つぎに、本発明の第一の実施形態のデジタルスチルカメラ110(以下、デジタルカメラ110と略す)について説明する。(請求項1、及び請求項6から請求項8に対応)。
図1に示すように、デジタルカメラ110の正面には、露光に際して被写体が適正な露光光量が得られない低照度の場合に発光されるストロボ112と、撮影される被写体像と略同等の像を示す光が入射するファインダー窓114と、前群レンズ16(図1(B)参照)を保護するための開閉可能なレンズバリヤ116と、が設けられている。
また、デジタルカメラ110の正面左端部のグリップ部117には、圧力検出手段としての圧力センサ118が設けられており、撮影者がデジタルカメラ110を把持しているときの把持圧力を測定可能となっている。なお、圧力センサ118は、圧力変化を検出可能であればよく、例えば、圧力が変化すると電気抵抗が変化するものを用いることができる。
なお、圧力センサ118の取り付け位置は、特に限定されないが、撮影者が撮影時に不自然な姿勢を取らずにデジタルカメラ110を把持するためには、本実施の形態のように、グリップ部117に設けることが好ましい。
また、デジタルカメラ110の上面には、デジタルカメラ110の各部への電源電力の供給/供給停止の切り替えを行う電源スイッチ124と、撮影指示ボタンとして、撮影を実行する際に撮影者によって押圧操作されるシャッタスイッチ(所謂レリーズボタン)126と、該デジタルカメラ110の動作モードを選択する際に操作される選択手段としてのモード切替スイッチ128とが設けられている。なお、本実施の形態では、モード切替スイッチ128により、レンズ保護モードと通常モードとの何れか一方を選択するようになっている。
更に、デジタルカメラ110の側面には、撮影によって得られた画像データをデジタルデータとして記憶する可搬型の記録メディア(本実施の形態では、スマートメディア)をデジタルカメラ110に装填するためのスロット(図示省略)が設けられている。また、デジタルカメラ110の背面には、撮影によって得られた被写体像、各種メニュー、画像処理に関するパラメータ、メッセージ等を表示するための液晶ディスプレイ132(図9参照、図1では図示省略)と、液晶ディスプレイ132に表示されたメニュー画面から所望のメニュー項目又はパラメータを選択したり、撮影倍率のアップ/ダウンを指示するためのカーソルボタン136(図9参照)と、ファインダー窓114から入射した光が図示しない光学部材を介して案内され、撮影する被写体の構図を決定する際に撮影者によって覗かれるファインダー接眼部(図示省略)と、が設けられている。
図1(B)に示すように、デジタルカメラ110は、2段繰り出し式の光学ズーム機能付きズームレンズユニット11を備えている。デジタルカメラ110は、撮影時には前述したレンズバリヤ116(図1(A)参照)が開き、前群レンズ16が外部に現れるとともに、ズームレンズユニット11の沈胴されていた内筒15と外筒14とが伸長する。したがって、使用中以外は、カメラ筐体12にレンズユニット11を格納しているので、携帯性に優れている。
また、デジタルカメラ110の正面のズームレンズユニット11の周囲には、薄くて平いらなリング状のエアバック装置50が取り付けられている。図3に示すように、エアバック装置50は内部にエアバック袋体52が折畳まれて格納されているが、図1(B),図4に示すように、エアバック制御部150(図9参照)によってエアバック袋体52が膨張し、突出したズームレンズユニット11を覆って保護する。
なお、エアバック袋体52が膨張するシステムは、特に限定されないが、例えば、エアバック装置50の内部に設けられたガス発生用薬剤に点火してガスを発生させ、一瞬にして、エアバック袋体52を膨張させるシステム等が適用できる。
また、図2に示すように、エアバック装置50は交換可能となっている。よって、エアバック袋体52が膨張した後、エアバック装着部54から取り外し、エアバック袋体52が膨張してない状態(折畳まれて格納された状態)のエアバック装置50に取り換えることができる。
なお、エアバック袋体52が膨張する際の衝撃を緩衝する緩衝部材、例えば、弾性体、例えば、ゴム材やバネ材を、エアバック装着部54(エアバック装置50とカメラ筐体12との間)に設けても良い。
なお、エアバック装置50は、エアバック袋体52が膨張してない状態(折畳まれて格納された状態)では非常に薄くコンパクトであるので、ズームレンズユニット11がカメラ筐体12に格納されて携帯性が向上する効果に対し、影響を与えない。
つぎに、ズームレンズユニット11の構成について説明する。
図3は、デジタルカメラ110の概略縦断面図で、同図(a)は、ズームレンズユニット11の格納状態(図1(A)の状態)を示し、同図(b)はズームレンズユニット11が伸長し突出した状態(図1(B)の状態)を、それぞれ示している。図5は、図3に示すズームレンズユニット11の分解斜視図である。
