JP2006253282A5 - - Google Patents

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金属膜のパターン形成方法
本発明は、例えばプリント基板もしくはシリコンウエハなど上の絶縁層上に形成された金属膜を備えた基板およびその製造方法に関し、より詳細には、金属めっき膜のシードとなる金属触媒膜を、例えばプリント基板やシリコンウエハ上の絶縁層の上に印刷によりパターン形成し、この金属触媒膜にめっきを施す技術に関する。
プリント基板(プリント配線板)は印刷配線板とも呼ばれ、絶縁基板上に導電性の配線パターンがめっきなどの手法により形成されたもので、回路実装技術の基盤となるものである。
このようなプリント基板に設けられる回路パターンの形成方法としては、例えば、感光レジストを用いてエッチングする方法、銅めっきの不要部分をエッチングで除去するサブトラクティブ法、触媒入り基板にパターンで無電解めっきするフルアディティブ法、あるいは触媒入り基板に無電解めっきしたパターンに電気めっきするセミアディティブ法などが知られている。
例えば、特許文献1には、無電解はんだめっきが均一な膜形成に優れているという特長を最大限に活かして高密度配線パターンの形成を可能としたプリント基板およびその製造方法が開示されており、これにより、従来技術の回路パターンの加工精度が配線幅で高々100〜120μmであり、これより線幅を狭小化することが不可能であったという問題を解消することができるとされている。
また、特許文献2および特許文献3には、回路パターン領域にのみパラジウムなどの金属触媒を配線パターン状に付着させ、この金属触媒上に金属配線をめっきすることにより金属配線のパターニングを行うというプリント基板の製造方法が開示されている。さらに、非特許文献1には、パラジウム薄膜パターンのレーザ描画における基板材料および酢酸パラジウム塗布膜厚の影響が報告されている。
しかしながら、これらの従来のプリント基板の製造プロセスは何れも、めっき配線をパターニングする際のフォトレジストの塗布や感光性ドライフィルムレジストのラミネートおよびこれらの剥離(エッチング)といった一連の工程を必須のものとしており、これにより製造工程が複雑化してしまうという問題があった。
なお、このような製造工程の複雑化は、プリント基板の製造プロセスに限らず、例えばシリコンウエハ上に金属膜をパターニングする場合にも同様に問題となる。
特開平7−50470号公報 特開2002−76573号公報 特開2002−76574号公報 特開昭57−139923号公報 牧野英司他「パラジウム薄膜パターンのレーザ描画における基板材料および酢酸パラジウム塗布膜厚の影響」表面技術、49巻、9号、1998年、p.90−95。 石橋秀夫「高濃度金属ナノ粒子ペースト」化学と工業、第57巻、第9号、2004年、p.945−947。
ところで、特許文献4には、感度に制限がある高分子材料のレジストを用いることなく、銀ハライド膜に電子線やX線またはイオンビームを照射して直接パターニングを施し、このパターニングされた銀ハライド膜上に、銀の触媒作用を利用して金属を無電解めっきし、これにより金属膜のパターンを得る方法が開示されている。
しかしながら、本願発明者らの検討に拠れば、特許文献4に記載されたパターン形成方法で得られたパターニングされた金属膜は基板との密着度が低く、この方法でプリント基板上にめっき配線をパターニングすると、めっき配線が剥離しやすく実用上充分な密着強度が得られないということが判明した。すなわち、特許文献4に記載されたパターン形成方法は、レジストを用いることなく高感度なパターン形成が可能であるという利点はあるものの、得られた金属パターンの基板との密着強度が充分ではなく、電子部品の製造工程で用いた際の高い歩留まりを確保することは困難であるという結論に達した。
また、非特許文献2には、金属ナノ粒子ペーストを用いインクジェットにより回路を印刷描画した後に焼結することにより導電性を有する金属薄膜や金属細線を形成し回路パターン作成する技術が報告されているが、このような手法によりパターン形成する場合には、ナノ粒子化される金属元素の種類が限定されてしまうため、めっき法による金属膜のパターン形成に比較して応用分野が制限されてしまうという問題がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、従来技術では必須のものとされていた、プリント基板などの基材上にめっき配線をパターニングする際のレジスト塗布や感光性ドライフィルムレジストのラミネート、露光、銅箔のエッチングおよび感光剤の剥離などの工程を不要とし、かつ、得られためっき配線が基板との充分な密着性を有するめっき配線方法を提供し、これにより、製造プロセスを簡略化するとともに製造コストの低減を可能とする技術を提供することにある。
本発明は、このような課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、金属膜のパターン形成方法であって、絶縁性基材の絶縁層の上もしくは主面上に第1の金属を含有する金属化合物膜を所望のパターンで印刷して該第1の金属を含有する金属化合物を含む膜を前記絶縁性基材の主面上に形成する第1のステップと、前記第1の金属を含有する金属化合物を含む膜にエネルギ線を照射して前記第1の金属を含有する金属化合物を含む膜から前記第1の金属を析出させるとともに、前記絶縁性基材のエネルギ線照射領域を溶融またはアブレーションもしくは化学的改質させる第2のステップと、前記析出させた第1の金属を触媒層として用い、該触媒層の表面に第2の金属をめっきする第3のステップと、を備えていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、金属膜のパターン形成方法であって、絶縁性基材の絶縁層の上もしくは主面上に第1の金属を含有する金属化合物膜を所望のパターンで印刷して該第1の金属を含有する金属化合物を含む膜を前記絶縁性基材の主面上に形成する第1のステップと、前記第1の金属を含有する金属化合物を含む膜に