JP2006242671A - 時計 - Google Patents

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Abstract

【課題】 同軸多ゼネバ構造であっても、各ゼネバ車と各伝達車との夫々の軸心間距離を常に一定に保ち、がたつきを充分に抑制できる動力伝達装置及びこれを用いた電子時計を提供する。
【解決手段】 間欠送り機構としての複数のゼネバ車402〜404を同心に配置した制御車87を備え、この制御車の各ゼネバ車に、夫々動力を伝達可能に伝達車90(79,87)を噛み合わせて構成し、伝達車90とゼネバ車402との軸心間距離を略一定に保つように、伝達車の各々にゼネバ車側に付勢する側圧ばね501(〜503)を設けた。
【選択図】 図15

Description

本発明は、ゼネバ機構を用いて暦表示車を駆動する時計に関する。
一般に、暦(カレンダ)を表示する暦表示機構を備えた電子時計(暦表示機能付電子時計)が知られている。この時計の暦表示機構は、ロータの回転に応じて歯車輪列を介して、円周上に「1」〜「31」の数字が配置された日板(日表示車)等の暦表示車を回転させる機構を備えており、アクチュエータによりロータの回転量を制御して日板を一日分回転駆動させるようにしている。
この種の暦表示機構においては、従来、間欠送り機構としてゼネバ機構を用いたものが提案されている(例えば、特許文献1)。
特許第3261700号公報
しかし、従来のゼネバ機構を用いた場合、機構上がたつきが発生するため、ゼネバ車と伝達車との軸心間距離を略一定に保って、そのがたつきを抑えるため、ゼネバ車を傾動自在に支持して、このゼネバ車を側圧ばねにより伝達車側に付勢している。ここで、ゼネバ車と伝達車とが一対一の場合には、ばね付勢の方向が一方向に限定されるため、その方向に一致させて側圧ばねを配置するだけで、がたつきを簡単に抑えることができる。ところが、例えば、複数のゼネバ車を同心に一体に配置して同軸多ゼネバ構造とし、各ゼネバ車に夫々多方向から伝達車を噛み合わせた場合には、寄せ方向が一定にならず、ゼネバ車を何れの方向にばね付勢しても、ゼネバ車と伝達車との軸心間距離を略一定に保てず、がたつきを充分に抑制できなくなる。
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、同軸多ゼネバ構造であっても、各ゼネバ車と各伝達車との夫々の軸心間距離を常に一定に保ち、がたつきを充分に抑制できる時計を提供することにある。
本発明は、動力伝達手段を介して駆動される複数の暦表示車を備え、動力伝達手段が、動力伝達を得て回転する間欠送り機構としての複数のゼネバ車を同心に配置した制御車を備え、この制御車の各ゼネバ車に、夫々暦表示車に動力伝達可能に伝達車を噛み合わせて構成し、伝達車とゼネバ車との軸心間距離を略一定に保つように伝達車の各々にゼネバ車側に付勢する側圧ばねを設けたことを特徴とする。
時計のゼネバ機構では、例えば伝達車の直径がゼネバ車の直径に対し、1/8〜1/10程度と、伝達車の直径がゼネバ車の直径に比し、かなり小さい組み合わせになり、しかも伝達車とゼネバ車の噛合い量は例えば5/100mm程度に小さく設定される。この機構において、各車に噛み合いの不具合を生じさせないため、本発明では、各々の伝達車を例えば傾動自在に支持し、伝達車とゼネバ車との軸心間距離を略一定に保つように、各伝達車に配置した側圧ばねにより各伝達車を個別にゼネバ車側に付勢する。各伝達車からみれば、その付勢方向は一方向となるため、寄せ方向に一致させて各々の側圧ばねを配置することにより、がたつきを抑えることができ、例えば5/100mm程度の噛合い量を正確に維持できる。また、複数のゼネバ車を同心に配置した同軸多ゼネバ構造であるため、平面的省スペース化が図れる。
この場合において、動力伝達手段を介して駆動される複数の暦表示車を備え、動力伝達手段が、動力伝達を得て回転する間欠送り機構としての複数のゼネバ車を同心に配置した制御車を備え、この制御車が制御車ベース部を有し、この制御車ベース部が位置決めダボを備え、この位置決めダボに対し位置決めされて、制御車ベース部にゼネバ車が重ねて結合されており、この制御車の各ゼネバ車に、夫々前記暦表示車に動力伝達可能に伝達車を噛み合わせて構成し、伝達車とゼネバ車との軸心間距離を略一定に保つように伝達車の少なくとも一つにゼネバ車側に付勢する側圧ばねを設けてもよい。
制御車ベース部に対しゼネバ車を重ねて結合する場合、それぞれに位相あわせが必要である。本構成では、制御車ベース部が位置決めダボを備えるため、それぞれの位相あわせが簡単になる。また、制御車ベース部には少なくとも一のゼネバ車を形成しておくことが望ましい。さらに、ゼネバ車を金属製又は樹脂製とし、制御車ベース部を樹脂製とすることにより、制御車ベース部と位置決めダボとを一体に成形してもよい。これらによれば、制御車の製造が容易になる。
また、側圧ばねが車と一体に形成された軸を付勢してもよく、側圧ばねの各車の付勢方向が、制御車の軸に向かってもよい。この構成では、車に付勢力を簡単に伝達できる。また、伝達車が、地板又は中間プレート或いは上部プレートに傾動自在に支持されていてもよい。地板又は中間プレート或いは上部プレートに大きめの支持孔をあけておいて、この支持孔に伝達車の軸を傾動自在に挿入し、これに側圧ばねをあてて付勢するだけでよく、組み立て作業性が向上する。
また、制御車が、地板又は中間プレート或いは上部プレートに傾動自在に支持されて、一の伝達車側に傾動し、一の伝達車とこれに対応するゼネバ車との軸心間距離を略一定に保つように前記制御車に一の伝達車側に付勢する側圧ばねを設けてもよい。この構成では、一の伝達車は傾動せずに地板等に固定される。この場合でも、各車からみれば、その付勢方向は一方向となり、寄せ方向に一致させて側圧ばねを配置すれば、がたつきを簡単に抑えることができる。また、この場合に、地板等に大きめの支持孔をあけ、この支持孔に制御車の軸を傾動自在に挿入し、これに側圧ばねをあてて付勢すればよく、組み立て作業性が向上する。
側圧ばねが薄板をプレス抜きして形成された板ばねであってもよく、この板ばねが車の付勢部とマウント部とを一体に備えて形成されていてもよい。時計のゼネバ機構では、側圧板ばねの厚さが例えば3〜10/100mm程度と薄く、幅も10〜30/100mm程度と狭い。本構成では、側圧板ばねが例えば4/100mm程度の薄板をプレス抜きし、車の付勢部とマウント部とを一体に備えて形成されたため、これらを別々に形成して結合したものに比べて製造が簡単になる。
