JP2006252925A - 車両用前照灯 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の車両用前照灯では光源バルブからの直射光を全然有効に利用していない点とリフレクタからの反射光の光路を大幅に妨げている点である。
【解決手段】放電灯3とリフレクタ2の第2焦点F2との間に凸レンズ5が配置されており、凸レンズ5の大きさがリフレクタ2から第2焦点F2に集中して向かう反射光の光路の妨げとならない程度の大きさであり、凸レンズ5が放電灯3からの直射光の一部を投影レンズ4を通して配光制御する。この結果、放電灯3からの直射光を有効に利用することができ、また、リフレクタからの反射光の光路を妨げることがない。
【選択図】 図1

Description

この発明は、プロジェクタタイプの車両用前照灯であって、光源バルブを光軸に対して交差する方向に挿入セットする、いわゆる光源バルブ横差しタイプの車両用前照灯に関するものである。
いわゆる光源バルブ横差しタイプの車両用前照灯は、従来からある(たとえば、特許文献1、特許文献2)。以下、この光源バルブ横差しタイプの車両用前照灯について説明する。なお、括弧つきの符号は、特許文献1、特許文献2にそれぞれ対応する。前者の光源バルブ横差しタイプの車輌用前照灯は、プロジェクタタイプであって、リフレクタ(100)と、バルブ(4)と、凸レンズ(5)とから構成されている。バルブ(4)をリフレクタ(100)の光軸(Z−Z)に対して直交する方向に挿入セットすることにより、バルブ(4)の長手方向(D−D)と光軸(Z−Z)とがほぼ水平断面上において交差する。また、後者の光源バルブ横差しタイプの車両用前照灯は、プロジェクタタイプではないが、反射鏡(2)と、電球(3)と、レンズ(4)と、集光レンズ(5)とから構成されている。電球(3)を反射鏡(2)の光軸(Z)に対して直交する方向に挿入セットすることにより、電球(3)の中心軸(Y)と光軸(Z)とがほぼ水平断面上において交差する。
この光源バルブ横差しタイプの車両用前照灯は、光源バルブ縦差しタイプの車両用前照灯と比較して、灯具を前後方向において小型化することができるので、車両用前照灯の収納スペースにおいて奥行き寸法が十分に確保されないような車両にも装備することができる。
ここで、光源バルブのバルブ軸とリフレクタの光軸とがほぼ水平断面上で交差すると、図4中の曲線LFに示すような光の強度(光度、照度、光束)分布となる。この図4中の光の強度分布曲線LF(光源バルブ3からの距離が大きいほど光の強度が強い)から明らかなように、光源バルブ3からの光のうち、光L1Uから光L1Dまでの光は、リフレクタ2で反射制御されて有効に利用されているが、光L1Uから光L2U、光L2D、光L1Dまでの光(直射光)は、リフレクタ2で反射制御されず有効に利用されていない。
ところが、前者の従来の車輌用前照灯は、光L1Uから光L2U、光L2D、光L1Dまでの光を有効に利用する手段が設けられていないので、光L1Uから光L2U、光L2D、光L1Dまでの光を全然有効に利用することができないという課題がある。また、後者の従来の車両用前照灯は、集光レンズ(5)により光L1Uから光L2U、光L2D、光L1Dまでの光を有効に利用することができるが、集光レンズ(5)が電球(3)と比較して大きいので、反射鏡(2)からレンズ(4)に向かう反射光の光路の妨げとなるという課題がある。特に、後者の従来の車両用前照灯においては、プロジェクタタイプの車両用前照灯の場合、リフレクタからの反射光がリフレクタの第2焦点に集中して向かうので、反射鏡(2)からレンズ(4)に向かう反射光の光路の妨げが大となる。
実開平1−172202号公報 特開2001−6408号公報
この発明が解決しようとする問題点は、前記の従来の車両用前照灯では、光源バルブからの直射光を全然有効に利用していない点と、リフレクタからの反射光の光路を大幅に妨げている点である。
この発明は、光源バルブとリフレクタの第2焦点との間に光学部材が配置されており、この光学部材の大きさがリフレクタから第2焦点に集中して向かう反射光の光路の妨げとならない程度の大きさであり、この光学部材が光源バルブからの光のうちリフレクタで反射されない光(直射光)の一部を投影レンズを通して配光制御する、ことを特徴とする。
