JP2006233237A - 高強度部材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形時には低強度であり、成形後の部材強度が高強度となる高強度部材の製造方法を提供する。
【解決手段】 所定の成分からなり、さらにTi、NbおよびVの合計含有量の60%以上が固溶状態である薄鋼板を、温間成形前の保持温度T1(℃):400℃〜A1変態点まで加熱し、T1(℃)と温間成形前の保持時間t1(分)の関数Z1がZ1=lnt1+0.039T1<25.5を満たすように保持した後、成形温度:400℃〜A1変態点で所定形状に温間成形し、次いで、温間成形後の保持温度T2(℃):500℃〜A1変態点で、T2(℃)、温間成形後の保持時間t2(分)および前記Z1の関数Z2が25.5≦Z2=ln{t2+exp(Z1-0.039T2)}+0.039T2≦29.5を満たすように保持し、高強度部材を製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、主として室温での加工が困難な自動車用部材として好適な、高強度部材の製造方法に関するものである。
近年、地球環境保全という観点から、自動車の燃費改善が要求されている。また、車両衝突時に乗員を保護する観点からは、自動車車体の安全性向上も要求されている。このため、燃費改善と安全性向上の両方を満足するべく自動車車体の軽量化と強化の双方を図る検討が積極的に進められている。自動車車体の軽量化と強化を同時に満足させるには、部品素材を高強度化かつ薄肉化することが効果的であり、最近では引張強さ590MPa以上の高張力薄鋼板が自動車構造部品に使用され始めている。
しかしながら、引張強さ590MPa以上の高張力薄鋼板は、従来の室温でのプレス加工による成形方法では成形荷重が大きいため、プレス機への負荷が大きいほか、成形時の割れ・しわの問題や、スプリングバックが大きく所定形状への成形が困難であるといった問題がある。
これらの問題に対して、例えば特許文献1には、成形時には軟質であり成形後の熱処理により高強度化する、後熱処理型の熱延鋼板の製造方法が開示されている。この製造方法では、Cu:0.8〜2.0%を含有させた鋼板を仕上圧延後、10℃/s以上の冷却速度で500℃以下まで冷却し巻き取ることによって、熱延鋼板中に固溶状態で存在させておいたCuを加工後熱処理時に析出させ最大19kgf/mm2の引張強さの上昇を得ている。
また、高強度鋼板の成形性を改善する方法として、温間成形方法が提案されている。例えば、特許文献2には、C:0.03〜0.2%、Si:0.5%以下、Mn:1〜3%、P:0.1%以下、S:0.1%以下、Cr:0.01〜1%、Al:0.01〜0.1%、N:0.02%以下を含有させた鋼板を、マルテンサイト相の体積率が10%以上80%以下であり、かつマルテンサイト相の平均径が8μm以下となる組織とすることで、室温における引張強さに対する450℃における引張強さの比が0.6以下である高張力鋼板が開示されている。また、特許文献2では、温間で成形した際に、強度を上昇させる要因となっているマルテンサイト相自体の変形抵抗が低下するため、他の方法で強化した鋼に比べて温間での引張強さの低下が大きいとしている。
上記以外に成形性を改善すると同時に部材を高強度化する方法として、近年、熱間成形(ホットプレス)が注目されている。この方法は、鋼板をAc3変態点以上の高温に加熱した状態で成形することにより成形性の問題を解決し、成形後の冷却速度を制御しマルテンサイトを主体とする低温変態相とすることにより980MPaを超える高強度を得ようとするものである。例えば、特許文献3にはC:0.18〜0.25%、Si:0.15〜0.35%、Mn:1.15〜1.40%、Cr:0.15〜0.25%、Ti:0.01〜0.03%を含み残部がFeおよび不可避的不純物から成る薄鋼板を熱間成形する車輛用衝突補強材の製造方法および車輛用衝突補強材が提案されている。また、特許文献3では、主として熱間成形条件を制御することで引張強さ1500MPa程度が得られ、スプリングバックの回避にも成功している。
特許第2026744号公報 特開2003-113442号公報 特開2002-102980号公報
しかしながら特許文献1に記載された技術では、成形時の強度と成形-熱処理後の強度の差がたかだか200MPaであり、780MPa以上の高強度鋼板を得ようとする場合、室温での成形荷重が大きくなってしまうといった問題点がある。また、Cu含有を必須としており、Cu添加鋼の熱間割れ回避のためのNi添加によるコストアップが避けられないといった問題点がある。さらには、Cu含有は鋼のリサイクルの観点からも好ましくない。
