JP2006256066A - 基材の表面に樹脂シートを被覆する方法および被覆部材 - Google Patents

基材の表面に樹脂シートを被覆する方法および被覆部材 Download PDF

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Abstract

【課題】 基材の表面に樹脂シートを被覆する方法であって、被覆後も樹脂シートの機能や形状を保持することができ、さらに、温度制御が容易な方法を提供する。また、その方法により得られる被覆部材を提供する。
【解決手段】 本発明の基材の表面に樹脂シートを被覆する方法は、導電性をもつ基材1の表面に熱可塑性樹脂を含む樹脂シート2を接触させる接触工程と、誘導加熱により基材1の少なくとも表面部を昇温させる昇温工程と、基材1との接触面21を含む樹脂シート2の界面部22が基材1の昇温により溶融したときに誘導加熱を停止して樹脂シート2の厚さ方向への加圧により基材1と樹脂シート2とを圧着する圧着工程と、からなる。
また、本発明の被覆部材は、上記の方法により得られる被覆部材であって、基材1と樹脂シート2とが、樹脂シート2の界面部22の変態によって接触面で密着している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、鋼板などの基材の表面に樹脂製のシートを被覆する方法、および、基材の表面に樹脂製のシートが被覆された被覆部材に関する。
鋼板などの基材の表面に樹脂製の被膜を形成して、高い摺動特性や耐焼付き性、耐薬品性などを付与した被覆部材が、幅広い分野で用いられている。樹脂製の被膜をもつ被覆部材を製造する方法としては、樹脂を塗料にして基材の表面へ塗装したり、溶融した樹脂を基材の表面で成形する、などして被膜を形成するのが一般的である。
ところが、上記の方法では、二種以上の樹脂を用いた場合に分離が生じる、充填材等の添加物が均一に分布しない、制御した充填材の配向が変化する、などの問題が生じやすい。その結果、被膜の形成により付与されるはずの機能が発揮されないという問題がある。また、溶融した樹脂を基材の表面で成形する場合には、樹脂の表面に金型の表面形状が転写され、被覆部材の用途によっては不都合を生じる。特に、被膜の表面側が摺動部材の摺動面として用いられる場合には、良好な摺動特性が発揮されないこともある。さらに、被膜の膜厚の制御も困難である。
また、特許文献1には、鋼板のみを加熱して、その鋼板に熱圧着可能な断熱材を貼付する断熱材貼付装置を開示している。特許文献1の装置によれば、鋼板を加熱した後で断熱材を貼付している。特許文献2には、フッ素樹脂からなる樹脂フィルムを金属表面に被覆する方法が開示されている。特許文献2の方法では、金属の表面を樹脂フィルムの融点よりも30〜120℃高い温度に調整して加熱し、その後、樹脂フィルムを圧着する。しかし、特許文献1や特許文献2では、温度が高すぎると、断熱材や樹脂フィルムが完全に溶融して被膜が変形したり破損したりする。逆に、温度が低すぎると接着されない。そのため、両者を良好に接着するためには、加熱温度をうまく調節する必要がある。しかし、用いる樹脂の種類や部材の形状によっては、温度の制御が困難である。
特開平8−267697号公報 特開平7−125136号公報
本発明は、上記の問題点に鑑み、基材の表面に樹脂シートを被覆する方法であって、被覆後も樹脂シートの機能や形状を保持することができ、さらに、温度制御が容易な方法を提供することを目的とする。また、その方法により得られる被覆部材を提供することを目的とする。
本発明の基材の表面に樹脂シートを被覆する方法は、導電性をもつ基材の表面に熱可塑性樹脂を含む樹脂シートを接触させる接触工程と、誘導加熱により前記基材の少なくとも表面部を昇温させる昇温工程と、前記基材との接触面を含む前記樹脂シートの界面部が該基材の昇温により溶融したときに誘導加熱を停止して該樹脂シートの厚さ方向への加圧により該基材と該樹脂シートとを圧着する圧着工程と、からなることを特徴とする。
ここで、樹脂シートの「界面部」とは、誘導加熱により溶融する、ある程度の厚さをもった樹脂シートの表面部を表す。通常、「界面」とは、互いに性質の違う二つの物質が接する境の面をいうが、本明細書では、樹脂シート側に存在する基材との界面を含む部分を単に「界面部」と記す。