本発明では、各々の伝達車を例えば傾動自在に支持しておいて、各伝達車に配置した側圧ばねにより各伝達車を個別にゼネバ車側に付勢しているため、各伝達車からみれば、その付勢方向は一方向となり、寄せ方向に一致させて側圧ばねを配置することで、がたつきを簡単に抑えることができる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。本実施形態では、本発明を腕時計に適用した場合について例示する。なお、以下の説明において、日付は全て太陽暦に従うものとする。
図1は、本発明の一実施形態に係る腕時計の外観構成を示す図である。図1に示すように、腕時計1は、時計本体部1aと、この時計本体部1aに連結されたベルト1bとを備えて構成されている。399はリューズである。時計本体部1aは、筐体200と、この筐体200に設けられた円盤状の時刻表示盤202とを備え、この時刻表示盤202の上面には、秒針61と、分針(長針)62と、時針(短針)63からなる3つの表示指針が設けられている。時刻表示盤202には、その円周に沿って、時刻を示す記号が等間隔に配置されており、表示指針の各々が指し示す数字または記号(本実施形態では、記号には、文字も含まれるものとする)により、現在時刻が表示される。
また、時刻表示盤202には、略矩形にくり抜かれてなる日表示窓204と、24時表示部205と、月表示部206と、年表示部208とがそれぞれ設けられている。日表示窓204には、暦の「日」を示す「1」乃至「31」のいずれか1の数字が表示される。この場合、後述するように、1位の数字と10位の数字とは別々の日車(暦表示車)に付され、暦の「日」は、各日車に付された数字によって表示される。24時表示部205には、その円周に沿って、24等分された時刻を示す記号が等間隔に配置されており、表示指針205aが指し示す記号により「時間」が表示される。
また、月表示部206には、その円周に沿って、暦の「月」を示す、例えば「JAN」(1月を示す)〜「DEC」(12月を示す)のいずれか1の記号が等間隔に配置されており、表示指針206aが指し示す記号により暦の「月」が表示される。年表示部208には、その円周に沿って、数字「0」乃至「3」のいずれか1の数字が等間隔に表示され、閏年であれば、表示指針208aが数字「0」を指し示し、それ以降、「1」「2」「3」を指し示せば、それは閏年から何年目であるかを表示する。これにより、ユーザは暦の「年」を知ることができる。
この時計本体部1a内には、時刻表示盤202と略同形状の円盤状の地板303(図4)が配置され、この地板303を挟んで、時計の表側にはオートカレンダ機構(暦表示手段)が配置され、裏側には時計としての基本機構が配置されている。なお、この地板303は、オートカレンダ機構の各歯車の一端を軸支する部材として機能する。
図2はオートカレンダ機構を示す図であり、図3はその拡大図である。このオートカレンダ機構は、上記地板303の一方の面(時計1の表側)に支持され、その駆動源は、圧電アクチュエータ(駆動手段)71である。この圧電アクチュエータ71は、振動子である圧電素子を備え、この圧電素子の振動により、ロータ72の外周部を突っつき、これによって、当該ロータ72を回転させる。このロータ72を含む、以下に説明する減速輪列等がいわゆる歯車輪列を構成している。すなわち、このロータ72はロータかな72aを一体に備え、このロータかな72aには、中間車74が噛み合う。この中間車74の中間車かな74aには、中間車75が噛み合い、その中間車かな75aには、中間車76が噛み合う。この中間車76は、制御車かな77に噛み合い、この制御車かな77は、制御車78と一体に形成される。ここまでは制御車78を回すための減速輪列である。
この制御車かな77には、当該制御車かな77の位置決め用のジャンパ300が付設されている。この位置決め用ジャンパ300は、図4A、図4Bに示すように、大別すると、板状のジャンパ本体301と、ジャンパ本体301の一端側に延在され、ジャンパ本体301を制御車かな77側に付勢する弾性部302と、を備えている。ジャンパ本体301の中央部には、地板303に立設された回転軸351がジャンパ本体301を回動可能に挿入される回転軸孔303aを備えている。ジャンパ本体301の側部には、リブ304が設けられており、リブ304の一端には、可動電極として機能する可動電極部305がジャンパ本体301の表面から垂直な方向に立設されている。さらにジャンパ本体301の他端側の側部には、制御車かな77に係合して、制御車かな77の保持位置を規制する規制突起部306が設けられている。図4Aに示すように、配線基板400の可動電極部305に対向する位置には、固定電極としてのオーバーハング電極部401が形成されている。オーバーハング電極401は、配線基板400を構成する樹脂部からせり出すように形成されているものであり、その一端は、配線基板400上に形成された配線パターン402に接続されている。また、位置決め用ジャンパ300の弾性部302は、地板303に対し、固定ねじ352により固定されている。
この位置決め用ジャンパ300には高電位側電源が接続されている。また、この腕時計1は、腕時計1全体を制御する後述する制御部A(図9)を備え、この制御部Aは、制御入力端子(図示せず)及び配線パターン402を介してオーバーハング電極部401に接続されており、オーバーハング電極部401の電位状態に応じてアクチュエータ駆動回路を制御する。ここで、制御入力端子は、制御部A内部で電圧検出用抵抗を介して接地されており、通常状態で“L”レベルとなっている。アクチュエータ駆動回路は、制御部Aから圧電アクチュエータ71を駆動するための駆動指示が与えられると、圧電アクチュエータ71に所定の電圧印加パターンで電圧を印加し、駆動状態とする。
圧電アクチュエータ71の駆動力は、歯車輪列を介して減速されつつ伝達され、制御車かな77を矢印A方向に回転駆動する。これに伴い、位置決め用ジャンパ300の規制突起部306は、制御車かな77を構成する歯77Aを乗り越えようとし、位置決め用ジャンパ300は、回転軸351を回転中心として矢印B方向に回動する。これにより、位置決め用ジャンパ300の可動電極部305は、弾性部302の付勢力に抗して、オーバーハング電極部401側に回動し、最後は、オーバーハング電極部401と電気的に接続される。従って、制御入力端子の電位は高電位側電源レベル、すなわち、“H”レベルとなり、制御部Aは、位置決め用ジャンパ300の規制突起部306が制御車かな77の歯77Aを乗り越えている状態であることを知る。
