JP2006257434A - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】縦および横方向に強度が高く、幅寸法安定性にも優れ、平坦で出力特性にも優れた高密度磁気記録媒体、特にリニア記録方式の高密度磁気記録媒体用の二軸配向ポリエステルフィルムを提供すること。
【解決手段】二軸配向フィルムは、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる繰返し単位としてなる二軸配向フィルムであり、縦方向のヤング率が8〜12GPaであり、横方向のヤング率が6.5〜9GPaであり、横方向の温度膨張係数(αt)が−5×10−6/℃から+12×10−6/℃の範囲にあり、横方向の湿度膨張係数(αh)が6×10−6%RHから12×10−6/%RHの範囲にあるおよび横方向の105℃における熱収縮率が0%から+1.5%の範囲にある。
【選択図】なし

Description

本発明は二軸配向ポリエステルフィルムに関する。さらに詳しくは高密度磁気記録媒体、特にリニア記録方式のLTO、S−DLT用磁気テープのベースフィルムとして有用な高ヤング率を有しつつ、優れた寸法安定性をも兼備した二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
ポリエステルフィルムは優れた熱的および機械的特性を有することから、磁気記録媒体用、電気絶縁用など広い分野で用いられている。近年、磁気記録媒体、特にデータストレージテープにおいては高容量化、高密度化がかなり進み、それに伴ってベースフィルムへの特性要求もより厳しいものとなっている。
テープの高容量化を確保するためにテープ厚みを薄くし、テープ長を長くしたり、磁性面を平坦にし、線記録密度を上げたり、またトラック本数を増やすことが考えられ、より平坦で、より強度の高い、しかも幅寸法安定性に優れたベースフィルムが要求されている。
従来、磁気テープ用ベースフィルムとして、ポリエチレンテレフタレートフィルムが広く用いられているが、最近、強度、寸法安定性に優れたポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムが多く用いられるようになってきた。しかしながら、縦方向の強度を上げようとすると、横方向の強度が低くなって幅方向の寸法安定性が悪化し、また横方向の寸法安定性を良くしようと横方向の強度を上げると、縦方向の強度が下がるなど、縦方向および横方向ともに有用な高ヤング率を維持しつつ、優れた寸法安定性をも兼備させた二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムはいまだ提供されていないのが現状である。
本発明の目的は、上記課題を解決し、縦および横方向に強度が高く、幅寸法安定性にも優れた、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる繰返し単位としてなる二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明の他の目的は、出力特性に優れた高密度磁気記録媒体、特にリニア記録方式の高密度磁気記録媒体のベースフィルムとして有用な、平坦な二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明らかになろう。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、
(i)縦方向のヤング率が8〜12GPaであり、
(ii)横方向のヤング率が6.5〜9GPaであり、
(iii)横方向の温度膨張係数(αt)が−5×10−6/℃から+12×10−6/℃の範囲にあり、
(iv)横方向の湿度膨張係数(αh)が+6×10−6/%RHから+12×10−6/%RHの範囲にあり、
(v)横方向の105℃における熱収縮率が0%から+1.5%の範囲にあり、そして
(vi)エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが全繰返し単位の少なくとも95モル%を占めるポリエステルからなる、
ことを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムによって達成される。
以下、本発明について詳述する。最初に、製造方法について説明する。この製造法は、
(1)エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが全繰返し単位の少なくとも95モル%を占めるポリエステルの未延伸フィルムを100〜190℃の範囲の温度で4.5〜7.0倍に機械軸方向に縦延伸して一軸延伸フィルムを形成し、
(2)この一軸延伸フィルムを、フィルムの進行方向に向って温度を上昇させながら、110〜170℃の範囲にある温度で、4.0〜5.0倍に横方向に第1横延伸し、引き続いて、フィルムの進行方向に向って温度を上昇させながら、第1横延伸の最終温度以上240℃以下の範囲にある温度で、かつ第1横延伸の延伸速度よりも小さい延伸速度で1.05〜1.5倍に第2横延伸し、
(3)第2横延伸の後、第2横延伸の最終温度と同じ温度で、あるいは最終温度からフィルムの進行方向に向って温度を下降させながら170〜230℃の範囲にある温度で、0.9〜1.05倍に横方向に、収縮ないし延伸せしめることからなる。上記のごとく、まず機械軸(縦)方向に一軸延伸し、次いで横方向に2段でかつ2段目の横延伸の延伸速度を1段目の横延伸の延伸速度より小さくして延伸することからなっている。
