JP2006243279A - 光学補償シートの製造方法、光学補償シート、偏光板および画像表示装置 - Google Patents

光学補償シートの製造方法、光学補償シート、偏光板および画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 高い生産性を維持したまま、数々の光学補償シートを生産できる製造方法を提供すること。該光学補償シートまたは該光学補償シートを用いた偏光板、およびそれらを用いた、表示品位が高い大画面の液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】 少なくとも液晶化合物からなる光学補償シートの製造方法において、該光学補償シートの光学特性を所望のものとするべく、膜厚減少量を制御するケン化処理を施すことを特徴とする光学補償シートの製造方法。該製造方法で製造された光学補償シート、該光学補償シートを保護膜とした偏光板、該光学補償シートまたは該偏光板を有する画像表示装置。
【選択図】 なし

Description

本発明は、画像表示装置、特に液晶表示装置の視認性と視野角とを改善できる光学補償シートの製造方法、該光学補償シートおよび偏光板に関する。さらに本発明は、視認性と視野角とが改善された画像表示装置にも関する。
液晶表示装置は、液晶セルと偏光板とから構成されている。
従来から液晶表示装置は、視野角が狭いことが問題とされていた。液晶表示装置の視野角を拡大するため、光学補償シートを用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
現在の主流であるTNモードのTFT液晶表示装置においては、支持体上に液晶性化合物から形成された光学異方性層が設けられている光学補償シートを偏光板と液晶セルの間に挿入することで、液晶セルの視角依存性を光学補償し、表示画像の品位が改善されている(例えば、特許文献6参照)。
特開平4−229828号公報 特開平4−258923号公報 特開平6−75116号公報 特開平6−174920号公報 特開平6−222213号公報 特開平8−50206号公報
近年では液晶表示装置の用途が広がっており、その用途に応じ、微妙に光学設計を調整する必要が生じている。すなわち、各々の光学設計に応じ、数々の光学補償シートが必要となるのである。このために、光学補償シートを微妙に作り分ける必要があり、生産性が非常に悪いという問題がある。
一般に液晶表示装置では、用途に合わせ、セル厚み、黒表示/白表示の電圧の仕様を微妙に調整する。例えば、光の透過率を上げたければ、セル厚みを厚めに設定する。応答速度を速めたければ、セル厚みを薄めに設定する。視角による階調変化を少なくするには、ノーマリーホワイトの場合、黒表示時の電圧を低めに設定(ノーマリーブラックの場合、白表示の電圧を低めに設定)する必要がある。本発明者の研究の結果、着色の原因が、光学補償シートの波長分散にあることが判明した。
このようなパネルの光学仕様に合わせて、光学補償シートは、その光学特性を最適化しないと十分な表示品位が得られないという問題がある。
現在、液晶化合物からなる光学補償シートが一般的である。例えば、富士写真フイルム(株)製WVフィルム、新日本石油(株)製NHフィルム、等がある。これらは、液晶の配向を3次元的に制御しているため、微妙な光学調整には、多大な生産ロスを生じると考えられる。
本発明の目的は、高い生産性を維持したまま、数々の光学補償シートを生産できる製造方法を提供することである。
別の本発明の目的は、偏光板の構成要素の数を増加することなく、偏光板に光学補償機能を追加することである。
さらに別の本発明の目的は、表示品位が高い大画面の液晶表示装置を提供することである。
本発明者が研究を進めた結果、ケン化処理により、液晶化合物層の膜厚を制御出来ることを見出した。ケン化強度(アルカリ濃度等)を上昇させたり、ケン化時間を長くすることで、膜厚を精度よく、小さくすることが出来ることがわかった。
本発明は、下記(1)の光学補償シートの製造方法、下記(2)の光学補償シート、下記(3)の偏光板および下記(4)の画像表示装置により達成された。
(1) 少なくとも液晶化合物からなる光学補償シートの製造方法において、該光学補償シートの光学特性を所望のものとするべく、膜厚減少量を制御するケン化処理を施すことを特徴とする光学補償シートの製造方法。
(2) 少なくとも液晶化合物からなる光学補償シートであって、該光学補償シートの光学特性を所望のものとするべく、膜厚減少量を制御するケン化処理を施したことを特徴とする光学補償シート。
(3) (2)に記載の光学補償シートを保護膜としたことを特徴とする偏光板。
(4) (2)に記載の光学補償シートまたは(3)に記載の偏光板を有することを特徴とする画像表示装置。
本発明によれば、光学補償シートを微妙に作り分けることをせずとも、光学補償シートの製造方法において、ケン化処理により液晶化合物層の膜厚を制御することにより、所望の光学特性の光学補償シートを、提供することができる。
さらに、ケン化処理は、従来からの偏光板の製造プロセスに既に使用されているケン化工程を使用できるので、数々の光学特性の光学補償シートを高い生産性を維持したまま、提供することができる。
本発明は、ケン化処理により液晶化合物層の膜厚を制御できることを見出したことから、ケン化処理により液晶化合物からなる光学補償シートの膜厚を適当量減少させることで、所望の光学特性の光学補償シートを得ることができることに着目したものである。
すなわち、光学補償シートの光学特性は、光学補償の対象となる液晶セルの光学特性に合ったものでないと十分な表示品位が得られないが、ケン化処理により光学補償シートの膜厚を液晶セルの光学特性に合わせて制御し調整することで、所望の光学特性の光学補償シートを得ることができる。
ケン化処理による液晶化合物層の膜厚の制御は、ケン化条件(アルカリ濃度等のケン化強度、ケン化温度、ケン化時間、等)を調整することで、膜厚を精度良く減少させることができる。
[ケン化処理]
本発明のケン化処理は、偏光板の製造プロセスと別にケン化処理を行っても良いことはもちろんであるが、高い生産性を維持するという観点からは、偏光板の製造プロセスに既に使用されているケン化工程を使用して膜厚を適当に減少させることで、光学補償シートの光学調整をすることが特に好ましい。
フィルムの平面性を保持する観点から、表面処理においてポリマーフィルムの温度をTg(ポリマーのガラス転移温度)以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
ポリマーフィルムを、偏光板の透明保護膜として使用する場合、偏光膜との接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理を実施することが特に好ましい。ポリマーがセルロースエステルの場合、酸処理またはアルカリ処理は、セルロースエステルに対するケン化処理として機能する。
液晶化合物層に対しては、アルカリ溶液を用いてケン化処理を実施することが特に好ましい。
アルカリ溶液を用いるケン化処理は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行うことが好ましい。
アルカリ溶液は、水酸化カリウム溶液または水酸化ナトリウム溶液が好ましい。溶媒は、水が好ましい。水酸化イオンの規定濃度は、1.0乃至4.0Nの範囲が好ましく、1.5乃至3.0Nの範囲がさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温乃至90℃が好ましく、60乃至70℃がさらに好ましい。
ポリマーフィルムにアルカリ溶液を塗布してケン化する方法も採用できる。塗布方法の溶媒は、有機溶媒または有機溶媒と水との混合溶媒が好ましい。有機溶媒の例には、アルコール(例、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)および多価アルコール(例、プロピレングリコール、エチレングリコール)が含まれる。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
鹸化処理後の液晶化合物層の膜厚は、光学補償の対象となる液晶セルの光学特性に合わせ、任意に調整することが好ましい。従来の偏光板の製造プロセスでは、ケン化処理後に膜厚をそれほど減少させることは必要なかったが、液晶セルの光学特性に合わせて、例えば30nm以上、さらに場合により60nm以上減少させることも、必要となる。
ポリマーフィルム上に液晶化合物を塗設した光学補償シートの場合、ポリマーフィルムの表面エネルギーは55mN/m以上であることが好ましく、60乃至75mN/m以下であることがさらに好ましい。
ポリマーフィルムの表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社 1989.12.10発行)に記載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。接触角法を用いることが好ましい。
具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液をポリマーフィルムに滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出する。
[液晶化合物からなる光学異方性層]