この発明の車両用前照灯は、光源バルブとリフレクタの第2焦点との間に配置されている光学部材により、光源バルブからの直射光の一部を有効に利用することができる。また、この発明の車両用前照灯は、光学部材の大きさがリフレクタから第2焦点に集中して向かう反射光の光路の妨げとならない程度の大きさであるから、この光学部材がリフレクタからの反射光の光路を妨げるようなことがない。このように、この発明の車両用前照灯は、前後方向において小型化することができる光源バルブ横差しタイプであって、かつ、プロジェクタタイプの車両用前照灯において、光源バルブからの光のうちほとんどの光を有効に利用することができ、光出力の小さい光源バルブでも十分な明るさの配光パターンを得ることができる。
以下、この発明にかかる車両用前照灯の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
以下、この実施例における車両用前照灯の構成について説明する。図面において、符号「F」は、車両の前方側(車両の前進方向側)を示す。符号「B」は、車両の後方側を示す。符号「U」は、ドライバー側から前方側を見た上側を示す。符号「D」は、ドライバー側から前方側を見た下側を示す。符号「L」は、ドライバー側から前方側を見た場合の左側を示す。符号「R」は、ドライバー側から前方側を見た場合の右側を示す。符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。また、図6(A)および(B)、図7(A)および(B)は、コンピュータのシミュレーションで得られたスクリーン上の配光パターンを簡略化して示す等光度曲線(等照度曲線)の説明図であって、中央の等光度曲線は、高光度帯であって、その他の曲線は、外に行くにしたがって低くなる光度帯である。さらに、この明細書および図面においては、車両が左側通行の場合について説明する。車両が右側通行の場合は、この左側通行と左右逆となる。
図1〜図4において、符号1は、この実施例における車両用前照灯である。この実施例における車両用前照灯1は、プロジェクタタイプのヘッドランプであって、図7(A)に示すすれ違い用の配光パターンPLと、走行用の配光パターン(図示せず)とを照射する2灯式のヘッドランプである。前記車両用前照灯1(ヘッドランプ1)には、リフレクタ2と、光源バルブとしての放電灯3と、投影レンズ(集光レンズ)4と、光学部材としての凸レンズ5と、可動シェード7と、切替手段8とを備える。
前記リフレクタ2の内凹面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて、前記反射面9が形成されている。前記反射面9は、楕円を基調とした反射面、たとえば、回転楕円面や楕円を基本とした自由曲面(NURBS曲面)などの反射面からなる。このために、前記反射面9は、第1焦点F1と、第2焦点F2とを有する。前記反射面9の自由曲面(NURBS曲面)は、「Mathematical Elemennts for Computer Graphics」(Devid F. Rogers、J Alan Adams)に記載されているNURBSの自由曲面(Non-Uniform Rational B-Spline Surface)である。前記リフレクタ2は、ホルダ(フレーム)10に固定保持されている。前記リフレクタ2の右側方には、前記放電灯3を挿入するための挿入孔11が設けられている。前記リフレクタ2の前記挿入孔11の縁には、前記放電灯3を着脱可能に取り付ける取付部(光源バルブマウント部)12および取付機構など(図示せず)が設けられている。
前記放電灯3は、いわゆる、メタルハライドランプなどの高圧金属蒸気放電灯、高輝度放電灯(HID)などである。前記放電灯3は、発光部13を有するガラスバルブ14と、ソケット機構15とから構成されている。なお、光源としては、前記放電灯3以外に、ハロゲン電球、白熱電球でも良い。
