JP2006236663A - ダイレクト固体高分子電解質型燃料電池システム - Google Patents

ダイレクト固体高分子電解質型燃料電池システム Download PDF

Info

Publication number
JP2006236663A
JP2006236663A JP2005046907A JP2005046907A JP2006236663A JP 2006236663 A JP2006236663 A JP 2006236663A JP 2005046907 A JP2005046907 A JP 2005046907A JP 2005046907 A JP2005046907 A JP 2005046907A JP 2006236663 A JP2006236663 A JP 2006236663A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel
flow path
fuel cell
polymer electrolyte
solid polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005046907A
Other languages
English (en)
Inventor
Kunihiko Shimizu
邦彦 清水
Osamu Yamashita
修 山下
Koji Kobayashi
広司 小林
Shinako Kaneko
志奈子 金子
Masayuki Sasaki
正幸 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokin Corp
Original Assignee
NEC Tokin Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Tokin Corp filed Critical NEC Tokin Corp
Priority to JP2005046907A priority Critical patent/JP2006236663A/ja
Publication of JP2006236663A publication Critical patent/JP2006236663A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】燃料の輸送を伴うダイレクト固体高分子電解質型燃料電池(DFC)システムにおいて、燃料輸送手段によるシステムの複雑化や大型化を抑え、ポンプ等の補機の電力消費によるシステムの効率低下を防止する
【解決手段】燃料を直接供給するDFCを有するDFCシステムにおいて、外部から補給される燃料を貯蔵するための燃料貯蔵手段と、燃料を該燃料貯蔵手段からDFCのアノード流路に導く燃料供給流路とを有し、燃料供給流路に、細孔物質膜と、燃料供給流路を開閉可能な流路開閉手段とを備えるDFCシステム。
【選択図】図1

Description

本発明はメタノール等の燃料を、改質せずにそのまま電気化学反応させるダイレクト型固体高分子型燃料電池を用いて発電を行うダイレクト型固体高分子型燃料電池システムに関する。
水素源となる燃料にメタノール等を用い、燃料を改質することなく直接アノード触媒電極で燃料から水素イオンを取り出し、電解質に固体高分子電解質を用いる燃料電池であるダイレクト固体高分子電解質型燃料電池(以下DFCと称す)は、水溶液の形態とされた燃料を用いることにより燃料の容積を小さくでき、従って燃料電池システムの高エネルギー密度化が可能なこと、改質器が不要なため燃料電池システムの小型化が容易なこと、固体高分子電解質が室温近辺でも動作可能なことなどの長所を有し、小型携帯用燃料電池などを目標に研究・実用化が進められている。燃料にはメタノール以外にエタノール、プロピルアルコール、ジメチルエーテルなども検討さている。以下、代表的な燃料であるメタノールを例に説明する。
DFCではメタノール水溶液が直接アノード触媒電極で式(I)のアノード反応を起こし、この反応で発生した水素イオンは固体高分子電解質中を移動してカソード触媒電極で式(II)のカソード反応を起こし、両反応をあわせて燃料電池反応になる。
Figure 2006236663
固体高分子電解質膜中の水素イオンのイオン伝導性は、水素イオンと親和性の高い水和水の移動が伴う時、高イオン伝導度となる。よって水和水供給の為に電解質膜中に水分を含有させ、水分を充分含んだ固体高分子電解質は水素イオン伝導度が高くなる。その結果燃料電池特性は向上する。
