JP2006249127A - アセチレン系重合体含有液の取り扱い方法およびアセチレン系重合体含有液 - Google Patents

アセチレン系重合体含有液の取り扱い方法およびアセチレン系重合体含有液 Download PDF

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Abstract

【課題】 立体規則性と分子量の低下が防止されたアセチレン系重合体含有液およびその取り扱い方法を提供する。
【解決手段】 本発明のアセチレン系重合体含有液の取り扱い方法は、アセチレン系重合体を含有する液を取り扱うに際し、取り扱い温度を0℃以下に保持する方法である。本発明のアセチレン系重合体含有液は、上述したアセチレン系重合体含有液の取り扱い方法により取り扱われたものである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子材料、光学材料などに適用可能なアセチレン系重合体含有液およびその取り扱い方法に関する。
従来から、例えばチタン化合物/有機アルミニウム、鉄錯体/有機アルミニウム系などのチーグラー・ナッタ触媒、モリブデン、タングステン系などのメタセシス触媒、ロジウム錯体触媒等の存在下、アセチレン化合物を重合してアセチレン系重合体を製造する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
これらの中でも、ロジウム錯体触媒の存在下でアセチレン化合物、特に芳香族基を有するアセチレン化合物を重合してアセチレン系重合体を製造した場合には、立体規則性の高い(シス体含有率が高い)アセチレン系重合体を製造でき、しかも得られたアセチレン系重合体が各種有機溶媒に溶解することが知られている(例えば非特許文献1参照)。
しかし、アセチレン系重合体、特にロジウム錯体触媒系で製造したものは固体状態では安定であるものの、溶液状態または懸濁状態では分解しやすく、立体規則性や分子量が低下するという問題があった。そのため、アセチレン系重合体を長時間かけて溶媒に溶解させた場合には、立体規則性や分子量の低下を招くことがあり、また、アセチレン系重合体の溶液または懸濁液を塗布して塗膜を形成した場合には、所望のアセチレン系重合体の塗膜を得ることができなかった。
したがって、アセチレン系重合体の溶液または懸濁液の安定化は、アセチレン系重合体製造の工業化に際して非常に重要な課題である。そこで、アセチレン系重合体の溶液または懸濁液の安定性を向上させる方法として、脱気した溶媒を用いる方法、ラジカルトラップ剤を添加する方法などが提案されている(非特許文献2参照)。
特開昭59−210914号公報 田畑昌祥ら、「高分子論文集」高分子学会発行、第59巻、第4号、2002年、p168−177 ケイ・エス・エム・アブダル(K.S.M.Abdul)ら、「ジャーナルオブポリマーサイエンス パートエイ ポリマーケミストリ(Journal of Polymer Science Part.A Polymer Chemistry)」、第39巻、2001年、p3130−3136
しかしながら、非特許文献2の記載の方法によっても、アセチレン系重合体を含む液の安定性は不充分であり、長時間経過すると立体規則性および分子量が低下した。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、立体規則性と分子量の低下が防止されたアセチレン系重合体含有液およびその取り扱い方法を提供することを目的とする。
本発明のアセチレン系重合体含有液の取り扱い方法は、アセチレン系重合体を含有する液を取り扱うに際し、取り扱い温度を0℃以下に保持することを特徴とする。
本発明のアセチレン系重合体含有液の取り扱い方法においては、アセチレン系重合体が、下記一般式(I)で示される有機金属錯体の存在下で重合されたものである場合にとりわけ効果を発揮する。
[MLL’] (I)
(式中、Mは7〜10族の元素、Lは多重結合を有する化合物に由来する配位子、L’は孤立電子対を有する化合物に由来する配位子、Xは陰イオン、mは0〜7の整数、nは0〜6の整数、pは1〜2の整数、qは0〜2の整数を表す。なお、m+nは1以上に整数である)
本発明のアセチレン系重合体含有液は、上述したアセチレン系重合体含有液の取り扱い方法により取り扱われたことを特徴とする。
本発明のアセチレン系重合体含有液の取り扱い方法では、取り扱い中のアセチレン系重合体の安定性を確保でき、立体規則性および分子量の低下を防止できる。
本発明のアセチレン系重合体含有液は、アセチレン系重合体の立体規則性や分子量の低下が防がれたものであり、工業的に有用である。
本発明のアセチレン系重合体含有液の取り扱い方法について説明する。
