JP2006239409A - 角膜手術装置及び角膜手術用ブレード - Google Patents

角膜手術装置及び角膜手術用ブレード Download PDF

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Abstract

【課題】 薬剤を使用することなく、角膜上皮のフラップを容易に作ることができ、刃先先端の加工をより容易に行える角膜手術用ブレード及び角膜手術装置を提供する。
【解決手段】 角膜手術装置は、角膜を略平坦に押圧する押圧手段と、該押圧手段により押圧された角膜上皮をフラップ状に切開及び剥離するためのブレードと、ブレードを駆動源により横振動させつつ前進移動させる移動機構とを備え、ブレードの刃先部を形成する第1刃先面と第2刃先面の成す角度αが60度以上、140度未満であり、第1刃先面と第2刃先面の後方の高さHが3μm以上であることを特徴とする。
【選択図】 図4

Description

本発明は、角膜上皮をフラップ状に切開するに好適な角膜手術装置及び角膜手術用ブレードに関する。
角膜の一端を残して角膜上皮から実質に至る厚さ150μmほどの部分を層状に切開してフラップを形成し、その後レーザビームにより実質を矯正量分切除し、再びそのフラップを戻すというLASIK手術(Laser in Situ Keratomileusis)が知られている。このLASIKでは、角膜を層状に切開するマイクロケラトームと称される角膜手術装置が使用されている。
近年では、LASIKが適用できない薄い角膜に対応可能で、術後の痛みがLASIKとPRK(photorefractive keratectomy)との中間に位置するLASEK手術(Laser Epithelial Keratomileusis)が注目されている。このLASEK手術では角膜円形切除機(epi-trephine)を使って角膜上皮部に一部ヒンジを残した円形に切り込みを入れ、角膜上皮をアルコールに浸して膨れさせた後、ゴルフメス等でボウマン膜の上にある角膜上皮のみを剥がしていた。しかし、この方法は、アルコールという薬剤の使用により角膜がダメージを受けることがある。また、フラップエッジも汚く、LASIKに比べて手術に時間が掛かるという問題があった。
この問題の対応として、薬剤を使用することなく、角膜上皮フラップを容易に作ることができる角膜手術装置及びそのためのブレードが下記特許文献1で提案されている。この装置におけるブレードは、刃先端が1〜50μmで、刃先先端の角部を半径0.5〜25μmで丸めた形状である。
特開2003−175071号公報
上記のようにブレードの刃先先端に丸みを付けることで、角膜上皮のみを剥がすことが可能であるが、丸み付けを機械加工で行う場合、その安定した丸み付けの加工が難しい問題があった。
本発明は、上記従来技術に鑑み、薬剤を使用することなく、角膜上皮のフラップを容易に作ることができ、刃先先端の加工をより容易に行える角膜手術用ブレード及び角膜手術装置を提供することを技術課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 角膜を略平坦に押圧する押圧手段と、該押圧手段により押圧された角膜上皮をフラップ状に切開及び剥離するためのブレードと、該ブレードを駆動源により横振動させつつ前進移動させる移動機構とを備え、前記ブレードの刃先部を形成する第1刃先面と第2刃先面の成す角度が60度以上、140度未満であり、前記第1刃先面と第2刃先面の後方の高さが3μm以上であることを特徴とする。
(2) (1)の角膜手術装置において、前記ブレードの前記第1刃先面と第2刃先面の成す角度が70〜120度であることを特徴とする。
(3) (1)の角膜手術装置において、前記ブレードの刃先部の先端を通る中心線(L1)に対する下側の第2刃先面の角度が、角膜上皮の切開及び剥離時に前記押圧手段により押圧される角膜の水平面に対する前記中心線(L1)の角度よりも大きいことを特徴とする。
(4) 角膜を略平坦に押圧する押圧手段と、該押圧手段により押圧された角膜上皮をフラップ状に切開及び剥離するためのブレードと、該ブレードを駆動源により横振動させつつ前進移動させる移動機構とを備え、前記ブレードの刃先部を形成する第1刃先面と第2刃先面の成す角度が30〜80度であり、前記刃先部の先端には高さ1〜3μmの平坦面が形成されていることを特徴とする。
