JP2006249244A - 摩擦材 - Google Patents

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Shuichi Ueda
修一 上田
Tomoya Takada
智哉 高田
Yoshihiro Fukushima
良浩 福島
Tokumitsu Sanae
徳光 早苗
Ryoji Kanamaru
亮二 金丸
Hideki Morimoto
英樹 森本
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Abstract

【課 題】 本発明は、動摩擦係数、耐摩耗性、耐焼付性に優れた摩擦材を提供することを目的とする。
【解決手段】 石油コークスおよび/またはピッチコークス、熱硬化性樹脂、無機材料、および発泡剤を含有し、微細気泡構造を有する摩擦材。
【選択図】なし

Description

本発明は湿式摩擦材に関し、特に高い動摩擦係数を必要とするシンクロナイザーリングやクラッチフェーシングなどに使用され、優れた動摩擦係数を有する湿式摩擦材に属する。
自動車の同期噛合い式歯車減速機(以下ミッションと称す)において従来から用いられているシンクロナイザーリングは、例えば自動車の変速機などの歯車切替え時に2つの歯車が円滑に噛合いするように、摺動により歯車同士を同期回転させるための円環状の摩擦摺動部品である。
このシンクロナイザーリングの形成材料には、一般に黄銅(Cu−Zn合金)が用いられており、前記ギヤコーンと接触する内周面には、摩擦力付与のためのリング状条溝や潤滑油を逃がすための縦溝が必要に応じて形成されている。
また、該内周面上にモリブデンやセラミクス等の高融点材料を溶射し、シンクロナイザーリング本体に溶射層を固着させるものも知られている。
また、該内周面上にさらに摩擦特性を向上させるために、樹脂剤をバインダー剤とする摩擦材を該内周面上に固着させ、その摩擦材層中に炭素系材料、熱硬化性樹脂、金属系材料、無機系材料等を配合させることは既に知られている。例えば、特開昭57−195923号公報(特許文献1)、特開昭59−187114号公報(特許文献2)、特開平09−79288号公報(特許文献3)、特開平09−221553号公報(特許文献4)、特開平11−61103号公報(特許文献5)等が例示される。そして炭素系材料としては、木粉や木綿や黒鉛が挙げられている。また、特開平05−32955号公報(特許文献6)には、黒鉛粉末を10〜30wt%、気孔率10〜20%のコークス粉末を3〜15wt%含有し、残部が主として銅を主体とする焼結体にて構成される湿式摩擦材が記載されている。またさらに、特許文献7には、発泡構造を有する熱硬化性樹脂を使用する摩擦材が記載されている。このような状況下において、本発明者らが鋭意研究した結果、灰分含量の低いコークス粉末が高い動摩擦係数を有する湿式摩擦材を製造するのに有用であることを知見した(特許文献8)。しかしながら、上記した特許公報掲載の樹脂剤をバインダー剤とする摩擦材はいずれも、動摩擦係数、耐摩耗性、耐焼付性、相対速度が0rpmに近い摩擦係数(静摩擦係数)につき従来公知の黄銅製シンクロナイザーリングより改善されてはいるが、必ずしも満足すべきものではなく、さらなる性能向上が望まれている。
特開昭57−195923号公報 特開昭59−187114号公報 特開平09−79288号公報 特開平09−221553号公報 特開平11−61103号公報 特開平05−32955号公報 特開平03−140334号公報 国際公開第2004年109138号パンフレット(WO2004/109138)
本発明は、動摩擦係数、耐摩耗性、耐焼付性に優れた摩擦材を提供することを主目的とする。さらに、本発明は、そのような摩擦材を製造するために有用な摩擦材原料を提供することをも目的とする。さらに本発明は、そのような摩擦材の層を設置してなるシンクロナイザーリング、または湿式クラッチを提供することをも目的とする。さらに、本発明は、そのようなシンクロナイザーリング、または湿式クラッチを搭載した例えば自動車、オートバイ、列車などの車両を提供することをも目的とする。さらに付言すれば、近年におけるエンジンやミッションの高性能化に伴って、確実な作動性はもとより、操作性にも良好なシフトフィーリングが求められることから、高い動摩擦係数を有する摩擦材を設置したシンクロナイザーリング、クラッチディスクまたは湿式ブレーキやそれらを搭載した車両が求められている。