JP2006240894A - フェライト焼結体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 加工時や取り扱い時における割れや欠けの発生が少ないフェライトコアを構成し得るフェライト焼結体を提供すること。
【解決手段】 本発明のフェライト焼結体は、Fe、Ni、Zn、Cu、Mn及びMgを含む主成分とCoを含む副成分とを含有するものである。そして、それぞれ酸化物に換算したとき、主成分には、65〜67.5質量%のFe、7〜10質量%のNiO、19〜23質量%のZnO、3〜6質量%のCuO、0.15〜0.4質量%のMnO、及び、0.005〜0.03質量%のMgOが含まれており、副成分には、主成分の総量100質量部に対して0.08〜0.25質量部のCoOが含まれている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、フェライト焼結体に関する。
多くの電子機器に搭載されるインダクターやトランスは、コアの周囲に巻線が巻回された形状を有している。これらのコアとしては、フェライト材料を焼結してなるフェライト焼結体で構成されるフェライトコアが通常用いられる。かかる形態のフェライトコアとしては、両端に周方向に張り出した顎部を有するドラム型の形状のものが一般的である(特許文献1参照)。
また、電子機器の動作の高速化に伴って、上述したフェライトコアに対しては、高周波、具体的には2MHz程度の高周波領域においても使用可能であることが求められている。このような高周波領域で用い得るQ値の高いフェライト材料としては、例えば、Mg、Ni、Cu、Feを含む主成分と、Bi及びSiを含む副成分とを含有するものが知られている(特許文献2参照)。
特開平8−268719号公報 特開平9−263443号公報
しかしながら、上述したようなフェライト材料からなるフェライトコアは、その加工時や取り扱い時に割れや欠けが生じ易いものであった。特に、近年では、電子機器の小型化が急速に進んでおり、これらに搭載されるインダクターやトランス等としても従来以上に小型のものが求められているが、これに伴ってフェライトコアを小型化すると、上述したような割れや欠けが極めて生じ易くなる傾向にあった。なかでも、端部に顎部を有する一般的な形状のフェライトコアは、かかる顎部において割れや欠け等が生じ易かった。
そして、フェライトコアにこのような割れや欠けが生じると、当該フェライトコアの磁気特性が低下するのみならず、高周波領域での損失等も大きくなり、高速動作を行う電子機器等に用いるのに不適となる。
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、加工時や取り扱い時における割れや欠けの発生が少ないフェライトコアを構成し得るフェライト焼結体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のフェライト焼結体は、Fe、Ni、Zn、Cu、Mn及びMgを含む主成分と、Coを含む副成分とを含有しており、それぞれ酸化物に換算したとき、主成分は、65〜67.5質量%のFe、7〜10質量%のNiO、19〜23質量%のZnO、3〜6質量%のCuO、0.15〜0.4質量%のMnO、及び、0.005〜0.03質量%のMgOからなり、副成分には、主成分の総量100質量部に対して0.08〜0.25質量部のCoOが含まれていることを特徴とする。
上記組成を有するフェライト焼結体は、小型のフェライトコアを形成した場合であっても割れや欠け等が発生し難いものとなり、小型の電子機器に搭載されるインダクターやトランス等のフェライトコアとして好適に用いることができる。また、得られたフェライトコアは、割れや欠けの発生が少ないのみならず、優れた抗折強度をも有しており、このようなフェライトコアを備えるインダクターやトランス等は、優れた耐久性を発揮し得るものとなる。さらに、上述したフェライト焼結体からなるフェライトコアは、磁界を加えた場合に磁気エネルギーの一部が熱として失われる磁心損失(コアロス)が極めて小さいものとなる。したがって、このようなフェライトコアは、高周波領域で用いられるインダクターやトランス等への適用が可能であり、高速動作を行う電子機器に搭載されるインダクターやトランス等のフェライトコアとして好適である。
上記フェライト焼結体においては、平均結晶粒径が8〜20μmであり、且つ、所定の粒内断面を観察したとき、この粒内に形成された空孔の面積の合計が当該断面の1.3%以上を占めていると好ましい。