デジタルカメラ110のズームレンズユニット11は、2段繰り出し式の光学ズーム機能付きのズームレンズユニット11であり、カメラ筐体12の内部に固定された固定筒13と、この固定筒13の内側に位置して固定筒13の前端から光軸方向に出没する外筒14と、この外筒14の内側に位置して外筒14の前端から光軸方向に出没する内筒15とを備え、内筒15の内側には前群レンズ16(図7、図1(B)参照)が固定的に保持されている。
外筒14の後端部には、外筒14の内側を光軸方向に延びる直進キー17aを備えたキー部材17が、外筒14と進退一体かつ回転自在に取り付けられている。そして、このキー部材17には、固定筒13に回転自在に取り付けられた光軸方向に延びる駆動ギヤ18と係合するギヤ19が回転自在に取り付けられている。
固定筒13の内側には、外筒14の後端部外周面に形成されたヘリコイド14aと螺合するヘリコイド13aと、キー部材17の後端部外周面に突設された突部17bと摺動自在に係合する直進溝13bとが形成されている。また、外筒14の後端部外周面には、ギヤ19と係合するギヤ部14bも形成されており、ギヤ19を介して駆動ギヤ18からの回転力が外筒14のネジ部14bに加わると、外筒14は固定筒13に対して回転しながら光軸方向に進退し、キー部材17は固定筒13に対して回転せずに外筒14と一緒に光軸方向に進退するようになっている。
内筒15の後端部外周面には、外筒14の外周の内面に形成されたカム溝14cと摺動自在に係合するカムフォロアピン15aが形成され、内筒15の内面には、キー部材17の直進キー17aと摺動自在に係合する光軸方向に平行に延びたキー溝15bが形成されている。内筒15は、外筒14の回転運動によって駆動され、回転せずに外筒14に対して光軸方向に移動するようになっている。また、内筒15の後端部には、移動部材20が内筒15に対し回転自在かつ進退一体に取り付けられている。
この移動部材20は、内筒15の内側かつ前群レンズ16の後方を光軸方向に延びた円筒状の基部20aと、この基部20aの後端部に基部20aと一体に設けられた係合部20bとからなり、係合部20bは外筒14dの内面に形成された光軸方向に延びる直進溝14dに摺動自在に係合されている。移動部材20は外筒14と一体的に回転運動するとともに、外筒14の回転運動によって駆動される内筒15に引っ張られて、この内筒15と一緒に、外筒14に対し光軸方向に移動するようになっている。
移動部材20の内側には後群レンズ枠21が配置されている。この後群レンズ枠21は、後群レンズ22を保持した円環状の保持部21aと、保持部21aの外周面に突設されたピン状の係合部21bとからなり、係合部21bは移動部材20の基部20aに形成されたカム溝20cと、このカム溝20cを介して、内筒15の内面に形成された光軸方向に延びる直進溝15cとに、それぞれ摺動自在に係合されている。後群レンズ枠21は、外筒14から伝達された移動部材20の回転運動によって駆動され、移動部材20の基部20a上を、回転せずに光軸方向に進退するようになっている。
なお、移動部材20の基部20aの外周面に形成さた光軸方向に延びる直進溝20dは、移動部材20を内筒15に組み付ける際に使用する組付用の溝であり、移動部材20の動きには何ら関係するものではない。
図6は、ズームレンズユニット11の内筒15と外筒14との動きを判りやすく模式的に示している。外筒14の外周の内面のカム溝14cに、内筒15の外周のカムフォロアピン15aが係合している。そして、外筒14が回転すると、カム溝14cに沿って内筒15のカムフォロアピン15aが移動することで、外筒14に対して光軸方向に内筒14が移動し、外筒15の前端から出没(伸長/収縮)する。
図7は、ズームレンズユニット11の作用を模式的に示す図で、同図(a)は格納状態を、同図(b)は、ワイド端状態を、同図(c)はテレ端状態をそれぞれ示している。
図7(a)に示すように収納状態のとき、外筒14及び内筒15は、固定筒13内に完全に収納されており、このとき後群レンズ枠21は、移動部材20の基部20aの後端近くに位置している。上述した駆動ギヤ18から外筒14に回転力が加わると、外筒14は回転しながら光軸方向に前進する。この外筒14の回転運動によって、内筒15が外筒14の前端から進出せしめられ、この外筒14に引っ張られて移動部材20が、外筒14と一体に回転しながら外筒14に対し光軸方向に前進していく。このとき後群レンズ枠21が、外筒14から伝達された移動部材20の回転運動によって移動部材20の基部20a上を光軸方向に前進せしめられ、後群レンズ22と前群レンズ16との間の距離が調整される。