特許文献2に記載された技術では、温間成形時に低強度とすることは可能であるが、温間成形後の強度も低下してしまうという問題点がある。
特許文献3に記載された技術では、A3点以上の高温に加熱する必要があるため、スケールが多量に発生し、成形後にショットブラスト等の手入れが必要となるほか、成形部材の組織がマルテンサイト単相組織となるため、延性に乏しく、適用可能部材が限られるといった問題がある。
以上のように、プレス成形時には軟質であり、プレス成形後に高強度部材を得る手法としては、従来から1)Cuの後熱処理析出、2)熱間成形(ホットプレス)等の方法が提案されてきたが、前者1)はCu添加によるコストアップ、Cu添加によるスラブの熱間割れ回避のためのNi添加によるコストアップ、および鋼のリサイクルの観点から好ましくなく、後者2)は成形後の表面手入れによるコストアップ、および鋼組織がマルテンサイト単相組織となるために部材延性に乏しいといった問題点があり、いずれもユーザーのニーズを満足するものではなかった。
以上より、本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、成形時には低強度であり、成形後の部材強度が高強度となる高強度部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究した。その結果、室温での加工が困難な高強度部材を製造する場合、従来、鋼板中に析出させ、鋼板を高強度化するために添加されていたTi、Nb、V等の炭化物生成元素を、鋼板中に析出させず、逆に積極的に固溶させた材料を用い、熱間成形(ホットプレス)に比べ比較的低温でスケール生成の少ない400℃以上A1点以下での加工(温間成形)によって成形強度を低下させ、さらに温間成形後に500℃以上A1点以下で保持し、固溶させておいた合金炭化物を析出させることによって成形部材の強度を高強度化できることを見いだした。
本発明は、以上の知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]mass%で、C:0.020〜0.20%、Si:1.5%以下、Mn:0.50〜3.0%、P:0.10%以下、S:0.01%以下、Al:0.01〜0.5%、N:0.005%以下を含み、かつ、Ti、Nb、Vの一種又は二種以上を合計で0.10〜1.0%含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、さらに前記Ti、NbおよびVの合計含有量の60%以上が固溶状態である薄鋼板を、温間成形前の保持温度T1(℃):400℃〜A1変態点まで加熱し、前記温間成形前の保持温度T1(℃)と温間成形前の保持時間t1(分)の関数Z1が下記式(1)を満たすように保持した後、成形温度:400℃〜A1変態点で所定形状に温間成形し、次いで、温間成形後の保持温度T2(℃):500℃〜A1変態点で、前記温間成形後の保持温度T2(℃)、温間成形後の保持時間t2(分)および前記Z1の関数Z2が下記式(2)を満たすように保持することを特徴とする高強度部材の製造方法。
Z1=lnt1+0.039T1<25.5・・・式(1)
25.5≦Z2=ln{t2+exp(Z1-0.039T2)}+0.039T2≦29.5・・・式(2)
[2]前記[1]において、温間成形前の前記薄鋼板が、さらに、mass%で、Mo:0.01〜1.0%、Cr:0.01〜1.0%の一種または二種を含有することを特徴とする高強度部材の製造方法。
[3]前記[1]または[2]において、温間成形前の前記薄鋼板が、マルテンサイト相を体積率で20%以下、残部はベイナイト主体とする組織からなることを特徴とする高強度部材の製造方法。
なお、本明細書において、鋼の成分を示す%は、すべてmass%である。また、本発明において、「温間成形」とは、400℃以上A1点以下の温度で部材形状に成形加工することである。さらに、本発明において、鋼板とは、鋼板、鋼帯を含むものとする。
本発明によれば、熱間成形(ホットプレス)に比べ比較的低温でスケール生成の少ない400℃以上A1点以下での温間成形を行うことにより、成形時の部材強度を成形後の部材強度の0.60以下とすることができ、例えば、室温での加工が困難な自動車用高強度部材等を容易に得ることができる。さらに、本発明の製造方法で得られる高強度部材は、成形後の組織が延性の乏しいマルテンサイト単相組織とならないため、部材延性が要求される広範囲な部材として適用可能である。
