JP2006245424A - 内燃機関用点火コイル及び自動車 - Google Patents
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Abstract
【課題】 放電電圧の短絡路の発生を有効に防止する構造を有する点火コイルを提供する。
【解決手段】 一次コイル6と二次コイル7をコイルケース1に収容して、コイルケース内部に樹脂材を充填させて構成される点火コイルCLであって、二次コイル7は、筒状に形成されて一次コイルを内包する二次ボビン30と、二次ボビン30の外周に積層して巻回される二次巻線31とを有する。二次ボビンの軸方向の端部FG3には、二次巻線31の終端が接続される高圧端子35が設けられると共に、その外側面のほぼ全域には、凹部80が形成されている。
【選択図】 図5
【解決手段】 一次コイル6と二次コイル7をコイルケース1に収容して、コイルケース内部に樹脂材を充填させて構成される点火コイルCLであって、二次コイル7は、筒状に形成されて一次コイルを内包する二次ボビン30と、二次ボビン30の外周に積層して巻回される二次巻線31とを有する。二次ボビンの軸方向の端部FG3には、二次巻線31の終端が接続される高圧端子35が設けられると共に、その外側面のほぼ全域には、凹部80が形成されている。
【選択図】 図5
Description
本発明は、自動車などのエンジンのプラグホールに取り付けられ、先端部に点火プラグが装着されて使用される内燃機関用点火コイル、及びこの点火コイルを内蔵する自動車に関する。
内燃機関の単一気筒に複数の点火プラグを配置する構成に対応して、単一の装置で複数の点火プラグを駆動する点火コイルとして、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。
特開2004−247571
この点火コイルでは、二次コイルの中間点において、コイル巻線の巻回方向を逆転させて、同一位相の二つの放電電圧を発生させ、これを二つの点火プラグに供給することで、装置の絶縁性能を向上させると共に、エネルギー効率も有効に改善している。
但し、このような点火コイルでも、二次コイルから発生する放電電圧は相当に高いので、二次ボビンの外周に複数個のフランジを設けて複数の巻着セクションに区分し、巻着セクション毎にコイル巻線を順番に巻きつけている。そして、完成した二次コイルは、一次コイルや中央鉄心と共にコイルケースに収容され、その後、コイルケース内部には、エポキシ樹脂などが充填されて全体が一体化されている。
このような構造の点火コイルでは、エポキシ樹脂と他のプラスチック部材との境界面が、使用状態における経年的な冷熱ストレスなどに起因して剥離することがあった。かかる場合、もし、その剥離箇所を通して二次コイルと一次コイルとが短絡すると、放電電圧が短絡することになって、点火コイルが正常に動作しないことになる。
したがって、二次コイルと一次コイル間に短絡路になり得る箇所には、適切な対策が必要である。ここで、簡単な構成によって、エポキシ樹脂の接着特性を強化できて、放電電圧の短絡路を回避することができれば極めて好適である。
この発明は、上記の着想に基づいてなされたものであって、放電電圧の短絡路の発生を有効に防止する構造を有する点火コイルを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、一次コイルと二次コイルをコイルケースに収容して、コイルケース内部に樹脂材を充填させて構成される点火コイルであって、前記二次コイルは、筒状に形成されて一次コイルを内包する二次ボビンと、前記二次ボビンの外周に巻回される二次巻線とを有し、前記二次ボビンの軸方向の端部には、二次巻線の終端が接続される高圧端子が設けられると共に、その外側面のほぼ全域には、凹部が形成されている。
本発明は、好ましくは、前記二次ボビンの外周面にターミナル基板が装着されて、二次巻線の始点及び終点の他に中点が接続される複数の接続端子が設けられ、前記複数の接続端子は、ほぼ同一平面上に設けられている。また、前記凹部は、好ましくは、筒状の二次ボビンの中空部を囲むように形成された凹溝である。
また、本発明は、請求項1〜3の何れかに記載の点火コイルを備える自動車でもある。
以上説明した本発明によれば、簡単な構成でありながら、樹脂材の接着特性を強化できて、放電電圧の短絡路を回避することができる。また、凹部の分だけ一次回路と二次回路の距離が長いので、簡単には一次回路と二次回路が短絡しない。
