JP4281573B2 - ノズルプレートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクを吐出するノズルが形成されたノズルプレートの製造方法に関する。
特許文献1には、ノズル孔を形成するパンチが用紙送り方向に沿って等間隔に配置され、且つその用紙送り方向と直交する方向に複数のパンチ列を有する金型で、ノズル板となるフープ材をプレス加工することで、ノズル孔が形成されたノズル板を製造する技術について記載されている。この製造方法においては、まず、金型でフープ材をプレス加工してノズルめくら孔を形成し、次に用紙送り方向にフープ材を移動させて、ノズルめくら孔間に金型のパンチが対向するようにフープ材を位置付けて、次に再度、金型でフープ材をプレス加工する。そして、ノズルめくら孔によって突出したダボを研磨除去し、連続したフープ材を切断して複数のノズル孔が形成されたノズル板を製造する。このように、1つの金型でフープ材に2回のプレス加工を行うことで、ノズル板に形成されるノズル孔の数よりも約半分のパンチ数で所望数のノズル孔が形成されたノズル板を製造することが可能になる。そのため、金型に植設されるパンチの数をノズル孔の数よりも少なくすることができるので、金型のコストを減少させることができる。
特開平10−226070号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、フープ材は用紙送り方向に平行な一方向にしか送れないので、ノズル板に形成される複数のノズル列に対応した複数のパンチ列を有する金型を使用しなければならず、金型に形成されたパンチ数が比較的多くなり、金型の製造コストが上昇する。
一方で、パンチを1つだけ有する金型をノズル板の面方向における2方向に移動させ複数のノズル孔を1個ずつ順にプレス加工で形成する場合においては、金型の製造コストは低くなるが、一度のプレス加工で1つのノズル孔しか形成することができないので、ノズル板(ノズルプレート)の製造に時間を要し、コストが上昇する問題がある。
そこで、本発明は、低コストを実現しつつ複数のノズルを高い自由度で配列することができるノズルプレートの製造方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明のノズルプレートの製造方法は、ノズル孔を形成するためのパンチを複数有するパンチ群によって、ノズルプレートとなる基板に前記ノズル孔が2次元に配列されたノズル群を形成するノズルプレートの製造方法であって、前記ノズル群は、複数の前記ノズル孔が一方向に沿って所定間隔に配列されてなるノズル列を複数有して構成され、前記複数のノズル列は、前記一方向に直交する方向において第1の所定距離だけ互いに離間し、且つ前記一方向において第2の所定距離だけ互いに偏倚した2つのノズル列を含むノズル列組を複数有しており、前記パンチ群は、前記ノズル列組を構成するノズル列のいずれか一列のノズル列に対応するパンチ列を複数有して構成され、前記パンチ列上におけるパンチの間隔は、前記ノズル列におけるノズル孔の前記所定間隔の2以上の倍数に等しいものとされ、前記パンチ群によって前記基板に第1のノズル孔群を形成する工程と、前記第1のノズル孔群を形成した後に、前記パンチ群に対して前記基板を前記一方向と平行な第1の方向に相対移動させる工程と、前記第1の方向に相対移動させる工程の後に、前記パンチ群によって前記基板に第2のノズル孔群を形成する工程と、前記第2のノズル孔群を形成した後に、前記パンチ群に対して前記基板を前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って、前記一方向に直交する方向には前記第1の所定距離だけ、且つ、前記一方向には前記第2の所定距離だけ前記第1又は第2のノズル孔群から離隔した位置に相対移動させる工程と、前記第2の方向に相対移動させる工程の後に、前記パンチ群によって前記基板に第3のノズル孔群を形成する工程とを含む。ここで、前記第2の方向が、前記第1の方向と向きが反対の方向、及び、前記一方向に直交する方向の合成方向であってもよい。
これによると、製造されるノズルプレートは、所定の相対位置関係にある2以上のノズル列からなるノズル列組を複数有する構成とされ、ノズルを形成するパンチ群はノズル列組を構成するノズル列のいずれか一列に対応するパンチ列を複数有して構成されているため、複数のノズル列を備えた高解像度の印字が可能なインクジェットヘッドのノズルプレートを少ない工程数で形成することが可能となる。また、ノズルプレートの製造方法として、金型コストを抑えつつ比較的少ない工程数でノズルプレートを形成することができるので、工程数に基づく時間的なコストとパンチ数に基づく金型コストとをバランス良く低減させた製造方法を実現することができる。
本発明において、前記第3のノズル孔群を形成した後に、前記パンチ群に対して前記基板を前記第1の方向と平行で且つ向きが反対である第3の方向又は前記第1の方向と平行で且つ向きが同じである第4の方向に相対移動させる工程と、前記第3の方向又は前記第4の方向に相対移動させる工程の後に、前記パンチ群によって前記基板に第4のノズル孔群を形成する工程とをさらに備えていることが好ましい。これにより、ノズル孔のさらなる高密度配置が可能になるとともに、パンチ群と基板との相対移動の回数である3回のうちの2回までがパンチ列と平行な方向になるので、ノズルの位置ずれが小さくなる。
また、本発明において、前記第1、第3又は第4の方向に相対移動させる工程において、前記パンチ群は、前記一方向において前記所定間隔に等しい距離の相対移動がなされていることが好ましい。これにより、複数のノズル列において、隣接したノズル孔の一方向における間隔が同じ間隔になる。
また、本発明においては、前記第2の所定距離が、前記所定間隔以下であることが好ましい。また、前記一方向と直交する方向に全ての前記ノズル列と交差する前記所定間隔の幅の帯状領域と前記一方向に延びる直線とを想定したとき、前記帯状領域内では、前記ノズル列に属するそれぞれ1つのノズル孔が配置されると共に、各ノズル孔を前記一方向に直交する方向から前記直線上に射影した射影点が一定の間隔で離隔していてもよい。また、前記ノズル孔群を形成する工程において、前記基板の前記ノズル吐出面となる面には、前記ノズル孔に対応して突出した複数の突出部が形成されており、前記ノズル孔群の形成が完了した後に、前記インク吐出面となる面の一部と共に前記複数の突出部を除去することで、前記基板を貫通する複数のノズルを形成する突出部除去工程を含んでいてもよい。また、前記ノズルプレートは、インクが吐出される前記ノズル孔と前記ノズル孔に連通したインク流路とが形成された流路ユニットと、前記流路ユニットの一面に固定され、前記ノズル孔からインクを吐出させる平面形状が台形のアクチュエータユニットと、前記流路ユニットの前記一面に接続され、前記インク流路に供給されるインクを一時的に貯留するインク溜が形成されたリザーバユニットとを含むインクジェットヘッドに使用されるものであり、前記ノズルプレートは、前記流路ユニットの一面と反対側に配置され、前記一面から前記インク吐出面に向かう方向に関して前記アクチュエータユニットが占める領域と重なるように、前記ノズル孔群が配置されたインク吐出領域を複数含むインク吐出面が形成された矩形平面形状を有するシート材であって、前記ノズル孔群は、台形の平面形状を有し、前記ノズルプレートの長手方向である前記第1の方向に沿って2列の千鳥状に配置されると共に、隣接するノズル孔群の前記台形の斜辺同士が前記一方向に直交する方向にオーバーラップしており、全ての前記ノズル孔が、前記第1の方向に関して、前記インクジェットヘッドによる印字の解像度に相当する間隔ずつ離隔して配置されていてもよい。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
[第1実施形態]
<インクジェットヘッドの全体構造>
本発明の第1実施形態に係る製造方法によって製造されたノズルプレートを含むインクジェットヘッドについて説明する。図1は、本発明の第1実施形態による製造方法で製造されたノズルプレートが適用されたインクジェットヘッドの外観斜視図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。インクジェットヘッド1は、用紙に対してインクを吐出するための主走査方向に延在した矩形平面形状を有するヘッド本体70と、ヘッド本体70の上面に配置され且つヘッド本体70に供給されるインクの流路である2つのインク溜まり3が形成されたリザーバユニットであるベースブロック71と、これらヘッド本体70とベースブロック71とを保持するホルダ72とを含んで構成されている。
ヘッド本体70は、インク流路が形成された流路ユニット4と、流路ユニット4の上面にエポキシ系の熱硬化性接着剤によって接着された複数のアクチュエータユニット21とを含んでいる。アクチュエータユニット21は、複数の薄板を積層して互いに接着させた構成である。また、アクチュエータユニット21の上面には、給電部材であるフレキシブルプリント配線板(FPC:Flexible Printed Circuit)50が半田によって接着され、左又は右に引き出されている。
図3は、ヘッド本体70を上面から見た平面図である。図3に示すように、流路ユニット4は、一方向(主走査方向)に延在した矩形平面形状を有している。図3において、流路ユニット4内に設けられた共通インク室であるマニホールド流路5が破線で描かれている。マニホールド流路5には、ベースブロック71のインク溜まり3に貯溜されていたインクが複数の開口3aを通じて供給される。マニホールド流路5は、流路ユニット4の長手方向(主走査方向)と平行に延在する複数の副マニホールド流路5aに分岐している。
流路ユニット4の上面には、平面形状が台形である4つのアクチュエータユニット21が、開口3aを避けるように、千鳥状になって2列に配列されており、流路ユニット4の上面に接着されている。各アクチュエータユニット21は、その平行対向辺(上辺及び下辺)が流路ユニット4の長手方向に沿うように配置されている。複数の開口3aは流路ユニット4の長手方向に沿って2列に配列されており、各列5個、計10個の開口3aがアクチュエータユニット21と干渉しない位置に設けられている。そして、隣接するアクチュエータユニット21の斜辺同士が、流路ユニット4の幅方向(副走査方向)に部分的にオーバーラップしている。
アクチュエータユニット21の接着領域に対応する流路ユニット4の下面の領域は、多数のノズル8(図6参照)がマトリクス状に配列されたインク吐出領域となっている。アクチュエータユニット21が接着される流路ユニット4の上面には、多数の圧力室10(図5参照)がマトリクス状に配列された圧力室群9が形成されている。言い換えると、アクチュエータユニット21は、圧力室群9を構成する多数の圧力室10に跨る寸法を有している。
