JP2006241170A - オキシスチレン誘導体の蒸留方法 - Google Patents

オキシスチレン誘導体の蒸留方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリマー生成がほとんどなく、高い回収率でオキシスチレン誘導体を得る経済性に優れた蒸留方法を提供する。
【解決の手段】 オキシスチレン誘導体の蒸留において、重合禁止剤としてニトロソ化合物及び/又はニトロ化合物を添加することを特徴とするオキシスチレン誘導体の蒸留方法を用いる。
【選択図】 選択図なし

Description

本発明は、医農薬、機能性高分子等の原料として有用なオキシスチレン誘導体の蒸留方法に関するものである。例えば、パラ−第3級−ブトキシスチレン(以下、p−第3級−ブトキシスチレンを「PTBS」と略記する)、パラ−アセトキシスチレン(以下、p−アセトキシスチレンを「PACS」と略記する)は、超LSI用途等に使用されるレジスト原料として極めて有用であることが知られており(特開昭59−199705号公報、特開平3−277608号公報、特開平6−266112号公報)、また、メタ−第3級−ブトキシスチレン(以下、m−第3級−ブトキシスチレンを「MTBS」と略記する)は、機能性高分子、医農薬等の中間原料として有用であることが知られている(特開平2−160739号公報)。
PTBSやPACS、MTBSのごときオキシスチレン誘導体は、一般に光や熱などによって重合することが知られている。例えば、PTBSやMTBSのごとき第3級−ブトキシスチレンは、ハロスチレンをマグネシウムと反応させグリニヤール試剤とした後、過安息香酸−第3級ブチルエステルを作用させて得る方法(特開昭59−199705号公報),第3級−ブトキシハロベンゼンをマグネシウムと反応させグリニヤール試剤とした後、塩化ビニル、臭化ビニル等のビニルハライドを作用させて得る方法(特公平4−71896号公報、特開平2−160739号公報)等により得られる。また、PACSのごときアセトキシスチレンは、アセトキシベンズアルデヒドをジブロモメタンと作用させて得る方法(特開平8−157410号公報)等により得られる。
これらオキシスチレン誘導体の製造法については、いずれの場合においても、製品を分離回収するために、通常、蒸留操作が行われる。しかしながら、これらオキシスチレン誘導体は、前記したように光や熱により重合してポリマー状物質を形成するため、製品収率が著しく低下するという問題がある。更に、蒸留釜内及び蒸留塔内において高粘性のポリマー状物質が生成するため種々のトラブルを引き起こす。従って、このような蒸留工程での重合トラブルを回避するために、これまで、重合禁止剤の存在下に蒸留操作を行う方法がとられている。例えば、PTBS,MTBSのごとき第三級−ブトキシスチレンにおいては、p−第三級−ブチルカテコールの存在下に蒸留を行う方法(特公平4−71896号公報、特開平2−160739号公報)、また、PACSのごときアセトキシスチレンにおいては2−第三級−ブチルハイドロキノンの存在下に蒸留を行う方法(特開平8−157410号公報)が開示されている。
しかしながら、これらの重合禁止剤は、蒸留工程における加熱条件下では、十分なポリマー形成の抑制効果を示さず、製品収率が低下するという問題に加え、高粘性ポリマー状物質の生成により蒸留塔及び配管が閉塞する等のトラブルを引き起こし、オキシスチレン誘導体の蒸留方法として満足できるものではなかった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来の方法では満足できなかったオキシスチレン誘導体の蒸留方法を提供することにある。すなわち、従来の問題点を解決し、ポリマー生成がほとんどなく、高い回収率でPTBSやPACS、MTBSのごときオキシスチレン誘導体を得る経済性に優れた蒸留方法を提供することにある。
本発明者らは、従来の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、PTBSやPACS、MTBSのごときオキシスチレン誘導体の蒸留工程において、重合禁止剤として、ニトロソ化合物及び/又はニトロ化合物を添加することにより、実質的にポリマー状物質が生成することなく、PTBSやPACS、MTBSのごときオキシスチレン誘導体を高い回収率で蒸留可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、オキシスチレン誘導体の蒸留において、重合禁止剤として、ニトロソ化合物及び/又はニトロ化合物を添加することを特徴とするオキシスチレン誘導体の蒸留方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において使用される上記一般式(1)で表わされるオキシスチレン誘導体とは、ヒドロキシスチレンの水酸基の水素がアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルシリル基に置換されたものをいい、例えば、p−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−エトキシスチレン、m−エトキシスチレン、p−n−プロポキシスチレン、m−n−プロポキシスチレン、p−i−プロポキシスチレン、m−i−プロポキシスチレン、p−n−ブトキシスチレン、m−n−ブトキシスチレン、p−i−ブトキシスチレン、m−i−ブトキシスチレン、p−第三級−ブトキシスチレン(PTBS)、m−第三級−ブトキシスチレン(MTBS)、p−n−ペンチルオキシスチレン、m−n−ペンチルオキシスチレン、p−i−ペンチルオキシスチレン、m−i−ペンチルオキシスチレン、p−第三級−アミルオキシスチレン、p−第三級−アミルオキシスチレン、p−シクロプロピルメチルオキシスチレン、m−シクロプロピルメチルオキシスチレン、p−シクロヘキシルオキシスチレン、m−シクロヘキシルオキシスチレン等のアルコキシスチレン類、p−フェニルオキシスチレン、m−フェニルオキシスチレン、p−(4−メチルフェニル)オキシスチレン、m−(4−メチルフェニル)オキシスチレン、p−(2−メチルフェニル)オキシスチレン、m−(2−メチルフェニル)オキシスチレン、p−(4−メトキシフェニル)オキシスチレン、m−(4−メトキシフェニル)オキシスチレン、p−(2−メトキシフェニル)オキシスチレン、m−(2−メトキシフェニル)オキシスチレン、p−(4−エトキシフェニル)オキシスチレン、m−(4−エトキシフェニル)オキシスチレン、p−(2−エトキシフェニル)オキシスチレン、m−(2−エトキシフェニル)オキシスチレン、p−(4−第三級−ブトキシフェニル)オキシスチレン、m−(4−第三級−ブトキシフェニル)オキシスチレン、p−(2−第三級−ブトキシフェニル)オキシスチレン、m−(2−第三級−ブトキシフェニル)オキシスチレン等のアリールオキシスチレン類、p−ベンジルオキシスチレン、m−ベンジルオキシスチレン、p−(4−メチルフェニル)メトキシスチレン、m−(4−メチルフェニル)メトキシスチレン、等のアリールアルキルオキシスチレン類、p−メトキシメトキシスチレン、m−メトキシメトキシスチレン、p−(2−テトラヒドロピラニル)オキシスチレン、m−(2−テトラヒドロピラニル)オキシスチレン等のアルコキシアルキルオキシスチレン類、p−アセトキシスチレン(PACS)、m−アセトキシスチレン、p−アセトキシスチレン、p−第三級−ブチルカルボニルオキシスチレン、m−第三級−ブチルカルボニルオキシスチレン等のアルキルカルボニルオキシスチレン類、p−メトキシカルボニルオキシスチレン、m−メトキシカルボニルオキシスチレン、p−ベンジロキシカルボニルオキシスチレン、m−ベンジロキシカルボニルオキシスチレン、p−第三級−ブトキシカルボニルオキシスチレン、m−第三級−ブトキシカルボニルオキシスチレン等のアルコキシカルボニルオキシスチレン類、p−トリメチルシリルオキシスチレン、m−トリメチルシリルオキシスチレン、p−第三級−ブチルジメチルシリルオキシスチレン、m−第三級−ブチルジメチルシリルオキシスチレン等のアルキルシリルオキシスチレン類等が挙げられる。
本発明の方法において、重合禁止剤として用いられるニトロソ化合物及び/又はニトロ化合物とは、構造式中にニトロソ基及び/又はニトロ基を含有するものを言う。ニトロソ化合物としては例えば、ニトロソベンゼン、ニトロソトルエン、p−ニトロソフェノール、ニトロソレゾルシノール、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール等のニトロソ芳香族炭化水素、N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソ−N−メチルアニリン、N−ニトロソ−N−フェニルアニリン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩(金属塩、アンモニウム塩等)等のN−ニトロソ類が挙げられる。また、ニトロ化合物としては例えば、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、p−ジニトロベンゼン、2,4−ジニトロクロロベンゼン、1,5−ジニトロナフタレン、2,4−ジニトロ−1−ナフトール、2,4−ジニトロフェノール、2,5−ジニトロフェノール、2,4−ジニトロ−6−第二級−ブチル−フェノール、4,6−ジニトロ−o−クレゾール、1,3,5−トリニトロベンゼン等のニトロ芳香族化合物が挙げられる。
これらのうち、重合禁止能力及び入手の容易さを考慮すると、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩、2,4−ジニトロフェノールの使用が好ましい。
本発明の方法におけるニトロソ化合物及び/又はニトロ化合物の添加量は、オキシスチレン誘導体に対し、1〜100000ppm、好ましくは、100〜10000ppmの範囲が選ばれる。添加量が、1ppm未満では重合禁止効果が十分に発揮されない。また、100000ppmを越えると添加量の割には効果の向上が見られず、むしろ経済的に不利となる。
本発明の方法において、重合禁止剤を含むオキシスチレン誘導体の蒸留温度は、特に制限はないが、通常、20〜200℃の範囲であり、好ましくは、50〜150℃である。蒸留温度がこの範囲内であれば、重合防止効果が十分に発揮される。また、本蒸留は、通常、減圧下で実施され、圧力としては0.1〜200mmHgの範囲が選ばれる。更に、本蒸留においては、気流同伴を伴わない無気条件又は、窒素あるいは空気等の気流同伴を行う有気条件下のいずれで蒸留を実施しても良い。