外部からエネルギ付与して前記第1の金属を含有する金属化合物を含む膜から前記第1の金属を析出させる第2のステップと、前記析出させた第1の金属を触媒層として用い、該触媒層の表面に第2の金属をめっきする第3のステップとを備え、前記第1の金属を含有する金属化合物を含む膜には、前記第2の金属のめっき触媒となる金属化合物または金属粒子が、前記絶縁性基材と同種もしくは高融和性の素材の液状バインダまたは粒状バインダの少なくとも一方のバインダ中に分散または混合されており、前記第2のステップにおける外部からのエネルギ付与は、前記バインダに物理的もしくは化学的変化を与えて前記絶縁性基材の表面に固着させる条件で実行される、エネルギ線照射もしくは熱処理であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の金属膜のパターン形成方法において、前記第1の金属を含有する金属化合物を含む膜は、金属カルボン酸塩、硝酸化合物、塩化物、ヨウ素化合物、水酸化物、フッ素化合物、硫酸化合物、キレート材と有機化合物との化合物、の群より選択される少なくとも1種の化合物を含有する膜であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の金属膜のパターン形成方法において、前記第1の金属は、Pd,Au,Pt,Ag,In,Co,Snの群から選択された単体金属または少なくとも2種の金属を含有する合金であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の金属膜のパターン形成方法において、前記第1のステップにおける金属化合物のパターン印刷は、前記第1の金属の粉体のレーザショット方式による印刷、または前記第1の金属を含有する金属化合物を溶かした溶剤をインク用材とするインクジェット方式で実行されることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の金属膜のパターン形成方法において、前記溶剤は、前記絶縁層もしくは絶縁性基材と同種もしくは高融和性の液状バインダまたは粒状バインダの少なくとも一方のバインダが含有されたものであることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の金属膜のパターン形成方法において、前記粉体は、前記絶縁層もしくは絶縁性基材と同種もしくは高融和性の粒状バインダが含有または混合されたものであることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れか1項に記載の金属膜のパターン形成方法において、前記エネルギ線は、電子線、マイクロ波、イオンビーム、赤外線、紫外線、真空紫外線、原子線、X線、γ線、可視光線、およびレーザ光線より選択されることを特徴とする。
本発明では、例えばプリント基板を製造するに際して、配線金属をめっきする際の触媒となる金属膜を、絶縁性プリント基板の表面に金属化合物膜をインクジェットプリンタなどにより印刷してパターン形成した後に、電子線などのエネルギ線を照射したり外部から加熱したりなどしてエネルギ付与して金属触媒を析出させ、この金属触媒膜上にのみ配線金属がめっきされるようにした。そして、外部からのエネルギ付与により基板表面を溶融させたり或いはバインダを改質させることとしたので、得られためっき配線が基板との充分な密着性を有することとなる。そして、このようなめっき配線方法により、めっき配線のパターニング工程でのレジスト塗布、露光、エッチングおよびレジスト剥離の工程などが不要となり、プリント基板の製造プロセスの簡略化が可能となる。
また、このようなプリント基板の製造プロセスを採用することで、小型化・高性能化を求められる携帯電話などの情報機器に組み込まれる電子部品を実装するためのプリント基板の製造コストの低減が図られることとなる。
さらに、本発明により得られる金属触媒膜はめっきの際の触媒とするものであるので、めっきされ導電体となる金属(例えば銅)に比較してその使用量は極微量である。このため、小型化・高性能化を求められる携帯電話などの情報機器に組み込まれる電子部品を実装するためのプリント基板の製造コストの低減が図られることとなる。
以下に、本発明により得られるプリント基板およびその製造方法について説明する。なお、本発明はプリント基板に限らず、シリコンウエハなどの半導体基板上に形成された絶縁膜(絶縁層)上での配線、あるいは表面が平面あるいは曲面であるプラスチックや紙の表面に任意のパターンの金属めっきを施す工程などにも応用することが可能である。
なお、特に断らない限り、「基板」や「基材」などの用語は、プリント基板や絶縁膜が形成された半導体基板のほか、金属膜成膜用の下地が絶縁物であるところの基板や基材一般を意味するものとして用いられる。また、「基材」とは、このような基板の上に設けられたパターン形成用下地としての絶縁膜(絶縁層)をも包含する概念である。
本発明における基板の製造方法のひとつの例として、プリント基板の製造方法がある。この場合には、配線に用いられる金属のプリント基板上への電気めっきあるいは無電解めっきに先立ち、この配線金属の「めっき触媒」として作用する金属を予め印刷によりパターニングしておく。このようなパターニングとしては、所望の金属を含有する溶剤をインク用材としたインクジェット方式や、金属粉体を直接印刷するレーザショット方式などがある。そして、このプリント基板上にパターニングされた金属触媒膜を金属めっき用のシードとして用い、この触媒上にのみ配線金属がめっきされるようにして配線パターンを形成する。すなわち、予めパターン印刷された第1の金属である触媒金属を含む膜の上にのみ、第2の金属であるめっき金属の第2の金属膜が形成されることでめっき金属がパターニングされる。
このような触媒金属の析出のためには、めっき触媒となる金属を含有する有機金属化合物または無機金属化合物を基材(プリント基板)上に成膜(印刷)しておき、これに電子線などのエネルギ線を照射し、外部から加熱や焼付けをするなどして、外部からエネルギを付与する。このような外部からのエネルギ付与がなされると、そのエネルギ付与領域にある金属化合物に析出反応に必要なエネルギが付与され、当該領域で金属触媒析出の化学反応が生じるため、触媒金属を析出させることが可能となる。
