JP2006241072A - キラルな4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンおよびキラルメバロノラクトンの製造方法 - Google Patents

キラルな4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンおよびキラルメバロノラクトンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 キラルな4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンを提供する。キラルメバロノラクトンを効率よく製造する。
【解決手段】 3−オキソブチルアリールカルボン酸エステルを触媒存在下、ケテンとの反応し、4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンのラセミ体を得た後、液体カラムクロマトグラフィーもしくは優先晶析により光学分割し、キラルな4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンとした後、キラルメバロノラクトンに誘導する。
【選択図】なし

Description

本発明は、式(RS−1)で表されるキラルな4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンに関する。キラル4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンは、式(R−3)または式(S−3)で表されるキラルメバロノラクトンを製造する時の新規な中間体である。本発明は、キラルな4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンを製造する方法、キラルメバロノラクトンを製造する方法に関する。
Figure 2006241072
Figure 2006241072
式(R−3)で表されるメバロンラクトン、およびその加水分解したメバロン酸の(R)体は生化学的に重要な化合物である(例えば、非特許文献1参照)。また、キラルメバロンラクトン、およびメバロン酸は試薬、医薬品中間体や化粧品成分などとしても有用である。また、メバロノラクトンまたはメバロン酸は、相互に加水分解、エステル化により変換されることが公知である。本特許ではメバロノラクトンまたはメバロン酸を代表してメバロノラクトンということがある。
キラルメバロノラクトンは、化学的な方法でも多くの方法が報告されている。例えば、工業的な入手できる3−メチル−ブテン−1−オ−ルから、不斉ジヒドロキシ化、位置選択的求核開環反応を含んだ数工程で得る方法が報告されている(例えば、非特許文献2)。また、キラルオキソヒドロキシフランを用いて、原料のキラリティ−を保持したまま、ヘプテントリオ−ルを調製し、数工程の反応で得る方法が報告されている(例えば、特許文献1)。しかし、従来の合成方法は工程が長く繁雑である。また、満足できる光学的純度のメバロノラクトンを合成する方法はなかった。
一方、ラセミメバロン酸またはラセミメバロノラクトンについて、酢酸3−オキソブチルとケテンの付加反応により2−オキセタノンを合成し、これをアルカリ加水分解後、酸でラクトン化させてラセミメバロノラクトンを合成できることを報告している。しかしながら、この方法からではキラルメバロノラクトンは合成できない(例えば、非特許文献3)。
Figure 2006241072
特開昭60−014840号公報 J.L.Goldstein, M.S.Brown, Nature, 1990, 343, 425-430; E.Caspi, Tetrahedron, 1986, 42, 3-50) R.A.Fernandes, P.Kumar, etrahedron: Asymmetry, 1999, 10, 4349-4356 J.W.Cornforth, R.H.Cornforth, A.Pelter, M.G.Horning, G.Popjak, Tetrahedron, 1959, 5, 311-327
本発明の目的は、キラルメバロノラクトンを合成するにあたり、反応工程が短く、高い光学純度の合成中間体を提供し、キラルメバロノラクトンを短い反応工程で製造する方法を提供することである。
本発明者らは鋭意検討の結果、式(R−1)または式(S−1)で表されるキラルな4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンの合成中間体を見出し、本発明を完成した。また、本発明は、キラルな4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンを製造する方法を提供する。
Figure 2006241072
その製造工程は、以下の各工程から構成される。
工程1.
3−オキソ−ブタン−1−オ−ルから式(2)で表される3−オキソブチルアリールカルボン酸エステルを合成する工程。
Figure 2006241072
工程2.
式(2)で表される3−オキソブチルアリールカルボン酸エステルを触媒存在下、ケテンとの反応させ、式(RS−1)で表される4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンのラセミ体を得る工程。
Figure 2006241072
工程3.
式(RS−1)で表される4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンのラセミ体を、クロマトグラフィーまたは優先晶析により、式(R−1)および式(S−1)で表されるキラルな4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンに光学分割する工程。
Figure 2006241072
工程4.
