JP2006256780A - シートの重なり送り防止機構 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 積層シート束9の最上端のシート91に当たって該シートを側方へ送り出す送りローラ5と、シート送り移行路を挟んで送りローラに対向配備され送りローラとは逆方向に回転する戻しローラ6とによって構成される。両ローラの間隔隙間Wは、シート厚みより大で、シート厚みの2倍より小であり、2枚送りの下側のシートは、戻しローラ6の回転によって元位置に戻される。
【選択図】 図5
Description
特許文献1、2、3の何れも、積層シート束(9)の最上端のシート(91)を送りローラ(5a)と戻しローラ(6a)間に送り出すためには、両ローラ(5a)(6a)とは別個に積層シート束(9)の最上端のシート(91)に接するメイン送りローラ(8)を必要とする。このため、ローラの数が増えて、構成が複雑となる。
又、戻しローラ(6a)は積層シート束(9)から離れて位置しているため、2枚重なりの下側シート(92)が戻しローラ(6a)に当たって通過が阻止されるまでの該シート(92)の積層シート束(9)からの臨出長さは長くなる。従って、シートが写真印画紙の様に厚手の場合でも、戻しローラ(6a)とシートの瞬間的な接触では、シートを元の積層位置まで戻すことはできない。このため、戻しローラによって通過を阻止されらシートを、次に正常に送出すことが出来ない場合がある。
薄手のシートの場合、戻しローラ(6a)によって通過を阻止された2枚重なりの下側シート(92)が、積層シート(9)側へ戻されることは期待できない。該シート(92)の積層シート束(9)からの臨出部は、一点鎖線で示す様に、積層シート束(9)から垂れ下がった様になり、次に該シート(92)を正常に送り出すことはできない。
更に、特許文献1では、送りローラと戻しローラの間隔を、送り出されるシートの後端と、次のシートの前端との間隔によってその都度調整せねばならず、特許文献2では、戻しローラに着脱可能にトルクリミッターを係合させねばなず、特許文献3では、シートを積層収容したトレイを脱着する際に戻しローラを送りローラから離間させる必要がある等、シート重なり送り防止機構が複雑である。
戻しローラ(6)は該シート(92)に対する単なるストッパーではなく、シートを積層シート束(9)に戻す方向に回転している。このため、2枚重なりの下側シート(92)の先端が戻しローラ(6)に当たった瞬間に、該ローラ(6)の回転によって該シート(92)を積層シート束(9)側に突き返す力が作用する。戻しローラ(6)は積層シート束(9)に近接しているため、2枚重なりの下側シート(92)が戻しローラ(6)に当たるまでの積層シート束(9)からの臨出長さは僅かである。このため、シートが厚手の場合、前記戻しローラ(6)によるシート(92)に対する戻し力によって、該シート(92)を積層シート束(9)に略重なる位置まで戻すことができる。
薄手のシートの場合、戻しローラ(6)の戻し回転が作用しても、シートを元の積層位置に戻すことは難しいが、前記の様に2枚重なりの下側シート(92)の、積層シート束(9)からの臨出長さは短いため、該シートの臨出部が垂れ下がることを防止できる。このため2枚重なりの下側シート(92)の次の送出しを支障なくできる。
2枚重なりの上側のシート(91)は、送りローラ(5)との摩擦によって該ローラの回転方向へ送り出される。送りローラ(5)と戻しローラ(6)との隙間間隔Wは、シートの厚みより大であるから戻しローラ(6)が2枚重なりの上側のシート(91)に接して該シートの送りを邪魔することはない。
送りローラ(5)が、従来のメイン送りローラを兼用するため、構成が簡素化できる。
送りローラ(5)の上移動により、該送りローラ(5)に連結されている戻しローラ(6)も上に移動して、2枚重なりの下側のシート(92)の移行路を塞ぐ。
下側シート(92)が戻しローラ(6)に当たってからの作用効果は、請求項1の場合と同じである。
図1は、昇華型のプリンター(1)の一例を示している。
プリンター(1)は筺型のシャーシ(10)内に、上から下へ、ヘッド(13)、リボンカセット挿入部(14)、大径のプラテン(11)、積層シート束を収容したトレイカセット(3)、トレイカセット(3)の前部近傍にシート重なり送り防止機構(4)を具えている。