なお、以下では特に断らない限り、「金属化合物」という用語を有機金属化合物と無機金属化合物の双方を包含するものとして用いる。また、金属化合物は金属錯体をも包含する用語として用いる。さらに、「プリント基板」なる用語は、基板上に金属配線がパターニングされた状態のものを意味することのほか、この金属配線形成前の基板(即ち基材)をも意味する場合がある。
プリント基板上に印刷されためっき触媒となる金属を含有する有機金属化合物または無機金属化合物から金属触媒を析出させるには、印刷されたパターンに電子線などのエネルギ線を照射してもよく、プリント基板を外部から加熱してもよい。なお、プリント基板を外部から加熱するためには、プリント基板を温度管理されたオーブンに入れたり、あるいは温度管理された金属などの板(例えばホットプレート)で焼き付けを行なうなどの方法がある。
また、このように電子線などのエネルギ線の照射に続いて、金属触媒膜の結晶化や焼結を目的として、成膜後熱処理を施すようにしてもよい。その場合の熱処理温度は、熱処理の目的や触媒金属の種類あるいは使用している基板材料などに応じて適宜選択される。なお、このような成膜後熱処理には、金属触媒膜の結晶化や焼結という効果に加え、膜中に取り込まれて膜を高抵抗化させる要因となる不純物である炭素や酸素の膜中濃度を低減させるという効果もある。膜中の炭素や酸素の低減化を図るためには、水素などの還元作用を有する気体の雰囲気中で熱処理することが効果的である。
本発明の一例のように、エネルギ線を照射することでその照射領域の金属化合物から触媒金属を析出させる場合には、従来のパターニング・プロセスで必要であったフォトレジストの塗布・露光・剥離といった一連の工程が不要となるという利点に加え、析出反応に伴って発生する熱量に起因する温度上昇や照射領域近傍への熱の拡散が大幅に抑制されるという効果を得ることができる。そのためには、パターニングしたい領域にある金属化合物膜にのみ触媒金属析出に必要なエネルギを付与するとよい。
一般に、金属化合物を熱分解させて触媒金属を析出させる場合には、その析出に要する熱エネルギを充分な量だけ与えるために基板温度を比較的高くせざるを得ない。しかしながら、基板をこのような高温に保持するとその基板上に析出する触媒金属の結晶化と結晶粒の成長が急速に進行して析出金属の粒子サイズが大きくなってしまうために、金属粒子相互間の連結性を高めて連続膜とすることが困難となる。
これに対して、本発明の一例で採用するエネルギ線照射方式によれば、基板温度を低温に維持した状態で触媒金属の析出に必要なエネルギを局所的に付与することが可能となるために、基板上に析出する触媒金属を非晶質状態でかつ粒径の均一性が高くかつ均一に分散した微粒子として析出させることが可能となり、結晶粒相互の連結性が高い金属触媒膜が得られるのである。勿論、製作するプリント基板の面積・板厚・基材の材質・パターン幅の条件によっては、プリント基板を外部から加熱することにより触媒金属を析出させてもよい。
ここで、めっき触媒として採用する金属としては、金属配線として用いる金属の種類(例えば、Cu(銅))に応じて適当なものが選択されるが、Pd(パラジウム),Au(金),Pt(プラチナ),Ag(銀),In(インジウム),Co(コバルト),Sn(錫)などの金属を例示することが可能である。また、これらの金属を単体で触媒として用いることは勿論のこと、これらの金属群から選択された2種以上の金属を含有する合金を触媒とすることも可能である。
このような触媒金属を含有する金属化合物としては、金属カルボン酸塩、硝酸化合物、塩化物、ヨウ素化合物、水酸化物、フッ素化合物、硫酸化合物、キレート材と有機化合物との化合物、およびこれらの群より選択される2種以上の化合物からなる金属化合物などがあり、例えば、有機金属化合物である酢酸パラジウムや酢酸テトラアミンパラジウム、酢酸インジウムあるいは2エチルヘキサン酸インジウム、無機金属化合物である塩化パラジウムや硝酸パラジウムあるいは塩化インジウムなどがある。
触媒金属を含有する金属化合物のプリント基板上への成膜は、基板上に均一な厚みでかつムラなく実行されることが重要である。膜厚が不均一であるとエネルギ線により与えられるエネルギ密度が照射場所ごとに不均一となって触媒金属の析出の程度も不均一となるためであり、基板上で場所により成膜ムラがあると、最終的に得られる金属配線パターンの一部に断線などが生じる結果となるためである。
金属化合物を溶かし込むための溶剤の種類は、金属触媒原料としての有機金属化合物や無機金属化合物の種類に応じて変わるが、例えば、水、ならびに、アルコール、ケトン、アセトン、トルエンなどの炭化水素溶液や酸液を用い得る。なお、溶剤中に溶かし込む金属化合物の量は、印刷した溶剤をホットプレートなどで乾燥させた後に得られる金属化合物膜の厚みが0.1μm以上で0.5μm以下、好ましくは0.2μm以上で0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以上で0.5μm以下となるように設定されることが好ましい。
このような膜厚設定とするのは、有機金属化合物や無機金属化合物がエネルギ線照射により化学反応を起こして金属触媒を析出させる際に体積収縮が生じても、照射領域内での金属触媒膜としての連続性を担保するためである。すなわち、溶剤乾燥後に得られる金属化合物膜の厚みが薄すぎると、金属触媒が不均一に析出することが生じ得るが、このような不均一析出が起こると、めっき用シードとしての役割を担う金属触媒膜中にピンホールなどの欠陥が発生してしまい、その結果として金属配線を所定パターン領域内で均一にめっきすることの阻害要因となるためである。なお、このような不都合を充分に回避するためには、印刷する金属化合物膜の厚みを0.3μm以上とするのがよい。
