JP2006233265A - 高クロム溶鋼の溶製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 フェロクロム法により高クロム溶鋼を溶製するに際し、従来のコークスに代わってコスト的に且つ熱的に有利な昇熱材を使用した高クロム溶鋼の溶製方法を提供する。
【解決手段】 転炉型精錬炉内に高炭素溶鉄とフェロクロムとを装入し、該高炭素溶鉄及びフェロクロムに酸素による脱炭精錬を施して高クロム溶鋼を溶製する方法であって、脱炭精錬の初期に炉内に投入する昇熱用炭材として無煙炭を使用し、該無煙炭を投入する際の炉口からの排ガス線流速を標準状態換算で220m/min以下に調整する。この場合、無煙炭の投入速度を11kg/min・t以下とする、転炉型精錬炉として上吹ランスと底吹羽口とを備えた上底吹転炉を使用する、及び、無煙炭を投入する際の上吹ランスからの酸素供給速度を0.5〜1.8Nm3 /min・tとすることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高炭素溶鉄とフェロクロムとを主原料とし、これらを転炉型精錬炉で酸素を用いて脱炭精錬して高クロム溶鋼を溶製する方法に関し、詳しくは、精錬初期において炉内に投入される昇熱用炭材として無煙炭を使用した高クロム溶鋼の溶製方法に関するものである。
ステンレス鋼や耐熱鋼に代表される高クロム鋼を製造する方法として、転炉型精錬炉内に溶銑、含クロム高炭素溶融鉄などの高炭素溶鉄とフェロクロムとを装入し、酸素によって脱炭精錬を行って溶製する方法(この溶製方法は「フェロクロム法」と呼ばれることが多く、以下「フェロクロム法」とも記す)が知られている。
ところで、クロムは鉄に比べて酸化されやすい元素であるため、酸素を用いて脱炭精錬を行う際には、クロムの酸化されにくい条件を確保することが必要である。溶鉄中にクロムと炭素とが共存する場合、溶鉄の温度(以下「溶湯温度」と記す)が高いほどクロムの酸化よりも炭素の酸化が優先する所謂「優先脱炭」の生じる条件となるため、クロムの酸化を抑制するためには高クロム溶鋼の脱炭精錬を高温下で行うことが必要である。
フェロクロム法は、主原料として溶銑に代表される高炭素溶鉄と固体のフェロクロムとを使用するので、精錬開始時の溶湯温度は低く、優先脱炭には不利な条件である。したがって、フェロクロム法では精錬初期に溶湯を迅速に昇熱することが必要であり、このため炉内に炭材と酸素とを供給して炭材を燃焼させ、その燃焼熱によって溶湯を速やかに昇熱することが行われている。
例えば、特許文献1には、転炉内に先ず溶銑を装入し、そこに炭材を添加して酸素吹錬し、溶銑を1300〜1450℃まで昇熱しておき、そこにフェロクロムを小量ずつ連続投入することによって、溶湯温度を低下させずに優先脱炭条件を確保しつつ脱炭精錬を行うことが開示されている。特許文献1では昇熱用炭材の詳細に関しては言及していないが、高クロム溶鋼の溶製に使用する炭材としては、特許文献2に記載されるようにコークスを使用するのが一般的である。これは、高クロム溶鋼の脱炭精錬では脱燐反応は期待できず、一方、コークスは燐の含有量が少なく、したがって、高クロム溶鋼の脱炭精錬で使用する炭材としては燐含有量の少ないコークスの使用が必須だからである。即ち、高クロム鋼の脱炭精錬において、一般の炭素鋼の脱炭精錬のように吹錬末期に脱燐反応に有利な過酸化条件とすると、溶湯中のクロムが優先酸化して高価なクロムの歩留りが低下してしまう。そのため、高クロム鋼の脱炭精錬では、脱燐反応に有利な過酸化条件とすることができず、脱燐反応は実質的に起こらない。高クロム鋼を溶製する際の燐濃度対策としては、燐含有量の低い原料を使用することが必要である。
特開平6−240328号公報 特開2004−83995号公報
