JP2006242071A - シリンダブロック、シリンダブロックのシール方法及びシール用治具 - Google Patents

シリンダブロック、シリンダブロックのシール方法及びシール用治具 Download PDF

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俊裕 高見
Yosuke Yasudo
洋介 安戸
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Abstract

【課題】複雑な作業を行うことなくシリンダライナ及び外壁間を確実にシールする。
【解決手段】シリンダライナ21と外壁14との間の空間を、ウォータジャケット用空間26と、クランク室27側に開口する空隙部28とに仕切る。空隙部28にてシリンダライナ21及び外壁14間をシールするシール部29を形成する。この形成に際しては、シール用治具31の閉鎖部33を空隙部28に挿入して開口を閉鎖することにより、液状シール剤を封入するための封入用空間を形成する。シール用治具31の注入部35を通じて液状シール剤を封入用空間に注入し、空気を同シール用治具31の排出部36から排出させる。空気の排出後、開閉弁37を閉弁させて排出部36を閉鎖させる一方、液状シール剤の注入を継続する。液状シール剤が加圧状態となったところで注入を停止し、液状シール剤を硬化させる。この硬化によりシール部29が形成される。
【選択図】 図4

Description

本発明は、シリンダライナと外壁とを備え、それらの間にウォータジャケット用空間を有するシリンダブロックに関するものである。また、本発明は、シリンダブロックにシール部を形成してシリンダライナ及び外壁間をシールするシリンダブロックのシール方法、及びシール部の形成に好適なシリンダブロックのシール用治具に関するものである。
シリンダブロックは、エンジンの骨格をなす部品であり、ピストンを往復動可能に収容するシリンダ、シリンダ等を適切な温度に保つために冷却水を循環させるウォータジャケット等を有する。こうしたシリンダブロックとして、例えば特許文献1には、シリンダライナと、そのシリンダライナを囲む外壁を有するシリンダブロック本体とに分割されたタイプが記載されている。この分割型シリンダブロックでは、シリンダライナの外面と外壁の内面との間に形成される空間がウォータジャケット用空間とされる。そして、このウォータジャケット用空間を流れる冷却水の漏出を抑制するために、シリンダライナ及び外壁間がシールされる。
このシールのために、上記特許文献1では、シリンダライナのクランク室側端部にフランジ及び嵌合部が形成され、この嵌合部がシリンダブロック本体の嵌合孔に嵌合される。シリンダライナのフランジ又は嵌合部とシリンダブロック本体との間に、嵌合孔を全周にわたって囲む単一のシール部材が介在される。
また、上記シール部材に代えて、液状シール剤(液体ガスケット)を用いてシールを行う技術が、例えば特許文献2に記載されている。これは、上ケース及び下ケースからなる上下分割式のクランクケースと、上下両ケースに跨って設けられるサイドカバーとについて、それら3部材の合わせ部(三方合わせ部)をシールする技術である。上下両ケース間と、上ケース及びサイドカバー間と、下ケース及びサイドカバー間とにそれぞれ液状シール剤が介在される。さらに、上下両ケースの側面には、同上下両ケース間の液状シール剤を横切るように液溜まり用凹部が形成されている。
上記液状シール剤を用いたシールに際しては、上ケースの下面及び下ケースの上面にそれぞれ液状シール剤が塗布され、それら上下両ケースが重ねられてボルト等によって相互に締結される。続いて、上下両ケースの側面の液溜まり用凹部及びその周辺部分に液状シール剤が充填されるとともに、サイドカバーの取付面に液状シール剤が塗布される。上下両ケースの側面にサイドカバーが重ねられ、ボルト等によりサイドカバーが上ケース及び下ケースに締結される。この締結に際し、液溜まり用凹部内に溜められた液状シール剤が、上下両ケース間や、上下両ケース及びサイドカバー間に供給される。
特開2002−97997号公報(第5−6頁、図1、図3) 特開2000−145972号公報(第4頁、図1)
ところが、予め形成された単一の長いシール部材を用いてシールを行うシリンダブロック(特許文献1)では、シリンダライナの嵌合部をシリンダブロック本体の嵌合孔に嵌合する際に、その嵌合孔の周りのシール部材が捩れたり曲ったりすることのないように、同シール部材の装着状態を厳密に管理する必要があり、シールのための作業が複雑化する。
また、液状シール剤を用いてシールを行う技術(特許文献2)では、隣合う部材同士を、それぞれ液状シール剤が塗布された面を対向させて重ね合せる構成のため、僅かな隙間等に液状シール剤が入り込まず、十分にシールがなされないおそれがある。なお、液溜まり用凹部には液状シール剤を溜めておく作用があるにすぎず、上記の不具合は依然として解消されない。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、複雑な作業を行うことなくシリンダライナ及び外壁間を確実にシールすることのできるシリンダブロック、シリンダブロックのシール方法及びシール用治具を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明では、シリンダライナと、前記シリンダライナを囲む外壁とを備え、前記外壁の内面の一部が前記シリンダライナの外面の一部に重ねられることにより、前記シリンダライナ及び前記外壁間がウォータジャケット用空間及び空隙部に仕切られたシリンダブロックであり、前記空隙部に加圧状態で封入された液状シール剤を硬化させることにより形成され、前記シリンダライナ及び前記外壁間をシールするシール部を備えるとする。
上記の構成を有するシリンダブロックでは、シリンダライナが外壁によって囲まれている。外壁の内面の一部がシリンダライナの外面の一部に重ねられることにより、シリンダライナ及び外壁間がウォータジャケット用空間及び空隙部に仕切られている。そして、シール部によってシリンダライナ及び外壁間がシールされている。
