以下、添付した図面を参照し本発明の好ましい実施の形態を説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の好ましい実施形態に係るデジタルカメラ(以下カメラと略す)300の正面図である。
カメラ300の正面に配備されたレンズ鏡胴60には、ズームレンズ101a及びフォーカスレンズ101bを含む撮影レンズ101が内蔵されており、ズームレンズ101aを光軸方向に移動させることで焦点距離調節が行なわれるとともに、フォーカスレンズ101bを光軸方向に移動させることによりピント調節が行なわれる。
レンズ鏡筒60は、カメラボディ180に沈胴した状態から、予め設定された最短焦点距離位置であるワイド端と最長焦点距離位置であるテレ端との間で進退することで、カメラボディ180から繰り出し、また収納される。この図では、レンズ鏡胴60がカメラボディ180に沈胴した状態が示されている。
またカメラ300には、非撮影時には撮影レンズ101の前面を覆って撮像レンズ101と外界とを遮ることで撮像レンズ101を保護する状態をつくり出すとともに、撮像時には撮像レンズを外界に露出するレンズカバー61が設けられている。
レンズカバー61は開閉自在な機構で構成されており、開放状態で撮影レンズ101の前面を覆い、閉鎖状態で撮影レンズ101の前面を外界に露出する。レンズカバー61は電源スイッチ121のオン/オフに連動して開放/閉鎖される。図1ではレンズカバー61は開放状態となっている。
カメラ300の上面には、レリーズスイッチ104と電源スイッチ121が配備されており、正面には、ストロボ105a、AF補助光ランプ105b、セルフタイマーランプ105c等が配備されている。
図2はカメラ300の背面図である。カメラ300の背面には、ズームスイッチ127が配備されている。ズームスイッチ127のワイド(W)側、テレ(T)側は、それぞれその押圧に応じて段階的に押し込むあるいは揺動させることができる。ズームスイッチ127のワイド(W)側を第1の所定量(WIDE1)だけ押すと、押し続けている間、レンズ鏡胴60がワイド端(広角)側に繰り出し、テレ(T)側を第1の所定量(TELE1)だけ押すと、押し続けている間、レンズ鏡胴60がテレ端(望遠)側に移動する。
カメラ300の背面には、画像表示LCD102、切替レバー122、十字キー124、情報位置指定キー126等も設けられている。
図3は本発明に係るカメラ300のブロック図である。カメラ300にはユーザがこのカメラ300を使用するときに種々の操作を行なうための操作部120が設けられている。この操作部120には、カメラ300を作動させるための電源投入用の電源スイッチ121、撮影モードと再生モードとを自在に切り替える切替レバー122、オート撮影やマニュアル撮影等を選択するための撮影モードダイヤル123、各種のメニューの設定や選択あるいはズームを行なうための十字キー124、閃光発光用スイッチ125、および十字キー124で選択されたメニューの実行やキャンセル等を行なうための情報位置指定キー126、左右方向に操作可能なレバースイッチで構成され、該スイッチを右方向に操作することで望遠(TELE)方向にズーム移動し、左方向に操作することで広角(WIDE)方向にズーム移動するズームスイッチ127が備えられている。
また、カメラ300には、撮影画像や再生画像等を表示するための画像表示LCD102と、操作の手助けを行なうための操作LCD表示103が備えられている。
このカメラ300にはレリーズスイッチ104が配備されている。このレリーズスイッチ104によって撮影の開始指示がメインCPU20へと伝えられる。このカメラ300では切替レバー122によって撮影と再生との切り替えが自在になっていて、撮影を行なうときには切替レバー122が撮影側に切り替えられ、再生を行なうときには切替レバー122が再生側に切り替えられる。また、カメラ300には、閃光を発光する閃光発光管105aを有する閃光発光装置が配備されている。
また、カメラ300には、撮影レンズ101と、撮影レンズ101を経由して結像された被写体像をアナログの画像信号に変換する撮像素子であるCCDセンサ132とが備えられている。
撮影レンズ101は、ズームレンズ101a,フォーカスレンズ101b、絞り131を備えており、ズーミングを行うズーム用モータ110と、焦点調整を行うフォーカス用モータ111と、絞り調整を行う絞り用モータ112により、それぞれが駆動される。レンズ鏡胴60の進退動力はズーム用モータ110よって供給される。レンズカバー61の開閉動力はレンズカバー用モータ114によって供給され、レンズカバー用モータ114はモータドライバ62によって駆動される。モータドライバ62の駆動は、メインCPU20又は測光・測距CPU137によって制御される。