以下、実施例に係る内燃機関用点火コイルの構成を説明する。図1は、実施例に係る点火コイルについて、正面図(a)と、背面図(b)と、左側面図(c)とを図示したものである。なお、コイルケース1の内部には、エポキシ樹脂が充填されているため、正面図(a)には、一次コイルや二次コイルが現れない。
図1(a)に示すように、この点火コイルは、一次コイル及び二次コイルを収容するコイルケース1と、点火駆動回路からの出力信号を受ける入力端子部2と、二次コイルから発生される放電電圧を点火プラグに供給するプラグブーツ3とを中心に構成されている。
ここで、入力端子部2は、コイルケース1の側部に形成された収納穴4に、その半分程度が内挿されている。そして、入力端子部2の残り半分程度は、コイルケース1から突出している(図1(c))。この入力端子部2には、3本の接続端子2a〜2cが設けられているが、その二つ2a,2bは内部的に接続されており(図6)、実質的には二本の接続端子として機能する。
プラグブーツ3は、コイルケース1の底板から突出する2つの突出部5A,5B(図2(a))に外嵌されている。このプラグブーツ3には、導電性のスプリングSPRが内蔵されており、スプリングSPRを通して点火プラグに放電電圧が供給される。なお、図1には、点火コイルを取付けるためのボルトBTも図示されている。
図2は、コイルケース1を示す正面図(a)と、左側面図(b)と、平面図(c)である。また、図2には、一次コイル6と二次コイル7とを組み合わせ、その磁路に環状鉄心8を配置してなるコイル組立体CLも示されている。そして、図2の矢印は、コイル組立体CLのコイルケース1に対する挿入方向を示している。
図2(c)に示す通り、コイルケース1は、薄い仕切り壁9に仕切られることで、略直方形のコイル収納空間10と、入力端子部2のための収納穴4とに区分されている。そして、コイル収納空間10の上下方向中央には、環状鉄心8を受け入れるコ字状溝11がやや外側に広がって形成されている(図1(a)(b))。また、このコ字状溝11に合わせて、仕切り壁9のコイル収納空間側の側面には係止段部12が上下に形成されている。
また、コイルケースの底部には、補強リブ13,14,15が形成されると共に、円筒状の突出部5A,5Bが形成されている。突出部5A,5Bは、プラグブーツ3が外嵌される部分であり、コイルケース1の底板には、突出部5A,5Bに連通して貫通穴16,16が形成されている。この貫通穴16は、コイルケース1内にコイル組立体CLを固定するための取付けビスBS(図9(c))を通過させるものである。取付けビスBSは導電性を有しており、プラグブーツ3に内装されているスプリングSPRと、二次コイルの出力端子とを電気的に接続している。
図3は、一次コイル6と、一次コイル6に配置される環状鉄心8とを図示したものである。図3(a)は、図2(c)に対応する平面図、図3(b)は、一次コイル6の背面図、図3(c)は、図3(b)の右側面図である。一次コイル6は、中空で四角柱状に形成された一次ボビン20と、一次ボビン20の外周に巻回された一次巻線21と、一次巻線21の巻線端子22,23とで構成されている。
ここで、巻線端子22は、L字状に屈曲された始点部22aと、始点部22aに直交して延設される接続部22bとが一体構成されている(図3(c))。また、巻線端子23は、直線的に延びる終点部23aと、終点部23aに直交して延設される接続部23bとが一体構成されている。始点部22aは一次巻線21の巻き始め箇所、また、終点部23aは一次巻線21の巻き終り箇所であり、それぞれ一次巻線21が巻き付けられ半田付けされている。また、始点部22aのL字状先端TOPは、後述するターミナル基板36のダイオード出力端子39に接続される。
一方、接続部22bと接続部23bは、それぞれ入力端子部の接続端子2cと接続端子2a(2b)に接続される。このような構成の一次ボビン20及び一次巻線21には、平面視コ字状で断面矩形状の積層珪素鋼板8A,8Bが両側から挿入されて環状鉄心8が配置される(図3(a)参照)。ここで、一次ボビン20から露出する各珪素鋼板8の外周面には、適当な弾性を有し耐熱性に優れたプラスチック製の緩衝カバーCVが設けられている。
