JPH08135701A - 摩擦材 - Google Patents

摩擦材

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JPH08135701A
JPH08135701A JP27963094A JP27963094A JPH08135701A JP H08135701 A JPH08135701 A JP H08135701A JP 27963094 A JP27963094 A JP 27963094A JP 27963094 A JP27963094 A JP 27963094A JP H08135701 A JPH08135701 A JP H08135701A
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graphite
exfoliated
friction material
friction
bulk density
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JP27963094A
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Tamotsu Hayashi
保 林
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Aisin Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐摩耗性を確保すると共に、摩擦材の気孔率
を高め、耐フェード性を向上する。 【構成】 繊維基材と、樹脂結合剤と、充填剤とを含む
摩擦材において、充填剤として、鱗状天然黒鉛を薄片化
し、かつ造粒した薄片化造粒黒鉛であって、平均粒子径
が100〜1000μmであり、かつ、嵩密度が0.1
0〜0.20g/ccである薄片化造粒黒鉛を配合す
る。固体潤滑剤である薄片化造粒黒鉛が一定の比較的大
きな粒子径と小さな嵩密度とを有するので、摩擦材の気
孔率を強度が低下しない程度に適切に高めることができ
るため、摩擦材の耐摩耗性を確保できると共に、耐フェ
ード性を向上できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両、産業用機械等に使
用されるディスクブレーキパッド、ライニング、或いは
クラッチフェーシング等の摩擦材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車等に使用されるディスクブレーキ
パッド、ライニング等の摩擦材は、その相手材であるデ
ィスクロータ、ブレーキドラムと摩擦係合し、運動エネ
ルギーを熱エネルギーに変える重要な役割を担ってい
る。そのため、摩擦材には優れた耐摩耗性が必要である
だけでなく、十分に高い摩擦係数を有することが必要で
あり、しかも、制動時には常に熱を発生し高温となるた
め、温度変化によっても摩擦係数の変化の少ない安定し
た摩擦特性が要求される。更には、相手材に対する攻撃
性がないこと、摩擦時に異音(鳴き)を生じないこと等
も必要であり、摩擦材に求められる特性は多項目に亘っ
ている。
【0003】そこで従来から、これらの各種の特性を満
足するために、摩擦材は複合材として形成されている。
即ち摩擦材は、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維等
の骨格を形成する繊維基材と、この繊維基材を結合保持
するフェノール樹脂等の樹脂結合剤と、これらの繊維と
結合剤とのマトリックス中に分散して充填される摩擦性
能を調整するための各種の充填剤とから一般に形成され
ている。そして、この充填剤としては、硫酸バリウム、
炭酸カルシウム等の体質充填剤、黒鉛、二硫化モリブデ
ン等の固体潤滑剤、カシューダスト、シリカ等のアブレ
ッシブ剤、或いはその他の摩擦調整のための添加剤等が
使用されている。
【0004】ここで、充填剤の一部として使用される固
体潤滑剤は、摩擦材に適度な潤滑性を与え、それに要求
される主要な特性である耐摩耗性を向上する。また、そ
れだけでなく、その潤滑性によって、摩擦係数の安定
化、相手材に対する攻撃性の抑制、鳴き性能の向上等の
作用も有している。そのため、摩擦材にはほとんどの場
合、固体潤滑剤が配合されている。そして、この固体潤
滑剤としては、黒鉛(グラファイト)が最も一般に使用
されている。二硫化モリブデン等の金属硫化物が使用さ
れる場合もあるが、黒鉛と併用されるのが普通ある。