プリント基板の基材は絶縁性の基材であり、エネルギ線を照射することにより外部からエネルギ付与する場合には、その照射領域に対応する表面領域を局所的に溶融あるいはアブレーションさせたり、化学的な改質が可能なものが好適に用いられる。このような材質の基板とするのは、エネルギ線の照射により析出させた触媒金属を基板上に確実に固着させるためである。
すなわち、基板表面を溶融させて触媒金属が基板表面の極浅領域に取り込まれるようにしたり、あるいは基板表面をアブレーションして触媒金属と基板表面の接触面積を実効的に広くしたり、さらには化学的改質を生ぜしめることにより基板と触媒金属との結合状態を強固なものとして固着の程度を高めるのである。このような基材選択をすることで、その後の金属配線のめっき工程での金属触媒膜の剥離が生じ難くなる。
このような基材用素材として好ましいのはプラスチック樹脂であり、プラスチック樹脂を基材とする場合には、ポリイミド、エポキシ、ビスマレイミドトリアジン、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、フェノールの群より選択された単一樹脂またはこの群から選択される樹脂をレジンとする繊維強化プラスチック樹脂などが用いられ得る。
金属触媒膜の基板付着強度を高めるための他の手法として、金属配線のめっき触媒となる金属化合物または金属粒子を、金属触媒膜をその面上に形成する基板材料と同種(もしくは高融和性の材質)の液状バインダや粒状バインダあるいはこれらの両バインダ中に分散させるということも有効である。例えば、金属配線のめっき触媒となる金属化合物を溶かす溶剤に基材と同種で同質の材質のバインダを粒子状のものとして分散させたり溶解させることとし、この溶剤を基板上に塗布する。このようなバインダを併用すると、溶剤を乾燥させて得られる金属化合物膜中には基板材料と同種で同質の材質のバインダが含有されることとなるが、この膜にエネルギ線が照射されると、基板表面領域の溶融や物理的結合・化学的反応と同時に、膜中のバインダの溶融や物理的結合・化学的反応も生じさせることが可能となり、エネルギ線照射後にこれらのバインダと基板表面とが強固に一体化するため、結果として金属触媒膜の基板付着強度が高まることとなる。
例えば、ポリフェニレンエーテルをバインダとして用いる場合には、これをよく溶かす溶剤であるトルエン液中にバインダ粒子を溶解させ、このトルエン液を金属化合物含有溶剤に適量加えて印刷用インクの溶剤とするなどの方法が採られる。
なお、粒状バインダを溶剤に分散させる場合には、めっき後の配線の幅や表面状態の仕上がり精度を上げるとの観点から、その平均直径を10μm以下で0.1μm以上とすることが好ましく、より好ましくは5μm以下で0.1μm以上、さらに好ましくは1μm以下で0.1μm以上とする。なお、このようなバインダの材質は、基材と同種のもの以外にも、基材との融和性の高い材質のものの中から選択するようにしてもよい。ここで、「融和性」とは、溶けて混ざりやすい性質や化学的に反応しやすい性質、あるいは分子間力が大きく密着性の良い性質などの程度を意味する。
また、このようなバインダを併用する手法と、既に説明したような、基材表面を溶融させて触媒金属が基材表面の極浅領域に取り込まれるようにしたり、基材表面をアブレーションして触媒金属と基材表面の接触面積を実効的に広くしたり、あるいは化学的改質を生ぜしめることにより基材と触媒金属との結合状態を強固なものとして固着の程度を高める手法とを併せて用いるようにしてもよいことはいうまでもない。
めっき触媒となる金属をプリント基板上に析出させるために用いるエネルギ線には、触媒金属の原料として選択された金属化合物に含有されている金属を析出させ且つ所望のパターニングを施すために適切なものが選択されるが、例えば、電子線、マイクロ波、イオンビーム、赤外線、紫外線、真空紫外線、原子線、X線、γ線、可視光線、またはレーザ光線などを挙げることができる。また、エネルギ線のもつエネルギも、析出させる触媒金属に応じて適当な範囲に設定されることはいうまでもない。
電子線をエネルギ線とする場合の印加電圧は目的とされる照射領域上でのビーム径との兼ね合いで適宜設定されるが、一般には3keV〜300keVの範囲で設定される。なお、印加電圧が高すぎると照射領域の単位面積あたりのエネルギ密度が高くなりすぎて基材の表面を必要以上に溶融させたりあるいは触媒金属が析出せずに金属化合物そのものが昇華したり、さらには電子線が表面の膜を透過してその下の基材のみをアタックするなどの不都合が起こり得るから、好ましくは3keV〜30keVの範囲、より好ましくは3keV〜15keVの範囲で設定される。
マイクロ波をエネルギ線とする場合には、製作するプリント基板の大きさにもよるが、実験的であれば例えば家庭用の電子レンジを用い、簡単にエネルギ線を照射することが可能である。マイクロ波による加熱には水分子の存在が効果的である。この場合には、印刷した金属触媒原料のインクが乾燥する前に電子レンジを用い加熱するのが触媒金属を析出させるためには都合がよい。また、印刷用インクが乾燥しにくくなるように、例えばエチレングリコールなどの保湿剤を添加するとなお効果的である。
そして、基板上にパターニングされた金属触媒膜をシードとして用い、このシードの上にのみ配線金属をめっきすることで、配線パターンが形成される。なお、このような配線パターンは単層の配線はもとより、配線パターンが複数積層された多層配線とすることも可能であることはいうまでもない。
本発明によれば、厚さ0.5mm以下で10μm以上、好ましくは0.3mm以下で20μm以上、より好ましくは0.3mm以下で50μm以上のプラスチックフィルムまたはプラスチックシートを基材として配線パターを形成し、フレキシブルプリント基板を製作できる。また、そのフレキシブルプリント基板を複数積層し多層配線とすることも可能である。
また、本発明によれば、プラスチックフィルムまたはプラスチックシートを基材として配線パターを形成する場合に、第1の金属を単体または少なくとも2種含有する粉体をレーザーショット方式などの適当な印刷手法により前記プラスチックフィルムまたはプラスチックシート表面にパターン形成した後に、このパターンを加熱してプラスチックフィルムまたはプラスチックシート表面に焼き付け、第1の金属をめっきの触媒層として第2の金属を含むめっき液で金属めっきを施し、フレキシブルプリント基板を製作することも可能である。