同図(b),(c)に示すようにワイド端状態のときには、前群レンズ16との距離が離れていた後群レンズ22は、テレ端状態のときには、後群レンズ枠21が移動部材20の基部20aの前端近くまで移動することにより前群レンズ16に接近していく。
つぎに、デジタルカメラ110の電気系の構成を説明する。
図9に示すように、デジタルカメラ110は、前群レンズ16と後群レンズ22(図3参照)を通過した被写体像を示す入射光に基づき被写体を撮像して被写体像を示すアナログ画像信号を出力するCCD(Charge Coupled Device)140と、入力された信号に対して所定のアナログ信号処理を施すアナログ信号処理部142と、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換器(以下、「A/D変換器」という。)144と、入力されたデジタル信号に対して所定のデジタル信号処理を行うDSP(Digital Signal Processor)146と、主として被写体像を示すデジタル信号によって示される情報を記憶するSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)148と、各種プログラムや所定データ等を記憶するためのフラッシュROM(Flash Read Only Memory)150と、ズームレンズユニット11を光軸方向に伸縮させるモータなどを移動させる駆動手段のモータドライブ152と、レンズバリヤ116(図1参照)を開閉させる図示しないモータを駆動するためのモータドライブ154と、CCD140を駆動させるCCD制御部156と、ストロボ112を発光させるストロボ制御部158と、スロットに装填された記録メディアを読書きするための記録メディアインタフェース(I/F)160と、を備えている。
また、デジタルカメラ110は、デジタルカメラ110全体の動作を司るCPU(中央演算処理装置)162を更に備えている。
CPU162は、SDRAM148及びフラッシュROM150と共にメインバスMBに接続されており、CPU162は、SDRAM148及びフラッシュROM150に任意にアクセスすることができる。また、CPU162は、電源スイッチ124、シャッタスイッチ126、モード切替スイッチ128(いずれも図1も参照)、及びカーソルボタン136といった撮影者により操作される操作手段と接続されている。CPU162は、これら操作手段の撮影者による操作状態を常時把握できる。また、CPU162は、圧力センサ118(図1参照)とも接続されており、圧力センサ118をON/OFFすると共に、圧力センサ118のON時は、撮影者による該デジタルカメラ110の把持状態を把握できる。
更に、このCPU162は、液晶ディスプレイ132、DSP146、モータドライブ152、モータドライブ154、CCD制御部156、ストロボ制御部158、及び記録メディアI/F60と接続されており、上述の操作手段の撮影者による操作状態及び撮影者による該デジタルカメラ110の把持状態に応じて、これら各部の作動を制御する。
詳しくは、デジタルカメラ110は、電源OFF時は、ズームレンズユニット11は沈胴状態で且つレンズバリヤ116も閉状態にされており(図1(A)参照)、電源スイッチ124の操作により電源がONされると、モータドライブ154にモータを駆動させてレンズバリヤ116を開状態にし、続いて、モータドライブ152にモータを駆動させてズームレンズユニット11を伸長し、予め設定された倍率に前群レンズ16と後群レンズ22とを移動させる。(図1(B)参照)。すなわち、電源ONにより、レンズバリヤ116が開状態となって、ズームレンズユニット11が突出する。
そして、撮影時は、CCD制御部156に所定のタイミングでCCD140に被写体像を撮影させる。このとき、カーソルボタン136による撮影倍率のアップ/ダウン指示の入力に呼応して、モータドライブ152にモータを駆動させてズームレンズユニット11を伸長/収縮することで、撮影倍率を変更することができる。(図7(b),(c)参照)。
CCD140により被写体像が撮影されると、CCD140から被写体像を示すアナログ画像信号が出力される。このCCD140の出力端は、アナログ信号処理部142の入力端に、アナログ信号処理部142の出力端はA/D変換器144の入力端に、A/D変換器144の出力端はDSP146の入力端に、各々接続されている。
CCD140から出力された被写体像を示すアナログ画像信号は、アナログ信号処理部142により所定のアナログ信号処理が施され、次いでA/D変換器144によりデジタル画像信号に変換された後、DSP146により所定のデジタル信号処理が施されてデジタル画像データとしてSDRAM148に一旦記憶される。
