JP2006251416A - 電子写真用キャリア、現像剤、画像形成方法および現像剤収納容器 - Google Patents

電子写真用キャリア、現像剤、画像形成方法および現像剤収納容器 Download PDF

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Abstract

【課題】 たとえ離型剤を含むトナーと組み合わせたとしても高耐久である電子写真用キャリア、前記電子写真用キャリア用いた現像剤、画像形成方法および該現像剤の収納容器を提供すること。
【解決手段】 少なくとも結着樹脂と粒子とを含有するコート膜を有するキャリアにおいて、該粒子の粒子径Dと該コート膜の膜厚hが1<[D/h]<10の関係にあり、かつ該粒子がアミノ酸系化合物で表面処理されていることを特徴とする電子写真用キャリア、当該キャリア用いた現像剤、画像形成方法および該現像剤の収納容器。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷等における静電潜像現像に用いるキャリア、現像剤、画像形成方法および該現像剤の収納容器に関する。
一般に電子写真法、静電写真法等の画像形成方法においては、潜像担持体上に形成された静電潜像を現像するために、トナーとキャリアとを撹拌混合することによって得られる現像剤が使用される。この現像剤は、適当に帯電された混合物であることが要求される。一般に静電潜像を現像する方法としては、トナーとキャリアとを混合して得られる二成分系現像剤を使用する方法と、キャリアを含まない一成分系現像剤を使用する方法が公知である。前者の二成分系現像剤を用いた現像方式は、比較的安定した良好な画像が得られる反面、キャリア劣化やトナーとキャリアの混合比の変動が発生しやすいといった欠点がある。一方、後者の一成分現像剤は前者の欠点は持たないが、帯電性が安定しにくいといった不都合を有している。
二成分系現像剤を使用して静電潜像を繰り返し現像を行なう際には、現像剤中のトナーが消費されてトナー濃度が変動するため、印刷時に安定した画像を得るために、必要に応じてトナーを補給してこの変動を抑制する必要がある。一般的にトナー補給量を制御する方法としては、複写機は透過性検知センサー、流動性検知センサー、画像濃度検知センサー、嵩密度検知センサー等を具備しているが、画像濃度検知センサーを使用するのが最近の主流である。このセンサーは潜像担持体上に一定の画像パターンを現像して、反射光から画像濃度を検知することによって、トナー補給量を制御する方式である。
このような二成分系現像方式に使用される粒状キャリアは、キャリア表面へのトナーのフィルミング防止、キャリア均一表面の形成、表面酸化防止、感湿性低下の防止、現像剤の寿命の延長、感光体のキャリアによるキズあるいは摩耗からの保護、帯電極性の制御または帯電量の調節等の目的で、通常適当な樹脂材料で被覆を施すことにより、固く高強度の被覆層を設けることが行なわれきた。このような従来技術によるキャリアは、例えば特定の樹脂材料で被覆されたもの(例えば、特許文献1参照)、さらにその被覆層に種々の添加剤を添加するもの(例えば、特許文献2〜8参照)、さらにキャリア表面に添加剤を付着させたものを用いるもの(例えば、特許文献9参照)、さらにコート膜厚よりも大きい導電性粒子をコート膜に含有させたものを用いるもの(例えば、特許文献10参照)等が開示されている。また、その他には、ベンゾグアナミン−n−ブチルアルコール−ホルムアルデヒド共重合体を主成分とした被覆材をキャリアに用いる方法(例えば、特許文献11参照)、メラミン樹脂とアクリル樹脂の架橋物をキャリア被覆材として用いる方法(例えば、特許文献12参照)が知られている。
しかし、上記の従来技術によるキャリアは、依然として耐久性が不十分であり、トナーのキャリア表面へのスペント、それに伴う帯電量の不安定化、並びに被覆樹脂の削れによる抵抗低下等が問題である。すなわち、初期は良好な画像を得ることができるが、コピー枚数が増加するにつれ複写画像の画質が低下するため、さらなる改良をすることが要望されている。そこで、粒子径と結着樹脂膜厚の関係を規定し、かつ粒子の固有抵抗を規定することで、これらの課題が解決できるという報告がある(例えば、特許文献13参照)。確かにこれまでの電子写真用キャリアと比べるとその効果は顕著であるが、昨今の現像剤の耐久性に対する要望は大きくなっており、さらなる改善が望まれている。また、離型剤を含むトナーとそのキャリアとの組合せでは、離型剤を含まないトナー程の効果が得られないことが明かとなった。その従来技術を用いた市販のデジタルフルカラー複写機は、離型剤を含まないトナーと現像剤の組み合わせで構成されている。
