JP2006234149A - 軸受の気体抜き栓および軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 気体抜き栓の孔状部への装着において締め代が大きくなる場合があっても作動圧の変動がない軸受の気体抜き栓および軸受装置を提供する。
【解決手段】 軸受空間と通ずる孔状部内に装着され、金属製の金属環状体12と、金属環状体12と一体にされ、筒状であり、その筒の一方の端面16において筒の軸方向外方に張り出したベント部14を有する弾性体からなる弾性筒状体13とを備え、弾性筒状体13の一方の端面16にベント部14を取り囲むように円周状溝17が設けられている。
【選択図】 図3
【解決手段】 軸受空間と通ずる孔状部内に装着され、金属製の金属環状体12と、金属環状体12と一体にされ、筒状であり、その筒の一方の端面16において筒の軸方向外方に張り出したベント部14を有する弾性体からなる弾性筒状体13とを備え、弾性筒状体13の一方の端面16にベント部14を取り囲むように円周状溝17が設けられている。
【選択図】 図3
Description
本発明は、鉄道車両、産業機械等に使用される軸受の気体抜き栓および軸受装置に関する。
鉄道車両に用いられる車軸軸受は軸箱のコンパクト化またはメンテナンス・フリー化により密封型円すいころ軸受が主流になりつつある。密封化したことにより、長期また高速での運転の際、軸受内内圧の上昇に起因する軸受内温度上昇を招く場合がある。また、条件によっては軸受用オイルシールへも悪影響を及ぼしオイルシール自体の発熱を起す恐れがある。このような軸受内温度上昇やシール自体の発熱を防止する目的で、軸受内内圧上昇を回避するために気体抜き栓を設けている。気体抜き栓およびそれを装着した軸受装置の構造についてはこれまでいくつかの開示がなされている(たとえば特許文献1、2参照)。
特開平6−248908号公報
特開2003−294047号公報
従来の軸受における気体抜き栓は、図10に示すように気体抜き栓111の外径、すなわち金属環112に被覆されたゴム113と、図示していない外輪または内輪に固定されたバーキングリングなどに設けられた孔125との嵌め合いにより気体抜き栓が脱離しない構造となっている。これまで、上記金属環を被覆するゴムのつぶし量(締め代)d、またはつぶし率を増す方向で生産性や加工コスト面での改善をはかってきた。すなわち孔の加工寸法のばらつきの許容範囲を拡大して加工コストを低減する一方で、ゴムの締め代を増やすことにより気体抜き栓の孔内部への装着力を増大して脱離の防止をはかってきた。
しかしながら、気体抜き栓のベント部114のスリット(不連続部)等が開いて圧力が開放される作動圧をばらつきなく所定範囲内にするためには、締め代を増やすことは必ずしも好ましくはなかった。このため、ゴムの筒胴部の厚みを厚くして、孔径が下限になり、孔へ装着する際のゴム胴部の締め代が大きくなる場合があっても、所定範囲内の作動圧を得ることができる気体抜き栓や軸受装置の開発が要望されている。
本発明は、孔へ装着する際のゴム胴部の締め代が大きくなる場合があっても、作動圧のばらつきを所定範囲内にすることができる軸受の気体抜き栓および軸受装置を提供することを目的とする。
本発明の軸受の気体抜き栓は、外輪と内輪とに挟まれて転動体が位置する軸受空間と通ずる孔状部内に装着され、金属製の金属環状体と、金属環状体と一体にされ、筒状であり、その筒の一方の端面において筒の軸方向外方に張り出したベント部を有する弾性体からなる弾性筒状体とを備える。そして弾性筒状体の一方の端面にベント部を取り囲むように円周状の溝が設けられることを特徴とする。
上記の構成により孔状部内に装着される弾性筒状体の締め代が増大しても、弾性筒状体の弾性材料がベント部方向に変形することが、上記円周状の溝でブロックされる。このため、ベント部のスリット(不連続部)にそのスリットを閉じる方向に作用する弾性体の動きが生じないので、締め代が増大することがあっても所定範囲内の作動圧で不連続部が開放される。上記の弾性筒状体は、ゴム、弾性樹脂などのいずれかで構成されている。また、ベント部にはその張り出した頂部に線状スリット、点状スリットなどの不連続部が設けられ、軸受空間の圧力上昇に応じて所定の作動圧において開放状態になる。
