JP2006257400A - 新規化合物とその製造方法、及び新規化合物を含む硬化性樹脂、エポキシ樹脂組成物、電子部品装置 - Google Patents

新規化合物とその製造方法、及び新規化合物を含む硬化性樹脂、エポキシ樹脂組成物、電子部品装置 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた硬化性、耐熱性、低吸水性を発現可能なエポキシ樹脂硬化剤として有用な化合物とその製造方法、及びその化合物を含むエポキシ樹脂組成物の提供。
【解決手段】(a)分子内に2以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物と、(b)フェノール性水酸基と反応可能な2つの官能基を有する下記一般式で示されるシラン化合物との反応によって得られる化合物を使用する。
Figure 2006257400

(式中、Rは、水素原子及び炭素数1〜18の炭化水素基からなる群より選ばれ、Rは、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜18のオキシ基、炭素数0〜18のアミノ基、及び炭素数2〜18のカルボニルオキシ基からなる群より選ばれる。)
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性樹脂として使用可能な新規化合物とその製造方法、及びその化合物を含む硬化性樹脂組成物に関する。より詳細には、エポキシ樹脂硬化剤として有用な新規化合物とその製造方法、その化合物を硬化剤として含む成形材料、積層板用、各種電子電気部品用、塗料材料又は接着剤用材料として好適なエポキシ樹脂組成物、及びそのエポキシ樹脂組成物によって封止された素子を備える電子部品装置に関する。
従来から、成形材料、積層板用及び接着剤用材料、各種電子電気部品、塗料材料等の分野では、エポキシ樹脂等の硬化性樹脂が広く使用されている。特に、トランジスタ、IC等の電子部品素子の封止技術に関する分野では、封止材料としてエポキシ樹脂組成物が広く使用されている。その理由としては、エポキシ樹脂は、成形性、電気特性、耐湿性、耐熱性、機械特性、インサート品との接着性等の諸特性においてバランスがとれているためである。特に、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂とフェノールノボラック硬化剤との組み合わせ、及びビフェニル型エポキシ樹脂とフェノールアラルキル樹脂との組み合わせ等は、上記諸特性において優れたバランスを有するため、IC封止用成形材料のベース樹脂として主流になっている。
近年、電子部品の分野では、プリント配線板への高密度実装化が進んでいる。それに伴って、電子部品は、従来のピン挿入型のパッケージよりも、表面実装型のパッケージが主流になりつつある。しかしながら、表面実装型パッケージは、ピン挿入型パッケージと比較して、はんだ付け時のパッケージクラックに対する耐性、いわゆる耐リフロークラック性が低下する傾向にあるため改善が望まれている。すなわち、IC、LSI等の表面実装型ICでは、実装密度を高くするために素子のパッケージに対する占有体積がしだいに大きくなり、パッケージの肉厚は非常に薄くなっている。加えて、表面実装型パッケージは、そのはんだ付け工程において、ピン挿入型パッケージよりもより過酷な条件下にさらされることになる。より具体的には、ピン挿入型パッケージでは、ピンを配線板に挿入した後に配線板裏面からはんだ付けが行われるため、パッケージが直接高温にさらされることがなかったのに対し、表面実装型ICでは配線板表面に仮止めを行った後、はんだバスやリフロー装置などで処理を行うため、パッケージは、はんだ付け温度に直接さらされることになる。その結果、ICパッケージが吸湿した場合、はんだ付け時に吸湿水分が急激に膨張してパッケージクラックに至ることがあり、パッケージ成形における大きな問題になっている。
このはんだ付け時のパッケージクラックに対する耐性、いわゆる耐リフロークラック性を改良するために、従来から様々な検討がなされている。例えば、エポキシ樹脂及び硬化剤の改良による低応力化、無機充填剤の増量による低吸水率化などの方法が知られている。しかし、エポキシ樹脂及び硬化剤の改良による方法は、硬化性の低下によって硬化不良及び離型性の低下を招く傾向がある。また、無機充填剤量の増加による方法は、成形時の流動性の低下を招き、充填不良、ボイド発生等の成形時の障害、又はICチップのボンディングワイヤの断線による導通不良の発生といった成形品の性能低下を招く傾向がある。
このように、低応力化、又は低吸水率化に向けた従来の方法には限界があるため、耐リフロークラック性を著しく向上させることは困難であった。特に、封止材料としてエポキシ樹脂組成物を使用した場合には、その硬化時にエポキシ樹脂に起因するアルコール性水酸基が生成するため、組成物の吸水率を低減させることには限界があった。
上記硬化時のアルコール性水酸基の生成に関連する吸水性の問題を解決するために、エポキシ樹脂硬化剤として、フェノール性水酸基をエステル化又はトリメチルシリル化したフェノール化合物を使用する方法が提案されている(特許文献1〜3を参照)。
特開平62−53327号公報 特開平8−231685号公報 特開2004−307655号公報
しかしながら、上述のエステル化又はトリメチルシリル化フェノール化合物をエポキシ樹脂硬化剤として使用した場合、吸水性の問題は改善されるが、組成物の硬化性及びガラス転移温度(すなわち、耐熱性)といった特性が低下する傾向がある。そのため、硬化剤のさらなる開発が望まれている。
本発明は、このような状況に鑑みなされたもので、優れた硬化性、耐熱性、低吸水性を発現させることができるエポキシ樹脂硬化剤等に使用できる硬化性樹脂として有用な化合物とその製造方法、及びそれら化合物を含むエポキシ樹脂組成物等の硬化性樹脂組成物を提供することを課題とする。さらに本発明では、それらエポキシ樹脂組成物を封止材料として使用して、耐リフロー性、耐湿信頼性等の信頼性に優れた素子を備えた電子部品装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、上述の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、分子内に2以上のフェノール性水酸基を有する化合物と、特定のシラン化合物とを反応させることによって得られる化合物が硬化性樹脂として有用であり、それら化合物の使用によって所期の目的が達成可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下に関する。
(1)(a)分子内に2以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物と、(b)フェノール性水酸基と反応可能な2つの官能基を有する下記一般式(I-1)で示されるシラン化合物との反応によって得られる化合物。
Figure 2006257400
(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、R1が互いに結合して環状構造を形成してもよく、
は、フェノール性水酸基と反応可能な官能基を示し、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜18の置換又は非置換のオキシ基、炭素数0〜18の置換又は非置換のアミノ基、及び炭素数2〜18のカルボニルオキシ基からなる群より選ばれる基であり、全てが同一でも異なってもよく、Rが互いに結合して環状構造を形成してもよい)
(2)上記(b)のシラン化合物において、Rが水酸基又はオキシ基であることを特徴とする上記(1)に記載の化合物。
(3)上記(a)のフェノール化合物において、フェノール化合物の全重量を基準としてその70重量%以上が2価フェノール化合物であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の化合物。
(4)下記一般式(I-2)で示される構造単位を1以上有することを特徴とする化合物。
Figure 2006257400
(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、R1が互いに結合して環状構造を形成してもよく、
Arは、炭素数2〜30を有し、芳香族性を示す環状化合物から誘導される基を両側に有する2価の有機基である)
(5)下記一般式(I-3)で示される構造を有する化合物を含有することを特徴とする上記(4)に記載の化合物。
Figure 2006257400
(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、R1が互いに結合して環状構造を形成してもよく、
Arは、炭素数2〜30を有し、芳香族性を示す環状化合物から誘導される基を両側に有する2価の有機基であり、
は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基及び−Ar−OH(式中、Arは、炭素数2〜30を有し、芳香族性を示す環状化合物から誘導される基を両側に有する2価の有機基を示す)からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、
mは1以上の数を示し、nは0以上の数を示し、m個の単位とn個の単位との繰り返しは、ブロック、交互、又はランダムであってよい)
(6)(a)分子内に2以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物と、(b)フェノール性水酸基と反応可能な2つの官能基を有する下記一般式(I-1)で示されるシラン化合物とを反応させる工程を有することを特徴とする上記(4)又は(5)に記載の化合物の製造方法。
Figure 2006257400
(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、R1が互いに結合して環状構造を形成してもよく、
は、フェノール性水酸基と反応可能な官能基を示し、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜18の置換又は非置換のオキシ基、炭素数0〜18の置換又は非置換のアミノ基、及び炭素数2〜18のカルボニルオキシ基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、Rが互いに結合して環状構造を形成してもよい)
(7)上記(a)と上記(b)との反応を、ホスフィン化合物、ホスホニウム塩化合物、環状アミジン化合物、及び環状アミジニウム塩からなる群より選ばれる触媒の存在下で実施することを特徴とする上記(6)に記載の製造方法。
(8)上記触媒が、下記一般式(I-4)で示されるホスホニウム化合物又はその分子間塩であることを特徴とする上記(7)に記載の製造方法。
Figure 2006257400
(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、2以上のRが互いに結合して環状構造を形成してもよく、
は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、及び炭素数1〜18の置換又は非置換の有機基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、2以上のRが互いに結合して環状構造を形成してもよく、
は、1以上の放出可能なプロトン(H)を有する炭素数0〜18の有機基から1つのプロトンが脱離した基であり、1以上のRと互いに結合して環状構造を形成してもよい)
(9)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の化合物を含有することを特徴とする硬化性樹脂。
(10)上記(9)に記載の硬化性樹脂を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
(11)(A)エポキシ樹脂と、(B)硬化剤とを含有するエポキシ樹脂組成物であって、上記硬化剤が上記(1)〜(5)のいずれかに記載の化合物を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
(12)さらに(C)硬化促進剤を含有することを特徴とする上記(11)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(13)さらに(D)無機充填剤を含有することを特徴とする上記(11)又は(12)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(14)上記(A)エポキシ樹脂が、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、ナフトール類とフェノール類との共重合型エポキシ樹脂、及びアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物からなる群より選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂を含有することを特徴とする上記(11)〜(13)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
(15)上記(11)〜(14)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物によって封止された素子を備えることを特徴とする電子部品装置。
本発明による新規化合物は、硬化性樹脂として様々な用途に使用することが可能である。例えば、本発明による新規化合物は、エポキシ樹脂硬化剤として有用であり、それらを用いてエポキシ樹脂組成物を構成することによって、流動性及び硬化性に優れ、かつ低吸水性の組成物を実現できるとともに、ガラス転移温度及び高温弾性率においても良好な結果を得ることが可能である。特に、本発明によるエポキシ樹脂組成物を用いてIC、LSI等の電子部品を封止することによって、耐熱性(高ガラス転移温度)及び耐湿性の両特性に優れ、信頼性の高い電子部品装置を提供することが可能となるため、その工業的価値は高い。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明による新規化合物は、(a)分子内に2以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物と、(b)フェノール性水酸基と反応可能な2つの官能基を有する特定のシラン化合物との反応によって得られる反応生成物である。
本発明において使用可能な(a)フェノール化合物としては、1分子内に2以上のフェノール性水酸基を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、多価フェノール類として周知のフェノール化合物を使用することができる。より具体的には、レゾルシン、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール等の1分子内に2つのフェノール性水酸基を有する化合物(すなわち、2価フェノール化合物)が挙げられる。また、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;
フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;
パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂;
メラミン変性フェノール樹脂;
テルペン変性フェノール樹脂;
フェノール類及び/又はナフトール類とジシクロペンタジエンから共重合により合成される、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;
シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;
多環芳香環変性フェノール樹脂;
ビフェニル型フェノール樹脂;
トリフェニルメタン型フェノール樹脂;および
上記樹脂の2種以上を共重合して得たフェノール樹脂
などの分子内に2以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物が挙げられる。上記フェノール化合物の1種を単独で使用しても、それら化合物の2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において使用可能な(a)分子内に2以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物(以下、「多価フェノール化合物」と称す)は、その全量を基準として、2価フェノール化合物の含有量が、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは85重量%以上であることが望ましい。多価フェノール化合物全体における2価フェノール化合物の含有量が70重量%以下(すなわち、分子内に3以上のフェノール性水酸基を有する化合物の含有量が30重量%以上)となると、反応によって得られる反応生成物の粘度が高くなり、樹脂組成物の流動性が低下する。さらには、生成物自体の粘度が高くなり、取り扱い性に劣り、本発明の化合物を製造することが困難となる結果となる。
一方、本発明において使用可能なシラン化合物は、下記一般式(I-1)で示される化合物であり、フェノール性水酸基と反応可能な2つの官能基を有することを特徴とする。
Figure 2006257400