なお、触媒金属を含有する粉体を用いてパターンをレーザーショット方式などの適当な方法で印刷する場合には、触媒金属を含有する粉体に絶縁性基材と同種もしくは高融和性の粒状バインダを含有または混合させておくと、焼き付け後にこれらのバインダと基板表面とが強固に一体化するため、結果として金属触媒膜の基板付着強度が強まることとなる。
プラスチックフィルムまたはプラスチックシートにめっきされた金属膜はフレキシブルプリント基板の用途に限定されることはなく、他の用途に用いてもよい。プリント基板以外の用途に用いる場合には、フィルムまたはシートの厚さは厚さ0.5mm以下で10μm以上に限定されることなく、使用目的に適した厚さとすればよい。
以下に、実施例により本発明の金属膜のパターン形成方法を、プリント基板の製造方法を例として説明する。
図1(A)〜(F)、図2(A)〜(F)、および図3(A)〜(E)は、本発明のプリント基板の製造方法の第1の例を説明するための工程図で、ここでは、片側3層の積層配線パターンを備えたプリント基板が例示されており、図1(A)〜(F)、図2(A)〜(F)、および図3(A)〜(E)はそれぞれ、第1層、第2層および第3層の配線パターンを形成する工程例に対応している。
先ず、絶縁性基材である基材811を用意し(図1(A))、めっきのシードとして作用する触媒金属を含有する有機金属化合物または無機金属化合物を溶かした溶剤を基材811の両主面上に所望のパターンで印刷(塗布)し乾燥させて、金属化合物膜812を形成する(図1(B))。ここで用いられている基材811はプラスチック基板であり、エネルギ線を照射することによりその照射領域に対応する表面領域を局所的に溶融あるいはアブレーションさせたり、化学的な改質が可能なポリイミド、エポキシ、ビスマレイミドトリアジン、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、フェノールなどの材質のものである。
また、金属化合物としては、例えば有機金属化合物である酢酸パラジウムが選択され、これに含有されているPdを触媒金属として析出させている。この金属化合物をアセトン溶剤に溶かし込んだものが基材811上に配線パターン印刷されるが、その厚みは溶剤乾燥後に得られる金属化合物膜の厚みが0.1μm以上0.5μm以下、好ましくは0.2μm以上0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以上0.5μm以下となるように設定される。
この金属化合物膜812のパターンに対応する領域に電子線などのエネルギ線813を照射して印刷パターン領域に触媒金属を析出させる(図1(C))。ここではエネルギ線として電子線が用いられており、その加速電圧は3keV〜15keVの範囲で設定されている。ここで、必要な回数だけ重ねて照射するようにすることもできる。
なお、このときのエネルギ線照射は、所望のパターンが印刷されている領域を走査させたり、あるいは所望のパターンが印刷されている領域全体をシャワー状に照射してもよい。その際のエネルギ照射装置については後述する。
また、上述したように、金属触媒膜の形成プロセス条件によっては、水素ガスやアンモニアガスのような還元性ガスを含有させた雰囲気中でエネルギ線照射することで、金属触媒膜中に不純物として取り込まれて膜を高抵抗化させるなどの要因となる炭素や酸素の膜中への取り込みが抑制されるという効果が得られる場合がある。
エネルギ線の照射が完了すると、パターニングされた金属触媒膜814を得ることができる(図1(D))。このようにして形成された金属触媒膜をシードとして、無電解めっきまたは電気めっきを施して配線金属であるめっき層815を形成する(図1(E))。ここで、めっきされる配線金属は、予め設けられた金属触媒膜をシードとして金属触媒析出領域にのみ形成され、それ以外の領域にめっきがなされることはない。このため、最終的に得られるべき配線パターンに対応しためっきパターンが得られることとなるので、隣接する配線パターンの間隔が狭くなった場合にもこれらの配線が導通状態となって絶縁不良を起こすことがない。したがって、プリント基板のパターンの微細化が可能となる。
このようにして形成した単一の配線パターン上にさらに配線パターンを積層させるために、感光性樹脂や熱硬化性プリプレグなどを塗布して硬化させ、これにより第1の絶縁体層816を形成し、所望の領域にレーザ照射などの手法によりビアホール817を形成する(図1(F))。なお、必要に応じて、ポリッシャなどにより平坦化が図られる。
これに続いて、図2(A)〜(E)に図示したように、金属化合物膜812´の形成、エネルギ線813´の照射、および金属触媒膜814´の形成を経て、2層目の金属配線となるめっき層815´および第2の絶縁体層816´が形成される。これらの一連のプロセスは図1(B)〜(F)に図示したプロセスとほぼ同様に実行されるので詳細な説明は省略する。なお、図2(F)はスルーホール818の形成工程を図示したものであり、必要に応じて採用される工程である。このスルーホール818は、例えば、ドリルまたはレーザ加工装置による貫通穴の形成により実行可能である。
これに続いて、図3(A)〜(D)に図示したように、金属化合物膜812´´の形成、エネルギ線813´´の照射、および金属触媒膜814´´の形成を経て、3層目の金属配線となるめっき層815´´を形成する。これらのプロセスは図1(B)〜(E)に図示したプロセスとほぼ同様に実行される。そして最後に、絶縁コーティング、ソルダーレジストなどの最終コーティング819を形成してプリント基板が完成する(図3(E))。
本実施例では、金属触媒膜の下地への付着強度を高めるために、金属配線のめっき触媒となる金属化合物または金属粒子を、金属触媒膜をその面上に印刷する基材と同種もしくは高融和性の材質の液状バインダや粒状バインダあるいはこれらの両バインダ中に分散させている。
