JP2006231322A - 複層塗膜形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 金属製製品に、電着塗料及び粉体塗料を2コート1ベーク方式で塗装して複層塗膜を形成する方法において、従来の問題を克服し、揮発性有機化合物の発生量が少なく、低温硬化性で、省エネルギー性に優れており、しかも、電着塗膜と粉体塗膜の間に混層が生じたり塗膜にワキが発生することがなく、仕上り性や防食性などに優れた複層塗膜を形成することができる方法を提供すること。
【解決手段】 金属製製品に、電着塗料を電着塗装し、セッティング又はエアブローを行った後、その未硬化の電着塗膜上に粉体塗料を塗装し、次いで形成される電着塗膜と粉体塗膜の両塗膜を同時に加熱硬化させることにより複層塗膜を形成する方法において、
電着塗料として、形成される電着塗膜を105℃で3時間加熱乾燥した後、160℃で20分間加熱硬化させた時の電着塗膜の加熱減量が5重量%以下である電着塗料を使用することを特徴とする複層塗膜形成方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、揮発性有機化合物の発生量が少なく、低温硬化性で、省エネルギー性に優れており、しかも、各塗膜間で混層が生じたり塗膜にワキが発生することがなく、仕上り性や防食性などに優れた複層塗膜を形成する方法に関する。
カチオン電着塗料は、自動車車体、二輪車用金属部品、家庭用電化製品、鋼製家具等の金属製製品の塗装に広く利用されている。かかる金属製製品の塗装に際しては、従来から、金属製製品に電着塗料を塗装し、焼付け硬化し、次いで上塗り塗料を塗装し又は中塗り塗料を塗装し、焼付け硬化しそして上塗り塗料を塗装した後、焼付け硬化することによって複層塗膜を形成する方法が採用されている。
しかしながら、かかる方法においては、各塗料の各塗装後に焼付け硬化が行なわれており、さらに、揮発性有機化合物の発生量の低減化を目的として上塗り塗料として粉体塗料を用いる場合には、高温(通常、180℃で15分焼付け)での焼付け硬化を行うことが必要となるため、焼付け硬化設備の稼動やメンテナンス等に手間と費用がかかるという問題がある。そのため、従来より、電着塗料と粉体塗料を用いて複層塗膜を形成する方法においては、省エネルギー性や省工程を達成することができる方法の開発が求められている。
特許文献1には、揮発性有機化合物の低減や塗装工程の短縮を目的として、金属製製品に電着塗装を行った後、その未硬化の電着塗膜面に、該未硬化電着塗膜の硬化開始時間よりも塗膜の硬化開始時間が遅く且つ未硬化電着塗膜の表面張力よりも塗膜の表面張力が小さい熱硬化性粉体塗料を静電塗装し、両塗膜を同時に焼付け硬化する複層塗膜形成方法が開示されている。しかし、省エネルギー性を目的として、粉体塗料として低温硬化型の粉体塗料を用いると、電着塗膜と粉体塗膜との硬化開始時間の差が小さくなり、焼付け時に電着塗料に硬化剤として使用されるブロックポリイソシアネートからブロック剤が揮散し、粉体塗膜の硬化が並行して進行するため、複層塗膜面にワキなどの塗膜欠陥が発生して、塗膜の平滑性や鮮映性が損なわれる可能性があるという問題がある。また、特許文献1には、電着塗膜の水切り乾燥を目的として40〜120℃の温度で加熱することが例示されているが、この温度を設定するには、設備設置やその稼動のためにメンテナンスが必要となり、省エネルギー性や省スペース化という点で問題がある。
特開平9−241891号公報
本発明の目的は、金属製製品に、電着塗料及び粉体塗料を2コート1ベーク方式で塗装して複層塗膜を形成する方法において、上記の如き問題を克服し、揮発性有機化合物の発生量が少なく、低温硬化性で、省エネルギー性に優れており、しかも、電着塗膜と粉体塗膜の間に混層が生じたり塗膜にワキが発生することがなく、仕上り性や防食性などに優れた複層塗膜を形成することができる方法を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、今回、電着塗料として、塗膜の加熱減量が少ない特定の電着塗料を使用し、その未硬化塗膜面に、粉体塗料を塗装することによって、上記の目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明は、金属製製品に、電着塗料を電着塗装し、セッティング又はエアブローを行った後、その未硬化の電着塗膜上に粉体塗料を塗装し、次いで形成される電着塗膜と粉体塗膜の両塗膜を同時に加熱硬化させることにより複層塗膜を形成する方法において、
電着塗料として、形成される電着塗膜を105℃で3時間加熱乾燥した後、160℃で20分間加熱硬化させた時の電着塗膜の加熱減量が5重量%以下である電着塗料を使用することを特徴とする複層塗膜形成方法を提供するものである。
本発明の上記方法によれば、塗膜の加熱減量の少ない特定の電着塗料の使用により、揮発性有機化合物の発生量を低減せしめることができ、かつ省エネルギー性や省スペース化に貢献し、しかも、電着塗膜と粉体塗膜の間に混層が生じたり複層塗膜面にワキが発生することがなく、仕上り性、防食性などに優れた塗装製品を得ることができる。
以下、本発明の複層塗膜形成方法について、さらに詳細に説明する。
本発明の方法においては、まず、金属製製品に対して、電着塗装が施される。本発明は、この電着塗装に使用する電着塗料として、塗膜の加熱減量が5重量%以下、好ましくは4重量%以下、さらに好ましくは3.5重量%以下である電着塗料を使用する点に主たる特徴を有するものである。使用する電着塗料の塗膜の加熱減量が5重量%を越えると、電着塗膜と粉体塗膜からなる複層塗膜の仕上がり性が損なわれる可能性がある。
本明細書において、電着塗膜の加熱減量(X)は、予め重量を測定した金属板に膜厚が20μmとなるようにして電着塗装を行ない、電着浴から引き上げて電着塗面を水洗し、105℃で3時間加熱乾燥した後に塗装金属板の重量を測定して乾燥塗膜重量(Y)を求め、次いで160℃で20分間加熱硬化させた後に該塗装金属板の重量を測定して硬化塗膜重量(Z)を求め、下記式に従って算出される値である。
X(%)=[(Y−Z)/Z]×100
かかる特定の加熱減量を示す塗膜を形成することのできる電着塗料としては、特に、エポキシ樹脂(a)、アミン化合物(a)及びフェノール化合物(a)を反応させることにより得られる基体樹脂(A)と、脂環式骨格にエポキシ基が結合してなるエポキシ基含有官能基を1分子あたり少なくとも平均2個有するエポキシ樹脂(B)を含んでなる電着塗料が好適である。
基体樹脂(A)の製造に用いられるエポキシ樹脂(a)としては、下記式(1)
Figure 2006231322
で示されるエポキシ基含有官能基を1分子中に少なくとも平均2個有するエポキシ樹脂(a)が包含される。
エポキシ樹脂(a)は、それ自体既知のものであることができ、例えば、特開昭60−170620号公報、特開昭62−135467号公報、特開昭60−166675号公報、特開昭60−161973号公報、特開平2−265975号公報などに記載されているものを使用することができる。