(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、R1が互いに結合して環状構造を形成してもよく、
は、フェノール性水酸基と反応可能な官能基を示し、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜18の置換又は非置換のオキシ基、炭素数0〜18の置換又は非置換のアミノ基、及び炭素数2〜18のカルボニルオキシ基からなる群より選ばれる基であり、全てが同一でも異なってもよく、Rが互いに結合して環状構造を形成してもよい)
ここで、上記一般式(I-1)のRとして記載した「炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基」は、炭素数1〜18を有し、置換されても又は非置換であってもよい脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含むことを意味する。
より具体的には、上記置換又は非置換の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、アリル基、ビニル基等の脂肪族炭化水素基、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、グリシジルオキシ基、エポキシシクロヘキシル基、エポキシ基等のエポキシ基を含有する基、メタクリルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等で置換したものが挙げられる。
また、上記置換又は非置換の脂肪族炭化水素基には、置換又は非置換の脂環式炭化水素基も含まれる。置換又は非置換の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、及びシクロヘキセニル基等、並びにそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、グリシジルオキシ基、エポキシシクロヘキシル基、エポキシ基等のエポキシ基を含有する基、メタクリルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等で置換したものが挙げられる。
上記置換又は非置換の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基等のアリール基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシ基置換アリール基等が挙げられ、それらをさらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、グリシジルオキシ基、エポキシシクロヘキシル基、エポキシ基等のエポキシ基を含有する基、メタクリルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等で置換したものであってもよい。
一般式(I-1)のRとして記載した「Rが互いに結合して環状構造を形成してもよい」とは、2つのRが互いに結合し、全体として2価の炭化水素基となる場合を意味する。例えば、Si原子と結合して環状構造を形成し得るエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等のアルキレン基、エチレニル、プロピレニル、ブチレニル基等のアルケニル基、メチレンフェニレン、メチレンビスフェニレン等のアラルキレン基、フェニレン、ナフチレン、アントラセニレン、ビフェニレン等のアリーレン基が挙げられ、それらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子、グリシジルオキシ基、エポキシシクロヘキシル基、エポキシ基等のエポキシ基を含有する基、メタクリルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等で置換したものであってもよい。
なお、上記一般式(I-1)のR1としては、特に限定されるものではないが、アルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる1価の置換基であることが好ましい。中でも、原料の入手しやすさの観点から、フェニル基、p-トリル基、m-トリル基、o-トリル基、p-メトキシフェニル基、m-メトキシフェニル基、o-メトキシフェニル基、p-ヒドロキシフェニル基、m-ヒドロキシフェニル基、o-ヒドロキシフェニル基、2,5-ジヒドロキシフェニル基、4-(4-ヒドロキシフェニル)フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-(2-ヒドロキシナフチル)基、1-(4-ヒドロキシナフチル)基、等の非置換或いはアルキル基又は/及びアルコキシ基又は/及び水酸基置換のアリール基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、エポキシシクロヘキシルエチル基、グリシドキシプロピル基、クロロプロピル基、メタクリルオキシプロピル基、メルカプトプロピル基、アミノプロピル基、N-フェニルアミノプロピル基、N-アミノプロピルアミノプロピル基、ウレイドプロピル基、イソシアネートプロピル基等の置換又は非置換の鎖状又は環状のアルキル基から選ばれる置換基がより好ましい。
一般式(I-1)のRとして記載した「ハロゲン原子」には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が含まれる。
また、一般式(I-1)のRとして記載した「炭素数1〜18の置換又は非置換のオキシ基」には、例えば「炭素数1〜18の置換又は非置換の脂肪族炭化水素オキシ基」、及び「炭素数1〜18の置換又は非置換の芳香族炭化水素オキシ基」等が含まれる。より具体的な例示は以下の通りである。
上記「炭素数1〜18の置換又は非置換の脂肪族炭化水素オキシ基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、アリルオキシ基、ビニルオキシ基等のR1として先に説明した脂肪族炭化水素基に酸素原子が結合した構造のオキシ基、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
上記「炭素数1〜18の置換又は非置換の芳香族炭化水素オキシ基」としては、例えば、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、ブトキシフェノキシ基、フェノキシフェノキシ基等のR1として先に説明した芳香族炭化水素基に酸素原子が結合した構造のオキシ基等、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
上記一般式(I-1)のRとして記載した「炭素数0〜18の置換又は非置換のアミノ基」には、例えば、非置換のアミノ基、炭素数1〜18の置換又は非置換の脂肪族炭化水素アミノ基、芳香族炭化水素アミノ基、ジ脂肪族炭化水素アミノ基、ジ芳香族炭化水素アミノ基、脂肪族炭化水素芳香族炭化水素アミノ基、及びシリルアミノ基が含まれる。より具体的な例示は以下の通りである。
「炭素数1〜18の置換又は非置換の脂肪族炭化水素アミノ基」としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、sec-ブチルアミノ基、tert-ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、オクチルアミノ基、デシルアミノ基、ドデシルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、シクロヘプチルアミノ基、アリルアミノ基、ビニルアミノ基、シクロペンテニルアミノ基、シクロヘキセニルアミノ基等のR1として先に説明した脂肪族炭化水素基により置換されたアミノ基、及びこれらの脂肪族炭化水素基部分をアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
「炭素数1〜18の置換又は非置換の芳香族炭化水素アミノ基」としては、例えば、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、トリルアミノ基、ジメチルフェニルアミノ基、エチルフェニルアミノ基、ブチルフェニルアミノ基、tert−ブチルフェニルアミノ基、メトキシフェニルアミノ基、エトキシフェニルアミノ基、ブトキシフェニルアミノ基、tert−ブトキシフェニルアミノ基等のR1として先に説明した脂肪族炭化水素基により置換されたアミノ基、及びこれらの芳香族炭化水素基部分をアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
「炭素数1〜18の置換又は非置換のジ脂肪族炭化水素アミノ基」としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、ジ-sec-ブチルアミノ基、ジ-tert-ブチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘプチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、メチルイソプロピルアミノ基、メチル-n-ブチルアミノ基、メチル-sec-ブチルアミノ基、メチル-tert-ブチルアミノ基、メチルシクロヘキシルアミノ基、ジアリルアミノ基、ジビニルアミノ基、ジシクロペンテニルアミノ基、ジシクロヘキセニルアミノ基、アリルメチルアミノ基等のR1として先に説明した2つの脂肪族炭化水素基により置換されたアミノ基、及びこれらをアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
「炭素数1〜18の置換又は非置換のジ芳香族炭化水素アミノ基」としては、例えば、ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基、ジトリルアミノ基、ビス(ジメチルフェニル)アミノ基、ビス(エチルフェニル)アミノ基、ビス(ブチルフェニル)アミノ基、ビス(tert−ブチルフェニル)アミノ基、ビス(メトキシフェニル)アミノ基、ビス(エトキシフェニル)アミノ基、ビス(ブトキシフェニル)アミノ基、ビス(tert−ブトキシフェニル)アミノ基等のR1として先に説明した2つの芳香族炭化水素基により置換されたアミノ基、及びこれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
「炭素数1〜18の置換又は非置換の脂肪族炭化水素芳香族炭化水素アミノ基」としては、例えば、メチルフェニルアミノ基、メチルナフチルアミノ基、ブチルフェニルアミノ基等の、R1として先に説明した脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基によって置換されたアミノ基が挙げられる。
「炭素数0〜18の置換又は非置換のシリルアミノ基」としては、例えば、非置換のシリルアミノ基、トリメチルシリルアミノ基、トリエチルシリルアミノ基、トリフェニルシリルアミノ基、メチル(トリメチルシリル)アミノ基、メチル(トリフェニルシリル)アミノ基、フェニル(トリメチルシリル)アミノ基、フェニル(トリフェニルシリル)アミノ基等のシリル基及び/又はアミノ基にR1として先に説明した脂肪族炭化水素基又は/及び芳香族炭化水素基によって置換されたシリルアミノ基等、及びこれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
また、一般式(I-1)のRとして記載した「炭素数2〜18の置換又は非置換のカルボニルオキシ基」には、例えば「炭素数2〜18の置換又は非置換の脂肪族炭化水素カルボニルオキシ基」、及び「炭素数2〜18の置換又は非置換の芳香族炭化水素カルボニルオキシ基」等が含まれる。より具体的な例示は以下の通りである。
上記「炭素数1〜18の置換又は非置換の脂肪族炭化水素カルボニルオキシ基」としては、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n-ブチルカルボニルオキシ基、sec-ブチルカルボニルオキシ基、tert-ブチルカルボニルオキシ基、シクロプロピルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、シクロペンチルカルボニルオキシ基、アリルカルボニルオキシ基、ビニルカルボニルオキシ基等のR1として先に説明した脂肪族炭化水素基のカルボニルオキシ基、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
上記「炭素数1〜18の置換又は非置換の芳香族炭化水素カルボニルオキシ基」としては、例えば、フェニルカルボニルオキシ基、メチルフェニルカルボニルオキシ基、エチルフェニルカルボニルオキシ基、メトキシフェニルカルボニルオキシ基、ブトキシフェニルカルボニルオキシ基、フェノキシフェニルカルボニルオキシ基等のR1として先に説明した芳香族炭化水素基に酸素原子が結合した構造のオキシ基等、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
また、一般式(I-1)のRとして記載した「Rが互いに結合して環状構造を形成してもよい」とは、2つのRが互いに結合し、全体としてそれぞれ2価の有機基となる場合を意味する。例えば、下記一般式(I-1a)で示されるような環状のシラン化合物となる2価の有機基(式中、Rで示される)が挙げられる。下記一般式(I-1a)でqが1となる環状シラン化合物の場合、Rは2つの反応点を有することになるため、シラン化合物1分子につき、2つのフェノール性水酸基と反応することが可能であり、副生成物としてRが生成することになる。下記一般式(I-1a)でqが2以上となる場合は、q個のSiと有機基との繰り返し単位から構成される環状構造を有するシラン化合物となる。この場合、繰り返し単位q個から構成されるシラン化合物は、上記一般式(I-1)のシラン化合物分子のq個に相当する。
Figure 2006257400
(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、R1が互いに結合して環状構造を形成してもよく、
6は、両側が酸素原子、窒素原子又はカルボニルオキシ基である炭素数0〜18の2価の有機基より選ばれ、
qは1〜6の整数を示す。)
より具体的な例として、R基がシリルアミノ基であり環状構造を形成する場合は、下記一般式(I-1b)で示される環状シラン化合物が挙げられる。先に説明したように、下記一般式(I-1b)でpが2以上となる場合は、p個のSiとNとの繰り返し単位から構成される環状構造を有するシラン化合物となる。この場合、繰り返し単位p個から構成されるシラン化合物は、上記一般式(I-1)のシラン化合物分子のp個に相当する。
Figure 2006257400
(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、R1が互いに結合して環状構造を形成してもよく、
は、水素原子、及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、
pは2〜6の整数を示す)
上記一般式(I-1a)のRとして記載した「両側が酸素原子、窒素原子又はカルボニルオキシ基である炭素数0〜18の2価の有機基」としては、例えば、炭素数1〜18で2価の両側が酸素原子であるジオキシ基、炭素数1〜18で2価の両側がアミノ基であるジアミノ基、炭素数0〜18で2価のアミノ基、炭素数3〜18で両側がカルキボシオキシ基であるジカルボキシ基が挙げられる。
「炭素数1〜18で2価の両側が酸素原子であるジオキシ基」としては、例えば、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、プロピレンジオキシ基、オキサペンチレンジオキシ等のアルキレンジオキシ基、フェニレンジオキシ基、ナフチレンジオキシ基、アントラセニレンジオキシ基、ビフェニレンジオキシ基等のアリーレンジオキシ基、メチレンフェニレンジオキシ基等のアラルキルジオキシ基、及びこれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
「炭素数1〜18で2価の両側が窒素原子であるジアミノ基」としては、例えば、メチレンジアミノ基、エチレンジアミノ基、プロピレンジアミノ基、オキサペンチレンジアミノ、メチレンジ(メチルアミノ)基、エチレンジ(エチルアミノ)基、プロピレン(ジメチルアミノ)基等のアルキレンジアミノ基、フェニレンジアミノ基、ナフチレンジアミノ基、アントラセニレンジアミノ基、ビフェニレンジアミノ基、フェニレンジ(メチルアミノ)基、ビフェニレンジ(メチルアミノ)基等のアリーレンジアミノ基、メチレンフェニレンジアミノ基等のアラルキルジアミノ基、及びこれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
「炭素数0〜18で2価のアミノ基」としては、例えば、-NH-、-N(Me)-、-N(Et)-等の2価の置換又は非置換のアミノ基、及びこれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
「炭素数1〜18で2価の両側がカルボニルオキシ基であるジカルボニルオキシ基」としては、例えば、メチレンジカルボニルオキシ基、エチレンジカルボニルオキシ基、プロピレンジカルボニルオキシ基等のアルキレンジカルボニルオキシ基、フェニレンジカルボニルオキシ基、ナフチレンジカルボニルオキシ基、アントラセニレンジカルボニルオキシ基、ビフェニレンジカルボニルオキシ基等のアリーレンジカルボニルオキシ基、メチレンフェニレンジカルボニルオキシ基等のアラルキルジカルボニルオキシ基、及びこれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