工程(1)の一軸延伸で用いられる未延伸フィルムは、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが全繰返し単位の少なくとも95モル%を占めるポリエステルからなる。かかるポリエステルのうち、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートのホモポリマーが特に好ましい。
かかるポリエステルはそれ自体公知の方法で製造することができる。例えば2,6−ナフタレンジカルボン酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールをエステル交換反応させた後、重縮合して製造することができる。エステル交換反応に用いるエステル交換反応触媒としては、マンガン化合物が好ましく、マンガン化合物としては、酸化物、塩化物、炭酸塩、カルボン酸塩等が好ましく挙げられ、特にマンガンの酢酸塩が好ましい。また、エステル交換反応が実質的に終了した時点でリン化合物を添加して、エステル交換触媒を失活させるのが好ましい。リン化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェートおよび正リン酸が好ましく、その中でもトリメチルホスフェートが好ましい。また、重縮合触媒としては、アンチモン化合物が好ましく、特に三酸化アンチモンが好ましい。
このようにして得られたポリエステルの固有粘度は、0.40(dl/g)以上であることが好ましく、0.40〜0.90であることがさらに好ましい。固有粘度が0.4未満では延伸工程において切断が多発することがある。一方固有粘度が0.9を超えるポリエステルは重合生産性が低下しやすく、好ましくない。なお、ポリエステルは溶融重合後、これをチップ化し、加熱減圧下または窒素などの不活性気流中において固相重合してもよい。
本発明で用いられる上記ポリエステルには、本発明の目的を損わない限り、種々の添加物を添加することができる。なかでも、不活性微粒子の添加は、得られる二軸配向ポリエステルフィルムのフィルム面の表面粗さを適当に調節するために望ましい。不活性微粒子の添加については後述する。
工程(1)では、上記ポリエステルの未延伸フィルムを100〜190℃の範囲の温度で4.5〜7.0倍に機械軸方向に縦延伸して一軸延伸フィルムを形成する。縦延伸倍率が4.5倍未満であると、最終的に得られる二軸配向フィルムの縦方向のヤング率が8GPa未満になりやすく、他方、縦延伸倍率が7.0倍を超えると、次の工程(2)の横延伸でフィルムが切断しやすく、最終的に得られる二軸延伸フィルムの横方向のヤング率を6GPa以上とすることが困難になる。
工程(1)の縦延伸の温度は120〜170℃が好ましく、また延伸倍率は5.0〜6.5倍であることが好ましい。
工程(1)で得られる一軸配向フィルムの縦方向の屈折率(NMD)は、1.77以上、横方向の屈折率(NTD)は1.55〜1.62の範囲、さらに好ましくは1.57〜1.60の範囲および厚み方向の屈折率(NTD)は1.50〜1.56の範囲、特に1.52〜1.56の範囲にあることが好ましい。一軸配向フィルムの屈折率がこの範囲から外れると、次の横延伸で切断が多発しやすくなったり、また目的とする二軸配向フィルムのヤング率を得ることが困難になる。
工程(2)では、一軸延伸フィルムを、まず、フィルムの進行方向に向って温度を上昇させながら、換言すれば、フィルムの温度をフィルムの進行方向に向って上昇させながら、110〜170℃の範囲で、4.0〜5.0倍に横方向に延伸する(第1横延伸)。上記横延伸倍率が4倍未満であると、目的とする二軸配向フィルムの横方向のヤング率を得ることが困難になり、他方、横延伸倍率が5倍を超えると切断多発で製膜性が著しく悪化する。
工程(2)の第1横延伸の温度は130〜160℃が好ましい。また、第1横延伸のフィルム進行方向に向う温度上昇は、第1横延伸の間において、15〜55℃の範囲にあるのが好ましく、20〜50℃の範囲にあるのがより好ましい。
第1横延伸に引き続いて、工程(2)では、フィルムの進行方向に向って温度を上昇させながら、第1横延伸の最終温度と等しい温度から240℃までの範囲の温度で、かつ第1横延伸の延伸速度よりも小さい延伸速度で、1.05〜1.5倍にさらに横延伸する(第2横延伸)。第2横延伸倍率が1.05倍未満では、最終的に得られる二軸配向フィルムの横方向のヤング率を得るのに前の横延伸倍率を過剰に大きくする必要があり、前の横延伸にてフィルムの破断がしやすくなる。他方、第2横延伸倍率が1.5倍を超えると、得られる二軸配向フィルムの横方向の熱収縮率が過度に高くなるので好ましくない。
第2横延伸の温度は、第1横延伸の最終温度と等しい温度から220℃の間が好ましく、またその延伸倍率は1.05〜1.2倍が好ましい。
また、第2横延伸のフィルム進行方向に向う温度上昇は、第2横延伸の間において、20〜90℃の範囲にあるのが好ましく、25〜85℃の範囲にあるのがさらに好ましい。
第2横延伸の延伸速度は、第1横延伸の延伸速度例えば10〜300%/秒よりも小さく、例えば0.1〜30%/秒であることができる。また、第1横延伸速度に対する第2横延伸速度の比は、0.005〜0.5、より好ましくは0.01〜0.3、さらに好ましくは0.01〜0.1である。
