JP2006244883A - 燃料電池用電解質膜およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】無機材料でプロトン伝導度の大きな燃料電池用電解質膜およびその製造方法を提供する。
【解決手段】燃料電池用電解質膜は、アノード(燃料極)およびカソード(酸素極)にそれぞれ液体有機燃料および気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池に用いられる燃料電池用電解質膜であって、前記アノードと前記カソードの間に介在して使用される電解質膜が無機多孔質薄膜であり、該薄膜は、膜厚方向に細孔が整列して形成され、カソード側は、該細孔がカソード側に貫通しており、該細孔内に、膜厚方向に極細孔が整列して形成されたメゾポーラスシリカが埋設されている。また、その製造方法は、金属薄膜を陽極酸化して、膜厚方向に細孔が整列した金属酸化物多孔質薄膜を得て、前記細孔の先端部のバリア層を化学的または物理的にエッチングすることによって所定の大きさの寸法に空け、前記細孔内にメゾポーラスシリカを埋設するものである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、アノード(燃料極)に有機燃料を供給しながら継続的に発電する燃料電池に使用する電解質膜およびその製造方法に関する。
モバイル機器向けの次世代電源として小型燃料電池が注目されており、その中では、ボンベや水素貯蔵合金を用いて水素を燃料とする、高分子電解質膜の両側にアノード(燃料極)およびカソードをそれぞれ接合した固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)と、メタノールやジメチルエーテルを改質せずに直接アノードに供給して発電する直接形メタノール燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)が有望視されている。いずれも、動作温度が低いため小型化が可能な燃料電池であるからである。
上記DMFCにおいては、アノードでメタノールが水と反応し、生成されたプロトンが固体高分子電解質膜中を移動して、カソードで酸素および電子と結合して水になる。このとき外部回路に電流が取り出される。したがって、メタノールなどの有機燃料を水素リッチなガスに改質するための改質器や水素容器が不用であるためコンパクトであり、また起動が早く、負荷変動応答性も優れており、移動型電源として注目されている。
ここで、DMFCに使用される固体高分子電解質膜は、燃料と空気を分離するセパレータとしての役割と同時に電解質としての役割が求められている。すなわち、メタノールの遮断性、すなわち燃料用メタノールのアノード側からカソード側への透過(クロスオーバー)の低減が求められるとともに、同時に固体高分子電解質膜には高いプロトン伝導性が求められている。
電解質膜として、在来のPEFC用の電解質膜、例えばDu Pont社のNafion(商標)膜、Dow Chemical社のDow膜等を使用した場合には、メタノールが膜を透過してしまい、直接酸化されるため、起電力が低下する、触媒活性を上げるために温度を上げると摂氏130度付近で膜が融解(クリーピング)してしまう、という二つの大きな問題が発生する。これらの問題を同時に解決する電解質膜は現在存在しないが、この問題を解決すれば電気自動車への応用が一気に進む可能性がある。また、上記電解質膜は、スルホン酸基を介してプロトン伝導しているため、水分の存在が必須であり、そのことにより、0°C以下の低温、100°C以上の高温での使用が難しくなっている。
上記課題を解決するため、無機材料で電解質膜を作ることが望まれているが、プロトン伝導度の大きな材料がなかなか無いのが現状である。
この課題を解決することを目的として、特許文献1には、金属膜またはケイ素膜を陽極酸化することにより設けられた直径0.01〜150μm貫通孔を有し、該貫通孔の内壁にプロトン伝導性の官能基を修飾した無機系電解質膜が提案されている。
また、特許文献2には、有機溶媒および水に対して実質的に膨潤しない耐熱性多孔性基材の細孔に、プロトン伝導性を有するポリマーを充填することにより、プロトン伝導性は細孔中に埋め込んだ電解質により確保し、高温化における形状維持、膨潤抑制および耐熱性は多孔性基材のマトリックスにより達成する電解質膜を開示している。ガラス、又はアルミナもしくはシリカなどのセラミックス等の無機材料、あるいは、テフロン(商標)、ポリイミド等の多孔性基材の細孔表面をプラズマ、紫外線、電子線、ガンマ線等のエネルギーにより活性化した後、その表面上にイオン交換基を持つモノマーを接触させ、または塗布し、基材表面上および細孔内部においてグラフト重合反応を生じさせ、細孔内部を実質的に重合ポリマーで充填し、高温下でも基材の骨格が膜の構造を維持するという知見に基づいている。
無機材料で大きなプロトン伝導を得るには、界面や表面でのプロトンの2次元伝導を利用することが鍵であることが指摘されている(非特許文献1参照)。プロトン伝導面に相当する単位面積あたりのプロトン伝導度の値は、バルク内のプロトン伝導度よりは桁違いに大きい。陽極酸化で生成した多孔質アルミナの場合、表面積は、約40m/g程度でありかなり大きいが、これをさらに大きくできるならば、プロトンの伝導度はそれだけ大きくできることが期待される。つまり、伝導面積を大きくすることができるかが2次元伝導の場合の鍵となる。