繰出量検出部70は、レンズ鏡胴60の繰り出し量を検出するセンサであり、ズームレンズ位置検出用のエンコーダなどで構成することができる。
CCDセンサ132は、詳細には、そのCCDセンサ132に照射された被写体光により発生した電荷を可変の電荷蓄積時間(露光期間)の間蓄積することにより画像信号を生成するものである。CCD132からは、CG部136から出力される垂直同期信号VDに同期したタイミングでフレーム毎の画像信号が順次出力される。
また、カメラ300には、CCDセンサ132からのアナログ画像信号が表わす被写体像のホワイトバランスを合わせるとともにその被写体像の階調特性における直線の傾き(γ)を調整し、さらにアナログ画像信号を増幅する増幅率可変の増幅器を含む白バランス・γ処理部133が備えられている。
さらに、カメラ300には、白バランス・γ処理部133からのアナログ信号をディジタルのR,G,B画像データにA/D変換するA/D部134と、そのA/D部134からのR,G,B画像データを格納するバッファメモリ135が備えられている。
本実施形態では、A/D部134は、8ビットの量子化分解能を有し、白バランス・γ処理部133から出力されるアナログR,G,B撮像信号を、CCDセンサ132の受光量に応じ、レベル0〜255のR,G,Bデジタル画像データに変換して出力する。以下、CCD132のR,G,Bの受光量に応じたR,G,Bデジタル画像データのレベルも受光量と呼ぶ。ただし、この量子化分解能はあくまで一例であって本発明に必須の値ではない。
また、カメラ300には、CG(クロックジェネレータ)部136と、測光・測距用CPU137と、充電・発光制御部138と、通信制御部139と、YC処理部140と、電源電池68とが備えられている。
CG部136は、CCDセンサ132を駆動するための垂直同期信号VD,高速掃き出しパルスPを含む駆動信号、白バランス・γ処理部133,A/D部134を制御する制御信号、および通信制御部139を制御する制御信号を出力する。また、このCG部136には、測光・測距用CPU137からの制御信号が入力される。
測光・測距用CPU137は、ズーム用モータ110、フォーカス用モータ111、絞り調整を行う絞り用モータ112を制御してズームレンズ101a、フォーカスレンズ101b、絞り131をそれぞれ駆動することにより測距を行ない、CG部136および充電・発光制御部138を制御する。測光・測距用CPU137は、レリーズスイッチ104が半押しされると、CCD132によって周期的(1/30秒から1/60秒ごと)に得られる画像データに基づいて被写体の明るさの測光(EV値の算出)を行う。
即ち、AE演算部151は、A/D変換部134から出力されたR、G、Bの画像信号を積算し、その積算値を測光・測距用CPU137に提供する。測光・測距用CPU137は、AE演算部151から入力する積算値に基づいて被写体の平均的な明るさ(被写体輝度)を検出し、撮影に適した露出値(EV値)を算出する。
そして、測光・測距用CPU137は、得られたEV値に基づいて絞り131の絞り値(F値)及びCCD132の電子シャッタ(シャッタスピード)を含む露出値を所定のプログラム線図にしたがって決定する。
レリーズスイッチ104が全押しされると、モータドライバ63は、その決定した絞り値に基づいて絞り用モータ112を駆動し、絞り131の開口径を制御するとともに、決定したシャッタスピードに基づき、CG136を介してCCD132での電荷蓄積時間を制御する(AE動作)。
AE動作は、絞り優先AE,シャッタ速度優先AE,プログラムAEなどがあるが、いずれにおいても、被写体輝度を測定し、この被写体輝度の測光値に基づいて決められた露出値、すなわち絞り値とシャッタスピードとの組み合わせで撮影を行うことにより、適正な露光量で撮像されるように制御しており、面倒な露出決定の手間を省くことができる。