リボンカセット挿入部(14)には、リボンを巻回したリボンカセット(2)が交換可能に投入される。
トレイカセット(3)は、図1の矢印Xで示す様に、後方に引き出し可能である。
リボン(21)には、シアン層、マゼンタ層、イエロー層及びコート層が、順に所定回繰り返して施されており、シートがヘッド(13)を1回通過する毎に、リボンは1ピッチづつ自動送りされる。
シート(91)がヘッド(13)を4回通過すると、即ち、リボン(21)のシアン層、マゼンタ層、イエロー層及びコート層を1回づつ通過すると、表面に光沢コートが施されたカラープリントがなされ、排出ガイド(18)によってケース(10)外に導かれる。
上記プリンター(1)では、シート(91)はプリント面を下向きにしてトレイカセット(3)内にセットされる。
トレイカセット(3)は、所定枚数の積層シート束(9)を収容できる前後に長い略長方形のトレイ(30)と、トレイ(30)内に配備され積層シート束(9)を持ち上げる板状のリフター(33)とによって構成される。
トレイ(30)の前壁(34)の高さは、積層シート束(9)の最上端シート(91)が乗り越えることができる高さであり、該前壁(34)は、積層シート束(9)の上から2枚目以下のシートの前方への移動を阻止する障壁(36)となっている。
上記前壁(34)に横長の大きな切欠(35)が開設され、該切欠(35)は、後記するシート重なり送り防止機構(4)の一部を成す戻しローラ(6)の侵入を許し、該戻しローラ(6)の積層シート束(9)への接近を許す。
切欠(35)の横長さは、シートの送り方向と直交する長さより短く、シートが切欠(35)を通過することできない。
トレイ(30)は、上面の中央分から少し後方寄りに邪魔板(33)を具えており、邪魔板(33)で覆われている部分以外の上面は開口している。
邪魔板(33)は、トレイ(30)に積層シート束(9)を供給する際に、リフター(31)の真上からトレイ(30)内に積層シート束(5)が投入されることを防止して、矢印Yで示す様に、トレイ(30)の前側開口側から積層シート束(9)をリフター(31)のシート載せ面に沿わせてトレイ(30)内に投入させる役割をなす。
リフター(31)は、トレイ(30)内に配したバネ(32)によって上向き付勢されている。
リフター(31)の前後長さは、用紙の長手方向に沿う前後長さより少し短い。
積層シート束(9)は、シートのプリント面が下向きとなる様にリフター(31)に載せてトレイ(30)に収容される。
送りローラ(5)は、下向きコ字状のブラケット(40)に、両端の支持軸(51)(51)が枢支連結され、該ブラケット(40)に連繋したバネ(41)によって下向き付勢されている。該バネ(41)は、前記リフター(31)上の積層シートの枚数の大小に関わらず、積層シートの最上端のシートが、トレイ(30)の障壁(36)を越えることのできる高さ位置となる様に、トレイ(30)を上向き付勢するバネ(32)とバランスするものである。
戻しローラ(6)は、その後部が前記トレイ(30)の前壁切欠(35)に侵入して、トレイ(30)内の積層シート束(9)に近接する位置にて送りローラ(5)と一緒にガイド溝(17)をスライドして上下に移動可能である。
戻しローラ(6)は、送りローラ(5)とは逆方向、即ち、シートを積層シート束(9)に戻す方向に回転する。
図4は、両ローラ(5)(6)の回転駆動系(7)を示しており、モータ(図示せず)によって、回転する駆動歯車(7)に2つの小歯車(72)(73)が噛合し、一方の小歯車(72)は、送りローラ(5)の支持軸(51)に取り付けられている。
他方の小歯車(73)と同軸にタイミングプーリ(74)が設けられ、該タイミングプーリ(74)と、戻しローラ(6)の支持軸(61)に設けたタイミングプーリ(76)とをタイミングベルト(75)で連繋している。
実施例では、送りローラ(5)の周速よりも、戻しローラ(6)の周速が速くなる様に回転駆動系(7)が構成されている。
詳しくは、実施例の場合は、送りローラ(5)とシート(91)の上面(プリント面の反対側面)の摩擦、及び戻しローラ(6)とシートの下面(プリント面)との摩擦は、上下に重なるシートの滑り摩擦よりも大きくなる様に、送りローラ(5)及び戻しローラ(6)の表面の材質が選択される。
更に実施例では、戻しローラ(6)をゴムローラとし、送りローラ(5)の表面摩擦係数よりも、戻しローラ(6)の表面摩擦係数が大きくなる様にしている。