これは、コイルケース1に充填されるエポキシ樹脂と環状鉄心(珪素鋼板)8との熱膨張率の差による冷熱ストレスによって、環状鉄心8の周りのエポキシ樹脂にクラックが発生するのを防止するためである。すなわち、一次ボビン20から露出する珪素鋼板の外周面を緩衝カバーCVで覆うことによって、珪素鋼板に対面する二次コイル7との絶縁を確実にすると共に、冷熱ストレスを緩和してクラックの発生を防止している。なお、2つの積層珪素鋼板8A,8Bの当接面や、一次ボビン20への挿入箇所は、珪素鋼板が露出している。
図4は、一次コイル6の外側に配置される二次コイル7を示す底面図(a)とその左右側面図(b)(c)、及びA−A断面図(d)である。図5は、二次コイル7の底面にターミナル基板36を装着した状態を示す底面図(a)とその左右側面図(b)(c)である。また、図6は、一次コイル6と二次コイル7の接続関係を示す等価回路である。なお、図5(d)(e)は、ターミナル基板36の二次ボビン30への装着方法を示している。
図4(a)及び図5(a)に示すように、二次コイル7は、中空部OPNを有する四角柱状で、多数のフランジFGを設けた二次ボビン30と、二次ボビン30に巻回される二次巻線31と、二次巻線31の巻線端子32,33,34,35と、ターミナル基板36とで構成されている。ターミナル基板36には、二次コイルの出力端子37,38と、ダイオード出力端子39とが設けられ、また、ダイオードD1,D2が搭載されるよう凹部50が形成されている(図12参照)。
二次コイル7は、詳細には、巻線端子32,33間の第一部7Aと、巻線端子34,35間の第二部7Bとに区分されており(図6)、第一部7Aと第二部7Bでは、巻線方向が逆転している。そのため、巻線端子35と巻線端子32の誘起電圧は、ダイオードD1,D2の接続点CTを基準に同位相となり、そのため2つのプラグPG1,PG2は同一タイミングで放電することになる(図6)。このことの利点は特許文献1に記載の通りであり、点火コイル全体の絶縁負荷を大きく軽減することができる。
図4(d)に示すように、巻線端子32〜35は、全てJ字状に形成され、それぞれの両端には、二次巻線31の巻着部32a,33a,34a,35aと、ターミナル基板36への連結部32b,33b,34b,35bが設けられている。連結部32b,33b,34b,35bは、二次コイル7の各部と、ターミナル基板36の各部とを電気的に接続すると共に、ターミナル基板36を二次ボビン30に固定する役目を果たしている。すなわち、ターミナル基板36は、二次ボビン30から突出する四本の連結部の金属導線32b,33b,34b,35bによって位置決めされて二次ボビン30に固定される。
図4及び図5に示すように、二次ボビン30のフランジFG3の外側端面には、肉盗みが施されて凹部80が形成されている。凹部80は、矩形凹溝80A,80Bと丸凹溝80Cとに区分され、全体として中空部OPNを囲むように形成されている。そして、何れの凹部80A〜80Cも、終点フランジFG3の厚さの半分程度まで掘設されて構成されている。
このように、本実施例の二次ボビン30では、高圧端子たる金属導線35aを保持するフランジFG3の外側端面の全体に、凹部80が形成されている。そのため、他の部材6,8と共に二次コイル7をコイルケース1に収容した後(図2(c)参照)、コイルケース1全体にエポキシ樹脂を充填して硬化させると、二次ボビン30とエポキシ樹脂の接触面積が大きい分だけ、二次ボビン30を確実にエポキシ樹脂と一体化させることができる。
そのため、その後の経年使用でも、エポキシ樹脂が二次ボビン30の側面から剥離することが防止され、絶縁破壊が有効に防止される。また、仮に、二次コイル7の高圧端子35aを基点としてクラックが発生しても、そのクラックが一次コイル6に向かって進行する経路が、凹部溝80の分だけ長いので、絶縁破壊までの耐久年数を延ばすことができる。
図6(b)と図7は、この関係を説明するための図面である。図7では、二次ボビン30に二次巻線31を巻着させ、その底面にターミナル基板36を装着して完成された二次コイル7と、二次ボビン30の中空部OPNに内挿される一次コイル6及び中心鉄心8A,8Bとを図示している。説明の都合上、一次コイル6と中心鉄心8A,8Bは、二次コイル7から分離して図示しているが、実際には、図示の姿勢の状態で、一次コイル6と中心鉄心8A,8Bが、二次コイル7の中に内挿されている(図2(c)参照)。