このシール部は、空隙部に液状シール剤を封入し硬化させたものである。そのため、シール部の形成(液状シール剤が注入されてから硬化するまで)の過程で、捩れや曲りが発生するおそれがない。従って、シール部材をシリンダブロック本体の所定箇所に配置した状態でシリンダライナを組込む場合(特許文献1に相当)とは異なり、捩れたり曲ったりすることのないように液状シール剤の状態を厳密に管理する作業が不要である。
また、上記シール部は、空隙部に液状シール剤を加圧状態で封入したうえで硬化させたものであり、外壁とシリンダライナとの重なり部分等の僅かな隙間にも入り込んだ状態で形成されている。そのため、シリンダライナ及び外壁のそれぞれに予め液状シール剤を塗布しておき、シリンダライナを外壁に組付けたり、さらには液溜まり用凹部を設けて液状シール剤を溜めたりする場合(特許文献2に相当)に比べ、シリンダライナ及び外壁間のシール性を高めることができる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記空隙部はクランク室側に開口しており、前記液状シール剤は、前記開口がシール用治具の閉鎖部により閉鎖された状態で前記空隙部に封入されたものであるとする。
上記の構成を有するシリンダブロックでは、シリンダライナ及び外壁の各クランク室側の端部が相互に離間していて、空隙部がクランク室側に開口している。しかし、シール部の形成に際し、上記開口をシール用治具の閉鎖部によって閉鎖することで、液状シール剤の封入用空間を確実に形成することができる。
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、前記外壁には、同外壁の外部と前記空隙部とを連通させる注入部が設けられており、前記液状シール剤は前記注入部を通じて前記空隙部に封入されたものであるとする。
上記シリンダブロックでは、空隙部に液状シール剤を注入するために、同液状シール剤の注入部が必要となる。この点、請求項3に記載の発明では、外壁に注入部が設けられていて、この注入部により外壁の外部と空隙部とが連通されている。そのため、注入部を液状シール剤の通路とすることで、外壁外部の液状シール剤を、注入部を通じて空隙部に加圧状態で注入することができる。
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1つに記載の発明において、前記外壁には、同外壁の外部と前記空隙部とを連通させる排出部が設けられており、前記液状シール剤は、前記空隙部の空気を前記排出部を通じて排出させた状態で同空隙部に封入されたものであるとする。
上記シリンダブロックでは、空隙部に液状シール剤を加圧状態で封入するために、同空隙部の空気を排出させることが重要であり、そのために空気の排出部が必要となる。この点、請求項4に記載の発明では、外壁に排出部が設けられていて、この排出部により外壁の外部と空隙部とが連通されている。そのため、排出部を空気の通路とすることで、上記空隙部への液状シール剤の注入に伴い、空隙部の空気を、同排出部を通じて外壁の外部へ排出させ、同液状シール剤を確実に空隙部に加圧状態で封入することができる。
請求項5に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記液状シール剤は、前記シール用治具の前記閉鎖部に設けられた注入部を通じて前記空隙部に封入されたものであるとする。
上記シリンダブロックでは、開口がシール用治具の閉鎖部によって閉鎖された空隙部に液状シール剤を注入するために、同液状シール剤の注入部が必要となる。この点、請求項5に記載の発明では注入部が閉鎖部に設けられている。そして、液状シール剤が注入部を通じて空隙部に封入されて硬化されている。そのため、上記注入部を、シリンダブロックの構成部品、例えば外壁に別途設けなくてもすむ。
請求項6に記載の発明では、請求項2又は5に記載の発明において、前記液状シール剤は、前記空隙部の空気を、前記シール用治具の前記閉鎖部に設けられた排出部を通じて排出させた状態で、同空隙部に封入されたものであるとする。
上記シリンダブロックでは、開口がシール用治具の閉鎖部によって閉鎖された空隙部に液状シール剤を加圧状態で封入するために、同空隙部の空気を排出させることが重要であり、そのために空気の排出部が必要となる。この点、請求項6に記載の発明では排出部が閉鎖部に設けられている。そして、空隙部の空気を排出部を通じて排出させた状態で、液状シール剤が空隙部に封入されて硬化されている。そのため、上記注入部を、シリンダブロックの構成部品、例えば外壁に別途設けなくてもすむ。
請求項7に記載の発明では、シリンダライナと、前記シリンダライナを囲む外壁とを備え、前記外壁の内面の一部が前記シリンダライナの外面の一部に重ねられることにより、前記シリンダライナ及び前記外壁間がウォータジャケット用空間及び空隙部に仕切られたシリンダブロックに適用され、前記空隙部にて前記シリンダライナ及び前記外壁間をシールするシール部を形成するシリンダブロックのシール方法であって、前記空隙部を閉鎖することにより液状シール剤の封入用空間を形成し、同封入用空間に液状シール剤を加圧状態で封入し、その後に同液状シール剤を硬化させることにより前記シール部を形成するものとする。
上記シリンダブロックでは、シリンダライナが外壁によって囲まれている。外壁の一部がシリンダライナに重ねられていて、シリンダライナ及び外壁間がウォータジャケット用空間及び空隙部に仕切られている。
このシリンダブロックにおいて、シリンダライナ及び外壁間をシールするシール部を空隙部に形成する場合には、上記空隙部を閉鎖することにより液状シール剤の封入用空間を形成する。この封入用空間に液状シール剤を加圧状態で封入する。この封入した液状シール剤が硬化すると空隙部にシール部が形成される。
そのため、上記請求項1に記載の発明と同様、シール部の形成の過程で捩れや曲りが発生することのないように液状シール剤の状態を厳密に管理する作業が不要である。また、上記加圧状態での封入により、外壁とシリンダライナとの重なり部分等の僅かな隙間にも液状シール剤を入り込ませることができる。そのため、上記請求項1に記載の発明と同様、シリンダライナ及び外壁間のシール性を高めることができる。