昨今においては、複写機とプリンター共に省スペース化の要望が多く、この要望に対しては電子写真工程で定着オイルを省略したり、定着オイルを微量塗布することで定着部を小さくする対応がとられている。この場合には、トナーは離型剤を含むものを用いて装置が構成されるため、離型剤を含むトナーと組合せても、高耐久であるキャリアの要望は大きい。
特開昭58−108548号公報 特開昭54−155048号公報 特開昭57−40267号公報 特開昭58−108549号公報 特開昭59−166968号公報 特公平1−19584号公報 特公平3−628号公報 特開平6−202381号公報 特開平5−273789号公報 特開平9−160304号公報 特開平8−6307号公報 特許第2683624号公報 特開2001−188388号公報
本発明の目的は、上記事情に鑑み、たとえ離型剤を含むトナーと組み合わせたとしても高耐久である電子写真用キャリアを提供することである。
また本発明の別の目的は、前記電子写真用キャリア用いた現像剤、画像形成方法および該現像剤の収納容器を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、サイズにおいて特定の関係を有する粒子とコート膜に特定の化合物を適用することにより、本発明の目的を達成できることを見出した。
請求項1の発明は、少なくとも結着樹脂と粒子とを含有するコート膜を有するキャリアにおいて、該粒子の粒子径Dと該コート膜の膜厚hが1<[D/h]<10の関係にあり、かつ該粒子がアミノ酸系化合物で表面処理されていることを特徴とする電子写真用キャリアである。
請求項2の発明は、少なくとも結着樹脂と粒子とを含有するコート膜を有するキャリアにおいて、該粒子の粒子径Dと該コート膜の膜厚hが1<[D/h]<10の関係にあり、かつ該コート膜がアミノ酸系化合物を含有することを特徴とする電子写真用キャリアである。
請求項3の発明は、さらに、前記粒子がアミノ酸系化合物で表面処理されていることを特徴とする請求項2に記載の電子写真用キャリアである。
請求項4の発明は、前記粒子の固有抵抗が1012Ω・cm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用キャリアである。
請求項5の発明は、前記粒子が、アルミナおよび/またはシリカであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真用キャリアである。
請求項6の発明は、前記粒子の含有量が、コート膜組成成分の40〜95質量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真用キャリアである。
請求項7の発明は、前記コート膜の膜厚が0.05〜1.00μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真用キャリアである。
請求項8の発明は、前記結着樹脂が、少なくともアクリル樹脂とアミノ樹脂を架橋反応させた樹脂および/またはシリコーン樹脂を含有したものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真用キャリアである。
請求項9の発明は、前記結着樹脂のTgが20〜100℃であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真用キャリアである。
請求項10の発明は、少なくとも結着樹脂と顔料とからなるトナーと、請求項1〜9のいずれかに記載の電子写真用キャリアとからなることを特徴とする電子写真用現像剤である。
請求項11の発明は、前記トナーが離型剤を含むことを特徴とする請求項10に記載の電子写真用現像剤である。