光学異方性層は、ポリマーフィルム上に形成された配向膜の上に、液晶性化合物から形成することが好ましい。
光学異方性層に用いる液晶性化合物には、棒状液晶性化合物および円盤状液晶性化合物が含まれる。液晶性化合物は、高分子液晶でもよい。さらに、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなった化合物から光学異方性層が形成されていてもよい。
光学異方性層は、液晶性化合物および必要に応じて重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成できる。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
光学異方性層の厚さは、0.1乃至20μmであることが好ましく、0.5乃至15μmであることがさらに好ましく、1乃至10μmであることが最も好ましい。
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
棒状液晶性化合物には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶性化合物を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、棒状液晶性化合物として用いることができる。言い換えると、棒状液晶性化合物は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
棒状液晶性化合物については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
棒状液晶性化合物の複屈折率は、0.001乃至0.7の範囲にあることが好ましい。
棒状液晶性化合物は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基(Q)の例を、以下に示す。
Figure 2006243279
重合性基は、不飽和基(Q1〜Q7)またはエポキシ基(Q8)であることが好ましく、不飽和基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和基(Q1〜Q6)であることが最も好ましい。
棒状液晶性化合物よりも、円盤状(ディスコティック)液晶性化合物の方が好ましい。
円盤状液晶性化合物の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルを挙げることができる。
円盤状液晶性化合物は、一般的な分子構造として、上記の分子中心の母核に対して放射線状に、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基が置換した構造の化合物であって、液晶性を示す。また、円盤状液晶性化合物から形成する光学異方性層は、最終的な層に含まれる物質が前記化合物である必要はない。例えば、低分子の円盤状液晶性化合物が熱や光で反応する基を有しており、結果的に熱や光で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失ってもよい。
円盤状液晶性化合物の例は、特開平8−50206号公報に記載されている。円盤状液晶性化合物の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
円盤状液晶性化合物を重合により固定するためには、円盤状液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有する円盤状液晶性化合物は、下記式(I)で表わされることが好ましい。

(I) D(−L−Q)n

式中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であり、Qは重合性基であり、そして、nは4乃至12の整数である。
円盤状コア(D)の例を以下に示す。以下の各例において、LQ(またはQL)は、二価の連結基(L)と重合性基(Q)との組み合わせを意味する。
Figure 2006243279
Figure 2006243279
Figure 2006243279
Figure 2006243279
Figure 2006243279
Figure 2006243279
Figure 2006243279
式(I)において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−および−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることがさらに好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−および−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6乃至10であることが好ましい。
二価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(Q)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基、ARはアリーレン基を意味する。なお、アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基は、置換基(例、アルキル基)を有していてもよい。
L1:−AL−CO−O−AL−
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−S−AL−
L21:−S−AL−O−
L22:−S−AL−O−CO−
L23:−S−AL−S−AL−
L24:−S−AR−AL−
式(I)の重合性基(Q)は、棒状液晶性化合物の重合性基(Q)の定義および例と同様である。
重合性基は、不飽和基(Q1〜Q7)またはエポキシ基(Q8)であることが好ましく、不飽和基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和基(Q1〜Q6)であることが最も好ましい。
式(I)において、nは4乃至12の整数である。具体的な数字は、円盤状コア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のLとQの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
円盤状液晶性化合物を用いる場合、円盤状構造単位の面が、ポリマーフィルム表面に対して傾き、且つ円盤状構造単位の面とポリマーフィルム表面とのなす角度が、光学異方性層の深さ方向に変化していることが好ましい。
円盤状構造単位の面の角度(傾斜角)は、一般に、光学異方性層の深さ方向でかつ光学異方性層の底面からの距離の増加と共に増加または減少している。傾斜角は、距離の増加と共に増加することが好ましい。さらに、傾斜角の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、及び増加及び減少を含む間欠的変化などを挙げることができる。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。傾斜角は、傾斜角が変化しない領域を含んでいても、全体として増加または減少していることが好ましい。さらに、傾斜角は全体として増加していることが好ましく、特に連続的に変化することが好ましい。
支持体側の円盤状単位の傾斜角は、一般に円盤状液晶性化合物あるいは配向膜の材料を選択することにより、またはラビング処理方法の選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)の円盤状単位の傾斜角は、一般に円盤状液晶性化合物あるいは円盤状液晶性化合物とともに使用する他の化合物を選択することにより調整することができる。円盤状液晶性化合物と併用する化合物の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマーおよびポリマーを挙げることができる。さらに、傾斜角の変化の程度も、上記と同様に調整できる。重合性モノマーまたはポリマーを用いることが好ましい。
重合性モノマー(例えば、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物)を円盤状液晶性化合物と併用することが特にが好ましい。重合性モノマーの添加量は、円盤状液晶性化合物に対して1乃至50質量%の範囲が好ましく、5乃至30質量%の範囲がさらに好ましい。反応性官能基数が4以上の重合性モノマーを混合して用いることで、配向膜と光学異方性層間の密着性を高めることができる。
ポリマーは、セルロース誘導体が好ましい。セルロース誘導体の例には、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロースおよびセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。ポリマーの添加量は、円盤状液晶性化合物に対して0.1乃至10質量%の範囲が好ましく、0.1乃至8質量%の範囲がさらに好ましく、0.1乃至5質量%の範囲が最も好ましい。