フェライト焼結体は、微視的には上述した組成を有するフェライト材料の結晶粒子を多数含む構造を有している。これらの結晶粒子の平均結晶粒径を上記範囲とすることで、フェライト焼結体への亀裂等が生じ難くなり、当該焼結体からなるフェライトコアの割れや欠け等の発生を更に抑制することが可能となる。また、結晶粒子内に存在する空孔は、フェライトコアに微小な亀裂が入った場合に、かかる亀裂の進行を食い止める緩衝材として機能することができる。そして、本発明のフェライト焼結体においては、結晶粒子内に上述したような比率で空孔が形成されていることから、微小な亀裂が生じたとしても、かかる亀裂が割れや欠け等に発展することが極めて少ない。
本発明によれば、加工時や取り扱い時における割れや欠けの発生が少なく、また優れた抗折強度を有するフェライトコアを構成し得るフェライト焼結体を提供することが可能となる。そして、このようなフェライトコアを用いることにより、小型で且つ高周波領域での使用が可能なインダクター、トランス等の電子部品やノイズ対策部品を得ることが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。なお、全図を通じ、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態に係るインダクター素子であるコイルを示す斜視図である。図1に示すように、コイル10は、ドラム型のフェライトコア12と、このフェライトコア12に巻回された絶縁被覆付き銅線(巻線)14とを備えている。
フェライトコア12は、フェライト焼結体からなるものであり、このフェライト焼結体は、Fe、Ni、Zn、Cu、Mn及びMgを含む主成分とCoを含む副成分とを含有している。フェライト焼結体において、これらの元素は主として酸化物の状態で含有されている。
主成分は、それぞれ酸化物に換算して、65〜67.5質量%のFe、7〜10質量%のNiO、19〜23質量%のZnO、3〜6質量%のCuO、0.15〜0.4質量%のMnO、及び、0.005〜0.03質量%のMgOからなるものである。また、副成分には、同様に酸化物に換算して、上記主成分100質量部に対して0.08〜0.25質量部のCoOが含まれている。
主成分中に含まれるFeの含有率が、Feに換算して65質量%未満であると、コアロスが大きくなる傾向にある。一方、67.5質量%を超える場合には、かかるフェライト焼結体を製造する際の焼結性が悪く、得られるフェライト焼結体の磁気特性等が不十分となる。
また、主成分中に含まれるMnの含有率が、MnOに換算して0.15質量%未満であるか0.4質量%を超えると、得られるフェライトコア12のコアロスが大きくなる。さらに、Znの含有率が、ZnOに換算して19質量%未満であると、焼結性が悪くなり磁気特性等が低下する。一方、23質量%を超えると、キュリー温度が低くなり、コイルとしての機能が著しく低下する。
また、主成分中に含まれるCuの含有率が、CuOに換算して3質量%未満であると、フェライト焼結体の焼結性が低下して十分な磁気特性が得られ難くなる。一方、6質量%を超えると、フェライト焼結体の表面抵抗が低下するおそれがある。さらに、Mgの含有率が、MgOに換算して0.005質量%未満であると、焼結体密度が低下して機械的強度が低下する。一方、0.03質量%を超えると、焼結性が低下して十分な磁気特性等が得られ難くなる。
また、主成分中には、Niが、上記各成分の残部として、NiOに換算して7〜10質量%含まれている。このようにNiOを含むことで、フェライト焼結体の比抵抗の値が高められ、これにより良好な絶縁性が得られるようになる。その結果、フェライトコア12に渦電流が発生し難くなって、コアロスを著しく低下させることができる。
上述の如く、フェライトコア12を構成するフェライト焼結体は、上記主成分に加え、副成分としてCoの酸化物を更に含有している。その含有率は、CoOに換算して、上記主成分に含まれる元素の酸化物換算値の合計100質量部に対して、0.08〜0.25質量部である。この含有率が0.08質量%未満であると、フェライトコア12に割れや欠け等が発生しやすくなる。一方、0.25質量部を超えると、フェライトコア12の抗折強度等の機械的強度が低下する傾向にある。
ここで、フェライトコア12を構成するフェライト焼結体の構造について、図2を参照して更に詳細に説明する。
図2は、フェライトコア(フェライト焼結体)の断面構造を拡大して示す図である。図示されるように、フェライトコア12を構成しているフェライト焼結体は、複数の結晶粒子22及びこの結晶粒子の間に存在する粒界24から構成されており、これらの結晶粒子22及び粒界24には、多数のポア(空孔)26が形成されている。
