JP2006245788A - シンボル同期方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は移動通信システムにおけるシンボル同期方法及び装置に関し、受信信号に周波数偏差や電力レベル変動が含まれる場合でも、短期間にシンボル同期を確立することができる移動通信システムにおけるシンボル同期方法及び装置を提供することを目的としている。
【解決手段】 移動通信システムにおいてシンボル同期を確立する場合において、
n倍オーバーサンプリングされた直交位相変調における受信ベースバンド信号I,Qについて、複素電力の変動が最も小さいサンプル位置をシンボルタイミングとして検出する手段を設けて構成される。このように構成すれば、短区間で複素電力レベル変動を評価しているため、受信電力オフセットの影響を受けにくく、高S/N環境でより速くシンボル同期を確立することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は移動通信システムにおけるシンボル同期方法及び装置に関する。また、フェージング等による電力レベル変換やキャリア周波数のオフセットを考慮する必要があり、かつ直交位相変調方式(π/4QPSK変調方式や16QAM変調方式等)を用いる移動通信システムにおけるシンボル同期方法及び装置に関するものである。
例えば、π/4QPSK変調方式は、2値信号“1”,“0”に応じて振幅“A”、“−A”を割り当てると共に、1シンボルについて4つの信号点データ(I,Q)を与え、これを基に位相変調を行なう4位相変調(QPSK)を基本としている。移動通信システムにおいてシンボル同期を確立する場合、同期ワード等の既知シンボルを利用して同期確立する手法と、既知シンボルを利用せずに未知の情報シンボルのみを利用して同期確立する手法がある。
既知シンボルを利用する場合、受信信号と受信機内部の既知シンボルとの相関を算出し、最も相関の大きいタイミングをシンボルタイミングとする相関法が一般的である。既知シンボルを利用しない場合、受信信号のI成分或いはQ成分のどちらか、或いはI,Q両方の符号が反転するタイミングを検出して、そのタイミングを2つの連続するシンボル点の中間に位置するゼロクロス点と認識してシンボルタイミングを検出するゼロクロス法と、受信信号の複素電力レベルをオーバーサンプル単位(8倍オーバーサンプルなら8個のサンプル位置)で算出後、同一サンプル番号間で加算後平均化し、最も平均振幅値の絶対値或いは平均電力が大きいサンプル位置をシンボルタイミングとするMAM法(Maximum Amplitude Method)がある。
従来のこの種の技術としては、π/4シフトQPSK被変調信号の復調装置におけるシンボルタイミング検出を高速で再生確度がよく、少ない演算量ですむようにした技術が知られている(例えば特許文献1参照)。また、QAM方式の問題点である高いオーバーサンプルレートでのシンボル同期及び復調処理の欠点を改善するため、低いオーバーサンプルレートでも誤り率特性の劣化が少ない等化装置及び受信装置を提供する技術が知られている(例えば特許文献2参照)。
特開2002−171297号公報(段落0018〜0023、図1、図2) 特開2002−344362号公報(段落0038〜0053、図1、図2)
既知シンボルを利用しない手法に着目した場合、以下に示すような問題がある。先ず、ゼロクロス法には、キャリア周波数オフセットがある場合、或いは16QAM変調方式のような多値変調方式に適用する場合にシンボルタイミングの検出精度が劣化する。更に、π/4QPSK変調方式において遅延検波方式を用いる場合、本来π/4QPSK方式では必要のない搬送波再生処理を、シンボル同期を確立するためにだけ行なう必要がある。
また、MAM法については、シンボルタイミングを検出する際に複素電力を用いるため、キャリア周波数オフセットの影響は受けず、また16QAM変調方式のような多値変調方式にも適用可能であるが、検出を行なうにあたり、シンボル平均化数を大きくとる必要があり、移動通信のように短期間でシンボル同期を確立する必要があるシステムでは、その効果を充分に発揮できない場合がある。
更に、シンボル平均化数を大きくとる必要があるということは、フェージング環境(エリアの位相がずれる環境)で受信信号の電力レベルが大きく変動する場合、平均の効果を充分に得られない可能性がある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、上記の問題点を解決し、受信信号に周波数偏差や電力レベル変動が含まれる場合でも、短期間にシンボル同期を確立することができる移動通信システムにおけるシンボル同期方法及び装置を提供することを目的としている。