しかしながら、コークスは、原料である石炭をコークス炉にて乾留処理して製造されるために価格が高く、また、熱的には有用な炭化水素化合物などの揮発分が乾留の際に失われているために単位添加量当りの発熱量が原料である石炭に比べて小さいという問題がある。したがって、コークスは、高クロム溶鋼の脱炭精錬における昇熱材としてコスト的及び熱的には必ずしも最適な昇熱材ではないという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、転炉型精錬炉においてフェロクロム法によって高クロム溶鋼を溶製するに際し、従来のコークスに代わってコスト的に且つ熱的に有利な昇熱材を使用した高クロム溶鋼の溶製方法を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決するために、フェロクロム法によって高クロム溶鋼を溶製する際の昇熱材として、コークスよりもコスト的に且つ熱的に有利な石炭、特に無煙炭を活用することを検討した。
石炭のなかで一般炭の燐含有量は0.13〜1.0質量%(P25 としては0.3〜2.4質量%)程度であるのに比べ、無煙炭の燐含有量は、0.01質量%程度であり、一般炭の1/10以下の燐含有量である。また、通常のコークスの燐含有量は0.04質量%程度、低燐コークスの燐含有量は0.01質量%程度であるので、無煙炭はこの低燐コークス並の燐含有量であり、得られる溶鋼の燐レベルに関しては、従来使用されていた低燐コークスを無煙炭に置き換えて問題ないものと思われた。
そこで、実際にフェロクロム法によってステンレス鋼を溶製する際に、昇熱用炭材として、低燐コークスに代えて無煙炭を使用する試験を行った。しかし、無煙炭の有する熱崩壊性に起因して、無煙炭が炉内で燃焼する以前に崩壊して微粉となり、排ガスとともに排ガス回収用ダクト内に吸い込まれてしまい、無煙炭の利用効率が低くなると同時に、排ガスのダスト含有量が増大してしまうことが分かった。
そこで更に検討した結果、無煙炭を投入する際の転炉からの排ガスの流速を調整することで、熱崩壊性を有する無煙炭を使用しても、それが炉内に留まって昇熱材として十分に機能するとの知見を得た。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、第1の発明に係る高クロム溶鋼の溶製方法は、転炉型精錬炉内に高炭素溶鉄とフェロクロムとを装入し、該高炭素溶鉄及びフェロクロムに酸素による脱炭精錬を施して高クロム溶鋼を溶製する方法であって、脱炭精錬の初期に炉内に投入する昇熱用炭材として無煙炭を使用し、該無煙炭を投入する際の炉口からの排ガス線流速を標準状態換算で220m/min以下に調整することを特徴とするものである。
第2の発明に係る高クロム溶鋼の溶製方法は、第1の発明において、前記無煙炭の投入速度を11kg/min・t以下とすることを特徴とするものである。
第3の発明に係る高クロム溶鋼の溶製方法は、第1または第2の発明において、前記転炉型精錬炉は上吹ランスと底吹羽口とを備えた上底吹転炉であることを特徴とするものである。
第4の発明に係る高クロム溶鋼の溶製方法は、第3の発明において、前記無煙炭を投入する際の上吹ランスからの酸素供給速度を0.5〜1.8Nm3 /min・tとすることを特徴とするものである。