第2横延伸の後、第2横延伸の最終温度と同じ温度で、あるいは最終温度からフィルムの進行方向に向って温度を下降させながら170〜230℃の範囲にある温度で、0.9〜1.05倍に横方向に、収縮ないし延伸せしめる工程をさらに実施する。この工程すなわち熱固定あるいは結晶化工程の温度が170℃未満であると105℃における横方向の熱収縮率が高くなり、1.5%を超えることがある。また230℃を超えると、温湿度膨張係数が高くなり、温湿度変化による幅方向の寸法安定性が悪化して好ましくない。最後に熱固定処理する際の幅方向の寸法変化は、トーアウト(伸張)が10%を超えると熱収縮率が高くなって幅方向の寸法安定性が悪くなりやすく、他方、トーイン(収縮)が5%を超えると、この熱固定にてフィルムの横方向のヤング率が急激に低下して必要な横方向のヤング率を得ることが難しくなる。なお、全工程の面積延伸倍率は、好ましくは20〜50倍、さらに好ましくは25〜45倍、特に好ましくは30〜40倍である。
かくして、上記方法によれば、
(i)縦方向のヤング率が8〜12GPaであり、
(ii)横方向のヤング率が6.5〜9GPaであり、
(iii)横方向の温度膨張係数(αt)が−5×10−6/℃から+12×10−6/℃の範囲にあり、
(iv)横方向の湿度膨張係数(αh)が+5×10−6/%RHから+12×10−6/%RHの範囲にありそして
(v)横方向の105℃における熱収縮率が−0.5%から+1.5%の範囲にある、
二軸延伸(配向)フィルムが生成される。
上記二軸配向フィルムは、縦方向のヤング率、横方向のヤング率、横方向の温度膨張係数(αt)、横方向の湿度膨張係数(αh)および横方向の105℃における熱収縮率が特定の範囲にある点で特徴的である。
この二軸配向フィルムは、フィルムの縦方向のヤング率が8〜12GPa、フィルムの横方向のヤング率が6.5〜9GPaである。縦方向のヤング率が8GPa未満では、磁気テープに強い応力がかかったとき、テープが長手方向に伸びて変形するので好ましくない。特に高トラック密度のリニア記録方式の磁気記録媒体に用いた場合、長手方向の伸びに伴って幅方向に収縮し、トラックずれを生じる。縦方向のヤング率は、8.5GPa以上が好ましく、9GPa以上がさらに好ましい。
また、フィルムの横方向のヤング率が6GPa未満の場合、横方向の温湿度膨張率が大きくなり、高トラック密度のリニア記録方式の磁気記録媒体に用いたとき、温湿度の変化によって幅方向に伸縮してトラックずれを生じたり、また、薄物(ベース厚み3〜7μm)のテープの状態で走行を繰返したとき、テープの端部が損傷を受けてワカメ状に変形し、ひどい場合は、テープの横規制ガイドに当ってテープの端部が折れ曲がるなどテープの特性が著しく損われるので好ましくない。横方向のヤング率は7GPa以上がさらに好ましい。
このように、縦横両方向共高ヤング率であることが望ましいが、リニア記録方式の磁気記録媒体に用いた場合、縦方向のヤング率が横方向のヤング率より大きいことが好ましい。これは、高密度磁気記録媒体は基体フィルムが薄いので、荷重によるテープの変形や切断に備えることがより重要となるからである。
上記二軸配向フィルムは、横方向の温度膨張係数(αt)が−5×10−6/℃から+12×10−6/℃の範囲にあり、横方向の湿度膨張係数(αh)が5×10−6/%RHから12×10−6/%RHの範囲にありそして横方向の105℃における熱収縮率が−0.5から+1.5%の範囲にある。横方向の温度膨張係数または湿度膨張係数が上記の範囲より大きいと、高トラック密度のリニア記録方式の磁気記録媒体に用いた場合、温湿度の変化による幅方向の寸法変化が大きくなり、トラックずれが発生してデータの読み出しができなくなる。他方、横方向の温度膨張係数および湿度膨張係数が上記の範囲より小さい場合は、横ヤング率が大きくなるため、縦の高ヤング率を維持することが困難となり、磁気テープに強い応力がかかったとき、テープが伸びて変形するので好ましくない。また、横方向の105℃における熱収縮率は、好ましくは−0.5〜+1.0%の範囲、特に好ましくは−0.5〜+0.7%の範囲である。横方向の105℃における熱収縮率が上記範囲を逸脱すると、磁気テープ加工工程で、フィルムの伸縮が大きくなり、シワが発生し、塗布斑の原因となったり、カレンダー工程にてうまくカレンダーがかけれなくなる。また磁気テープとなった場合、ドライブ内での温度上昇によってテープの幅方向に収縮または伸長を生じ、トラックずれが発生してデータの読み出しができなくなる。
上記二軸配向フィルムは、厚み方向の屈折率(Nz)が1.490より小さいことが好ましく、1.487より小さいことがより好ましく、Nzが1.485より小さいことがさらに好ましく、Nzが1.483よりも小さいことが特に好ましい。Nzが1.490以上であると、面配向性が低くなり、縦横高ヤング率化が難しくなる。
また、上記二軸配向フィルムは、優れた電磁変換特性を発現させるために、磁性層を設ける面は平坦であることが好ましく、少なくとも片面の表面粗さ(WRa)が0.5〜10nmの範囲であることが好ましく、さらには少なくとも片面の表面粗さ(WRa)が0.8〜7nm、特に少なくとも片面の表面粗さ(WRa)が1〜5nmの範囲であることが好ましい。この表面粗さWRaが10nmより大きいと、磁気テープとして必要な電磁変換特性を維持することが難しく、また表面粗さWRaが0.5nmより小さいと、摩擦係数が過度に大きくなって、フィルムの走行性およびロール状に巻き上げることが非常に難しくなるので好ましくない。他方、上記二軸配向フィルムは、優れた走行性を発現させるために、磁性層を設ける面と反対の面、すなわち、非磁性層側の表面は、その表面粗さが1〜20nmの範囲、さらには2〜15nmの範囲、特に2〜12nmの範囲にあるものが好ましい。この非磁性層側の表面粗さが1nm未満では、フィルム製造時や加工中の巻き取り性、搬送性が悪く、使用困難である。他方、非磁性層側の表面粗さが20nmを超えると、磁性層側の平坦性を損うことがあり、電磁変換特性が低下する場合があるので好ましくない。