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の発明において、注入部を通じて前記封入用空間に前記液状シール剤を注入するとともに、同封入用空間の空気を排出部を通じて排出させ、前記空気の排出後に前記排出部を閉鎖する一方で前記液状シール剤の注入を継続するものとする。
上記シール方法によれば、シール部の形成に際し、注入部を通じて封入用空間に液状シール剤を注入する。この注入に伴い、封入用空間の空気が排出部を通じて排出される。そして、封入用空間の空気が排出された後に排出部を閉鎖する。この閉鎖により、排出部における空気及び液状シール剤の通過が遮断される。一方で、上記排出部の閉鎖後も、液状シール剤の封入用空間への注入を継続する。従って、上記排出部を閉鎖した状態で液状シール剤の注入を継続することにより、封入用空間の液状シール剤を確実に加圧することができる。この加圧により、液状シール剤を、外壁とシリンダライナとの重なり部分等の僅かな隙間にも入り込ませて、シリンダライナ及び外壁間のシール性を高めることができる。
請求項9に記載の発明では、請求項8に記載の発明において、前記封入用空間の前記液状シール剤が加圧状態となることを条件に前記液状シール剤の注入を停止するものとする。
上記シール方法によれば、排出部を閉鎖した後にも液状シール剤を封入用空間に注入し続けることで液状シール剤が加圧状態となると、同液状シール剤の注入を停止する。この停止により、液状シール剤の不要な注入が抑制される。
請求項10に記載の発明では、シリンダライナと、前記シリンダライナを囲む外壁とを備え、前記外壁の内面の一部が前記シリンダライナの外面の一部に重ねられることにより、前記シリンダライナ及び前記外壁間が、ウォータジャケット用空間とクランク室側に開口する空隙部とに仕切られたシリンダブロックに適用され、前記空隙部にて前記シリンダライナ及び前記外壁間をシールすべく、液状シール剤を加圧状態で硬化させてなるシール部を形成するためのシリンダブロックのシール用治具であって、前記シール部の形成に際し、前記空隙部に挿入されて同空隙部の開口を閉鎖することにより前記液状シール剤の封入用空間を形成する閉鎖部を備えるとする。
上記の構成を有するシール用治具によれば、閉鎖部がシリンダブロックの空隙部に挿入されると、その開口が閉鎖される。
従って、シリンダライナ及び外壁の各クランク室側の端部が相互に離間していて、空隙部がクランク室側に開口しているシリンダブロックにあっては、シール部の形成に際し、シール用治具の閉鎖部を空隙部に挿入することで、液状シール剤を封入するための閉空間(封入用空間)を形成することができる。この封入用空間に液状シール剤を加圧状態で封入し硬化させると、空隙部には、シリンダライナ及び外壁間をシールするシール部が形成される。
そのため、請求項10に記載の発明によると、上述した請求項1又は7に記載の発明と同様の作用効果が得られる。すなわち、シール部の形成の過程で、捩れや曲りが発生することのないように液状シール剤の状態を厳密に管理する作業が不要である。また、上記加圧状態での封入により、外壁及びシリンダライナ等の僅かな隙間にも液状シール剤を入り込ませ、シリンダライナ及び外壁間のシール性を高めることができる。
請求項11に記載の発明では、請求項10に記載の発明において、前記閉鎖部には、前記封入用空間に前記液状シール剤を注入するための注入部が設けられているとする。
上記の構成を有するシール用治具によれば、シリンダブロックの空隙部に閉鎖部が挿入されると開口が閉鎖されて、封入用空間が形成される。この封入用空間は、閉鎖部に設けられた注入部を通じて封入用空間の外部と連通する。そのため、注入部を液状シール剤の通路とすることで、液状シール剤を注入部を通じて封入用空間に注入し、空隙部に加圧状態で封入させることができる。
請求項12に記載の発明では、請求項10又は11に記載の発明において、前記閉鎖部には、前記封入用空間の空気を排出させるための排出部が設けられているとする。
上記の構成を有するシール用治具によれば、シリンダブロックの空隙部に閉鎖部が挿入されると開口が閉鎖されて、封入用空間が形成される。この封入用空間は、閉鎖部に設けられた排出部を通じて封入用空間の外部と連通する。そのため、排出部を空気の通路とすることで、上記空隙部への液状シール剤の注入に伴い、封入用空間の空気を、同排出部を通じて排出させ、同液状シール剤を確実に空隙部に加圧状態で封入することができる。
請求項13に記載の発明では、請求項12に記載の発明において、前記排出部の下流側には、前記液状シール剤の非通過時に開弁し、通過に伴い閉弁する開閉弁が設けられているとする。
上記の構成を有するシール用治具によれば、同治具によって開口が閉鎖された空隙部に液状シール剤が注入されているものの、同液状シール剤が未だ開閉弁に到達していない場合には、開閉弁が開弁される。この開弁により排出部が開放され、空気や液状シール剤の通過が可能となる。そのため、注入部を通じて封入用空間に液状シール剤を注入すると、その注入に伴い、封入用空間の空気が排出部を通じて排出される。そして、液状シール剤が排出部から流出して開閉弁に到達すると、同開閉弁が閉弁される。この閉弁により排出部が閉鎖されて、空気や液状シール剤の通過が遮断される。従って、この閉弁後も液状シール剤の封入用空間への注入を継続することで、封入用空間の液状シール剤を加圧することができる。
(第1実施形態)
以下、本発明を多気筒レシプロエンジンに用いられるシリンダブロックに具体化した第1実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。レシプロエンジンは、ピストンの往復運動をクランク機構によって回転運動に変換して、出力軸であるクランクシャフトを回転させるタイプのエンジンである。
図1及び図2に示すように、シリンダブロック11は、スカート部13、外壁14及びシリンダライナ21を備えて構成されている。これらのスカート部13及び外壁14は、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の比較的比重の小さな金属材料によって形成されている。これに対し、シリンダライナ21は、鋳鉄等の耐摩耗性に優れた金属材料によって形成されている。
スカート部13の下端部には、クランクシャフトを回転可能に支持するためのジャーナル部16が設けられている。スカート部13は、その下側に取付けられるクランクケース、オイルパン等とともに、クランク室27を形成する。