また、本発明の被覆部材は、導電性をもつ基材の表面に熱可塑性樹脂を含む樹脂シートを接触させて、誘導加熱により該基材の少なくとも表面部を昇温させて、該基材との接触面を含む該樹脂シートの界面部が該基材の昇温により溶融したときに誘導加熱を停止して該樹脂シートの厚さ方向への加圧により該基材と該樹脂シートとを圧着されてなり、前記基材と前記樹脂シートとが、該樹脂シートの界面部の変態によって前記接触面で密着していることを特徴とする。
ここで「変態」とは、相の変化、たとえば、固体相から液体相への変化を言う。したがって「樹脂シートの界面部の変態によって密着している」とは、固体状態から溶融状態に変態させて、その後、固化することにより、基材と樹脂シートとが接触面で密着している状態を指す。
本発明によれば、接触工程において接触させた基材と樹脂シートとの接触面を昇温工程にて加熱できる。この際、樹脂シートは誘電加熱によって加熱されないため、樹脂シート、特に樹脂シートの界面部と背向する表面側(以下「樹脂シートの表面側」と略記)の機能や形状が保持される。そして、樹脂シートの厚さが大きく変わることなく、基材と樹脂シートとを良好に圧着させることができる。
また、誘電加熱は、樹脂シートの界面部が溶融したときに停止すればよいため、適切な温度を見積もる必要がなく、温度制御が容易である。さらに、焼成工程や被覆後の表面加工が不要となり、効率よく被覆部材を製造できる。
本発明の基材の表面に樹脂シートを被覆する方法(以下「被覆方法」と略記)は、主として、接触工程と、昇温工程と、圧着工程と、からなる。
接触工程は、導電性をもつ基材の表面に熱可塑性樹脂を含む樹脂シートを接触させる工程である。具体的には、たとえば、板状の基材と樹脂シートとを積層状態にする、また、基材の表面形状に合わせて基材の周囲を樹脂シートで覆う、などして基材の表面に樹脂シートを接触させればよい。
基材としては、後の昇温工程にて誘導加熱により昇温されるため、導電性をもつ材料からなる基材を用いる。具体的には、体積抵抗率が、109 Ω・cm以下であるのが好ましい。さらには、1×107 〜1×109 Ω・cmである金属材料が好ましい。すなわち、鉄、アルミニウム、マグネシウム、チタン、銅、または、それらの合金や、クロム、ニッケル、亜鉛、銀、金、超合金(JIS記号でNCF800、NCF600等)などを用いることができる。特に、アルミニウム合金、マグネシウム合金、銅合金(青銅、黄銅(真鍮)等)、鉄、鋳鉄、ステンレス鋼、炭素鋼などは、誘導加熱に適し、高剛性であるため、好ましい。また、基材の形状に限定はない。そのため、本発明の被覆方法は、各種部品に適用することができる。
基材は、摺動部品、特に、圧縮機の摺動部品であるのが好ましい。すなわち、本発明の被覆方法は、摺動部材の製造方法でもある。たとえば、本発明の被覆方法は、斜板式圧縮機の斜板に用いることができる。また、本発明の被覆方法は、圧縮機のシューに用いることができる。斜板式圧縮機の斜板とシューとは、潤滑油がないドライ状態で相互に摺動する場合がある。このような非常に厳しい無潤滑状態で摺動する場合であっても、焼付きや摩耗などを起こさないことが望まれる。好適な樹脂シートを摺動面側に用いることで、斜板式圧縮機に要求される条件を十分に満たすことができる。
上記の他、圧縮機の駆動軸を支持する軸受にも用いることができる。また、ピストン式圧縮機の駆動軸に一体的に軸支されると共に駆動軸をピストン式圧縮機のハウジングに回転可能に枢支され駆動軸と同期回転することで圧縮室と吸入圧力領域との間のガス通路を開閉可能とするロータリーバルブや、ピストン式圧縮機のピストンに用いることもできる。