図2に戻って、ベースブロック71は、例えばステンレスなどの金属材料からなる。ベースブロック71内のインク溜まり3は、ベースブロック71の長手方向に沿って延在する略直方体の中空領域である。インク溜まり3は、その一端に設けられた開口(図示せず)を通じて外部に設置されたインクタンク(図示せず)からインクが供給され、常にインクで満たされている。インク溜まり3には、インクを流出するための開口3bが、その延在方向に沿って2列に計10個設けられており、流路ユニット4の開口3aと接続されるように千鳥状に設けられている。すなわち、インク溜まり3の10個の開口3bと流路ユニット4の10個の開口3aは同じ位置関係となるように設けられている。
ベースブロック71の下面73は、開口3bの近傍部分73aにおいて周囲よりも下方に飛び出している。そして、ベースブロック71は、下面73の開口3bの近傍部分73aにおいてのみ流路ユニット4の上面における開口3aの近傍部分と接触している。そのため、ベースブロック71の下面73の開口3bの近傍部分73a以外の領域は、ヘッド本体70から離隔しており、この離隔部分にアクチュエータユニット21が配されている。
ホルダ72は、ベースブロック71を把持する把持部72aと、副走査方向に間隔をおいて設けられ把持部72aの上面から上方に向けて突出する一対の突出部72bとを含んでいる。ベースブロック71は、ホルダ72の把持部72aの下面に形成された凹部内に接着固定されている。アクチュエータユニット21に接着されたFPC50は、スポンジなどの弾性部材83を介してホルダ72の突出部72b表面に沿うようにそれぞれ配置されている。そして、ホルダ72の突出部72b表面に配置されたFPC50上にドライバIC80が設置されている。すなわち、FPC50は、ドライバIC80から出力された駆動信号をヘッド本体70のアクチュエータユニット21に伝達するものであり、アクチュエータユニット21及びドライバIC80とはハンダ付けによって電気的に接合されている。
ドライバIC80の外側表面には略直方体形状のヒートシンク82が密着配置されているため、ドライバIC80で発生した熱を効率的に散逸させることができる。ドライバIC80及びヒートシンク82の上方においては、FPC50の外側に接続された基板81が配置されている。ヒートシンク82の上面と基板81との間、および、ヒートシンク82の下面とFPC50との間は、それぞれシール部材84で接着されており、インクジェットヘッド1の本体にゴミやインクが侵入することを防いでいる。
図4は、図3内に示す流路ユニット4の上面における一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。図4に示すように、流路ユニット4内のアクチュエータユニット21に重なる領域には、流路ユニット4の長手方向と平行に4本の副マニホールド流路5aが延在している。各副マニホールド流路5aには、ノズル8の各々に通じる多数の個別インク流路が接続されている。図5は、個別インク流路を示す断面図である。図5から分かるように、各ノズル8は、圧力室10及びアパーチャすなわち絞り13を介して副マニホールド流路5aと連通している。このようにして、ヘッド本体70には、副マニホールド流路5aの出口からアパーチャ13、圧力室10を経てノズル8に至る個別インク流路7が圧力室10ごとに形成されている。
<ヘッド断面構造>
ヘッド本体70は、図5からも分かるように、上から順に、アクチュエータユニット21、キャビティプレート22、ベースプレート23、アパーチャプレート24、サプライプレート25、マニホールドプレート26、27、28、カバープレート29及びノズルプレート30の合計10枚のシート材が積層された積層構造を有している。これらのうち、アクチュエータユニット21を除いた9枚のプレートから流路ユニット4が構成されている。
アクチュエータユニット21は、後で詳述するように、4枚の圧電シート41〜44(図9参照)が積層され且つ電極が配されることによってそのうちの最上層だけが電界印加時に活性部となる部分を有する層(以下、単に「活性部を有する層」というように記する)とされ、残り3層が活性部を有しない非活性層とされたものである。キャビティプレート22は、圧力室10の空隙を構成するほぼ菱形の孔が、アクチュエータユニット21の貼付範囲内に多数設けられた金属プレートである。ベースプレート23は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、圧力室10とアパーチャ13との連絡孔23a及び圧力室10からノズル8への連絡孔23bがそれぞれ設けられた金属プレートである。
アパーチャプレート24は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、アパーチャ13となる孔のほかに圧力室10からノズル8への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。サプライプレート25は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、アパーチャ13と副マニホールド流路5aとの連絡孔及び圧力室10からノズル8への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。マニホールドプレート26、27、28は、副マニホールド流路5aに加えて、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、圧力室10からノズル8への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。カバープレート29は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、圧力室10からノズル8への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。ノズルプレート30は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、ノズル8がそれぞれ設けられた金属プレートである。
これら10枚のシート21〜30は、図5に示すような個別インク流路7が形成されるように、互いに位置合わせして積層されている。この個別インク流路7は、副マニホールド流路5aからまず上方へ向かい、アパーチャ13において水平に延在し、それからさらに上方に向かい、圧力室10において再び水平に延在し、それからしばらくアパーチャ13から離れる方向に斜め下方に向かってから垂直下方にノズル8へと向かう。
図5から明らかなように、圧力室10とアパーチャ13は各プレートの積層方向において異なるレベルに設けられている。これにより、図4に示すように、アクチュエータユニット21に対向した流路ユニット4内において、1つの圧力室10と連通したアパーチャ13を、当該圧力室に隣接する別の圧力室10と平面視で同じ位置に配置することが可能となっている。この結果、圧力室10同士が密着して高密度に配列されるため、比較的小さな占有面積のインクジェットヘッド1により高解像度の画像印刷が実現される。
ベースプレート23及びマニホールドプレート28の上下面と、サプライプレート25及びマニホールドプレート26、27の上面と、カバープレート29の下面には、余分な接着剤を流すための逃し溝14が、各プレートの接合面に形成された開口を取り囲むように設けられている。この逃し溝14があることによって、プレートどうしを接着する際の接着剤が個別インク流路内にはみ出して流路抵抗が変動することが防止される。
<ノズルプレートの詳細>
図6は、図5に示す流路ユニットのノズルプレート30の平面図である。図6に示すようにノズルプレート30には、流路ユニット4の上面に接着されたアクチュエータユニット21が占める領域と重なるインク吐出領域内において、複数のノズル8がマトリクス状に隣接配置されたノズル群51が形成されている。ノズル群51は、4つのアクチュエータユニット21と対応するように4つ形成されるとともに、千鳥状になって2列に配列されている。つまり、4つのノズル群51は、アクチュエータユニット21の平面形状とほぼ同じ台形領域を有するとともに、その平行対向辺が流路ユニット4の長手方向に沿うように配置されている。そして、隣接するノズル群51の斜辺同士が、流路ユニット4の幅方向に部分的にオーバーラップしている。
図7は、図6に示す2点鎖線で囲まれた領域の拡大平面図である。図7に示すようにノズル群51は、ノズル8が配列方向Aに沿って配列された16列のノズル列52を有している。16列のノズル列52は互いに平行に配列されており、各ノズル列52を構成するノズル8は配列方向Aに沿って37.5dpiに相当する距離ずつ離隔されている。なお、配列方向Aは、インクジェットヘッド1の長手方向、すなわち流路ユニット4の延在方向であり、上述した主走査方向と平行である。
各ノズル列52は、4本の副マニホールド5a(図4参照)と対向しない位置に配置されている。これらノズル列52のうち、1つのノズル群51の長辺側のノズル列を第1のノズル列52aとし、短辺側に向かって第2のノズル列52b、第3のノズル列52c・・・第16のノズル列52pというように符号をつけた場合に、第1のノズル列52aを構成するノズル8の数が最大数となっており、第16のノズル列52pを構成するノズル8の数が最小数となっている。すなわち、ノズル群51の長辺側から短辺側に近づくにつれてノズル列52を構成するノズル数が減少しており、ノズル群51がインク吐出領域内に収まっている。
図7に示すように16列のノズル列52は、第4のノズル列52dと第5のノズル列52e、第8のノズル列52hと第9のノズル列52i、及び、第12のノズル列52lと第13のノズル列52mのそれぞれの列間隔が最も小さな間隔を有するように配置されている。そして、この最も小さい列間隔の距離をYとすると、16列のノズル列52のうち、最も大きい列間隔となる第2のノズル列52bと第3のノズル列52c、第6のノズル列52fと第7のノズル列52g、第10のノズル列52jと第11のノズル列52k、及び、第14のノズル列52nと第15のノズル列52oのそれぞれの列間隔の距離が7Yとなるようにノズル列52が配置されている。
また、ノズル群51は、16列のノズル列52のうち、2つのノズル列52を1つの組として8つのノズル列組53に分けられている。これら8つのノズル列組53は、第1のノズル列52aと第2のノズル列52bとで1つの組となったノズル列組53aと、第3のノズル列52cと第5のノズル列52eとで1つの組となったノズル列組53bと、第4のノズル列52dと第6のノズル列52fとで1つの組となったノズル列組53cと、第7のノズル列52gと第9のノズル列52iとで1つの組となったノズル列組53dと、第8のノズル列52hと第10のノズル列52jとで1つの組となったノズル列組53eと、第11のノズル列52kと第13のノズル列52mとで1つの組となったノズル列組53fと、第12のノズル列52lと第14のノズル列52nとで1つの組となったノズル列組53gと、第15のノズル列52oと第16のノズル列52pとで1つの組となったノズル列組53hとで構成されている。これら8つのノズル列組53にそれぞれ属するノズル列52同士の列間隔は、配列方向Aと直交する方向(方向C)においてそれぞれ等しい距離となっており、その距離(第1の所定距離)は3Yとなっている。