本発明の他の気体抜き栓は、外輪と内輪とに挟まれて転動体が位置する軸受空間と通ずる孔状部内に装着され、金属製の金属環状体と、金属環状体と一体にされ、筒状であり、その筒の一方の端面において筒の軸方向外方に張り出したベント部を有する弾性体からなる弾性筒状体とを備える。そして弾性筒状体の筒胴部と一方の端面との境界領域である肩部に、その肩部における厚みが筒胴部の厚みより薄くなるほどの面取り部が設けられることを特徴とする。
上記構成により、締め代が増大しても面取り部において胴部からの弾性体の動きが抑制され、ベント部に設けられたスリットに加えられる開放阻止作用の増大を抑制することができる。
面取り部を有する気体抜き栓については、さらに、弾性筒状体のベント部の周囲の一方の端面の厚みは筒胴部の厚みより薄く、面取り部の厚みはそのベント部の周囲の一方の端面の厚みと同程度とするようにできる。この構成により、上記装着において締め代増大に起因する弾性筒状体のベント部への動きの増大抑制をより確実に行なうことができる。
本発明の上記とは別の軸受の気体抜き栓は、外輪と内輪とに挟まれて転動体が位置する軸受空間と通ずる孔状部内に装着され、金属製の金属環状体と、金属環状体と一体にされ、筒状であり、その筒の一方の端面において筒の軸方向外方に張り出したベント部を有する弾性体からなる弾性筒状体とを備える。そして弾性筒状体のベント部の周囲の端面における厚みが、筒胴部の厚みの1/2以下であることを特徴とする。
上記の構成により、上記孔状部内への装着において締め代増大に起因する弾性体の流れ増大は、ベント部の周囲の厚みが薄いため、ベント部のスリットなど不連続部にまで及ばない。このためベント部における不連続部を閉じる作用の増大を抑止することができる。
上記の気体抜き栓において、金属環状体は、その端部に内径側に張り出す内側縁部を有し、その内側縁部が筒状弾性体のベント部が配置された端面の内面に接するようにできる。この構成により、軸受空間の内圧をより敏感にベント部に伝達することができる。また、筒胴部で生じる締め代増大に起因する弾性体の動き増大をベント部頂部に位置するスリットなど不連続部にまで及び難くすることができる。
さらに、ベント部の方向への金属環状体に対するずれを抑制するように、弾性筒状体に、金属環状体の端縁部に係止する係止部を備えてもよい。この構成により、締め代が増大しても装着を確実に行なうことができる。また、弾性体の動きの抑制に役立つ。さらに、ベント部が配置された端面の内面側に、金属環状体の内側縁部に内径側から係止する係止鍔を有してもよい。この係止鍔により、締め代を増大させてもより確実に装着でき、また弾性体の動きを抑制することができる。
ベント部の周囲の端面に円周状の溝が配置された構成において、円周状の溝は、軸方向に沿って見て内側縁部に重なるように位置するようにできる。この構成により、弾性筒状体の締め代増大に起因するベント部方向への変形の増大をより一層確実に抑制することができるようになる。
本発明の軸受装置は、固定部材によって回転軸に固定される内輪と、外輪と、内輪と外輪とによって挟まれる軸受空間に位置する転動体と、軸受空間をシールするシール部材と、外輪、シール部材、内輪および固定部材のいずれかの部材内または外輪、シール部材、内輪および固定部材のいずれかの部材に取り付けられた部材内に設けられ、前記軸受空間と通ずる孔状部とを備える。そして、その孔状部内に、上記に挙げた全ての気体抜き栓のうちのいずれかが装着されている。
上記の構成により、上記軸受装置では上述のいずれか一つの気体抜き栓が配置されているので、その筒状弾性体の筒胴部の厚みを厚くして締め代を大きくした上で、長期間連続運転しても、さらには高速運転を続けても軸受内の内圧の上昇が生じないように、上記孔状部内に配置した気体抜き栓が、期待通りの作動圧で作動する。この結果、加工コストなどを抑えた上で期待通り内圧の上昇を防止することができる。
本発明の軸受の気体抜き栓または軸受装置を用いることにより、締め代が増大することがあっても、作動圧が変動することなく、所定範囲内の作動圧で軸受空間の気体抜きを行なうことができる。