本発明のアセチレン系重合体含有液の取り扱い方法では、アセチレン系重合体を含有する液を取り扱うに際し、取り扱い温度を0℃以下、好ましくは−10℃以下に保持する。アセチレン系重合体含有液の取り扱い温度が0℃を超えるとアセチレン系重合体の立体規則性および分子量が低下する。
ただし、取り扱い温度が低すぎるとアセチレン系重合体の溶解度が低下して溶解時間が長くなる傾向にあるため、取り扱い温度の下限は−30℃が好ましく、−20℃がより好ましい。
ここで、取り扱いとは、貯蔵、輸送、加工への適用、処理のことである。さらに、処理としては、例えば、ポリアセチレン系重合体の溶媒への溶解、懸濁、バインダーとの混合、フィルム化等における溶媒除去等などが挙げられ、加工への適用としては、例えば、アセチレン系含有液の塗布等が挙げられる。
また、アセチレン系重合体含有液とは、アセチレン系重合体を溶媒に溶解した溶液または懸濁した懸濁液のことであり、取り扱い温度とは、アセチレン系重合体含有液の温度である。
取り扱い温度を0℃以下に保持する方法としては、例えば、アセチレン系重合体含有液を取り扱う室内を冷却機または冷凍機により0℃以下に冷却し、保持する方法、冷却機能を具備する容器にアセチレン系重合体含有液を充填し、冷却する方法などが挙げられる。
アセチレン系重合体含有液に含まれるアセチレン系重合体としては、側鎖に置換基を有するアセチレン系重合体が得られることから、置換基を一つ有するものが好ましい。なお、側鎖に置換基を有するアセチレン系重合体は、立体規則性の高いシス体構造を有し、機能性が高くなる。
このような好ましいアセチレン化合物としては、フェニルアセチレン、ジフェニルアセチレン、シクロヘキシルアセチレン、t−ブチルアセチレン、1−t−ブチル−2−クロロアセチレン、2−アセチル−1−n−プロピルアセチレンアセチレン、1−ニトロ−2−アミノアセチレン、1−シアノ−2−メトキシアセチレン、あるいは置換フェニルアセチレン、例えば2−メトキシフェニルアセチレンのような2−アルコキシフェニルアセチレン、2−ニトロフェニルアセチレン、2−クロロフェニルアセチレン、3−メトキシフェニルアセチレンのような3−アルコキシフェニルアセチレン、3,5−ジメトキシフェニルアセチレン、あるいはp−クロロフェニルアセチレン、2,4,6−トリメトキシフェニルアセチレン、2,4,6−トリクロロフェニルアセチレン、4−メチル−2,6−ジメトキシフェニルアセチレン、4−ジメチルアミノフェニルアセチレン、p−ニトロフェニルアセチレン、p−シアノフェニルアセチレン、2,4,6−トリシアノフェニルアセチレン、1−メチル2−p−フルオロフェニルアセチレン、4−ニトロ−2−メチルフェニルアセチレン、2,6−ジメトキシ−4−ニトロフェニルアセチレン等のパラ置換フェニルアセチレンが挙げられる。さらに、2,6−ジメチル−4−ニトロフェニルアセチレン、4−メトキシ−2−ニトロフェニルアセチレン、1−ナフチルアセチレン、2−ナフチルアセチレン、1−アントラセニルアセチレン、1−フェナンチルアセチレン、4−アセチレニルピリジン、4−アセチレニン−3,5−ジメチルピリジン、4−アセチレニルキノリン、1,2−ジ−γ−ピリジノエチン、3−アセチレニルイソキノリン、4−アセチレニルコリジン、2−アセチレニルトリアジン、2−アセチレニルピロール、2−アセチレニルフラン、2−アセチレニルチオフェン等の化合物が挙げられる。
また、置換基として脂肪族基を有するアセチレン化合物として、例えば、メチルプロピオレート、エチルプロピオレート、プロピルプロピオレート、n−ヘキシルプロピオレート、2−ヘキシルプロピオレート、n−オクチルプロピオレート、2−オクチルプロピオレート、3−メチルペンチルプロピオレート等のプロピオール酸のアルキルエステル(アルキルは直鎖状でも枝分れを有してもよいアルキル基)置換されていてもよいフェニルプロピオレート等のプロピオール酸の芳香族エステル、プロピオール酸アミド、プロパルギルエステル、プロパルギルアミド、ブチノイック酸エステル、ブチノイック酸アミド、ペンチノイック酸エステル、ペンチノイック酸アミド、2−プロピン−オール、安息香酸、酢酸などのプロピニルエステル等が挙げられる。
これらのアセチレン化合物は単独で用いて単独重合体としてもよいし、2種以上組み合わせて共重合体としてもよい。
また、アセチレン化合物の中でも、アリール基、直鎖、分岐、環状のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基のいずれか1種以上の置換基を有するものが好ましい。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ピレニル基が挙げられる。該アリール基は置換されていてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子が挙げられる。置換されたアリール基としては、2−メトキシフェニル基、2−クロロフェニル基が好ましい。