円盤状液晶性化合物から光学異方性層を形成する場合、一般に円盤状液晶性化合物および他の化合物を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱し、その後配向状態(ディスコティックネマチック相)を維持して冷却することにより得られる。あるいは、円盤状液晶性化合物および他の化合物(例えば、重合性モノマー、光重合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱したのち重合させ(例えば、UV光の照射により)、さらに冷却することにより光学異方性層を形成してもよい。円盤状液晶性化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70乃至300℃が好ましく、70乃至170℃がさらに好ましい。
配向させた液晶性化合物を、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5乃至5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm2乃至50J/cm2の範囲にあることが好ましく、20乃至5000mJ/cm2の範囲にあることがより好ましく、100乃至800mJ/cm2の範囲にあることがさらに好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
保護層を、光学異方性層の上に設けてもよい。
[配向膜]
液晶性化合物を配向させるために配向膜を設けることが好ましい。
液晶性化合物の配向後にその配向状態を固定すれば、配向膜はその役割を果たしているために、光学補償シートの構成要素としては必ずしも必須ではない。すなわち、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみをポリマーフィルム上に転写して光学補償シートを作製することもできる。
配向膜は、液晶性化合物の配向方向を規定する機能を有する。配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア−ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。
二種類以上のポリマーを併用してもよい。
光学補償シートで耐久性が確保するため、配向膜をポリマーフィルム上に塗設した後から、光学補償シートを得るまでのいずれの段階で、配向膜のポリマーを架橋させる処理を実施することが好ましい。
二種類以上のポリマーを架橋させ、ラビング処理することにより配向膜を形成することがさらに好ましい。少なくとも一種類のポリマーとして、それ自体架橋可能なポリマーか、架橋剤により架橋されるポリマーを用いることが好ましい。
架橋構造は、官能基を有するポリマーを、光、熱あるいはpH変化により、ポリマー間で反応させて形成することもできる。また、反応活性の高い化合物を架橋剤として用い、ポリマー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、ポリマー間を架橋することもできる。
ポリマーの架橋は、ポリマーまたはポリマーと架橋剤との混合物を含む配向膜塗布液を、ポリマーフィルム上に塗布したのち、架橋反応(例えば、加熱)により実施される。
配向膜のポリマーは、ポリマーフィルム上に配向膜塗布液を塗布し、加熱乾燥することで架橋させることができる。行われることが一般的である。この塗布液の加熱温度を低く設定して、後述の光学異方性層を形成する際の加熱処理の段階で配向膜の充分な架橋を行うことが好ましい。
配向膜上に液晶性化合物から形成する光学異方性層の配向性を考えると、液晶性化合物を配向させた後、配向膜のポリマーを充分に架橋させる処理を実施することも好ましい。
配向膜に用いるポリマーの例には、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレン、ポリマレイミド、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ゼラチン、ポリビニルトルエン、クロロスルホン化ポリエチレン、セルロースニトレート、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリカーボネートが含まれる。また、カップリング剤(例、シランカップリング剤)から、配向膜のポリマーを形成することもできる。
二種類以上の繰り返し単位からなるコポリマーを用いてもよい。コポリマーの例には、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体およびエチレン/酢酸ビニル共重合体が含まれる。
配向膜に用いるポリマーは、水溶性ポリマーであることが好ましい。水溶性ポリマーは、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。疎水性基が結合している変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。
重合度の異なるポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを二種類併用することも好ましい。
ポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールのケン化度は、70乃至100%が好ましく、80乃至100%がさらに好ましく、85乃至95%が最も好ましい。ポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールの重合度は、100乃至3000が好ましい。
変性ポリビニルアルコールは、共重合変性、連鎖移動変性、またはブロック重合変性により形成できる。
共重合変性における変性基の例には、−COONa、−Si(OR)3、−N(CH3)3Cl、−C919、−COOR、−SO3Naおよび−C1225が含まれる。Rは、水素原子またはアルキル基である。
連鎖移動変性における変性基の例には、−COONa、−SHおよび−C1225が含まれる。
ブロック重合変性における変性基の例には、−COOH、−CONH2、−COOR、−C65が含まれる。Rは、水素原子またはアルキル基である。
下記式(II)で表わされる化合物を、ポリビニルアルコールの変性剤として用いること特に好ましい。
Figure 2006243279
式(II)において、R1は、アルキル基、アクリロイルアルキル基、メタクリロイルアクリル基、アクリロイルオキシアルキル基、メタクリロイルオキシアクリル基またはエポキシアルキル基であり;Wは、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基であり;Xは、式(II)で表わされる化合物が、活性エステル、酸無水物または酸ハロゲン化物を形成するために必要な原子群であり;lは、0または1であり;そして、nは、0乃至4の整数である。
ポリビニルアルコールの変性剤は、下記式(III)で表されることがさらに好ましい。
Figure 2006243279
式(III)において、X1は、式(III)で表される化合物が、活性エステル、酸無水物または酸ハロゲン化物を形成するために必要な原子群であり;そして、mは、2乃至24の整数である。
式(II)で表わされる変性剤は、未変性のポリビニルアルコールのみではなく、変性済みのポリビニルアルコール(共重合変性、連鎖移動変性、ブロック重合変性)に対して作用させることもできる。変性ポリビニルアルコールの例は、特開平9−152509号公報に記載がある。
変性ポリビニルアルコールの合成方法、可視吸収スペクトルの測定方法および変性基導入率の決定方法は、特開平8−338913号公報に記載がある。
架橋剤として、アルデヒド類、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾール類あるいはジアルデヒド澱粉を用いることができる。アルデヒド類の例には、ホルムアルデヒド、グリオキザールおよびグルタルアルデヒドが含まれる。N−メチロール化合物の例には、ジメチロール尿素およびメチロールジメチルヒダントインが含まれる。ジオキサン誘導体の例には、2,3−ジヒドロキシジオキサンが含まれる。カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物の例には、カルベニウム、2−ナフタレンスルホナート、1,1−ビスピロリジノ−1−クロロピリジニウムおよび1−モルホリノカルボニル−3−(スルホナトアミノメチル)が含まれる。活性ビニル化合物の例には、1,3,5−トリアクロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビス(ビニルスルホン)メタンおよびN,N’−メチレンビス−[β−(ビニルスルホニル)プロピオンアミド]が含まれる。活性ハロゲン化合物の例には、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンが含まれる。二種類以上の架橋剤を併用してもよい。
架橋剤は、水溶性ポリマー、特にポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールに特に有効である。生産性を考慮すると、反応活性の高いアルデヒド類、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
