JP2006232810A - 粘膜線毛クリアランスの速度を促進する方法 - Google Patents

粘膜線毛クリアランスの速度を促進する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006232810A
JP2006232810A JP2006005246A JP2006005246A JP2006232810A JP 2006232810 A JP2006232810 A JP 2006232810A JP 2006005246 A JP2006005246 A JP 2006005246A JP 2006005246 A JP2006005246 A JP 2006005246A JP 2006232810 A JP2006232810 A JP 2006232810A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bikunin
seq
kunitz
sequence
human
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006005246A
Other languages
English (en)
Inventor
Roderick Hall
ロデリック ホール、
Christopher T Poll
クリストファー ティー. ポール、
Benjamin B Newton
ベンジャミン ビー. ニュートン、
William J A Taylor
ウィリアム ジェイ.エイ. テイラー、
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bayer AG
Original Assignee
Bayer AG
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bayer AG filed Critical Bayer AG
Publication of JP2006232810A publication Critical patent/JP2006232810A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/55Protease inhibitors
    • A61K38/57Protease inhibitors from animals; from humans
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P11/00Drugs for disorders of the respiratory system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P11/00Drugs for disorders of the respiratory system
    • A61P11/02Nasal agents, e.g. decongestants
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P11/00Drugs for disorders of the respiratory system
    • A61P11/06Antiasthmatics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P11/00Drugs for disorders of the respiratory system
    • A61P11/10Expectorants
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P11/00Drugs for disorders of the respiratory system
    • A61P11/12Mucolytics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P27/00Drugs for disorders of the senses
    • A61P27/16Otologicals
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Pulmonology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Otolaryngology (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)

Abstract

【課題】肺の気道中の粘液および痰の粘膜毛様体クリアランスの速度を刺激するクニッツファミリーのセリンプロテアーゼ阻害剤の使用方法の提供。
【解決手段】膿胞性腺維症等の粘膜腺毛機能不全に罹った対象の気道中の粘液および痰の粘膜腺毛クリアランスの速度を刺激するために、クニッツ(Kunitz)型(クニッツ(Kunitz)−type)セリンプロテアーゼ阻害剤、例えば、アプロチニンまたはビクニンを含有させ、その組成物を患者に使用する。
【選択図】なし