また、エポキシ樹脂(a)は、末端に重合開始成分の残基、つまり活性水素含有有機化合物残基が結合したものであってもよい。その前駆体である活性水素含有有機化合物としては、例えば、脂肪族1価アルコール、芳香族1価アルコール、2価以上の脂肪族もしくは脂環族多価アルコールなどのアルコール類;フェノール類;脂肪酸;脂肪族、脂環族もしくは芳香族2塩基酸もしくは多塩基酸;オキシ酸;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル部分加水分解物、デンプン、セルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシエチルセルロース、アリルポリオール樹脂、スチレン−アリルアルコール共重合体、アルキド樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリカプロラクトンポリオール樹脂などが挙げられる。また、これらの活性水素含有有機化合物は、活性水素と共にその骨格中に不飽和二重結合がエポキシ化された構造を有するものであってもよい。
エポキシ樹脂(a)は、例えば、上記の如き活性水素含有有機化合物を開始剤として用い、4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイド単独の存在下又はこれと他のエポキシ基含有化合物との共存下に、これらのモノマーに含まれるエポキシ基による重合反応を行ってポリエーテル樹脂を形成せしめ、ついで該樹脂中の側鎖中に存在するビニル基を過酸類やハイドロパーオキサイド類などの酸化剤でエポキシ化することによって製造することができる。
4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドは、例えば、ブタジエンの2量化反応によって得られるビニルシクロヘキセンを過酢酸によって部分的にエポキシ化することによって得ることができる。
共重合させうる他のエポキシ基含有化合物としては、エポキシ基を有する化合物であれば特に制限はないが、製造上、1分子中に1個のエポキシ基を有する化合物が好ましい。具体的には、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、下記式(2)
Figure 2006231322
式中、nは2〜25整数である、
で示されるα−オレフィンエポキサイド;スチレンオキサイドなどの不飽和化合物の酸化物;アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどの水酸基含有化合物のグリシジルエーテル;脂肪酸のような有機酸のグリシジルエステルなどを挙げることができる。
4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイド単独の存在下又はそれと他のエポキシ基含有化合物との共存下で行なうエポキシ基の開環(共)重合反応は、触媒を用いて行うことが好ましい。
触媒としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ピペラジンなどのアミン類;ピリジン類、イミダゾール類などの有機塩基類;ぎ酸、酢酸、プロピオン酸などの有機酸類;硫酸、塩酸などの無機酸類;ナトリウムメチラートなどのアルカリ金属アルコラート類;KOH、NaOHなどのアルカリ類;BFSnCl、AlCl、SnClなどのルイス酸又はその錯体類;トリエチルアルミニウム、ジエチル亜鉛などの有機金属化合物を挙げることができる。これらの触媒は、通常、重合すべきモノマーの合計重量を基準にして0.001〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲内で使用することができる。
開環(共)重合反応は、一般に、−70〜200℃、好ましくは−30〜100℃の範囲内の温度で行うことができる。この反応は溶媒中で行うことが好ましく、溶媒としては活性水素を有していない通常の有機溶媒を用いることができる。
このようにして得られるポリエーテル樹脂(開環(共)重合体)は、次いで、その側鎖の脂環構造の炭素原子に直結するビニル基(−CH=CH)をエポキシ化することによって、前記式(1)で示される官能基を有するエポキシ樹脂(a)とすることができる。
このエポキシ化は、通常、過酸類やハイドロパーオキサイド類を用いて行うことができる。過酸類としては、例えば、過ぎ酸、過酢酸、過安息香酸、トリフルオロ過酢酸などが挙げられ、また、ハイドロパーオキサイド類としては、例えば、過酸化水素、tert−ブチルパーオキサイド、クメンパーオキサイドなどを用いることができる。エポキシ化反応は、必要に応じて、触媒の存在下で実施することができる。
上記開環(共)重合体中の4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドに基づくビニル基がエポキシ化されることによって、前記式(1)で示される官能基が生成する。このエポキシ化反応において、他のエポキシ基含有化合物として前記脂環式オキシラン基含有化合物などが共存すると、該化合物に含まれるビニル基もエポキシ化されることもあるが、これは前記式(1)で示される官能基とは異なったものとなる。
エポキシ化反応における溶媒使用の有無や反応温度は、用いる装置や原料物性などに応じて適宜調整することができる。エポキシ化反応の条件によって、原料重合体中のビニル基のエポキシ化と同時に原料中の下記式(3)
Figure 2006231322
で示される置換基及び/又は生成してくる前記式(1)で示される置換基がエポキシ化剤などと副反応を起こした結果、変性された置換基が生じ、エポキシ樹脂(a)中に混在することがある。これらの変性された置換基が含まれる比率は、エポキシ化剤の種類、エポキシ化剤とビニル基とのモル比、反応条件などによって異なる。
このようなエポキシ樹脂(a)として、市販品を使用することも可能であり、例えば、EHPE−3150(ダイセル化学工業(株)製、商品名)などが挙げられる。これは4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドの開環重合体中のビニル基をエポキシ化したものであり、その平均重合度は15〜25の範囲内にある。
式(1)で示されるエポキシ基含有官能基は、エポキシ樹脂(a)の1分子中に平均して少なくとも2個存在していればよく、エポキシ樹脂(a)は、一般に、140〜1000、好ましくは150〜650、より好ましくは170〜300の範囲内のエポキシ当量及び200〜75,000、好ましくは600〜50,000、より好ましくは1,000〜10,000の範囲内の数平均分子量を有することができる。
本明細書において、数平均分子量は、JIS K 0124−83に準じて測定し、分離カラムとしてTSK GEL4000HXL+G3000HXL+G2500HXL+G2000HXL(東ソー株式会社製)を用い、40℃にて流速1.0ml/分で、溶離液にGPC用テトラヒドロフランを用い、RI屈折計で得られたクロマトグラムとポリスチレンの検量線から計算により求めた値である。
前記エポキシ樹脂(a)に反応せしめられるアミノ化合物(a)は、エポキシ樹脂にアミノ基を導入して、該エポキシ樹脂をカチオン性化するためのカチオン性付与成分であり、該アミノ化合物(a)としては、該化合物中に、エポキシ基と反応する活性水素を少なくとも1個含有するものが用いられる。