架橋剤を多く添加すると、配向膜の耐湿性が改善される。架橋剤の使用量が多すぎると、配向膜の配向機能が低下する。ポリマーに対する架橋剤の添加量は、0.1乃至20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5乃至15質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
配向膜は、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度は含む。残存する架橋剤の量は、配向膜中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。配向膜中に1.0質量%を超える量で未反応の架橋剤が含まれていると、配向膜の耐久性が低下する。すなわち、多量の架橋剤が残存する配向膜を液晶表示装置に使用すると、装置を長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合に、レチキュレーションが発生することがある。
配向膜は、ポリマーを含む溶液、あるいはポリマーと架橋剤を含む溶液を、ポリマーフィルム上に塗布した後、加熱乾燥し(架橋させ)、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、塗布液をセルロースアセテートフィルム上に塗布した後、任意の時期に行なってもよい。
ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合、その塗布液を作製するための溶媒は、消泡作用のある有機溶媒(例、メタノール)とするか、あるいは有機溶媒と水の混合溶媒とすることが好ましい。メタノールと水との混合溶媒を用いる場合、混合溶媒中のメタノールは、1質量%以上であることが好ましく、9質量%以上であることがさらに好ましい。メタノールを使用すると、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方性層の表面の欠陥が著しく減少する。
塗布方法には、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法およびE型塗布法を挙げることができる。特にE型塗布法が好ましい。
配向膜の膜厚は、0.1乃至10μmの範囲が好ましい。加熱乾燥は、加熱温度が20乃至110℃の範囲で実施することが好ましく、60乃至100℃がさらに好ましく、80乃至100℃が最も好ましい。乾燥時間は、1分乃至36時間が好ましく、5乃至30分間がさらに好ましい。塗布液のpHは、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましい。架橋剤がグルタルアルデヒドの場合、pHは4.5乃至5.5の範囲にあることが好ましく、pH5であることが特に好ましい。
ラビング処理は、液晶表示装置の製造で広く採用されている方法と同様である。すなわち、配向膜の表面を、紙、ガーゼ、フェルト、ゴム、ナイロン繊維あるいはポリエステル繊維を用いて一定方向に擦ることにより、配向機能を得る。一般には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布を用いて、数回程度ラビングを行うことにより実施される。
[ポリマーフィルム]
フィルムの光透過率が80%以上となる透明なポリマーを選択して用いることが好ましい。ポリマーの例には、セルロースエステル(例、セルロースアセテート)、ノルボルネン系ポリマー、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル(例、ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネートやポリスルホンが含まれる。市販のポリマー(ノルボルネン系ポリマーでは、アートン、ゼオネックス)を用いてもよい。
セルロースエステルが好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。 低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)または4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。セルロースアセテートが特に好ましい。
セルロースアセテートの酢化度は、55.0乃至62.5%であることが好ましく、57.0乃至62.0%であることがさらに好ましい。
酢化度は、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。
セルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、セルロースエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0乃至1.7であることが好ましく、1.3乃至1.65であることがさらに好ましく、1.4乃至1.6であることが最も好ましい。
セルロースエステルでは、セルロースの2位、3位、6位のヒドロキシル基が均等に置換されるのでなく、6位ヒドロキシル基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースの6位ヒドロキシル基の置換度が、2位、3位に比べて同程度か、多いほうが好ましい。
2位、3位、6位の置換度合計に対する6位置換度の割合は、30乃至40%であることが好ましく、31%以上であることがさらに好ましく、32%以上であることが最も好ましい。6位置換度は、0.88以上であることが好ましい。
6位ヒドロキシル基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基(例、プロピオニル、ブチリル、バレロイル、ベンゾイル、アクリロイル)で置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求める事ができる。
6位置換度が高いセルロースエステルは、特開平11−5851号公報の段落番号0043、0044に記載の合成例1、段落番号0048、0049に記載の合成例2、そして段落番号0051〜0052に記載の合成例3の方法を参照して合成することができる。
[透明支持体のレターデーション]
本明細書において、セルロースアセテートフィルム(透明支持体)のReレターデーション値およびRthレターデーション値は、以下に基づき算出するものとする。
Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のリターデーションおよび厚さ方向のリターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。、Rth(λ)は前記Re(λ)、遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基にKOBRA 21ADHが算出する。 さらに、平均屈折率の仮定値1.48および膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nz、及びRthを算出する。
本発明のポリマーフィルムのReレターデーション値、およびRthレターデーション値は、光学補償する液晶セルの方式により適宜、最適化される。
例えば、TN方式の場合、Re値は、0乃至20nm、Rth値は70乃至400nmに調節する。
液晶表示装置に二枚の光学的異方性セルロースアセテートフィルムを使用する場合、それぞれのフィルムのRthレターデーション値は70乃至250nmであることが好ましい。
また、OCB方式の場合、Re値は、20乃至70nm、Rth値は150乃至600nmに調節する。
液晶表示装置に二枚の光学的異方性セルロースアセテートフィルムを使用する場合、それぞれのフィルムのRthレターデーション値は150乃至300nmであることが好ましい。
なお、セルロースアセテートフィルムの場合、複屈折率(Δn:nx−ny)は、(0.00)乃至(0.002)であることが好ましい。また、セルロースアセテートフィルムの厚み方向の複屈折率Rthは、(0.001)乃至(0.04)であることが好ましい。
さらに、ECB方式の場合、Re値は、0乃至20nm、Rth値は0乃至70nmに調節する。
液晶表示装置に二枚の光学的異方性セルロースアセテートフィルムを使用する場合、それぞれのフィルムのRthレターデーション値は0乃至40nmであることが好ましい。
[ポリマーフィルムの製造]
ソルベントキャスト法によりポリマーフィルムを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、ポリマーを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