図6(b)に示すように、この点火コイルCLでは、高圧端子たる巻線端子32の金属導線32bとダイオード出力端子39aとの間に想定される第1短絡路SH1が先ず問題になる。また、図7の太い矢印で示すように、高圧端子たる巻線端子35の金属導線35aと一次コイル6との間に想定される第2短絡路SH2も問題になる。
しかし、第1短絡路SH1は、その距離が極めて近いものの(図7)、高圧端子32とダイオート出力端子39aとがほぼ同一平面上に存在し、その間には何も存在しないので、点火コイル完成時に充填されるエポキシ樹脂が剥離するおそれはない。また、金属導線32bや、ダイオード出力端子39aや、その他の低圧側の端子がクラックの基点にならないように、各端子には半田付けにおいて鋭利な角部が生じないよう管理されている。したがって、絶縁破壊を防止するためのそれ以上の対策は特に不要である。この点は、ほぼ同一平面上に存在し、その間にエポキシ樹脂が充填される巻線端子35−34間、及び、巻線端子32−33間についても同様である。
一方、第2短絡路SH2は、第1短絡路SH1より距離が遠いとはいうものの、もし、ボビンの端面のエポキシ樹脂が剥離して、終点フランジFG3の外側に隙間が生じると、図7に示す第2短絡路SH2を通して、二次コイル7と一次コイル6とが短絡してしまうことになる。しかし、先に説明したように、本実施例では、終点フランジFG3の外側に凹部80が形成されているので、エポキシ樹脂の剥離が確実に防止され、第2短絡路SH2が機能することがない。
図8は、二次ボビン30のその他の構成を示す底面図(a)、背面図(b)、平面図(c)、及びα−α断面図(d)である。図5(a)と図8(a)の対比から明らかなように、図8(a)は、二次コイルの底面(図5(a))から、ターミナル基板36と二次巻線31とを除去した状態を示している。また、図9(a)は、二次ボビンのα−α断面、β−β断面、γ−γ断面、δ−δ断面を示したものである。なお、図9(b)は、図9(a)と同じ図面であり、軸方向に推移する各部の位置関係を一点鎖線で示している。
図8に示すように、二次ボビン30は、中空部OPNを有する四角柱状(つまり、矩形筒状)のボビン本体60と、ボビン本体60から略径方向外向きに突出する多数のフランジFGとで構成されている。ボビン本体60の内径寸法は、軸方向に変化しないが、外径寸法は軸方向に略円弧状に変化して、ボビンの中央部に比べてボビンの周辺部ほど肉厚になるように設定されている(図9(b)参照)。これは、二次コイル7と一次コイル6との電位差は、ボビン本体60の周辺部ほど高いので(図6参照)、高い電位差に対応して絶縁距離を確保するためである。
二次ボビン30のフランジFGは、詳細には、始点フランジFG1と、中継フランジFG2と、終点フランジFG3と、それらの間に配置された複数の区分フランジFG4・・・FG4とで構成されている。そして、始点フランジFG1と中継フランジFG2と終点フランジFG3には、それぞれ、J字状の巻線端子32,33,34,35を受け入れる装着溝61,62,63,64が設けられている。
二次巻線31は、対面する一対のフランジFG,FGに囲まれた巻着セクションSa1〜Sa7,Sb1〜Sb7に巻回される。ここで、巻着セクションSb1〜Sb7は、巻着セクションSb1、Sb2、・・・Sb7の順番に、二次巻線31を(α方向に見て時計方向に)巻き付けて、第2部の二次コイル7Bを構成する部分である。一方、巻着セクションSa1〜Sa7は、巻着セクションSa1、Sa2、・・・Sa7の順番に、二次巻線31を(α方向に見て反時計方向に)巻き付けて、第1部の二次コイル7Aを構成する部分である。なお、図8(c)には、二次巻線31の巻線方向を矢印で示している。
各巻着セクションSiには、いわゆる積層巻きによって二次巻線31が巻回される。すなわち、例えば、巻着セクションSiについて、二次巻線31を軸方向に巻き進め、フランジFGで折り返して軸方向に巻き戻す動作を繰り返し、巻着セクションSiに所定巻数の巻線を巻上げた後、隣の巻着セクションSi+1に二次巻線31を移行させる。
そのため、区分フランジFG4・・・FG4には、隣接する巻着セクションに巻線31を渡すべくフランジFGが切欠かれた移行部TRが設けられている。図8(d)に示すように、移行部TRは、径方向外向きに膨出してほぼ直角な頂部Mを形成する線渡し部65と、線渡し部65の頂部Mから真っ直ぐにボビン本体60に向かい、ボビン本体60の表面と共にフランジFGを切除した切込み部66と、切込み部66のフランジ残部によって形成された岬状の線受け部67とで構成されている。