図7には、配列方向Aに37.5dpiに相当する幅(678.0μm)を有し、方向Cに延在する帯状領域Rが示されている。この帯状領域R内には、各ノズル列52の1つのノズル8が存在しており、これら16個の各ノズル8を配列方向Aに延びる直線上に射影した点の位置は、印字時の解像度である600dpiに相当する間隔ずつ離隔している。
1つの帯状領域Rに属する16個のノズル8を配列方向Aに延びる直線上に射影した位置が左にあるものから順に、これら16個のノズル8を(1)〜(16)と記することにしたとき、これら16個のノズル8は、下から、(1)、(9)、(13)、(15)、(5)、(7)、(11)、(16)、(3)、(8)、(12)、(14)、(4)、(6)、(10)、(2)の順番に並んでいる。このように構成されたインクジェットヘッド1において、アクチュエータユニット21内を印字媒体の搬送に合わせて適宜駆動させると、600dpiの解像度を有する文字や図形等を描画することができる。
1つの帯状領域Rに属する16個のノズル8を配列方向Aに延びる直線上に射影した場合において、1つの帯状領域Rに存在するいずれのノズル列組53に属する2つのノズル8の間には、当該ノズル列組53以外の他の7つのノズル列組53に属する1つのノズル8が配置されるようになっている。例えば、ノズル列52aとノズル列52bとでなるノズル列組53においては、帯状領域R内に存在する2つのノズル(1),(9)は、1番目と9番目となるので、その1番目と9番目のノズル(1),(9)の間には2番目〜8番目に該当する7つのノズル(2)〜(8)が存在することになる。このように、各ノズル列組53の2つのノズル列52のうち、一方のノズル列52に属するノズル8と他方のノズル列52に属するノズル8との配列方向Aにおいて偏って位置しており、その偏倚距離(第2の所定距離)は、他のノズル列組53に属する7つのノズル8が1つずつ配置されるだけの距離であって、600dpiに相当する間隔分の8倍(75dpi)である。
すなわち、8つのノズル列組53の第2の所定距離はすべて等しくなっている。このような16列のノズル列52が配列されてノズル群51が構成されている。
また、ノズル群51の斜辺側近傍には、各ノズル列52のノズル8と配列方向Aに沿って連続するダミー孔18(図7中黒丸で示す孔)が形成されている。これらダミー孔18は、後述する製造方法によりノズルプレート30にノズル8が形成されるときに同時形成されたものであって、個別インク流路7と連通していない。後述する製造方法によれば、ダミー孔18は、各ノズル列52の配列方向Aの両端部又は一端部のそれぞれに1ずつ形成されるだけなので、ダミー孔18が隣接するノズル群51のノズル8に干渉しない程度に隣り合う2つのノズル群51の斜辺同士を近づけることが可能となる。つまり、図7に示すように隣接するノズル群51同士をノズルプレート30の長手方向(配列方向A)において近づけつつ、ノズルプレート30の短手方向(方向C)において近づけることが可能になり、ノズルプレート30の長手方向及び短手方向の長さを小さくすることが可能になる。加えて、流路ユニット4に接着される4つのアクチュエータユニット21も隣接するアクチュエータユニット21の斜辺同士を近づけて配置することが可能になるので、流路ユニット4全体の平面領域を小さくすることが可能になり、インクジェットヘッド1の小型化を図ることができる。なお、ノズルプレート30にノズル8及びダミー孔18を形成する製造方法については後述する。以上の説明からわかるとおり、本実施の形態におけるインクジェットヘッド1は、平行に配列するノズル列52を複数有する、いわゆるマルチラインヘッドである。マルチラインヘッドは、複数のノズル列52に属するすべてのノズル8に関して、それら各々のノズル列方向における位置がすべて異なっていることが構成上の特徴である。そして、印字の際には、ノズル列52の各々を記録媒体上の一の直線上に対向するように順次位置決めしつつインクを吐出させるように制御する。これにより、ノズル列方向の解像度を高くするものである。
<流路ユニット全体の詳細>
図4に戻って、アクチュエータユニット21の貼付範囲内には、多数の圧力室10からなる圧力室群9が形成されている。圧力室群9は、アクチュエータユニット21の貼付範囲とほぼ同じ大きさの台形形状を有している。圧力室群9は、各アクチュエータユニット21について1つずつ形成されている。
図4から明らかなように、圧力室群9に属する各圧力室10は、その長い対角線の一端においてノズル8に連通されていると共に、長い対角線の他端においてアパーチャ13を介して副マニホールド流路5aに連通されている。後述するように、アクチュエータユニット21上には、平面形状がほぼ菱形で圧力室10よりも一回り小さい個別電極35(図8及び図9参照)が、圧力室10と対向するようにマトリクス状に配列されている。なお、図4において、図面を分かりやすくするために、流路ユニット4にあって破線で描くべき、ノズル8、圧力室10及びアパーチャ13等を実線で描いている。
圧力室10は、配列方向A及び配列方向Bの2方向に千鳥状配列パターンでマトリクス状に隣接配置されている。圧力室10の短い方の対角線は上述した配列方向Aと平行である。配列方向Bは、配列方向Aと鈍角θをなる圧力室10の一斜辺方向である。そして、圧力室10の両方の鋭角部は、隣接する別の2つの圧力室の間に位置している。
配列方向A及び配列方向Bの2方向にマトリクス状に隣接配置された圧力室10は、配列方向Aに沿って37.5dpiに相当する距離ずつ離隔している。また、圧力室10は、1つのアクチュエータユニット21内において、配列方向Bに16個並べられている。
マトリクス状に配置された多数の圧力室10は、図4に示す配列方向Aに沿って、複数の圧力室列を形成している。圧力室列は、図4の紙面に対して垂直な方向から見て、副マニホールド流路5aとの相対位置に応じて、第1の圧力室列11a、第2の圧力室列11b、第3の圧力室列11c、及び、第4の圧力室列11dに分けられる。これら第1〜第4の圧力室列11a〜11dは、アクチュエータユニット21の上辺から下辺に向けて、11c→11d→11a→11b→11c→11d→…→11bという順番で周期的に4個ずつ配置されている。
第1の圧力室列11aを構成する圧力室10a及び第2の圧力室列11bを構成する圧力室10bにおいては、図4の紙面に対して垂直な方向から見て、方向Cに関して、ノズル8が図4の紙面下側に偏在している。そして、ノズル8が、それぞれ対応する圧力室10の下端部付近と対向している。一方、第3の圧力室列11cを構成する圧力室10c及び第4の圧力室列11dを構成する圧力室10dにおいては、方向Cに関して、ノズル8が図4の紙面上側に偏在している。そして、ノズル8が、それぞれ対応する圧力室10の上端部付近と対向している。第1及び第4の圧力室列11a、11dにおいては、図4の紙面に対して垂直な方向から見て、圧力室10a、10dの半分以上の領域が、副マニホールド流路5aと重なっている。第2及び第3の圧力室列11b、11cにおいては、図4の紙面に対して垂直な方向から見て、圧力室10b、10cのほぼ全領域が、副マニホールド流路5aと重なっていない。そのため、いずれの圧力室列に属する圧力室10についてもこれに連通するノズル8が副マニホールド流路5aと重ならないようにしつつ、副マニホールド流路5aの幅を可能な限り広くして各圧力室10にインクを円滑に供給することが可能となっている。
図4に示すように、ヘッド本体70には、台形である圧力室群9の対となる平行辺のうちの長辺に沿って、圧力室10と同じ形状及び同じ大きさを有する多数の周縁空隙15が長辺の全域に亘って一直線状に配列されている。周縁空隙15は、キャビティプレート22に形成された圧力室10と同じ形状及び同じ大きさを有する孔がアクチュエータユニット21及びベースプレート23によって塞がれることによって画定されている。つまり、周縁空隙15にはインク流路が接続されておらず、しかも周縁空隙15には対向する個別電極35が設けられていない。つまり、周縁空隙15はインクで満たされることがない。
また、ヘッド本体70には、台形である圧力室群9の対となる平行辺のうちの短辺に沿って、多数の周縁空隙16が短辺の全域に亘って一直線状に配列されている。さらに、ヘッド本体70には、台形である圧力室群9の両斜辺に沿って、多数の周縁空隙17が両斜辺の全域に亘って一直線状に配列されている。周縁空隙16、17は、共に平面視正三角形の領域においてキャビティプレート22を貫通している。周縁空隙16、17にはインク流路が接続されておらず、しかも周縁空隙16、17には対向する個別電極35が設けられていない。つまり、周縁空隙15と同様、周縁空隙16、17はインクで満たされることがない。
<アクチュエータユニットの詳細>
次に、アクチュエータユニット21の構成について説明する。アクチュエータユニット21上には、圧力室10と同じパターンで多数の個別電極35がマトリクス状に配置されている。各個別電極35は、平面視において圧力室10と対向する位置に配置されている。
図8は個別電極35の平面図である。図8に示すように、個別電極35は、圧力室10と対向する位置に配置されて平面視において圧力室10内に収容される主電極領域35aと、主電極領域35aにつながっており且つ圧力室10外に対向する位置に配置された補助電極領域35bとから構成されている。
図9は、図8のIX−IX線に沿った断面図である。図9に示すように、アクチュエータユニット21は、それぞれ厚みが15μm程度で同じになるように形成された4枚の圧電シート41、42、43、44を含んでいる。これら圧電シート41〜44は、ヘッド本体70内の1つのインク吐出領域内に形成された多数の圧力室10に跨って配置されるように連続した層状の平板(連続平板層)となっている。圧電シート41〜44が連続平板層として多数の圧力室10に跨って配置されることで、例えばスクリーン印刷技術を用いることにより圧電シート41上に個別電極35を高密度に配置することが可能となっている。そのため、個別電極35に対応する位置に形成される圧力室10をも高密度に配置することが可能となって、高解像度画像の印刷ができるようになる。圧電シート41〜44は、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料からなるものである。
最上層の圧電シート41上に形成された個別電極35の主電極領域35aは、図8に示すように、圧力室10とほぼ相似である略菱形の平面形状を有している。略菱形の主電極領域35aにおける下方鋭角部は延出されて、圧力室10外に対向する補助電極領域35bにつながっている。補助電極領域35bの先端には、個別電極35と電気的に接続された円形のランド部36が設けられている。図9に示すように、ランド部36は、キャビティプレート22において圧力室10が形成されていない領域に対向している。ランド部36は、例えばガラスフリットを含む金からなり、図8に示すように、補助電極領域35bにおける延出部表面上に接着されている。図9ではFPC50の図示を省略しているものの、ランド部36は、FPC50に設けられた接点と電気的に接合されている。この接合を行う際に、FPC50の接点を、ランド部36に対して押圧する必要がある。ランド部36に対向するキャビティプレート22の領域に、圧力室10が形成されていないため、十分な押圧により確実な接合を行うことができる。