本発明によれば、無煙炭を投入する際の炉口からの排ガス線流速を標準状態換算で220m/min以下に調整するので、熱崩壊性を有する無煙炭を昇熱用炭材として使用しても、未利用のまま排ガスとともに炉外に逸出してしまう無煙炭を可及的に低減することができ、これにより、従来フェロクロム法によって高クロム鋼を製造する際に昇熱用炭材として使用せざるを得なかった高価な低燐コークスを安価な無煙炭に置き換えることが可能となる。また、コークスよりも発熱量の大きな無煙炭を使用することにより、排ガス回収装置に設けられたボイラーにおいて発生する蒸気量の増大、並びに、回収される排ガスそのものの熱量の増大も図ることができるという副次効果も得られ、高クロム溶鋼の溶製コストを大幅に削減することが達成され、工業上有益な効果がもたらされる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明に係る高クロム溶鋼の溶製方法で使用する転炉型精錬炉は、上吹転炉、底吹転炉、上底吹転炉、AOD炉、及びこれらに類する精錬炉である。ここで、上底吹転炉とは、上吹ランスと底吹羽口の両方から酸素を吹き込む所謂「酸素上底吹転炉」、並びに、上吹ランスから酸素を吹き込み、底吹羽口からは攪拌用不活性ガスのみを吹き込む所謂「不活性ガス攪拌上底吹転炉」の双方の上底吹転炉を意味するものとする。
特に、本発明で使用する転炉型精錬炉は上底吹転炉であることが好ましい。これは、昇熱材である無煙炭を効率的に燃焼するには炉内空間またはスラグ中に酸素を供給するのが望ましく、そのためには上吹ランスを備えていることが好ましい。また、無煙炭の燃焼によって生じた熱を迅速に溶湯に伝えるには、溶湯とスラグとの攪拌を強くする必要があり、それには底吹羽口からのガス吹き込みが効果的であるからである。また、高クロム鋼の脱炭精錬では、鋼浴とスラグとの攪拌が強い方がクロムの酸化防止にも有利である。この場合、上底吹転炉としては、酸素上底吹転炉及び不活性ガス攪拌上底吹転炉の2種があるが、脱炭精錬時において酸素と溶湯との接触が良好である酸素上底吹転炉を使用するのが一層好ましい。
尚、酸素上底吹転炉といっても、高クロム鋼の脱炭精錬では、鋼中の炭素濃度が低くなるにつれてクロムの酸化が生じやすくなるので、雰囲気中のCO分圧を下げて脱炭反応を優先させるために、精錬の後期から末期にかけて上吹酸素と底吹酸素の一方もしくは両方に不活性ガスを混合するか、酸素を不活性ガスに置き換えることが必要となる。したがって、使用する酸素上底吹転炉では、上吹酸素の供給系または底吹酸素の供給系の何れか一方或いは双方の供給系に、不活性ガスを供給する系統を併設することが必要である。酸素上底吹転炉以外の精錬炉でも、同様に、酸素の供給系に不活性ガスを供給する系統を併設することが好ましい。
上記の転炉型精錬炉内(以下、単に「炉内」と記す)に装入する主原料は高炭素溶鉄とフェロクロムであり、これに必要に応じて炭素鋼やステンレス鋼などのスクラップを装入する。高炭素溶鉄は、主に高炉で製造される溶銑及びクロム鉱石の溶融還元で得られた含クロム高炭素溶融鉄の何れか一方または双方を混合したものを使用する。ここで、含クロム高炭素溶融鉄とは、炭素がほぼ飽和溶解度まで含有される所謂「クロム溶銑」、または炭素が3〜5質量%程度の炭素不飽和の「含クロム溶融鉄」の双方を意味し、この場合に含クロム高炭素溶融鉄のクロム含有量は特に規定しないが、5〜30質量%が一般的である。高クロム鋼の場合、前述したように、脱炭精錬時の脱燐反応は期待できないので、溶銑は予め溶銑予備処理によって脱燐処理しておくことが好ましい。
フェロクロムはスクラップとともに、高炭素溶鉄の装入前に予めスクラップシュートによって炉内に装入する方法と、昇熱中或いは脱炭精錬中に炉上バンカーから小量ずつ分割投入または連続投入する方法の2種の方法があるが、何れであっても構わない。前者であれば、炉上バンカーからの切り出しに不向きな大塊のフェロクロムを使用できる利点があるものの、精錬初期の溶湯温度が低くなるのでクロムの酸化が生じやすくなる。精錬初期の溶湯とは、高炭素溶鉄自体の溶解したものまたはこれにフェロクロム、スクラップの溶解したものである。このため、前者の場合には昇熱を迅速に行う必要がある。一方、後者の小量ずつの分割投入や連続投入では、フェロクロムは炉上バンカーや中間ホッパーなどの切り出し装置を通す必要があるため、その粒度をこれらの装置を通過するに十分な大きさにする必要がある。フェロクロムは安価な高炭素フェロクロムを使用することが好ましい。