ところで、燃料電池システムの高エネルギー密度化のためにはメタノール水溶液中のメタノール濃度が高い方が望ましいが、高濃度メタノール水溶液をDFCに供給する場合には特にクロスオーバーと呼ばれる問題があった。すなわち、メタノールがアノード触媒電極で反応せずにそのまま固体高分子電解質膜中を親和性の高い水分子と共に透過し、カソード触媒電極でアノード反応と同じ反応をする事によって、化学的ショートを起こし、電圧および出力が低下し、燃料が有効利用されないという現象が起きることがあった。このため、従来メタノール水溶液のメタノール濃度はおおよそ10質量%程度以下とされるのが一般的であった。
クロスオーバーの対策として、電解質膜中のメタノール透過性を抑制するために多くの検討がなされている。非特許文献1(「固体高分子形燃料電池のすべて」)および2(「携帯機器用燃料電池の実用化」)では、固体高分子電解質膜の内部を放射線照射による架橋構造にしたり、イオン伝導経路であるイオンクラスター内にメタノール阻害物質を導入したり、フッ素系樹脂や無機酸化物材料による補強充填を行ったりしてメタノール分子の透過を阻害・抑制するという方法が紹介されている。また、無機もしくは有機多孔質物質内にイオン伝導性物質を加えることでメタノール分子の透過を抑制するという方法が紹介されている。
しかし、メタノールの固体高分子電解質中の移動はメタノールとの親和性の高い水分子の移動も伴う。メタノール透過性を抑制すると水分子の移動性をも抑制してしまう。そして水分子の移動を抑制すると水素イオンのイオン伝導性をも抑制してしまい固体高分子電解質膜の抵抗が高くなって燃料電池特性を低下させてしまう。
つまり、クロスオーバー対策として電解質膜のメタノール透過を抑制するとイオン伝導性が低下しやすくなるという問題があり、特にDFCシステムの高エネルギー密度化のためメタノール濃度の高いメタノール水溶液を用いる場合、電解質膜の高イオン伝導性と低メタノール透過性を両立するのは困難であった。
またメタノールの反応消費量は燃料電池への負荷電流に比例するが、画一的にメタノール透過性を抑制すると負荷電流が大きい時に追随できないため、負荷電流値を限定することになる、また負荷電流が変動する場合は追随が遅くなる。
特許文献1(特開2003−346836号公報)には、アノードで使用されたメタノール水溶液を再び燃料として使用することが記載され、アノードに供給するメタノール水溶液を貯めるタンクと、アノード流路を通ったメタノール水溶液を再びタンクに導く燃料流路(循環流路)と、タンクにメタノールを補給する燃料カートリッジとを有する直接型メタノール燃料電池システムが示され、タンク内のメタノール水溶液が薄くなった場合に、燃料カートリッジからタンクにメタノールを補給することが示される。
特開2003−346836号公報 「固体高分子形燃料電池のすべて」、田村英雄監修、株式会社エヌ・ティー・エス、2003年10月1日発行 「携帯機器用燃料電池の実用化」、技術情報協会、2002年10月30日発行
本発明者等の検討によれば、特許文献1に記載されるような構成、すなわち、燃料電池に供給されるメタノール水溶液のメタノール濃度が薄くなった場合に適宜メタノールを補給する構成のDFCシステムを用いると、高濃度メタノール水溶液を用い高イオン伝導度の固体高分子電解質膜を用いつつもクロスオーバーを抑制することが可能となる。
しかし、この場合、燃料カートリッジからタンクへ送液するポンプなどが必要となり、また、補給を行うか否かを判定してポンプにより補給を行うためにセンサーや制御システムが必要となり、燃料電池システムが複雑化、大型化してしまい、またポンプ等のために電力が消費されてしまい、燃料電池システムの効率が低下してしまう。
上記の例に限らず、燃料を輸送するための従来のポンプ等の燃料輸送手段は、その制御手段を含めてDFCシステムの複雑化、大型化の要因となり、また電力消費による効率低下の要因となる。
本発明の目的は、燃料の輸送を伴うDFC燃料電池システムにおいて、燃料輸送手段による燃料電池システムの複雑化や大型化を抑え、ポンプ等の補機の電力消費による燃料電池システムの効率低下を防止することである。
本発明により、燃料を直接供給するダイレクト固体高分子電解質型燃料電池を有するダイレクト固体高分子電解質型燃料電池システムにおいて、