このような表面粗さの異なる表面を得るには、例えば、フィルム表面に微細な凹凸を形成するために添加された不活性微粒子の平均粒径や添加量の異なる二つの層を積層したり、フィルムの片面あるいはそれぞれの面に異なる塗布層を設ければよい。もちろん、磁性層側および非磁性層側の表面粗さが上記範囲に入るならば、磁性層側および非磁性層側の表面粗さ同じにたしたものでもよく、その場合は単層フィルムでも容易に製造できる。
2層からなる積層体である二軸配向フィルムは、本発明の上記製造法において、工程(1)の縦延伸に供する未延伸フィルムに2層からなる未延伸の積層フィルムを用いることにより得られる。
磁性層を設ける側のフィルム層に添加する不活性粒子は、平均粒径が好ましくは0.05〜0.7μm、さらに好ましくは0.1〜0.3μm、特に好ましくは0.1〜0.2μmの範囲にあるものである。その添加量は好ましくは0.001〜1重量%、さらに好ましくは0.005〜0.5重量%、特に好ましくは0.01〜0.2重量%の範囲である。前記不活性粒子の平均粒径が0.05μm未満、または含有量が0.001重量%未満では巻き取り性や加工工程での搬送性が悪くなる。一方、平均粒径が0.5μmを超えるか、または含有量が1重量%を超えると、電磁変換特性が悪くなる。
このような磁性層側のフィルム層に添加する不活性粒子は、例えば(1)耐熱性ポリマー粒子(例えば、架橋シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリエステルなどの1種以上からなる粒子)や、(2)金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなど)、(3)金属の炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなど)、(4)金属の硫酸塩(例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなど)、(5)炭素(例えば、カーボンブラック、グラファイト、ダイアモンドなど)、(6)粘土鉱物(例えば、カオリン、クレー、ベントナイトなど)などの無機化合物からなる微粒子が挙げられる。これらのうち、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂粒子、ポリアミドイミド樹脂粒子、酸化アルミニウム(アルミナ)粒子、二酸化チタン粒子、二酸化ケイ素粒子、酸化ジルコニウム粒子、合成炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、ダイアモンド粒子、およびカオリン粒子が好ましい。さらに好ましくは、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、酸化アルミニウム(アルミナ)粒子、二酸化チタン粒子、二酸化ケイ素粒子、および炭酸カルシウム粒子である。前記不活性粒子は、1種または2種以上のものを混合して使用してもよい。
非磁性層側のフィルム層に含有させる不活性粒子は、平均粒径が好ましくは0.05〜1.0μm、さらに好ましくは0.1〜0.7μm、特に好ましくは0.1〜0.6μmの範囲にある。その添加量は好ましくは0.01〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%、特に好ましくは0.1〜0.5重量%のものである。平均粒径が0.05μm未満であるか、添加量が0.01重量%未満であると、滑り性が不足し、巻き取り性や加工工程でのハンドリング性が悪くなる。平均粒径が1.0μmを超えるか添加量が2重量%を超えるとカレンダー処理などによる粗面層滑剤の平坦層への突き上げで磁性面を粗くなったり、キュアリング時、走行面側の表面性が磁性面に転写し、磁性面が粗くなり、エラーが発生しやすくなる。なお、前記不活性粒子は、1種または2種以上のものを混合して使用してもよい。不活性粒子の種類に関しては、磁性層面に添加したものと同様なものが好適に採用できる。
上記二軸配向フィルムの厚みは、2〜10μmであることが好ましく、さらに好ましく3〜7μm、特に好ましくは4〜6μmである。10μmを超えると、カセットに巻く磁気テープの長さが短くなり、高容量化を図ることが難しくなる。一方、フィルムの厚みが2μm未満であると、磁気テープの起動や停止時にかかる力により、フィルムに永久伸びが生じ、耐久性を満足させることが困難になる。積層フィルムの場合、磁性層側層と非磁性層側層の厚み構成は、好ましくは非磁性層側の厚みが積層二軸配向ポリエステルフィルムの全厚みの2/3以下、さらに好ましくは1/2以下、特に好ましくは1/3以下である。
本発明の二軸配向フィルムは、上記二軸配向フィルムのうち、物性が特に優れたものであり次のとおりである。
(i)縦方向のヤング率が8〜12GPaであり、
(ii)横方向のヤング率が6.5〜9GPaであり、
(iii)横方向の温度膨張係数(αt)が−5×10−6/℃から+12×10−6/℃の範囲にあり、