また、このDSP146は、記録メディアI/F160及び液晶ディスプレイ132とも接続されており、SDRAM148に格納されたデジタル画像データは、必要に応じて、圧縮伸長回路(図示省略)によって圧縮され、DSP146を介して記録メディアI/F160に装着されたスマートメディアに記録される。なお。記録用のデジタル画像データの取り込みは、シャッタスイッチ126(図1参照)による撮影記録指示の入力に呼応して行われ、より詳しくは、シャッタスイッチ126の半押しによりモータドライブ152にモータを駆動させて前群レンズ16と後群レンズ22とを合焦させ、全押しにより被写体像を撮影し、撮影により取得したデジタル画像データをスマートメディアに記録する。
更に、DSP416は、CCD122による連続的な撮像によって得られたデジタル画像データに基づく動画像を所謂スルー画像として、液晶ディスプレイに表示することで、液晶ディスプレイ132を電子ビューファインダとして使用可能としている。
また、画像再生時にはスマートメディアに記憶された再生対象とするデジタル画像データがDSP146によって読み出され、圧縮伸長回路(図示省略)によって伸長されて、液晶ディスプレイ132に表示される。
また、電源をOFFする際は、ズームレンズユニット11がデジタルカメラ110の内部に格納されるようにモータドライブ152にモータを駆動させ、次いで、レンズバリヤ116を閉状態にするようにモータドライブ154にモータを駆動して、ズームレンズユニット11を沈胴させて格納し、レンズバリヤ116を閉じた後、電源をOFFするようになっている。この電源OFF時の制御については、撮影者による電源スイッチ124(図1参照)の操作で電源がOFFされた場合は勿論こと、CPU162は、経過時間を計測するためのタイマー164を備えており、このタイマー164の時間計測により、所定時間、撮影者により何ら操作されずに、オートパワー機能が起動された場合にも行われる。なお、タイマー164は、CPU162に内蔵型としなくてもよく、CPU162と別体で設けて、CPU162と接続したものを用いることもできる。
更に、CPU62は、エアバック装置50のエアバック袋体52を膨張させるエアバック制御部150を制御している。つまり、CPU162の指令によって、エアバック装置50のエアバック袋体52が膨張し、ズームレンズユニット11を覆って保護する。(図1(C),図4参照)。
また、本実施の形態のデジタルカメラ110では、電源ON時においても、圧力センサ118による測定結果により、撮影者による把持状態から非把持状態になったことが検知された場合は、CPU162により該デジタルカメラ110が落下中であると判断する。
また、CPU162では、把持状態/非把持状態を区別するための閾値、すなわち落下判定に用いる基準値については、撮影者によるグリップ部117(図1参照)の把持力を圧力センサ118(図1参照)により測定して、撮影者毎に適切な値を設定して用いるようになっている。
つぎに、本実施形態の作用を説明する。
ズームレンズユニット11が伸長し突出した状態(図1(B),図3(b)参照)で落ちると、ズームレンズユニット11が破損しやすい。特に、図8に示す、カム溝14cとカムフォロアピン15aとの係合部分R(図中の点線で囲んだ部分)が最も弱く、落下による衝撃によって、容易にカム溝14cからカムフォロアピン15aが外れたりし、破損する。
したがって、本実施の形態のデジタルカメラ110は、図1(C)及び図4に示すように、落下を検知すると、CPU62の指令によりエアバック制御部150(図9参照)が、エアバック装置50のエアバック袋体52を膨張させ、ズームレンズユニット11を保護し、破損を防止する。
なお、ズームレンズユニット11が突出した状態(図1(B),図3(b)参照)の場合、デジタルカメラ110が20〜30センチ程度から落下しても、図8に示す、カム溝14cとカムフォロアピン15aとの係合部分R(図中の点線で囲んだ部分)が破損する場合がある。20〜30センチ程度の落下距離の場合、落下時間が非常に短い。しかし、エアバック袋体52を膨張させてズームレンズユニット11の保護が完了するまでの時間は、ほんの一瞬である。よって、落下距離が20〜30センチ程度であっても(落下時間が短くても)、デジタルカメラ110が落ちてしまう前に、エアバック袋体52は略完全に膨張し、ズームレンズユニット11の保護が略完了した状態となる。
なお、前述したように、エアバック袋体52の膨張後は、図2に示すように、エアバック袋体52が膨張してない状態(エアバック袋体52が折畳まれて格納された状態)のエアバック装置50に取り換える。
つぎに、デジタルカメラ110の落下を検知する落下検知方法について詳しく説明する。