(5) 角膜上皮をフラップ状に切開及び剥離するための角膜手術用ブレードにおいて、ブレードの刃先部を形成する第1刃先面と第2刃先面の成す角度が60度以上、140度未満であり、前記第1刃先面と第2刃先面の後方の高さが3μm以上であることを特徴とする。
(6) 角膜上皮をフラップ状に切開及び剥離するための角膜手術用ブレードにおいて、ブレードの刃先部を形成する第1刃先面と第2刃先面の成す角度が30〜80度であり、前記刃先部の先端には高さ1〜3μmの平坦面が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、ブレードの刃先先端の加工をより容易に行え、角膜上皮のフラップを容易に作ることができる。
以下、本発明の一形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る角膜手術装置の概略構成図である。
1は角膜手術装置本体である。本体1の前側(図1中の左側)には、装置を患者眼に固定するためのサクション部3と、角膜上皮を剥離及び切開するブレード20を持ちサクション部3上を直進移動するカッティング部2とが設けられている。
本体1内には、カッティング部2を剥離方向へ直進移動させるための送り用モータ11と、ブレード20に横方向の振動を与えるための振動用モータ12とが内蔵されている。モータ11の回転軸には送りネジ13が連結されている。送りネジ13には取付部材14が螺合し、取付部材14にはモータ12と連結部材17とが固定されている。モータ11の正逆回転により、送りネジ13及び取付部材14を介してモータ12及び連結部材17が前後方向へ移動し、これによってカッティング部2が前後移動する。連結部材17には回転シャフト15が回転可能に保持されている。回転シャフト15の先端には回転中心から偏った位置に偏心シャフト16が植設されており、偏心シャフト16はブレード20に横振動を与える。
図2はカッティング部2及びサクション部3に関する図1の拡大図である。カッティング部2は、ブレード20を横振動可能に保持するブレードホルダー21a及びホルダーブロック21bと、偏心シャフト16によって生じる横振動をブレード20に伝えるための第1振動伝達部材22と、第1振動伝達部材22による横振動をブレード20に伝える第2振動伝達部材23と、取付部材24aによってホルダーブロック21bに固設された角膜押え部材24とから構成される。ホルダーブロック21bの内部には回転シャフト15が挿入される回転穴が設けられ、連結部材17の先端部が固定されている。
ブレード20はステンレス、スティール等を刃先に使用した金属ブレード、ダイアモンド、サファイア等の鉱物を刃先に使用した鉱物ブレード、プラスチック等の樹脂ブレードが利用される。ブレード20は、水平面に対して15〜30°の進入角度でブレードホルダー21aとホルダーブロック21bとの間で横振動可能に保持されている。本装置のブレード20の進入角度は約25°としている。ブレード20の刃先形状については後述する。
第1振動伝達部材22はホルダーブロック21bに形成された受け溝内で横方向に移動可能になっている。また、第1振動伝達部材22は上方向及び下方向をホルダーブロック21bによって保持されている。第1振動伝達部材22には偏心シャフト16に係合する縦溝22aが形成されており、振動用モータ12の回転駆動によって回転シャフト15が回転すると、第1振動伝達部材22には縦溝22aに係合した偏心シャフト16の周動によって横方向への運動力が加わる。これにより、第1振動伝達部材22が横振動する。
第2振動伝達部材23はホルダーブロック21bに形成された受け溝内で横方向に移動可能になっている。また、第2振動伝達部材23は上方向をホルダーブロック21b、下方向をブレードホルダー21aによってそれぞれ保持されている。第1振動伝達部材22には、その下方に、ブレード20側に突出した凸部22bが設けられており、第2振動伝達部材23には凸部22bに係合する縦溝23aが形成されている。回転シャフト15の回転(偏心シャフト16の周動)によって第1振動伝達部材22が横振動すると、第2振動伝達部材23には縦溝23aに係合した凸部22bの横振動によってさらに横方向への運動力が加わる。これによって第2振動伝達部材23が横振動し、さらに第2振動伝達部材23に固定されたブレード20が横振動する。