これによれば、制御車78が回転した場合、制御入力端子の電位レベルの変化を監視することで、制御車かな77ひいては制御車78の送り量が、暦を1日分送ることが可能となる送り量に至ったことが検出され、当該検出時点で圧電アクチュエータ71の駆動が停止される。ここで、制御車78の送り量が暦を1日分送ることが可能となる送り量というのは、制御車かな77と中間車76との間のバックラッシ分に相当するだけ制御車78を送っていない状態であり、位置決め用ジャンパ300の付勢力により制御車かな77を駆動し、当該位置で位置決め状態にすることが可能となるまでの送り量をいう。従って、この制御車78の送り量が暦を1日分送ることが可能となる送り量まで圧電アクチュエータ71を駆動すれば、当該時点で制御部Aが圧電アクチュエータ71の駆動を停止したとしても、位置決め用ジャンパ300の制御車回転方向への付勢力により制御車かな77が矢印A方向に制御車かな77の歯面と中間車76の歯面との間のバックラッシ分駆動され、制御車かな77の歯面と中間車76の歯面が当接した時点で暦の1日分送りが完了することとなる。従って、制御車かな77の歯面と中間車76の歯面が当接するまで圧電アクチュエータ71を駆動する必要がなく、位置決め用ジャンパ300と連携した動作を行うことができるので消費電力を低減できる。すなわち、制御部Aは、位置決め用ジャンパ300の切り替わりを検出することにより、ロータ72の送り量が暦を1日分送る送り量となったことを検出する。すなわち、位置決め用ジャンパ300は、ロータ72の送り量を検出するロータ送り量検出手段として機能する。
制御車78は、爪数が異なる複数の送り爪(図14の第1〜第3のゼネバ車402〜404)を備え、いずれかのゼネバ車が、図2中、制御車78の上方に位置する、1位の日車(1位表示体(暦表示車))89を回す日回し車87と、10位の日車(10位表示体(暦表示車))92を回す日回し車90と、図中で制御車78の右下に位置する、月車(暦表示車)82を回す月表示中間車79とにそれぞれ噛み合う。ここで、1位の日車89の外周表面には「0」〜「9」の数字が周方向に等間隔に表示され、10位の日車92の外周表面には「空領域又は0」と「1」〜「3」の数字が周方向に等間隔に表示される。なお、「空領域」とは数字の記載がない領域で、該当日が一桁の「日」(すなわち、1日〜9日)に相当するとき、10位に位置付けられる。
上述した日表示窓204には、1位の日車89上の数字「0」〜「9」と、10位の日車92上の「空領域」或いは数字「1」〜「3」との組み合わせにより、暦の「日」を示す「1」乃至「31」のいずれかの数字が表示される。
上述した制御車78が回転すると、まず、1位の日車89に対応する送り爪(図14の第3のゼネバ車404)を介して、日回し車87および1位日かな88が回転し、これと一体に1位の日車89が回転し、その外周表面上の数字「0」〜「9」が、原則的に、1日に1回の割合で周方向に一つ送られる。この制御車78の回転に応じて、1位の日車89の回転が進み、10位が繰り上がる日付に至ると、今度は、10位の日車92に対応した送り爪(図14の第1のゼネバ車402)を介して、日回し車90および10位日かな91が回転し、これと一体に10位の日車92が回転し、その外周表面上の「空領域」或いは数字「1」〜「3」が、10日に1回の割合で周方向に一つ送られる。
また、制御車78の回転に対応して、1位の日車89および10位の日車92の回転が進み、「月」の表示が繰り上がる日付に至ると、今度は、月車82に対応した送り爪(図14の第2のゼネバ車403)を介して、月表示中間車79および月検出車80が回転し、これと一体に月車82が回転する。そして、その表示指針206aが回転し、月表示部206上の暦の「月」を示す「JAN」(1月を示す)〜「DEC」(12月を示す)のいずれか1の記号が指し示され、暦の「月」表示が行われる。
上記月検出車80には、年表示中間車83が噛み合い、この年表示中間車83には年送り車84が噛み合う。そして、この年送り車84には年車(暦表示車)85が噛み合い、この年車85には、暦の「年」を指し示す表示指針208aが接続される。この場合、年送り車84は、1年の期間を経て、初めて年車85を90°回転させるように構成される。従って、表示指針208aは、1年に1回送られる。そして、閏年であれば、表示指針208aが数字「0」を指し示し、それ以降、「1」「2」「3」を指し示せば、例えば、それは閏年から何年目であるかを表示し、これにより、暦の「年」が表示される。
すなわち、このオートカレンダ機構は、ロータ72の回転を歯車輪列を介して減速して制御車78を回転し、この制御車78の回転により、日車(1位の日車89および10位の日車92)、月車82および年車85をそれぞれ回転する。
上記24時表示部205では、その駆動力が、オートカレンダ機構の駆動源とは異なり、地板303の裏側に配置された時計の後述する運針機構Eの駆動源から取られる。すなわち、運針機構Eの筒車(時針(短針)63を支持する筒車)に筒車体93が一体化されており、この筒車体93には、24時検出車94が噛み合う。
そして、この24時検出車94には、24時車95が噛み合い、この24時車95の回転により、24時表示部205の表示指針205aが回転する。この表示指針205aは、1時間に1回送られる。
この24時検出車94には、ばねスイッチ310が設けられ、このばねスイッチ310により、表示指針205aが「午前零時」を指し示したことが検出される。具体的には、図2に示すように、24時検出車94には、ばね接点97が設けられ、このばね接点97と対向する回路基板上に、24時検出車94が「午前零時」の回転位置となったときにばね接点97を介して導通する導通端子部(図示せず)が設けられる。このばねスイッチ310の開閉は、後述する制御部Aによって検出される。すなわち、このばねスイッチ310は、「午前零時」を検出する24時検出手段として機能する。
次に、カレンダ検出(年検出、月検出および日検出)について説明する。
上記構成において、年表示中間車83の中間車かな83aには、年検出車86が噛み合い、この年検出車(検出車)86には、ばねスイッチ320が設けられる。具体的には、図2および図5に示すように、年検出車86には、ばね接点96が設けられ、このばね接点96と対向する回路基板上には、年検出車86の回転に応じて、年検出車86と共に回転するばね接点96を介して導通する導通端子部96Tが設けられる。この導通端子部96Tは、表示される年が「閏年」か否かで導通(閉状態)或いは非導通(開状態)となるように形成され、後述する制御部Aの端子CS2と接続されている。この制御部Aは、端子CS2を介してばねスイッチ320の開閉(HレベルかLレベルか)を検出することにより、図6に示す年情報検出パターンに基づいて該当年が「閏年」か「非閏年(平年)」のいずれかを検出するようになっている。すなわち、年情報の検出パターン数は2となっている。