樹脂シートは、熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂であれば、後述の圧着工程にて、基材と良好に圧着される。熱可塑性樹脂は、複数種類の熱可塑性樹脂を混合したものであってもよい。また、所望の機能を付与するために、充填材などを添加してもよい。充填材としては、公知のものが使用でき、たとえば、クレー、ガラス、アルミナ、シリカ、窒化アルミニウム、窒化珪素、黒鉛などの充填材の他、ガラス繊維やアラミド繊維、炭素繊維などの繊維状充填材、合成マイカ、天然マイカ(マスコバイト、フロゴパイト、セリサイト、スゾライト等)、焼成された合成マイカや天然マイカ、ベーマイト、タルク、イライト、カオリナイト、モンモリロナイト、バーミキュライト、スメクタイト、板状アルミナ、鱗片状チタン酸塩(たとえば、鱗片状チタン酸マグネシウムカリウム、鱗片状チタン酸リチウムカリウム等)などの鱗片状(板状)粉体、等が挙げられる。
なお、上述のように、基材が摺動部品であれば、樹脂シートは、熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物と、その樹脂組成物に保持される固体潤滑剤と、からなり該基材の摺動面側に被覆される摺動層用シートであるのが好ましい。固体潤滑剤を含む摺動層は、摺動特性に優れる。
樹脂組成物は、固体潤滑剤を保持することができる熱可塑性樹脂であればその種類に特に限定はないが、耐熱性樹脂であるのが好ましい。樹脂が耐熱性樹脂であれば、摺動部品の使用環境が高温環境下(150℃以上)であったり、使用中に温度が上昇したりする摺動部品であっても、熱により樹脂成分が変性することなく使用できる。また、摺動特性や、耐薬品性に優れた熱可塑性樹脂であってもよい。具体的には、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の他、四フッ化エチレン(PTFE)、四フッ化エチレン・エチレン共重合体(ETFE)、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル共重合体(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂、ポリフェニルスルフィド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、液晶ポリエステル(LCP)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリアセタール(POM)、また、PA6、PA66、PA11、PA11、PA12、PA46等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリシクロヘキシレン・ジメチレン・テレフタレート(PCT)等の熱可塑ポリエステル樹脂、等を単独または二種以上を使用することができる。
なお、PEEK樹脂などの耐薬品性に優れる熱可塑性樹脂は、溶媒に溶解させて塗料とすることが困難であるため、本発明の被覆方法が、特に有効である。
固体潤滑剤としては、フッ素樹脂やフッ化黒鉛、フッ化カルシウムなどのフッ素化合物、黒鉛やタルクなどの層状構造物、など固体潤滑剤として通常用いられているものであればよい。その他にも、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、酸化チタン、炭化タングステン、窒化ホウ素、メラミンシアヌレート等が使用できる。さらに、上述の各種充填材を添加することも可能である。
なお、樹脂シートは、後の昇温工程において、誘導加熱により加熱されると不都合である。そのため、樹脂シートの体積抵抗率は、基材の体積抵抗率より大きい必要がある。熱可塑性樹脂のほとんどは体積抵抗率が大きいものであるが、固体潤滑剤や充填材の種類や量によっては、導電性が付与されることもある。したがって、具体的には、樹脂シートの体積抵抗率が、1013Ω・cm以上であるのが好ましい。
樹脂シートは、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法などの公知の各種成形方法によりシート状に成形された樹脂シートであればよい。この際、固体潤滑剤等の添加物をシート内に均一に分布させたり、厚さ方向の分布に傾斜をもたせたり、などして所望の機能を付加するとよい。本発明の被覆方法では、後に詳説するが、樹脂シートの成形時に付与した機能を、被覆部材とした後でも良好に保持することができる。また、樹脂シートの厚さは、10μm以上であるのが好ましく、さらに好ましくは0.01〜5mmである。本発明の被覆方法は、後に詳説するように樹脂シートの界面部の変態により基材の表面に溶着するため、10μm以上の厚い樹脂シートを被覆する方法として好適である。