AF検出部150は、測光・測距CPU137により選定された検出範囲に対応する画像データをA/D変換部134から抽出する。焦点位置を検出する方法は、合焦位置で画像データの高周波成分が最大振幅になるという特徴を利用して行う。AF検出部150は、抽出された画像データの高周波成分を1フィールド期間積分することにより、振幅値を算出する。AF検出部150は、測光・測距CPU137がフォーカス用モータ111を駆動制御してフォーカスレンズ101aを可動範囲内、即ち無限遠側の端点(INF点)から至近側の端点(NEAR点)の間で移動させている間に順次振幅値の計算を実行し、最大振幅を検出した時にその検出値(AF評価値)を測光・測距CPU137に送信する。
測光・測距CPU137は、この検出値を取得して対応する合焦位置に、フォーカスレンズ101bを移動させるようにモータドライバ62に指令を出す。モータドライバ62は、測光・測距CPU137の指令に応じてフォーカス用モータ111を駆動し、フォーカスレンズ101bを合焦位置に移動させる(AF動作)。
測光・測距用CPU137は、メインCPU20とのCPU間通信によってレリーズスイッチ104と接続されており、ユーザによりレリーズスイッチ104が半押しされた時に、この合焦位置の検出が行われる。また、測光・測距用CPU137には、モータドライバ62が接続されており、メインCPU20が、ズームスイッチ127によってユーザからのTELE方向又はWIDE方向へのズームの指令を取得した場合に、モータドライバ62を制御してズーム用モータ110を駆動させることにより、ズームレンズ101aをWIDE端とTELE端との間で移動させる。
充電・発光制御部138は、閃光発光管105aを発光させるために電源電池68からの電力の供給を受けて図示しない閃光発光用のコンデンサを充電したり、その閃光発光管105aの発光を制御する。充電・発光制御部138は,AF補助光ランプ105bやセルフタイマーランプ105cの発光も制御する。
通信制御部139には、通信ポート107が備えられており、この通信制御部139は、カメラ300により撮影された被写体の画像信号をUSB端子が備えられたパーソナルコンピュータ等の外部装置に出力し、およびこのような外部装置からカメラ300に画像信号を入力することにより、その外部装置との間のデータ通信を担うものである。また、このカメラ300は、ロール状の写真フイルムに写真撮影を行なう通常のカメラが有するISO感度100,200,400,1600等に切り替える機能を模擬した機能を有し、ISO感度400以上に切り替えられた場合、白バランス・γ処理部133の増幅器の増幅率が所定の増幅率を越えた高増幅率に設定された高感度モードとなる。
また、カメラ300には、圧縮・伸長&ID抽出部143と、I/F部144が備えられている。圧縮・伸長&ID抽出部143は、バッファメモリ135に格納された画像データを、バスライン142を介して読み出して圧縮し、I/F部144を経由してメモリカード200に格納する。また、圧縮・伸長&ID抽出部143は、メモリカード200に格納された画像データの読み出しにあたり、メモリカード200固有の識別番号(ID)を抽出し、そのメモリカード200に格納された画像データを読み出して伸長し、バッファメモリ135に格納する。
また、カメラ300には、メインCPU20と、EEPROM146と、YC/RGB変換部147と、表示用のドライバ148とが備えられている。メインCPU20は、このカメラ300全体の制御を行なう。EEPROM146には、このカメラ300固有の固体データやプログラム等が格納されている。YC/RGB変換部147は、YC処理部140で生成されたカラー映像信号YCを3色のRGB信号に変換して表示用のドライバ148を経由して画像表示LCD102に出力する。
また、カメラ300は、AC電源から電力を得るためのACアダプタ48と電源電池68とが着脱可能な構成となっている。電源電池68は充電可能な二次電池、例えばニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池で構成される。電源電池68は使い切り型の一次電池、例えばリチウム電池、アルカリ電池で構成してもよい。電源電池68は図示しない電池収納室に装填することにより、カメラ300の各回路と電気的に接続される。
ACアダプタ48がカメラ300に装填されAC電源からACアダプタ48を介してカメラ300に電力が供給される場合には、電源電池68が電池収納室に装填されている場合であっても、優先的に当該ACアダプタ48から出力された電力がカメラ300の各部に駆動用の電力として供給される。この場合、ACアダプタ48から出力される電力の一部は電源電池68に供給され、電源電池68はこの電力によって充電される。