本発明の高強度部材の製造方法は、まず、下記に示す成分に規定し、Ti、NbおよびVの合計含有量の60%以上を固溶状態と規定した材料(薄鋼板)を用いることを特徴とする。そして、製造条件として、温間成形前の保持条件(温度と時間)、温間成形温度、温間成形後の保持条件(温度と時間)を規定したことをさらなる特徴とする。これは本発明において重要な要件であり、上記のように材料の成分及び固溶状態を最適化し、400℃以上A1変態点以下の温度範囲で合金炭化物が析出する前に温間成形し、温間成形後に適切な温度、時間で保持し、合金炭化物を析出させることにより、温間成形時には低強度であり、温間成形後には高強度な部材を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明で用いる材料(薄鋼板)(以下、鋼板と称す)の化学成分(組成)の限定理由は以下の通りである。
C:0.020〜0.20%
Cは鋼板の強度増加や温間成形中の炭化物生成の観点から、本発明において最も重要な元素の一つであり、本発明では温間成形後に目的とする強度を確保するために0.020%以上の含有を必要とする。一方、0.20%を越える含有は、鋼板へのTi、Nb、Vを含む炭窒化物の固溶化を困難にし、さらには溶接性を著しく劣化させる。以上より、Cは0.020%以上0.20%以下、好ましくは、0.040以上0.15%以下とする。
Si:1.5%以下
Siは鋼の延性を顕著に低下させることなく、鋼板を高強度化させることができる有用な強化元素であり、鋼板の強度レベルに応じて含有してもよく、このような効果を得るには0.01%以上含有するのが好ましい。しかしながら、特に、高い表面美麗性や耐食性を要求される自動車用鋼板の場合、1.5%を越えるSiの含有は、表面性状、化成処理性等に悪影響を与えるうえ、これらの悪影響を抑制するために鋼板表面の酸洗処理を長時間にわたり行わなければならない等、大きなコストアップを招く。以上より、Siは1.5%以下とする。より優れた表面美麗性、耐食性が求められる用途では好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.25%以下である。
Mn:0.50〜3.0%以下
Mnは、オーステナイトを安定化し、フェライト変態を遅延させる元素であり、熱間圧延または焼鈍後の冷却時にフェライト変態と同時に起こるTi,Nb等の炭化物の析出を安定して抑制する。このような効果を得るためには0.50%以上の含有が必要である。一方、3.0%を越えるMnの含有は上記した効果が飽和するだけでなく、温間成形時の強度が増大する。以上より、Mnは0.50%以上3.0%以下、好ましくは1.0%以上2.5%以下とする。
P:0.10%以下
Pは鋼を強化する作用があり、鋼板の強度レベルに応じて含有してもよく、このような効果を得るには0.005%以上含有するのが好ましい。一方、P含有量が0.10%を超えると、溶接性が劣化する。以上より、Pは0.10%以下である。また、より優れた溶接性が要求される場合には、Pは0.05%以下が好ましい。
S:0.01%以下
Sは、鋼板中では介在物として存在し、溶接性の劣化をもたらすだけでなく、Sを含む粗大介在物は自動車衝突時に鋼板の破壊の起点となり、衝突の衝撃を十分に吸収することなく鋼板が破断する恐れがある。そのため、自動車用構造部材としてはできるだけ低減するのが好ましく、0.01%以下であればこれらの悪影響が無視できることから、本発明ではSは0.01%以下とする。また、より優れた溶接性や衝撃吸収特性を要求される場合には、Sは0.005%以下が好ましい。
Al:0.01〜0.5%
Alは鋼の脱酸元素として添加され、鋼の清浄度を向上させるのに有用な元素であり、鋼の組織微細化のためにも添加が望ましい元素である。また適性範囲のAlを添加したアルミキルド鋼のほうが、Alを添加しない従来のリムド鋼に比して、機械的性質が優れている。以上の理由により、下限は0.01%とする。また、Siと同様に強度-延性バランスを向上させる効果も有するが、一方で、Al含有量が多くなると表面性状の悪化につながるため上限は0.5%とする。以上より、Alは0.01%以上0.5%以下とする。
N:0.005%以下
NはTi、Nb、VとTiN、NbN、VNを形成し、鋼板中の固溶Ti、Nb、Vを減少させるため、本発明においてはできるだけ少ないほうが好ましい。よって、Nは0.005%以下、好ましくは0.003%以下とする。
Ti、Nb、Vの一種又は二種以上を合計で0.10〜1.0%