Description

相互参照
本出願は、1998年12月22日に提出された米国特許出願号第09/218,913号の一部継続である。
発明の分野
本発明は、肺気道中の粘液および痰の粘液毛様体クリアランスの速度を促進するセリンプロテアーゼ阻害剤タンパク質を含む組成物に関する。本発明は、哺乳類における粘膜線毛クリアランスの速度を刺激する方法にも関する。
発明の背景
委ねられた問題
肺気道での粘液および痰を排除する線毛上皮の不能によって特徴づけられる粘膜線毛機能不全は、慢性気管支炎(CB)、気管支拡張症(BE)、喘息および特に膿胞性腺維症(CF)等の慢性の閉鎖性肺疾患の重大な合併症である。粘膜線毛機能不全に罹っている患者は、二次的細菌感染に対して特に傷つきやすい。
粘膜線毛機能不全に関連したCFおよび呼吸器疾患についての治療および維持適用様式および治療の必要が記載された。例えば、Braga「Drugs inBronchinal Mucology(気管支の粘液学における薬剤)」、Raven Press、New York、1989;Lethermら、Am Rev.Respir.Dis.142:1053−1058、1990;米国特許第5,830,436号参照。
膿胞性腺維症
膿胞性腺維症(CF)は、外分泌上皮中の流動体および電解質輸送での異常を引き起こす常染色体劣性疾患である。膿胞性腺維症膜貫通コンダクタンスレギュレータ(CFTR)と称されるタンパク質をコードするDNA内での突然変異が、事実上全てのCF患者で見られた。肺の細胞は、特に影響される。Di Santagreseら、Am J.Med.66:121−132(1979)。
CFでは、気道粘膜細胞の層の境界は、膜の塩化物チャネルのcAMP依存性タンパク質キナーゼ活性化に反応性でない。Cl−に対する細胞透過性は、損傷を受け、そして細胞を超えたNa+吸収は促進される。これらの電解質不均衡の両方は、気道粘膜の水和のレベルを減少させる傾向にあり、したがって、これによりCFの粘性肺分泌特性に貢献する。Knowles、Clin.Chest.Med.11:75(1986)。外因性細菌およびマイコプラズマは、肺気道に入り、そしてその粘膜内にコロニーを確立する。CFに関連した厚い粘膜は、免疫系からこれらの病原体を単離する。粘膜毛様体クリアランスは、CF患者で減じられるので、細菌クリアランスも減じられる。したがって、肺うっ血および感染は共通する。これらの病原体の長期化した存在は、肺機能を危うくする炎症反応を常に開始する。Bedrossianら、Human Pathol.7:195−204、1976。
CF肺での粘膜粘性は、一部には、気道粘膜毛様体クリアランス(MCC)の速度を変化させる気道表面流動体(ASL)でのCl−チャネル機能不全およびナトリウム(Na−)イオン濃度の修正に関連したときに粘膜の水和が減少されることによる。粘膜輸送に関与した機構は、インビトロおよびインビボで研究されてきた。CB、CFおよびBE痰は、粘膜除去ウシ気管(MDET)の哺乳類の線毛上皮によってゆっくりと輸送される(Willsら、J.Clin.Invest.97(1):9−13、1995)。MDST上の減少した痰の輸送能力がゆっくりなのは、その電解質/透過溶解物の含有量が低いことに関連し得る(Willsら、J.Resp.Crit.Care Med.151(4):1255−1258、1997)。実際に、病気の痰は、血漿に対して低い電解質含有量を示すことが知られている(Matthewsら、Am.Rev.Resp.Dis.88:199−204、1963;Potterら、Am.Rev.Resp.Dis.67(1):83−87、1967;Tomkiewiczら、Am.Rev.Resp.Dis.148(4、Pt.1):1002−1007、1993)。
MDETにおけるさらなる研究は、病気の痰の輸送能力が、塩化ナトリウムを用いた以下の治療を改善するということを示した(Willsら、1995)。
さらに、臨床研究は、高張性生理食塩水の、または上皮のナトリウムチャネル(ENaC)ブロッカーアミロライドの吸入は、病気の患者におけるMCCを明らかに増大させ得ることを示した(Robinsonら、Thorax 52(10):900−903、1997;Appら、Am.Rev.Resp.Dis.141、605−612、1990)。最近、気管の粘膜速度(TMV)のモルモット・モデルでのインビボでの粘膜クリアランスとそのイオン性組成物との関係が解明された。インビボでの研究は、高張性生理食塩水の5分間のエアロゾルが、TMVを一過的に増大することを示した。TMVでの増大が、高張性生理食塩水(14.4%)エアロゾルの1分後に観察された。TMVは、高張性生理食塩水露出動物で5.1±1.0mm.min−1(n=9)であった(n=9;p≦0.001)(Newton & Hall、1997)。吸入されたアミロライドも、TMVでの増大を引き起こした。TMVでの明らかな増大は、アミロライド(10mM)の20分のエアロゾルの15分後に観察された。TMVは、アミロライド露出動物(n=8;p≦0.05)で8.1±0.3mm.min−1に比較して3.2±2.5mm.min−1(n=9)であった(Newtonら、Ped.Pulm.S17、Abs.364、1998)。これらの剤は、気道表面流動体(ASL)のイオン性含有量を増大させることによって作用するようである。
全身性の偽性アルドステロン低下症(SPHA)を有する対象からの臨床上の遺伝的証拠も、気道上皮のナトリウムチャネルの活性の下降調節が、肺での粘膜毛様体クリアランスを増大するという見解を支持する。上皮のナトリウムチャネル副単位についての遺伝子での機能突然変異の損失を示すSPHA患者は、気道表面からのナトリウム吸収を示さず、それらは、正常な対象に比較して鼻内表面流動体でのナトリウムイオン濃度を増大させ、そしてそれらは、4倍の増大した肺粘膜毛様体クリアランス速度を示した(Keremら、New England J.Med.341、156−162、1999)。
最近、チャネル活性化プロテアーゼ(CAP−1)と称されるセリンプロテアーゼは、両生類のツメガエルの腎臓上皮細胞(A6細胞)の先端膜で見出された(Valletら、Nature 389(6651):607−610、1997)。CAP−1は、これらの細胞でのNa+チャネル活性を調節するようである。始原型ウシクニッツ(Kunitz)阻害剤であるアプロチニンに対する先端膜の露出は、上皮間のNa+チャネルを減少させた(Valletら、1997;Chraibiら、J.Gen.Physio.111(1):127−138、1998)。Bukinin(1−170)の効果、2つのクニッツ(Kunitz)ドメインヒト相同性のウシアプロチニン(Delariaら、J.Biol.Chem.272(18):12209−12214、1997;Marlorら、J.Biol.Chem.272(18):12202−12208、1997)を、インビトロでの正常な培養ヒト気管支の上皮細胞(HBE)の短電流(Isc)を用いて評価した(McAulayら、Ped.Pulm.S17、Abs.141、1998)。ビクニン(15ug.ml−1:70nM)は、正常なHBE細胞(n=5−8;p≦0.05)で54%Na+Iscを明らかに阻害した。
全体的に、ビクニン(70nM)は、90分で基本線Iscの58%を阻害した。別の研究では、ビクニン(5ug.ml−l)は、正常なHBE細胞(n=6;p≦0.01)で84%Na+Iscを明らかに阻害した一方で、セルピンファミリーのセリンプロテアーゼ阻害剤アルファ(1)−プロテアーゼ阻害剤(α−PI)(50μg・ml−1)は、明白な効果がなかった。インビトロで培養されたヒト膿胞性腺維症の気道上皮細胞で、Iscは、ビクニン(1−170)(1μg/mL)によって阻害され、そしてアプロチニン(20μg/mL)によって阻害された。
単独の研究群による2つの最近の研究では、TMVにおけるプロテアーゼ阻害剤で誘導される効果が示された。抗原感作の30分前、または感作の1時間後のいずれかに示されるα−PI(10mg)は、感作の6時間後に、アレルギーのヒツジでのTMVにおける抗原誘導還元の力を減じた(O’Riordanら、Am.J.Resp.Crit.Care Med.97(5):1522−1528、1997)。図1で、O’Riordanら、1997年の文献で、著者らは、それ自体(非抗原感作)で、アレルギーのヤギの気道に投与されたα−PIは、6時間の期間中基本線TMVでの効果を示さなかった。第2の研究で、α−PIは、抗原感作の6時間後に付与され、そして感作の24時間後に、抗原誘導の明らかな逆行によってのみ引き起こされた(O’Riordanら、App.Physio.85(3):1086−1091、1998)。著者らは、α−PIの効果についての機構は、それの抗神経親和性エラスターゼ特性に関連し、神経親和性エラスターゼは、それらのモデルでの粘膜毛様体クリアランスの速度を減少させる原因である酵素であると考えられる。それらは、α−PIは、喘息におけるアレルギー誘引神経親和性エラスターゼ放出によって引き起こされる粘膜毛様体機能不全を治療するために使用され得ると結論づけた(O’Riordanら、1988)。かれらは、他の呼吸器疾病で潜在的役割を推測しなかった。
発明の簡単な要約
本発明は、肺の気道中の粘液および痰の粘膜毛様体クリアランス(MCC)の速度を刺激するクニッツ(Kunitz)ファミリーのセリンプロテアーゼ阻害剤の使用に向けられる。クニッツ(Kunitz)型プロテアーゼ阻害剤は、粘膜の滞留および蓄積が、主要な臨床問題である膿胞性腺維症(CF)、慢性気管支炎(CS)および気管支拡張症(BE)等の肺疾病を治療するために使用され得る。現在まで、先行技術は、基本線速度より上のMCCの速度を増大する能力を有するプロテアーゼ阻害剤に関連しなかった。クニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤は、粘液の滞留および蓄積が臨床的問題である慢性副鼻腔炎および粘性耳を治療するためにも使用できる。
本発明は、MCCを刺激する方法に使用するためのクニッツ(Kunitz)ドメインまたはクニッツ(Kunitz)様ドメインを含むセリンプロテアーゼ阻害剤タンパク質の使用を意図する。本発明の1つの実施形態では、アプロチニン等のウシセリンプロテアーゼ阻害剤タンパク質、および1998年1月28日に刊行されたEP821007号に記載されるもののような変異体およびその断片が、本発明を実施する上で使用され得る。
本発明の別の実施形態では、ヒトセリンプロテアーゼ阻害剤は、MCCの速度を刺激する方法に使用することが意図される。ヒトのセリンプロテアーゼ阻害剤の代表例としては、ビクニンおよび1997年9月18日に刊行されたWO97/33996(Bayer Corp.)、および1995年4月18日に発行された米国特許第5,407,915号(Bayer AG)に記載されるもののような変異体およびその断片が挙げられ、そしてそれは全体的にここに組み込まれる。
本発明は、図面と共に以下の詳細な説明および特許請求の重要性からよりよく理解される。
発明の詳細な説明
本発明は、肺気道中の粘液および痰の粘膜線毛クリアランスの速度を刺激するクニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤タンパク質およびそれの断片を含む組成物に関する。組成物は、クニッツ(Kunitz)クラスの2つのセリンプロテアーゼ阻害ドメインを含むここでヒト胎盤ビクニンと称される、新たに同定されたヒトタンパク質も含む。
本発明はまた、生物学的に匹敵するビヒクルでの、有効量の本発明の開示セリンプロテアーゼ阻害剤を、患者に投与することを特徴とする、粘膜線毛機能不全を示す患者における粘膜線毛クリアランスの速度を刺激する方法を提供する。
胎盤ビクニン、単離ドメイン、および他の異性体の好ましい使用は、疾病療法および管理の一部としてCF患者での粘膜線毛クリアランスを刺激するためのものである。これらの方法および組成物は、慢性閉鎖性肺疾病を示す患者において肺気道で粘液および痰連続発生を減少または排除し、それにより二次肺感染および他の有害な副作用の危険を減少させ、同様に、CF患者における肺移植手術の必要性を避けるか、または遅延させる。
本発明の方法は、MCCを刺激するためのアプロチニンの使用を意図する。アプロチニンは、両生類ツメガエルの腎臓上皮細胞(A6細胞)の先端膜での上皮内Na+輸送を減少させることが示された(Valletら、1997:Chraibiら、1998)。アプロチニン作用の機構は、A6細胞でのNa+チャネル活性を調節することに関与されるプロテアーゼである、CAP−1の阻害に関与することが提案された。ウシアプロチニンの2つのクニッツ(Kunitz)ドメインヒト相同体(Delariaら、1997:Marlorら、1997)であるビクニン(1−170)は、インビトロで正常の培養ヒト気管支上皮細胞(HBE)短い電流(Isc)を明らかに阻害することも示された(McAulayら、1998)。ビクニン(1.5ug.ml−1:70nM)が、正常なHBE細胞での54%Na+Iscを明らかに阻害した(n=5−8;p≦0.05)。
全般に、ビクニン(70nM)は、90分間で基本線Iscの58%を阻害した。別の研究では、ビクニン(50ug.ml−l)は、正常なHBE細胞での84%Na+Iscを明らかに阻害した(n=6;p≦0.01)一方で、セルピンファミリーのセリンプロテアーゼ阻害剤アルファ(1)−プロテアーゼ阻害剤(α−PI)(50ug.ml−l)は、有為な効果がなかった。インビトロでの培養ヒト膿胞性腺維症気道上皮細胞で、Iscは、ビクニン(1−170)(1ug/mL)によって阻害され、そしてアプロチニン(20ug/mL)によって阻害された。
これらの観察の観点で、アプロチニン、胎盤ビクニンおよびその断片等のクニッツ(Kunitz)型セリン阻害剤は、膿胞性腺維症を含めた粘膜線毛の機能不全を治療するための治療薬として意図される。
「クニッツ(Kunitz)阻害剤」によって、プロテアーゼの阻害剤が意図される;構造的に、「クニッツ(Kunitz)阻害剤」または「クニッツ(Kunitz)ドメイン」は、特徴的には、長さ約60個のアミノ酸で、そして3個のジスルフィド結合を含むタンパク質、またはタンパク質ドメインである。(LaskowskeおよびKato、Ann.Rev.Biochem.49、593−626、1980参照)。
本発明のセリンプロテアーゼ阻害剤ビクニンおよび断片およびその類似体のクニッツ(Kunitz)ドメインの明らかな利点は、それらが、ヒトタンパク質であり、そしてTrasylol(商標)(実施例1)より正に負荷されことが少なく、それにより大用量のタンパク質の投与で腎臓損傷の危険を減少させることである。ヒト起源のものであるので、したがって、本発明のタンパク質は、Trasylol(商標)の同様の用量の投与と比較して、望まれていない免疫学的反応の危険を著しく減少させながら、ヒト患者に投与される。さらに、ビクニン(102−159)、ビクニン(7−64)、およびビクニン(1−170)が、インビトロでTrasylol(商標)より血漿カリクレインの著しく、いっそう強力な阻害剤であることが分かった(実施例3、4および10)。したがって、ビクニンおよびその断片は、アプロチニンに対応してインビボでいっそう有効であることが予測される。使用されるべき医薬阻害剤の量は、治療されるべき享受者および症状に依存する。必要量は、当業者に知られるプロトコルによる不都合な経験なしに決定され得る。代替的に、必要量は、症状を治療するために阻害されるべきプラスミン、カリクレイン、またはプロスタシンのような標的プロテアーゼの量の測定に基づいて計算され得る。本発明で意図される活性材料として、活性剤の任意に必要とされる量の過剰を投与することに好ましく関与する毒性のない治療と考えられる。
慢性の閉鎖性肺疾患を示す患者における粘膜線毛クリアランスの速度を刺激するために、本発明のタンパク質は、アプロチニンTrasylol(商標)のように使用できる一方で、大量に取った場合、効力が異なる。Trasylol(商標)の使用は、Trasylol(商標)補足Aについて列記しているPhysicians Desk Reference(医師の机上参照)、1995年で概説される。簡便には、スピン位置にある患者で、胎盤ビクニン、単離ドメインまたは他の変異体の負荷用量は、約20から30分かけてゆっくりと流入することによって付与される。一般に、約2×106KIU(カリクレイン阻害単位)および約8×106KIUの間の総用量が、患者の体重および症状のような因子によって、使用される。好ましい負荷用量は、100から200カリクレイン阻害単位(KIU)の総量を含むものである。
本発明のタンパク質は、当業者に知られる方法で処方された医薬組成物で使用される。このような組成物は、意図される投与態様および投薬によって、活性成分(類)に加えて1つまたはそれ以上の医薬上許容し得る担体、希釈剤、充填剤、結合剤、および他の賦形剤を含有する。当業者に知られる治療上不活性な無機または有機担体の例は、それに限定されないが、ラクトース、コーンスターチ、またはその誘導体、タルク、植物性油、蝋、脂肪、ポリエチレングリコール等のポリオール、水、サッカロース、アルコール、グリセリン等が挙げられる。種々の防腐剤、乳化剤、分散剤、香料、湿潤剤、抗酸化剤、甘味料、着色剤、安定剤、塩、緩衝剤等も、処方の安定性で補助すること、または活性成分(類)の生物利用性を増大する上で補助すること、または経口、鼻内または肺投与の場合に許容し得る風味および臭いの処方を生じるが必要とされる場合、添加され得る。このような組成物で使用される阻害剤は、元来の化合物それ自体の形態であるか、または任意に、医薬上許容し得る塩の形態であり得る。そのように処方された組成物は、当業者に知られる任意の適切な態様によって、阻害剤の投与のために必要とされる場合に選択される。
非経口投与態様としては、静脈内(i.v.)、皮下(s.c.)、腹腔内(i.p.)、および筋肉内(i.m.)経路が挙げられる。静脈内投与は、必要とされ得る場合に、薬剤の頂上の血漿中濃度の急性調節を得るために使用され得る。
代替的には、薬剤は、静脈内(i.v.)カテーテルによって連続して所望の速度で投与され得る。適切なビヒクルとしては、注射用の滅菌水、滅菌緩衝溶液または滅菌生理食塩水のような無菌で、非発熱物質性水性希釈剤が挙げられる。得られる組成物は、静脈内注射または注入によって、実験の前におよび/または間に患者に投与される。
炎症に関与した好中球およびマクロファージのような食胞に対する薬剤の半減期および標的を改善して、リポソーム中の薬剤の捕捉によって援助され得る。胃腸管および肺のような標的器官/組織に特異的な巨大分子に結合するリポソームリガンドの外側に組み込むことによって、リポソームのターゲティングの選択性を改善することは可能であるにちがいない。代替的に、薬剤の分解性ミクロスフェア(例えば、ポリ−DL−ラクチド−コ−クリコライドを含むもの)への封入を有するかまたは有しないimまたはsc沈降注射またはコラーゲンを含有する保護処方は、長期化した持続薬剤放出を得るために使用され得る。投薬の便宜が改善されるために、腹腔内移殖されたリザーバおよび打診システムのような中隔を使用することが可能である。便宜および患者の苦情が改善されるのも、注射ペン(例えば、Novo pinまたはQ−pen)または針のないジェット注入(例えば、Bioject、MedijectまたはBecton Dickinsonから得られる)のいずれかの使用によって達成され得る。正確に制御された放出も、カニューレを介して所望の部位への送出を伴う移殖可能なポンプを用いて達成され得た。実施例としては、ALZET浸透ポンプのようなALZAから入手可能な皮下で移殖された浸透ポンプが挙げられる。
経口送出は、薬剤を、消化性プロテアーゼ活性が低い回腸に薬剤を放出するように設計された錠剤、被覆錠剤、糖衣錠、硬質および軟質ゼラチンカプセル、溶液、乳液、懸濁液または腸溶カプセルに組み込むことによって達成され得た。後者の例としては、ALZAのOROS−CT/Osmet(商標)システム、およびScherer Drug Delivery SystemsのPULSINCAP(商標)システムが挙げられる。他のシステムは、コロニー特異的アゾレダクターゼによって分解されるアゾ架橋高分子、または回腸でのpHでの上昇によって達成されるpH感受性ポリアクリル酸高分子を使用する。上のシステムは、広汎な利用可能な吸収増強剤と接合して使用され得る。直腸送出は、薬剤を、坐剤に組み込むことによって達成され得る。
鼻内送出は、薬剤を、リン脂質またはアシルカルニチンのような適切な吸収強化剤と接合して、セルロース、ポリアクリレートまたはポリカルボフィルを含むもののような生物的粘着性粒子担体(<200mm)に組み込むことによって達成され得た。市販で入手可能なシステムとしては、Dan Biosys and Scios Novaによって開発されたものが挙げられる。
粘膜線毛クリアランスの速度を刺激するために、本発明の胎盤ビクニン変異体の投与の好ましい態様は、肺送出である。ここに開示されるクニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤は、任意の適切な手段によって対象の肺に投与され得るが、しかし好ましくは、対象が吸い込む、活性化合物からなる吸引可能な粒子のエアロゾル懸濁液を投与することによって投与され得る。吸引可能な粒子は、液体または固体であり得る。マンニトール、ショ糖またはラクトース等の適切な担体中に医薬品を含有する微細サイズの乾燥粉末は、Inhale(商標)、Dura(商標)、Fisons(Spinhaler(商標))、およびGlaxo(Rotahaler(商標))またはAstra(Turbohaler(商標))噴射剤基本のメータ測定用量吸入器等の乾燥粉末吸入器を用いて肺気道表面に送出され得る。リポソームを有するか、または有しない溶液処方は、ネブライザを使用して送出され得る。
タンパク質を含む液体粒子のエアロゾルは、圧力起動エアロゾルネブライザまたは超音波ネブライザを用いるような任意の適切な手段によって生成され得る。
例えば、米国特許第4,501,729号参照。ネブライザは、狭い換気口を介して圧縮気体、主に空気または酸素を促進する手段によるか、また超音波曝気の手段によるかのいずれかによって、活性成分の溶液または懸濁液を、治療用エアロゾルミストに変換する市販で入手可能なデバイスである。ネブライザに使用するための適切な処方は、液体担体中の活性成分からなる。担体は、主に水(および最も好ましくは滅菌した発熱物質不含の水)または希釈水性アルコール溶液であり、好ましくは、例えば、塩化ナトリウムを添加することによって、体液と等張で作られる。任意の添加剤としては、処方が、無菌にならない場合、ヒドロキシ安息香酸メチル等の防腐剤、抗酸化剤、風味剤、揮発性油、緩衝剤および界面活性剤が挙げられる。
そのタンパク質を含む固形粒子のエアロゾルは、同様に、任意の固形粒子医薬品エアロゾル発生装置で製造され得る。固形粒子医薬品を対象に投与するためのエアロゾル発生装置は、上に例示されるとおり、吸入可能であり、そしてヒト投与に適切な速度で、予め決められた計測用量の医薬品を含む多量のエアロゾルを発生する粒子を生成する。1つの例示型の固形粒子エアロゾル発生装置は、注入器である。注入器による投与のために適切な処方は、注入器の手段によって送出されるか、またはスナッフの手段で鼻内空洞に取り込まれ得る微細に粉砕した粉末が挙げられる。注入器で、粉末(例えば、ここに記載される治療を行うのに有効なその測定した用量)は、カプセルまたはカートリッジに含有され、主に、その場所に貫入されるか、または開放されるかのいずれかであるゼラチンまたはプラスチック、そして吸入によりデバイスを通して、または手動で操作されるポンプの手段によって引き込まれる空気によって送出される粉末から作られる。注入器に使用される粉末は、タンパク質唯一、またはタンパク質、ラクトース等の適切な粉末希釈剤、および任意の界面活性剤を含む粉末ブレンドからなる。第2の型の例示エアロゾル発生装置は、計測した用量吸入器を含む。計測した用量吸入器は、エアロゾル分散剤、主に液体噴射剤中の活性成分の懸濁物または溶液処方を含む加圧エアロゾル投薬器である。これらのデバイスを使用する間に、特に10から200uLまでの計測した量を送出して、タンパク質を含有する微細な粒子スプレーを生じるのに適合した値を通して処方を放出する。適切な噴射剤としては、特定のクロロフルオロカーボン化合物、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンおよびその混合物が挙げられる。処方は、さらに、エタノール等の1つまたはそれ以上の共溶媒、オレイン酸またはトリオレイン酸ソルビタン等の界面活性剤、抗酸化剤および適切な風味剤を含み得る。
計測用量注入器または乾燥粉末注入器デバイスとして、エアロゾルは、固形または液体粒子から形成されるかにかかわらず、分当たり約5から150リットル、さらに好ましくは分当たり約10から100リットルまで、そして最も好ましくは、計測用量吸入器については、分当たり約10から50リットル、そして最も好ましくは、乾燥粉末吸入器については、分当たり約60リットルの速度で、エアロゾル発生装置によって生成され得る。ネブライザ、ジェットまたは超音波によって発生されたエアロゾルは、分当たり約1から約100リットル、さらに好ましくは分当たり約4から10リットルまでの速度でエアロゾル発生装置によって生成され得る。多量のタンパク質を含有するエアロゾルは、いっそう迅速に投与され得る。
プロテアーゼ阻害剤の投与量は、治療されるべき症状、および対象の状態によって変化する。毎日用量は、1または数単位用量投与の中で分割され得る。重量による毎日用量は、対象の年齢および症状によって、ヒト対象に対して約0.01から20ミリグラムまでの吸入可能な粒子の範囲にあり得る。
本発明のプロテアーゼ阻害剤を含有する固体または液体粒子の医薬処方は、吸入可能なサイズの粒子、すなわち、吸入による口および喉頭を通して、そして肺の気管支および肺胞まで通過するのに十分に小さなサイズの粒子を包含すべきである。一般に、サイズで約1から8ミクロンまで(さらに詳細には、サイズで約6ミクロンより低い)の範囲にある粒子は、吸入し得る。エアロゾル中に含まれる非吸入可能なサイズの粒子は、喉に沈着され、そして飲み込まれる傾向にあり、そしてエアロゾル中の非吸入可能な粒子の量は、好ましくは最小限である。鼻内投与については、10−500ミクロンの範囲内の粒子サイズは、鼻内空洞中の滞留を確保することが好ましい。
本発明による処方の製造で、プロテアーゼ阻害剤は、典型的に、とりわけ許容し得る担体と混和される。もちろん、担体は、処方中の任意の他の成分に匹敵するという点で許容し得るべきであり、そして患者に有毒であってはならない。担体は、固体または液体、またはその両方でありえ、そして好ましくは、単位用量処方、例えばカプセルとして化合物で処方され、そしてそれは、0.5重量%から99重量%の活性化合物を含み得る。1つまたはそれ以上の活性化合物は、その処方が、基本的に、成分を混和することからなる薬学のよく知られた技術のうちのいずれかによって製造され得る本発明の処方に組み込まれ得る。
プロテアーゼ阻害剤の吸入可能な乾燥粒子を含む組成物は、乳鉢と乳棒で阻害剤を粉砕し、そしてその後、微細化組成物に400メッシュのスクリーンを通過させて、大きな凝塊を破壊または分離することによって製造され得る。医薬組成物は、任意に、エアロゾルの形成を促進するために働く分散剤を含有し得る。
適切な分散剤は、ラクトースであり、そしてそれは、任意の適切な速度(例えば、重量で1対1の比)で活性剤とブレンドされ得る。
所望の場合、一般のエクスビボおよびインビボでの遺伝子療法攻略法は、WO97/33996(Bayer Corp.)および米国特許第5,407,915号(Bayer AG)に記載されるもののような、ビクニン、アプロチニンまたはその断片および変異体のようなクニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤タンパク質をコードする核酸構築物を送出するために使用され得る。初発的にウイルス基本である遺伝子療法技術は、肺中のCFの徴候を治療するための手段として、そして外部肺組織に関連した肺細胞を形質転換するために使用された。
1993年3月3日に刊行された、CF患者でのCFTR遺伝子の適切な発現について、レトロウイルスおよび非レトロウイルス性ベクター(例えば、アデノウイルスおよびアデノ関連ウイルス)の使用を記載するWO98/03709参照。代替的には、外因性核酸の送出するための非細菌性方法も、知られており、そして本発明に使用することが意図される。哺乳類で機能する配列を調節するために操作的に連結されるCFTR分子についてのコーディング配列を含む転写または発現カセットを記載する、1993年6月24日に刊行されたWO93/12240、そしてそこに引用される文献参照。その後、核酸構築物は、エアロゾル化送出単独、または液体基本の複合体、例えばLipofectin(商標)と組合せて含む多数の方法で、気道および肺の肺胞に供給される。1995年10月5日に刊行されたWO95/26356では、形質移入に有用な液体の個々の例が記載される。したがって、本発明で、ビクニン、アプロチニンまたはその変異体および断片のようなクニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤をコードする核酸分子が、このような治療の必要である対象で、粘膜および痰の粘膜線毛クリアランスの速度を刺激する手段のような任意の適切な遺伝子療法によって肺気道に同様に投与され得ることが意図される。
ヒト配列データの検索
アプロチニンに対する機能で相同な区別できるヒトタンパク質の存在は、NCB1(National Center for Biological Information(生物学情報のための国立センター)、Maryland)で発現配列タグのデータベース(以降、dbESTと称される)への配列進入の特徴的な分析に従って推定された。TBlastNアルゴリズム(BLAST、または、Basic Local Alignment Search Tool)を使用するのは、Altschulら、(1990)の、J.Mol Biol 215、00 403−410の方法を使用して、任意の組合せで、データベースのタンパク質または核酸中の照会配列と全ての配列との間の類似性について調べる)を使用して、データベースを、ウシの前−後アプロチニンTrasylol(商標)の配列に相同性を持っているヌクレオチド配列について試験した。膨大なクローンのこの調査は、アプロチニンに対する機能で類似性のあるヒトタンパク質に対応する推定アミノ酸配列をおそらくコードし得る2つの特定のクローンに選択的に範囲を限定した。選択された核酸配列は、ヒト胎盤核酸ライブラリーから発生されたR35464(配列番号:12)およびR74593(配列番号:14)であった。R35464についての最長のオープンリーディングフレームでの翻訳タンパク質配列(配列番号:13)は、クリッツドメイン共有結合構造の形成に重要である6つのシステインのうちの1つを欠失しており、そしてそれは、R35464の核酸配列が、機能性阻害剤を生じ得ないことを意味した。同様に、クローンR74593(配列番号:15)から得られる最長翻訳オープンリーディングフレームは、クニッツ(Kunitz)様タンパク質をコードする領域に対する終止コドン5’を含み、それによりこの配列が翻訳されて、機能性分泌クリッツドメインを生じえないことが意味された。これらの配列単独の有為性は、不明瞭であった。それらが、a)偽遺伝子の産物、b)未翻訳mRNAの領域、またはc)不正確に配列決定された信頼性のあるmRNAの産物を表すことが可能であった。
ヒトビクニンの知見
実際のヒト配列を特異的に単離および測定するために、cDNAプライマーは、R35464およびR74593内に見られる我々の提案したクリッツ様配列をコードするcDNAのセグメントに対して5’および3’に配置される配列にハイブリッド形成する能力があるように設計された。R74593のクリッツ様配列をコードする断片を増幅するために使用されるプライマーは、
(化1)
CGAAGCTTCATCTCCGAAGCTCCAGACG
(HindIII部位を有する3’プライマー;配列番号33)および
(化2)
AGGATCTAGACAATAATTACCTGACCAAGGA
(XbaI部位を有する5’プライマー;配列番号:34)であった。
これらのプライマーは、PCR(30サイクル)によって、Clontechからヒト胎盤cDNAライブラリー(MATCHMAKER、カタログ番号HL4003AB、Clontech Laboratories、Palo Alto、CA)から得た500塩基対産物を増幅するために使用され、そしてそれは、ブルースクリプト−SK+にサブクローニングされ、そしてSequenase(商標)キット、バージョン2.0を有するT3プライマーで配列決定した。驚くべきことに、我々のプライマーを用いて得られた断片の配列は、クローンR74593についてのdbESTデータベースに列記される配列と異なった。特に、我々の新たな配列は、推定終止コドンに3’で挿入されるが。クニッツ(Kunitz)様配列をコードするセグメントに5’で挿入される追加のグアノシン塩基を含有した(図3)。追加のGの挿入は、クニッツ(Kunitz)様ドメインについてのリーディングフレームの外に終止コドンを移行させた(R74593についての訂正配列の塩基対114でG;図3)。
R74593のクリッツ様ペプチド配列に相同な配列についてのdbESTの連続照会は、ヒト網膜ライブラリーから誘導されるH94519およびN39798を生じた。これらの配列は、特徴的システインのうちの全ての6つを含有すること以外は、R35464でコードされるクニッツ(Kunitz)様ドメインにほとんど一致するクニッツ(Kunitz)様配列を含んだ。R74593(塩基対114でGの挿入により訂正された)およびR35464のものとの各々のヌクレオチド配列の重複は、部分的ヒト胎盤ビクニン(配列番号:9;図3)についての共通ヌクレオチド配列を生じるために使用した。翻訳共通配列は、それぞれ、アミノ酸残渣17−64および102−159の領域内に、2つの完全なクニッツ(Kunitz)様ドメイン配列を含有した残渣―18と+179からから拡張するオープンリーディングフレームを生じた(図3;全翻訳配列番号:10)。
さらなる努力は、dbESTをR35464の配列と照合することによって別の5’配列を得るために試みられた。その後、別の5’配列を保持する各調査から可能なマッチは、dbESTを再照会するために順次使用された。このような反復の形態では、H16866、T66058、R34808、R87894、N40851およびN39876を含めた一連の重複5’配列が同定された(図4)。これらの配列のうちのいくつかの配列は、共通翻訳タンパク質配列の合成のための出発部位として働き得る5’ATGの存在が示唆された。この選択された情報から、ここで選択的にスクリーニングし、そしてアプロチニンと相同なヒトタンパク質の核酸およびポリペプチド配列を決定することが可能であった。
dbESTの再取り調べは図4Bに模式図で示される、多くの新たなESTを表した。これらの追加のESTとの重複は、我々に、図3で描かれる元来のオリゴヌクレオチド配列に属す5’および3’の両方を延長するより大きな共通オリゴヌクレオチド配列(図4C)を構築させた。実際に、総長さ1.6キロ塩基の新たな配列は、3’ポリ−A尾部まで全ての方法を拡張した。各塩基対位置で、ESTを重複する増大した数は、EST R74593の3’末端と重複する配列のような特定の領域での信頼のレベルを改善した(図3)。この領域でのいくつかの重複ESTは、R74593に対する2つの重要な塩基欠失を確証した(図4Cで下線付の太字として配置され、地図の位置994および1005)。枠をコードするビクニンでの新たな共通配列(図4D)の翻訳は、生来の共通(配列番号:1)からコードされる成熟配列(179アミノ酸)より大きい(248アミノ酸)である胎盤ビクニンの形態を生じ、そしてオリゴヌクレオチド共通内の枠内終止コドンによって終了された。サイズ増大は、EST R74593に特徴的な2つの塩基挿入を取除くことから生じる3’コーディング領域での枠シフトによった。枠シフトは、別のアミノ酸配列をコードする新規の枠に読み取ることができる枠の外に生来の共通の終止コドン(図3)を移動した。新たな翻訳産物(図4D)は、(クニッツ(Kunitz)ドメインをコードする)残渣+1から+175までの間の生来のタンパク質共通配列(配列番号:1)に一致したが、推定24の残渣の長い粘膜貫通ドメイン(図4Dに下線付き)、続いて短い31残渣の細胞質ドメインを示す新たなC末端延長を含んだ。開始メチオニンおよびシグナルペプチドの回りの精密な配列は、この領域での重複ESTはもとより、相当の異質性によりある程度一次的であった。
Geneworks(商標)によるタンパク質配列の分析は、推定N−結合グリコシル化についての共通部位として位置30および67でアスパラギン残渣を目立たせた。アスパラギン30は、グリコシル化されるべきものと一致して、ヒト胎盤から単離される全長のタンパク質のN−末端配列決定の間には観察されなかった。
ヒトビクニンのクローニング
図3の分析から結論される推定ヒトビクニンヌクレオチド配列に対応するヒトmRNAの存在は、以下のとおり確認された。図3の胎盤ビクニン配列をコードするcDNA共通ヌクレオチド配列から予測されるサイズ(約670塩基対)の断片である、Clontechのヒト胎盤ライブラリーから得られる、R35464のcDNA配列(図3中で共通ヌクレオチド配列の塩基対3−27)をコードするクニッツ(Kunitz)に5’をハイブリッド形成する核酸プライマー:
(化3)
GGTCTAGAGGCCGGGTCGTTTCTCGCCTGGCT
GGGA
(Xbal部位を有するR35464配列から誘導される5’プライマー;配列番号:35)、およびR35464のcDNA配列(図3中で共通ヌクレオチド配列の塩基対680−700)をコードするクニッツ(Kunitz)に3’をハイブリッド形成する核酸プライマーが、PCR増幅に使用された(図4Aで概略的に示された)。上に使用されるとおり、R74593に同じ3’プライマーに加えて、上に開示される推定ATG出発部位に対する5’で126塩基対であるR35464での配列にハイブリッド形成する5’プライマーを使用して、EST重複によって推定される予測サイズ(およそ872塩基対)のClontechのヒト胎盤ライブラリーから得られる断片を増幅することが可能である(図4で概略的に示された)。
872塩基対の断片の配列決定は、それの5’末端でEST R87894の塩基対110から218まで、そしてその3’末端で(図3の)EST重複分析から結論づけられる胎盤ビクニンについての共通配列の310から542塩基対に対応するヌクレオチドセグメントを含有することを示した。この3’ヌクレオチド配列は、胎盤ビクニン(102−159)によってクニッツ(Kunitz)様ドメインの全てを含んだ。
タンパク質の全体の細胞外領域をコードするcDNAを得るために、EST R34808内の配列にハイブリッド形成するように設計された以下の5’PCRプライマー:
(化4)
CACCTGATCGCGAGACCCC
(配列番号:36)は、ヒト胎盤cDNAライブラリーから得られるおよそ780塩基対のcDNA産物を増幅(30サイクル)するEST74593と同じ3’プライマーと共に使用した。この産物は、ゲル精製され、そしてジデオキシ法(Sanger F.ら、(1977)Proc.Natl.Acad.Sci(USA)、74、5463−5467頁)によって、以下のプライマー:
Figure 2006232810
Figure 2006232810
を用いてDNA配列決定のためのTAベクター(インビトロゲン)にクローン化した。
生じるcDNA配列は、その翻訳産物と共に図4Eに描かれる。ヌクレオチド濃度で、配列は、共通EST配列(図4D)からわずかな差異のみを示した。その配列の翻訳は、枠内開始剤ATG部位、シグナルペプチドおよび成熟した胎盤ビクニン配列および膜貫通ドメインを含むコーディング配列を生じた。PCR産物の翻訳配列は、PCR増幅についての3’プライマーの選択の選択の結果として細胞質ドメインから最後の12のアミノ酸残渣を欠失していた。3’PCRプライマー(R74593の配列に基づいて設計された)のこの選択は、翻訳PCR誘導配列のアミノ酸位置211で人工的SからFまでの突然変異の導入に起因もした。PCR断片の翻訳から推定されるシグナルペプチドは、EST共通のものにある程度異なった。