アミノ化合物(a)としては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミンなどのモノ−もしくはジ−アルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、トリ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、モノメチルアミノエタノール、モノエチルアミノエタノールなどのアルカノールアミン;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのアルキレンポリアミン及びこれらのポリアミンのケチミン化物;エチレンイミン、プロピレンイミンなどのアルキレンイミン;ピペラジン、モルホリン、ピラジンなどの環状アミン等が挙げられる。
フェノール化合物(a)としては、フェノール性水酸基を1分子中に少なくとも1個有するものを使用することができる。具体的には、例えば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)イソブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラ(p−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどの多価フェノール化合物が挙げられる。
さらに、フェノール、ノニルフェノール、α−もしくはβ−ナフトール、p−tert−オクチルフェノール、o−もしくはp−フェニルフェノールなどのモノフェノール化合物も使用することができる。
防食性により優れた塗膜を形成するためには、フェノール化合物(a)として、特に、ビスフェノールA[2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン]、ビスフェノールF[ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン]などのビスフェノール類又はそれとエピハロヒドリンとの反応生成物を用いることが好ましい。
該ビスフェノール類又はそれとエピハロヒドリンとの反応生成物のうち、特に、数平均分子量が少なくとも200、好適には約800〜約3,000の範囲内にあり且つ1分子あたり平均して2個以下、好ましくは0.8〜1.2個のフェノール性水酸基を含有する下記式(4)で代表的に示されるものが適している。
Figure 2006231322
式中、nは0〜8の数であり、Rは活性水素化合物の残基を表わす。
上記式における活性水素化合物の残基Rの前駆体である活性水素含有化合物としては、例えば、第2級アミンのようなアミン類;ノニルフェノールのようなフェノール類;脂肪酸のような有機酸;チオール類;アルキルアルコール、セロソルブ、ブチルセロソルブ、カービトールのようなアルコール類;無機酸などの化合物が挙げられる。これらのうち、第1級水酸基含有第2級アミン、例えば、ジアルカノールアミンや、モノフェノール、例えば、ノニルフェノール、フェニルフェノール、フェノールなどが特に好適である。これらの第1級水酸基含有第2級アミンやモノフェノールを用いると塗膜の硬化性が向上する。
上記式(4)では、その末端にR−および−OHがそれぞれ結合した形で示されるが、両末端がR−又はOHのいずれか一方だけであるものが混在してもさしつかえない。
基体樹脂(A)は、以上に述べたエポキシ樹脂(a)に、アミノ化合物(a)及びフェノール化合物(a)を反応させることによって得られる。
このような基体樹脂(A)は、従来のビスフェノールA型エポキシ樹脂との反応によって得られるものに比べて、防食性や合金化亜鉛メッキ鋼板に対する電着塗装適性に優れるという利点を有している。
エポキシ樹脂(a)、アミノ化合物(a)及びフェノール化合物(a)の反応比率は、特に制限はなく、得られる塗料に要求される物性等に応じて適宜選択することができるが、一般には、エポキシ樹脂(a)のエポキシ基含有官能基1モルあたり、アミノ化合物(a)は、その第1級もしくは2級アミノ基が0.1〜1モル、特に0.4〜0.9モルの範囲内、そしてフェノール化合物(a)は、その中のフェノール性水酸基が0.02〜0.4モル、特に0.1〜0.3モルの範囲内となるような割合で用いるのが好ましい。
そして、アミノ化合物(a)及びフェノール化合物(a)の上記モル数の合計は、エポキシ樹脂(a)中のエポキシ基含有官能基1モルあたり0.75〜1.5モル、特に0.8〜1.2モルの範囲内であることが好ましい。
エポキシ樹脂(a)、アミノ化合物(a)及びフェノール化合物(a)の反応は、例えば、50〜300℃、特に70〜200℃の範囲内の温度で行うことができる。反応順序は特に制限されず、全成分を同時に仕込んで反応させるか、又はエポキシ樹脂(a)にそれ以外の各成分を任意の順序で添加して順次反応させることができる。
基体樹脂(A)は、一般に、アミン価が20〜150mgKOH/g、特に35〜100mgKOH/gの範囲内;水酸基価が300〜1000mgKOH/g、特に350〜700mgKOH/gの範囲内;数平均分子量が800〜15,000、特に1,000〜6,000の範囲内にあるのが好ましい。
基体樹脂(A)には、その製造中又は後に、必要に応じて、カチオン化剤をさらに反応させることもできる。かかるカチオン化剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミンなどの第3級アミンなどを使用することができる。これらは予め酸でプロトン化し、エポキシ基と反応させて第4級塩にすることができる。
以上に述べた基体樹脂(A)は、エポキシ樹脂(B)の存在下で加熱することにより硬化させることができる。
エポキシ樹脂(B)としては、脂環式骨格にエポキシ基が結合してなるエポキシ基含有官能基を1分子あたり少なくとも平均2個有するポリエポキシド化合物又はノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物を用いることが好ましく、具体的には、下記のエポキシ樹脂系の架橋剤(B−1)、架橋剤(B−2)又は架橋剤(B−3)を用いることが好ましい。
架橋剤(B−1)は下記式(5)
Figure 2006231322
で示される繰り返し単位を有するエポキシ樹脂であり、具体的には、前記エポキシ樹脂(a)において説明したものを包含し、市販品としては前記EHPE3150(ダイセル化学工業社製、商品名)などが挙げられる。
上記式(5)において、繰り返し単位の数を表すnは3〜30、好ましく5〜20であり、nが30を越えると一般に融点の高い樹脂となり取り扱い困
難となることがある。
架橋剤(B−2)は下記式(6)
Figure 2006231322
式中、Rは水素原子又はメチル基である、
で示される繰り返し単位を有する数平均分子量が3,000〜200,000、特に4,000〜10,000程度の重合体を挙げることができ、具体的には、下記式(7)
Figure 2006231322
式中、Rは水素又はメチル基である、
で示される少なくとも1種のモノマーを、場合により少なくとも1種の他の重合性モノマーと共に重合せしめることによって製造されるものを使用することができる。
