JP2006256315A - インクジェットヘッド用ノズルプレート、これを含むインクジェットヘッド及びインクジェットヘッド用ノズルプレートの製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッド用ノズルプレート、これを含むインクジェットヘッド及びインクジェットヘッド用ノズルプレートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】4インチ以上の長さのインクジェットヘッドに含まれるノズルプレートにおいて、ノズルプレート同士の位置合わせを必要としない。
【解決手段】ノズルプレート30にはインクを吐出する複数のノズル8が形成されている。ノズルプレート30の主走査方向に沿った前記複数のノズルが形成された範囲の長さは、4インチ以上である。ノズルプレート30は、ステンレス製の1枚の薄板からなる。
【選択図】図6

Description

本発明は、インクジェットヘッド用ノズルプレート、これを含むインクジェットヘッド及びインクジェットヘッド用ノズルプレートの製造方法に関する。
ラインヘッドプリンタにおいては、インクジェットヘッドをプリンタに固定して印字を行うため、例えばA4用紙に印字する場合にはA4用紙の幅以上の長さを有するインクジェットヘッドを必要とする。また、このようなラインヘッドプリンタのインクジェットヘッドには、インクを吐出する複数のノズルを形成したノズルプレートを用いる。特許文献1のラインヘッドのように、複数の記録ヘッドを並べて配置して1つの長いラインヘッドを構成する場合には、ノズルプレートを複数枚必要とする。
特開平11−078013号公報(図2)
特許文献1のように、1つのインクジェットヘッドが複数枚のノズルプレートを含む場合、2枚のプレートに跨って隣り合うノズル同士の位置合わせを行わなければならない。しかし、高解像度の印字を可能とするインクジェットヘッドの場合、複数のノズルを高密度に形成したノズルプレートを必要とするため、上記のようなノズル同士の位置合わせを非常に高精度に行わなければならず、インクジェットヘッドの製造工程における負担が大きい。
本発明の目的は、高性能のインクジェットヘッドを簡易に実現するために、高精度な位置合わせを行わなくてもよいノズルプレート、これを含むインクジェットヘッド及びノズルプレートの製造方法を提供することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明のインクジェットヘッド用ノズルプレートは、インクを吐出する複数のノズルを有し、長手方向に沿った前記複数のノズルが形成された範囲の長さが4インチ以上であり、且つ、金属製の1枚の薄板からなる。
本発明のインクジェットヘッド用ノズルプレートによると、ノズルプレートを一枚だけ有する4インチ以上の長いインクジェットヘッドを実現することが可能となる。これに対して、長いインクジェットヘッドを複数枚のノズルプレートを用いて作製した場合、高い印字品質を実現するためにはノズルプレート同士を高精度に位置合わせしなければならない。しかるに、本発明のノズルプレートを用いた場合にはかかる位置合わせが不要となるので、インクジェットヘッドの製造工程を簡略化することができる。さらに、ノズルプレートが金属製であるため、樹脂製などの場合と比べ、温度差や湿度差による変形が極めて小さい。従って、ノズルが形成された範囲の長さが4インチ以上の長いノズルプレートにおいても、加工の際の加熱や環境の変化などによらず、加工精度の高いノズルプレートが可能になる。また、ノズルプレートの使用環境の違いによる性能差を回避することもできる。
また、本発明のインクジェットヘッド用ノズルプレートにおいては、前記長手方向に平行な複数の直線に沿って前記複数のノズルが形成されており、前記ノズルの形成位置を前記長手方向に平行な一本の仮想直線に射影する場合において、前記仮想直線と前記ノズルの形成位置を通り前記長手方向に垂直な直線との交点を射影点としたとき、前記射影点が前記仮想直線上に一定の間隔で配列されており、且つ、前記仮想直線の前記射影点が前記一定の間隔で配列されている部分の長さが4インチ以上であることが好ましい。
これによると、ノズル形成位置の射影点が上記の仮想直線上に一定の間隔で配列されているノズルプレート上の長さ4インチ以上の範囲に亘って高解像度で高精度の印字が可能となる。
さらに、本発明のインクジェットヘッド用ノズルプレートにおいては、前記射影点が前記仮想直線上に600dpiの間隔以下の間隔で配列されていることが好ましい。
これによると、600dpiで、或いはより微細な間隔で印字できるため、高解像度の印字が可能となる。
さらに、本発明のインクジェットヘッド用ノズルプレートにおいては、前記ノズルが形成された前記インクジェットヘッド用ノズルプレートのノズル形成面内の1つの点について点対称になるように前記複数のノズルが形成されていることが好ましい。
これによると、ノズルプレート上にノズルが点対称に形成されているため、ノズルが形成された範囲の長さが4インチ以上の長いノズルプレート上に複数のノズルを形成しても、ノズルプレート上のうねりやねじれなどの変形を少なくできる。
さらに、本発明のインクジェットヘッド用ノズルプレートにおいては、前記ノズルが形成された前記インクジェットヘッド用ノズルプレートのノズル形成面内の1本又は2本以上の直線について実質的に線対称になるように前記複数のノズルが形成されていることが好ましい。
これによると、ノズルプレート上にノズルが実質的に線対称に形成されているため、ノズルが形成された範囲の長さが4インチ以上の長いノズルプレート上に複数のノズルを形成しても、ノズルプレート上のうねりやねじれなどの変形を少なくできる。
さらに、本発明のインクジェットヘッド用ノズルプレートにおいては、前記複数のノズルが、前記長手方向に平行な上辺及び下辺を有する台形形状の複数のノズル形成領域内の実質的に全域においてマトリクス状に形成されており、前記長手方向に関して互いに隣接した2つの前記ノズル形成領域は、互いの斜辺同士が平行で且つ前記長手方向に関する位置が同じとなるように配置されていることが好ましい。
これによると、ノズルプレート上のノズルの配列がより規則正しく、対称性の高いものであるため、ノズルが形成された範囲の長さが4インチ以上の長いノズルプレートでも、より変形の少ないものにすることができる。
さらに、本発明のインクジェットヘッド用ノズルプレートにおいては、前記複数のノズルは、複数のパンチを使用したプレス加工によって形成されていることが好ましい。
これによると、4インチ以上の長い金属板に複数のパンチを使用してノズルを形成するため、これらのパンチを同時に使用した場合には、ノズルの形状精度にばらつきのないノズルプレートを実現することができる。
本発明のインクジェットヘッドは、上述したインクジェットヘッド用ノズルプレート及び複数の金属プレートを積層した積層体からなり、且つ、前記ノズルへインクを流出させるインク流路を有する流路ユニットを備えている。
本発明のインクジェットヘッドによると、複数の金属プレート及びノズルプレートを積層した積層体からなる流路ユニットを有するため、ノズルプレートと流路ユニットとを一体に作製する場合よりも容易に作製できる。また、金属プレート及びノズルプレートはともに金属製であるため、これらを接合する際同じ方法を使用することができる。従って、インクジェットヘッドの製造工程を簡単化することができる。さらに、金属プレート及びノズルプレートはともに金属製であるため、線膨張係数に大きな違いがない。このため、温度が変化しても、金属プレート及びノズルプレート間で変形の程度にほとんど差を生じない。また、金属プレート及びノズルプレートの両者とも同じ材料にした場合には、線膨張係数の差をゼロにすることができ、この場合には、温度変化による変形程度の差をなくすことができる。これにより、金属プレート及びノズルプレートの変形程度の違いによる加工精度の低下や、使用環境の違いによる印字性能差を回避できる。
本発明のインクジェットヘッド用ノズルプレートの製造方法は、インクを吐出する複数のノズルを有し、長手方向に沿った前記複数のノズルが形成された範囲の長さが4インチ以上であり、且つ、金属製の1枚の薄板からなるインクジェットヘッド用ノズルプレートを作製する製造方法であって、複数のパンチを使用したプレス加工によって前記複数のノズルを形成するものである