前記放電灯3は、前記リフレクタ2に着脱可能に取り付けられている。すなわち、前記放電灯3を前記リフレクタ2の光軸Z−Z(前記反射面9の光軸Z−Z)に対して交差する方向に挿入セットすることにより、図1に示すように、前記放電灯3のバルブ軸ZB−ZBと前記リフレクタ2の光軸Z−Zとがほぼ水平断面上において交差(ほぼ直交)する。また、図2および図3に示すように、前記バルブ軸ZB−ZBは、前記リフレクタ2の光軸Z−Zを通るほぼ水平線H−H上に位置する。さらに、図1および図3に示すように、前記放電灯3の発光部13(発光部13の中心軸Z1−Z1)は、前記リフレクタ3の光軸Z−Zに対して、前記バルブ軸ZB−ZBの方向に前記放電灯3の挿入方向と反対側、すなわち、右側Rにオフセットされている。さらにまた、図1および図2に示すように、前記放電灯3の発光部分13は、前記リフレクタ2の反射面9の第1焦点F1ないしその近傍に位置する。
前記投影レンズ4は、非球面レンズの凸レンズである。前記投影レンズ4の前方側は、凸非球面をなし、一方、前記投影レンズ4の後方側は、平非球面をなす。前記投影レンズ4は、前記ホルダ10に固定保持されている。前記投影レンズ4は、図示されていないが、前記反射面9の第2焦点F2よりも前側に物空間側の焦点面(メリジオナル像面)を有する。また、図1および図3に示すように、前記投影レンズ4の光軸Z2−Z2は、前記リフレクタ2の光軸Z−Zに対して、前記バルブ軸ZB−ZBの方向に前記放電灯3の発光部13のオフセット方向と逆方向、すなわち、左側Lにオフセットされている。
前記凸レンズ5は、前方側が凸面をなし、後方側が平面をなし、左右水平方向に軸を有するシリンドリカル形状をなす。前記凸レンズ5は、前記放電灯3と前記リフレクタ2の反射面9の第2焦点F2との間に配置されていて、取付部材16を介して前記ホルダ10に取り付けられている。前記凸レンズ5は、前記リフレクタ2の反射面9から前記第2焦点F2に集中して向かう反射光(図示せず)の光路の妨げとならない程度の大きさを有している。たとえば、前記凸レンズ5の大きさは、前記投影レンズ4を通して見て、前記放電灯3とほぼ同等の大きさを有する。すなわち、前記凸レンズ5の上下の高さは、前記放電灯3のガラスバブル14の直径とほぼ同等か若干大きく、前記凸レンズ5の左右の幅は、前記放電灯3のガラスバルブ14の左右の長さとほぼ同等か若干小さい。
前記凸レンズ5は、図4中の光の強度分布曲線LFに示すように、前記放電灯3からの光のうち前記リフレクタ2の反射面9で反射されない光(直射光であって、実線矢印の光L1Uから実線矢印の光L2U、実線矢印の光L2D、実線矢印の光L1Dまでの光)の一部(実線矢印の光L2Uから実線矢印の光L2Dまでの光)を配光制御するものである。前記凸レンズ5により配光制御された光は、前記投影レンズ4を通して外部に照射される。
たとえば、前記凸レンズ5の焦点F3を、図5(B)に示すように、前記放電灯3の発光部13ないしその近傍に位置させる。このとき、前記リフレクタ2の光軸Z−Zおよび前記放電灯3の発光部13の中心軸Z1−Z1および前記投影レンズ4の光軸Z2−Z2と、前記凸レンズ5の光軸Z3−Z3との上下の位置関係は、同一である。すると、図6(B)に示すように、ワイドの補助配光パターンPWが得られる。前記のワイドの補助配光パターンPWは、上下が水平線HL−HRに対して上に約7°下に約4°広がっている。また、左右が垂直線VU−VDに対して左に約22°右に約32°広がっている。
また、前記凸レンズ5の焦点F3を、図5(A)に示すように、前記放電灯3の発光部13に対して、前記投影レンズ4側(前側)に約2.0mmずれた位置で、かつ、上側に約1.0mmずれた位置に位置させる。すなわち、前記凸レンズ5の光軸Z3−Z3が前記リフレクタ2の光軸Z−Zおよび前記放電灯3の発光部13の中心軸Z1−Z1および前記投影レンズ4の光軸Z2−Z2に対して上側に位置する。すると、図6(A)に示すように、集光の補助配光パターンPSが得られる。前記の集光の補助配光パターンPSは、上下が水平線HL−HRに対して上に約2°下に約6°広がっている。また、左右が垂直線VU−VDに対して左に約22°右に約32°広がっている。すなわち、前記の集光の補助配光パターンPSは、前記凸レンズ5の焦点F3を前記放電灯3の発光部13に対して前側にずらすことにより、上下幅が前記のワイドの補助配光パターンPWの上下幅よりも約70%狭く集光している。また、前記の集光の補助配光パターンPSは、前記凸レンズ5の焦点F3を前記放電灯3の発光部13に対して上側にずらすことにより、前記のワイドの補助配光パターンPWよりも約2−3°下側に下がっている。さらに、上辺が中央(VU−VD)において上側にせり上がっており、かつ、中央(VU−VD)から左右に行くに従ってせり下がっているなだらかな上凸形状をなしている。