上記式(7)で示されるモノマーとして、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートなどが挙げられ、それらの市販品としては、例えば、ダイセル化学工業製のサイクロマーA400、サイクロマーM100(いずれも商品名)などが挙げられる。
架橋剤(B−3)は下記式(8)
Figure 2006231322
式中、RおよびRは同一もしくは相異なり、各々水素原子、炭素数1〜8のアル
キル基、アリール基、アラルキル基又はハロゲン原子を表わし;Rは水素原子、炭
素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基、アリル基又はハロゲン原子
を表わし;RおよびRは同一もしくは相異なり、各々水素原子、炭素数1〜4の
アルキル基又はグリシジルオキシフェニル基を表わし;Rは水素原子、炭素数1〜
10のアルキル基、アリール基、アラルキル基、アリル基又はハロゲン原子を表わし

そしてnは1〜38の整数である、
で示されるエポキシ樹脂である。
上記式(8)において、「アルキル基」は直鎖状もしくは分岐鎖状であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル基などが挙げられる。また、「アリール基」は単環式または多環式のいずれであってもよく、例えば、フェニル、ナフチル基などが挙げられ、特にフェニル基が好適である。さらに、「アラルキル基」はアリール−置換アルキル基であって、例えば、ベンジル、フェネチル基などが包含され、中でもベンジル基が好ましい。「ハロゲン原子」にはフッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子が包含される。
さらに、式(8)のR及び/又はRによって表わされる「グリシジルオキシフェニ
ル基」は下記式(9)
Figure 2006231322
ここで、Wは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表わす、
で示される基である。
前記式(8)において、RおよびRとしては水素原子、メチル基、塩素原子および臭素原子が好適であり、特に水素原子、メチル基および臭素原子が好ましい。また、RおよびRとしては、メチル基、tert−ブチル基、ノニル基、フェニル基、塩素原子及び臭素原子が好ましく、中でもメチル基、tert−ブチル基、フェニル基及び臭素原子が好適である。さらに、RおよびRは好ましくは水素原子であり、そしてnは好ましくは特に1〜8である。
架橋剤(B−3)は、一般に、約400〜約8000、特に600〜2000の範囲内の数平均分子量を有することが好ましい。
架橋剤(B−3)としては、例えば、特開平5−295321号公報、特開平6−122850号公報、特開平6−248203号公報などに記載されているものを使用することができ、具体的には、例えば、クレゾール型ノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル化物である、EPICRON N−695[大日本インキ(株)製、商品名]、ESCN−195XL[住友化学(株)製、商品名]などが挙げられる。
本発明に従う電着塗料において、上記の架橋剤(B−1)、架橋剤(B−2)又は架橋剤(B−3)に加えて、それ自体既知の硬化剤を併用することができ、例えば、ポリイソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応生成物であるブロックポリイソシアネート化合物などを使用することができる。
上記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの芳香族、脂環族、脂肪族のポリイソシアネート化合物及びこれらのイソシアネート化合物の過剰量にエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ヒマシ油などの低分子活性水素含有化合物を反応させて得られる末端イソシアネート含有プレポリマーが挙げられる。
上記イソシアネートブロック剤は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に付加してブロックするものであり、そして付加によって生成するブロックポリイソシアネート化合物は、常温において安定で且つ解離温度以上に加熱した際にブロック剤を解離して遊離のイソシアネート基を再生しうるものであることが重要である。
特に、電着塗膜の160℃−20分間加熱時の電着塗膜の加熱減量を5重量%以下とするため、ブロック剤としては、分子量が130以下の低分子化合物を用いることが好ましい。具体的には、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、クロロフェノール、エチルフェノールなどのフェノール系ブロック剤;ε−カプロラクタム、δ−バレロラク
タム、γ−ブチロラクタム、β−プロピオラクタムなどのラクタム系ブロック剤;アセト酢酸エチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系ブロック剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセトンアルコール、乳酸メチル、乳酸エチルなどのアルコール系ブロック剤;ホルムアミドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム系ブロック剤;ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノールなどのメルカプタン系ブロック剤;酢酸アミド、ベンズアミドなどの酸アミド系ブロック剤;コハク酸イミド、マレイン酸イミドなどのイミド系ブロック剤;キシリジン、アニリン、ブチルアミン、ジブチルアミンなどのアミン系ブロック剤;イミダゾール、2−エチルイミダゾールなどのイミダゾール系ブロック剤;エチレンイミン、プロピレンイミンなどのイミン系ブロック剤等を挙げることができる。これらのうち、塗料の安定性や塗膜の硬化性などのバランスから、メチルエチルケトオキシムなどのオキシム系ブロック剤が特に好適である。
さらに、本発明に従う電着塗料は、塗膜の低温硬化性の向上のために、触媒を含有することが好ましく、該触媒としては、例えば、原子番号が25〜30又は40〜42の金属元素の水酸化物、即ち、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属の水酸化物を使用することができる。特に、水酸化銅(II)、水酸化コバルト及び水酸化亜鉛が好適である。
原子番号25〜30又は40〜42の金属元素の水酸化物の使用量(固形分)は、塗料安定性などの面から、基体樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)の合計固形分重量を基準にして、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.3〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%の範囲内とすることができる。