(1)請求項1記載の発明は、移動通信システムにおいてシンボル同期を確立する場合において、n倍オーバーサンプリングされた直交位相変調における受信ベースバンド信号I,Qについて、複素電力の変動が最も小さいサンプル位置をシンボルタイミングとして検出するようにしたことを特徴とする。
(2)請求項2記載の発明は、各サンプル番号にRWFを持たせ、複素電力変動の大きさに応じた値をRWFに加算していくことによりシンボルタイミングを検出するようにしたことを特徴とする。ここで、RWFはRandam Walk Filterの略である。
(3)請求項3記載の発明は、MAM法を用いてシンボル位置とその前後のサンプル点の3点において、それぞれ複素電力平均値を算出してその大きさを比較することで理想シンボルタイミングからのずれを検出するようにしたことを特徴とする。
(4)請求項4記載の発明は、前記3点の複素電力平均値を比較した時、真ん中のサンプル番号の複素電力平均値が最大の時は、シンボルタイミング補正を行わないか、又は微調整し、前後のサンプル番号のどちらかの複素電力平均値が最大の時は、シンボルタイミング補正量を大きくすることを特徴とする。
(5)請求項5記載の発明は、移動通信システムにおいてシンボル同期を確立する場合において、n倍オーバーサンプリングされた直交位相変調における受信ベースバンド信号I,Qについて、複素電力の変動が最も小さいサンプル位置をシンボルタイミングとして検出する手段を設けたことを特徴とする。
(6)この発明において、前後のサンプル番号のどちらかの複素電力平均値が最大であっても、真ん中のサンプル番号の複素電力平均値が最小である時、タイミング補正を行わないようにしたことを特徴とする。
(7)また、この発明において、シンボルタイミング補正値を監視し、タイミング補正値が±3を検出し続け、±1或いは0を検出しない場合には、同期状態を一旦非同期状態に戻すことを特徴とする。
(1)請求項1記載の発明によれば、複素電力の変動が最も小さいサンプル位置をシンボルタイミングとすることで、短時間にシンボル同期を確立することができる。
(2)請求項2記載の発明によれば、受信信号にシンボルが含まれている場合だけ確実にかつ高速にシンボルタイミングを検出することができる。
(3)請求項3記載の発明によれば、理想シンボルタイミングからのずれを確実に検出することができる。
(4)請求項4記載の発明によれば、急速に補正を行なうことができる。
(5)請求項5記載の発明によれば、複素電力の変動が最も小さいサンプル位置をシンボルタイミングとすることで、短期間にシンボル同期を確立することができる。
(6)この発明によれば、受信信号に周波数偏差や電力レベル変動が含まれる場合でも、短時間にシンボル同期を確立することができる。
(7)また、この発明によれば、受信信号に周波数偏差や電力レベル変動が含まれる場合でも、短期間にシンボル同期を確立することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。
本発明では、n倍オーバーサンプリング(以降n=8とする)された直交位相変調における受信ベースバンド信号I,Qについて、複素電力(I2+Q2)の変動が最も小さいサンプル位置を(理想シンボル点に最も近い)シンボルタイミングとして検出する。この原理が有効であることは、受信ベースバンド信号のアイパターン(シンボルの振幅パターンの変化)を観測した時に、シンボル位置のアイが最も開いていることを考えると明らかである。例えばπ/4QPSK変調方式では、シンボルタイミングにおける複素電力は、理想的には変動しない。また、16QAM変調方式等のシンボル点に複数の振幅値が存在する変調方式においても、シンボル点における複素電力の変動が最も小さい。
図1は本発明の原理ブロック図である。図において、10は本発明の原理部分である。原理部分10において、1は8倍オーバーサンプリングデータ(I成分)及び8倍オーバーサンプリングデータ(Q成分)を受けて、複素電力I2+Q2を算出する複素電力変動算出部である。この複素電力変動算出部1は、各サンプル番号(サンプル0〜7)についてそれぞれ算出する。
2は、複素電力変動算出部1から出力された各サンプルの複素電力に対して、図2に示すように2つの連続するシンボルの同じサンプル番号同士で複素電力の差の絶対値を算出し、複素電力の変動分を求める複素電力変動算出部である。図2は複素電力変動算出部2の等価回路図である。後方のシンボル区間の各サンプルの複素電力から前方のシンボル区間の各サンプルの複素電力を演算器11で減算する。減算された結果は、各サンプルの複素電力変動分となる。
