JP2006240962A - 溶融ガラスの減圧脱泡装置、および該減圧脱泡装置を用いた溶融ガラスの清澄方法、ならびにガラス製造装置要素 - Google Patents

溶融ガラスの減圧脱泡装置、および該減圧脱泡装置を用いた溶融ガラスの清澄方法、ならびにガラス製造装置要素 Download PDF

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Abstract

【課題】白金および白金合金特有の揮散現象に基因するガラス欠点の問題のおそれがなく、減圧脱泡槽内での新たな気泡の発生が防止された、溶融ガラスの減圧脱泡装置。
【解決手段】真空吸引される減圧ハウジングと、この減圧ハウジング内に設けられ、溶融ガラスの減圧脱泡を行う減圧脱泡槽と、この減圧脱泡槽に連通して設けられ、減圧脱泡前の溶融ガラスを前記減圧脱泡槽に導入する導入手段と、前記減圧脱泡槽に連通して設けられ、減圧脱泡後の溶融ガラスを前記減圧脱泡槽から導出する導出手段と、を有する溶融ガラスの減圧脱泡装置であって、前記減圧脱泡槽の溶融ガラスと直接接触する部分のうち少なくともその一部を構成する白金または白金合金が、予め1250℃以上、1550℃以下の温度で加熱処理されており、且つ前記白金または白金合金の結晶粒子径が平均1.0mm以下であることを特徴とする溶融ガラスの減圧脱泡装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、連続的に供給される溶融ガラスから気泡を除去する溶融ガラスの減圧脱泡 装置、および該減圧脱泡装置を用いた溶融ガラスの清澄方法に関する。また、本発明は、白金または白金合金製のガラス製造装置要素に関する。
従来より、成形されたガラス製品の品質を向上させるために、溶融炉で溶融した溶融ガラスを成形装置で成形する前に、溶融ガラス中の気泡を除去するために清澄工程が実施される。該清澄工程に用いられる方法として、減圧脱泡装置を用いて溶融ガラスを減圧脱泡する方法がある。従来の減圧脱泡装置の一般的構成を図2に示した。
図2に示す減圧脱泡装置100は、溶解槽200中の溶融ガラスGを減圧脱泡して、次の処理槽に連続的に供給するプロセスに用いられるものである。減圧脱泡装置100は、使用時その内部が減圧状態に保持される減圧ハウジング101を有する。減圧ハウジング101内には、円筒形状をした減圧脱泡槽102がその長軸が水平方向に配向するように収納配置されている。減圧脱泡槽102の下面の側端付近には、垂直方向に配向する上昇管103および下降管104が取り付けられている。上昇管103および下降管104は、その一部が減圧ハウジング101内に収納配置されている。
上昇管103は、減圧脱泡槽102と連通しており、減圧脱泡前の溶融ガラスGを溶解槽200から上昇させて減圧脱泡槽102に導入する導入手段である。下降管104は、減圧脱泡槽102に連通しており、減圧脱泡後の溶融ガラスGを減圧脱泡槽102から下降させて次の処理槽(図示せず)に導出する導出手段である。そして、減圧ハウジング101内において、減圧脱泡槽102、上昇管103および下降管104周囲には、これらを断熱被覆する断熱用レンガなどの断熱材105が配設されている。
減圧ハウジング101は、金属製、例えばステンレス製であり、外部から真空ポンプ(図示せず)等によって真空吸引され、その内部が減圧状態に保持される。これにより、減圧ハウジング101内に配置された減圧脱泡槽102の内部が所定の減圧状態、例えば1/20〜1/3気圧の減圧状態に保持される。
減圧脱泡装置100は、高温、例えば1200〜1400℃の温度の溶融ガラスGを処理するように構成されているので、減圧脱泡槽102、上昇管103および下降管104などのように溶融ガラスGと直接接触する部分は、通常白金、または白金ロジウムのような白金合金で構成されている。これらの部分を白金または白金合金で構成するのは、高融点の金属材料であることも理由であるが、溶融ガラスに対する高温反応性が低く、溶融ガラスとの反応による不均質化を生じさせることがなく、高温での強度がある程度確保できるからである。また、これらの構成要素、特に減圧脱泡槽102を白金または白金合金で構成するのは、上記理由に加え、減圧脱泡槽102自体に電流を流して自己発熱させ、減圧脱泡槽102内の溶融ガラスGを均一に加熱し、溶融ガラスGの温度を所定の温度に保持するためである。
上記したように、減圧脱泡装置100の溶融ガラスGと直接接触する部分の構成材料として、白金または白金合金は好ましい特性を有している。しかしながら、白金および白金合金特有の揮散現象に基因するガラス欠点の問題がある。減圧脱泡槽102、上昇管103および下降管104の内部が隙間なく溶融ガラスが充填されている場合には、この問題点は無視出来るが、これら、特に減圧脱泡槽102、の内部に、空間が残存する状態で使用することも少なくない。酸素が十分にある雰囲気中で、白金または白金合金を千数百℃以上の高温に暴露すると、白金または白金合金の表面からは微量の酸化物の揮発が生じる。この酸化物は安定ではなく、微妙な環境の変化により還元され小さな金属粒子が再晶出する。このようにして再析出した微小金属粒子は溶融ガラス内に取り込まれる。そして、固溶しきなかった微少金属粒子は、固化したガラス内に品質上の欠点として残存する。