有機溶媒は、炭素原子数が2乃至12のエーテル、炭素原子数が3乃至12のケトン、炭素原子数が2乃至12のエステルおよび炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が2乃至12のエーテルの例には、ジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3乃至12のケトンの例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が2乃至12のエステルの例には、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素としては、メチレンクロリドが代表的である。なお、技術的には、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素は問題なく使用できるが、地球環境や作業環境の観点では、有機溶媒はハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機溶媒中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好ましくは2質量%未満)であることを意味する。また、製造したセルロースアセテートフィルムから、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素が全く検出されないことが好ましい。
二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。複数の有機溶媒を併用する場合、上記のエーテル、ケトン、エステルまたはハロゲン化炭化水素に加えて、アルコールまたは炭化水素を用いることができる。
アルコールの沸点は、30乃至170℃であることが好ましい。アルコールは一価であることが好ましい。アルコールの炭化水素部分は、分岐を有していても、環状であってもよい。炭化水素部分は、飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールのヒドロキシル基は、第一級〜第三級のいずれでもよい。
アルコールの例には、メタノール(沸点:64.65℃)、エタノール(78.325℃)、1−プロパノール(97.15℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−ブタノール(117.9℃)、2−ブタノール(99.5℃)、t−ブタノール(82.45℃)、1−ペンタノール(137.5℃)、2−メチル−2−ブタノール(101.9℃)、シクロヘキサノール(161℃)、2−フルオロエタノール(103℃)、2,2,2−トリフルオロエタノール(80℃)、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(109℃)、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール(55℃)、1,1,1,3,3,3−ヘキサ−2−メチル−2−プロパノール(62℃)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(59℃)、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール(80℃)、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール(114℃)、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノール(97℃)、パーフルオロ−tert−ブタノール(45℃)、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール(142℃)、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオール(111.5℃)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−1−オクタノール(95℃)、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロ−1−オクタノール(165℃)、1−(ペンタフルオロフェニル)エタノール(82℃)および2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジルアルコール(115℃)が含まれる。
炭化水素の沸点は、30乃至170℃であることが好ましい。炭化水素は、分岐を有していても、環状であってもよい。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いることができる。脂肪族炭化水素は、不飽和であってもよい。炭化水素の例には、シクロヘキサン(沸点:80.7℃)、ヘキサン(69℃)、ベンゼン(80.1℃)、トルエン(110.6℃)およびキシレン(138.4〜144.4℃)が含まれる。
ポリマー溶液を調製する際に、容器内に不活性ガス(例、窒素ガス)を充満させてもよい。ポリマー溶液の製膜直前の粘度は、製膜の際に流延可能な範囲であればよい。粘度は、10ps・s〜2000ps・sの範囲が好ましく、30ps・s〜400ps・sの範囲がさらに好ましい。
一般的な方法でポリマー溶液を調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。
ポリマーの量は、得られる溶液中に10乃至40質量%含まれるように調整する。ポリマーの量は、10乃至30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0乃至40℃)でポリマーと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、ポリマーと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60乃至200℃であり、さらに好ましくは80乃至110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。 容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器のような手段を用いて冷却する。
冷却溶解法により、溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒中にもポリマーを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でポリマーを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にポリマーを撹拌しながら徐々に添加する。
ポリマーの量は、この混合物中に10乃至40質量%含まれるように調整することが好ましい。ポリマーの量は、10乃至30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物を−100乃至−10℃(好ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス−メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30乃至−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、ポリマーと有機溶媒の混合物は固化する。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
さらに、これを0乃至200℃(好ましくは0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒中にポリマーが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。
加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
調製したポリマー溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりポリマーフィルムを製造する。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18乃至35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許第2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許第640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。 流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
また、複数のポリマー溶液(ドープ)を調製し、ソルベントキャスト法により2層以上を流延して、ポリマーフィルムを作製してもよい。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40質量%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
複数のポリマー溶液を流延する場合、支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からポリマーを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製する方法(特開昭61−158414号、特開平1−122419号、同11−198285号の各公報記載)が適用できる。また、2つの流延口からポリマー溶液を流延することによってもフィルムを作製する方法(特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、同61−947245号、同61−104813号、同61−158413号、特開平6−134933号の各公報記載)を実施してもよい。さらに、高粘度ポリマー溶液の流れを低粘度のポリマー溶液で包み込み、その高、低粘度のポリマー溶液を同時に押出すポリマーフィルム流延方法(特開昭56−162617号公報記載)も採用できる。