直鎖、分岐、環状のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基が挙げられる。該アルコキシカルボニル基は置換されていてもよい。
フェノキシカルボニル基も置換されていてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子が挙げられる。置換されたフェノキシカルボニル基として、4−メトキシフェニルカルボニル基が好ましい。
アセチレン系重合体が、下記一般式(I)で示される有機金属錯体の存在下で重合されたものである場合、立体規則性が高いため、本発明の効果がとりわけ発揮される。
[MLL’] (I)
(式中、Mは7〜10族の元素、Lは多重結合を有する化合物に由来する配位子、L’は孤立電子対を有する化合物に由来する配位子、Xは陰イオン、mは0〜7の整数、nは0〜6の整数、pは1〜2の整数、qは0〜2の整数を表す。なお、m+nは1以上の整数を表す。)
一般式(I)中のMとしては、好ましくはロジウム、ルテニウム、レニウム、ニッケル、白金、パラジウム、イリジウムなどが挙げられ、特に好ましくはロジウムが用いられる。なお、一般式(I)で表される化合物以外の有機金属錯体を触媒として用いる場合においても、ロジウムを含有する化合物が好ましい。
一般式(I)において、Lは多重結合を有する化合物に由来する配位子を表す。多重結合を有する化合物としては、好ましくはオレフィン、アセチレン、ジエン、シクロオレフィン、一酸化炭素、フェニルアセチレンなどが挙げられ、特に好ましくはシクロオレフィン、アリル、一酸化炭素、フェニルアセチレンなどが挙げられ、より好ましくはシクロオレフィンが挙げられる。シクロオレフィンとしては、シクロオクタジエン、ノルボルナジエンが好ましく用いられる。
一般式(I)において、L’は孤立電子対を有する化合物に由来する配位子を表す。
孤立電子対を有する化合物としては、好ましくは窒素、リン、ヒ素、酸素、イオウなどの原子を有する配位子、ハロゲン原子などが挙げられる。特に好ましくはリンを有する配位子およびハロゲン原子が挙げられ、最も好ましくはハロゲン原子が挙げられる。
具体的には、窒素を有する配位子としては、例えばピリジン、ビピリジル、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、フェナンスロリンなどが挙げられる。リンを有する化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリフェニルホスファイト、トリフェニルホスフェート、ビスジフェニルホスフィン、n−ノニルフェニルホスフィン、エチレンビスフェニルホスフィンなどが挙げられ、トリフェニルホスフィンが特に好ましい。ヒ素を有する配位子としてはトリフェニルアルシンなどが挙げられる。酸素を有する配位子としてはジフェニルエーテル、アルコキシなどが挙げられる。イオウを有する配位子としては、ジフェニルチオエーテルなどが挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられ、塩素が特に好ましい。
一般式(I)において、Xは陰イオンを表す。Xとしては、具体的には、PF 、BF 、ClO 、SOCF などが挙げられ、PF が好ましく用いられる。
一般式(I)において、mは0〜7の整数、好ましくは0〜6の整数、特に好ましくは1〜2の整数を表す。nは0〜6の整数、好ましくは0〜5の整数、特に好ましくは1〜2の整数を表す。なお、m+nは1以上に整数である。また、pは1〜2の整数を表す。qは0〜2の整数、好ましくは1〜2の整数、最も好ましくは2を表す。
一般式(I)で表される有機金属錯体の具体例としては、[Rh(COD)Cl]、[Rh(NBD)Cl]、[Rh(NBD)(BPh)Ph]、[Rh(NBD)OCH]、[Rh(COD)bipy]SOCF、[Rh(COD)bipy]PF、[Rh(NBD)bipy]PF、[Rh(COD)bipyam]PF、[Rh(COD)(PPh)]PF、[Rh(COD)EDA]Cl、[Rh(COD)TEDA]Cl、[Rh(COD)]BF、Re(CO)Z、[Re(CO)Cl]、[Re(CO)Cl]、Re(CO) (PPh)Cl、Re(CO) (PPh)Cl、Re(CO) (bipy)Cl、Re(CO) (C≡CPh)、Re(CO) (PhPCHCHPPh)Cl、Ni(CO) (PPh)、Ni(PPh)、Pt(PPh) (C≡CPh)、Pt(PPh)HCl、Pt(PPh)Clなどが挙げられる。但し、CODはシクロオクタジエニル、NBDはノルボナジエニル、bipyはビピリジル、bipyamはビピラン、Phはフェニル、EDAはエチレンジアミン、TEDAはトリエチレンジアミン、Zはハロゲン原子を示す。これらの触媒は単独で用いてもよいし、幾つかを組み合わせて用いてもよい。