全長の胎盤ビクニンcDNAを得るために、PCR由来産物(図4E)を、ゲル精製し、そしてビクニン配列を表す非PCR基本の全長クローンを単離するのに使用した。PCR誘導cDNA配列を、ハイプライム(BoehringerMannheim)によって32P−CTPで標識し、そしてコロニーハイブリッド形成技術を使用して、胎盤cDNAライブラリー(Stratagene、Unizap(商標)λライブラリー)をプローブするために使用した。およそ2×106ファージプラークは、3回のスクリーニングおよびプラーク精製を受けた。2つのクローンは、制限酵素分析によって測定され、そしてEST共通配列(上記参照)のサイズでの比較に基づいて、全長(−1.5キロベース)と思われた。ジデオキシ方法によるこれらのクローンのうちの1つの配列決定は、図4Fで描かれるオリゴヌクレオチド配列を生じた。この配列から得られる翻訳産物は、枠内開始剤メチオニン、シグナルペプチドおよび成熟胎盤ビクニン配列を伴うタンパク質を生じた。シグナルペプチド配列長および配列が異なるが、成熟骨盤ビクニン配列は、EST共通の翻訳によって誘導される成熟タンパク質の配列に一致した。PCR誘導産物と異なり、コロニーハイブリッド形成によって誘導されるcDNAは、全体の外側ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞質ドメインおよび枠内終止コドンを含んだ。実際に、クローンは、ポリ−A尾部に全ての方法で伸びた。開始剤メチオニンは、PCR誘導クローンでコードされたシグナルペプチドに一致する疎水性シグナルペプチドに続いた。続いて、我々は、Sf9細胞(実施例9)およびCHO細胞(実施例17)から得られる、胎盤ビクニン、ビクニン(1−170)の可溶性断片を発現および精製し、そしてそれらは、機能性プロテアーゼ阻害剤(実施例10および18)であることが分かった。さらに、我々は、活性プロテアーゼ阻害剤(実施例7)としても胎盤ビクニンの可溶性断片であるヒト胎盤から単離した。上の観察に基づいて、可溶性タンパク質と同様に細胞の表面に膜貫通タンパク質として存在する能力を有する。クニッツ(Kunitz)ドメインを含む他の膜貫通タンパク質は、蛋白分解性プロセシングを受けて、可溶性で膜関連形態の混合物を得ることが知られている。これらは、APP751(Esch F.ら、(1990)Science、248、1122−1124頁)およびAPP770(Wang R.ら(1991)、J.Biol Chem、266、16960−16964頁)と称されるアミロイド前駆体タンパク質の2つの形態を含む。
接触活性化は、凝固カスケードの成分に、損傷を受けた血管表面の露出によって達成されるプロセスである。脈管形成は、内皮表面でプラスミンの局所活性化に関与するプロセスである。細胞表面に固定する胎盤ビクニンの特異性およびその推定許容量は、膜貫通胎盤ビクニンの生理学的機能が、接触活性化および脈管形成の調節を含み得ることを示唆する。
胎盤ビクニン(7−64)、ビクニン(102−159)、および全長胎盤ビクニン(図4F)についてのアミノ酸配列を、PIR(バージョン46.0)およびPatchX(バージョン46.0)タンパク質データベース、並びにGenetics Computer Groupプログラム FastAを用いて特許を受けたデータベースのGeneSuq(バージョン20.0)タンパク質データベースについて調べた。Genetics Computer Groupプログラム TFastA(PearsonおよびLipman、1988、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85:2444−2448)を使用して、これらの同じタンパク質配列を、GenBank(96年1月26日までの最新版バージョン92.0)およびEMBL(修正されたバージョン45.0)ヌクレオチドデータベース、並びに特許を受けた配列のGeneSuq(バージョン20.0)ヌクレオチドデータベースの6つの枠の翻訳に対して調べた。GenBankおよびEMBLのESTおよびSTS副組は、この組の調査に含まれなかった。これらの調査から得られる最高のマッチは、クローンR74593およびR35464の我々の分析から誘導される58のアミノ酸タンパク質配列までそれらの全長より約50%の同一性のみがある配列を含んだ。
ヒトビクニンの単離
上述されたように、ビクニン(図3)について翻訳された共通配列から測定されるとおり、ビクニン(7−64)およびビクニン(102−159)に対応する合成ペプチドは、再び畳み込んで(それぞれ、実施例2および1)、活性なカリクレイン阻害剤タンパク質(それぞれ、実施例4および3)を生じえた。我々は、精製模式図を工夫して、ヒト組織からの生来の胎盤ビクニンを単離するこの予測されない特性を利用した。
最初の工程として、カリクレイン−セファロース親和性クロマトグラフィを使用する精製模式図を用いて、非常に精製された生来の強力なカリクレイン阻害剤を単離した。単離した生来のヒトビクニンは、共通核酸配列(図3)アミノ酸残渣+1から+50(実施例7)の翻訳によって推定される配列と同一のN末端を有した。これは、ヒト胎盤から単離される新規の生来のカリクレイン阻害剤の存在を最初に確認した。
公知であるクニッツ(Kunitz)様ドメインは、以下に挙げられる。標的プロテアーゼと接触させるべきであると信じられる残渣は、特別の興味のもの(太字/下線付)として目立たせる。これらの特定の残渣は、標識Xaaによって示されるとおり特定の文献について位置Xaa1−16と名付けられる。
ビクニン(7−64)(配列番号:4)
Figure 2006232810
ビクニン(102−159)(配列番号:6)
Figure 2006232810
組織因子経路阻害剤前駆体1(配列番号:18)
Figure 2006232810
組織因子経路阻害剤前駆体1(配列番号:19)
Figure 2006232810
組織因子経路阻害剤前駆体(配列番号:20)
Figure 2006232810
組織因子経路阻害剤前駆体2(配列番号:21)
Figure 2006232810
組織因子経路阻害剤前駆体2(配列番号:22)
Figure 2006232810
アミロイド前駆体タンパク質相同体(配列番号:23)
Figure 2006232810
アプロチニン(配列番号:24)
Figure 2006232810
内部−α−トリプシン阻害剤前駆体(配列番号:25)
Figure 2006232810
内部−α−トリプシン阻害剤前駆体(配列番号:26)
Figure 2006232810
アミロイド前駆体タンパク質(配列番号:27)
Figure 2006232810
コラーゲンα−3(VI)前駆体(配列番号:28)
Figure 2006232810
HKI−B9(配列番号:29)
Figure 2006232810
本発明の単離ドメインまたは他の変異体である胎盤ビクニンは、The peptides,Analysis,synthesis,Biology,2(ペプチド、分析、合成、生物学、2)における、Merrifield R.B.およびBarany G、Gross E.ら編、Academic Press(1980)第1章によって記載されるとおりt−Boc化学を使用するか、またはCarpino L.A.およびHan G.Y.、(1970)J.Amer Chem Soc、92、5748−5749によって記載され、そして実施例2に例示されるF−moc化学を使用するかのいずれかで標準固相ペプチド合成によって産生され得る。代替的に、胎盤ビクニン変異体をコードするDNAの発現は、組換え胎盤ビクニン変異体を産生するために使用され得る。
本発明は、カリクレインを特異的に阻害できる精製ヒトセリンプロテアーゼ阻害剤の使用を提供し、そしてそれは、親和性クロマトグラフィを介してヒト胎盤組織から単離された。ここで、ヒト胎盤ビクニンと称されるヒトセリンタンパク質阻害剤は、クニッツ(Kunitz)クラスの2つのセリンプロテアーゼ阻害剤ドメインを含む。1つの特定の実施形態では、本発明は、アミノ酸配列を有するタンパク質を具体化する:
Figure 2006232810
(配列番号:1)。
特に好ましい実施形態では、本発明は、アミノ酸配列を有するビクニンタンパク質(ビクニン(1−170))を提供する。
Figure 2006232810
(配列番号:52)。
1つの態様では、本発明を行う上で有用なタンパク質の生物学的活性は、それが、トリプシン、ヒト血漿および組織カリクレイン、ヒトプラスミンおよびファクターXIIaの生物学的活性に結合でき、そして実質的に阻害できることである。好ましい実施形態では、本発明は、グリコシル化形態で生来のヒト胎盤ビクニンタンパク質を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、それが少なくとも1つのシステイン−システインジスルフィド結合を含有するように形成された生来のヒトビクニンタンパク質を含む。好ましい実施形態では、タンパク質は、CYS11−CYS61、CYS20−CYS44、CYS36−CYS57、CYS106−CYS156、CYS115−CYS139、およびCYS131−CYS152からなる群から選択される1対のシステインの間に形成される少なくとも1つの鎖内システイン−システインジスルフィド結合を含み、システインは、生来のヒト胎盤ビクニンのアミノ酸配列によって数字をつけられる。通常の技術を有する者は、本発明のタンパク質が、生来のヒトビクニンの生物学的活性が、維持され、生来の鎖内システイン−システインジスルフィド結合のいずれもが存在しないか、1つまたはそれ以上または全てが存在する適切な三次元コンフォメーションに折り畳まれ得ることを認識する。最も好ましい実施形態では、本発明のタンパク質は、適切に折り畳まれ、そして適切な生来のシステイン−システインジスルフィド結合の全てと形成される。
本発明に使用するための活性なタンパク質は、胎盤のようなヒト組織から、または以下の実施例によって例示されるとおり、合成タンパク質化学技術を介して精製することによって得られる。本発明に使用するためのタンパク質が、分子生物学技術を用いて得られ、自己複製ベクターが、本発明のタンパク質を、形質転換細胞から発現させる能力のあることも分かる。このようなタンパク質は、形質転換細胞から非分泌または分泌形態として作成され得る。形質転換細胞からの分泌を促進するか、翻訳タンパク質の機能的安定性を増強するか、またはビクニンタンパク質の畳込みを助けるために、特定のシグナルペプチド配列を、生来のヒトビクニンタンパク質のNH2−末端部分に添加し得る。
1つの実施形態において、本発明は、したがって無傷の生来のシグナルペプチド配列の少なくとも一部と共に生来のヒトビクニンタンパク質を供給する。このように、本発明の1つの実施形態は、アミノ酸配列:
Figure 2006232810
(配列番号:2)を有するシグナルペプチドの少なくとも一部と共に生来のヒトビクニンを提供する。
好ましい実施形態では、本発明は、アミノ酸配列:
Figure 2006232810
(配列番号:53)を有する無傷の先導セグメントと共に、配列番号:52のアミノ酸配列を有する無傷の先導配列の一部と共に、生来のヒトビクニンの使用を提供する。
好ましい実施形態では、本発明は、アミノ酸配列:
Figure 2006232810
(配列番号:54)を有する無傷の先導セグメントと共に、配列番号:52のアミノ酸配列を有する無傷の先導配列の一部と共に、ビクニンタンパク質の使用を提供する。
ここに使用される好ましい番号付けシステムでは、+1と番号付けされたアミノ酸は、生来のヒト胎盤ビクニンについてのアミノ酸配列のNH2末端に付与される。誰もが、機能性タンパク質断片が、生来のヒト胎盤ビクニンから誘導され得ることを十分に認識し、そして生来のヒト胎盤ビクニンの少なくとも生物学的活性の一部を維持し、そしてセリンプロテアーゼ阻害剤として作用する。
1つの実施形態では、本発明の方法に使用するためのタンパク質は、以下「ビクニン(7−159)」と称される、生来のヒト胎盤ビクニンアミノ酸7−159のアミノ酸配列を有する、少なくとも1つの機能性クニッツ(Kunitz)様ドメインを含有する生来のヒト胎盤ビクニンの断片を含む。したがって、本発明は、アミノ酸配列:
Figure 2006232810
(配列番号:3)を有するタンパク質を使用する方法を具体化する。式中、アミノ酸番号付けは、生来のヒト胎盤ビクニンのアミノ酸配列のものに対応する。
この実施形態の別の機能性異性体は、生来のヒト胎盤ビクニンの断片であり得て、そしてそれは、生来のヒト胎盤ビクニンアミノ酸11−156のアミノ酸配列、ビクニン(11−156)
Figure 2006232810
(配列番号:50)を有する少なくとも1つの機能性クニッツ(Kunitz)様ドメインを含む。
個々のクニッツ(Kunitz)様ドメインが生来の胎盤ビクニンの断片でもあることを、誰もが認識できる。特に、本発明は、以下「ビクニン(7−64)」と称される、生来のヒト胎盤ビクニンアミノ酸7−64のアミノ酸配列からなる最初のクニッツ(Kunitz)様ドメインのアミノ酸配列を有するタンパク質の使用を意図する。したがって、1つの実施形態では、本発明は、アミノ酸配列:
Figure 2006232810
(配列番号:4)を有する少なくとも1つのクニッツ(Kunitz)様ドメインを含有するタンパク質を含む。式中、アミノ酸番号付けは、生来のヒト胎盤ビクニンのアミノ酸配列のものに対応する。この実施形態の別の形態のタンパク質は、生来のヒト胎盤ビクニンアミノ酸11−61のアミノ酸配列からなる最初のクニッツ(Kunitz)様ドメインである、アミノ酸配列:
Figure 2006232810
(配列番号:5)を有する「ビクニン(11−61)」であり得る。
本発明は、以後「ビクニン(102−159)」と称される、生来のヒト胎盤ビクニンアミノ酸102−159のアミノ酸配列からなるクニッツ(Kunitz)様ドメインのアミノ酸配列を有するタンパク質をも提供する。したがって、1つの実施形態では、本発明は、アミノ酸配列:
Figure 2006232810
(配列番号:6)を有する少なくとも1つのクニッツ(Kunitz)様ドメインを含有するタンパク質を含む。式中、アミノ酸番号付けは、生来のヒト胎盤ビクニンのアミノ酸配列のものに対応する。このドメインの別の形態は、アミノ酸配列:
Figure 2006232810
(配列番号:7)を有する「ビクニン(106−156)」である、生来のヒト胎盤ビクニンアミノ酸106−156のアミノ酸配列からなるクニッツ(Kunitz)様ドメインであり得る。
したがって、通常の技術の者は、生来のヒトビクニンタンパク質の断片が、少なくともある程度の生来のタンパク質生物学的活性を保持するように作り得ることを認識する。このような断片は、異なる配向で組合せて、または複数組合せて、生来のヒトビクニンタンパク質の同じ、またはそれ以上の生物学的活性のいくらかを保持する代替のタンパク質を提供し得る。
本発明の方法で使用される生物学的に活性なタンパク質が、他の源から別のクニッツ(Kunitz)様ドメインと組合せて1つまたはそれ以上の本発明のクニッツ(Kunitz)様ドメインを包含し得ることを、誰もが容易に認識し得る。本発明の方法の生物学的に活性なタンパク質は、多様な生物学的活性を示す他の源から別のクニッツ(Kunitz)様ドメインと組合せて1つまたはそれ以上の本発明のクニッツ(Kunitz)様ドメインを包含し得る。本発明を行う上で有用な本発明の生物学的活性は、検出可能な生物学的活性を示す多機能融合タンパク質を準備するために、公知である他のタンパク質またはタンパク質類のものと組合せ得る。したがって、1つの実施形態では、本発明の方法は、配列番号:5または配列番号:7のいずれかのアミノ酸配列と同じか、または機能的に等価である少なくとも1つのアミノ酸配列セグメントを含むタンパク質の使用を含む。
早期の終止コドンで終了するオープンリーディングフレームは、さらに、機能性タンパク質をコードし得る。本発明は、このような代替終止を包含し、そして1つの実施形態では、アミノ酸配列:
Figure 2006232810
(配列番号:8)のタンパク質の使用のために提供する。
1つの実施形態では、本発明は、先導配列の無傷のセグメント、および少なくとも無傷の生来の膜貫通領域の一部と共に、実質的に精製されるか、または組換えて産生される生来のヒトビクニンタンパク質の使用のために提供する。したがって、本発明の1つの実施形態は、
Figure 2006232810
から選択されるアミノ酸配列を示す、無傷の先導配列と共に、そして膜貫通ドメインの少なくとも一部(下線付き)と共に、生来のヒトビクニンの使用のために提供する。式中、ESTは、共通の配列番号:45から誘導されるESTであり、PCRは、PCRクローン配列番号:47であり、そしてλcDNAは、ラムダcDNAクローン配列番号:49である。好ましい実施形態では、本発明の方法のタンパク質は、タンパク質が、最後のクニッツ(Kunitz)ドメインおよび膜貫通領域(下線付き)の末端の間の領域に切断された配列番号45、47または49のアミノ酸配列のうちの1つを含む。
本発明は、シグナルペプチドが欠失されたタンパク質の使用を具体化もする。
したがって、本発明の方法は、膜貫通アミノ酸配列:
Figure 2006232810
(配列番号:69) 膜貫通アミノ酸配列:
Figure 2006232810
(配列番号:68)または膜貫通アミノ酸配列:
Figure 2006232810
(配列番号:67)に継続する配列番号:52のアミノ酸配列を有するタンパク質を提供する。
本発明に使用するためのタンパク質アミノ酸配列は、本発明に使用するためのタンパク質を産生するための分子生物学技術に使用できる適切な核酸配列を、当業者に明確に教示する。したがって、本発明の1つの実施形態は、図3の生来のヒト胎盤ビクニン配列(配列番号:10)についてのアミノ酸配列に翻訳する図3の共通DNA配列(配列番号:9)を示すヒトビクニンをコードする核酸配列の使用を提供する。別の実施形態では、本発明は、図4Dのアミノ酸配列(配列番号:45)をコードする図4Cの共通核酸配列(配列番号:51)を提供する。
好ましい実施形態では、本発明は、配列番号:49のタンパク質配列をコードする図4FのDNA配列(配列番号:48)を有する生来のヒト胎盤ビクニンをコードする核酸配列の使用を提供する。別の実施形態では、本発明は、配列番号:47のタンパク質配列をコードする図4Eの核酸配列(配列番号:46)を提供する。
核酸配列でなされる特定の対立遺伝子突然変異、および保存的置換が、行われ得て、そしてそれは本発明の方法によって包含されるさらにタンパク質アミノ酸配列を生じることを、誰もが容易に認識できる。当業者は、本発明のタンパク質の特定の自然の対立遺伝子の突然変異、および本発明のタンパク質中のアミノ酸の保存的置換が、そのタンパク質の生物学的活性を明らかに修正させず、そして本発明によって包含されないことを認識できる。
本発明は、粘膜腺毛機能不全によって損傷を受けた患者でMCCを刺激するために有用であるヒト胎盤ビクニンおよびその断片を含む医薬組成物をも提供する。
本発明は、生理学的に適合するビヒクル中の本発明の有効量の開示されたヒトセリンプロテアーゼ阻害剤が、患者に投与されることを特徴とする、粘膜腺毛機能不全に罹っている患者でのMCCを刺激する方法をも提供する。
本発明は、プロテアーゼ特異性を修正するアミノ酸置換を含む胎盤ビクニンの変異体、および上に記載される特異的クニッツ(Kunitz)ドメインを使用するMCCを刺激する方法をも提供する。置換の好ましい部位は、生来の胎盤ビクニンについてのアミノ酸配列でのXaa1からXaa32までの位置として以下に示される。
Xaa1からXaa16まででの置換はまた、Xaa17からXaa32まででの置換がビクニン(102−159)の変異体にとって好ましい一方で、ビクニン(7−64)の変異体にとって好ましい。
したがって、本発明の方法は、アミノ酸配列:
Figure 2006232810
を有するタンパク質の使用を具体化する。式中、Xaa1−Xaa32は、各々、独立に、Cys以外の自然に発生するアミノ酸残渣を表すが、ただし、アミノ酸残渣Xaa1−Xaa32の少なくとも1つが、生来の配列の対応するアミノ酸残渣と異なる。
本発明の内容で、語句「自然に発生するアミノ酸残渣」は、20の一般的に生じるアミノ酸、すなわち、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、TyrおよびValのうちのいずれか1つを示すことが意図される。
上に示される1つまたはそれ以上の位置で1つまたはそれ以上のアミノ酸を置換することによって、生来の胎盤ビクニンの阻害剤特異性プロファイル、または個々のクニッツ(Kunitz)様ドメイン、ビクニン(7−64)またはビクニン(102−159)のものを変化して、その結果それに限定されないが、補体カスケードの酵素、TF/FVIIa、FXa、プロスタシン、トロンビン、好中球エラスターゼ、カテプシンGまたはプロテイナーゼ−3のような他のセリンプロテアーゼを優先的に阻害することが可能であり得る。
胎盤ビクニンの好ましい変異体の例は、Xaa1が、His、Glu、Pro、Ala、ValまたはLysからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa1が、HisまたはProであるもの;またはXaa2が、Val、Thr、Asp、Pro、Arg、Tyr、Glu、Ala、Lysからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa2が、ValまたはThrであるもの;またはXaa3が、Arg、Pro、Ile、Leu、Thrからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa3が、ArgまたはProであるもの;またはXaa4が、Arg、LysおよびSer、Glnからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa4が、ArgまたはLysであるもの;Xaa5が、Ala、Gly、Asp、Thrからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa5が、Alaであるもの;またはXaa6が、Ser、Ile、Tyr、Asn、Leu、Val、Arg、Pheからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa6が、SerまたはArgであるもの;またはXaa7が、Met、Phe、Ile、Glu、Leu、ThrおよびValからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa7が、MetまたはIleであるもの;またはXaa8が、Pro、Lys、Thr、Gln、Asn、Leu、Ser、またはIleからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa8が、ProまたはIleであるもの;またはXaa9が、Arg、LysまたはLeuからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa9が、Argであるもの;またはXaa10が、Vla、Ile、Lys、Ala、Pro、Phe、Trp、Gln、LeuおよびThrからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa10が、Valであるもの;またはXaa11が、Gly、SerおよびThrからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa11が、Glyであるもの;またはXaa12が、Asp、Arg、Glu、Leu、Glnからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa12が、AspまたはArgであるもの;またはXaa13が、GlyおよびAlaからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの;Xaa14が、AsnまたはLysからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの;またはXaa15が、Gly、Asp、Leu、Arg、Glu、Thr、Tyr、ValおよびLysからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa15が、LeuまたはLysであるもの;またはXaa16が、Val、Gln、Asp、Gly、Ile、Ala、Met、およびValからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa16が、ValまたはAlaであるもの;またはXaa17が、His、Glu、Pro、Ala、LysまたはValからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa17が、GluまたはProであるもの;またはXaa18が、Val、Thr、Asp、Pro、Arg、Tyr、Glu、AlaまたはLysからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa18が、Thrであるもの;またはXaa19が、Arg、Pro、Ile、LeuまたはThrからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa19が、Proであるもの;またはXaa20が、Arg、Lys、GlnおよびSerからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa20が、ArgまたはLysであるもの;またはXaa21が、Ala、Asp、ThrまたはGlyからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa21が、Alaであるもの;またはXaa22が、Ser、Ile、Tyr、Asn、Leu、Val、ArgまたはPheからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa22が、SerまたはArgであるもの;またはXaa23が、Met、Phe、Ile、Glu、Leu、ThrまたはValからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa23が、PheまたはIleであるもの;またはXaa24が、Pro、Lys、Thr、Asn、Leu、SerまたはIleからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa24が、ProまたはIleであるもの;またはXaa25が、Arg、LysまたはLeuからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa25が、Argであるもの;またはXaa26が、Val、Ile、Lys,Leu、Ala、Pro、Phe、Gln,TrpおよびThrからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa26が、ValまたはIleであるもの;またはXaa27が、Gly、Ser、およびThrからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa27が、Glyであるもの;またはXaa28が、Asp、Arg、Glu、Leu、GlyまたはGlnからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa28が、Argであるもの;またはXaa29が、GlyおよびAlaからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの;またはXaa30が、AsnまたはLysからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの;またはXaa31が、Gly、Asp、Leu、Arg、Glu、Thr、Tyr、ValおよびLysからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa31が、ArgまたはLysであるもの;またはXaa32が、Val、Gln、Asp、Gly、Ile、Ala、MetおよびThrからなる群から選択されるアミノ酸残渣であるもの、特に、Xaa32が、GlnまたはAlaであるものが挙げられる。
本発明は、本発明の胎盤ビクニンタンパク質変異体をコードするDNA構築物にも関する。これらの構築物は、Beaucage S.L.およびCaruthers M.H.(1981)Tetrahedron Lett.、22、1859−1862頁;Matteucci M.DおよびCaruthersM.H.(1981)、J.Am.Chem.Soc.103、3185頁で記載されるもののような合成法によって;またはDNA配列をコードする胎盤ビクニンとハイブリッド形成するように設計されたcDNAプローブでゲノムまたはcDNAライブラリーをスクリーニングすることによって得られたゲノムまたはcDNAから製造され得る。ゲノムまたはcDNA配列は、1つまたはそれ以上の部位で修正して、この開示で記載されるアミノ酸置換または欠失のいずれかをコードするcDNAを得ることができる。
本発明は、組換え胎盤ビクニン変異体の産生に使用され得る本発明の胎盤ビクニンをコードするDNA構築物、単離ドメインまたは他の変異体を含む発現ベクターにも関する。cDNAは、選択の宿主での転写活性を示し、適切なターミネータおよびポリアデニル化シグナルを保有する適切なプロモータ配列に接触させるべきである。胎盤ビクニン変異体をコードするcDNAは、cDNAによってコードされるタンパク質を生じて、分泌を受ける5’シグナルペプチドに融合され得る。シグナルペプチドは、宿主生物によって認識されるものであり得る。哺乳類宿主の場合には、シグナルペプチドは、全長の胎盤ビクニンに存在する天然のシグナルペプチドでもあり得る。胎盤ビクニン変異体の発現のためにこのようなベクターを製造するために使用される手段は、当業界においてよく知られ、そして例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A laboratory Manual(分子クローニング;実験室マニュアル)、Cold Spring Harbor、New York(1989)に記載される。
本発明は、組換え胎盤ビクニン異性体の産生のために使用できる胎盤ビクニン、単離ドメインまたは本発明の他の変異体をコードするDNA構築物を含む形質転換細胞にも関する。胎盤ビクニン異性体の産生のために使用され得た発現ベクターおよび宿主生物の多様な組合せが存在する。適切な宿主細胞としては、バキュロウイルス感染Sf9昆虫細胞、BHK、CHO、HelaおよびC−127のような哺乳類細胞、大腸菌等の細菌、Saccharomyces cervisiae等の酵母が挙げられる。胎盤ビクニンの発現を達成するために必要とされる哺乳類、昆虫および微生物発現系を使用する方法は、当業界においてよく知られ、そして例えば、Ausubel F.M.ら、Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学における最近のプロトコル)、John Wiley & Sons(1995)第16章に記載される。ビクニン(7−64)および(102−159)、酵母および大腸菌発現系等の単独のクニッツ(Kunitz)阻害剤ドメインを含有する胎盤ビクニンの断片については、好ましく、そして酵母系は、最も好ましい。典型的には、酵母発現は、アプロチニン変異体については米国特許第5,164,482号に、記載されるとおり行われ、そして胎盤ビクニン(102−159)について本明細書の実施例5で適合した。大腸菌発現は、米国特許第5,032,573号に記載される方法を用いて行い得る。哺乳類および酵母系の使用が、変異体ビクニン(7−159)等の両方の阻害剤ドメインを含む大きな胎盤ビクニン変異体の発現のために最も好ましい。
天然のアミノ酸配列のアミノ酸置換を保有する胎盤ビクニンのDNAコード変異体は、Kunkel T.A.、(1985)、Proc.Natl.Acad.Sci USA、82、488−492頁の方法を用いた組換えタンパク質の発現のために製造され得る。簡便には、突然変異誘発されるべきDNAを、M13等の一本鎖バクテリオファージベクターにクローニングする。変化されるべきその領域を貫通し、置換をコードするオリゴヌクレオチドを、一本鎖DNAにハイブリッド形成され、そして標準的な分子生物学技術によって二重鎖にする。
その後、このDNAは、適切な細菌性宿主に形質転換させ、そしてジデオキシヌクレオチド配列決定によって確認する。その後、正しいDNAを、発現プラスミドにクローニングする。代替的に、標的DNAは、標準PCR技術によって突然変異誘発でき、配列決定し、そして適切な発現プラスミドに挿入し得る。
以下の特定の実施例は、本発明の特定の態様および好ましい実施形態を示す例示の方法によって提供され、そして限定されない。この出願に引用された全ての特許、特許出願および学術文献は、それらの全体で参照して組み込まれる。
実施例1
合成胎盤ビクニン(102−159)の製造
使用した材料および方法/試薬。蛍光作用性基質Tos−Gly−Pro−Lys−AMCは、Bachem BioScience Inc(King of Prussia、PA)から購入した。PNGB、Pro−Phe−Arg−AMC、Ala−Ala−Pro−Met−AMC、ウシトリプシン(III型)、ヒト血漿カリクレイン、およびヒトプラスミンは、Sigma(St.Louis,MO)から得た。
組換えアプロチニン(Trasylol(商標))は、Bayer AG(Wuppertal,Germany)から得た。予備負荷したGlnワン樹脂は、Novabiochem(La Jolla,CA)から得た。チオアニソール、エタンジチオールおよびt−ブチルメチルエーテルは、Aldrich(Milwaukee,WI)から得た。
機能性胎盤ビクニン(7−64)(配列番号:4)および(102−159)の定量精製の種々の段階にある再折り畳み試料に存在するトリプシン阻害活性の量は、基質としてGPK−AMCを用いて測定した。ウシトリプシン(200ピコモル)を、緩衝液A(50mM Hepes、pH7.5、0.1MのNaCl、2mMのCaCl2および0.01%tritonX−100)中の種々の段階の精製からビクニン(7−64)または(102−159)を用いて、37%Cで、5分間インキュベートした。GPK−AMCを、添加(最終20μM)し、そして産生されたクマリンの量は、2分間かけて、Perkin−Elmer LS−50B蛍光測定装置で蛍光物質(ex=370nm、em=432nm)を測定することによって測定される。試験されるべき試料については、各々についての阻害率(%)は、方程式1(式中、R0は、阻害剤の存在下での蛍光物質増大の速度であり、そしてR1は、添加した試料の不在下で測定された速度である)によって計算された。阻害剤についての活性の1単位は、記載されたとおりの条件を用いて、アッセイで50%阻害を達成するために必要とされる量として定義される。
(数1)
阻害率(%)=100×[1−R/R] (1)
合成。胎盤ビクニン(102−159)(配列番号:6)を、NMP−HBTUFmoc化学を用いたApplied Biosystemsのモデル420Aペプチド合成装置で合成した。ペプチドを、各結合のために8倍過剰のアミノ酸を用いて、予備負荷Gln樹脂で合成した。切断および脱保護を、室温で、2時間、84.6%トリフルオロ酢酸(TFA)、4.4%トリアニソール、2.2%エタンジチオール、4.4%液化フェノール、および4.4%HOで行った。粗ペプチドを沈殿させ、遠心分離し、そして2回t−ブチルメチルエーテルで洗浄した。ペプチドを、TFA/アセトニトリル勾配を用いて、Dynamax 60A C18逆相HPLCカラムで精製した。最終製品(61.0mg)は、正しいアミノ酸組成物を生じ、そして推定配列:
Figure 2006232810
(配列番号:6)について分子量を、エレクトロスプレー質量分子学(MH+=6836.1;測定値=6835.5)によって得た。
精製。胎盤ビクニン(102−159)の再折り畳みを、Tamら、(J.Am.Chem.Soc.、1991、113:6657−62)の方法によって行った。精製ペプチドの一部(15.2mg)を、4.0mlの0.1M Tris(pH6.0)および8M尿素に溶解させた。ジスルフィドの酸化は、23%DMSO、および0.1M Tris(pH6.0)を含有する溶液の滴下の添加によって達成して、20%DMSO、0.1M Tris(pH6.0)および1M尿素中の0.5mg/mlペプチドの最終濃度を得た。それを、50mM Tris(pH8.0)および0.1MのNaClを含む緩衝液中で1:10に希釈した後に、溶液を、25℃で24時間攪拌させた。材料を、製造業者の指示によって、3.5mlのCNBr活性化セファロース(Pharmacia)に30mgのウシ脾臓カリクレイン(Bayer AG)に共有結合で付着させることによって、カリクレイン親和性カラムを用いて精製した。再折り畳み材料を、1ml/分の流速で、親和性カラムに負荷し、そして洗浄の280nmでの吸光度が、もはや検出されなくなるまで、50mM Tris(pH8.0)および0.1MのNaClで洗浄した。カラムは、3倍量の各々の0.2M酢酸(pH4.0および1.7)で溶出させた。活性画分を、貯蔵し(以下参照)、そして溶液のpHを、2.5に調節した。材料を、Vydac C18逆相カラム(5ミクロン、0.46×25cm)に直接使用し、そして、0.1%TFA中の22.5%アセトニトリルで平衡にした。分離は、40分かけて、1.0ml/分で0.1%TFA中の22.5から40%のアセトニトリルの線状勾配を用いて達成した。活性画分を、貯蔵し、凍結乾燥し、0.1%TFAで再溶解し、そして必要とされるまで−20℃で保存した。
結果。合成胎盤ビクニン(102−159)を、上記のように酸化剤として20%DMSOを用いて、再折り畳みし、そして下に示される2段階の精製プロトコルによって精製して、活性トリプシン阻害剤を得た(下の表1)。
Figure 2006232810
免疫化ウシ脾臓カリクレインカラム上の粗再折り畳み材料のクロマトグラフィは、存在する6.0%のタンパク質および97%のトリプシン阻害活性を選択的に分離した。C18逆相を用いた連続クロマトグラフィは、74%の全体の回収率で2倍の別の精製を生じた。RPHPLCで、還元および再折り畳み胎盤ビクニン(102−159)は、それぞれ26.3および20.1分の溶出時間を表した。精製した材料の質量分子学分析は、6829.8の分子量を表した。出発材料から6質量単位の損失。これは、ペプチド配列から推定された3つのジフスルフィドの完全な形成を示す。
精製され、再折り畳みされた合成胎盤ビクニン(102−159)の等電点は、プレキャストAmpholine(商標)PAGプレート(pH3.5から9.5)を用いて、pI標準と共に、製造業者の示唆によって起動されるMultiphor II Electrophoresis System(電気泳動システム)(Pharmacia)を用いて測定し、そして1.5時間焦点を合わせた。染色後、ゲルの陽極から異なるタンパク質バンドまでの移動距離を、測定した。各未知のpIを、標準対対応のpIの移動距離のプロットによって生じた標準曲線を用いて測定した。この技術で、胎盤ビクニン(102−159)のpIを、アミノ酸配列から推定される値と一致して、8.3と測定した。これは、アプロチニンのpIについて樹立された10.5の値より低い(Tenstadら、1994、Acta Physiol.Scand.152:33−50)。
実施例2
合成胎盤ビクニン(7−64)の製造
胎盤ビクニン(7−64)(配列番号:4)を合成し、再折り畳み、そして以下の修正を示す以外は、実施例1で胎盤ビクニン(102−159)(配列番号:6)について基本的に記載されるとおり精製した:再折り畳みの間中、合成ペプチドを、25℃で、20%DMSO中の溶液として30時間攪拌した;C18PR−HPLCによる精製は、40分間かけて0.1%TFA中の25から45%までのアセトニトリルの線状勾配(1ml/分)で達成された。最初のC18操作から得た活性画分は、カラムに再度入れられ、そして0.1%TFA中の20から40%アセトニトリルの線状勾配(60分、1ml/分)で分画した。結果。最終精製還元ペプチドは、配列:
Figure 2006232810
(配列番号:4)に一致するMH+=6563を示した。
再折り畳みおよび精製は、トリプシンの阻害剤として活性である機能性クニッツ(Kunitz)ドメインを生じた(以下の表2)。
Figure 2006232810
精製された再折り畳みタンパク質は、MH+=6558、すなわち、還元ペプチドについてより少ない5±1質量単位を示した。これは、再畳込みが、少なくとも1つの適切なジスルフィド結合の形成を引き起こすことを示す。胎盤ビクニン(7−64)のpIは、胎盤ビクニン(102−159)のpIを測定するために使用された方法を使用して測定された。胎盤ビクニン(7−64)は、予測値(pI=7.9)よりいっそう高いpIを示した。再度折り畳んだ胎盤ビクニン(7−64)は、ゲル(pH9.5)の陽性末端まで移動し、そして正確なpIは、これらの条件下で測定できなかった。