あるいは、二個の流延口を用い、第一の流延口により支持体に成型したフィルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行なうことでより、フィルムを作製する方法(特公昭44−20235号公報記載)を採用してもよい。
流延する複数のポリマー溶液は、同一の溶液でもよい。複数のポリマー層に機能を持たせるために、その機能に応じたポリマー溶液を、それぞれの流延口から押出してもよい。
フィルムを製造するためのポリマー溶液は、他の機能層(例、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光膜)の塗布液と同時に流延することできる。
単層流延では、必要なフィルム厚さにするためには高濃度で高粘度のポリマー溶液を押出すことが必要である。その場合、ポリマー溶液の安定性が悪く、固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良になる場合がある。複数のポリマー溶液を流延口から流延すると、高粘度の溶液を同時に支持体上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できる。また、濃厚なポリマー溶液を用いることで、乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
ポリマーフィルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。
可塑剤の添加量は、ポリマーの量の0.1乃至25質量%であることが好ましく、1乃至20質量%であることがさらに好ましく、3乃至15質量%であることが最も好ましい。
ポリマーフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01乃至1質量%であることが好ましく、0.01乃至0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を越えると、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
ポリマーフィルムには、製造時のハンドリング性向上のために、片面または両面にマット剤とポリマーを含有するマット層を設けてもよい。マット剤およびポリマーについては特開平10−44327号公報に記載されている素材を好適に用いることができる。
ポリマーフィルムの厚さは、10乃至200μmが好ましく、20乃至150μmがさらに好ましく、最も好ましくは30乃至140μmである。
ポリマーフィルムの複屈折は、550nmの光で、0.00196乃至0.01375であることが好ましく、0.00168乃至0.006875がさらに好ましく、最も好ましくは0.00275乃至0.00458である。
[延伸処理]
ポリマーフィルムは、延伸処理によりレターデーションを調整することができる。
延伸倍率(元の長さに対する延伸による増加分の比率)は、3乃至100%であることが好ましく、5乃至80%であることがさらに好ましく、10乃至60%であることが最も好ましい。
延伸処理は、一軸延伸または二軸延伸が好ましい。
二軸延伸には、同時二軸延伸法と逐次二軸延伸法がある。連続製造には、逐次二軸延伸方法が適している。逐次二軸延伸方法では、バンドもしくはドラムにドープを流延した後、フィルムを剥ぎ取り、幅方向(または長手方法)に延伸した後、長手方向(または幅方向)に延伸する。
幅方向に延伸する方法は、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号の各公報に記載されている。フィルムの延伸は、常温または加熱条件下で実施する。加熱温度は、フィルムのガラス転移温度以下であることが好ましい。フィルムの延伸処理は、乾燥処理中に実施してもよい。溶媒が残存する状態でのフィルムの延伸は、特別な効果が得られる場合がある。
長手方向の延伸の場合、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くすると、フィルムを容易に延伸できる。 幅方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフィルムを延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)も実施できる。
流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下ではなく、不活性ガス(例、窒素ガス)の雰囲気下で実施することもできる。一般的な巻き取り機を、ポリマーフィルムの製造に用いることができる。巻き取り方法は、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、あるいは内部応力一定のプログラムテンションコントロール法が採用できる。
[偏光板]
偏光板は、偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる。一方の保護膜として、本発明に従う光学補償シートを用いることができる。他方の保護膜は、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよい。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
また、偏光板の生産性には保護フィルムの透湿性が重要であることがわかった。偏光膜と保護フィルムは水系接着剤で貼り合わせられており、この接着剤溶剤は保護フィルム中を拡散することで、乾燥される。保護フィルムの透湿性が高ければ、高いほど乾燥は早くなり、生産性は向上するが、高くなりすぎると、液晶表示装置の使用環境(高湿下)により、水分が偏光膜中に入ることで偏光能が低下する。
[画像表示装置]
本発明に従う光学補償シート、または本発明に従う光学補償シートと偏光膜とを貼り合わせて得られた偏光板は、画像表示装置、中でも液晶表示装置、特に透過型液晶表示装置に有利に用いられる。
透過型液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなる。 偏光板は、偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。
本発明に従う光学補償シートは、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置する。
液晶セルの両側に配置された二枚の偏光板のうちの少なくとも一方に、本発明に従う光学補償シートを用いればよい。光学補償シートが液晶セル側となるように、偏光板を配置する。
液晶セルは、VAモード、OCBモード、IPSモード、またはTNモードであることが好ましい。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。
そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60乃至120゜にねじれ配向している。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
[視角による色味変化]
色味は、変化量を視覚的に表現するため、Luv座標に基づき評価することが好ましい。 色味変化量を下記Cuvで定義することで、感覚的な色味変化を定量的に示すことができる。
uv={u*2+v*21/2
* =u−u0
* =v−v0
色味変化量Cuvが0.07以下であることが、実用上問題ないレベルで好ましい。0.05以下であることがより好ましい。0.04以下であることがさらに好ましい。目視で全く変化を感じない0.03以下であることが最も好ましい。
[視角による透過率変化]
透過率変化として、ΔT(60)の値を、下記式で定義する。

ΔT(60)=(T(60)−T(0))/T(0)×100

T(60):黒表示時、視認側の偏光板の吸収軸から、パネルの上方向に面内に45度、正面から40度傾いた方向から観察した透過率
T(0): 黒表示時での正面での透過率。
透過率変化ΔT(60)が10%以下であることが、実用上問題ないレベルで好ましい。5%以下であることがより好ましい。3%以下であることがさらに好ましい。目視で全く変化を感じない2%以下であることが最も好ましい。
[光学補償シートKH−01の作製]
(ポリマーフィルムの作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。
────────────────────────────────────
セルロースアシレート溶液組成
────────────────────────────────────
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 295質量部
メタノール(第2溶媒) 68質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 2質量部