尚、いうまでもないことであるが、炭素鋼の脱炭精錬の場合と同様に、適性な組成のスラグを形成するための生石灰、石灰石、珪石、アルミナ含有物質などのフラックス、及び、炉壁を保護するためのマグネシア、ドロマイトなどの副原料を適宜炉内に装入してもよい。
本発明が対象とする高クロム鋼とは、耐熱鋼やステンレス鋼などのクロムを5〜30質量%含有する鋼をいう。即ち、このような濃度でクロムを含有する溶鋼を酸素を用いて脱炭精錬して溶製する際には、クロムの歩留りを確保する必要性から脱炭精錬末期に溶鋼とスラグを過酸化にして脱燐処理することができないので、燐含有量の低い昇熱材を使用する必要があるからである。
本発明では、高炭素溶鉄を炉内に装入した後、精錬の初期に昇熱を実施する。この昇熱は、高炭素溶鉄とフェロクロム、スクラップといった固体原料とが混合すること或いは固体原料を溶解することによって温度の低下した精錬初期の溶湯を、クロムの酸化反応よりも脱炭反応が優先する温度領域に速やかに昇温するための必須不可欠な処理である。
昇熱は、炉内に昇熱用炭材と酸素とを供給し、酸素で昇熱用炭材を燃焼することによって発生する熱を溶湯に伝えることによって行う。ここで昇熱用炭材として本発明では無煙炭を使用する。無煙炭は、前述したように、従来使用されていた低燐コークスと同等に燐含有量が低く、しかもその価格が低燐コークスの1/3以下と安価なためである。
炉内に投入された無煙炭は供給される酸素によって燃焼する。無煙炭の比重は溶融鉄合金である炉内の溶湯の比重よりも小さいので、直ちに溶湯中に溶解することは少なく、炉内に投入された無煙炭は、炉内の雰囲気内或いはスラグ中に取り込まれた状態で燃焼することになる。そのため、無煙炭燃焼用の酸素は炉内の雰囲気かスラグ中に供給することが好ましい。この理由から、無煙炭燃焼用の酸素は上吹ランスによって炉内に吹き込むことが効果的である。
炉内に吹き込まれた無煙炭燃焼用酸素は、昇熱材である無煙炭と反応してCOガスやCO2 ガスを発生する。また、底吹羽口を有する転炉の場合は羽口から吹き込まれた酸素が溶湯中の炭素と反応し、やはりCOガスが発生する。また、無煙炭に含まれる揮発性成分(VM)は炭化水素や水素に分解し、一部は酸素と反応してCO、CO2 、H2 Oを形成する。これらのCO、CO2 、H2 O、未燃の炭化水素、水素などからなる排ガスは、炉口から排ガスダクトを通って排ガス回収装置に回収される。
この排ガスの流速が大きい場合には、炉内に投入された無煙炭の落下速度を上回り、投入された無煙炭は排ガスとともに炉外に逸出することになる。理論的には、無煙炭の粒度が大きいほど、自由落下の終端速度が大きくなるので、排ガスに伴って炉外に逸出する確率は小さくなる。しかし、現実には無煙炭は炉内の高温雰囲気に曝されると、揮発分が膨張することによって容易に崩壊し、初期の粒径の如何によらず、炉内での粒度分布は似通ったものとなる。
そこで、本発明者等は、炉内に吹き込む酸素の流量を種々変化させて排ガス発生量を調整し、その際の無煙炭の歩留りを調査した。ここで無煙炭の歩留りは、次のようにして求めた。先ず投入した無煙炭の質量とその炭素含有量との積から無煙炭中の炭素質量(A)を求める。次いで、排ガス中のCO濃度、CO2 濃度と排ガス流量とから燃焼炭素質量(B)を求める。