請求項12の発明は、請求項10または11に記載の電子写真用現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法である。
請求項13の発明は、請求項10または11に記載の電子写真用現像剤を用いることを特徴とする多色画像形成方法である。
請求項14の発明は、請求項10または11記載の電子写真用現像剤を収納したことを特徴とする現像剤収納容器である。
本発明によれば、たとえ離型剤を含むトナーと組み合わせたとしても高耐久である電子写真用キャリアが提供される。また本発明によれば、前記電子写真用キャリア用いた現像剤、画像形成方法および該現像剤の収納容器が提供される。
以下に、本発明についてさらに具体的に詳しく説明する。
本発明者らは、上記従来技術の問題点、すなわちキャリアの耐久性を改善するために検討を続けてきた結果、少なくとも結着樹脂と粒子とを有するコート膜を有するキャリアにおいて、粒子径Dとコート膜の膜厚hが1<[D/h]<10の関係にあり(例えば単位は双方ともμm)、該粒子が前記アミノ酸系化合物で表面処理されていることで、改善効果が顕著であることが分かった。これは、本発明の第1の実施態様である。
この改善効果は、コート膜に比べ粒子の方が凸となるので、現像剤を摩擦帯電させるための攪拌により、トナーとの摩擦あるいはキャリア同士の摩擦で、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和することができるためである。これにより、キャリアへのトナーのスペントを防止することが可能となるとともに、帯電発生箇所である結着樹脂の膜削れも防止することが可能となる。しかしながら、凸の部分、すなわちコート膜から突出する粒子の部分は、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和するが故に、粒子自身は常にコート膜から脱離しやすい状態にある。そこで、さらなる高耐久性を実現するためには、このような粒子の脱離を抑制しなければならず、本発明者らの研究によって、粒子をアミノ酸系化合物で表面処理することで、粒子の脱離を抑制することが可能となった。これは、粒子とコート膜中の結着樹脂との接着性が増したことにより、粒子の脱離が抑制されたことによるものである。加えて、離型剤を含むトナーの場合には、離型剤が中心となってコート膜中の粒子の脱離を加速していたが、粒子とコート膜中の結着樹脂との接着性が増したことにより、離型剤を含まないトナーの場合と遜色ない効果が得られている。
また、粒子をアミノ酸系化合物で表面処理することで、疎水性が得られ環境安定性も増加する。さらに、粒子をアミノ酸系化合物で表面処理することで、流動性が向上し、トナーとキャリアの摩擦、またキャリア同士の摩擦が減じられ、トナーの疲労およびトナー成分のスペントの減少、キャリアからの粒子の離脱の減少が可能になった。
また、本発明者らによれば、キャリアのコート膜中の粒子径Dとコート膜の膜厚hの比、[D/h]について、キャリアの高耐久性を実現するには特定の範囲があることが明かとなった。[D/h]が1以下の場合には、粒子は結着樹脂中に埋もれてしまうため、効果が著しく低下し好ましくない。従来の技術では、[D/h]を5以上にすると、粒子と結着樹脂との接触面積が少ないため充分な拘束力が得られず、粒子が容易に脱離してしまうため好ましくなかった。しかし、本発明においては、粒子がアミノ酸系化合物で表面処理されていることで、結着樹脂との接着性が増し、この比が5以上で10を下回る場合でもコート膜から粒子が脱離せず、コート膜凸部を得ることが可能となった。
本発明に用いる粒子の表面処理の方法は、処理剤を粒子に表面処理できれば、従来公知のいずれの方法を用いても構わないが、具体的には、湿式および乾式の二通りが挙げられる。湿式法では、粒子とアミノ酸系化合物とを溶剤中で分散し、アミノ酸系化合物を粒子表面へ付着させる。分散方法としては、ボールミル、サンドミル等の一般の分散手段を使用することができる。次に、この分散溶液を乾燥機により乾燥させ溶剤を取り除いた後、さらに熱処理を行って、アミノ酸系化合物を粒子表面へ強固に付着させる。必要によっては、表面処理後の粒子に粉砕処理を施してもよい。