────────────────────────────────────
別のミキシングタンクに、下記のレターデーション上昇剤16質量部、メチレンクロライド80質量部およびメタノール20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
Figure 2006243279
セルロースアシレート溶液474質量部にレターデーション上昇剤溶液25質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、3.5質量部であった。
得られたドープを、ドラム流延機を用いて流延した。ドラム上での膜面温度が40℃となってから、70℃の温風で1分乾燥し、揮発分が55%の状態でドラムからフィルムを剥ぎ取り、その直後にフィルムを140℃の乾燥風で1分環乾燥し、さらに130℃の乾燥風で15分間乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%のセルロースアシレートフィルム(厚さ:80μm)を製造した。
作製したセルロースアシレートフィルム(CAF−01)について、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにおけるReレターデーション値を測定したところ、7nmであった。また、波長550nmにおけるRthレターデーション値を測定したところ、85nmであった。
作製したセルロースアシレートフィルムを2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗、乾燥した。このセルロースアシレートフィルムの表面エネルギーを接触角法により求めたところ、63mN/mであった。
(配向膜の形成)
作製したセルロースアシレートフィルム上に、下記の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
次に、セルロースアシレートフィルムの長手方向と平行な方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
────────────────────────────────────
配向膜塗布液組成
────────────────────────────────────
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
────────────────────────────────────
Figure 2006243279
(光学異方性層の形成)
配向膜上に、下記の円盤状液晶性化合物41.01g、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)4.06g、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.90g、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.23g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1.35g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.45gを、102gのメチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#3.6のワイヤーバーで塗布した。これを130℃の恒温ゾーンで2分間加熱し、円盤状液晶性化合物を配向させた。次に、60℃の雰囲気下で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し円盤状液晶性化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層を形成し、光学補償シート(KH−01)を作製した。
Figure 2006243279
波長546nmで測定した光学異方性層のReレターデーション値は43nmであった。また、円盤面と透明支持体(セルロースアシレートフィルム)面との間の角度(傾斜角)は平均で42゜であった。
[光学補償シートKH−02の作製]
(ポリマーフィルムの作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
(セルロースアセテート溶液組成)
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 45質量部
染料(住化ファインケム(株)製 360FP) 0.0009質量部
別のミキシングタンクに、下記のレターデーション上昇剤16質量部、メチレンクロライド80質量部およびメタノール20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
上記組成のセルロースアセテート溶液464質量部にレターデーション上昇剤溶液36質量部、およびシリカ微粒子(アイロジル製 R972)1.1質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、5.0質量部であった。また、シリカ微粒子の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.15質量部であった。
Figure 2006243279
得られたドープを、幅2mで長さ65mの長さのバンドを有する流延機を用いて流延した。バンド上での膜面温度が40℃となってから、1分乾燥し、剥ぎ取った後、140℃の乾燥風で、テンターを用いて幅方向に28%延伸した。この後、135℃の乾燥風で20分間乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%の支持体(PK−1)を製造した。
得られた支持体(PK−1)の幅は1340mmであり、厚さは92μmであった。エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、38nmであった。また、波長550nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、175nmであった。
作製した支持体(PK−1)のバンド面側に、1.0Nの水酸化カリウム溶液(溶媒:水/イソプロピルアルコール/プロピレングリコール=69.2質量部/15質量部/15.8質量部)を10cc/m2塗布し、約40℃の状態で30秒間保持した後、アルカリ液を掻き取り、純水で水洗し、エアーナイフで水滴を削除した。その後、100℃で15秒間乾燥した。このPK−1の純水に対する接触角を求めたところ、42°であった。
(配向膜の作製)
このPK−1上(アルカリ処理面)に、下記の組成の配向膜塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥し、配向膜を作製した。
(配向膜塗布液組成)
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
クエン酸エステル(三協化学製 AS3) 0.35質量部
Figure 2006243279
(ラビング処理)
PK−1を速度20m/分で搬送し、長手方向に対して45°にラビング処理されるようにラビングロール(300mm直径)を設定し、650rpmで回転させて、PK−1の配向膜設置表面にラビング処理を施した。ラビングロールとPK−1の接触長さは、18mmとなるように設定した。
(光学異方性層の形成)
配向膜上に、下記のディスコティック液晶化合物41.01Kg、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)4.06Kg、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.35Kg、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1.35Kg、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.45Kg、クエン酸エステル(三協化学製 AS3)0.45Kgを、102Kgのメチルエチルケトンに溶解した塗布液に、フルオロ脂肪族基含有共重合体(メガファックF780 大日本インキ(株)製)を0.1Kgを加え、#3.2のワイヤーバーを391回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に回転させて、20m/分で搬送されているPK−1の配向膜面に連続的に塗布した。
Figure 2006243279
室温から100℃に連続的に加温する工程で、溶媒を乾燥させ、その後、130℃の乾燥ゾーンで、ディスコティック液晶化合物層の膜面風速がフィルムの搬送方向に平行に2.5m/secとなるようにし、約90秒間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。次に、80℃の乾燥ゾーンに搬送させて、フィルムの表面温度が約100℃の状態で、紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力160W/cm、発光長1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、架橋反応を進行させて、ディスコティック液晶化合物をその配向に固定した。その後、室温まで放冷し、円筒状に巻き取ってロール状の形態にした。このようにして、ロール状光学補償フィルム(KH−02)を作製した。