上記一般式(I-1)のRは、特に限定されるものではないが、入手が容易であることから、塩素原子、水酸基、炭素数1〜8を有する置換又は非置換の1価のオキシ基、又は炭素数2〜8を有する置換又は非置換の1価のカルボニルオキシ基といった置換基、及び一般式(I-1)全体として一般式(I-1a)となり、Rが炭素数1〜8で2価の両側が酸素原子であるジオキシ基、又は炭素数1〜8を有する2価のアミノ基で、qが1〜4となる置換基が好ましい。Rは、中でも、反応性の観点からは、塩素原子、水酸基、炭素数1〜8のオキシ基、炭素数2〜8のカルボニルオキシ基といった置換基、及び一般式(I-1)全体として一般式(I-1b)となり、Rが水素原子であり、pが2〜4となる置換基がより好ましい。本発明による化合物をエポキシ樹脂硬化剤として使用して得られる硬化物の長期信頼性に及ぼす影響を考慮すると、Rの少なくとも1つが水酸基又は炭素数1〜8のオキシ基であることがさらに好ましい。
上記一般式(I-1)の具体的な化合物の例示としては、以下に限られるものではないが、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメシチルジメトキシシラン等の置換又は非置換のジアリールジアルコキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、デシルメチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等の置換又は非置換のジアルキルジアルコキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン等のアリールアルキルジアルコキシシラン、ジフェニルシランジオール等の置換又は非置換のジアリールシランジオール、ジフェニルジクロロシラン、ジトリルジクロロシラン、ジメシチルジクロロシラン等の置換又は非置換のジアリールジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ドデシルメチルジクロロシラン、ジビニルジクロロシラン、ジイソプロピルジクロロシラン等の置換又は非置換のジアルキルジクロロシラン、フェニルエチルジクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン等の置換又は非置換のアリールアルキルジクロロシラン、ジメチルジアセトキシシラン等のジアルキルジアセトキシシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジエチルシラン等の置換又は非置換のジアルキルジアミノシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルシラン等の置換又は非置換のジアリールジアミノシラン、フェニルメチルビス(ジメチルアミノ)シラン、ヘキサメチルシクロトリシラザン等の式(I-1b)で示される化合物、ジメチルメトキシクロロシラン等のジアルキルアルコキシクロロシラン等が挙げられる。これら具体例は、いずれも工業製品又は試薬として入手可能である。上記一般式(I-1)で示される化合物は、工業製品又は試薬として購入可能な化合物を用いても、公知の方法で合成した化合物を用いても構わない。これらシラン化合物の中でも、硬化物の長期安定性、電子部品の長期信頼性等の観点から、Rがオキシ基であるシラン化合物が好ましい。
本発明による新規化合物の別の態様は、少なくとも下記一般式(I-2)で示される構造単位を1以上含むことを特徴とする。下記一般式(I-2)で示される構造単位は、例えば(a)分子内に2以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物と、(b)フェノール性水酸基と反応可能な2つの官能基を有する特定のシラン化合物との反応によって形成される。
Figure 2006257400
(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、R1が互いに結合して環状構造を形成してもよく、
Arは、炭素数2〜30を有し、芳香族性を示す環状化合物から誘導される基を両側に有する2価の有機基である)
本発明による新規化合物は、上記一般式(I-2)で示される繰り返し単位を有する化合物の中でも、下記一般式(I-3)で示される構造を有する化合物を含むことが好ましい。
なお、下記一般式(I-3)におけるn個の繰り返し単位は、例えば、シラン化合物の自己縮合によって誘導される。
Figure 2006257400
(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、R1が互いに結合して環状構造を形成してもよく、
Arは、炭素数2〜30を有し、芳香族性を示す環状化合物から誘導される基を両側に有する2価の有機基であり、
は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基及び−Ar−OH(式中、Arは、炭素数2〜30を有し、芳香族性を示す環状化合物から誘導される基を両側に有する2価の有機基を示す)からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、
mは1以上の数を示し、nは0以上の数を示し、m個の単位とn個の単位との繰り返しは、ブロック、交互、又はランダムであってよい)
上記一般式(I-2)及び(I-3)における「m」は1以上の数を示すが、好ましくは平均で1〜40、より好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜15の範囲である。一般式(I-3)における「n」は0以上の数を示すが、好ましくは0〜20、より好ましくは0〜10、さらに好ましくは0〜5の範囲である。m個の単位とn個の単位との繰り返しパターンは、ブロックでも、交互でも、ランダムでもよい。但し、流動性の観点からは、(m+n/2)の平均は、1〜50の範囲であることが好ましく、1〜25の範囲であることがより好ましく、1〜15の範囲であることがさらに好ましい。平均値が50を超えると、化合物の溶融粘度が高くなり過ぎる傾向がある。そのため、例えば、それら化合物をエポキシ樹脂硬化剤として使用した場合、エポキシ樹脂組成物の溶融成形時の粘度も高くなり、未充填不良やボンディングワイヤ(素子とリードを接続する金線)の変形を引き起こしやすくなる。
なお、上記一般式(I-2)及び(I-3)のRとして記載した「炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基」及び「Rが互いに結合して環状構造を形成してもよい」の意味は、先に説明した通りである。また、Rとして記載した「炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基」の意味は、Rに関して先に説明したものと同じである。
上記一般式(I-2)及び(I-3)のArとして記載した「炭素数2〜30を有し、芳香族性を示す環状化合物から誘導される基を両側に有する2価の有機基」とは、特に限定されるものではなく、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、ビフェニレン基、ビナフチレン基、メチレンビスフェニレン基、メチレンビスナフチレン基、オキシビスフェニレン基、スルホニルビスフェニレン基、チオビスフェニレン基等のアリール基を両側に有する2価の有機基、及びフラニレン、チオフェニレン、イミダゾリレン、メチレンビスフラニレン、メチレンビスチオフェニレン、メチレンビスイミダゾリレン等の複素環基を両側に有する2価の有機基、一方にアリール基を有し他方に複素環基を有する2価の有機基等の有機基が含まれる。
式(I-2)及び(I-3)中の「−O−Ar−O−」部位は、例えば一般式、HO−Ar−OH(式中、Arは先に説明した通りである)で示される2価フェノール化合物から誘導することが可能である。「−O−Ar−O−」部位の具体例としては、下記一般式(I-5)で示される置換基が挙げられる。
Figure 2006257400
(式中、Rは、炭素数0〜18の2価の有機基を示し、
は、水素原子、及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、2以上のRが互いに結合して環状構造を形成してもよく(但し、2以上のRが結合して環状構造を形成し、かつRが結合するベンゼン環と共役し、芳香族性を有する場合は、−O−部位はRが結合する環上になく、Rが結合するベンゼン環と共役し、芳香族性を有するRと結合していてもよい)、
qは、0又は1を示し、rは、0以上の数を示す)
上記一般式(I-5)のR7として記載した「炭素数0〜18の2価の有機基」は、特に制限はなく、例えば、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、炭素数1〜18の2価の炭化水素基等が挙げられる。炭素数1〜18の2価の炭化水素基としては、特に制限はなく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、シクロへキシレン基、シクロペンチレン基等の脂肪族炭化水素基及びこれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したもの、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基等の芳香族炭化水素基及びこれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
中でも、入手しやすさの観点からは、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、アルキレン基、シクロへキシレン基、シクロペンチレン基、これらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基が置換したものが好ましく、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、メチレン基、メチルメチレン基、イソプロピルメチレン基、フェニルメチレン基、シクロヘキシルメチレン基、ジメチルメチレン基、メチルジイソピルメチレン基、メチルフェニルメチレン基、シクロへキシレン基、シクロペンチレン基、シクロペンチレン基がより好ましい。
上記一般式(I-5)のR8として記載した「炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基」は、例えば、炭素数1〜18を有し、置換されても又は非置換でもよい脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含むことを意味する。
より具体的には、上記置換又は非置換の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、アリル基、ビニル基等の脂肪族炭化水素基、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、水酸基、アミノ基、及びハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
また、上記置換又は非置換の脂肪族炭化水素基には、置換又は非置換の脂環式炭化水素基も含まれる。置換又は非置換の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、及びシクロヘキセニル基等、並びにそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、水酸基、アミノ基、及びハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
上記置換又は非置換の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基等のアリール基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシ基置換アリール基が挙げられ、それらはさらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものであってもよい。
一般式(I-5)のR8として記載した用語「2以上のRが互いに結合して環状構造を形成してもよい」とは、2つのRが互いに結合し、全体として2価の炭化水素基となる場合を意味する。例えば、2以上のRが結合して環状構造を形成し、かつRが結合するベンゼン環と共役し、芳香族性を有する場合、Rはそれらが結合するベンゼン環と併せて、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等の多環芳香族環を形成する有機基、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
また、一般式(I-5)のRとして記載した「但し」以降の「2以上のRが結合して環状構造を形成し、かつRが置換しているベンゼン環と共役し、芳香族性を有している場合、−O−部位はRが結合している環上になく、Rが結合するベンゼン環と共役し、芳香族性を有するRと結合していてもよい」とは、例えば、ナフタレン環の1又は2位に置換したRに対して、5〜8位のいずれかの位置に、−O−部位が結合していてもよいことを意味している。
は、水素原子、アルキル基及びアリール基から選ばれる1価の置換基であることが好ましい。中でも原料の入手しやすさの観点からは、水素原子、フェニル基、p-トリル基、m-トリル基、o-トリル基、p-メトキシフェニル基、m-メトキシフェニル基、o-メトキシフェニル基、等の非置換或いはアルキル基又は/及びアルコキシ基置換のアリール基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基等の鎖状又は環状のアルキル基、アリル基、ビニル基等の不飽和脂肪族炭化水素基から選ばれる置換基がより好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、tert-ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、ビニル基がさらに好ましい。
上記一般式(I-5)における「r」は、0以上の数を示すが、組成物の粘度の観点から0〜10が好ましく、0〜5がより好ましく、0〜3がさらに好ましい。
本発明による新規化合物の製造方法は、上記一般式(I-2)又は(I-3)で示される化合物を製造するためのものであり、(a)分子内に2以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物と、(b)フェノール性水酸基と反応可能な2つの官能基を有する下記一般式(I-1)で示されるシラン化合物とを反応させる工程を有することを特徴とする。
Figure 2006257400
(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、R1が互いに結合して環状構造を形成してもよく、
は、フェノール性水酸基と反応可能な官能基を示し、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜18の置換又は非置換のオキシ基、炭素数0〜18の置換又は非置換のアミノ基、及び炭素数2〜18のカルボニルオキシ基からなる群より選ばれる基であり、全てが同一でも異なってもよく、Rが互いに結合して環状構造を形成してもよい)
本発明による製造方法において、(a)多価フェノール化合物と、(b)シラン化合物との反応は、目的とする化合物が生成する方法であれば、その反応手段などの制限は特にない。また、本発明による製造方法において、(a)多価フェノール化合物と、(b)シラン化合物との比率は、反応が進行し目的の化合物が得られる範囲において、特に限定されるものではない。例えば、(a)におけるフェノール性水酸基と、(b)におけるR基との比(すなわち、〔多価フェノール化合物の水酸基数〕/〔(b)のシラン化合物におけるR基数〕)が、0.1〜10の間であることが好ましく、0.2〜5の間であることがより好ましく、0.4〜2.5の間であることがさらに好ましい。上記比率が0.1未満となる場合、未反応のR基が残存しやすい傾向があり、反応生成物のエポキシ硬化剤としての有用性が低下し、硬化物のボイドの発生や長期信頼性の低下を招く傾向がある。〔多価フェノール化合物の水酸基数〕/〔(b)のシラン化合物におけるR基数〕の比率が10よりも大きくなると、反応生成物のエポキシ樹脂硬化剤としての有用性は低下し、硬化物の低吸水性の特性は低下する傾向にある。
また、本発明による製造方法において、(a)多価フェノール化合物と、(b)シラン化合物との反応率は、特に限定されるものではないが、出発原料のR基数を基準として、未反応のR基数が30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。出発原料のR基数を基準として、30%を超える数のR基が未反応となると、反応生成物のエポキシ硬化剤としての有用性は低下し、硬化物のボイドの発生や長期信頼性の低下を招く傾向がある。
本発明による製造方法では、目的とする化合物とともに、上記(a)と(b)との反応の副生成物としてRHが生成することになる。そのため、本発明による製造方法は、必要に応じて加熱して、反応生成物からRHを除去する工程を設けることが好ましい。より具体的な例示としては、以下の通りである:
(a)多価フェノール化合物と、(b)Rがハロゲン原子であるシラン化合物とを反応させた場合は、必要に応じて加熱及び/又は減圧留去、洗浄、ろ過等によって、副生成物のハロゲン化水素を除去する;
(a)多価フェノール化合物と、(b)Rが水酸基であるシラン化合物とを反応させた場合は、必要に応じて加熱及び/又は減圧留去、洗浄、ろ過等によって、副生成物の水を除去する;
(a)多価フェノール化合物と、(b)Rがオキシ基であるシラン化合物とを反応させた場合は、必要に応じて加熱及び/又は減圧留去、洗浄、ろ過等によって、副生成物のアルコール又はアリールオールを除去する;
(a)多価フェノール化合物と、(b)Rがアミノ基であるシラン化合物又は一般式(I-1b)で示されるシラン化合物とを反応させた場合は、必要に応じて加熱及び/又は減圧留去、洗浄、ろ過等によって、副生成物のアンモニア又はアミンを除去する;
(a)多価フェノール化合物と、(b)Rがカルボニルオキシ基であるシラン化合物とを反応させた場合は、必要に応じて加熱及び/又は減圧留去、洗浄、ろ過等によって、副生成物のカルボン酸を除去する。
特に限定されるものではないが、反応によって生成した化合物をエポキシ樹脂硬化剤として使用することによって得られる硬化物の長期信頼性の観点からは、Rがオキシ基であることが好ましく、さらに副生成物となるRHの除去容易性の観点からはRが炭素数1〜3のアルコキシ基であることが好ましい。
本発明による製造方法では、上記(a)と(b)との反応を促進するために、必要に応じて、触媒を使用しても良い。触媒なしで反応が進行する場合は、触媒を使用せずに反応を実施することが好ましい。しかし、反応が進行しない場合は勿論のこと、反応の進行が遅い場合にも触媒を使用することが好ましい。使用可能な触媒は、反応が促進されれば制限されるものではないが、好ましい触媒としては、例えば、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のジアザビシクロアルケンなどのシクロアミジン化合物、その誘導体; それらのフェノールノボラック塩及びこれらの化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどのπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物; ピリジン・トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類及びこれらの誘導体; 2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール類; テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート; 2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩; トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p−トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン等の有機ホスフィン類; それら有機ホスフィン類と有機ボロン類との錯体; それら有機ホスフィン類と無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどのπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物; これら有機ホスフィン類と4-ブロモフェノール、3-ブロモフェノール、2-ブロモフェノール、4-クロロフェノール、3-クロロフェノール、2-クロロフェノール、4-ヨウ化フェノール、3-ヨウ化フェノール、2-ヨウ化フェノール、4-ブロモ-2-メチルフェノール、4-ブロモ-3-メチルフェノール、4-ブロモ-2,6-ジメチルフェノール、4-ブロモ-3,5-ジメチルフェノール、4-ブロモ-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、4-クロロ-1-ナフトール、1-ブロモ-2-ナフトール、6-ブロモ-2-ナフトール、4-ブロモ-4´-ヒドロキシビフェニル等のハロゲン化フェノール化合物を反応させた後に、脱ハロゲン化水素の工程を経て得られる分子内分極を有する化合物(特開2004−156035号公報及び特開2004−156036号公報に記載)が挙げられる。中でも、一般式(I-4)で示されるホスホニウム化合物又はその分子間塩を触媒として用いることがより好ましい。
本発明による製造方法は、用いるシラン化合物と触媒との組み合わせを特に限定するものではないが、反応の簡便さ及び反応生成物の使用によって達成される硬化物の長期安定性、電子部品の長期信頼性等の観点から、下記一般式(I-4)で示されるホスホニウム化合物又はその分子間塩を触媒として用いるか又は触媒を用いずに、多価フェノール化合物と一般式(I-1)のRがオキシ基であるシラン化合物とを反応させ、80℃〜300℃に加熱して副生成物のアルコールを除去することによって実施することが好ましい。副生成物となるRHの除去容易性の観点からは、Rが炭素数1〜3のアルコキシ基であることがさらに好ましい。
Figure 2006257400
(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、2以上のRが互いに結合して環状構造を形成してもよく、
は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、及び炭素数1〜18の置換又は非置換の有機基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、2以上のRが互いに結合して環状構造を形成してもよく、
は、1以上の放出可能なプロトン(H)を有する炭素数0〜18の有機基から1つのプロトンが脱離した有機基であり、1以上のRと互いに結合して環状構造を形成してもよい)
なお、上記一般式(I-4)のRとして記載した「炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基」は、炭素数1〜18を有し、置換されても又は非置換であってもよい脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含むことを意味する。
より具体的には、上記置換又は非置換の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、アリル基、ビニル基等の脂肪族炭化水素基、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、水酸基、アミノ基、及びハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
また、上記置換又は非置換の脂肪族炭化水素基には、置換又は非置換の脂環式炭化水素基も含まれる。置換又は非置換の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、及びシクロヘキセニル基等、並びにそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、水酸基、アミノ基、及びハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
上記置換又は非置換の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基等のアリール基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシ基置換アリール基等が挙げられ、それらをさらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものであってもよい。
一般式(I-4)のRとして記載した用語「2以上のRが互いに結合して環状構造を形成してもよい」とは、2又は3つのRが結合し、全体としてそれぞれ2又は3価の炭化水素基となる場合を意味する。例えば、Si原子と結合して環状構造を形成し得るエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等のアルキレン基、エチレニル、プロピレニル、ブチレニル基等のアルケニル基、メチレンフェニレン基等のアラルキレン基、フェニレン、ナフチレン、アントラセニレン等のアリーレン基が挙げられ、それらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子等で置換したものであってもよい。
なお、上記一般式(I-4)のRとしては、特に限定されるものではないが、アルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる1価の置換基であることが好ましい。中でも、原料の入手しやすさの観点から、フェニル基、p-トリル基、m-トリル基、o-トリル基、p-メトキシフェニル基、m-メトキシフェニル基、o-メトキシフェニル基、p-ヒドロキシフェニル基、m-ヒドロキシフェニル基、o-ヒドロキシフェニル基、2,5-ジヒドロキシフェニル基、4-(4-ヒドロキシフェニル)フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-(2-ヒドロキシナフチル)基、1-(4-ヒドロキシナフチル)基、等の非置換或いはアルキル基又は/及びアルコキシ基又は/及び水酸基置換のアリール基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基等の鎖状又は環状のアルキル基から選ばれる置換基がより好ましい。フェニル基、p-トリル基、m-トリル基、o-トリル基、p-メトキシフェニル基、m-メトキシフェニル基、o-メトキシフェニル基、p-ヒドロキシフェニル基、m-ヒドロキシフェニル基、o-ヒドロキシフェニル基、2,5-ジヒドロキシフェニル基、4-(4-ヒドロキシフェニル)フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-(2-ヒドロキシナフチル)基、1-(4-ヒドロキシナフチル)基、等の非置換或いはアルキル基又は/及びアルコキシ基又は/及び水酸基置換のアリール基であることがさらに好ましい。
上記一般式(I-4)のRとして記載した「炭素数1〜18の置換又は非置換の有機基」は、炭素数1〜18を有し、かつ置換されても又は非置換であってもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、及び脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素オキシ基、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素カルボニル基、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素オキシカルボニル基、及び脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素カルボニルオキシ基が結合したものを含むことを意味する。
より具体的には、上記置換又は非置換の脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基としては、Rとして先に説明した通りである。
上記脂肪族炭化水素オキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、アリルオキシ基、ビニルオキシ基等の上述の脂肪族炭化水素基に酸素原子が結合した構造を有する基、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。上記芳香族炭化水素オキシ基としては、例えば、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、ブトキシフェノキシ基、フェノキシフェノキシ基等の上述の芳香族炭化水素基に酸素原子が結合した構造を有する基等、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
上記カルボニル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、エチルカルボニル基、ブチリル基、シクロヘキシルカルボニル基、アリルカルボニル等の脂肪族炭化水素カルボニル基、フェニルカルボニル基、メチルフェニルカルボニル基等の芳香族炭化水素カルボニル基等、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
上記オキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等の脂肪族炭化水素オキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、メチルフェノキシカルボニル基等の芳香族炭化水素オキシカルボニル基、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
上記カルボニルオキシ基としては、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、アリルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基等の脂肪族炭化水素カルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基、メチルフェニルカルボニルオキシ基等の芳香族炭化水素カルボニルオキシ基等、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
上記一般式(I-4)のRとして記載した用語「2以上のRが互いに結合して環状構造を形成してもよい」とは、2〜4つのRが結合し、全体としてそれぞれ2〜4価の有機基となる場合を意味する。例えば、環状構造を形成し得るエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等のアルキレン基、エチレニル、プロピレニル、ブチレニル基等のアルケニル基、メチレンフェニレン基等のアラルキレン基、フェニレン、ナフチレン、アントラセニレン等のアリーレン基、これらアルキレン基、アルケニル基、アラルキレン基、アリーレン基のオキシ基又はジオキシ基が挙げられ、それらはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。
上記一般式(I-4)のRとしては、特に限定されるものではないが、水素原子、水酸基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が好ましい。中でも原料の入手しやすさの観点からは、水素原子、水酸基、フェニル基、p-トリル基、m-トリル基、o-トリル基、p-メトキシフェニル基、等の非置換或いはアルキル基又は/及びアルコキシ基又は/及び水酸基置換のアリール基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基等の鎖状又は環状のアルキル基から選ばれる置換基がさらに好ましい。2以上のRが互いに結合して環状構造を形成する場合は、特に限定されないが、Rが結合しているベンゼン環と併せて、1−(−2−ヒドロキシナフチル)基、1−(−4−ヒドロキシナフチル)基等の多環芳香族基を形成する有機基が好ましい。
上記一般式(I-4)におけるYは、1以上の放出可能なプロトン(H)を有する炭素数0〜18の有機基から1つのプロトンが脱離した有機基であり、1以上のRと互いに結合して環状構造を形成してもよい。例えば、Yは水酸基、メルカプト基、ハイドロセレノ基等の16族原子に水素原子が結合した1価の有機基からプロトンが脱離した基、カルボキシル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシフェニル基カルボキシナフチル基等のカルボキシル基を有する炭素数1〜18の1価の有機基からカルボン酸のプロトンが脱離した基、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシフェニルメチル基、ヒドロキシナフチル基、ヒドロキシフリル基、ヒドロキシチエニル基、ヒドロキシピリジル基等のフェノール性水酸基を有する炭素数1〜18の1価の有機基からフェノール性プロトンが脱離した基が挙げられる。
また、上記一般式(I-4)中のYが1以上のRと結合して環状構造を形成する場合、例えば、Yは、それが結合しているベンゼン環と併せて、2-(-6-ヒドロキシナフチル)基等のヒドロキシ多環芳香族基の水酸基からプロトンが脱離した基を形成する2価の有機基が挙げられる。
先に例示したYの中でも、特に限定されるものではないが、水酸基からプロトンが脱離してなる酸素アニオン、又はヒドロキシフェニル基、ヒドロキシフェニルメチル基、ヒドロキシナフチル基、ヒドロキシフリル基、ヒドロキシチエニル基、ヒドロキシピリジル基等のフェノール性水酸基からプロトンが脱離してなる酸素アニオンを有する1価の有機基であることが好ましい。
また、上記一般式(I-4)中のYが1以上のRと結合して環状構造を形成する場合、例えば、Yは、それが結合しているベンゼン環と併せて、2−(−6−ヒドロキシナフチル)基等のヒドロキシ多環芳香族基の水酸基からプロトンが脱離した基が好ましい。