また、白金および白金合金製のるつぼを用いてガラスを溶解すると、るつぼ材と接するガラス界面に気泡が発生し易いことがよく知られている。この気泡の発生機構としては、ガラス中の水が分解して生成した水素原子が白金および白金合金を透過し、取り残された酸素が気泡となる機構や、白金合金組成の偏析などに起因して電気化学的な局部セルが出来、ガラスが電気分解することにより気泡が生じる機構が提案されている。減圧脱泡装置1においても、白金または白金合金製の減圧脱泡槽102、上昇管103および下降管104と接するガラス界面において、同様の原理で気泡が発生すると考えられる。
このようにして生じた気泡は最終ガラス商品の内部にも残存し欠点となることが多く、その生成を防止する様々な方法が提案されている。例えば特許文献1には、白金および白金合金の容器の外側に水蒸気を供給し、外部とガラス中の水素分圧の差を制御することによって水素の透過を防ぐ方法が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の方法を減圧脱泡装置に適用した場合、減圧脱泡装置100、より具体的には、減圧脱泡装置100の白金製または白金合金製の構成要素を大型化すると、これら構成要素の周囲を水蒸気で満たすために、大幅な設備改良が必要となる。また、これらの構成要素、例えば、減圧脱泡槽102は使用時通電加熱されることが多いため、水蒸気による結露などによって予期せぬトラブルが生じるおそれがある。
特許文献2には白金および白金合金容器の外側に高温下でガラス状に溶解する混合物を塗布し、水素透過防止層を形成する方法が提案されている。しかし、このような方法の効果を長期間継続させることは極めて困難であると言わざるを得ない。
結果的に、この気泡発生の問題を本質的に解決することは非常に困難であり、気泡の少ない高機能高品質なガラスを製造する場合、大型の減圧脱泡装置を使用することができず、ガラスの歩留まりを高めることができない。また、清澄工程において、ガラス中の気泡を除去するため助剤を使用する場合もあるが、このような助剤は有害な砒素系であることも少なくない。
米国特許出願公開97/12140号明細書 国際公開第02/44115号パンフレット
上記した従来技術の問題点を解決するため、本発明は、白金および白金合金特有の揮散現象に基因するガラス欠点の問題のおそれがなく、減圧脱泡槽内での新たな気泡の発生が防止された、溶融ガラスの減圧脱泡装置、および該減圧脱泡装置を用いた溶融ガラスの清澄方法を提供することを目的とする。また、本発明は、減圧脱泡装置の構成要素としても使用可能な白金または白金合金製の溶融ガラス製造装置要素を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため本発明は、真空吸引される減圧ハウジングと、この減圧ハウジング内に設けられ、溶融ガラスの減圧脱泡を行う減圧脱泡槽と、この減圧脱泡槽に連通して設けられ、減圧脱泡前の溶融ガラスを前記減圧脱泡槽に導入する導入手段と、前記減圧脱泡槽に連通して設けられ、減圧脱泡後の溶融ガラスを前記減圧脱泡槽から導出する導出手段と、を有する溶融ガラスの減圧脱泡装置であって、
前記減圧脱泡槽の溶融ガラスと直接接触する部分のうち少なくともその一部を構成する白金または白金合金が、予め1250℃以上、1550℃以下の温度で加熱処理されており、且つ前記白金または白金合金の結晶粒子径が平均1.0mm以下であることを特徴とする溶融ガラスの減圧脱泡装置(以下、「本発明の減圧脱泡装置」という。)を提供する。
本発明の減圧脱泡装置において、前記減圧脱泡槽の溶融ガラスと直接接触する部分のうち少なくともその一部を構成する前記白金または白金合金中には、Al,3A族及び4A族からなる群から選択される1種以上の金属の酸化物粒子が合計で白金または白金合金に対して0.05〜1.0質量%分散していることが好ましい。
本発明の減圧脱泡装置において、前記減圧脱泡槽の溶融ガラスと直接接触する部分のうち少なくともその一部を構成する前記白金または白金合金中には、さらにAl,3A族及び4A族からなる群から選択される1種以上の金属が合計で白金または白金合金に対して0.05〜1.0質量%固溶していることが好ましい。
本発明の減圧脱泡装置において、前記白金または白金合金中に分散する金属酸化物粒子は、主としてZrまたはYの酸化物であることが好ましい。
本発明の減圧脱泡装置において、前記白金または白金合金中に固溶する金属は、主としてZrまたはYであることが好ましい。
また、本発明は、本発明の減圧脱泡装置を用いて、溶融ガラスを清澄する方法(以下、「本発明の溶融ガラスの清澄方法」という。)を提供する。
また、本発明は、白金または白金合金製のガラス製造装置要素であって、
前記ガラス製造装置要素のうち少なくともその一部を構成する白金または白金合金が、予め1250℃以上、1550℃以下の温度で加熱処理されており、且つ前記白金または白金合金の結晶粒子径が平均1.0mm以下であることを特徴とするガラス製造装置要素を提供する。