外部から補給される燃料を貯蔵するための燃料貯蔵手段と、燃料を該燃料貯蔵手段から該燃料電池のアノード流路に導く燃料供給流路とを有し、
該燃料供給流路に、細孔物質膜と、燃料供給流路を開閉可能な流路開閉手段とを備えるダイレクト固体高分子電解質型燃料電池システムが提供される。
前記細孔物質膜の平均細孔径が0.45μm以下であることが好ましい。
前記細孔物質膜が、平均細孔径が相異なる二層構造を有することが好ましい。
前記細孔物質膜が、ポリエーテルスルホンおよびポリテトラフルオロエチレンからなる群から選ばれる少なくとも一種からなる多孔質有機高分子膜であることが好ましい。
前記細孔物質膜が、アルミナ、シリカならびにアルミナおよびシリカの複合酸化物からなる群から選ばれる多孔質無機酸化物膜であることが好ましい。
上記ダイレクト固体高分子電解質型燃料電池システムが、前記燃料供給流路の細孔物質膜の下流かつ流路開閉手段の下流に備えられた、前記アノード流路に供給する燃料を収容する容器;および
該アノード流路から排出される流体を該容器に循環する循環流路をさらに有することが好ましい。
上記ダイレクト固体高分子電解質型燃料電池システムが、燃料供給流路の前記細孔物質膜の下流かつ前記流路開閉手段の下流に備えられた、前記アノード流路に供給する燃料を収容する容器をさらに有し、
該容器がアノード流路と一体化されたことが好ましい。
本発明によれば、燃料の輸送を伴うDFC燃料電池システムにおいて、燃料輸送手段による燃料電池システムの複雑化や大型化を抑え、電力消費による燃料電池システムの効率低下を防止することができる。
以下、本発明について図面を用いて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
燃料としてメタノールを例に説明するが、エタノール、プロピルアルコール、ジメチルエーテルなど、DFCの燃料として用いることのできる燃料であれば適宜燃料に用いることができる。
DFCのセル数は限定されるものではない。DFCは単セルでもよく、また平面スタックや積層型スタックなどのスタックでもよい。
図1は本発明のDFCシステムの一形態を説明するための模式図である。
この形態は、外部から補給される燃料を貯蔵するための燃料貯蔵手段である燃料カートリッジ112と、燃料カートリッジからアノード流路105に燃料を導く燃料供給流路を有する。アノード流路に供給する燃料を収容する容器である燃料タンク113が燃料供給流路に設けられ、燃料供給流路のタンクより上流側(上流側燃料供給流路115)に細孔物質膜101と、この流路を開閉可能な流路開閉手段である開閉コック102が配される。ここでは細孔物質膜が開閉コックより上流に配されているが、開閉コックを細孔物質膜より上流に配してもよい。また、燃料供給流路のタンクより下流側(下流側燃料供給流路103)には、送液ポンプ114が配される。アノード流路から排出される流体を燃料タンク113に循環させるための循環流路104が設けられる。
燃料カートリッジ112には、高濃度のメタノール水溶液を貯蔵することができる。ここでは燃料貯蔵手段として、燃料供給流路に着脱可能なカートリッジを用いているが、この限りではない。例えば、燃料貯蔵手段として、DFCシステムに固定されたタンクを用いてもよい。
容器としては、メタノール水溶液を貯めることができる構造を適宜採用することができる。
燃料電池でメタノールが消費されることにより、上流側燃料供給流路115に設けられた細孔物質膜101の上流側と下流側でメタノールの濃度差が生じる。このように濃度差があると、細孔物質膜の微細孔性による毛細管現象と、細孔物質膜の上流側液体と下流側液体との浸透圧差によって、燃料が細孔物質膜の上流側から下流側へと輸送される。つまり、ポンプ等の機器を用いずに、燃料を能動的に輸送することができる。
カソード流路にはファン116で空気を送り込み、膜電極複合体(以下、MEAと称す)のカソード面に空気が供給されるようにする。図3に示すように、ファンの設置位置はカソード出口側でもよい。またファン等の補機なしで、カソード流路を設けずに開放型として自然大気循環によって空気を供給・排出しても良い。
燃料タンク113または燃料流路105もしくは両者には気液分離膜111を備えて、燃料のメタノール水溶液は保持したまま、燃料電池反応で発生した二酸化炭素のみを外気に逃がし、燃料タンクおよび燃料流路内の内圧上昇を防止することができる。