本発明のインクジェットヘッド用ノズルプレートの製造方法によると、エッチングなどによってノズルを形成する場合と異なり、ノズルプレートの製造工程を簡易にすることができる。また、4インチ以上の長い金属板に複数のパンチを使用してノズルを形成するため、これらのパンチを同時に使用した場合には、よりたくさんのノズルを同時に形成することができ、ノズルプレートの製造工程をより簡易且つ迅速なものにすることができる。
別の観点において、本発明のインクジェットヘッド用ノズルプレートの製造方法は、インクを吐出する複数のノズルを有し、長手方向に沿った前記複数のノズルが形成された範囲の長さが4インチ以上であり、且つ、金属製の1枚の薄板からなるインクジェットヘッド用ノズルプレートを作製する製造方法であって、1つのパンチを使用したプレス加工によって前記複数のノズルを形成するものである。
本発明のインクジェットヘッド用ノズルプレートの製造方法によると、エッチングなどによってノズルを形成する場合と異なり、ノズルプレートの製造工程を簡易にすることができる。また、4インチ以上の長い金属板に一つのパンチを使用してノズルを形成するためにノズルの形状やサイズが均一となり、ノズルから吐出されるインク滴の速度や体積、着弾位置精度にばらつきがほとんど生じなくなる。
複数のインクジェットヘッド用ノズルプレートを同時に作製する場合には、1つのインクジェットヘッド用ノズルプレートに対して1つのパンチを用いることが好ましい。これにより、多くのノズルプレートをできる限り短時間で作製することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
[第1実施形態]
<インクジェットヘッドの全体構造>
本発明の第1実施形態に係るノズルプレートを含むインクジェットヘッドについて説明する。図1は、本発明の第1実施形態によるノズルプレートが適用されたインクジェットヘッドの外観斜視図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。インクジェットヘッド1は、用紙に対してインクを吐出するための主走査方向に延在した矩形平面形状を有するヘッド本体70と、ヘッド本体70の上面に配置され且つヘッド本体70に供給されるインクの流路である2つのインク溜まり3が形成されたリザーバユニットであるベースブロック71と、これらヘッド本体70とベースブロック71とを保持するホルダ72とを含んで構成されている。ラインヘッドプリンタなどの記録装置にこのインクジェットヘッド1を設置して印字する際は、インク吐出方向となるヘッド本体70の下方に紙などの記録媒体を配置し、ヘッド本体70に対して記録媒体を副走査方向に相対移動させつつ、ヘッド本体70からインクを吐出して印字する。1つのインクジェットヘッド1によって、主走査方向の幅が4インチ(101.6mm)である紙などの記録媒体の幅一杯に印字できるように、インクジェットヘッド1は、主走査方向の長さが150mmに構成されている。なお、上記のようにインクジェットヘッド1に対して記録媒体を相対移動させながら印字を行う場合は、記録装置にインクジェットヘッド1を固定して記録媒体を移動させてもよいし、記録媒体を固定してインクジェットヘッド1自体を移動させてもよい。
ヘッド本体70は、インク流路が形成された流路ユニット4と、流路ユニット4の上面にエポキシ系の熱硬化性接着剤によって接着された複数のアクチュエータユニット21とを含んでいる。また、アクチュエータユニット21の上面には、給電部材であるフレキシブルプリント配線板(FPC:Flexible Printed Circuit)50が半田によって接着され、左又は右に引き出されている。
図3は、ヘッド本体70を上面から見た平面図である。図3に示すように、流路ユニット4は、一方向(主走査方向)に延在した矩形平面形状を有している。図3において、流路ユニット4内に設けられた共通インク室であるマニホールド流路5が破線で描かれている。マニホールド流路5には、ベースブロック71のインク溜まり3に貯溜されていたインクが複数の開口3aを通じて供給される。マニホールド流路5は、流路ユニット4の長手方向(主走査方向)と平行に延在する複数の副マニホールド流路5aに分岐している。
流路ユニット4の上面には、平面形状が台形である4つのアクチュエータユニット21が、開口3aを避けるように、千鳥状になって2列に配列されており、流路ユニット4の上面に接着されている。各アクチュエータユニット21は、その平行対向辺(上辺及び下辺)が流路ユニット4の長手方向に沿うように配置されている。複数の開口3aは流路ユニット4の長手方向に沿って2列に配列されており、各列5個、計10個の開口3aがアクチュエータユニット21と干渉しない位置に設けられている。これらの開口3aは、全体として、アクチュエータユニット21と同様に千鳥状に配置されている。また、隣接するアクチュエータユニット21の斜辺同士は、流路ユニット4の幅方向(副走査方向)に部分的にオーバーラップしている。
アクチュエータユニット21の接着領域に対応する流路ユニット4の下面(底面)であって、インク吐出面70aは、多数のノズル8(図6参照)がマトリクス状に配列されたインク吐出領域となっている。アクチュエータユニット21に対向する流路ユニット4の上面には、多数の圧力室10(図5参照)がマトリクス状に配列された圧力室群9が形成されている。言い換えると、アクチュエータユニット21は、圧力室群9を構成する多数の圧力室10に跨る寸法を有している。
図2に戻って、ベースブロック71は、例えばステンレスなどの金属材料からなる。ベースブロック71内のインク溜まり3は、ベースブロック71の長手方向に沿って延在する略直方体の中空領域である。インク溜まり3は、その一端に設けられた開口(図示せず)を通じて外部に設置されたインクタンク(図示せず)からインクが供給され、常にインクで満たされている。インク溜まり3には、インクを流出するための開口3bが、その延在方向に沿って2列に計10個設けられており、流路ユニット4の開口3aと接続されるように千鳥状に設けられている。すなわち、インク溜まり3の10個の開口3bと流路ユニット4の10個の開口3aは同じ位置関係となるように設けられている。
ベースブロック71の下面73は、開口3bの近傍部分73aにおいて周囲よりも下方に飛び出している。そして、ベースブロック71は、下面73の開口3bの近傍部分73aにおいてのみ流路ユニット4の上面における開口3aの近傍部分と接触している。そのため、ベースブロック71の下面73の開口3bの近傍部分73a以外の領域は、ヘッド本体70から離隔しており、この離隔部分にアクチュエータユニット21が配されている。つまり、ベースブロック71の下面73においては、開口3bの周囲が流路ユニット4側に突出しており、この突出部分で流路ユニット4に接触している。この突出部分以外の領域では、流路ユニット4との間に形成された離隔部分にアクチュエータユニット21及びFPC50が所定の隙間空間を残して配設されている。
ホルダ72は、ベースブロック71を把持する把持部72aと、副走査方向に間隔をおいて設けられ把持部72aの上面から上方に向けて突出する一対の突出部72bとを含んでいる。ベースブロック71は、ホルダ72の把持部72aの下面に形成された凹部内に接着固定されている。アクチュエータユニット21に接着されたFPC50は、ベースブロック71と流路ユニット4との間に作られた離隔部分から引き出された後、スポンジなどの弾性部材83を介してホルダ72の突出部72b表面に沿うようにそれぞれ配置されている。ホルダ72の突出部72b表面に配置されたFPC50上には、ドライバIC80が設置されている。すなわち、FPC50は、ドライバIC80から出力された駆動信号をヘッド本体70のアクチュエータユニット21に伝達するものであり、アクチュエータユニット21及びドライバIC80とはハンダ付けによって電気的に接合されている。
ドライバIC80の外側表面には略直方体形状のヒートシンク82が密着配置されている。これにより、ドライバIC80で発生した熱を効率的に散逸させることができる。ドライバIC80及びヒートシンク82の上方においては、FPC50の外側に接続された基板81が配置されている。ヒートシンク82の上端部(上面)と基板81との間、および、ヒートシンク82の下端部(下面)とFPC50との間は、それぞれシール部材84で接着されており、インクジェットヘッド1の本体にゴミやインクが侵入することを防いでいる。