本発明に従う電着塗料には、必要に応じて、防錆剤として、カルボン酸金属塩、例えば、カルボン酸ビスマス、カルボン酸鉄、カルボン酸チタニウム、カルボン酸バナジウム、カルボン酸ジルコニウム、カルボン酸カルシウム、カルボン酸カリウム、カルボン酸バリウム、カルボン酸マンガン、カルボン酸セリウム、カルボン酸アルミニウムなどを含有せしめることができる。これらの中、カルボン酸ビスマス、カルボン酸ジルコニウムが好ましく、例えば、オクチル酸ビスマス(3価)、2−エチルヘキシル酸ビスマス(3価)、オレイン酸ビスマス(3価)、ネオデカン酸ビスマス(3価)、バーサチック酸ビスマス(3価)、ナフテン酸ビスマス(3価)、2−エチルヘキシル酸ジルコニル(4価)、バーサチック酸ジルコニル(4価)、オレイン酸ジルコニル(4価)、ナフテン酸ジルコニル(4価)などが好適である。
本発明に従う電着塗料には、必要に応じて、さらに、イミダゾール化合物を含有せしめることができる。イミダゾール化合物には、1分子中にイミダゾール環を少なくとも1個有し且つイミダゾール環1個あたりの分子量が68〜300であるイミダゾール化合物が包含され、イミダゾール環が1個の場合には、分子量が68〜300の範囲内にあり、また、イミダゾール環を2個有する場合には、分子量が136〜600の範囲内にあることが好ましい。
そのようなイミダゾール化合物の具体例としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイ
ミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−フェニル−4−ベンジルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−〔2′−メチルイミダゾリル−(1)′〕−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2′−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1)′〕−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2′−ウンデシルイミダゾリル−(1)′〕−エチル−S−トリアジン、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾリウムイソシアヌル酸付加物、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ベンジル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどの1分子中にイミダゾール環を1個有する化合物;上記の2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール又は2−フェニル−4−ベンジル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどのヒドロキシメチル基含有イミダゾール化合物を脱水、脱ホルムアルデヒド反応により縮合させてなる1分子中にイミダゾール環を2個以上有する化合物、例えば、4,4′−メチレン−ビス−(2−エチル−5−メチルイミダゾール)などが挙げられる。
本発明に従う電着塗料には、さらに必要に応じて、無機ビスマス化合物を含有せしめることができ、それによって、本発明に従う電着塗料から形成される塗膜の耐食性を一層向上させることができる。配合しうる無機ビスマス化合物としては、例えば、塩基性炭酸ビスマス、炭酸酸化ビスマス、硝酸ビスマス、硝酸水酸化ビスマス、塩基性硝酸ビスマス、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、硫酸ビスマスなどが挙げられ、この中でも、水酸化ビスマスが特に好ましい。
また、架橋剤としてブロックポリイソシアネート化合物を併用する場合には、硬化触媒として錫化合物を含有せしめることができる。該錫化合物としては、例えば、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイドなどの有機錫化合物;ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジベンゾエート、ジブチル錫ジベンゾエートなどのジアルキル錫の脂肪族または芳香族カルボン酸塩等を挙げることができる。
本発明に従う電着塗料は、さらに必要に応じて、その他の塗料添加剤、例えば、着色顔料、体質顔料、防錆顔料、有機溶剤、顔料分散剤、表面調整剤、界面活性剤、酸などを、通常使用されている量で含有することができる。
本発明に従う電着塗料は、常法に従い、上記の基体樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)及び場合によりさらに他の硬化剤を含んでなるエマルションに、顔料や分散用樹脂などを含んでなる顔料分散ペーストを加え、水性媒体で希釈することにより調製することができる。
以上の如くして調製される本発明に従う電着塗料は、電着塗装によって金属製製品の表面に塗装される。
電着塗装は、一般に、浴固形分濃度が約5〜約40重量%となるように脱イオン水などで希釈し、さらにpHを3.0〜9.0の範囲内に調整した電着塗料を用い、通常、浴温15〜35℃及び印加電圧10〜400Vの条件下で行うことができる。
本発明に従う電着塗料を用いて形成される塗膜の厚さは、特に制限されるものではない
が、一般的には、硬化塗膜に基づいて10〜40μm、特に15〜25μmの範囲内が好ましい。電着塗膜は、UFロ液、工業用水、純水等で水洗することができる。
本発明に従う電着塗料で電着塗装することのできる金属製製品としては、少なくとも表面が導電性金属からなる成形品であればとくに制約はなく、例えば、自動車車体、二輪車用金属部品、家庭用電化製品、鋼製家具等の金属製製品が挙げられる。
以上に述べた如くして電着塗装たれた金属製製品は、次いで、常法に従いセッティング又はエアブローを行った後、その未硬化の電着塗膜上に粉体塗料が塗装される。なお、エアブローを行う場合、省エネルギー性などの観点から、40℃未満の温度で行うことが好ましい。
粉体塗料は、特に制限されるものではなく、上塗塗料用としてそれ自体既知のもの、例えば、熱硬化性粉体塗料を使用することができる。例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂を基体樹脂とし、このものに架橋剤を配合してなる熱硬化性粉体塗料を用いることができるが、特に、約120〜約160℃、好ましくは約140〜約155℃及び1〜120分間、好ましくは5〜60分間の焼付け条件(温度及び保持時間)下に硬化塗膜を形成し得る低温硬化型の熱硬化性粉体塗料を使用することが望ましい。