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態における軸受装置を示す部分断面図である。図1を参照して、軸受装置10は、回転軸50の周囲に接して位置する内輪1と、その外側に配置される外輪3と、内輪1と外輪3との間の軸受空間9内に保持器4によって保持された円すいころ(転動体)2と、外輪3に取り付けられ、軸受空間に注入されるオイルをシールするシール部材19と、この軸受装置10を回転軸50に固定するための固定部材31,32とを備える。軸受空間9の圧力が上昇した際にガスを抜く気体抜き栓11は、外輪3に設けられた孔状部25に、嵌め込み構造により抜け出ないように収納されている。
上記のシール部材19は、外輪3に取り付けられたシール基部5とそのシール基部5に一体化された弾性材料から形成されるリップ6とを備える。リップ6は、ばね入りゴムや、補強用金属板が含まれるものなど、JIS B 2402(オイルシール)に規定するものを用いることができる。リップ6は、回転軸50が回転する際、回転する固定部材31または32と摺動する。
軸受装置10の回転軸への固定は、回転軸に螺合する図示していないねじ部品により、固定部材32に力Pを回転軸50の肩部50aに向かう方向に印加して、内輪1を回転軸の肩部50aに当たって移動できない固定部材31に押し付けることにより行なう。この固定により、回転軸50の回転に伴い、内輪1、固定部材31,32が回転する。
上記図1は、軸受の部材である外輪内に孔状部を設け、その中に嵌め込み構造で気体抜き栓を嵌め込んだ構造をとったが、次に例示する図2の軸受装置では、軸受とは別体の部材、固定部材に気体抜き栓を配置する構造をとる。
図2を参照して、軸受装置10は、回転軸50の周囲に接して位置する内輪1と、その外側に配置される外輪3と、内輪1と外輪3との間の軸受空間9内に保持器4によって保持された円すいころ2と、外輪3に取り付けられ、軸受空間に注入されるオイルをシールするシール部材19と、この軸受装置10を回転軸50に固定するための固定部材31a,31b,32とを備える。軸受空間9の圧力が上昇した際にガスを抜く気体抜き栓11は、固定部材31aに設けられた孔状部25に、嵌め込み構造により抜け出ないように収納されている。
上記のシール部材19は、外輪3に取り付けられたシール基部5とそのシール基部5に補強板6bに補強された弾性材料から形成されるリップ6aとが取り付けられている。リップ6aは、上述のように、JIS B 2402に規定するものを用いることができる。リップ6aには、回転軸50が回転する際、回転する固定部材31または32と摺動する。シール基部5の外側には、そのシール基部5とともにラビリンスシールをなすように固定部材31aの部分が、シール基部5に覆いかぶさるように配置されている。すなわち、固定部材の一部も非接触のシール部を形成する部材として機能している。
シールは動的シール(パッキン)の接触形(密封シール)に分類されるものを少なくとも1つ含めば他にどのようなシールがあってもよい。上記接触形のシールとしては、上述のように潤滑剤としてオイルが封入されるのでオイルシール(JIS B 2402)が主に用いられるが、グリース潤滑の場合はグリースシール(JIS E 4704に提示)が用いられる。また、オイルまたはグリースによらずメカニカルシール(JIS B 2405)、成形パッキン(JIS B 2401,2403,2406,2407)などを用いてもよい。シールの摺動部分を構成する材料には、合成ゴム(ニトリルゴム、アクリルゴム、ふっ素ゴムなど)、フェルト等が使用温度範囲、許容周速に応じて使い分けられる。
図2の場合も、軸受装置10の回転軸への固定は、回転軸に螺合する図示していないねじ部品により、固定部材32に力Pを回転軸50の肩部50aに向かう方向に印加して、内輪1を回転軸の肩部50aで移動されないようにされた固定部材31a,31bに押し付けることにより行なう。回転軸50の回転に伴い、内輪1、固定部材31,32が回転する。