【0005】このように、黒鉛(グラファイト)は摩擦
材の重要な成分の一つとなっている。そしてこの黒鉛と
しては、従来から一般に天然黒鉛が使用されている。そ
の中でも、純度が高く減磨剤としての用途を有する鱗状
天然黒鉛が、最も広く使用されている。
【0006】なお、摩擦材に配合する黒鉛としては、鱗
状天然黒鉛の他にも、特殊な人造黒鉛の使用も知られて
いる。例えば、特開昭64−49729号公報には、黒
鉛の結晶層間に塩化鉄等の化合物を吸蔵させた「黒鉛層
間化合物」の使用が開示されている。また、特開平1−
272684号公報には、鱗状天然黒鉛粉末を長柱状に
造粒した「長柱状造粒黒鉛」の使用が、更に、特開平3
−282028号公報には、バルクメソフェースカーボ
ン等をニトロ化或いはスルホン化し、次いで炭化焼成し
て黒鉛化した弾性のある黒鉛「高弾性黒鉛」の使用が、
それぞれ開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年におい
ては、自動車の高速化に伴なって制動条件もますます苛
酷なものとなってきている。そして、例えば100km
/hの高速からの制動を行った場合、或いはこのような
苛酷な制動を繰返した場合、多量に発生する摩擦熱によ
ってフェードまたはフェードに近い現象が生じ、摩擦係
数が低下する傾向があった。このフェードは、摩擦材に
含まれるカシューダストや樹脂結合剤等の有機質分が高
熱下で分解してガスを発生し、この分解ガスが摩擦材と
相手材との摩擦係合面に介在して気体潤滑作用を生じる
ことによるものである。このような摩擦係数の低下は、
ブレーキの作動力を強くすることによって補うことがで
きるものではあるが、ブレーキ操作の安定性の点からも
好ましいものではない。
【0008】このようなフェードを抑制し、耐フェード
性を向上するためには、フェードの原因となる有機質分
を少なくすればよいが、カシューダスト等は摩擦性能を
向上するための重要な成分であり、これを少なくするこ
とには限界がある。また、摩擦材の気孔率を高めて、分
解ガスが摩擦係合面から放出解放され易くすればよいこ
とも一般に知られている。そして、摩擦材の気孔率を高
めるためには、摩擦材の成形時の圧力を弱めにすればよ
いことも知られている。しかし、そのように成形した摩
擦材は、強度も低いものとなるために、耐摩耗性が低下
するものであった。そのため、このような現状の下で、
高速制動時等の摩擦係数の低下を抑制するために、耐摩
耗性を低下させることなく、耐フェード性を向上するこ
とが強く要望されていた。
【0009】そこで、本発明は、耐摩耗性を確保するこ
とができると共に、耐フェード性を向上することができ
る摩擦材の提供を課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、摩擦材の充
填剤成分として使用される黒鉛に着目して検討を重ねた
結果、その黒鉛として、薄片化造粒黒鉛、即ち、鱗状天
然黒鉛を薄片化し、かつ造粒した人造黒鉛であって、一
定の比較的大きな粒子径と小さな嵩密度とを有するもの
を使用することによって、摩擦材の気孔率を適切に高
め、耐摩耗性を低下させることなく耐フェード性を向上
させることができることを見出し、また確認した。
【0011】即ち、本発明にかかる摩擦材は、繊維基材
と、樹脂結合剤と、充填剤とを含む摩擦材において、充
填剤として、鱗状天然黒鉛を薄片化し、かつ造粒した薄
片化造粒黒鉛であって、平均粒子径が100〜1000
μmであり、かつ、嵩密度が0.10〜0.20g/c
3 である薄片化造粒黒鉛を含有するものである。
【0012】ここで、薄片化造粒黒鉛は、主に導電材と
しての用途に一般に使用されている人造黒鉛であり、鱗
状天然黒鉛を薄片化し、かつ造粒して形成したものであ
る。より具体的には、鱗状天然黒鉛を劈開して薄片化
し、これをコールタールピッチ、或いはバルクメソフェ
ーズピッチ、またはフェノール樹脂、ポリイミド樹脂等
の黒鉛化性バインダと混合、混練し、造粒した後炭化焼
成するか、または炭化焼成した後粉砕することによって
形成される。したがって、一旦薄片化した鱗状天然黒鉛
を再度造粒するため、比較的粒子径が大きく、しかも嵩
密度が小さい黒鉛となる。
【0013】そして、この薄片化造粒黒鉛としては、鱗
状天然黒鉛の薄片化の程度、黒鉛化性バインダの配合
量、造粒条件等の製造条件によって、種々の粒子径と嵩
密度とを有するものが得られるが、平均粒子径が100
〜1000μmであり、かつ、嵩密度が0.10〜0.