細孔物質膜101について説明する。細孔物質膜の材料としては、耐アルコール性、耐酸性および耐腐食性の観点から、無機材料ではアルミナ、シリカ、およびその複合酸化物等の多孔質体が好ましく、有機高分子材料では多孔質なポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン、ポリイミドなどが好ましい。なかでも、化学的に安定な多孔質膜を容易に得ることができる観点から、ポリエーテルスルホンとポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
細孔物質膜の平均細孔径は、水の透過を抑えて下流側から上流側への水の逆流を抑える観点から0.45μm以下が好ましく、また、メタノール通過性の観点から、0.002μm以上が好ましい。
細孔物質膜は一様な膜であってもよいが、平均細孔径が相異なる二つの層が積層された二層構造を有する膜であることが好ましい。二層構造を有する細孔物質膜を用いる場合について図4を用いて説明すると、メタノール濃度が高い上流側(燃料カートリッジ側)の層131の平均細孔径が、下流側(燃料タンク側)の層132の平均細孔径より小さいことが好ましい。細孔物質膜における毛細管現象によって細孔径の小さい層に接するメタノールが優先的に下流側(燃料タンク側)に拡散供給されるからである。また、細孔物質膜の上流側(高メタノール濃度の入ったカートリッジ側)のメタノール水溶液と下流側(メタノール水溶液の入った燃料タンク側)のメタノール水溶液では、細孔物質膜101を挟んだ状態で浸透圧が異なる。メタノールは浸透圧が高いため優先的に上流側から下流側へと拡散供給される。
また細孔物質膜101が撥水性であることが好ましい。細孔物質膜が撥水性であると、水の通過を阻害するが、メタノールの通過は阻害しなくなるからである。
以上のように、細孔物質膜101は、好ましくは高メタノール濃度側の細孔径が小さく全体が撥水性であることにより、メタノールを優先的に拡散透過して供給する事ができる。よってポンプ等の補機によらずにメタノールを供給する事ができるため、低消費電力化・小型化が可能になる。
細孔物質膜の下流側の内圧が上昇し、上流側の内圧より高い圧力になると、下流側から上流側にメタノール水溶液が逆浸透することも考えられる。このような現象を抑制し、燃料の逆流を防止する観点から、燃料カートリッジ112は図5(A)もしくは(B)に示すような構造を有することが好ましい。
図5(A)に示す燃料カートリッジにおいては、燃料の入る内袋142がラミネート構造を有し、内袋は外装ケース141内に収容され、外装ケースには開放部144が設けられて内袋が常に大気圧によって加圧保持され、内袋には内袋内部と燃料供給流路とを接続するための接続部143が設けられる。
図5(B)に示す燃料カートリッジにおいては、シリンダー形状でバネ145の応力などによって内袋142の内部を加圧保持することが可能である。
燃料カートリッジ等の燃料貯蔵手段112内のメタノール水溶液中のメタノール濃度は、電解質膜を通ってカソードからアノードへ移動する水の移動速度などにもよるが、例えば50質量%以上とすることができる。外部からの水供給を考慮しなくてよい場合は、純メタノールを用いることもできる。
アノードに供給されるメタノール水溶液(図1に示す形態の場合は、燃料タンク113内のメタノール水溶液)中のメタノール濃度は、電池性能の観点から3質量%以上が好ましい。このメタノール濃度の上限値については、電解質膜のクロスオーバー特性に依存し、従来から用いられている電解質膜については、およそ10質量%以下とされる。
さて、燃料供給流路を開閉可能な流路開閉手段について説明する。燃料カートリッジ112と燃料タンク113とを結ぶ上流側燃料供給流路115に流路開閉手段(開閉コック102)が存在しないと、DFCが停止し燃料消費がない場合でも細孔物質膜の上流から下流へとメタノールの拡散供給がなされてしまう。このようにして燃料タンク内のメタノール濃度が高くなった後に燃料電池を起動すると、燃料電池流路105内に高濃度のメタノールが供給されてしまいクロスオーバーが起きるため電池出力は低下する。これを阻止するためDFCが停止している状態では流路開閉手段によって燃料カートリッジと燃料タンクとの間の流路を閉じておき、DFCを作動させる際に流路を開ける。このための制御は極めて簡単で、センサー等を必要としない。
流路開閉手段としては、コックに限らず、流路を開閉することのできる公知の構造を適宜採用することができる。