また、上記月検出車(検出車)80には、表示される月が「大」の月か否かを検出するばねスイッチ331と、表示される月が、2月を除く「小」の月か否かを検出するばねスイッチ332が設けられる。具体的には、図2および図5に示すように、月検出車80の支持軸には、ばね接点98が設けられ、このばね接点98と対向する回路基板303a上に、月検出車80と共に回転するばね接点98を介して導通する導通端子部98Tとして、表示される月が「大」の月の場合に導通(閉状態)或いは非導通(開状態)となる導通端子部98T1と、表示される月が2月を除く「小」の月の場合に導通(閉状態)或いは非導通(開状態)となる導通端子部98T2とが形成される。この導通端子部98T1は制御部Aの端子CS1と接続され、導通端子部98T2は制御部Aの端子CS0と接続される。制御部Aは、この端子CS1およびCS0を介してばねスイッチ331および332の開閉(HレベルかLレベルか)の組み合わせを検出することにより、図7に示す月情報検出パターンに基づいて、表示されている「月」が、「2月」か、2月を除く「小の月」か、或いは「大の月」かのいずれかを検出するようになっている。すなわち、月情報の検出パターン数は3となっている。
また、1位の日車(検出車)89および10位の日車(検出車)92の裏面には、反射領域と非反射領域とが設けられた光検出用パターン(図示せず)が設けられ、地板303に設けられた基板上に、このパターンを読みとる複数のフォトリフレクタ(反射型フォトセンサ)が設けられる。具体的には、10位の日車92と対向する基板上には、異なる位置に光を照射してその反射光を受光する2つのフォトリフレクタが配置され、この日車92の裏面には、各フォトリフレクタによって、表示されている日が、「00or10」、「20」、「30」のいずれかを判別可能にする光検出用パターンが設けられる。この2つのフォトリフレクタの一方は、制御部Aの端子PT2に接続され、他方は端子PT3に接続される。また、1位の日車89と対向する基板上にも、2つのフォトリフレクタが配置され、この日車89の裏面には、各フォトリフレクタによって、表示されている1位の「日」が「2〜8」、「9」、「0」、「1」のいずれかを判別可能にする光検出用パターンが設けられる。この2つのフォトリフレクタの一方は、制御部Aの端子PT0に接続され、他方は端子PT1に接続される。
図8に日情報検出パターンを示すように、制御部Aは、これら4つのフォトリフレクタの受光結果に基づいて、表示されている10位の「日」が、「0or1」か、「2」か、「3」のいずれかを検出すると共に、表示されている1位の「日」が、小の月には存在しない日(29、30、31)の1位の日である「9」か、「0」か、「1」か、それとも「2〜8」のいずれかを検出するようになっている。すなわち、日の検出パターン数は12となっている。但し、この検出パターンには、非存在の日(0日、32〜38日、39日)を含んでおり、また、日検出は、後述するように存在日か否か(月末補正が必要か否か)を判定するために使用されるものであるから、最低、「1〜28日」、「29日」、「30日」、「31日」の4種類の検出パターンを検出すればよい。
本構成では、検出パターン数が多く、かつ、ロータ72に対する減速比が小さい歯車、すなわち、回転トルクが小さい歯車(日車89、92)を用いる日検出には、非接触検知のため比較的耐久性が高いフォトリフレクタを用い、その他のカレンダ検出には、ばねスイッチを用いることで、耐久性にも動力トルク低減にも消費電力の低減にも優れたカレンダ検出機構が提供されている。
図9は、腕時計1の電気的構成を機械的構成と共に示す図である。同図に示すように、腕時計1は、制御部Aと、発電部Bと、電源部Cと、指針駆動部Dと、運針機構Eと、日付機構駆動部Fと、オートカレンダ機構(ロータ72のみを示す)とを備えている。
発電部Bは、交流電力を発電するものであり、回転錘45を備えている。この回転錘45は、ユーザの手首などの動きに伴って旋回可能に設けられており、回転錘45の旋回(運動エネルギー)が増速用ギア46を介して発電装置40に伝達されるようになっている。発電装置40は、発電用ステータ42と、この発電用ステータ42の内部に回転可能に設けられた発電用ロータ43と、発電用ステータ42に電気的に接続された発電コイル44とを備えており、発電用ロータ43が回転錘45の旋回(運動エネルギー)により回転し、この回転により発電コイル44に交流電圧が誘起されるようになっている。つまり、腕時計1がユーザに装着されている間、ユーザが何らかの動作をするに伴い、回転錘45が旋回することにより、発電が行われる。
電源部Cは、発電部Bからの交流電圧を整流して蓄電し、蓄電した電力を昇圧して各構成部分へ給電する。具体的に説明すると、電源部Cは、整流回路として作用するダイオード47、大容量コンデンサ48および昇降圧回路49から構成されている。昇降圧回路49は、3つの容量49a、49bおよび49cを用いて多段階の昇圧および降圧ができるようになっており、制御部Aからの制御信号によって指針駆動部Dに供給する電圧を調整することができる。また、昇降圧回路49の出力電圧はモニタ信号によって制御部Aにも供給されており、これによって、制御部Aは、出力電圧をモニタしている。ここで、電源部Cは、Vdd(高電圧側)を基準電位(GND)に取り、Vss(低電圧側)を電源電圧として生成している。
指針駆動部Dは、制御部Aの制御の下、運針機構Eに様々な駆動パルスを供給するものである。本実施形態では、指針駆動部Dは、秒針61を駆動する秒針駆動部D1と、時針63、分針62および24時表示用の表示指針205aを駆動する時分針駆動部D2とから構成されている。さらに説明すると、秒針駆動部D1は、直列に接続されたpチャンネルMOS33aとnチャンネルMOS32a、およびpチャンネルMOS33bとnチャンネルMOS32bによって構成されたブリッジ回路を備えている。また、秒針駆動部D1は、pチャンネルMOS33aおよび33bとそれぞれ並列に接続された回転検出用抵抗35aおよび35bと、これらの抵抗35aおよび35bにチョッパパルスを供給するためのサンプリング用のpチャンネルMOS34aおよび34bを備えている。したがって、これらのMOS32a、32b、33a、33b、34aおよび34bの各ゲート電極に制御部Aからそれぞれのタイミングで極性およびパルス幅の異なる制御パルスが印加されることにより、運針機構Eの一部を構成する秒針運針機構E1に、例えば極性の異なる駆動パルスなどの様々の駆動パルスを供給することができるようになっている。