本実施形態のフェライトコア12においては、フェライト焼結体を構成している結晶粒子22の平均結晶粒径が8〜20μmであると好ましく、8〜15μmであるとより好ましい。かかる平均結晶粒径の値は、従来のフェライト焼結体に比して小さいものであり、このような平均結晶粒径を有するフェライト焼結体は、微小な亀裂が入り難いものとなる。これにより、このフェライト焼結体からなるフェライトコア12は、割れや欠け等の発生を極めて少なくなる。上記平均結晶粒径が20μmを超えると、フェライトコア12に微小な亀裂が入り易くなり、かかる亀裂に基づく割れや欠け等が発生し易くなる傾向にある。一方、8μm未満であると、フェライトコア12の抗折強度が低下する傾向にある。
また、フェライトコア12においては、結晶粒子22内に存在するポア26が一定の割合以上で形成されていると好ましい。具体的には、所定の粒内断面を観察したとき、結晶粒子22内(粒内)に形成されたポア26の面積の合計が、かかる断面の総面積の好ましくは1.3%以上、より好ましくは2%以上を占めていると好ましい(所定の断面におけるポア26が占める割合を、以下、「ポア形成率」という)。このようなポア形成率でポア26が形成されていると、フェライトコア12に微小な亀裂等が発生した場合であっても、亀裂の進行がポア26によって十分に食い止められる。その結果、フェライトコアに微小な亀裂が生じたとしても、かかる亀裂が連鎖等して割れや欠け等に発展することが極めて少なくなる。ただし、フェライトコア12中におけるポア26の割合が大きすぎると、フェライトコア12の機械的強度が低下するおそれがあるため、ポア26の上記割合の上限値は、5%程度とすることが好ましい。
上述した平均結晶粒径及びポア形成率は、特に制限されないが、例えば画像解析装置を用いることによって算出することができる。具体的には、フェライトコア12を所定の粒内断面で切断し、かかる粒内断面の所定領域を走査型電子顕微鏡(SEM)により所定の倍率で観察して、このとき観察されるSEM画像を画像解析装置により解析することにより、当該領域内における平均結晶粒径及びポア26の面積の割合を算出することができる。これらの値は、フェライトコア全体における値として近似することができる。
次に、上述した構成を有するコイル10の製造方法について説明する。
まず、主成分及び副成分に含まれる各金属元素の原料化合物を、焼結体が上述したような組成となるように混合する。原料化合物としては、各金属元素の酸化物が挙げられる。具体的には、例えば、65〜67.5質量%のFe、7〜10質量%のNiO、19〜23質量%のZnO、3〜6質量%のCuO、0.15〜0.4質量%のMnO及び0.005〜0.03質量%のMgOと、これらの総量100質量部に対して0.08〜0.25質量部のCoOとを混合して原料混合物を得る。なお、最終的に得られる原料混合物の組成が上記酸化物に換算して上述した範囲内となれば、原料化合物としては、上記酸化物以外に他の化合物を混合してもよい。他の化合物としては、例えば、上記金属元素の炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、有機金属化合物等が挙げられる。また、得られた混合物中には、不可避的に混入する元素が含まれていてもよい。
次いで、原料混合物を仮焼成して仮焼成物を得る。仮焼成は、空気中で行うことができる。仮焼成の温度は、原料混合物に含まれる成分に応じて適宜設定することができ、例えば、800〜950℃の範囲とすることが好ましい。仮焼成の時間は、1〜3時間程度とすることが好ましい。
次に、仮焼成物を、ボールミル等により粉砕して粉砕粉を得る。上述の如く、好適な場合、フェライトコア12を構成するフェライト焼結体は、平均結晶粒径が8〜20μmの結晶粒子22を含むことから、かかる粉砕の工程においては、後述する焼成後にこのような平均結晶粒径の結晶粒子22が形成されるように粉砕を行うことが好ましい。具体的には、かかる粉砕の段階で、平均粒径が0.5〜1.5μm程度の粉砕粉を得ておくのが望ましい。
それから、得られた粉砕粉を、ポリビニルアルコール等のバインダーと混合した後、フェライトコア12と同じドラム型に成形して成形体を得る。なお、成形体の形状は、ドラム状に限られず、所望とする形状に合わせて適宜変更することができる。