合成胎盤ビクニン(7−64)の連続製造法
合成胎盤ビクニン(7−64)が、精製および再折り畳みの前に、完全な脱保護を受けてはいけないので、再折り畳みは、完全に脱保護されたことが確かであるタンパク質を用いて繰り返された。胎盤ビクニン(7−64)は、合成され、再畳込みされ、そして、以下の修正を伴い以外は、胎盤ビクニン(102−159)について基本的に記載されるとおりに精製された:再折り畳みの間中、合成ペプチド(0.27mg/ml)を、25℃で、20%DMSO中の溶液として30時間攪拌した;C18PR−HPLCによる精製は、40分間かけて0.1%TFA中の22.5から50%までのアセトニトリルの線状勾配(1ml/分)で達成された。
結果。最終精製還元ペプチドは、配列:
Figure 2006232810
(配列番号:4)に一致するMH+=6567.5を示した。
再折り畳みおよび精製は、トリプシンの阻害剤として活性である機能性クニッツ(Kunitz)ドメインを生じた(以下の表2B)。
Figure 2006232810
精製した再折り畳みタンパク質は、MH+=6561.2、すなわち、還元ペプチドについてより少ない6.3質量単位を示した。これは、再折り畳みが、予測される3つのジスルフィド結合の形成を引き起こすことを示す。
再折り畳み胎盤ビクニン(7−64)のpIは、胎盤ビクニン(102−159)のpIを測定するために使用された方法を用いて測定された。再折り畳み胎盤ビクニン(7−64)は、検出値(pI=7.9)よりわずかに高い8.85のpIを示した。
実施例3
機能的胎盤ビクニン断片(102−159)のインビトロ特異性
プロテアーゼ。ウシトリプシン、ヒトプラスミンおよびウシ膵臓カリクレイン定量を、既に記載したように(Chase,T.,and Shaw,E.,(1970)Methods Enzymol.19,20−27)、P−ニトロフェニルp’−グアニジノベンゾエートHClを用いて活性部位滴定によって行った。ヒトカリクレインを、標準としてウシアプロチニン、および1:1複合体形成を呈する基質としてPFR−AMCを使用して活性部位滴定によって定量した。それぞれの酵素に関して使用した条件下でのトリプシンおよびプラスミンでのGPK−AMCに対するKmはそれぞれ29μMおよび726μMであり、ヒト血漿カリクレインおよびウシ脾臓カリクレインでのPFR−AMCに対するKmはそれぞれ457μMおよび81.5μMであり、エラスターゼによるAAPR−AMCに対するKmは1600μMであった。ヒト組織カリクレイン(Bayer,Germany)定量を、既に記載したように(Chase,T.,and Shaw,E.,(1970)Methods Enzymol.19,20−27)、p’ニトロフェニル p’−グアニジノベンゾエートHClを用いて活性部位滴定によって行った。
阻害速度論。(実施例1で記載した)胎盤ビクニン(102−159)またはアプロチニンによるトリプシンの阻害を、総容量1.0mlでの緩衝液A中の胎盤ビクニン(102−159)(0−2nM)またはアプロチニン(0−3nM)との50pMトリプシンのインキュベーションで測定した。37℃にて5分後、15μlの2mM GPK−AMCを添加し、(上記のような)蛍光の変化をモニターした。胎盤ビクニン(102−159)およびアプロチニンによるヒトプラスミンの阻害を、50mM Tris−HCl(pH7.5)、0.1M NaClおよび0.02% TritonX−100を含む緩衝液中のプラスミン(50pM)と胎盤ビクニン(102−159)(0−10nM)またはアプロチニン(0−4nM)で測定した。37℃でのインキュベーションの5分後、25μlの20mM GPK−AMCを添加し、蛍光の変化をモニターした。胎盤ビクニン(102−159)またはアプロチニンによるヒト血漿カリクレインの阻害を、50mM Tris−HCl(pH8.0)、50mM NaClおよび0.02%TritonX−100中のカリクレイン(2.5nM)および胎盤ビクニン(102−159)(0−3nM)またはアプロチニン(0−45nM)を用いて測定した。37℃で5分後、15μlの20mM PFR−AMCを添加し、蛍光の変化をモニターした。胎盤ビクニン(102−159)およびアプロチニンによるウシ脾臓カリクレインの阻害を、カリクレイン(92pM)、胎盤ビクニン(102−159)(0−1.6nM)およびアプロチニン(0−14pM)および100μMの最終基質濃度で、同様の様式で測定した。みかけの阻害定数K を、非線形回帰データ解析プログラムEnzfitterソフトウェア(Biosoft,Cambridge,UK)を用いて決定した。それぞれの実験からの速度論データを、強い結合阻害剤に関する方程式によって解析した。
(数2)
/V=1−(E+I+K −[(E+I+K −4E1/2)/2E (2)
式中V/Vは分数酵素活性(阻害対非阻害比)であり、EおよびIはそれぞれ酵素および阻害剤の総濃度であり、K値は方程式
(数3)
=K /(1+[S]/K) (3)
による基質の効果に関する補正によって得た。(Boudier,C.,and Bieth,J.G.,(1989)Biochem Biophys Acta.995:36−41)。
胎盤ビクニン(102−159)およびアプロチニンによるヒト好中球エラスターゼの阻害に関して、エラスターゼ(19nM)を、0.1M Tris−HCl(pH8.0)および0.05% TritonX−100を含む緩衝液中の胎盤ビクニン(102−159)(150nM)またはアプロチニン(0−7.5μM)と共にインキュベートした。37℃での5分後、AAPM−AMC(500μMまたは1000μM)を添加し、2分間にわたって蛍光を測定した。
値を2つの異なる基質濃度で行った形式1/V対[I]のDixonプロットより決定した(Dixonら,1979)。
アプロチニン、胎盤ビクニン断片(7−64)または胎盤ビクニン断片(102−159)によるヒト組織カリクレインの阻害を、50mM Tris−HCl緩衝液pH9.0、50mM NaClおよび0.1% TritonX−100を含む1mlの反応容量中で、胎盤ビクニン(7−64)(0−40nM)または胎盤ビクニン(102−159)(0−2.5nM)、またはアプロチニン(0−0.5nM)とともに0.35nMのヒト組織カリクレインをインキュベーションすることで測定した。37℃にて5分後、5μlの2mM PFR−AMCを最終濃度10uMになるように添加し、蛍光の変化をモニターした。使用した条件下でのヒト組織カリクレインでのPFR−AMCに対するKmは5.7uMであった。合成胎盤ビクニン(102−159)、組換え体胎盤ビクニンおよびアプロチニンによるヒト第Xa因子(American Dianostica,Inc,Greenwich,CT)の阻害を、20mM Tris(pH7.5)、0.1M NaClおよび0.1%BSAを含む緩衝液中で、阻害剤の量を増加させて、0.87nMのヒト第Xa因子をインキュベートすることで測定した。37℃での5分後、30ulの20mM LGR−AMC(Sigma)を添加し、蛍光の変化をモニターした。クニッツ(Kunitz)阻害剤によるヒトウロキナーゼ(Sigma)の阻害を、50mM Tris−HCl(pH8.0)、50mM NaClおよび0.1% Triton−X100を含む、総量量1mlの緩衝液中でのウロキナーゼ(2.7ng)の阻害剤とのインキュベーションによって測定した。37℃での5分後、35μlの20mMのGGR−AMC(Sigma)を添加し、蛍光の変化をモニターした。第XIa因子(Enzyme Research Labs,Southbend,INから)の阻害を、FXIa(0.1nM)を、総容量1ml中での50mM Hepes pH7.5、100mM NaCl、2mM CaCl2、0.01% TritonX−100および1%BSAを含む緩衝液中で、0−800nM胎盤ビクニン(7−64)、0−140nM胎盤ビクニン(102−159)または0−40uMアプロチニンいずれかと共にインキュベートすることで測定した。37℃での5分後、10ulの40mM Boc−Glu(OBzl)−Ala−Arg−AMC(Bachem Biosciences,King of Prussia,PA)を添加し、蛍光の変化をモニターした。
結果:胎盤ビクニン(102−159)およびアプロチニンの阻害特性の直接比較を、同一の条件下での様々なプロテアーゼによるそれらの阻害定数の測定によって行った。K値を以下表3に挙げる。
Figure 2006232810
胎盤ビクニン(102−159)およびアプロチニンは、実施した条件下で比較可能な程度までウシトリプシンおよびヒトプラスミンを阻害した。アプロチニンは、8.5μMのKiでエラスターゼを阻害した。胎盤ビクニン(102−159)は323nMのKiでエラスターゼを阻害した。ウシ膵臓カリクレインの胎盤ビクニン(102−159)阻害に対するK値はアプロチニン阻害のものよりも20倍高かった。一方で胎盤ビクニン(102−159)はアプロチニンよりもより強力なヒト血漿カリクレインの阻害剤であり、56倍高い親和性で結合する。
胎盤ビクニン(102−159)は、カリクレインの阻害剤としてTrasylol(商標)よりも50倍強力であるので、KIUにおいて阻害剤の効果的患者用量を保持するためには、ヒト胎盤ビクニンまたはその断片(すなわち、胎盤ビクニン(102−159))の必要な量は、Traylol(商標)よりもより少量である。このことは、薬物の用量あたりの経費を削減し、患者への薬物への再暴露における腎毒性副作用の可能性を減少させる。さらに、このタンパク質はヒト由来であり、したがって、ウシ由来のアプロチニンよりもヒトにおいて免疫源が少ない。このことは結果として、患者への薬の再暴露における免疫学的副作用を招くリスクを減少させることになる。
実施例4
機能的胎盤ビクニン断片(7−64)のインビトロ特異性
実施例2で記載した機能的ヒト胎盤ビクニン(7−64)のインビトロ特異性を、以上の実施例で記載したような物質および方法を用いて決定した。
結果:以下の表は、インビトロでの様々なセリンプロテアーゼの阻害剤としての胎盤ビクニン(7−64)の効力を示している。データは、胎盤ビクニン(102−159)またはアプロチニン(Trasylol(商標))どちらかを使用した阻害のスクリーニングのために得たデータに対して比較して示している。
Figure 2006232810
結果は、胎盤ビクニン(7−64)をコードしているアミノ酸配列は、少なくとも4つのトリプシン様セリンプロテアーゼに対して効果的である活性セリンプロテアーゼ阻害剤を得るために再折り畳みできることを示している。
以下の表4Bはまた、インビトロでの様々なセリンプロテアーゼの阻害剤としての再折り畳み胎盤ビクニン(7−64)の効力を示している。再折り畳みした胎盤ビクニン(7−64)は、精製および再折り畳みの前に完全に脱保護されることが確かなタンパク質から調製した。データは、胎盤ビクニン(102−159)またはアプロチニン(Trasylol(商標))のいずれかを用いた阻害のスクリーニングのために得たデータに対する比較を示している。
Figure 2006232810
驚くべきことに、胎盤ビクニン(7−64)は、ヒト血漿カリクレインを阻害することにおいてアプロチニンよりも強力であり、プラスミン阻害剤としての効力は少なくとも同様である。これらのデータは、胎盤ビクニン(7−64)は、インビトロアッセイで使用する、アプロチニンと同程度の効果であり、インビボではよりよいか、または同様の効力が予想されたことを示している。
実施例5
酵母での胎盤ビクニン変異体(102−159)の発現
胎盤ビクニン102−159(配列番号:6)をコードしているDNAを、合成オリゴヌクレオチドを用いて作製した。最終DNA産物は、インフレーム終止コドンが続く、インフレームで胎盤ビクニン(102−159)をコードしているcDNA配列に融合した酵母α−交配因子プロペプチドからの15ヌクレオチドの(5’から3’)からなる。酵母発現ベクターpS604内へのクローニングに際し、cDNAは、胎盤ビクニン(102−159)の58アミノ酸配列に融合したN−末端α−交配因子プロペプチドを含む融合タンパク質の発現を指向する。この融合タンパク質のα−交配因子とクニッツ(Kunitz)ドメインの間でのKEX−2開裂部位での処理は、その天然のN−末端でのクニッツ(Kunitz)ドメインを遊離させるように消化した。
以下の配列であり、クローニングのためのHindIII部位を含む5’センスオリゴヌクレオチドを合成した。
Figure 2006232810
(配列番号:42)
以下の配列であり、クローニングのためのBamHI部位および終止コドン両方を含む3’アンチセンスオリゴヌクレオチドを合成した。
Figure 2006232810
(配列番号:43)
オリゴヌクレオチドを1mM EDTAを含む10mM Tris緩衝液pH8.0中に溶解し、12ugのそれぞれのオリゴを加えて混合し、0.25M NaClを加えた。ハイブリッド形成するために、オリゴヌクレオチドを5分間沸騰させて変性させ、65℃から室温まで2時間かけて冷却した。重複をKlenow断片を用いて伸張させ、HindIIIおよびBamHIで消化した。得られた消化した二本鎖断片をpUC19内にクローン化し、配列を確認した。正確な配列の断片を含むクローンをBamHI/HindIIIで消化して、以下の+鎖配列を持つ断片を含むビクニンを遊離させ、
Figure 2006232810
(配列番号:44)
次いでゲル精製し、BamHI/HindIII切断pS604内にライゲーションした。ライゲーション混合液をフェノール/クロロホルム内に抽出し、S−200ミニスピンカラム上で精製した。ライゲーション産物を酵母株SC101およびWHL341内にトランスフォームし、ura選別プレート上にプレートした。それぞれの株からの12コロニーをuraドロップアウトプレート上で再画線培養した。単一コロニーを2mlのuraDO培地内に植え付け、30℃にて一晩増殖させた。細胞を2分間、14000×gで沈殿させ、上清をその胎盤ビクニン(102−159)の含量に関して評価した。
形質転換した酵母内での胎盤ビクニン(102−159)の発現の検出
まず、上清(アッセイあたり50ul)を、実施例1で記載したようなアッセイ方法(1mlアッセイ容量)を使用してトリプシンのインビトロ活性を阻害するその能力に関して評価した。未使用の培地のみの試料、およびアプロチニンの不活性変異体を発現している酵母クローンを陰性対照として使用した。天然のアプロチニンを発現している酵母クローンを陽性対照として使用し、比較を示した。
胎盤ビクニン(102−159)発現の定量の第2の方法は、ウエスタンブロットを使用した組換え体ペプチドの蓄積をモニターするために、合成ペプチドに対するポリクローナル抗体(pAbs)を使用することで行った。これらの研究は、株WHL341に由来する組換え体よりもより大きい阻害活性を産出したので、株SC101に由来した組み換え体でのみ行った。
pAbを産出するために、2匹の6−8週齢ニュージーランドホワイト(New Zealand White)メスウサギ(Hazelton Research Labs,Denver,Pa)を、フロイント完全アジュバント中の250ugの精製した還元合成胎盤ビクニン(102−159)で第0日に免役し、続いて第14,35、56および77日に、フロイント不完全アジュバント中の125ugの同様の抗原でブーストした。本研究で使用した抗血清は、確立された手順によって第3ブースト後に回収した。ポリクローナル抗体はプロテインA上で抗血清より精製した。
酵母SC101の形質転換からのコロニー2.4および2.5(図8)およびアプロチニン対照を、30℃にて50mlのura DO培地内で一晩培養した。細胞をペレット化し、上清をCentriprep 3(Amicon,Beverly,MA)濃縮器を使用して100倍濃縮した。それぞれの試料(30μl)を、取扱手順を使用して10−20%トリシン緩衝ゲル(Novex,San Diego,CA)上でSDS−PAGEにかけた。二重ゲルを、銀染色キット(Intergrated Separation Systems,Nantick,MA)で染色するか、またはニトロセルロースに写し、合成ビクニン(102−159)を顕在化させる精製ポリクローナル抗体で染色した。アルカリホスファターゼ共役ヤギ抗ウサギ抗体を取り扱い指示にしたがって第2抗体として使用した(Kirkegaard and Perry,Gaithersburg,MD)。
SC101の形質導入株からの胎盤ビクニン(102−159)の精製 SC101株2.4の1L培養液からの発酵液を遠心(4,000g×30分間)にて回収し、次いで先に0.1M NaCl、2mM CaCl2および0.01%(v/v)triton X−100を含む50mM Hepes緩衝液pH7.5で平衡化したアンヒドロキモトリプシン−セファロース(Takara Biochemical Inc.,CA)の1.0mlカラムにのせた。カラムをA280nmがゼロに下がるまで、1.0M NaClを含む同様の緩衝液で洗浄し、その上でカラムを0.1M ギ酸pH2.5で溶出した。溶出した画分をため、先に0.1%TFAで平衡化したC18カラム(Vydac、5um、4.6×250mm)にのせ、0.1% TFA中の20−80%アセトニトリル50分間直線勾配で溶出した。胎盤ビクニン(102−159)を含む画分をため、0.1%TFA中の直線22.5−50%アセトニトリル勾配での溶出を用いてC18で再クロマトグラムした。
結果。図8は、SC101およびWHL341それぞれの株の形質導入に由来する12のコロニーによって阻害されたパーセントトリプシン活性を示している。この結果は、トリプシン阻害剤胎盤ビクニン(102−159)で形質導入した酵母株SC101の12のすべてのコロニーが、トリプシンを阻害する能力を示さない両方の陰性対照と比較して、統計学的量のトリプシン阻害活性を産出する能力を持っていたことを示している。したがってこの活性は、胎盤ビクニン変異体(102−159)形質導入細胞での特異的阻害剤の発現に関係する。酵母WHL341試料が、最小のトリプシン阻害活性を含んだ。このことは、使用した条件下でのこの株で観察された低増殖に関連する可能性がある。
図9は、酵母SC101上清のSDS−PAGEおよびウエスタン解析を示している。胎盤ビクニン(102−159)を発現している組換え体酵母2.4および2.5から、およびアプロチニンを発現している酵母からの上清の銀染色したSDS−PAGEにより、およそ6kDaのタンパク質バンドが得られ、これはそれぞれの組換え体クニッツ(Kunitz)阻害剤領域に対して予想された大きさに相当する。ウエスタン解析は、株2.4および2.5によって発現した6kDaバンドが、胎盤ビクニン(102−159)に結合するpAbと反応したことを示した。アプロチニン対照での同様の6kDaのバンドは、この抗体に反応はせず、このことは胎盤ビクニン変異体(102−159)に対する抗体の特異性を示唆している。胎盤ビクニンC−末端領域の最終調製品は、銀染色したSDS−PAGEによって、非常に純粋であった(図10)。最終調製品での培養液由来トリプシン阻害活性の全回収は31%であった。精製した阻害剤のN−末端配列は、40%のタンパク質が正確に処理されて、正確な胎盤ビクニン(102−159)に対するN−末端を生成し、一方約60%の物質は、酵母α−交配因子を含んでいたことを示唆した。精製した物質は、血漿カリクレインのインビトロ阻害に関して0.35nMの明らかなKiを示している活性セリンプロテアーゼ阻害剤を含んだ。
結論として、発酵培地中のプロテアーゼ阻害剤活性および合成ビクニン(102−159)に免疫化学的に関連したタンパク質両方の蓄積と、形質転換した株の1つからの胎盤ビクニン(102−159)の単離により、本明細書で記載した組換え体酵母株での胎盤ビクニンの発現の証拠が得られ、このことは、胎盤ビクニン断片の産出に対する酵母の有用性をはじめて示している。
さらなる構造物を、胎盤ビクニン102−159内に含まれるクニッツ(Kunitz)ドメインの発現レベルを増加させ、正確なN−末端を持つタンパク質の産出を増加させるために調製した。本発明者らは、胎盤ビクニン102−159のN−末端残基(YEEY−−)が、酵素的に酵母a−因子プロ領域を取り除く酵母KEX−2プロテアーゼによってほんのわずかしか認識される開裂部位を表している可能性があると仮定した。したがって、本発明者らは、KEX−2開裂部位の周りのP’サブ部位を修正するために、胎盤ビクニン103−159(EEY…のN−末端)、101−159(NYEEY…のN−末端)および98−159(DMFNYEEY…)の産出に対する酵母発現構造物を調製した。組換え体タンパク質発現のレベルを増加させることを試みるために、本発明者らはまた、以下で記載した構造物のいくつかを調製するときに、哺乳動物が好むコドンではなく、酵母が好むコドンを使用した。構造物は、本質的には胎盤ビクニン102−159(構造番号1として定義した)に関して以上で記載したように調製したが、以下の修正にしたがった。
構造番号2 胎盤ビクニン103−159、酵母コドン使用5’センスオリゴヌクレオチド
Figure 2006232810
(配列番号:55)
および3’アンチセンスオリゴヌクレオチド
Figure 2006232810
(配列番号:56)
を、胎盤ビクニン102−159の発現のための発現構造物(上記構造番号1)の産出に関して記載したように処理した。
構造番号3 胎盤ビクニン101−159、酵母コドン使用5’センスオリゴヌクレオチド
Figure 2006232810
(配列番号:57)
および構造物番号2のために使用したような3’アンチセンスオリゴヌクレオチドを、胎盤ビクニン102−159の発現のための発現構造物(上記構造番号1)の産出に関して記載したように処理した。
構造物番号4 胎盤ビクニン98−159、酵母コドン使用5’センスオリゴヌクレオチド
Figure 2006232810
(配列番号:58)
および構造物番号2のために使用したような3’アンチセンスオリゴヌクレオチドを、発現構造物(上記構造番号1)の産出に関して記載したように処理した。
酵母株SC101(MATα、ura3−52、suc2)に、以上のcDNAそれぞれを含むプラスミドを形質導入し、タンパク質を、ヒトコドン使用での胎盤ビクニン102−159の産出に関して以上で記載した方法を使用して発現させた。およそ250mlのそれぞれの酵母培養液を回収し、遠心(15分間×3000RPM)からの上清を、上記のようにカリクレイン−セファロースの1mlカラムでの精製に別々にかけた。適用物のトリプシン阻害活性の相対量、再生した精製したタンパク質の量および精製したタンパク質のN−末端配列を決定し、表7にて以下に挙げる。
Figure 2006232810
結果は、C−末端クニッツ(Kunitz)ドメインを含む異なる長さの胎盤ビクニン断片が、機能的な分泌したタンパク質を発現する能力において広い変動を示すことを示している。断片101−159および103−159を発現している構造物は精製前上清中に待った少しの、または小さな酵素活性を産出し、それぞれの精製した画分の0.05mlの部分のN−末端配列決定によっては、阻害剤の検出可能な量は産出されなかった。一方、胎盤ビクニン102−159および98−159のどちらかの発現によって、精製前に明らかな量のプロテアーゼ活性が産出された。しかしながら、N−末端配列決定は、102−159の発現より回収した精製タンパク質は、ほとんど不正確に処理され、酵母α−交配因子プロ配列内の部位におけるプレタンパク質の大部分の処理と一致したN−末端を示していることが示された。しかしながら、胎盤ビクニン98−159の発現から回収した精製タンパク質は、全体として正しい部位で処理され、正しいN−末端を産出した。さらに、胎盤ビクニン102−159の回収と比較してほぼ2倍のタンパク質が回収された。したがって胎盤ビクニン98−159は、S.cervisiaeのα−交配因子プレ−プロ配列/KEX−2処理系による胎盤ビクニンのC−末端クニッツ(Kunitz)ドメインの産出に関する好ましい断片長を表している。
実施例6
酵母発現の他の手順
R74593翻訳産物由来の58アミノ酸ペプチドをまた、DNA配列決定の後にTA vector(商標)(Invitrogen,San Diego,CA)内にクローン化したR87894−R74593 PCR産物から、またはヒト胎盤cDNAからどちらかよりPCR増幅することができる。増幅したDNA産物は、インフレームで翻訳産物を作製しするようにYEEY−−CFRQ(58残基)についてコードしているR74593配列に相当した酵母α−交配因子リーダー配列からの19ヌクレオチドからなる可能性があり、α−交配因子/クニッツ(Kunitz)ドメイン融合タンパク質を構築している。タンパク質配列はまた、その天然のN−末端においてクニッツ(Kunitz)ドメインを遊離させる可能性のあるkex2開裂も含む。
クローニングのためのHindIIIを含む5’センスオリゴヌクレオチドは以下の配列を含む可能性がある。
Figure 2006232810
(配列番号:30)
3’アンチセンスオリゴヌクレオチドはクローニングのためのBamHIおよび終止コドンを含み、以下の配列である。
Figure 2006232810
(配列番号:31)
酵母発現ベクター内にクローン化すべき全206ヌクレオチドcDNA配列は以下の配列である。
Figure 2006232810
(配列番号:32)
PCR増幅の後、このDNAをHindIII、BamHIで消化し、これもまたHindIIIおよびBamHIで消化した酵母発現ベクターpMT15(参照して全体に組み込まれた、米国特許第5,164,482号を参照)内にクローン化した。得られたプラスミドベクターを、米国特許第5,164,482号で記載した方法を用いて酵母株SC106に形質導入するのに使用した。URA3+酵母形質導入体を単離し、誘導条件下で培養した。組換え体胎盤ビクニン変異体の産出を、上述したインビトロアッセイ方法を用いて時間を追って培養液上清で蓄積したトリプシン阻害活性の量にしたがって測定した。発酵液を9000rpmにて30分間遠心した。次いで上清を0.4、次いで0.2μmフィルタを通して濾過し、7.5msの伝導率まで希釈し、クエン酸にてpH3にあわせた。次いで試料を50mMクエン酸ナトリウムpH3中のS−sepharoseファーストフロー(Pharmacia)200ml上にバッチ吸収させ、60分間攪拌した。続いてゲルをそれぞれ2Lの、50mMクエン酸ナトリウム pH3.0、50mM Tris−HCl pH9.0、20mM HEPES pH6.0で連続的に洗浄した。洗浄したゲルを好適なカラムに移し、20mM HEPES pH6.0中の0−1M塩化ナトリウムの直線勾配で溶出した。次いでインビトロでトリプシン阻害活性を持っている溶出した画分をため、さらに、a)(基本的に実施例2で記載したような)固定化したアンヒドロトリプシンのカラム上でのクロマトグラフィ、b)固定化したウシカリクレインのカラム上でのクロマトグラフィ、またはc)ゲル濾過および/または陰イオン交換クロマトグラフィを含む従来のカラムクロマトグラフ工程の組合せのいずれかによって精製した。
実施例7
胎盤からの天然のヒト胎盤ビクニンの単離と特性化
ビクニンタンパク質を、全凍結胎盤(Analytical Biological Services,Inc,Wilmington,DE)からの明白な均質性を得るまで精製した。胎盤(740mg)を室温まで解凍し、0.5−1.0cm断片に切断し、氷上におき、600mlのPBS緩衝液で洗浄した。
洗浄物をデカントし、240mlの胎盤断片をWaringブレンダーに入れた。0.1M Tris(pH8.0)および0.1M NaClを含む300mlの緩衝液を添加した後に、混合液を高速度で2分間混和し、750.0mlの遠心チューブ内にデカントし、氷上に置いた。この手順をすべての物質を処理するまで繰り返した。スラリーを混合し、4500×gにて60分間、4℃にて遠心した。上清を、チーズ状の布を通して濾過し、胎盤ビクニンを、取扱説明書にしたがって、70mgのウシ膵臓カリクレイン(Bayer AG)を5.0mlのCNBr活性化Sepharose(Pharmacia)に共有結合させて作製したカリクレイン親和性カラムを用いて精製した。物質を2.0ml/分の流速で親和性カラム上にのせ、0.1M Tris(pH8.0)、0.1M NaClで、洗浄液の280nmでの吸光度がもはや検出されなくなるまで洗浄した。さらにカラムを0.1M Tris(pH8.0)、0.5M NaClで洗浄し、次いで3倍量の0.2M酢酸、pH4.0で溶出した。カリクレインおよびトリプシン阻害(以下参照)活性を含む画分をため、冷凍し、凍結乾燥した。さらに胎盤ビクニンを、Beckman System Gold HPLC型に接続したSuperdex 75 10/30(Pharmacia)カラムを用いたゲル濾過クロマトグラフィによって精製した。簡便には、カラムを、流速0.5ml/分にて0.1M Tris、0.15M NaClおよび0.1%TritonX−100で平衡化した。凍結乾燥試料を1.0mlの0.1M Tris、pH8.0中で元に戻し、200μl分液にてゲル濾過カラム上の注入した。画分を回収し(0.5ml)、トリプシンおよびカリクレイン阻害活性に関してアッセイした。活性画分をため、溶液のpHをTFAの添加によって2.5に合わせた。この物質を、0.1%TFA中の20%アセトニトリル中で平衡化したVydac C18 逆相カラム(5ミクロン、0.46×25cm)に直接のせた。分離を、0.1%TFA中20%のアセトニトリルでの初期20分間洗浄の後に、50分間かけて1.0ml/分にて0.1%TFA中の20−80%アセトニトリルの直線勾配を用いて行った。画分(1ml)を回収し、トリプシンおよびカリクレイン阻害活性に関してアッセイした。阻害活性を含んでいる画分をspeed−vac濃縮器(Savant)を用いて濃縮し、N−末端配列解析にかけた。
胎盤ビクニンの機能的アッセイ
機能的胎盤ビクニンの同定を、ウシトリプシンおよびヒト血漿カリクレインを阻害するその能力を測定することで行った。トリプシン阻害活性は、基質としてGly−Pro−Lys−アミノメチルクマリンを使用して96−ウェルマイクロタイタープレート(Perkin Elmer)にて、室温でアッセイ緩衝液(50mM Hepes、pH7.5、0.1M NaCl、2.0mM CaCl、0.1%TritonX−100)中で行った。トリプシンによって産出されたクマリンの量を、プレートリーダーを備えたPerkin−ElmerLS−50B蛍光計にて蛍光(ex=370nm、em=432nm)を測定することで決定した。トリプシン(100μl緩衝液中23μg)を20μlの試験すべき試料と混合し、25℃にて10分間インキュベートした。反応をアッセイ緩衝液中の50μlの基質GPK−AMC(最終濃度33μM)の添加で開始した。蛍光強度を測定し、それぞれの画分の%阻害を
(数4)
%阻害=100×[1−F/F
により決定した。式中F0は未知の蛍光であり、F1はトリプシンのみの対照の蛍光である。この画分のカリクレイン阻害活性を、アッセイ緩衝液(50mM Tris、pH8.0、50mM NaCl、0.1% triton X−100)中の7.0nM カリクレインおよび基質としての66.0μM Pro−Phe−Arg−AMCを使用して同様に測定した。
胎盤ビクニンのインビトロ特異性の決定
天然のヒト胎盤ビクニンのインビトロ特異性を、以上の実施例での処理で記載したような物質および方法を用いて決定した。胎盤ビクニンを、基質としてGPK−AMCを用いて既知濃度のトリプシンに対する活性部位滴定によって定量し非結合トリプシンの画分をモニターした。
タンパク質配列決定
1ml画分(C18−29 Delaria)を容量にして300mlまで、Speed Vac上で濃縮し、有機溶媒の量を減らした。次いで試料をHewlett−Packard小型二相反応カラム上にのせ、1mlの2%トリフルオロ酢酸で洗浄した。試料をEdman分解を用いて、Hewlett−Packard Model G1005Aタンパク質配列決定系上で配列決定した。
バージョン3.0配列決定法およびすべての試薬は、Hewlett−Packardより供給された。配列は50サイクルで確認した。
結果。胎盤ビクニンを連続的なカリクレイン親和性、ゲル濾過および逆相カラムクロマトグラフィによって明白な均質性を得るまで精製した(以下の精製表を参照)。
Figure 2006232810
大部分のカリクレインおよびトリプシン阻害活性は、pH4.0溶出でのカリクレイン親和性カラムより溶出した。続くゲル濾過クロマトグラフィ(図5)により、同一の条件下での分子量標準を流したことで得られた標準曲線によって判断したところ、分子量10−40kDaの範囲でカリクレインおよびトリプシン阻害活性のピークが得られた。逆相C18クロマトグラフィ(図6)によって、およそ30%のアセトニトリルの時点での最も強力な溶出で、阻害活性の4ピークが得られた。C18から溶出した第1ピーク(画分29)に関連した活性は、胎盤ビクニン(ADRER…;配列番号:1)の予想されるアミノ酸配列のアミノ酸1より始まるアミノ酸配列を表しており、50サイクルの配列決定に対して予想された配列と同一であった(図3の下線アミノ酸)。この配列長内のシステイン残基は、酸化したタンパク質の配列決定に関して予想されたようにサイレントであった。成熟胎盤ビクニンのアミノ酸位置11および20でのシステイン残基は、そこでPTH−ピリジルエチル−システインがサイクル11および20で回収されたS−ピリジルエチル化タンパク質の配列決定より後に同定された。
興味深いことに、配列のアミノ酸残基番号30でのアスパラギン(図3)はサイレントであり、この部位が糖付加される可能性があることを示している。画分29は、残基番号1の時点で開始している(サイクル1で27pmol)胎盤ビクニンに相当する1つの主要配列+残基6で開始している胎盤ビクニン(SIHD…)より由来した副次的な配列を産出した。このことは、画分29内で配列決定した最終調製品はとても純粋であり、この画分に関連するプロテアーゼ阻害活性に最も感受性であり得ることを示している(図6)。
したがって、C18クロマトグラフィからの胎盤ビクニンの最終調製品は、銀染色SDS−PAGE解析に基づいてとても純粋であり(図7)、そこでタンパク質は、以下の分子量マーカ、インスリン(2.9kDa)、ウシトリプシン阻害剤(5.8kDa)、リソザイム(14.7kDa)、β−ラクトグロブリン(18.4kDa)、炭酸アンヒドラーゼ(29kDa)、オバルブミン(43kDa)によって目盛りを定めた10−20%アクリルアミドトリシンゲル(Novex,San Diego,CA)上で24kDaの明らかなMrで移動した。SDS−PAGE上の胎盤ビクニンの上記の大きさは、全長コード配列から予想されるものと一致した(図4F)。
上述したN−末端配列決定結果に基づいて予想すると、精製したタンパク質は、胎盤ビクニン(7−46)に対する抗体と反応し、銀染色にてゲル上で検出された(図7)精製した調製品で観察されたのと同一のMrのバンドを産出した(図12A)。しかしながら、同様の調製品を、合成胎盤ビクニン(102−159)に対する抗体と反応させた場合、全長タンパク質に相当するバンドは観察されなかった。むしろ、およそ6kDaの合成ビクニン(102−159)と共に移動した断片が観察された。これらの結果の最も単純な解釈は、精製した調製品が、精製の後に分解を起こし、N−末端領域を含むN−末端断片とC−末端領域を含むC−末端断片を産出したと考えることである。胎盤ビクニン(7−64)への抗血清に対する断片応答性は、全長タンパク質のC−末端を欠いていると仮定すると、大きさ(24kDa)は高段階の糖付加を示唆している。
以下の表6は、胎盤ビクニンによる様々なセリンプロテアーゼのインビトロ阻害の効力を示している。データはアプロチニン(Trasylol(商標))で得たものと比較した。
Figure 2006232810
結果は、天然の供給源(ヒト胎盤)から単離した胎盤ビクニンがトリプシン−類似セリンプロテアーゼの強力な阻害剤であることを示している。
実施例8
異なるヒト器官および組織間での胎盤ビクニンの発現パターン
ヒト心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓および膵臓からの2μgのpolyA+RNAを含む多数の組織のノザンを Clontechより購入した。
2つの異なるcDNAプローブを使用した。1)胎盤ビクニン(102−159)をコードしているゲル精製したcDNA、2)EcoRIで消化し、ゲル精製したTAクローンより遊離させた780塩基対PCR−由来cDNA(図4E)である。それぞれのプローブをBoehringer Mannheim Biochemicals(Indiana)からの32P−dCTPおよびランダムプライミング標識化キットを用いて標識化し、次いで取扱説明書にしたがって多数の組織に対してハイブリッド形成するのに使用した。オートラジオグラフィを18時間の露光時間でBiomaxフィルムを用いて作製し、Umax Scannerを用いて感光し、Adobe Photoshopを用いてスキャンした。
結果。胎盤ビクニン(102−159)プローブ(図11A)または胎盤ビクニンの両方のクニッツ(Kunitz)ドメインを含むより大きなプローブ(図11B)を用いて観察した組織発現のパターンは、予想したものと本質的に同一であった。胎盤ビクニンmRNAは、膵臓および胎盤で最も豊富であった。有意なレベルが肺、脳および腎臓でも観察されたが、心臓および肝臓では低いレベルであり、骨格筋ではmRNAは検出されなかった。転写物の大きさは、すべての場合で1.95キロ塩基であり、ESTオーバーレイおよび以上の項で記載した全長cDNAクローニング両方から予想した胎盤ビクニンの予想サイズと一致した。
mRNAの広い組織分布は、胎盤ビクニンが幅広く発現していることを示している。タンパク質がまた、リーダー配列を含んでいるので、ヒト免疫系へ広く暴露されている可能性があり、それが単独のタンパク質として認識されるようになることが必要である。胎盤ビクニンmRNAの広い組織分布に関するさらなる証拠が、胎盤ビクニンに対する相同性で登録したいくつかのEST(図4B)が、ヒト成人および幼児脳、ヒト網膜、乳、子宮、嗅覚上皮および胎盤から由来したという事実より得られる。したがって、天然のヒトタンパク質のヒト患者への投与が、免疫応答を誘発する可能性はないと結論づけた。
興味深いことに、胎盤ビクニンの発現パターンは、ウシ肺および膵臓で高いレベルで見られるウシアプロチニンに関するものを思い起こさせるものである。胎盤ビクニンの発現パターンをさらにはっきりさせるために、以下のヒト細胞からのトータルRNAのRT−PCRを行った。未刺激ヒト臍静脈内皮細胞(HUVECs)、HK−2(腎臓近位細管由来の株)、TF−1(赤白血病株)およびホルボールエステル(PMA)−刺激ヒト末梢血白血球である。使用したプローブ、
Figure 2006232810
(センス;配列番号:59)
Figure 2006232810
(アンチセンス;配列番号:60)
は、cDNA断片をコードしている600bp胎盤ビクニンを増幅するために設計した。比較対照を、800bpアクチン断片を増幅するのにアクチンプライマーを加えることによって標準化した。エチジウムブロマイドによってアガロースゲル上で同定された800bpの断片がすべてのレーンで同等の強度であった一方で、600bpの胎盤ビクニン断片はHUVECsには存在せず、しかし他の細胞株それぞれには有意な量存在した。本発明者らは、胎盤亜ビクニンは少なくともいくつかの内皮細胞には発現していないが、いくつかの白血球集団には発現していると結論づけた。
実施例9
バキュロウイルス/Sf9発現系よりよく精製された胎盤ビクニン(1−170)の精製および特性 両方のクニッツ(Kunitz)ドメインを含んでいる胎盤ビクニン(ビクニン(1−170))(配列番号:52)の大きな断片を以下のようにSf9に発現させた。PCR(図4E)より得、TAベクター内に含まれる(以上の実施例を参照)胎盤ビクニンcDNAを、HindIIIおよびXbaIでの消化によって遊離させ、5’XbaI部位および3’HindIII部位によって隣接した断片を産出した。この断片をゲル精製し、次いでM13mp19ベクター(New England Biolabs,Beverly,MA)内にクローン化した。インビトロ変異導入(Kunkel T.A.,(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:488−492)を使用して、5‘末端でのXbaI部位に対してPstI3’部位を作製し、一方でATG開始部位をコードしている配列、天然の胎盤ビクニンシグナルペプチドおよび成熟胎盤ビクニンコード配列に対して5‘を作製した。変異導入のために使用したオリゴヌクレオチドは配列
Figure 2006232810
(配列番号:61)
を持った。終止コドン(TAG)およびBglII/XmaI部位を同様にオリゴヌクレオチド:
Figure 2006232810