また、シンクロナイザーリングや湿式クラッチは摩擦摺動部品である以上、高い耐摩耗性や耐焼付性も要求される。シンクロナイザーリングについていえば、近年のエンジンの高性能化に伴って、クラッチを確実に踏み込まずにシフトレバーを動かすクラッチ・シフトレバーのミス操作や、シフトアップやシフトダウン時にシフトを入れ間違えるシフトミス操作によって、該シンクロナイザーリングには従来以上に高い摩擦熱が発生し、大きな熱負荷が生じるため、より高い耐摩耗性や耐焼付性が要求されている。
本発明はかかる従来技術における要求を満たすためになされたものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、(イ)石油コークスおよび/またはピッチコークス、(ロ)熱硬化性樹脂、(ハ)無機材料、および(ニ)発泡剤を含有する粒材を、充填率70%以上〜100%未満にて金型内に充填し、加圧下に加熱して得られる摩擦材が、動摩擦係数、耐摩耗性、耐焼付性に優れていることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成させるに至った。
すなわち、
(1) (イ)石油コークスおよび/またはピッチコークス、(ロ)熱硬化性樹脂、(ハ)無機材料、および(ニ)発泡剤を含有することを特徴とする摩擦材原料、
(2) 無機材料が、無機粒子、無機繊維、金属粒子または金属繊維であることを特徴とする(1)に記載の摩擦材原料、
(3) さらに、有機粒子または有機繊維を含有すること特徴とする(1)または(2)に記載の摩擦材原料、
(4) 粒材である(1)〜(3)のいずれかに記載の摩擦材原料、
(5) (イ)石油コークスおよび/またはピッチコークス、(ロ)熱硬化性樹脂、および(ハ)無機材料を含有し、微細気孔構造を有し、気孔率が10〜30%であることを特徴とする摩擦材、
(6) (イ)石油コークスおよび/またはピッチコークス、(ロ)熱硬化性樹脂、および(ハ)無機材料、および(ニ)発泡剤を含有する粒材を、充填率70%以上〜100%未満で型に充填し、加圧下に加熱して得られる摩擦材、
(7) 粒材をシンクロナイザーリング、または湿式クラッチ板と共に型に充填し、粒材とシンクロナイザーリングまたはクラッチ摩擦面とを接触させることを特徴とする(6)記載の摩擦材、
(8) 無機材料が、無機粒子、無機繊維、金属粒子または金属繊維であることを特徴とする(5)〜(7)のいずれかに記載の摩擦材、
(9) さらに、有機粒子または有機繊維を含有すること特徴とする(5)〜(8)のいずれかに記載の摩擦材、
(10) 粒材が、灰分含量が0.1〜1質量%である石油コークスおよび/または灰分含量が5〜8質量%であるピッチコークスを粒材全体に対し30〜80質量%含み、さらに、熱硬化性樹脂を10〜30質量%、無機粒子および/または無機繊維を5〜40質量%、および黒鉛を5質量%以下含み、さらに前記石油コークスおよび/またはピッチコークスの50%以上が粒径0.1〜0.5mmであり、発泡剤が熱硬化性樹脂全体に対して1〜30質量%、好ましくは2〜17質量%含む粒材であることを特徴とする(4)記載の摩擦材原料または(6)記載の摩擦材、
(11) (イ)石油コークスおよび/またはピッチコークス、(ロ)熱硬化性樹脂、および(ハ)無機材料、および(ニ)発泡剤を含有する粒材を、シンクロナイザーリング、または湿式クラッチ板と共に充填率70%以上〜100%未満で型に、粒材とシンクロナイザーリングまたはクラッチ摩擦面とを接触するように充填し、加圧下に加熱することを特徴とする摩擦材の製造方法および、
(12) (5)〜(10)に記載の摩擦材の層を摩擦面に形成してなるシンクロナイザーリングまたは湿式クラッチ、
に関する。
本発明の摩擦材は、動摩擦係数、耐摩耗性、耐焼付性に優れている。さらに、本発明の摩擦材原料は、そのような摩擦材を工業的有利に製造するのに極めて有用である。
本発明の摩擦材原料は、石油コークスおよび/またはピッチコークス、熱硬化性樹脂、無機材料、および発泡剤を含有することを特徴とし、石油コークスおよび/またはピッチコークス、熱硬化性樹脂、無機材料、および発泡剤を混合することによって容易に製造できる。