最上層の圧電シート41とその下側の圧電シート42との間には、圧電シート41と同じ外形及び略2μmの厚みを有する共通電極34が介在している。個別電極35及び共通電極34は共に、例えばAg−Pd系などの金属材料からなる。
共通電極34は、図示しない領域において接地されている。これにより、共通電極34は、すべての圧力室10に対応する領域において等しく一定の電位、本実施の形態ではグランド電位に保たれている。また、個別電極35は、各圧力室10に対応するものごとに電位を制御することができるように、各個別電極35ごとに独立した別のリード線を含むFPC50及びランド部36を介してドライバIC80に接続されている。
<アクチュエータユニットの駆動方法>
次に、アクチュエータユニット21の駆動方法について述べる。アクチュエータユニット21における圧電シート41の分極方向はその厚み方向である。つまり、アクチュエータユニット21は、上側(つまり、圧力室10とは離れた)1枚の圧電シート41を活性部が存在する層とし且つ下側(つまり、圧力室10に近い)3枚の圧電シート42〜44を非活性層とした、いわゆるユニモルフタイプの構成となっている。従って、個別電極35を正又は負の所定電位とすると、圧電シート41中の電極に挟まれた電界印加部分が活性部(圧力発生部)として働き、例えば電界と分極とが同方向であれば圧電横効果により分極方向と直角方向に縮む。
本実施の形態では、圧電シート41において主電極領域35aと共通電極34とによって挟まれた部分は、電界が印加されると圧電効果によって歪みを発生する活性部として働く。一方、圧電シート41の下方にある3枚の圧電シート42〜44は、外部から電界が印加されることが無く、そのために活性部としてほとんど機能しない。したがって、圧電シート41において主に主電極領域35aと共通電極34とによって挟まれた部分が、圧電横効果により分極方向と直角方向に縮む。
一方、圧電シート42〜44は、電界の影響を受けないため自発的には変位しないので、上層の圧電シート41と下層の圧電シート42〜44との間で、分極方向と垂直な方向への歪みに差を生じることとなり、圧電シート41〜44全体が非活性側に凸となるように変形しようとする(ユニモルフ変形)。このとき、図9に示したように、圧電シート41〜44で構成されたアクチュエータユニット21の下面は圧力室を区画する隔壁(キャビティプレート)22の上面に固定されているので、結果的に圧電シート41〜44は圧力室側へ凸になるように変形する。このため、圧力室10の容積が低下して、インクの圧力が上昇し、ノズル8からインクが吐出される。その後、個別電極35を共通電極34と同じ電位に戻すと、圧電シート41〜44は元の形状になって圧力室10の容積が元の容積に戻るので、インクを副マニホールド流路5a側から吸い込む。
なお、他の駆動方法として、予め個別電極35を共通電極34と異なる電位にしておき、吐出要求があるごとに個別電極35を共通電極34と一旦同じ電位とし、その後所定のタイミングにて再び個別電極35を共通電極34と異なる電位にすることもできる。この場合は、個別電極35と共通電極34とが同じ電位になるタイミングで、圧電シート41〜44が元の形状に戻ることにより、圧力室10の容積は初期状態(両電極の電位が異なる状態)と比較して増加し、インクが副マニホールド流路5a側から圧力室10内に吸い込まれる。その後再び個別電極35を共通電極34と異なる電位にしたタイミングで、圧電シート41〜44が圧力室10側へ凸となるように変形し、圧力室10の容積低下によりインクへの圧力が上昇し、インクが吐出される。
<印字時の動作例>
再び図4に戻って、図4中に示された帯状領域Rは図7中に示すものと同じ帯状領域Rであって、この帯状領域R中では、16列の圧力室列11a〜11dの内の何れの列についても、ノズル8が1つしか存在していない。これにより、各圧力室列11a〜11dが下から順に図7に示す第1のノズル列52a〜第16のノズル列52pと対応していることがわかる。
例えば、600dpiの解像度で配列方向Aに延びる直線を印字する場合について説明する。まず、ノズル8が圧力室10の同じ側の鋭角部に連通している参考例の場合について簡単に説明する。この場合には、用紙が搬送されるのに対応して、図4中一番下に位置する圧力室列中のノズル8からインクの吐出を始め、順次上側に隣接する圧力室列に属するノズル8を選択してインクを吐出する。これにより、インクのドットが配列方向Aに向かって600dpiの間隔で隣接しながら形成されていく。最終的には、全体で600dpiの解像度で配列方向Aに延びる直線が描かれることになる。
一方、本実施の形態では、図4中一番下に位置する圧力室列11b中のノズル8からインクの吐出を始め、用紙が搬送されるのに伴って順次上側に隣接する圧力室に連通するノズル8を選択してインクを吐出していく。このとき、下側から上側に1圧力室列上がるごとのノズル位置の配列方向Aへの変位が同じでないので、用紙が搬送されるのに伴って配列方向Aに沿って順次形成されるインクのドットは、600dpiの間隔で等間隔にはならない。
すなわち、図4に示したように、印字媒体が搬送されるのに対応して、まず図中一番下の圧力室列11bに連通するノズル(1)からインクが吐出され、印字媒体上に37.5dpiに相当する間隔でドット列が形成される。この後、印字媒体の搬送に伴って、直線の形成位置が下から2番目の圧力室列11aに連通するノズル(9)の位置に達すると、このノズル(9)からインクが吐出される。これにより、始めに形成されたドット位置から600dpiに相当する間隔分の8倍だけ配列方向Aに変位した位置に2番目のインクドットが形成される。
次に、印字媒体の搬送に伴って、直線の形成位置が下から3番目の圧力室列11dに連通するノズル(13)の位置に達すると、ノズル(13)からインクが吐出される。これにより、始めに形成されたドット位置から600dpiに相当する間隔分の12倍だけ配列方向Aに変位した位置に3番目のインクドットが形成される。さらに、印字媒体の搬送に伴って、直線の形成位置が下から4番目の圧力室列11cに連通するノズル(15)の位置に達すると、ノズル(15)からインクが吐出される。これにより、始めに形成されたドットの位置から600dpiに相当する間隔分の14倍だけ配列方向Aに変位した位置に4番目のインクドットが形成される。さらに、印字媒体の搬送に伴って、直線の形成位置が下から5番目の圧力室列11bに連通するノズル(5)の位置に達すると、ノズル(5)からインクが吐出される。これにより、始めに形成されたドット位置から600dpiに相当する間隔分の4倍だけ配列方向Aに変位した位置に5番目のインクドットが形成される。
以下同様にして、順次図中下側から上側に位置する圧力室10に連通するノズル8を選択しながらインクドットが形成されていく。このとき、図4中に示したノズル8の番号をNとすると、(倍率n=N−1)×(600dpiに相当する間隔)に相当する分だけ、始めに形成されたドット位置から配列方向Aに変位した位置にインクドットが形成される。最終的に16個のノズル8を選択し終わったときには、図中一番下の圧力室列11b中のノズル(1)により37.5dpiに相当する間隔で形成されたインクドットの間が600dpiに相当する間隔毎に離れて形成された15個のドットで繋げられ、全体で600dpiの解像度で配列方向Aに延びる直線を描くことが可能になっている。
なお、各インク吐出領域の配列方向Aについての両端部(アクチュエータユニット21の斜辺)近傍では、ヘッド本体70の幅方向に対向する別のアクチュエータユニット21に対応するインク吐出領域の配列方向Aについての両端部近傍と相補関係となることで600dpiの解像度での印刷が可能となっている。
<インクジェットヘッドの製造方法>
次に、上述したインクジェットヘッド1の製造方法について、図10を参照しつつ説明する。図10は、インクジェットヘッド1の製造工程図である。
インクジェットヘッド1を製造するには、流路ユニット4及びアクチュエータユニット21などの部品を別々に作製し、それから各部品を組み付ける。まず、ステップ1(S1)では、流路ユニット4を作製する。流路ユニット4を作製するには、これを構成する各プレート22〜30のうち、ノズルプレート30を除く各プレート22〜29に、パターニングされたフォトレジストをマスクとしたエッチングを施して、図5に示すような孔を各プレート22〜29に形成する。そして、後述するようにパンチ91で複数のノズル8及び孔18とを形成した後、各圧力室10が各ノズル8に通じる個別インク流路7が形成されるように位置合わせされた9枚のプレート22〜30を、エポキシ系の熱硬化性接着剤を介して重ね合わせる。そして、9枚のプレート22〜30を熱硬化性接着剤の硬化温度以上の温度に加圧しつつ加熱する。これによって、熱硬化性接着剤が硬化して9枚のプレート22〜30が互いに固着され、図5に示すような流路ユニット4が得られる。
一方、アクチュエータユニット21を作製するには、まず、ステップ2(S2)において、圧電セラミックスのグリーンシートを複数用意する。グリーンシートは、予め焼成による収縮量を見込んで形成される。そのうちの一部のグリーンシート上に、導電性ペーストを共通電極34のパターンにスクリーン印刷する。そして、治具を用いてグリーンシート同士を位置合わせしつつ、導電性ペーストが印刷されていないグリーンシートの下に、共通電極34のパターンで導電性ペーストが印刷されたグリーンシートを重ね合わせ、さらにその下に、導電性ペーストが印刷されていないグリーンシートを2枚重ね合わせる。
そして、ステップ3(S3)において、ステップ2で得られた積層体を公知のセラミックスと同様に脱脂し、さらに所定の温度で焼成する。これにより、4枚のグリーンシートが圧電シート41〜44となり、導電性ペーストが共通電極34となる。その後、最上層にある圧電シート41上に、導電性ペーストを個別電極35のパターンにスクリーン印刷する。そして、積層体を加熱処理することによって導電性ペーストを焼成して、圧電シート41上に個別電極35を形成する。しかる後、ガラスフリットを含む金を個別電極35上に印刷して、ランド部36を形成する。このようにして、図9に描かれたようなアクチュエータユニット21を作製することができる。
変形例として、個別電極35及びランド部36が形成されていないアクチュエータユニット(本明細書において、このようなものを便宜上アクチュエータユニットということがある)と流路ユニット4との加熱接着後に、アクチュエータユニット上に導電性ペーストを個別電極35のパターンにスクリーン印刷し、さらに加熱処理を行ってもよい。また、導電性ペーストを個別電極35のパターンにスクリーン印刷したグリーンシートを用意し、その下に、共通電極34のパターンで導電性ペーストが印刷されたグリーンシートを重ね合わせ、さらにその下に、導電性ペーストが印刷されていないグリーンシートを2枚重ね合わせた積層体に加熱処理を施してもよい。