前記ガラス製造装置要素のうち少なくともその一部を構成する前記白金または白金合金中には、Al,3A族及び4A族からなる群から選択される1種以上の金属の酸化物粒子が合計で白金または白金合金に対して0.05〜1.0質量%分散していることが好ましい。
前記ガラス製造装置要素のうち少なくともその一部を構成する前記白金または白金合金中には、Al,3A族及び4A族からなる群から選択される1種以上の金属が合計で白金または白金合金に対して0.05〜1.0質量%固溶していることが好ましい。
前記白金または白金合金中に分散する金属酸化物粒子は、主としてZrまたはYの酸化物であることが好ましい。
前記白金または白金合金中に固溶する金属は、主としてZrまたはYであることが好ましい。
本発明の減圧脱泡装置を用いることで、白金および白金合金特有の揮散現象に基因するガラス欠点の問題のおそれがない。また、減圧脱泡槽内での新たな気泡の発生が防止されるため、気泡の少ない高機能高品質のガラスを製造することができる。
本発明のガラス製造装置要素は、高温かつ減圧環境下で使用されるガラス製造装置要素、例えば、減圧脱泡装置の減圧脱泡槽として好適である。また、本発明のガラス製造装置要素は、減圧脱泡装置の上昇管および下降管のような、減圧環境下で使用される溶融ガラスの導管としても好適である。
以下、図面を参照して本発明を説明する。図1は本発明の減圧脱泡装置の一般的構成を示した図である。本発明の減圧脱泡装置は、物理的な構成面では、従来の減圧脱泡装置と基本的に同様である。すなわち、図1に示す減圧脱泡装置1は、使用時その内部が減圧状態に保持される減圧ハウジング11を有する。減圧ハウジング11内には、円筒形状をした減圧脱泡槽12がその長軸が水平方向に配向するように収納配置されている。減圧脱泡槽12の下面の側端付近には、垂直方向に配向する上昇管13および下降管14が取り付けられている。上昇管13および下降管14は、その一部が減圧ハウジング11内に収納配置されている。
上昇管13は、減圧脱泡槽12と連通しており、減圧脱泡前の溶融ガラスGを溶解槽2から上昇させて減圧脱泡槽12に導入する導入手段である。下降管14は、減圧脱泡槽12に連通しており、減圧脱泡後の溶融ガラスGを減圧脱泡槽12から下降させて次の処理槽(図示せず)に導出する導出手段である。そして、減圧ハウジング11内において、減圧脱泡槽12、上昇管13および下降管14周囲には、これらを断熱被覆する断熱用レンガなどの断熱材15が配設されている。
減圧ハウジング11は、金属製、例えばステンレス製であり、外部から真空ポンプ(図示せず)等によって真空吸引され、その内部が所定の減圧状態になるように保持されている。減圧ハウジング11内部を減圧状態にすることで、減圧脱泡槽12内部の圧力が120〜550mmHg、好ましくは160〜460mmHg、より好ましくは、160〜360mmHgに保持されていることが好ましい。
減圧脱泡装置10において、溶融ガラスGと直接接触する部分、具体的には、減圧脱泡槽12、上昇管13および下降管14、より具体的には、少なくともこれらの溶融ガラスGと直接接触する部分は、白金、または白金−金、もしくは白金−ロジウムのような白金合金で構成されている。本発明の減圧脱泡装置1は、図1に示す構成中、減圧脱泡槽12の溶融ガラスGと直接接触する部分のうち少なくともその一部が特定の条件を満たすように、白金または白金合金で構成されていることを特徴とする。すなわち、本発明の減圧脱泡装置1は、少なくとも減圧脱泡槽12の溶融ガラスGと直接接触する部分12a(以下、「減圧脱泡槽の溶融ガラス接触部分」という。)のうち少なくともその一部を構成する白金または白金合金が、予め1250℃以上、1550℃以下の温度で加熱処理されており、且つ該白金または白金合金の結晶粒子径が平均1.0mm以下であることを特徴とする。したがって、減圧脱泡槽12全体が上記した条件を満たす白金または白金合金製ではなくてもよく、例えば、通常の白金または白金合金を用いて減圧脱泡槽12を作製し、溶融ガラス接触部分12aに上記した条件を満たす白金または白金合金を内張したのでもよい。また、白金または白金合金で構成される減圧脱泡装置1の他の構成要素、具体的には、上昇管13および下降管14は、通常の白金または白金合金を用いて作製してもよい。
本発明の減圧脱泡装置1において、少なくとも減圧脱泡槽12の溶融ガラスGと直接接触する部分12a(以下、「減圧脱泡槽の溶融ガラス接触部分」という。)は、全て上記の条件を満たす白金または白金合金製であることが好ましい。
本発明において、減圧脱泡槽の溶融ガラス接触部分12aのうち少なくともその一部を構成する白金または白金合金は、予め1250℃以上、1550℃以下の温度で加熱処理されている。なお、ここでいう加熱処理は、円筒形状等、所望の形状の構造体に加工された状態で実施される。加熱処理は、該構造体を加熱炉内に設置して、外部加熱によって上記の温度範囲に加熱することで達成される。但し、加熱処理の方法はこれに限定されず、白金または白金合金製の構造体に通電用の電極を設けて、構造物自体に通電加熱することによって実施してもよい。なお、加熱処理は、酸素を含む雰囲気で実施することが好ましく、通常は大気中で実施される。温度が1250℃未満であると、減圧脱泡槽12の使用時、特に減圧脱泡槽12の使用開始時に、白金中または白金合金中の微量不純物などに起因して、溶融ガラス中に気泡が発生する可能性がある。一方、加熱処理温度が1550℃超であると、白金または白金合金の機械的特性を損なう可能性がある。加熱処理温度は、1350℃以上、1500℃以下であることがより好ましい。