外壁14は、スカート部13の上側にガスケット(図示略)等を介して配置されている。外壁14は、上下両面が開放されたほぼ四角枠状をなしている。外壁14の内面の下側部分には、同外壁14の他の部分(上側部分、中間部分)よりも厚みの大きな肉厚部17が形成されている。
シリンダライナ21は、気筒毎のライナ本体22と、全てのライナ本体22に共通のアッパデッキ部23とを備える。各ライナ本体22は、上下両端が開放された円筒状をなしており、1列に並べられた状態で配置されている。各シリンダライナ21の内部空間は、ピストン(図示略)を往復動可能に収容するためのシリンダボア24を構成する。各シリンダボア24においてピストンよりも上側の空間は、燃料及び空気の混合気を燃焼するための燃焼室(図示略)となる。
各ライナ本体22の外面の上側部分及び中間部分には、同ライナ本体22の他の部分(下側部分)よりも厚みの大きな肉厚部25が形成されている。アッパデッキ部23はほぼ平板状をなし、全てのライナ本体22の上端外側に一体に設けられている。なお、アッパデッキ部23及びライナ本体22は別々の部材によって形成されたものであってもよい。この場合には、アッパデッキ部23を各ライナ本体22の上端部に連結する構造が別途必要となる。
図4に示すように、各ライナ本体22は外壁14によって囲まれた空間に収容されている。この収容状態では、アッパデッキ部23が外壁14上に載置されている。外壁14におけるシリンダライナ21の水平方向の位置調整がなされたうえで、シリンダライナ21が外壁14に対しノックピン等(図示略)によって連結されている。これらのシリンダライナ21及び外壁14によってブロック構成体15が構成されている。このブロック構成体15では、ライナ本体22の肉厚部25の一部が、外壁14の肉厚部17の上に重ねられている。このようにして、外壁14の内面の一部がシリンダライナ21の外面の一部に重ねられている。両肉厚部17,25の重なり部分では、肉厚部17の上面が肉厚部25の下面に接近又は接触している。そして、上記重なり部分により、シリンダライナ21及び外壁14間の空間が上下に2つに仕切られている。
肉厚部17よりも上側の空間、すなわちライナ本体22の肉厚部25及び外壁14間であって、アッパデッキ部23と肉厚部17とによって挟まれた空間はウォータジャケット用空間26をなしている。このウォータジャケット用空間26には、外壁14、シリンダライナ21等を冷却するための冷却水が流される。また、ライナ本体22及び外壁14の肉厚部17間であって、肉厚部25よりも下側の空間は、クランク室27側に開口した空隙部28をなしている。この空隙部28は、ウォータジャケット用空間26よりもシリンダライナ21の中心線Lに近い箇所に位置する。
ここで、ブロック構成体15では、上述したようにシリンダライナ21が、そのアッパデッキ部23において外壁14上に載置され、自身の肉厚部25において外壁14の肉厚部17上に重ねられる構成を採っている。この構成では、肉厚部25及び肉厚部17が互いに密着するのが望ましいが、加工精度のばらつき等により両肉厚部17,25の間に僅かな隙間が生ずるおそれがある。そこで、シリンダライナ21及び外壁14間、特に、両肉厚部17,25の重なり部分の隙間をシールして、ウォータジャケット用空間26からの冷却水の漏出を防止するためのシール構造が必要となる。このシール構造として、図4において二点鎖線で示すシール部29が、上記両肉厚部17,25間、及び空隙部28の上部に設けられている。このシール部29は、後述するシール方法に従い、空隙部28に加圧状態で封入された液状シール剤を硬化させることにより形成されたものである。
上記のように構成されたブロック構成体15は、上記スカート部13に対し、ボルト等の締結部品(図示略)によって締結される。さらに、上記ブロック構成体15及びスカート部13を備えてなるシリンダブロック11上にはシリンダヘッド(図示略)が配置される。このシリンダヘッドは、アッパデッキ部23に挿通されたボルト等の締結部品によって外壁14に締結される。
次に、シリンダブロック11に上記シール部29を形成するシール方法について説明する。この方法の実施に際しては、図3及び図4に示すように、専用のシール用治具31が用いられる。シール用治具31は、平板状の基板32と、その基板32上に設けられた閉鎖部33とを備えている。閉鎖部33は、上記空隙部28の下端開口に対応した形状を有している。閉鎖部33は、シール部29の形成に際し空隙部28に挿入されて開口を塞ぐことにより、図5及び図6に示すような、液状シール剤41を封入するための封入用空間34を形成する。基板32の下面において閉鎖部33に対応する箇所には、液状シール剤41の注入装置38を接続するための接続部39が設けられている。
閉鎖部33及び基板32には、封入用空間34に液状シール剤41を注入するための注入部35と、封入用空間34の空気を排出させるための排出部36とがそれぞれ設けられている。これらの注入部35及び排出部36は、いずれも閉鎖部33、基板32等にあけられた孔によって構成されている。注入部35の上端は閉鎖部33の上端面で開口し、下端は接続部39の下端面で開口している。また、排出部36の上端は閉鎖部33の上端面で開口し、下端は基板32の下面で開口している。
なお、本実施形態では閉鎖部33が基板32と一体形成されているが、両者32,33は別部材によって構成されたものであってもよい。また、本実施形態では、注入部35及び排出部36は、シリンダブロック11の幅方向(気筒配列方向に直交する方向)について、ほぼ相対向する箇所に設けられているが、これ以外の箇所に設けられてもよい。
基板32の下面であって排出部36の出口に対応する箇所には、電磁バルブ等からなる開閉弁37が設けられている。開閉弁37は、液状シール剤41が通過したかどうかを検出するセンサ(図示略)を備えており、このセンサの検出結果に基づき開閉する。ここでは、開閉弁37は、センサが液状シール剤41の通過を検出しないとき、すなわち、液状シール剤41が排出部36から流出していないときには開弁する。また、開閉弁37は、センサが液状シール剤41の通過を検出すること、すなわち、液状シール剤41が排出部36から流出することをもって閉弁する。