なお、ステップ1の流路ユニット作製工程と、ステップ2〜3のアクチュエータユニット作製工程は、独立に行われるものであるため、いずれを先に行ってもよいし、並行して行ってもよい。
次に、ステップ4(S4)において、ステップ1で得られた流路ユニット4の圧力室に相当する凹部が多数形成された面に、熱硬化温度が80℃程度であるエポキシ系の熱硬化性接着剤を、バーコーターを用いて塗布する。熱硬化性接着剤としては、例えば二液混合タイプのものが用いられる。
続いて、ステップ5において、流路ユニット4に塗布された熱硬化性接着剤層状に、アクチュエータユニット21を載置する。このとき、各アクチュエータユニット21は、活性部と圧力室10とが対向するように流路ユニット4に対して位置決めされる。この位置決めは、予め作製工程(ステップ1〜ステップ3)において流路ユニット4及びアクチュエータユニット21に形成された位置決めマーク(図示せず)に基づいて行われる。
次に、ステップ6(S6)において、流路ユニット4と、流路ユニット4とアクチュエータユニット21との間の熱硬化性接着剤と、アクチュエータユニット21との積層体を図示しない加熱・加圧装置で熱硬化性接着剤の硬化温度以上に加熱しながら加圧する。そして、ステップ7(S7)において、加熱・加圧装置から取り出された積層体を自然冷却する。こうして、流路ユニット4とアクチュエータユニット21とで構成されたヘッド本体70が製造される。
しかる後、FPC50の接着工程を行った後、ベースブロック71の接着工程などを経ることによって、上述したインクジェットヘッド1が完成する。
<ノズルプレートの製造方法>
続いて、上述した流路ユニット4の一部を構成するノズルプレート30の製造方法の詳細について以下に説明する。図11は、本発明の第1実施形態による製造方法で使用される金型の一部の平面図である。図12は、本発明の第1実施形態による製造方法で使用されるプレス加工装置の概略構成図である。図13は、本発明の第1実施形態によるインクジェットヘッドのノズルプレート30に形成されるノズルの形成経路を示した説明図である。図14は、第1実施形態に係るノズルプレートに形成されるノズルの形成経路の変形例を示した説明図である。
図11に示すように金型90は、ヘッド本体70aのインク吐出面70aと同様な矩形平面形状を有する本体90aと本体90aから突出し先端が尖った複数のパンチ91(図12参照)を有している。金型90は、複数のパンチ91が金型90の長手方向であって配列方向Aに沿って等間隔に配列されたパンチ列92を有している。パンチ列92は、金型90の短手方向であって方向Cにおいて互いに平行となるように金型90に8列形成されており、それら8列のパンチ列92によってパンチ群93が構成されている。パンチ群93は、アクチュエータユニット21に対応する台形領域94の内側に形成されており、パンチ列92が台形領域94の長辺側から短辺側に近づくにつれて各パンチ列92を構成するパンチ91のうちの両端パンチ位置が各パンチ列92において中心に近づくように配列されている。この台形領域94はノズル群51の台形領域と同じ平面形状となっている。なお、金型90は、配列方向Aに沿って千鳥状に配列された4つのパンチ群93を有するとともに、それぞれのパンチ群93の台形領域94が4つのノズル群51の台形領域と同じ向きで対向するように形成されている。
図11に示すようにパンチ91は、平行四辺形形状の複数の領域95内にそれぞれ1つずつ配置されているとともに、領域95の図11中左側の鈍角近傍部分の片寄った位置に内在されている。これら領域95は、図7に示すようにノズル列組53に属する4つのノズル8又はノズル列組53に属するノズル8とダミー孔18とをあわせて4つになるノズル8及びダミー孔18を4つの角部近傍にそれぞれ配置させるようにして描かれた領域95′と対応している。これにより、複数のパンチ91は、各ノズル列52を構成するノズルピッチの2倍の間隔を有して等間隔に配置されていることになる。すなわち、複数のパンチ91は、パンチ列52において37.5dpiの2倍の間隔を有して配列方向Aに沿って配列されている。また、パンチ列92は、各ノズル列組53を構成する2つのノズル列52のうち、いずれか一方のノズル列52と対応するように配置されている。本実施の形態においては、図11中左側のパンチ群93の8列のパンチ列92は、図7に示すノズル列組53を構成するノズル列52のうち、ノズル群51の短辺側に近い側のノズル列52と対応する位置にそれぞれ配置されている。また、図11中右側のパンチ群93の8列のパンチ列92は、ノズル列組53を構成するノズル列52のうち、ノズル群51の長辺側に近いノズル列52と対応する位置にそれぞれ配置されている。このように、パンチ群93を構成する8列のパンチ列92は、ノズル列組53を構成する2つのノズル列52のうちの所定の1つのノズル列52に対応する位置に配置され、且つノズル列52の複数のノズル8に対して1つ置きにノズル8と対応しているので、金型90に形成されるパンチ数が、ノズル数の約1/4となり金型90の製造コストが減少する。
図12に示すようにプレス加工装置101は、金型90が固定される上部治具105aと、ノズル8が形成されることでノズルプレート30となる基板99を水平に支持する支持部106を有するXYテーブル107と、上部治具105aと対向する位置に配置されるとともに金型90のパンチ群93と対向する位置に貫通孔103aが形成された金型103と、金型103が固定される下部治具105bと、下部治具105bを下方から支持する本体101aとを含んで構成されている。
本体101aの内部には、XYテーブル107とXYテーブル107を移動させる移動装置108が配置されている。XYテーブル107は、移動装置108によって金型90のパンチ列92の列方向であって配列方向Aと平行な方向をX方向として、金型90のパンチ列92の列方向と直交する方向であって方向Cと平行な方向をY方向として、2方向に移動可能となっている。金型103の貫通孔103aはパンチ91によって形成されるノズル8の開口面積より若干大きな開口面積を有している。そのため、パンチ91で基板99にノズル8となる貫通しない孔をプレス加工で形成した際に、パンチ91によって基板99の下面側から下方に向かって突出した突出部を貫通孔103aに内在させることが可能になり、パンチ91の先端に大きな負荷がかからないようになる。したがって、金型90のパンチ91が破損しにくくなる。
ノズルプレート30となる基板99にノズル8を形成するときは、金型90のパンチ群93のパンチ列92がXYテーブル107のX方向に平行になるように金型90をプレス加工装置101の上部治具105aに固定し、基板99をXYテーブル107の支持部106及び金型103の上面で水平に支持されるように配置させる。そして、金型90の上部治具105aを図示しないシリンダで下方に移動させ、図13に示すように、領域95と対応する領域95′内の左斜め上の位置に基板99を貫通しない仮孔群(第1の孔群)121を基板99の所定位置に形成し、金型90を上昇させる。なお、図13においては、第1の孔群121に属する孔121aや後述の第2〜第4のノズル孔群122〜124に属する孔122a〜124aが1つずつしか描かれていないが、実際には、複数の領域95′の全てにわたって各ノズル孔群121〜124が形成されている。つまり、領域95′を図7に当てはめて考えると、各ノズル孔群121〜124がそれぞれ同時に複数形成されることになる。
次に、XYテーブル107をX方向に移動させ、金型90に対して基板99を図13中に示すP1分の距離(ノズル列52におけるノズルピッチに等しい距離)だけ配列方向Aに平行な方向(第1の方向)141に相対移動させる。そして、金型90を同様に下降させ、図13に示すように基板99を貫通しない仮孔群(第2の孔群)122を形成し、金型90を上昇させる。こうして、図7に示すノズル列組53の2つのノズル列52のうち、ノズル群51の短辺側に近いノズル列52となる仮孔列が形成されるとともに、この仮孔列の両端部に位置する2つの仮孔が後のダミー孔18となる。また、金型90のパンチ列92におけるパンチ間隔はノズル列52のノズル間隔の2倍となっているので、仮孔列の孔間がノズル列52の孔間と同じ間隔になる。
次に、XYテーブル107をX方向に移動させ、金型90に対して基板99を図13中に示すP2′分の距離(第2の所定距離)だけ配列方向Aに平行な方向に142aに相対移動させつつ、XYテーブル107をY方向に移動させ、金型90に対して基板99を図13中に示すP2′′分の距離(第1の所定距離)だけ方向Cに平行な方向142bに相対移動させる。つまり、XYテーブル107をX方向に移動させつつY方向に移動させ、金型90に対して基板99を配列方向Aと方向Cとの合成方向であって図13中左斜め下方向(第2の方向)142に相対移動させる。そして、金型90を同様に下降させ、図13に示すように基板99に貫通しない仮孔群(第3の孔群)123を形成し、金型90を上昇させる。
次に、XYテーブル107をX方向に移動させ、金型90に対して基板99をP1分の距離だけ第1の方向と反対方向(第3の方向)143に相対移動させる。そして、金型90を同様に下降させ、図13に示すように基板99に貫通しない仮孔群(第4の孔群)124を形成し、金型90を上昇させる。こうして、図7に示すノズル列組53の2つのノズル列52のうち、ノズル群51の長辺側に近いノズル列52となる仮孔列が形成されるとともに、この仮孔列の一端部に位置する1つの仮孔が後のダミー孔18となる。
また、変形例として、図14に示すように、第2の孔群122aを形成した後に、XYテーブル107をX方向に移動させ、金型90に対して基板99を図14に示すP3分の距離だけ配列方向Aに平行な方向に142a′に相対移動させつつ、XYテーブル107をY方向に移動させ、金型90に対して基板99を図14に示すP2′′分の距離(第1の所定距離)だけ方向Cに平行な方向142b′に相対移動させる。つまり、XYテーブル107をX方向に移動させつつY方向に移動させ、金型90に対して基板99を配列方向Aと方向Cとの合成方向であって図13中左斜め下方向(第2の方向)142′に相対移動させる。そして、金型90を同様に下降させ、図14に示すように基板99に貫通しない仮孔群(第3の孔群)124を形成し、金型90を上昇させる。なお、ここでの距離P3は、図14から明らかなように、図13に示す距離P1と距離P2′とを合わせた距離となっている。次に、XYテーブル107をX方向に移動させ、金型90に対して基板99をP1分の距離だけ第1の方向と同方向(第4の方向)143′に相対移動させる。