式(R−1)または式(S−1)で表されるキラルな4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンを、アルカリ加水分解または酸環化させ、それぞれ式(R−1)または式(S−1)で表されるキラルメバロノラクトンを得る工程。
Figure 2006241072
本発明で、「任意の」語は、「区別なく選択された少なくとも1つの」を意味する。式(RS−1)で表される4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンのラセミ体を、4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンのラセミ体(RS−1)または化合物(RS−1)と表すことがある。他の式についても、同様である。
本発明は、下記の項などで示される。
1. 式(RS−1)で表される4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンのラセミ体。
Figure 2006241072
式中、Arはアリールである。このアリールにおいて任意の水素が、炭素数1から15のアルキル、炭素数2から15のアルケニル、炭素数1から10のアルコキシ、5から7員環の脂環式基、または任意の水素が炭素数1から4のアルキルに置き換えられた芳香環に置き換えられてもよく、そして、環および置き換えられた基において、任意の水素はニトロに置き換えられてもよい。任意の水素がアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシル、またはニトロで置き換えられてもよい。
2. 式(R−1)または式(S−1)で表されるキラルな4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン。
Figure 2006241072
式中、Arはアリールである。このアリールにおいて任意の水素が、炭素数1から15のアルキル、炭素数2から15のアルケニル、炭素数1から10のアルコキシ、5から7員環の脂環式基、または任意の水素が炭素数1から4のアルキルに置き換えられた芳香環に置き換えられてもよく、そして、環および置き換えられた基において、任意の水素はニトロに置き換えられてもよい。任意の水素がアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシル、またはニトロで置き換えられてもよい。
3. 4−メチル−4−(2−ベンゾイルオキシエチル)オキセタン−2−オン、4−メチル−4−[2−(p−ニトロベンゾイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン、4−メチル−4−[2−(p−フェニルゾイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン、4−メチル−4−[2−(1−ナフトイルイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン、または4−メチル−4−[2−(2−ナフトイルイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンの光学活性体。
4. 項1記載の式(RS−1)で表される4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンのラセミ体を液体クロマトグラフィーにより光学分割して、項2記載の式(R−1)または式(S−1)で表されるキラルな4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンを製造する方法。
5. 光学分割において、式(RS−1)で表される4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンのラセミ体を優先晶析する項4記載のキラル4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンを製造する方法。
6. ラセミ体4−メチル−4−[2−(1−ナフトイルイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンを有機溶媒に希釈した溶液に、4−メチル−4−[2−(1−ナフトイルイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンの(R)体または(S)体である種結晶を添加して優先晶析により光学分割する項4記載のキラルな4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンを製造する方法。
7. 式(2)で表される3−オキソブチルアリールカルボン酸エステルを、ルイス酸触媒存在下、ケテンと反応することを特徴とする4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンのラセミ体の製造方法。
Figure 2006241072
式中、Arはアリールである。このアリールにおいて任意の水素が、炭素数1から15のアルキル、炭素数2から15のアルケニル、炭素数1から10のアルコキシ、5から7員環の脂環式基、または任意の水素が炭素数1から4のアルキルに置き換えられた芳香環に置き換えられてもよく、そして、環および置き換えられた基において、任意の水素はニトロに置き換えられてもよい。任意の水素がアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシル、またはニトロで置き換えられてもよい。
8. 製造される4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンが、4−メチル−4−(2−ベンゾイルオキシエチル)オキセタン−2−オン、4−メチル−4−[2−(p−ニトロベンゾイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン、4−メチル−4−[2−(p−フェニルゾイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン、4−メチル−4−[2−(1−ナフトイルイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン、または4−メチル−4−[2−(2−ナフトイルイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンである項7記載の4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンのラセミ体の製造方法。
9. 項2記載の式(R−1)および式(S−1)で表されるキラルな4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンを、アルカリ分解、酸環化させることを特徴とするキラルメバロノラクトンの製造する製造法。
10. アルカリ分解において、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムを用いることを特徴とする項9記載のキラルメバロノラクトンの製造法
11. 酸環化において、塩化水素または硫酸を用いることを特徴とする項9記載のキラルメバロノラクトンの製造法。
12. キラルな4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンとして、4−メチル−4−(2−ベンゾイルオキシエチル)オキセタン−2−オン、4−メチル−4−[2−(p−ニトロベンゾイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン、4−メチル−4−[2−(p−フェニルゾイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン、4−メチル−4−[2−(1−ナフトイルイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン、または4−メチル−4−[2−(2−ナフトイルイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンの光学活性体を出発原料として用いることを特徴とする項9から11のいずれか1項記載のキラルメバロノラクトンの製造方法。