(iv)横方向の湿度膨張係数(αh)が+5×10−6/%RHから+12×10−6/%RHの範囲にあり、
(v)横方向の105℃における熱収縮率が0%から+1.5%の範囲にあり、そして
(vi)エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが全繰返し単位の少なくとも95モル%を占めるポリエステルからなる、
ことを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
縦方向のヤング率と横方向のヤング率は、それらの和が15〜20GPaの範囲にあるのが好ましい。
また、縦方向のヤング率が横方向のヤング率より大きいフィルムが好ましい。
フィルム厚み方向の屈折率(Nz)は1.490よりも小さいのが好ましい。
さらに、少なくとも片面の中心面平均粗さ(WRa)が0.5〜10nmの範囲にあるフィルムが好ましい。
本発明の上記二軸配向ポリエステルフィルムが積層フィルムである場合には、好ましくはエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが全繰返し単位の少なくとも95モル%を占めるポリエステルが隣接する2層をなして積層体を形成しており、そして片面の中心面平均粗さ(WRa)が0.5〜10nmの範囲にあり、他方の面のWRaが1〜20nmの範囲にある。
本発明の二軸配向フィルムは、表面粗さの小さい方(磁性層側)の表面に、鉄または鉄を主成分とする針状微細磁性粉(メタル粉)をポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体などのバインダーに均一に分散し、磁性層厚みが好ましくは1μm以下、より好ましくは0.1〜1μmとなるように塗布し、さらに必要により、反対層の表面に、公知の方法でバックコート層を設けることにより、特に短波長領域での出力、S/N、C/Nなどの電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用メタル塗布型磁気記録媒体とすることができる。また磁性層側のフィルムの表面に、上記メタル粉含有磁性層の下地層として微細な酸化チタン粒子などを含有する非磁性層を磁性層と同様の有機バインダー中に分散し、塗設することもできる。
このようにして得られたメタル塗布型磁気記録媒体は、大容量コンピュータテープ、特にリニア記録方式のLTO、S−DLT、DLT用磁気テープとして、走行性、耐久性、寸法安定性、電磁変換特性に優れた磁気テープに供することができる。また、本発明の二軸配向フィルムは磁性層を塗布型に代えて金属薄膜とすることもできる。この場合、表面粗さの小さい方の表面に、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の方法により、鉄、コバルト、クロムまたはこれらを主成分とする合金もしくは酸化物よりなる強磁性金属薄膜層を形成し、またその表面に、目的または用途に応じてダイアモンドライクカーボン(DLC)などの保護層、含フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、反対側(非磁性層)の表面に、前記の方法でバックコート層を設けることにより、特に短波長領域での出力、S/N、C/Nなどの電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用蒸着型磁気記録媒体とすることもできる。
以下、実施例にもとづいて本発明をさらに説明する。なお、本発明における種々の物性および特性は、以下のようにして測定されたものであり、かつ定義される。
(1)ヤング率
フィルムを試料幅10mm、長さ150mmに切り、チャック間100mmにして、引張り速度10mm/分、チャート速度500mm/分でインストロンタイプの万能引張り試験装置にて引張る。得られる荷重−伸び曲線の立ち上がり部の接線よりヤング率を算出する。
(2)表面粗さ(WRa)
WYKO社製非接触式三次元粗さ計(NT−2000)を用いて測定倍率25倍、測定面積246.6μm×187.5μm(0.0462mm)の条件にて、測定数(n)10以上で測定を行い、該粗さ計に内蔵された表面解析ソフトにより、中心面平均粗さ(WRa)を求める。
Figure 2006257434
jkは測定方向(246.6μm)、それと直交する方向(187.5μm)をそれぞれm分割、n分割したときの各方向のj番目、k番目の位置における2次元粗さチャート上の高さである。
(3)温度膨張係数(αt)
フィルムサンプルをフィルム横方向に長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、窒素雰囲気下、60℃で30分前処理し、その後室温まで降温させる。その後25℃から70℃まで2℃/分で昇温し、各温度でのサンプル長を測定し、次式より温度膨張係数(αt)を算出する。
αt={(L−L)/(L×ΔT)}×10+0.5(注)
ここで、L :40℃時のサンプル長(mm)
:60℃時のサンプル長(mm)
:初期のサンプル長(mm)
ΔT :60−40=20(℃)
注:石英ガラスの温度膨張係数(×10
(4)湿度膨張係数(αh)
フィルムサンプルをフィルム横方向に長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、窒素雰囲気下から、湿度20%RH、および湿度80%RHで一定に保ち、その時のサンプル長さを測定し、次式にて湿度膨張係数を算出する。