また、ACアダプタ48が装填されておらず、かつ電源電池68が電池収納室に装填されている場合には、当該電源電池68から出力された電力がカメラ300の各部に駆動用の電力として供給される。
電池残量検出部65は、電源電池68の電池残量を検出する回路である。メインCPU20は、電池残量検出部65の検出した電池残量に基づき、ACアダプタ48による電源電池68の充電の進行状況を監視するプログラムを実行する。このプログラムはEEPROM146に記憶されている。
なお、図示しないが、カメラ300には、電池収納室内に収納される電源電池68とは別にバックアップ電池が設けられている。内蔵バックアップ電池には例えば専用の二次電池が用いられ、電源電池68によって充電される。バックアップ電池は、電源電池68の交換や取り外し等、電源電池68が電池収納室に装填されていない場合、カメラ300の基本機能に給電する。
即ち、電源電池68又はACアダプタ48からの電源供給が停止すると、バックアップ電池がスイッチング回路(図示せず)によってRTC15等に接続され、これらの回路に給電する。これにより、バックアップ電池29が寿命に達しない限り、RTC15等の基本機能には、電源供給が間断なく継続する。
RTC(Real Time Clock)15は計時専用のチップであり、電源電池68やACアダプタ48からの給電がオフされていてもバックアップ電池から電源供給を受けて継続的に動作する。
図4はズームスイッチの概略構造を説明する図である。ズームスイッチ127を構成する操作ボタン162は、カメラボディ180に設けられた軸部161に、図示矢印方向に揺動可能に取り付けられている。
操作ボタン162のワイド側下面には、銅板等の可撓性部材で構成された、2つの導電性接片である第1ワイド側接片160W−1、第2ワイド側接片160W−2が配設されている。第2ワイド側接片160W−2の下面には、導電性の第3ワイド側接片160W−3が配設されている。第1ワイド側接片160W−1、第2ワイド側接片160W−2、第3ワイド側接片160W−3は、押圧力によって接触する場合を除いて互いに絶縁されている。
第1ワイド側接片160W−1は、接地電位GNDに接続されており、接地電位(Lレベル)に保たれる。第2ワイド側接片160W−2、第3ワイド側接片160W−3は、それぞれメインCPU20の第1ワイド側端子20W−1、第2ワイド側端子20W−2に接続されており、メインCPU20は、第2ワイド側接片160W−2、第3ワイド側接片160W−3の電圧を検出する。
第2ワイド側接片160W−2、第3ワイド側接片160W−3は、それぞれプルアップ抵抗RW1、RW2を介して、電源電池68の出力端子80に接続され、所定の電位(Hレベル)に保たれる。
操作ボタン162のワイド側下面には、操作ボタン162に向けて付勢されている第1ワイド側接片160W−1ないし第2ワイド側接片160W−2を付勢に抗して押圧するよう、突起162Wが形成されている。
指の押圧力で操作ボタン162をW側の第1の所定量(WIDE1)だけ揺動すると、突起162Wにより押圧された第1ワイド側接片160W−1が第2ワイド側接片160W−2と接触し、第1ワイド側端子20−1Wで検出される電位がHレベルからLレベルに切り替わる。
指の押圧力でさらに操作ボタン162をW側の第2の所定量(WIDE2)だけ揺動すると、今度は第2ワイド側接片160W−2が第1ワイド側接片160W−1に接触した状態で、第3ワイド側接片160W−3にも接触する。これにより、第2ワイド側端子20−2Wで検出される電位がHレベルからLレベルに切り替わる。
操作ボタン162の押圧を解除すると、第1ワイド側接片160W−1及び第2ワイド側接片160W−2の付勢力により両者の接触が解除され、第1ワイド側端子20W−1ないし第2ワイド側端子20W−2の電位がHからLに切り替わる。
なお、レリーズスイッチ104に設けられるようなクリック板を操作ボタン162に設け、第1ワイド側接片160W−1と第2ワイド側接片160W−2とが接触する第1の所定量、あるいは第1ワイド側接片160W−1と第2ワイド側接片160W−2と第3ワイド側接片160W−3とが接触する第2の所定量をクリック感でユーザに感知させてもよい。
図5(a)は操作ボタン162の操作量WIDE1、WIDE2に対応し、CPU20の第1ワイド側接片160W−1、第2ワイド側接片160W−2で検出される電位と、その際の動作の関係を示す。