基体樹脂として使用されるエポキシ樹脂としては、エポキシ当量が約200〜約5,000、特に約400〜約3,000、数平均分子量が約600〜約80,000、特に約800〜約10,000及び軟化温度が約60〜約150℃、特に約65〜約140℃のエポキシ樹脂が包含され、具体的には、市販品として、例えば、エピコ−ト1004、エピコ−ト1002、エピコ−ト1007(以上、ジャパンエポキシレジン(株)社製、商品名)、アラルダイトGY−6084、アラルダイト6097(チバ・ガイギ−社製、商品名)、DER−662、DER−664、DER−667(ダウ・ケミカル社製、商品名)などのビスフェノール−エピクロルヒドリン型エポキシ樹脂;EPPN−201,EPPN−202、EOCN−1020、EOCN−102S(以上、日本化薬(株)社製、商品名)などのノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、該エポキシ樹脂として、グリシジルエステルやエポキシ基含有ビニル系重合体、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、グリシジルスチリルエーテル、4−ビニルシクロヘキセン−1−オキシド、5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−オキシド、リモネンモノオキシドなどのエポキシ基含有不飽和モノマーを、必要に応じて、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルまたはシクロアルキルエステル類、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有不飽和モノマー類、(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル化合物類、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニルモノマ−、その他の不飽和モノマーと共にラジカル重合してなる(共)重合体などを使用することもできる。これらの中で、防食性などの観点から、ビスフェノール−エピクロルヒドリン型エポキシ樹脂及びノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
上記エポキシ樹脂を架橋させるための架橋剤としては、エポキシ樹脂のエポキシ基と反応する官能基を有するものであれば特に制限はなく、それ自体既知のものを使用することができる。具体的には、例えば、(無水)ポリカルボン酸化合物、例えば、アジピン酸、ドデカン2酸、(無水)トリメリット酸、(無水)コハク酸等、フェノ−ル樹脂、ジシアンジアミドなど;芳香族ジヒドラジッド、例えば、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなど;フェノールノボラックなどのフェノール樹脂類;アニオン重合触媒と
してのイミダゾール化合物、例えば、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾ−ル類、それらのシアノエチル化物、それらのトリアジン付加物、それらの水素添加物であるイミダゾリン類など;カチオン重合触媒としての芳香族スルホニウム塩、例えば、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネ−ト、ベンジル−4−メトキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネ−トなどが挙げられる。
上記エポキシ樹脂と架橋剤との配合比率は、通常、エポキシ樹脂/架橋剤の重量比で、95/5〜50/50、特に90/10〜60/40範囲内が好適である。ただし、カチオン重合触媒である上記イミダゾール化合物又は芳香族スルホニウム塩を使用する場合には、99.99/0.01〜90/10、特に98/2〜92/8範囲内が好適である。
基体樹脂として使用されるポリエステル樹脂としては、カルボキシル当量及び/又は水酸基当量が約200〜約5,000、特に約400〜約3,000、数平均分子量が約400〜約50,000、特に約500〜約40,000及び軟化温度が約60〜約150℃、特に約65〜約140℃の水酸基及び/又はカルボキシル基含有ポリエステル樹脂が包含される。該ポリエステル樹脂は、例えば、多塩基酸又はそのメチルエステルと多価アルコールとのエステル化反応により製造することができ、具体的には、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジメチルなどの芳香族又は脂肪族ジカルボン酸化合物及び必要に応じてアジピン酸、セバシン酸、(無水)マレイン酸、(無水)トリメリット酸などのその他のポリカルボン酸などの多塩基酸に、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのポリオール化合物を、生成するポリエステル樹脂がカルボキシル基及び/又は水酸基を含有するような割合でエステル化反応させることにより製造することができる。
上記のポリエステル樹脂を架橋させるための架橋剤としては、例えば、ブロックイソシアネート、テトラメトキシメチルグリコールウリル、トリグリシジルイソシアヌレート、メラミン樹脂、ポリエポキシド、β−ヒドロキシアルキルアミド、ポリカルボン酸ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジドなどが挙げられる。これらの中で、低温硬化性、防食性などの観点から、特にβ−ヒドロキシアルキルアミド(市販品として、EMS−PRIMD社製「プリミド」シリーズなどが挙げられる)が好ましい。ポリエステル樹脂と架橋剤との配合比率は、通常、基体樹脂/架橋剤の重量比で、99/1〜50/50、特に90/10〜60/40の範囲内が好適である。
基体樹脂として使用されるアクリル樹脂としては、塗料の耐ブロッキング性や塗膜の仕上り外観(平滑性等)、耐擦傷性、耐候性などの観点から、軟化温度が約40〜約150℃、好ましくは約50〜約130℃及び数平均分子量が1,500〜15,000,好ましくは2,500〜6,000の範囲内にあり且つ架橋性官能基としてエポキシ基(グリシジル基)、水酸基、カルボキシル基など有するものが好適である。
エポキシ基含有アクリル樹脂は、エポキシ基含有アクリルモノマーとその他のアクリル系不飽和モノマーを適宜組み合わせて(共)重合反応させることにより得られるものを使用することができる。該アクリル樹脂を構成するエポキシ基含有アクリルモノマー単位の含有量は、塗膜の耐擦傷性や粉体塗料の貯蔵安定性、仕上り外観などの観点から、一般に30〜60重量%、特に25〜50重量%の範囲内が好ましい。
エポキシ基含有アクリル樹脂のための架橋剤としては、ポリカルボン酸、例えば、脂肪族二塩基酸を使用することができ、該脂肪族二塩基酸としては、炭素数が少なくとも2の
飽和もしくは不飽和基の脂肪族二塩基酸が包含され、具体的には、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピロメリット酸、ドデカン二酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシリル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸、エイコサン二酸など及びこれらの二塩基酸の1種もしくは2種以上の酸無水物等を挙げることができる。このうち特にドデカン二酸およびこの酸無水物が好適である。
水酸基含有アクリル樹脂としては、水酸基含有不飽和モノマ−とその他のアクリル系不飽和モノマーとのラジカル共重合体が挙げられ、このものは前記のブロックポリイソシアネート架橋剤やメラミン樹脂などと組み合わせ使用することができる。