デジタルカメラ110を使用する場合、撮影者は電源スイッチ124(図1参照)の操作により電源をONすると共に、モード切替スイッチ128(図1参照)を操作して通常モード及びレンズ保護モードのうちから所望の動作モードを選択する。デジタルカメラ110は、電源スイッチ124の電源ON操作により起動する。
図10は、起動後にCPU162により行われる制御ルーチン(主に本発明に係わる処理)を示している。
図10に示すように、デジタルカメラ110は、電源がONされると、CPU162の制御により、まず、ステップ1100において、レンズバリヤ116が閉→開状態とされ、ズームレンズユニット11が所定長だけ伸長されて当該デジタルカメラ110のカメラ筐体12から突出する。(図1(B)参照)。なお、このときのズームレンズユニット11の伸長に伴って、ズームレンズユニット11内部の前群レンズ16及び後群レンズ22が光軸方向に移動し、所定の撮影倍率にセットされる。
そして、モード切替スイッチ128により通常モードが選択されている場合は、次のステップ1102で否定判定されて、ステップ1104に進み、通常モードに移行し、撮影者による操作手段(主にシャッタスイッチ126やカーソルボタン136)の操作に応じて、被写体像の撮影や撮影画像の再生などを行われ、動作モードが切り替えられたり、電源OFFが指示されるまでは、次のステップ1106からステップ1108を介してステップ1104に戻り、撮影者による操作手段(主にシャッタスイッチ126やカーソルボタン136)の操作に応じた撮影や画像再生が継続される。なお、この期間中、圧力センサ118はOFFのままである。
詳しくは、このとき、撮影者は、撮影を行いたい場合は、図示しない切替スイッチを操作して撮影モードを選択し、光学ファインダ(図1のファインダー窓114から入射した光を図示しない光学部材によりデジタルカメラ110背面の図示しないファインダー接眼部に案内することで実現される)或いは、液晶ディスプレイ132(図9参照)により被写体を確認しながら、必要に応じてカーソルボタン136を操作して撮影倍率を変更して、被写体の構図を決定し、シャッタスイッチ126を押圧操作する。
これにより被写体像を示すデジタル画像データがDSP146で生成され、SDRAM148に一旦記憶される。その後、デジタル画像データは、DSP146によりSDRAM148から読み出されて、液晶ディスプレイ132に表示されると共に、図示しない圧縮・伸長手段により圧縮されてJPEGフォーマットなどの所定フォーマットの画像データとされた後、記録メディアI/F160を介して、スマートメディアに記憶される。
また、既に撮影した画像を液晶ディスプレイ132に再生表示したい場合は、撮影者は、図示しない切換えスイッチを操作して再生モードに切換えると共に、カーソルボタン136を操作するなどして再生したいデジタル画像データを指定すると、記録メディアI/F160によってスマートメディアから該指定されたデジタル画像データが読み出されて、図示しない圧縮・伸長手段により伸長された後、液晶ディスプレイ132に該デジタル画像データに基づく画像が表示される。
その後、撮影者により、モード切替スイッチ128が操作されて、通常モードからレンズ保護モードに動作モードが切換えられると、ステップ1106で肯定判定されてステップ1102に戻る。また、撮影者により電源スイッチ124が操作されたり、最後に操作してから所定時間が経過してオートパワーオフ機能が動作して、電源OFFが指示されたら、ステップ1108で肯定判定されて、ステップ1150(詳細は後述する)に進む。
一方、モード切替スイッチ128によりレンズ保護モードが選択されている場合は、ステップ1102で肯定判定されて、レンズ保護モードに移行して、ステップ1110に進み、まず、圧力センサ118をONさせる。これにより、圧力測定が開始される。そして、次のステップ1112で、圧力センサ118による測定結果(圧力測定値)が予め設定された初期値以上となったら、撮影者によりデジタルカメラ110のグリップ部117(図1参照)が把持されたと認識して、次のステップ1114に進む。なお、この初期値は、把持状態にない場合の圧力センサ118による圧力測定値を示すものであり、予めフラッシュROM150に記憶されている。
ステップ1114では、圧力センサ118による圧力測定を所定時間(数秒間)行って、当該撮影者によるグリップ部117の把持力を測定し、続いて、ステップ1116で、この測定結果に基づいて、落下判定のための閾値を設定する。例えば、所定時間の圧力測定結果の平均値AVRを算出し、閾値をTHとして、TH=AVR±δ、或いはTH=AVR×δというように、該平均値AVRから所定値分或いは所定割合分の変動は許容されるように閾値を設定する。