図2に例示する本発明の軸受装置10は、固定部材31(31a,31b),32,および肩部50aによって回転軸50に固定される内輪1と、外輪3と、内輪1と外輪3とによって挟まれる軸受空間9に位置する円すいころ2と、外輪3に取り付けられ、軸受空間9をシールするシール部材19とを備える。気体抜き栓11が装着される孔状部25は、図2に示す例では固定部材31a内に設けられる。一般的に上記孔状部25は、外輪、内輪、シール部材、固定部材のいずれか、またはこれら部材のいずれかに取り付けられた部材のいずれかに設ける。上記の孔状部は軸受空間と連通し、その孔状部内に、気体抜き栓は嵌め合い構造で装着される。
次に、図3〜図8を用いて、本発明の気体抜き栓の構造について説明する。図3を参照して、本発明の気体抜き栓11は、金属製の金属環状体12と、金属環状体12と一体にされ、筒状であり、その筒の一方の端面16において筒の軸方向外方に張り出したベント部14を有する弾性体からなる弾性筒状体13とを備える。弾性筒状体の一方の端面16に、ベント部14を取り囲むように円周状溝17が設けられている。円周状の溝の深さは、ベント部周囲の端面の厚みの20%〜60%、また幅は上記端面の厚みの30%〜80%とするのがよい。
また、図3を参照して、上記の金属環状体12は、その端部に内径側に張り出す内側縁部12eを有し、その内側縁部12eが弾性筒状体13のベント部14が配置された一方の端面16の内面に接し、円周状溝17は、軸方向に沿って見て内側縁部12eに重なるように位置する。この構成により、弾性筒状体の締め代増大に起因するベント部への変形の増大をより一層確実に抑制することができるようになる。
また、図4を参照して、本発明の他の実施例の気体抜き栓11は、金属製の金属環状体12と、金属環状体12と一体にされた筒状であり、その筒の一方の端面において筒の軸方向外方に張り出したベント部14を有する弾性体からなる弾性筒状体13とを備える。弾性筒状体の筒胴部15と一方の端面16との境界部である肩部に、その肩部における厚みtsが筒胴部の厚みt2より薄くなるほどの面取り部18が設けられている。面取り部の厚みtsは、およそ1mm〜1.5mmとするのがよい。筒胴部の厚みt2は、軸受装置が配置される機械によって変わるが、通常、1.5mmを超える。
上記の弾性筒状体13のベント部14の周囲の一方の端面16の厚みt1は、前記筒胴部の厚みt2より薄く、面取り部の厚みtsはベント部の周囲の一方の端面16の厚みt1と同じ程度であってもよい。
図5を参照して、本発明のさらに別の実施の形態の気体抜き栓11は、金属製の金属環状体12と、金属環状体12と一体にされ、筒状であり、その筒の一方の端面16において筒の軸方向外方に張り出したベント部14を有する弾性体からなる弾性筒状体13とを備える。弾性筒状体13のベント部14の周囲の一方の端面16における厚みt1が、筒胴部の厚みt2の1/2以下である。上記の構成をとらない一般的な場合のベント部周囲の端面の厚みは1mm〜1.5mmであり、上記の構成の場合、上記端面の厚みは、一般的な場合の30%〜50%(0.3mm〜0.75mm)とするのがよい。
図3〜図5を参照して、上記のいずれの実施の形態の気体抜き栓においても、金属環状体12は、その端部に内径側に張り出す内側縁部12eを有し、その内側縁部12eが弾性筒状体13のベント部14が配置された一方の端面16の内面に接するようにできる。
また、内側縁部12eを有する場合、ベント部が配置された一方の端面16の内面側に、金属環状体の内側縁部12eに内径側から係止する係止鍔21を有してもよい。また、金属環状体の内側縁部12eが位置する端面16と反対側の端部に弾性筒状体の他方の端部が係止する係止部22を設けてもよい。この構成により、孔径がばらついて大きくなっても装着を確実に行なうことができる。また、締め代が増大しても弾性体の動きの抑制に役立つ。
本発明の実施の形態の軸受装置では、上記図3〜図5に例示するいずれかの気体抜き栓がその孔状部内に装着されている。
上記の弾性筒状体の材料は、各種ゴム、弾性樹脂などを用いることができる。金属環状体は、鋼材、アルミ、など任意の金属、合金を用いることができる。