カルボキシル基含有アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基含有不飽和モノマーとその他のアクリル系不飽和モノマーとのラジカル共重合体が包含され、このものはβ−ヒドロキシアルキルアミド架橋剤やポリエポキシ化合物などと組み合わせて使用することができる。
上記アクリル樹脂と架橋剤との配合比率は、通常、アクリル樹脂/架橋剤の重量比で、99/1〜50/50、特に90/10〜60/40範囲内が好適である。
粉体塗料の塗装は、それ自体既知の粉体塗装方法、好ましくは静電粉体塗装方法、例えば、コロナ帯電式、摩擦帯電式などの方法によって行うことができる。粉体塗料の塗膜厚は、通常、約20〜100μm、好ましくは約30〜80μmの範囲内が好適である。
かくして形成される電着塗膜と粉体塗膜の両塗膜は、ついで、焼付けすることにより同時に加熱硬化させる。その際の焼付け温度は、約120〜約160℃、好ましくは約140〜約155℃の範囲内とすることができ、また、焼付け時間は、焼付け温度に応じて、通常、1〜120分間、好ましくは5〜60分間、さらに好ましくは10〜40分間程度とすることができる。
これらの焼付け条件(温度及び保持時間)の観点から、粉体塗料に配合される架橋剤としては、β−ヒドロキシアルキルアミドが特に好適である。
以上に述べた本発明の複層塗膜形成方法によれば、揮発性有機化合物の発生量を低減せしめることができ、かつ省エネルギー性や省スペース化に貢献し、しかも、電着塗膜と粉体塗膜の間に混層が生じたり複層塗膜面にワキが発生することがなく、仕上り性、防食性などに優れた塗装製品を容易に得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は特にことわらない限り「重量部」及び「重量%」である。
製造例1:電着塗料用の基体樹脂No.1の製造
撹拌機、温度計、滴下ロート及び還流冷却器を取付けたフラスコに、下記の成分(a)、(a)及び(a)の混合物を入れ、160℃で5時間反応させた後、メチルプロパノール692部を加え、水酸基当量443、アミン価63mgKOH/g及び固形分60%の基体樹脂No.1を得た。
成分(a): EHPE−3150(注1)155部、
成分(a): ジエタノールアミン70部、
成分(a): エポキシ当量190のビスフェノールAジグリシジルエーテル475
部、ビスフェノールA285部、ジエタノールアミン53部及びカルビ
トール80部を混合して加熱溶解した後冷却し、130℃で3時間保持
して反応させることにより得られた生成物の全量
(注1)EHPE−3150: ダイセル化学工業(株)製、商品名、脂環式骨格にエポ
キシ基が結合してなるエポキシ基含有官能基を1分子あたり平均2個以上有する
エポキシ樹脂、エポキシ当量180。
製造例2:電着塗料用の基体樹脂No.2の製造
エピコート828EL(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名、エポキシ樹脂)1010部に、ビスフェノールA390部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量800になるまで反応させた。次に、ジメチロールブタン酸74部、ジエタノールアミン63部及びジエチレントリアミンのケチミン化物95部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテル330部を加え、アミン価43mgKOH/g及び固形分80%の基体樹脂No.2を得た。
製造例3:電着塗料用の硬化剤No.1の製造
サイクロマーM100(ダイセル化学工業製、商品名、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート)33.4部にアゾビスジメチルバレロニトリル2部を溶解したものを、100℃に加熱したメチルイソブチルケトン10部とエチレングリコールモノブチルエーテル10部の混合溶剤中に2時間かけて滴下し、1時間熟成した後、125℃に昇温して更に1時間熟成し、エポキシ当量196及び固形分60%のエポキシ硬化剤No.1を得た。
製造例4:電着塗料用の硬化剤No.2の製造
コスモネートM−200(三井化学株式会社製、商品名、クルードMDI)270部にメチルイソブチルケトン46部を加え70℃に昇温した。さらにジエチレングリコールモノブチルエーテル281部をゆっくり加えた後、90℃に昇温した。
この温度を保ちながら、経時でサンプリングし、赤外吸収スペクトル測定にて未反応のイソシアネートの吸収がなくなったことを確認して反応を停止させ、有機溶剤量を調整し、固形分60%のブロック化ポリイソシアネート硬化剤No.2を得た。
製造例5:エマルションNo.1の製造
固形分60%の基体樹脂No.1 117部(固形分70部)、エチレングリコールモノブチルエーテルに溶解した固形分80%のEHPE−3150(注1参照)37.5部(固形分30部)及び10%ギ酸7部を混合し均一に撹拌した後、脱イオン水132.5部を強く撹拌しながら約15分かけて滴下し、固形分34%のカチオン電着用のエマルションNo.1を得た。
製造例6:エマルションNo.2の製造
固形分60%の基体樹脂No.1 117部(固形分70部)、固形分60%の硬化剤No.1 50部(固形分30部)及び10%ギ酸7部を混合し均一に撹拌した後、脱イオン水120部を強く撹拌しながら約15分かけて滴下し、固形分34%のカチオン電着用のエマルションNo.2を得た。
製造例7:エマルションNo.3の製造
固形分80%の基体樹脂No.2 87.5部(固形分70部)、固形分60%の硬化剤No.2 50部(固形分30部)及び10%ギ酸7部を混合し均一に撹拌した後、脱イオン水149.5部を強く撹拌しながら約15分かけて滴下し、固形分34%のカチオン電着用のエマルションNo.3を得た。
下記表1にエマルションNo.1〜No.3の組成をまとめて示す。
Figure 2006231322
製造例8:電着塗料用の顔料分散ペーストNo.1の製造例
製造例1で得た60%の基体樹脂No.1 8.33部(固形分5部)に10%のギ酸4.4部を加え、さらに攪拌しながら脱イオン水15部を加える。次いで、JR−600E(注2)10部、ハイドライドPXN(注3)10部、カーボンMA−7(注4)1部、水酸化銅1部、水酸化ビスマス3部及び脱イオン水7.3部を加え、ボールミルで24時間分散処理して、固形分50.0%の顔料分散ペーストNo.1を得た。
(注2)JR−600E: テイカ社製、商品名、チタン白、
(注3)ハイドライドPXN: ジョージアカオリン社製、商品名、カオリン、
(注4)カーボンMA−7: 三菱化成社製、商品名、カーボンブラック。
製造例9:電着塗料用の顔料分散ペーストNo.2の製造
製造例1で得た60%の基体樹脂No.1 8.33部(固形分5部)に10%のギ酸4.4部を加え、さらに攪拌しながら脱イオン水15部を加える。次いで、JR−600E(注2参照)10部、ハイドライドPXN(注3参照)10部、カーボンMA−7(注4参照)1部、ジオクチル錫オキサイド1部及び脱イオン水4.27部を加え、ボールミルで24時間分散処理して、固形分50.0%の顔料分散ペーストNo.2を得た。
製造例10:電着塗料No.1の製造