このように、レンズ保護モードに移行した際には、必ず、撮影者によるグリップ部117の把持を認識し、該把持力の測定結果に基づいて閾値が設定されるので、撮影者毎の閾値設定が可能である。
閾値設定がなされた後は、次のステップ1118に進み、圧力センサ118はONのままで、すなわち圧力センサ118により撮影者によるグリップ部117の把持圧力を測定しながら、通常モード時と同様に、撮影者による操作手段(シャッタスイッチ126やカーソルボタン136)の操作に応じて、被写体像の撮影や撮影画像の再生などが行われる。そして、圧力センサ118の測定結果(圧力測定値)に基づいて、撮影者によりグリップ部117が把持されていると判定されている間は、動作モードが切り替えられたり、電源OFFが指示されなければ、次のステップ1120からステップ1122、ステップ1124を介してステップ1118に戻り、撮影者による操作手段(主にシャッタスイッチ126やカーソルボタン136)の操作に応じた撮影や画像再生が継続される。このとき、たとえ手ブレが生じたとしても、撮影者によりグリップ部117が把持されているので、被写体像の撮影や画像再生は継続されることになる。また、撮影者により、レンズ保護モードから通常モードに動作モードが切換えられた場合は、ステップ1122からステップ1102に戻り、電源OFFが指示された場合は、ステップ1124からステップ1150に進む。
電源OFFが指示され、前述のステップ1108やステップ1124で肯定判定されてステップ1150に進んだ場合は、ズームレンズユニット11を収縮させてカメラ筐体12内に沈胴させ、レンズバリヤ116を開→閉状態とした後(図1(A)の状態)、次のステップ1152で電源をOFFする。これにより、CPU162による制御は終了され、デジタルカメラ110の動作は終了する。
一方、レンズ保護モードでの撮影・再生処理期間中に、グリップ部117の圧力センサ118の測定結果(圧力測定値)が前述のステップ1116で設定した閾値以下となると、デジタルカメラ110が落下状態にあると判定して、ステップ1120からステップ1130に進む。
ステップ1130では、前述したように、エアバック装置50のエアバック袋体52を膨張させてズームレンズユニット11を保護する。(図1(C)、図4参照)。
そして、上述した、ステップ1150に進みズームレンズユニット11を収縮させてカメラ筐体12に沈胴させ、レンズバリヤ116を開→閉状態とした後、次のステップ1152で電源をOFFする。
このように、本実施の形態では、デジタルカメラ110のグリップ部117に圧力センサ118を設けたことにより、該デジタルカメラ110が撮影者により把持されていることを検出することができ、デジタルカメラ110は手ブレのときでも撮影者に把持されており、落下時は把持されていないので、この圧力センサ118の測定結果により手ブレと落下とを容易に区別可能である。この圧力センサ118の測定結果に基づいて落下判定を行うことにより、デジタルカメラ110の落下の識別能力が向上している。
なお、本実施の形態では、撮影者毎に落下判定の基準値となる閾値を設定して落下判定を行う場合を例に説明したが、撮影者に係わらず一律に予め設定された閾値を用い落下判定を行ってもよい。ただし、撮影者毎にグリップ部の把持力は異なり、特に、把持力の弱い人が撮影する場合に、把持しているのにも係わらず落下と誤判定される恐れがあるため、本実施の形態のように撮影者毎に把持力を測定して閾値を設定することが好ましい。また、落下したカメラが地面などに到達する前に、エアバック装置50のエアバック袋体52を膨張させて保護するためには、早めに落下を検知することが要求され、撮影者毎に設定された閾値を用いて落下判定を行うことで、撮影者の手から離れた瞬間に直ちに落下を検知することが可能となる。
ところで、撮影者はデジタルカメラ110を把持せずに、三脚を使用したり、テーブルなどの台上に載置するなどして、該デジタルカメラ110の位置を固定して、撮影や画像再生を行う場合もある。このことを考慮して、上記では、撮影モードとして、通常モードとは別に、圧力センサ118をONにして落下判定を実施する専用モードであるレンズ保護モードを用意して、圧力センサ118を用いた落下判定によりレンズの保護制御を行うか否かを撮影者が選択することができるようになっている。すなわち、三脚使用時や台上載置使用時は、撮影者はモード切替スイッチ128を操作して通常モードを選択すればよい。
なお、デジタルカメラ110において、圧力センサ118を用いた落下判定が必要であるか否かを自動判定するようにしてもよい。