前記石油コークスおよび/またはピッチコークスは、灰分含量が0.1〜8質量%であるのがよい。灰分含量が0.1質量%未満のコークスを入手することは通常困難である。灰分含量が8質量%を超えると、充分な動摩擦係数が得られない。
本発明における灰分含量の測定は、JIS M 8511:1976にしたがって行われる。
石油コークスは、コーキングプロセスにより得られる。すなわち重質油を熱処理して軽質の炭化水素(ガス、ガソリン、ガスオイルなど)に転換するプロセスの副製品として得られる。この石油コークスを高温処理すればか焼石油コークス(calcined petroleum coke)が得られる。我が国では、興亜石油株式会社から入手可能である。
石油コークスとしては、灰分含量0.1〜1質量%のか焼石油コークスがより好ましい。
ピッチコークスは、石炭を乾留することによって製造される。具体的製造方法としては、室炉法またはディレードコーキング法によって製造される。これらの方法は従来より充分確立されている。ピッチコークスとしては、鋳物用コークス、カーバイド電気炉用コークス、石灰焼成用コークス、一般用コークス、粉コークスなどが挙げられる。
ピッチコークスとしては、灰分含量5〜8質量%の鋳物用コークスが最も好ましい。
石油コークスまたはピッチコークスの50質量%以上が粒径0.1〜0.5mmであるのが好ましい。0.1mm未満であると摩擦材層に適度な気孔が得られ難く動摩擦係数が低くなることがあり、0.5mmを超えると摩擦材層の強度不足をもたらす場合がある。
石油コークスまたはピッチコークスの摩擦材原料に対する含有量は好ましくは30〜80質量%、より好ましくは50〜75質量%である。30質量%未満であると動摩擦係数が低く、80質量%を超えると摩擦材層の強度不足をもたらす。
前記熱硬化性樹脂としては具体的にはフェノール樹脂(例えばノボラック型フェノール樹脂、エポキシ変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、カシュー変性フェノール樹脂、クレゾール変性フェノール樹脂、炭化水素樹脂変性フェノール樹脂)、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン樹脂、ジアリルフタレート樹脂などが挙げられ、これらは単独でまたは混合で用いることができる。これらの樹脂の中では耐熱性ならびに価格の面からノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂の使用量は、摩擦材原料全体に対して10〜30質量%であるのが好ましい。10質量%未満ではバインダー力不足を招くことがあるため歩留まりが悪くなり、30質量%を超えると熱硬化性樹脂自体の脆さにより強度不足が発生し易くなり、また動摩擦係数の低下をもたらす。
前記無機材料としては、例えば、無機粒子、無機繊維、金属粒子または金属繊維などが挙げられる。
無機粒子や無機繊維としては、例えば、アルミナ、炭化珪素、ガラス、ロックウール、ゼオライト、バーミキュライト、ウォラストナイト、炭酸カルシウムなどから構成される粒子や繊維が挙げられる。摩擦材全体に対する好ましい使用割合は5〜40質量%である。5質量%未満では摩擦材の強度不足をもたらし、40質量%を超えると摩擦材の柔軟性が無くなり歯車の摺動面に傷を付け易くなる。
金属粒子や金属繊維としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金(黄銅)などから構成される粒子や繊維が挙げられる。摩擦材原料全体に対する使用量は10質量%以下である。この金属粒子や金属繊維によって熱硬化性樹脂の耐久性が向上することもあるが、その存在は必ずしも必要ではない。
前記発泡剤の種類は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されることはなく、加熱すれば窒素ガス、炭酸ガス、アンモニアガスなどの気体を発生するものであればどのようなものであってもよく、幅広く選択できる。例えば、有機発泡剤、無機発泡剤、膨張型マイクロカプセルなどが挙げられる。
有機発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルアセトンヒドラゾン、ヒドラゾジカルボンアミドなどが挙げられる。