3は、複素電力変動算出部2で求められた各サンプルの複素電力変動分について、その大小関係を基にサンプル番号に対して順序付けを行なう順序付け部である。ここで、順序付け部3は複素電力の変動の小さい順に順序を付与する。4は順序付け部3で付与された順序に従って、図3に示すようにサンプル番号に対して重み付け値を付与する重み付け部である。
図3は重み付け部の重み付け値を示す図である。サンプル番号1〜8のそれぞれに対して順序付け部3で変動が小さい順に並べる。図の場合には、サンプル番号5が変動が最も小さく、サンプル番号1が変動が最も大きい。これらの変動順序に対して、重み付け値は図に示すように付される。例えば、サンプル番号4には+4が、サンプル番号5には+3が、サンプル番号7には−3が、サンプル番号0には−4がそれぞれ割り当てられる。
5は、重み付け部4で付与された重み付け値を各サンプルが固有に持つRWF(Randam Walk Filter)0〜7に加算していき、各サンプルのRWF値を更新するRWF部である。なお、図3に示すように、複素電力変動の小さいサンプル番号には正の重み付け値を、複素電力変動の大きなサンプル番号には負の重み付け値を付与することにより、RWF部5がRWFとして機能する。
6はRWF部5で更新されたRWF値と予め決められた閾値とを比較して、最初に閾値を越えたサンプル番号のタイミングをシンボル点として判定する判定部である。図の破線で囲った部分が本発明の原理部分10である。7は8倍オーバーサンプリングの受信ベースバンド信号から、判定部6で求められたサンプル番号のサンプル点を抽出するシンボル抽出部である。
このように構成された回路において、各サンプル番号にRWFを持たせ、複素電力変動の大きさに応じた値をRWFに加算していく構成をとることにより、高S/N環境ではより高速に、低S/N環境においても確実にシンボル位置のサンプル番号のRWFが閾値に達して、シンボルタイミングを検出することが可能になる。即ち、複素電力の変動が最も小さいサンプル位置をシンボルタイミングとすることで、短時間にシンボル同期を確立することができる。また、逆に受信信号がノイズのみでシンボルが存在しない場合には、RWF構成の機能によりどのサンプル番号のRWFも閾値に達しないことから、シンボルタイミングを検出せず、誤同期を未然に防ぐことが可能になる。
図4は本発明の動作原理を示すフローチャートである。回路としては、図1に示すものを用いる。先ず、複素電力変動算出部1でサンプルの複素電力を算出する(S1)。次に、複素電力変動算出部1は1シンボル区間のサンプル点で複素電力の算出が終了したかどうかチェックする(S2)。終了していない場合には、ステップS1に戻り、サンプルの複素電力の算出を行なう。
終了した場合には、複素電力変動算出部2は、前回と今回の1シンボル区間で同一サンプル位置の複素電力レベルを比較する(S3)。順序付け部3は、各サンプルに対する順序付けを行ない、重み付け部4は、レベル変動の小さいサンプル順に重み付け係数を更新する(S4)。例えば、レベル変動の小さい順に、
サンプル4
サンプル5
サンプル3
サンプル2
サンプル6
サンプル1
サンプル0
サンプル7
の場合、例えば
サンプル0の重み付け係数=−3
サンプル1の重み付け係数=−2
サンプル2の重み付け係数=+1
サンプル3の重み付け係数=+2
サンプル4の重み付け係数=+4
サンプル5の重み付け係数=+3
サンプル6の重み付け係数=−1
サンプル7の重み付け係数=−4
とする。
次に、RWF部5は、各サンプルの重み付け係数を各サンプルのRWF値に加算・更新する(S5)。例えば、各サンプルのRWFは以下のようになる。
RWF0+=サンプル0の重み付け係数
RWF1+=サンプル1の重み付け係数
RWF2+=サンプル2の重み付け係数
RWF3+=サンプル3の重み付け係数
RWF4+=サンプル4の重み付け係数
RWF5+=サンプル5の重み付け係数
RWF6+=サンプル6の重み付け係数
RWF7+=サンプル7の重み付け係数
である。
判定部6は、各サンプルのRWF値について最大値とそのサンプル番号を検索し、
最大RWF値>閾値
となるかどうかチェックする(S7)。そうでない場合には、ステップS1に戻り、最大RWF値が閾値よりも大きくなったら、最大RWF値のサンプル番号をシンボル閾値のサンプル番号とする(S8)。
このように、本発明によれば、サンプル番号にRWF値を持たせ、複素電力変動の大きさに応じた値をRWFに加算していくことにより、受信信号にシンボルが含まれている場合だけ確実にかつ高速にシンボルタイミングを検出することができる。