αh={(L−L)×10−6/(L×ΔH)}
ここで、L :湿度20%RH時のサンプル長(mm)
:湿度80%RH時のサンプル長(mm)
ΔH:60(=80−20%RH)
である。
(5)熱収縮率
105℃に設定されたオーブン中に、横方向に切り出した長さ300mm、幅10mmのフィルム試料を無荷重で入れ、30分熱処理し、その後オーブンよりフィルムを取り出し、室温に戻してからその寸法の変化を読み取る。熱処理前の長さ(L)と、熱処理による寸法変化量(ΔL)より、次式から熱収縮率を算出する。
熱収縮率=(ΔL/L)×100(%)
ただし、伸長の場合ΔLは負の値とする
(6)屈折率
アッベ屈折計(株式会社アタゴ製)を用い、光源にはNa−D線を用いて、25℃にてフィルムの縦方向および横方向の屈折率を測定する。フィルムサンプルの表裏両面について測定し、その平均値を屈折率とする。
(7)縦方向荷重下の高温高湿処理時の幅寸法変化
温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下において、12.65mm(1/2インチ)にスリットしたフィルムを図1に示す通りにセットする。
12.65mmにスリットしたサンプルは検出器にて幅寸法が測定できるようにするため、あらかじめ表面にスパッタによって金を蒸着しておく。この状態でフィルムの片側(もう一方は固定)にフィルム断面積当り、29MPaの重りをつけ、そのときのフィルムの幅(L)をキーエンス製レーザー外径測定器(本体:3100型、センサ:3060型)にて測定する。
その後、49℃(120°F)×90%RHの高温高湿下で、片側(もう一方は固定)にフィルム断面積当り、29MPaの重りをつけ、72hr(3日間)処理した後、重りを取り外し、温度23℃、湿度50%の雰囲気下で24hr調湿した後、再び、フィルムの片側(もう一方は固定)にフィルム断面積当り、29MPaの重りをつけ、そのときのフィルムの幅(L)をキーエンス製レーザー外径測定器(本体:3100型、センサ:3060型)にて測定する。
上記で測定した温湿度処理前後の寸法より、荷重下温湿度処理前後の幅寸法変化(αW)は、次式より算出する。
αW={(L−L)/L}×100(%)
評価基準は次の通りである。
(8)トラックずれ(エラーレート)
メディアロジック社製ML4500B、QIC用システムを用いて、下記条件にてエラーレートを測定する。
Current :15.42mA
Frequency :0.25MHz
Location :0
Threshold :40.0
Bad/Good/Max:1:1:1
Tracks :28
なお、エラーレート数は、測定したトラック数の平均値で表す。
なお、条件1(温湿度変化によるトラックずれ)および条件2(温湿度処理によるトラックずれ)の測定は次のように行う。
◇ 条件1(温湿度変化によるトラックずれ):
10℃、10%RHの温湿度下で記録したテープを、45℃、80%RHの温湿度下で再生し、温湿度変化によるトラックずれ量を測定する。なお、評価は実施例1のサンプルのトラックずれ量を基準として、下記基準にて相対評価する。
◎:エラーレートなし
○:エラーレートあるが、実用上 問題なし
×:エラーレートが多く、実用上 問題あり
◇ 条件2(温湿度処理によるトラックずれ):
23℃、50%RHの温湿度下で記録したテープを、40℃×60%RHの温湿度下で60hr繰返走行させ、その後23%、50%RHの温湿度下に戻し、24hr調湿した後、23℃×50%RHの温湿度下で再生し、温湿度処理によるトラックずれ量を測定する。
なお、評価は実施例1のサンプルのトラックずれ量を基準として、下記基準にて相対評価する。
◎:エラーレートなし
○:エラーレートあるが、実用上問題なし
×:エラーレートが多く、実用上問題あり
(9)磁気テープの電磁変換特性
メディアロジック社製 ML4500B、QIC用システムを用いて測定する。なお、評価は、実施例1サンプルのS/Nを0dBとし、下記基準にて相対評価する。
◎:+1dB以上
○:−1dB以上+1dB未満
×:−1dB未満
実施例1
平均粒径0.6μmの炭酸カルシウム粒子を0.02重量%および平均粒径0.1μmのシリカ粒子を0.2重量%含有したポリエチレン−2,6−ナフタレート(固有粘度:0.6)を180℃で5時間乾燥した後、300℃で溶融押出し、60℃に保持したキャスティングドラム上で急冷固化せしめて、未延伸フィルムを得た。
この未延伸フィルムを速度差を持った2つのロール間で縦方向に150℃の温度で6.2倍延伸した。なお、縦延伸後の一軸フィルムの縦方向の屈折率は1.77を超え、横方向の屈折率は1.587、厚み方向の屈折率は1.534であった。次いで、この一軸延伸フィルムを、フィルムの進行方向に向って温度を120〜155℃に上昇させながら、横方向に87.5%/秒の延伸速度で4.5倍に第1横延伸した後、さらにフィルムの進行方向に向って温度を155〜205℃に上昇させながら、横方向に2.9%/秒の延伸速度で1.1倍に第2横延伸した後、最終熱固定ゾーンにて190℃にて5%トーアウト(1.05倍)し、5秒間熱固定処理した。得られた二軸配向フィルムの厚みは4.5μmであった。
一方、下記に示す組成物をボールミルに入れ、16時間混練、分散した後、イソシアネート化合物(バイエル社製のデスモジュールL)5重量部を加え、1時間高速剪断分散して磁性塗料とした。
磁性塗料の組成:
針状Fe粒子 100重量部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 15重量部
(積水化学製エスレック7A)
熱可塑性ポリウレタン樹脂 5重量部
酸化クロム 5重量部
カーボンブラック 5重量部
レシチン 2重量部
脂肪酸エステル 1重量部
トルエン 50重量部
メチルエチルケトン 50重量部
シクロヘキサノン 50重量部
この磁性塗料を上述の二軸配向PENフィルムの片面に最終塗布厚さ0.5μmとなるように塗布し、次いで2,500ガウスの直流磁場中で配向処理を行い、100℃で加熱乾燥後、スーパーカレンダー処理(線圧200kg/cm、温度80℃)を行い、巻き取った。この巻き取ったロールを55℃のオーブン中に3日間放置した。
さらに下記組成のバックコート層塗料を、二軸配向PENフィルムの他の面に、塗布厚さ1μmとなるように塗布し、乾燥させ、裁断し、磁気テープを得た。
バックコート層塗料の組成:
カーボンブラック 100重量部
熱可塑性ポリウレタン樹脂 60重量部
イソシアネート化合物 18重量部
(日本ポリウレタン工業社製コロネートL)
シリコーンオイル 0.5重量部
メチルエチルケトン 250重量部
トルエン 50重量部
こうして得られたフィルムおよび磁気テープの特性を表1に示す。この表から明らかなように、得られたテープは幅方向の寸法安定性(温湿度変化および縦方向荷重下の高温高湿処理)に優れ、トラックずれが少なく、また出力特性も良好であった。
実施例2
平均粒径0.3μmの架橋シリコーン樹脂粒子を0.15重量%、平均粒径0.1μmの球状シリカ粒子を0.15重量%含有したB層用ポリエチレン−2,6−ナフタレート(固有粘度:0.6)と、平均粒径0.1μmの球状シリカ粒子を0.01重量%含有したA層用ポリエチレン−2,6−ナフタレート(固有粘度:0.6)とを準備し、これらポリエチレン−2,6−ナフタレートのペレットを180℃で5時間乾燥した後、2台の押出機ホッパーに供給し、溶融温度300℃で溶融し、マルチマニホールド型共押出ダイを用いて、B層の片側にA層を積層させ、表面仕上げ0.3S程度、表面温度60℃のキャスティングドラム上に押出し、積層未延伸フィルムを得た。なお、層厚み構成は表1の表面粗さになるように2台の押出機の吐出量にて調整した。
この未延伸フィルムを速度差を持った2つのロール間で縦方向に150℃の温度で6.0倍延伸した。なお、縦延伸後の一軸フィルムの縦方向の屈折率は1.77を超え、横方向の屈折率は1.587、厚み方向の屈折率は1.536であった。次いで、この一軸延伸フィルムを、フィルムの進行方向に向って温度を120〜155℃に上昇させながら、横方向に95.0%/秒の延伸速度で4.8倍に第1横延伸した後、さらにフィルムの進行方向に向って温度を155〜205℃に上昇させながら、横方向に4.4%/秒の延伸速度で1.15倍に第2横延伸した後、最終熱固定ゾーンにて190℃にて、レールをストレート化(1.00倍)し、5秒間熱固定処理した。得られた二軸配向フィルムの厚みは4.5μmであった。
このフィルムのA層(磁性層側)表面に磁性塗料を、またB層(非磁性層側)表面にバックコート層塗料を実施例1と同様に塗布し、乾燥させ、裁断し、磁気テープを得た。
こうして得られたフィルムおよび磁気テープの特性を表1に示す。この表から明らかなように、得られたテープは幅方向の寸法安定性(温湿度変化および縦方向荷重下の高温高湿処理)に優れ、トラックずれが少なく、また出力特性も良好であった。
比較例1
実施例1において、縦方向に150℃の温度で6.2倍延伸した。なお、縦延伸後の一軸フィルムの縦方向の屈折率は1.77を超え、横方向の屈折率は1.587、厚み方向の屈折率は1.534であった。次いで、この一軸延伸フィルムを、フィルムの進行方向に向って温度を120〜155℃に上昇させながら、横方向に40.0%/秒の延伸速度で2.6倍に第1横延伸した後、さらにフィルムの進行方向に向って温度を155〜205℃に上昇させながら、横方向に29.2%/秒の延伸速度で2.00倍に第2横延伸した後、最終熱固定ゾーンにて190℃にて、レールをストレート化(1.00倍)し、5秒間熱固定処理したが、第2横延伸にて、フィルム切断が多発し、ロールサンプルが採取できなかった。
比較例2
実施例1において、縦方向に150℃の温度で6.0倍延伸した。なお、縦延伸後の一軸フィルムの縦方向の屈折率は1.77を超え、横方向の屈折率は1.587、厚み方向の屈折率は1.536であった。次いで、この一軸延伸フィルムを、フィルムの進行方向に向って温度を120〜155℃に上昇させながら、横方向に112.5%/秒の延伸速度で5.5倍に第1横延伸した後、さらにフィルムの進行方向に向って温度を155〜205℃に上昇させながら、レールをストレート化(1.00倍)し、さらに最終熱固定ゾーンにて190℃にて、レールをストレート化(1.00倍)し、5秒間熱固定処理したが、第1横延伸にて、フィルム切断が多発し、ロールサンプルが採取できなかった。
比較例3
実施例1において、縦方向に150℃の温度で6.2倍延伸した。なお、縦延伸後の一軸フィルムの縦方向の屈折率は1.77を超え、横方向の屈折率は1.587、厚み方向の屈折率は1.534であった。次いで、この一軸延伸フィルムを、フィルムの進行方向に向って温度を120〜155℃に上昇させながら、横方向に82.5%/秒の延伸速度で4.3倍に第1横延伸した後、さらにフィルムの進行方向に向って温度を155〜205℃に上昇させながら、横方向に2.9%/秒の延伸速度で1.10倍に第2横延伸した後、最終熱固定ゾーンにて190℃にて10%トーアウト(1.10倍)し、5秒間熱固定処理した。得られた二軸配向フィルムの厚みは4.5μmであった。