特開2004−47206号公報 国際公開WO00/54351号公報 Nature Materials vol.3、May(2004) 337〜341 読売新聞 2004年4月13日 資源環境技術総合研究所 NIREニュース; http://www.aist.go.jp/NIRE/publica/news−2000/2000−01−3.htm
上記のように、アノード(燃料極)に有機燃料を供給しながら継続的に発電する燃料電池に使用する電解質膜において、一般的に用いられているスルホン化されたポリフルオロオレフィンなどの水和膜を電解質膜として用いる場合には、本質的に水分を必要とするため100°C以上、0°C以下で使用できないという問題があり、有機膜を使用することで電解質膜として強度が不足しているという問題もあり、また、DMFCにおけるメタノールのクロスオーバーの問題が存在する。これらを解決するため、無機材料で電解質膜を作ることが望まれているが、プロトン伝導度の大きな材料が無いのが現状である。
したがって、本発明の目的は、上記諸問題を解決した、無機材料でプロトン伝導度の大きな燃料電池用電解質膜およびその製造方法を提供することにある。
本発明者は、アノードおよびカソードにそれぞれ液体有機燃料および気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池において、前記アノードと前記カソードの間に介在して使用される電解質膜が、無機多孔質薄膜であり、該薄膜は、膜厚方向に細孔が整列して形成された金属酸化物薄膜であり、カソード側は、該細孔がカソード側に貫通しており、該細孔内に、膜厚方向に極細孔が整列して形成されたメゾポーラスシリカが埋設されており、さらに該表面を官能基で修飾してプロトン伝導が可能である無機電解質膜を用いることによって、プロトンだけが酸素極側に移動でき、燃料は、細孔を通過できない細孔径とし、燃料の対極へのクロスオーバーを確実に阻止し、かつ、陽極酸化でできた細孔内にメゾポーラスシリカを埋設し表面積を増やすことによって、プロトン伝導性を向上でき、水クラスタ、DMFCにおいてメタノール水のクラスタサイズがおよそ0.5nm強であることから、貫通孔径がそれ以下であれば、プロトンは伝導するが、燃料となるメタノールや、発生した水の透過がない高効率の燃料電池用電解質膜が可能であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、アノード(燃料極)およびカソード(酸素極)にそれぞれ液体有機燃料および気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池に用いられる燃料電池用電解質膜であって、前記アノードと前記カソードの間に介在して使用される電解質膜が無機多孔質薄膜であり、該薄膜は、膜厚方向に細孔が整列して形成され、カソード側は、該細孔がカソード側に貫通しており、該細孔内に、膜厚方向に極細孔が整列して形成されたメゾポーラスシリカが埋設されていることを特徴とする燃料電池用電解質膜を提供する。
本発明の第2の発明は、無機多孔質薄膜が、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、酸化インジウム、ジルコニアから選ばれた1種の薄膜であり、該薄膜は、陽極酸化法で、膜厚方向に細孔が整列して形成され、カソード側は、閉塞した細孔の先端部バリア層をエッチングすることによりカソード側に貫通していることを特徴とする第1の発明記載の燃料電池用電解質膜を提供する。
本発明の第3の発明は、第1の発明記載のメゾポーラスシリカ極細孔に、官能基を修飾したことを特徴とする第1の発明記載の燃料電池用電解質膜を提供する。
本発明の第4の発明は、修飾した官能基が、OH基、炭素と水素を含む官能基、窒素と水素を含む官能基、あるいは、イオウと水素を含む官能基であることを特徴とする第3の発明記載の燃料電池用電解質膜を提供する。
本発明の第5の発明は、第1の発明記載の燃料電池用電解質膜の細孔に埋設されたメゾポーラスシリカの該極細孔内に更に充填材を配置したことを特徴とする第1の発明記載の燃料電池用電解質膜を提供する。
本発明の第6の発明は、充填材が、カーボンナノチューブあるいは/及びβ―アルミナを内張りしたものであることを特徴とする第5の発明記載の燃料電池用電解質膜を提供する。
本発明の第7の発明は、充填したカーボンナノチューブ層の更に内壁に、酸素、炭素、水素から構成される官能基であるα―ジケトン基、ケトン基、フェノール基、カルボキシル基、カルビノール基、o−ヒドロキノイド基、ラクトン基の少なくとも一種の官能基を修飾したことを特徴とする第6の発明記載の燃料電池用電解質膜を提供する。
第8の発明は、メゾポーラスシリカ層の極細孔内径が、該極細孔間の壁厚の1.7倍から2.3倍となっていることを特徴とする第1、3、5、7の発明記載の燃料電池用電解質膜を提供する。
本発明の第9の発明は、メゾポーラスシリカ層の極細孔内径が0.5nm以下であることを特徴とする第1、3、5、7、8の発明記載の燃料電池用電解質膜を提供する。