(配列番号:62)
を使用してcDNAの3’末端に作製した。終止コドンは胎盤ンビクニンをコードしている配列とインフレームであり、アミノ酸残基170のリシンの直後で終了となり、したがって短くした胎盤ビクニン断片をコードすることは、推定される膜貫通領域が欠けている。PstIおよびBglIIによる消化からの産物を単離し、両方のクニッツ(Kunitz)ドメインを含むが、予想される膜貫通区画に対するN末端後で短くなっている胎盤ビクニン断片(1−170)の発現のためにBacPac8ベクター内にクローン化した。
Sf9昆虫細胞によるビクニンの発現は、培地を感染後72時間回収した場合、1対1の感染の多重感染において最適であった。回収後、バキュロウイルス細胞培養上清(2L)をTris−HClの添加によってpH8.0に合わせた。
ビクニンを、胎盤からの天然の胎盤ビクニンの精製に関して実施例7で既に記載したように、5mlのウシ膵臓カリクレイン親和性カラムを使用したカラムクロマトグラフィによって精製した。溶出した物質をTFAによってpH2.5にあわせ、1ml/分の流速にて、0.1%TFA中の10%アセトニトリルで平衡化したC18逆相カラム(1.0×25cm)上のカラムクロマトグラフィにかけた。ビクニンを40分間かけて、0.1%TFA中の10−80%アセトニトリルの直線勾配で溶出した。活性画分をため、凍結乾燥し、50mM Hepes(pH7.5)、0.1M NaCl、2mM CaClおよび0.1%Triton X−100中に再懸濁させ、必要になるまで−20℃にて保存した。組換え体ビクニンの濃度をアミノ酸解析により決定した。
結果。組換え体ビクニンを、以下に示したような2段階精製プロトコルを用いてバキュロウイルス細胞培養上清より精製し、活性トリプシン阻害剤を得た(以下の表8)。
Figure 2006232810
固定化ウシ膵臓カリクレイン親和性カラム上での未精製物質のカラムクロマトグラフィは、0.013%のタンパク質および0.67%の存在しているトリプシン阻害剤活性を選択的に単離した。開始上清に存在したトリプシン阻害活性の大部分は、固定化したカリクレインに結合せず、ビクニンと関連しなかった(結果は示さず)。続くC18逆相を使用したクロマトグラフィにより、5倍のさらなる精製が行われ、収率は0.2%であった。最終調製品は、SDS−PAGEによって非常に純粋であり(図13)、21.3kDaのMrを示しており、ウサギ抗胎盤ビクニン102−159への免疫ブロットで反応した(示していない)。N−末端配列決定(26サイクル)により、残基+1より始まる(ADRER…)成熟胎盤ビクニン(図4F)に関する予想された配列が得られ、これはシグナルペプチドがSf9細胞内で正確に処理されていたことを示している。
Sf9細胞からの精製した胎盤ビクニン(100pmol)をピリジルエチル−アルキル化し、CNBr消化し、次いで得られた断片の分解なしに配列決定した。20サイクルの配列決定によって以下のN−末端が得られた。
Figure 2006232810
このようにして、予想された4つの断片のそれぞれに相当しているN−末端を回収した。これは、Sf9発現タンパク質は、胎盤ビクニン(1−170)の全エクトドメイン配列を含むことを確かにした。
実施例10
Sf9細胞由来の精製した胎盤ビクニン(1−170)の阻害特異性
組換え体ビクニンのインビトロ特異性を、実施例3、4および7で記載したような物質および方法で決定した。さらに、ヒト組織カリクレインのビクニンによる阻害を、50mM Tris(pH9.0)、50mM NaClおよび0.01% triton X−100を含む緩衝液中で0.35nMのヒト組織カリクレイン組換え体ビクニンをインキュベートすることで測定した。37℃にて5分後、5μlの2mM PER−AMCを添加し、蛍光の変化をモニターした。
組織プラスミノーゲン活性化剤(tPA)の阻害もまた以下のように測定した。tPA(Sigma Chemical Co,St Louis,MOからの、ヒトメラノーマ細胞培養液からの単鎖形態)を阻害剤と共に、150mM NaClおよび0.02%アジ化ナトリウムを含む20mM Tris緩衝液pH7.2中で室温にて2時間、前インキュベートした。反応を続けて以下の初期成分濃度を含む反応系に移して開始した。0.004%(v/v)TritonX−100および0.005%(v/v)アジ化ナトリウムを含む28mM Tris緩衝液pH8.5中、tPA(7.5nM)、阻害剤0−6.6μM、DIle−Lpro−Larg−pニトロアニリン(1mM)。p−ニトロアニリンの形成を、37℃での2時間のインキュベーションの後にA405nmを測定して決定した。
以下の表は、インビトロでの様々なセリンプロテアーゼの阻害剤としての組換え体ビクニンの効力を示している。データは、組換え体ビクニンまたはアプロチニンどちらかを使用した阻害のスクリーニングに関して得たデータと比較して示した。
Figure 2006232810
この結果は、組換え体ビクニンが、少なくとも5つの異なるセリンプロテアーゼ阻害剤として効果的な活性プロテアーゼ阻害剤を産出するために昆虫細胞に発現されることができることを示している。組換え体ビクニンは、ヒト血漿カリクレイン、トリプシンおよびプラスミンに対してアプロチニンよりも強力であった。驚くべきことに、組換え体ビクニンは、試験したすべての酵素に対して、合成的に誘導したビクニン断片(7−64)および(102−159)より強力であった。これらのデータは、組換え体ビクニンが、インビトロアッセイで使用されているアプロチニンよりも効果的であり、インビボ効力がよりよいことが期待されることを示している。
特定のプロテアーゼに対する効力の測定に加えて、活性化部分的トロンボプラスチン時間(APTT)を引き延ばす胎盤ビクニン(1−170)の能力を評価し、アプロチニンに関連した活性と比較した。阻害剤を150mM NaClおよび0.02%アジ化ナトリウムを含んでいる20mM Tris緩衝液pH7.2中に希釈し、MLA ElectraR800 Automatic Coagulation Timer凝固測定器(Medical Laboratory Automation,Inc.,Pleasantville,N.Y.)内に含まれたキュベットに加えた(0.1ml)。この器具を、300秒活性時間および二重モードでのAPTTモードにセットした。0.1mlの血漿(Specialty Assayed Reference Plasmaロット1−6−5185,Helena Laboratories,Beaumont,TX)を添加した後に、APTT試薬(Automated APTT−ロット102345、Organon Teknika Corp.,Durhan,NCより)および25mM CaClを自動的に初期凝固に施し、凝固時間を自動的にモニターした。結果(図14)は凝固時間を2倍にするにはおよそ2μMの最終アプロチニンが必要であるが、Sf9誘導胎盤ビクニンは0.3μMのみ必要であったことを示した。これらのデータは、胎盤ビクニンが効果的な抗凝固剤であり、凝固の内因性経路の病理学的活性化を含む疾患に対する薬剤として有用であることを示している。
実施例11
モルモットでの気管電位差の測定
本研究の目的は、処置後3時間のモルモット気管電位差におけるクニッツ(Kunitz)セリンプロテアーゼ阻害剤ビクニン、およびナトリウムチャネルブロッカーアミロリドの効果を調査することであった。これらの薬剤は、局所滴下によって頭方向の気管内に伝送した。TPDを2時間後に60分間モニターした。本実施例で使用した手順は、「Cilia,Mucus and MucociliaryInteractions」、Ed.,Baum,G.L.ら,Marcel Dekker,New York,1998;Newtonら,Ped.Pulm.S17,Abs.364,1998においてNewtonらで記載されている。
使用した物質および方法/薬剤
(以下の実施例17で記載したような)ビクニン(1−170)(5および50ug/mL(配列番号:52))および(Sigma Chemials,St.Louis,MO,USAから入手した)アミロリド(100uM)の水様処方を調製し、使用の前に無菌濾過してエンドトキシン試験を行った。これらの処方は、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)内で調製し、137mM NaCl、3mM KCl、3mM KHPO、8mM NaHPO、0.2% Tween−80、pH7.1を含むように調製し、本実施例での使用のために無菌濾過し、エンドトキシン試験した。HBSSを対照溶液として使用した。Hypnorm(商標)(クエン酸フェンタニル0.315mg/mL)およびフルアニゾン10mg/mL)はJanssen Animal Healthから入手し、Hypnovel(商標)(ミダゾラム5mg/mL)はRocheから入手した。オスDunkin−Hartleyモルモット(550−750g)はDavid Hall,UKより供給された。サーミスタプローブはKane−May Ltd,UKより入手した。
気管気道内への麻酔の導入とビクニンの投与動物をハロタンを使用して麻酔した。一旦麻酔が十分なレベル導入されたならば、小切開を下顎の下で行った。気管をさらし、100ul容量のビヒクル、ビクニン(0.5ugまたは5ug)またはアミロリド(100uM)をニードルおよびシリンジを用いて気管表面上に一滴ずつ垂らした。一旦注入したならば、皮膚切開をVetbond(商標)(シアノカクリレート組織接着剤)を用いて閉じた。次いで動物を回復させた。
気管電位差の測定のためのモルモットの調製
薬剤処理の2時間後、モルモットをHypnorm(商標)およびHypnovel(商標)で2回目の麻酔をし、仰向けの状態で固定化した。直腸温度を、サーミスタプローブで測定し、熱ランプの手動調節によって37℃に保った。腹部中線切開を、下顎から鎖骨までで行った。鈍解剖具を用いて、気管の全長を曝露し、カニューレを挿入した。外部頸動脈をさらし、カニューレを挿入した。次いで尾側の気管にカニューレを挿入し、動物に部屋の空気で自発的に呼吸させた。次いで動物を仰向けに置き、その体温を熱ランプを用いて保った。筋肉内麻酔の導入後20分、気管寒天電極を頭側の気管に挿入し、気管電位差を60分間測定した。対照電極は、気管軟骨に結合させて頭側気管の下に配置した。傷部分を乾燥を防ぐために覆った。
結果
図15に示したように、ビクニン(5ug)は、賦形剤に関する処理の3時間後、インビボで、モルモット気管の電位差を阻害した。アミロリド(100uM)およびビクニン(0.5ug)の効果を比較として示した。
実施例12
モルモットでの気管粘液速度におけるビクニンの効果
本研究の目的は、処理の1.5時間後のモルモット気管粘液速度におけるクニッツ(Kunitz)ファミリーセリンプロテアーゼ阻害剤ビクニンの効果を調査することであった。この薬剤は、局所滴下によって頭側気管に伝送した。TMVを1.5時間後、60分間モニターした。本実施例で使用した手順は、「Cila,Mucus and Mucociliary Interactions」、Ed.,Baum,G.L.ら,Marcel Dekker,New York,1998;Newtonら,Ped.Pulm.S17,Abs.364,1998においてNewtonらで記載されている。
使用した物質および方法/薬剤
(以下の実施例17で記載したような)ビクニン(1−170)処方(50ug/mL(配列番号:52))を137mM NaCl、3mM KCl、3mM KHPO、8mM NaHPO、0.2% Tween−80、pH7.1を含むHBBS中で調製した。この処方を本実施例での使用の前に無菌濾過し、エンドトキシン試験した。HBSSを対照溶液として使用した。Hypnorm(商標)(クエン酸フェンタニル0.315mg/mLおよびフルアニゾン10mg/mL)はJanssen Animal Healthから入手し、Hypnovel(商標)(ミダゾラム5mg/mL)はRocheから入手した。オスDunkin−Hartleyモルモット(550−750g)はDavid Hall,UKより供給された。サーミスタプローブはKane−May Ltd,UKより入手した。
気管気道内への麻酔の導入とビクニンの投与
動物をハロタンを使用して麻酔した。一旦麻酔が十分なレベル導入されたならば、小切開を下顎の下で行った。気管をさらし、100ul容量のビヒクルまたはビクニン(5ug)をニードルおよびシリンジを用いて気管表面上に一滴ずつ垂らした。一旦注入したならば、皮膚切開をVetbond(商標)(シアノカクリレート組織接着剤)を用いて閉じた。次いで動物を回復させた。
気道粘液速度(TMV)の測定
TMVを、実際には麻酔したモルモットの気管粘膜繊毛層上に移動させ、32P−標識化したSaccharomyces cerevisiaeの注入部分から放射された放射活性を検出するように配置した小型ベータ粒子検出検出器プローブで平行にした導線を用いてモニターした(Newton and Hall1998)。図16(a)は、シリンジおよびベータプローブの配置を図示している。図16(b)は、32P−標識化S.セルビシエを気管粘膜繊毛層にそって移動させたときにプローブによって検出したカウントを示している。
ビクニンの滴下後70分に、それぞれの動物にHyponorm(商標)およびHyponovel(商標)で2回目の麻酔をし、仰向けの状態で固定した。
最初のTMV測定を20分後に行った。続く測定を15分ごとに行った。TMV測定の手順は、Newtonら、「Cilia,Mucus and MucociliaryInteractions,」Ed.,Baum,G.L.,Preil,Z.,Roth,Y.,Liron.,Ostfield,E.,Marcel Dekker.New York,1990およびPediatric Pulmonology S17,Abs 364,1998でのNewtonらにて詳細に記載されている。
結果。図16(c)で示したように、ビクニン(5ug)は、投与後1.5−2.5時間の保持時間にわたって、食塩水と比較して、インビボでモルモットのTMVを増加させた。
実施例13
ビクニンは、インビトロでの培養ヒト気管支上皮(HBE)細胞短回路電流におけるナトリウム電流を減少させる交会まで増殖させた三次HBE細胞単層を修正Ussingチャンバー上に載せ、Krebs緩衝液(KBR)溶液内に浸し、37℃に暖めた95%O2/5%CO2でバブリングした。
細胞を、バックグラウンドノイズおよび流体抵抗に関する較正の前20分間平衡のままにした。次いで経上皮電位差異をWPI EVC 4000電圧クランプを使用して0mVまでクランプした。Ag/AgCl電極を使用しIscをモニターした。一旦安定した基準線が得られたら(典型的には10−20分)、細胞をアミロリド(10uM)で処理した。一旦アミロリドに対する応答が見られたならば、KBR溶液で洗浄した。基準線および平衡が戻った後、(以下の実施例17で記載したような)ビクニン(1−170)(PBS中0.5−50ug/mL)またはPBS対照を加えた。薬剤処理の90分後、アミロリド(10uM)を添加した。電流が一旦安定になったならば、フォルスコリン(10uM)、次いでブメタニド(100uM)を添加した。
結果
図17に示したように、ビクニン(70nM)は、インビトロで90分にわたって間、ヒト気管上皮細胞でのナトリウム電流を阻害した。ForskolinはcAMP誘導塩素分泌を誘導し、単層抵抗性には影響を与えなかった。
実施例14
モルモットでのTMVにおける高張食塩水(14.4%)の効果
本比較研究の目的は、モルモット気管粘液速度における高張食塩水(14.4%×5分間)の効果を調査することであった。この薬剤は、エアロゾルによって頭側気管内に伝送した。TMVを、直後および毎15分ごと、30分間モニターした。本実施例で使用した手順は、「Cilia,Mucus and Mucociliary Interactions,」Ed.,Baum,G.L.ら,Marcel Dekker,New York,1998;Newtonら,Ped.Pulm.S17,Abs.364,1998においてNewtonらで記載されている。
使用した物質および方法/薬剤
Hypnorm(商標)(クエン酸フェンタニル0.315mg/mLおよびフルアニゾン10mg/mL)はJanssen Animal Healthから入手し、Hypnovel(商標)(ミダゾラム5mg/mL)はRocheから入手した。オスDunkin−Hartleyモルモット(550−750g)はDavid Hall,UKより供給された。サーミスタプローブはKane−May Ltd,UKより入手した。
気道粘液速度の測定
動物をHypnorm(商標)およびHypnovel(商標)を用いて麻酔した。TMVを、実際には麻酔したモルモットの気管粘膜繊毛層上に移動させ、32P−標識化したSaccharomyces cerevisiaeの注入部分から放射された放射活性を検出するように配置した小型ベータ粒子検出検出器プローブで平行にした導線を用いてモニターした(Newton and Hall 1998)。
最初のTMV測定(ラン1)を投与後20分で行った。続く測定を、15分ごとに行った。第2ランの前6分の時点で、5分間食塩水(0.9%)または高張食塩水(14.4%)のエアロゾルを投与した。放射標識化トレーサ粒子を気管に作製した0.5umの穴を介して与えた。食塩水(0.9%)または高張食塩水(14.4%)どちらかのエアロゾルは、Pari加圧噴霧器によって作製した。エアロゾルを第2ランの前1分でスイッチを切った。TMV測定に関する手順は、Newtonら,「Cilia,Mucus and Mucociliary Interactions,」Ed.,Baum,G.L.,Preil,Z.,Roth,Y.,Liron.,Ostfield,E.,Marcel Dekker.New York,1990およびPediatric Pulmonology S17,Abs 364,1998でのNewtonらにて詳細に記載されている。
結果
図18に示したように、高張食塩水(14.4%×5分間)は、エアロゾル直後のTMVの一過性の増加を引き起こした。
実施例15
モルモットでのTMVにおけるアミロリドの効果
本研究の目的は、麻酔した自発的呼吸を行っているモルモットでのモルモット気管粘液におけるアミロリド(10mM×20分間)の効果を調査することであった。この薬剤は、実施例14で記載したように、エアロゾル化によって頭側気管内に伝送した。本実施例で使用したTMV測定手順は、「Cilia,Mucus and Mucociliary Interactions」、Ed.,Baum,G.L.ら,Marcel Dekker,New York,1998;Newtonら,Ped.Pulm.S17,Abs.364,1998においてNewtonらで記載されている。
使用した物質および方法/薬剤
水中のアミロイド処方(10mM)を本実施例のために調製した。Hypnorm(商標)(クエン酸フェンタニル0.315mg/mLおよびフルアニゾン10mg/mL)はJanssen Animal Healthから入手し、Hypnovel(商標)(ミダゾラム5mg/mL)はRocheから入手した。オスDunkin−Hartleyモルモット(550−750g)はDavid Hall,UKより供給された。サーミスタプローブはKane−May Ltd,UKより入手した。
気道粘液速度の測定
動物をHypnorm(商標)およびHypnovel(商標)を用いて麻酔した。TMVを、実際には麻酔したモルモットの気管粘膜繊毛層上に移動させ、32P−標識化したSaccharomyces cerevisiaeの注入部分から放射された放射活性を検出するように配置した小型ベータ粒子検出検出器プローブで平行にした導線を用いてモニターした。モルモットは0時点でHypnorm(商標)およびHyponovel(商標)で麻酔した。アミロリド(10mM×20分間)はエアロゾルによって投与した。最初のTMV測定を、その直後に行い、続く測定を15分ごとに行った。
結果
図19に示すように、アミロリド(10mM×20分間)は、エアロゾルの15分後にTMVの統計学的に有意な増加を引き起こした。
実施例16 アプロチニン二重ムテインは培養ヒト気道上皮(HBE)細胞短回路電流(Isc)におけるナトリウム電流を減少させる。
本研究の目的は、インビトロで、Iscにおけるクニッツ(Kunitz)ファミリーセリンプロテアーゼ阻害剤アプロチニン二重ムテインの効果を調査することであった。交会まで増殖させ三次HBE細胞単層を修正Ussingチャンバー上に載せ、Krebs緩衝液(KBR)溶液内に浸し、37℃まで暖めた95%O2/5%CO2でバブリングした。アプロチニン二重ムテインは、参照して全体に組み込まれた、1998年1月28日に発行された欧州特許第EP821 007号の実施例1で記載されたDes Pro2−Ser10−Arg15−Asp24−Thr26−Glu31−Asn41−Glu53−アプロチニンである。
細胞をバックグラウンドノイズおよび流体抵抗に関して較正する前に20分間平衡にさせたままにした。次いで経内皮電位差を、WPI EVC4000電圧クランプを用いて0mVまでクランプした。Ag/AgCl電極を使用してIscをモニターした。一旦安定した基準線が得られたならば(典型的には10−20分間)、細胞をアミロリド(10uM)で処理した。一旦アミロリドへの応答が見られたならば、KBR溶液で洗浄した。基準線および平衡に戻った後、ビクニン(5ug/mL)、アプロチニン二重ムテイン(0.5−5ug/mL)、アプロチニン(1.5−5ug/mL)またはPBSを添加した。薬物処理の90分後、アミロリド(10uM)を添加した。
結果
図20に示したように、アプロチニン二重ムテイン(0.5−5ug/mL)は、90分の期間にわたって、ヒト気管上皮細胞で、インビトロにおいてナトリウム電流を用量依存的に阻害した。
実施例17
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で発現した胎盤ビクニン(1−170)の発現、精製および比較プロテアーゼ阻害活性
(a)ビクニンを発現する安定な、高産出CHO細胞株の発展
多量のビクニンを分泌する安定産出細胞株を、CHO(dhfr−)細胞に実施例27で示した発現ベクターをトランスフェクトして確立した。ベクターは標準の組換え体DNA技術を使用して構築した。発現ベクターおよびCHO細胞発現系の構造の記載は、発明者Sam Chanによる「Methods of Producing Glycosylated Bikunin(糖付加ビクニン産出の方法)」という題名で1999年11月12日に発行されたU.S.S.N.09/441,654号で見ることができる。簡便には、発現ベクターpBC−BKは、早期プロモータのサイトメガロウイルスすぐ下流、およびポリアデニル化シグナル配列の上流にビクニンcDNAをクローニングすることで構築した。発現ベクターpBC−BKは、ビクニン、ジヒドロ葉酸リダクターゼおよびアンピシリン耐性の転写単位からなる。ビクニンcDNAを制限酵素によってクローニングベクターより放出させ、平滑末端化し、直線化したpBCへライゲーションした。pBCの直線化は、単一制限酵素消化によって行った。ビクニンcDNAの方向を配列決定によって確認した。
約1×106 CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞に、取扱説明書にしたがってLipofectin薬剤(Life Technology,Bethesda,Maryland)を用いて10μgのpBC−BKをトランスフェクトした。次いで細胞を50nMメトトレキサートの存在下で選別し、チミジンおよびヒポキサンチン+5%透析したウシ胎児血清欠失DME/F12培地で増殖させた。細胞集団を発色アッセイでビクニン産出に関して選別した。簡単には、ビクニン標準または培養液を、連続希釈し、等容量のカリクレインと共に、発色基質N−ベンゾイル−Pro−Phe−Arg−pNAを添加した後30分間、37℃にてインキュベートした。反応液を50%酢酸の添加前15分間インキュベートした。放出されたp−ニトロアニリドの量を405nMにて測定した。多量産出集団をさらに、増加させたメトトレキサートの濃度(100−400nMメトトレキサート)を含んでいる培地中で選択し、ビクニンの産出について選別した。次いで限界希釈クローニングを、高く、安定な産出性を持つクローンを得るために適用した。クローニングを、96ウェルプレート内に1細胞/ウェルを入れることで、標準組織培養技術を用いてメトトレキサートのない状態で行った。FD3−1と命名したクローンを、バイオリアクターでの生産性評価に関して選択し、American Type Culture Collection(ATCC),Rockville,MDに1999年11月12日に寄託し、Patent Deposit Designation PTA−940を割り当てられた。
(b)灌流バイオリアクターでのビクニンの血清なしでの産出
ビクニンの連続的産出を、連続的な灌流発酵によって行った。1.5リッターWheaton発酵物に安定CHO細胞株を2×106細胞/ml接種し、0.5リッター/日の培地交換速度にて灌流した。産出培地は、インスリン(10μg/ml)およびFeSO・EDTA(50μM)を含むDME/F−12基礎培地であった。培養物の平均日収量は−20mg/日であった。ビクニンの産出は21日間安定に保たれた。
(c)CHO細胞発現系から産出したビクニン(1−170)の精製
CHO細胞から産出したビクニンを、実施例29にて概略したようなイオン交換、金属キレートおよびサイズ排除クロマトグラフィを含む標準のクロマトグラフィ技術を用いて精製した。
SPカラム(18×10cm、2.5L)を、SP−Sepharose Fast Flow(Pharmacia)で調製し、平衡化した。冷えた濾過したCHO細胞採取物(TCF)を、冷滅菌水で1:2.5に希釈し、pHを5.0にあわせた。クロマトグラフィを、冷緩衝液にて、室温にて行った。冷開始物質を800mL/分(189cm/時間)にてカラム上にのせた。カラムに載せたビクニンの量は0.888−1.938g(およそ14mg/L)の範囲であった。ローディングの後、カラムを平衡化緩衝液にて洗浄し、ビクニンを溶出緩衝液で溶出した。溶出液を2−8℃(氷浴中)にて回収し、すぐに6N NaOHでpH7にあわせた。カラムを洗浄し、次いで冷(2−8℃)1N NaOHにて殺菌し、次回に使用するまで20%エタノール中で2−8℃にて保存した。
平衡化および洗浄緩衝液は50mM NaCl、30mM NaHPO、pH5.0を含み、溶出緩衝液は350mM NaCl、30mM NaHPO、pH5.0を含み、pH調節緩衝液は1Mクエン酸、1M NaHPO、pH2.4であった。
陰イオン交換クロマトグラフィのための調製で行った、ダイアフィルトレーション(DF)で容量を5−7倍まで少なくする前に、解凍したSP−Sepharose溶出液を、超濾過(UF)にておよそ10倍まで濃縮した。すべての作業は、水平フローフード内で、室温で行った。UF/DFは、Millipore(Bedford,MA)からのPellicon2「ミニ」フィルタ系および2つの10kDa再生セルロースカートリッジ(P2C010C01)を使用した。流速は、2−カートリッジ系に関しておよそ130±20mL/分であり、流入圧および流出圧をそれぞれ22−26psiおよび12−16psiに調節することで維持した。循環は蠕動性ポンプで行い、再循環は、膜圧調節の前に、500−600mL/分まで設定した。ダイアフィルトレーションは冷10mM NaH2PO4緩衝液、pH8.1で行った。
Q−Sepharoseカラムクロマトグラフィを以下のように行った。Q−Sepharose Fast Flow(Pharmacia)の13×9cm、1.2Lカラムを5倍容量(CV)の滅菌水で洗浄し、およそ10CVの平衡化緩衝液で平衡化した。ダイアフィルタ化したSP溶出液をpH8.1に合わせ、Q−Sepharoseカラム上に100mL/分(45cm/時間)で載せた。カラム上にのせたビクニンの量は1121−2607mg(およそ15mg/mL)の範囲であった。ローディングの後、カラムをA280のUV吸収が基準線に達するまで平衡化緩衝液で洗浄し、次いでビクニンを溶出した。溶出液を収集し、Zn−IMAC、亜鉛固定化金属イオン吸着クロマトグラフィのための種物質として使用した。カラムを1M NaOHで洗浄し、滅菌水ですすぎ、20%エタノール中で保存した。すべての操作は2−8℃にて行った。Q−Sepharoseカラムのための平衡化および洗浄緩衝液は10mM NaHPO、pH8.1を含んだ。溶出緩衝液は10mM NaHPO4、100mM NaCl、pH8.1を含んだ。
およそ200mLのベット容量のChelating Sepharose Fast Flow(Pharmacia)を含んでいるZn−IMACカラム(5×10cm)を、3容量のZnSO溶液(以下参照)で帯電させ、以下で記載したような2容量の滅菌水で洗浄し、6容量の緩衝液で平衡化した。Q−Sepharose溶出液をpH7.4および(NaCl固体の添加によって)300mM NaClまで合わせ、30mL/分(92cm/時間直線速度)でZn−IMACにのせ、次いでカラムをUV吸収が基準線に達するまで平衡化緩衝液で洗浄した。カラムにのせたビクニンの量は0.097−1.681g(およそ0.63mg/mL)の範囲であった。フロースルーおよび洗浄液をUFのために回収した。カラムを解体し、0.5M NaOHで殺菌した。この工程のすべての操作は2−8℃にて行った。Zn−IMCAのための平衡化緩衝液は10mM NaHPO、300mM NaCl、pH7.4を含み、解体緩衝液は50mM EDTA、10mM NaHPO、300mM NaCl、pH7.4を含み、帯電溶液は2mg/mL ZnSO4・7H2Oであった。
Zn−IMACフロー−スルーをSephacryl S−200クロマトグラフィのためにPellicon2系(Millipore)での超濾過5倍によって濃縮した。浸透流速はおよそ60−70mL/分であり、上述したように維持した。再循環は400−500mL/分であった。
4.59LのSephacryl S−200 High Resolution(Pharmacia)を含むカラム(10×58.5cm)を、137mM NaCl、2.7mM KCl、2.9mM KHPO、10mM NaHPO、8mM Na2HPO4、2mg/L Tween80、pH7.2で平衡化した。流速は30mL/分(23cm/時間)であった。典型的なランでは、95mLの容量での1475mgのビクニンをカラムにのせた。 S−200後のプールを、潜在的な発熱物質を取り除くためにバッチ法でEtox樹脂で処理した。ActiClean Etox,2705樹脂(Sterogene Bioseparations,Inc.)を1M NaOHですすぎ、室温で攪拌しながら1M NaOH中で5時間インキュベートした。樹脂を洗浄し、PBS、pH7.2で平衡化した。80mLの濾過し、平衡化した樹脂を1063mLのビクニンS200プール(5460.11mg)に加え、一晩2−8℃で攪拌した。次いでETOX樹脂を0.2ミクロンNalgeneフラスコフィルタで濾過して取り除いた。
結果、表10は各工程によって供給された平均収率である。
Figure 2006232810
ビクニンの総収率は95%の純度で約30%であった。質量分析データがまた、全長ビクニン(1−170)分子に加えて、ビクニン(1−170)のカルボキシ末端からの3つ(G−S−K)および4つ(L−G−S−K)のアミノ酸を欠く種が、純粋なタンパク質プール中に存在することを示唆した。産出された物質は、室温または37℃、中性pHでの72時間インキュベーションにさらした時に分解に安定であることが示された。N−末端配列決定、ゲル電気泳動、免疫ブロッティングおよびアミノ酸解析により、ビクニンは本質的に純粋(他の配列が検出されない)ことが示唆された。さらなる逆相クロマトグラフィ工程は、CHO由来精製ビクニンが、まだいくつかの種類に分画できることを明らかにした(図30A)。CHOビクニン(8.5mg)をトリフルオロ酢酸(TFA、0.1%最終濃度)でpH2.5まで合わせ、17.5%アセトニトリルおよび0.1%TFAで平衡化したC18逆相カラム(Vydac、2.5×25cm)上で、流速2ml/分でのクロマトグラフィにかけた。CHOビクニンを、60分間かけて0.1% TFA中の17.5−40%アセトニトリルの直線勾配で溶出した。図30Bはこれらの画分の銀染色SDS−PAGE図を示している(54と55の間のレーンは分子量マーカを示している)。
予備的な糖鎖解析を、約21kDa−約38kDaの範囲のMWを持つCHOビクニンの糖付加アイソフォームで行った。総糖鎖含量は7.5%であるとわかった。両方のN−型結合部位(Asn−30およびAsn−67)が、糖構造によって占有されていることがわかった。クロマトグラフィおよび質量分析解析で、高い異質性および精製ビクニンに関して観察された大きさの異質性に寄与している高分岐オリゴサッカライド構造の存在が確かめられた。約90%のオリゴサッカライドがシアル酸付加しており、残りの構造は中性であった。N−グリコシダーゼFで処理した場合、CHOビクニンの糖付加アイソフォーム(図30B)は単一の18kDaアイソフォームに変換された(図31参照)。
ビクニンのシアル酸含量を、50mM酢酸ナトリウム緩衝液pH5.0中でシアリダーゼと一緒の、ふたをしたマイクロヒュージチューブ内での18時間のインキュベーションによって解析した。シアル酸を、1ml/分の流速での50分間の100mM NaOH中の20−250mM酢酸ナトリウムの緩衝液勾配を用いたCarbo Pac PA1陰イオン交換カラム上で分離した。検出は、パルス電気化学検出器で行い、試料の保持時間およびピーク面積の標準シアル酸(N−アセチルノイラミン酸およびN−グルタリルノイラミン酸)に対する比較で定量した。結果は表11に示している。
Figure 2006232810
実施例18
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に発現した胎盤ビクニン(1−170)の比較プロテアーゼ阻害活性
概要。組換え体ビクニンのインビトロ特異性を、実施例3、4、7および10に記載したような物質および方法を用いて測定した。以下の表12は、インビトロでの様々なセリンプロテアーゼの阻害剤としての組換え体ビクニンの効力を示している。データは、組換え体ビクニンまたはアプロチニンのどちらかを用いて示している。
プロテアーゼ。ヒトプラスミンおよびヒト血漿カリクレイン定量を、既に記載したように(Chase,T.,およびShaw,E.,(1970)Methods Enzmol.19,20−27)、p−ニトロフェニルp’−グアニジンベンゾエートHClを用いて活性部位滴定で実施した。ヒト組織カリクレイン(Bayer,Germany)は、標準としてウシアプロチニン、1:1複合体形成をとる基質としてPFR−AMCを使用して活性部位滴定によって定量した。使用した条件下でのプラスミンによるGPK−AMCに対するKmは726μMであり、ヒト血漿カリクレインでのPFR−AMCに対するKmは457mMであり、ヒト組織カリクレインでのPFR−AMCに対するKmは5.7μMであった。
阻害速度論。ヒトププラスミンのCHO発現胎盤ビクニン(1−170)およびアプロチニンによる阻害を、50mM Tris−HCl(pH7.5)、0.1M NaCl、および0.02% TritonX−100を含む緩衝液中のプラスミン(50pM)およびCHO発現胎盤ビクニン(1−170)(0−2nM)またはアプロチニン(0−4nM)で測定した。37℃でのインキュベーションの30分後、25μlの20mM GPK−AMCを添加し、蛍光の変化をモニターした。CHO発現胎盤ビクニン(1−170)またはアプロチニンによるヒト血漿カリクレインの阻害を、50mM Tris−HCl(pH8.0)、50mM NaCl、および0.02% TritonX−100中のカリクレイン(0.2nM)およびCHO発現胎盤ビクニン(1−170)(0−4nM)またはアプロチニン(0−45nM)を用いて測定した。37℃での30分後、5μlの20mM PFR−AMCを添加し、蛍光の変化をモニターした。
アプロチニンまたはCHO発現胎盤ビクニン(1−170)によるヒト組織カリクレインの阻害を、50mM Tris−HCl緩衝液、pH9.0、50mM NaCl、および0.1% TritonX−100を含む1ml反応容量中で、0.35nMヒト組織カリクレインをCHO発現胎盤ビクニン(1−170)(0−10nM)またはアプロチニン(0−0.5nM)とインキュベーションすることで測定した。37℃にて5分後、最終濃度10uMになるように5ulの2mM PFR−AMCを添加し、蛍光の変化をモニターした。
第XIa因子(Enzyme Research Labs、South Bend,IN)の阻害を、総容量1mlの50mM Hepes pH7.5、100mM NaCl、2mM CaCl2、0.01% Tritonx−100および1% BASを含む緩衝液内で、FXIaを0−4uMのCHO発現胎盤ビクニン(1−170)または0−4uMのアプロチニンと共にインキュベーションすることで測定した。37℃にて30分後、10ulの40mM Boc−Glu(OBzl)−Ala−Arg−AMC(Bachem Biosciences,King of Prussia,PA)を添加し、蛍光の変化をモニターした。
明白な阻害定数Ki*を非直線回帰データ解析プログラムEnzfitterソフトウェア(Biosoft,Canbridge,UK)を用いて決定した。それぞれの実験からの速度論的データは、強い結合阻害剤に関する方程式によって解析した。
(数5)
/V=1−(E+I+K −[(E+I+K −4E1/2)/2E (2)
式中V/Vは分数酵素活性(阻害対非阻害比)であり、EおよびIはそれぞれ酵素および阻害剤の総濃度であり、K値は方程式
(数6)
=K /(1+[S0]/K) (3)
による基質の効果に関する補正によって得た。(Boudier,C.,and Bieth,J.G.,(1989)Biochem Biophys Acta.995:36−41)。
結果:Ki値は以下の表12に挙げる。
Figure 2006232810
結果は、少なくとも3つの異なるセリンプロテアーゼに対して効果的な活性プロテアーゼ阻害剤を産出するために、組換え体ビクニンをCHO細胞に発現させることができることを示している。組換え体ビクニンは、ヒト血漿カリクレインおよびヒトFXIaに対して、アプロチニンよりも強力であった。ヒト血漿を阻害する点は、アプロチニンと等しい効力を持った。
実施例19
アプロチニンは、インビトロで、ヒト培養嚢胞性線維症気管上皮細胞短回路電流(Isc)でのナトリウム電流を減少させる。
HBE細胞をCF患者肺移植組織から単離し、1週間コラーゲンコートしたフラスコで培養した。次いで細胞を継代し、コラーゲンコートしたCostar Transwellフィルタ(0.33cm2)上にまき、2% Ultroser Gを含むDMEM/F12培地中で増殖させた。細胞を空気液体境界にて培養させ、播種後2−4週間使用した。
Transwellフィルタ上の細胞を、修正Coster Ussingチャンバー内にのせ、Isc条件下で試験した。基準線Isc値を記録し(0−10分間)、次いでアプロチニン(PBS中1mg/mL)をアピカル側に添加した。Iacを100分間記録し、次いでアピカル側浴流体を新鮮な培養液に交換した。トリプシン(100BAEE単位/mL)をアピカル側に添加し、Iscをさらに10分間記録した。次いで、アミロリド(10uM)をアピカル側に添加し、Iscをさらに10分間記録した。
結果
図21に示したように、アプロチニン(PBS中1mg/mL)は、100分間にわたってヒトCF気管上皮細胞でインビトロにてIscを阻害した。洗浄後、Iscはセリンプロテアーゼであるトリプシンでのアピカル表面の処理によって増加した。最終的に、アミロリド(10uM)の添加が、Iscの変化が、ナトリウム依存電流での変化の結果であったことを示唆していた。
実施例20
噴霧化後のビクニン(1−170)の活性の査定
本研究の目的は、噴霧化後の実施例17に記載したビクニン(1−170)の抗プロテアーゼ活性を査定することであった。すべての研究は、リン酸緩衝食塩水、pH7.4(137mM NaCl、3mM KCl、3mM KHPO、8mM NaHPO、0.02g/L Tween80)内で処方したビクニンで行った。
噴霧化の方法
Raindrop(商標)薬剤噴霧器:ビクニンを1および3mg/mLの濃度でエアロゾル化した。噴霧器のふたを2.5mLのビクニン溶液で満たした。
エアロゾル化を7.35L/分または35psiで行った。
Collison噴霧器:ビクニンを4.7mg/mLの濃度でエアロゾル化した。噴霧器のふたを2.5mLのビクニン溶液で満たした。エアロゾル化を35psiで行った。
噴霧した試料の回収