工業的に入手可能な原料を用いて、キラルメバロノラクトンの合成中間体(4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン)を提供できる。光学分割で光学的に純粋な4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンを用いて短い反応工程で、光学的に純粋なキラルメバロノラクトンを合成することができた。
本発明において、アリールとは芳香環を示し、ベンゼン、ナフタレン、ジフェニル、アントラセン、テトラセン、フェナントレン、フラン、ピリジン、アズレンなどである。好ましい芳香環は、ベンゼン、ナフタレン、ジフェニル、アントラセン、テトラセン、フェナントレンなどである。さらに好ましい芳香環は、ベンゼン、ナフタレン、ジフェニルである。環において結合する位置はいずれでもよい。例えば、ナフタレンの場合、1−ナフチルおよび2−ナフチルのどちらでもよい。
これらの芳香環において任意の水素が、炭素数1から15のアルキル、炭素数2から15のアルケニル、炭素数1から10のアルコキシ、5から7員環の脂環式基、または任意の水素が炭素数1から4のアルキルに置き換えられた芳香環に置き換えられてもよく、そして、環および置き換えられた基において、任意の水素はニトロに置き換えられてもよい。
次に、工程1から4について説明する。
式(2)で表される化合物を、化合物(2)と表すことがある。また、式(2)で表される3−オキソブチルアリールカルボン酸エステルを、3−オキソブチルアリールカルボン酸エステル(2)と表すことがある。他の式も同様である。
工程1.(3−オキソブチルアリールカルボン酸エステルの合成)
Figure 2006241072
式(2a)〜(2e)で表されるArを有する化合物(2)を、化合物(2a)〜(2e)と表すことがある。例えば、Arが式(2a)である3−オキソブチルアリールカルボン酸エステル(2)は、化合物(2a)と表すことがあって、3−オキソブチルフェニルカルボン酸を意味する。
3−オキソ−1−ブタノールは、アセトンとホルムアルデヒドまたはパラホルムを縮合する方法、1,3−ブタンジオールを酸化または脱水素反応で工業的に製造することができ、これらの方法で製造された3−オキソ−1−ブタノールを用いることができる。3−オキソブチルアリールカルボン酸エステルは、3−オキソ−1−ブタノールの水酸基を塩基存在下、酸塩化物を用いてアシル化することにより得る。
アリールが直結したカルボン酸塩化物が有効であり、工業的に入手可能なベンゾイルクロライド、p−ニトロベンゾイルクロライド、p−フェニルベンゾイルクロライド、1−ナフトイルクロライド、2−ナフトイルクロライドを用いことができる。
塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン等の有機塩基、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基を使用できる。
合成した3−オキソブチルアリールカルボン酸エステルは、減圧蒸留、カラムクロマトグラフィー、再結晶などで精製して、次の工程に用いる。
工程2.(4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンのラセミ体の合成)
Figure 2006241072
式(RS−1a)〜(RS−1e)で表されるArを有する化合物(RS−1)を、化合物(RS−1a)〜(RS−1e)と表すことがある。例えば、Arが式(RS−1a)である4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンのラセミ体(RS−1)は、化合物(RS−1a)と表すことがあって、ラセミ体4−メチル−4−[(フェニルカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンを意味する。
3−オキソブチルアリールカルボン酸エステル(2)と触媒量のルイス酸の有機溶媒溶液にケテンを導入することにより実施する。使用するケテンは、製造法により特に制限されなく、アセトンの熱分解、酢酸の熱分解などにより得られたケテンが使用できる。
ルイス酸としては、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、塩化チタン、塩化ホウ素、臭化ホウ素などの各種のルイス酸を用いることができるが、特に活性の点で、三フッ化ホウ素エ−テル錯体が好ましい。触媒は3−オキソブチルアリールカルボン酸エステルに対して、通常0.01〜10mol%、好ましくは0.1〜5mol%用いることが望ましい。
有機溶媒としてはジクロロメタン、クロロホルムなどのハロアルカン、酢酸エチルなどのエステル、トルエンなどのアルキルベンゼン、ジエチルエ−テル、テトラヒドロフランなどのエ−テル系溶媒、またはこれらの混合溶媒を用いることができる。有機溶媒の使用量は、特に限定されるものではないが、通常、3−オキソブチルアリールカルボン酸エステルの重量に対して、0.5〜30倍程度の量で使用される。
ケテンとの反応は、上記溶媒中で行われ、ケテンと3−オキソブチルアリールカルボン酸エステルの仕込み順序は特に限定されず、どちらを先に仕込んでもよい。反応温度は、−78℃〜100℃、好ましくは−40℃〜30℃である。
化合物(RS−1b)〜(RS−1e)である4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンのラセミ体は全て結晶として得られるので、再結晶、カラムクロマトグラフィーにより精製して次工程に用いる。
工程3.キラルな2−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンの合成)
Figure 2006241072
式(RS−1a)〜(RS−1e)で表されるArを有する化合物(R−1)を、化合物(R−1a)〜(R−1e)と表すことがある。例えば、Arが式(R−1a)である4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンの(R)体(R−1)は、化合物(R−1a)と表すことがあって、4−メチル−4−[(フェニルカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンの(R)体を意味する。化合物(S−1)も同様である。
式(R−1)または式(S−1)で表されるキラルな2−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンの合成は、式(RS−1)で表される2−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンのラセミ体のクロマトグラフィーまたは、優先晶析の光学分割により実施される。
クロマトグラフィーによる光学分割
クロマトグラフィーによる光学分割は、4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンのラセミ体から、市販されているキラルクロマト剤を充填したカラムを用いて行う。
キラルクロマト剤として、市販の多糖エステル誘導体、多糖カルバメ−ト誘導体、クラウンエ−テル、シクロデキストリン誘導体、光学活性アミノ酸を担体に固定したものが上げられる。この中でも、セルロ−ストリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメ−ト)
を成分とするダイセル化学工業株式会社製のChiralCel・ODカラムによる光学分割は、両鏡像異性体の保持時間が大きく異なるため、極めて効率的に行うことができる。