角膜押え部材24はブレード20の前側(図2中の左側)に設けられており、ブレード20による角膜上皮の切開と剥離に先立って、カッティング部2の進行に伴い患者眼角膜を平坦に押圧する。ブレード20が角膜押え部材24によって平坦に押圧された角膜上皮を切開及び剥離し、ボウマン膜から剥がされた角膜上皮のフラップが形成される。
なお、角膜上皮をボウマン膜から引き離すために、角膜押え部材24の下面に対するブレード20の刃先尖端の位置は、角膜上皮の厚さ分より下に位置させる。その間隔は100〜300μmが好ましい。本実施形態では150μm程度とされている。
サクション部3は固設部材30、サクションリング31、サクションパイプ32等から構成されており、サクションリング31は固設部材30によって本体1に固設されている。サクションリング31は断面形状がコの字型の略円筒形状をしており、患者眼に当接させるための円形の凹部31aと、凹部31aに対して同心円である開口部31bとが形成されている。手術の際、サクションリング31が患者眼に設置されると、患者眼角膜は開口部31bから上部に突出し、患者眼にサクションリング31の下端部と開口部31bの開口端部が当接され、その当接によって吸引用の空間Sが確保される。
サクションパイプ32はサクションリング31に植設されており、図示なきバキューム用チューブと接続され、そのバキューム用チューブはポンプ41まで伸延している。サクションパイプ32内部に設けられた吸引通路32aは凹部31aと連通しており、ポンプ41によって吸引通路32aを介して空間S内の空気を吸引排出することにより、サクションリング31を患者眼に吸着固定する。この固定に際しては、術者が本体1を保持することによって開口部31bの位置決定を容易にし、装置を安定して保持することができる。
また、サクションリング31には図示なき圧力検出用パイプが植設されており、圧力検出用パイプは図示なきチューブによって圧力検出器33に接続されている。圧力検出器33は圧力検出用パイプを介し、ポンプ41によって吸引された空間S内の空気圧を検出する。制御部40は圧力検出器33の検出した空気圧に基づき、送り用モータ11、振動用モータ12、ポンプ41等の動作を制御する。
次に、ブレード20の形状を説明する。図3(a)はブレード20全体の平面図、図3(b)はその断面図を示す。このブレード20は、長さLa=約8mm、幅Lb=約13mm、基部厚さLt=約0.25mmである。300は第2振動伝達部材23を嵌め込む2つの穴である。ブレード20の前側には、傾斜を付けた2つの後方刃面303a,303bと、後述する形状の刃先部304とからなる刃部302が形成されている。後方刃面303a,303bは、基部厚さLtの中心線に対して同一角度を成すように傾斜して形成されている。2つの後方刃面303a,303bが成す角度θ1=15〜40°であり、本実施形態ではθ1=19°としている。なお、後方刃面303a,303bの成す角度θ1は、研磨を容易にすために、最先端の刃先部304に向かうに従って2〜3段階で段階的に大きくなるようにしても良い。
図4は、ブレード20の刃先部304の第1形状を説明するための拡大図である。第1形状の刃先部304は、後方刃面303a,303bの傾斜角度に対して、さらに大きな角度で斜めにカットした第1刃先面305aと第2刃先面305bが形成されている。ブレード20の刃先部304を鈍くすれば、上皮のみを剥離したフラップの作成が可能になる。特開2003−175071号公報では、刃先部を鈍くするために角部を丸めた形状のものを提案したが、安定した丸め形状の加工は難しい。製造上は直線的に研磨加工した形状の方が容易である。