20g/cm3 であるものが好ましく、これによって、
摩擦材の気孔率を適切に高め、耐摩耗性を低下させるこ
となく耐フェード性を向上させることができる。薄片化
造粒黒鉛の粒子径が小さいと、摩擦材の気孔率を十分に
高めることができないため、耐フェード性も十分に向上
することができない。また、その粒子径が余り大きい
と、偏析が生じ易くなり、また摩擦材の強度が低下する
傾向もあるため好ましくない。そのため、薄片化造粒黒
鉛の粒子径については、平均粒子径で、100μmを下
限とし、1000μmを上限とする100〜1000μ
mが実用上好ましく、更には200〜600μmがより
好ましい。
【0014】また、薄片化造粒黒鉛の嵩密度について
は、これが小さい程、摩擦材の気孔率を高くでき、耐フ
ェード性を向上できるため好ましい。しかし、余り小さ
いと、その粒子径が比較的大きいために、形成される摩
擦材の強度が低下して耐摩耗性が反って低下する傾向が
ある。そのため、使用する薄片化造粒黒鉛は、上記の平
均粒子径を有すると共に、その嵩密度が、0.10g/
cm3 を特に下限とする0.10〜0.20g/cm3
であることが実用上において好ましい。
【0015】そして、この薄片化造粒黒鉛は任意の割合
で摩擦材に配合することができ、これを多く配合する
程、気孔率をより高め、耐フェード性をより向上でき
る。しかし、余り多く配合すると、その潤滑性によって
通常使用時の十分な摩擦係数を得るのが困難となり、ま
た、気孔率が高くなり過ぎることによって反って耐摩耗
性が低下する。そのため、薄片化造粒黒鉛の配合割合
は、実用上、摩擦材全体の3〜25重量%が一般に好ま
しく、5〜15重量%がより好ましい。なおこの場合、
二硫化モリブデン等の黒鉛以外の固体潤滑剤を、従来と
同様に、この薄片化造粒黒鉛と組合わせて使用すること
ができる。また、鱗状天然黒鉛等の他の黒鉛について
も、この薄片化造粒黒鉛に合わせて、必要に応じて適宜
使用することができる。そしてこのように併用しても、
薄片化造粒黒鉛による耐フェード性の向上効果は、実質
的に妨げられるものではない。ただ、通常使用時の十分
な摩擦係数を確保するために、合計の黒鉛の量または固
体潤滑剤の量が多くなり過ぎないように注意することは
必要である。
【0016】なお、摩擦材を形成するその他の成分、即
ち、繊維基材、樹脂結合剤、及びその他の充填剤は、従
来と同様である。
【0017】繊維基材としては、、シリケート繊維、ア
ルミナ繊維、チタン酸カリウム繊維、ロックウール、ス
ラグウール、カーボン繊維、或いはガラス繊維等の無機
繊維、スチール繊維、ステンレススチール繊維、銅繊
維、真鍮繊維等の金属繊維、アラミド繊維、ノボロイド
繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維等の有機繊維等を挙
げることができる。そして、これらの繊維は単独でまた
は適宜組み合わせて、摩擦材の具体的種類または用途に
応じて使用することができる。ディスクブレーキパッド
の場合は一般に、これらの無機繊維、金属繊維、有機繊
維が適切に組み合わされて使用される。
【0018】樹脂結合剤としては、フェノール樹脂、メ
ラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエ
ステル系樹脂、或いはSBR等のゴム等を使用すること
ができる。しかし、これらの中でも、フェノール樹脂ま
たはその変性物が従来から最も一般に使用されているも
のでもあり、好適である。
【0019】また、充填剤としては、硫酸バリウム、炭
酸カルシウム等の体質充填剤、薄片化造粒黒鉛以外の鱗
状天然黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、二硫化モリブデ
ン、三流化アンチモン等の固体潤滑剤、カシューダスト
或いは他の有機高分子粉体等の有機ダスト、主に熱伝導
性を向上するための銅粉、亜鉛粉、真鍮粉等の金属粉、