クロマトグラフィーによる分割に使用する移動層は、使用するキラル充填剤、分割する化合物、流速等により特に限定されないが、炭素数6から8の炭化水素溶媒と炭素数1から5のアルコール系溶媒が上げられる。炭素数6から8の炭化水素溶媒とは、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等が上げられる。炭素数1から5のアルコール系溶媒とは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール等が上げられる。好適な例としては、n−ヘキサンとイソプロパノールの混合溶媒が挙げられる。
移動層の溶媒混合比は、使用するキラル充填剤、分割する化合物、温度等により異なるが、特に好適な混合比の条件は、炭素数6から8の炭化水素溶媒:炭素数1から5のアルコール系=9:1〜2:1である。
また、クロマトグラフィーによる分割では、紫外線可視分光検出器を付けることで、分割する化合物である芳香族アシル基を含むラセミ体4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンの高感度分析も可能である。
ラセミベンゾイルエステル(RS−1a)、ラセミパラニトロベンゾイルエステル(RS−1b)、ラセミパラフェニルベンゾイルエステル(RS−1c)、ラセミ1−ナフトイルエステル(RS−1d)、ラセミ2−ナフトイルエステル(RS−1e)もそれぞれChiralCel・ODカラムにより容易に光学分割できる。分割された化合物(R−1a)、(S−1a)は室温では油状物質であるが、化合物(R−1b)〜(R−1e)、化合物(S−1b)〜(S−1e)は全て結晶であるため、再結晶により容易に精製することができる。
ChiralCel・ODカラムにより分割された光学活性体の立体配置は、次工程のアルカリ分解、酸環化させキラルメバロノラクトンへ誘導し、天然型の(R)−(−)メバロノラクトンの比旋光度との比較で決定した。また、メバロノラクトンの構造の確認は、H−NMRにより行った。4−メチル−4−(ベンゾイルオキシエチルエチル)−オキセタン−2−オン(RS−1a)の場合、保持時間36分がR体、保持時間46分がS体であることが分かった。今回検討した4−メチル−4−(アリールカルボオキエチルエチル)−オキセタン−2−オンの場合、全ての化合物で保持時間の短い化合物がR配置を有することが分かった。
優先晶析による分割
ラセミ体の溶液から一方の鏡像異性体を優先的に晶出させることにより光学分割することも可能である。優先晶出法は経済的かつ簡便な点で優れた光学分割法である。この方法で光学分割するためには、光学活性体がラセミ体より難溶であることが望ましい。ラセミベンゾイルエステル(RS−1a)の場合は,光学活性体がラセミ体より低融点であった。しかし、ラセミ1−ナフトイルエステル(RS−1d)では,光学活性体がラセミ体より高融点でかつ溶媒に難溶である。このため、ラセミ体(RS−1d)の溶液に純粋な(R)体(R−1d)を接種することにより、化合物(R−1d)を得ることができる。次いで、その母液に(S)体(S−1d)を接種し、化合物(S−1d)を得ることができる。
具体的には、2−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン(RS−1d)を適当な有機溶媒で溶解し、過飽和溶液を調製する。過飽和溶液は、2−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン(RS−1d)を加熱により溶解させるか、溶解液を濃縮する方法で行うことができる。好ましい溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類の混合溶媒を用いることができる。
過飽和溶液における2−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン(RS−1d)の濃度は、使用する溶剤や晶析温度等により異なるが、通常3〜40%の範囲が好ましい。2−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンは、必ずしもラセミ体を用いる必要はなく、光学異性体含比が異なった場合においても本方法を実施できる。
本発明では、いずれの光学活性体から先に晶析させてもかまわず、結晶の晶析法は、静置下でも、撹拌下でも行うことが可能である。析出した結晶は、濾過、吸引濾過、遠心分離等の公知の方法で分別できる。回収した母液は、再度、ラセミ体の2−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン(RS−1d)を加えて、過飽和溶液を調製し、過剰に存在するもう一方の光学活性体を接種することで、もう一方の光学活性体を取得できる。この操作を繰り返し相互に行うことで、効率よく光学分割することが可能である。同じキラリティ−を有する分割した2−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンは、さらに再結晶することで光学純度を上げることが可能である。
工程4.キラルメバロノラクトンの合成
Figure 2006241072
式(1a)〜(1e)で表されるArを有する化合物(R−1)を、化合物(R−1a)〜(R−1e)と表すことがある。例えば、Arが式(RS−1a)である4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンの(R)体(R−1)は、化合物(R−1a)と表すことがあって、4−メチル−4−[(フェニルカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンの(R)体を意味する。化合物(S−1)も同様である。
上記の方法で光学分割された光学的に純粋なラクトン(R−1a)〜(R−1e)または(S−1a)〜(S−1e)を用い、アルカリで分解後、酸でラクトン化させることで、光学的に純粋なメバロノラクトン(R−3)または(S−3)をそれぞれ得ることができる。アルカリ分解後、酸でラクトン化工程において、3位に存在する不斉炭素の立体配置は変化せずに保持される。
H−NMR、13C−NMR:プロトン核磁気共鳴スペクトルは、日本電子製DeltaECA500(500MHz)を用い、テトラメチルシランを内部標準として測定した。
赤外分光:JASCO製FT/IR−8000で測定した。
比旋光度:JASCO製P−1030で測定した。
元素分析:ヤナコ分析工業製CHNCODER・MT−3で測定した。
質量分析:JEOL製JMS−700・Mstationで測定した。
IR:赤外吸収スペクトルは、島津製作所製FT−IR8400Sを用い、DuraSamplIRIIにより液体、結晶をそのまま測定した。
高速液体クロマトグフラフィー:日本分光製PU−980、UV−970を使用した。
光学純度は、ダイセル化学製のChiralCel・ODカラムを用いて測定した。
以下、実施例により本発明の効果を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
3−オキソブチルベンゾエート(2a)
3−オキソブタン−1−オール(4.4g,50mmol)のピリジン溶液にベンゾイルクロライド(7.0mL,60mmol)を氷冷、撹拌下滴下15分かけて滴下した。氷冷下更に10分、次いで室温で30分撹拌した。撹拌しながら1M塩酸100mLと氷を加えた後,酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥した。濃縮後,カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=8:1)で精製し、無色油状の化合物(2a)を得た。収率91%.無色油状物。
1H-NMR (CDCl3)δ: 8.12 (0H, d, J = 7.2 Hz), 8.00 (2H, d, J = 7.2 Hz), 7.55 (1H, t, J = 7.6 Hz), 7.47 (0H, t, J = 7.6 Hz), 7.43 (2H, t, J = 7.6 Hz), 4.59 (2H, t, J = 6.4 Hz), 2.91 (2H, t, J = 6.0 Hz), 2.23 (3H, s).