本発明の第10の発明は、アノード(燃料極)およびカソード(酸素極)にそれぞれ液体有機燃料および気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池に用いられる燃料電池用電解質膜の製造方法において、金属薄膜を酸化して、膜厚方向に細孔が整列した金属酸化物多孔質薄膜を得て、前記細孔の先端部のバリア層を化学的または物理的にエッチングすることによって所定の大きさの寸法に空け、前記細孔内にメゾポーラスシリカを埋設する、ことを特徴とする燃料電池用電解質膜の製造方法を提供する。
本発明の第11の発明は、前記メゾポーラスシリカの極細孔にさらに官能基を修飾することを特徴とする第10の発明記載の燃料電池用電解質膜の製造方法を提供する。
本発明の第12の発明は、前記メゾポーラスシリカの極細孔内にさらに充填材を配置することを特徴とする第10の発明記載の燃料電池用電解質膜の製造方法を提供する。
本発明の、アノード(燃料極)およびカソード(酸素極)にそれぞれ液体有機燃料および気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池に用いられる燃料電池用電解質膜であって、前記アノードと前記カソードの間に介在して使用される電解質膜は、無機多孔質薄膜であり、具体的には、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、酸化インジウム、ジルコニアから選ばれた1種の薄膜であり、該薄膜は、金属薄膜を陽極酸化することにより、膜厚方向に細孔が整列して形成された金属酸化物多孔質薄膜であり、カソード側は、閉塞した細孔の先端部バリア層をエッチングすることによりカソード側に貫通しており、かつ、該細孔内に、膜厚方向に極細孔が整列して形成されたメゾポーラスシリカが埋設された電解質膜である。さらには、該メゾポーラスシリカの極細孔に官能基を修飾した電解質膜である。
上記構造を採ることによって、飛躍的に表面積を増大させ、プロトンの伝導度を大きくした燃料電池用電解質膜が得られ、多くの用途に適応した大容量の燃料電池を提供できる。
また、本発明の製造方法は、アノード(燃料極)およびカソード(酸素極)にそれぞれ液体有機燃料および気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池に用いられる燃料電池用電解質膜の製造方法において、金属薄膜を酸化して膜厚方向に細孔が整列した無機酸化物多孔質薄膜を得て、前記細孔の先端部のバリア層を化学的または物理的にエッチングすることによって所定の大きさの寸法に空け、前記細孔内にメゾポーラスシリカを埋設するものであり、これにより飛躍的に表面積を増大させ、プロトンの伝導度を大きくした燃料電池用電解質膜を製造できる。
本発明の燃料電池用電解質膜は、アノード(燃料極)およびカソード(酸素極)にそれぞれ液体有機燃料および気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池に用いられる燃料電池用電解質膜であって、前記アノードと前記カソードの間に介在して使用される電解質膜が無機多孔質薄膜であり、該薄膜は、膜厚方向に細孔が整列して形成され、カソード側は、該細孔がカソード側に貫通しており、該細孔内に、膜厚方向に極細孔が整列して形成されたメゾポーラスシリカが埋設されている燃料電池用電解質膜である。
より具体的には、無機多孔質薄膜は、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、酸化インジウム、ジルコニアから選ばれた1種の薄膜であり、該薄膜は、金属薄膜を陽極酸化することによって、膜厚方向に細孔が整列した金属酸化物多孔質薄膜であり、カソード側は、閉塞した細孔の先端部バリア層をエッチングすることによりカソード側に貫通しており、かつ、該細孔内に、膜厚方向に極細孔が整列して形成されたメゾポーラスシリカが埋設されており、さらに、上記埋設されたメゾポーラスシリカ極細孔に官能基を修飾した燃料電池用電解質膜である。
図1は燃料電池の断面概略図である。なお、以下の説明では1つのセルのみからなる単セルの燃料電池について説明するが、複数のセルからなる燃料電池についても本発明の思想は同様に適用できる。燃料電池のセルは電解質膜10の両側にアノード(燃料極)21およびカソード(酸素極、空気極)22をそれぞれ接合し、アノード21の、電解質膜とは反対側の側面にアノード側セパレータ31が配置され、カソード22の、電解質膜とは反対側の側面にカソード側セパレータ32が配置されている。
電解質膜10は、膜厚方向に細孔が整列して形成され、カソード側は、該細孔がカソード側に貫通している無機多孔質薄膜であることが必要である。
無機多孔質薄膜は、具体的には、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、酸化インジウム、ジルコニアから選ばれた1種の薄膜であり、該薄膜は、金属薄膜を陽極酸化することにより、膜厚方向に、カソード側が閉塞した細孔が整列した金属酸化物多孔質薄膜が得られ、その後、該細孔の閉塞している先端部バリア層を少量だけ化学的、あるいは物理的にエッチングすることにより該細孔はカソード側に貫通しており、かつ、該細孔内に、膜厚方向に極細孔が整列して形成されたメゾポーラスシリカが埋設されている。さらに、上記埋設されたメゾポーラスシリカの極細孔には、官能基を修飾してプロトン伝導が可能となっている。