また、時分針駆動部D2は、秒針駆動部D1と略同様に構成され、制御部Aから極性およびパルス幅の異なる制御パルスが印加されることにより、運針機構Eの一部を構成する時分針運針機構E2に、例えば極性の異なる駆動パルスなどの様々の駆動パルスを供給することができるようになっている。
運針機構Eは、秒針運針機構E1と時分針駆動部E2から構成される。秒針運針機構E1は、ステッピングモータ10を備え、このステッピングモータ10により秒針61を回転駆動する。詳述すると、ステッピングモータ10は、秒針駆動部D1から供給される駆動パルスによって磁力を発生する駆動コイル11と、この駆動コイル11によって励磁されるステータ12と、さらに、ステータ12の内部において励磁される磁界により回転するロータ13を備えている。また、ステッピングモータ10は、ロータ13がディスク状の2極の永久磁石によって構成されたPM型(永久磁石回転型)で構成されている。ステータ12には、駆動コイル11で発生した磁力によって異なった磁極がロータ13の回りのそれぞれの相(極)15および16に発生するように磁気飽和部17が設けられている。また、ロータ13の回転方向を規定するために、ステータ12の内周の適当な位置には内ノッチ18が設けられており、コギングトルクを発生させてロータ13が適当な位置に停止するようにしている。このステッピングモータ10のロータ13の回転は、かなを介してロータ13に噛合された秒中間車51および秒車52からなる輪列50によって秒針61に伝達され、秒針61が回転駆動される。
また、時分針駆動部E2は、ステッピングモータ20を備えており、ステッピングモータ20が分針62を回転駆動することにより、この分針62の回転に連動して、時針63と24時表示用の表示指針205aとを回転駆動する。詳述すると、ステッピングモータ20は、上記ステッピングモータ10と同様に、ステータ22とロータ23を備え、ステータ22には、駆動コイル21で発生した磁力によって異なった磁極がロータ23の回りのそれぞれの相(極)25および26に発生するように磁気飽和部27Aが設けられている。また、ロータ23の回転方向を規定するために、ステータ22の内周の適当な位置には内ノッチ28Aが設けられ、コギングトルクを発生させてロータ23が適当な位置に停止するようになっている。
このステッピングモータ20のロータ23の回転は、かなを介してロータ23に噛合された四番車26、三番車27、二番車28、日の裏車29、筒車(時指示車)93a、筒車体93、24時検出車94および24時車95からなる輪列30によって各針に伝達される。二番車29には分針62が接続され、筒車93aには時針63が接続され、さらに、24時車95には表示指針205aが接続されている。ロータ23の回転に連動してこれらの各針によって時分が表示される。
日付機構駆動部Fは、制御部Aの制御の下、圧電アクチュエータ71の圧電素子に交流電圧を印加することにより、圧電アクチュエータ71に振動を生じさせ、この振動によりロータ72の外周部を突っついて当該ロータ72を回転駆動させ、これによって、オートカレンダ機構を駆動するものである。ここで、日付機構駆動部Fは、地板を介して運針機構Eとは対向して配置されることが望ましい。
図10は、制御部Aの機能構成を示すブロック図である。制御部Aは、腕時計1の各部を制御するものであり、指針駆動部Dおよび運針機構Eを制御する時計制御部A1と、オートカレンダ機構を制御してカレンダ送り処理を行うカレンダ制御部A2とを備えている。カレンダ制御部A2は、上述したばねスイッチ310、320、321、332およびフォトリフレクタ(図中PRで示す)と電気的に接続されており、24時検出車94に設けられたばねスイッチが閉状態となった場合に、カレンダ送り処理として、オートカレンダ機構を1日分だけ回転駆動する1日送り処理と、送られた日を検出して非存在日であるか否かを判定するカレンダ検出処理と、非存在日であると判断すると、実際の存在日を表示させるべくオートカレンダ機構を駆動していわゆる月末補正を行うカレンダ補正処理とを実行する。
図11は、カレンダ送り処理を示すフローチャートである。また、図12は、このカレンダ送り処理時の1日送り処理のときのタイミングチャートを示す図である。カレンダ制御部A2は、まず、時刻が「午前零時」になり、図12に示すように、24時検出車94に設けられたばねスイッチ310が閉じてこのばねスイッチ310に接続された端子がHレベルに切り替わったことを検出すると、(ステップS1)、日付機構駆動部Fに対して日送信号(スタート信号)を出力する。この場合、日付機構駆動部Fが圧電アクチュエータ71駆動用の交流信号を出力することにより、ロータ72が回転駆動されてオートカレンダ機構が駆動される(ステップS2)。そして、ロータ72の送り量が1日分の送り量となり、ロータ72の送り量検出用の位置決め用ジャンパ300が切り替わったことを検出すると、日付機構駆動部Fに対してストップ信号を出力してオートカレンダ機構の駆動を停止させる(ステップS3)。以上が1日送り処理である。
続いて、カレンダ制御部A2は、カレンダ検出処理を実行する。具体的には、カレンダ制御部A2は、まず、端子CS1の検出を行い(ステップS4)、検出した電位(HレベルかLレベル)に基づいて、現在表示されている月が「大の月」か否かを判定する(ステップS5)。具体的には、図7に示すように、カレンダ制御部A2は、端子CS1はLレベルであれば「大の月」と判定する。「大の月」と判定すると、「大の月」は非存在日が存在しない月であるため、存在日を表示していると判定でき、カレンダ制御部A2は、カレンダ送りの処理を終了する。
ステップS5において、現在表示されている月が「大の月」でない(すなわち月末補正を必要とする設定暦情報に該当する(端子CS1がHレベル))と判定すると、カレンダ制御部A2は、端子PT3に対応するフォトリフレクタを駆動し、このフォトリフレクタの検出結果を端子PT3を介して検出する(ステップS6)。そして、カレンダ制御部A2は、検出した電位に基づいて、現在表示されている「日」が「1〜19日」に該当するか否かを判定する(ステップS7)。具体的には、図8に示すように、カレンダ制御部A2は、端子PT3がLレベルであれば、「日」の10位の値が「0」か「1」であるため、表示されている「日」が「1〜19日」と判定する。「1〜19日」と判定した場合は、月末補正が不必要な日、つまり、存在日を表示していると判定できるため、カレンダ制御部A2は、カレンダ送りの処理を終了する。