上記シール用治具31を用いてシール部29を形成する場合には、図4に示すように、閉鎖部33が空隙部28の下方に位置するように、ブロック構成体15の下方にシール用治具31を配置する。シール用治具31を上昇させて、閉鎖部33を、開口を通じて空隙部28に挿入する。この挿入を、図5に示すように、基板32の上面が外壁14及びライナ本体22の各下端面に接触するまで行う。閉鎖部33の挿入により空隙部28の開口が塞がれて封入用空間34が形成される。
このようにして形成された封入用空間34は、注入部35を通じてシール用治具31よりも下方の空間に連通している。そのため、注入部35を液状シール剤41の通路とすることで、液状シール剤41を、注入部35を通じて封入用空間34に注入することが可能である。
また、封入用空間34は、排出部36を通じてシール用治具31よりも下方の空間に連通している。そのため、排出部36を空気の通路とすることで、上記封入用空間34への液状シール剤41の注入に伴い、同封入用空間34の空気を、排出部36を通じて排出させることが可能である。
ここで、液状シール剤41を封入用空間34に注入する前の段階では、液状シール剤41が排出部36に達しておらず、従って開閉弁37を通過したことがセンサによって検出されず、開閉弁37は開弁している。そのため、注入装置38を接続部39に接続して作動させ、図7に示すように、注入部35を通じて封入用空間34に液状シール剤41を注入すると、その注入に伴い封入用空間34の空気が押出され、排出部36を通じて排出される。
液状シール剤41が封入用空間34の隅々まで行きわたると、封入用空間34のほとんどの空気が排出される。さらに、液状シール剤41が注入されると、液状シール剤41が排出部36から流出する。この液状シール剤41が開閉弁37を通過したことがセンサによって検知されると、開閉弁37が閉弁される。この閉弁により排出部36が閉鎖されて、同排出部36での空気及び液状シール剤41の流通が遮断される。一方で、上記開閉弁37の閉弁後も液状シール剤41の封入用空間34への注入を継続する。この注入継続により、図8に示すように、封入用空間34における液状シール剤41の充填密度が高くなる。液状シール剤41の一部が、両肉厚部17,25の重なり部分における微少な隙間にも入り込み、同隙間が埋められる。このようにして液状シール剤41が封入用空間34に加圧状態で封入される。
そして、封入用空間34の液状シール剤41が確実に加圧状態になった後に、注入装置38の作動を止めて液状シール剤41の注入を停止する。例えば、開閉弁37の閉弁後、液状シール剤41の注入の継続時間を計時し、その継続時間が所定の値になったところで液状シール剤41の注入を停止する。この停止後、しばらく放置することにより液状シール剤41を硬化させ、その後に、図9に示すように、シール用治具31を下降させて空隙部28から閉鎖部33を抜出す。この抜出しに伴い、それまで閉鎖されていた空隙部28のクランク室27側の開口が開放される。空隙部28の上半部には、液状シール剤41を硬化させてなるシール部29が残り、このシール部29によって、外壁14及びシリンダライナ21間がシールされる。
以上詳述した第1実施形態によれば、シリンダブロック11、シール方法、シール用治具31について、それぞれ次の効果が得られる。
<シリンダブロック11について>
(1)ブロック構成体15の空隙部28に液状シール剤41を封入して硬化させたものをシール部29としている。そのため、シール部29の形成(液状シール剤41が注入されてから硬化するまで)の過程で、捩れや曲りが発生するおそれがない。従って、シール部材をシリンダブロック本体の所定箇所に配置した状態でシリンダライナを組込む技術(特許文献1に相当)とは異なり、捩れたり曲ったりすることのないように液状シール剤41の状態を厳密に管理する作業が不要である。
(2)空隙部28に液状シール剤41を加圧状態で封入したうえで硬化させたものをシール部29としている。このシール部29が形成されたシリンダブロック11では、密度の高い状態で液状シール剤41が空隙部28に充填されている。両肉厚部17,25間の僅かな隙間にも液状シール剤41が入り込んでいる。そのため、液状シール剤が塗布されたシリンダライナを、同じく液状シール剤が塗布された外壁に組付けたり、さらには液溜まり用凹部を設けて液状シール剤を溜めたりする技術(特許文献2に相当)比べ、シリンダライナ21及び外壁14間、特に両肉厚部17,25の重なり部分のシール性を高めることができる。
(3)ブロック構成体15では、シリンダライナ21及び外壁14の各クランク室27側の端部が相互に離間していて、空隙部28がクランク室27側に開口している。これに対し、本実施形態では、シール用治具31を用い、その閉鎖部33を開口から空隙部28に挿入している。この挿入により空隙部28の開口を塞ぎ、液状シール剤41を封入するための封入用空間34を確実に形成することができる。
(4)開口がシール用治具31の閉鎖部33によって閉鎖された空隙部28に液状シール剤41を注入するためには、同液状シール剤41の注入部が必要となる。この点、第1実施形態では、注入部35をシール用治具31に設けている。そのため、上記注入部35をシリンダブロック11の構成部品、例えば外壁14に設けなくてもすむ。
(5)開口がシール用治具31の閉鎖部33によって閉鎖された空隙部28に液状シール剤41を加圧状態で封入するためには、同空隙部28に空気が残らないようにすることが重要であり、そのために空気の排出部が必要となる。この点、第1実施形態では排出部36をシール用治具31に設けている。そのため、上記注入部35を、シリンダブロック11の構成部品、例えば外壁14に別途設けなくてもすむ。
<シール方法について>
(6)空隙部28のクランク室27側の開口をシール用治具31の閉鎖部33によって閉鎖して封入用空間34を形成し、この封入用空間34に液状シール剤41を封入し、その後に同液状シール剤41を硬化させることによりシール部29を形成している。
そのため、上記(1)と同様、シール部29の形成の過程で、捩れや曲りが発生することのないように液状シール剤41の状態を厳密に管理する作業が不要である。