無機発泡剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウムなどが挙げられる。
膨張型マイクロカプセルとしては、例えば、塩化ビニリデン樹脂で低沸点炭化水素(例えばヘキサン、トルエン等)をカプセル化したものなどが挙げられる。
前記発泡剤の使用量は、熱硬化性樹脂全体に対して、通常約1〜30質量%、好ましくは2〜17質量%である。
前記発泡剤を前記範囲にて摩擦材原料に含有させることによって、目的とする摩擦材の気孔率が増大する。例えば、気孔率10〜30%の摩擦材が得られる。
また所望により、発泡助剤をさらに使用してもよい。発泡助剤としては、例えば、尿素、カルシウムシテアレート、バリウムステアレートなどが挙げられる。使用量は、発泡剤と同量またはそれ以下でよい。
さらに本発明には有機粒子または有機繊維が配合されてもよい。例えば、カシューダスト、クルミ粉末、メラミン粉末、アラミド繊維、ダイニーマ繊維、ベクトラン繊維、ケブラー繊維、フッ素繊維などが挙げられる。その形態はチョップまたはパルプであってもよい。摩擦材原料全体に対する使用量は15質量%以下である。この有機粒子または有機繊維によって動摩擦係数が向上する。
さらに本発明には黒鉛を使用してもよい。黒鉛としては球状黒鉛粉末、天然鱗片状黒鉛粉末、人造黒鉛粉末などが挙げられるが、必ずしも必要欠くべからざる要件ではない。使用するにしても少量でよく、通常は摩擦材原料全体に対して5質量%以下でよい。この黒鉛の添加によって耐摩耗性が改善される場合がある。
本発明の摩擦材原料は上記原料物質を混合することによって製造される。本発明のより詳しい実施の形態を下記するが、本発明はこれに限定されるべきものではない。
上記において、摩擦材原料の製造に使用される成分の使用量は、質量%による範囲で記載してあるが、成分の使用量は、その範囲から発泡剤および/または発泡助剤を除き、全成分の使用量が100質量%となるよう適宜に選択される。上述の通り、発泡剤の使用量は熱硬化性樹脂全体に対して、通常約1〜30質量%、好ましくは2〜17質量%の割合で添加する。さらに所望により、発泡助剤を発泡剤と同量またはそれ以下の割合で添加してもよい。
あるいは上記質量%を質量部に読み替えて各成分の使用量を設定してもよい。
また、摩擦材原料は、粒材であるのが好ましい。粒材は、好ましくは次のようにして製造することができる。上記各原料物質を配合し、撹拌し、例えばメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、アセトンなどの適宜の溶媒を加え、混和し、乾燥し、乾燥物を粉砕することによって容易に製造することができる。撹拌、混和のために、プラネタリーミキサー、ニーダー、ロール、ヘンシェルミキサー、ボールミルなど適宜に選択される。粒材を製造するために、乾燥、粉砕する代わりに、溶媒添加後、混和し、造粒機に付して粒材を製造してもよい。使用する粒材における粒度は3mm以下、好ましくは0.15〜2mmである。
本発明における摩擦材原料の好ましい組成として、例えば、灰分含量が0.1〜1質量%である石油コークスおよび/または灰分含量が5〜8質量%であるピッチコークスを30〜80質量%、フェノール樹脂を10〜30質量%、無機粒子および/または無機繊維を5〜40質量%、(所望により金属成分10質量%以下)、および黒鉛を5質量%以下、熱硬化性樹脂全体に対する発泡剤2〜17質量%含むなどが挙げられる。
本発明の湿式摩擦材は、通常、例えば、シンクロナイザーリング、湿式クラッチの基材表面に層状で形成される。より具体的には例えば、上記摩擦材原料、好ましくは、石油コークスおよび/またはピッチコークス、熱硬化性樹脂、無機材料および発泡剤を含有する粒材を、充填率70%以上〜100%未満、好ましくは80%以上〜100%未満で、シンクロナイザーリング、湿式クラッチの基材表面と接して金型に充填し、加圧下に加熱することにより、基材表面上に摩擦材層を形成し、所望によりその層を機械加工することにより製造される。