検出電位が「WIDE1=HかつWIDE2=H」の場合は特に動作を行わない。検出電位が「WIDE1=LかつWIDE2=H」の場合、ズームスイッチ127のワイド(W)側が第1の所定量(WIDE1)だけ押されている状態となっている。この場合、W側が押され続けている間、レンズ鏡胴60をワイド端(広角)側に繰り出す。検出電位が「WIDE1=LかつWIDE2=L」となったときの動作は後述する。
図4を再び参照すると、操作ボタン162のテレ側下面には、銅板等の可撓性部材で構成された、2つの導電性接片である第1テレ側接片160T−1、第2テレ側接片160T−2が配設されている。第2テレ側接片160T−2の下面には、導電性の第3テレ側接片160T−3が配設されている。第1テレ側接片160T−1、第2テレ側接片160T−2、第3テレ側接片160T−3は、押圧力によって接触する場合を除いて互いに絶縁されている。
第1テレ側接片160T−1は、接地電位GNDに接続されてLレベルの電位に保たれる。第2テレ側接片160T−2、第3テレ側接片160T−3は、それぞれメインCPU20の第1テレ側端子20T−1、第2テレ側端子20T−2に接続されており、メインCPU20は、第2テレ側接片160T−2、第3テレ側接片160T−3の電圧を検出する。第2テレ側接片160T−2、第3テレ側接片160T−3は、それぞれプルアップ抵抗RT1、RT2を介して、電源電池68の出力端子80に接続され、Hレベルの電位に保たれている。
操作ボタン162のテレ側下面には、操作ボタン162に向けて付勢されている第1テレ側接片160T−1ないし第2テレ側接片160T−2を付勢に抗して押圧するよう、突起162Tが形成されている。
指の押圧力で操作ボタン162を第1の所定量(TELE1)だけT側に揺動すると、第1テレ側接片160T−1が、突起162Tにより押圧されて第2テレ側接片160T−2と接触し、第1テレ側端子20−1Tで検出される電位がHレベルからLレベルに切り替わる。
第1テレ側接片160T−1が第2テレ側接片160T−2と接触した状態で、さらに操作ボタン162をT側に第2の所定量(TELE2)だけ揺動すると、今度は第2テレ側接片160T−2と第3テレ側接片160T−3が接触する。これにより、第2テレ側端子20−2Tで検出される電位がHレベルからLレベルに切り替わる。
操作ボタン162の押圧を解除すると、第1テレ側接片160T−1及び第2テレ側接片160T−2の付勢力により両者の接触が解除され、第1テレ側端子20−1Tないし第2テレ側端子20−2Tでの電位がHからLに切り替わる。
なお、レリーズスイッチと同様のクリック板を操作ボタン162に設け、第1テレ側接片160T−1と第2テレ側接片160T−2とが接触する第1の所定量、あるいは第1テレ側接片160T−1と第2テレ側接片160T−2と第3テレ側接片160T−3とが接触する第2の所定量をクリック感でユーザに感知させてもよい。
図5(b)は操作ボタン162の操作量TELE1、TELE2に対応し、CPU20の第1テレ側接片160T−1、第2テレ側接片160T−2で検出される電位と、その際の動作の関係を示す。
検出電位が「TELE1=HかつTELE2=H」の場合は特に動作を行わない。検出電位が「TELE1=LかつTELE2=H」の場合、ズームスイッチ127のテレ(T)側が第1の所定量(TELE1)だけ押されている状態となっている。この場合、T側が押され続けている間、レンズ鏡胴60をテレ端(望遠)側に繰り出す。検出電位が「TELE1=LかつTELE2=L」となったときの動作は後述する。
以下、図6のフローチャートに従い、ズームスイッチ127のワイド側への揺動操作に応じた動作の流れを説明する。
S1では、操作ボタン162をW側に第2の所定量(WIDE2)だけ揺動することで、WIDE1=LかつWIDE2=Lとなったことに応じ、1回目のワンプッシュワイド端動作を開始する。
即ち、S2では、ズーム用モータ110によってズームレンズ101aをワイド端まで移動させる。そして、ズームレンズ101aがワイド端まで移動したか否かを判断し、ワイド端まで移動したと判断された場合はS3に移行する。
S3では、1回目のAF動作を開始する。ここでは、まず粗いAFサーチを行なって概略の合焦位置を検出する、いわゆる粗調を行う。即ち、メインCPU20は、フォーカス用モータ111を駆動してフォーカスレンズ101bを被写体距離の無限遠から至近点にわたって比較的粗いステップで移動させる。AF検出部150は、このステップ毎のAF評価値を検出する。メインCPU20は、これらのAF評価値に基づいて合焦位置を判定する。