一方、主原料である高炭素溶鉄中の炭素濃度と高炭素溶鉄質量との積、フェロクロム中の炭素濃度とフェロクロム質量との積、及び、スクラップ中の炭素含有量とスクラップ質量との積の総和をインプット炭素質量(C)とし、出鋼時の溶鋼中の炭素濃度と溶鋼質量との積をアウトプット炭素質量(D)とし、インプット炭素質量(C)からアウトプット炭素質量(D)を差し引いた値(C−D)を主原料中の炭素質量のうちで脱炭された炭素質量即ち脱炭炭素質量(E=C−D)とする。そして上記の燃焼炭素質量(B)から脱炭炭素質量(E)を差し引いた値(B−E)を、無煙炭中の炭素質量(A)に対して百分率で表示した値(100×(B−E)/A)によって、炉内で燃焼に供された無煙炭中の炭素の比率即ち無煙炭の歩留りが求まる。
一方、排ガスの線流速は、上記の排ガス流量を炉口断面積で割り付けて求めた。このようにして求めた無煙炭の歩留りを炉口における標準状態に換算した排ガス線流速に対してプロットしたところ、図1に示す結果が得られた。この図からも明らかなように、炉口における排ガスの線流速が標準状態換算で220m/min以下の場合に、無煙炭の歩留りが向上することが明らかになった。そこで、本発明では、排ガスの炉口線流速を標準状態換算で220m/min以下の状態にして無煙炭を投入することを必須要件とした。
尚、排ガスの炉口線流速が標準状態換算で200m/min以下になると、無煙炭の歩留りが60%以上となるのでより一層好ましい。また、排ガスの炉口線流速を小さくするほど無煙炭の歩留りは向上すると考えられるが、これを著しく小さくするためには、吹き込む酸素の流量を小さくしなければならない。このことは、単位時間当たりの無煙炭の燃焼による発熱量が小さくなることを意味し、昇熱を遅らせる結果となり、却って好ましくない。そこで、操業を著しく阻害しない程度の酸素吹き込み速度の観点から検討したところ、炉口線流速にして標準状態換算で100m/min以上とすることが好ましいことが分かった。そこで、好ましい排ガスの炉口線流速の下限は標準状態換算で100m/minとするのがよい。
また、本発明では好ましい無煙炭の投入速度を11kg/min・t以下とする。炉内に投入された無煙炭は雰囲気の熱によって揮発分が膨張し、それによって崩壊して粉化する。それと同時にまたは引き続いて上吹ランスなどから炉内に供給された酸素によって着火し燃焼を開始する。投入された無煙炭が着火するためには無煙炭が着火温度にまで昇熱される必要があるが、一度に多量の無煙炭を炉内に投入すると揮発分の熱分解によって吸熱が生じて無煙炭の昇熱が遅れることになる。そのため、着火前に微粉化した無煙炭が排ガスとともに未燃のまま排ガスダクトに逸出してしまうものと考えられる。このような観点から、本発明者等は無煙炭の投入速度を種々変化させて、排ガス中のダスト量(排ガス回収装置の集塵水に含まれる炭材系ダスト量)を調査した。その結果、無煙炭の投入速度が11kg/min・t以下の場合には、コークスを昇熱材として用いた場合と遜色のないダスト量に留めることができることが判明した。それゆえ、本発明での好ましい無煙炭の投入速度を11kg/min・t以下とした。
更に本発明では、無煙炭を投入する際の上吹ランスからの酸素供給速度を0.5〜1.8Nm3 /min・tとすることが好ましい。上吹ランスからの酸素は投入した無煙炭を効率良く燃焼するために供給するものである。そこで本発明者等は、無煙炭の燃焼に効果のある下限値があるものと推定し、上吹酸素流量を種々変化させて試験を行い、無煙炭の歩留りを調査した。その結果、上吹ランスからの酸素流量が0.5Nm3 /min・t未満では、無煙炭を燃焼させる効果に乏しいことが判明し、一方、1.8Nm3 /min・tを超えると無煙炭の歩留りが低下することが分かった。後者についての理由は明確ではないが、おそらく上吹ランスからの酸素流量が大きいと、その噴流によって炉内に投入された無煙炭が吹き上げられることによるものと推定される。この試験結果から、本発明者等は好ましい上吹酸素供給速度を0.5〜1.8Nm3 /min・tの範囲に定めた。