次に、上記本発明の実施の形態を採用するに至った理由について説明する。図6は、孔状部25に気体抜き栓11を装着する前後の気体抜き栓の外径と孔径との関係を示す図である。弾性筒状体であるゴム筒状体の外径は、孔状部25に装着する前は孔径よりも明確に大きい。装着した状態ではゴム筒状体はその筒胴部15の肉厚をつぶされ、薄くされる。この反発力により気体抜き栓11を孔状部25内に固定することができる。上記装着前のゴム厚みから装着後のゴム厚みを減じた分を締め代(つぶし量)という。孔状部25の径の許容範囲を大きくすることにより加工コストなどは低減することができ、かつ実際の孔径が許容範囲の上限にくる場合にそなえてゴムの肉厚を厚くして装着を確実にすることができる。しかし、孔径が許容範囲の下限にくる場合、締め代が大きくなる。
本発明の気体抜き栓におけるように図3〜図5に例示される構造をとらない場合、締め代増大でつぶされた分のゴムは、図6に示すように、一方の端面に位置するベント部14の方向に動く。このゴムの動きはベント部14の頂部に設けられたスリットなどの不連続部(図示せず)に対して、閉じる方向に作用する。この結果、期待した作動圧で不連続部は開放されず、軸受空間内の圧力は上昇してしまう。すなわち、本発明者らは、作動圧がばらつくのは、締め代増大に起因するゴムの動きの増大に拠ることを解明した。
本発明では、ゴム筒状体のベント部周囲に円周状溝17を設ける(図3)、その肩部に面取り部18を設ける(図4)、またはベント部14の周囲の端面16の厚みt1を筒胴部15の厚みt2の1/2以下に小さくする(図5)ことにより、上記弾性体(ゴム)の動きをブロックすることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。用いた試験体はつぎのものである。
本発明例1:図3に示す構造(円周溝形成:筒胴部厚みt2は厚い)
本発明例2:図3に示す構造(円周溝形成:筒胴部厚みt2は厚い)
本発明例3:図4に示す構造(面取り形成:筒胴部厚みt2は厚い)
本発明例4:図5に示す構造(ベント部周囲端面厚t1薄い:筒胴部厚みt2は厚い)
また、比較のために次の試験体を作製した。
本発明例2:図3に示す構造(円周溝形成:筒胴部厚みt2は厚い)
本発明例3:図4に示す構造(面取り形成:筒胴部厚みt2は厚い)
本発明例4:図5に示す構造(ベント部周囲端面厚t1薄い:筒胴部厚みt2は厚い)
また、比較のために次の試験体を作製した。
比較例1:図7に示す構造(胴厚t2は中程度)
比較例2:図8に示す構造(胴厚t2は厚い)
上記の6種の試験体を孔状部に装着して(グリース付着)、作動圧を試験した結果を図9に示す。図9に示す結果によれば、胴厚が大きく、他に対処構造がない比較例2では、締め代が増大すると作動圧が大きく増大する傾向にある。すなわち、ばらつく傾向にある。また、従来からある比較例1のように、胴厚が中程度の試験体では、締め代が0.3mmを超えることがないので作動圧の上昇は認められない。このため孔径が大きい場合には装着力を確保した上で、孔径が小さくなった場合にも作動圧の変動を生じないようにできる。
比較例2:図8に示す構造(胴厚t2は厚い)
上記の6種の試験体を孔状部に装着して(グリース付着)、作動圧を試験した結果を図9に示す。図9に示す結果によれば、胴厚が大きく、他に対処構造がない比較例2では、締め代が増大すると作動圧が大きく増大する傾向にある。すなわち、ばらつく傾向にある。また、従来からある比較例1のように、胴厚が中程度の試験体では、締め代が0.3mmを超えることがないので作動圧の上昇は認められない。このため孔径が大きい場合には装着力を確保した上で、孔径が小さくなった場合にも作動圧の変動を生じないようにできる。
これに比して、本発明例1〜4では、締め代が0.3mm以上においても作動圧は5気圧以下と抑制される。最も作動圧が低い本発明例4では、締め代0.3mmで4kPa以下を確実に確保でき、作動圧の変動は生じないようにできる。次いで、本発明例1、2において作動圧が低い結果が得られ、この場合も作動圧の変動は生じていない。本発明例3においても作動圧は抑制され、実質的に作動圧の変動は生じていない。