これは、例えば、図9に点線で示すように、固定検出手段として、三脚使用を検知する三脚センサ170や台上に載置されていることを検知する載置センサ172をCPU162と接続して設け、CPU162において三脚使用の有無や台上載置の有無を常時把握可能し、三脚使用や台上載置が検知された場合には、自動的に圧力センサ118による測定をOFFして落下判定によるレンズの保護制御を中止することで実現可能である。
なお、この場合に用いる三脚センサ170については、デジタルカメラ110に三脚が取り付けられたことを検知できれば、特にその種類や設置位置は限定されるものではない。例えば、デジタルカメラ110の底面に一般に設けられている三脚の雄ネジが螺合される三脚用ネジ穴の内部で、且つ螺合された雄ネジの先端部によって押圧される部位に圧力変化を検出する圧力センサを設けることによって、三脚使用を検知することができる。
また、この場合に用いる載置センサ172についても、デジタルカメラ110が何らかの上に載置されて支持されていることを検知できれば、特に、その種類や設置位置は限定されるものではない。例えば、デジタルカメラ110の底面など台上に載置された場合に該台と接触する場所に、圧力変化を検出する圧力センサを設けることによって、台上載置を検知することができる。
このように、三脚センサ170や載置センサ172を設けることにより、撮影者が三脚使用時や台上載置使用時に撮影モードを通常モードに切換えるのを忘れた場合に、落下と誤判定するのを防止することができる。
なお、上述した落下の検知手段及び検知知方法は、一例であって、他の検知手段及び検知方法であっても良い。
例えば、重力センサーや加速度センサーを用いた検知手段及び検知知方法であっても良い。
つぎに、本発明の第二の実施形態のデジタルカメラ210について説明する。(請求項1、及び請求項2から請求項5に対応)。なお、第一の実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。また、エアバック装置50,落下を検知する検知手段(圧力センサー118,検知方法(図10参照)など)は備えていない。
図11に示すように、デジタルカメラ210は、ズームレンズユニット11の外側に間隔を持って、ズームレンズユニット11を覆うレンズユニットカバー250が取り付けられている。
レンズユニットカバー250の先端部から突出した係合ピン252が、内筒15の先端部分の係合部260の係合穴262(図13(D)参照)に嵌り、後端部から突出した係合ピン253が、カメラ筐体12の正面の係合部261の係合穴(図示略)に係合し嵌っている。
図13は、係合ピン252の球部256が、係合部260の係合穴262に係合して嵌る様子を(A)から(D)に順番に示している。なお、係合ピン253及び係合部261の構成と係合の様子も同様であるので、説明を省略する。
図13(A)に示すように、係合ピン252は、軸状の軸部254の先端に、軸径より太い球形の球部256が形成されている。図13(B)に示すように、係合部260の係合穴262の開口は球部256の直径より僅かに小さいが、内部は球部256より若干大きな穴となっている。しかし、係合部260は樹脂などの弾性変形する材質で構成されているので、図13(C)に示すように、若干力をいれると容易に係合穴262の開口が広がり、図13(D)に示すように、球部256が係合穴262に入って係合する。なお、若干力をいれて引っ張ると、係合穴262の開口が広がり、係合穴262から球部256が容易にはずれる。つまり、レンズユニットカバー250は、容易に着脱する。
図11に示すように、レンズユニットカバー250は、複数の筒部255が重なって構成されており、光軸方向に伸縮自在になっている。よって、ズームレンズユニット11の伸縮と連動して、レンズユニットカバー250も伸縮する。また、レンズユニットカバー250の材質は樹脂からなり、ズームレンズユニット11より低剛性であり、弾力性がある。
つぎに、本実施形態の作用について説明する。
図11(B)に示す、ズームレンズユニット11が伸長し突出した状態で落ちたり、あるいは、どこかにぶつけても、ズームレンズユニット11はレンズユニットカバー250で覆われているので、衝撃はレンズユニットカバー250が受ける。ズームレンズユニット11とレンズユニットカバー250とは、係合部260,261と係合ピン252,253との係合部分(図13(D)参照)以外は、離れているので、レンズユニットカバー250が受けた衝撃は、ズームレンズユニット11には殆ど伝わらない。よって、ズームレンズユニット11が保護され、ズームレンズユニット11の破損が防止される。
なお、第一の実施形態で説明した、図8に示す、カム溝14cとカムフォロアピン15aとの係合部分R(図中の点線で囲んだ部分)は衝撃に弱く、容易にカム溝14cからカムフォロアピン15aが外れたりし、破損しやすいが、本実施形態では、レンズユニットカバー250が受けた衝撃は、ズームレンズユニット11には殆ど伝わらないので、第一の実施形態と同様に破損しない。