加熱処理時間は、2時間以上実施することが好ましく、より好ましくは5時間以上である。但し、加熱処理時間が長すぎると白金または白金合金の機械的特性を損なう可能性があるため、加熱処理時間は100時間以下であることが好ましく、より好ましくは20時間以下である。
但し、1250℃以上、1550℃以下の温度範囲で加熱処理を実施すると、冷間圧延法により厚さ1.0mm程度の薄板に加工され、微細な結晶粒で構成されている白金および白金合金内では再結晶が生じ、結晶粒は急速に成長する。金属の結晶粒界は隣り合った方位の異なる結晶粒同士の界面であるが、ここでは結晶粒の集合体としての連続性を保つために、いわゆる粒界転位と呼ばれる線欠陥などが数多く生じ、結果として幅を持った結晶格子の乱れが形成されている。このため、一般に結晶粒界におけるエネルギー準位は結晶粒内とは異なっており、粒界と粒内のエネルギー差は一般に結晶粒径が大きいほど大きくなる。
溶融ガラス中に溶解しているガス成分は雰囲気の減圧度が増すと、気泡として吐き出されようとし、その起点は、溶融ガラスと接触する、減圧脱泡装置の構成要素の壁面、特に減圧脱泡槽の壁面であることが多い。該壁面が白金製または白金合金製であると、必然的に気泡はエネルギー準位の異なる結晶粒界から生じ、その発生しやすさは粒界と粒内のエネルギー差に支配される。結果的に平均結晶粒径が大きな白金また白金合金の壁面は気泡を生じやすく、その傾向は平均粒径0.5mm以上の場合に明らかであり、1mmを超えると顕著となる。
本発明では、減圧脱泡槽12の溶融ガラス接触部分12aのうち少なくともその一部を構成する白金または白金合金の結晶粒子径が平均1.0mm以下であるため、減圧ガラス接触部分12aにおける気泡の発生が防止されている。なお、ここでいう結晶粒子径は、1250℃以上、1550℃以下の温度範囲で加熱処理した後の平均結晶粒子径を意味する。また、結晶粒子径の測定は、公知の方法により実施することができる。後述する実施例では、白金合金の溶融ガラス接触部分を光学顕微鏡等で観察し、任意の10点を取って粒子径を測定した際の平均値を白金合金の結晶粒子径としている。但し、結晶粒子径の測定方法はこれに限定されず、例えば、観察面内で直角に交差する2本の線を引き、これらの線と交わる粒界の本数から結晶粒子径を算出する横断法などを用いてもよい。
白金および白金合金の高温における結晶粒成長を抑止するためには、微細なセラミックス粒子を分散させる方法が有効である。本発明において、減圧脱泡槽12の溶融ガラス接触部分12aのうち少なくともその一部を構成する白金または白金合金の結晶粒子径を平均1.0mm以下とするため、白金または白金合金中に、セラミックス粒子を分散させることが有効である。なお、ここで言うセラミックス粒子とは、耐熱性に優れた非金属無機質固体材料の粒子を広く含む。但し、分散のさせ易さや、効果の点から、Al、短周期型周期表における3A族及び4A族からなる群から選択される1種以上の金属酸化物であることが好ましい。これら金属酸化物の中でも、Zrの酸化物またはYの酸化物がより好ましい。Zrの酸化物およびYの酸化物は、高温下においても極めて安定であり、マトリックス金属中に分散しやすく、しかも溶融ガラスに容易に溶解しないからである。したがって、白金または白金合金中に分散される金属酸化物は、主としてZrの酸化物またはYの酸化物であることが好ましい。ここで、“主として”と言った場合、白金または白金合金中に分散される金属酸化物の少なくとも80%がZrの酸化物またはYの酸化物であることを意味する。
減圧脱泡槽12の溶融ガラス接触部分12aのうち少なくともその一部を構成する白金または白金合金中に、Al、短周期型周期表における3A族及び4A族からなる群から選択される1種以上の金属酸化物を分散させた場合、白金または白金合金の結晶粒成長を抑止する効果以外にも、減圧脱泡装置1にとって好適な効果が生じる。
上記したように、減圧脱泡装置の白金または白金合金製の構成要素と、溶融ガラスとが接触した際に、ガラス界面で気泡が生成する機構として、ガラス中の水分が分解し、水素と酸素に分解した結果水素のみが白金または白金合金を透過し、取り残された酸素が気泡となる機構が考えられている。この機構が進行するためには、ガラス中の水の分解や分子状水素から原子状水素への変換が必須であり、これらの反応の進行には、白金および白金合金表面の非常に高い化学的活性度が大きな役割を果たしている。白金または白金合金中に、Al、短周期型周期表における3A族及び4A族からなる群から選択される1種以上の金属酸化物を分散させた場合、白金および白金合金表面の化学的活性度が低下するので、上記の反応の進行が抑制され、減圧脱泡槽12内における新たな気泡の発生が防止される。