一方、乾式処理においては、溶剤を用いずにアミノ酸系化合物と粒子とを混合し混練を行うことによって、アミノ酸系化合物を粒子表面に付着させる。その後は、必要に応じて湿式処理と同様の熱処理、粉砕処理等を施して表面処理を完了する。さらに処理液中に反応促進の為の触媒を添加しても構わない。また、粒子に対するアミノ酸系化合物の割合は粒子の粒径やアミノ酸系化合物の分子構造等に依存するが、上記のいずれの方法においても、1〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜40質量%である。
また、アミノ酸系化合物は、これを粒子に表面処理するばかりでなく、コート膜中に含有させても同様な効果が得られる。これが、本発明の第2の態様である。さらに、これらアミノ酸系化合物を粒子に表面処理すると共にコート膜に含有させる、これらの手法の併用によってその効果はより顕著に表れる。アミノ酸系化合物をコート膜中に含有させる場合も(前記手法の併用を含む)、粒子に対するアミノ酸系化合物の割合は、1〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜40質量%である。
本発明で用いるアミノ酸系化合物とは、その分子構造内にアミノ基(-NH2)とカルボキシル基(-COOH)の両方を含む有機化合物である。アミノ酸系化合物の炭素数は、5〜100が好ましい。さらに好ましくは10〜40である。また、アミノ基は、1分子内に複数存在していてもよい。アミノ酸系化合物の分子量は、300〜100000が好ましい。
ここで、アミノ酸系化合物の好ましいものとして、以下に示す化合物を例示するが、これらの化合物に限定されるものではない。
No.1 C1225NHCH(CHCOOC1225)CHCOOH
No.2 C1123CONH(CHCH(NH )COO
また、本発明では、長期にわたる現像剤の保管に際して帯電量低下を抑制するには、粒子の固有抵抗が1012Ω・cm以上であることが有効である。粒子が芯材との接点を持ちながら表面に露出していても、電荷のリークが抑えられるので、安定した帯電性を得られるからである。一方、粒子の固有抵抗が1012Ω・cm未満の場合、電荷のリークが抑えられないため、安定した帯電性は得られず好ましくない。このような粒子としては、アルミナ、シリカ、チタンが挙げられ、中でもアルミナ、シリカ、これらの混合物が好ましい。また粒子の粒子径Dは、例えば0.010〜3μm、好ましくは0.01〜0.5μmである。
また、前記背景技術の欄でも挙げたが、特許文献10に記載のコート樹脂膜厚よりも大きい導電性粒子をコート膜中に含有させたキャリアとは、本発明は次のような相違点がある。すなわち、本発明においては、コート膜中の粒子は従来のように抵抗調節材として用いるのではなく、コート膜樹脂の保護材および表面形状の調節材として用いていることに特徴がある。さらには、その粒子の脱離抑制にはアミノ酸系化合物が必須である。
さらに、粒子が例えばアルミナである場合、その含有量がコート膜組成成分の40〜95質量%の範囲、好ましくは70〜90質量%であることで、その効果は顕著である。さらに、粒子がシリカである場合、その含有量がコート膜組成成分の40〜95質量%の範囲、好ましくは70〜90質量%であることで、その効果は顕著である。粒子の含有率が40質量%よりも少ない場合には、キャリア粒子表面での結着樹脂の占める割合に比べ、粒子の占める割合が少ないため、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和する効果が小さいので、十分な耐久性が得られず好ましくない。一方、95質量%よりも多い場合には、キャリア表面での結着樹脂の占める割合に比べ、粒子の占める割合が多過ぎるため、帯電発生箇所である結着樹脂の占める割合が不十分となり、十分な帯電能力を発揮できない。それに加え、結着樹脂量に比べ粒子量が多過ぎるので、結着樹脂による粒子の保持能力が不十分となり、粒子が脱離し易くなるので、十分な耐久性が得られず好ましくない。