Ti、NbおよびVは、本発明においてもっとも重要な元素の一つであり、温間成形中に極微細炭化物として析出することにより成形後の部材の強度を高める。Ti、Nb、Vの合計含有量が0.10%未満では、いかなる方法で製造したとしても、温間成形後に所望の強度上昇を得ることができない。一方、1.0%を超えて含有しても温間成形時の強度上昇効果が飽和し、逆に加工性の劣化をもたらす。以上より、Ti、Nb、Vの合計含有量を0.10%以上1.0%以下とする。より好ましくは、0.15%以上0.90%以下である。
Ti、Nb、Vの合計含有量の60%以上が固溶状態
さらに、本発明では、鋼板中にTi、Nb、Vの合計含有量の60%以上を固溶させることとする。このようにTi、Nb、Vを鋼板中に析出させず、積極的に固溶させることにより、温間成形時に所望の強度上昇を得ることができる。Ti、Nb、Vの固溶量が合計含有量の60%未満では、含有量に見合う強度上昇を得ることができない。よって、Ti、Nb、Vの固溶量は合計含有量の60%以上とする。より好ましくは70%以上である。なお、VはTi、Nbに比べ強化能が低いため、Vを単独で含有する場合には含有量の90%以上が固溶した状態であることが好ましい。なお、本発明において、固溶Ti、Nb、V量は、10%AA系電解法(参照:高山ら:鉄と鋼, 82(1996),147.)により抽出した残さの化学分析により得られた析出Ti、Nb、V量を、鋼中Ti、Nb、V量から差し引いて求めるものとする。
本発明の製造方法で用いる鋼板は、上記の必須含有元素で目的とする特性が得られるが、所望の特性に応じて以下の元素を含有することができる。
Mo:0.01〜1.0%、Cr:0.01〜1.0%の一種または二種
Mo、Crはそれぞれ単独で含有しても、温間成形時に含有量に見合う強度上昇を得ることができないが、Ti、Nb、Vと複合で含有することにより、温間成形時の強度上昇量を増加させる効果を有し、このような効果はMo、Crそれぞれを0.01%以上含有したときに顕著となる。これは、Mo、CrはTi、Nb、Vに比べ炭化物形成能が弱いため、単独では含有量にみあう十分な強度上昇を得ることができないが、Ti、Nb、Vと複合で含有することで、Ti、Nb、Vを含む炭化物に複合して析出し、温間成形時の強度上昇量を増加させると考えられる。一方で、Mo、Crをそれぞれ1.0%を超えて含有すると、コストアップや温間成形時の加工性の劣化をもたらす。以上より、含有する場合、Moは0.01%以上1.0%以下、Crは0.01%以上1.0%以下とする。
上記以外の残部はFe及び不可避不純物とする。不可避的不純物としては、例えば、Sb、Sn、Zn、Co等が挙げられ、これらの含有量の許容範囲としては、Sb:0.01%以下、Sn:0.1%以下、Zn:0.01%以下、Co:0.1%以下の範囲である。また、本発明では、本発明の作用効果を害さない微量元素として、Ni、Cu、Mg、Ca、Zr、REMを通常の鋼組成の範囲内で含有してもよい。
次に、本発明で用いる鋼板の組織について説明する。本発明で用いる鋼板の組織は、マルテンサイト相を体積率で20%以下、残部はベイナイトを主体とすることが好ましい。以下に詳細に説明する。
マルテンサイト体積率:20%以下(ただし、0%の場合も含む)
マルテンサイトが多量に生成すると鋼板強度が高くなりすぎるほか、マルテンサイト相は温間成形時に軟化するため、Ti、NbおよびVの炭化物析出による強度上昇効果を相殺してしまう。よって、マルテンサイト相の体積率は20%以下が好ましい。より好ましくは15%以下である。なお、上記主旨により、本発明においては、マルテンサイト体積率が0%の場合においても本発明の効果を奏するため、マルテンサイト体積率が0%の場合も含むものとする。
残部:ベイナイトを主体
マルテンサイトを除いた残部組織はベイナイトを主体とする組織とするのが好ましい。ただし、若干量(体積率で20%以下)のフェライト、パーライト、残留オーステナイト等の組織が混在していても構わない。また、本発明でいうベイナイトとは、ラス状フェライトの界面に沿って板状のセメンタイトが析出した所謂上部ベイナイト、およびラス状フェライト内にセメンタイトが微細分散した所謂下部ベイナイトを含むものとする。
なお、ベイナイトと、セメンタイトの析出の無いマルテンサイトとは走査電子顕微鏡等で容易に区別可能である。