図4は、図3内に示す流路ユニット4の上面における一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。図4に示すように、流路ユニット4内のアクチュエータユニット21に重なる領域には、流路ユニット4の長手方向と平行に4本の副マニホールド流路5aが延在している。各副マニホールド流路5aには、ノズル8の各々に通じる多数の個別インク流路が接続されている。図5は、個別インク流路を示す断面図である。図5から分かるように、各ノズル8は、圧力室10及びアパーチャすなわち絞り13を介して副マニホールド流路5aと連通している。このようにして、ヘッド本体70には、副マニホールド流路5aの出口からアパーチャ13、圧力室10を経てノズル8に至る個別インク流路7が圧力室10ごとに形成されている。本実施の形態では、個別インク流路7は一旦上方に向かい、流路ユニット4の上面に形成された圧力室10の一端部に至る。さらに、個別インク流路7は、水平に延在する圧力室10の他端部から斜め下方に向かい、流路ユニット4の下面に形成されたノズル8に繋がっている。全体として、各個別インク流路7は、圧力室10を頂部とする弓なり形状を有している。これにより、個別インク流路7の高密度配置を可能とし、インクの円滑な流れを実現している。
<ヘッド断面構造>
ヘッド本体70は、図5からも分かるように、上側のアクチュエータユニット21と下側の流路ユニット4とからなる積層構造体である。このうち、アクチュエータユニット21は、後で詳述するように、4枚の圧電シート41〜44(図9参照)が積層され且つ電極が配されることによってなる。また、アクチュエータユニット21に含まれる4枚の圧電シートのうちの最上層だけが、電界印加時に活性部となる部分を有する層(以下、単に「活性部を有する層」というように記する)であり、残り3層が活性部を有しない非活性層である。一方、流路ユニット4においては、キャビティプレート22、ベースプレート23、アパーチャプレート24、サプライプレート25、マニホールドプレート26、27、28、カバープレート29及びノズルプレート30の合計9枚のシート材が積層されている。
キャビティプレート22は、圧力室10の空隙を構成するほぼ菱形の孔(角部に丸みがつけられた孔)が、アクチュエータユニット21の貼付範囲内に多数設けられた金属プレートで、ベースプレート23は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、圧力室10とアパーチャ13との連絡孔23a及び圧力室10からノズル8への連絡孔23bがそれぞれ設けられた金属プレートである。
アパーチャプレート24は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、アパーチャ13となる孔のほかに圧力室10からノズル8への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。サプライプレート25は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、アパーチャ13と副マニホールド流路5aとの連絡孔及び圧力室10からノズル8への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。マニホールドプレート26、27、28は、副マニホールド流路5aに加えて、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、圧力室10からノズル8への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。カバープレート29は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、圧力室10からノズル8への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。ノズルプレート30は、複数のノズル8が設けられた一枚のSUS304、SUS316、SUS430等のステンレス鋼製プレートである(図6参照)。ノズルプレート30のノズル8は、キャビティプレート22の1つの圧力室10につき1つずつ設けられている。
これら10枚のシート21〜30は、図5に示すような個別インク流路7が形成されるように、互いに位置合わせして積層されている。
図5から明らかなように、各プレートの積層方向において圧力室10とアパーチャ13とは異なるレベルに設けられている。これにより、図4に示すように、アクチュエータユニット21に対向した流路ユニット4内において、1つの圧力室10と連通したアパーチャ13を、当該圧力室に隣接する別の圧力室10と平面視で同じ位置に配置することが可能となっている。この結果、圧力室10同士が密着してより高密度に配列されるため、比較的小さな占有面積のインクジェットヘッド1により高解像度の画像印刷が実現される。
ベースプレート23及びマニホールドプレート28の上下面と、サプライプレート25及びマニホールドプレート26、27の上面と、カバープレート29の下面には、余分な接着剤を流すための逃し溝14が、各プレートの接合面に形成された開口を取り囲むように設けられている。この逃し溝14があることによって、プレートどうしを接着する際の接着剤が個別インク流路7内にはみ出して流路抵抗が変動することが防止される。
<ノズルプレートの詳細>
図6は、第1実施形態に係るノズルプレート30の平面図である。上記の通り、ノズルプレート30は、図5に示す流路ユニットに含まれる。また、ノズルプレート30は、150mmの長さを有する一枚のSUS304、SUS316、SUS430等のステンレス鋼製プレートからなる。このため、このノズルプレート30を1枚使用することにより、主走査方向に150mmの長さを有するインクジェットヘッドを実現することができる。なお、ノズルプレート30は、SUS304、SUS316、SUS430以外のSUS製であってもよいし、その他の金属製であってもよい。
図6に示すように、ノズルプレート30は、流路ユニット4の上面に接着されたアクチュエータユニット21が占める領域と重なるインク吐出領域内において、複数のノズル8がマトリクス状に隣接配置されたノズル形成領域51を有している。ノズル形成領域51は、4つのアクチュエータユニット21と対応するように4つ配置される(図6の51a〜51d)とともに、千鳥状になって2列に配列されている。4つのノズル形成領域51は、アクチュエータユニット21の平面形状とほぼ同じ台形領域を有するとともに、その平行対向辺が流路ユニット4の長手方向に沿うように配置されている。そして、隣接するノズル形成領域51の斜辺同士が、流路ユニット4の幅方向に部分的にオーバーラップしている。また、ノズルプレート30のほぼ中心に位置する点61について、ノズル形成領域51がかたどる4つの台形が点対称となるように、ノズル形成領域51a〜51dが配置されている。
図7は、図6に示す2点鎖線で囲まれた領域の拡大平面図である。図7に示すようにノズル形成領域51は、複数のノズル8が配列方向Aに沿って配列された16列のノズル列52を有している。16列のノズル列52は互いに平行に配列されており、各ノズル列52を構成するノズル8は配列方向Aに沿って37.5dpiに相当する距離(678.0μm)で離隔されている。なお、配列方向Aは、インクジェットヘッド1の主走査方向、すなわち流路ユニット4の延在方向(長手方向)と平行である。
各ノズル列52は、いずれの副マニホールド5a(図4参照)とも対向しない位置に配置されている。これらノズル列52のうち、1つのノズル形成領域51の長辺側のノズル列を第1のノズル列52aとし、短辺側に向かって順に第2のノズル列52b、第3のノズル列52c・・・第16のノズル列52pというように符号をつけた場合に、第1のノズル列52aを構成するノズル8の数が最大数となっており、第16のノズル列52pを構成するノズル8の数が最小数となっている。すなわち、ノズル形成領域51の長辺側から短辺側に近づくにつれてノズル列52を構成するノズル数が減少しており、ノズル形成領域51がインク吐出領域内に収まっている。