シリカ等のアブレッシブ剤、或いはその他の摩擦調整の
ための添加剤等を使用することができる。
【0020】そして、本発明にかかる摩擦材は、例え
ば、以上の薄片化造粒黒鉛と、繊維基材、樹脂結合剤、
及びその他の充填剤を混合し、この混合物を予備成形し
た後、加熱加圧成形する通常の熱成形方法によって製造
することができる。
【0021】
【作用】本発明にかかる摩擦材においては、充填剤とし
て、鱗状天然黒鉛を薄片化し、かつ造粒した薄片化造粒
黒鉛であって、平均粒子径が100〜1000μmであ
り、かつ、嵩密度が0.10〜0.20g/cm3 であ
る薄片化造粒黒鉛が含有されている。そのため、薄片化
造粒黒鉛の潤滑性によって摩擦材の耐摩耗性が向上され
ると共に、比較的大きな粒子径と小さな嵩密度とを有す
る薄片化造粒黒鉛によって摩擦材の気孔率が適切に高め
られ、フェード時の分解ガスが摩擦係合面から解放され
易いので、耐フェード性が向上される。なおこの場合、
薄片化造粒黒鉛の粒子径と嵩密度は上記の特定の範囲と
されているため、摩擦材の強度が低下することによって
耐摩耗性が反って低下することはない。即ち、耐摩耗性
を確保することができると共に、耐フェード性を向上す
ることができる。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により更に
詳細に説明する。
【0023】〔摩擦材(パッド)の作製〕図1に示す配
合組成(重量%)で、本発明の実施例1乃至実施例4の
摩擦材を作製した。また、これらとの比較のために比較
例1乃至比較例3の摩擦材も合わせて作製した。なお、
これらの実施例及び比較例の摩擦材は、具体的には、自
動車のディスクブレーキ用パッドとして具体化したもの
である。
【0024】図1のように、これらの実施例及び比較例
の摩擦材(ディスクブレーキパッド)は、繊維基材と、
樹脂結合剤と、摩擦調整剤としての充填剤とを含み形成
されている。そして、繊維基材は、アラミド繊維8重量
%、銅繊維10重量%、チタン酸カリウム繊維8重量
%、及びセラミック繊維8重量%の混合物からなり、ス
チール繊維を含まないものである。したがってここで
は、摩擦材は非スチール系摩擦材として形成されてい
る。なおこの繊維基材は、各実施例及び比較例において
同じ割合で使用した。
【0025】樹脂結合剤は、ここではフェノール樹脂を
用い、12重量%の割合で各実施例及び比較例において
配合した。
【0026】また、充填剤としては、黒鉛と共働して主
に高温時の潤滑性を確保するための固体潤滑剤である三
硫化アンチモンと、摩擦性能を向上するためのカシュー
ダストと、主に摩擦係数を高めるためのアブレッシブ剤
であるシリカと、体質充填剤としての硫酸バリウムと、
そして、黒鉛として薄片化造粒黒鉛を配合した。そし
て、三硫化アンチモンとカシューダストとシリカは、各
実施例及び比較例において同じ割合で、それぞれ2重量
%、8重量%及び3重量%ずつ配合した。また、薄片化
造粒黒鉛は、各実施例及び比較例において種類及び割合
を変えて配合し、またその配合量に応じて硫酸バリウム
の配合量を調整した。
【0027】ここで、薄片化造粒黒鉛は、鱗状天然黒鉛
を薄片化し、かつ造粒したものであり、より具体的に
は、薄片化した鱗状天然黒鉛をコールタールピッチと混
合、混練し、造粒後炭化焼成したものである。そして、
鱗状天然黒鉛を薄片化する程度、バインダであるコール
タールピッチの配合量、或いは造粒の具体的条件によっ
て、粒子径及び嵩密度が異なる種々の薄片化人造黒鉛が
得られるが、ここでは、次のA〜Eの5種類のものを用
意し、各実施例及び比較例において使用した。
【0028】薄片化造粒黒鉛A:平均粒子径100μm
×嵩密度0.19g/cm3 薄片化造粒黒鉛B:平均粒子径400μm×嵩密度0.
11g/cm3 薄片化造粒黒鉛C:平均粒子径30μm×嵩密度0.1
5g/cm3 薄片化造粒黒鉛D:平均粒子径100μm×嵩密度0.