さらに、流路開閉手段に単なる開閉機能だけでなく流量調節機能を持たせ、燃料電池の発電電流量に応じて適宜流量開閉手段の開度を調節してメタノールの拡散を制御することもできる。この場合の開閉コック102の動作例について述べる。DFC停止時は開閉コック102を閉状態として、燃料カートリッジ112から燃料タンク113への高濃度メタノールの拡散供給を停止する。発電時の電流負荷が大きい場合に開閉コック102は全開放状態とし、メタノールを拡散供給して燃料を補充する。電流負荷が低い場合はそれに応じて開閉コック102を部分的に開ける事で開放度を調整し燃料拡散供給を調整する。
ここで、燃料消費量および電流負荷の大小は電力供給をする負荷源に依存した負荷電流とMEAの面積および触媒の利用効率に依存する。
DFCシステムの起動は次の手順で行うことができる。送液ポンプによって、燃料タンクからアノード流路105へ燃料を供給しアノード流路出口流体を燃料タンクへ循環する。閉まっていた開閉コック102を開けて燃料タンクに燃料カートリッジからメタノールを拡散供給する。またファン116により空気をカソードに供給する。この後、DFCを負荷に接続して発電を行う。
図1を用いた説明においては、燃料および空気の供給にポンプやファンなどの補機を用いる能動型DFCの例を示したが、本発明は、燃料供給のための補機を用いずに、燃料供給を自然な拡散供給に依存する受動型DFCに適用することもできる。空気供給のための補機を用いない形態でも良い。
例えば図6に示すように、アノード流路と燃料タンクを一体化した構造130を採用し、この部分と燃料カートリッジとを結ぶ流路(図1における上流側燃料供給流路に相当)115に細孔物質膜101および開閉コック102を設けることができる。
上記構造130は、例えばアノード流路を大型化して燃料タンクの機能を兼ねさせることにより得ることができる。このような形態は、特にDFCが単セルあるいは平面スタックである場合に好適である。
以上説明したように、本発明によれば、燃料の輸送のために細孔物質膜を用いることにより、DFCシステムの複雑化や大型化を抑え、電力消費によるシステムの効率低下を防止することが可能となる。
さらに、図1もしくは3を用いて説明したような、燃料タンク等の容器と循環流路を備えるDFCシステム、また図6を用いて説明したような、容器とアノード流路とが一体化されたDFCシステムにおいては、高イオン伝導度の固体高分子電解質膜を用いつつもクロスオーバーを抑制することと燃料電池システムを高エネルギー密度化することを両立させながらも、燃料電池システムの複雑化や大型化を防止し、また電力の消費を抑えて燃料電池システムの効率低下を防止することができる。
なお、本発明においてDFCとしては、メタノール等の燃料を、改質せずにそのまま電気化学反応させることのできる公知のDFCを適宜採用することができる。固体高分子電解質膜としてもDFCに用いることのできる公知の固体高分子電解質膜から適宜選んで用いることができるが、イオン伝導性の観点から、パーフルオロスルホン酸系高分子膜などのフッ素系高分子膜、もしくはそれ以外のいわゆる炭化水素系高分子膜を用いることが好ましい。
〔実施例1〕
まず、図1および2を用いて、MEAとDFC単セルの作成について説明する。ここでは単セルを用いているが、単セルを適宜組合せれば、平面スタック、バイポーラー積層型スタックなどのスタックを得ることができる。セル数やスタック構造は、DFCに要求される出力特性、電圧や形状に応じて適宜決めることができる。
粒径1〜3nm、Pt:Ruのモル組成比を1:1.5にしたPt−Ru合金微粒子をカーボン粒子表面上に分散担持させた触媒粒子と、パーフルオロスルホン酸(ここではDupon社製の商品名:ナフィオンを用いた)の分散溶液を混合し、アノード触媒原料溶液とした。このアノード触媒原料溶液をカーボンペーパー121上にスプレー塗布により吹き付けてアノード触媒層120をつくりアノード触媒電極108を形成した。
1〜3nm程度のPt合金微粒子をカーボン粒子表面上に分散担持させた触媒粒子とパーフルオロスルホン酸(ここではDupon社製の商品名:ナフィオンを用いた)の分散溶液を混合し、カソード触媒原料溶液とする。このカソード触媒原料溶液をカーボンペーパー123上にスプレー塗布により吹き付けてカソード触媒層122をつくりカソード触媒電極109を形成した。