ステップS7において、現在表示されている「日」が「1〜19日」でない(すなわち月末補正を必要とする設定暦情報に該当する(端子PT3がHレベル))と判定すると、カレンダ制御部A2は、端子PT0〜PT2に対応するフォトリフレクタを駆動し、これらフォトリフレクタの検出結果を端子PT0〜PT2を介して検出する(ステップS8)。なお、これらフォトリフレクタはタイミングをずらして駆動することが好ましい。このように複数のフォトリフレクタの駆動タイミングをずらすことによって、駆動電源の定格電流を超えてしまう場合を回避することができる。そして、カレンダ制御部A2は、端子PT0〜PT2の検出結果の組み合わせから現在表示されている日が、「20〜28日」に該当するか否かを判定する(ステップS9)。具体的には、カレンダ制御部A2は、図8に示すように、端子PT2がLレベルで、かつ、端子PT1がHレベル或いは端子PT0がLレベルの場合に「20〜28日」であると判定する。「20〜28日」と判定した場合は、大の月と小の月の両方に必ず存在する日であるため、存在日と判定でき、カレンダ制御部A2は、カレンダ送りの処理を終了する。
カレンダ制御部A2は、まず、現在表示されている月が「大の月」か否かを判定し、「大の月」でない場合にのみ日の検出を行う。従って、現在表示されている月が「大の月」の場合は、日や年の検出を行わないので、その分、カレンダ検出に要する電力を節約することが可能となる。また、「大の月」でない場合、カレンダ制御部A2は、一つのフォトリフレクタだけを駆動してその検出結果から現在表示されている日が「1〜19日」か否かを判定し(すなわち、日の10位が小の月と大の月に必ず存在する「1」か「0」に該当するか否かを判定し)、該当しない場合にのみ他のフォトリフレクタを駆動して日の1位の検出を行う。従って、日の1位が「1」か「0」の場合は日の10位の検出を行う必要がないので、その分、カレンダ検出に要する電力を節約することができる。
また、ステップS9において、現在表示されている日が「20〜28日」ではない(すなわち月末補正を必要とする設定暦情報に該当する)と判定すると、カレンダ制御部A2は、端子CS0と端子CS2の検出を行い(ステップS10)、現在表示されている、年、月および日を全て検出する。以上がカレンダ検出処理であり、次にカレンダ補正処理を説明する。
まず、カレンダ制御部A2は、検出した年月日に基づいて現在表示されている日が「31日」か否か、具体的には、図8に示すように、端子PT1と端子PT0とがHレベルか否かを判定する(ステップS11)。「31日」と判定した場合、カレンダ制御部A2は、現在表示されている月が「2月を除く小の月」か否か、具体的には、端子CS1と端子CS0とがHレベルか否かを判定し(ステップS12)、「2月を除く小の月」と判定すると、非存在日が表示されていると判定できるため、存在日が表示されるように、日付機構駆動部Fに対して日送信号を出力してオートカレンダ機構を1日分回転駆動させ(ステップS13)、このカレンダ送り処理を終了する。
この腕時計1においては、発電部Bが所定期間(例えば3日間)継続して発電していない場合に、通常の動作モードから、運針機構Eとオートカレンダ機構の駆動を停止して節電を図る節電モードに切り換え、発電部Bの発電が検出されると、内部の時計回路で計測していた現在時刻を表示するまで運針機構Eを高速駆動すると共に、その節電モードの経過日数分だけ日付を進めるべく、オートカレンダ機構を回転駆動させて時刻およびカレンダを現在のものに復帰させる機能を具備している。この復帰の際、節電モードの期間が例えば2年以下の場合は通常のカレンダ送りと同回転方向の正回転でオートカレンダ機構を駆動する一方、例えば、2年以上4年以下の場合は逆回転でオートカレンダ機構を駆動し、これにより、オートカレンダ機構の回転駆動量が少ない回転方向に回転駆動させて高速復帰と低消費電力との両立が図られている。
しかしながら、このオートカレンダ機構の復帰は、月末修正を考慮せずに、単に節電モードの経過日数分だけ日付を進めるものであるため、「2月31日」、「2月30日」、および平年の「2月29日」を表示してしまう場合が生じる。本構成ではかかる復帰動作を行った場合にもステップS4移行の処理が実施され、この場合も考慮してカレンダ補正処理が規定されている。
具体的には、ステップS12の処理において、「2月を除く小の月」ではない、つまり、「2月31日」を表示していると判定すると、カレンダ制御部A2は、オートカレンダ機構の復帰時の回転方向が正転(正回転)だったか否かを判定し(ステップS14)、正転の場合はステップS13に移行し、オートカレンダ機構を1日分回転駆動させて「3月1日」を表示させた後、このカレンダ送り処理を終了する。一方、正転でないと判定すると、カレンダ制御部A2は、端子CS2の検出結果に基づいて閏年か否かを判定し(ステップS15)、閏年の場合は、オートカレンダ機構を2日分逆転駆動させて「2月29日を表示させ(ステップS16)、閏年でない場合は、オートカレンダ機構を3日分逆転駆動させて「2月28日」を表示させた後(ステップS17)、カレンダ送り処理を終了する。これにより、正転又は逆転により「2月31日」が表示された場合も適切に存在日に補正することが可能となっている。なお、上記節電モードの機能を具備しない腕時計にあっては、ステップS15〜S17の処理を省略すればよい。
また、ステップS11において、「31日」でないと判定した場合、カレンダ制御部A2は、「2月を除く小の月」の「30日」か否か、具体的には、端子CS0がLレベルで、端子PT2がHレベルであったか否かを判定する(ステップS20)。「2月を除く小の月」の「30日」と判定すると、カレンダ制御部A2は、存在日を表示していると判定できるため、カレンダ送りの処理を終了する。
このステップS20において、「2月を除く小の月」の「30日」でないと判定すると、カレンダ制御部A2は、「2月30日」か否か、具体的には、端子CS0がHレベルで、端子PT2がHレベルであったか否かを判定する(ステップS21)。「2月30日」と判定すると、カレンダ制御部A2は、オートカレンダ機構の復帰時の回転方向が正転(正回転)だったか否かを判定し(ステップS22)、正転の場合は、オートカレンダ機構を2日分回転駆動させて「3月1日」を表示させた後(ステップS23)、このカレンダ送り処理を終了する。