また、先に挙げた特許文献10に記載のコート樹脂膜厚よりも大きい導電性粒子をコート膜中に含有させたキャリアは、粒子の含有率範囲についても本発明と異なっている。この従来技術では「コート樹脂の0.01〜50質量%」、すなわち、本発明の含有量計算方法に換算すると、「コート膜組成成分の0.01〜 33.33質量%」である。この場合、従来に比べ耐久性は向上するが、先にも述べたとおり、キャリア粒子表面での結着樹脂の占める割合に比べ粒子の占める割合が少ないので、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和する効果が小さく、十分な耐久性が得られず好ましくない。
本発明によれば、結着樹脂としてはとくに制限されないが、アクリル樹脂とアミノ樹脂を架橋反応させた樹脂および/またはシリコーン樹脂を含有したものであることが大変好ましい。このアミノ樹脂としては、従来知られているアミノ樹脂を用いることが可能であるが、グアナミン、メラミンを用いることで、帯電量付与能力が著しく向上する。また、シリコーン樹脂も、従来知られているシリコーン樹脂を用いることが可能である。また、コート膜を構成する結着樹脂の膜厚は0.05〜1.00μmが好ましい。
上記の樹脂以外にも、キャリア用被覆樹脂として一般的に用いられている樹脂を使用することができ、もちろん、上記の樹脂と併用して用いても構わない。例えば、ポリスチレン樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスルフィン酸系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリブチラール系樹脂、尿素系樹脂、ウレタン/ウレア系樹脂、ポリエチレン系樹脂、テフロン(登録商標)系樹脂等の各種熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂およびその混合物、並びにこれらの樹脂の共重合体、ブロック重合体、グラフト重合体およびポリマーブレンド等であるが、これらに限るものではない。
本発明では、これらの樹脂のTgは20〜100℃、好ましくは25〜80℃であるものを用いるのがよい。樹脂のTgがこの範囲内の場合、樹脂は適度な弾性を有しており、現像剤を摩擦帯電させるための攪拌における、トナーとキャリアとの摩擦あるいはキャリア同士の摩擦で、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触の際、衝撃を吸収することができ、コート膜を破損することなく維持することが可能となる。また、Tgが20℃を下回る場合は、常温においても結着樹脂がブロッキングするため、保存性が悪く実用上使用できないので好ましくない。一方、Tgが100℃を上回る場合は、結着樹脂が硬く脆性が高くなり過ぎ前記衝撃を吸収することができず、その脆さから結着樹脂が削れると共に、粒子を保持することができず、脱離しやすくなるので好ましくない。
キャリアの芯材としては、静電潜像担持体へのキャリア付着(飛散)防止の点から、小さくとも平均粒径20μmの大きさのものを使用し、かつ、キャリアスジ等の発生防止等画質低下防止の点から、大きくとも100μmのものを使用する。具体的材料としては、電子写真用二成分キャリアとして公知のもの、例えば、フェライト、マグネタイト、鉄、ニッケル等、キャリアの用途や使用目的に合わせて、適宜選択して用いればよい。
また、本発明のキャリアにおいては、帯電および抵抗調節剤として、カーボンブラックあるいは酸性触媒を単独または併用して用いることも可能である。カーボンブラックは、キャリアあるいはトナー用として一般的に使われているもの全てを用いることができる。酸性触媒は、触媒作用を持つものを用いることができる。例えば、完全アルキル化型、メチロール基型、イミノ基型、メチロール/イミノ基型等の反応性基を有するものであるが、これらに限るものではない。
本発明のキャリアはトナーと構成される二成分現像剤として提供できるが、現像剤を構成するトナーは、結着樹脂と顔料とからなり、黒トナーでも多色画像形成方法で用いられる多色トナーでも構わない。さらには、この2成分現像剤を、特定の画像形成装置で簡便に交換可能なうように容器に収容して提供してもよい。