次に、本発明の高強度部材の製造方法について説明する。本発明では、前述の成分及び組織に規定した鋼板を用い、温間成形前に保持温度T1(℃):400℃〜A1変態点まで加熱し、前記温間成形前の保持温度T1(℃)と温間成形前の保持時間t1(分)の関数Z1がZ1=lnt1+0.039T1<25.5を満たすように保持する。次いで、成形温度:400℃〜A1変態点で所定形状に温間成形し、温間成形後、保持温度T2(℃):500℃〜A1変態点で、前記温間成形後の保持温度T2(℃)、温間成形後の保持時間t2(分)および前記Z1の関数Z2が25.5≦Z2=ln{t2+exp(Z1-0.039T2)}+0.039T2≦29.5を満たすように保持する。以下、これらの限定理由を説明する。
温間成形前の保持温度および温間成形温度:400℃〜A1変態点
温間成形前の保持温度及び温間成形温度は400℃以上A1点以下とする。400℃未満では、温間成形時の強度低下は少なく、形状凍結性の向上などの十分な効果が得られない。一方、A1点越えでは、スケールの生成が多量になるだけでなく、温間成形温度に昇温後、極めて短時間で炭化物が析出してしまうため、温間成形する前に炭化物が析出してしまい、温間での成形性が低下してしまうほか、炭化物の粗大化も著しくなり、温間成形後に強度上昇を得るどころか、逆に軟化してしまう。以上より、温間成形前の保持温度および温間成形温度は400℃以上A1変態点以下とする。より好ましくは、450℃以上A1変態点以下である。なお、温間成形前の保持温度と温間成形温度とは必ずしも一致する必要は無く、どちらも400℃以上A1変態点以下の温度範囲内であればよい。
温間成形前の保持条件:Z1=lnt1+0.039T1<25.5
温間成形前の保持温度、保持時間と温間成形時の強度、合金炭化物の析出量の関係を調査した。その結果、温間成形前の保持温度T1(℃)と温間成形前の保持時間t1(分)の関数Z1を25.5未満とすることで、合金炭化物の析出によって温間強度が上昇する前に温間成形することができることが明らかとなった。図1は、温間成形前の保持温度T1(℃)と温間成形前の保持時間t1(分)を種々変化させたときの合金炭化物の析出率(%):{(析出量−昇温前の析出量)/(昇温前の固溶量)×100}を示した図である。図1より、Z1<25.5の範囲では析出率が10%未満となっており、温間成形前の保持をこの範囲にすることで、低い温間強度で温間成形することができることが分かる。一方、Z1≧25.5の範囲では析出率が10%以上となっており、温間成形時の強度が高くなることが分かる。より好ましくは25.4未満である。なお、Z1の下限については特に限定されず、温間成形時の鋼板温度が400℃〜A1変態点の範囲内であれば、昇温後直ちに温間成形しても構わない。
温間成形後の保持温度:500℃〜A1変態点
温間成形後に、500℃〜A1変態点の温度で所定時間保持することにより、温間で成形することによる成形荷重低下、寸法精度向上に加えて、合金炭化物の析出による強度上昇を得ることができる。温間成形後の保持温度が500℃未満では十分な強度上昇を得るための保持時間が長時間となるため製造コストの面で不利である。一方、A1点を越える温度で保持すると、スケールの生成が多量になるだけでなく、合金炭化物の粗大化が著しくなり、温間成形後に強度上昇を得るどころか、逆に軟化してしまう。以上より、温間成形後の保持温度は500℃以上A1変態点以下とする。より好ましくは550℃以上700℃以下である。ただし、A1変態点が700℃未満のときは好適範囲の上限はA1変態点とする。
温間成形後の保持条件:25.5≦Z2=ln{t2+exp(Z1-0.039T2)}+0.039T2≦29.5
合金炭化物の析出による強度上昇量と温間成形後の保持温度、保持時間、および温間成形前の保持条件(Z1)の関係を,前述の図1と同様の方法で調査した。その結果、温間成形後の保持温度T2(℃)、温間成形後の保持時間t2(分)、温間成形前の保持条件Z1の関数Z2を25.5以上29.5以下とすることで、十分な強度上昇が得られることが明らかとなった。Z2が25.5未満では、合金炭化物の析出が不十分であり、十分な強度上昇を得ることができない。一方、Z2が29.5超えでは、炭化物の粗大化が顕著となり、十分な強度上昇が得られない。より好ましくは、25.6≦Z2=ln{t2+exp(Z1-0.039T2)}+0.039T2≦29.0である。
表1に示す組成の鋼を溶製し、熱間圧延、あるいは熱間圧延後冷間圧延、焼鈍を施した薄鋼板を製造し、固溶Ti、Nb、V量の測定、組織観察および引張試験を実施した。各試験方法の詳細は以下の通りである。
固溶Ti、Nb、V量測定