気泡の発生を防止する目的で、白金または白金合金中にAl、短周期型周期表における3A族及び4A族からなる群から選択される1種以上の金属酸化物を分散させる場合、これらの金属酸化物の総量は、白金または白金合金に対して0.05質量%以上、1.0%質量以下であることが好ましい。0.05質量%未満であると、前述した気泡発生を抑止する効果が不十分となるおそれがある。一方、1.0質量%超だと、白金または白金合金の機械的特性が損なわれるおそれがある。なお、これらの金属酸化物の総量は、0.10質量%以上、0.5質量%以下であることがより好ましい。
本発明において、減圧脱泡槽12の溶融ガラス接触部分12aのうち少なくともその一部を構成する白金または白金合金中に、これらの金属酸化物を上記の割合で含むことが好ましい。より好ましくは、少なくとも減圧脱泡槽12の溶融ガラス接触部分12aを構成する白金または白金合金は、全てこれらの金属酸化物を上記の割合で含む。
本発明では、減圧脱泡槽の溶融ガラス接触部分12aを構成する白金または白金合金の表面から発生する気泡を低減するために、溶融ガラス接触部分12aのうち少なくともその一部を構成する白金または白金合金にAl、短周期型周期表における3A族および4A族からなる群から選択される1種以上の金属を固溶させてもよい。Al、短周期型周期表における3A族および4A族からなる群から選択される金属は、酸素との親和力が強いため、これらの金属が白金または白金合金の表面相中に固溶している場合、加熱処理した際に雰囲気中の酸素と反応して金属酸化物に転化する、または供用時に高温の溶融ガラス中に含まれる酸素元素と反応して金属酸化物に転化する。このようにして生成した金属酸化物は、前述した予め金属酸化物として分散させたセラミックス粒子と同様の作用で白金または白金合金の表面から新たな気泡が発生するのを防止する。
さらに、Al、短周期型周期表における3A族および4A族からなる群から選択される1種以上の金属を、白金または白金合金に固溶させた場合、これらの固溶金属は、溶融ガラスから白金または白金合金中に拡散してきた水素をトラップし、結果的に材料中の水素透過を抑制する効果も有している。この効果によっても、減圧脱泡槽内における新たな気泡の発生が防止される。
白金または白金合金中に固溶させる金属は、ZrまたはYであることが好ましい。ZrおよびYは、白金または白金合金中に固溶させた場合に、白金および白金合金の高温安定性が低下することがない。また、上記したように、ZrおよびYの酸化物は、高温下においても極めて安定であり、マトリックス金属中に分散しやすく、溶融ガラスに容易に溶解しないからである。したがって、白金または白金合金中に固溶する金属は、主としてZrまたはYであることが好ましい。ここで、“主として”と言った場合、白金または白金合金中に固溶する金属の少なくとも80%がZrまたはYであることを意味する。
気泡の発生を防止する目的で、白金または白金合金中にAl、短周期型周期表における3A族及び4A族からなる群から選択される1種以上の金属を固溶させる場合、これらの金属の総量は、白金または白金合金に対して0.05%質量以上、1.0%質量以下であることが好ましい。0.05質量%未満であると、前述した気泡発生を抑止する効果が不十分となるおそれがある。一方、1.0質量%超だと、白金または白金合金の機械的特性が損なわれるおそれがある。なお、これらの金属の総量は、0.10質量%以上、0.5質量%以下であることがより好ましい。
本発明において、減圧脱泡槽12の溶融ガラス接触部分12aのうち少なくともその一部を構成する白金または白金合金中に、これらの金属を上記の割合で固溶させることが好ましい。より好ましくは、少なくとも減圧脱泡槽12の溶融ガラス接触部分12aを構成する白金または白金合金全体にこれらの金属を上記の割合で固溶させる。
なお、本発明において、上記したAl、短周期型周期表における3A族及び4A族からなる群から選択される1種以上の金属酸化物の分散のみを実施してもよいし、さらにAl、短周期型周期表における3A族及び4A族からなる群から選択される1種以上の金属の固溶を実施してもよいが、両者を併用することがより好ましい。上記した白金または白金合金中に金属酸化物を分散することによって生じる効果と、白金または白金合金中に金属を固溶することによって生じる効果は、互いに阻害し合うものではなく、その添加量が白金および白金合金の機械的特性を損なわない範囲においては、両者は相乗的に発揮される。本発明において、両者を併用する場合、白金または白金合金中に存在するAl、短周期型周期表における3A族及び4A族からなる群から選択される1種以上の金属、および金属酸化物は、その総量が0.05質量%以上、1.0質量%以下であることが好ましく、0.10質量%以上、0.5質量%以下であることがより好ましい。
本発明において両者を併用する場合、減圧脱泡槽12の溶融ガラス接触部分12aのうち少なくともその一部を構成する白金または白金合金中に、これらの金属および金属酸化物を上記の割合で含むことが好ましい。より好ましくは、少なくとも減圧脱泡槽12の溶融ガラス接触部分12aを構成する白金または白金合金は、全てこれらの金属および金属酸化物を上記の割合で含む。
白金および白金合金にZrやYの金属酸化物が分散した材料はすでに市販されており、ガラス製造装置用材料として適用されている。また、セラミックス分散白金合金(商品名:FKS)は、Zr酸化物が分散していると同時に金属Zrが固溶している。しかしながら、これらの材料は、その優位性として、高温クリープ強度などの機械的特性のみが明らかにされているのみで、適用も装置の寿命や操作範囲の拡大を狙ったものに限定されており、溶融ガラス中の気泡低減にかかわる用途適用の提案はなされていない。むしろセラミックス分散白金合金はガラス製造設備として使用した場合、初期に気泡を発生しやすい材料と認識されており、特開2003−221238号公報には予め高温で、かつ長時間の加熱処理を行い初期の気泡発生を非分散合金並に減じることが提案されている。すなわち、本願出願前において、セラミックス分散合金が溶融ガラス中の気泡を減じる効果を有することは全く知られていなかった。
本発明において、減圧脱泡槽12は、以下の方法で製造することができる。但し、製造方法はこれに限定されることはなく、白金または白金合金が上記した条件を満たす限り、金属材料の公知の加工方法を広く適用することができる。
減圧脱泡槽12を製造する場合、白金または白金合金の融液中に、必要に応じてAl,3A族及び4A族からなる群から選択される1種以上の金属を所定量固溶させる。この融液からアトマイズ法などによって粗原料粉末を得る。次いで、粗原料粉末に、必要に応じて、金属塩や有機金属溶液を用いてAl、短周期型周期表における3A族及び4A族からなる群から選択される1種以上の金属酸化物を所定量担持させる。その後、プレスにより固化させた圧粉体を高温焼成し合金インゴットを作製する。このインゴットを圧延する工程と焼鈍する工程を繰り返すことにより、Al、短周期型周期表における3A族及び4A族からなる群から選択される1種以上の金属酸化物が所定量分散した、および/または、Al、短周期型周期表における3A族及び4A族からなる群から選択される1種以上の金属が所定量固溶した白金または白金合金製の薄板が得られる。この薄板をプレスや曲げなどの塑性加工法や溶接法などによって、所定の形状および寸法、具体的には、所定の寸法の円筒形状の構造体とする。作製された構造体を、所定の温度で加熱処理することによって、本発明の減圧脱泡槽12となる。減圧脱泡槽の寸法は、使用する減圧脱泡装置に応じて適宜選択することができる。例えば、減圧脱泡槽を形成する白金または白金合金の肉厚は、2.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.2mmである。
本発明の減圧脱泡装置1において、他の金属製の構成要素、具体的には、減圧ハウジング11、上昇管13および下降管14は、公知の金属材料の加工方法を広く適用して製造することができる。また、図1に示す減圧脱泡装置1の組み立ては、上記手順で製造された各構成要素を用いて、従来の減圧脱泡装置と同様の手順で実施することができる。
以上、本発明の減圧脱泡装置1について、減圧脱泡槽12、より具体的には、減圧脱泡槽の溶融接触部分12aのうち少なくともその一部を構成する白金または白金合金が、予め1250℃以上、1550℃以下の温度で加熱処理されており、且つ該白金または白金合金の結晶粒子径が平均1.0mm以下である実施形態について説明した。但し、本発明の減圧脱泡装置はこれに限定されず、白金または白金合金で構成される他の構成要素についても上記の条件を満たしていてもよい。すなわち、図1に示す減圧脱泡装置1において、上昇管13および下降管14を構成する白金または白金合金についても、予め1250℃以上、1550℃以下の温度で加熱処理されており、且つ該白金または白金合金の結晶粒子径が平均1.0mm以下であってもよい。
本発明の溶融ガラスの清澄方法では、上記した本発明の減圧脱泡装置を用いて溶融ガラスを減圧脱泡する。
多種のガラス原料粉末を溶解したガラス融液は多くの気泡を有している。これらの気泡を除去して溶融ガラスを清澄する方法として、減圧環境中に溶融ガラスを通過させる方法が非常に効果的であることはよく知られている。この方法には、減圧脱泡槽を備えた減圧脱泡装置が用いられる。内部が減圧され、かつ高温のガラス融液が通過する減圧脱泡槽の材料としては、ガラスに容易に溶解せず、汚染を生じない白金または白金合金が最適である。しかし、減圧脱泡槽の材料として白金または白金合金を使用すると、それ自体の極めて高い化学的活性に起因して、溶融ガラスと接する減圧脱泡槽の内壁表面から新たな気泡が発生する問題があり、最終的に得られるガラス製品内の泡欠点数を一定のレベル以下に下げることは困難であった。
しかしながら、本発明の溶融ガラスの清澄方法は、減圧脱泡槽内での新たな気泡の発生が防止された本発明の減圧脱泡装置を用いて溶融ガラスを減圧脱泡することにより、最終的に得られるガラス製品内の気泡を格段に減じることが出来る。
以下、図1に示す減圧脱泡装置1を用いる場合を例に、本発明の溶融ガラスの清澄方法について説明する。本発明の溶融ガラスの清澄方法では、溶解槽2から供給される溶融ガラスを所定の減圧度に減圧された減圧脱泡槽12を通過させて減圧脱泡を行う。溶融ガラスは、減圧脱泡槽12に連続的に供給・排出されることが好ましい。さらに、溶解槽2から供給される溶融ガラスとの温度差が生じることを防止するために、減圧脱泡槽12は、内部が1100℃〜1500℃、特に1250℃〜1450℃の温度範囲になるように加熱されていることが好ましい。