なお、片側4層以上の配線パターンを形成する場合には、上述した工程を必要な回数だけ繰り返すことで実行可能なことは明らかである。また、図2(A)〜(F)および図3(A)〜(E)には、2層目および3層目のパターンに関し、基材811の一方主面にのみ配線パターンを形成する例を示したが、他方主面にも必要な積層数の配線パターンを形成することができることはいうまでもなく、むしろ、パターン成膜に伴う基板の歪みを配慮すると基板の両面に同時にそれぞれの層を形成するのが望ましい。
本実施例は、本発明のプリント基板を製造するためのパターン形成装置(基板製造装置)の構成例、およびこのパターン形成装置をネットワークを介してホストコンピュータと接続したシステムについて説明する。
図4は、本実施例のパターン形成装置の構成例を説明するための概念図である。このパターン形成装置920は、少なくとも、金属化合物膜を印刷する装置と、エネルギ線の照射装置と、エネルギ線が照射されて形成された金属触媒膜上に金属配線をめっきするめっき装置と、表面保護のための絶縁膜または多層配線の際の層間絶縁体層を塗布し硬化させる装置と、ビアホールまたはスルーホールを形成する装置とを備えている。そして、このパターン形成装置920の制御ユニット(PC)911は、ネットワークを介して、ホストコンピュータ910に接続されている。したがって、パターン形成装置920がネットワークを介してホストコンピュータ910に接続されているシステムによれば、他の製品を製造するために必要な装置とネットワークを介して接続し、工場全体の製造工程や製品の品質管理工程を一括管理・制御することが可能となる。
パターン形成装置920には、基材(例えば、プリント基板やシリコンウエハなど)を保持する保持台およびこの基材を搬送するアームとを備えた保持機構をもつ基板搬送用の搬送装置が設けられており、この保持機構に保持された基材を、印刷装置からエネルギ線照射装置へ、エネルギ線照射装置から金属めっき装置へ、金属めっき装置から絶縁膜塗布装置へ、絶縁膜塗布装置から絶縁膜キュア装置へ、絶縁膜キュア装置から孔部形成装置へ、順次搬送するように制御装置によって制御される。なお、搬送用のアームは、上記の各装置に基材を搬送するためのもので、例えば、真空装置用、金属めっき装置用、研磨装置用などの各用途ごとに用いるアームを変えることができるように、複数のアームを持たせるようにしてもよい。
図4に示したパターン形成装置の構成例では、基材搬入口921、第1の洗浄槽922、第1の乾燥装置923、金属化合物を含有させた溶剤の印刷装置924、第2の乾燥装置925、ロードロック機構を備えた電子線照射装置926、印刷された金属化合物を含有させた溶剤の加熱装置927、金属触媒膜上に配線金属を無電解めっきする前に予め基板表面に必要な処理を施す第1のめっき前処理装置928、無電解めっき装置929、第2の洗浄槽930、金属触媒膜上に配線金属を電気めっきする前に予め基板表面に必要な処理を施す第2のめっき前処理装置931、電気めっき装置932、第3の洗浄槽933、第3の乾燥装置934、保護膜としての絶縁膜または多層配線の際の層間絶縁体層を塗布するための絶縁膜塗布装置935、塗布された絶縁膜をキュアする絶縁膜キュア装置936、基板上に形成された膜を平坦化するためのポリッシャ937、基板上の所望位置にビアホールやスルーホールを形成するためのレーザ加工装置938、ドリルを利用した穴加工装置939、第4の洗浄槽940、第4の乾燥装置941、プリント基板の良・不良を判断するための検査装置942、およびプリント基板の搬出口943を備えた構成とされている。
図5に示すように、基板搬入口921からパターン形成装置の内部に搬入された基材は、この装置内を引っ掛け方式もしくはロボットハンド方式でハンドリングされて搬送される。搬入後の基材は、第1の洗浄槽922で基材を溶解しない液体またはクリーンエアで洗浄された後に第1の乾燥装置923で乾燥され、印刷装置924へと送られる。印刷装置924では、例えばインクジェット方式などの適当な手法により、触媒金属をその組成として含む金属化合物が溶剤に溶かれて基材上にパターンとして印刷される。
その後、第2の乾燥装置925で乾燥されて余分な溶剤が飛ばされることで金属化合物の膜が形成される。このようにして得られた金属化合物膜に電子線照射装置926で電子線照射を行い、印刷されたパターンの触媒金属を析出させる。
図6は、電子線照射装置926および加熱装置927で基材が処理される様子を説明するための図で、図6(B)は、図6(A)に示した電子線照射装置926の電子線照射系を図の左右方向から眺めた場合の構成を説明するための図である。
電子線照射装置926では、電子銃944から放出された電子は電子線管945の中で加速された後に電子線管945から放出され、電子線は装置下方に照射される。装置下部には、基板の搬入側と排出側の双方に設けられたゲートバルブ949、952とゲートバルブ950、951でロードロック室と隔離されて内圧が保持される試料室946が設けられており、この試料室946に金属化合物膜印刷後の基材947が配置される。基材947は、電子線照射装置926の基板搬入口からロードロック室へロードロック室から試料室946へ搬送用ロボット953により搬送され配置される。
上方から照射される電子線は、電子線透過用の窓948から下方に導かれて基材947の表面へと照射され、これにより電子線照射領域の印刷された金属化合物膜を金属触媒膜として析出させる。電子線の照射を済ませた基材947は、試料室946からロードロック室へロードロック室から電子線照射装置926の基板搬出口へ搬送用ロボット954により搬送される。
なお、電子線の照射は、電子線照射系と試料室とを同一の真空チャンバ内に設けて実行するようにすることのほか、図6に示すように、電子線照射系と試料室とを異なる真空チャンバに設けるようにして実行する構成としてもよい。その場合には、電子線照射系と試料室とは隔壁によって隔絶されることとなる。このような電子線照射系と試料室との隔壁は、例えば、5μm以下で1μm以上のアルミ合金やチタン合金あるいはSiO2などの電子線透過膜により形成することが可能である。このような構造とすると、基板から蒸発するガスなどによって電子線照射系が汚染されるのを防止することができるので、電子銃944に備えられているフィラメント(不図示)の長寿命化を図ることなどが可能となる。