図7には、配列方向Aに37.5dpiに相当する幅を有し、方向Cに延在する帯状領域Rが示されている。この帯状領域Rは16個のノズルを含んでいる。これら16個のノズルは、全ての異なるノズル列52に属している。帯状領域Rに含まれるこれら16個の各ノズル8を配列方向Aに延びる直線上に射影した射影点は、この直線上に等間隔に並び、その間隔は、印字時の解像度である600dpiに相当する間隔(42.3μm)に等しい。なお、ノズル8を配列方向Aに延びる直線(イ)へ射影した射影点とは、方向C(配列方向Aに垂直な方向)に平行でノズル8を通る直線(ロ)と、直線(イ)との交点のことである。
1つの帯状領域Rに属する16個のノズル8を配列方向Aに延びる直線上に射影したとき、直線上の最も左に射影されるノズル8を(1)と記することとする。また、(1)の射影点から右方向に離れた点に射影されるノズル8を、(1)の射影点から近い順に(2)〜(16)と記することとする。これら16個のノズル8は、下から、(1)、(9)、(13)、(15)、(5)、(7)、(11)、(16)、(3)、(8)、(12)、(14)、(4)、(6)、(10)、(2)の順番に配置されている。つまり、ノズル(1)がノズル列52aに属しており、このノズル列52aに隣接するノズル列52bには、ノズル列(9)が属しているという配置関係となっている。このように構成されたインクジェットヘッド1において、アクチュエータユニット21内を印字媒体の搬送に合わせて適宜駆動させると、配列方向Aに600dpiの解像度を有する文字や図形等の印字パターンを描画することができる。
図6において、主走査方向(図7の配列方向A)に沿った4つのノズル形成領域51が占める範囲の最大幅は115mmである。しかし、隣り合う2つのノズル形成領域51がかたどる台形は、これら2つの台形の斜辺同士が平行且つ配列方向Aについて同じ位置になるように、一部オーバーラップしている。このようにオーバーラップしているのは、後述の通り、隣り合う2つのノズル形成領域51のオーバーラップした部分同士で相補関係を持たせることで、ノズルプレート30の配列方向Aの幅全体に亘って途切れずに印字できるようにするためである。このような、4つのノズル形成領域51によって途切れず印字できる正味の幅は、4つのノズル形成領域51に含まれる各ノズル8を配列方向Aに延びる直線上に射影した射影点が、この直線上に等間隔に並んでいる線分部分の長さに等しい。従って、この長さは、4つのノズル形成領域51の配列方向Aに関する幅から、4つのノズル形成領域51の有する斜辺のうち配列方向Aについて両端に位置する2つの斜辺に関する幅を引いた長さに等しい。その長さは、105mmである。なお、このような4つのノズル形成領域51によって途切れず印字できる正味の幅が105mm以上の長さになるようにノズルプレート30を構成してもよい。これにより、さらに長いインクジェットヘッド1を実現することができる。
上記の通り、4つのノズル形成領域51がかたどる台形は、点61について点対称になっている。一方、ノズル形成領域51内に形成されたそれぞれのノズル8も、ノズルプレート30上で点61について点対称となるように形成されている。すなわち、ノズル形成領域51b内に形成されたノズル8の位置に対して点61について点対称な位置には、ノズル形成領域51c内に形成されたノズル8が位置している。2つのノズル形成領域51b及びノズル形成領域51c内のそれぞれのノズル8は、このように点対称になる位置で且つ1対1に対応している。例えば、図7において、ノズル形成領域51b内にあるノズル31b、32b及び33bは、それぞれ、ノズル形成領域51c内にあるノズル31c、32c及び33cと、点61について点対称の関係にある。図7には図示されていないが、これと同様に、2つのノズル形成領域51a及びノズル形成領域51d内のそれぞれのノズル8も、点対称になる位置で且つ1対1に対応している。また、隣接するノズル形成領域51、例えば、図7に示される領域51bと領域51cとの境界部では、印字パターンの隣接領域間における連続性のために、ノズル列52pの左端に位置するノズル31bと領域51c中のノズル32cとが、配列方向Aに37.5dpiに相当する距離で離隔されている。同様の関係は、2つの領域51b、51c中の他の対応するノズル列間でも成り立っている。つまり、ノズル32b及びノズル31c間でも、配列方向Aに見れば37.5dpiに相当する距離だけ離隔されている。
ところで、上記の通り、ノズルプレート30は長さ150mmという長いプレートからなるため、加工過程で反りなどの変形を生じてしまうことが多い。このようなプレートの変形は、ノズルプレート30とカバープレート29などのシート材とを積層する際の障害となり得る。例えば、プレート全体に亘って多少反っている場合などには積層の邪魔とならないこともあるが、プレートの幅に対して小さいうねりやねじれが多数生じている場合などには、積層する際隙間などを生じる原因となることがある。また、隙間を防ぐためには積層時の加圧力を高くすればよいが、このときにプレート間に接着剤が介在していると、インク流路内への不必要な接着剤のはみ出しを誘発し、さらに別の問題を生じることがある。一方、上記のようにノズル8の形成位置がノズルプレート上で点対称となっていることにより、上記のようなうねりやねじれなど、積層の際の障害となるノズルプレート30の変形が少なくなり、精度の高い流路ユニット4を実現することができる。
さらに、ノズルプレート30とカバープレート29とを熱硬化性の接着剤により接着して接合する場合は、例えばカバープレート29上のノズルプレート30との接合面に接着剤を塗布し、それぞれのプレートを積層した状態で加熱する。このような場合、加熱によって接着剤が収縮すると、カバープレート29とノズルプレート30との間に接着剤の塗布層を挟み込んでいることにより、接着剤の塗布層と接するプレート上の領域に接着剤の収縮による引っ張り応力が加えられる。ところが、ノズルプレート30上のノズル8が形成された部分においては、ノズルプレート30の表面と接着剤の塗布層とは互いに接触していないため、この部分には引っ張り応力が生じない。このため、ノズルプレート30上のノズル8の形成密度が異なる部分同士では、接着剤の収縮によって加えられる力にばらつきが生じる。従って、ノズルプレート上のノズル8の配置が不規則だとノズルプレートに変形を生じる場合があり、流路ユニット4の形状にも影響を与える。一方、上記のようにノズル8がノズルプレート上で点対称に規則正しく配置されていることにより、接着剤の収縮によって加えられる力はより一様なものとなるため、ノズルプレートの変形は生じにくくなり、精度の高い流路ユニット4を実現することができる。
<流路ユニット全体の詳細>
図4に戻って、アクチュエータユニット21の貼付範囲内には、多数の圧力室10からなる圧力室群9が形成されている。圧力室群9は、アクチュエータユニット21の貼付範囲とほぼ同じ大きさの台形形状を有している。圧力室群9は、各アクチュエータユニット21について1つずつ形成されている。
図4から明らかなように、圧力室群9に属する各圧力室10は、その長い方の対角線の一端においてノズル8に連通されていると共に、長い対角線の他端においてアパーチャ13を介して副マニホールド流路5aに連通されている。後述するように、アクチュエータユニット21上には、平面形状がほぼ菱形で圧力室10よりも一回り小さい個別電極35(図8及び図9参照)が、圧力室10と対向するようにマトリクス状に配列されている。なお、図4において、図面を分かりやすくするために、流路ユニット4にあって破線で描くべき、ノズル8、圧力室10及びアパーチャ13等を実線で描いている。
圧力室10は、配列方向A及び配列方向Bの2方向に千鳥状配列パターンでマトリクス状に隣接配置されている。圧力室10の短い方の対角線は上述した配列方向Aと平行である。圧力室10の一斜辺と平行な方向は、配列方向Aとの間の角度が鈍角θであり、配列方向Bと平行である。そして、圧力室10の両方の鋭角部は、隣接する別の2つの圧力室の間に位置している。
配列方向A及び配列方向Bの2方向にマトリクス状に隣接配置された圧力室10は、配列方向Aに沿って37.5dpiに相当する距離ずつ離隔している。また、圧力室10は、1つのアクチュエータユニット21内において、配列方向Bに16個並べられている。