さらに詳細には、図1〜図3を参照して、シンクロナイザーリング10のリング状構造体11の内周面を予めブラスト等で下地処理し、ついでアルコール等で洗浄後、フェノール系樹脂やエポキシ系樹脂に代表される熱硬化性タイプの接着剤を塗布する。次に、恒温槽等に該リング状構造体11を投入し、70〜120℃の雰囲気下で10〜30分間保持させ、該接着剤を乾燥する。次に、該リング状構造体11、中間型3、中子5、上型6、下型7を用いて型組みし、その後、該リング状構造体11の内周面と中子5の外周面と上型6のパンチ端面6aと下型7の上端面7aにて形成される型(キャビティ)内に摩擦材原料(粒材)2を投入・充填させ、さらに一般公知の油圧プレス機(図示せず)等で上型6のパンチにて該摩擦材原料2を圧縮させ、常温から50℃以内の金型温度内で仮成形を行う。次に、予め160〜300℃に設定された一般公知の直圧成型機の熱盤(ヒーター)4a,4b間に設置し、5〜30分間焼成(加熱・加圧成形)して、リング状構造体11と摩擦材層を一体化成形する。最後に、該摩擦材層の内周を、例えば機械加工にてテーパー状(円錐状)に切削し、その後、円周方向にリング状条溝14や径方向に縦溝15を形成し、摩擦材層12を得る。
上記一定範囲によって記載された各製造条件は、それぞれの一定範囲の平均値で行うのが好ましい。下記実施例においては、各製造条件はそのような平均値にて行った。
このようにして得られる摩擦材層は、その製造過程における加熱により、発泡剤から多数の微細気泡が生成し、摩擦材層に微細気泡が分散している構造(微細気泡構造)をとる。微細気泡の大きさは、樹脂の種類、発泡剤の種類、それらの使用量により異なるため一概には言えないが、気孔の平均粒径は通常約0.1〜20μmである。
ここで気孔率は、発泡剤と充填率との組み合わせで好適に得られるものであり、充填率を下げることで気孔率は増大する傾向にあるが、発泡剤効果で同充填率でもさらに気孔率が増大する。なお、上記充填率とは、金型内の容積に空間部を残すことなく摩擦材原料のみを充填する場合の摩擦材重量に対する、実際に金型内に充填した摩擦材原料の重量割合を表す%であって、例えば充填率100%とは、理論上、前記容積内に前記摩擦材原料が空間部を全く残すことなく前記容積内に投入され、前記容積内で原料密度が得られている状態を示す。
本発明における気孔率の測定方法としては画像処理方法を用いている。先ず発泡させて製造した摩擦材の断面を表面研磨し、光学顕微鏡(SONIC社製 SONIC BS-D8000II)により前記摩擦材の断面を撮影する。次に、画像処理ソフト(東洋紡績株式会社製 Image Analyzer V10)を使用して、前記断面写真を2値化(白(0)と黒(1)の2値データにすること)によって気孔部分とそれ以外の部分とを区分けし、気孔部分の面積率を算出させ、摩擦材の気孔率としている。
次に、本発明に係る摩擦材を用いた摩擦材層12を有するシンクロナイザーリング10による各テスト結果を説明する。
表1および図4は、本発明品と従来公知の比較品についてシンクロ単体耐久テスト結果を実施した結果である。
シンクロ単体耐久テストは、シンクロ単体試験機を使用し、油温80℃で油量80cc/minにてミッションオイル(油種;ホンダMTF−II)を循環させた環境下で、回転数2000rpmで回転し続けるテーパー状の相手部材(名称;ギヤコーン,材質;SCM420,熱処理;浸炭焼入れ・焼戻し,テーパー面;研削処理)に対し、シンクロナイザーリング10を油圧制御にて専用治具を介して70kgfの押付力で500サイクル繰返し押し付けることにより行う。1サイクルはシンクロナイザーリング10を相手部材に2sec押し付けた後に28sec放置冷却することからなる。
図4は、500サイクル繰返し押し付けた際の各押し付け時間2sec間の平均動摩擦係数の推移を表している。
尚、表1および図4における本発明品、比較品(1)および比較品(2)のリング状構造体11の母材材質は全て同じ黄銅製であり、同形状・同サイズである。また、摩擦面に摩擦材を層として備えているシンクロナイザーリング10の表1に記載した以外の製作条件は、上記に説明した製造条件で製作しており、さらに、摩擦材層12の摩擦面形状は図3に示すとおりであり、本発明品、比較品(1)および比較品(2)で実質的に同一である。
本発明品および比較品(1),(2)はシンクロナイザーリング用摩擦材であり、いずれも灰分含量0.15質量%のか焼石油コークスを使用しており、発泡剤を除き、摩擦材原料は全て同素材を使用している。表1において、↑は数値が上欄と同じであることを示す。