そこで、本装置のブレード20では、刃先部304を鈍くするために、最先端の第1刃先面305aと第2刃先面305bが成す角度を、後方刃面303a,303bの角度θ1よりも大きい角度αとしている。刃先角度αは、角膜上皮の切開を可能にするが、角膜上皮より硬いボウマン膜までは切開しない角度で決定する。刃先角度αが小さすぎると(鋭くし過ぎると)ボウマン膜まで切り込み、上皮のみを剥離できなくなる。逆に、刃先角度αが大きすぎると(鈍くし過ぎると)、角膜上皮を切開できずに上皮が残る。この刃先角度αは、60°以上、140°未満である。好ましくは70°〜120°である。また、第1刃先面305a,第2刃先面305bの後方の高さHは(第1刃先面305aと後方刃面303aの境界位置をPa、第2刃先面305bと後方刃面303bの境界位置をPbとしたときの、PbからPaまでの高さは)、少なくとも3μm以上を確保し、好ましくは5μm以上を確保する。
図5は、第1形状の刃先部304における角度αの許容範囲を確認するための実験結果の図である。実験は豚眼を用いて行った。実験は、刃先角度α=約40°,約60°,約80°,約120°,約140°,約160°の7つのタイプで、それぞれ3個(A,B,C)を作成して行った。実験におけるブレード20の送り速度は約2mm/秒、振動数は9,000rpmとした。
図4及び図5において、αaは中心線L1方向に対する第1刃先面305aの角度であり、αbは中心線L1方向に対する第2刃先面305bの角度である。刃先角度α=αa+αbとなる。また、haは、第1刃先面305aと第2刃先面305bとが交わる最先端の位置Poから位置Paまでの高さであり、hbは位置Poから位置Pbまでの高さである。刃先高さH=ha+hbとなる。なお、後方刃面303a,303bの成す角度θ1=19°である。
刃先角度約40°タイプ:ブレードA,B,Cとも上皮を剥離できたものは無く、実質まで切開された。なお、ブレードは、何れも第2刃先面305bの角度αb=9.5°で、第1刃先面305aのみ研磨であった。また、ブレードA,Bの刃先高さH=2μmであり、ブレードCの刃先高さH=5μmであった。
刃先角度約60°タイプ:ブレードA,B,Cとも上皮を剥離できたものは無く、実質まで切開された。この実験のブレードについても、何れも第2刃先面305bの角度αb=9.5°で、第1刃先面305aのみ研磨であった。また、ブレードA,Bの刃先高さH=2μmであり、ブレードCの刃先高さH=6μmであった。
刃先角度約80°タイプ:ブレードA,B,Cともほとんどの部分が上皮切開及び剥離できた。刃先高さHは、ブレードAが9μm、ブレードBが5μm、ブレードCが3μmであった。
刃先角度約100°タイプ:ブレードA,B,Cとも上皮切開及び剥離ができた。特にブレードB,Cで切開したときのベッド面はきれいであった。刃先高さHは、ブレードAが5μm、ブレードB,Cが12μmであった。
刃先角度約120°タイプ:ブレードA,B,Cとも上皮切開及び剥離ができた。何れもきれいなベッド面であった。刃先高さHは、ブレードA,Bが3μm、ブレードCが5μmであった。
刃先角度約140°タイプ:ブレードA(α=146.9°)では上皮をなめただけであり、上皮切開できなかった。ブレードB(α=144.9°)では中央からヒンジ部分にかけて上皮をなめた部分が残った。一方、ブレードC(α=137.3°)ではヒンジ部分で少し上皮をなめた部分が残ったものの、その他の部分は上皮切開及び剥離ができた。刃先高さHは、何れも6μmでる。
刃先角度約160°タイプ:ブレードA(α=158.0°)及びブレードB(161.4°)では上皮をなめただけであり、上皮切開できなかった。ブレードC(α=159.8°)では、中央からヒンジにかけて上皮をなめただけの個所が半分ほどあった。上皮切開できた部分は上皮剥離もできていた。刃先高さHは、何れも6μmであった。
以上の実験結果より、上皮切開するためには、少なくとも刃先角度α=140°未満とすれば良いことが分かった。実験では刃先角度α=137°までなら上皮切開が可能であった。好ましくは刃先角度α=120°以下である。一方、実質までを切開せず、上皮剥離するためには、好ましくは刃先角度α=80°以上であることが分かった。豚眼はボウマン膜を持たないが、人眼は実質よりかなり硬いボウマン膜を持つことを鑑みれば、それより小さな角度でも実質を切開せずに上皮剥離が可能である。刃先角度約60°タイプのブレード(α=55.0〜57.7°)では、第1刃先面305aのみの形成であったため、実質を切り込み易くなったと思われる。第1刃先面305aと第2刃先面305bとを形成すれば、刃先角度α=60°以上で上皮剥離が可能であると考えられる。第1刃先面305aと第2刃先面305bは、中心線L1を挟んでほぼ均等に形成することが好ましいが、多少偏っていても良い。また、刃先高さH=3μm以上とすれば、実質を切開せずに上皮剥離が可能である。好ましくはH=5μm以上である。