マトリクス状に配置された多数の圧力室10は、図4に示す配列方向Aに沿って、複数の圧力室列11を形成している。圧力室列11は、図4の紙面に対して垂直な方向から見て、副マニホールド流路5aとの相対位置に応じて、第1の圧力室列11a、第2の圧力室列11b、第3の圧力室列11c、及び、第4の圧力室列11dに分けられる。これら第1〜第4の圧力室列11a〜11dは、アクチュエータユニット21の上辺から下辺に向けて、11c→11d→11a→11b→11c→11d→…→11bという順番で周期的に4個ずつ配置されている。
第1の圧力室列11aを構成する圧力室10a及び第2の圧力室列11bを構成する圧力室10bにおいては、図4の紙面に対して垂直な方向から見て、方向Cに関して、ノズル8が図4の紙面下側に偏在している。そして、ノズル8が、それぞれ対応する圧力室10の下端部付近と対向している。一方、第3の圧力室列11cを構成する圧力室10c及び第4の圧力室列11dを構成する圧力室10dにおいては、方向Cに関して、ノズル8が図4の紙面上側に偏在している。そして、ノズル8が、それぞれ対応する圧力室10の上端部付近と対向している。第1及び第4の圧力室列11a、11dにおいては、図4の紙面に対して垂直な方向から見て、圧力室10a、10dの半分以上の領域が、副マニホールド流路5aと重なっている。第2及び第3の圧力室列11b、11cにおいては、図4の紙面に対して垂直な方向から見て、圧力室10b、10cのほぼ全領域が、副マニホールド流路5aと重なっていない。そのため、いずれの圧力室列11に属する圧力室10についてもこれに連通するノズル8が副マニホールド流路5aと重ならないようにしつつ、副マニホールド流路5aの幅を可能な限り広くして各圧力室10にインクを円滑に供給することが可能となっている。
図4に示すように、ヘッド本体70には、台形である圧力室群9の対となる平行辺のうちの長辺に沿って、圧力室10と同じ形状及び同じ大きさを有する多数の周縁空隙15が長辺の全域に亘って一直線状に配列されている。周縁空隙15は、キャビティプレート22に形成された圧力室10と同じ形状及び同じ大きさを有する孔がアクチュエータユニット21及びベースプレート23によって塞がれることによって画定されている。つまり、周縁空隙15にはインク流路が接続されておらず、しかも、アクチュエータユニット21における周縁空隙15に対向する位置には個別電極35が設けられていない。つまり、周縁空隙15はインクで満たされることがなく、インクを吐出することもない。
また、ヘッド本体70には、台形である圧力室群9の対となる平行辺のうちの短辺に沿って、多数の周縁空隙16が短辺の全域に亘って一直線状に配列されている。さらに、ヘッド本体70には、台形である圧力室群9の両斜辺に沿って、多数の周縁空隙17が両斜辺の全域に亘って一直線状に配列されている。周縁空隙16、17は、共に平面視正三角形の領域においてキャビティプレート22を貫通している。周縁空隙16、17にはインク流路が接続されておらず、しかも周縁空隙16、17には対向する個別電極35が設けられていない。つまり、周縁空隙15と同様、周縁空隙16、17はインクで満たされることがない。しかし、これら周縁空隙15、16、17が圧力室群9を包囲するように形成されていることで、圧力室群9中の各圧力室10は、各自の周囲の構造的剛性が場所によらず均一化するので、それぞれのインク吐出特性にも、剛性の違いによるばらつきが生じなくなる。
<アクチュエータユニットの詳細>
次に、アクチュエータユニット21の構成について説明する。アクチュエータユニット21上には、圧力室10と同じパターンで多数の個別電極35がマトリクス状に配置されている。各個別電極35は、平面視において圧力室10と対向する位置に配置されている。
図8は個別電極35の平面図である。図8に示すように、個別電極35は、圧力室10と対向する位置に配置されて平面視において圧力室10内に収容される主電極領域35aと、主電極領域35aにつながっており且つ圧力室10外に対向する位置に配置された補助電極領域35bとから構成されている。
図9は、図8のIX−IX線に沿った断面図である。図9に示すように、アクチュエータユニット21は、それぞれ厚みが15μm程度で同じになるように形成された4枚の圧電シート41、42、43、44を含んでいる。これら圧電シート41〜44は、ヘッド本体70内の1つのインク吐出領域内に形成された多数の圧力室10に跨って配置されるように連続した層状の平板(連続平板層)となっている。圧電シート41〜44が連続平板層として多数の圧力室10に跨って配置されることで、例えばスクリーン印刷技術を用いることにより圧電シート41上に個別電極35を高密度に配置することが可能となっている。そのため、個別電極35に対応する位置に形成される圧力室10をも高密度に配置することが可能となって、高解像度画像の印刷ができるようになる。圧電シート41〜44は、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料からなるものである。
最上層の圧電シート41上に形成された個別電極35の主電極領域35aは、図8に示すように、圧力室10とほぼ相似である略菱形の平面形状を有している。つまり、その菱形の各部は、滑らかな曲線(円弧)状に形成されている。略菱形の主電極領域35aにおける下方鋭角部は延出されて、圧力室10外に対向する補助電極領域35bにつながっている。補助電極領域35bの先端には、個別電極35と電気的に接続された円形のランド部36が設けられている。図9に示すように、ランド部36は、キャビティプレート22において圧力室10が形成されていない領域に対向している。ランド部36は、例えばガラスフリットを含む金からなり、図8に示すように、補助電極領域35bにおける延出部表面上に形成されている。図9ではFPC50の図示を省略しているものの、ランド部36は、FPC50に設けられた接点と電気的に接合されている。この接合を行う際に、FPC50の接点を、ランド部36に対して押圧する必要がある。ランド部36に対向するキャビティプレート22の領域に、圧力室10が形成されていないため、十分な押圧により確実な接合を行うことができる。
最上層の圧電シート41とその下側の圧電シート42との間には、圧電シート41と同じ外形及び略2μmの厚みを有する共通電極34が介在している。個別電極35及び共通電極34は共に、例えばAg−Pd系などの金属材料からなる。
共通電極34は、図示しない領域において接地されている。これにより、共通電極34は、すべての圧力室10に対応する領域において等しく一定の電位、本実施の形態ではグランド電位に保たれている。また、個別電極35は、各圧力室10に対応するものごとに電位を制御することができるように、各個別電極35ごとに独立した別のリード線を含むFPC50及びランド部36を介してドライバIC80に接続されている。
<アクチュエータユニットの駆動方法>
次に、アクチュエータユニット21の駆動方法について述べる。アクチュエータユニット21における圧電シート41の分極方向はその厚み方向である。つまり、アクチュエータユニット21は、上側(つまり、圧力室10とは離れた)1枚の圧電シート41を活性部が存在する層とし且つ下側(つまり、圧力室10に近い)3枚の圧電シート42〜44を非活性層とした、いわゆるユニモルフタイプの構成となっている。従って、個別電極35を正又は負の所定電位とすると、圧電シート41中の電極に挟まれた電界印加部分が活性部(圧力発生部)として働き、例えば電界と分極とが同方向であれば圧電横効果により分極方向と直角方向に縮む。
一方、圧電シート41の下方にある3枚の圧電シート42〜44は、外部から電界が印加されることが無く、そのために活性部としてほとんど機能しない。つまり、圧電シート41において主に主電極領域35aと共通電極34とによって挟まれた部分が、圧電横効果により分極方向と直角方向に縮む。
一方、圧電シート42〜44は、電界の影響を受けないため自発的には変位しないので、上層の圧電シート41と下層の圧電シート42〜44との間で、分極方向と垂直な方向への歪みに差を生じることとなり、圧電シート41〜44全体が非活性側に凸となるように変形しようとする(ユニモルフ変形)。このとき、図9に示したように、圧電シート41〜44で構成されたアクチュエータユニット21の下面は圧力室を区画する隔壁(キャビティプレート)22の上面に固定されているので、結果的に圧電シート41〜44は圧力室側へ凸になるように変形する。このため、圧力室10の容積が低下して、インクの圧力が上昇し、ノズル8からインクが吐出される。その後、個別電極35を共通電極34と同じ電位に戻すと、圧電シート41〜44は元の形状になって圧力室10の容積が元の容積に戻るので、インクを副マニホールド流路5a側から吸い込む。