エアロゾル化したビクニンを、対のインピンジャー(60L/分で本系を通した、6.4um平均空気力学粒子カットオフサイズ)を使用して回収した。インピンジャーは、液体衝撃の原理で働き、エアロゾルを呼吸不可能な画分(段階1で回収した>6.4um)および呼吸可能な画分(段階2で回収した<6.4um)に分けた。
抗プロテアーゼ活性の測定
ビクニン活性を、ヒト血漿カリクレインのその阻害によってインビトロで測定した。
結果
Raindrop(商標)薬剤噴霧器:噴霧化前後試料に対する活性(K)値は以下のようであった。1mg/mLビクニン:K値はそれぞれ0.47(±0.02)および0.76(±0.04)であり、3mg/mLビクニン(1−170)に関して、K値はそれぞれ0.52(±0.03)および0.62(±0.03)であった。
Collison噴霧器:噴霧化前後試料に対する活性(K)値はそれぞれ0.27(±0.03)および0.45(±0.03)であった。
結論: RaindropおよびCollison噴霧器からの噴霧化前後ビクニン試料は、同様の活性(アッセイ量内で同様のK値)を示し、このことはビクニン(1−170)が、エアロゾル化で安定であり、噴霧後その抗プロテアーゼ活性を残していることを示唆している。
実施例21
ヒツジでの気管粘液流速におけるビクニンの効果
本研究の目的は、処置後8時間にわたるヒツジ気管粘液流速における、実施例17で記載したクニッツ(Kunitz)ファミリーセリンプロテアーゼ阻害剤ビクニン(1−170)の効果を調査することであった。この薬剤を噴霧化エアロゾル投与によって気道に伝送した。本実施例で使用した手順は、O’Riordanら,J.Applied Physiol.85(3),1086−1091,1998に記載されている。
TMVの測定
成体オスヒツジを特殊化した体装置で頭を固定化し、直立状態にしたままにした。これらに声帯の直下に配置したカフスにて鼻から気管内管で挿管した。吸気を暖め、湿らせた。膨張させたカフスによって引き起こされたTMVの可能性ある障害を最小化するために、残っている気管内管カフスを、エアロゾル投与の期間を除いて、研究を通して収縮させた。
TMVを測定するために5−10放射パックTeflon粒子(直径およそ1mm、厚さ0.8mm、重さ1.5−2mg)を気管内管内に配置したカテーテルを介して気管内に挿管した。次いでTeflon粒子の移動を1分間隔にわたって測定した。本実施例で使用した手順は、Russiら,J.Applied Pysiol.59(5),1416−1422,1985に記載されている。既知の長さの放射パックマーカを含む首輪を動物の外部に適用し、ビデオスクリーン上で粒子によって横断した距離を移動した実際の距離に変換するのに標準として使用した。TMVを、5−10のTeflon粒子に関して分あたりに移動した頭側方向での平均距離より計算した。基準線TMVをエアロゾルの投与直前に測定した。
試験基質;PBS、PBS中1mg/mLビクニンまたはPBS中3mg/mLビクニンを、3.6umの重量メディアン空気力学直径の小滴を産出する流速にて操作されたRaindoropジェット噴霧器を使用して作製されたエアロゾル(3mL)として、ヒツジ気道に伝送した。TMVを、試験基質を投与した直後(0時)に測定、次いで0.5、1、2、3、4、5、6、7および8時に測定した。
結果
図22に示したように、ヒツジ気道に伝送された9mgのビクニンエアロゾル(3mg/mLの3mL)は、PBS賦形剤エアロゾルを与えた動物の群に対する同時点と比較して、0、0.5、1、2、3、4、5、6、7および8時間の時点で有意にTMVを増加させた。24時間の時点でTMVは、ビクニン処理およびPBS賦形剤群両方で基準線速度まで戻った。
より低用量(3mg ビクニンエアロゾル(1mg/mLの3mL)では、試験したどの時間点でも処理および賦形剤群管でTMVは観察されなかった。
実施例22
ビクニン(50ug/mL)は、培養モルモット気道上皮(GPTE)細胞短回路電流(Isc)でのナトリウム電流を減少させる
本研究の目的は、インビトロでのGPTE細胞上のIscにおけるビクニン(1−170)(実施例17を参照)の効果を調査することであった。GPTE細胞を1.2cm直径、0.4umポアサイズSnapwell(商標)インサート(Costar UK)上にまいた。細胞を交会まで増殖させ、空気−液体境界上に置いた後に2−4日、修正Ussingチャンバー内にのせた。インサートをKrebs緩衝(KBR)溶液内に浸し、37℃まで暖めた95% O2/5% CO2でバブリングした。
20分の平衡期間の後、経上皮電圧差を、WPI EVC4000電圧クランプを用いて0mVまでクランプした。Ag/AgCl電極を、Iscをモニターするのに使用した。一旦安定な基準線が得られたならば(一般的に20−30分間)、細胞をアミロリド(30uM)で処理した。一旦アミロリドへの反応を得られたならば、KBR溶液で洗浄した。基準線および平衡へ戻ったならば、実施例17で記載したビクニン(1−170)(10−50ug/mL)またはPBSを添加した。薬剤処理後30分間、アミロリド(30uM)を添加した。
結果
図23に示したように、ビクニン(1−170)(50ug/mL)は、30分間にわたってモルモット気管上皮細胞でのインビトロのナトリウム電流を阻害した。
実施例23
ビクニン(1−170)(100ug/mL)は、培養ヒツジ気道上皮(OTE)細胞短回路電流(Isc)でのナトリウム電流を減少させる
本研究の目的は、インビトロでのOTE細胞中のIscにおける、ビクニン(1−170)(実施例17を参照)の効果を調査することであった。OTE細胞を1.2cm直径、0.4umポアサイズSnapwell(商標)インサート(Costar UK)上にまいた。細胞を交会まで増殖させ、空気−液体境界上に置いた後に3−5日、修正Ussingチャンバー内にのせた。インサートをKrebs緩衝(KBR)溶液内に浸し、37℃まで暖めた95%O2/5%CO2でバブリングした。
20分の平衡期間の後、経上皮電圧差を、WPI EVC4000電圧クランプを用いて0mVまでクランプした。Ag/AgCl電極を、Iscをモニターするのに使用した。一旦安定な基準線が得られたならば(一般的に30分間)、細胞をアミロリド(10uM)で処理した。一旦アミロリドへの反応を得られたならば、KBR溶液で洗浄した。基準線および平衡へ戻ったならば、実施例17で記載したビクニン(25、50または100ug/mL)またはPBSを添加した。薬剤処理後90分間、アミロリド(10uM)を再び添加した。
結果
図24に示したように、ビクニン(1−170)(100ug/mL)は、90分間にわたってヒツジ気管上皮細胞でのインビトロのナトリウム電流を阻害した。
実施例24
LPSで前処理したモルモットでの気管電位差におけるビクニン(1−170)の効果 気道炎症を支配する多形核(PMN)白血球(好中球)はしばしばCF肺疾患の特徴である。モルモットにおいて、大腸菌リポポリサッカライド(LPS)のエアロゾルへの曝露は、チャレンジの後24時間での気管支肺胞洗浄液での明らかなPMN流入を誘導する。本研究の目的は、LPSのエアロゾルに前曝露したモルモットにおける気管電位差における、実施例17に記載したビクニン(1−170)の効果を調査することであった。薬剤は局所滴下によって頭側気管内へ伝送した。TPDをLPへの曝露23時間後、60分間モニターした。
物質/薬剤
ビクニン(1−170)を、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)内で処方した。
アミロリドはSigma Chemicalsより得、HBSS内に処方した。
ビヒクル対照はHBSSであった。Hypnorm(フェンタニルクエン酸0.315mg/mLおよびフルアニゾン10mg/mL)はJanssen Animal Healthから入手し、Hypnovel(商標)(ミダゾラム5mg/mL)はRocheから入手した。オスDunkin−Hartleyモルモット(600−750g)はDavid Hall,UKより供給された。
サーミスタプローブはKane−May Ltd,UKより入手した。
PMN流入の誘導
個々の動物を10分間、0.03mg/mLのLPSまたはPBSのエアロゾルに曝露した。
気管電位差に対する測定のためのモルモットの調製
LPS処理の23.4時間後、モルモットをHypormとHypnovelで麻酔し、仰向け状態で固定した。腹部中線切開を、下顎から鎖骨までで行った。鈍解剖具を用いて、気管の全長を曝露し、鎖骨の上端で二等分した。外部頸動脈をさらしてカニューレを挿入した。次いで尾側の気管にカニューレを挿入し、動物に部屋の空気で自発的に呼吸させた。次いで動物を仰向けに置き、体温を熱ランプを用いて37℃に保った。直腸温度をサーミスタプローブでモニターした。
麻酔の導入後20分、ビクニン(50ug/mL)またはアミロリド(100uM)を頭側気管内に局所的に滴下した。次いで気管寒天電極を頭側の気管に挿入し、気管電位差を60分間測定した。対照電極は、気管軟骨に結合させて頭側気管の下に配置した。傷部分を乾燥を防ぐために覆った。
結果
図25(a)に示すように、LPSへの曝露は、有意なPMN流入を引き起こした。ビクニンは、図25(b)で示したように、LPSに前曝露したモルモットでの電位差異を有意に阻害した。
実施例25
モルモットでの気管粘液速度におけるアプロチニン二重ムテインの効果
本研究の目的は、処理15.時間後でのモルモット気管粘液速度における実施例16で記載したアプロチニン二重ムテインの効果を調査することであった。この薬剤は局所滴下によって頭側気道内に伝送した。TMVを1.5時間後に60分間モニターした。
物質/薬剤
アプロチニン二重ムテイン(実施例16を参照)は、Biotechnologie、Bayer AG,Germany USAより入手し、ハンクス平衡溶液(HBSS)内で処方した。Hypnorm(フェンタニルクエン酸0.315mg/mLおよびフルアニゾン10mg/mL)はJanssen Animal Healthから入手し、Hypnovel(商標)(ミダゾラム5mg/mL)はRocheから入手した。オスDunkin−Hartleyモルモット(600−750g)はDavid Hall,UKより供給された。サーミスタプローブはKane−May Ltd,UKより入手した。
麻酔の導入
動物をハロタンを使用して麻酔した。一旦麻酔が十分なレベル導入されたならば、小切開を下顎の下で行った。気管をさらし、100ul容量の賦形剤、アプロチニン二重ムテイン(10ug)をニードルおよびシリンジを用いて気管表面上に一滴ずつ垂らした。一旦注入したならば、気管注入部位を覆う皮膚を修繕した。次いで動物を回復させた。
気道粘液速度(TMV)の測定
気管粘液速度(TMV)を、実際には麻酔したモルモットの気管粘膜繊毛層上に移動させ、リン32P−標識化したSaccharomyces cerevisiaeの注入部分から放射された放射活性を検出するように配置した小型ベータ粒子検出検出器プローブで平行にした導線を用いてモニターした(NewtonおよびHall 1998)。試験薬剤の滴下後70分に、モルモットをHypnormおよびHypnovelで第2麻酔し、仰向け状態に固定した。第1TMV測定をその後20分間行った。
結果
図26で示したように、アプロチニン二重ムテイン(10ug)は、投与後1.5−2.5時間の保持期間にわたって、HBSSに対して、インビボで、モルモットでのTMVを増加させた。
実施例26
ビクニン(1−170)は、インビトロでの培養ヒト嚢胞性線維症気管上皮細胞短回路電流(Isc)でのナトリウム電流を減少させる
HBE細胞をCF患者肺移植組織から単離し、1週間コラーゲンコートしたフラスコで培養した。次いで細胞を継代し、コラーゲンコートしたCostar Transwellフィルタ(0.33cm)上にまき、2% Ultroser Gを含むDMEM/F12培地中で増殖させた。細胞を空気液体境界にて培養させ、播種後2−4週間使用した。
Transwellフィルタ上の細胞を、修正Coaster Ussingチャンバー内にのせ、Isc条件下で試験した。基準線Isc値を記録し(0−20分間)、次いでビクニン(1−170)(実施例17を参照のこと)(PBS中10ug/mL)をアピカル側に添加した。Iacを90分間記録し、次いでアミロリド(10uM)を添加し、Iscをさらに10分間記録した。次いでアピカル側浴流体を新鮮な培養液に交換し、Iscをさらに15分間記録した。
トリプシン(1uM)をアピカル側に添加し、Iscを15分間記録した。次いでアミロリド(10uM)をアピカル側に加え、Iscをさらに10分間記録した。
結果
図28(a)で示すように、ビクニン(1−170)(PBS中10ug/mL)は、90分の期間にわたってヒトCF気管上皮細胞でのインビトロでのIscを阻害した。Iscはさらにアミロリド(10uM)の添加によって減少した。洗浄に際し、Iscはアミロリドの添加前の電流まで増加して戻った。さらに15分後、アピカル側表面をトリプシン(1uM)で処理し、これによりさらにIscが基準線電流レベルまで増加した(すなわち、20分の時点で観察された)。最後に、アミロリド(10uM)の添加により大部分の電流が阻害され、Iscの変化がナトリウム依存電流の変化の結果とあることが示唆された。
図28(b)は、1、5および10ug/mLでのビクニン(1−170)および20ug/mLのアプロチニンが、インビトロでヒトCF気管上皮細胞へのアピカル適用後90分の時点でIscを阻害したことを示している。
本発明の特定の実施様態を例示の目的で詳述したが、本明細書で記載した方法および処方は、本発明の意図および範囲を逸脱しない限り修正されてよいことが当業者に容易に明らかになるであろう。したがって、本発明は付随する特許請求によること以外で制限されない。
配列表のフリーテキスト
<210>9
<223>/note=”622,679,707のnはヌクレオチドのいずれかの部位”
<210>10
<223>/note=”201,226,及び233のXaaはナンセンスコドンあるは終結コドン”
<210>11
<223>/note=”8,17,21−26,40,42,45−47,52,64,103,112,114,116−121,135,137,140−142,147,及び159のXaaはアミノ酸残渣のいずれか”
<210>12
<223>/note=”361の残渣はヌクレオチドのいずれかの部位”
<223>/note=”367の残渣はヌクレオチドのいずれかの部位”
<223>/note=”384の残渣はヌクレオチドのいずれかの部位”
<223>/note=”390の残渣はヌクレオチドのいずれかの部位”
<210>13
<223>/label=シグナルペプチド
<223>/note=”111,120,122,128,及び130のXaaはナンセンスコドンあるは終結コドンを表す”
<210>14
<223>/note=”425,482,及び510のnはのヌクレオチドのいずれかの部位”
<210>15
<223>/note=”2,23,132,160,及び167のXaaはナンセンスコドンあるは終結コドンを表す”
<210>16
<223>/note=”3,11,12,17,51,及び429のnはヌクレオチドのいずれかの部位を表す”
<210>17
<223>/note=”6,310,及び408のnはヌクレオチドのいずれかの部位を表す”
<210>18
<223>/note=”組織因子経路阻害剤前駆対1”
<210>19
<223>/note=”組織因子経路阻害剤前駆対1”
<210>20
<223>/note=”組織因子経路阻害剤前駆対”
<210>21
<223>/note=”組織因子経路阻害剤前駆対2”
<210>22
<223>/note=”組織因子経路阻害剤前駆対2”
<210>23
<223>/note=”アミロイド前駆体タンパク質相同体”
<210>24
<223>/note=”アプロチニン”
<210>25
<223>/note=”内部−α−トリプシン阻害剤前駆体”
<210>26
<223>/note=”内部−α−トリプシン阻害剤前駆体”
<210>27
<223>/note=”アミロイド前駆体タンパク質”
<210>28
<223>/note=”コラーゲンα−3(VI)前駆体”
<210>29
<223>/note=”HKI−B9”
<210>32
<223>/note=”ヒトビクニンタンパク質断片”
<210>45
<223>/label=シグナルペプチド
<210>47
<223>/label=シグナルペプチド
<210>49
<223>/label=シグナルペプチド
<210>50
<223>/note=”ヒトビクニンタンパク質断片”
<210>51
<223>/note=”ヒトビクニンタンパク質断片”
<210>52
<223>/note=”ヒトビクニンタンパク質断片”
<210>53
<223>/note=”ヒトビクニンタンパク質のシグナルペプチド”
<210>54
<223>ヒトビクニンタンパク質断片
<210>55
<223>/note=”構造表示開始のためのオリゴマー”
<210>56
<223>構造表示開始のためのオリゴマー
<210>57 <223>/note=”構造発現開始のためのオリゴマー”
<210>58
<223>/note=”構造発現開始のためのオリゴマー”
<210>61
<223>/note=”ビクニン構造発現開始のためのオリゴマー”
<210>62
<223>/note=”ビクニン構造開始のためのオリゴマー”
<210>63
<223>/note=”ヒトビクニンタンパク質断片”
<210>64
<223>/note=”ヒトビクニンタンパク質断片”
<210>65
<223>/note=”ヒトビクニンタンパク質断片”
<210>66
<223>/note=”ヒトビクニンタンパク質断片”
<210>67
<223>/note=”ヒトビクニンタンパク質断片”
<210>68
<223>/note=”ヒトビクニンタンパク質断片”
<210>69
<223>/note=”ヒトビクニンタンパク質断片”
<210>70
<223>/note=”ヒトビクニンタンパク質断片”
<210>71
<223>/note=”ヒトビクニンタンパク質断片”
図1は、EST R35464(配列番号:12)のヌクレオチド配列およびこのDNA配列の翻訳(配列番号:13)を描き、アプロチニンに対して同じ配列類似性を示すオープンリーディングフレームを生じる。翻訳産物は、クニッツ(Kunitz)様阻害剤ドメイン(太字で示される)についての特徴である訂正空間中に6つのシステインのうちの5つを含む。残りのシステイン(コドン38で)によって正常に占められる部分は、代わりにフェニルアラニン(*によって示される)を含有した。 図2は、EST R74593(配列番号:14)のヌクレオチド配列およびこのDNA配列の翻訳(配列番号:15)を描き、クニッツ(Kunitz)クラスのセリンプロテアーゼ阻害剤ドメインに類似を示すオープンリーディングフレームを生じる。翻訳産物は、クニッツ(Kunitz)様阻害剤ドメイン(太字で示される)についての特徴である訂正空間中に6つのシステインを含む。しかし、このリーディングフレーム配列は、コドン3および23で終止コドンを示す。 図3は、ヒト胎盤ビクニン(配列番号:9)標識「共通」の推定核酸配列を描き、そして翻訳タンパク質アミノ酸配列標識「翻訳物」(配列番号:10)に適合した。さらに、比較されるとおり、EST H94519(配列番号:16)、N39798(配列番号:17)、R74593(配列番号:14)およびR35464(配列番号:12)についての核酸配列と示された。共通配列中の下線付きヌクレオチドは、実施例で記載されるPCRプライマーの部位に対応する。翻訳共通配列中の下線付きアミノ酸は、その認識が、精製された生来のヒト胎盤ビクニンのアミノ酸配列決定によって確認された残渣である。ヌクレオチドおよびアミノ酸コードは、標準単独文字コードであり、核酸コード中の「N」は、未付与核酸を示し、そして「*」は、アミノ酸配列中の終止コドンを示す。 図3は、ヒト胎盤ビクニン(配列番号:9)標識「共通」の推定核酸配列を描き、そして翻訳タンパク質アミノ酸配列標識「翻訳物」(配列番号:10)に適合した。さらに、比較されるとおり、EST H94519(配列番号:16)、N39798(配列番号:17)、R74593(配列番号:14)およびR35464(配列番号:12)についての核酸配列と示された。共通配列中の下線付きヌクレオチドは、実施例で記載されるPCRプライマーの部位に対応する。翻訳共通配列中の下線付きアミノ酸は、その認識が、精製された生来のヒト胎盤ビクニンのアミノ酸配列決定によって確認された残渣である。ヌクレオチドおよびアミノ酸コードは、標準単独文字コードであり、核酸コード中の「N」は、未付与核酸を示し、そして「*」は、アミノ酸配列中の終止コドンを示す。 図3は、ヒト胎盤ビクニン(配列番号:9)標識「共通」の推定核酸配列を描き、そして翻訳タンパク質アミノ酸配列標識「翻訳物」(配列番号:10)に適合した。さらに、比較されるとおり、EST H94519(配列番号:16)、N39798(配列番号:17)、R74593(配列番号:14)およびR35464(配列番号:12)についての核酸配列と示された。共通配列中の下線付きヌクレオチドは、実施例で記載されるPCRプライマーの部位に対応する。翻訳共通配列中の下線付きアミノ酸は、その認識が、精製された生来のヒト胎盤ビクニンのアミノ酸配列決定によって確認された残渣である。ヌクレオチドおよびアミノ酸コードは、標準単独文字コードであり、核酸コード中の「N」は、未付与核酸を示し、そして「*」は、アミノ酸配列中の終止コドンを示す。 図4Aは、ヒト胎盤ビクニンまたはその部分をコードするESTに相同なある種の核酸配列を有する一連のESTの元来の重複を描く。資料について見られるのは、ビクニン(7−64)およびビクニン(102−159)の相対的位置、それぞれ、標識KID1およびKID2である。 図4Bは、別のESTを組み込む連続のより複雑なEST重複を描く。上部X軸上の数は、最も5’のEST配列から最初の塩基で出発して塩基対での長さに該当する。各棒の長さは、個々のESTの塩基対での長さに比例している。EST評価数は、それらの個々のEST棒の右に示される。 図4Cは、図4Bで模式的に示される各々の重複ESTのオリゴヌクレオチド配列の対応配列を描く。上部配列(配列番号:51)標識ビクニンは、各位置で重複ヌクレオチドから由来した共通オリゴヌクレオチド配列を表す。その数は、EST地図内の塩基対の位置に該当する。太字下線(地図位置994および1005で)付されたEST R74593中のオリゴヌクレオチドは、各々の他の重複ESTに一致して不在であるR74593で観察される塩基挿入である。 図4Cは、図4Bで模式的に示される各々の重複ESTのオリゴヌクレオチド配列の対応配列を描く。上部配列(配列番号:51)標識ビクニンは、各位置で重複ヌクレオチドから由来した共通オリゴヌクレオチド配列を表す。その数は、EST地図内の塩基対の位置に該当する。太字下線(地図位置994および1005で)付されたEST R74593中のオリゴヌクレオチドは、各々の他の重複ESTに一致して不在であるR74593で観察される塩基挿入である。 図4Cは、図4Bで模式的に示される各々の重複ESTのオリゴヌクレオチド配列の対応配列を描く。上部配列(配列番号:51)標識ビクニンは、各位置で重複ヌクレオチドから由来した共通オリゴヌクレオチド配列を表す。その数は、EST地図内の塩基対の位置に該当する。太字下線(地図位置994および1005で)付されたEST R74593中のオリゴヌクレオチドは、各々の他の重複ESTに一致して不在であるR74593で観察される塩基挿入である。 図4Cは、図4Bで模式的に示される各々の重複ESTのオリゴヌクレオチド配列の対応配列を描く。上部配列(配列番号:51)標識ビクニンは、各位置で重複ヌクレオチドから由来した共通オリゴヌクレオチド配列を表す。その数は、EST地図内の塩基対の位置に該当する。太字下線(地図位置994および1005で)付されたEST R74593中のオリゴヌクレオチドは、各々の他の重複ESTに一致して不在であるR74593で観察される塩基挿入である。 図4Cは、図4Bで模式的に示される各々の重複ESTのオリゴヌクレオチド配列の対応配列を描く。上部配列(配列番号:51)標識ビクニンは、各位置で重複ヌクレオチドから由来した共通オリゴヌクレオチド配列を表す。その数は、EST地図内の塩基対の位置に該当する。太字下線(地図位置994および1005で)付されたEST R74593中のオリゴヌクレオチドは、各々の他の重複ESTに一致して不在であるR74593で観察される塩基挿入である。 図4Cは、図4Bで模式的に示される各々の重複ESTのオリゴヌクレオチド配列の対応配列を描く。上部配列(配列番号:51)標識ビクニンは、各位置で重複ヌクレオチドから由来した共通オリゴヌクレオチド配列を表す。その数は、EST地図内の塩基対の位置に該当する。太字下線(地図位置994および1005で)付されたEST R74593中のオリゴヌクレオチドは、各々の他の重複ESTに一致して不在であるR74593で観察される塩基挿入である。 図4Cは、図4Bで模式的に示される各々の重複ESTのオリゴヌクレオチド配列の対応配列を描く。上部配列(配列番号:51)標識ビクニンは、各位置で重複ヌクレオチドから由来した共通オリゴヌクレオチド配列を表す。その数は、EST地図内の塩基対の位置に該当する。太字下線(地図位置994および1005で)付されたEST R74593中のオリゴヌクレオチドは、各々の他の重複ESTに一致して不在であるR74593で観察される塩基挿入である。 図4Cは、図4Bで模式的に示される各々の重複ESTのオリゴヌクレオチド配列の対応配列を描く。上部配列(配列番号:51)標識ビクニンは、各位置で重複ヌクレオチドから由来した共通オリゴヌクレオチド配列を表す。その数は、EST地図内の塩基対の位置に該当する。太字下線(地図位置994および1005で)付されたEST R74593中のオリゴヌクレオチドは、各々の他の重複ESTに一致して不在であるR74593で観察される塩基挿入である。 図4Cは、図4Bで模式的に示される各々の重複ESTのオリゴヌクレオチド配列の対応配列を描く。上部配列(配列番号:51)標識ビクニンは、各位置で重複ヌクレオチドから由来した共通オリゴヌクレオチド配列を表す。その数は、EST地図内の塩基対の位置に該当する。太字下線(地図位置994および1005で)付されたEST R74593中のオリゴヌクレオチドは、各々の他の重複ESTに一致して不在であるR74593で観察される塩基挿入である。 図4Cは、図4Bで模式的に示される各々の重複ESTのオリゴヌクレオチド配列の対応配列を描く。上部配列(配列番号:51)標識ビクニンは、各位置で重複ヌクレオチドから由来した共通オリゴヌクレオチド配列を表す。その数は、EST地図内の塩基対の位置に該当する。太字下線(地図位置994および1005で)付されたEST R74593中のオリゴヌクレオチドは、各々の他の重複ESTに一致して不在であるR74593で観察される塩基挿入である。 図4Cは、図4Bで模式的に示される各々の重複ESTのオリゴヌクレオチド配列の対応配列を描く。上部配列(配列番号:51)標識ビクニンは、各位置で重複ヌクレオチドから由来した共通オリゴヌクレオチド配列を表す。その数は、EST地図内の塩基対の位置に該当する。太字下線(地図位置994および1005で)付されたEST R74593中のオリゴヌクレオチドは、各々の他の重複ESTに一致して不在であるR74593で観察される塩基挿入である。 図4Cは、図4Bで模式的に示される各々の重複ESTのオリゴヌクレオチド配列の対応配列を描く。上部配列(配列番号:51)標識ビクニンは、各位置で重複ヌクレオチドから由来した共通オリゴヌクレオチド配列を表す。その数は、EST地図内の塩基対の位置に該当する。太字下線(地図位置994および1005で)付されたEST R74593中のオリゴヌクレオチドは、各々の他の重複ESTに一致して不在であるR74593で観察される塩基挿入である。 図4Cは、図4Bで模式的に示される各々の重複ESTのオリゴヌクレオチド配列の対応配列を描く。上部配列(配列番号:51)標識ビクニンは、各位置で重複ヌクレオチドから由来した共通オリゴヌクレオチド配列を表す。その数は、EST地図内の塩基対の位置に該当する。太字下線(地図位置994および1005で)付されたEST R74593中のオリゴヌクレオチドは、各々の他の重複ESTに一致して不在であるR74593で観察される塩基挿入である。 図4Cは、図4Bで模式的に示される各々の重複ESTのオリゴヌクレオチド配列の対応配列を描く。上部配列(配列番号:51)標識ビクニンは、各位置で重複ヌクレオチドから由来した共通オリゴヌクレオチド配列を表す。その数は、EST地図内の塩基対の位置に該当する。太字下線(地図位置994および1005で)付されたEST R74593中のオリゴヌクレオチドは、各々の他の重複ESTに一致して不在であるR74593で観察される塩基挿入である。 図4Cは、図4Bで模式的に示される各々の重複ESTのオリゴヌクレオチド配列の対応配列を描く。上部配列(配列番号:51)標識ビクニンは、各位置で重複ヌクレオチドから由来した共通オリゴヌクレオチド配列を表す。その数は、EST地図内の塩基対の位置に該当する。太字下線(地図位置994および1005で)付されたEST R74593中のオリゴヌクレオチドは、各々の他の重複ESTに一致して不在であるR74593で観察される塩基挿入である。 図4Cは、図4Bで模式的に示される各々の重複ESTのオリゴヌクレオチド配列の対応配列を描く。上部配列(配列番号:51)標識ビクニンは、各位置で重複ヌクレオチドから由来した共通オリゴヌクレオチド配列を表す。その数は、EST地図内の塩基対の位置に該当する。太字下線(地図位置994および1005で)付されたEST R74593中のオリゴヌクレオチドは、各々の他の重複ESTに一致して不在であるR74593で観察される塩基挿入である。 図4Cは、図4Bで模式的に示される各々の重複ESTのオリゴヌクレオチド配列の対応配列を描く。上部配列(配列番号:51)標識ビクニンは、各位置で重複ヌクレオチドから由来した共通オリゴヌクレオチド配列を表す。その数は、EST地図内の塩基対の位置に該当する。太字下線(地図位置994および1005で)付されたEST R74593中のオリゴヌクレオチドは、各々の他の重複ESTに一致して不在であるR74593で観察される塩基挿入である。 図4Cは、図4Bで模式的に示される各々の重複ESTのオリゴヌクレオチド配列の対応配列を描く。上部配列(配列番号:51)標識ビクニンは、各位置で重複ヌクレオチドから由来した共通オリゴヌクレオチド配列を表す。その数は、EST地図内の塩基対の位置に該当する。太字下線(地図位置994および1005で)付されたEST R74593中のオリゴヌクレオチドは、各々の他の重複ESTに一致して不在であるR74593で観察される塩基挿入である。 図4Cは、図4Bで模式的に示される各々の重複ESTのオリゴヌクレオチド配列の対応配列を描く。上部配列(配列番号:51)標識ビクニンは、各位置で重複ヌクレオチドから由来した共通オリゴヌクレオチド配列を表す。その数は、EST地図内の塩基対の位置に該当する。太字下線(地図位置994および1005で)付されたEST R74593中のオリゴヌクレオチドは、各々の他の重複ESTに一致して不在であるR74593で観察される塩基挿入である。 図4Cは、図4Bで模式的に示される各々の重複ESTのオリゴヌクレオチド配列の対応配列を描く。上部配列(配列番号:51)標識ビクニンは、各位置で重複ヌクレオチドから由来した共通オリゴヌクレオチド配列を表す。その数は、EST地図内の塩基対の位置に該当する。太字下線(地図位置994および1005で)付されたEST R74593中のオリゴヌクレオチドは、各々の他の重複ESTに一致して不在であるR74593で観察される塩基挿入である。 図4Dは、図4C(配列番号:45)で描かれたビクニンについての共通オリゴヌクレオチド配列のアミノ酸翻訳を描く。 図4Eは、PCR基本増幅によるヒト胎盤cDNAライブラリーから誘導された胎盤ビクニンコード配列のヌクレオチド配列(配列番号:46)および対応のアミノ酸翻訳(配列番号:47)を描く。 図4Fは、コロニーハイブリッド形成によるヒト胎盤ラムダcDNAライブラリーから単離された生来のヒト胎盤ビクニンコード化クローンのヌクレオチド配列(配列番号:48)および対応のアミノ酸翻訳(配列番号:49)を描く。 図4Fは、コロニーハイブリッド形成によるヒト胎盤ラムダcDNAライブラリーから単離された生来のヒト胎盤ビクニンコード化クローンのヌクレオチド配列(配列番号:48)および対応のアミノ酸翻訳(配列番号:49)を描く。 図4Gは、EST重複(配列番号:45)により得られる胎盤ビクニンについてのアミノ酸翻訳オリゴヌクレオチド配列、PCR基本クローニング(配列番号:47)、および従来のラムダコロニーハイブリッド形成(配列番号:49)の配列を比較する。 図5は、Superdex 75ゲル濾過後の胎盤組織から得られるヒト胎盤ビクニンの精製のグラフを示す。プロットは、OD280nmによって測定されるとおりのタンパク質溶出プロファイル(実線)、トリプシン阻害アッセイでの溶出タンパク質の活性(円によって示される阻害率(%))およびカリクレイン阻害アッセイでの溶出タンパク質の活性(四角によって示される阻害率(%))の重複である。 図6は、C18逆相クロマトグラフィを用いて胎盤組織から得られるヒト胎盤ビクニンをプロット取りするグラフを示す。プロットは、OD215nmによって測定されるとおりのタンパク質溶出プロファイル(実線)、トリプシン阻害アッセイでの溶出タンパク質の活性(円によって示される阻害率(%))およびカリクレイン阻害アッセイでの溶出タンパク質の活性(四角によって示される阻害率(%))の重複である。 図7は、高度に精製された胎盤ビクニン(レーン2)、およびキロダルトンでの指標サイズの一連の分子サイズのマーカタンパク質(レーン1)の銀染色したSDS−PAGEゲルを描く。移動は、頂部から底部までであった。 図8は、胎盤ビクニン(102−159)の発現を指示するプラスミド(pS604)で安定に形質転換された酵母株SC101(パネル8A)またはWHL341(パネル8B)の成長から得られる細胞不含発酵ブロスに存在するトリプシン阻害活性の量を示す。 図9は、ウシアプロチニン、または胎盤ビクニン(102−159)の発現を指示するプラスミドで安定に形質転換された酵母株SC101(組換え体2.4および2.5)の成長から得られる細胞不含発酵ブロスの銀染色SDS−PAGE(図9A)および抗胎盤ビクニン(102−159)pAbを用いたウエスタンブロット(図9B)の両方を示す。移動は、頂部から底部までであった。 図10は、キロダルトンで示されたサイズの高度に精製した胎盤ビクニン(102−159)(レーン2)および一連の分子サイズマーカタンパク質(レーン1)の銀染色されたSDS−PAGEを示す写真である。 図11は、胎盤ビクミン(102−159)(図11A)をコードするか、胎盤ビクニン(1−213)(図11B)をコードするかのいずれかである32P標識cDNAプローブにハイブリッド形成された種々のヒト組織から得られるmRNAのノザンブロットの結果を示す写真である。移動は、頂部から底部までであった。各ブロットの右にある数は、隣接RNAマーカのキロベースでのサイズに該当する。mRNAが誘導される器官は、ブロットの各レーンの下に記載される。 図12は、合成の還元胎盤ビクニン(7−64)(図12A)または102−159(図12b)のいずれかに対して生じたウサギ抗血清を用いた胎盤由来の胎盤ビクニンの免疫ブロットを描く。各パネルについては、内容は、分子サイズマーカ(レーン1)であった;ヒト胎盤から単離される生来の胎盤ビクニン(レーン2);合成胎盤ビクニン(7−64)(レーン3)および合成胎盤ビクニン(102−159)(レーン4)であった。トリシン10−20%SDS−PAGEゲルを、ブロットし、そしてプロテインA精製一次ポリクローナル抗体(20mlの0.1%BSA/Tris−緩衝生理食塩水(pH7.5)中に8ug IgG)で、続いてアルカリ性ホスファターゼ接合ヤギ抗ウサギ二次抗体で展開させた。移動は、頂部から底部までであった。 図13は、バキュロウイルス/Sf9発現システム(レーン2)から誘導される高度に精製した胎盤ビクニン(1−170)の3マイクログラムのクマシン青染色した10−20%トリシンSDS−PAGEゲルを描く。レーン1は、分子サイズマーカを含む。移動は、頂部から底部までであった。 図14は、ヒト血漿の活性化部分トロンボプラスチン時間におけるSf9由来のヒト胎盤ビクニン(1−170)(黒抜き円形)、合成胎盤ビクニン(102−159)(白抜き円形)、またはアプロチニン(白抜き四角形)のいずれかの濃度を増大する効果の比較を描く。凝固は、CaCl2で開始された。タンパク質の濃度は、凝固時間でのブロット対支持延長である。非阻害凝固時間は、30.8秒であった。 図15は、3時間処理後のモルモット気管での潜在的差異におけるアミロライド(100uM)およびハンクス平衡塩生理食塩水(HBSS)ビヒクル(対照)に対応して2uMおよび0.2uMの投与レベルでビクニンの効果を例示する。 図16は、(a)モルモットの気管に対応する点滴シリンジおよびベータプローブの位置決め;(b)32P標識S.cerevisaeを用いた気管平均速度(TMV)の測定についての個々のグラフ;および(c)気管点滴に続く1.5、1.75、2.0、2.25および2.5時間でのHBSSビヒクル対照に対応するビクニン(5μg)に対応してモルモットでのインビボでのTMVでの持続的増大を例示する。 図17は、ビクニン(70nM)が、アミロライド(10uM)に対して培養したヒト気管支上皮細胞でのナトリウムの流れを減少させることを例示する。 図18は、モルモット気管中のTMV増大、続いてエアロゾル処理での高張性生理食塩水(14.4%)の5分のエアロゾルの効果を例示する。 図19は、モルモット気管中のTMVにおけるアミロイド(10mM)の20分のエアロゾル、続いてエアロゾル処理での効果を例示する。 図20は、ビクニン(5ug/mL)、アプロチニン(5ug/mL)、およびアプロチニン二重ムテイン(0.5ug/mL、1.5ug/mL、および5ug/mL)が、インビトロでの培養したヒト気管支細胞でのナトリウム短期電流を減少させることを例示する。 図21は、アプロチニン(1mg/mL)が、ヒトCF気管支上皮細胞でのインビトロでのIscを阻害したことを例示する。 図22は、ビクニンエアロゾル(3mLの3mg/mL)が、PBS対照に対応するヒツジでのTMVを明らかに増大したことを例示する。 図23は、ビクニン(50ug/mL)が、30分間かけてモルモットの気管上皮細胞中のインビトロでのナトリウム流を阻害したことを例示する。 図24は、ビクニン(100ug/mL)が、90分間かけてヒツジの気管上皮細胞中のインビトロでのナトリウム流を著しく阻害したことを例示する。 図25は、(a)LPSに対する露出が、明らかなPMN流入を引き起こしたこと、そして(b)ビクニンが、LPSに予め露出したモルモットでの潜在的差異を明らかに阻害したことを例示する。 図26は、アプロチニン二重ムテイン(10ug)が、投与に続く1.5から2.5時間の持続期間をかけてHBSSに対応してモルモットでのインビボでTMVを増大したことを例示する。 図27は、pBC−BKのプラスミド地図を表す(CMV−IE=サイトメガロウイルス即時;DHFR=ジヒドロホレートレダクターゼ;AMP−r=アンピシリン耐性)。 図28は、(a)CHO発現ビクニン(1−170)(10ug/mL)が、90分の期間をかけてヒトCF気管支上皮細胞でインビトロでのナトリウムの流れを減少させたこと、および(b)1、5、および10ug/mLでのCHOビクニン(1−70)、および20ug/mLでのアプロチニンが、インビトロでのヒトCF気管支上皮細胞に先端使用後90分でのナトリウムの流れを減少させることを例示する。 図29は、CHO細胞発現系からビクニン(1−170)を精製するプロセスの工程を例示する。 図30Aは、C18逆相クロマトグラフィを用いた精製CHOビクニン(1−170)の異性形態の移動のグラフを示す。プロットは、280nmでの吸光度(実線)によって測定されるときのタンパク質溶出プロファイルの重複、およびタンパク質を溶出するのに使用される0.1%トリフルオロ酢酸でのアセトニトリルの含有率(ダイヤモンド)である。 図30Bは、CHO細胞発現系から発現される精製ビクニン(1−170)グリコシル化異性形態(レーン45−55)の銀染色SDS−PAGE、およびキロダルトンで例示されたサイズの一連の分子サイズマーカタンパク質(レーン54および55の間)を示す写真である。移動は、頂部から底部までであった。 図31は、N−グリコシダーゼF処理した(レーン2および4)および未処理(レーン1および3)のCHO精製ビクニン(1−170)異性形態の銀染色SDS−PAGE、およびキロダルトンで例示されたサイズの一連の分子サイズマーカタンパク質を示す写真である。移動は、頂部から底部までであった。