S4では、粗調が完了したか否かを判断する。粗調が完了した場合はS5に移行する。
なお、電源電池68の供給電圧に支障がなければ、S1とS3の動作を並行して行ってもよい。ただし、この場合、下記のS5で行われる微調の精度を上げるため、粗調が完了しかつズームレンズ101aがワイド端まで移動するまで、S5での微調の開始を待機することが好ましい。
S5では、S4で得られた概略の合焦位置近傍で細かな合焦位置検出を行ういわゆる微調を行う。即ち、粗調で得られた合焦位置の近傍においてフォーカスレンズ101bを微少ステップで移動させ、この微少ステップ毎のAF評価値に基づいて合焦位置を得る。そして、微調が完了したか否かを判断し、完了した場合はS6に移行する。
S6では、S5の微調により、AF評価値が安定した状態になったか否かを判断する。AF評価値が安定した場合、そのときのフォーカスレンズ101bの位置が合焦位置に達したと判断する。
S7では、S6でAF評価値が安定した状態になったと判断されたときの合焦位置をRAM145に記憶する。
S8では、再びWIDE1=LかつWIDE2=Lとなったことに応じ、2回目のワンプッシュワイド端動作を開始する。
即ち、S9では、ズーム用モータ110によってズームレンズ101aをワイド端まで移動させる。そして、ズームレンズ101aがワイド端まで移動したか否かを判断し、ワイド端まで移動したと判断された場合はS10に移行する。
S10では、2回目のAF動作を開始する。ここでは、RAM145に記憶された1回目の合焦位置近傍で細かな合焦位置検出を行う。即ち、RAM145に記憶された1回目の合焦位置の近傍においてフォーカスレンズ101bを微少ステップで移動させ、この微少ステップ毎のAF評価値に基づいて合焦位置を得る。ここでは、1回目の合焦位置の近傍で微調を行うため、粗調に相当する動作を行う必要がない。
S11では、微調が完了したか否かを判断し、完了した場合はS12に移行する。
S12では、S6と同様にしてフォーカスレンズ101bが合焦位置に達したか否かを判断する。合焦位置に達した場合はS13に移行する。
S13では、S11で判断されたフォーカスレンズ101bの合焦位置をRAM145に記憶する。
S14では、再びWIDE1=LかつWIDE2=Lとなったことに応じ、3回目のワンプッシュワイド端動作を開始する。
即ち、S14では、ズーム用モータ110によってズームレンズ101aをワイド端まで移動させる。
S15では、ズームレンズ101aがワイド端まで移動したか否かを判断し、ワイド端まで移動したと判断された場合はS16に移行する。
S16では、3回目のAF動作を開始する。ここでは、RAM145に記憶された合焦位置近傍で細かな合焦位置検出を行う。即ち、RAM145に記憶された合焦位置の近傍においてフォーカスレンズ101bを微少ステップで移動させ、この微少ステップ毎のAF評価値に基づいて合焦位置を得る。ここでは、2回目の合焦位置の近傍で微調を行うため、粗調に相当する動作を行う必要がない。
S17では、微調が完了したか否かを判断し、完了した場合はS18に移行する。
S18では、S6と同様にしてフォーカスレンズ101bが合焦位置に達したか否かを判断する。合焦位置に達した場合はS19に移行する。
S19では、S18で判断されたフォーカスレンズ101bの合焦位置をRAM145に記憶する。
以後、WIDE1=LかつWIDE2=Lとなったことに応じて3回目のワンプッシュワイド端動作(S14〜S19)を行う。RAM145の合焦位置はその都度上書きされるものとする。
以上説明した通り、2回目以降のワンプッシュワイド端動作では、RAM145に記憶された合焦位置から微調を開始し、粗調は行われない。このため、ワイド端へのズームレンズ101aへの移動と、これに応じた合焦動作の時間短縮を図ることができる。
さらに、テレ端へ操作ボタン162を揺動する場合も同様の動作を行うことができる。以下、図6のフローチャートに従い、ズームスイッチ127のテレ側への揺動操作に応じた動作の流れを説明する。
S101では、操作ボタン162をT側に揺動することで、検出電位がTELE1=LかつTELE2=Lとなったことに応じ、1回目のワンプッシュテレ端動作を開始する。
即ち、S102では、ズーム用モータ110によってズームレンズ101aをテレ端まで移動させる。そして、ズームレンズ101aがテレ端まで移動したか否かを判断し、テレ端まで移動したと判断された場合はS103に移行する。