なお、他の駆動方法として、予め個別電極35を共通電極34と異なる電位にしておき、吐出要求があるごとに個別電極35を共通電極34と一旦同じ電位とし、その後所定のタイミングにて再び個別電極35を共通電極34と異なる電位にすることもできる。この場合は、個別電極35と共通電極34とが同じ電位になるタイミングで、圧電シート41〜44が元の形状に戻ることにより、圧力室10の容積は初期状態(両電極の電位が異なる状態)と比較して増加し、インクが副マニホールド流路5a側から圧力室10内に吸い込まれる。その後再び個別電極35を共通電極34と異なる電位にしたタイミングで、圧電シート41〜44が圧力室10側へ凸となるように変形し、圧力室10の容積低下によりインクへの圧力が上昇し、インクが吐出される。
<印字時の動作例>
再び図4に戻って、図4中に示された帯状領域Rは図7中に示すものと同じ帯状領域Rであって、この帯状領域R中では、16列の圧力室列11a〜11dの内の何れの列についても、ノズル8が1つしか存在していない。これにより、各圧力室列11a〜11dが下から順に図7に示す第1のノズル列52a〜第16のノズル列52pと対応していることがわかる。
例えば、600dpiの解像度で配列方向Aに延びる直線を印字する場合について説明する。まず、ノズル8(及び圧力室10)が、一番下から順次上方に、互いに隣接するインクのドットを形成するように配列されている参考例の場合について簡単に説明する。この場合には、用紙が搬送されるのに対応して、図4中一番下に位置する圧力室列中のノズル8からインクの吐出を始め、順次上側に隣接する圧力室列に属するノズル8を選択してインクを吐出する。これにより、ドットが配列方向Aに向かって600dpiの間隔で隣接しながら形成されていく。最終的には、全体で600dpiの解像度で配列方向Aに延びる直線が描かれることになる。
本実施の形態では、図4中一番下に位置する圧力室列11b中のノズル8からインクの吐出を始め、用紙が搬送されるのに伴って順次上側に隣接する圧力室に連通するノズル8を選択してインクを吐出していく。このとき、下側から上側に1圧力室列上がるごとのノズル位置の配列方向Aでの配設位置が同じでないので、用紙が搬送されるのに伴って配列方向Aに沿って順次形成されるインクのドットは、600dpiの間隔で等間隔にはならない。
すなわち、図4に示したように、印字媒体が搬送されるのに対応して、まず図中一番下の圧力室列11bに連通するノズル(1)からインクが吐出され、印字媒体上に37.5dpiに相当する間隔でドット列が形成される。この後、印字媒体の搬送に伴って、直線の形成位置が下から2番目の圧力室列11aに連通するノズル(9)の位置に達すると、このノズル(9)からインクが吐出される。これにより、始めに形成されたドット位置から600dpiに相当する間隔分の8倍だけ配列方向Aに変位した位置に2番目のインクドットが形成される。
次に、印字媒体の搬送に伴って、直線の形成位置が下から3番目の圧力室列11dに連通するノズル(13)の位置に達すると、ノズル(13)からインクが吐出される。これにより、始めに形成されたドット位置から600dpiに相当する間隔分の12倍だけ配列方向Aに変位した位置に3番目のインクドットが形成される。さらに、印字媒体の搬送に伴って、直線の形成位置が下から4番目の圧力室列11cに連通するノズル(15)の位置に達すると、ノズル(15)からインクが吐出される。これにより、始めに形成されたドットの位置から600dpiに相当する間隔分の14倍だけ配列方向Aに変位した位置に4番目のインクドットが形成される。さらに、印字媒体の搬送に伴って、直線の形成位置が下から5番目の圧力室列11bに連通するノズル(5)の位置に達すると、ノズル(5)からインクが吐出される。これにより、始めに形成されたドット位置から600dpiに相当する間隔分の4倍だけ配列方向Aに変位した位置に5番目のインクドットが形成される。
以下同様にして、順次図中下側から上側に位置する圧力室10に連通するノズル8を選択しながらインクドットが形成されていく。このとき、図4中に示したノズル8の番号をNとすると、(倍率n=N−1)×(600dpiに相当する間隔)に相当する分だけ、始めに形成されたドット位置から配列方向Aに変位した位置にインクドットが形成される。最終的に16個のノズル8を選択し終わったときには、図中一番下のノズル(1)により37.5dpiに相当する間隔で形成されたインクドットの間が600dpiに相当する間隔毎に離れて形成された15個のドットで繋げられ、全体で600dpiの解像度で配列方向Aに延びる直線を描くことが可能になっている。
なお、各ノズル形成領域51の配列方向Aについての両端部(アクチュエータユニット21の斜辺)近傍では、ヘッド本体70の幅方向に対向する別のアクチュエータユニット21に対応するノズル形成領域51の配列方向Aについての両端部近傍と相補関係となることで600dpiの解像度での印刷が可能となっている。これにより、4つのノズル形成領域51から吐出されたインクによって記録される画像が途中で途切れなくなる。
<ノズルプレートの製造方法>
第1実施形態に係るノズルプレートの製造方法について説明する。図10は、ノズルプレート30を製造する際に使用されるプレス加工装置の概略構成図である。図10に示すように、プレス加工装置101は、金型90と、金型90が固定される上部治具105aと、ノズル8が形成されることでノズルプレート30となる基板99を水平に支持する支持部106を有するXYテーブル107と、上部治具105aと対向する位置に配置されるとともに金型90の各パンチ91と対向する位置に貫通孔103aが形成された金型103と、金型103が固定される下部治具105bと、下部治具105bを下方から支持する本体101aとを含んで構成されている。なお、図10を用いてなされる以下の説明においては、図7に示される配列方向Aと平行な方向をX方向とし、X方向と垂直な方向であって、図7に示される方向Cと平行な方向をY方向とする。図10において、向かって右方向がX方向、向かって奥の方向がY方向となる。
金型90は、本体90aと、本体90aから突出し先端が尖った3本のパンチ91とを有している。なお、パンチ91の数は、複数であれば3本以外でもよい。後述のように、基板99にノズル8を形成した後でノズルプレート30の形状に打ち抜いてノズルプレート30を製造するため、基板99のY方向の幅は150mm以上となっている。
本体101aの内部には、XYテーブル107とXYテーブル107を移動させる移動装置108が配置されている。XYテーブル107はXY両方向に移動可能となっている。金型103の貫通孔103aはパンチ91によって形成されるノズル8の開口面積より若干大きな開口面積を有している。そのため、パンチ91で基板99にノズル8となる貫通しない仮孔をプレス加工で形成した際に、パンチ91によって基板99の下面側から下方に向かって突出した突出部を貫通孔103aに内在させることが可能になり、パンチ91の先端に大きな負荷がかからないようになる。したがって、金型90のパンチ91が破損しにくくなる。
次に、ノズルプレート30となる基板99にノズル8を形成する工程について説明する。金型90をプレス加工装置101の上部治具105aに固定し、基板99をXYテーブル107の支持部106及び金型103の上面で水平に支持されるように配置させる。そして、金型90の上部治具105aを図示しないシリンダで下方に移動させ、基板99にパンチ91を押し込んでプレスすることにより、基板99の所定位置に、金型90に固定されたパンチ91の配列に従って配列された複数の孔を形成する。パンチ91を押し込んだ面とは反対側の基板99上の面において、押し込んだパンチ91の先端の位置にあたる場所は、貫通孔103aの内部に向かって突出し、この場所に突出部が形成される。
次に、金型90を上昇させ、XYテーブル107を所定の方向に所定の距離だけ移動させる。そして、再び金型90の上部治具105aを下方に移動させてプレスし、パンチ91の配列に従って配列された複数の孔を形成する。このように繰り返しプレスを行うことにより、図7のノズル8と同じ配列の複数の孔を基板99に形成する。
