化させることで、エンジン20の状態に適した燃料噴射時期を決定することが可能となる。
<処理の流れ>
ところで、従来の燃料噴射システムにおいては、エンジンを停止する操作を行った場合に、タイマピストンは、例えば操作者によって停止操作がなされたときの位置で停止することになる。
そのため、エンジン始動時においても、タイマピストンは上述の停止処理が行われた位置にあるため、従来の燃料噴射システムは、エンジンを始動させる場合の始動性が必ずしも良くないものであった。
そこで、上述の問題を解消する一連の処理について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
また、この停止処理におけるキースイッチ12aの操作状態、実位相差C、燃料の噴射状態、及びエンジン20の回転数等の変化例について図5を用いて説明する。
尚、図5(a)はキースイッチ12aのON・OFFの操作状態を示している。
図5(b)は実位相差Cの時間的変化を実位相差曲線Lとして示している。
図5(c)は燃料噴射ポンプ40による燃料の噴射状態を示している。
図5(d)エンジン20の回転数を示している。
先ず、ECM21は、エンジン20を通常運転している(S10)。
このときの燃料噴射システム1の各部は、図5における時刻U1以前の状態であり、キースイッチ12aと燃料噴射はON状態で、実位相差Cが時間と共に若干揺らいでおり、エンジン20の回転数は回転数Yで運転されている。
次に、ECM21は、エンジン20の停止処理の要求の有無を判断する(S12)。
この処理は、例えば操作者によってキースイッチ12aがOFFにされることにより、エンジン20の停止処理の要求が発せられたか否かを判断することによって行う。
この処理によって、停止処理要求が有ると判断された場合は処理がステップS14へ移行し、他方、停止処理要求が無いと判断された場合は上記ステップS12の処理を繰り返す。
エンジン20の停止処理要求がある場合に、ECM21は、タイマピストン52を進角側へ移動させる(S14)。
即ち、ECM21は、燃料噴射時期を進角させる。
このときの実位相差Cは、図5(b)の実位相差曲線Lに示すように、時刻U1を基点に変化し、実位相差Cの値は次第に大きくなる。即ち、実位相差Cは進角側へ変化する。
そして、時刻U2のときに、実位相差Cは、エンジン20を停止させるときの所定の位相差(即ち、停止時目標位相差Z)に達する。
この停止時目標位相差Zは、エンジン20の始動性が良いとされる位相差の一例であって、予めECM21に記憶されるものである。
上記ステップS14の処理後、ECM21は、実位相差Cが停止時目標位相差Zに達したか否かを判断する(S16)。
つまり、実位相差Cが停止時目標位相差Z以上となったか否かを判断している。
そして、ECM21は、エンジン20のシリンダへの燃料噴射を停止する(S18)。
この処理は例えば、ECM21が、ラック28、燃料噴射ポンプ40内の電磁弁、又は燃料噴射ポンプ40への燃料供給用電磁弁等を閉鎖することによって行うことができる。
このステップS18の処理によって、エンジン20の停止処理を行うことができる。
例えば、図5に示すように、時刻U2で燃料噴射が停止すると、エンジン回転数が下がり始めて、最終的に時刻U3にてエンジン回転数が0となって停止する。
上述のように制御することによって、エンジン20の停止時に、燃料噴射時期をエンジン20の始動性が良い進角側で停止させることとなり、次回エンジン20を始動させる際の始動性が良くなるので、従来よりもセルモータの始動時間を短くすることが可能となって、バッテリの負荷を軽減することが可能となる。
また、燃料噴射時期とエンジン20のクランク軸との位相差を、ECM21が上記停止時目標位相差Z以上となるように制御するので、エンジン20の始動性が良いとされる位相差をECM21に具体的に設定することが可能となる。
<エンジン20を緊急停止させる場合>
エンジン20、油圧式タイマユニット50、操作部10、通信中継器15、又は接続用ハーネスの断線・短絡等の異常によりエンジン20を緊急停止させる必要が場合には、上述の一連の処理(ステップS12からステップS18までの処理)を行わないようにすることもできる。
これは、異常による緊急停止が必要であるにも拘らず、上述の一連の処理を行っていると停止までに時間が掛かるためである。
そこで上述のようにすることで、異常が発生した場合にエンジン20を緊急停止させることが可能となる。
燃料噴射システムの概略構成を示したブロック図。 燃料噴射ポンプとそれに関連する装置等の概略構成図。 クランク軸パルス、カム軸パルス、及び燃料噴射時期の関係を示した図。 エンジンを停止させる際に行う一連の処理の一例を示したフローチャート。 キースイッチの状態、実位相差、燃料噴射の状態、及びエンジン回転数の関係を示した図。
符号の説明
1 燃料噴射システム
10 操作部
15 通信中継器
20 エンジン
21 ECM
22 クランク軸回転数センサ
22 クランク軸回転数センサ
23 カム軸回転数センサ
24 遅角用電磁弁
25 進角用電磁弁
28 ラック
29 スロットルバルブ


Claims (4)

  1. エンジンのシリンダに対する燃料噴射時期を制御する制御手段を具備する燃料噴射システムにおいて、
    前記制御手段は、エンジンの停止処理要求があった場合に、燃料噴射時期を進角させて前記停止処理を行うことを特徴とする燃料噴射システム。
  2. 燃料噴射時期をタイマピストンで変化させてなる請求項1記載の燃料噴射システム。
  3. 燃料噴射時期を進角させる場合に、制御手段はエンジンのクランク軸に対する燃料噴射時期の位相差を所定の位相差以上となるように制御してなる請求項1又は請求項2のいずれかに記載の燃料噴射システム。
  4. エンジンを緊急停止させる場合には、前記制御手段は燃料噴射時期を進角側に変化する処理を行わずに前記停止処理を行う請求項1から請求項3のいずれかに記載の燃料噴射システム。

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