アノード21およびカソード22は、貴金属を担持したカーボン粉末とパーフルオロカーボンスルホン酸系樹脂とが混合されて、カーボンペーパ上に膜状に形成されたものである。アノード21には例えば、市販の白金−ルテニウム系触媒をカーボン粉末に担持させた触媒を用いており、カソード22には例えば、市販の白金系触媒をカーボン粉末に担持させた触媒を用いている。
アノード側セパレータ31には、アノード21と対向する面に燃料流路311が形成されており、この燃料流路311に燃料であるメタノール溶液が供給される。カソード側セパレータ32には、カソード22と対抗する面に空気流路321が形成され、この空気流路321に酸化剤である空気が供給される。
次に、本発明の電解質膜10の製造方法について説明する。
本発明の電解質膜10は、無機多孔質薄膜であることが必要であり、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、酸化インジウム、ジルコニアから選ばれた1種の薄膜であり、該薄膜は、金属薄膜を陽極酸化することにより、膜厚方向に、カソード側が閉塞した細孔が整列して形成された金属酸化物多孔質薄膜を得て、その後、該細孔の閉塞している先端部を少量だけ化学的、あるいは物理的にエッチングすることにより該細孔はカソード側に貫通しているものが用いられる。
本発明では、上記薄膜の該細孔内に、膜厚方向に極細孔が整列して形成されたメゾポーラスシリカが埋設されていることが必要である。さらに、上記メゾポーラスシリカの極細孔には、官能基を修飾していることが好ましい。
上記メゾポーラスシリカの極細孔内径は、該極細孔間の壁厚の1.7倍から2.3倍となっていることが好ましい。また、メゾポーラスシリカの極細孔内径は0.5nm以下であることが好ましい。
次に、メゾポーラスシリカの極細孔内径が0.5nm以下であれば、水クラスタ、メタノール水クラスタが透過しにくいことを示している。
非特許文献3にあるように、通常の水のクラスタは、正12面体の各頂点20個に水分子があり、カゴの中にさらに1個のHイオンが入っている形をとっており、H(HO)21と表される。このクラスタの質量数は360である。また、正12面体は、12個の5角形で構成されているが、5角形の1辺は、O−H−Oの水素結合をしている(図3参照)。この1辺の長さは、通常、0.24nm程度といわれている。これより、クラスタ(正12面体)の外側の全表面積は、
S=12×5×k×tan(54)÷4
である。ここで、kは五角形の1辺の長さである。これより、全表面積は、1.189nmとなる。
また、クラスタの半径をRとすると、全表面積は、4πRともかけるから、上記の値と等しいとおくと、
R=0.308nm
従って、水クラスタ球の直径は、 0.615nmである。
水クラスタは、質量数360の場合が最も多いが、質量数300程度もかなり含まれている。300の場合のクラスタの大きさは、表面積比より上記の0.615nmの(300/360)1/2程度であると考えられる。つまり、直径が0.56nm程度となる。これより、プロトンは透過できるが、水クラスタ、メタノールクラスタが透過できないサイズは、0.5nm以下にすればよいと考えられる。また、プロトンが透過できるためには、水素原子の直径である0.1nm以下でも透過が必要である。しかし、1原子分だけ除去するという意味で、人間の意志と技術で、制御できるサイズは、1原子分、従って、0.1nm程度以上あると考えられる。
次に、メタノール水の場合のクラスタサイズは、メタノール水濃度が10%以下の時は、ほとんど、水のクラスタの一部がメタノール分子に置換されたものであるから、水クラスタのサイズを目安としてよい(図4参照)。
次に、薄膜としてアルミナ板を用いた場合を例として示す。
(1)陽極酸化膜の形成
高純度(99.9%)のアルミ板(1mm厚)を陽極に、カーボンを陰極とし、シュウ酸(濃度0.5M)中で、数Vから数十V程度の電圧を10時間程度印加すると、アルミニウム板の表面の酸化が促進され、かつ、数十nm径の細孔が自己整列して板面に垂直にmm級の深さでも直線状に孔のあく現象がある。その後、電極を反対にして電圧を印加すると、アルミニウム部と細孔形成部との界面に水素ガスが発生し、酸化皮膜が金属面から容易にはがせる。
(2)エッチング
上記陽極酸化を行った時点では、細孔の先端部は数nmの厚みのバリア層で覆われており、貫通していない。このままでは、プロトン伝導性を有する電解質膜として使えないので、化学的、あるいは物理的にエッチングする必要がある。
物理的には、イオンを衝突させることで表面原子を飛ばしたり、あるいは、ラジカル発生によって表面での化学反応を一部含みながらも、表層部の原子、分子を飛散させる方法で、イオンミリング、イオン衝突、イオンスパッタリング、ドライエッチング、反応性イオンエッチング等々のものがある。あるいは、エキシマレーザ等の紫外線を照射することで、極表面部の原子を薄くとばすものも含まれる。