基材の表面に樹脂シートを接触させる際には、基材の表面に樹脂シートを載置するだけでもよいが、樹脂シートの接触面と基材の表面とが良好に接触するように押圧するのが望ましい。押圧する手段は、後の圧着工程で加圧に用いられる手段と兼用してもよい。なお、押圧する圧力としては、100MPa以下であるのが望ましい。
昇温工程は、誘導加熱により基材の少なくとも表面部を昇温させる工程である。誘電加熱は、電磁誘導現象を利用した加熱方法であって、被加熱部材を交流電源に結線されたコイルに挿入して電流を流すと磁束(磁力線)が発生し、被加熱部材に誘導電流が流れ、被加熱部材にジュール熱が発生する。この際、コイルに流れる交流の周波数が高いと、被加熱部材の表面層に誘導電流が局限される(表皮効果)ため、被加熱部材の表面を集中的に加熱することができる。
すなわち、誘導加熱により、基材の表面部を集中的に昇温させることができる。本発明の被覆方法では、基材と樹脂シートとの接触面において両者を圧着させるので、基材の表面が昇温されれば十分であり、また、厚みのある基材であっても昇温・冷却に時間を要しないため、効率がよい。さらに、誘電加熱を用いれば、基材を急速に昇温できるため、焼鈍などによる基材の劣化を抑制することができる。
また、前述のように、樹脂シートの体積抵抗率は、基材の体積抵抗率より大きい。そのため、誘導加熱により樹脂シートが加熱されることが無い。すなわち、樹脂シートは、基材との接触面を含む界面部のみが、基材の昇温とともに加熱・昇温される。
この際、樹脂シートの接触面と背向する表面側は熱の影響を受けないため、熱により溶融したり劣化することがなく、樹脂シートの表面側の機能や形状が保持される。具体的には、樹脂シートの表面形状(たとえば、表面粗さ)、熱可塑性樹脂の組成や物性、固体潤滑剤等の添加物の分布状態、などである。特に、樹脂シートの表面粗さや固体潤滑剤の分布は摺動特性に重要であるため、摺動層用シートに好適となるように形成された樹脂シートを基材に被覆する場合に、本発明の被覆方法は優れた効果を発揮する。
誘導加熱に用いられるコイルは、基材の形状に適宜合わせたものを使用すればよい。また、誘導加熱には、高周波電源を用いた高周波誘導加熱装置を用いるのがよい。この際、周波数は、基材の種類や形状にもよるが、10〜1000kHzで用いるのが望ましい。
圧着工程は、基材との接触面を含む樹脂シートの界面部が基材の昇温により溶融したときに誘導加熱を停止して樹脂シートの厚さ方向への加圧により基材と樹脂シートとを圧着する工程である。
前述したように、昇温工程において、樹脂シートは、基材との接触面を含む界面部のみが基材の加熱とともに加熱される。加熱が進行すると界面部は昇温され、樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂の融点にまで達し、界面部は溶融する。そして、界面部が溶融したときに誘導加熱を停止することにより、昇温は停止され、界面部の温度は降下する。そのため、樹脂シートのうち溶融する部分は、接触面から僅かな部分のみにとどまり、溶融する範囲が樹脂シートの表面側にまで及ぶことはない。
そして、樹脂シートの厚さ方向への加圧により基材と樹脂シートとを圧着する。樹脂シートへの加圧は、誘導加熱を停止するまでの間に加圧されていればよい。すなわち、接触工程において基材と樹脂シートとを押圧して接触させた状態で誘導加熱したり、誘導加熱を停止すると同時に樹脂シートの厚さ方向に加圧することもできる。前述のように、溶融する部分は樹脂シートの界面部のみであるため、加圧しても、樹脂シートの厚さが大きく変わることなく、基材と樹脂シートとを良好に圧着させることができる。
ここで、図1は、本発明の被覆方法により製造される被覆部材(すなわち、本発明の被覆部材)の断面図である。被覆部材は、導電性の基材1と、基材1の表面に被覆された樹脂シート2と、からなる。接触工程にて基材1の表面(接触面)21に接触された樹脂シート2は、昇温工程および圧着工程を経て互いに溶着される。基材の表面(接触面)21では、接触面21を含むシートの界面部22の変態によって、基材1と樹脂シート2とが密着している。