(7)空隙部28に液状シール剤41を加圧状態で封入するようにしている。この封入により、空隙部28における液状シール剤41の充填密度を高め、両肉厚部17,25間等の僅かな隙間にも液状シール剤41を入り込ませることができる。そのため、上記(2)と同様、シリンダライナ21及び外壁14間、特に両肉厚部17,25の重なり部分のシール性を高めることができる。
(8)シール部29の形成に際し、シール用治具31の注入部35を通じて封入用空間34に液状シール剤41を注入することにより、同封入用空間34の空気を排出部36を通じて排出させる。そして、封入用空間34から空気が排出されて液状シール剤41が排出部36から流出すると、開閉弁37を閉弁させて排出部36を閉鎖する。この閉鎖により、排出部36を通じた空気及び液状シール剤41の排出を遮断する。一方で、上記開閉弁37の閉弁による排出部36の閉鎖後も、液状シール剤41の封入用空間34への注入を継続するようにしている。従って、上記の排出部36を閉鎖した状態での液状シール剤41の注入継続により、封入用空間34の液状シール剤41を確実に加圧することができる。この加圧により、液状シール剤41を僅かな隙間にも入り込ませ、両肉厚部17,25の重なり部分を含む、シリンダライナ21及び外壁14間のシール性を高めることができる。
(9)上記開閉弁37の閉弁後、所定時間が経過するまでは液状シール剤41の注入を継続し、所定時間が経過した時点で同注入を停止するようにしている。このようにすることで、液状シール剤41を確実に空隙部28に加圧状態で封入することができる。また、上記タイミングでの注入停止により、液状シール剤41の不要な注入を抑制することができる。
<シール用治具31について>
(10)シール用治具31として、ブロック構成体15の空隙部28に対応する形状を有する閉鎖部33を備えたものを用いている。この閉鎖部33がシリンダブロック11の空隙部28に挿入されると、その空隙部28のクランク室27側の開口が閉鎖される。
そのため、上記シール用治具31を用い閉鎖部33を空隙部28に挿入することで、同空隙部28の開口を閉鎖して、液状シール剤41を封入するための封入用空間34を確実に形成することができる。
従って、上記封入用空間34に液状シール剤41を加圧状態で封入し、硬化させることにより、空隙部28に、シリンダライナ21及び外壁14間をシールするシール部29を形成することができ、上述した(1),(2),(6),(7)と同様の効果が得られる。
すなわち、シール部29の形成の過程で、捩れや曲りが発生することのないように液状シール剤41の状態を厳密に管理する作業が不要となる。また、加圧状態での封入により、空隙部28における液状シール剤41の充填密度を高め、外壁14及びシリンダライナ21間の僅かな隙間にも液状シール剤41を入り込ませてシール性を高めることができる。
(11)ブロック構成体15の空隙部28に閉鎖部33が挿入されると、上述したように開口が閉鎖されて、封入用空間34が形成される。第1実施形態では、この封入用空間34の内外を連通させる注入部35をシール用治具31(基板32、閉鎖部33、接続部39)に設けている。そのため、注入部35を液状シール剤41の通路とすることで、液状シール剤41を注入部35を通じて封入用空間34に注入し、空隙部28に加圧状態で封入させることができる。
(12)封入用空間34の内外を連通させる排出部36を、シール用治具31(基板32、閉鎖部33)に設けている。そのため、排出部36を空気の通路とすることで、上記封入用空間34への液状シール剤41の注入に際し、封入用空間34の空気を、同排出部36を通じて排出させ、同液状シール剤41を確実に空隙部28に加圧状態で封入することができる。
(13)排出部36の下流側に開閉弁37を設けている。この開閉弁37は、封入用空間34に空気が残っていて液状シール剤41が排出部36から流出していないときには開弁する。そのため、注入部35を通じて封入用空間34に液状シール剤41を注入することで、封入用空間34の空気を排出部36を通じて排出させることができる。
また、上記開閉弁37は、封入用空間34から空気が排出されて、液状シール剤41が排出部36から流出して開閉弁37を通過することをもって閉弁し、排出部36を閉鎖する。そのため、この閉弁後も液状シール剤41の封入用空間34への注入を継続することで、同液状シール剤41を空隙部28に加圧状態で封入することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態について図10〜図13を参照して説明する。
第2実施形態におけるシリンダブロック11では、図10に示すように、外壁14に注入部51及び排出部52が設けられている。これらの注入部51及び排出部52は、いずれも外壁14の肉厚部17に貫通された孔によって構成されている。これらの孔の外端は、外壁14の外面にて開口し、内端は肉厚部17の内面にて開口している。従って、シリンダライナ21が外壁14に組込まれたブロック構成体15では、空隙部28がこれらの注入部51及び排出部52によって外壁14の外部と連通する。なお、第2実施形態では、注入部51及び排出部52は、シリンダブロックの幅方向(気筒配列方向に直交する方向)について、ほぼ相対向する箇所に設けられているが、これ以外の箇所に設けられてもよい。
一方、シール用治具31は、基板32及び閉鎖部33を備えている点で第1実施形態と共通するが、注入部35、排出部36及び開閉弁37が設けられていない。上記以外の構成は第1実施形態と同様である。そのため、第1実施形態と同様の部材、箇所等については同一の符号を付して説明を省略する。
上記シール用治具31を用いてブロック構成体15にシール部29(図13参照)を形成する場合には、図10に示すように、閉鎖部33が空隙部28の下方に位置するように、ブロック構成体15の下方にシール用治具31を配置する。シール用治具31を上昇させて、閉鎖部33を、クランク室27側の開口から空隙部28に挿入する。この挿入を、図11に示すように、基板32の上面が外壁14及びライナ本体22の各下端面に接触するまで行う。この閉鎖により空隙部28の開口が塞がれて、封入用空間34が形成される。