26g/cm3 薄片化造粒黒鉛E:平均粒子径400μm×嵩密度0.
06g/cm3 そして、実施例1及び実施例2では、粒子径が比較的大
きく、しかも嵩密度が小さい薄片化造粒黒鉛Aを用い、
それぞれ3重量%、5重量%配合した。また、実施例3
及び実施例4では、薄片化造粒黒鉛Aよりも粒子径が大
きいにもかかわらず、嵩密度がより小さい薄片化造粒黒
鉛Bを用い、それぞれ5重量%、10重量%配合した。
【0029】これに対し、比較例1では、粒子径が小さ
く、しかも嵩密度が比較的大きい薄片化造粒黒鉛Cを用
い、5重量%配合した。なお、この薄片化造粒黒鉛C
は、摩擦材に固体潤滑剤として通常使用される鱗状天然
黒鉛に近いものである。また、比較例2では、粒子径が
大きいが、嵩密度も大きい薄片化造粒黒鉛Dを用い、5
重量%配合した。更に、比較例3では、粒子径が大き
く、しかも嵩密度が非常に小さい薄片化造粒黒鉛Eを用
い、5重量%配合した。なお、この薄片化造粒黒鉛E
は、鱗状天然黒鉛を加熱等により膨張させた膨張化黒鉛
に近いものである。
【0030】なお、硫酸バリウムの配合量は残る割合を
占め、上記の薄片化造粒黒鉛の配合量に応じて、実施例
1では36重量%、実施例2及び実施例3と各比較例で
は34重量%、実施例4では29重量%とされている。
【0031】そして、これらの実施例及び比較例の摩擦
材(ディスクブレーキパッド)の作製は、通常の熱成形
による方法によって、具体的には次のように行った。
【0032】即ち、薄片化造粒黒鉛を含む上記の配合の
摩擦材原料をV型ブレンダで十分均一に混合し、次い
で、この粉状混合物を予備成形金型に投入し、常温下、
200kg/cm2 の圧力で1分間加圧して、予備成形
した。この摩擦材の予備成形物を、予め表面にフェノー
ル樹脂系接着剤を塗布した裏金と共に熱成形金型にセッ
トし、400kg/cm2 の加圧圧力、160℃の温度
で10分間熱成形した。そして、これを更に250℃で
120分間熱処理して、摩擦材を得た。
【0033】〔評価試験〕次に、作製したこれらの実施
例及び比較例の各摩擦材(ディスクブレーキパッド)に
ついて、それらの気孔率を測定すると共に、耐摩耗性及
び耐フェード性に関する評価試験を行った。
【0034】耐摩耗性については、JASO−C427
−83に準じて制動試験を行い、その時の摩擦材の摩耗
率(×10-4mm3 /kgf・m)を測定した。試験条
件は次のとおりである。 使用キャリパブレーキ型式:PD51−18V イナーシャ:3.5kgf・m・s2 初速度:50km/h 減速度:0.3G。
【0035】耐フェード性については、JASO−C4
06−82に準じて第1フェード試験を実施し、その第
1フェード時の最少摩擦係数μを測定した。試験条件は
次のとおりである。 使用キャリパブレーキ型式:PD51−18V イナーシャ:4.5kgf・m・s2 初速度:100km/h 減速度:0.45G 制動間隔:35秒 制動回数:10回。
【0036】実施例及び比較例の各摩擦材について測定
したこれらの気孔率(%)、摩耗率(×10-4mm3
kgf・m)、及び第1フェード試験時の最少摩擦係数
μ「第1フェード最小μ」を、組成と合わせて図1に示
す。
【0037】〔試験結果〕図1のように、固体潤滑剤で
ある黒鉛として、粒子径が比較的大きく、しかも嵩密度
が小さい薄片化造粒黒鉛A(平均粒子径100μm×嵩
密度0.19g/cm3 )及び薄片化造粒黒鉛B(平均
粒子径400μm×嵩密度0.11g/cm3 )を用い
た実施例1乃至実施例4の摩擦材では、気孔率が高く、
また摩耗率も比較的低く、十分な耐摩耗性が得られてい
る。そして、気孔率が高いことにより、第1フェード試
験時の最少摩擦係数μも高く保持されている。
【0038】これらに対して、嵩密度は比較的少ないが
粒子径が小さい薄片化造粒黒鉛C(平均粒子径30μm
×嵩密度0.15g/cm3 )を用いた比較例1では、
摩耗率は実施例と同様に低いが、十分な気孔率が得られ