製造例5で得た34%のエマルションNo.1 294部(固形分100部)に、製造例8で得た50%の顔料分散ペーストNo.1 60部(固形分30部)及び脱イオン水296部を加え混合して、固形分20%の電着塗料No.1を得た。
製造例11:電着塗料No.2の製造
下記表2の配合内容で、製造例10と同様に操作して、電着塗料No.2を得た。
製造例12:電着塗料No.3の製造
下記表2の配合内容で、製造例10と同様に操作して、電着塗料No.3を得た。
Figure 2006231322
(注5)電着塗膜の加熱減量:
試験板(注6)の重量を測定した後、該試験板に電着塗料を電着塗装して塗膜20μmの電着塗膜を得た。次に、105℃で3時間加熱してから塗装試験板の重量を測定し塗膜重量(Y)を求めた。さらに、塗装試験板を160℃で20分間加熱した後、その重量を測定し塗膜重量(Z)を求めた。これらの塗膜重量から下記式により電着塗膜の加熱減量(X)を求めた。
X(%)=[(Y−Z)/Y]×100
(注6)試験板: 冷延鋼板(150mm(縦)×70mm(横)×0.8mm(厚))に、化成処理(パルボンド#3020、日本パーカライジング社製、商品名、リン酸亜鉛処理剤)を施し、試験板とした。
製造例13:ポリエステル樹脂系粉体塗料No.1の製造
ファインデックM8031(大日本インキ株式会社製、商品名、ポリエステル樹脂、水酸基価30mgKOH/g)770部、プリミドXL552(EMS−PRIMD社製、商品名、β−ヒドロキシアルキルアミド)230部及びチタン白400部をヘンシェルミキサ−でドライブレンドし、次いでブスコニーダー混練機で溶融混合分散し、冷却、粗粉砕、微粉砕を行った後、150メッシュで篩別して、粉体塗料No.1を得た。
製造例14:エポキシポリエステル樹脂系粉体塗料No.2の製造
ファインデックM8860(大日本インキ株式会社製、商品名、ポリエステル樹脂、酸
価32mgKOH/g)700部、エピコート#1002(ジャパンエポキシレジン社製、商品名、ビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂)300部及びチタン白400部をヘンシェルミキサーでドライブレンドを行い、次いでブスコニーダー混練機で溶融混合分散し、冷却、粗粉砕、微粉砕を行った後、150メッシュで篩別して、粉体塗料No.2を得た。
実施例1
試験板(注6参照)に電着塗料No.1を膜厚が20μmとなるようにして電着塗装し、25℃で20分間セッティングした後、電着塗膜面に粉体塗料No.1を静電粉体塗装機(ゲマ社製)で膜厚が50μmになるようにして塗装した。次いで、試験板の表面温度が160℃となるように加熱しながら20分間(保持時間)焼き付けを行い、試験板上に電着塗膜と粉体塗膜からなる複層塗膜No.1を形成せしめた。
実施例2〜6
下記表3に示す電着塗料及び粉体塗料ならびにセッティング/エアブロー及び焼付け硬化条件を使用し、実施例1と同様に操作して、試験板上に複層塗膜No.2〜No.6を形成せしめた。
実施例1〜6で得られた複層塗膜の塗膜性能評価も併せて表3に示す。
Figure 2006231322
(注7)省エネルギー性:
◎は電着塗膜の水切り乾燥にセッティングを行うだけで十分である。
○は電着塗膜の水切り乾燥に40℃未満のエアブローを行う(エアブロー設備の設置
及び稼動を必要とする)。
△は電着塗膜の水切り乾燥に40℃以上で且つ120℃未満のエアブロー又は予備加
熱を行う必要がある(エアブロー設備又は乾燥炉の設置及び稼動を必要とする)。
×は電着塗膜の水切り乾燥に120℃以上の予備加熱を必要とし、乾燥炉の設置及び
稼動を必要とする。
(注8)仕上り性:
複層塗膜のワキ、ヘコミ、平滑性を目視で評価した。
○は問題なく良好。
△はワキ、ヘコミ、平滑性低下のいずれかが若干みられる。
×はワキ、ヘコミ、平滑性低下のいずれかが著しくみられる。
(注9)防食性:
複層塗膜に、素地に達するようにナイフでクロスカット傷を入れ、これをJISZ−2371に準じて840時間耐塩水噴霧試験を行い、ナイフ傷からの錆、フクレ幅によって以下の基準で評価した。
◎は錆、フクレの最大幅がカット部より1.5mm未満(片側)。
○は錆、フクレの最大幅がカット部より1.5mm以上でかつ2.5mm未満(片側
)。
△は錆、フクレの最大幅がカット部より2.5mm以上でかつ3.5mm未満(片側
)。
×は、錆、フクレの最大幅がカット部より3.5mm以上(片側)。
(注10)60度鏡面光沢度:
複層塗膜の光沢の程度を、JIS K−5400 7.6(1990)の60度鏡面光沢度に従い、入射角及び受光角がそれぞれ60度のときの反射率を測定し、鏡面光沢度の基準面の光沢度を100としたときの百分率で表した。
比較例1
試験板(注6参照)に、電着塗料No.3を膜厚が20μmとなるようにして電着塗装し、25℃で20分間セッティングした後、粉体塗料No.1を静電粉体塗装機(ゲマ社製)で膜厚が50μmになるようにして塗装した。次いで、試験板の表面温度が160℃になるようにして20分間加熱硬化を行い、試験板上に複層塗膜No.7を形成せしめた。
比較例2〜5
下記表4に示すセッティング/エアブロー/予備乾燥及び焼付け硬化条件を使用し、比較例1と同様に操作して、試験板上に複層塗膜No.8〜No.11を形成せしめた。
比較例1〜5で得られた複層塗膜の塗膜性能評価も併せて表4に示す。
Figure 2006231322

Claims (6)

  1. 金属製製品に、電着塗料を電着塗装し、セッティング又はエアブローを行った後、その未硬化の電着塗膜上に粉体塗料を塗装し、次いで形成される電着塗膜と粉体塗膜の両塗膜を同時に加熱硬化させることにより複層塗膜を形成する方法において、
    電着塗料として、形成される電着塗膜を105℃で3時間加熱乾燥した後、160℃で20分間加熱硬化させた時の電着塗膜の加熱減量が5重量%以下である電着塗料を使用することを特徴とする複層塗膜形成方法。
  2. 電着塗膜の加熱減量が4重量%以下である電着塗料を使用する請求項1に記載の方法。
  3. 電着塗料が、下記式 (1)
    Figure 2006231322
    で示されるエポキシ基含有官能基を1分子中に少なくとも平均2個有するエポキシ樹脂、第1級水酸基を含有する第1級もしくは第2級のアミン化合物及びフェノール性水酸基を1分子中に少なくとも1個有するフェノール化合物を反応させることにより得られる基体樹脂と、脂環式骨格にエポキシ基が結合してなるエポキシ基含有官能基を1分子あたり少なくとも平均2個有するエポキシ樹脂を含んでなるものである請求項1又は2に記載の方法。
  4. 粉体塗料が約120〜約160℃及び1〜120分間の焼付け条件下に硬化塗膜を形成し得る低温硬化型の熱硬化性粉体塗料である請求項1〜3にいずれか1項に記載の方法。
  5. 粉体塗料がエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリル樹脂から選ばれる少なくも1種の基体樹脂と、架橋剤としてのβ−ヒドロキシアルキルアミドを含んでなるものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法によって塗装された物品。
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