(実施例2)
3−オキソブチル−p−ニトロベンゾエート(2b)
3−オキソブタン−1−オール(4.4g,50mmol)、p−ニトロベンゾイルクロライドを用いて、実施例1の方法と同様にして、化合物(2b)を合成した。
収率82%.mp81〜83℃の無色の針状晶(エーテルより再結晶)。
IR (neat) : 1721 cm-1 .
1H-NMR (CDCl3)δ: 8.28 (2H, d, J = 8.6 Hz), 8.18 (2H, d, J = 9.2 Hz), 4.64 (2H, t, J = 6.0 Hz), 2.96 (2H, t, J = 6.3 Hz), 2.25 (3H, s).
13C-NMR (CDCl3) δ: 205.02, 164.49, 150.55, 135.30, 130.69, 123.51, 77.00, 60.54, 42.06, 30.24 .
Anal. Calcd C11H11NO5 : C, 55.46; H, 4.62; N, 5.88. Found : C, 55.55 ; H, 4.58 ; N, 5.95.
(実施例3)
3−オキソブチル p−フェニルベンゾエート(2c)
3−オキソブタン−1−オール(4.4g,50mmol)、フェニルベンゾイルクロライドを用いて、実施例1の方法と同様にして、化合物(2c)を合成した。
収率75%、mp94〜96℃の無色のプリズム晶(エーテルより再結晶)。
IR (neat) : 1701 cm-1 .
1H-NMR (CDCl3)δ: 8.07 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.64 (4H, q, J = 8.6 Hz), 7.47 (2H, t, J = 7.4 Hz), 7.40 (1H, t, J = 7.4 Hz), 4.62 (2H, t, J = 6.3 Hz), 2.93 (2H, t, J = 6.3 Hz), 2.25 (3H, s).
13C-NMR (CDCl3) δ: 205.61, 166.30, 145.80, 139.95, 130.11, 128.92, 128.67 , 128.16 , 127.27, 127.05, 59.85, 42.45, 30.30 .
Anal. Calcd C17H16O3 : C, 76.03; H, 5.96. Found : C, 76.18; H, 6.02.
FAB-MS m/z : 269 (MH)
(実施例4)
3−オキソブチル−1−ナフトレート(2d)
3−オキソブタン−1−オール(4.4g,50mmol)、1−ナフトイルクロライドを用いて、実施例1の方法と同様にして、化合物(2d)を合成した。
収率52%、無色油状物。
IR (neat) : 1709 cm-1 .
1H-NMR(CDCl3)δ: 2.25 (3H, s), 2.96 (2H, t, J = 6.0 Hz), 4.68 (2H, t, J = 6.0 Hz), 7.48 (1H, t, J = 7.7 Hz), 7.53 (1H, t, J = 7.4 Hz), 7.61 (1H, t, J = 7.7 Hz), 7.88 (1H, d, J = 8.0 Hz), 8.02 (1H, d, J = 8.6 Hz), 8.13 (1H, t, J = 3.7 Hz), 8.87 (1H, d, J = 8.6 Hz).
13C NMR (CDCl3)δ: 30.32 , 42.38 , 59.87 , 124.44 , 125.70 , 126.22 , 126.85 , 127.79 , 128.53 , 130.23 , 131.29 , 133.47 , 133.79 , 167.33 , 205.66.
Anal. Calcd C15H14O3 : C, 74.29; H, 5.78. Found: C, 74.15; H, 5.65.
FAB-MS m/z : 243 (MH)
(実施例5)
3−オキソブチル−2−ナフトレート(2e)
3−オキソブタン−1−オール(4.4g,50mmol)、1−ナフトイルクロライドを用いて、実施例1の方法と同様にして、化合物(2e)を合成した。
収率76%、mp41〜43℃の無色のプリズム晶(エーテル−ヘキサン−ペンタンより再結晶)。
IR (neat) : 1711 cm-1 .
1H-NMR (CDCl3)δ: 8.57 (1H, s), 8.02 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.95 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.87 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.59 (1H, t, J = 6.9 Hz), 7.54 (1H, t, J = 7.4 Hz), 4.66 (2H, t, J = 6.3 Hz), 2.96 (2H, t, J = 6.3 Hz), 2.26 (3H, s).
13C-NMR (CDCl3) δ: 205.65, 166.57, 135.56, 132.43, 131.11, 129.35, 128.30, 128.16, 127.74, 127.16, 126.67, 125.14, 59.95, 42.47, 30.31 .
Anal. Calcd C15H14O3 : C, 74.29; H, 5.78. Found : C, 74.35 ; H, 5.65.