減圧脱泡槽12を加熱する方法としては、白金または白金合金製の減圧脱泡槽12に通電用の電極を設けて、減圧脱泡槽12自体を通電加熱することが最も一般的であり、好ましい。但し、減圧ハウジング11内にヒータを配設して、減圧脱泡槽12を外部から加熱してもよい。
本発明の方法を実施する際、減圧ハウジング11を外部から真空ポンプ等によって真空吸引することによって、減圧ハウジング11内に配置された減圧脱泡槽12の内部を、所定の減圧状態に保持する。ここで減圧脱泡槽12内部は、160〜460mmHgに減圧されていることが好ましく、より好ましくは、減圧脱泡槽12内部は160〜360mmHgに減圧されていることが好ましい。
本発明によって清澄されるガラスは、加熱溶融法により製造されるガラスである限り、組成的には制約されない。したがって、ライムシリカ系ガラスのようなアルカリ金属を含有するガラスであってもよい。また、清澄工程の際に気泡が除去されにくく、しかも、ディスプレイガラス基板等、特に欠点が少ないことが要求される用途に使用されることから、無アルカリガラス(アルカリ金属を実質的に含有していないガラス)が好適である。
本発明のガラス製造装置要素は、白金または白金合金製のガラス製造装置要素であって、該ガラス製造装置要素のうち少なくともその一部を構成する白金または白金合金が、予め1250℃以上、1550℃以下の温度で加熱処理されており、且つ前記白金または白金合金の結晶粒子径が平均1.0mm以下であるものを広く含む。
本発明のガラス製造装置要素において、溶融ガラスとの接触部分のうち少なくともその一部を構成する白金または白金合金が、上記の条件を満たす白金または白金合金であることが好ましい。より好ましくは、溶融ガラスとの接触部分を構成する白金または白金合金は、全て上記の条件を満たす白金または白金合金であることが好ましい。
本発明のガラス製造装置要素は、高温かつ減圧環境下で使用されるガラス製造装置要素として好適である。したがって、上記した減圧脱泡槽12は、本発明のガラス製造装置要素の好適例である。また、構成する白金または白金合金が上記条件を満たすように作製された減圧環境下で使用される溶融ガラスの導管、例えば減圧脱泡装置の上昇管および下降管、も本発明のガラス製造装置要素の好適例である。また、実施例で使用したるつぼ20も本発明のガラス製造装置要素の好適例である。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
(例1)
白金−ロジウム合金(白金90質量%、ロジウム10質量%)の融液中にZrを固溶させ、この融液からアトマイズ法などによって粗原料粉末を得た。次いで、粗原料粉末に、金属塩を用いてZrO2を担持させた。その後、プレスにより固化させた圧粉体を高温焼成し合金インゴットを作製した。このインゴットを圧延する工程と焼鈍する工程を繰り返すことにより、ZrO2が0.2質量%分散し、Zrが0.2質量%固溶した白金合金製の薄板を得た。この薄板を加工して、図3に示す円筒形状のるつぼ20(φ50mm、高さ50mm、ベース材の厚さ0.6mm)を作製した。るつぼ20の上面および下面には、円板状の電極21が設けられている。るつぼ20は、電極21を導線30を介して外部電源(図示していない)と接続して通電加熱することができる。
作製されたるつぼ20を加熱炉内に設置して、1450℃で12時間加熱処理した。加熱処理後のるつぼ20の表面を光学顕微鏡で観察し、任意の10点を取って粒子径を測定し、その平均値を求めた。この結果、るつぼ20を構成する白金合金の結晶粒子径は0.2mmであった。
60SiO2 −17Al23−8B23−15RO(R=Mg,Ca,Sr)(化学式の前の数字は質量%を示す。)の組成を有する無アルカリガラスのカレットが投入されたるつぼ20を真空減圧容器内に配置した。その後、るつぼ20を外部電源から通電加熱して、1380℃または1450℃の温度で無アルカリガラスを溶融させた。この際、真空減圧容器内を760mmHgから260mmHgまで徐々に減圧して、溶融ガラスの状態を直接観察したビデオ画像から、各圧力での総泡数を算出した。結果を表1および図4に示した。
また、真空減圧容器内を760mmから260mmHgまで減圧する過程で、溶融ガラス中で急激に気泡が発生する現象が観察された。本明細書において、この現象を突沸現象とした。表2に突沸現象が発生した際の真空減圧容器内の圧力を示した。
(例2)
例1と同様に図3に示するつぼ20を作製し、1450℃で24時間加熱処理した。但し、白金合金(ロジウム10%)には、Zrが固溶しておらず、かつZr2Oも分散されていない。加熱処理のるつぼ20の表面を光学顕微鏡で観察し、任意の10点を取って粒子径を測定し、その平均値を求めた。この結果、るつぼ20を構成する白金合金の結晶粒子径は1.8mmであった。また、例1と同様に無アルカリガラスの溶融を行い、総泡数および突沸現象が発生した際の真空減圧槽内の圧力を観測した。結果を表1、表2および図4に示した。
Figure 2006240962
Figure 2006240962