また、レンズユニットカバー250は、ズームレンズユニット11よりも、低剛性であるので、破損しやすい。よって、レンズユニットカバー250が衝撃を受けて破損し、ズームレンズユニット11への衝撃を緩衝することもある。あるいは、係合部260,261から係合ピン252,253が外れたり、係合ピン252,253が折れたして、ズームレンズユニット11への衝撃を緩衝することもある。
なお、レンズユニットカバー250が破損しても(係合ピン252、253の折れも含む)、前述したように、レンズユニットカバー250は容易に着脱できるので、破損していない新品のレンズユニットカバー250に交換することで、元に戻る。
更に、図11に示すように、レンズユニットカバー250は、ズームレンズユニット11の伸縮(突出長に変化)に応じ、レンズユニットカバー250も伸長して長さが変化する。よって、コンパクトになり携帯性に優れている。なお、必要が無い場合は、レンズユニットカバー250を取り外し、更にコンパクトにしても良い。
なお、ズームレンズユニット11を覆うレンズユニットカバー250は、ズームレンズユニット11より低剛性としたが、これに限定されない。逆に高剛性として耐衝撃性を高めても良い。なお、この場合は、カメラ筐体12との接合を、係合部261と係合ピン2253とのような係合でなく、より強固に接合される構成とし、ズームレンズユニット11への衝撃の伝達を減少させる方が望ましい。
なお、ズームレンズユニット11を覆うレンズユニットカバー250は、本実施形態の構成に限定されない。他の構成であっても良い。例えば、以下に説明する変形例の構成であっても良い。
つぎに、レンズユニットカバーの変形例について説明する。
図12に示すように、デジタルカメラ211のレンズユニットカバー280は、外カバー282と内カバー284とから構成している。
レンズユニットカバー280の内カバー284の先端部から突出した係合ピン252が、内筒15の先端部分の係合部260の係合穴262(図13(D)参照)に嵌り、外カバー282の先端部から突出した係合ピン255が、外筒14の係合部265の係合穴に嵌っている。そして、ズームレンズユニット11の外筒14と内筒15の動きに連動して、レンズユニットカバー280の内カバー284と外カバー282とも動き、伸縮する。
なお、外カバー284の先端部から突出した係合ピン255は、内カバー284に開けられたピン孔(図示略)を通っている。このピン孔は外筒15の動き(回転と伸縮)に連動する外カバー282と、内筒14の動き(伸縮)に連動する内カバー284と、の動きを妨げないように形成されている。(全く同じ形状でないが、図6に示すカム溝15cの形状を参考にされたい)。
なお、係合ピン252,255と係合部260,265の構成と係合の様子は、図13を用いた説明と同様である。
なお、変形例の作用効果も同様であるが、格納状態においては、変形例のほうが、よりコンパクトである。
また、上記、第二の実施形態、及び変形例ともに、ズームレンズユニット11の伸縮に連動して、レンズユニットカバー250,280も伸縮したが、伸長時のみ連動し、格納は撮影者が手で行う構成でも良い。例えば、図示は省略するが、レンズユニットカバー250,280の先端部の係合ピン252と、内筒15の先端部分の係合部260の係合穴262と、の係合が無い構成である。つまり、ズームレンズユニット11が伸長するときは、ズームレンズユニット11の先端部がレンズユニットカバーを押して伸長させるが、格納時は撮影者が手でレンズユニットカバーを押し込んで格納する。このような構成とすると、ズームレンズユニット11とレンズユニットカバーとの係合部分が少ない(レンズユニットカバー250の変形の場合は、全く無い)ので、ズームレンズユニット11にかかる衝撃がより減少する。
尚、本発明は上記の実施形態に限定されない。
例えば、上記実施形態では、ズームレンズユニット11がカメラ筐体12に完全に沈胴して格納されたが、これに限定されない。レンズユニットの一部が突出したままの構成でも良い。あるいは、レンズユニットが、全く伸縮しない構成であっても良い。
なお、レンズユニットが伸縮しない構成の場合、第二の実施形態、及び変形例のレンズユニットカバー250,280のように、レンズユニットカバーが伸縮する構成は必要無く、単純にレンズユニットを覆って保護できる構成のレンズユニットカバーであれば良い。
また、上記実施形態では、主に静止画像を撮影するデジタルスチルカメラを例にとって説明したが、これに限定されない。主に動画を撮影するデジタルビデオカメラやDVDカメラ、あるいは、携帯電話のカメラ、更に、写真フイルムを使用するフイルムカメラなど、各種の撮像装置全般に、本発明は適用できる。