FAB-MS m/z : 243 (MH+)
(実施例6)
4−メチル−4−(2−ベンゾイルオキシエチル)オキセタン−2−オン(RS−1a)
ケトエステル(2a)(576mg,3.0mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液を−40℃に冷却し,これにBF・OEt(19.0L,21.3mg, 0.15mmol)を加える。この溶液にケテン3等量を80分かけて導入し,1時間反応させる。水20mLを加え反応をとめる。有機層を水で洗浄後,硫酸マグネシウムで乾燥し,減圧下溶媒を留去し,油状物を得る.これをカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し,無色結晶として(RS1a)を得た。これをエーテル・ヘキサンにて再結晶し,549mg(78%)の化合物(RS−1a)を得た。
mp38〜41℃の無色針状晶(エーテル−ヘキサンより再結晶)。
1H -NMR (CDCl3)δ: 7.32 (6H, dt, J = 32.6, 9.6 Hz), 4.49 (3H, q, J = 12.0 Hz), 3.67 (1H, dt, J = 11.0, 5.0 Hz), 3.61 (1H, dt, J = 11.5, 5.0 Hz), 3.50 (1H, d, J = 16.8 Hz), 3.12 (1H, d, J = 16.0 Hz), 2.16 (3H, dt, J = 18.2, 7.0 Hz), 1.62 (3H, d, J = 15.2 Hz).
Anal. Calcd C13H14NO4 : C, 66.67; H, 5.98. Found : C, 66.60; H, 6.12 .
FAB-MS m/z : 234 (MH+).
(実施例7)
4−メチル−4−[2−(p−ニトロベンゾイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン(RS−1b)
収率82%、mp104〜106℃の無色のプリズム晶(エーテルより再結晶)。
IR (neat) : 1809, 1721 cm-1 .
1H-NMR (CDCl3)δ: 8.31 (2H, d, J = 8.6 Hz), 8.20 (2H, d, J = 8.6 Hz), 4.62-4.54 (2H, m), 3.39 (1H, d, J = 16.0 Hz), 3.27 (1H, d, J = 16.0 Hz), 2.39 (2H, t, J = 6.6 Hz), 1.72 (3H, s).
13C-NMR (CDCl3)δ: 167.00, 164.42 , 150.66 , 135.01 , 130.69 , 123.64 , 61.35 , 48.40 , 37.70 , 24.58 .
Anal. Calcd C13H13NO6 : C, 55.91; H, 4.66; N, 5.02 . Found : C, 55.94; H, 4.76; N, 4.79 .
FAB-MS m/z : 280 (MH+).
(実施例8)
4−メチル−4−[2−(p−フェニルゾイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン(RS−1c)
収率90%、mp96〜102℃の無色のプリズム晶(エーテルより再結晶)。
IR (neat) : 1803, 1703 cm-1 .
1H-NMR (CDCl3)δ: 8.08 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.68 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.62 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.48 (2H, t, J = 7.4 Hz), 7.41 (1H, t, J = 7.4 Hz), 4.53 (2H, m),3.43 (1H, d, J = 16.0 Hz), 3.24 (1H, d, J = 16.0 Hz), 2.38 (2H, t, J = 6.3 Hz), 1.71 (3H, s).
13C-NMR (CDCl3)δ: 167.36, 166.16, 146.04, 139.82, 130.07, 128.96, 128.35, 128.25, 127.26, 127.19, 60.54, 48.36, 37.96, 24.63 .
Anal. Calcd C19H18O4 : C, 73.54; H, 5.81 . Found : C, 73.36; H, 5.84 .
FAB-MS m/z : 311 (MH+).
(実施例9)
4−メチル−4−[2−(1−ナフトイルイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン(RS−1d)
収率97%、mp53〜55℃の無色のプリズム晶(エーテル−ヘキサンより再結晶)。
IR (neat) : 1803, 1703 cm-1 .
1H-NMR (CDCl3)δ: 8.91 (1H, d, J = 8.6 Hz), 8.16 (1H, d, J = 7.4 Hz), 8.05 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.90 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.63 (1H, t, J = 7.7 Hz), 7.55 (1H, t, J = 7.4 Hz), 7.51 (1H, t, J = 7.7 Hz), 4.63-4.55 (2H, m), 3.42 (1H, d, J = 16.0 Hz), 3.22 (1H, d, J = 16.0 Hz), 2.41 (2H, t, J = 6.6 Hz), 1.72 (3H, s).
13C-NMR (CDCl3)δ: 167.39, 167.07, 133.84, 133.76, 131.34, 130.19, 128.62, 127.95, 126.40, 126.34 , 125.57, 124.47, 60.53, 48.37, 37.99 , 24.61.
Anal. Calcd C17H16O4 : C,71.83; H, 5.63 . Found : C, 71.81; H, 5.84 .
FAB-MS m/z : 285 (MH+).
(実施例10)
4−メチル−4−[2−(2−ナフトイルイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン(RS−1e)
収率90%、mp74〜77℃の無色のプリズム晶(エーテルより再結晶)。
IR (neat) : 1823, 1709 cm-1 .
1H-NMR(CDCl3)δ: 1.72 (3H, s), 2.40 (2H, t, J = 6.3 Hz), 3.25 (1H, d, J = 16.6 Hz), 3.44 (1H, d, J = 16.6 Hz), 4.57 (2H, dq, J = 24.5, 6.0 Hz), 7.56 (2H, t, J = 7.4 Hz), 7.61 (2H, t, J = 7.2 Hz), 7.88 (2H, d, J = 3.4 Hz), 7.90 (2H, d, J = 4.0 Hz), 7.96 (1H, d, J = 8.0 Hz), 8.02 (1H, dd, J = 8.6, 1.7 Hz), 8.58 (1H, s).13C-NMR (CDCl3) δ: 24.66 , 37.98 , 48.37 , 60.68 , 124.97 , 126.83 , 126.87 , 127.79 , 128.39 , 128.51 , 129.40 , 131.21 , 132.45 , 135.63 , 166.47 , 167.44 .