以下、図面を用いて、本発明のキャリアを用いた画像形成方法について説明する。図1は、本発明の電子写真用キャリアを用いた現像剤を充填した容器を搭載する画像形成装置の一例を示している。特に図1は画像形成装置の構成のうち、画像形成装置本体内に装着された現像部1と、この現像部1に補給される本発明の電子写真用キャリアを用いた現像剤を充填した現像剤収納容器2と、この両者を接続する現像剤送流手段3を示す部分断面図である。
図1において、現像部1は、本発明の電子写真用キャリアを用いた、トナーとキャリアを混合して成る液体状の二成分系の現像剤Dを収容している。現像ハウジング4と、現像剤Dを攪拌混合する第1および第2の攪拌スクリュー5および6と、現像ローラ7とを有していて、当該現像ローラ7が、潜像担持体の感光体8に対向して配置されている。感光体8は、矢印で示す方向に回転駆動され、その表面に静電潜像が形成される。図1中符号26は、接続部材24の上にフィルター25を介してまたは介さず嵌合されたキャップである。感光体8の周囲には、図示していない帯電手段、露光手段、転写手段、除電手段、クリーニング手段等、その他の公知のユニットが配置される。
第1および第2の攪拌スクリュー5および6が回転することにより、現像ハウジング4内の現像剤Dが攪拌され、そのトナーはキャリアで互いに逆極性に摩擦帯電される。かかる現像剤Dが、矢印方向に回転駆動される現像ローラ7の周面に供給され、その供給された現像剤は現像ローラ7の周面に担持され、現像ローラ7の回転によって、その回転方向に搬送される。次いで、この搬送された現像剤Dは、ドクターブレード9によって量を規制され、規制後の現像剤Dが感光体8と現像ローラ7との間の現像領域に運ばれ、ここで現像剤中のトナーが、感光体表面の静電潜像に静電的に移行し、その静電潜像がトナー像として可視像化される。
次に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下で用いる部とは、質量部を指す。
<トナー製造例1>
ブラックトナー1
水 1200部
フタロシアニングリーン含水ケーキ(固形分30%) 200部
カーボンブラック(MA60、三菱化学社製) 540部
をフラッシャーでよく撹拌する。ここに、
エポキシ樹脂(Mn:3500) 1200部
を加え、150℃で30分混練後、
キシレン 1000部
を加えさらに1時間混練、水とキシレンを除去後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、マスターバッチ顔料を得た。
エポキシ樹脂(Mn:3500) 100部
上記マスターバッチ 5部
サリチル酸亜鉛誘導体(ボントロンE84、オリエント化学) 4部
上記材料をミキサーで混合後2本ロールミルで溶融混練し、混練物を圧延冷却した。その後粉砕分級を行ない、質量平均粒径7.8μmのトナーを得た。さらに、添加剤を添加し、ヘンシェルミキサーで混合し、ブラックトナー1を得た。
<トナー製造例2>
ブラックトナー2
トナー製造例1にカルナウバワックスを5部添加した以外は全てトナー製造例1と同様に製造した。
<表面処理粒子製造例1>
アルミナ粒子1
上記No.1のアミノ酸系化合物35部、アルミナ(平均粒径0.3μm、固有抵抗1014Ω・cm)粒子100部、アセトン250部を、ボールミルで40時間分散し、続いて溶液を濾過し乾燥した後、150℃で2時間の熱処理を行ってアミノ酸系化合物で表面処理したアルミナ粒子1を得た。
<表面処理粒子製造例2>
アルミナ粒子2
上記No.2のアミノ酸系化合物35部、アルミナ(平均粒径0.3μm、固有抵抗1014Ω・cm)粒子100部、アセトン250部を、ボールミルで40時間分散し、続いて溶液を濾過し乾燥した後、150℃で2時間の熱処理を行ってアミノ酸系化合物で表面処理したアルミナ粒子2を得た。
<実施例1>
<キャリア製造例1> キャリア1
アクリル樹脂溶液(固形分50質量%) 56.0部
グアナミン溶液(固形分77質量%) 15.6部
アルミナ粒子1 160.0部
トルエン 900部
ブチルセロソルブ 900部
上記材料をホモミキサーで10分間分散し、コート膜形成溶液を調合した。芯材として焼成フェライト粉(パウダーテック社製 F−300:平均粒径50μm)を用い、上記コート膜形成溶液を芯材表面に膜厚0.15μmになるようにスピラコーター(岡田精工社製)により塗布し乾燥した。得られたキャリアを電気炉中にて150℃で1時間放置して焼成した。冷却後フェライト粉バルクを目開き100μmの篩を用いて解砕し、キャリア1とした。結着樹脂膜厚測定は、透過型電子顕微鏡にてキャリア断面を観察することにより、キャリア表面を覆うコート膜を観察することができるため、その膜厚の平均値をもって膜厚とした。