このようにして形成された封入用空間34は注入部51を通じて外壁14の外部と連通している。そのため、注入部51を液状シール剤41の通路とすることで、外壁14の外部の液状シール剤41を、同注入部51を通じて封入用空間34に注入することが可能である。また、封入用空間34は排出部52を通じて外壁14の外部と連通している。そのため、排出部52を空気の通路とすることで、上記封入用空間34への液状シール剤41の注入に伴い、同封入用空間34の空気を、排出部52を通じて排出させることが可能である。
そこで、注入装置38を注入部51に接続して作動させ、その注入部51を通じて封入用空間34に液状シール剤41を注入する。この注入に伴い封入用空間34の空気が押出され、排出部52を通じて封入用空間34の外へ排出される。
液状シール剤41が封入用空間34の隅々まで行きわたり、封入用空間34からほとんどの空気が排出されて、液状シール剤41が排出部52から流出したところで、図12に示す栓53を排出部52に差込む。この栓53により排出部52が塞がれて、同排出部52での液状シール剤41の流通が遮断される。一方で、上記栓53による排出部52の閉塞後も、しばらくの間、液状シール剤41の封入用空間34への注入を継続する。この注入継続により液状シール剤41が加圧され、封入用空間34における液状シール剤41の充填密度が高くなる。液状シール剤41が、肉厚部17,25の重なり部分における僅かな隙間にも入り込み、同隙間が埋められる。このようにして液状シール剤41が封入用空間34に加圧状態で封入される。
そして、封入用空間34の液状シール剤41が確実に加圧状態になった後に、液状シール剤41の注入を停止する。例えば、栓53による排出部52の閉塞後、液状シール剤41の注入の継続時間を計時し、その継続時間が所定の値になったところで液状シール剤41の注入を停止する。液状シール剤41の注入の停止後、図12に示す栓54を注入部51に差込む。この差込みによっても液状シール剤41が加圧される。そして、しばらく放置することにより、液状シール剤41を硬化させる。この硬化によりシール部29が形成されたところで、図13に示すようにシール用治具31を下降させて、空隙部28から閉鎖部33を抜出す。この抜出しに伴い、それまで閉鎖されていた空隙部28のクランク室27側の開口が開放される。空隙部28の上半部にはシール部29が残り、このシール部29によって、外壁14及びシリンダライナ21間がシールされる。
なお、液状シール剤41の硬化後に栓54を注入部51に差込むようにしてもよい。この場合、注入部51に栓54を差込むスペースが必要となる。そのため、このスペースを確保するために、例えば、注入装置38の吐出口(図示略)を注入部51内に挿入させた状態で、同注入装置38を注入部51に接続する。注入装置38を作動させて、吐出口から液状シール剤41を注入部51を通じて封入用空間34に注入する。封入用空間34の液状シール剤41が確実に加圧状態になった後に、注入装置38の作動を止めて液状シール剤41の注入を停止する。液状シール剤41が硬化した後に、注入部51から注入装置38の吐出口を抜出す。この抜出しにより生じた注入部51のスペースに栓54を差込む。
従って、第2実施形態によると、上述した(1)〜(3),(6),(7),(10)に加え、次の効果が得られる。
(14)開口がシール用治具31の閉鎖部33によって閉鎖された空隙部28に液状シール剤41を注入するためには、同液状シール剤41の注入部が必要となる。この点、第2実施形態では、外壁14の外部と空隙部28とを連通させる注入部51を、その外壁14に設けている。そのため、注入部51を液状シール剤41の通路とすることで、外壁14外部の液状シール剤41を、同注入部51を通じて封入用空間34に注入することができる。
(15)開口がシール用治具31の閉鎖部33によって閉鎖された空隙部28に液状シール剤41を加圧状態で封入するためには、同空隙部28の空気を排出させることが重要であり、そのために空気の排出部が必要となる。この点、第2実施形態では、外壁14の外部と空隙部28とを連通させる排出部52を、その外壁14に設けている。そのため、排出部52を空気の通路とすることで、上記空隙部28への液状シール剤41の注入に際し、封入用空間34の空気を、同排出部52を通じて外壁14の外部へ排出させることができる。
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・封入用空間34の大きさ(容積)は、空隙部28に挿入される閉鎖部33の深さによって決定される。封入用空間34の大きさが変れば、シール部29の大きさ(体積)が変って、シール性能が変化する。そこで、要求されるシール性能に応じて、シール用治具31における閉鎖部33の基板32からの高さを種々変更してもよい。また、要求されるシール性能に応じて、閉鎖部33の空隙部28への挿入量(深さ)を種々変更してもよい。
・空隙部28における液状シール剤41の圧力を検出し、その検出された圧力が所定の判定値になることを条件に、液状シール剤41の空隙部28への注入を停止するようにしてもよい。この場合にも、封入用空間34の液状シール剤41を確実に加圧状態にすることができる。
また、判定値を種々変更することで、液状シール剤41の加圧度合いを変え、封入用空間34における液状シール剤41の充填密度ひいてはシール性能を、所望のものとなるように調整することができる。
・注入部35,51及び排出部36,52の一方を外壁14に設け、他方をシール用治具31に設けてもよい。その一例を図14に示す。この例では、注入部51が外壁14に設けられ、排出部36がシール用治具31に設けられている。
・本発明は、図15に示すブロック構成体15を有するシリンダブロックにも適用可能である。このブロック構成体15では、ライナ本体22の外面に凹部61が設けられている。ライナ本体22が外壁14によって囲まれることにより、それらのライナ本体22及び外壁14間に空隙部28が形成される。この空隙部28は、上述した第1及び第2実施形態とは異なりクランク室27側に開口していない。空隙部28が液状シール剤41の封入用空間34となる。そのため、この場合には、シール用治具31を用いずに、空隙部28(封入用空間34)に液状シール剤41を封入することになる。