こうして得られたフィルムを実施例1と同様にして磁気テープを得た。フィルムおよび磁気テープの特性を表1に示す。この表から明らかなように、得られたフィルムの横方向の熱収縮率が高く、テープの幅方向の寸法安定性(縦方向荷重下の高温高湿処理)が不良であった。
比較例4
実施例1において、縦方向に150℃の温度で5.7倍延伸した。なお、縦延伸後の一軸フィルムの縦方向の屈折率は1.77を超え、横方向の屈折率は1.587、厚み方向の屈折率は1.539であった。次いで、この一軸延伸フィルムを、フィルムの進行方向に向って温度を120〜155℃に上昇させながら、横方向に72.5%/秒の延伸速度で3.9倍に第1横延伸した後、さらにフィルムの進行方向に向って温度を155〜205℃に上昇させながら、レールをストレート化(1.00倍)し、さらに最終熱固定ゾーンにて190℃にて、レールをストレート化(1.00倍)し、5秒間熱固定処理した。得られた二軸配向フィルムの厚みは4.5μmであった。
こうして得られたフィルムを実施例1と同様にして磁気テープを得た。フィルムおよび磁気テープの特性を表1に示す。この表から明らかなように、得られたフィルムは横ヤング率が低く、テープの幅方向の寸法安定性(温湿度変化)が不良であった。
比較例5
実施例1において、縦方向に150℃の温度で4.0倍延伸した。なお、縦延伸後の一軸フィルムの縦方向の屈折率は1.77を超え、横方向の屈折率は1.587、厚み方向の屈折率は1.558であった。次いで、この一軸延伸フィルムを、フィルムの進行方向に向って温度を120〜155℃に上昇させながら、横方向に110.0%/秒の延伸速度で5.4倍に第1横延伸した後、さらにフィルムの進行方向に向って温度を155〜205℃に上昇させながら、レールをストレート化(1.00倍)し、さらに最終熱固定ゾーンにて190℃にて、レールをストレート化(1.00倍)し、5秒間熱固定処理した。得られた二軸配向フィルムの厚みは4.5μmであった。
こうして得られたフィルムを実施例1と同様にして磁気テープを得た。フィルムおよび磁気テープの特性を表1に示す。この表から明らかなように、得られたフィルムは横ヤング率が低く、テープの幅方向の寸法安定性(縦方向荷重下の高温高湿処理)が不良であった。
Figure 2006257434
Figure 2006257434
縦荷重下の幅寸法変化を測定する装置の概略図である。
符号の説明
1 測定サンプル
2 光センサー発光部(キーエンス株式会社製 LS−3036)
3 光センサー受光部(キーエンス株式会社製 LS−3036)
4 荷重
5 フリーロール
6 ガラス板
7 計測器(キーエンス株式会社製 LS−3100)
8 アナログデジタル変換機
9 パーソナルコンピューター
10 レーザー光

Claims (11)

  1. (i)縦方向のヤング率が8〜12GPaであり、
    (ii)横方向のヤング率が6.5〜9GPaであり、
    (iii)横方向の温度膨張係数(αt)が−5×10−6/℃から+12×10−6/℃の範囲にあり、
    (iv)横方向の湿度膨張係数(αh)が+6×10−6/%RHから12×10−6/%RHの範囲にあり、
    (v)横方向の105℃における熱収縮率が0%から+1.5%の範囲にあり、そして
    (vi)エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが全繰返し単位の少なくとも95モル%を占めるポリエステルからなる、
    ことを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. 縦方向のヤング率と横方向のヤング率の和が15〜20GPaの範囲にある請求項1に記載のフィルム。
  3. 縦方向のヤング率が横方向のヤング率より大きい請求項1に記載のフィルム。
  4. フィルム厚み方向の屈折率(Nz)が1.490よりも小さい請求項1に記載のフィルム。
  5. 少なくとも片面の中心面平均粗さ(WRa)が0.5〜10nmの範囲にある請求項1に記載のフィルム。
  6. エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが全繰返し単位の少なくとも95モル%を占めるポリエステルが隣接する2層をなして積層体を形成しており、そして片面の中心面平均粗さ(WRa)が0.5〜10nmの範囲にあり、他方の面のWRaが1〜20nmの範囲にある請求項1に記載のフィルム。
  7. 請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの磁気記録媒体のベースフィルムとしての使用。
  8. 磁気記録媒体がリニア記録方式のディジタル記録型である請求項7に記載の使用。
  9. 磁気記録媒体が塗布型である請求項7に記載の使用。
  10. 磁気記録媒体が強磁性金属薄膜型である請求項7に記載の使用。
  11. 請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルムおよびこのフィルムの表面上の磁性層からなる磁気記録媒体。
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