一方、化学的には、酸を用いて、表面部だけを溶かして除去することが可能である。例えば、化学的なエッチングを用いた例では、酸処理(例えば、20wt%−希硝酸溶液 30°C)で、数分間エッチングを行うと、バリア層を溶かし、閉塞した細孔の先端部を貫通させることができる。
上記一端が閉塞した細孔の先端部をエッチングにより貫通させた穴径は、0.01nmから1nmであることが好ましい。0.01nmから0.5nmであると燃料の対極へのクロスオーバーを確実に阻止でき、より好ましい。穴径が0.01nmよりも小さいものは再現性良く作製することができず実用的でない。一方、穴径が1nmよりも大きくなると、燃料のクロスオーバーが多くなり改善が認められなくなってしまう。穴径は、作製された陽極酸化された薄膜のバリア層の厚さとエッチング時間によって制御される。
(3)メゾポーラスシリカ
メゾポーラスシリカは、TEOS(テトラエトキシシラン)やTMOS(テトラメチルオルソシリケート)、NaHSi・3HO等のシリカ原料と界面活性剤の混合液を、平面基板上にスピンコートすると、基板表面に平行に形成できる。円筒状のメゾポーラスシリカのシリカナノチャンネルは、平板に平行ではあるが、基板面全体にわたって一方向を向いていないという問題がある。
上記材料の混合液を、上記アルミニウムを陽極酸化して得られた無機多孔質薄膜の、一方向にそろった細孔内に導入すると、該細孔に平行にメゾポーラスシリカのナノチャンネルが育成されることが開示されている(非特許文献1、2)。本発明においても同様の方法により、陽極酸化法で得られた細孔内に、膜厚方向に極細孔が整列して形成されたメゾポーラスシリカが埋設されている。得られる無機多孔質薄膜の模式図を図2に示す。
例えば、テトラメチルオルソシリケートを用いた場合について概略を以下に記す。まず、テトラメチルオルソシリケート(TMOS、濃度98%)を酸性状態(HCl、濃度36.5〜38%)で、加水分解する。そこに、メタノール(濃度99.8%)を室温で加える。さらに、界面活性剤であるCTACl(cetyltrimethylammonium Chloride:塩化セチル・トリメチル・アンモニム、25%)を加え、該混合溶液を室温で24時間程度保持し、反応を十分に起こさせ、界面活性剤とシリカ源の混合液内で、ミセル(界面活性剤の分子またはイオンの集合体)を形成させる。
陽極酸化法で作製した50μm厚の細孔を有するアルミナ膜を、ろ過器中のろ紙(メッシュ1μm)の上に置き、下側を若干の負圧にして、上記で得られた溶液を加え、吸引して、細孔内に導入する。このとき、該アルミナ膜より小さい円形をくりぬいて作った治具を利用して、該アルミナ膜の端から液が漏れないように工夫をする必要がある。細孔内に十分溶液が導入されたところで、上からの溶液が残っている状態で、溶液を数分ほど透過させ、減圧状態を止める。
次に、溶液を細孔に含む該アルミナ膜を100°Cほどで1時間程度予備乾燥し、その後、予備乾燥した膜を、400〜500°Cで10〜15時間程度焼成する。
上記操作により、陽極酸化法で得られた細孔の該細孔内に、上記ミセルを鋳型としてシリカナノ細孔が形成され、さらにシリカナノ細孔集合体であるメゾポーラスシリカが形成され、膜厚方向に極細孔が整列して形成されたメゾポーラスシリカが埋設された状態が得られる。
電子顕微鏡で確認すれば、上部開孔径が30〜50nmの陽極酸化細孔内に、内径2nm弱の極細孔を有するメゾポーラスシリカが約100個ほど密集しているのが確認される。
上記の陽極酸化で作製した多孔質薄膜と全く同じ手法で、シリカの源である例えばTMOSと界面活性剤の混合液を、ゼオライトのような多孔質材料に浸漬せしめて、内部にメゾポーラスシリカのパイプを作ることもできる。ゼオライトは、SiO、Alを主成分とする多孔質材料である。
(4)メゾポーラスシリカ表面の修飾
本発明の電解質膜は、陽極酸化法で得られたカソード側に貫通した細孔を有する多孔質薄膜の該細孔内に、膜厚方向に極細孔が整列して形成されたメゾポーラスシリカを埋設した後、さらに、該メゾポーラスシリカ極細孔に、官能基を修飾し、プロトン伝導性を向上させることが好ましい。
修飾する官能基は、OH基、炭素と水素を含む官能基、窒素と水素を含む官能基、あるいは、イオウと水素を含む官能基が望ましい。
これらの官能基は、プロトンを含み、かつ親水性で、プロトンの向きの自由度が大きい可能性があり、官能基同士の間で水素結合をし易いので、伝導性が向上する。さらに、官能基を修飾することで、細孔の内径がさらに小さくなり、燃料、水等の望まれない透過を減らす、あるいは、無くすことができる。
発明者は、陽極酸化を行って得られた、秩序よく貫通した細孔が並ぶ多孔質薄膜の、該細孔面内にOH基、炭素―水素―酸素を含む官能基(例えば、カルボキシル基)、窒素―水素を含む官能基(アミノ基,アンモニア基)等で修飾すると、特定の条件下で、プロトンが伝導することを以前見出している(特許文献1)。
例えば、アルミナ薄膜の場合、pH=略9を境にして、アニオン、カチオンを修飾することができる。pHが略9以上では、アルミナ膜表面はAlO2−に帯電し、pHが略9を下回る時は、Al3+に帯電する。従って、pHを略9以下にすれば、アルミナ表面にOH基をつけることができる。