S103では、1回目のAF動作を開始する。ここでは、まず粗調を行う。
S104では、粗調が完了したか否かを判断する。粗調が完了した場合はS105に移行する。
S105では、S104で得られた概略の合焦位置で微調を行う。
S106では、S105の微調により、AF評価値が安定した状態になったか否かを判断する。AF評価値が安定した場合、そのときのフォーカスレンズ101bの位置が合焦位置に達したと判断する。
S107では、S106でAF評価値が安定した状態になったと判断されたときの合焦位置をRAM145に記憶する。
S108では、再びTELE1=LかつTELE2=Lとなったことに応じ、2回目のワンプッシュテレ端動作を開始する。
即ち、S109では、ズーム用モータ110によってズームレンズ101aをテレ端まで移動させる。そして、ズームレンズ101aがテレ端まで移動したか否かを判断し、テレ端まで移動したと判断された場合はS110に移行する。
S110では、2回目のAF動作を開始する。ここでは、RAM145に記憶された合焦位置近傍で細かな合焦位置検出を行う。即ち、1回目の合焦位置の近傍においてフォーカスレンズ101bを微少ステップで移動させ、この微少ステップ毎のAF評価値に基づいて合焦位置を得る。ここでは、1回目の合焦位置の近傍で微調を行うため、粗調に相当する動作を行う必要がない。
S111では、微調が完了したか否かを判断し、完了した場合はS112に移行する。
S112では、S106と同様にしてフォーカスレンズ101bが合焦位置に達したか否かを判断する。合焦位置に達した場合はS113に移行する。
S113では、S111で判断されたフォーカスレンズ101bの合焦位置をRAM145に記憶する。
S114では、再びTELE1=LかつTELE2=Lとなったことに応じ、3回目のワンプッシュテレ端動作を開始する。
即ち、S114では、ズーム用モータ110によってズームレンズ101aをテレ端まで移動させる。
S115では、ズームレンズ101aがテレ端まで移動したか否かを判断し、テレ端まで移動したと判断された場合はS116に移行する。
S116では、3回目のAF動作を開始する。ここでは、RAM145に記憶された合焦位置で細かな合焦位置検出を行う。即ち、2回目の合焦位置の近傍においてフォーカスレンズ101bを微少ステップで移動させ、この微少ステップ毎のAF評価値に基づいて合焦位置を得る。ここでは、2回目の合焦位置の近傍で微調を行うため、粗調に相当する動作を行う必要がない。
S117では、微調が完了したか否かを判断し、完了した場合はS118に移行する。
S118では、S106と同様にしてフォーカスレンズ101bが合焦位置に達したか否かを判断する。合焦位置に達した場合はS119に移行する。
S119では、S118で判断されたフォーカスレンズ101bの合焦位置をRAM145に記憶する。
以後、TELE1=LかつTELE2=Lとなったことに応じて3回目のワンプッシュテレ端動作(S114〜S119)を行う。3回目の合焦位置はその都度上書きされるものとする。
以上説明した通り、2回目以降のワンプッシュテレ端動作では、前回の合焦位置近傍から微調を開始し、粗調は行われない。このため、テレ端へのズームレンズ101aへの移動と、これに応じた合焦動作の時間短縮を図ることができる。
以上のS1〜S19の動作と、S101〜S119の動作とを組み合わせれば、ワイド端/テレ端へのズームレンズ101aの移動とその際の合焦を素早く行うことができる。例えば、遠方にいる被写体と近くにいる被写体を交互に撮影を行いたい場合、例えば野球観戦で遠方の選手を拡大して撮影し、かつ観戦同席者を近景で撮影する場合、望遠/近景撮影の切り替えとその際の合焦を素早く行い、シャッターチャンスを逃す可能性が低くなる。
<第2実施形態>
ズームスイッチ127の構成は図4に示したものに限定されない。例えば、図8で示すように、スライド式のスイッチで構成してもよい。このズームスイッチ127は、略中央の初期位置からW側へ第1,2の所定のスライド量だけ隔てたW1,W2または初期位置OからT側へ第1,2の所定のスライド量だけ隔てたT1,T2の4点のいずれかに操作ボタン162をスライド可能なように構成されている。
図9はスライド式のズームスイッチ127の構成を示す。この図で示すように、第2ワイド側接片160W−2、第3ワイド側接片160W−3、第2テレ側接片160T−2、第3テレ側接片160W−3は、ワイド側からテレ側にかけて所定の間隔で直列に配置されている。