また、上記一般式(I-4)で示されるホスホニウム化合物の分子間塩としては、限定されるものではないが、式(I-4)で示されるホスホニウム化合物とフェノール、ナフトール、分子内に2以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物として先に例示した化合物等のフェノール性水酸基を有する化合物、トリフェニルシラノール、ジフェニルシランジオール、トリメチルシラノール等のシラノール基を有する化合物、シュウ酸、酢酸、安息香酸等の有機酸、塩酸、臭化水素、硫酸、硝酸等の無機酸等との分子間塩化合物が挙げられる。
また、上記一般式(I-4)で示されるホスホニウム化合物の具体例としては、以下に限定されるものではないが、トリス−(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス−(o−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、ビス−(p−メトキシフェニル)フェニルホスフィン、ビス−(o−メトキシフェニル)ホスフィン、ジ−p−トリルフェニルホスフィン、ジ−o−トリルフェニルホスフィン、ジ−m−トリルフェニルホスフィン、ジフェニル−(p−メトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル−(o−メトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル−p−トリルホスフィン、ジフェニル−o−トリルホスフィン、ジフェニル−m−トリルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のトリアリールホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、オクチルジフェニルホスフィン等のアルキルジアリールホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、ジオクチルフェニルホスフィン等のジアルキルアリールホスフィン等の3級ホスフィンと1,4−ベンゾキノン、メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4ベンゾキノン、2,5−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、メトキシ−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメチル−1,4−ベンゾキノン、2,5−ジメチル−1,4−ベンゾキノン、メチル−1,4−ベンゾキノン、2,5−ジ−t−ブチル−1,4−ベンゾキノン、t−ブチル−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノン等の付加反応物、また、これら3級ホスフィンと4−ブロモフェノール、3−ブロモフェノール、2−ブロモフェノール、4−クロロフェノール、3−クロロフェノール、2−クロロフェノール、4−ヨウ化フェノール、3−ヨウ化フェノール、2−ヨウ化フェノール、4−ブロモ−2−メチルフェノール、4−ブロモ−3−メチルフェノール、4−ブロモ−2,6−ジメチルフェノール、4−ブロモ−3,5−ジメチルフェノール、4−ブロモ−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−クロロ−1−ナフトール、1−ブロモ−2−ナフトール、6−ブロモ−2−ナフトール、4−ブロモ−4´−ヒドロキシビフェニル等のハロゲン化フェノール化合物を反応させた後に、脱ハロゲン化水素の工程を経て得られる分子内分極を有する化合物(特開2004−156035号公報及び特開2004−156036号公報に記載)が挙げられる。
これらの中でも原料の入手し易さ及び上記一般式(I-4)で示されるホスホニウム化合物の安定性からは、トリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加反応物、トリ-p-トリルホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加反応物、トリス-(p-メトキシフェ
ニル)ホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加反応物、ジフェニル-p-トリルホスフィと1,4−ベンゾキノンの付加反応物、トリブチルホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加反応物、トリシクロヘキシルホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加反応物、シクロヘキシルジフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加反応物、ジシクロヘキシルフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加反応物、特開2004−156035号公報の合成例1〜9で製造した式(XXIX)〜(XXXVII)に記載の構造で示される化合物が好ましい。
本発明による化合物は、その化合物単独で又は他の樹脂と反応して硬化することが可能な硬化性樹脂として様々な用途に使用することが可能である。例えば、封止材等の成形材料、積層板用材料、各種接着剤用材料、各種電子電気部品用材料、塗料材料等の用途に使用することが可能である。本発明による化合物を硬化性樹脂として使用する場合、単独或いは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、アリル樹脂、アルキド樹脂等の他の硬化性樹脂と組み合わせて使用し硬化性樹脂組成物を構成することが可能である。例えば、本発明による化合物は、エポキシ樹脂硬化剤として有用であるため、エポキシ樹脂、及び必要に応じてエポキシ樹脂の硬化を促進する他の成分と組み合わせてエポキシ樹脂組成物とすることが可能である。
本発明によるエポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂と、(B)硬化剤とを含有するものであって、(B)硬化剤が、先に説明した本発明による新規化合物を含むことを特徴とする。本発明によるエポキシ樹脂組成物は、上記成分(A)及び(B)に、さらに(C)硬化促進剤及び(D)無機充填剤を含有するものであってもよい。また、必要に応じて、カップリング剤、イオン交換体、離型剤、応力緩和剤、難燃剤、着色剤といった各種添加剤を追加したものであってもよい。以下、本発明によるエポキシ樹脂組成物を構成する主な成分について説明する。
(A)エポキシ樹脂
本発明において使用可能な(A)エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であればよく、特に限定されるものではない。例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したノボラック型エポキシ樹脂;
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、アルキル置換又は非置換のビフェノール、スチルベン系フェノール類等のジグリシジルエーテル(ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂)、
ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテル;
フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等のカルボン酸類のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;
アニリン、イソシアヌル酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したもの等のグリシジル型又はメチルグリシジル型のエポキシ樹脂;
分子内のオレフィン結合をエポキシ化して得られるビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂;
パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;
テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;
ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;
シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;
多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;
ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテル;
ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂;
ハイドロキノン型エポキシ樹脂;
トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;
オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;
ジフェニルメタン型エポキシ樹脂;
フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物;
硫黄原子含有エポキシ樹脂
が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記エポキシ樹脂の中でも、耐リフロークラック性及び流動性の点でビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、ナフトール類とフェノール類との共重合型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物が好ましく、それらのいずれか1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。但し、それらの性能を発揮するためには、エポキシ樹脂全量に対して、それらを合計で30重量%以上使用することが好ましく、50重量%以上使用することがより好ましい。以下、好ましいエポキシ樹脂の具体例を示す。
ビフェニル型エポキシ樹脂としては、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(II)で示されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(II)で示されるエポキシ樹脂の中でもRのうち酸素原子が置換している位置を4及び4´位とした時の3,3´,5,5´位がメチル基でそれ以外が水素原子であるYX-4000H(ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名)、全てのRが水素原子である4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニル、全てのRが水素原子の場合及びRのうち酸素原子が置換している位置を4及び4´位とした時の3,3´,5,5´位がメチル基でそれ以外が水素原子である場合の混合品であるYL-6121H(ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2006257400
(式(II)中、Rは水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数4〜18のアリール基を示し、それぞれ全てが同一でも異なってもよく、nは平均値であり、0〜10の正数を示す)
スチルベン型エポキシ樹脂としては、スチルベン骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(III)で示されるエポキシ樹脂が好ましい。
下記一般式(III)で示されるエポキシ樹脂の中でも、Rのうち酸素原子が置換している位置を4及び4´位とした時の3,3´,5,5´位がメチル基でそれ以外が水素原子でありR10の全てが水素原子の場合と3,3´,5,5´位のうちの3つがメチル基、1つがtert−ブチル基でそれ以外が水素原子でありR10の全てが水素原子の場合の混合品であるESLV-210(住友化学株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2006257400
(式(III)中、R及びR10は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なってもよく、nは平均値であり、0〜10の正数を示す)
ジフェニルメタン型エポキシ樹脂としては、ジフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(IV)で示されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(IV)で示されるエポキシ樹脂の中でも、R11の全てが水素原子でありR12のうち酸素原子が置換している位置を4及び4´位とした時の3,3´,5,5´位がメチル基でそれ以外が水素原子であるYSLV−80XY(新日鐵化学株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2006257400
(式(IV)中、R11及びR12は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なってもよく、nは平均値であり、0〜10の正数を示す)
硫黄原子含有型エポキシ樹脂としては、硫黄原子を含有するエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではないが、例えば下記一般式(V)で示されるエポキシ樹脂が挙げられる。下記一般式(V)で示されるエポキシ樹脂の中でも、R13のうち酸素原子が置換している位置を4及び4´位とした時の3,3´位がtert−ブチル基で6,6´位がメチル基でそれ以外が水素原子であるYSLV−120TE(新日鐵化学株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2006257400
(式(V)中、R13は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なってもよく、nは平均値であり、0〜10の正数を示す)
ノボラック型エポキシ樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂をエポキシ化したエポキシ樹脂であれば、特に限定されるものではないが、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ナフトールノボラック等のノボラック型フェノール樹脂をグリシジルエーテル化等の手法を用いてエポキシ化したエポキシ樹脂が好ましく、例えば下記一般式(VI)で示されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(VI)で示されるエポキシ樹脂の中でも、R14の全てが水素原子でありR15がメチル基でi=1であるESCN−190、ESCN−195(住友化学株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2006257400
(式(VI)中、R14及びR15は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なってもよく、iは0〜3の整数、nは平均値であり、0〜10の正数を示す)
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、ジシクロペンタジエン骨格を有する化合物を原料としてエポキシ化したエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(VII)で示されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(VII)で示されるエポキシ樹脂の中でも、i=0であるHP−7200(大日本インキ化学株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2006257400
(式(VII)中、R16は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なってもよく、iは0〜3の整数、nは平均値であり、0〜10の正数を示す)
サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂としては、サリチルアルデヒド骨格を持つ化合物を原料とするエポキシ樹脂であれば特に制限はないが、サリチルアルデヒド骨格を持つ化合物とフェノール性水酸基を有する化合物とのノボラック型フェノール樹脂等のサリチルアルデヒド型フェノール樹脂をグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂等のサリチルアルデヒド型エポキシ樹脂が好ましく、下記一般式(VIII)で示されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(VIII)で示されるエポキシ樹脂の中でも、i=0、k=0である1032H60(ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名)、EPPN−502H(日本化薬株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2006257400