そして、金型90を同様に下降させ、図14に示すように基板99に貫通しない仮孔群(第4の孔群)123を形成し、金型90を上昇させる。こうして、前述と同様に図7に示すノズル列組53の2つのノズル列52のうち、ノズル群51の長辺側に近いノズル列52となる仮孔列を形成することが可能になる。
なお、金型90のパンチ列92におけるパンチ間隔はノズル列52のノズル間隔の2倍となっているので、P1分の距離だけ第3(第4)の方向に金型90を移動させることで、仮孔列の孔間隔が同じ間隔になる。また、ノズル8となる第1〜第4の孔群121〜124を形成することが可能となってノズル8の高密度配置が可能になる。また、金型90に対して基板99が相対移動する回数である3回のうち、2回までがパンチ列92と同じ方向になるので、XYテーブルの移動誤差によるノズル位置のズレが小さくなる。つまり、XYテーブル107はX方向及びY方向にそれぞれ移動誤差をもっているので、X方向及びY方向に同時に動かしたときに移動誤差が最も大きくなるが、本実施の形態においては、XYテーブル107をX方向及びY方向の2方向に同時に動かす回数が少ないので、XYテーブル107のX方向及びY方向のそれぞれの方向でもつ誤差が影響しにくくなり、その結果、ノズル位置のズレを極力小さくすることができる。
次に、プレス加工装置101から基板99を取り外し、複数の仮孔群(第1〜第4のノズル孔群)121〜124が基板99に金型90のパンチ群93によって形成されたときに形成された基板99の下面(インク吐出面70aとなる面)から突出した突出部を研磨する。このとき、基板99の下面の一部も突出部と同様に研磨除去して下面を平坦な面に仕上げる。こうして、金型90のパンチ群に93によって基板99に形成された仮孔群121〜124が貫通しノズル8及びダミー孔18となる。そして、基板99が矩形平面形状を有するように打ち抜かれてノズルプレート30が完成する。
以上のような本実施の形態におけるインクジェットヘッド1のノズルプレート30の製造方法によると、金型のコストを抑えつつ比較的少ない工数で基板99に対してノズル8となる仮孔群121〜124を形成することが可能になり、複数のノズル8を有するノズルプレート30を製造することができる。つまり、1つのパンチしか有していない金型でノズルが2次元に複数形成されたノズルプレートを製造する場合は、そのノズル数分だけ繰り返しプレス加工する必要があるため製造工程数が増加し、ノズルと同数のパンチを有する金型でノズルプレートを製造する場合は金型コストが増加するが、本発明においては、前者に比べて製造工程数が減少し、後者に比べて金型コストが低減するので、コストバランスの優れた製造方法を実現することができる。
なお、本実施形態の製造方法で製造されたノズルプレート30を用いたインクジェットヘッド1は、上述したようにマルチラインヘッドと称されるものであるが、本実施形態の製造方法は、マルチラインヘッドのノズルプレートのいずれに対しても適用できるものではなく、ノズルプレート30に形成されるノズル8の配列パターンとして、16本のノズル列52が、所定の相対位置関係にある2つのノズル列52の組である8つのノズル列組53a〜53hに分けられるような構成を採用したことにより、本実施形態の製造方法の適用が可能となっている。
上述したように、本実施の形態のノズルプレート30は、16本のノズル列52に属する全てのノズル8に関して、それら各々のノズル列方向(配列方向A)における位置を互いに異ならせたマルチラインヘッド特有の構成を有しているが、それに加えて、ノズル列組53a〜53hに属する2つのノズル列52の相対位置関係は、いずれも、ノズル列方向(配列方向A)に直交する方向における相対距離(第1の所定距離)が3Yで、ノズル列方向(配列方向A)におけるノズル8の偏倚距離(第2の所定距離)が75dpiであり、8つのノズル列組53a〜53hに属する2つのノズル列52の相対位置関係はすべて等しくなるように構成されている。
また、金型90は、ノズル列52のノズルピッチの2倍の間隔でパンチ91が配列されたパンチ列92を8列有し、これらのパンチ列92の各々は、ノズル列組53を構成する2つのノズル列52のうちの所定の1つのノズル列52に対応する位置に配置されている。これにより、1つのパンチ列92に属する複数のパンチ91に1つのノズル列組53に属する全てのノズル8の形成を行わせるべく、上述した製造方法の工程を実行することで、図6及び図7に示すノズルプレート30を形成することができる。ちなみに、図7に示された16本のノズル列52a〜52pが、図示された順番に方向Cにおいて等間隔で配列されているノズルプレートは、マルチラインヘッドとして高解像度の印字が可能なものではあるが、8つのノズル列組53a〜53hに該当する構成を有していないため、本発明の実施形態の製造方法によって製造することはできない。
[第2実施形態]
続いて、本発明の第2実施形態による製造方法で製造されたインクジェットヘッドのノズルプレートについて以下に説明する。図15は、本発明の第2実施形態による製造方法で製造されたインクジェットヘッドのノズルプレートの平面図である。なお、前述と同様なものについては同符号で示し説明を省略する。
図15に示すように本実施の形態におけるノズルプレート230は、第1実施形態のノズルプレート30のノズル群51と同様な構成を有するノズル群251を有しているが、隣接するノズル群251同士の間に形成されたダミー孔218が前述したダミー孔18よりも多く設けられているので、隣接するノズル群251同士の距離が若干広くなっている。ノズル群251は、16列のノズル列252のうち、4つのノズル列252を1つの組として4つのノズル列組253に分けられている。これら4つのノズル列組253は、第1のノズル列252aと第2のノズル列252bと第3のノズル列252cと第5のノズル列252eとで1つの組となったノズル列組253aと、第4のノズル列252dと第6のノズル列252fと第7のノズル列252gと第9のノズル列252iとで1つの組となったノズル組253bと、第8のノズル列252hと第10のノズル列252jと第11のノズル列252kと第13のノズル列252mとで1つの組となったノズル組253cと、第12にノズル列252lと第14のノズル列252nと第15のノズル列252oと第16のノズル列252pとで1つの組となったノズル列組253dとで構成されている。なお、各ノズル列252a〜252pは、前述した第1実施形態のノズル列52a〜52pと同一の構成であり、それらの列間隔も第1実施形態と同一である。
また、ノズル群251の斜辺近傍には、各ノズル列252のノズル8と配列方向Aに沿って連続するダミー孔218(図15中黒丸で示す孔)が形成されている。ダミー孔218は、各ノズル列252の配列方向Aの両端部又は一端部のそれぞれに1つ以上形成されている。つまり、図15中の左側に示すノズル群251(図15中にその全体が示されたノズル群251)の斜辺近傍に形成された複数のダミー孔218は、第1、第4、第8及び第12のノズル列252a,252d,252h,252lの左側端部に1つ形成されており、第2、第6、第10及び第14のノズル列252b,252f,252j,252nの両端部に1つずつ形成されており、第3、第7、第11及び第15のノズル列252c,252g,252k,252oにおいては左側端部に1つ、右側端部に2つ形成されており、第5、第9、第13及び第16のノズル列252e,252l,252m,252pにおいては左側端部に1つ、右側端部に3つ形成されている。これらダミー孔218は、ノズルプレート230にノズル8が形成されるときに形成されたものであって、上述の個別インク流路7と連通していない。なお、図15中右側のノズル群251(図15中にその一部が示されたノズル群251)の斜辺近傍に形成されるダミー孔218は、図15中右側のノズル群251が左側のノズル群251と反対方向を向くように配置されているので、図15中左側のノズル群251の斜辺近傍に形成された複数のダミー孔218が左右逆に形成された状態と同じ状態に形成される。このように1つのノズル群251の斜辺近傍に前述のダミー孔18より多い数で複数のダミー孔218が形成されていることで、隣接するノズル群251の間隔が図7に示した第1実施形態における隣接するノズル群51の間隔より若干大きな間隔となる。そのため、ノズルプレート230は、第1の実施形態の場合に比べても若干大型化する。しかし、後述するように金型290に使用されるパンチの数を第1実施形態の金型90よりも少なくできるため、金型コストの面では有利になる。したがって、ノズルプレート230の製造に厳しい小型化の制約がなく金型コストのコストを低減させたい場合には、第2実施形態を採用することが望ましい。
<ノズルプレートの製造方法>
次に、本実施の形態におけるノズルプレート230の製造方法について、以下に説明する。図16は、本発明の第2実施形態による製造方法で使用される金型の一部の平面図である。図17は、本発明の第2実施形態によるインクジェットヘッドのノズルプレートに形成されるノズルの形成経路を示した説明図である。図18は、第2実施形態に係るノズルプレートに形成されるノズルの形成経路の変形例を示した説明図である。
図16に示すように金型290は、前述した第1実施形態の金型90のパンチ群93を構成するパンチ数よりも少ないパンチ数で構成されたパンチ群293を有している。つまり、金型290は、前述したパンチ群93のパンチ配列が異なったパンチ群293を有しているだけでその他は同じ構成となっている。金型290は、複数のパンチ291が配列方向Aに沿って等間隔に配列されたパンチ列292を有している。パンチ列292は、金型290の短手方向であって方向Cにおいて互いに平行となるように4列形成されており、それら4列のパンチ列292によってパンチ群293が構成されている。パンチ群293は、アクチュエータユニット21に対応する台形領域294の内側に形成されており、パンチ列292が台形領域294の長辺側から短辺側に近づくにつれて各パンチ列292を構成するパンチ291のうちの両端パンチ位置が各パンチ列292において中心に近づくように配列されている。なお、台形領域294はノズル群251の台形領域と同じ平面形状となるように描かれているので、図16中左側のパンチ群293(図16中にその全体が示されたパンチ群293)の右側斜辺近傍には、台形領域294からはみ出した位置にもパンチ291が配置されている。つまり、図16に示す隣接するパンチ群293同士の間に形成された4つのパンチ291a〜291dは、左側のパンチ群293に含まれている。なお、金型290のパンチ群293は、ノズルプレート230のノズル群251の台形領域と同じ向きで対向するように形成されている。