また、正転でない(逆転)と判定すると、カレンダ制御部A2は、端子CS2の検出結果に基づいて閏年か否かを判定し(ステップS24)、閏年でない場合は、ステップS23に移行し、オートカレンダ機構を2日分逆転駆動させて「2月28日」を表示させ、閏年の場合は、オートカレンダ機構を1日分逆転駆動させて「2月29日」を表示させた後(ステップS25)、カレンダ送り処理を終了する。これにより、正回転又は逆回転で「2月30日」が表示された場合も適切に存在日に補正することが可能となっている。なお、上記節電モードの機能を具備しない腕時計にあっては、ステップS20〜S25の処理を省略することができる。
また、ステップS21において、「2月30日」でないと判定すると、カレンダ制御部A2は、閏年の2月か否かを判定し、具体的には、端子CS2がLレベルであったか否かを判定し(ステップS26)、閏年の2月と判定すると、存在日を表示していると判定できるため、カレンダ送りの処理を終了する。
このステップS26において、閏年の2月でないと判定すると、カレンダ制御部A2は、オートカレンダ機構の復帰時の回転方向が正転(正回転)だったか否かを判定する(ステップS27)、そして、カレンダ制御部A2は、正転の場合はオートカレンダ機構を3日分回転駆動させて「3月1日」を表示させ(ステップS28)、逆転の場合は、オートカレンダ機構を1日分回転駆動させて「2月28日」を表示させた後(ステップS29)、カレンダ送りの処理を終了する。これにより、正回転又は逆回転で「2月29日」が表示された場合も適切に存在日に補正することが可能となっている。
なお、上記節電モードの機能を具備しない腕時計にあっては、ステップS27〜S29の処理を省略することができる。
次に、制御車78の構造を説明する。
図14は、制御車78の断面図である。制御車78は回転自在であり、その下部軸78aは、地板303に設けた孔にほぼ隙間なく支持され、その上部軸78bは、上部プレート(輪列受け)400に設けた孔にほぼ隙間なく支持されている。この制御車78は軸78a,78bに倒れがないように支持される。上記制御車78は、樹脂製の制御車ベース部401を有し、この制御車ベース部401の外周には第1のゼネバ車402が一体成形されている。この制御車ベース部401の地板側の面には周方向に間隔をあけて複数の位置決め用のダボ401a,401bが一体に形成され、この位置決めダボ401a,401bに対し位置決めされて、制御車ベース部401の地板側の面に第2のゼネバ車403と、第3のゼネバ車404とが重ねられ、これらは一の位置決めダボ401aの突出端401cをかしめて結合されている。第2のゼネバ車403及び第3のゼネバ車404は、樹脂製であってもよく、金属製であってもよい。
制御車ベース部401に対しゼネバ車を重ねて結合する場合、それぞれに位相あわせが必要である。本構成では、制御車ベース部401が位置決めダボ401a,401bを備えるため、それぞれの位相あわせが簡単になる。制御車ベース部401には少なくとも一のゼネバ車402を形成しておくことが望ましい。この制御車ベース部401に対する、このゼネバ車402の位相あわせが不要になり、製造が簡素化されるからである。また、ゼネバ車は金属製又は樹脂製としてもよい。制御車ベース部401と位置決めダボ401a,401bとは別体に成形してもよい。
第1のゼネバ車402は、図15に示すように、日回し車(伝達車)90に噛み合い、この日回し車90は、10位日かな91に噛み合って、10位の日車(10位表示体(暦表示車))92を回す(図3参照)。この日回し車90は、軸90aが地板303の孔303mに若干隙間をあけて片持ち支持され、傾動自在になっており、軸90aが側圧ばね501で押されて、常に力f1で第1のゼネバ車402側に付勢されている。第2のゼネバ車403は、図16に示すように、月表示中間車(伝達車)79に噛み合い、この月表示中間車79は、月検出車80に噛み合う。この月表示中間車79は、下部軸79aが地板303に設けた孔にほぼ隙間なく支持され、その上部軸79bは、上部プレート(輪列受け)400に設けた孔400mに若干隙間をあけて支持されている。従って、この月表示中間車79は、上部プレート400側が傾動自在であり、下部軸79aが側圧ばね502で押されて、常に力f2で第2のゼネバ車403側に付勢されている。
また、第3のゼネバ車404は、図17に示すように、日回し車(伝達車)87に噛み合い、日回し車87は、1位日かな88に噛み合い、1位の日車89を回す(図3参照)。日回し車87は、下部軸87aが地板303に設けた孔にほぼ隙間なく支持され、その上部軸87bは、中間プレート(輪列受け)406に設けた孔406mに若干隙間をあけて支持される。従って、この日回し車87は中間プレート406側が傾動自在であり、下部軸87aが側圧ばね503で押され、常に力f3で第3のゼネバ車404側に付勢されている。本構成では、図示は省略したが、各孔303m,400m,406mが長孔であり、この長孔の長軸は各ゼネバ車の中心に向いており、従って、側圧ばねの各車の付勢方向が、制御車78の軸に向かっている。
この構成では、各車(伝達車)90,79,87が、地板303又は中間プレート406或いは上部プレート400に傾動自在に支持され、各伝達車に配置した側圧ばね401〜403により各伝達車を個別にゼネバ車側に付勢するため、各伝達車からみれば、その付勢方向は一方向となる。従って、寄せ方向に一致させて側圧ばね401〜403を配置することで、伝達車とゼネバ車との軸心間距離が略一定に保たれ、がたつきが効果的に抑えられる。制御車78が複数のゼネバ車402〜404を同心に配置した同軸多ゼネバ構造であるため、平面的な省スペース化が図れる。
また、本構成では、上述した側圧ばね401〜403が、図3に示すように、各車90,79,87に関連付けて個別に配置されている。図18は、側圧ばね403を示す。なお、側圧ばね401,402については、側圧ばね403と同様の構成であるので、説明を省略する。この側圧ばね403は、厚さtが例えば4/100mm程度と薄い、薄板をプレス抜きして形成された板ばねであり、この板ばねは、対応する車79を付勢する機能を有した付勢部403aと、マウント部403bとを一体に備えて構成される。このマウント部403bは、薄板をプレス抜きした後に90°曲げて形成され、2カ所の孔403m,403nにねじ(図示せず)を通して地板303に固定される。時計用のゼネバ機構では、側圧板ばね401〜403の厚さが薄く、長さが1〜2mm程度、幅も例えば20/100mm程度と狭い。本構成では、この側圧板ばね401〜403を、薄板をプレス抜きして形成し、車の付勢部とマウント部とを一体に備えて形成されるため、これらを別々に形成して結合したものに比べて製造が簡単である。