中でも、本発明に用いられる有機金属錯体としては、[Rh(COD)Cl]、[Rh(NBD)Cl]、[Rh(NBD)(BPh)Ph]、[Rh(NBD)OCH]、[Rh(COD)]BFなどのロジウム金属錯体が立体規則性の高い高分子量の重合体を与えることから好ましく、特に、[Rh(NBD)Cl]、[Rh(NBD)(BPh)Ph]が好ましい。
有機金属錯体の他に、必要に応じて助触媒を添加してもよい。
助触媒として窒素、リン、ヒ素、酸素、イオウなどの原子を有する化合物が挙げられる。具体的には、窒素を有する化合物としては、例えばピリジン、ビピリジル、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、フェナンスロリンなどが挙げられる。リンを有する化合物としては、例えばトリフェニルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリフェニルホスファイト、トリフェニルホスフェート、ビスジフェニルホスフィン、n−ノニルフェニルホスフィン、エチレンビスフェニルホスフィンなどが挙げられ、トリフェニルホスフィンが特に好ましい。ヒ素を有する化合物としては例えばトリフェニルアルシンなどが挙げられる。酸素を有する化合物としては例えばジフェニルエーテル、アルコキシなどが挙げられる。イオウを有する化合物としては、例えばジフェニルチオエーテルなどが挙げられる。
また、アセチレン系重合体含有液に含まれるアセチレン系重合体は、炭素数が200以上、GPCによるポリスチレン換算の質量平均分子量が10000以上であることが好ましく、立体規則性の高いシス体構造を有することが好ましい。
アセチレン系重合体含有液が溶液である場合の溶媒としては、アセチレン系重合体を溶解し、かつアセチレン系重合体と反応しないものであればいずれも使用可能であり、例えば、芳香族炭化水素、含ハロゲン炭化水素、含窒素炭化水素などが好適に用いられる。具体的には、クロロホルム、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジグライム、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
アセチレン系重合体含有液が溶液である場合のアセチレン系重合体の濃度は、飽和溶解度が上限であるが、実用的には0.01%以上、さらに好ましくは0.1%以上、50%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下である。
また、アセチレン系重合体が懸濁液である場合の溶媒としては、脂肪族炭化水素、含酸素炭化水素、含窒素炭化水素、含硫黄炭化水素、アルコール類などが好適に用いられ、具体的には、ヘキサン、アセトン、炭酸プロピレン、ジエチルアミノエタノール、トリエチルアミン、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、プロパノール等が挙げられる。
また、このアセチレン系重合体含有液の取り扱い方法においては、安定性がより高くなることから、アセチレン系重合体含有液をあらかじめ脱気して溶存酸素濃度を5ppm以下にしておくことが好ましい。また、同様の理由から、アセチレン系重合体含有液に酸化防止剤を添加しておくことが好ましい。
以上説明したアセチレン系重合体含有液の取り扱い方法では、取り扱い温度を0℃以下に保持するため、アセチレン系重合体の立体規則性の低下と分子量低下を抑制できる。これは、0℃以下では、アセチレン系重合体が、分解しやすい異性体に変化しにくいためと考えられる。
したがって、この取り扱い方法によれば、アセチレン系重合体含有液中のアセチレン系重合体の立体規則性維持率および分子量維持率を50%以上にできる。ここで、立体規則性維持率とは、{(アセチレン系重合体含有液調製前のアセチレン系重合体のシス体含有率)−(アセチレン系重合体含有液取り扱い後のアセチレン系重合体のシス体含有率)/(アセチレン系重合体含有液調製前のアセチレン系重合体のシス体含有率)}×100(%)のことである。シス体含有率はH−NMRスペクトルから求めた値である。
また、分子量維持率とは、{(アセチレン系重合体含有液調製前のアセチレン系重合体の質量平均分子量)−(アセチレン系重合体含有液取り扱い後のアセチレン系重合体の質量平均分子量)/(アセチレン系重合体含有液調製前のアセチレン系重合体の質量平均分子量)}×100(%)のことである。質量平均分子量はGPCにより測定したポリスチレン換算の値である。
立体規則性維持率および分子量維持率が50%以上であれば、立体規則性および分子量を充分に維持できたといえる。