本発明の電解質膜では、例えば、イオン交換水に浸漬し、硝酸を添加してpHを4程度まで下げる。その後、イオン交換水中にアンモニア水を滴下し、pHを7まで戻し、イオン交換水を取り替えて洗浄する。そうすることによって、メゾポーラスシリカ表面にOH基を修飾できる。
(5)充填膜の形成
上記のようにして得られた、陽極酸化法で形成された細孔内に作ったメゾポーラスシリカの極細孔内に、更に充填膜を付加して穴を小さくすることができる。この方法により、プロトンの伝導する界面(表面)の面積、つまりプロトン伝導路を増やすことができ、かつ、燃料、水分の透過を防ぐことができる。
充填膜として、カーボンナノチューブ(以下CNTとも記す)、β―アルミナを充填した構造とすることが好ましい。前者は、プロトン伝導しやすい種々の官能基をつけ易くなるためである。また、後者は、もともとプロトン伝導度の大きな材料であり、それを、プロトンの流れ易い方向を、流れるべき方向(つまり、メンブレインの面に垂直方向)に成長しやすいからである。
上記充填したCNT層の更に内壁に、α―ジケトン基、ケトン基、フェノール基、カルボキシル基、カルビノール基、o−ヒドロキノイド基、ラクトン基の少なくとも一種の官能基を修飾した構造とすることもできる。
(6)表面積の計算
ここで、細孔と表面積の関係を確認する。
陽極酸化直後の表面積を求める。陽極酸化法で、膜厚方向に細孔が整列して形成された多孔質薄膜において、メゾポーラスシリカ極細孔内径(D)、メゾポーラスシリカ極細孔外径(C)細孔間距離(A)、陽極酸化細孔径(B)、厚み(t)とした時、1辺1cm(k=10−2m)の正方形の場合の表面積を求める。この正方形の中の細孔数をNとすると、N=k/(A√3/2)と表せる。
表面積Sは、底面と細孔内壁の面積の和として、
S=〔k−Nπ(B/2)〕×2 +N×πBt
〜NπBt ・・・・(a)
注>第1項=k−Nπ(B/2)
=k−k/(√3A/2)×π(B/2)
=k〔1−π/(2√3)×(B/A)
第2項=k/(√3A/2)×πBt
=k2πBt/√3A
第1項<<第2項である。
また、図2のように、薄膜内の一つの細孔内のメゾポーラスシリカ極細孔の表面積は、πDt×π(B/2)/〔π(C/2)
=πDt×B/C
であり、単位面積内のメゾポーラスシリカ極細孔の総面積は、
N×πDt×B/C・・・・・・ (b)
=k/(A/2)×πDt×B/C
=k(2π/√3)×Dt(B/C)
(a)と(b)より、メゾポーラスシリカ極細孔のある方が、表面積はγ=BD/C倍 大きくなることになる。
一例として、表1のように各数値を選んでみると、薄膜内の細孔内にメゾポーラスシリカ極細孔を入れる方が表面積が大きくなることが分かる。比γを大きくするには、陽極酸化細孔径(B)、メゾポーラスシリカ極細孔内径(D)を大きくして、メゾポーラスシリカ極細孔外径(C)をできるだけ小さくすることである。しかも、D〜1nm程度で、γは最大値をとることがわかる。
(7)メゾポーラスシリカ極細孔径と肉厚の関係
メゾポーラスシリカ極細孔をもつ構造体の表面積は、上記のように(b)式を変形してわかるように、D・(B/C)に比例する。
極細孔の外径と内径と肉厚の関係C=D+α とおく(αが肉厚の2倍とする)。表面積は、
表面積∝B/(D+2α+α/D)
における、最大最小問題となる。
これから、表面積では、D=αのとき、最大面積を示すことがわかる。つまり、極細孔の内径(D)が肉厚の2倍の時、最大表面積となる。α=0(肉厚=0)の時は、Dが小さいほど、表面積は大きいということになる。
(7)電極形成
上記メゾポーラスシリカを埋設した多孔質薄膜を、乾燥させた後、両面にカーボンペーストを貼付して電極を作製した。その後、交流インピーダンス法(ソーラトロン製SI−1260)でプロトン伝導度を計測した。また、メゾポーラスシリカ内を、上記官能基で修飾した薄膜についても同様に、プロトン伝導度を計測した。
陽極酸化だけでは、室温(温度25°C、湿度40%)で、プロトン伝導度は、σ=5×10−5S/cmであるが、陽極酸化細孔内にメゾポーラスシリカ極細孔(内径1.5nm、外径3nm)を作り、さらにOH基で十分に修飾できた無機電解質膜では、プロトン伝導度は、約100倍上がり、σ=6×10−3S/cm程度が得られた。
以下、実施例を用いてさらに詳しく説明する。
(実施例1)
高純度(99.9%)のアルミニウム板(1mm厚)を陽極に、カーボンを陰極とし、シュウ酸(濃度0.5M)中で、30Vの電圧を10時間印加した。その後、電圧を逆転し、アルミニウム板より酸化膜をはがした。
希硝酸(20wt%)で数分エッチングすることにより、上記陽極酸化で作られた酸化膜に貫通した細孔群が形成された。
テトラメチルオルソシリケート(TMOS、98%)を酸性状態(HCl、36.5〜38%)で、加水分解した。次に、メタノール(99.8%)を室温で、加水分解したTMOSに加え、次に、CTACl(cetyltrimethylammonium Chloride:塩化セチル・トリメチル・アンモニム、25%)を加えた。混合溶液を室温で24時間保持し、反応を十分に起こさせる。