Claims (15)

  1. クニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤が、アプロチニンである請求項1に記載の使用法。
  2. クニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤が、アミノ酸配列:
    Figure 2006232810
    (配列番号:49)
    を含む請求項1に記載の使用法。
  3. クニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤が、アミノ酸配列:
    Figure 2006232810
    (配列番号:2)、
    Figure 2006232810
    (配列番号:45)、
    Figure 2006232810
    (配列番号:47)、
    Figure 2006232810
    (配列番号:70)、
    または
    Figure 2006232810
    (配列番号:71)
    を含む請求項1に記載の使用法。
  4. クニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤が、アミノ酸配列:
    Figure 2006232810
    (配列番号:4)、
    Figure 2006232810
    (配列番号:5)、
    Figure 2006232810
    (配列番号:6)、
    Figure 2006232810
    (配列番号:7)、
    Figure 2006232810
    (配列番号:3)、
    Figure 2006232810
    (配列番号:50)、
    Figure 2006232810
    (配列番号:1)
    または
    Figure 2006232810
    (配列番号:52)
    を含む請求項1に記載の使用法。
  5. クニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤が、アミノ酸配列:
    Figure 2006232810
    (配列番号:8)
    を含む請求項1に記載の使用法。
  6. クニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤が、グリコシル化されている請求項12、13、14または15に記載の使用法。
  7. クニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤が、少なくとも1つの鎖内システイン−システインジスルフィド結合を含む請求項12、13、14または15に記載の使用法。
  8. クニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤が、CYS11−CYS61、CYS20−CYS44、CYS36−CYS57、CYS106−CYS156、CYS115−CYS139、およびCYS131−CYS152からなるシステイン−システイン対の群から選択される少なくとも1つの鎖内システンイ−システインジスルフィド結合を含み、前記システイン残渣が、生来のヒト胎盤ビクニンのアミノ酸配列によって数えられる請求項12、13、14または15に記載の使用法。
  9. 薬剤が、以下:
    Figure 2006232810
    (配列番号:49)
    に示されるような有効な粘膜腺毛クリアランス刺激量のクニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤および生理学上許容し得る担体を含む、そのような治療を必要とする対象に粘膜腺毛クリアランスの速度を促進するための薬剤を生成するためのクニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤の使用法。
  10. 薬剤が、以下:
    Figure 2006232810
    (配列番号:2)、
    Figure 2006232810
    (配列番号:45)、
    Figure 2006232810
    (配列番号:47)、
    Figure 2006232810
    (配列番号:70)、
    または
    Figure 2006232810
    (配列番号:71)
    に示されるような有効な粘膜腺毛クリアランス刺激量のクニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤および生理学上許容し得る担体を含む、そのような治療を必要とする対象に粘膜腺毛クリアランスの速度を促進するための薬剤を生成するためのクニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤の使用法。
  11. 薬剤が、以下:
    Figure 2006232810
    (配列番号:4)、
    Figure 2006232810
    (配列番号:5)、
    Figure 2006232810
    (配列番号:6)、
    Figure 2006232810
    (配列番号:7)、
    Figure 2006232810
    (配列番号:3)、
    Figure 2006232810
    (配列番号:50)、
    Figure 2006232810
    (配列番号:1)、
    または
    Figure 2006232810
    (配列番号:52)
    に示されるような有効な粘膜腺毛クリアランス刺激量のクニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤および生理学上許容し得る担体を含む、そのような治療を必要とする対象に粘膜腺毛クリアランスの速度を促進するための薬剤を生成するためのクニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤の使用法。
  12. 薬剤が、以下:
    Figure 2006232810
    (配列番号:8)
    に示されるような有効な粘膜腺毛クリアランス刺激量のクニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤および生理学上許容し得る担体を含む、そのような治療を必要とする対象に粘膜腺毛クリアランスの速度を促進するための薬剤を生成するためのクニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤の使用法。
  13. クニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤が、グリコシル化されている請求項19、20、21または22に記載の使用法。
  14. クニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤が、少なくとも1つの鎖内システイン−システインジスルフィド結合を含む請求項19、20、21または22に記載の使用法。
  15. クニッツ(Kunitz)型セリンプロテアーゼ阻害剤が、CYS11−CYS61、CYS20−CYS44、CYS36−CYS57、CYS106−CYS156、CYS115−CYS139およびCYS131−CYS152からなるシステイン−システイン対の群から選択される少なくとも1つの鎖内システンイ−システインジスルフィド結合を含み、前記システイン残渣が、生来のヒト胎盤ビクニンのアミノ酸配列によって数えられる請求項19、20、21または22に記載の使用法。
JP2006005246A 1998-12-22 2006-01-12 粘膜線毛クリアランスの速度を促進する方法 Pending JP2006232810A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US21891398A 1998-12-22 1998-12-22
US44196699A 1999-11-17 1999-11-17