操作ボタン162は板状に形成されており、カメラボディ180に一端が取り付けられたスプリング163a,163bが接続される。このスプリング163a,163bにより操作ボタン162は左右両側から付勢された状態となって、第2ワイド側接片160W−2と第2テレ側接片160T−2との間の中間位置Oに保持される。
操作ボタン162の上面には、そのスライド量に応じて、第2ワイド側接片160W−2、第3ワイド側接片160W−3、第2テレ側接片160T−2、第3テレ側接片160W−3のいずれかと接触する可動接片160−1が設けられている。可動接片160−1は接地電位GNDに接続されており、その電位はLレベルに保たれる。可動接片160−1は、図4の第1ワイド側接片160W−1及び第1テレ側接片160T−1と同等の役割を果たす。
図4と同様、第2ワイド側接片160W−2、第3ワイド側接片160W−3は、それぞれメインCPU20の第1ワイド側端子20W−1、第2ワイド側端子20W−2に接続される。また、第2テレ側接片160T−2、第3テレ側接片160T−3は、それぞれメインCPU20の第1テレ側端子20T−1、第2テレ側端子20T−2に接続される。
また、図4と同様、第2ワイド側接片160W−2、第3ワイド側接片160W−3は、それぞれプルアップ抵抗RW1、RW2を介して、電源電池68の出力端子80に接続され、その電位はHレベルに保たれる。第2テレ側接片160T−2、第3テレ側接片160T−3は、それぞれプルアップ抵抗RT1、RT2を介して、電源電池68の出力端子80に接続され、その電位はHレベルに保たれる。
指の押圧力で操作ボタン162をW側に所定の第1のスライド量だけスライドしてW1点に移動すると、第2ワイド側接片160W−2のみが可動接片160−1と接触し、第1ワイド側端子20W−1の電位のみがHレベルからLレベルに切り替わる。
さらに操作ボタン162をW側に所定の第2のスライド量だけスライドしてW2点に移動すると、今度は第2ワイド側接片160W−2及び第3ワイド側接片160W−3の両方が可動接片160−1と接触する。これにより、第2ワイド側端子20W−2の電位もHレベルからLレベルに切り替わる。
一方、操作ボタン162をT側に第1の所定のスライド量だけスライドしてT1点に移動すると、第2テレ側接片160T−2のみが可動接片160−1と接触し、第1テレ側端子20T−1の電位のみがHレベルからLレベルに切り替わる。
さらに操作ボタン162をT側に第2の所定のスライド量だけスライドしてT2点に移動すると、今度は第2テレ側接片160−2及び第3テレ側接片160T−3の両方が可動接片160−1と接触する。これにより、第2テレ側端子20T−2の電位もHレベルからLレベルに切り替わる。
操作ボタン162への押圧を解放した場合、操作ボタン162はスプリング162a,162bの付勢力により初期位置Oに戻る。
なお、初期位置Oからワイド側に第1の所定のスライド量だけ操作ボタン162がスライドされ、W1に操作ボタン162が保持されると、CPU20はズーム用モータ110を駆動し、その保持期間に応じてズームレンズ101aをワイド端に向けて順次移動させる。
同様に、初期位置からテレ側に第1の所定のスライド量だけ操作ボタン162がスライドされ、T1に操作ボタン162が保持されると、CPU20はズーム用モータ110を駆動し、その保持期間に応じてズームレンズ101aをテレ端に向けて順次移動させる。
操作ボタン162がW2にスライドされると、WIDE1=LかつWIDE2=Lとなり、これに応じて第1実施形態と同様のワンプッシュワイド端動作を開始することができる。
操作ボタン162がT2にスライドされると、TELE1=LかつTELE2=Lとなり、これに応じて第1実施形態と同様のワンプッシュテレ端動作を開始することができる。
このように、ズームスイッチ127をスライド式にしても、第1実施形態と同様、望遠/近景撮影の切り替えとその際の合焦を素早く行うことができる。
14:発光制御CPU、17:LED群、19:LEDドライバ、16:通信用発光装置、20:メインCPU、60:レンズ鏡胴、61:レンズカバー、62:モータドライバ、63:赤外線受光回路、101:撮影レンズ、101a:ズームレンズ、101b:フォーカスレンズ、110:ズーム用モータ、111:フォーカス用モータ、112:絞り用モータ、114:レンズカバー用モータ、127:ズームスイッチ、131:絞り、132:CCD、134:A/D変換部、150:AF検出部、151:AE演算部