図16に示すように複数のパンチ291は、複数の領域295内にそれぞれ1つずつ配置されている。これらパンチ291は、領域295内の図16中左上側の鈍角近傍部分の片寄った位置に配置されている。これら領域295の各々は、図15に示すように同一のノズル列組253に属する8つのノズル8又は1つのノズル列組53に属するノズル8とダミー孔218とをあわせて計8つになるノズル8及びダミー孔218を8つの角部近傍にそれぞれ配置させるようにして描かれた領域295′と対応している。これにより、複数のパンチ291は、各ノズル列252を構成するノズル8のノズルピッチの2倍の間隔を有して等間隔に配置されていることになる。すなわち、複数のパンチ291は、パンチ列292において37.5dpiの2倍の間隔を有して配列方向Aに沿って配列されている。また、パンチ列292は、各ノズル列組253を構成する4つのノズル列252のうち、方向Cの両端部に位置するいずれか一方のノズル列252と対応するように配置されている。本実施の形態においては、図16中左側のパンチ群293の4列のパンチ列292は、図15に示すノズル列組253を構成するノズル列252のうち、ノズル群251の短辺側に最も近い側のノズル列252と対応する位置にそれぞれ配置されている。また、図16中右側のパンチ群293(図16中にその一部が示されたパンチ群293)の4列のパンチ列292は、ノズル列組253を構成するノズル列252のうち、ノズル群251の長辺側に最も近いノズル列252と対応する位置にそれぞれ配置されている。このように、パンチ群293を構成する4列のパンチ列292は、ノズル列組253を構成する4つのノズル列252のうちの1つのノズル列252に対応する位置に配置され、且つノズル列252の複数のノズル8に対して1つ置きにノズル8と対応しているので、金型290に形成されるパンチ数が、ノズル数の約1/8となり金型290の製造コストが減少する。
ノズルプレート230となる基板99にノズル8を形成するときは、金型290のパンチ群293のパンチ列292がXYテーブル107のX方向に平行になるように金型290をプレス加工装置101の上部治具105aに固定し、基板99をXYテーブル107の支持部106及び金型103の上面で水平に支持されるように配置させる。そして、金型290の上部治具105aを図示しないシリンダで下方に移動させ、図17に示すように領域295と対応する領域295′内の左斜め上の位置にノズル8となる基板99を貫通しない仮孔群(第1の孔群)321を基板99の所定位置に形成し、金型290を上昇させる。なお、図17においては、第1の孔群321に属する孔321aや後述の第2〜第8のノズル孔群322〜328に属する孔322a〜328aは1つずつしか描かれていないが、実際には、複数の領域295′の全てにわたって各ノズル孔群321〜328が形成されている。つまり、領域295′を図15に当てはめて考えると、各ノズル孔群321〜328がそれぞれ同時に複数形成されることになる。
次に、XYテーブル107をX方向に移動させ、金型290に対して基板99を図17に示すP1分の距離(ノズル列252におけるノズルピッチと等しい距離)だけ配列方向Aに平行な方向(第1の方向)141に相対移動させる。そして、金型290を同様に下降させ、図17に示すように、基板99に貫通しない仮孔群(第2の孔群)322を形成し、金型90を上昇させる。こうして、図15に示すノズル列組253の4つのノズル列252のうち、ノズル群251の短辺側に最も近いノズル列252となる仮孔列が形成されるとともに、この仮孔列の両端部に位置する仮孔が後のダミー孔218となる。また、金型290のパンチ列292におけるパンチ間隔はノズル列252のノズル間隔の2倍となっているので、仮孔列の孔間がノズル列252の孔間と同じ間隔になる。
次に、XYテーブル107をX方向に移動させ、金型290に対して基板99を図17に示すP2′分の距離(第2の所定距離)だけ配列方向Aに平行な方向に142aに相対移動させつつ、XYテーブル107をY方向に移動させ、金型290に対して基板99を図17に示すP2′′分の距離(第1の所定距離)だけ方向Cに平行な方向142bに相対移動させる。つまり、XYテーブル107をX方向に移動させつつY方向に移動させ、金型290に対して基板99を配列方向Aと方向Cとの合成方向であって図17中左斜め下方向(第2の方向)142に相対移動させる。そして、金型290を同様に下降させ、図17に示すように基板99に貫通しない仮孔群(第3の孔群)323を形成し、金型290を上昇させる。
次に、XYテーブル107をX方向に移動させ、金型290に対して基板99をP1分の距離だけ第1の方向と反対方向(第3の方向)143に相対移動させる。そして、金型290を同様に下降させ、図17に示すように基板99に貫通しない仮孔群(第4の孔群)324を形成し、金型290を上昇させる。こうして、図15に示すノズル列組253の4つのノズル列252のうち、ノズル群251の短辺側に2番目に近いノズル列252となる仮孔列が形成されるとともに、この仮孔列の両端部に位置する仮孔が後のダミー孔218となる。
次に、XYテーブル107をX方向に移動させ、金型290に対して基板99を図17に示すP4′分の距離だけ配列方向Aに平行な方向に145aに相対移動させつつ、XYテーブル107をY方向に移動させ、金型290に対して基板99を図17に示すP4′′分の距離だけ方向Cに平行な方向145bに相対移動させる。つまり、XYテーブル107をX方向に移動させつつY方向に移動させ、金型290に対して基板99を配列方向Aと方向Cとの合成方向であって図17中左斜め下方向145に相対移動させる。そして、金型290を同様に下降させ、図17に示すように基板99に貫通しない仮孔群(第5の孔群)325を形成し、金型290を上昇させる。
次に、XYテーブル107をX方向に移動させ、金型290に対して基板99をP1分の距離だけ配列方向Aに平行な方向(第1の方向)141に相対移動させる。そして、金型290を同様に下降させ、図17に示すように基板99に貫通しない仮孔群(第6の孔群)326を形成し、金型290を上昇させる。こうして、図15に示すノズル列組253の4つのノズル列252のうち、ノズル群51の長辺側に2番目に近いノズル列252となる仮孔列が形成されるとともに、この仮孔列の両端部に位置する仮孔が後のダミー孔218となる。
次に、XYテーブル107をX方向に移動させ、金型290に対して基板99をP2′分の距離だけ配列方向Aに平行な方向に142aに相対移動させつつ、XYテーブル107をY方向に移動させ、金型290に対して基板99をP2′′分の距離だけ方向Cに平行な方向142bに相対移動させる。つまり、XYテーブル107をX方向に移動させつつY方向に移動させ、金型290に対して基板99を配列方向Aと方向Cとの合成方向であって図17中左斜め下方向(第2の方向)142に相対移動させる。そして、金型290を同様に下降させ、図17に示すように基板99に貫通しない仮孔群(第7の孔群)327を形成し、金型290を上昇させる。
次に、XYテーブル107をX方向に移動させ、金型290に対して基板99をP1分の距離だけ第1の方向と反対方向(第3の方向)143に相対移動させる。そして、金型290を同様に下降させ、図17に示すように基板99に貫通しない仮孔群(第8の孔群)328を形成し、金型290を上昇させる。こうして、図15に示すノズル列組253の4つのノズル列252のうち、ノズル群251の長辺側に最も近いノズル列252となる仮孔列が形成されるとともに、この仮孔列の一端部に位置する仮孔が後のダミー孔218となる。
また、第3〜第8の孔群を形成する際の変形例として、図18に示すように、XYテーブル107をX方向に移動させ、金型290に対して基板99をP3分の距離だけ配列方向Aに平行な方向に142a′に相対移動させつつ、XYテーブル107をY方向に移動させ、金型290に対して基板99をP2′′(第1の所定距離)分の距離だけ方向Cに平行な方向142b′に相対移動させる。つまり、XYテーブル107をX方向に移動させつつY方向に移動させ、金型290に対して基板99を配列方向Aと方向Cとの合成方向であって図18中左斜め下方向(第2の方向)142′に相対移動させる。そして、金型290を同様に下降させ、図18に示すように基板99に貫通しない仮孔群(第3の孔群)324を形成し、金型290を上昇させる。なお、ここでの第2の所定距離となるP3は、図18から明らかなように、図17に示す距離P1と距離P2′とを合わせた距離となっている。次に、XYテーブル107をX方向に移動させ、金型290に対して基板99をP1分の距離だけ第1の方向と同方向(第4の方向)143′に相対移動させる。
そして、金型290を同様に下降させ、図18に示すように基板99に貫通しない仮孔群(第4の孔群)123を形成し、金型290を上昇させる。こうして、前述と同様に図15に示すノズル列組253の4つのノズル列252のうち、ノズル群251の短辺側に2番目に近いノズル列252となる仮孔列を形成することが可能になる。
次に、XYテーブル107をX方向に移動させ、金型290に対して基板99をP5分の距離(P1とP4′を合わせた距離)だけ配列方向Aに平行な方向に145a′に相対移動させつつ、XYテーブル107をY方向に移動させ、金型290に対して基板99をP4′′分の距離だけ方向Cに平行な方向145b′に相対移動させる。つまり、XYテーブル107をX方向に移動させつつY方向に移動させ、金型290に対して基板99を配列方向Aと方向Cとの合成方向であって図18中左斜め下方向145′に相対移動させる。そして、金型290を同様に下降させ、図18に示すように基板99に貫通しない仮孔群(第5の孔群)325を形成し、金型290を上昇させる。次に、XYテーブル107をX方向に移動させ、金型290に対して基板99をP1分の距離だけ配列方向Aに平行な方向(第1の方向)141に相対移動させる。そして、金型290を同様に下降させ、図18に示すように基板99に貫通しない仮孔群(第6の孔群)326を形成し、金型290を上昇させる。こうして、前述と同様に図15に示すノズル列組253の4つのノズル列252のうち、ノズル群251の長辺側に2番目に近いノズル列252となる仮孔列を形成することが可能になる。
次に、XYテーブル107をX方向に移動させ、金型290に対して基板99をP3分の距離だけ配列方向Aに平行な方向に142a′に相対移動させつつ、XYテーブル107をY方向に移動させ、金型290に対して基板99をP2′′(第1の所定距離)分の距離だけ方向Cに平行な方向142b′に相対移動させる。つまり、XYテーブル107をX方向に移動させつつY方向に移動させ、金型290に対して基板99を配列方向Aと方向Cとの合成方向であって図18中左斜め下方向(第2の方向)142′に相対移動させる。そして、金型290を同様に下降させ、図18に示すように基板99に貫通しない仮孔群(第7の孔群)328を形成し、金型290を上昇させる。次に、XYテーブル107をX方向に移動させ、金型290に対して基板99をP1分の距離だけ第1の方向と反対方向(第4の方向)143′に相対移動させる。そして、金型290を同様に下降させ、図18に示すように基板99に貫通しない仮孔群(第8の孔群)327を形成し、金型290を上昇させる。こうして、図15に示すノズル列組253の4つのノズル列252のうち、ノズル群251の長辺側に最も近いノズル列252となる仮孔列を形成することが可能になる。