本発明のアセチレン系重合体含有液は、上述したアセチレン系重合体含有液の取り扱い方法により取り扱われたものである。したがって、このアセチレン系重合体含有液に含まれるアセチレン系重合体は立体規則性および分子量が高いため、アセチレン系重合体の特異的な性質を充分に発揮することができる。立体規則性および分子量が高いアセチレン系重合体は、リチウムイオン電池や太陽電池等の電池材料、レジスト材料、有機半導体等の導電材料、DDSや光学分割剤等の医薬材料、液晶材料や有機ELや有機LED等のディスプレイ材料、非線形材料、光応答高分子材料、有機磁性体、高分子反応試薬、線種線量計材料、誘電材料、コンタクトレンズ材料等に応用でき、特に有機半導体材料や医薬関連材料に有用である。
以下、本発明を実施例より更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
アセチレン系重合体の立体規則性の変化はH−NMR、分子量変化の測定はGPCにより実施した。立体規則性の指標としてシス体含有率を用い文献記載の方法(非特許文献3)によって計算した。H−NMRは日本電子製、JNM−ECP400(400MHz)及び、Varian製、Gemini−200(200MHz)を使用し、溶媒に重クロロホルムを使用し測定した。GPCは昭和電工製、Shodex K−806Lカラムを使用し、ポリスチレンを標準サンプルとし、溶媒にクロロホルムを使用して測定した。
(非特許文献3) エイ・ファーラン(A.FURLAN)ら、「ジャーナルオブポリマーサイエンス パートエイ ポリマーケミストリ(Journal of Polymer Science Part.A Polymer Chemistry)」、第24巻、1986年、p991−1005
(実施例1)
フェニルアセチレン30g(0.29モル)、トリエチルアミン11.89g(0.12モル)、メタノール294mlからなる溶液を脱気した後、アルゴン置換した。この溶液に[Rh(NBD)Cl]を0.54g(0.0012モル)のメタノール(294ml)溶液を添加し、40℃、4時間加熱攪拌した。反応終了後、反応液をメタノール(1.8L)に添加し、得られた結晶を濾過して、ポリフェニルアセチレン30g(収率100%)を得た。得られたポリフェニルアセチアレンのシス体含有率は67%、質量平均分子量Mwは294000であった。
次いで、このポリフェニルアセチレン0.2gをクロロホルム20mlに溶解してアセチレン系重合体含有液を調製した。このアセチレン系重合体含有液を−18℃に設定した低温器内で所定時間貯蔵したのちメタノール中に投入して晶析し、析出した結晶を濾過により回収した。その結晶を室温で真空乾燥した後、シス体含有率および分子量を測定した。その結果を図1,2に示す。
(比較例1)
アセチレン系重合体含有液を3℃で保存したこと以外は実施例1と同様にし、シス体含有率を測定した。その結果を図1に示す。
(比較例2)
アセチレン系重合体含有液を20℃で保存したこと以外は実施例1と同様にし、シス体含有率および分子量を測定した。その結果を図1,2に示す。
(比較例3)
アセチレン系重合体含有液を50℃で保存したこと以外は実施例1と同様にし、シス体含有率を測定した。その結果を図1に示す。
−18℃でアセチレン系重合体含有液を貯蔵した実施例1の取り扱い方法では、立体規則性および分子量を維持できた。
これに対し、0℃を超えた温度でアセチレン系重合体含有液を保存した比較例1〜3の取り扱い方法では、100時間後には立体規則性や分子量が大幅に低下した。
実施例および比較例におけるアセチレン系重合体含有液のシス体含有率の経時変化を示すグラフである。 実施例および比較例におけるアセチレン系重合体含有液の分子量の経時変化を示すグラフである。

Claims (3)

  1. アセチレン系重合体を含有する液を取り扱うに際し、取り扱い温度を0℃以下に保持することを特徴とするアセチレン系重合体含有液の取り扱い方法。
  2. アセチレン系重合体が、下記一般式(I)で示される有機金属錯体の存在下で重合されたものであることを特徴とする請求項1に記載のアセチレン系重合体含有液の取り扱い方法。
    [MLL’] (I)
    (式中、Mは7〜10族の元素、Lは多重結合を有する化合物に由来する配位子、L’は孤立電子対を有する化合物に由来する配位子、Xは陰イオン、mは0〜7の整数、nは0〜6の整数、pは1〜2の整数、qは0〜2の整数を表す。なお、m+nは1以上の整数である。)
  3. 請求項1または2に記載のアセチレン系重合体含有液の取り扱い方法により取り扱われたことを特徴とするアセチレン系重合体含有液。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010112461A (ja) * 2008-11-06 2010-05-20 Ntn Corp 転がり軸受用保持器及び転がり軸受

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