炉容が185トンの酸素上底吹転炉を用いてフェロクロム法によってクロム含有量が13質量%(目標値)のフェライト系ステンレス鋼を溶製する際に、昇熱用炭材として無煙炭を使用し、昇熱用炭材にコークスを使用した従来例と比較する試験を実施した。各試験ヒートとも主原料として160トンの溶銑と30トンの高炭素フェロクロムとを使用して操業を行った。使用した無煙炭、溶銑、高炭素フェロクロムの組成をそれぞれ表1、表2及び表3に示す。
Figure 2006233265
Figure 2006233265
Figure 2006233265
操業条件及び操業結果を表4に示す。表4中で試験No.1〜4及び試験No.7が本発明法によったものである。試験No.5は、昇熱用炭材として無煙炭を使用したが、本発明で規定する排ガスの炉口線流速範囲を逸脱する条件で行った比較例であり、また試験No.6は、昇熱用炭材としてコークスを使用した従来例である。表4に示す排ガスの炉口線流速は標準状態に換算した値である。
Figure 2006233265
本発明例において、昇熱用炭材である無煙炭の歩留りは58%以上であり、これはコークスを使用した従来例における昇熱用コークスの歩留り70%の8割を超える値であった。無煙炭はコークスに比較して発熱量が大きいため、同一の昇熱量を得るために必要な無煙炭質量は、コークス質量の8割強となるので、本発明例ではコークス使用時と同等或いはそれ以上の昇熱量が得られたことが分かった。一方、比較例である試験No.5では昇熱用無煙炭の歩留りは47.5%に止まり、コークス使用時よりも昇熱量が劣る結果であった。尚、無煙炭を使用した本発明例における無煙炭の歩留りと炉口における標準状態に換算した排ガス線流速との関係をプロットした図が前述した図1である。
本発明範囲の種々の条件で操業を行い、排ガスボイラーにおける蒸気発生量、並びに、回収された排ガスの熱量を調査し、コークスを昇熱用炭材として使用した従来の操業と比較した。それらの結果を図2及び図3に示す。図2及び図3に示すように、無煙炭を使用した本発明に係る操業では、蒸気発生量及び排ガスの熱量ともにコークスを使用した従来操業を上回ることが確認された。
無煙炭の歩留りと炉口における標準状態に換算した排ガス線流速との関係を示す図である。 排ガスボイラーにおける蒸気発生量を昇熱用炭材として無煙炭を使用した場合とコークスを使用した場合とで比較して示す図である。 回収された排ガスの熱量を昇熱用炭材として無煙炭を使用した場合とコークスを使用した場合とで比較して示す図である。

Claims (4)

  1. 転炉型精錬炉内に高炭素溶鉄とフェロクロムとを装入し、該高炭素溶鉄及びフェロクロムに酸素による脱炭精錬を施して高クロム溶鋼を溶製する方法であって、脱炭精錬の初期に炉内に投入する昇熱用炭材として無煙炭を使用し、該無煙炭を投入する際の炉口からの排ガス線流速を標準状態換算で220m/min以下に調整することを特徴とする、高クロム溶鋼の溶製方法。
  2. 前記無煙炭の投入速度を11kg/min・t以下とすることを特徴とする、請求項1に記載の高クロム溶鋼の溶製方法。
  3. 前記転炉型精錬炉は上吹ランスと底吹羽口とを備えた上底吹転炉であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の高クロム溶鋼の溶製方法。
  4. 前記無煙炭を投入する際の上吹ランスからの酸素供給速度を0.5〜1.8Nm3 /min・tとすることを特徴とする、請求項3に記載の高クロム溶鋼の溶製方法。
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