図5は本発明の一実施の形態例を示すブロック図である。図1と同一のものは、同一の符号を付して示す。この実施の形態例は、直交位相変調方式(例えばπ/4QPSK変調方式)の受信機を示している。なお、アナログ部で必須のアンプやフィルタは省略してある。また、受信機として必須のAGC(自動ゲインコントロール)部、AFC(自動周波数コントロール)部についても省略してある。
アンテナ11で受信された受信信号は、IQ復調器12及び発振器13を用いたダイレクトコンバージョン方式によりベースバンド信号(I,Q成分)に直接変換される。その後、このベースバンド信号は、それぞれ2個のA/D変換器14,15を用いて離散信号(ディジタル信号)に変換され、ディジタル信号処理デバイス25に入力される。ここで、ディジタル信号処理デバイス25としては、例えばDSPやFPGA等が用いられる。
Q成分には、乗算器16にj成分が乗算され、加算器17でI+jQが求まる。加算器17からはベースバンド信号として出力される。ディジタルデータに変換されたベースバンド信号は、先ずルートロールオフフィルタ部18に入力され、波形整形される。波形整形された信号(8倍オーバーサンプリングデータ)は、シンボル同期部21及びシンボル抽出部19に出力される。
シンボル同期部21では、本発明の方式により理想シンボル点に最も近いサンプル番号を検出し、シンボル抽出部19に通知する。また、シンボル同期部21は、シンボル同期に関する同期状態(非同期状態・シンボル同期状態の2状態)を内部に保持し、同時にシンボル抽出部19に通知する。シンボル抽出部19は、シンボル同期部21から通知された同期状態が同期状態の時、シンボル同期部21から通知されたサンプル番号の信号だけ、ルートロールオフフィルタ部18の出力として得られた8倍オーバーサンプリングのベースバンド信号から抽出し、シンボル復調部20に出力する。
シンボル復調部20では、シンボルデータについて適切な位相補正、レベル補正等を行ない、その後シンボルを判定してビットデータに変換する。また、シンボル同期部21では、MAM(Maximum Amplitude Method)を用いて、シンボル位置とその前後のサンプル点においてそれぞれ複素電力平均値を算出・比較することにより、理想シンボルタイミングからのずれを検出し、PLL部22に対してタイミング補正信号を出力する。PLL部22はA/D変換器14,15のサンプリングクロックを生成するが、タイミング補正信号によりサンプリングクロックの位相或いは周波数を微調整することによりシンボルタイミングの補正を行なう。
図6はシンボル同期部21の内部構成例を示すブロック図である。同期状態制御部30、シンボルタイミング検出部31及びシンボルタイミング補正部32から構成されている。ここで、シンボルタイミング検出部31は、図1の本発明の原理部分10に相当している。シンボルタイミング検出部31とシンボルタイミング補正部32とは排他的に動作する。
つまり、シンボルタイミング検出部31は、同期状態制御部30が非同期状態時に動作して、本発明の手法により理想シンボル位置に最も近いサンプル番号を検出し、検出フラグと共に同期状態制御部30に通知する。同期状態制御部30はその通知を受けると、同期状態をシンボル同期状態に遷移させ、シンボルタイミング検出部31を休止させると共に、シンボルタイミング補正部32を起動する。
シンボルタイミング補正部32は、シンボルタイミング検出部31が通知したサンプル番号とその前後のサンプル番号の3点について、長期間の複素電力平均値をそれぞれ算出する。MAM法によれば、理想シンボル点における複素電力平均値が最大になることから、これら3点の複素電力平均値を比較することにより、理想シンボルタイミングと実際のシンボル点とのずれを確実に検出することができる。
つまり、シンボルタイミング検出部31では、8倍オーバーサンプリングの精度でおおまかなシンボルタイミングを検出し、シンボルタイミング補正部32により更に精度を上げて実際のシンボルタイミングと理想シンボルタイミングのずれを検出するということになる。
シンボルタイミング補正部32では、図7,図8に示すように、比較の結果によって異なるタイミング補正値を出力する。図7,図8はシンボルタイミング補正部のタイミング補正値出力の場合分けを示す図である。(a)から(f)までが示されている。縦軸は複素電力平均値、横軸は時間である。
3点の複素電力平均値のうち、真ん中のサンプル番号(シンボルタイミング検出部31が検出したシンボル点位置)の複素電力値が最も大きく、かつその前後のサンプル番号の複素電力平均値の大きさが等しい、或いは等しいとみなせる時は、現在のシンボルタイミングは理想シンボルタイミングと一致しているとして、(a)に示すようにタイミング補正値=0を出力する。