シート引出し装置(43)は、シートの引出し移行路を挟んで配備した一対の引出しローラ(44)(45)によって構成される。送りローラ(5)を通過する途上のシートの前端を互いに逆方向に回転する引出しローラ(44)(45)が噛み込んで、ガイド板(16)側に引き出すのである。
積層シート束(9)を上向き付勢するバネ(32)と、戻しローラ(6)を下向き付勢するバネ(41)は最上端のシート(91)の高さ位置は一定に保たれる様にバランスしている。
該最上端のシート(91)が送りローラ(5)によって正常に1枚だけ前方に送り出されるときは、該シートは送りローラ(5)を通過し終わるまでに、シート前端が引出し装置(43)に突入し、シート引出し装置(43)によって下流側へ引き出される。
送りローラ(5)の上移動により、該送りローラ(5)に連結されている戻しローラ(6)も上に移動して、2枚重なりの下側のシート(92)の移行路を塞ぐ。
下側シート(92)が戻しローラ(6)に当たった瞬間に、送りローラ(5)とは逆方向に回転している戻しローラ(6)の回転力によって、該シート(92)は積層シート束(9)へ戻される。
このとき、戻しローラ(6)は最上端のシート(91)のシートを送り出す途上であり、積層シート束(9)へ戻されるシート(92)が戻しローラ(6)に接して、該戻しローラ(6)の回転の影響を受けることはない。
又、戻しローラ(6)は積層シート束(9)に近接しているため、2枚重なりの下側シート(92)が戻しローラ(6)に当たるまでの積層シート束(9)からの臨出長さは僅かである。このため、前記戻しローラ(6)によるシート(92)に対する戻し力によって、該シート(92)を積層シート束(9)に略重なる位置まで戻すことができる。
戻しローラ(6)の表面は、シートとの摩擦が大きなゴムにて形成され、且つ戻しローラ(6)の周速度は、送りローラ(5)の周速よりも大であるから戻すべきシートを速やかに、且つ確実に積層シート束(9)に戻すことができる。
各突起(61)は、戻しローラ(6)の軸方向の全長に亘って延びる凸状として、シートの前端に当たる面積を大きくし、シートの傷付き防止を画ることが望ましい。
又、積層シート束はトレイに収容されることに限定されないのは勿論である。
更に、実施例のプリンター(1)は、大径のプラテンローラ(11)に印画紙(シート)を巻き付けて、ヘッド(13)に対して同じ方向に回転させてプリントするが、これに限らず、ヘッドに対してシートを往復移動させてプリントするプリンターに実施できるのは勿論である。
3 トレイカセット
30 トレイ
32 前壁
35 切欠
34 溝
4 シート重なり送り防止機構
5 送りローラ
6 戻しローラ
43 シート引出し装置
9 積層シート束
Claims (6)
- 積層シート束の最上端のシートの上面前部に当たり、回転することによりシートとの摩擦によってシートを前方に送り出す送りローラと、
シートの送り移行路を挟んで送りローラに対向配備され送りローラとは逆方向に回転する戻しローラとによって構成され、
戻しローラは積層シート束に近接した位置にあり、送りローラと戻しローラとの隙間間隔は、シート厚みより大で、シート厚みの2倍より小であるシートの重なり送り防止機構。 - 積層シート束が、該積層シート束を載置して上向き付勢するリフターを具えたトレイに収容され、
送りローラはリフターの上向き付勢力とバランスする力で該積層シート束を押圧する様に付勢されており、
トレイの前部に積層シート束の最上端のシートの乗り越えを許す障壁(36)が設けられている請求項1に記載のシートの重なり送り防止機構。 - 送りローラと戻しローラの下流側に、両ローラに対してシートの送り方向の長さよりも短い間隔を存してシート引出し装置が設けられる請求項1又は2に記載のシートの重なり送り防止機構。
- 送りローラの周速よりも戻しローラの周速が速くなる様に構成されている請求項1乃至3の何れかに記載のシートの重なり送り防止機構。
- 戻しローラの外周面に、2枚重なりのシートの下側シートの前端に引っ掛かり可能な突起が形成されている請求項1乃至4の何れかに記載のシートの重なり送り防止機構。
- 請求項1乃至5に記載のシートの重なり送り防止機構を具え、シートは印画紙であるプリンター。
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