固体高分子電解質膜110にはパーフルオロスルホン酸系高分子膜(商品名:ナフィオン115。Dupon社製。厚さ50μm)の両面にアノード触媒電極およびカソード触媒電極を張り合わせ130℃、10分間ホットプレスを行い、図2のような膜電極複合体(以降MEAと称す)を作成した。
アノード流路105を設けたアノード側基材106とカソード流路を設けたカソード側基材107でMEA挟み込みネジで加圧固定し、DFCを得た。
上記DFCを用い、図1に示す構成のDFCシステムを作成した。
燃料カートリッジ、燃料タンクの容量はそれぞれ5ml、20mlとした。
細孔物質膜101として、疎水性で親水処理を施していないポリエーテルスルホン(PESと略す)製の二層構造膜を用いた。上流側(燃料カートリッジ側)の層の平均細孔径は0.03μm、下流側(燃料タンク側)の層の平均細孔径は0.45μmであった。
細孔物質膜の評価試験として、上記細孔物質膜を100質量%メタノールおよび100質量%水の間に設置し、ガスクロマトグラフィーによって、時間変化による濃度変化を調べた。結果を表1に示す。表中、「メタノール→水」の欄にはメタノール側から水側への透過速度を、「水→メタノール」の欄には水側からメタノール側への透過速度を示す。
燃料カートリッジに99.8質量%メタノール水溶液を5ml入れ、かつ、燃料タンクに7質量%のメタノール水溶液を20ml入れ、DFCシステムの発電試験を行った。具体的には、1A定電流発電を行い、セル電圧が300mV以下になるまでの時間を調べた。結果を表2に示す。
〔実施例2〕
細孔物質膜101の上流側の層の平均細孔径を0.25μmとした以外は実施例1と同様の試験を行った。結果を表1および2に示す。
〔実施例3〕
細孔物質膜101の上流側の層の平均細孔径を0.45μmとした以外は実施例1と同様の試験を行った。結果を表1および2に示す。
〔実施例4〕
細孔物質膜101の上流側の層の平均細孔径を0.25μm、下流側の層の平均細孔径を1.0μmとした以外は実施例1と同様の試験を行った。結果を表1および2に示す。
〔実施例5〕
細孔物質膜101として疎水性で親水処理を施していないポリテトラフルオロエチレン(PTFEと略す)製の二層構造膜を用い、上流側の層の平均細孔径を0.25μm、下流側の層の平均細孔径を1.0μmとした以外は実施例1と同様の試験を行った。結果を表1および2に示す。
〔実施例6〕
細孔物質膜101として疎水性で親水処理を施していない酸化アルミナAl23製の二層構造膜を用い、上流側の層の平均細孔径を0.15μm、下流側の層の平均細孔径を0.45μmとした以外は実施例1と同様の試験を行った。結果を表1および2に示す。
〔実施例7〕
細孔物質膜101の上流側の層の平均細孔径を0.3μmとし、固体高分子電解質1101に炭化水素系高分子膜であるポリイミドスルホン酸膜を用いた以外は実施例1と同様の試験を行った。結果を表1および2に示す。
〔比較例1〕
実施例1で用いたDFCシステムから、燃料カートリッジ112、上流側燃料供給流路115、細孔物質膜101および開閉コック102を取り去り、燃料タンクの上流側燃料供給流路に接続している部分を塞いだ構成の受動型DFCシステム(図7に示す)を用いた以外は実施例1と同様の発電試験を行った。燃料タンクには7質量%のメタノール水溶液20mlを入れた。結果を表2に示す。
〔比較例2〕
実施例1で用いたDFCシステムにおいて細孔物質膜101および開閉コック102に替えて送液ポンプ117を設け、ファン116をカソード入口側ではなく出口側に設けた構成のDFCシステム(図8に示す)を用いた以外は実施例1と同様の発電試験を行った。結果を表2に示す。
Figure 2006236663
表1からわかるように、上流側の細孔径がより小さいとメタノールの透過が優先的になり、これを利用して貯蔵手段(燃料カートリッジ)から容器(燃料タンク)へとメタノールをより優先して供給できる。
Figure 2006236663
表2から分かるように、燃料タンクのみを使用する比較例1は駆動時間が短い。ただし受動型のため燃料を供給する送液ポンプ(図8の送液ポンプ117に相当)やファン(図1および8のファン116に相当)などが不要なので、補機の消費電力は不要である。
比較例2の駆動時間は実施例と同等レベルであるが、カートリッジからの燃料供給に更にポンプが必要になり、補機の消費電力が増えることとなる。
本発明によって長時間駆動が可能になり、また比較例2より補機が少ないため低消費電力化が可能になる。