本発明例1〜4のいずれにおいても、比較例2よりも締め代が高い範囲で低い場合と同じレベルの作動圧が得られ、本発明の気体抜き栓の上記構造が、孔状部の径の工作精度の緩和に伴って生じることがある締め代増大に対する作動圧の変動を小さくできることが立証された。この結果、孔状部の径の工作精度を緩和しても、軸受装置において所期の作動圧範囲を安定して確保することができることが判明した。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、軸受装置の孔状部に装着される気体抜き栓の外側部を構成する弾性筒状体の締め代が大きくなる場合があっても作動圧の変動を一定範囲内に収めることができるので、安全を確保した安価な軸受装置を、鉄道車両や産業機械等に提供することができる。
1 内輪、2 円すいころ(転動体)、3 外輪、4 保持器、5 シール基部、6,6a リップ、6b 補強板、9 軸受空間、10 軸受装置、11,111 気体抜き栓、12 金属環状体、12e 内側縁部、13 弾性筒状体、14,114 ベント部、15 筒胴部、16 端面、17 円周状溝、18 面取り部、19 シール部材、21 係止鍔、22 係止部、25 孔状部、31,31a,31b,32 固定部材、50 回転軸、50a 回転軸肩部、112 金属環、113 ゴム、125 孔、t1 端面厚み、t2 筒胴厚み、ts 面取り部厚み、d 締め代。
Claims (9)
- 外輪と内輪とに挟まれて転動体が位置する軸受空間と通ずる孔状部内に装着される気体抜き栓であって、
金属製の金属環状体と、
前記金属環状体と一体にされ、筒状であり、その筒の一方の端面において筒の軸方向外方に張り出したベント部を有する弾性体からなる弾性筒状体とを備え、
前記弾性筒状体の一方の端面に前記ベント部を取り囲むように円周状の溝が設けられている、軸受の気体抜き栓。 - 外輪と内輪とに挟まれて転動体が位置する軸受空間と通ずる孔状部内に装着される気体抜き栓であって、
金属製の金属環状体と、
前記金属環状体と一体にされ、筒状であり、その筒の一方の端面において筒の軸方向外方に張り出したベント部を有する弾性体からなる弾性筒状体とを備え、
前記弾性筒状体の筒胴部と前記一方の端面との境界領域である肩部に、その肩部における厚みが前記筒胴部の厚みより薄くなるほどの面取り部が設けられている、軸受の気体抜き栓。 - 前記弾性筒状体のベント部の周囲の前記一方の端面の厚みは、前記筒胴部の厚みより薄く、前記面取り部の厚みは前記ベント部の周囲の前記一方の端面の厚みと同じ程度である、請求項2に記載の軸受の気体抜き栓。
- 外輪と内輪とに挟まれて転動体が位置する軸受空間と通ずる孔状部内に装着される気体抜き栓であって、
金属製の金属環状体と、
前記金属環状体と一体にされ、筒状であり、その筒の一方の端面において筒の軸方向外方に張り出したベント部を有する弾性体からなる弾性筒状体とを備え、
前記弾性筒状体のベント部の周囲の前記一方の端面における厚みが、筒胴部の厚みの1/2以下である、軸受の気体抜き栓。 - 前記金属環状体は、その端部に内径側に張り出す内側縁部を有し、その内側縁部が前記筒状弾性体のベント部が配置された端面の内面に接する、請求項1〜4のいずれかに記載の軸受の気体抜き栓。
- 前記弾性筒状体に、前記金属環状体の端縁部に係止する係止部を備える、請求項1〜5のいずれかに記載の軸受の気体抜き栓。
- 前記ベント部が配置された端面の内面側に、前記金属環状体の内側縁部の内径側から係止する係止鍔を有する、請求項5または6に記載の軸受の気体抜き栓。
- 前記ベント部の周囲の端面に円周状の溝が配置された構成において、前記円周状の溝は、軸方向に沿って見て前記内側縁部に重なるように位置している、請求項5〜7のいずれかに記載の軸受の気体抜き栓。
- 固定部材によって回転軸に固定される内輪と、外輪と、前記内輪と外輪とによって挟まれる軸受空間に位置する転動体と、前記軸受空間をシールするシール部材と、前記外輪、シール部材、内輪および固定部材のいずれかの部材内または前記外輪、シール部材、内輪および固定部材のいずれかの部材に取り付けられた部材内に設けられ、前記軸受空間と通ずる孔状部と、その孔状部内に、前記請求項1〜8のいずれかに記載の軸受の気体抜き栓とを備えた、軸受装置。
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