ここで、線渡し部65は、径方向外向きに膨出されており、また、線受け部65の岬状先端との間には所定距離Lが確保されているので、巻着セクションSiに巻き終わった二次巻線31を、巻着セクションSi+1に移行させる際に、二次巻線31が、確実に線渡し部65に保持されて巻き崩れが生じない(図10(c)参照)。
特に、本実施例の移行部TRは、ボビン本体60の表面まで切除する切込み部66に特徴がある。すなわち、切込み部66がボビン本体60を切込み方向に侵食するので、移行部TRに対応するボビン本体60には、巻線方向に不連続な段差部STが形成される(図8(b)、図9)。しかも、切込み部66は、二次ボビンの周辺部より中央部の方が、切込み方向に深くなっており(図9(b)参照)、これに対応して、段差部STの位置も、ボビン周辺部より中央部の方が、二次ボビンの軸中心に近づいている(図8(b)参照)。なお、切込み部66によるボビン本体表面の切除は、切込み方向及び軸方向に直交する方向では、ボビン本体60の厚さに対応して、軸方向の中央部より周辺部の方が深い(図9参照)。
本実施例では、このような構成の段差部STを設けているので、隣の巻着セクションから渡された二次巻線を、線浮きを生じさせることなく、適切に二次ボビン30のボビン本体60に巻付けることができる。なお、ここで線浮きとは、積層する巻線の巻き乱れを意味する。
図10は、この線浮きについて説明する図面である。上流側の巻着セクションSiから渡された、下流側の巻着セクションSi+1の第1周目最初の二次巻線R1は、上流側の巻着セクションSiの積層最上部から巻着セクションSi+1のボビン表面まで降下させるので、どうしても、ボビン表面より浮き上がってしまう(図10(c))。
しかし、本実施例では、切込み部66が、ボビン本体60の表面を侵食している。そのため、1周目の巻線を、巻着セクションSi+1の軸方向に巻き終わり、2周目の巻線が、1周目の巻線の上に積層されて巻着セクションSi+1を軸方向に戻り、第2周目最後の二次巻線R2が第1周目最初の二次巻線R1の上に乗り上がったとき、二次巻線R2に押された二次巻線R1が、切込み部66の奥底に沈み込んで、巻線が整列し線浮きが防止される。図10(a)は、二次巻線R2が、二次巻線R1を押して切込み部66の奥底に沈み込ませる状態を矢印で示している。
また、本実施例では、切込み部66の奥底には略径方向の段差部STを設けているので、移行部TRには軸方向に連通する空隙SPAが形成されることになる。そして、この空隙SPAは、先に説明した線浮きを防止する体積逃し空間として機能すると共に、コイルケース1の内部全体にエポキシ樹脂を充填する際の、樹脂通路及びガス抜き通路と機能することになり、迅速かつ確実に二次巻線31の最深部までエポキシ樹脂を行き渡らせることができる。同様に、二次ボビン30の表面に、空気溜まり空間を残すこともない。
また、本実施例では、二次ボビン30の中央部ほどボビン本体60が肉薄となり、それに対応して段差部STも低くなる。しかし、本実施例の切込み部66は、ボビン中央部に近づくほど切込み方向に深くし、段差部STの位置も、ボビン中央部に近づくほどボビンの軸中心に近づけている(図8(b)及び図9(b))。そのため、樹脂通路となる空隙SPAの軸方向の断面積はほぼ同じになり、エポキシ樹脂の円滑な軸方向の流れを実現する。
また、本実施例では、区分フランジFG4・・・FG4と中継フランジFG2には、各フランジの側面に、ボビン本体に至る円弧溝CUが形成されている。この円弧溝CUもまた、二次コイルをコイルケース1に装着した後、エポキシ樹脂を充填する際のガス抜き通路として機能し、また円弧溝CUを通して二次巻線の深部にまで円滑かつ迅速にエポキシ樹脂が行き渡らせる役目を果たしている。特に、二次ボビン底面に設けたフランジFG2,FG4には、フランジの両側面に円弧溝CU,CUを設けているが、これは、二次ボビン底面には、ターミナル基板36を被せるので(図5参照)、これに対応してエポキシ樹脂の充填時の樹脂流れ性を改善するためである。
図11及び図12は、参考のために、ターミナル基板36の構成及びその製作方法を説明する図面である。この実施例では、インサート成形法によってターミナル基板36を製作しており、具体的には、図11(a)に示す導体板40を配置した状態で、プラスチック成形型にプラスチック材を流し込み、その後、導体板40の不要部分(図12(b)斜線部40a)を除去して、図12(a)に示すターミナル基板36を完成させる。なお、図12(a)において、網掛け部分が硬化したプラスチック材の部分である。