本発明のDFCシステムは、小型携帯用電子機器などの電源として好適に用いることができる。
本発明のDFCシステムの一形態を示す模式図である。 MEAの構成を説明するための模式図である。 本発明のDFCシステムの別の形態を示す模式図である。 本発明で用いることのできる細孔物質膜の例を示す模式図である。 燃料カートリッジの例を示す模式図であり、(A)はラミネート製内袋を有する燃料カートリッジ、(B)はシリンジ構造の燃料カートリッジを示す。 本発明のDFCシステムのさらに別の形態を示す模式図である。 比較例1で用いた受動型DFCシステムを示す模式図である。 比較例2で用いた能動型DFCシステムを示す模式図である。
符号の説明
101 細孔物質膜
102 開閉コック
103 下流側燃料供給流路
104 循環流路
105 アノード流路
106 アノード側基材
107 カソード側基材
108 アノード触媒電極
109 カソード触媒電極
110 固体高分子電解質膜
111 気液分離膜
112 燃料カートリッジ
113 容器(燃料タンク)
114 送液ポンプ
115 上流側燃料供給流路
116 ファン
120 アノード触媒層
121 アノード側カーボンペーパー
122 カソード触媒層
123 カソード側カーボンペーパー
130 アノード流路と燃料タンクを一体化した構造
141 外装ケース
142 ラミネート構造の内袋
143 接続部
144 開放部
145 加圧用バネ

Claims (7)

  1. 燃料を直接供給するダイレクト固体高分子電解質型燃料電池を有するダイレクト固体高分子電解質型燃料電池システムにおいて、
    外部から補給される燃料を貯蔵するための燃料貯蔵手段と、燃料を該燃料貯蔵手段から該燃料電池のアノード流路に導く燃料供給流路とを有し、
    該燃料供給流路に、細孔物質膜と、燃料供給流路を開閉可能な流路開閉手段とを備えるダイレクト固体高分子電解質型燃料電池システム。
  2. 前記細孔物質膜の平均細孔径が0.45μm以下である請求項1記載のダイレクト固体高分子電解質型燃料電池システム。
  3. 前記細孔物質膜が、平均細孔径が相異なる二層構造を有する請求項1または2記載のダイレクト固体高分子電解質型燃料電池システム。
  4. 前記細孔物質膜が、ポリエーテルスルホンおよびポリテトラフルオロエチレンからなる群から選ばれる少なくとも一種からなる多孔質有機高分子膜である請求項3記載のダイレクト固体高分子電解質型燃料電池システム。
  5. 前記細孔物質膜が、アルミナ、シリカならびにアルミナおよびシリカの複合酸化物からなる群から選ばれる多孔質無機酸化物膜である請求項3記載のダイレクト固体高分子電解質型燃料電池システム。
  6. 前記燃料供給流路の細孔物質膜の下流かつ流路開閉手段の下流に備えられた、前記アノード流路に供給する燃料を収容する容器;および
    該アノード流路から排出される流体を該容器に循環する循環流路をさらに有する
    請求項1〜5の何れか一項記載のダイレクト固体高分子電解質型燃料電池システム。
  7. 燃料供給流路の前記細孔物質膜の下流かつ前記流路開閉手段の下流に備えられた、前記アノード流路に供給する燃料を収容する容器をさらに有し、
    該容器がアノード流路と一体化された
    請求項1〜5の何れか一項記載のダイレクト固体高分子電解質型燃料電池システム。
JP2005046907A 2005-02-23 2005-02-23 ダイレクト固体高分子電解質型燃料電池システム Pending JP2006236663A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005046907A JP2006236663A (ja) 2005-02-23 2005-02-23 ダイレクト固体高分子電解質型燃料電池システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005046907A JP2006236663A (ja) 2005-02-23 2005-02-23 ダイレクト固体高分子電解質型燃料電池システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006236663A true JP2006236663A (ja) 2006-09-07

Family

ID=37044086