表1および図4に示すように、本発明品は比較品(1),(2)より摩擦材の気孔率が高く、且つ耐久性(動摩擦係数および動摩擦係数の低下率)に優れており、耐摩耗性(摩耗量)は気孔率が倍程度高いにも関わらずほぼ同レベルを維持している。特に、本発明品と比較品(2)は充填率が同じであるにも関わらず、発泡剤を含有している本発明品は約2倍の気孔率が得られており、結果、耐久性の向上に繋がっている。
本発明の摩擦材は、いわゆる湿式摩擦材として優れ、シンクロナイザーリングや湿式クラッチなどの摩擦材として特に適している。本発明の摩擦材は、動摩擦係数、耐摩耗性、耐焼付性に優れている。さらに、本発明の摩擦材原料は、そのような摩擦材を工業的有利に製造するのに極めて有用である。
本発明の摩擦材をリング状構造体の内周面に摩擦材層として成形するまでの作業フロー。 本発明の摩擦材原料をリング状構造体とともに型に充填し、加圧下に加熱して、リング状構造体の内周面に摩擦材を形成させることを示す概略図。 本発明の摩擦材をリング状構造体の内周面に摩擦材層とし、さらにその層を機械加工したシンクロナイザーリング本体の軸方向断面図。 本発明品および比較品のシンクロ単体耐久テストによる平均動摩擦係数の推移を示す。
符号の説明
2・・・摩擦材原料
3・・・中間型
4a,4b・・・熱盤(ヒーター)
5・・・中子
6・・・上型
6a・・・上型パンチの端面
7・・・下型
7a・・・下型パンチの端面
10・・・シンクロナイザーリング
11・・・リング状構造体
12・・・摩擦材層
14・・・リング状条溝
15・・・縦溝

Claims (12)

  1. (イ)石油コークスおよび/またはピッチコークス、(ロ)熱硬化性樹脂、(ハ)無機材料、および(ニ)発泡剤を含有することを特徴とする摩擦材原料。
  2. 無機材料が、無機粒子、無機繊維、金属粒子または金属繊維であることを特徴とする請求項1に記載の摩擦材原料。
  3. さらに、有機粒子または有機繊維を含有すること特徴とする請求項1または2に記載の摩擦材原料。
  4. 粒材である請求項1〜3のいずれかに記載の摩擦材原料。
  5. (イ)石油コークスおよび/またはピッチコークス、(ロ)熱硬化性樹脂、および(ハ)無機材料を含有し、微細気孔構造を有し、気孔率が10〜30%であることを特徴とする摩擦材。
  6. (イ)石油コークスおよび/またはピッチコークス、(ロ)熱硬化性樹脂、および(ハ)無機材料、および(ニ)発泡剤を含有する粒材を、充填率70%以上〜100%未満で型に充填し、加圧下に加熱して得られる摩擦材。
  7. 粒材をシンクロナイザーリング、または湿式クラッチ板と共に型に充填し、粒材とシンクロナイザーリングまたはクラッチ摩擦面とを接触させることを特徴とする請求項6記載の摩擦材。
  8. 無機材料が、無機粒子、無機繊維、金属粒子または金属繊維であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の摩擦材。
  9. さらに、有機粒子または有機繊維を含有すること特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の摩擦材。
  10. 粒材が、灰分含量が0.1〜1質量%である石油コークスおよび/または灰分含量が5〜8質量%であるピッチコークスを粒材全体に対し30〜80質量%含み、さらに、熱硬化性樹脂を10〜30質量%、無機粒子および/または無機繊維を5〜40質量%、および黒鉛を5質量%以下含み、さらに前記石油コークスおよび/またはピッチコークスの50%以上が粒径0.1〜0.5mmであり、発泡剤が熱硬化性樹脂全体に対して1〜30質量%、好ましくは2〜17質量%含む粒材であることを特徴とする請求項4記載の摩擦材原料または請求項6記載の摩擦材。
  11. (イ)石油コークスおよび/またはピッチコークス、(ロ)熱硬化性樹脂、および(ハ)無機材料、および(ニ)発泡剤を含有する粒材を、シンクロナイザーリング、または湿式クラッチ板と共に充填率70%以上〜100%未満で型に、粒材とシンクロナイザーリングまたはクラッチ摩擦面とを接触するように充填し、加圧下に加熱することを特徴とする摩擦材の製造方法。
  12. 請求項5〜10に記載の摩擦材の層を摩擦面に形成してなるシンクロナイザーリングまたは湿式クラッチ。
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