次に、得られた成形体を焼成して、フェライト焼結体からなるフェライトコア12を得る。焼成は、空気中で行うことができ、焼成温度は、例えば1000〜1300℃の範囲とすることができる。また、焼成時間は、2〜5時間とすることが好ましい。なお、焼成温度、焼成時間等の条件は、原料の組成に応じて適宜変更することができる。
そして、得られたフェライトコア12に対して、絶縁被覆付き銅線(巻線)14を巻回する。こうして図1に示す構成のコイル10が得られる。
上記構成を有するコイル10におけるフェライトコア12は、上述したような、主成分としてFe、Ni、Zn、Cu、Mn及びMgの酸化物を含み、副成分としてCoの酸化物を含むフェライト焼結体からなるため、従来の組成を有するフェライト焼結体からなるフェライトコアに比して、加工時や取り扱い時の割れや欠けが極めて発生し難い。
特に、フェライトコア12が、上述したように平均結晶粒径が8〜20μmであり、且つ、ポア26の形成率が1.3%を超えるようなフェライト焼結体からなる場合は、割れ欠けの原因となる微小な亀裂がもともと入りにくいうえ、亀裂が生じたとしてもその進行がポア26によって十分に食い止められることから、フェライトコア12の割れや欠けが一層生じ難くなる。
また、フェライトコア12は、割れ欠けの発生を低減できるばかりでなく、優れた抗折強度を有し、しかもコアロスが小さいという特性も有している。したがって、このようなフェライトコア12を備えるコイル10は、小型化した場合であっても十分な磁気特性を発揮し得るとともに耐久性にも優れるものとなり、小型で且つ高周波領域で用いられる電子機器に搭載するのに好適である。
以上、好適な実施形態に係るコイル、これを構成するフェライト焼結体及びフェライトコア、並びにこれらの製造方法について説明したが、これらは、必ずしも上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更してもよい。例えば、上記実施形態においては、焼成前の粉砕粉をドラム状に成形したが、焼成後の焼成物を研削するなどしてドラム形状に加工することもできる。この場合であっても、フェライトコアには割れ欠け等が生じ難い。また、上述したコイルは、周囲が樹脂モールドされた形態としてもよい。
なお、本発明のフェライト焼結体は、上述したようなコイル用のフェライトコア以外の他の電子部品に応用することができる。好適な電子部品としては、例えば、トランスが挙げられる。かかるトランスとしては、フェライト焼結体からなる環状のフェライトコアと、このフェライトコアの互いに対向する2箇所に巻回された巻線とを備える形態のものが挙げられる。
このような形態のトランスも、加工時や取り扱い時におけるフェライトコアの割れ欠けが十分に防止され得るため、小型化が容易である。そして、得られたトランスは、高周波領域、具体的には2MHzを超える領域においてもコアロスが極めて小さいものとなり得るため、例えば、小型のスイッチング電源用の電子部品として好適である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[フェライトコアの作製]
まず、フェライト焼結体を形成するためのFe、Mn、Ni、Cu、Zn、Mg及びCoの各原料化合物を、焼成後の組成が表1に示す組成(それぞれを酸化物に換算した場合の組成)となるように秤量し、ボールミルを用いて5時間混合して原料混合物を得た。なお、表1中、Fe、MnO、NiO、CuO、ZnO及びMgOの含有率は、これらの合計100質量%中の各成分の質量%で示し、CoOの含有率は、前記各成分の合計100質量部に対するCoOの質量部で示す。
Figure 2006240894

得られた原料混合物を、空気中、930℃で2時間仮焼成して仮焼成物を得た後、再びボールミルにて20時間混合及び粉砕を行い、粉砕粉を得た。続いて、この粉砕粉を乾燥し、粉砕粉100質量部に対してポリビニルアルコールを1.0質量部加えた後、得られた混合物を100kPaの圧力で加圧成型することにより成形体を製造した。なお、成形体としては、No.1〜4のものについては、55mm×12mm×7mmの角柱状成形体、直径25.3mm、高さ16mmの円柱状成形体、及び、外径15mm、内径10mm、高さ5mmのトロイダル状成形体を作製し、No.5〜10のものについては、トロイダル状成形体のみを作製した。
そして、各成形体を空気中において1120℃で焼成してフェライト焼結体とし、No.1〜4の角柱状、円柱状及びトロイダル状フェライトコア、並びに、サンプルNo.5〜10のトロイダル状フェライトコアを得た。なお、No.1及びNo.4のフェライトコアは、CoOの含有量が0又は0.5質量%であることから本発明の比較例に該当し、No.2、3、5〜10のフェライトコアは、CoOの含有量が本発明の範囲内であることから実施例に該当する。