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005046907A Pending JP2006236663A (ja) 2005-02-23 2005-02-23 ダイレクト固体高分子電解質型燃料電池システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006236663A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008071743A (ja) * 2006-09-13 2008-03-27 Samsung Sdi Co Ltd 燃料電池、および燃料電池の運転方法
JP2008147173A (ja) * 2006-11-16 2008-06-26 Yamaha Motor Co Ltd 燃料電池システムおよびその制御方法
JP2008171817A (ja) * 2007-01-09 2008-07-24 Samsung Sdi Co Ltd 直接メタノール燃料電池用co2セパレータ

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008071743A (ja) * 2006-09-13 2008-03-27 Samsung Sdi Co Ltd 燃料電池、および燃料電池の運転方法
JP2008147173A (ja) * 2006-11-16 2008-06-26 Yamaha Motor Co Ltd 燃料電池システムおよびその制御方法
JP2008171817A (ja) * 2007-01-09 2008-07-24 Samsung Sdi Co Ltd 直接メタノール燃料電池用co2セパレータ
JP4628431B2 (ja) * 2007-01-09 2011-02-09 三星エスディアイ株式会社 直接メタノール燃料電池用co2セパレータ
US8871396B2 (en) 2007-01-09 2014-10-28 Samsung Sdi Co., Ltd. CO2 separator for direct methanol fuel cell system

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7709130B2 (en) Fuel cell
Siddiqui et al. Investigation of a new anion exchange membrane‐based direct ammonia fuel cell system
JP2006173106A (ja) 直接メタノール燃料電池における水の流れ及び分配を制御する方法
JP5248070B2 (ja) 燃料電池発電システム
US20100221636A1 (en) Fuel cell and method for production thereof
JP2006236663A (ja) ダイレクト固体高分子電解質型燃料電池システム
JP2005222760A (ja) 燃料電池用燃料タンク及び燃料電池システム
JP2008293705A (ja) 膜電極接合体および燃料電池
JP4945914B2 (ja) 燃料電池
JP2008210566A (ja) 燃料電池
JP2010086663A (ja) 燃料電池
JPWO2008068887A1 (ja) 燃料電池
JPWO2008068886A1 (ja) 燃料電池
WO2011052650A1 (ja) 燃料電池
WO2010035868A1 (ja) 燃料電池
JP2011096468A (ja) 燃料電池
JP2008210679A (ja) 燃料電池
JP2009016311A (ja) 燃料電池
JPWO2007116692A1 (ja) 燃料電池収納容器、燃料電池搭載電子機器収納容器及び容器付燃料電池
JP2010003562A (ja) 膜電極接合体及び燃料電池
JP2008218030A (ja) 燃料電池
Wu et al. Recent advances in understanding of mass transfer phenomena in direct methanol fuel cells operating with concentrated fuel
JP2009117184A (ja) 燃料電池
JP4843906B2 (ja) 燃料電池システムおよび機器
JP2009129830A (ja) 燃料電池