ず、そのためフェード時の摩擦係数μがかなり低下して
いる。同様なことは、粒子径は比較的大きいが嵩密度が
大きい薄片化造粒黒鉛D(平均粒子径100μm×嵩密
度0.26g/cm3)を用いた比較例2においても見
られ、耐摩耗性は良好であるが第1フェード時の摩擦係
数μが低い。このように、粒子径が小さく、または嵩密
度が大きい薄片化造粒黒鉛では、十分な気孔率が得られ
ず、そのために十分な耐フェード性も得られない。ただ
し、粒子径が大きく、しかも嵩密度が非常に小さい薄片
化造粒黒鉛E(平均粒子径400μm×嵩密度0.06
g/cm3 )を用いた比較例3では、気孔率が高すぎる
傾向があり、そのために摩擦材の強度が低下して、耐摩
耗性が反って悪化している。
【0039】そこで、これらの試験結果から、黒鉛とし
て粒子径が大きく、しかも嵩密度が十分に小さい薄片化
造粒黒鉛を使用することによって、気孔率を高め、耐フ
ェード性を向上できることが分かる。ただこの場合、そ
の薄片化造粒黒鉛の嵩密度が小さすぎると耐摩耗性が反
って低下するので、この嵩密度は小さいことにも限度が
あることが分かる。そして、実施例及び比較例において
用いた薄片化造粒黒鉛の平均粒子径と嵩密度とから、耐
摩耗性を確保すると共に耐フェード性を十分に向上する
ためには、薄片化造粒黒鉛の平均粒子径が100μm以
上で、かつ嵩密度が0.10〜0.20g/cm3 の範
囲が好ましいことが分かる。
【0040】なお、このように本発明の摩擦材について
は特にディスクブレーキパッドを例として説明したが、
本発明を実施する場合には、ディスクブレーキパッドに
限定されるものではなく、ドラムブレーキのライニン
グ、或いはクラッチフェーシング等、種々の摩擦材に適
用することができる。また、繊維基材等の種類と配合割
合等についても、この実施例に限定されることなく、種
々に変更することができる。
【0041】
【発明の効果】以上のように、本発明にかかる摩擦材
は、繊維基材と、樹脂結合剤と、充填剤とを含む摩擦材
において、充填剤として、鱗状天然黒鉛を薄片化し、か
つ造粒した薄片化造粒黒鉛であって、平均粒子径が10
0〜1000μmであり、かつ、嵩密度が0.10〜
0.20g/cm3 である薄片化造粒黒鉛を含有するも
のである。
【0042】したがって、この摩擦材によれば、一定の
比較的大きな粒子径と小さな嵩密度とを有する薄片化造
粒黒鉛が含有されているので、摩擦材の気孔率をその強
度が低下しない程度に適切に高めることができ、薄片化
造粒黒鉛の潤滑性によって耐摩耗性を確保できると共
に、フェード時の分解ガスが摩擦係合面から解放され易
いので、耐フェード性を向上することができる。即ち、
耐摩耗性を確保することができると共に、耐フェード性
を向上することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施例及び比較例の摩擦材(デ
ィスクブレーキパッド)の組成(重量%)と、それらの
評価試験の結果とを示す表図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維基材と、樹脂結合剤と、充填剤とを
    含む摩擦材において、 前記充填剤として、鱗状天然黒鉛を薄片化し、かつ造粒
    した薄片化造粒黒鉛であって、平均粒子径が100〜1
    000μmであり、かつ、嵩密度が0.10〜0.20
    g/cm3 である薄片化造粒黒鉛を含有することを特徴
    とする摩擦材。
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Cited By (4)

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WO2014147807A1 (ja) 2013-03-22 2014-09-25 日清紡ブレーキ株式会社 摩擦材
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