上述のように得たキャリア1とブラックトナー1を、トナー濃度が5%になる様に混合し現像剤を得た。用いたキャリアおよびトナーの種類、キャリアについては表面処理の有無、コート膜中アミノ酸系化合物の有無、粒子の粒径、コート膜の膜厚および[D/h]の値を、後述する実施例2〜8および比較例1〜2と共に後掲の表1に示した。この現像剤とブラックトナー1を市販のデジタルフルカラー複写機(リコー社製imagioColor2800)にセットし、600,000枚のランニング評価(連続複写評価)を行なった。そして、このランニングを終えたキャリアの帯電低下量および抵抗低下量を求めた結果を表2に示す。
ここでいう帯電量低下量とは、初期のキャリア95質量%に対し、トナー5質量%の割合で混合し摩擦帯電させたサンプルを、一般的なブローオフ法(東芝ケミカル社製TB−200)にて測定した帯電量Q1から、ランニング後の現像剤中のトナーを前記ブローオフ装置にて除去し得たキャリアを、前記方法と同様の方法で測定した帯電量Q2を差し引いた量Q1−Q2のことをいい、目標値は7.0μc/g以下である。また、帯電量の低下の原因はキャリア表面へのトナースペントであるため、このトナースペントを減らすことで、帯電量低下を抑えることができる。
抵抗低下量とは、初期のキャリアを抵抗計測平行電極:ギャップ2mmの電極間に投入し、DC200Vを印加し30秒後の抵抗値をハイレジスト計で計測した値を体積抵抗率に変換した値R1から、ランニング後の現像剤中のトナーを前記ブローオフ装置にて除去し得たキャリアを、前記抵抗測定方法と同様の方法で測定した値R2を差し引いた量R1−R2のことをいい、目標値は2.0Log (Ω・cm)以下である。また、抵抗低下の原因は、キャリアの結着樹脂膜の削れであるため、この膜削れを減らすことで、抵抗低下量を抑えることができる。
<実施例2>
実施例2では、実施例1のブラックトナー1をブラックトナー2に変更した以外は全て実施例1と同様に現像剤を得、評価した。現像剤の構成を表1に、評価結果を表2に示した。
<実施例3>
<キャリア製造例2> キャリア2
キャリア製造例1のアルミナ粒子1をアルミナ粒子2に変更した以外は全てキャリア製造例1と同様に製造した。
実施例3では、実施例2のキャリア1をキャリア2に変更した以外は全て実施例2と同様に現像剤を得、評価した。現像剤の構成を表1に、評価結果を表2に示した。
<実施例4>
<キャリア製造例3> キャリア3
アクリル樹脂溶液(固形分50質量%) 56.0部
グアナミン溶液(固形分77質量%) 15.6部
アルミナ粒子(平均粒径0.3μm、固有抵抗1014Ω・cm) 160.0部
上記No.1のアミノ酸系化合物 14.5部
トルエン 900部
ブチルセロソルブ 900部
上記の処方に変更した以外は全てキャリア製造例1と同様に製造した。
実施例4では、実施例2のキャリア1をキャリア3に変更した以外は全て実施例2と同様に現像剤を得、評価した。現像剤の構成を表1に、評価結果を表2に示した。
<実施例5>
<キャリア製造例4> キャリア4
キャリア製造例3のアミノ酸系化合物を、上記のNo.2のアミノ酸系化合物に変更した以外は全てキャリア製造例3と同様に製造した。
実施例5では、実施例2のキャリア1をキャリア4に変更した以外は全て実施例2と同様に現像剤を得、評価した。現像剤の構成を表1に、評価結果を表2に示した。
<実施例6>
<キャリア製造例5> キャリア5
キャリア製造例3のアルミナ粒子を、アルミナ粒子1に変更した以外は全てキャリア製造例3と同様に製造した。
実施例6では、実施例2のキャリア1をキャリア5に変更した以外は全て実施例2と同様に現像剤を得、評価した。現像剤の構成を表1に、評価結果を表2に示した。
<比較例1>
<キャリア製造例6> キャリア6
アクリル樹脂溶液(固形分50質量%) 56.0部
グアナミン溶液(固形分77質量%) 15.6部
アルミナ粒子(平均粒径0.3μm、固有抵抗1014Ω・cm) 160.0部