(式(VIII)中、R17及びR18は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なってもよく、iは0〜3の整数、kは0〜4の整数、nは平均値であり、0〜10の正数を示す)
ナフトール類とフェノール類との共重合型エポキシ樹脂としては、ナフトール骨格を有する化合物及びフェノール骨格を有する化合物を原料とするエポキシ樹脂であれば、特に限定されるものではないが、ナフトール骨格を有する化合物及びフェノール骨格を有する化合物を用いたノボラック型フェノール樹脂をグリシジルエーテル化したものが好ましく、下記一般式(IX)で示されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(IX)で示されるエポキシ樹脂の中でも、R21がメチル基でi=1であり、j=0、k=0であるNC−7300(日本化薬株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2006257400
(式(IX)中、R19〜R21は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なってもよく、iは0〜3の整数、jは0〜2の整数、kは0〜4の整数を示し、pは平均値で0〜1の正数を示し、l、mはそれぞれ平均値で0〜11の正数であり(l+m)は1〜11の正数を示す)
上記一般式(IX)で示されるエポキシ樹脂としては、l個の構成単位及びm個の構成単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体が挙げられ、これらのいずれか1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物としては、フェノール、クレゾール等のフェノール類及び/又はナフトール、ジメチルナフトール等のナフトール類とジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルやこれらの誘導体から合成されるフェノール樹脂を原料とするエポキシ樹脂であれば、特に限定されるものではない。例えば、フェノール、クレゾール等のフェノール類及び/又はナフトール、ジメチルナフトール等のナフトール類とジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルやこれらの誘導体から合成されるフェノール樹脂をグリシジルエーテル化したものが好ましく、下記一般式(X)及び(XI)で示されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(X)で示されるエポキシ樹脂の中でも、i=0、R40が水素原子であるNC−3000S(日本化薬株式会社製商品名)、i=0、R40が水素原子であるエポキシ樹脂と一般式(II)の全てのRが水素原子であるエポキシ樹脂を重量比80:20で混合したCER-3000(日本化薬株式会社製商品名)等が、下記一般式(XI)で示されるエポキシ樹脂の中でも、i=0、j=0、k=0であるESN−175(新日鐵化学株式会社商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2006257400
(式(X)及び(XI)において、R37〜R41は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なってもよく、iは0〜3の整数、jは0〜2の整数、kは0〜4の整数を示す)
上記一般式(II)〜(XI)中のR〜R21及びR37〜R41について、「それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい」とは、例えば、式(II)中の8〜88個のRの全てが同一でも異なっていてもよいことを意味している。他のR〜R21及びR37〜R41についても、式中に含まれるそれぞれの個数について全てが同一でも異なっていてもよいことを意味している。また、R〜R21及びR37〜R41はそれぞれが同一でも異なっていてもよい。例えば、RとR10の全てについて同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(II)〜(XI)中の「n」は、0〜10の範囲である必要があり、10を超えた場合は(B)成分の溶融粘度が高くなるため、エポキシ樹脂組成物の溶融成形時の粘度も高くなり、未充填不良やボンディングワイヤ(素子とリードを接続する金線)の変形を引き起こしやすくなる。1分子中の平均nは0〜4の範囲に設定されることが好ましい。
(B)硬化剤
本発明によるエポキシ樹脂組成物では、(B)硬化剤として、先に示した本発明による新規化合物を使用することを特徴とする。本発明による化合物をエポキシ樹脂硬化剤として使用した場合、エポキシ樹脂と、化合物の−ArO−Si(R)−結合部位とが反応することによって、硬化が進行することになる。本発明によるエポキシ樹脂組成物において、(A)エポキシ樹脂と、(B)硬化剤となる本発明による新規化合物との配合比率は、(A)の全エポキシ樹脂におけるエポキシ基の数と、(B)本発明による新規化合物の−ArO−Si(R)−結合の数及び未反応フェノール性水酸基の数の和との比率、すなわち、[(本発明による新規化合物の−ArO−Si(R)−結合の数)+(本発明による新規化合物の未反応フェノール性水酸基の数)]/[エポキシ樹脂中のエポキシ基数]で、0.5〜2.0の範囲に設定されることが好ましい。上記配合比率は、0.7〜1.5の範囲に設定することがより好ましく、0.8〜1.3の範囲に設定することがさらに好ましい。上記配合比率が0.5未満となると、エポキシ樹脂の硬化が不充分となり、硬化物の耐熱性、耐湿性及び電気特性が劣る傾向がある。一方、上記配合比率が2.0を超えると、硬化剤成分が過剰となり、硬化効率が低下するだけでなく、硬化樹脂中に多量のフェノール性水酸基が残るため、パッケージの電気特性及び耐湿性が低下する傾向がある。
本発明によるエポキシ樹脂組成物では、(B)硬化剤として、先に示した本発明による新規化合物以外の化合物を含んでもよい。硬化剤として併用可能な化合物としては、エポキシ樹脂を硬化させることができる化合物であれば特に限定されるものではない。例えば、フェノール樹脂等のフェノール化合物、ジアミン、ポリアミン等のアミン化合物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の無水有機酸、ジカルボン酸、ポリカルボン酸等のカルボン酸化合物等が挙げられ、これらの樹脂の1種以上を組み合わせて使用してもよい。中でも、後述する(C)硬化促進剤の効果が十分に発揮されるという観点からは、未変性のフェノール化合物を併用することが好ましい。
なお、本発明のエポキシ樹脂組成物において、本発明による新規化合物に加えて硬化剤としてフェノール化合物を併用する場合、(B)硬化剤となる成分の合計量を基準として、本発明による新規化合物の配合量は、30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上とすることがより好ましい。(B)硬化剤における本発明による化合物の含有量が30重量%未満となると低吸水性の特性が低下し、本発明によって達成可能な効果が低減する傾向がある。
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物において、硬化剤としてフェノール化合物を併用する場合、(A)エポキシ樹脂と、(B)本発明の新規化合物及びフェノール化合物との配合比率は、(A)の全エポキシ樹脂のエポキシ基数と、(B)本発明による新規化合物の−ArO−Si(R)−結合の数、本発明による新規化合物の未反応フェノール性水酸基の数及び併用するフェノール性水酸基数の合計との比率、すなわち、[(本発明による新規化合物の−ArO−Si(R)−結合の数)+(本発明による新規化合物の未反応フェノール性水酸基の数)+(フェノール化合物のフェノール性水酸基数)]/[エポキシ樹脂中のエポキシ基数]で、0.5〜2.0の範囲に設定されることが好ましい。上記配合比率は、0.7〜1.5の範囲に設定することがより好ましく、0.8〜1.3の範囲に設定することがさらに好ましい。上記配合比率が0.5未満となると、エポキシ樹脂の硬化が不充分となり、硬化物の耐熱性、耐湿性及び電気特性が劣る傾向がある。一方、上記配合比率が2.0を超えると、硬化剤成分が過剰となり、硬化効率が低下するだけでなく、硬化樹脂中に多量のフェノール性水酸基が残るため、パッケージの電気特性及び耐湿性が低下する傾向がある。
上述の範囲において、硬化剤として本発明による化合物と併用することが可能なフェノール化合物は、特に限定されず、硬化剤として一般に使用される1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物であってよい。例えば、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール等の1分子中に2個のフェノール性水酸基を有する化合物;
フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;
フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;
パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂;
メラミン変性フェノール樹脂;
テルペン変性フェノール樹脂;
フェノール類及び/又はナフトール類とジシクロペンタジエンから共重合により合成される、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;
シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;
多環芳香環変性フェノール樹脂;
ビフェニル型フェノール樹脂;
トリフェニルメタン型フェノール樹脂;
これら樹脂の2種以上を共重合して得たフェノール樹脂
が挙げられ、これらを単独で併用しても2種以上を組み合わせて併用してもよい。
上述のフェノール化合物の中でも、耐リフロークラック性の観点からはアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型とアラルキル型の共重合型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。これらアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型とアラルキル型の共重合型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよいが、本発明による新規化合物の効果を発揮させるために、上述のフェノール樹脂は、硬化剤の全量に対して、合計で好ましくは70重量%以下、より好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下で併用することが望ましい。
アラルキル型フェノール樹脂としては、フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルやこれらの誘導体から合成されるフェノール樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(XII)〜(XIV)で示されるフェノール樹脂が好ましい。
Figure 2006257400
(式(XII)〜(XIV)において、R22〜R28は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なってもよく、iは0〜3の整数、kは0〜4の整数、jは0〜2の整数、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
上記一般式(XII)で示されるフェノール樹脂の中でも、i=0、R23が全て水素原子であるMEH−7851(明和化成株式会社商品名)等が市販品として入手可能である。
上記一般式(XIII)で示されるフェノール樹脂の中でも、i=0、k=0であるXL−225、XLC(三井化学株式会社製商品名)、MEH−7800(明和化成株式会社商品名)等が市販品として入手可能である。
上記一般式(XIV)で示されるフェノール樹脂の中でも、j=0、R27のk=0、R28のk=0であるSN−170(新日鐵化学株式会社商品名)等が市販品として入手可能である。
ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂としては、ジシクロペンタジエン骨格を有する化合物を原料として用いたフェノール樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(XV)で示されるフェノール樹脂が好ましい。下記一般式(XV)で示されるフェノール樹脂の中でもi=0であるDPP(新日本石油化学株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2006257400
(式(XV)中、R29は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なってもよく、iは0〜3の整数、nは平均値であり、0〜10の正数を示す)
サリチルアルデヒド型フェノール樹脂としては、サリチルアルデヒド骨格を有する化合物を原料として用いたフェノール樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(XVI)で示されるフェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVI)で示されるフェノール樹脂の中でもi=0、k=0であるMEH−7500(明和化成株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2006257400
(式(XVI)中、R30及びR31は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なってもよく、iは0〜3の整数、kは0〜4の整数、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
ベンズアルデヒド型とアラルキル型との共重合型フェノール樹脂としては、ベンズアルデヒド骨格を有する化合物を原料として用いたフェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(XVII)で示されるフェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVII)で示されるフェノール樹脂の中でもi=0、k=0、q=0であるHE−510(エア・ウォーター・ケミカル株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2006257400
(式(XVII)中、R32〜R34は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なってもよく、iは0〜3の整数、kは0〜4の整数、qは0〜5の整数、l、mはそれぞれ平均値で0〜11の正数であり(l+m)は1〜11の正数を示す)
ノボラック型フェノール樹脂としては、フェノール類及び/又はナフトール類とアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるフェノール樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(XVIII)で示されるフェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVIII)で示されるフェノール樹脂の中でもi=0、R35が全て水素原子であるタマノル758、759(荒川化学工業株式会社製商品名)、HP−850N(日立化成工業株式会社商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2006257400
(式(XVIII)中、R35及びR36は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なってもよく、iは0〜3の整数、kは0〜4の整数、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
上記一般式(XII)〜(XVIII)におけるR22〜R36について記載した「それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい」は、例えば、式(XII)中のi個のR22の全てが同一でも相互に異なっていてもよいことを意味している。他のR23〜R36についても、式中に含まれるそれぞれの個数について全てが同一でも相互に異なっていてもよいことを意味している。また、R22〜R36は、それぞれが同一でも異なっていてもよい。例えば、R22およびR23の全てについて同一でも異なってもよく、R30およびR31の全てについて同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(XII)〜(XVIII)における「n」は、0〜10の範囲である必要があり、10を超えた場合は(B)硬化性樹脂成分の溶融粘度が高くなるため、エポキシ樹脂組成物の溶融成形時の粘度も高くなり、未充填不良やボンディングワイヤ(素子とリードを接続する金線)の変形を引き起こしやすくなる。1分子中の平均nは0〜4の範囲に設定されることが好ましい。