次に、プレス加工装置101から基板99を取り外し、基板99の下面(インク吐出面70aとなる面)から突出した上記突出部を研磨する。このとき、基板99の下面の一部も突出部と同様に研磨除去して下面を平坦な面に仕上げる。こうして、金型90のパンチ91によって基板99に形成された複数の孔が貫通し、複数のノズル8となる。そして、基板99がY方向に150mmの長さの矩形平面形状を有するように打ち抜かれ、ノズルプレート30が製造される。なお、図11は、上記のようなプレス加工によって形成されたノズル8の断面を示している。基板99上においてパンチ91が押し込まれる側のノズル8の開口部付近が、パンチ91を基板99に押し込んだ際ノズル孔内に引き込まれることにより、この開口部に丸み109が生じる。
上記のように、複数のパンチ91を使用して長さが150mmの長いノズルプレート30に複数のノズル8を形成するため、一度に多数のパンチ91を使用した場合には、必要なプレスの回数が少なくなり、製造工程を簡易且つ迅速にすることができる。また、一度に多数のパンチ91を使用した場合には、加工精度の揃ったノズルを形成することができる。
次に、製造方法の変形例について説明する。図12は、本変形例におけるノズルプレートの製造方法に係る模式図である。図12に示すように、本変形例では、3つの基板99に対して同時に処理が施されることによって、3つのノズルプレートが同時に作製される。さらに、各基板99には、それぞれ異なる1つのパンチ91が対応付けられている。つまり、1つの基板99に対して1つのパンチ91だけを用いて穿孔処理が行われる。基板99にノズルを形成する工程は、図10で説明したのと同様であるが、上記のように基板1枚当たりのパンチ数が1/3であるので、ノズルプレートの完成までに必要な上部治具105aを往復運動させる回数は、図10に示したパンチが3本の場合の3倍となる。
なお、図12においては、図10に示したようなプレス加工装置の図示を省略しているが、本変形例では、パンチ及びこれに対向する貫通孔の数が1つである以外は図10に示したのと同様のプレス加工装置が3つ用いられている。ただし、図10に示すものよりもパンチ相互の距離が離れた3つのパンチを有する1つのプレス加工装置を用いて3つの基板99に同時に穿孔処理を行うことも可能である。
本変形例では、4インチ以上の長い金属製の基板99に一つのパンチ91を使用してノズルを形成するためにノズルの形状やサイズが均一となり、ノズルから吐出されるインク滴の速度や体積、着弾位置精度にばらつきがほとんど生じなくなる。したがって、高画質印字が可能となる。さらに、複数の基板99に対して同時に穿孔処理を行うので、多くのノズルプレートをできる限り短時間で作製することが可能となる。なお、この変形例では3枚の基板99に対して同時に穿孔処理を施しているが、基板99を1枚ずつ処理してもよいし、2枚又は4枚以上の基板99に対して同時に穿孔処理を施してもよい。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係るノズルプレートについて説明する。なお、第2実施形態に係るノズルプレートは第1実施形態のノズルプレート30と同様の構成を多く含んでおり、以下の説明において第1実施形態と同じ構成部分については適宜説明を省略する。図13に示す第2実施形態に係るノズルプレート230は、ノズルプレート30と同様に、長手方向に沿ったノズルが形成された範囲が4インチ以上の長さのSUS304、SUS316、SUS430等のステンレス鋼製プレートからなる。このノズルプレート230は、複数のノズル8がマトリクス状に形成された5つのノズル形成領域251を有する。ノズルプレート230は、第1実施形態のインクジェットヘッド1と同様の構成のインクジェットヘッドに使用され、このインクジェットヘッドの流路ユニットに含まれる。従って、ノズル形成領域251に対応するアクチュエータユニットは5つ必要であり、それに伴って、FPCも5枚必要であるなど、第1実施形態のインクジェットヘッド1とは一部構成の異なるインクジェットヘッドを必要とするが、基本的な構成は第1実施形態のインクジェットヘッド1と異ならないため、説明を省略する。また、図3に示される開口部3a、マニホールド流路5及び副マニホールド流路5aなどを含むインク流路を有する流路ユニットについても、5つのノズル形成領域251に合わせて構成する必要があるが、これも基本的な構成を異にするわけではないため、説明を省略する。なお、第2実施形態に係る流路ユニットが、キャビティプレート、ベースプレート、アパーチャプレート、サプライプレート、3枚のマニホールドプレート、カバープレート及びノズルプレート230の合計9枚のシート材が積層された積層構造を有している点についても、第1実施形態と同様である。また、第2実施形態に係るノズルプレート230も、上述した第1実施形態に係るノズルプレートと同様の方法で製造される。
ノズルプレート230上の5つのノズル形成領域251は、その平行対向辺が主走査方向に沿っている台形形状を有する。また、隣り合う2つのノズル形成領域251同士の斜辺が平行且つ主走査方向について同じ位置になるように、それぞれのノズル形成領域251が配置されている。さらに、これらのノズル形成領域251がかたどる5つの台形形状は、副走査方向に平行な二点鎖線211について線対称である。従って、それぞれのノズル形成領域251内に形成されたノズル8が、各ノズル形成領域251の中で副走査方向に平行な直線について線対称に配列されている場合には、全てのノズル8は、二点鎖線211について線対称に配列されていることになる。例えば、ノズル形成領域251c内でノズル8が二点鎖線211について線対称に形成され、他の4つのノズル形成領域251においても、ノズル形成領域251cと同一の配列でノズル8が形成されている場合には、全てのノズル8は二点鎖線211について線対称に配列されていることになる。
一方で、図14に示されるように、それぞれのノズル形成領域251内のノズル8は、第1実施形態に係るノズルプレート30と同様に配列されている。従って、1つのノズル形成領域251内で、ノズル8の配列は二点鎖線211について完全な線対称とはいえない。しかし、1つのノズル列52には多数のノズル8が37.5dpiに相当する小さい間隔で等間隔に並べられている。このため、各ノズル列52上のノズル8の配置は二点鎖線212について線対称な配置から僅かにずれているに過ぎない。そのずれの大きさは、隣り合うノズル8の間隔である37.5dpiに相当する間隔以下である。また、ノズル形成領域251a内に形成された各ノズル8の位置と、ノズル形成領域251e内に形成された各ノズル8の位置とは、二点鎖線211について完全に線対称な関係にはなっておらず、線対称な関係にある位置から少しずれている。しかし、上記と同様に、このずれの大きさは、37.5dpiに相当する間隔以下であり、ほぼ線対称に位置しているといってよい。同様に、ノズル形成領域251b及びノズル形成領域251d内に形成されたノズル8も、ほぼ線対称に配置されている。
ノズル8がノズルプレート230に線対称に規則正しく形成されていることにより、第1実施形態のノズルプレートと同様に、カバープレートなどのシート部材とノズルプレート230とを積層する際、うねりやねじれなど積層の障害となるノズルプレート230の変形が少なくなり、精度の高い流路ユニット4を実現することができる。また、ノズル8がノズルプレート230に線対称に規則正しく形成されていることにより、ノズルプレート230とカバープレートとを接着によって接合する際にも、第1実施形態のノズルプレートと同様に、接着剤の収縮による変形は生じにくくなり、精度の高い流路ユニット4を実現することができる。
<変形例>
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、ノズルプレートが有するノズル形成領域は、上述した台形形状のものに限らず、その他の形状を有するものであってもよい。図15(a)は、その一例となるノズルプレートの変形例を示している。ノズルプレート330aは、平行四辺形の形状をもつ4つのノズル形成領域351aを有する。この変形例においては、ノズルプレート330a上で点361について点対称となるように、これら4つのノズル形成領域351aを構成するノズルを形成されている。ただし、隣り合う2つのノズル形成領域351aの隙間を補完するような別のノズル群を形成する必要がある。このようなノズル群からなるノズル形成領域352は、ノズルプレート330a上の複数のノズルが形成された領域である。この領域は、ノズル形成領域351aの外側に、且つ、2つの隣り合うノズル形成領域351aの隙間355と主走査方向について同じ位置に配置されている。また、ノズル形成領域352の主走査方向に係る幅は、隙間355の主走査方向に係る幅313と等しい。さらに、図15(a)に示されるように、ノズル形成領域352は、平行四辺形形状を有している。ノズル形成領域352の平行四辺形の一辺は、ノズル形成領域351aの平行四辺形の一辺に含まれており、ノズル形成領域352の平行四辺形の他の一辺は、隙間355の境界をなすノズル形成領域351aの一辺を延長した線の一部となっている。