本実施例では、一体化した導体板40に、プラスチック材を流し込むインサート成形法を採用するので、導体板40に配置された各部材の位置精度が高く、そのため、二次ボビン30から突出する四本の連結部(金属導線)32b,33b,34b,35bだけで、ターミナル基板36を二次ボビン30に取り付けることができる。すなわち、ターミナル基板36を二次ボビン30に固定するための固定片を、ターミナル基板36や二次ボビン30に特に設ける必要がない。
図11(a)に示すように、導体板40には、ダイオード出力端子39と、ダイオードD1,D2のリード線を受け入れる係合爪41〜43と、巻線端子33,34の金属導線33b,34bを受け入れる位置決め穴45,46と、巻線端子32,35の金属導線32b,35bを受け入れる位置決め穴47,48と、二次コイルの出力端子37,38とが設けられている。要部拡大図に示すように、出力端子37,38は、他の部分より突出して形成され、また出力端子37,38にはネジ穴が形成されている。
先に説明したように、図11(a)に示す導体板40を保持した状態で、図12(a)の斜線の内側にプラスチック材が流し込まれる。そして、その後プラスチック材が硬化した状態で、六箇所の切断箇所C1〜C6を切断すると図12(b)に示すターミナル基板36が完成する。プラスチック成形型は、ターミナル基板36の複雑な凹凸形状に対応しており、ダイオードD1,D2を搭載する凹部50や、コイルケース1の補強リブ14に係合する係合溝51などが一気に形成される。
このようにして完成したターミナル基板36は、図4に示す二次コイル7の上に載置される。この場合、導体板40の各部材の位置精度が高く、且つ、位置決め穴45,46,47,48は、二次ボビン30から直立する各巻線端子の金属導線33b,34b,32b,35bのワイヤ径より適度に大きいので、金属導線33b,34b,32b,35bは、確実に位置決め穴45,46,47,48を通過してターミナル基板36から突出する。そして、二次ボビン30から突出する複数の金属導線33b,34b,32b,35bが、ターミナル基板36を通過することによって、二次ボビン30とターミナル基板36とが正しく位置決めされる。
そこで、次に、突出した巻線端子の金属導線33b,34b,32b,35bを約90度、折り曲げることによって、二次コイル7とターミナル基板36の組付けが完了し(図5(d)(e))、その後、該当箇所が半田付けされる。この作業によってターミナル基板36が二次コイル7(二次ボビン30)に固定されるので、この完成状態の二次コイル7の二次ボビン30の中空部OPNに、図3(a)に示す一次コイル6が挿入される。この時、一次コイル6の巻線端子22における、L字状に屈曲された始点部22aが、ダイオード出力端子39の位置に合うように挿入される。
そして、一次コイル6の始点部22aとダイオード出力端子39とを半田付けすると共に、一次ボビン20の両側から環状鉄心8A,8Bを挿入する。図2(c)に略記したコイル組立体CLは、この状態を図示したものであり、一次巻線21の巻線端子23の接続部23bが現れている。
次に、一次巻線21の巻線端子22,23の接続部22b,23bに、入力端子部2の接続端子2a〜2cを接続する。具体的には、接続端子2aを接続部23bに固定し、接続端子2cを接続部22bに固定する。最後に、この状態で、図2の矢印に示すように、コイル組立体CLと入力端子部2をコイルケース1に挿入して収容する。この時、コイルケース1の補強リブ14と、ターミナル基板36の係合溝51とが係合することで、コイルケース1の中にターミナル基板36が正しく位置決めされる。
図13は、コイルケース1にコイル組立体CLと入力端子部2が収納された状態を示す正面図(a)、底面図(b)、及び右側面一部断面図(c)である。コイル組立体CLをコイルケース1の限界位置まで挿入すると、二次コイルの出力端子37,38と、コイルケース1の2つの貫通穴16,16の位置が合うようになっている。そこで、突出部5A,5Bを通して、取付けビスBSを挿入し、出力端子37,38にネジ込むことによって、コイル組立体CLの取り付けが完了する。