できた溶液を用いて、陽極酸化で作製した50μm厚のポーラスアルミナ膜をろ過器中のろ紙(メッシュ1μm)の上におき、下を若干の負圧にする。そこで、先の溶液を加える。このとき、陽極酸化膜より小さい円形をくりぬいたテフロン(商標)で作った板を利用して、陽極酸化膜の端から液が漏れないように工夫した。
細孔内に十分、溶液が入りこんだところで、上からの溶液が残っている状態で、溶液を数分ほど透過させ、減圧状態を止めた。上記溶液を細孔に含む薄膜を100℃ほどで1時間ほど予備乾燥し、その後、450°C、12時間焼成した。得られた電解質膜を、電子顕微鏡(日立製作所製)で確認したところ、メゾポーラスシリカの内径1.5nmの極細孔群が密集して生成されていた。
(実施例2)プロトン伝導度
実施例1で作製した電解質膜の両端にカーボンペーストを貼り付けた。ソーラトロン製のインピーダンスアナライザー(SI−1260)を用い、室温でプロトン伝導度を計測した。プロトン伝導度は、σ=3.5×10−3S/cmであった。
(実施例3)
実施例1と同じ方法で作製したアルミナ陽極酸化膜(10×10×0.05mm)の細孔の表面積をBET法(窒素ガス使用)で計測したところ、13.1mであった。次に、実施例1と同じ手法で作ったメゾポーラスシリカの埋設された電解質膜の表面積を計測したところ、153mであった。約11.7倍の表面積の増加が見られた。
(実施例4〜6)
実施例1の電解質膜のメゾポーラスシリカに、OH基以外に、COOH等の官能基をつけて、プロトン伝導度を計測した。酢酸処理することで、COOH基、SOOH基を修飾した。同様にして、アルキル基(メチル基)を修飾した場合についても、計測した。計測は室温で行った。
(実施例7)
実施例1と同様にアルミナ陽極酸化した多孔質薄膜の細孔内(細孔内径、約30nm)に作ったメゾポーラスシリカ極細孔(極細孔内径0.5nm程度)を作った後、メチルアルコール水(メチルアルコール濃度40%)の透過を試みたが、透過は確認されなかった。
(実施例8)
実施例1と同様にアルミナ陽極酸化した多孔質薄膜の細孔内(細孔内径、約30nm)に作ったメゾポーラスシリカ極細孔(極細孔内径0.5nm程度)を作った後、石英反応管内の石英ウールの上に置いた。反応管を800℃に加熱して、約2時間、Nガスに2.5%のプロピレンガスを混合したガスを、200cm/分程度流した。これにより、メゾポーラスシリカ極細孔の内壁に、グラッフェンシートが内張りするように成膜された。それは、直径が、1〜2nm程度のカーボンナノチューブであった。このCNTはほとんど単層であった。
(実施例9)
シリコン基板を、希硝酸(20wt%)中で、10Vの電圧を印加することで、陽極酸化して作った多孔質シリカ、及び、多孔質であるシリカゲルについて、上記実施例1と同様に、シリカ源であるTMOSと界面活性剤の混合液を上記多孔質材料の細孔に浸漬させて、細孔内部にメゾポーラスシリカのパイプ群を育成させた。そのままでもOH基が付いているので、プロトン伝導度を計測したところ、室温で、それぞれ、σ=6・5×10−2S/cm、σ=3.2×10−2S/cmの伝導度が得られた。
(実施例10)
チタンを用い、上記実施例1と同様に、希硝酸中で陽極酸化してチタニア多孔質材料を作った。膜は不完全であったが、多孔質であったので、上記の実施例1同様にして、多孔質内にメゾポーラスシリカのパイプ群を作ったところ、表面積が増えたのが効いて、室温でのプロトン伝導度が、σ=4.3×10−3S/cmが得られた。
(実施例11)
購入した多孔質ジルコニア(三井金属製、MZR)を利用して、マクロ多孔質内にメゾポーラスシリカを作り、プロトン伝導度を計測した。σ=7.2×10−3S/cmというおおきなプロトン伝導度が得られた。
(実施例12)
陽極酸化アルミナ多孔質膜の細孔内にメゾポーラスシリカを埋設し、該メゾポーラスシリカの極細孔内壁に官能基を修飾した。
陽極酸化アルミナを実施例1と同様に作り、その段階でのプロトン伝導度はほぼ同じことを確認した。その上で、上記実施例と同じように内壁を、CVD法でグラッフェンシートで内張りした。その上で、8種類の炭素、酸素、水素を含む官能基を修飾して、それぞれについてプロトン伝導度を計測した。結果を表3に示す。
(実施例13)
約100μm厚の金属セリウム箔とインジウム箔を、それぞれおよそ同濃度(10%)の希硫酸中で陽極酸化して多孔質化し、その後、硝酸中に数十秒ほどエッチングし細孔を貫通させた。電子顕微鏡で調べると、100nm級の孔があいていた。その細孔中にメゾポーラスシリカを埋設させた。その後、OH基を修飾して、乾燥させた後、プロトン伝導度を計測した。伝導度は、室温で、以下のような値が得られた。
(実施例14)
実施例1と同様にして、アルミニウムを陽極酸化して得られた細孔(細孔の内径は約30nm)の内部に、極細孔(細孔内径は1〜2nm)を有するメゾポーラスシリカを埋設させた。
ゾルゲル法で、β―アルミナの組成(NaO・8Al)となるように原料を調合した後、細孔膜をフィルター上に載せ、下から減圧することで、ゾル原液を強制的にシリカ細孔内を通過させることで充填した。その後、800℃で熱処理をして、β−アルミナを得た。その後、Naイオンの代わりにHイオン,NH イオンに交換した。その後、室温でプロトン伝導度を計測した。大きな伝導度が得られた。
(比較例1)