この際、界面部の厚さは、1μm以上であるのが好ましい。界面部の厚さが1μm以上であれば、基材との密着性が良好に得られる。また、樹脂シートの厚さが0.01〜5mmであれば、界面部の厚さが1〜500μmであるのが好ましい。なお、樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂の種類にもよるが、圧着工程において、樹脂シートの界面部が基材の昇温により溶融したときに誘導加熱を停止すれば、厚さが1〜500μmで基材との密着性の高い界面部が極薄く形成される。
また、圧着工程では、誘導加熱を停止すると同時に樹脂シートの厚さ方向に加圧する。加圧の際の圧力は、樹脂シートが破損したり変形したりすることのない程度であれば、基材との高い密着性も得られる。
昇温工程において、基材の表面部のみを昇温させれば、誘導加熱の停止後速やかに基材の温度が低下するが、さらに、基材および樹脂シートを冷却する冷却工程を行ってもよい。冷却工程により、樹脂シートの界面部の固化を促進することができる。冷却は、昇温工程の直後や、圧着工程の間に行ってもよいが、圧着工程後、直ちに行うのがよい。誘導加熱されないプレス板を用いる場合は、圧着・冷却工程を兼ねることができるので望ましい。または、冷却する方法として、液体窒素ガスなど冷却ガス噴射などを行っても良い。
また、本発明の被覆方法には、図2に記載の装置を用いることができる。図2は、本発明の被覆方法に用いることのできる被覆部材製造装置の一例を模式的に示す説明図である。本装置は、主として、加圧手段3と、昇温手段4と、からなる。
加圧手段3は、加圧本体30と、加圧本体30に互いに対向し平行に保持された1対のプレス板31、32からなる。プレス板31および32は板状で、詳しくは、基材の一面を保持する基材側プレス板31と、樹脂シートの一面を保持する樹脂シート側プレス板32と、からなる。プレス板31および32は、対向する面の面間隔を狭める方向に移動することにより、加圧を行う。なお、図2に示す加圧手段は、その一例を図示したものであり、体積抵抗率が高く、昇温工程において誘導加熱されないアルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミ、ジルコニア等のセラミックス(体積抵抗率が1014Ω・cmより大きい)などからなるプレス板を用いたプレス機であれば、一般的な構成のプレス機を用いることができる。また、プレス板の形状は、基材の誘導加熱の妨げにならない限り、基材の形状に合わせて選択すればよい。
昇温手段4は、交流電源40と、交流電源40に結線された誘導コイル41と、からなる。誘導コイル41は、その内部に加圧手段3の各プレス板31、32が挿入されている。なお、図2に示す昇温手段は、その一例を図示したものであり、誘導コイルの形状を基材の形状に合わせて選択すれば、一般的な誘導加熱装置を用いることができる。
被覆部材を作製する際には、基材1の表面に樹脂シート2を載置した状態で、加圧手段3のプレス板31および32の対向する面間で基材1と樹脂シート3とを挟持するように押圧して、両者を接触させる。次に、交流電源40を作動させ、基材1を加熱する。基材1は、表皮効果により、基材1と樹脂シート2との界面を含む表面が加熱・昇温される。樹脂シート3の融点に達したところで、交流電源40を切り、同時に、プレス板31、32にて樹脂シート2の厚さ方向に加圧を行う。
なお、基材の表面に熱電対53、54を配置し、作業中の基材の表面の温度を測定すると共に、交流電源40に測定結果を出力して、昇温手段4の作動を制御してもよい。また、加圧と共に被覆部材を冷却してもよい。
なお、本発明の被覆方法および被覆部材は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、基材の表面を清浄にしたり粗面化したりする表面処理などを適宜行ってもよい。
本発明の被覆方法および被覆部材の実施例を以下に説明する。