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000589209A Division JP3819239B2 (ja) 1998-12-22 1999-12-22 粘膜線毛クリアランスの速度を促進する方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006232810A true JP2006232810A (ja) 2006-09-07

Family

ID=26913378

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000589209A Expired - Fee Related JP3819239B2 (ja) 1998-12-22 1999-12-22 粘膜線毛クリアランスの速度を促進する方法
JP2006005246A Pending JP2006232810A (ja) 1998-12-22 2006-01-12 粘膜線毛クリアランスの速度を促進する方法

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000589209A Expired - Fee Related JP3819239B2 (ja) 1998-12-22 1999-12-22 粘膜線毛クリアランスの速度を促進する方法

Country Status (13)

Country Link
US (1) US20070086956A1 (ja)
EP (2) EP1374891B1 (ja)
JP (2) JP3819239B2 (ja)
CN (1) CN1229138C (ja)
AR (1) AR030257A1 (ja)
AT (2) ATE407694T1 (ja)
AU (1) AU758832B2 (ja)
CA (1) CA2356404C (ja)
DE (2) DE69912988T2 (ja)
DK (2) DK1374891T3 (ja)
ES (2) ES2318075T3 (ja)
TW (1) TWI249406B (ja)
WO (1) WO2000037099A2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7244616B2 (en) 2003-06-27 2007-07-17 Bayer Pharmaceuticals Corporation Use of molecular chaperones for the enhanced production of secreted, recombinant proteins in mammalian cells
CN1332715C (zh) * 2003-09-09 2007-08-22 王继峰 蛋白酶抑制剂在制备预防和治疗肺部疾病的药物中的用途
EP1586587A1 (en) * 2004-04-16 2005-10-19 Exonhit Therapeutics SA Compositions and methods for detecting angiogenesis
GB0411145D0 (en) * 2004-05-19 2004-06-23 Imp College Innovations Ltd Protease inhibitors and their therapeutic applications
CN100408094C (zh) * 2005-08-29 2008-08-06 吉林圣元科技有限责任公司 蛋白酶抑制剂在保护肝细胞功能中的应用
MX2009003002A (es) * 2006-09-19 2009-06-01 Discovery Lab Inc Formulaciones de tensioactivos pulmonares y metodos para promover la aclaracion del moco.
WO2013175007A1 (en) * 2012-05-25 2013-11-28 Inserm Agents for treating cystic fibrosis
JP2016204360A (ja) * 2015-02-25 2016-12-08 エー1エム ファーマ エービーA1M Pharma AB 放射性核種療法における腎臓の保護に用いるためのアルファ−1−ミクログロブリン

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06506474A (ja) * 1991-08-21 1994-07-21 ジルノフ,オレグ ペトロビチ 医薬エアロゾール組成物ならびにそれらのウイルス疾患の治療および予防用途
JPH06510522A (ja) * 1991-03-01 1994-11-24 ダイアックス コープ. 人体の好中球エラステーゼと人体カテプシンgの抑制因子

Family Cites Families (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5223482A (en) * 1986-11-17 1993-06-29 Scios Nova Inc. Recombinant Alzheimer's protease inhibitory amyloid protein and method of use
US5106833A (en) * 1987-07-23 1992-04-21 Washington University Coagulation inhibitors
US5223409A (en) * 1988-09-02 1993-06-29 Protein Engineering Corp. Directed evolution of novel binding proteins
US5663143A (en) * 1988-09-02 1997-09-02 Dyax Corp. Engineered human-derived kunitz domains that inhibit human neutrophil elastase
EP0401508B1 (de) * 1989-05-13 1994-11-23 Bayer Ag Proteinaseninhibitoren, Verfahren zu ihrer Herstellung sowie diese enthaltende Arzneimittel
DK408089D0 (da) * 1989-08-18 1989-08-18 Novo Nordisk As Proteiner
IL104325A (en) * 1992-01-07 2000-10-31 Novo Nordisk As Variants of human kunitz-type protease inhibitor domain II of tissue factor pathway inhibitor (TFPI) pharmaceutical compositions containing them a DNA construct encoding them their expression vectors a cell containing said DNA constructs and methods for the production of all the above
US5747449A (en) * 1992-07-13 1998-05-05 Corvas International, Inc. Bovine pancreatic trypsin inhibitor derived inhibitors of factor XA
US5436153A (en) * 1992-12-02 1995-07-25 Sprecher; Cindy A. Human amyloid protein precursor homolog and Kunitz-type inhibitor
EP0740702A1 (en) * 1992-12-02 1996-11-06 Zymogenetics, Inc. Novel human amyloid protein precursor homologue and kunitz-type inhibitors
JP2769083B2 (ja) * 1993-02-22 1998-06-25 日清食品株式会社 エラスターゼ阻害活性を有する新規ペプチドおよびその製造方法
US5455338A (en) * 1993-11-05 1995-10-03 Zymogenetics, Inc. DNA encoding novel human kunitz-type inhibitors and methods relating thereto
ATE275583T1 (de) * 1994-01-11 2004-09-15 Dyax Corp KALLIKREINHEMMENDE ßKUNITZ-DOMÄNEß-PROTEINE UND DERIVATEN DAVON
US5795954A (en) * 1994-03-04 1998-08-18 Genentech, Inc. Factor VIIa inhibitors from Kunitz domain proteins
US5786328A (en) * 1995-06-05 1998-07-28 Genentech, Inc. Use of kunitz type plasma kallikrein inhibitors
DE69632435T2 (de) * 1995-07-24 2005-05-12 Mitsubishi Chemical Corp. Inhibitor des Hepatozytwachstumsfaktoraktivators
US5736364A (en) * 1995-12-04 1998-04-07 Genentech, Inc. Factor viia inhibitors
HU226419B1 (en) * 1996-03-11 2008-12-29 Aerovance Human bikunin
US20070140979A1 (en) * 1998-12-22 2007-06-21 Bayer Aktiengesellschaft Method for accelerating the rate of mucociliary clearance

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06510522A (ja) * 1991-03-01 1994-11-24 ダイアックス コープ. 人体の好中球エラステーゼと人体カテプシンgの抑制因子
JPH06506474A (ja) * 1991-08-21 1994-07-21 ジルノフ,オレグ ペトロビチ 医薬エアロゾール組成物ならびにそれらのウイルス疾患の治療および予防用途

Also Published As

Publication number Publication date
US20070086956A1 (en) 2007-04-19
DK1140150T3 (da) 2004-03-22
DE69912988T2 (de) 2004-11-11
AU758832B2 (en) 2003-04-03
AU1987800A (en) 2000-07-12
CN1334743A (zh) 2002-02-06
ES2318075T3 (es) 2009-05-01
CA2356404A1 (en) 2000-06-29
EP1140150A2 (en) 2001-10-10
JP3819239B2 (ja) 2006-09-06
EP1374891A1 (en) 2004-01-02
ES2209542T3 (es) 2004-06-16
WO2000037099A3 (en) 2000-10-26
ATE407694T1 (de) 2008-09-15
CN1229138C (zh) 2005-11-30
TWI249406B (en) 2006-02-21
EP1374891B1 (en) 2008-09-10
WO2000037099A2 (en) 2000-06-29
DK1374891T3 (da) 2009-01-26
EP1140150B1 (en) 2003-11-19
ATE254473T1 (de) 2003-12-15
CA2356404C (en) 2010-03-30
JP2002532558A (ja) 2002-10-02
DE69912988D1 (de) 2003-12-24
AR030257A1 (es) 2003-08-20
DE69939559D1 (de) 2008-10-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0787016B1 (en) Secretory leukocyte protease inhibitor (slpi) as an inhibitor of tryptase
DE69735996T2 (de) Menschlicher bikunin
JP2006232810A (ja) 粘膜線毛クリアランスの速度を促進する方法
WO1997033996A9 (en) Human bikunin
CA2072012A1 (en) Neutrophil chemoattractants
JP2011140511A (ja) プロテアーゼ阻害剤
US20070140979A1 (en) Method for accelerating the rate of mucociliary clearance
MXPA01006510A (en) Method for accelerating the rate of mucociliary clearance by using a kunitz-type serine protease inhibitor
MXPA98007060A (en) Bikunina hum
CA2407668A1 (en) Human bikunin

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100302

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100803