本構成では、地板303又は中間プレート406或いは上部プレート400に大きめの孔をあけ、この孔に伝達車の軸を傾動自在に挿入し、この軸に側圧ばね401〜403をあてて付勢するだけでよく、組み立てが簡単である。
上述の実施形態は本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変更可能である。上述の実施形態では、図14に示すように、制御車78の軸78a,78bが、倒れることなく回転自在に支持されるが、図19に示すように、制御車78の下部軸78aを地板303に設けた孔303nに隙間をあけて支持し、その上部軸78bを上部プレート400に設けた孔にほぼ隙間なく支持してもよい。この場合には、孔303nが長孔であり、その長軸が、所定の一の伝達車の軸側に向けて延びる。この制御車78は傾動するが、その傾動方向は当該一の伝達車側に限定される。そして、当該一の伝達車とこれに対応するゼネバ車との軸心間距離を略一定に保つように、制御車78に当該一の伝達車側に付勢する側圧ばね410が設けられる。この構成では、一の伝達車は傾動せず、その伝達車の軸は、ほぼ隙間なく回転自在に支持される。この場合でも、各車からみれば、その付勢方向は一方向となり、寄せ方向に一致させて側圧ばねを配置すれば、がたつきを簡単に抑えることができる。この制御車78の側圧ばね410も、上述したように、薄板をプレス抜きして形成された板ばねでよい。
上述の実施形態では、本構成を電子時計に適用した例を示したが、時計に限定されず、低動力を伝達する例えば携帯用機器におけるすべての動力伝達装置に適用可能であることはいうまでもない。また、圧電アクチュエータ71によりオートカレンダ機構を駆動する場合について例示したが、この圧電アクチュエータ71によりオートカレンダ機構及び時刻表示機構を同時駆動する場合にも適用が可能である。なお、本発明の実施形態では、太陽暦を使用したもので説明したが、太陰暦に使用してもよい。
また、上述の実施形態では、発電により電力を腕時計1の各部に供給する構成を例示したが、この腕時計1は、発電の代わりに一次電池を備える構成であってもよい。さらに、上述の実施形態では、本発明を腕時計に適用する場合を例示したが、懐中時計などの携帯型の時計や置き時計などの固定型の時計にも適用可能である。また、携帯型、固定型を問わず、標準時刻を示す電波(例えばJJY)を受信して時刻を修正する電波時計にも適用可能である。
本発明の一実施形態に係る腕時計の外観構成を示す図である。 腕時計のオートカレンダ機構を示す図である。 オートカレンダ機構の拡大図である。 A,Bは、それぞれロータの送り量検出用の位置決め用ジャンパを説明するための図である。 年検出および月検出のためのばねスイッチを説明するための図である。 年情報検出パターンの一例を示す図である。 月情報検出パターンの一例を示す図である。 日情報検出パターンの一例を示す図である。 腕時計の電気的構成を機械的構成と共に示す図である。 制御部の機能構成を示すブロック図である。 カレンダ送り処理を示すフローチャートである。 1日送り処理のときのタイミングチャートを示す図である。 変形例に係る日情報検出パターンの一例を示す図である。 制御車の断面図である。 制御車と日回し車(伝達車)の噛み合いを示す図である。 制御車と月表示中間車(伝達車)の噛み合いを示す図である。 制御車と日回し車(伝達車)の噛み合いを示す図である。 側圧ばねを示す図である。 別の実施形態を示す図14相当図である。
符号の説明
1…腕時計、10、20…ステッピングモータ、71…圧電アクチュエータ、72…ロータ、78…制御車、79…月表示中間車(伝達車)、87…日回し車(伝達車)、89…1位の日車、90…日回し車(伝達車)、92…10位の日車、204…月表示窓、205…24時表示部、206…月表示部、208…年表示部、303…地板、400…上部プレート(輪列受け)、401…制御車ベース部、401a,401b…ダボ、402…第1のゼネバ車、403…第2のゼネバ車、404…第3のゼネバ車、406…中間プレート、501,502,503…側圧ばね。

Claims (6)

  1. 動力伝達手段を介して駆動される複数の暦表示車を備え、
    前記動力伝達手段が、動力伝達を得て回転する間欠送り機構としての複数のゼネバ車を同心に配置した制御車を備え、この制御車の各ゼネバ車に、夫々前記暦表示車に動力伝達可能に伝達車を噛み合わせて構成し、前記伝達車と前記ゼネバ車との軸心間距離を略一定に保つように前記伝達車の少なくとも一つにゼネバ車側に付勢する側圧ばねを設けたことを特徴とする時計。
  2. 動力伝達手段を介して駆動される複数の暦表示車を備え、
    前記動力伝達手段が、動力伝達を得て回転する間欠送り機構としての複数のゼネバ車を同心に配置した制御車を備え、この制御車が制御車ベース部を有し、この制御車ベース部が位置決めダボを備え、この位置決めダボに対し位置決めされて、前記制御車ベース部にゼネバ車が重ねて結合されており、この制御車の各ゼネバ車に、夫々前記暦表示車に動力伝達可能に伝達車を噛み合わせて構成し、前記伝達車と前記ゼネバ車との軸心間距離を略一定に保つように前記伝達車の少なくとも一つにゼネバ車側に付勢する側圧ばねを設けたことを特徴とする時計。
  3. 前記側圧ばねが前記車と一体に形成された軸を付勢することを特徴とする請求項1又は2記載の時計。
  4. 前記側圧ばねの各車の付勢方向が、前記制御車の軸に向かうことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の時計。
  5. 前記伝達車が、地板又は中間プレート或いは上部プレートに傾動自在に支持されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の時計。
  6. 前記制御車が、地板又は中間プレート或いは上部プレートに傾動自在に支持されて、一の伝達車側に傾動し、一の伝達車とこれに対応するゼネバ車との軸心間距離を略一定に保つように前記制御車に一の伝達車側に付勢する側圧ばねを設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の時計。

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