(C)硬化促進剤
本発明によるエポキシ樹脂組成物では、必要に応じて硬化剤促進剤を配合してもよい。
使用可能な硬化促進剤としては、例えば、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のジアザビシクロアルケンなどのシクロアミジン化合物、その誘導体、それらのフェノールノボラック塩及びこれらの化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどのπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類及びこれらの誘導体、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール類、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p−トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン等の有機ホスフィン類、又はこれら有機ホスフィン類と有機ボロン類との錯体やこれら有機ホスフィン類と無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどのπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、これら有機ホスフィン類と4-ブロモフェノール、3-ブロモフェノール、2-ブロモフェノール、4-クロロフェノール、3-クロロフェノール、2-クロロフェノール、4-ヨウ化フェノール、3-ヨウ化フェノール、2-ヨウ化フェノール、4-ブロモ-2-メチルフェノール、4-ブロモ-3-メチルフェノール、4-ブロモ-2,6-ジメチルフェノール、4-ブロモ-3,5-ジメチルフェノール、4-ブロモ-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、4-クロロ-1-ナフトール、1-ブロモ-2-ナフトール、6-ブロモ-2-ナフトール、4-ブロモ-4´-ヒドロキシビフェニル等のハロゲン化フェノール化合物を反応させた後に、脱ハロゲン化水素の工程を経て得られる分子内分極を有する化合物(特開2004−156035号公報及び特開2004−156036号公報に記載)が挙げられる。これら硬化促進剤を併用する場合、中でも、流動性の観点からは有機ホスフィン類とπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、有機ホスフィン類とハロゲン化フェノール化合物を反応させた後に、脱ハロゲン化水素して得られる分子内分極を有する化合物、硬化性の観点からは有機ホスフィン類とハロゲン化フェノール化合物を反応させた後に、脱ハロゲン化水素の工程を経て得られる分子内分極を有する化合物が好ましい。特に、下記一般式(I-4)で示されるホスフィン化合物又はその分子間塩を使用することが好ましい。なお、式中、R、R、Yは先に説明した通りである。
Figure 2006257400
本発明によるエポキシ樹脂組成物における(C)硬化促進剤の配合量は、硬化促進効果が達成されれば特に制限はない。しかし、樹脂組成物の吸湿時の硬化性及び流動性における改善の観点からは、(A)エポキシ樹脂の合計100重量部に対し、(C)硬化促進剤を合計で好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは1〜7.0重量部配合することが望ましい。配合量が0.1重量部未満では短時間で硬化させることが困難であり、10重量部を超えると硬化速度が速すぎて良好な成形品が得られない場合がある。
(D)無機充填剤
本発明のエポキシ樹脂組成物には、(D)無機充填剤を必要に応じてさらに配合することができる。特に、エポキシ樹脂組成物を封止用成形材料として用いる場合には、(D)無機充填剤を配合することが好ましい。本発明において用いられる(D)無機充填剤としては、一般に封止用成形材料に用いられるものであってよく、特に限定されるものではない。例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、窒化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー、マイカ等の微粉未、又はこれらを球形化したビーズが挙げられる。さらに、難燃効果のある無機充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムと亜鉛の複合水酸化物等の複合金属水酸化物、硼酸亜鉛が挙げられる。中でも、線膨張係数低減の観点からは溶融シリカが、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましい。これら無機充填剤の1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)無機充填剤の配合量は、本発明の効果が得られれば特に制限はないが、エポキシ樹脂組成物に対して55〜90体積%の範囲であることが好ましい。これら無機充填剤は硬化物の熱膨張係数、熱伝導率、弾性率等の改良を目的に配合するものであり、配合量が55体積%未満ではこれらの特性の改良が不十分となる傾向があり、90体積%を超えるとエポキシ樹脂組成物の粘度が上昇して流動性が低下し成形が困難になる傾向がある。
また、(D)無機充填剤の平均粒径は1〜50μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。1μm未満ではエポキシ樹脂組成物の粘度が上昇しやすく、50μmを超えると樹脂成分と無機充墳剤とが分離しやすくなり、硬化物が不均一になったり硬化物特性がばらついたり、狭い隙間への充填性が低下したりする傾向がある。
流動性の観点からは、(D)無機充填剤の粒子形状は角形よりも球形が好ましく、(D)無機充填剤の粒度分布は広範囲に分布したものが好ましい。例えば、無機充填剤を75体積%以上配合する場合、その70重量%以上を球状粒子とし、0.1〜80μmという広範囲に分布したものが好ましい。このような無機充填剤は最密充填構造をとりやすいため配合量を増加させても材料の粘度上昇が少なく、流動性に優れたエポキシ樹脂組成物を得ることができる。
(各種添加剤)
本発明によるエポキシ樹脂組成物では、必要に応じて上述の成分(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤に加えて、以下に例示するカップリング剤、イオン交換体、離型剤、応力緩和剤、難燃剤、着色剤といった各種添加剤を追加してもよい。しかし、本発明によるエポキシ樹脂組成物には、以下の添加剤に限定することなく、必要に応じて当技術分野で周知の各種添加剤を追加してもよい。
(カップリング剤)
本発明のエポキシ樹脂組成物には、樹脂成分と無機充填剤との接着性を高めるために、必要に応じて、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤を添加することができる。
カップリング剤の配合量は、(D)無機充填剤に対して0.05〜5重量%であることが好ましく、0.1〜2.5重量%がより好ましい。0.05重量%未満ではフレームとの接着性が低下する傾向があり、5重量%を超えるとパッケージの成形性が低下する傾向がある。
上記カップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、二級アミノ基を有するカップリング剤が流動性及びワイヤ流れの観点から好ましい。
(イオン交換体)
本発明のエポキシ樹脂組成物には、陰イオン交換体を必要に応じて配合することができる。特にエポキシ樹脂組成物を封止用成形材料として用いる場合には、封止される素子を備える電子部品装置の耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から、陰イオン交換体を配合することが好ましい。本発明において用いられる陰イオン交換体としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができるが、例えば、ハイドロタルサイト類や、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ビスマスから選ばれる元素の含水酸化物等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、下記一般式(XIX)で示されるハイドロタルサイトが好ましい。
(化29)
Mg1−XAl(OH)(COX/2・mHO ……(XIX)
(0<X≦0.5、mは正の数)
これらの陰イオン交換体の配合量は、ハロゲンイオンなどの陰イオンを捕捉できる十分量であれば特に制限はないが、(A)エポキシ樹脂に対して0.1〜30重量%の範囲が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。
(離型剤)
本発明のエポキシ樹脂組成物には、成形時に金型との良好な離型性を持たせるため離型剤を配合してもよい。本発明において用いられる離型剤としては特に制限はなく従来公知のものを用いることができる。例えば、カルナバワックス、モンタン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス、酸化ポリエチレン、非酸化ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックス等が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、酸化型又は非酸化型のポリオレフィン系ワックスが好ましく、その配合量としては(A)エポキシ樹脂に対して0.01〜10重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。ポリオレフィン系ワックスの配合量が0.01重量%未満では離型性が不十分な傾向があり、10重量%を超えると接着性が阻害される可能性がある。ポリオレフィン系ワックスとしては、例えば市販品ではヘキスト社製のH4、PE、PEDシリーズ等の数平均分子量が500〜10000程度の低分子量ポリエチレンが挙げられる。また、ポリオレフィン系ワックスに他の離型剤を併用する場合、その配合量は(A)エポキシ樹脂に対して0.1〜10重量%が好ましく、0.5〜3重量%がより好ましい。
(応力緩和剤)
本発明のエポキシ樹脂組成物には、シリコーンオイル、シリコーンゴム粉末等の応力緩和剤を必要に応じて配合することができる。応力緩和剤を配合することにより、パッケージの反り変形量、パッケージクラックを低減させることができる。使用できる応力緩和剤としては、一般に使用されている公知の可とう剤(応力緩和剤)であれば特に限定されるものではない。一般に使用されている可とう剤としては、例えば、シリコーン系、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の熱可塑性エラストマー、NR(天然ゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンパウダー等のゴム粒子、メタクリル酸メチル−スチレン−ブタジエン共重合体(MBS)、メタクリル酸メチル−シリコーン共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体等のコア−シェル構造を有するゴム粒子等が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。中でも、シリコーン系可とう剤が好ましく、シリコーン系可とう剤としては、エポキシ基を有するもの、アミノ基を有するもの、これらをポリエーテル変性したものが挙げられる。
(難燃剤)
本発明のエポキシ樹脂組成物には、難燃性を付与するために必要に応じて難燃剤を配合することができる。本発明において用いられる難燃剤としては特に制限はなく、例えば、ハロゲン原子、アンチモン原子、窒素原子又はリン原子を含む公知の有機若しくは無機の化合物、金属水酸化物が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。難燃剤の配合量は、難燃効果が達成されれば特に制限はないが、(A)エポキシ樹脂に対して1〜30重量%が好ましく、2〜15重量%がより好ましい。
(着色剤)
また、カーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、鉛丹、ベンガラ等の公知の着色剤を配合しても良い。
先に説明した本発明のエポキシ樹脂組成物は、各種成分を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できる。一般的な手法としては、所定の配合量の成分をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練した後、冷却、粉砕する方法を挙げることができる。より具体的には、例えば、上述した成分の所定量を均一に撹拌、混合し、予め70〜140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダー等で混練、冷却し、粉砕する方法で得ることができる。樹脂組成物は、パッケージの成形条件に合うような寸法及び重量でタブレット化すると取り扱いが容易である。
本発明による電子部品装置は、上述のエポキシ樹脂組成物によって封止した素子を備えることを特徴とする。電子部品装置としては、例えば、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子等の素子を搭載したものが挙げられ、それら素子部を本発明のエポキシ樹脂組成物で封止したものが挙げられる。より具体的には、例えば、リードフレーム上に半導体素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部をワイヤボンディングやバンプで接続した後、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いてトランスファー成形によって封止した、DIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の一般的な樹脂封止型IC、テープキャリアにバンプで接続した半導体チップを、本発明のエポキシ樹脂組成物で封止したTCP(Tape Carrier Package)、配線板やガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子及び/又はコンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子を、本発明のエポキシ樹脂組成物で封止したCOB(Chip On Board)モジュール、ハイブリッドIC、マルチチップモジュール、裏面に配線板接続用の端子を形成した有機基板の表面に素子を搭載し、バンプ又はワイヤボンディングにより素子と有機基板に形成された配線を接続した後、本発明のエポキシ樹脂組成物で素子を封止したBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)などが挙げられる。また、プリント回路板においても本発明のエポキシ樹脂組成物を有効に使用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて、電子部品装置を封止する方法としては、低圧トランスファー成形法が最も一般的ではあるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等を用いてもよい。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔新規化合物の合成例〕
(合成例1)
フェノール性水酸基を2つ以上有する化合物の水酸基数/一般式(I-1)で示されるシラン化合物のR基数=2
500mlのセパラブルフラスコにビスフェノールF(本州化学株式会社製BPF、2核体率約90%)248gを充填した後、130℃に加熱し融解させ、引き続きトリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加反応物1.24gを添加し溶解させた。
得られた溶液にジフェニルジメトキシシラン(日本ユニカー株式会社製AZ−6183)152gを約30分かけて滴下した。反応時に副成するメタノールを除去しながら、130〜135℃で約2時間、さらにアスピレーターを用いた減圧によってメタノールを除去しながら10時間にわたり反応させ、得られた反応生成物をフラスコから取り出し、GPC測定及びIR測定に供した。
図1〜3はGPC測定結果を示すチャートであり、それぞれ、図1は原料であるビスフェノールF、図2は原料であるジフェニルジメトキシシラン、図3は本合成例1によって得た反応生成物に関するチャートである。図3のチャートを見ると、原料であるジフェニルジメトキシシランのピークが消失しており、反応生成物が高分子化していることが分かる。
図4〜6はIRの測定結果を示すチャートであり、それぞれ図4は原料であるビスフェノールF、図5は原料であるジフェニルジメトキシシラン、図6は本合成例1によって得た反応生成物に関するチャートである。図5のチャートを見ると、920〜970cm−1にSi−OArに特徴的なピークが出現していることから、反応生成物は、下記(XX)で示される1以上の構造単位を有し、さらに少なくとも生成物の一部が下記一般式(XXI)で示される構造の化合物を含有すると推測される。なお、反応生成物におけるメトキシ基残存量は、0%であった。