なお、金型290のパンチ列292におけるパンチ間隔はノズル列252のノズル間隔の2倍となっているので、P1分の距離だけ第1及び第3の方向に金型90を移動させることで、仮孔列の孔間隔が同じ間隔になる。また、ノズル8となる第1〜第8の孔群321〜328を形成することが可能となってノズル8の高密度配置が可能になる。また、金型290に対して基板99が相対移動する回数である7回のうち、4回までがパンチ列292と同じ方向になるので、ノズル位置のズレが小さくなる。つまり、XYテーブル107をX方向及びY方向の2方向に同時に動かす回数が少ないので、XYテーブル107のX方向及びY方向のそれぞれの方向でもつ誤差が影響しにくくなり、その結果、ノズル位置のズレがXYテーブルの誤差によって生じにくくなる。
次に、プレス加工装置101から基板99を取り外し、複数の仮孔群(第1〜第8のノズル孔群)321〜328が基板99に金型290のパンチ群293によって形成されたときに形成された基板99の下面から突出した突出部を研磨する。このとき、基板99の下面の一部も突出部と同様に研磨除去して下面を平坦な面に仕上げる。こうして、金型290のパンチ群293によって基板99に形成された仮孔群321〜328が貫通しノズル8及びダミー孔218となる。そして、基板99が矩形平面形状を有するように打ち抜かれて台形領域を有するノズル群251が形成されたノズルプレート230が製造される。
以上のような本実施の形態におけるインクジェットヘッドのノズルプレート230の製造方法においても第1実施形態による製造方法と同様な効果を得ることができる。つまり、金型コストを抑えつつ比較的少ない工数で基板99に対してノズル8となる仮孔群321〜328を形成することが可能になり、複数のノズル8を有するノズルプレート230を製造することができる。なお、本実施の形態においては、第1実施形態より約2倍の工程数の増加が見られるが、金型290のパンチ数が金型90のパンチ数の約1/2になっているので、金型費が減少する。つまり、第2実施形態のノズルプレートの製造方法によると、第1実施形態のノズルプレートの製造方法に比べてノズルプレートを製造する時間が長くなるが、金型費は安くなる。そのため、金型コストの低減をより優先させたい場合は、第2実施形態による製造方法を行うことが望ましい。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。例えば、上述した第1及び第2実施形態のノズルプレートの製造方法において、第2の方向がノズル列に平行な第1の方向と交差しておればどの方向であってもよい。
また、ノズルプレート30,230のノズル群51,251は、2又は4列のノズル列52,252によって構成されたノズル列組53,253を有しているが、ノズル群が少なくとも3又は5列以上のノズル列によって構成されたノズル列組を有しておればよい。また、金型90,290のパンチ列92,292のパンチ91,291のパンチ間隔は、ノズル列におけるノズルピッチの2以上の倍数に等しければよい。
本発明の第1実施形態による製造方法で製造されたノズルプレートが適用されたインクジェットヘッドの外観斜視図である。 図1に示すインクジェットヘッドの断面図である。 図1に示すインクジェットヘッドに含まれるヘッド本体の平面図である。 図3の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。 図3に示すヘッド本体の圧力室に対応した部分断面図である。 図5に示す流路ユニットのノズルプレートの平面図である。 図6に示す2点鎖線で囲まれた領域の拡大平面図である。 図3に描かれたアクチュエータユニット上に形成された個別電極の平面図である。 図3に描かれたアクチュエータユニットの部分断面図である。 本発明の第1実施形態に係るインクジェットヘッドの製造工程図である。 本発明の第1実施形態による製造方法で使用される金型の一部の平面図である。 本発明の第1実施形態による製造方法で使用されるプレス加工装置の概略構成図である。 本発明の第1実施形態によるインクジェットヘッドのノズルプレートに形成されるノズルの形成経路を示した説明図である。 第1実施形態に係るノズルプレートに形成されるノズルの形成経路の変形例を示した説明図である。 本発明の第2実施形態による製造方法で製造されたインクジェットヘッドのノズルプレートの平面図である。 本発明の第2実施形態による製造方法で使用される金型の一部の平面図である。 本発明の第2実施形態によるインクジェットヘッドのノズルプレートに形成されるノズルの形成経路を示した説明図である。 第2実施形態に係るノズルプレートに形成されるノズルの形成経路の変形例を示した説明図である。
符号の説明
1 インクジェットヘッド
4 流路ユニット
8 ノズル
10 圧力室
30,230 ノズルプレート
51,251 ノズル群
52,252 ノズル列
53,253 ノズル列組
90、290 金型
91,291 パンチ
92,292 パンチ列
93,293 パンチ群
99 基板
121,321 孔群(第1のノズル群)
122,322 孔群(第2のノズル群)
123,323 孔群(第3のノズル群又は第4のノズル群)
124,324 孔群(第4のノズル群又は第3のノズル群)
141 方向(第1の方向)
142,142′ 方向(第2の方向)
143 方向(第3の方向)
143′ 方向(第4の方向)

Claims (9)

  1. ノズル孔を形成するためのパンチを複数有するパンチ群によって、ノズルプレートとなる基板に前記ノズル孔が2次元に配列されたノズル群を形成するノズルプレートの製造方法であって、
    前記ノズル群は、複数の前記ノズル孔が一方向に沿って所定間隔に配列されてなるノズル列を複数有して構成され、
    前記複数のノズル列は、前記一方向に直交する方向において第1の所定距離だけ互いに離間し、且つ前記一方向において第2の所定距離だけ互いに偏倚した2つのノズル列を含むノズル列組を複数有しており、
    前記パンチ群は、前記ノズル列組を構成するノズル列のいずれか一列のノズル列に対応するパンチ列を複数有して構成され、前記パンチ列上におけるパンチの間隔は、前記ノズル列におけるノズル孔の前記所定間隔の2以上の倍数に等しいものとされ、
    前記パンチ群によって前記基板に第1のノズル孔群を形成する工程と、
    前記第1のノズル孔群を形成した後に、前記パンチ群に対して前記基板を前記一方向と平行な第1の方向に相対移動させる工程と、
    前記第1の方向に相対移動させる工程の後に、前記パンチ群によって前記基板に第2のノズル孔群を形成する工程と、
    前記第2のノズル孔群を形成した後に、前記パンチ群に対して前記基板を前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って、前記一方向に直交する方向には前記第1の所定距離だけ、且つ、前記一方向には前記第2の所定距離だけ前記第1又は第2のノズル孔群から離隔した位置に相対移動させる工程と、
    前記第2の方向に相対移動させる工程の後に、前記パンチ群によって前記基板に第3のノズル孔群を形成する工程とを含むことを特徴とするノズルプレートの製造方法。
  2. 前記第2の方向が、前記第1の方向と向きが反対の方向、及び、前記一方向に直交する方向の合成方向であることを特徴とする請求項1に記載のノズルプレートの製造方法。
  3. 前記第3のノズル孔群を形成した後に、前記パンチ群に対して前記基板を前記第1の方向と平行で且つ向きが反対である第3の方向に相対移動させる工程と、
    前記第3の方向に相対移動させる工程の後に、前記パンチ群によって前記基板に第4のノズル孔群を形成する工程とをさらに備えていることを特徴とする請求項に記載のノズルプレートの製造方法。
  4. 前記第3のノズル孔群を形成した後に、前記パンチ群に対して前記基板を前記第1の方向と平行で且つ向きが同じである第4の方向に相対移動させる工程と、
    前記第4の方向に相対移動させる工程の後に、前記パンチ群によって前記基板に第4のノズル孔群を形成する工程とをさらに備えたことを特徴とする請求項に記載のノズルプレートの製造方法。
  5. 前記第1、第3又は第4の方向に相対移動させる工程において、前記パンチ群は、前記一方向において前記所定間隔に等しい距離の相対移動がなされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のノズルプレートの製造方法。
  6. 前記第2の所定距離が、前記所定間隔以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のノズルプレートの製造方法。
  7. 前記一方向と直交する方向に全ての前記ノズル列と交差する前記所定間隔の幅の帯状領域と前記一方向に延びる直線とを想定したとき、前記帯状領域内では、前記ノズル列に属するそれぞれ1つのノズル孔が配置されると共に、各ノズル孔を前記一方向に直交する方向から前記直線上に射影した射影点が一定の間隔で離隔していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のノズルプレートの製造方法
  8. 前記ノズル孔群を形成する工程において、
    前記基板の前記ノズル吐出面となる面には、前記ノズル孔に対応して突出した複数の突出部が形成され、
    前記ノズル孔群の形成が完了した後に、前記インク吐出面となる面の一部と共に前記複数の突出部を除去することで、前記基板を貫通する複数のノズルを形成する突出部除去工程を含んでいることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のノズルプレート製造方法
  9. 前記ノズルプレートは、
    インクが吐出される前記ノズル孔と前記ノズル孔に連通したインク流路とが形成された流路ユニットと、前記流路ユニットの一面に固定され、前記ノズル孔からインクを吐出させる平面形状が台形のアクチュエータユニットと、前記流路ユニットの前記一面に接続され、前記インク流路に供給されるインクを一時的に貯留するインク溜が形成されたリザーバユニットとを含むインクジェットヘッドに使用されるものであり、
    前記ノズルプレートは、
    前記流路ユニットの一面と反対側に配置され、前記一面から前記インク吐出面に向かう方向に関して前記アクチュエータユニットが占める領域と重なるように、前記ノズル孔群が配置されたインク吐出領域を複数含むインク吐出面が形成された矩形平面形状を有するシート材であって、
    前記ノズル孔群は、
    台形の平面形状を有し、前記ノズルプレートの長手方向である前記第1の方向に沿って2列の千鳥状に配置されると共に、隣接するノズル孔群の前記台形の斜辺同士が前記一方向に直交する方向にオーバーラップしており、
    全ての前記ノズル孔が、前記第1の方向に関して、前記インクジェットヘッドによる印字の解像度に相当する間隔ずつ離隔して配置されていることを特徴とする請求項8に記載のノズルプレートの製造方法。
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