Anal. Calcd C17H16O4 : C, 71.83; H, 5.63. Found : C, 71.75 ; H, 5.57.
FAB-MS m/z : 285 (MH+).
(実施例11)
ラセミ体4−メチル−4−(ベンゾイルオキシエチルエチル)−オキセタン−2−オン(RS―1a)のクロマトグラフィーによる光学分割
ラセミ体(RS−1a)(468mg,1mmol)のイソプロピルアルコール溶液40ml)を1mlずつキラルカラムに注入した。
カラム:ChiralCel・OD(1×25cm)
カラム温度:室温
溶媒:ヘキサン:2−プロパノール(9:1)
流速:4mL/min
紫外線検出波長:254nm
保持時間がそれぞれ、36分、46分の光学活性体として分離し、各光学異性体を分取した。それぞれのフラクションを減圧下溶媒流去させて、キラル4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンを得た。
保持時間36分の光学活性体(230mg、0.5mol)mp74〜77℃の無色の針状晶(エーテル:へキサン=1:1より再結晶)。
保持時間46分の光学活性体(230mg、0.5mol)mp74〜77℃の無色のプリズム状晶(エーテル:へキサン=1:1より再結晶)。
光学活性体の立体配置は、次工程のアルカリ加水分解、酸環化させキラルメバロノラクトンへ誘導し、比旋光度から決定し、保持時間36分がR体、保持時間46分がS体であることが分かった。
(実施例12)
4−メチル−4−[2−(1−ナフトイルイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン(RS−1d)のキラルクロマトグラフィーによる光学分割
ラセミの(RS−1d)(285mg,1.0mmol)のイソプロピルアルコール溶
液(20ml)を0.5mlずつキラルカラムに注入した。
カラム:ChiralCel・OD(1×25cm)
溶媒:ヘキサン:2−プロパノール(9:1)
流速:4mL/min
紫外線検出波長:254nm
保持時間がそれぞれ、36分、46分の光学活性体として分離し、各光学異性体を分取した。それぞれのフラクションを減圧下溶媒流去させて、キラル4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンを得た。
保持時間36分の光学活性体(140mg、0.49mmol)mp74〜77℃の無色の針状晶(ジエチルエーテル:へキサン=1:1より再結晶)。
保持時間46分の光学活性体(140mg、0.49mmol)mp74〜77℃の無色のプリズム状晶 (ジエチルエーテル:へキサン=1:1より再結晶)。
光学活性体の立体配置は、次工程のアルカリ加水分解、酸環化させキラルメバロノラクトンへ誘導し、比比旋光度から決定し、保持時間36分がR体、保持時間46分がS体であることが分かった。
(実施例13)
4−メチル−4−[2−(1−ナフトイルイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン(RS−1d)の優先晶析による光学分割
ラセミ体(RS−1d)285mgをヘキサンとエーテル(1:1)の混合溶媒に溶かした後、キラルクロマトグラフィーにより分割して得られた(R−1d)の種結晶を、数個加えて0℃の冷蔵庫に一夜放置した。析出した結晶をろ取し、少量のジエチルエーテルで洗浄し、(R−1d)の結晶(30mg、鏡像体過剰率80%)を得た。ろ液に(S−Id)の種結晶を、数個加えて0℃の冷蔵庫に一夜放置した。析出した結晶をろ取し、少量のエーテルで洗浄し、(S−1d)の結晶(30mg、鏡像体過剰率87.5%)を得た。この操作を繰り返し,粗製(R−1d)100mgと粗製(S−1d)100mgを得た。粗製(R−1d)をジエチルエーテルから2回再結晶し、純粋な化合物(R−1d)85mgを得た。粗製(S−1d)をエーテルから2回再結晶し、純粋な化合物(S−1d)85mgを得た。
(R−1d): mp 74〜75 ℃ (エーテルより再結晶).[α]D 20 -3.1 (c = 1.5, CHCl3).
(S−1d): mp 74〜75 ℃ (エーテルより再結晶).[α]D 20 +3.0 (c = 1.5, CHCl3).
(実施例14)
キラル(R)−(−)−メバロノラクトン(R−3)の合成
光学分割により得られた(R)−(−)−4−メチル−4−(ベンゾイルオキシエチルエチル)−オキセタン−2−オン(R−1a)を(66mg,0.3mmol)、水酸化カリウム(67.3mg,1.2mmol)−メタノール(1mL)溶液に加え一夜撹拌する。反応液に塩化水素を溶解させたメタノールを加えてpH3に調整後、室温下2時間撹拌する.減圧下で溶媒を留去し、残渣にジクロロメタンを加え、可溶分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル1:1)にて精製し、(R)−(−)−メバロノラクトン(R−3)を(35mg,90%)を無色油状物として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 4.61 (1H, m), 4.38-4.34 (1H, m), 3.73 (0H, s), 2.66 (1H, d, J = 17.2 Hz), 2.53 (1H, d, J = 17.2 Hz), 1.93 (2H, q, J = 5.2 Hz), 1.41 (3H, s).
IR (neat): 3397, 1701 cm-1.