図8は、第1形状を持つ刃先部304の角度αの許容範囲を確認するためのさらなる実験結果を示す図である。実験は、豚眼を用い、角度αを約60°,約70°の2つのタイプに分け、それぞれ複数個のブレード20を作成して行った。これらのブレードの刃先面305a、305bは、刃面303a及び303bを持つブレードを機械加工により研磨して形成した。
刃先角度約60°タイプ:角度αaとαbをほぼ均等にしたものを10個確認した。全サンプル中の約半数程度のもので、角膜上皮の切開及び剥離ができた。
刃先角度約70°タイプ:角度αaとαbをほぼ均等にしたものを9個確認した。全サンプル中のほとんどで、良好に角膜の切開及び剥離ができた。
以上の実験結果より、刃先面305aと刃先面305bとが中心線L1を挟んでほぼ均等に形成されていれば、角度αが約60°以上でも角膜実質までを切開せずに、角膜上皮のみを剥離できることが分かった。さらに、角度αが70°以上であればより好ましいことが分かった。先の実験結果と合わせた結果より、角度αは60°以上、140°未満であり、好ましくは角度αは70°〜120°である。さらに好ましくは角度αは70°〜100°である。
またさらに、先端位置Poを通る中心線L1に対する下側の第2刃先面305bの角度αbが、角膜の切開及び剥離時に角膜押え部材24により押圧される水平面に対する中心線L1の角度(すなわち、水平面に対するブレード20の保持角度であり、これはブレード20の進入角度である)よりも大きいことが、角膜実質までを切開せずに角膜上皮のみを剥離するために好ましい要素であることが分かった。実施形態ではブレード20の進入角度25°であるので、これより角度αbを大きくする。
図6は、刃先部304の第2形状を説明するための拡大図である。刃先部304の第2形状は、刃先部304を鈍くするために、図4に示した第1形状に対して最先端を平坦に研磨加工した平坦面305を形成したものである。平坦面305の高さ(縦幅)Woは、1〜3μmである。刃先部304を形成するために直線的に斜めに研磨加工した第1刃先面306aと第2刃先面306bが成す角度βは、30〜80°であり、好ましくは50〜70°である。また、平坦面305の上端エッジから第1刃先面306aと後方刃面303aの境界位置Paまでの高さWa、平坦面305の下端エッジから第2刃先面306bと後方刃面303bの境界位置Pbまでの高さWbは、それぞれ2μm以上を確保する。
図7は第2形状の刃先部304の実験結果を示す図である。実験は兎眼を用いて行った。実験1で作成した刃先部304は、平坦面305の高さWo=2μm、刃先角度β=60.6°であった。この実験では全体的に上皮だけがきれいに切開及び剥離された。実験2で作成した刃先部304は、平坦面305の高さWo=2μm、刃先角度β=111.2°であった。この実験では、実験1よりも多くの上皮が残った。実験3で作成した刃先部304は、平坦面305の高さWo=6μm、刃先角度β=52.2°であった。この実験においても、多くの上皮が残った。
上記の結果より、第1形状のブレード20に対して、刃先角度βが小さくても、Wo=2μmの平坦面305を形成すれば、刃先部304の鈍化により、実質を切開せず、角膜上皮だけを剥離可能である。人眼は実質より硬いボウマン膜を持つことを鑑みれば、Wo=1μm、刃先角度β=30°まで小さくしても、ボウマン膜を切開せずに角膜上皮を剥離することが可能であると考えられる。
一方、平坦面305の高さWoをあまり大きくすると、先端部が鈍化しすぎて上皮が切開できなくなる。また、刃先角度βを大きくすると、先端部が鈍化しすぎることになる。Wo=1〜5μm、刃先角度β=30〜60°までなら角膜上皮を切開し、上皮の剥離が可能である。Wo=3μm以下とすれば、角度βを80°まで広げても角膜上皮の剥離が可能と考えられる。すなわち、Wo=1〜3μmなら、角度βは30〜80°の範囲である。