表1および図4から明らかなように、例1では、例2に比べて溶融ガラス中の総泡数が著しく低減されていることが確認された。特に、真空減圧槽内の圧力が低い状態、すなわち、減圧度が高い状態でこの傾向が顕著である。
また、表2から明らかなように、例1では、例2に比べて、突沸現象が発生する真空減圧槽内の圧力がより低くなっている。減圧脱泡を行う場合、脱泡性能を高めるためには、減圧度を高くする(ここで言うと、真空減圧槽内の圧力をより低くする)ことが好ましい。その一方、減圧脱泡槽内で新たに発生する気泡による影響を防止するため、突沸現象が発生しないような減圧度(ここで言うと、真空減圧槽内の圧力)に保つことが好ましい。例1では、突沸現象発生時の真空減圧槽内の圧力が、例2に比べてより低くなっている。したがって、より高い減圧度で減圧脱泡を実施することを示している。
なお、これらの結果は、溶融ガラスの加熱温度には影響されなかった。例1および例2では、白金合金製のるつぼを用いているが、図1に示す減圧脱泡装置においても、同様の結果が得られると考えられる。
図1は、本発明の減圧脱泡装置の一般的構成を示した図である。 図2は、従来の減圧脱泡装置の一般的構成を示した図である。 図3は、例1および例2で使用した白金合金製のるつぼを示した模式図である。 図4は、例1および例2における溶融ガラス中の総泡数と、真空減圧槽内の圧力と、の関係を示したグラフである。
符号の説明
1:真空減圧装置
11:減圧ハウジング
12:真空減圧槽
12a:溶融ガラス接触部分
13:上昇管
14:下降管
15:断熱材
2:溶解槽
20:るつぼ
21:通電用の電極
30:導線
100:真空減圧装置
101:減圧ハウジング
102:真空減圧槽
103:上昇管
104:下降管
105:断熱材
200:溶解槽

Claims (11)

  1. 真空吸引される減圧ハウジングと、この減圧ハウジング内に設けられ、溶融ガラスの減圧脱泡を行う減圧脱泡槽と、この減圧脱泡槽に連通して設けられ、減圧脱泡前の溶融ガラスを前記減圧脱泡槽に導入する導入手段と、前記減圧脱泡槽に連通して設けられ、減圧脱泡後の溶融ガラスを前記減圧脱泡槽から導出する導出手段と、を有する溶融ガラスの減圧脱泡装置であって、
    前記減圧脱泡槽の溶融ガラスと直接接触する部分のうち少なくともその一部を構成する白金または白金合金が、予め1250℃以上、1550℃以下の温度で加熱処理されており、且つ前記白金または白金合金の結晶粒子径が平均1.0mm以下であることを特徴とする溶融ガラスの減圧脱泡装置。
  2. 前記減圧脱泡槽の溶融ガラスと直接接触する部分のうち少なくともその一部を構成する前記白金または白金合金中には、Al,3A族及び4A族からなる群から選択される1種以上の金属の酸化物粒子が合計で白金または白金合金に対して0.05〜1.0質量%分散している請求項1に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置。
  3. 前記減圧脱泡槽の溶融ガラスと直接接触する部分のうち少なくともその一部を構成する前記白金または白金合金中には、Al,3A族及び4A族からなる群から選択される1種以上の金属が合計で白金または白金合金に対して0.05〜1.0質量%固溶している請求項2に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置。
  4. 前記白金または白金合金中に分散する金属酸化物粒子は、主としてZrまたはYの酸化物である請求項2に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置。
  5. 前記白金または白金合金中に固溶する金属は、主としてZrまたはYである請求項3に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の減圧脱泡装置を用いて溶融ガラスを清澄する方法。
  7. 白金または白金合金製のガラス製造装置要素であって、
    前記ガラス製造装置要素のうち少なくともその一部を構成する白金または白金合金が、予め1250℃以上、1550℃以下の温度で加熱処理されており、且つ前記白金または白金合金の結晶粒子径が平均1.0mm以下であることを特徴とするガラス製造装置要素。
  8. 前記ガラス製造装置要素のうち少なくともその一部を構成する前記白金または白金合金中には、Al,3A族及び4A族からなる群から選択される1種以上の金属の酸化物粒子が合計で白金または白金合金に対して0.05〜1.0質量%分散している請求項7に記載のガラス製造装置要素。
  9. 前記ガラス製造装置要素のうち少なくともその一部を構成する前記白金または白金合金中には、Al,3A族及び4A族からなる群から選択される1種以上の金属が合計で白金または白金合金に対して0.05〜1.0質量%固溶している請求項8に記載のガラス製造装置要素。
  10. 前記白金または白金合金中に分散する金属酸化物粒子は、主としてZrまたはYの酸化物である請求項8に記載のガラス製造装置要素。
  11. 前記白金または白金合金中に固溶する金属は、主としてZrまたはYである請求項9に記載のガラス製造装置要素。
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