前記可動シェード7は、前記投影レンズ4の光軸Z2−Z2と同様に、前記リフレクタ2の光軸Z−Zに対して、前記バルブ軸ZB−ZBの方向に前記放電灯3の発光部13のオフセット方向と逆方向、すなわち、左側Lにオフセットされている。また、前記可動シェード7は、前記リフレクタ2の第2焦点F2近傍に可動シェード用の前記切替手段8により姿勢切替可能に配置されている。さらに、前記可動シェード7の上縁には、すれ違い用の配光パターンPLの上縁のカットラインを形成するエッジ部17が設けられている。
前記可動シェード7は、位置(姿勢)をすれ違い用の第1位置(図2中の実線に示す位置)に切り替えると、前記放電灯3の発光部13からの光であって前記リフレクタ2で反射された反射光の一部をカットオフして残りの反射光で前記投影レンズ4を通して外部に照射されるすれ違い用の配光パターンPL(図7(A)を参照)を形成する。また、前記可動シェード7は、位置(姿勢)を走行用の第2位置(図4中の二点鎖線に示す位置)に切り替えると、前記放電灯3の発光部13からの光であって前記リフレクタ2で反射された反射光で前記投影レンズ4を通して外部に照射される走行用の配光パターン(図示せず)を形成する。
前記可動シェード用の切替手段8は、ソレノイド18およびドームスプリング19から構成されている。前記可動シェード用の切替手段8は、前記可動シェード7の位置(姿勢)を、すれ違い用の第1位置と走行用の第2位置とに切り替えるものである。すなわち、ソレノイド18が無通電状態のときには、ドームスプリング19のスプリング力により、可動シェード7がすれ違い用の第1位置に切り替えられている。また、ソレノイド18が通電されると、可動シェード7がドームスプリング19のスプリング力に抗して、すれ違い用の第1位置から走行用の第2位置に切り替えられる。さらに、ソレノイド18への通電を断つと、ドームスプリング19のスプリング力により可動シェード7が走行用の第2位置からすれ違い用の第1位置に切り替えられる。
前記車両用前照灯1(ヘッドランプ1)の構成部品のリフレクタ2、放電灯3、投影レンズ4、凸レンズ5、可動シェード7、切替手段8などがアウターレンズもしくはアウターカバー(図示せず)とランプハウジング(図示せず)とに区画された灯室(図示せず)内に配置されることにより、前記車両用前照灯1(ヘッドランプ1)が構成される。
この実施例における車両用前照灯1(ヘッドランプ1)は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
まず、可動シェード用の切替手段8により、可動シェード7をすれ違い用の第1位置、すなわち、図4中の実線に示す第1位置に切り替えておく。
つぎに、放電灯3の発光部13を発光させる。すると、図4中の光の強度分布曲線LFに示すように、放電灯3の発光部13からの光のうち、実線矢印の光L1Uから実線矢印の光L1Dまでの光の大部分は、リフレクタ2の反射面9で反射される。この反射面9で反射された反射光は、リフレクタ2の第2焦点に集中して進む。このとき、反射光の光路のほとんどは、放電灯3とリフレクタ2の反射面9の第2焦点F2との間に配置されている凸レンズ5で妨げられるようなことがない。そして、反射光の一部は、すれ違い用の第1位置に位置する可動シェード7によりカットオフされ、反射光の残りは、投影レンズ4を通って外部に、図7(A)に示すすれ違い用の配光パターンPLとして照射される。
一方、放電灯3からの直射光(図4中の光の強度分布曲線LFにおける実線矢印の光L1Uから実線矢印の光L2U、実線矢印の光L2D、実線矢印の光L1Dまでの光)の一部(同じく、図4中の光の強度分布曲線LFにおける実線矢印の光L2Uから実線矢印の光L2Dまでの光)は、凸レンズ5に入射する。この凸レンズ5に入射した光は、配光制御されて投影レンズ4を通して外部に、たとえば、図6(A)に示す集光の補助配光パターンPSとして照射される。そして、この図6(A)に示す集光の補助配光パターンPSと、前記の図7(A)に示すすれ違い用の配光パターンPLとが合成された図7(B)に示す配光パターンPL1が得られる。