トルエン 900部
ブチルセロソルブ 900部
上記の処方に変更した以外は全てキャリア製造例1と同様に製造した。
比較例1では、実施例1のキャリア1をキャリア6に変更した以外は全て実施例1と同様に現像剤を得、評価した。現像剤の構成を表1に、評価結果を表2に示した。
<比較例2>
比較例2では、実施例2のキャリア1をキャリア6に変更した以外は全て実施例2と同様に現像剤を得、評価した。現像剤の構成を表1に、評価結果を表2に示した。
Figure 2006251416
Figure 2006251416
上記表1および2より、本発明のキャリアは、従来のキャリアの耐久性に比べて倍以上の効果が得られた。また、離型剤を含むトナーとの組合せにおいては、従来の結果に比べて耐久性において6倍以上の効果が得られた。
本発明によれば、たとえ離型剤を含むトナーと組み合わせたとしても高耐久である電子写真用キャリアが提供される。また本発明によれば、前記電子写真用キャリア用いた現像剤、画像形成方法および該現像剤の収納容器が提供される。
本発明の電子写真用キャリアを用いた現像剤を充填した容器を搭載する画像形成装置の一例を示す図である。
符号の説明
1 現像部
2 現像剤収納容器
3 現像剤送流手段
4 現像ハウジング
5,6 攪拌スクリュー
7 現像ローラ
8 感光体
9 ドクターブレード
24 接続部材
25 フィルター
26 キャップ
D 現像剤

Claims (14)

  1. 少なくとも結着樹脂と粒子とを含有するコート膜を有するキャリアにおいて、該粒子の粒子径Dと該コート膜の膜厚hが1<[D/h]<10の関係にあり、かつ該粒子がアミノ酸系化合物で表面処理されていることを特徴とする電子写真用キャリア。
  2. 少なくとも結着樹脂と粒子とを含有するコート膜を有するキャリアにおいて、該粒子の粒子径Dと該コート膜の膜厚hが1<[D/h]<10の関係にあり、かつ該コート膜がアミノ酸系化合物を含有することを特徴とする電子写真用キャリア。
  3. さらに、前記粒子がアミノ酸系化合物で表面処理されていることを特徴とする請求項2に記載の電子写真用キャリア。
  4. 前記粒子の固有抵抗が1012Ω・cm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用キャリア。
  5. 前記粒子が、アルミナおよび/またはシリカであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真用キャリア。
  6. 前記粒子の含有量が、コート膜組成成分の40〜95質量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真用キャリア。
  7. 前記コート膜の膜厚が0.05〜1.00μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真用キャリア。
  8. 前記結着樹脂が、少なくともアクリル樹脂とアミノ樹脂を架橋反応させた樹脂および/またはシリコーン樹脂を含有したものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真用キャリア。
  9. 前記結着樹脂のTgが20〜100℃であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真用キャリア。
  10. 少なくとも結着樹脂と顔料とからなるトナーと、請求項1〜9のいずれかに記載の電子写真用キャリアとからなることを特徴とする電子写真用現像剤。
  11. 前記トナーが離型剤を含むことを特徴とする請求項10に記載の電子写真用現像剤。
  12. 請求項10または11に記載の電子写真用現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
  13. 請求項10または11に記載の電子写真用現像剤を用いることを特徴とする多色画像形成方法。
  14. 請求項10または11記載の電子写真用現像剤を収納したことを特徴とする現像剤収納容器。
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