図6に示した電子線照射装置の構成では、電子線管945を格納する真空チャンバと試料室946とを異なる真空度とすることが可能となるように、電子線管945を格納する上側の真空チャンバと試料室946との間に隔壁としての電子線透過用の窓948が設けられている。
なお、試料室946の圧力を大気圧として電子線照射を実行することが可能な場合には、基材を真空チャンバ内に出し入れする手間が省けてスループットが上がるという利点がある。その場合には、電子線照射装置の搬入側ロードロック室、試料室946および搬出側ロードロック室を大気圧の状態で電子線照射を行えばよい。また、試料室946を102Paから大気圧の範囲の減圧下で電子線照射を行ってもよい。電子線管945を格納する上側の真空チャンバは10-4Paから10-5Pa程度の真空度が要求されるが、試料室946を102Pa程度の減圧状態まで真空引きするのは、10-4Paから10-5Pa程度まで真空引きするのに比べはるかに短い時間で実行可能であり、スループットは向上する。
電子線を真空外に取り出すと、気体分子に散乱されてビーム径が広がることとなるが、本実施例では基板上にパターンが印刷された比較的広い範囲に対して電子線を照射するので、ビーム径が広がっても不都合は無く、むしろ好都合である。また、真空外に取り出された電子線は雰囲気中のN2やArといったガス分子をイオン化することとなるが、極微量であるので支障とはならない。
このような基板を真空チャンバの外に配置する場合には、基板および電子線透過用の窓を設ける領域の雰囲気を、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス、あるいは窒素などの他の物質との反応性が低いガスを充満させた状態とすることにより、電子線照射効果を高めることができる。
また、基板を真空チャンバの外に配置する場合、基板を配置する雰囲気を、有機成分の分解に有効な、酸素、水素、ハロゲン系などの活性ガスを充満させたものとすることにより、電子線照射による金属触媒の析出効率を高めることができる。また、この場合、電子線透過用の窓の材料に対して、劣化や、堆積物の付着が生じるような場合には、これらの現象を避けるため、当該窓周辺だけは、不活性ガス雰囲気となるように、不活性ガスを局所的に供給する機構を設けてもよい。
一方、電子線照射処理を行わず、加熱処理によりパターンが印刷された金属化合物膜から金属触媒を析出させパターニングされた金属触媒膜を形成する場合には、印刷装置924により、触媒金属をその組成として含む金属化合物が溶剤に溶かれて基材上に印刷された後に、基材は加熱装置927により加熱処理される。この加熱処理によりパターニングされた金属触媒膜が形成される。たとえば、レーザーショット方式などの手法による印刷装置924で、触媒金属またはその触媒金属を組成として含む粉体をプラスチックフィルムまたはプラスチックシートの基材に配線パターとして印刷し、フレキシブルプリント基板を製作する場合には、印刷装置924でパターンが基材上に印刷された後に、基材は加熱装置927により焼き付け処理される。この焼き付け処理によりパターニングされた金属触媒膜が形成される。
電子線照射または加熱処理または焼き付け処理を終えた基材は、図7に図示されている第1のめっき前処理装置928へと搬送され、金属触媒膜上に配線金属を無電解めっきする前に必要な前処理が施される。ここでの具体的な前処理内容は、酸性クリーニング処理と加速処理である。
その後、無電解めっき装置929でめっきが施され、図8に示すように、第2の洗浄槽930および第2のめっき前処理装置931を経て電気めっき装置932で電気めっき処理が行われ、これにより配線として充分な量の金属がめっきされることとなる。
第3の洗浄槽933で洗浄を行って一層分の配線パターン形成工程が完了し、図9に示すように、第3の乾燥装置934で乾燥され、絶縁膜塗布装置935で絶縁膜が塗布され、絶縁膜キュア装置936で塗布された絶縁膜がキュアされる。また、必要に応じて、ポリッシャ937で膜が平坦化され、レーザ加工装置938で基材上の所望位置にビアホールやスルーホールが形成される。なお、必要に応じて、穴加工装置939により穴加工が施される。そして、図10に示すように、第4の洗浄槽940で洗浄された後に、第4の乾燥装置941で乾燥される。さらに、検査装置942でプリント基板としての良・不良が判断され、搬出口943から搬出される。
なお、多層配線が必要な場合には、基材が検査装置942へ搬送された後に第1の洗浄槽922へと送られ、その後の一連の工程を必要な回数だけ繰り返すこととなる。この場合には、層ごとに配線パターンが異なるので、パターン形成装置920を制御する制御ユニット916から溶剤の印刷装置924へ配線を行う層に必要な配線パターン情報が与えられる。多層配線が完了した後は、絶縁膜塗布装置935で保護膜としての絶縁膜が塗布され、絶縁膜キュア装置936で塗布された絶縁膜がキュアされる。
以上、実施例により本発明のプリント基板の製造方法およびこれにより作製されたプリント基板について説明したが、上記実施例は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。特に、本発明は半導体基板上の絶縁膜上に金属膜をパターニングする場合にも応用が可能である。
これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内にあり、更に本発明の範囲内において他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
本発明は、プリント基板などの基材上にめっき配線をパターニングする際のレジスト塗布や剥離、さらには銅箔のエッチングなどの工程を不要とし、かつ、得られためっき配線が基板との充分な密着性を有するめっき配線方法を提供し、これにより、製造プロセスを簡略化するとともに製造コストの低減を可能とする技術を提供する。