[特性評価1]
No.1〜4の角柱状、円柱状又はトロイダル状フェライトコアを用い、以下に示す方法に従って3点曲げ強度(抗折強度)、チッピング率、並びに、フェライト焼結体の平均粒径及びポア形成率の測定を行った。得られた結果を、各フェライトコアを構成しているフェライト焼結体中のCoOの含有率(換算値)とともに表2に示す。
(3点曲げ強度(抗折強度)の測定)
No.1〜4の角柱状フェライトコアを用い、JIS C 2141に準拠する3点曲げ強さ試験を行った。すなわち、角柱状フェライトコアの一辺を2点で支持し、これと対向する辺における前記2点の中間位置に徐々に加重を加えてゆき、角柱状フェライトコアに切断が生じたときの荷重を測定し、これに基づいて3点曲げ強度(MPa)を算出した。
(チッピング率の測定)
まず、No.1〜4の円柱状フェライトコアの重量Wを測定した。次いで、各円柱状フェライトコア3個をそれぞれ所定の容器に入れて回転させた。そして、回転後の円柱状フェライトコアの重量Wを測定した。そして、各円柱状フェライトコアで得られたW及びWの値を、下記式(1)に代入してチッピング率(%)を算出した。チッピング率が大きいほど回転前後の重量減少が大きく、フェライトコアの割れ欠けが多く生じていることを示している。
チッピング率(%)=100×(1−W/W) …(1)
(フェライト焼結体の平均粒径の測定)
No.1〜4の角柱状フェライトコアを所定の位置で切断し、切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により視野85μm×64μm(倍率:1500倍)で観察した。得られたSEM画像を画像解析装置IP−1000(旭化成社製)により解析して、当該断面における結晶粒子の平均結晶粒径(μm)を算出した。
(フェライト焼結体のポア形成率の測定)
No.1〜3の角柱状フェライトコアを所定の位置で切断し、切断面をSEMにより視野100×100μmで観察した。そして、得られたSEM画像を画像解析装置IP−1000(旭化成社製)により解析して、視野の粒内断面の面積に占める結晶粒子内に形成されていたポアの面積の比率(%)を算出し、得られた値をポアの形成率とした。なお、かかる測定においては、結晶粒子内のポアのみを測定し、粒界に形成されていたポアについては測定しなかった。
Figure 2006240894

表1より、No.2及び3のフェライトコアは、CoOを含まないか又はCoOの含有率が0.5質量%であったNo.1又は4のフェライトコアに比して、3点曲げ強度が大きく、またチッピング率が小さいことから、機械的強度に優れるとともに割れ欠けが極めて生じ難いものであることが判明した。
[特性評価2]
(コアロスの測定)
No.5〜10のトロイダル状フェライトコアについて、B−Hアナライザを用いて100℃、20mTにおけるコアロス(磁心損失;kW/cm)を測定した。得られた結果を表3に示す。
Figure 2006240894

表3より、本発明の組成を有するフェライト焼結体からなるNo.5〜10のトロイダル状フェライトコアは、いずれもコアロスが400kW/cm台であり、高周波領域で用いるインダクターやトランス等に十分適用可能であることが確認された。
本実施形態に係るコイルを示す斜視図である。 フェライト焼結体の断面構造を拡大して示す図である。
符号の説明
10…コイル、12…フェライトコア、14…絶縁被覆付き銅線、結晶粒子22、24…粒界、26…ポア。

Claims (2)

  1. Fe、Ni、Zn、Cu、Mn及びMgを含む主成分と、Coを含む副成分と、を含有しており、
    それぞれ酸化物に換算したとき、前記主成分は、65〜67.5質量%のFe、7〜10質量%のNiO、19〜23質量%のZnO、3〜6質量%のCuO、0.15〜0.4質量%のMnO、及び、0.005〜0.03質量%のMgOからなり、前記副成分には、前記主成分の総量100質量部に対して0.08〜0.25質量部のCoOが含まれていることを特徴とするフェライト焼結体。
  2. 平均結晶粒径が8〜20μmであり、且つ、所定の粒内断面を観察したとき、該粒内に形成された空孔の面積の合計が当該断面の1.3%以上を占めていることを特徴とする請求項1記載のフェライト焼結体。
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