・上昇するシール用治具31を利用し、封入用空間34の液状シール剤41を加圧するようにしてもよい。例えば、これを第1実施形態に適用する場合には、閉鎖部33を空隙部28に挿入してその開口を塞いだ状態(図5に相当する状態)とするとき、基板32を外壁14及びライナ本体22の各下端面から下方へ若干離しておく。この状態で封入用空間34に液状シール剤41を注入し、液状シール剤41が排出部36から流出したところで、開閉弁37を閉弁させて排出部36を閉鎖する。そして、シール用治具31を上昇させる。この上昇により封入用空間34の容積が減少し、液状シール剤41が加圧される。
本発明を具体化した第1実施形態におけるシリンダブロックの斜視図。 シリンダブロックの分解斜視図。 ブロック構成体及びシール用治具の斜視図。 シール部の形成に際し、ブロック構成体にシール用治具を装着する前の状態を示す断面図。 シール部の形成に際し、ブロック構成体にシール用治具を装着した状態を示す断面図。 液状シール剤の封入用空間を説明する斜視図。 シール部の形成に際し、封入用空間に液状シール剤を注入する状態を示す部分断面図。 シール部の形成に際し、封入用空間に液状シール剤を封入した状態を示す部分断面図。 シール部が形成されたブロック構成体からシール用治具を取外した状態を示す部分断面図。 本発明を具体化した第2実施形態において、ブロック構成体にシール用治具を装着する前の状態を示す断面図。 シール部の形成に際し、ブロック構成体にシール用治具を装着した状態を示す断面図。 シール部の形成に際し、封入用空間に液状シール剤を封入した状態を示す断面図。 シール部が形成されたブロック構成体からシール用治具を取外した状態を示す部分断面図。 ブロック構成体の別の形態を説明する断面図。 ブロック構成体の別の形態を説明する断面図。
符号の説明
11…シリンダブロック、14…外壁、15…ブロック構成体、21…シリンダライナ、26…ウォータジャケット用空間、27…クランク室、28…空隙部、29…シール部、31…シール用治具、33…閉鎖部、34…封入用空間、35,51…注入部、36,52…排出部、37…開閉弁、41…液状シール剤。

Claims (13)

  1. シリンダライナと、
    前記シリンダライナを囲む外壁と
    を備え、前記外壁の内面の一部が前記シリンダライナの外面の一部に重ねられることにより、前記シリンダライナ及び前記外壁間がウォータジャケット用空間及び空隙部に仕切られたシリンダブロックであり、
    前記空隙部に加圧状態で封入された液状シール剤を硬化させることにより形成され、前記シリンダライナ及び前記外壁間をシールするシール部を備えることを特徴とするシリンダブロック。
  2. 前記空隙部はクランク室側に開口しており、前記液状シール剤は、前記開口がシール用治具の閉鎖部により閉鎖された状態で前記空隙部に封入されたものである請求項1に記載のシリンダブロック。
  3. 前記外壁には、同外壁の外部と前記空隙部とを連通させる注入部が設けられており、前記液状シール剤は前記注入部を通じて前記空隙部に封入されたものである請求項1又は2に記載のシリンダブロック。
  4. 前記外壁には、同外壁の外部と前記空隙部とを連通させる排出部が設けられており、前記液状シール剤は、前記空隙部の空気を前記排出部を通じて排出させた状態で同空隙部に封入されたものである請求項1〜3のいずれか1つに記載のシリンダブロック。
  5. 前記液状シール剤は、前記シール用治具の前記閉鎖部に設けられた注入部を通じて前記空隙部に封入されたものである請求項2に記載のシリンダブロック。
  6. 前記液状シール剤は、前記空隙部の空気を、前記シール用治具の前記閉鎖部に設けられた排出部を通じて排出させた状態で、同空隙部に封入されたものである請求項2又は5に記載のシリンダブロック。
  7. シリンダライナと、前記シリンダライナを囲む外壁とを備え、前記外壁の内面の一部が前記シリンダライナの外面の一部に重ねられることにより、前記シリンダライナ及び前記外壁間がウォータジャケット用空間及び空隙部に仕切られたシリンダブロックに適用され、前記空隙部にて前記シリンダライナ及び前記外壁間をシールするシール部を形成するシリンダブロックのシール方法であって、
    前記空隙部を閉鎖することにより液状シール剤の封入用空間を形成し、同封入用空間に液状シール剤を加圧状態で封入し、その後に同液状シール剤を硬化させることにより前記シール部を形成することを特徴とするシリンダブロックのシール方法。
  8. 注入部を通じて前記封入用空間に前記液状シール剤を注入するとともに、同封入用空間の空気を排出部を通じて排出させ、前記空気の排出後に前記排出部を閉鎖する一方で前記液状シール剤の注入を継続する請求項7に記載のシリンダブロックのシール方法。
  9. 前記封入用空間の前記液状シール剤が加圧状態となることを条件に前記液状シール剤の注入を停止する請求項8に記載のシリンダブロックのシール方法。
  10. シリンダライナと、前記シリンダライナを囲む外壁とを備え、前記外壁の内面の一部が前記シリンダライナの外面の一部に重ねられることにより、前記シリンダライナ及び前記外壁間が、ウォータジャケット用空間とクランク室側に開口する空隙部とに仕切られたシリンダブロックに適用され、前記空隙部にて前記シリンダライナ及び前記外壁間をシールすべく、液状シール剤を加圧状態で硬化させてなるシール部を形成するためのシリンダブロックのシール用治具であって、
    前記シール部の形成に際し、前記空隙部に挿入されて同空隙部の開口を閉鎖することにより前記液状シール剤の封入用空間を形成する閉鎖部を備えることを特徴とするシリンダブロックのシール用治具。
  11. 前記閉鎖部には、前記封入用空間に前記液状シール剤を注入するための注入部が設けられている請求項10に記載のシリンダブロックのシール用治具。
  12. 前記閉鎖部には、前記封入用空間の空気を排出させるための排出部が設けられている請求項10又は11に記載のシリンダブロックのシール用治具。
  13. 前記排出部の下流側には、前記液状シール剤の非通過時に開弁し、通過に伴い閉弁する開閉弁が設けられている請求項12に記載のシリンダブロックのシール用治具。
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