なお、貫通穴16,16は、取付けビスBSの外径より適度に大きく形成されているので、コイルケース1に対するターミナル基板36の位置ズレが仮にあっても、その位置ズレは、取付けビスBSをネジ込むことで解消される。そして、最後にエポキシ樹脂を充填して硬化させ、プラグブーツを装着すると点火コイルが完成する。この場合、エポキシ樹脂は、終点フランジFG3の凹部80に行き渡って充填され、コイルケース1と二次コイル7を確実に一体化する。
以上、本発明の実施例について具体的に説明したが、上記の記載内容は一例を示したに過ぎず、本発明の趣旨を逸脱することなく適宜に変更可能である。
1 コイルケース
6 一次コイル
7 二次コイル
30 二次ボビン
31 二次巻線
60 ボビン本体
80 凹部
CL 点火コイル
FG3 二次ボビンの軸方向端部(終点フランジ)
TR 移行部
M 頂部
6 一次コイル
7 二次コイル
30 二次ボビン
31 二次巻線
60 ボビン本体
80 凹部
CL 点火コイル
FG3 二次ボビンの軸方向端部(終点フランジ)
TR 移行部
M 頂部
Claims (4)
- 一次コイルと二次コイルをコイルケースに収容して、コイルケース内部に樹脂材を充填させて構成される点火コイルであって、
前記二次コイルは、筒状に形成されて一次コイルを内包する二次ボビンと、前記二次ボビンの外周に巻回される二次巻線とを有し、
前記二次ボビンの軸方向の端部には、二次巻線の終端が接続される高圧端子が設けられると共に、その外側面のほぼ全域には、凹部が形成されていることを特徴とする内燃機関用点火コイル。 - 前記二次ボビンの外周面にターミナル基板が装着されて、二次巻線の始点及び終点の他に中点が接続される複数の接続端子が設けられ、
前記複数の接続端子は、ほぼ同一平面上に設けられている請求項1に記載の内燃機関用点火コイル。 - 前記凹部は、筒状の二次ボビンの中空部を囲むように形成された凹溝である請求項1又は2に記載の内燃機関用点火コイル。
- 請求項1〜3の何れかに記載の点火コイルを備える自動車。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005061045A JP2006245424A (ja) | 2005-03-04 | 2005-03-04 | 内燃機関用点火コイル及び自動車 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005061045A JP2006245424A (ja) | 2005-03-04 | 2005-03-04 | 内燃機関用点火コイル及び自動車 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006245424A true JP2006245424A (ja) | 2006-09-14 |
Family
ID=37051485
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2005061045A Pending JP2006245424A (ja) | 2005-03-04 | 2005-03-04 | 内燃機関用点火コイル及び自動車 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2006245424A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015002255A (ja) * | 2013-06-14 | 2015-01-05 | ダイヤモンド電機株式会社 | 内燃機関用点火コイル |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH04257206A (ja) * | 1991-02-08 | 1992-09-11 | Zexel Corp | コイル装置 |
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JP2000260641A (ja) * | 1999-03-05 | 2000-09-22 | Ngk Spark Plug Co Ltd | 昇圧装置 |
-
2005
- 2005-03-04 JP JP2005061045A patent/JP2006245424A/ja active Pending
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