Figure 2006257400
Figure 2006257400
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を示す)
(合成例2)
フェノール性水酸基を2つ以上有する化合物の水酸基数/一般式(I-1)で示されるシラン化合物のR基数=1.5
500mlのセパラブルフラスコにビスフェノールF(本州化学株式会社製BPF、2核体率約90%)220gを充填した後、130℃に加熱し融解させ、引き続きトリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加反応物1.10gを添加し溶解させた。
得られた溶液にジフェニルジメトキシシラン(日本ユニカー株式会社製AZ−6183)180gを約30分かけて滴下した。反応時に副成するメタノールを除去しながら、130〜135℃で約2時間、さらにアスピレーターを用いた減圧によってメタノールを除去しながら15時間にわたり反応させ、得られた反応生成物をフラスコから出し、GPC測定及びIR測定に供した。
GPC測定及びIR測定で得られたチャートをそれぞれ図7及び8に示す。GPC測定の結果(図7)から、原料のジフェニルジメトキシシランのピークが消失しており、反応生成物が高分子化していることが分かる。また、IRの測定結果(図8)では、920〜970cm−1にSi−OArに特徴的なピークが出現していることから、反応生成物は、先に示した一般式(XX)の単位構造を有し、一般式(XXI)で示される構造の化合物を含有すると推測される。反応生成物のメトキシ基残存量は、0%であった。
(合成例3)
フェノール性水酸基を2つ以上有する化合物の水酸基数/一般式(I-1)で示される化合物のR基数=1
500mlのセパラブルフラスコにビスフェノールF(本州化学株式会社製BPF、2核体率約90%)180gを充填した後、130℃に加熱し融解させ、引き続きトリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加反応物0.90gを添加し溶解させた。
得られた溶液にジフェニルジメトキシシラン(日本ユニカー株式会社製AZ−6183)220gを約30分かけて滴下した。反応時に副成するメタノールを除去しながら、130〜135℃で約2時間、さらにアスピレーターを用いた減圧によりメタノールを除去しながら20時間にわたり反応させ、得られた反応生成物をフラスコから取り出し、GPC測定及びIR測定に供した。
GPC測定及びIR測定で得られたチャートをそれぞれ図9及び10に示す。GPC測定結果(図9)から、原料のジフェニルジメトキシシランのピークが消失しており、反応生成物が高分子化していることが分かる。また、IRの測定結果(図10)では、920〜970cm−1にSi−OArに特徴的なピークが出現していることから、反応生成物は、一般式(XX)の単位構造を有し、一般式(XXI)で示される構造を有するの化合物を含有すると推測される。反応生成物のメトキシ基残存量は、8%であった。
合成例1〜3で実施した反応生成物(以下「化合物」と称す)の各種測定の詳細は以下の通りである。
(1)GPC測定
約5mgの化合物を約5mlのテトラヒドロフランに溶かして溶液とし、その0.2mlをチャージして測定に用いた。測定は、日立製作所製インテリジェントポンプ(L−3600)を備えたTOSOH社製TSKgel G2000Hを用い、30℃、1.0ml/分の流速で実施した。検出器としては、日立製作所製RIモニター(L−3300)を用いた。
(2)IR測定
測定は、Bio−Rad社製FTS 3000MXを用い、KBr法に従って実施した。
(3)メトキシ基残存量
約100mgの化合物を約0.5mlの重アセトンに溶かして溶液とし、φ5mmの試料管に入れて測定に用いた。ブルカーバイオスピン社製AV−300Mを用いINVERSED GATEの方法に従って化合物の13C−NMRを測定した。Si−OCH13Cの積分値と、ジフェニルジメトキシシランに由来するフェニル基の13Cの積分値の合計とを比較し、出発原料に対するSi−OCHの残存率を求めた。
〔エポキシ樹脂組成物の作製及び特性評価〕
(実施例1〜8、比較例1〜4)
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂1:エポキシ当量196、融点106℃のビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名「YX−4000H」)
エポキシ樹脂2:エポキシ当量195、軟化点77℃のo-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(住友化学株式会社製商品名「ESCN−190−6」)
エポキシ樹脂3:エポキシ当量168、軟化点62℃のサリチルアルデヒド型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名「1032H60」
(硬化剤)
硬化剤1:合成例1で得た化合物
硬化剤2:合成例2で得た化合物
硬化剤3:合成例3で得た化合物
硬化剤A:水酸基当量176、軟化点70℃のフェノールアラルキル樹脂(三井化学株式会社製商品名「ミレックスXL−225」)
硬化剤B:水酸基当量100、融点115−120℃のビスフェノールF(本州化学株式会社製「BPF」、2核体率約90%)
硬化剤C:水酸基当量103、軟化点86℃のサリチルアルデヒド型フェノール樹脂(明和化成株式会社製商品名「MEH−7500」)
なお、硬化剤A〜Cは比較のために使用した。
(硬化促進剤)
硬化促進剤1:トリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加反応物
(無機充填剤)
平均粒径17.5μm、比表面積3.8m/gの球状溶融シリカ
(その他各種添加剤)
カップリング剤:エポキシシラン(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
着色剤:カーボンブラック(三菱化学株式会社製商品名「MA−100」)
離型剤:カルナバワックス(株式会社セラリカNODA製)
難燃剤:三酸化アンチモン
上述の成分をそれぞれ表1に示す重合部で配合し、混練温度80℃、混練時間15分の条件でロール混練を行うことによって、それぞれ実施例1〜8、比較例1〜4のエポキシ樹脂組成物を得た。
Figure 2006257400
次に、実施例1〜8、比較例1〜4によって得た各々のエポキシ樹脂組成物を、以下に示す各試験によって評価した。評価結果を表2に示す。なお、エポキシ樹脂組成物の成形は、トランスファー成形機を用い、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で行った。また、後硬化は175℃で6時間行った。
(1)スパイラルフロー(流動性の指標)
EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、上記条件でエポキシ樹脂組成物を成形して流動距離(cm)を測定した。
(2)熱時硬度
エポキシ樹脂組成物を上記条件で直径50mm×厚さ3mmの円板に成形し、成形後直ちにショアD型硬度計を用いて測定した。
(3)吸水率1
上記(2)で成形した円板を後硬化し、85℃/85%RHの恒温恒湿槽に投入し、168時間後に取り出し、初期値から単位重量あたりの増加率(%)を求めた。
(4)吸水率2
上記(2)で成形した円板を後硬化し、121℃、2気圧のプレッシャークッカーに投入し、20時間後に取り出し、初期値から単位重量あたりの増加率(%)を求めた。
(5)ガラス転移温度
エポキシ樹脂組成物を上記成形条件下で長さ80mm×幅10mm×厚さ3mmの大きさに成形し、後硬化した。次いで、成形品をダイヤモンドカッターで長さ55mmに切った後、粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエンティフィックエフイー株式会社製)を用い、ダイナミックモードで昇温速度5℃、周波数6.28rad/sの条件下でのtanδの測定からガラス転移温度(℃)を求めた。
(6)高温時弾性率
上記(5)における測定から240℃における貯蔵弾性率(10Pa)を求めた。
Figure 2006257400
硬化剤として本発明による新規化合物を含有する実施例1〜3は、フェノールアラルキル樹脂を用いた比較例1と比較して、スパイラルフロー、熱時硬度、低吸水性、ガラス転移温度及び高温弾性率に優れる。また、本発明による新規化合物を含有する実施例4〜6では、ビスフェノールFを用いた比較例3と比較して、熱時硬度、低吸水性、ガラス転移温度及び高温弾性率に優れる。なお、比較例の硬化剤としてフェノール樹脂をトリメチルシリル化した樹脂を用いた場合、反応点間の分子量が大きくなるため、比較例3よりもさらに架橋密度は低くなり、硬化性及び耐熱性は低下すると考えられる。また、本発明による新規化合物を含有する実施例7及び8では、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂を用いた比較例4と比較して、熱時硬度及び高温弾性率がほぼ同様であるが、低吸水性の点で非常に優れている。
高温弾性率が高い(すなわち架橋密度が高い)と一般的に吸水率が高くなるが、本発明による新規化合物を含有する実施例1〜8は比較例で使用した硬化剤と比較して、架橋密度が高いにもかかわらず吸水率が低い。このことから、本発明による新規化合物は、耐熱性(高ガラス転移温度)と耐湿性との両特性を両立することができるため、工業的に有用である。
ビスフェノールFのGPC測定の結果を示すチャートである。 ジフェニルジメトキシシランのGPC測定の結果を示すチャートである。 本発明による化合物(合成例1)のGPC測定の結果を示すチャートである。 ビスフェノールFのIR測定の結果を示すチャートである。 ジフェニルジメトキシシランのIR測定の結果を示すチャートである。 本発明による化合物(合成例1)のIR測定の結果を示すチャートである。 本発明による化合物(合成例2)のGPC測定を示すチャートである。 本発明による化合物(合成例2)のIR測定の結果を示すチャートである。 本発明による化合物(合成例3)のGPC測定の結果を示すチャートである。 本発明による化合物(合成例3)のIR測定の結果を示すチャートである。

Claims (15)

  1. (a)分子内に2以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物と、(b)フェノール性水酸基と反応可能な2つの官能基を有する下記一般式(I-1)で示されるシラン化合物との反応によって得られる化合物。
    Figure 2006257400
    (式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、R1が互いに結合して環状構造を形成してもよく、
    は、フェノール性水酸基と反応可能な官能基を示し、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜18の置換又は非置換のオキシ基、炭素数0〜18の置換又は非置換のアミノ基、及び炭素数2〜18のカルボニルオキシ基からなる群より選ばれる基であり、全てが同一でも異なってもよく、Rが互いに結合して環状構造を形成してもよい)
  2. 前記(b)のシラン化合物において、Rが水酸基又はオキシ基であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
  3. 前記(a)のフェノール化合物において、フェノール化合物の全重量を基準としてその70重量%以上が2価フェノール化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の化合物。
  4. 下記一般式(I-2)で示される構造単位を1以上有することを特徴とする化合物。
    Figure 2006257400
    (式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、R1が互いに結合して環状構造を形成してもよく、
    Arは、炭素数2〜30を有し、芳香族性を示す環状化合物から誘導される基を両側に有する2価の有機基である)
  5. 下記一般式(I-3)で示される構造を有する化合物を含有することを特徴とする請求項4に記載の化合物。
    Figure 2006257400
    (式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、R1が互いに結合して環状構造を形成してもよく、
    Arは、炭素数2〜30を有し、芳香族性を示す環状化合物から誘導される基を両側に有する2価の有機基であり、
    は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基及び−Ar−OH(式中、Arは、炭素数2〜30を有し、芳香族性を示す環状化合物から誘導される基を両側に有する2価の有機基を示す)からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、
    mは1以上の数を示し、nは0以上の数を示し、m個の単位とn個の単位との繰り返しは、ブロック、交互、又はランダムであってよい)
  6. (a)分子内に2以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物と、(b)フェノール性水酸基と反応可能な2つの官能基を有する下記一般式(I-1)で示されるシラン化合物とを反応させる工程を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の化合物の製造方法。
    Figure 2006257400
    (式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、R1が互いに結合して環状構造を形成してもよく、
    は、フェノール性水酸基と反応可能な官能基を示し、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜18の置換又は非置換のオキシ基、炭素数0〜18の置換又は非置換のアミノ基、及び炭素数2〜18のカルボニルオキシ基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、Rが互いに結合して環状構造を形成してもよい)
  7. 前記(a)と前記(b)との反応を、ホスフィン化合物、ホスホニウム塩化合物、環状アミジン化合物、及び環状アミジニウム塩からなる群より選ばれる触媒の存在下で実施することを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記触媒が、下記一般式(I-4)で示されるホスホニウム化合物又はその分子間塩であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
    Figure 2006257400
    (式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、2以上のRが互いに結合して環状構造を形成してもよく、
    は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、及び炭素数1〜18の置換又は非置換の有機基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、2以上のRが互いに結合して環状構造を形成してもよく、
    は、1以上の放出可能なプロトン(H)を有する炭素数0〜18の有機基から1つのプロトンが脱離した基であり、1以上のRと互いに結合して環状構造を形成してもよい)
  9. 請求項1〜5のいずれかに記載の化合物を含有することを特徴とする硬化性樹脂。
  10. 請求項9に記載の硬化性樹脂を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  11. (A)エポキシ樹脂と、(B)硬化剤とを含有するエポキシ樹脂組成物であって、前記硬化剤が請求項1〜5のいずれかに記載の化合物を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  12. さらに(C)硬化促進剤を含有することを特徴とする請求項11に記載のエポキシ樹脂組成物。
  13. さらに(D)無機充填剤を含有することを特徴とする請求項11又は12に記載のエポキシ樹脂組成物。
  14. 前記(A)エポキシ樹脂が、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、ナフトール類とフェノール類との共重合型エポキシ樹脂、及びアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物からなる群より選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂を含有することを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  15. 請求項11〜14のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物によって封止された素子を備えることを特徴とする電子部品装置。
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