基材として、直径100mm、厚さ2mmの円板形状の炭素鋼材を準備した。基材の表面は、ショットブラストを施した後アセトンを用いて超音波洗浄を行った。また、樹脂シートとして、厚さ0.4mmのPEEK樹脂(融点334℃)からなる樹脂シートを準備した。そして、以下の手順で、基材の表面に樹脂シートとが被覆された被覆部材を作製した。
市販のプレス機を用い、基材の粗面化された表面に樹脂シートを載置し、基材と樹脂シートとを積層状態で接触させた。次に、高周波誘導加熱装置(富士電波工機株式会社製FIH−502NC:以下「加熱装置」と略記)を用い、積層状態の基材および樹脂シートを加熱した。100kHzの周波数による加熱で、基材の表面は12秒後に360℃に達し、その時点で、加熱装置を停止すると同時に、プレス機にて樹脂シートの厚さ方向に6MPaで加圧して基材と樹脂シートとを溶着させた。基材の表面の温度は、直ちに下降し、誘導加熱により溶融した部分(界面部)は固化した。
この際、樹脂シートの表面側(プレス板と当接した面側)では、PEEK樹脂は溶融しなかった。得られた被覆部材の厚さを測定したところ、樹脂シートの厚さは0.39mmであった。また、変態が生じた界面部の厚さは20μmであった。したがって、上記の被覆方法によれば、被覆前の樹脂シートの機能(表面形状や厚さ)を保持した被覆部材が得られた。
本発明の被覆部材の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の基材の表面に樹脂シートを被覆する方法に用いられる装置の一例を模式的に示す説明図である。
符号の説明
1:基材
2:樹脂シート
21:接触面
22:界面部

Claims (11)

  1. 導電性をもつ基材の表面に熱可塑性樹脂を含む樹脂シートを接触させる接触工程と、
    誘導加熱により前記基材の少なくとも表面部を昇温させる昇温工程と、
    前記基材との接触面を含む前記樹脂シートの界面部が該基材の昇温により溶融したときに誘導加熱を停止して該樹脂シートの厚さ方向への加圧により該基材と該樹脂シートとを圧着する圧着工程と、
    からなることを特徴とする基材の表面に樹脂シートを被覆する方法。
  2. 前記樹脂シートの厚さは、0.01〜5mmである請求項1記載の基材の表面に樹脂シートを被覆する方法。
  3. 前記界面部の厚さは、1〜500μmである請求項1または2記載の基材の表面に樹脂シートを被覆する方法。
  4. 前記基材は摺動部品であって、
    前記樹脂シートは、熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物と、該樹脂組成物に保持される固体潤滑剤と、からなり該基材の摺動面側に被覆される摺動層用シートである請求項1記載の基材の表面に樹脂シートを被覆する方法。
  5. 前記摺動部品は、斜板式圧縮機の斜板である請求項4記載の基材の表面に樹脂シートを被覆する方法。
  6. 前記摺動部品は、圧縮機のシューである請求項4記載の基材の表面に樹脂シートを被覆する方法。
  7. 前記摺動部品は、圧縮機の駆動軸または該駆動軸を支持する軸受である請求項4記載の基材の表面に樹脂シートを被覆する方法。
  8. 前記摺動部品は、ピストン式圧縮機のピストンである請求項4記載の基材の表面に樹脂シートを被覆する方法。
  9. さらに、前記基材および前記樹脂シートを冷却する冷却工程をもつ請求項1記載の基材の表面に樹脂シートを被覆する方法。
  10. 導電性をもつ基材の表面に熱可塑性樹脂を含む樹脂シートを接触させて、誘導加熱により該基材の少なくとも表面部を昇温させて、該基材との接触面を含む該樹脂シートの界面部が該基材の昇温により溶融したときに誘導加熱を停止して該樹脂シートの厚さ方向への加圧により該基材と該樹脂シートとを圧着されてなり、
    前記基材と前記樹脂シートとが、該樹脂シートの界面部の変態によって前記接触面で密着していることを特徴とする被覆部材。
  11. 前記樹脂シートの厚さは、0.01〜5mmであって、変態した前記界面部の厚さは、1〜500μmである請求項10記載の被覆部材。
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