収率92〜95%. [α]D 22 -19.2 (c = 1.43, EtOH)。
比旋光度データは文献のデータ、[α]D 21 -19.1 (c = 0.4, EtOH)(Terahedron Asymmetry 10(1999)4349-4356)、[α]D 25 -19.0 (c = 2.15, CHCl3)(J.Org.Chem (1996) 61 3923-3925)、[α]D 20 -21.6゜(c = 1.565, 95%EtOH)(J.Org.Chem (1985) 50 3402-3404)
(実施例15)
キラル(S)−(+)−メバロノラクトン(S−3)の合成
光学分割により得られた(S)−(+)−4−メチル−4−[2−(1−ナフトイルイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン(S−1d)(66mg,0.3mmol)、実施例16と同じ方法により、(S)−(+)−メバロノラクトン(S−3)(35mg,90%)を無色油状物として得た。
収率92〜95%、[α]D 22 +19.2(c=1.43,EtOH)の結果が得られ、天然型と反対の値の比光度データが得られた。

Claims (12)

  1. 式(RS−1)で表される4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンのラセミ体。
    Figure 2006241072
    式中、Arはアリールである。このアリールにおいて任意の水素が、炭素数1から15のアルキル、炭素数2から15のアルケニル、炭素数1から10のアルコキシ、5から7員環の脂環式基、または任意の水素が炭素数1から4のアルキルに置き換えられた芳香環に置き換えられてもよく、そして、環および置き換えられた基において、任意の水素はニトロに置き換えられてもよい。任意の水素がアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシル、またはニトロで置き換えられてもよい。
  2. 式(R−1)または式(S−1)で表されるキラルな4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン。
    Figure 2006241072
    式中、Arはアリールである。このアリールにおいて任意の水素が、炭素数1から15のアルキル、炭素数2から15のアルケニル、炭素数1から10のアルコキシ、5から7員環の脂環式基、または任意の水素が炭素数1から4のアルキルに置き換えられた芳香環に置き換えられてもよく、そして、環および置き換えられた基において、任意の水素はニトロに置き換えられてもよい。任意の水素がアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシル、またはニトロで置き換えられてもよい。
  3. 4−メチル−4−(2−ベンゾイルオキシエチル)オキセタン−2−オン、4−メチル−4−[2−(p−ニトロベンゾイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン、4−メチル−4−[2−(p−フェニルゾイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン、4−メチル−4−[2−(1−ナフトイルイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン、または4−メチル−4−[2−(2−ナフトイルイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンの光学活性体。
  4. 請求項1記載の式(RS−1)で表される4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンのラセミ体を液体クロマトグラフィーにより光学分割して、請求項2記載の式(R−1)または式(S−1)で表されるキラルな4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンを製造する方法。
  5. 光学分割において、式(RS−1)で表される4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンのラセミ体を優先晶析する請求項4記載のキラル4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンを製造する方法。
  6. ラセミ体4−メチル−4−[2−(1−ナフトイルイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンを有機溶媒に希釈した溶液に、4−メチル−4−[2−(1−ナフトイルイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン(R)体または(S)体である種結晶を添加して優先晶析により光学分割する請求項4記載のキラルな4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンを製造する方法。
  7. 式(2)で表される3−オキソブチルアリールカルボン酸エステルを、ルイス酸触媒存在下、ケテンと反応することを特徴とする4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンのラセミ体の製造方法。
    Figure 2006241072
    式中、Arはアリールである。このアリールにおいて任意の水素が、炭素数1から15のアルキル、炭素数2から15のアルケニル、炭素数1から10のアルコキシ、5から7員環の脂環式基、または任意の水素が炭素数1から4のアルキルに置き換えられた芳香環に置き換えられてもよく、そして、環および置き換えられた基において、任意の水素はニトロに置き換えられてもよい。任意の水素がアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシル、またはニトロで置き換えられてもよい。
  8. 製造される4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンが、4−メチル−4−(2−ベンゾイルオキシエチル)オキセタン−2−オン、4−メチル−4−[2−(p−ニトロベンゾイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン、4−メチル−4−[2−(p−フェニルゾイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン、4−メチル−4−[2−(1−ナフトイルイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン、または4−メチル−4−[2−(2−ナフトイルイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンである請求項7記載の4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンのラセミ体の製造方法。
  9. 請求項2記載の式(R−1)および式(S−1)で表されるキラルな4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンを、アルカリ分解、酸環化させることを特徴とするキラルメバロノラクトンの製造する製造法。
  10. アルカリ分解において、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムを用いることを特徴とする請求項9記載のキラルメバロノラクトンの製造法
  11. 酸環化において、塩化水素または硫酸を用いることを特徴とする請求項9記載のキラルメバロノラクトンの製造法。
  12. キラルな4−メチル−4−[(アリールカルボオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンとして、4−メチル−4−(2−ベンゾイルオキシエチル)オキセタン−2−オン、4−メチル−4−[2−(p−ニトロベンゾイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン、4−メチル−4−[2−(p−フェニルゾイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン、4−メチル−4−[2−(1−ナフトイルイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オン、または4−メチル−4−[2−(2−ナフトイルイルオキシ)エチル]−オキセタン−2−オンの光学活性体を出発原料として用いることを特徴とする請求項9から11のいずれか1項記載のキラルメバロノラクトンの製造方法。
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