真ん中のシンボル点に対応するサンプル番号の複素電力平均値が一番大きいが、前方のサンプル番号の複素電力平均値の方が後方のサンプル番号の複素電力平均値よりも大きい時はシンボルタイミングが少しだけ後方にずれているとして、(b)に示すようにタイミング補正値=+1を出力する。
逆に、後方のサンプル番号の複素電力平均値の方が前方のサンプル番号の複素電力平均値よりも大きい時は、シンボルタイミングが少しだけ前にずれているとして、(e)に示すようにタイミング補正値=−1を出力する。一方、真ん中のシンボル点に対応するサンプル番号よりもその前後のサンプル番号のどちらかの複素電力平均値が大きい場合は、タイミング補正値を更に大きくして出力する。
前方のサンプル番号の複素電力平均値が大きい時はシンボルタイミングが後方に大きくずれているとして、(c)に示すようにタイミング補正値=+3を、後方のサンプル番号の複素電力平均値゛か大きい時は、シンボルタイミングが前方に大きくずれているとして、(f)に示すようにタイミング補正値=−3を出力する。
但し、真ん中(シンボル点に対応する)サンプル番号の複素電力平均値が最小の場合は、ノイズ等の影響でシンボルタイミング補正の方向を判断できない、或いは実際にはシンボルを受信していないと判断して、(d)に示すようにタイミング補正値=0を出力する。
なお、ここで用いられたタイミング補正値の具体的な値はあくまで一例であり、システムにより最適化する必要がある。同期状態制御部30は、タイミング補正値を受け取ると、次の2つの処理を行なう。
一つは、PLL部22(図5参照)に対してタイミング補正信号を出力することである。もう一つは、タイミング補正値を無視して、タイミング補正値=±3をいつまでも検出し続けた場合、正常にシンボルタイミング同期を維持することが困難であるとして、同期状態を一旦非同期状態に戻す。タイミング補正値が+3或いは−3ばかり検出される時は、受信信号にシンボルは含まれているが、送受信機間でのシステムクロックの偏差が大きすぎて追従しきれない場合である。このように、この形態例によれば、受信信号に周波数偏差や電力レベル変動が含まれる場合でも、短期間にシンボル同期を確立することができる。
また、タイミング補正値が±3のいずれも混在している時は、受信信号にシンボルが含まれていない場合であると認識する。いずれの場合でも、非同期状態に遷移させ、再度シンボルタイミング検出部31による引き込み処理から開始する。
また、本発明によれば、前記3点の複素電力平均値を比較した時、真ん中のサンプル番号の複素電力平均値が最大の時は、シンボルタイミング補正を行わないか、又は微調整し、前後のサンプル番号のどちらかの複素電力平均値が最大の時は、シンボルタイミング補正量を大きくすることができる。このようにすれば、急速に補正を行なうことができる。
また、本発明によれば、移動通信システムにおいてシンボル同期を確立する場合において、n倍オーバーサンプリングされた直交位相変調における受信ベースバンド信号I,Qについて、複素電力の変動が最も小さいサンプル位置をシンボルタイミングとして検出する手段を設けることができる。このようにすれば、複素電力の変動が最も小さいサンプル位置をシンボルタイミングとすることで、短時間にシンボル同期を確立することとができる。
また、本発明によれば、前後のサンプル番号のどちらかの複素電力平均値が最大であっても、真ん中のサンプル番号の複素電力平均値が最小である時、タイミング補正を行わないようにすることができる。このようにすれば、受信信号に周波数偏差や電力レベル変動が含まれる場合でも、短期間にシンボル同期を確立することができる。
前述の実施の形態例では、8倍オーバーサンプリングの場合を例にとったが、本発明はこれに限るものではなく、任意の倍数のオーバーサンプリングを用いることができる。
(付記1) 移動通信システムにおいてシンボル同期を確立する場合において、
n倍オーバーサンプリングされた直交位相変調における受信ベースバンド信号I,Qについて、複素電力の変動が最も小さいサンプル位置をシンボルタイミングとして検出するようにしたことを特徴とする移動通信システムにおけるシンボル同期方法。
(付記2) 各サンプル番号にRWFを持たせ、複素電力変動の大きさに応じた値をRWFに加算していくことによりシンボルタイミングを検出するようにしたことを特徴とする付記1記載の移動通信システムにおけるシンボル同期方法。
(付記3) MAM法を用いてシンボル位置とその前後のサンプル点の3点において、それぞれ複素電力平均値を算出してその大きさを比較することで理想シンボルタイミングからのずれを検出するようにしたことを特徴とする付記1記載の移動通信システムにおけるシンボル同期方法。