上記130℃の乾燥ゾーンでのディスコティック液晶化合物層の膜面温度は、127℃であり、この温度での該層の粘度は、695cpであった。粘度は該層と同じ組成比の液晶層(溶媒は除く)を加熱型のE型粘度系で測定した。
作製したロール状光学補償フィルム(KH−02)の一部を切り取り、サンプルとして用いて、光学特性を測定した。波長546nmで測定した光学異方性層のReレターデーション値は38nmであった。また、光学異方性層中のディスコティック液晶化合物の円盤面と支持体面との角度(傾斜角)は、層の深さ方向で連続的に変化し、平均で28゜であった。さらに、サンプルから光学異方性層のみを剥離し、光学異方性層の分子対称軸の平均方向を測定したところ、光学補償フィルム(KH−1)の長手方向に対して、45°であった。
更に、偏光板をクロスニコル配置とし、得られた光学補償フィルムのムラを観察したところ、正面、および法線から60°まで傾けた方向から見ても、ムラは検出されなかった。
[実施例1]
光学補償シート(KH−01)を1.5NのNaOH水溶液(55℃)に浸漬した際の液晶化合物層の厚みの浸漬時間依存性を図1のグラフに示す。浸漬時間にほぼ比例して、厚みが減少していることがわかる。
浸漬時間2分(膜厚減少:12μm)のものと浸漬時間6分(膜厚減少:77μm)の光学補償シートを作製し、各々、KH−01−2、KH−01−6とした。
(偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。
光学補償シートKH−01−2、KH−01−6を、それぞれポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片側に貼り付けた。偏光膜の透過軸と光学補償シートの遅相軸とはほぼ平行になるように配置した。
市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側に貼り付けた。このようにして偏光板を作製した。
(液晶表示装置TN1の作製)
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビング方向が90°交差するように、アンチパラレルとなる配置で向かい合わせ、セルギャップを3.3μmに設定した。セルギャップにΔnが0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を注入し、TN配向液晶セルを作製した。
作製したベンド配向セルを挟むように、作製した偏光板を二枚貼り付けた。偏光板の光学異方性層がセル基板に対面し、液晶セルのラビング方向とそれに対面する光学異方性層のラビング方向とが反平行となるように配置した。
液晶セルに55Hzの矩形波電圧を印加した。白表示0V、黒表示5Vのノーマリーホワイトモードとした。透過率の比(白表示/黒表示)をコントラスト比として、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角を測定した。
結果を表1に示す。
(液晶表示装置TN2の作製)
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビング方向が90°交差するように、アンチパラレルとなる配置で向かい合わせ、セルギャップを2.7μmに設定した。セルギャップにΔnが0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を注入し、TN配向液晶セルを作製した。
作製したベンド配向セルを挟むように、作製した偏光板を二枚貼り付けた。偏光板の光学異方性層がセル基板に対面し、液晶セルのラビング方向とそれに対面する光学異方性層のラビング方向とが反平行となるように配置した。
液晶セルに55Hzの矩形波電圧を印加した。白表示0V、黒表示5Vのノーマリーホワイトモードとした。透過率の比(白表示/黒表示)をコントラスト比として、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角を測定した。
結果を表1に示す。
Figure 2006243279
TN1では、ケン化深度12nmのほうが視野角拡大効果が大きく好ましい結果が得られた。
TN2の場合にはケン化深度77nmの方が好ましい結果が得られた。
このように光学補償シートのケン化の深度により、液晶セルにうまく適合する光学補償シートを作り分けることができた。
[実施例2]
光学補償シート(KH−02)を1.5NのNaOH水溶液に浸漬した際の液晶化合物層の厚みの浸漬時間、およびアルカリ温度依存性を図2のグラフに示す。浸漬時間、およびアルカリ温度にほぼ比例して、厚みが減少していることがわかる。
アルカリ温度45℃、浸漬時間2分(膜厚減少:5μm)のものと、アルカリ温度60℃、浸漬時間7分(膜厚減少:170μm)の光学補償シートを作製し、各々、KH−02−2、KH−02−7とした。
(偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。
光学補償シートKH−02−2、KH−02−7を、それぞれポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片側に貼り付けた。偏光膜の透過軸とポリマーフィルムの遅相軸とはほぼ平行になるように配置した。
市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側に貼り付けた。このようにして偏光板を作製した。
(液晶表示装置OCB1の作製)
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビング方向が平行となる配置で向かい合わせ、セルギャップを6μmに設定した。セルギャップにΔnが0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を注入し、ベンド配向液晶セルを作製した。
作製したベンド配向セルを挟むように、作製した偏光板を二枚貼り付けた。偏光板の光学異方性層がセル基板に対面し、液晶セルのラビング方向とそれに対面する光学異方性層のラビング方向とが反平行となるように配置した。
液晶セルに55Hzの矩形波電圧を印加した。白表示2V、黒表示6Vのノーマリーホワイトモードとした。透過率の比(白表示/黒表示)をコントラスト比として、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角を測定した。
結果を表2に示す。
(液晶表示装置OCB2の作製)
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビング方向が平行となる配置で向かい合わせ、セルギャップを5μmに設定した。セルギャップにΔnが0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を注入し、ベンド配向液晶セルを作製した。
作製したベンド配向セルを挟むように、作製した偏光板を二枚貼り付けた。偏光板の光学異方性層がセル基板に対面し、液晶セルのラビング方向とそれに対面する光学異方性層のラビング方向とが反平行となるように配置した。
液晶セルに55Hzの矩形波電圧を印加した。白表示2V、黒表示5Vのノーマリーホワイトモードとした。透過率の比(白表示/黒表示)をコントラスト比として、測定機(EZ−Contrast160D 、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角を測定した。
結果を表2に示す。
Figure 2006243279
OCB1では、ケン化深度5nmのほうが視野角拡大効果が大きく好ましい結果が得られた。
OCB2の場合にはケン化深度170nmの方が好ましい結果が得られた。
このように光学補償シートのケン化の深度により、液晶セルにうまく適合する光学補償シートを作り分けることができた。
(まとめ)
このように本発明によれば、ケン化という非常に簡便な手段により、各方式の各光学仕様に対応できる光学補償シートを提供できることがわかる。
光学補償シート(KH−01)を1.5NのNaOH水溶液(55℃)に浸漬した際の液晶化合物層の厚みの浸漬時間依存性を示す。 光学補償シート(KH−02)を1.5NのNaOH水溶液に浸漬した際の液晶化合物層の厚みの浸漬時間、およびアルカリ温度依存性を示す。

Claims (4)

  1. 少なくとも液晶化合物からなる光学補償シートの製造方法において、該光学補償シートの光学特性を所望のものとするべく、膜厚減少量を制御するケン化処理を施すことを特徴とする光学補償シートの製造方法。
  2. 少なくとも液晶化合物からなる光学補償シートであって、該光学補償シートの光学特性を所望のものとするべく、膜厚減少量を制御するケン化処理を施したことを特徴とする光学補償シート。
  3. 請求項2に記載の光学補償シートを保護膜としたことを特徴とする偏光板。
  4. 請求項2に記載の光学補償シートまたは請求項3に記載の偏光板を有することを特徴とする画像表示装置。
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