固溶Ti、Nb、V量は、10%AA系電解法(参照:(*)高山ら:鉄と鋼, 82(1996),147. )により抽出した残さの化学分析により得られた析出Ti、Nb、V量を、鋼中Ti、Nb、V量から差し引いて求め、鋼中Ti、Nb、V量に対する固溶Ti、Nb、V量の比:S(=固溶(Ti+Nb+V)/鋼中(Ti+Nb+V)×100)で評価した。得られた結果を表1に併せて示す。
組織観察
鋼板の圧延方向に直交する断面(C断面)について、光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡を用いて微視組織を撮像し、組織の種類の同定を行い、画像解析装置を用いてマルテンサイト相の体積率を求めた。得られた結果を表1に併せて示す。
引張試験
鋼板の長軸を圧延方向に直交する方向としたJIS5号引張試験片を採取し、機械研削により板厚1.2mmにそろえた試験片を、JIS Z 2241の規定に準拠して引張試験を行い、引張強さ(室温TS)を求めた。また,表2に示す温間成形条件で破断するまで上記と同様の引張試験を行い、温間引張強さ(温間TS)を求めた。さらに、表2に示す条件で2%の引張変形を行った後、表2に示す温間成形後の保持条件で温間保持を行い、室温まで冷却した試料に対しても上記と同様の引張試験を行い、温間成形後室温引張強さ(温間成形後室温TS)を求め、さらに、これらの温間TS、温間成形後室温TSから温間TS/温間成形後室温TSであるP値を求めた。得られた結果を表2に示す。なお、実部材の成形では、部材形状および変形部位によって変形量、変形モード(一軸、二軸等)が多様であるが、温間変形量、変形モードと温間成形後の室温強度の関係を調査した結果、極めて深い絞り加工以外は一軸引張試験で得られる値とよく対応することが明らかとなっている。
Figure 2006233237
Figure 2006233237
表2より、本発明例は、いずれも、P値が0.60以下であり、温間での成形強度が低く、温間成形後の室温強度が高く(780MPa以上)なっている。なお,実施例No.31はマルテンサイトの体積率が20%を超えているため、温間成形中のマルテンサイトの軟化が析出による強度上昇を相殺し、問題ない範囲ではあるもののP値が若干高くなっている。
これに対し、本発明の範囲を外れる比較例では、P値が0.60を超えており、温間成形時の強度が高いか,成形部品の強度が低いことから高強度部品の製造に適さないことが分かる。
自動車用超高強度部材以外の家電および建築など、室温での加工が困難であり、成形時には低強度で成形が容易であり、成形後の部材強度は高強度であることが必要とされる分野でも好適である。
温間成形前の保持温度T1(℃)、温間成形前の保持時間t1(分)及び合金炭化物の析出率との関係を示す図である。

Claims (3)

  1. mass%で、C:0.020〜0.20%、Si:1.5%以下、Mn:0.50〜3.0%、P:0.10%以下、S:0.01%以下、Al:0.01〜0.5%、N:0.005%以下を含み、かつ、Ti、Nb、Vの一種又は二種以上を合計で0.10〜1.0%含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、さらに前記Ti、NbおよびVの合計含有量の60%以上が固溶状態である薄鋼板を、
    温間成形前の保持温度T1(℃):400℃〜A1変態点まで加熱し、
    前記温間成形前の保持温度T1(℃)と温間成形前の保持時間t1(分)の関数Z1が下記式(1)を満たすように保持した後、
    成形温度:400℃〜A1変態点で所定形状に温間成形し、
    次いで、温間成形後の保持温度T2(℃):500℃〜A1変態点で、前記温間成形後の保持温度T2(℃)、温間成形後の保持時間t2(分)および前記Z1の関数Z2が下記式(2)を満たすように保持することを特徴とする高強度部材の製造方法。
    Z1=lnt1+0.039T1<25.5・・・式(1)
    25.5≦Z2=ln{t2+exp(Z1-0.039T2)}+0.039T2≦29.5・・・式(2)
  2. 温間成形前の前記薄鋼板が、さらに、mass%で、Mo:0.01〜1.0%、Cr:0.01〜1.0%の一種または二種を含有することを特徴とする請求項1に記載の高強度部材の製造方法。
  3. 温間成形前の前記薄鋼板が、マルテンサイト相を体積率で20%以下、残部はベイナイト主体とする組織からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高強度部材の製造方法。
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