(A)〜(F)は、本発明のプリント基板の製造方法の一部を説明するための第1の工程図である。 (A)〜(F)は、本発明のプリント基板の製造方法の一部を説明するための第2の工程図である。 (A)〜(E)は、本発明のプリント基板の製造方法の一部を説明するための第3の工程図である。 本発明のパターン形成装置の構成例を説明するための概念図である。 基板搬入口からパターン形成装置の内部に搬入された基板の搬送工程を説明するための図である。 (A)は、電子線照射装置と加熱装置の構成の概略を説明するための図で、(B)は、(A)に示した電子線照射装置の電子線照射系を図の左右方向から眺めた場合の構成を説明するための図である。 基材を第1のめっき前処理装置から無電解めっき装置へ搬送する工程を説明するための図である。 めっきにより配線パターンを形成する工程を説明するための図である。 基板の乾燥工程から絶縁膜のキュア工程及び膜の平坦化工程、ビアホール・スルーホール工程、穴加工工程を説明するための図である。 乾燥工程を経て搬出口から搬出されるまでの工程を説明するための図である。
符号の説明
811 基材
812 金属化合物膜
813 エネルギ線
814 金属触媒膜
815 めっき層
816 絶縁体層
817 ビアホール
818 スルーホール
819 コーティング
910 ホストコンピュータ
911 制御ユニットPC
920 パターン形成装置
921 基板搬入口
922 第1の洗浄槽
923 第1の乾燥装置
924 溶剤の印刷装置
925 第2の乾燥装置
926 電子線照射装置
927 加熱装置
928 第1のめっき前処理装置
929 無電解めっき装置
930 第2の洗浄槽
931 第2のめっき前処理装置
932 電気めっき装置
933 第3の洗浄槽
934 第3の乾燥装置
935 絶縁膜塗布装置
936 絶縁膜キュア装置
937 ポリッシャ
938 レーザ加工装置
939 穴加工装置
940 第4の洗浄槽
941 第4の乾燥装置
942 検査装置
943 プリント基板の搬出口
944 電子銃
945 電子線管
946 試料室
947 基材
948 電子線透過用の窓
949、950、951、952 ゲートバルブ
953、954 搬送用ロボット

Claims (8)

  1. 絶縁性基材の絶縁層の上もしくは主面上に第1の金属を含有する金属化合物膜を所望のパターンで印刷して該第1の金属を含有する金属化合物を含む膜を前記絶縁性基材の主面上に形成する第1のステップと、
    前記第1の金属を含有する金属化合物を含む膜にエネルギ線を照射して前記第1の金属を含有する金属化合物を含む膜から前記第1の金属を析出させるとともに、前記絶縁性基材のエネルギ線照射領域を溶融またはアブレーションもしくは化学的改質させる第2のステップと、
    前記析出させた第1の金属を触媒層として用い、該触媒層の表面に第2の金属をめっきする第3のステップと、を備えていることを特徴とする金属膜のパターン形成方法。
  2. 絶縁性基材の絶縁層の上もしくは主面上に第1の金属を含有する金属化合物膜を所望のパターンで印刷して該第1の金属を含有する金属化合物を含む膜を前記絶縁性基材の主面上に形成する第1のステップと、
    前記第1の金属を含有する金属化合物を含む膜に外部からエネルギ付与して前記第1の金属を含有する金属化合物を含む膜から前記第1の金属を析出させる第2のステップと、
    前記析出させた第1の金属を触媒層として用い、該触媒層の表面に第2の金属をめっきする第3のステップとを備え、
    前記第1の金属を含有する金属化合物を含む膜には、前記第2の金属のめっき触媒となる金属化合物または金属粒子が、前記絶縁性基材と同種もしくは高融和性の素材の液状バインダまたは粒状バインダの少なくとも一方のバインダ中に分散または混合されており、
    前記第2のステップにおける外部からのエネルギ付与は、前記バインダに物理的もしくは化学的変化を与えて前記絶縁性基材の表面に固着させる条件で実行される、エネルギ線照射もしくは熱処理であることを特徴とする金属膜のパターン形成方法。
  3. 前記第1の金属を含有する金属化合物を含む膜は、金属カルボン酸塩、硝酸化合物、塩化物、ヨウ素化合物、水酸化物、フッ素化合物、硫酸化合物、キレート材と有機化合物との化合物、の群より選択される少なくとも1種の化合物を含有する膜であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属膜のパターン形成方法。
  4. 前記第1の金属は、Pd,Au,Pt,Ag,In,Co,Snの群から選択された単体金属または少なくとも2種の金属を含有する合金であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の金属膜のパターン形成方法。
  5. 前記第1のステップにおける金属化合物のパターン印刷は、前記第1の金属の粉体のレーザショット方式による印刷、または前記第1の金属を含有する金属化合物を溶かした溶剤をインク用材とするインクジェット方式で実行されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の金属膜のパターン形成方法。
  6. 前記溶剤は、前記絶縁層もしくは絶縁性基材と同種もしくは高融和性の液状バインダまたは粒状バインダの少なくとも一方のバインダが含有されたものであることを特徴とする請求項5に記載の金属膜のパターン形成方法。
  7. 前記粉体は、前記絶縁層もしくは絶縁性基材と同種もしくは高融和性の粒状バインダが含有または混合されたものであることを特徴とする請求項5に記載の金属膜のパターン形成方法。
  8. 前記エネルギ線は、電子線、マイクロ波、イオンビーム、赤外線、紫外線、真空紫外線、原子線、X線、γ線、可視光線、およびレーザ光線より選択されることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の金属膜のパターン形成方法。
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