ここで、可動シェード用の切替手段8により、可動シェード7を走行用の第1位置、すなわち、図4中の二点鎖線に示す第2位置に切り替える。
すると、リフレクタ2の反射面9で反射された反射光は、可動シェード7でカットオフされずにそのまま投影レンズ4を通って外部に走行用の配光パターン(図示せず)として照射される。一方、放電灯3からの直射光の一部の光は、凸レンズ5に入射して配光制御されて投影レンズ4を通して外部に所定の補助配光パターンとして照射される。そして、走行用の配光パターンと所定の補助配光パターンとが合成された配光パターンが得られる。
この実施例における車両用前照灯1(ヘッドランプ1)は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
この実施例における車両用前照灯1(ヘッドランプ1)は、放電灯3とリフレクタ2の反射面9の第2焦点F2との間に配置されている凸レンズ5により、放電灯3からの直射光(図4中の光の強度分布曲線LFにおける実線矢印の光L1Uから実線矢印の光L2U、実線矢印の光L2D、実線矢印の光L1Dまでの光)の一部(同じく、図4中の光の強度分布曲線LFにおける実線矢印の光L2Uから実線矢印の光L2Dまでの光)を有効に利用することができる。
また、この実施例における車両用前照灯1(ヘッドランプ1)は、凸レンズ5の大きさがリフレクタ2の反射面9から第2焦点F2に集中して向かう反射光の光路の妨げとならない程度の大きさであるから、この凸レンズ5がリフレクタ2の反射面9からの反射光の光路を妨げるようなことがない。特に、リフレクタ2の反射面9からの反射光が第2焦点F2に集中して向かうプロジェクタタイプの車両用前照灯において、第2焦点に集中する反射光の光路を妨げないことは、配光パターンの制御上重要なことである。
このように、この実施例における車両用前照灯1(ヘッドランプ1)は、前後方向において小型化することができる光源バルブ横差しタイプであって、かつ、プロジェクタタイプの車両用前照灯において、放電灯3からの光のうちほとんどの光を有効に利用することができ、光出力の小さい光源バルブでも十分な明るさの配光パターンを得ることができる。
特に、この実施例における車両用前照灯1(ヘッドランプ1)は、凸レンズ5の大きさが投影レンズ4を通して見て、放電灯3とほぼ同等の大きさを有する。すなわち、凸レンズ5の上下の高さが放電灯3のガラスバブル14の直径とほぼ同等か若干大きく、凸レンズ5の左右の幅が放電灯3のガラスバルブ14の左右の長さとほぼ同等か若干小さい。このために、この実施例における車両用前照灯1(ヘッドランプ1)は、投影レンズ4を通してランプ内を見た際に、凸レンズ5により放電灯3が隠されるので、見栄えが向上される。
また、この実施例における車両用前照灯1(ヘッドランプ1)は、光学部材としての凸レンズ5の焦点F3を、図5(B)に示すように、放電灯3の発光部13ないしその近傍に位置させることにより、図6(B)に示すワイドの補助配光パターンPWが得られる。また、凸レンズ5の焦点F3を、図5(A)に示すように、放電灯3の発光部13に対して前側にかつ上側にずらすことにより、図6(A)に示す集光の補助配光パターンPSが得られる。すなわち、凸レンズ5の焦点F3を放電灯3の発光部13に対して前側にずらすことにより、集光した補助配光パターンが得られ、また、凸レンズ5の焦点F3を放電灯3の発光部13に対して上側にずらすことにより、下側に下がった補助配光パターンが得られる。このように、この実施例における車両用前照灯1(ヘッドランプ1)は、凸レンズ5の位置を任意に設定することにより、任意の補助配光パターンが得られるので、使用する状況に応じて最適な補助配光パターンを選択することができる。
さらに、この実施例における車両用前照灯1(ヘッドランプ1)は、凸レンズ5の焦点F3を放電灯3の発光部13に対して上側にずらすことにより、凸レンズ5より出射される光の光路が通常の場合(凸レンズ5の焦点F3と放電灯3の発光部13との上下の相対位置関係が同一の場合)の光路よりも上側になるので、凸レンズ5より出射される光のうち、可動シェード7でカット(遮蔽)される光を少なくすることができる。この結果、この実施例における車両用前照灯1(ヘッドランプ1)は、放電灯3からの直射光をさらに有効に利用することができる。しかも、可動シェード7の第1位置から第2位置への切替量が少なくてすむので、切替機構8が小型小出力のものであっても十分に可動シェード7の切替、すなわち、配光パターンの切替を確実に行うことができ、かつ、製造コストを安価にすることができる。