上記の装置を使用した角膜上皮の切開及び剥離動作を簡単に説明する。サクションリング31を術眼上に配置に配置した後、ポンプ41を作動させてサクションリング31と術眼との間の空間S内の空気を吸引し、空気圧を低下させる。これにより、サクションリング31は術眼に吸着固定される。フットスイッチ42の信号により、制御部40はモータ12及びモータ11を駆動する。これにより、ブレード20は横振動すると共に切開及び剥離方向へ直進移動する。ブレード20の送り速度は、0.4〜6mm/秒、振動数は5,000〜25,000rpmに設定される。
角膜上皮は、横振動しながら直進移動するブレード20の刃先部304の最先端によって切開される。その後、ブレード20の刃先部304は角膜上皮下のボウマン膜に達するが、上記のような刃先部304の形状により、角膜上皮より硬いボウマン膜までは切開されず、ブレード20はボウマン膜上を滑るように直進移動する。これにより、角膜上皮がボウマン膜(叉は上皮下基底膜)から引き離されて、フラップが形成される。
上記の実施形態では、ブレード20の送り機構を直進移動させる機構を例にとって説明したが、ブレードを回転移動させながら前進移動させる機構であっても良い。また、ブレードの横振動のみを駆動源によるものとし、前進移動の送りは手動で行う装置にも適用できる。
角膜手術装置の概略構成図である。 カッティング部及びサクション部に関する図1の拡大図である。 ブレードの形状を説明する図である。 ブレードの刃先部の第1形状を説明するための拡大図である。 第1形状の刃先部における角度αの許容範囲を確認するための実験結果の図である。 刃先部の第2形状を説明するための拡大図である。 第2形状の刃先部の実験結果を示す図である。 第1形状を持つ刃先部の角度αの許容範囲を確認するためのさらなる実験結果を示す図である。
符号の説明
1 角膜手術装置本体
2 カッティング部
3 サクション部
11 送り用モータ
12 振動用モータ
20 ブレード
24 角膜押え部材
303a,303b 後方刃面
304 刃先部
305a 第1刃先面
305b 第2刃先面
305 平坦面
306a 第1刃先面
306b 第2刃先面

Claims (6)

  1. 角膜を略平坦に押圧する押圧手段と、該押圧手段により押圧された角膜上皮をフラップ状に切開及び剥離するためのブレードと、該ブレードを駆動源により横振動させつつ前進移動させる移動機構とを備え、前記ブレードの刃先部を形成する第1刃先面と第2刃先面の成す角度が60度以上、140度未満であり、前記第1刃先面と第2刃先面の後方の高さが3μm以上であることを特徴とする角膜手術装置。
  2. 請求項1の角膜手術装置において、前記ブレードの前記第1刃先面と第2刃先面の成す角度が70〜120度であることを特徴とする角膜手術装置。
  3. 請求項1の角膜手術装置において、前記ブレードの刃先部の先端を通る中心線(L1)に対する下側の第2刃先面の角度が、角膜上皮の切開及び剥離時に前記押圧手段により押圧される角膜の水平面に対する前記中心線(L1)の角度よりも大きいことを特徴とする角膜手術装置。
  4. 角膜を略平坦に押圧する押圧手段と、該押圧手段により押圧された角膜上皮をフラップ状に切開及び剥離するためのブレードと、該ブレードを駆動源により横振動させつつ前進移動させる移動機構とを備え、前記ブレードの刃先部を形成する第1刃先面と第2刃先面の成す角度が30〜80度であり、前記刃先部の先端には高さ1〜3μmの平坦面が形成されていることを特徴とする角膜手術装置。
  5. 角膜上皮をフラップ状に切開及び剥離するための角膜手術用ブレードにおいて、ブレードの刃先部を形成する第1刃先面と第2刃先面の成す角度が60度以上、140度未満であり、前記第1刃先面と第2刃先面の後方の高さが3μm以上であることを特徴とする角膜手術用ブレード。
  6. 角膜上皮をフラップ状に切開及び剥離するための角膜手術用ブレードにおいて、ブレードの刃先部を形成する第1刃先面と第2刃先面の成す角度が30〜80度であり、前記刃先部の先端には高さ1〜3μmの平坦面が形成されていることを特徴とする角膜手術用ブレード。


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