(付記4) 前記3点の複素電力平均値を比較した時、真ん中のサンプル番号の複素電力平均値が最大の時は、シンボルタイミング補正を行わないか、又は微調整し、前後のサンプル番号のどちらかの複素電力平均値が最大の時は、シンボルタイミング補正量を大きくすることを特徴とする付記3記載の移動通信システムにおけるシンボル同期方法。
(付記5) 移動通信システムにおいてシンボル同期を確立する場合において、
n倍オーバーサンプリングされた直交位相変調における受信ベースバンド信号I,Qについて、複素電力の変動が最も小さいサンプル位置をシンボルタイミングとして検出する手段を設けたことを特徴とする移動通信システムにおけるシンボル同期装置。
(付記6) 前後のサンプル番号のどちらかの複素電力平均値が最大であっても、真ん中のサンプル番号の複素電力平均値が最小である時、タイミング補正を行わないようにしたことを特徴とする付記3記載の移動通信システムにおけるシンボル同期方法。
(付記7) シンボルタイミング補正値を監視し、タイミング補正値が±3を検出し続け、±1或いは0を検出しない場合には、同期状態を一旦非同期状態に戻すことを特徴とする付記1記載の移動通信システムにおけるシンボル同期方法。
本発明のアルゴリズムは、短区間(シンボル長)で複素電力レベル変動を評価しているので、フェージングによる受信電力レベル変動の影響を受けにくく、また、複素電力を評価しているため、キャリア周波数オフセットの影響も受けない。また、MAM法のように一定期間の平均電力で評価することはしないので、高S/N環境では、より速くシンボル同期を確立することが可能である。
更に、MAM法では、受信信号が存在しない場合でも平均電力の最大値が存在するため、そのサンプル位置をもってシンボル同期を確立するが、本アルゴリズムでは、受信信号が存在しない場合、RWFが閾値に達する可能性は極めて低く、誤検出を防ぐ効果がある。
本発明の原理ブロック図である。 複素電力変動算出部の等価回路図である。 重み付け部の重み付け値を示す図である。 本発明の動作原理を示すフローチャートである。 本発明の一実施の形態例を示すブロック図である。 シンボル同期部の内部構成例を示すブロック図である。 シンボルタイミング補正部のタイミング補正値出力の場合分けを示す図である。 シンボルタイミング補正部のタイミング補正値出力の場合分けを示す図である。
符号の説明
1 複素電力変動算出部
2 複素電力変動算出部
3 順序付け部
4 重み付け部
5 RWF部
6 判定部
7 シンボル抽出部
10 本発明の原理部分

Claims (5)

  1. 移動通信システムにおいてシンボル同期を確立する場合において、
    n倍オーバーサンプリングされた直交位相変調における受信ベースバンド信号I,Qについて、複素電力の変動が最も小さいサンプル位置をシンボルタイミングとして検出するようにしたことを特徴とする移動通信システムにおけるシンボル同期方法。
  2. 各サンプル番号にRWFを持たせ、複素電力変動の大きさに応じた値をRWFに加算していくことによりシンボルタイミングを検出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の移動通信システムにおけるシンボル同期方法。
  3. MAM法を用いてシンボル位置とその前後のサンプル点の3点において、それぞれ複素電力平均値を算出してその大きさを比較することで理想シンボルタイミングからのずれを検出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の移動通信システムにおけるシンボル同期方法。
  4. 前記3点の複素電力平均値を比較した時、真ん中のサンプル番号の複素電力平均値が最大の時は、シンボルタイミング補正を行わないか、又は微調整し、前後のサンプル番号のどちらかの複素電力平均値が最大の時は、シンボルタイミング補正量を大きくすることを特徴とする請求項3記載の移動通信システムにおけるシンボル同期方法。
  5. 移動通信システムにおいてシンボル同期を確立する場合において、
    n倍オーバーサンプリングされた直交位相変調における受信ベースバンド信号I,Qについて、複素電力の変動が最も小さいサンプル位置をシンボルタイミングとして検出する手段を設けたことを特徴とする移動通信システムにおけるシンボル同期装置。
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CN114095071A (zh) * 2021-11-11 2022-02-25 成都中科微信息技术研究院有限公司 一种dvb-rcs2系统的符号同步方法、可读介质及计算装置

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