なお、前記の実施例においては、挿入孔11をリフレクタ2の右側方に設けたものである。ところが、この発明においては、挿入孔11をリフレクタ2の左側方に設けても良い。
この発明にかかる車両用前照灯の実施例を示す説明図である。 同じく、垂直縦断面図である。 同じく、正面図である。 同じく、光の強度分布曲線において、凸レンズによる放電灯からの直射光の有効利用を示す説明図である。 同じく、放電灯の発光部と凸レンズの焦点との相対位置関係を示す説明図である。 同じく、凸レンズにより得られる補助配光パターンを示す等光度曲線の説明図である。 同じく、すれ違い用の配光パターンを示す等光度曲線の説明図である。
符号の説明
1 車両用前照灯(ヘッドランプ)
2 リフレクタ(リフレクタ)
3 放電灯(光源バルブ)
4 投影レンズ
5 凸レンズ(光学部材)
7 可動シェード
8 切替手段
9 反射面
10 ホルダ
11 挿入孔
12 取付部
13 発光部
14 ガラスバルブ
15 ソケット機構
16 取付部材
17 エッジ部
18 ソレノイド
19 ドームスプリング
F 前方側
B 後方側
U 上側
D 下側
L 左側
R 右側
HL−HR 左右の水平線
VU−VD 上下の垂直線
PL すれ違い用の配光パターン
PS 集光の補助配光パターン
PW ワイドの補助配光パターン
PL1 すれ違い用の配光パターンと集光の補助配光パターンとが合成された配光パターン
Z−Z リフレクタの光軸
ZB−ZB バルブ軸
Z1−Z1 放電灯の発光部の中心軸
Z2−Z2 投影レンズの光軸
Z3−Z3 凸レンズの光軸
F1 第1焦点
F2 第2焦点
F3 凸レンズの焦点
L1U、L2U、L2D、L1D 放電灯からの直射光
LF 光の強度分布曲線

Claims (5)

  1. リフレクタと光源バルブと投影レンズとから構成されているプロジェクタタイプの車両用前照灯であって、前記光源バルブのバルブ軸と前記リフレクタの光軸とがほぼ水平断面上で交差する車両用前照灯において、
    前記光源バルブと前記リフレクタの第2焦点との間に配置されており、前記リフレクタから前記第2焦点に集中して向かう反射光の光路の妨げとならない程度の大きさを有し、前記光源バルブからの光のうち前記リフレクタで反射されない光の一部を配光制御する光学部材を備える、
    ことを特徴とする車両用前照灯。
  2. 前記光学部材は、前記投影レンズを通して見て、前記光源バルブとほぼ同等の大きさを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
  3. 前記光学部材は、凸レンズから構成されており、前記光学部材の焦点は、前記光源バルブの発光部ないしその近傍に位置する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用前照灯。
  4. 前記光学部材は、凸レンズから構成されており、前記光学部材の焦点は、前記光源バルブの発光部から前記投影レンズ側にずれた位置に位置する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用前照灯。
  5. 前記リフレクタの第2焦点ないしその近傍に第1位置と第2位置とに切替可能に配置されており、前記第1位置に位置するときには前記リフレクタからの反射光の一部をカットオフしてすれ違い用のロービームを形成し、前記第2位置に位置するときには前記リフレクタからの反射光でハイビームを形成する可動シェードを備え、
    前記光学部材は、凸レンズから構成されており、前記光学部材の焦点は、前記光源バルブの発光部に対して上側にずれた位置に位置する、
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用前照灯。
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