本発明の方法においては、重合防止効果を更に向上させるために、所望に応じ、他の重合禁止剤、例えばp−第三級−ブチルカテコール、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール等を共存させることができる。
以上の説明から明らかなように、本発明の方法によれば、従来の問題点を解決して、オキシスチレン誘導体をポリマー状物質がほとんど生成することなく、高い回収率で蒸留することが可能となる。
以下に、本発明の方法を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
100mlフラスコに、PTBS 10gと重合禁止剤としてN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩0.01gを添加した。次にこのフラスコに還流コンデンサーを取り付けて、120℃、5mmHgの条件で16時間連続して還流を行った。なお、この際、液中にキャピラリーを通じて空気を導入した。
還流終了後、フラスコ内のPTBSをサンプリングし、液体クロマトグラフィー(カラム:GPC−2000)で分析し、その組成からポリマーの収率を求め、その結果を表1に示した。
Figure 2006241170
実施例2〜10
実施例1で使用したN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩に代えて、表1に示した重合禁止剤を所定量用いた以外は、実施例1に準じて還流を行い、それらの結果を表1にまとめて示した。
実施例11
実施例1で使用したPTBSに代えてMTBS 10gを用いた以外は、実施例1に準じて還流を行った。還流終了後、フラスコ内のMTBSをサンプリングし、液体クロマトグラフィー(カラム:GPC−2000)で分析し、その組成からポリマーの収率を求め、その結果を表1に示した。
比較例1〜4
実施例1で使用したN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩に代えて、表1に示した重合禁止剤を所定量用いた以外は、実施例1に準じて還流を行い、それらの結果を表1にまとめて示した。
比較例5
実施例1で使用したPTBSに代えてMTBS 10gを用い、重合禁止剤としてp−第三級−ブチルカテコール 0.01gを用いた以外は、実施例1に準じて還流を行った。還流終了後、フラスコ内のMTBSをサンプリングし、液体クロマトグラフィー(カラム:GPC−2000)で分析し、その組成からポリマーの収率を求め、その結果を表1に示した。
実施例12
100mlフラスコに、PACS 10gと重合禁止剤としてN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩0.05gを添加した。次にこのフラスコに還流コンデンサーを取り付けて、120℃、4mmHgの条件で16時間連続して還流を行った。なお、この際、液中にキャピラリーを通じて空気を導入した。
還流終了後、フラスコ内のPACSをサンプリングし、液体クロマトグラフィー(カラム:GPC−2000)で分析し、その組成からポリマーの収率を求め、その結果を表2に示した。
Figure 2006241170
実施例13〜18
実施例12で使用したN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩に代えて、表2に示した重合禁止剤を所定量用いた以外は、実施例12に準じて還流を行い、その結果を表2にまとめて示した。
比較例6〜10
実施例12で使用したN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩に代えて、表2に示した重合禁止剤を所定量用いた以外は、実施例12に準じて還流を行い、それらの結果を表2にまとめて示した。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)(式中、Rは、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基又はアルキルシリル基を表わす。)で表されるオキシスチレン誘導体の蒸留において、オキシスチレン誘導体の重合を禁止するために添加することを特徴とするニトロソ化合物及び/又はニトロ化合物からなる重合禁止剤。
    Figure 2006241170
  2. オキシスチレン誘導体が、下記一般式(2)で表される第三級−ブトキシスチレンであることを特徴とする請求項1に記載の重合禁止剤。
    Figure 2006241170
  3. オキシスチレン誘導体が、下記一般式(3)で表されるアセトキシスチレンであることを特徴とする請求項1に記載の重合禁止剤。
    Figure 2006241170
  4. ニトロソ化合物が、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン及び/又はその塩であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の重合禁止剤。
  5. ニトロ化合物が、ジニトロフェノールであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の重合禁止剤。
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