陽極酸化アルミナ多孔質膜について、室温(温度25℃、湿度40%)で、プロトン伝導度を測定した。プロトン伝導度は、σ=5×10−5S/cmであった。
「評価」
比較例1のように、陽極酸化アルミナ多孔質膜では、室温(温度25℃、湿度40%)で、プロトン伝導度は、σ=5×10−5S/cm程度であるが、陽極酸化アルミナ多孔質膜の細孔内にメゾポーラスシリカの極細孔(内径1.5nm、外形3nm)を作り、OH基を十分に修飾できた実施例2では、プロトン伝導度は、σ=3.5×10−3S/cmとなっており、約100倍向上した。
燃料電池の単セルの構造を示す概略図。 陽極酸化法で得られた無機多孔質薄膜の、一方向にそろった細孔内に形成された、膜厚方向に極細孔が整列して形成されたメゾポーラスシリカが埋設されている模式図。 純水から観測されたクラスタの質量スペクトル。横軸は質量数(M/Z),縦軸はシグナル強度。ピーク上の数字は水分子クラスタH(HO)の水分子数n。かご型の図は,水分子20個で形成される正十二面体構造で,各頂点の位置に水分子が配され,水分子どうしは水素結合で結ばれる。かごの中心にHが入り,H(HO)21で安定構造となる。 水−メタノール,水−エタノール,水−1−プロパノール各混合溶液中のクラスタ構造の領域図。横軸は溶液中の全分子数に占めるアルコール分子数の割合(アルコールのモル分率)。
符号の説明
10 電解質膜
21 アノード
22 カソード
31 アノード側セパレータ
32 カソード側セパレータ
311 燃料流路
321 空気流路









Claims (12)

  1. アノード(燃料極)およびカソード(酸素極)にそれぞれ液体有機燃料および気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池に用いられる燃料電池用電解質膜であって、前記アノードと前記カソードの間に介在して使用される電解質膜が無機多孔質薄膜であり、該薄膜は、膜厚方向に細孔が整列して形成され、カソード側は、該細孔がカソード側に貫通しており、該細孔内に、膜厚方向に極細孔が整列して形成されたメゾポーラスシリカが埋設されていることを特徴とする燃料電池用電解質膜。
  2. 無機多孔質薄膜が、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、酸化インジウム、ジルコニアから選ばれた1種の薄膜であり、該薄膜は、陽極酸化法で、膜厚方向に細孔が整列して形成され、カソード側は、閉塞した細孔の先端部バリア層をエッチングすることによりカソード側に貫通していることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用電解質膜。
  3. 請求項1記載のメゾポーラスシリカ極細孔に、官能基を修飾したことを特徴とする請求項1記載の燃料電池用電解質膜。
  4. 修飾した官能基が、OH基、炭素と水素を含む官能基、窒素と水素を含む官能基、あるいは、イオウと水素を含む官能基であることを特徴とする請求項3記載の燃料電池用電解質膜。
  5. 請求項1記載の燃料電池用電解質膜の細孔に埋設されたメゾポーラスシリカの該極細孔内に更に充填材を配置したことを特徴とする請求項1記載の燃料電池用電解質膜。
  6. 充填材が、カーボンナノチューブあるいは/及びβ―アルミナを内張りしたものであることを特徴とする請求項5記載の燃料電池用電解質膜。
  7. 充填したカーボンナノチューブ層の更に内壁に、酸素、炭素、水素から構成される官能基であるα―ジケトン基、ケトン基、フェノール基、カルボキシル基、カルビノール基、o−ヒドロキノイド基、ラクトン基の少なくとも一種の官能基を修飾したことを特徴とする請求項6記載の燃料電池用電解質膜。
  8. メゾポーラスシリカ層の極細孔内径が、該極細孔間の壁厚の1.7倍から2.3倍となっていることを特徴とする請求項1、3、5、7記載の燃料電池用電解質膜。
  9. メゾポーラスシリカ層の極細孔内径が0.5nm以下であることを特徴とする請求項1、3、5、7、8記載の燃料電池用電解質膜。
  10. アノード(燃料極)およびカソード(酸素極)にそれぞれ液体有機燃料および気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池に用いられる燃料電池用電解質膜の製造方法において、
    金属薄膜を酸化して、膜厚方向に細孔が整列した金属酸化物多孔質薄膜を得て、
    前記細孔の先端部のバリア層を化学的または物理的にエッチングすることによって所定の大きさの寸法に空け、
    前記細孔内にメゾポーラスシリカを埋設する、
    ことを特徴とする燃料電池用電解質膜の製造方法。
  11. 前記メゾポーラスシリカの極細孔にさらに官能基を修飾することを特徴とする請求項10記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
  12. 前記メゾポーラスシリカの極細孔内にさらに充填材を配置することを特徴とする請求項10記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
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