図15(b)は、2つめの変形例に係るノズルプレートを示している。ノズルプレート330bは、3つのノズル形成領域351bと、ノズル形成領域353,354とを有している。ノズル形成領域351は、発明の第2実施形態におけるノズル形成領域251と同一の形状であり、領域内のノズルの配列も同じとしてよい。一方、第2実施形態のノズル形成領域251a,251eにあたる場所には、ノズル形成領域353,354が配置されている。ノズル形成領域353及び354の平行対向辺以外の2辺について、ノズル形成領域351bと隣り合っている一方の辺は、ノズル形成領域351bの斜辺と平行であり、この辺と平行対向辺との間の角度は90度ではない。これに比べて他方の辺は、平行対向辺との間の角度が90度に近い。これにより、第2実施形態の場合と異なり、ノズルプレート上で長手方向について最も端にあたる付近のノズルの数を少なくできる。従って、長手方向に同じ解像度の印字範囲を作ろうとした場合、インクジェットヘッドの長手方向の長さをノズルプレート330bの両端付近でノズル数を第2実施形態の場合より少なくした分だけ短くできる。なお、3つのノズル形成領域351と、ノズル形成領域353,354は、ノズルプレート330b上で二点鎖線312について線対称になるように配置されている。なお、図15(b)に示す変形例では、異なる形状のアクチュエータユニットを用意する必要があり、それを取り扱う上での煩雑さもある。そこで、平行対向辺のうち、下辺(長い方の辺)に対する斜辺の交差角が異なる形状のノズル形成領域としてもよい。このとき、ノズルプレートの両側に位置するノズル形成領域の長手方向外側斜辺を、それぞれ下辺に対してより大きな角度で交差している斜辺の方を配置することで、取扱上の煩雑さは解消される。また、この場合のインクジェットヘッドの長手方向の全長は、先の変形例ほどではないが短くもできる。なお、この形態は、偶数のノズル形成領域を設ける場合に適用することが好適である。
本発明の第1実施形態によるインクジェットヘッドの外観斜視図である。 図1に示すインクジェットヘッドの断面図である。 図1に示すインクジェットヘッドに含まれるヘッド本体の平面図である。 図3の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。 図3に示すヘッド本体の圧力室に対応した部分断面図である。 図5に示す流路ユニットに含まれる第1実施形態に係るノズルプレートの平面図である。 図6に示す二点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。 図3に描かれたアクチュエータユニット上に形成された個別電極の平面図である。 図3に描かれたアクチュエータユニットの部分断面図である。 本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係るノズルプレートの製造方法で使用されるプレス加工装置の概略構成図である。 図10に示すプレス加工装置によって形成されたノズルの断面図である。 図10に示す製造方法の変形例を説明するための模式図である。 本発明の第2実施形態に係るノズルプレートの平面図である。 図13に示すノズルプレート上の1つのノズル形成領域の拡大平面図である。 本発明に係るノズルプレートの変形例を示す平面図である。
符号の説明
1 インクジェットヘッド
4 流路ユニット
8 ノズル
10 圧力室
21 アクチュエータユニット
30,230,330 ノズルプレート
41−44 圧電シート
51,251,351,353,354 ノズル形成領域
52 ノズル列
101 プレス加工装置

Claims (11)

  1. インクを吐出する複数のノズルを有し、長手方向に沿った前記複数のノズルが形成された範囲の長さが4インチ以上であり、且つ、金属製の1枚の薄板からなるインクジェットヘッド用ノズルプレート。
  2. 前記長手方向に平行な複数の直線に沿って前記複数のノズルが形成されており、
    前記ノズルの形成位置を前記長手方向に平行な一本の仮想直線に射影する場合において、前記仮想直線と前記ノズルの形成位置を通り前記長手方向に垂直な直線との交点を射影点としたとき、前記射影点が前記仮想直線上に一定の間隔で配列されており、且つ、
    前記仮想直線の前記射影点が前記一定の間隔で配列されている部分の長さが4インチ以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド用ノズルプレート。
  3. 前記射影点が前記仮想直線上に600dpiの間隔以下の間隔で配列されていることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド用ノズルプレート。
  4. 前記ノズルが形成された前記インクジェットヘッド用ノズルプレートのノズル形成面内の1つの点について点対称になるように前記複数のノズルが形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のインクジェットヘッド用ノズルプレート。
  5. 前記ノズルが形成された前記インクジェットヘッド用ノズルプレートのノズル形成面内の1本又は2本以上の直線について実質的に線対称になるように前記複数のノズルが形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のインクジェットヘッド用ノズルプレート。
  6. 前記複数のノズルが、前記長手方向に平行な上辺及び下辺を有する台形形状の複数のノズル形成領域内の実質的に全域においてマトリクス状に形成されており、
    前記長手方向に関して互いに隣接した2つの前記ノズル形成領域は、互いの斜辺同士が平行で且つ前記長手方向に関する位置が同じとなるように配置されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のインクジェットヘッド用ノズルプレート。
  7. 前記複数のノズルは、複数のパンチを使用したプレス加工によって形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド用ノズルプレート。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の前記インクジェットヘッド用ノズルプレート及び複数の金属プレートを積層した積層体からなり、且つ、前記ノズルへインクを流出させるインク流路を有する流路ユニットを備えていることを特徴とするインクジェットヘッド。
  9. インクを吐出する複数のノズルを有し、長手方向に沿った前記複数のノズルが形成された範囲の長さが4インチ以上であり、且つ、金属製の1枚の薄板からなるインクジェットヘッド用ノズルプレートを作製する製造方法であって、複数のパンチを使用したプレス加工によって前記複数のノズルを形成することを特徴とするインクジェットヘッド用ノズルプレートの製造方法。
  10. インクを吐出する複数のノズルを有し、長手方向に沿った前記複数のノズルが形成された範囲の長さが4インチ以上であり、且つ、金属製の1枚の薄板からなるインクジェットヘッド用ノズルプレートを作製する製造方法であって、1つのパンチを使用したプレス加工によって前記複数のノズルを形成することを特徴とするインクジェットヘッド用ノズルプレートの製造方法。
  11. 複数のインクジェットヘッド用ノズルプレートを同時に作製する場合に、1つのインクジェットヘッド用ノズルプレートに対して1つのパンチを用いることを特徴とする請求項10に記載のインクジェットヘッド用ノズルプレートの製造方法。
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